説明

健康食品

【課題】 本発明の目的は、酸化反応を軽減させることによって、活性酸素に起因する各種疾患や老化を緩和するのに十分な効果を発揮し、身体を健やかに保つことのできる食品を提供することにある。
【解決手段】 下記の(A)に列挙される植物のエキス及び(B)の物質からなる群より選択される何れか一種以上を有効成分とし、該有効成分がpH4.5以上pH11.0以下の範囲において200mV以下の酸化還元電位を有することを特徴とする食品とする。
(A)スベリヒユ、半醗酵茶、紅景天、厚朴、ウイキョウ、陳皮、タイソウ、ヨクイニン、クコ、シンイ
(B)平均分子量が千〜1万の範囲にあるアルギン酸塩オリゴ糖、又はペクチンオリゴ糖

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内の酸化電位を軽減させることによって、活性酸素に起因する各種疾患や老化促進を防ぎ、身体を健やかに保つための食品に関する。
【背景技術】
【0002】
化学工業の進展に伴い、工業排水や生活排水が大量に河川に流され、河川水の水質悪化が進み、河川水から取水している水道水はより強力な塩素消毒を施されるようになっているが、これら塩素消毒された水道水は(塩素消毒によって塩素と水が反応し、活性酸素の一種である次亜塩素酸を生じるので)、地域差はあるものの染色された衣類を退色させる程の酸化作用をもっている。その為、これらの水道水を日常的に飲用することは、生体内を常に酸化による劣化の脅威に曝すこととなり、酸化反応に伴う各種疾患や、老化を促進させる等の問題を生じさせることとなる。
【0003】
生体成分を酸化させる要因として、近年、活性酸素が注目されており、生体内に存在する活性酸素の健康への影響が問題視されてきている。
活性酸素は、動物の生体内において様々な反応を惹き起こす(例えば、食細胞の殺菌機構にとって必須で、ウイルスや癌細胞の除去に重要な働きを果たしている)が、その過剰な生成は生体内の膜や組織を構成する生体内分子を攻撃し、各種細胞死,ガン,動脈硬化などの種々の疾患の原因となる他、老化促進の一因にもなると言われている。
活性酸素は、酸素呼吸する生体内のあらゆる部位で必ず産生されるものであるが、紫外線,重金属等の外来刺激や、(上述の塩素消毒された)水道水,(活性酸素の一種である過酸化脂質を含む)食用油等の飲食物の形によって、生体外部から生体内に取りこまれる。
【0004】
生体成分を酸化させる活性酸素は、抗酸化力評価の指標となる(ヒドロキシラジカル等の活性酸素を消去する力をもって、抗酸化力が評価されている)ので、抗老化剤等の研究対象の一つに活性酸素を消去する物質の探索が進められている。
活性酸素は、スーパーオキサイドアニオン(O)、過酸化水素、ヒドロキシラジカル(OH・)、一重項励起種()など種々の形態をとるが、生体内において、酸素を基に最初に生成されるラジカルはスーパーオキサイドであり、ヒドロキシラジカル(最も組織傷害性の高いとされる)等、他のラジカルはスーパーオキサイドを経て生成される。
細胞内のスーパーオキサイドは、細胞内で産生されたスーパーオキサイドジスムターゼ(以下「SOD」と略)によって過酸化水素に変換されるが、SOD量は加齢に伴って減少し、SOD量の減少によってスーパーオキサイドの細胞内濃度が上昇し、スーパーオキサイドが生体に対して障害(関節リウマチやベーチェット病などの組織障害、心筋梗塞、脳卒中、白内障、糖尿病、動脈硬化、肩こり、冷え性等の障害)を及ぼすようになる。
即ち、活性酸素は生体内でSOD等の酵素の働きで除去或いは解毒されるが、老化と共に体内のSOD活性が低下し、活性酸素が原因となる種々の疾患の可能性が高くなる。
その為、活性酸素の消去能の評価は、一般的に、SOD活性の測定により行われ、活性の強いものが抗酸化、或いは抗老化の素材として提案されている。
【0005】
