説明

像担持体の駆動力伝達機構、それを備える画像形成装置、及び像担持体の駆動力伝達方法

【課題】数十Hz〜300Hz程度である中域の周波数レンジのバンディング、及び数Hz〜十数Hz程度である低域の周波数レンジの回転ムラによって生ずる色ムラを軽減することが可能な像担持体の駆動力伝達機構を提供する。
【解決手段】感光体ドラム51の回転軸と同軸上に配置されたドラム駆動ギア46と、ドラム駆動ギア46と感光体ドラム51の両方に係合するカップリングディスク48と、カップリングディスク48の回転情報を検出するエンコーダヘッド62とを備える感光体ドラム51の駆動力伝達機構であって、ドラム駆動ギア46とカップリングディスク48は粘弾性体47を介して係合しており、エンコーダヘッド62によって検出された回転情報に基づいて、感光体ドラム51の回転を制御する制御回路64が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等に採用される電子写真画像形成プロセスにおける像担持体の駆動力伝達機構、それを備える画像形成装置、及び像担持体の駆動力伝達方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真画像形成プロセスを用いた画像形成装置では、回転する像担持体の表面に静電潜像を形成し、形成された静電潜像を現像剤像として現像し、この現像剤像をシート材上に転写して画像を得ている。
【0003】
しかし何らかの影響によって、回転駆動する像担持体に回転速度変動(以下、速度変動と称する)が発生すると、画像に帯状の画像ブレ(バンディング)が生じ、画像品質を低下させてしまう。
【0004】
これは、像担持体に速度変動が生じると、それが露光光によって像担持体の表面を走査する際の副走査方向への速度変動につながり、その結果、像担持体の表面に対する露光光の書き込みラインの間隔にズレが生じてしまうことに起因する。
【0005】
なお、像担持体に生じる速度変動は、モータ等の駆動源の1回転周期の速度変動、駆動力を伝達するギアの1回転周期の速度変動、及び当該ギアの噛合い1歯成分の速度変動、が主な要因となっている。
【0006】
これに対して、像担持体と駆動歯車とを弾性体や粘弾性体などの低剛性の部材を介して係合させ、駆動源や駆動歯車で生じる速度変動を像担持体に伝えないようにする構成が特許文献1に開示されている。
【0007】
このように、像担持体と駆動歯車とを弾性体や粘弾性体などの低剛性の部材を介して係合させることによって、上記で挙げた主な要因によって生じる数Hz〜300Hz(回転周波数成分)程度の画像上のバンディングを軽減することが可能となる。
【特許文献1】特開平7−210031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、像担持体へ駆動力を伝達するにあたり上記従来の駆動力伝達機構、または駆動力伝達方法を用いた場合は、以下に示す問題を生じる。
【0009】
一般的に、電子写真画像形成プロセスでは、シート材上に画像が形成されるまでに像担持体に対して数々の工程が実行される。
【0010】
具体的には、像担持体の表面を均一に帯電する帯電工程、半導体レーザー等の露光光により像担持体の表面上に静電潜像を書き込む露光工程、形成された静電潜像に現像剤を供給し、静電潜像を現像剤像として顕像化する現像工程が挙げられる。
【0011】
また、上記工程に加え、像担持体の表面上に顕像化した現像剤像をシート材や中間転写体上に転写する転写工程、像担持体の表面に残留した現像剤を像担持体の表面から除去するクリーニング工程も実行される。
【0012】
一方で、これらの工程が実行される際に、像担持体には回転負荷が生じる。像担持体に回転負荷が生じる要因として、例えば、帯電工程において像担持体の表面に帯電部材(帯電ローラ)が接触することによる回転負荷、現像工程において像担持体の表面に現像部材(現像ローラ)が接触することによる回転負荷が挙げられる。
【0013】
この他にも、転写工程において転写部材(転写ローラ)、あるいはシート材や中間転写体が像担持体の表面に接触することよる回転負荷、クリーニング工程においてクリーニング部材が像担持体の表面に接触することによる回転負荷なども挙げられる。
【0014】
そしてこれらの要因によって生じる像担持体の回転負荷は、画像形成時中あるいは経時的に安定しているものではない。
【0015】
そのため従来のように、像担持体と駆動歯車とを弾性体や粘弾性体などの低剛性の部材を介して係合させる場合、不安定な回転負荷に起因して、これら低剛性の部材が圧縮・伸張を繰り返して振動し、結果的に像担持体に低周期の回転ムラが生じてしまう。
【0016】
なお、この低周期の回転ムラの回転周波数は、低剛性部材の材質の特性によるものであるが数Hz〜十数Hz程度であることがわかっている。
【0017】
さらに現像剤の色毎に設けられた複数の像担持体を用い、中間転写体やシート材に各々の像担持体から現像剤像を重ね合わせて所望の画像を得る方式のカラー画像形成装置では、以下の課題を生じる。
【0018】
すなわち複数の像担持体によって電子写真画像形成プロセスを行う場合、各々の像担持体の回転負荷が異なるため、像担持体に生じる低周期の回転ムラの回転周波数やその回転位相は、各々の像担持体ごとに異なることになる。
【0019】
像担持体に生じるこの低周期の回転ムラは、細かい帯状の画像ブレ(バンディング)を画像上に生じさせる程のものではないが、単色でのハーフトーン画像などの副走査方向の広い領域に一定濃度の画像を形成する場合、画像上に周期的な濃度ムラを生じてしまう。
【0020】
さらに中間転写体やシート材上に単色の濃度ムラが重ね合わされることにより、結果的にそれが色ムラとして現れ、カラー画像の画像品質を低下させてしまうという問題を生じる。
【0021】
すなわち従来の像担持体の駆動力伝達機構では、像担持体と駆動歯車とを弾性体や粘弾性体などの低剛性の部材を介して係合させることによって、数Hz〜300Hz程度である中域の周波数レンジのバンディングを軽減することが可能であった。
