充電システム、及び、充電システムにおける充電方法
【課題】複数台の充電器を有する充電システムにおいて、二次電池の充電時における電力を適正に制御する。
【解決手段】
この充電システムは、各電気自動車161A〜161Cに備えられ、バッテリーを充電する車載充電器と、各電気自動車161A〜161Cの車両側制御部と通信可能に接続され、車載充電器による充電動作を制御するシステムコントローラー10とを備えている。そして、各車載充電器は、充電対象のバッテリーに応じた最大充電電力値をシステムコントローラーに送信する。また、システムコントローラーは、受信した最大充電電力値同士を加算することで合計充電電力値を求め、この合計充電電力値が契約電力値を超える場合、合計充電電力値が前記契約電力値以下となるように、各車載充電器における最大充電電力値を変更する。
【解決手段】
この充電システムは、各電気自動車161A〜161Cに備えられ、バッテリーを充電する車載充電器と、各電気自動車161A〜161Cの車両側制御部と通信可能に接続され、車載充電器による充電動作を制御するシステムコントローラー10とを備えている。そして、各車載充電器は、充電対象のバッテリーに応じた最大充電電力値をシステムコントローラーに送信する。また、システムコントローラーは、受信した最大充電電力値同士を加算することで合計充電電力値を求め、この合計充電電力値が契約電力値を超える場合、合計充電電力値が前記契約電力値以下となるように、各車載充電器における最大充電電力値を変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電システム、及び、充電システムにおける充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車用の二次電池は大容量であり、この二次電池を充電するための充電器は電源容量で30kW〜50kWであるため、二次電池の充電には大電力を必要とする。このように、充電に大電力を必要とすることから、一般の需要家のみならず高圧受電の需要家であっても、現状の契約では、複数の二次電池を並行して充電する場合、契約電力内での運用が困難になることが考えられる。そして、今後の電気自動車の普及により、充電スタンドやコンビニエンスストアなど、複数の二次電池を同時期に充電する需要家が増えると考えられる。このような状況の下、引用文献1には、複数の二次電池を独立した条件で同時に充電可能な充電装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−199752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1の充電装置において、1台の充電器で運用する場合には、複数の二次電池を同時期に充電しても、条件を適正化できる。しかし、増設等によって複数台の充電器が設置された場合、個々の充電器が独立して動作するため、全体の電力が契約電力を超えてしまうこともあり得る。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数台の充電器を有する充電システムにおいて、二次電池の充電時における電力を適正に制御することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を達成するため、本発明は、二次電池を充電する複数台の充電器と、前記複数台の充電器と通信可能に接続され、前記充電器による充電動作を制御する充電制御装置と、を備えた充電システムであって、各充電器は、充電対象の前記二次電池に対する最大充電電力値を前記充電制御装置に送信し、前記充電制御装置は、受信した前記最大充電電力値同士を加算することで合計充電電力値を求め、前記合計充電電力値が契約電力値を超える場合、前記合計充電電力値が前記契約電力値以下となるように、少なくとも1台の前記充電器における前記最大充電電力値を変更することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、二次電池を充電する複数台の充電器と、前記複数台の充電器と通信可能に接続され、前記充電器による充電動作を制御する充電制御装置と、を備える充電システムにおける充電方法であって、充電対象の前記二次電池に対する最大充電電力値を、各充電器から送信させるステップと、受信した前記最大充電電力値同士を加算することで、合計充電電力値を求めるステップと、前記合計充電電力値が前記契約電力値を超える場合、前記合計充電電力値が前記契約電力値以下となるように、少なくとも1台の前記充電器における前記最大充電電力値を変更するステップとを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数台の充電器を有する充電システムにおいて、二次電池の充電時における電力を適正に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態における充電システムの構成を模式的に説明する図である。
【図2】システムコントローラーを説明するブロック図である。
【図3】電気自動車の電気系統を説明するブロック図である。
【図4】車両側制御部を説明するブロック図である。
【図5】第1実施形態における充電システムの動作を説明するメインフローチャートである。