このような障害を予防又は治療するSOD様作用剤として、SOD量の減少を補うために、オウゴンからの抽出物(特許文献1)、バラ科植物である棘梨の果汁等に含まれているSOD様物質(特許文献2)や、デンプン加水分解物,ポリデキストロース等,グルコースを構成糖とする水溶性多糖類を柿渋に混合したのち噴霧乾燥等の方法により加熱乾燥して得られる無臭の柿渋組成物からなるSOD様物質(特許文献3)、マンネンタケ属に属するキノコの抽出物を含有するSODの活性促進効果を有する食品(特許文献4)等の他、SODを含有する食品(特許文献5)等も報告されている。
しかしながら、SOD活性に基づいて評価された(抗酸化や抗老化を謳う)従来の健康食品では、活性酸素に起因する種々の病態や老化等を緩和するには不十分であった。
加えて、過酸化水素,ヒドロキシラジカル等の活性酸素種は、連鎖的な酸化反応に関与するが、これらを個別に消去したとしても、生体内の一連の過酸化反応を防止するには不十分である等の問題があった。
その為、活性酸素に起因する各種疾患や老化を緩和するのに十分な効果を発揮し、身体を健やかに保つことのできる新たな食品の開発が要望されていた。
【0006】
【特許文献1】特開昭64−50877号公報
【特許文献2】特開平03−83548号公報
【特許文献3】特開2000−290190号公報
【特許文献4】特開2002−173441号公報
【特許文献5】特開平10−28552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
物質の酸化に関わるヒドロキシラジカル等の活性酸素を消去する力をもって評価する方法(SOD活性に基づいて評価する方法)に基づいて、スクリーニングされた従前の(抗酸化や抗老化を謳う)健康食品では、活性酸素に起因する各種疾患や老化を緩和するには不十分な点があった。
そこで本発明の目的は、活性酸素に起因する各種疾患や老化を緩和するのに十分な効果を発揮し、身体を健やかに保つことのできる食品(飲料を含む)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、従来の抗酸化力測定法とは全く異なる方法として(従来のラジカル主体のSOD様作用を指標としたスクリーニングではなく)、酸化還元電位に着目して(酸化還元電位を指標にしたスクリーニングを行い)、鋭意研究した結果、「スベリヒユ、半醗酵茶、紅景天、厚朴、ウイキョウ、陳皮、タイソウ、ヨクイニン、クコ、シンイの各植物エキス、平均分子量が千〜1万の範囲にあるアルギン酸塩オリゴ糖、又はペクチンオリゴ糖」からなる群より選択される何れか一種以上を有効成分とし、該有効成分がpH4.5以上pH11.0以下の範囲において200mV以下の酸化還元電位を有することを特徴とする食品が、活性酸素に起因する各種疾患や老化を緩和することを見出した(即ち、食品中に含まれるアルギン酸塩オリゴ糖等が、食品の酸化電位を下げることを見出した)為、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、請求項1に係る発明は、下記の(A)に列挙される植物のエキス及び(B)の物質からなる群より選択される何れか一種以上を有効成分とし、該有効成分がpH4.5以上pH11.0以下の範囲において、200mV以下の酸化還元電位を有することを特徴とする食品に関する。
(A)スベリヒユ、半醗酵茶、紅景天、厚朴、ウイキョウ、陳皮、タイソウ、ヨクイニン、クコ、シンイ
(B)平均分子量が千〜1万の範囲にあるアルギン酸塩オリゴ糖、又はペクチンオリゴ糖
請求項2に係る発明は、前記(B)の平均分子量千〜1万の範囲にあるアルギン酸塩オリゴ糖、又はペクチンオリゴ糖が、アルギン酸ナトリウムオリゴ糖、アルギン酸カリウムオリゴ糖、アルギン酸カルシウムオリゴ糖、ペクチンオリゴ糖、ペクチンオリゴ糖ナトリウム塩、ペクチンオリゴ糖カリウム塩、ペクチンオリゴ糖カルシウム塩からなる群より選択される何れか1つである請求項1に記載の食品に関する。