【0022】
しかし、像担持体の回転負荷の変動に起因する、数Hz〜十数Hz程度の低域の周波数レンジの回転ムラの発生を抑制することは困難であり、よって、回転ムラの発生によって生じる色ムラを軽減することができない。
【0023】
そこで本発明は、数十Hz〜300Hz程度である中域の周波数レンジのバンディング、及び数Hz〜十数Hz程度である低域の周波数レンジの回転ムラによって生ずる色ムラを軽減することが可能な像担持体の駆動力伝達機構、それを備える画像形成装置、及び像担持体の駆動力伝達方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するために本願発明に係る像担持体の駆動力伝達機構は、
像担持体の回転軸と同軸上に配置された駆動ギアと、
前記駆動ギアと前記像担持体の両方に係合し、前記駆動ギアから前記像担持体に駆動力を伝達するカップリング部材と、
前記カップリング部材の回転情報を検出する検出器と、
を備え、
駆動源からの駆動力を前記駆動ギアから前記カップリング部材を介して前記像担持体に伝達する像担持体の駆動力伝達機構であって、
前記駆動ギアと前記カップリング部材は粘弾性体を介して係合しており、
前記検出器によって検出された前記回転情報に基づいて、前記像担持体の回転を制御する制御手段が設けられていることを特徴とする。
【0025】
また、
像担持体の回転軸と同軸上に配置された駆動ギアと、
前記駆動ギアと前記像担持体の両方に係合し、前記駆動ギアから前記像担持体に駆動力を伝達するカップリング部材と、
前記像担持体の回転情報を検出する検出器と、
を備え、
駆動源からの駆動力を前記駆動ギアから前記カップリング部材を介して前記像担持体に伝達する像担持体の駆動力伝達機構であって、
前記カップリング部材と前記像担持体は粘弾性体を介して係合しており、
前記検出器によって検出された前記回転情報に基づいて、前記像担持体の回転を制御する制御手段が設けられていることを特徴とする。
【0026】
また、
像担持体の回転軸と同軸上に配置された駆動ギアと、
前記駆動ギアと前記像担持体の両方に係合し、前記駆動ギアから前記像担持体に駆動力を伝達するカップリング部材と、
前記像担持体の回転情報を検出する検出器と、
を備え、
駆動源からの駆動力を前記駆動ギアから前記カップリング部材を介して前記像担持体に伝達する像担持体の駆動力伝達機構であって、
前記駆動ギアと前記カップリング部材は粘弾性体を介して係合しており、
前記検出器によって検出された前記回転情報に基づいて、前記像担持体の回転を制御する制御手段が設けられていることを特徴とする。
【0027】
また、本願発明に係る画像形成装置は、
回転駆動する像担持体と、
前記像担持体の表面を帯電する帯電部材と、
前記像担持体の表面を露光して静電潜像を形成する露光部材と、
前記静電潜像に現像剤を供給して前記静電潜像を現像剤像として現像する現像部材と、
前記現像剤像をシート材上に転写する転写部材と、
上記の像担持体の駆動力伝達機構と、
を備えることを特徴とする。
【0028】
また、本願発明に係る像担持体の駆動力伝達方法は、
像担持体の回転軸と同軸上に配置された駆動ギアと、
前記駆動ギアと前記像担持体の両方に係合し、前記駆動ギアから前記像担持体に駆動力を伝達するカップリング部材と、
前記カップリング部材の回転情報を検出する検出器と、
を備え、
駆動源からの駆動力を前記駆動ギアから前記カップリング部材を介して前記像担持体に伝達する像担持体の駆動力伝達方法であって、
前記駆動ギアと前記カップリング部材を粘弾性体を介して係合させて前記像担持体に駆動力を伝達した後に、
前記検出器によって前記カップリング部材の回転情報を検出し、
検出された前記回転情報に基づいて前記像担持体の回転変動量を補正するように前記像担持体の回転を制御するフィードバック制御を行うことを特徴とする。
【0029】
また、
像担持体の回転軸と同軸上に配置された駆動ギアと、
前記駆動ギアと前記像担持体の両方に係合し、前記駆動ギアから前記像担持体に駆動力を伝達するカップリング部材と、
前記像担持体の回転情報を検出する検出器と、
を備え、
駆動源からの駆動力を前記駆動ギアから前記カップリング部材を介して前記像担持体に伝達する像担持体の駆動力伝達方法であって、
前記カップリング部材と前記像担持体を粘弾性体を介して係合させて前記像担持体に駆動力を伝達した後に、
前記検出器によって前記像担持体の回転情報を検出し、
検出された前記回転情報に基づいて前記像担持体の回転変動量を補正するように前記像担持体の回転を制御するフィードバック制御を行うことを特徴とする。
【0030】
また、
像担持体の回転軸と同軸上に配置された駆動ギアと、
前記駆動ギアと前記像担持体の両方に係合し、前記駆動ギアから前記像担持体に駆動力を伝達するカップリング部材と、
前記像担持体の回転情報を検出する検出器と、
を備え、
駆動源からの駆動力を前記駆動ギアから前記カップリング部材を介して前記像担持体に伝達する像担持体の駆動力伝達方法であって、
前記駆動ギアと前記カップリング部材を粘弾性体を介して係合させて前記像担持体に駆動力を伝達した後に、
前記検出器によって前記像担持体の回転情報を検出し、
検出された前記回転情報に基づいて前記像担持体の回転変動量を補正するように前記像担持体の回転を制御するフィードバック制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、数十Hz〜300Hz程度である中域の周波数レンジのバンディング、及び数Hz〜十数Hz程度である低域の周波数レンジの回転ムラによって生ずる色ムラを軽減することが可能な像担持体の駆動力伝達機構、それを備える画像形成装置、及び像担持体の駆動力伝達方法を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施の形態に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0033】