【図6】最大電力値の変更処理を説明するフローチャートである。
【図7】最適化シーケンスを説明するフローチャートである。
【図8】充電シーケンスを説明するフローチャートである。
【図9】第2実施形態における充電システムの構成を模式的に説明する図である。
【図10】システムコントローラーを説明するブロック図である。
【図11】急速充電器を説明するブロック図である。
【図12】第2実施形態における充電システムの動作を説明するメインフローチャートである。
【図13】最大電力値の変更処理を説明するフローチャートである。
【図14】最適化シーケンスを説明するフローチャートである。
【図15】充電シーケンスを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
【0011】
第1実施形態の充電システムは、電気自動車に搭載された二次電池を充電するためのものであり、例えば、電気自動車用の充電スタンドやコンビニエンスストアに設置される。図1に示すように、この充電システムは、システムコントローラー110と、複数台の電気自動車161(161A〜161C)と、電気自動車161以外の負荷130(130A,130B)と、トランス140とを有している。
【0012】
システムコントローラー110は、この充電システムにおける制御を担当する装置であり、充電制御装置に相当する。このシステムコントローラー110は、各電気自動車161A〜161C(詳しくは図3に示す車両側制御部162a)と通信をして、各電気自動車161A〜161Cにおける充電動作を制御する。なお、システムコントローラー110については後で説明する。
【0013】
図3に示すように、電気自動車161には車載充電器162dが搭載されている。車載充電器162dは、車両側制御部162aから制御に応じて二次電池を充電する装置である。従って、車両側制御部162aと車載充電器162dの組が、通信機能付きの充電器を構成する。例示した電気自動車161には、二次電池として駆動用バッテリー162eと補機用バッテリー162fが搭載されている。このため、車載充電器162dは、これらのバッテリー162e,162fを充電する。
【0014】
図1の例では3台分のコンセント121(121A〜121C)が設けられており、充電ガン123(123A〜123C)を備える普通充電ケーブル122(122A〜122C)によって、電気自動車161A〜161Cと電気的に接続されている。このため、3台の電気自動車161に搭載されたバッテリー162e,162fを、同時期に充電することができる。また、各電気自動車161A〜161Cの電気系統162A〜162C(詳しくは、図3の車両側制御部162a)は、有線或いは無線の通信回線124(124A〜124C)を通じてシステムコントローラー110と通信をし、各種の情報を交換する。なお、電気自動車161についても後で説明する。
【0015】
負荷130は、電気自動車161を除いた各種の機器が該当する。例えば、エアコンや照明が負荷130に該当する。また、コンビニエンスストアであれば、冷蔵庫や冷凍庫といった設備も負荷130に該当する。本実施形態では、屋内配線に設けた電力センサー151(151A,151B)からの検出信号をシステムコントローラー110が取得し、この検出信号のレベルに基づいて各負荷130A,130Bに供給される電力値を認識する。
【0016】
トランス140は、変電所から供給される高圧電力を需要家で使用する低圧電力に変換する装置である。本実施形態において、トランス140は、6.6kVの高圧電力を200Vの低圧電力に変換する。また、トランス140に接続された高圧線には電力センサー152が取り付けられている。この電力センサー152の検出信号もまたシステムコントローラー110に出力される。このため、システムコントローラー110は、この充電システムに供給される電力値を取得することができる。
【0017】
次に、システムコントローラー110について説明する。
【0018】
図2(a)に示すように、システムコントローラー110は、制御部111と、通信用インタフェース112とを有する。制御部111は、CPU113とメモリー114とを有しており、CPU113がメモリー114に記憶されたプログラムを実行することで、各種の制御動作が実現される。例えば、各車載充電器162dに対する最大電力値の設定を変更する動作が実現される。通信用インタフェース112は、システムコントローラー110における通信を制御する。すなわち、各電気自動車161A〜161Cの車載充電器162dとの間でなされる通信を制御する。
【0019】
メモリー114の一部領域は、図2(b)に示すように、プログラム記憶領域、識別情報記憶領域、契約電力値記憶領域、最大電力値記憶領域、供給電力値記憶領域、要求電力値記憶領域、合計電力値記憶領域、合計要求電力値記憶領域、及び、残り充電時間記憶領域として用いられている。
【0020】
プログラム記憶領域には、CPU113によって読み出されて実行されるプログラムが記憶されている。
【0021】
識別情報記憶領域には、システムコントローラー110と通信可能な電気機器について、その電気機器を示す識別情報が記憶されている。本実施形態では、各電気自動車161A〜161Cについて、それぞれの電気自動車161A〜161Cを示す固有の識別情報が記憶されている。従って、システムコントローラー110は、受信した情報に含まれる識別情報を、識別情報記憶領域に記憶された識別情報と照合することで、受信した情報が何れの電気自動車161A〜161Cから送信されたものかを認識できる。