請求項3に係る発明は、前記有効成分の不揮発分の含有量が0.001〜5重量%である請求項1又は2に記載の食品に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる食品は「各植物エキス(スベリヒユ、半醗酵茶、紅景天、厚朴、ウイキョウ、陳皮、タイソウ、ヨクイニン、クコ、シンイの各エキス)」および「平均分子量が千〜1万の範囲にあるアルギン酸塩オリゴ糖、又はペクチンオリゴ糖」からなる群より選択されるいずれか一種以上を有効成分とし、該有効成分が、pH4.5以上pH11.0以下の範囲において、200mV以下の酸化還元電位を有するので、酸化作用を軽減させ、活性酸素に起因する各種疾患や老化促進を緩和するのに十分な効果を発揮することができ、結果として、身体を健やかに保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明にかかる食品である「下記の(A)に列挙される植物のエキス及び(B)の物質からなる群より選択される何れか一種以上を有効成分とし、該有効成分がpH4.5以上pH11.0以下の範囲において、200mV以下の酸化還元電位を有することを特徴とする食品」の実施形態について、以下に詳説する。
(A)スベリヒユ、半醗酵茶、紅景天、厚朴、ウイキョウ、陳皮、タイソウ、ヨクイニン、クコ、シンイ
(B)平均分子量が千〜1万の範囲にあるアルギン酸塩オリゴ糖、又はペクチンオリゴ糖
【0012】
先ず、本発明にかかる食品の有効成分となる上記(A)に列挙された各植物のエキス(抽出物)について、スベリヒユ・半醗酵茶〔ウーロン茶、プーアル茶〕・紅景天・厚朴・ウイキョウ・陳皮・タイソウ・ヨクイニン・クコ・シンイの順に説明する。
尚、上記(A)に列挙された各植物について、特に説明がない限り、植物エキスとは、植物の各部位を常温、又は加温下にて抽出するか、若しくはソックスレー抽出器等の抽出器具を用いて抽出することにより得られる各種溶媒抽出液、その希釈液、その濃縮液又はその乾燥末を意味する。
【0013】
〔スベリヒユ〕
本発明での「スベリヒユ」(別名イハイズルまたはトンボグサ)とは、スベリヒユ科スベリヒユ属の学名Portulaca oleracea L.を意味するが、当該属に属する類縁植物を用いることもできる。スベリヒユは、多肉質で茎が赤褐色を呈する1年生の草花植物であり、畑地や路傍の日当りの良いところに広く分布していて入手の容易なものである。
本発明の食品に於いて、スベリヒユは全草を使用するのが好ましい。
【0014】
〔半醗酵茶〕
茶(Thae sinensis)とは、一般の製造方法等により、不醗酵茶(緑茶)、半醗酵茶(ウーロン茶)、醗酵茶(紅茶)の3種類に分けることができる。
これらは何れもツバキ科ツバキ属の茶樹(学名:Camellia sinensis)の葉を原料とするものであるが、茶葉に含まれる酸化酵素(ポリフェノールオキシダーゼ)を加熱により失活させて製造される通常の緑茶を不醗酵茶、製造の最終段階まで加熱せず、酵素作用を十分利用して製造される通常の紅茶を醗酵茶、不醗酵茶と醗酵茶の中間の製法により製造されるウーロン茶などを半醗酵茶と呼ぶ。
本発明での「半醗酵茶」とは、「ウーロン茶」や「プーアル茶」を示す。
ここで、「プーアル茶」とは、加熱によって酸化醗酵を止めた緑茶を、高温多湿の場所に置き、コウジカビで半年から2年醗酵させて作る黒茶の代表的な茶である。
【0015】
〔紅景天〕
本発明での「紅景天」とは、ベンケイソウ科紅景天属植物を意味するが、当該属に属する類縁植物を用いることもでき、その種類や産地は特に限定されない。
前記紅景天属植物の産地としては、中華人民共和国のチベット、四川省、雲南省などが有名であるが、これらの紅景天属植物のうち、特に好ましいものとしては、大花紅景天(Rhodiola euryphylla)、茎地紅景天(全弁)(Rhodiola sacra)が挙げられる。
又、紅景天属植物抽出物の調製法も特に限定はされず、例えば、紅景天属植物の全草、或いは葉、茎、花弁、種子、根茎、根等のうち何れか1ヶ所以上を乾燥又は乾燥せずに裁断した後、低温もしくは常温〜加温下で溶剤により抽出することにより得られる。
尚、本発明で使用可能な紅景天属植物を例示すると、以下の通りである〔植物名(学名/産地)の順に例示〕。