[第1の実施の形態]
図1〜図4を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る像担持体の駆動力伝達機構、それを備える画像形成装置、及び像担持体の駆動力伝達方法について説明する。
【0034】
(画像形成装置の全体構成)
まず図1を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置の全体構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【0035】
本実施の形態に係る画像形成装置は、電子写真画像形成プロセスによってシート材上に画像を形成するカラーレーザープリンタである。
【0036】
プリンタ本体11は水平方向に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色毎に対応した4個の像担持体としての感光体ドラム1(1Y、1M、1C、1K)を備えている。
【0037】
感光体ドラム1(1Y、1M、1C、1K)は、後に説明する駆動力伝達機構を介して不図示のモータ(駆動源)から駆動力が伝達されることで、図1中時計回りに回転駆動する。
【0038】
感光体ドラム1(1Y、1M、1C、1K)の周囲には、その回転方向に従って順に、帯電部材としての帯電ローラ2(2Y、2M、2C、2K)、露光部材としてのスキャナユニット3(3Y、3M、3C、3K)が配置されている。
【0039】
さらに、現像部材としての現像ローラ4(4Y、4M、4C、4K)、転写部材としての1次転写ローラ5(5Y、5M、5C、5K)、クリーニング装置6(6Y、6M、6C、6K)が配置されている。
【0040】
帯電ローラ2(2Y、2M、2C、2K)は、感光体ドラム1(1Y、1M、1C、1K)の表面を所定の極性に均一に帯電するものである。
【0041】
また、スキャナユニット3(3Y、3M、3C、3K)は、各色の画像情報に基づいて半導体レーザー(露光光)を走査することで、感光体ドラム1(1Y、1M、1C、1K)の表面上に静電潜像を形成するものである。
【0042】
また、現像ローラ4(4Y、4M、4C、4K)は、静電潜像にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー(現像剤)を供給し、静電潜像をトナー像(現像剤像)として現像するものである。
【0043】
また、1次転写ローラ5(5Y、5M、5C、5K)は、現像ローラ4により感光体ドラム1(1Y、1M、1C、1K)表面に形成されたトナー像を、図1中反時計回りに走行する中間転写ベルト(中間転写体)16上に転写するものである。
【0044】
また、クリーニング装置6(6Y、6M、6C、6K)は、中間転写ベルト16にトナー像を転写後の感光体ドラム1(1Y、1M、1C、1K)の表面に残留したトナーを除去するものである。
【0045】
次に画像形成動作について説明する。
【0046】
図1において、複数のシート材Sを積載収納する給紙カセット12は、プリンタ本体11に着脱自在に装着されている。
【0047】
画像形成開始の信号が入力されると、ピックアップローラ13が給紙カセット12上に載積されているシート材Sを給紙し始める。
【0048】
そしてピックアップローラ13により給紙カセット12から給送されたシート材Sは、リタードローラ対14により1枚ずつに分離され、さらに搬送方向下流に給送される。
【0049】
その後、分離給送されたシート材Sの先端は、レジストローラ対15に突き当たり、そこで一旦停止してループを形成することにより、シート材Sの斜行が矯正される。
【0050】
一方、各々のスキャナユニット3(3Y、3M、3C、3K)は、各色の画像情報に基づき、半導体レーザーによって感光体ドラム1の表面上を走査露光し、感光体ドラム1の表面上に静電潜像を形成する。
【0051】
感光体ドラム1の表面上の静電潜像に対しては、現像ローラ4(4Y、4M、4C、4K)からイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーが供給され、静電潜像がトナー像として現像される。
【0052】
その後、感光体ドラム1の表面上に現像されたトナー像は、1次転写ローラ5(5Y、5M、5C、5K)により図1において反時計回りに方向に走行する中間転写ベルト16上に重ねて転写される。これにより、中間転写ベルト16上には、所望の色調を有するカラー画像が形成される。
【0053】
そして、シート材Sがレジストローラ対14により所定のタイミングで2次転写ローラ17に給送され、2次転写ローラ17と中間転写ベルト16とのニップ部において、トナー像が中間転写ベルト16からシート材Sに転写される。
【0054】
トナー像が転写されたシート材Sは、その後定着器18に搬送され、定着器18内において加熱定着された後、排出ローラ対19により排出され、プリンタ本体11上の排紙トレイ20に積載される。
【0055】
(像担持体の駆動力伝達機構の概略構成)
図2〜図4を参照して、本実施の形態に係る像担持体の駆動力伝達機構について説明する。
【0056】
図2は本実施の形態に係る駆動力伝達機構の概略構成を示すものである。図3、図4は、本実施の形態に係る像担持体の駆動力伝達機構の分解図であり、図3は像担持体側から見た図、図4は駆動源側から見た図である。
【0057】
図2に示すように、本実施の形態に係る駆動力伝達機構は、駆動源としての感光体ドラム駆動モータ41(モータ)の回転駆動力(以下、駆動力と称する)を感光体ドラム51に伝達するものである。
【0058】
駆動力を感光体ドラム51に伝達する際は、まず、感光体ドラム駆動モータ41のモータ軸42に固定されたモータギア43から、減速ギア45を介して、減速ギア45に接続されているドラム駆動ギア46(駆動ギア)に駆動力が伝達される。
【0059】
ここで、ドラム駆動ギア46は感光体ドラム51と同軸上に配置されており、さらにドラム駆動ギア46内周において、ドラム駆動ギア46とカップリングディスク48(カップリング部材)とが、複数の粘弾性体47を介して係合している。