【0022】
契約電力値記憶領域には、充電システムを所有する需要家との契約内容に応じた契約電力値が記憶される。この契約電力値は、各電気自動車161A〜161Cの車載充電器162dに対する最大電力値を定める際に参照される。
【0023】
最大電力値記憶領域には、車載充電器162dの充電時における最大電力値が、識別情報に対応付けられた状態で個別に記憶される。この最大電力値は、各電気自動車161A〜161Cの車載充電器162dでなされる充電動作において、電力値の上限値となる。従って、車載充電器162dは、最大電力値を上限としてその電気自動車161A〜161Cで定めた電力値で充電を行う。
【0024】
供給電力値記憶領域には、各負荷130A,130Bに供給される電力値が記憶される。すなわち、電力センサー151A,151Bの検出信号から取得された供給電力値が負荷130A,130B毎に記憶される。
【0025】
要求電力値記憶領域には、要求電力値が記憶される。この要求電力値は、充電対象の電気自動車161A〜161Cがそのバッテリー162e,162fを充電するために要求している電力値である。この要求電力値は、充電対象の電気自動車161A〜161C毎に記憶されており、契約電力値と同様に、各車載充電器162dにおける最大電力値を定める際に参照される。
【0026】
合計電力値記憶領域には、合計電力値が記憶される。この合計電力値は、最大電力値記憶領域に記憶された各最大電力値、及び、各負荷130A,130Bに供給される電力値を合計することで得られる。この合計電力値もまた、各車載充電器162dにおける最大電力値を定める際に参照される。
【0027】
合計要求電力値記憶領域には、合計要求電力値が記憶される。この合計要求電力値は、要求電力値記憶領域に記憶された要求電力値を合計することで算出される。この合計要求電力値もまた、各車載充電器162dにおける最大電力値を定める際に参照される。
【0028】
残り充電時間記憶領域には、充電対象のバッテリー162e,162fに対する残り充電時間が、充電対象の電気自動車161A〜161C毎に記憶される。この残り充電時間は、二次電池が搭載された機器から送信される。本実施形態では、各電気自動車161A〜161Cの車両側制御部162aから送信された最大充電時間が相当する。システムコントローラー110は、受信した充電時間をメモリー114の残り充電時間記憶領域に、充電対象の電気自動車161A〜161C毎に記憶する。
【0029】
次に、電気自動車161の電気系統162(162A〜162C)について説明する。
【0030】
図3に示すように、電気自動車161の電気系統162は、車両側制御部162aと、普通充電インレット162bと、急速充電インレット162cと、車載充電器162dと、駆動用バッテリー162eと、補機用バッテリー162fと、インバーター162gと、駆動モーター162hとを有している。
【0031】
車両側制御部162aは、電気自動車161における制御を担当する部分であり、車両側通信部としても機能する。普通充電インレット162bは充電ガン123が接続される部分である。急速充電インレット162cは急速充電器が備える急速充電用の充電ガンが接続される部分である。車載充電器162dは、駆動用バッテリー162e及び補機用バッテリー162fを充電する部分である。すなわち、車載充電器162dは、充電ガン123等を通じて供給された単相低圧電源によって、これらの駆動用バッテリー162e及び補機用バッテリー162fを充電する。駆動用バッテリー162eは、駆動モーター162hを動作させるための直流電力を蓄える部分である。補機用バッテリー162fは、車両側制御部162a等の計器類を動作させるための直流電力を蓄える部分である。
【0032】
各バッテリー162e,162fへの充電時において、車載充電器162dは充電に関する制御も行う。この充電制御は、システムコントローラー110による制御の下で行われる(後述する)。なお、駆動用バッテリー162eと補機用バッテリー162fとは、蓄える直流電力の電圧が異なっている。このため、車載充電器162dには、DC/DCコンバーター回路が設けられており、適した電圧で充電が行えるように構成されている。
【0033】
インバーター162gは、駆動用バッテリー162eに蓄えられた直流電力から交流電力を生成する電力変換装置である。このインバーター162gは、車両側制御部162aからの制御信号に応じて、周波数が調整された交流電力が出力される。そして、インバーター162gで生成された交流電力は、駆動モーター162hに供給される。従って、駆動モーター162hの回転数は、車両側制御部162aからの制御信号に応じて制御される。
【0034】
駆動モーター162hは、タイヤを回転させる駆動源となる部分である。すなわち、駆動モーター162hの回転軸はトランスミッション(図示せず)に接続されており、駆動モーター162hからの回転力は適宜減速されて車軸に伝達される。
【0035】