喜冷紅景天(R.algida/青海、海北、海西)、唐古紅景天(R.algida var.Tangutica/青海、四川)、西川紅景天(R.alsia/四川)、小座紅景天(R.dumulosa/四川、甘粛)、大花紅景天(R.euryphylla/雲南西北、チベット)、長鞭紅景天(R.fastigiata/雲南西北、チベット)、長鱗紅景天(R.gilida/宇天山)、豌豆七紅景天(R.henryi/甘粛、河南、湖北、四川、貴州)、昇歯紅景天(R.heterodonta/新彊、チベット)、狭葉紅景天(R.kirillowii/河北、山西、雲南、四川、チベット)、四烈紅景天(R.quadrifida/甘粛、青海、新彊、四川、チベット)、庫頁紅景天(R.sachalinensis/黒龍江、吉林)、茎地紅景天(全弁)(R.sacra/雲南西北部、チベット東南)、粗造紅景天(R.scabrida/四川西部、雲南西北部)、粗茎紅景天(R.wallichiana/雲南西北部、チベット東南)、大株粗茎紅景天(R.wallichiana var. cholaensis/青海、雲南西北部)、雲南紅景天(R.yunnanensis/湖北西部)
【0016】
〔厚朴〕
本発明での「厚朴(コウボク)」とは、モクレン科(Magnoliaceae)モクレン属(Magnolia)植物のホオノキ(ワコウボク)(Magnolia obovata Thunb.)、センボク、コホクコウボク、カラホオ(Magnolia officinalis Rehd. et Wils.)、ウンボク、ウンシュウコウボク(Magnolia officinalis Rehd. et Wils. var. biloba Rehd. etWils.)等、一般に「コウボク」と呼ばれている植物全部の花、花穂、果皮、果実、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根茎、根皮、根、種子又は全草を用いることができるが、樹皮を用いるのが好ましい。
その他、同属種を用いることもできる。又、コウボクの樹皮を乾燥させたものは、「コウボク」と呼ばれる生薬の一種であり、かかる生薬を用いることもできる。
【0017】
〔ウイキョウ〕
本発明での「ウイキョウ(茴香)」とは、セリ科(Umbelliferae)に属する多年草で、葉,茎,根,花,果実等の各部位及び全草を用いることができるが、果実を用いることが好ましい。ウイキョウの果実を乾燥させたものは、「ウイキョウ」と呼ばれる生薬の一種であり、かかる生薬を用いることもできる。
【0018】
〔陳皮〕
本発明での「陳皮(チンピ)」とは、ミカン科(Rutaceae)ミカン属(Citrus)の植物:ウンシュウミカン(Citrus unshiu Marcov.)又はその他近縁植物の成熟果皮を乾燥させた生薬である。陳皮は、そのまま若しくは粉砕して用いる。又、溶媒を用いて抽出した陳皮抽出物を用いることもできる。陳皮抽出物は抽出溶媒に浸漬することにより得られる。浸漬時、抽出効率を上げるため撹拌を行ったり、抽出溶媒中でホモジナイズしてもよい。抽出温度としては、5℃程度から抽出溶媒の沸点以下の温度とするのが適切である。抽出時間は抽出溶媒の種類や抽出温度によっても異なるが、4時間〜2週間程度とするのが適切である。
【0019】
〔タイソウ〕
本発明での「タイソウ(大棗)」とは、ナツメ(Zizyphus jujuba Miller var.inermis Rehder)またはその近緑植物の果実であり、ナツメは、南欧の原産で、日本各地に栽培される落葉小喬木である。そのエキス(Jujube Extract)としては、エタノール、精製水、或いは水/エタノールの混合溶媒、などで抽出されるエキスが好適に使用できる。
【0020】
〔ヨクイニン〕
本発明に於ける「ヨクイニン」とは、イネ科ジュズダマ属のハトムギ(Coix lacryma-jobi L.var.ma-yuen Stapf)の種皮を除いた種子(詳細には、種皮を除いた成熟種子を乾燥させたもの)等を指す。ここで、ハトムギとは、中国、インドシナ原産で日本に古くから渡来し、西南部の暖地で栽培される一年草のことで、鎮痛、消炎、排膿などの薬効を有する生薬として用いられてきたが、それらの産地は特に限定されるものではない。