【0060】
また、この粘弾性体47は、ドラム駆動ギア46内周に沿って複数配置されている。なお、カップリングディスク48は、ドラム駆動ギア46の内周においてドラム駆動ギア46と同軸上に回転可能に配置されている。
【0061】
かかる構成によると、駆動力が感光体ドラム駆動モータ41からドラム駆動ギア46に伝達され、ドラム駆動ギア46が回転することでカップリングディスク48が回転駆動することになる。
【0062】
一方、感光体ドラム51の端部には、フランジ52が感光体ドラム51と一体に圧入固定されており、フランジ52には感光体ドラム51の回転中心を貫通し、感光体ドラム51と一体に回転するドラム軸53(回転軸)が設けられている。
【0063】
そしてドラム軸53のドラム駆動ギア46側の端部には、カップリングディスク48と係合するための凸カップリング54が設けられており、凸カップリング54がカップリングディスク48に一体に形成されている凹カップリング部48aに係合している。
【0064】
このように、カップリングディスク48がドラム駆動ギア46とドラム軸53の両方に係合することで、ドラム駆動ギア46の駆動力がカップリングディスク48に伝達し、さらにその駆動力が凹カップリング部48aから凸カップリング54に伝達する。
【0065】
そしてこのようにして伝達された駆動力により、感光体ドラム51が図2中矢印方向に回転駆動することになる。
【0066】
(粘弾性体の作用効果)
図3を参照して、上記で説明した粘弾性体47の作用効果について説明する。
【0067】
図3に示すように、ドラム駆動ギア46の内周に沿って複数の粘弾性体47が配置されていることで、ドラム駆動ギア46の回転方向の力が複数の粘弾性体47を介してカップリングディスク48に伝達することになる。
【0068】
また、ドラム駆動ギア46とカップリングディスク48との軸方向の位置はストッパー50によって規制されるようになっている。
【0069】
このようにドラム駆動ギア46とカップリングディスク48とを複数の粘弾性体47を介して係合させることで、粘弾性体47がドラム駆動ギア46の回転方向の力を受け、所定の角度の範囲内において回転方向に弾性変形することができる。
【0070】
よって、感光体ドラム駆動モータ41の1回転周期の速度変動、ギアの噛合いによる1歯成分の速度変動、及びドラム駆動ギア46の1回転周期の速度変動、等の定常的な速度変動を吸収した上で、駆動力を感光体ドラム51に伝達することができる。
【0071】
よって、これらの速度変動によって生じる数十Hz〜300Hz程度である中域の周波数レンジの画像上のバンディングを軽減することができる。
【0072】
(検出器の構成及びその作用効果)
本実施の形態では、複数の粘弾性体47を介してドラム駆動ギア46とカップリングディスク48とを係合させたことに加え、カップリングディスク48の回転情報を検出する検出器を設けたことが特徴である。ここで本実施の形態では、検出器として、エンコーダスケール49と、エンコーダスケール49に対向して設けられたエンコーダヘッド62とを用いた。
【0073】
上記で説明したように、従来の構成では、像担持体の回転負荷の変動に起因する、数Hz〜十数Hz程度の低域の周波数レンジの回転ムラの発生を抑制することが困難である。よって、回転ムラの発生によって生じる色ムラを軽減することができない、といった課題を生じていた。
【0074】
そこで本実施の形態では、エンコーダスケール49、エンコーダヘッド62によってカップリングディスク48の回転情報を検出することで、数Hz〜十数Hz程度の低域の周波数レンジの回転ムラによって生じる色ムラを軽減させることを可能にした。以下、検出器としてのエンコーダスケール49、エンコーダヘッド62の構成及び作用効果について説明する。
【0075】
エンコーダスケール49はドラム駆動ギア46と同軸上に設けられ、カップリングディスク48と一体に配置されている。一方で、エンコーダスケール49の回転情報を検出するエンコーダヘッド62は、図4に示すようにエンコーダ基板61上に実装された状態で、ドラム駆動ギア46を支持する駆動側板(図示なし)に設けられている。
【0076】
なお、本実施の形態のエンコーダスケール49は反射型のものであり、カップリングディスク48の円周方向に一定の間隔で反射部と非反射部が形成されている。
【0077】
また、エンコーダスケール49の回転情報を検出するエンコーダヘッド62は、不図示の発光部と受光部とが一体となって形成されたものである。
【0078】
かかる構成によると、エンコーダヘッド62の発光部から照射される光がエンコーダスケール49に反射され、反射光のパルス波をエンコーダヘッド62の受光部で受光することによって、カップリングディスク48の回転情報を検出することができる。なお、ここでいう回転情報とは、カップリングディスク48の回転速度変動を指す。
【0079】
なお、本実施の形態では、エンコーダヘッド62をエンコーダスケール49の回転中心に対し180度対向する位置に2つ配置した。
【0080】
エンコーダヘッド62をこのように配置することで、カップリングディスク48の回転中心軸とエンコーダスケール49の中心軸とがずれている場合に、互いに逆位相となる1回転周期の速度変動の検出信号を補正することができる。なお、軸ずれによる誤検出の補正は、後に説明する平均化回路63によって行うことが可能である。
【0081】
エンコーダヘッド62の受光部によって検出された、カップリングディスク48の回転速度変動に基づくパルス波のデータは、エンコーダヘッド62が実装されているエンコーダ基板61を介して平均化回路63に送られる。
【0082】
その後、平均化回路63によって処理され、回転速度変動の検出信号となり、この検出信号は感光体ドラム駆動モータ41の回転を制御する制御回路64(制御手段)に送られる。
【0083】