本発明に用いられるヨクイニンのエキス(抽出物)は、イネ科ジュズダマ属のハトムギの種皮を除いた種子(生薬名・ヨクイニン)から適当な溶媒を用いて抽出して得ることができる(例えば、ハトムギの種皮を除いた種子を、水、エタノール、或いは水/エタノールの混合溶媒で温浸し、濾別して得ることができる。)。
【0021】
〔クコ〕
本発明に於いて「クコ(枸杞)」(学名:Lycium chinense)とは、川岸など水辺に自生する(開花期は夏〜初秋)中国原産のナス科の落葉低木を指す。
本発明に於けるクコのエキス(抽出物)には、(クコの)果実、根皮、葉,茎,根,花等の各部位及び全草の何れを用いてもよいが、果実、根皮、葉が好ましい。
クコの果実・根皮・葉は、それぞれ枸杞子(くこし)・地骨皮(じこっぴ)・枸杞葉(くこよう)という生薬にされる。枸杞子には、血圧や血糖の低下作用、抗脂肪肝作用等が、地骨皮には、抗炎症作用、解熱作用等が、枸杞葉は、血圧の低下作用等がある。
尚、本発明のクコのエキスは、適当な溶媒を用いて抽出することができる。
【0022】
〔シンイ〕
本発明での「シンイ(辛夷)」(学名:Magnolia liliflora)とは、モクレン科モクレンの花蕾を乾燥したもの(より好ましくは、早春、開花前の膨らんだ毛の生えた蕾を採集し、軸を除き、風通しの良い日陰で十分乾燥させたもの)をいう。
尚、モクレン科モクレンの植物とは、タムシバ(Magnolia salicifolia Maximowicz)、コブシ(Magnolia kobus De Candolle)、又はその他近縁植物(Magnoliaceae)をいい、本発明のシンイ(モクレン科モクレンの花蕾を乾燥したもの)のエキスは、適当な溶媒を用いて抽出できる。
【0023】
本発明に於ける食品には、上記した各植物のエキスに加え、若しくは、それ単独として、(B)に示される「平均分子量が千〜1万の範囲にあるアルギン酸塩オリゴ糖及びその誘導体」を含有することができる。
但し、(A)に列挙される植物のエキスから選択される一種以上と、(B)の物質からなる群より選択される一種以上の双方を有効成分とするのが、活性酸素に起因する各種疾患や老化を緩和するのに十分な効果を発揮し、身体を健やかに保つのにより好ましい。
【0024】
〔アルギン酸塩オリゴ糖〕
本発明に於ける「アルギン酸塩オリゴ糖」としては、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸塩に、微生物の産生する多糖類分解酵素(アルギン酸リアーゼ)を作用させて得られたアルギン酸塩オリゴ糖を挙げることができる。
前記アルギン酸塩オリゴ糖の原料としては、例えば、コンブ、ワカメ等由来のアルギン酸カリウム又はアルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0025】
前記多糖類分解酵素(アルギン酸リアーゼ)を産生する微生物(例えば、アルギン酸ナトリウム分解菌)のスクリーニングは、例えば、次のように行うことが出来る。
1)採取直後の海洋生物類を滅菌水中で破砕し、上澄み液を高濃度の高分子アルギン酸ナトリウム培地の上に一滴滴下し、25℃で96時間培養する。
2)この滴下部分の培地が溶解した部位を採取し、新たに作成した低濃度高分子アルギン酸ナトリウム含有普通寒天培地に塗布してスクリーニングを行い、単一菌を分離する。
【0026】
〔ペクチンオリゴ糖〕
本発明に於ける「ペクチンオリゴ糖」としては、「ペクチン」に、微生物の産生する多糖類分解酵素(ペクチナーゼ)を作用させて得られたペクチンオリゴ糖を挙げることができる。
ペクチンには、プロトペクチン、ペクチニン酸、ペクチン酸などが例示できる。
「プロトペクチン」とは、植物組織中でセルロース、ヘミセルロース、リグニン、タンパク質等とペクチンとが結合した水に不溶な物質であり、酵素により可溶化し、ペクチニン酸になるものである。「ペクチニン酸」は狭義のペクチンとして知られており、D−ガラクツロン酸がα−1,4結合によって重合している鎖状分子のポリペクチン(ポリガラクツロン酸)で、その一部のカルボキシル基が部分的にメチルエステル化してメトキシル基になっている。従って、ペクチニン酸は、メトキシル基含有量の比較的少ない水溶性の物質である。又、「ペクチン酸」とは、D−ガラクツロン酸がα−1,4結合によって重合しているポリペクチンであり、即ち、これはメトキシル基を全く(又はほとんど)含まないペクチニン酸である。
【0027】
ペクチンの製法も特に限定されないが、通常、工業的製造で用いられているペクチンの製法で実施することができる。例えば、高温酸性液中でリンゴの絞りかす又はカンキツ類の皮に含まれているプロトペクチンを加水分解した後、圧縮、濾過する。得られた濾液を濃縮し、アルコールでペクチンを沈殿させ、洗浄後、乾燥、粉砕して粉末として取り出すことができる。得られたペクチンを酸または酵素、アンモニアで処理し、脱メチル化するとエステル化度の低い低メトキシルペクチンとなる(「新版食品工業総合事典」(食品工業学会編、光琳))。又、既にゲル化剤、安定剤、増粘剤等として市販されている食品添加物のペクチンを直接利用することもできる。
更に、上記のようにして得られるペクチンは、カルボキシル基が種々のアルカリ、例えば、ナトリウム、カルシウム、カリウム等との塩を形成しているものであってもよい。
【0028】
本発明に於いて、(B)に示される「平均分子量が千〜1万の範囲にあるアルギン酸塩オリゴ糖、又はペクチンオリゴ糖」としては、「アルギン酸ナトリウムオリゴ糖」、「アルギン酸カリウムオリゴ糖」、「アルギン酸カルシウムオリゴ糖」、「ペクチンオリゴ糖」、「ペクチンオリゴ糖ナトリウム塩」、「ペクチンオリゴ糖カリウム塩」、「ペクチンオリゴ糖カルシウム塩」のいずれか一種以上を用いるのが好ましい。
【0029】
上記した(A)に列挙される各植物のエキス及び(B)の物質からなる群より選択される何れか一種でも有効成分とし、該有効成分がpH4.5以上pH11.0以下の範囲において、200mV以下の酸化還元電位を有する食品は、本発明にかかる食品である。
以下に、pH4.5以上pH11.0以下の範囲において、200mV以下の酸化還元電位を有するエキス類等のスクリーニング方法について説明する。
【0030】
〔調製方法〕
各植物のエキス(スベリヒユ、半醗酵茶、紅景天、厚朴、ウイキョウ、陳皮、タイソウ、ヨクイニン、クコ、シンイの各エキス)の調製は、上記各植物エキスの欄においても説明したとおり、使用剤型などを考慮して臨機応変に調製することが出来る。
即ち、水単独、アルコールやグリコールなどの水溶性溶媒単独、あるいは水と水溶性溶媒の混合物で抽出することが出来る。
抽出された植物エキスのpHは用いた溶媒のpH、植物材料、酸・アルカリの使用にも左右される。
【0031】
本発明に使用する(上述した)各植物エキスの調製方法は、例えば、次のように行うことが出来る。
1)乾燥植物5gにイオン交換水(酸化還元電位300mV)200gを加えて1時間煮沸した後室温まで冷却し濾過して植物エキスを得る。
2)このようにして得られた植物エキスのpHは4.5〜7.5の範囲になる。
【0032】
酸化還元電位の測定は、弱酸性、中性、アルカリ性のpHで行い、pH変化による酸化還元電位の変化を測定するため、抽出エキスが弱酸性の場合はpH無調整とし、中性・アルカリ性のpH調整は炭酸ナトリウムによりpH7±0.5、pH10に調整する。
このようにエキスを酸化還元電位計(佐藤商事社製)にて測定し、200mV以下の電位を示すエキスが還元性を有すると判定する。
より好適には、エキスのpHが5.5〜8.0の範囲で、200mV以下の酸化還元電位を有するエキス類をスクリーニングし、有効とする。
【0033】
(A)に列挙される各植物のエキスおよび(B)の物質からなる群より選択されるいずれか一種以上を有効成分とする食品は、上述の如く、pH4.5以上pH11.0以下の範囲において、200mV以下の酸化還元電位とするので、活性酸素に起因する各種疾患や老化を緩和するのに十分な効果を発揮し、身体を健やかに保つ食品として有効に使用することができる(即ち、前記有効成分を含有する食品は、pH4.5以上pH11.0以下の範囲において、200mV以下の酸化還元電位を有するので、酸化作用を軽減させ、活性酸素に起因する各種疾患や老化促進を緩和するのに十分な効果を発揮することができ、結果として、身体を健やかに保つことができる)。