そして制御回路64において、回転速度変動の検出信号に基づいて、その回転変動量を相殺する(補正する)制御信号がモータ駆動回路65を通して感光体ドラム駆動モータ41にフィードバックされる。その結果、感光体ドラム51の回転速度変動を補正、抑制することが可能になる。
【0084】
なお、平均化回路63、制御回路64、モータ駆動回路65は、駆動力伝達機構側に設
けられるものであっても、画像形成装置側に設けられるものであってもよい。
【0085】
すなわち、かかる構成によれば、数Hz〜十数Hz程度の低域の周波数レンジの回転ムラによって生じる色ムラを軽減させることが可能になる。
【0086】
以上より、本実施の形態に係る像担持体の駆動力伝達機構では、ドラム駆動ギア46とカップリングディスク48とを粘弾性体47を介して係合させ、感光体ドラム51に駆動力を伝達する構成とした。
【0087】
これにより、感光体ドラム駆動モータ41の1回転周期の速度変動と、ギアの噛合いによる1歯成分の速度変動によって生じる数十Hz〜300Hz程度である中域の周波数レンジの回転速度変動を吸収することを可能にした。
【0088】
よって、これらの速度変動によって生じる数十Hz〜300Hz程度である中域の周波数レンジの画像上のバンディングを軽減することを可能にした。
【0089】
それと同時に、検出器としてエンコーダスケール49とエンコーダヘッド62とを用い、カップリングディスク48の回転情報を検出し、一連の制御を通して回転変動量を補正した制御信号を感光体ドラム駆動モータ41にフィードバックした。
【0090】
これにより、感光体ドラム51の回転変動量を補正、抑制することが可能になり、像担持体の回転負荷の変動に起因する、数Hz〜十数Hz程度の低域の周波数レンジの回転ムラを抑制することができ、よって色ムラを軽減することが可能になった。
【0091】
これら2つの作用により、画像上のバンディングと色ムラとが軽減された高画質の画像を感光体ドラム51の表面に形成することができる。
【0092】
すなわち、数十Hz〜300Hz程度である中域の周波数レンジのバンディング、及び数Hz〜十数Hz程度である低域の周波数レンジの回転ムラによって生ずる色ムラを軽減することが可能な像担持体の駆動力伝達機構を提供することが可能になる。
【0093】
また、かかる駆動力伝達機構を画像形成装置に適用することで、中域の周波数レンジのバンディング、及び低域の周波数レンジの回転ムラによって生ずる色ムラを軽減することが可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
【0094】
さらに感光体ドラム51に駆動力を伝達した後に、カップリングディスク48の回転情報を感光体ドラム駆動モータ41にフィードバックするフィードバック制御を行うことで、回転ムラと色ムラを軽減することが可能な駆動力伝達方法を提供することができる。
【0095】
[第2の実施の形態]
図5〜図7を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る像担持体の駆動力伝達機構、それを備える画像形成装置、及び像担持体の駆動力伝達方法について説明する。
【0096】
図5は本実施の形態に係る駆動力伝達機構の概略構成を示すものである。図6、図7は、本実施の形態に係る像担持体の駆動力伝達機構の分解図であり、図6は像担持体側から見た図、図7は駆動源側から見た図である。
【0097】
なお、本実施の形態では、画像形成装置の全体構成は第1の実施の形態と同一であり、粘弾性体の配置、検出器の構成が第1の実施の形態と異なる。よって同一の構成についてはその説明を省略し、以下、第1の実施の形態と異なる部分について説明を行う。
【0098】
(粘弾性体の配置)
上記第1の実施の形態では、ドラム駆動ギア内周に沿って粘弾性体を複数配置し、ドラム駆動ギアとカップリングディスクとが、複数の粘弾性体を介して係合するように構成した。
【0099】
これに対して本実施の形態では、感光体ドラム81の回転軸方向の端部に端部フランジ82を一体に圧入固定し、端部フランジ82の内周に沿って複数の粘弾性体77を配置したことを特徴とする(図7)。なお、端部フランジ82は、感光体ドラム81と同軸上に回転可能に設けられているものとする。
【0100】
そして、カップリングディスク78に一体に設けられた凸形状カップリング部78aと、ドラム駆動ギア76に形成されている凹カップリング部76aとを係合させた。
【0101】
かかる構成によって、ドラム駆動ギア76に伝達された駆動力は、ドラム駆動ギア76の凹カップリング部76aとカップリングディスク78の凸形状カップリング部78aとの係合によりカップリングディスク78に伝達される。
【0102】
そして、カップリングディスク78から複数の粘弾性体77を介して駆動力が端部フランジ82に伝達され、感光体ドラム81を図中矢印方向に回転駆動させることが可能になる。
【0103】
このように端部フランジ82とカップリングディスク78とを複数の粘弾性体77を介して係合させることで、粘弾性体77がドラム駆動ギア76の回転方向の力を受け、所定の角度の範囲内において回転方向に弾性変形することができる。
【0104】
よって、感光体ドラム駆動モータ41の1回転周期の速度変動、ギアの噛合いによる1歯成分の速度変動、及びドラム駆動ギア76の1回転周期の速度変動、等の定常的な速度変動を吸収した上で、駆動力を感光体ドラム81に伝達することができる。
【0105】
(検出器の構成)
本実施の形態では、検出器としてエンコーダスケール79、エンコーダヘッド62を設けた。そして、エンコーダスケール79を端部フランジ82と一体に形成し、一方でエンコーダヘッド62をエンコーダ基板91上に実装した状態で、エンコーダスケール79と対向する位置に設けた。
【0106】
なお、本実施の形態のエンコーダスケール79は反射型のものであり、端部フランジ82の円周方向に一定の間隔で反射部と非反射部が形成されている。
【0107】
また、エンコーダスケール79の回転情報を検出するエンコーダヘッド62は、不図示の発光部と受光部とが一体となって形成されたものである。
【0108】
かかる構成によると、エンコーダヘッド62の発光部から照射される光がエンコーダスケール79に反射され、反射光のパルス波をエンコーダヘッド62の受光部で受光することによって、感光体ドラム81の回転情報を検出することができる。なお、ここでいう回転情報とは、感光体ドラム81の回転速度変動を指す。
【0109】
なお、本実施の形態では、エンコーダヘッド62をエンコーダスケール79の回転中心に対し180度対向する位置に2つ配置した。このように配置することで得られる効果は第1の実施の形態で説明した通りである。
【0110】
エンコーダヘッド62の受光部によって検出された、カップリングディスク48の回転速度変動に基づくパルス波のデータは、エンコーダヘッド62が実装されているエンコーダ基板91を介して平均化回路93に送られる。
【0111】
その後、平均化回路93によって処理され、回転速度変動の検出信号となり、この検出信号は感光体ドラム駆動モータ41の回転を制御する制御回路94(制御手段)に送られる。
【0112】
そして制御回路94において、回転速度変動の検出信号に基づいて、その回転変動量を相殺する(補正する)制御信号がモータ駆動回路95を通して感光体ドラム駆動モータ41にフィードバックされる。その結果、感光体ドラム81の回転速度変動を補正、抑制することが可能になる。
【0113】
なお、平均化回路93、制御回路94、モータ駆動回路95は、駆動力伝達機構側に設けられるものであっても、画像形成装置側に設けられるものであってもよい。
【0114】
すなわち、かかる構成によれば、数Hz〜十数Hz程度の低域の周波数レンジの回転ムラによって生じる色ムラを軽減させることが可能になる。
【0115】
以上より、本実施の形態に係る像担持体の駆動力伝達機構では、端部フランジ82とカップリングディスク78とを粘弾性体77を介して係合させ、感光体ドラム81に駆動力を伝達する構成とした。
【0116】
これにより、感光体ドラム駆動モータ41の1回転周期の速度変動と、ギアの噛合いによる1歯成分の速度変動によって生じる数十Hz〜300Hz程度である中域の周波数レンジの回転速度変動を吸収することを可能にした。
【0117】
よって、これらの速度変動によって生じる数十Hz〜300Hz程度である中域の周波数レンジの画像上のバンディングを軽減することを可能にした。
【0118】
それと同時に、検出器としてエンコーダスケール79とエンコーダヘッド62とを用い、感光体ドラム81の回転情報を検出し、一連の制御を通して回転変動量を補正した制御信号を感光体ドラム駆動モータ41にフィードバックした。
【0119】
これにより、感光体ドラム81の回転変動量を補正、抑制することが可能になり、像担持体の回転負荷の変動に起因する、数Hz〜十数Hz程度の低域の周波数レンジの回転ムラを抑制することができ、よって色ムラを軽減することが可能になった。
【0120】
これら2つの作用により、画像上のバンディングと色ムラとが軽減された高画質の画像を感光体ドラム81の表面に形成することができる。
【0121】
すなわち、数十Hz〜300Hz程度である中域の周波数レンジのバンディング、及び数Hz〜十数Hz程度である低域の周波数レンジの回転ムラによって生ずる色ムラを軽減することが可能な像担持体の駆動力伝達機構を提供することが可能になる。
【0122】
また、かかる駆動力伝達機構を画像形成装置に適用することで、中域の周波数レンジのバンディング、及び低域の周波数レンジの回転ムラによって生ずる色ムラを軽減することが可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
【0123】
さらに、感光体ドラム81に駆動力を伝達した後に、感光体ドラム81の回転情報を感光体ドラム駆動モータ41にフィードバックするフィードバック制御を行うことで、回転ムラと色ムラを軽減することが可能な駆動力伝達方法を提供することが可能になる。
【0124】
[第3の実施の形態]
図8〜図10を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る像担持体の駆動力伝達機構、それを備える画像形成装置、及び像担持体の駆動力伝達方法について説明する。
【0125】
図8は本実施の形態に係る駆動力伝達機構の概略構成を示すものである。図9、図10は、本実施の形態に係る像担持体の駆動力伝達機構の分解図であり、図9は像担持体側から見た図、図10は駆動源側から見た図である。
【0126】
(粘弾性体の配置)
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、ドラム駆動ギア106内周に沿って複数の粘弾性体107を配置し、粘弾性体107を介してドラム駆動ギア106とカップリングディスク108とを係合させた。なお、カップリングディスク108は、ドラム駆動ギア106の内周においてドラム駆動ギア106と同軸上に配置されている。
【0127】
かかる構成によって、感光体ドラム駆動モータ41から駆動力がドラム駆動ギア106に伝達され、ドラム駆動ギア106が回転することでカップリングディスク108が回転駆動することになる。
【0128】
一方、感光体ドラム111の端部には、フランジ112が感光体ドラム111と一体に圧入固定されており、フランジ112には感光体ドラム111の回転中心を貫通し、感光体ドラム111と一体に回転するドラム軸113(回転軸)が設けられている。
【0129】
そしてドラム軸113のドラム駆動ギア106側には、カップリングディスク108と係合するための凸カップリング114が設けられており、凸カップリング114がカップリングディスク108に一体に形成されている凹カップリング部108aと係合する。
【0130】
このように、カップリングディスク108がドラム駆動ギア106とドラム軸113の両方に係合することで、ドラム駆動ギア106の駆動力がカップリングディスク108の凹カップリング部108aから凸カップリング114に伝達する。