【0034】
(A)に列挙される各植物のエキスおよび(B)の物質からなる群の中でも、スベリヒユエキス、プーアル茶エキス、厚朴エキス、ヨクイニンエキス、クコエキス、シンイエキス、平均分子量千〜1万のアルギン酸塩オリゴ糖は、活性酸素に起因する各種疾患や老化を緩和するのに十分な効果を発揮し、身体を健やかに保つのに、特に有効である。
【0035】
〔含有量〕
本発明の食品に含有されている「スベリヒユ、半醗酵茶(プーアル茶、ウーロン茶)、紅景天、厚朴、ウイキョウ、陳皮、タイソウ、ヨクイニン、クコ、シンイ、平均分子量が千〜1万の範囲にあるアルギン酸塩オリゴ糖及びその誘導体の中から選ばれる一種又は二種以上のエキス類」の不揮発分は、食品中に於いては、0.001〜5質量%配合するのが好ましく、さらに0.005〜2質量%配合するのが好ましい。
その理由は、0.001質量%未満では、本発明の効果(活性酸素に起因する各種疾患や老化を緩和するのに十分な効果を発揮し、身体を健やかに保つ)を十分に発揮することができず、5質量%以上配合しても好ましい範囲の効果に比較して期待されるほどの効果は得られない為、いずれの場合も好ましくないからである。
【0036】
本発明の食品は、上記の有効成分〔各植物エキス(スベリヒユ、半醗酵茶、紅景天、厚朴、ウイキョウ、陳皮、タイソウ、ヨクイニン、クコ、シンイの各エキス)および平均分子量が千〜1万の範囲にあるアルギン酸塩オリゴ糖、又はペクチンオリゴ糖〕と共に薬学的に許容される製剤担体を用いて、食品として従来から公知の形態とすることができる。
これらの食品の製造方法は、(A)に列挙される各植物のエキス及び(B)の物質からなる群より選択される何れか一種以上を有効成分とし、pH4.5以上pH11.0以下の範囲において、200mV以下の酸化還元電位という所期の構成が得られるものであれば特に限定されず、各用途で当業者によって使用されている方法に従えばよい。
【0037】
本発明の食品としては、例えば、健康食品、栄養補助食品(バランス栄養食、サプリメント等)、栄養機能食品、特定保健用食品、病者用食品、口腔ケア用食品等があげられる。又、本発明の上記有効成分は、通常の手段を用いてジュース、飴、ガム、アイスクリーム等の通常の食品に含有させれば良く、食品の味覚等を損なわない範囲で含有させることができる。
【0038】
本発明の食品は、各植物エキス(スベリヒユ、半醗酵茶、紅景天、厚朴、ウイキョウ、陳皮、タイソウ、ヨクイニン、クコ、シンイの各エキス)および平均分子量が千〜1万の範囲にあるアルギン酸塩オリゴ糖、又はペクチンオリゴ糖からなる群から選択されるいずれか一種以上を有効成分とし、該有効成分は、pH4.5以上pH11.0以下の範囲において、200mV以下の酸化還元電位を有するので、このような還元電位を付与された食品を日常的に摂取することにより、生体内の酸化作用を軽減することができ、体への負担を軽減されることができる。その結果、活性酸素に起因する各種疾患や老化を緩和するのに十分な効果を発揮し、身体を健やかに保つことができる。
【実施例】
【0039】
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0040】
平均分子量約千〜1万のアルギン酸塩オリゴ糖液は次のように調製した。
〔アルギン酸ナトリウム分解菌のスクリーニング〕
1)採取直後の海洋生物類を滅菌水中で破砕し、上澄み液を高濃度の高分子アルギン酸ナトリウム培地の上に一滴滴下し、25℃で96時間培養した。
2)この滴下部分の培地が溶解した部位を採取し、新たに作成した低濃度の高分子アルギン酸ナトリウム含有普通寒天培地に塗布してスクリーニングを行い、単一菌を分離した。
【0041】
〔高分子アルギン酸ナトリウムの分解〕
3質量%濃度の高分子アルギン酸ナトリウム水溶液200gに、上述のスクリーニングされた菌を一白金耳で加え、25℃で48時間振とう培養した。
その後、濾過滅菌して、低粘度の培養濾液を得た。水系GPCで分子量を測定したところ、平均分子量が約1700のアルギン酸ナトリウムオリゴ糖であった。
【0042】