【0131】
そしてこのようにして伝達された駆動力により、感光体ドラム111が図中矢印方向に回転駆動することになる。
【0132】
また、ドラム駆動ギア106とカップリングディスク108との軸方向の位置はストッパー110によって規制されるようになっている。
【0133】
このようにドラム駆動ギア106とカップリングディスク108とを複数の粘弾性体107を介して係合させることで、粘弾性体107がドラム駆動ギア106の回転方向の力を受け、所定の角度の範囲内において回転方向に弾性変形することができる。
【0134】
よって、感光体ドラム駆動モータ41の1回転周期の速度変動、ギアの噛合いによる1歯成分の速度変動、及びドラム駆動ギア106の1回転周期の速度変動、等の定常的な速度変動を吸収した上で、駆動力を感光体ドラム111に伝達することができる。
【0135】
(検出器の構成)
本実施の形態では、検出器としてエンコーダスケール119、エンコーダヘッド62を
設けた。そして、エンコーダスケー119をフランジ112と一体に形成し、一方でエンコーダヘッド62をエンコーダ基板121上に実装した状態で、エンコーダスケール119と対向する位置に設けた。
【0136】
なお、本実施の形態のエンコーダスケール119は反射型のものであり、端部フランジ112の円周方向に一定の間隔で反射部と非反射部が形成されている。
【0137】
また、エンコーダスケール119の回転情報を検出するエンコーダヘッド62は、不図示の発光部と受光部とが一体となって形成されたものである。
【0138】
かかる構成によると、エンコーダヘッド62の発光部から照射される光がエンコーダスケール119に反射され、反射光のパルス波をエンコーダヘッド62の受光部で受光することによって感光体ドラム111の回転情報を検出することができる。なお、ここでいう回転情報とは、感光体ドラム111の回転速度変動を指す。
【0139】
なお、本実施の形態では、エンコーダヘッド62をエンコーダスケール119の回転中心に対し180度対向する位置に2つ配置した。このように配置することで得られる効果は第1の実施の形態で説明した通りである。
【0140】
エンコーダヘッド62の受光部によって検出された、感光体ドラム111の回転速度変動に基づくパルス波のデータは、エンコーダヘッド62が実装されているエンコーダ基板121を介して平均化回路123に送られる。
【0141】
その後、平均化回路123によって処理され、回転速度変動の検出信号となり、この検出信号は感光体ドラム駆動モータ41の回転を制御する制御回路124(制御手段)に送られる。
【0142】
そして制御回路124において、回転速度変動の検出信号に基づいて、その回転変動量を相殺する(補正する)制御信号がモータ駆動回路125を通して感光体ドラム駆動モータ41にフィードバックされる。その結果、感光体ドラム111の回転速度変動を補正、抑制することが可能になる。
【0143】
なお、平均化回路123、制御回路124、モータ駆動回路125は、駆動力伝達機構側に設けられるものであっても、画像形成装置側に設けられるものであってもよい。
【0144】
すなわち、かかる構成によれば、数Hz〜十数Hz程度の低域の周波数レンジの回転ムラによって生じる色ムラを軽減させることが可能になる。
【0145】
以上より、本実施の形態に係る像担持体の駆動力伝達機構では、フランジ112とカップリングディスク108とを粘弾性体107を介して係合させ、感光体ドラム111に駆動力を伝達する構成とした。
【0146】
これにより、感光体ドラム駆動モータ41の1回転周期の速度変動と、ギアの噛合いによる1歯成分の速度変動によって生じる数十Hz〜300Hz程度である中域の周波数レンジの回転速度変動を吸収することを可能にした。
【0147】
よって、これらの速度変動によって生じる数十Hz〜300Hz程度である中域の周波数レンジの画像上のバンディングを軽減することを可能にした。
【0148】
それと同時に、検出器としてエンコーダスケール119とエンコーダヘッド62とを用
い、感光体ドラム111の回転情報を検出し、一連の制御を通して回転変動量を補正した制御信号を感光体ドラム駆動モータ41にフィードバックした。
【0149】
これにより、感光体ドラム111の回転変動量を補正、抑制することが可能になり、像担持体の回転負荷の変動に起因する、数Hz〜十数Hz程度の低域の周波数レンジの回転ムラを抑制することができ、よって色ムラを軽減することが可能になった。
【0150】
これら2つの作用により、画像上のバンディングと色ムラとが軽減された高画質の画像を感光体ドラム111の表面に形成することができる。
【0151】
すなわち、数十Hz〜300Hz程度である中域の周波数レンジのバンディング、及び数Hz〜十数Hz程度である低域の周波数レンジの回転ムラによって生ずる色ムラを軽減することが可能な像担持体の駆動力伝達機構を提供することが可能になる。
【0152】
また、かかる駆動力伝達機構を画像形成装置に適用することで、中域の周波数レンジのバンディング、及び低域の周波数レンジの回転ムラによって生ずる色ムラを軽減することが可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
【0153】
さらに、感光体ドラム111に駆動力を伝達した後に、感光体ドラム111の回転情報を感光体ドラム駆動モータ41にフィードバックするフィードバック制御を行うことで、回転ムラと色ムラを軽減することが可能な駆動力伝達方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図2】第1の実施の形態に係る像担持体の駆動力伝達機構の概略構成図。
【図3】第1の実施の形態に係る像担持体の駆動力伝達機構の分解図。
【図4】第1の実施の形態に係る像担持体の駆動力伝達機構の分解図。
【図5】第2の実施の形態に係る像担持体の駆動力伝達機構の概略構成図。
【図6】第2の実施の形態に係る像担持体の駆動力伝達機構の分解図。