上で得られた平均分子量が約1700のアルギン酸ナトリウムオリゴ糖(「当該アルギン酸ナトリウムオリゴ糖」と表記)の物性を、使用原料となった「高分子アルギン酸ナトリウム」、比較対照としてのアルギン酸ナトリウムオリゴ糖(「比較当該アルギン酸ナトリウムオリゴ糖」と表記)(CODIF社製)、並びに「水」とともに測定した。
結果を〔表1〕に示すが、「当該アルギン酸ナトリウムオリゴ糖」は「比較当該アルギン酸ナトリウムオリゴ糖」と比して、格段に低粘度であることが判明した。
尚、〔表1〕における粘度(mPa・S)測定条件は、25℃、試料濃度1%で、B型粘度計を用いて行った。
【0043】
【表1】

【0044】
次に、25℃の条件下で、上で得られた1%アルギン酸ナトリウムオリゴ糖の各種濃度(20、40、60、80、100%)のエタノール水溶液への溶解性を、比較アルギン酸ナトリウムオリゴ糖(CODIF社製)とともに、検討した。
結果を〔表2〕に示すが、「当該アルギン酸ナトリウムオリゴ糖」は「比較当該アルギン酸ナトリウムオリゴ糖」と比して、各種濃度(特に、20、40、60%)のエタノール水溶液への溶解性が高いことが判明した。
【0045】
【表2】

【0046】
〔酸化還元電位の測定〕
各試料(水道水、イオン交換水、0.1%アルギン酸ナトリウムオリゴ糖、2.0%アルギン酸ナトリウムオリゴ糖)に関し、弱酸性(pH5±0.5)、中性(pH7±0.5)、アルカリ性(pH10)のpHで、酸化還元電位計(佐藤商事社製)にて測定した。
結果を〔表3〕に示すが、酸化還元電位計での測定結果より、200mV以下の電位を示す試料が還元性を有すると判定した。より好適には、試料のpHが5.5〜8.0の範囲で、200mV以下の酸化還元電位を有するものを有効とした。
【0047】
【表3】

【0048】
〔試料の調製〕
本発明にかかる食品として、実施例1〜3、5の試料は、(A)に列挙される各植物の内、「スベリヒユ、タイソウ、ヨクイニン、クコ」から、夫々の乾燥植物5gにイオン交換水(酸化還元電位300mV)200gを加えて1時間煮沸した後室温まで冷却し濾過することによりエキスを得た。実施例4の試料は、(B)アルギン酸塩オリゴ糖として、上で得られた平均分子量が約1700のアルギン酸ナトリウムオリゴ糖を5%ブドウ糖水溶液に溶解させることによって得た。
これらのエキスの酸化還元電位を測定した。結果を〔表4〕に示す。
【0049】
【表4】

【0050】
表4の結果より、本発明の食品(実施例1〜6)は、所望の酸化還元電位を有するので、酸化作用を軽減させ、活性酸素に起因する各種疾患や老化を緩和するのに十分な効果を発揮することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)に列挙される植物のエキス及び(B)の物質からなる群より選択される何れか一種以上を有効成分とし、該有効成分がpH4.5以上pH11.0以下の範囲において200mV以下の酸化還元電位を有することを特徴とする食品。
(A)スベリヒユ、半醗酵茶、紅景天、厚朴、ウイキョウ、陳皮、タイソウ、ヨクイニン、クコ、シンイ
(B)平均分子量が千〜1万の範囲にあるアルギン酸塩オリゴ糖、又はペクチンオリゴ糖
【請求項2】
前記(B)の平均分子量千〜1万の範囲にあるアルギン酸塩オリゴ糖、又はペクチンオリゴ糖が、アルギン酸ナトリウムオリゴ糖、アルギン酸カリウムオリゴ糖、アルギン酸カルシウムオリゴ糖、ペクチンオリゴ糖、ペクチンオリゴ糖ナトリウム塩、ペクチンオリゴ糖カリウム塩、ペクチンオリゴ糖カルシウム塩からなる群より選択される何れか1つである請求項1に記載の食品。
【請求項3】
前記有効成分の不揮発分の含有量が0.001〜5重量%である請求項1又は2に記載の食品。

【公開番号】特開2007−319124(P2007−319124A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−155190(P2006−155190)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(505432636)日本タブレット株式会社 (8)
【Fターム(参考)】