【図7】第2の実施の形態に係る像担持体の駆動力伝達機構の分解図。
【図8】第3の実施の形態に係る像担持体の駆動力伝達機構の概略構成図。
【図9】第3の実施の形態に係る像担持体の駆動力伝達機構の分解図。
【図10】第3の実施の形態に係る像担持体の駆動力伝達機構の分解図。
【符号の説明】
【0155】
41 感光体ドラム駆動モータ
46 ドラム駆動ギア
47 粘弾性体
48 カップリングディスク
48a凹カップリング部
49 エンコーダスケール
51 感光体ドラム
52 フランジ
53 ドラム軸
54 凸カップリング
62 エンコーダヘッド
63 平均化回路
64 制御回路
65 モータ駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体の回転軸と同軸上に配置された駆動ギアと、
前記駆動ギアと前記像担持体の両方に係合し、前記駆動ギアから前記像担持体に駆動力を伝達するカップリング部材と、
前記カップリング部材の回転情報を検出する検出器と、
を備え、
駆動源からの駆動力を前記駆動ギアから前記カップリング部材を介して前記像担持体に伝達する像担持体の駆動力伝達機構であって、
前記駆動ギアと前記カップリング部材は粘弾性体を介して係合しており、
前記検出器によって検出された前記回転情報に基づいて、前記像担持体の回転を制御する制御手段が設けられていることを特徴とする像担持体の駆動力伝達機構。
【請求項2】
像担持体の回転軸と同軸上に配置された駆動ギアと、
前記駆動ギアと前記像担持体の両方に係合し、前記駆動ギアから前記像担持体に駆動力を伝達するカップリング部材と、
前記像担持体の回転情報を検出する検出器と、
を備え、
駆動源からの駆動力を前記駆動ギアから前記カップリング部材を介して前記像担持体に伝達する像担持体の駆動力伝達機構であって、
前記カップリング部材と前記像担持体は粘弾性体を介して係合しており、
前記検出器によって検出された前記回転情報に基づいて、前記像担持体の回転を制御する制御手段が設けられていることを特徴とする像担持体の駆動力伝達機構。
【請求項3】
像担持体の回転軸と同軸上に配置された駆動ギアと、
前記駆動ギアと前記像担持体の両方に係合し、前記駆動ギアから前記像担持体に駆動力を伝達するカップリング部材と、
前記像担持体の回転情報を検出する検出器と、
を備え、
駆動源からの駆動力を前記駆動ギアから前記カップリング部材を介して前記像担持体に伝達する像担持体の駆動力伝達機構であって、
前記駆動ギアと前記カップリング部材は粘弾性体を介して係合しており、
前記検出器によって検出された前記回転情報に基づいて、前記像担持体の回転を制御する制御手段が設けられていることを特徴とする像担持体の駆動力伝達機構。
【請求項4】
回転駆動する像担持体と、
前記像担持体の表面を帯電する帯電部材と、
前記像担持体の表面を露光して静電潜像を形成する露光部材と、
前記静電潜像に現像剤を供給して前記静電潜像を現像剤像として現像する現像部材と、
前記現像剤像をシート材上に転写する転写部材と、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の像担持体の駆動力伝達機構と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
像担持体の回転軸と同軸上に配置された駆動ギアと、
前記駆動ギアと前記像担持体の両方に係合し、前記駆動ギアから前記像担持体に駆動力を伝達するカップリング部材と、
前記カップリング部材の回転情報を検出する検出器と、
を備え、
駆動源からの駆動力を前記駆動ギアから前記カップリング部材を介して前記像担持体に伝達する像担持体の駆動力伝達方法であって、
前記駆動ギアと前記カップリング部材を粘弾性体を介して係合させて前記像担持体に駆動力を伝達した後に、
前記検出器によって前記カップリング部材の回転情報を検出し、
検出された前記回転情報に基づいて前記像担持体の回転変動量を補正するように前記像担持体の回転を制御するフィードバック制御を行うことを特徴とする像担持体の駆動力伝達方法。
【請求項6】
像担持体の回転軸と同軸上に配置された駆動ギアと、
前記駆動ギアと前記像担持体の両方に係合し、前記駆動ギアから前記像担持体に駆動力を伝達するカップリング部材と、
前記像担持体の回転情報を検出する検出器と、
を備え、
駆動源からの駆動力を前記駆動ギアから前記カップリング部材を介して前記像担持体に伝達する像担持体の駆動力伝達方法であって、
前記カップリング部材と前記像担持体を粘弾性体を介して係合させて前記像担持体に駆動力を伝達した後に、
前記検出器によって前記像担持体の回転情報を検出し、
検出された前記回転情報に基づいて前記像担持体の回転変動量を補正するように前記像担持体の回転を制御するフィードバック制御を行うことを特徴とする像担持体の駆動力伝達方法。
【請求項7】
像担持体の回転軸と同軸上に配置された駆動ギアと、
前記駆動ギアと前記像担持体の両方に係合し、前記駆動ギアから前記像担持体に駆動力を伝達するカップリング部材と、
前記像担持体の回転情報を検出する検出器と、
を備え、
駆動源からの駆動力を前記駆動ギアから前記カップリング部材を介して前記像担持体に伝達する像担持体の駆動力伝達方法であって、
前記駆動ギアと前記カップリング部材を粘弾性体を介して係合させて前記像担持体に駆動力を伝達した後に、
前記検出器によって前記像担持体の回転情報を検出し、
検出された前記回転情報に基づいて前記像担持体の回転変動量を補正するように前記像担持体の回転を制御するフィードバック制御を行うことを特徴とする像担持体の駆動力伝達方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−102247(P2010−102247A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275672(P2008−275672)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】