図4(a)に示すように、車両側制御部162aは、制御ユニット162iと、通信用インタフェース162jとを有する。制御ユニット162iは、CPU162kとメモリー162mとを有しており、CPU162kがメモリー162mに記憶されたプログラムを実行することで、各種の制御動作が実現される。例えば、車載充電器162dにおける充電電流や充電時の電圧を設定する動作が実現される。通信用インタフェース162jは、電気自動車161における通信を制御する。この例では、システムコントローラー110との間でなされる通信を制御する。
【0036】
メモリー162mの一部領域は、図4(b)に示すように、プログラム記憶領域、識別情報記憶領域、最大電力値記憶領域、要求電力値記憶領域、及び、残り充電時間記憶領域として用いられている。
【0037】
プログラム記憶領域には、CPU162kによって読み出されて実行されるプログラムが記憶されている。
【0038】
識別情報記憶領域には、その電気自動車161A〜161Cを示す固有の識別情報が記憶されている。車両側制御部162aは、送信する情報にこの識別番号を含ませることで、どの電気自動車161A〜161Cから送信された情報であるかをシステムコントローラー110に認識させることができる。
【0039】
最大電力値記憶領域には、その電気自動車161A〜161Cに対する最大電力値が記憶される。そして、電気自動車161A〜161Cは、この最大電力値を上限とするとともに定めた電力値で充電を行う。
【0040】
要求電力値記憶領域には、要求電力値が記憶される。この要求電力値は、充電対象の電気自動車161A〜161Cがバッテリー162e,162fを充電するために要求している電力値である。
【0041】
残り充電時間記憶領域には、前述したように、その電気自動車161A〜161Cに搭載されたバッテリー162e,162fに対する残り充電時間が記憶される。
【0042】
この電気自動車161では、充電ガン123が普通充電インレットに162bに接続され、所定の開始スイッチ(図示せず)に対する操作信号を車両側制御部162aが認識することで充電が開始される。その際、車両側制御部162aは、システムコントローラー110と通信回線124を通じて電気的に接続される。そして、定期的(例えば500ms)に充電関連情報が送受信される。この充電関連情報は、バッテリー162e,162fの充電に必要とされる各種の情報である。
【0043】
次に、この充電システムにおける動作について説明する。
【0044】
この充電システムにおいて、各電気自動車161A〜161Cは、充電対象のバッテリー162e,162f(二次電池)に対する充電時の最大電力値(最大充電電力値)をシステムコントローラー110(充電制御装置)に送信する。また、システムコントローラー110は、受信した最大電力値同士を加算することで合計充電電力値を求め、この合計充電電力値と各負荷130A,130Bに供給される合計供給電力値の合計値が契約電力値を超える場合、この合計値が契約電力値以下となるように、各電気自動車161A〜161C(車載充電器162d)における最大電力値を変更する。以下、フローチャートに基づいて、充電システムの動作を詳しく説明する。
【0045】
図5に示すように、この充電システムでは、まずシステムコントローラー110がイニシャライズ(S101)を行い、各パラメーターを初期化する。このイニシャライズによって、契約電力値(Pmax)がシステムコントローラー110の契約電力値記憶領域にセットされる。
【0046】
イニシャライズを行ったならば、電力値の取得処理(S102)が行われる。この取得処理において、システムコントローラー110は、各車載充電器162d(NC1〜n)について現在設定されている最大電力値(PQ1〜n)、すなわち充電用電力の設定最大値を、各電気自動車161A〜161Cの車両側制御部162aから取得する。また、各負荷130A,130Bに供給されている電力値(PL1−m)を電力センサー151A,151Bの検出信号から取得する。そして、取得された各電力量は、システムコントローラー110のメモリー114(最大電力値記憶領域,供給電力値記憶領域)に記憶される。
【0047】
各電力値を取得したならば、契約電力値と各電力値の合計値との比較処理(S103)が行われる。この比較処理において、システムコントローラー110は、最大電力値記憶領域に記憶された最大電力値を合計して合計充電電力値(ΣPQ1〜n)を算出する。また、供給電力値記憶領域に記憶された供給電力値を合計して合計供給電力値(ΣPL1−m)を算出する。そして、合計充電電力値と合計供給電力値を合計して合計値(ΣPQ1〜n+ΣPL1−m,合計充電電力値)を算出する。さらに、算出した合計値を、契約電力値記憶領域に記憶された契約電力値(Pmax)と比較する。
【0048】
ここで、契約電力値が合計値以上(Pmax≧ΣPQ1〜n+ΣPL1−m)であった場合、充電シーケンス(S105)に移行してバッテリー162e,162fに対する充電を行う。一方、契約電力値が合計値以上でなかった場合には、各車載充電器162dにおける最大電力値(PQ1〜n)の変更処理(S104)を行い、契約電力値が合計値以上となるように最大電力値を変更する。
【0049】
以下、最大電力値の変更処理について説明する。
【0050】
図6に示すように、この変更処理においてシステムコントローラー110は、各車両側制御部162aに問い合わせをし、各車載充電器162d(NC1〜n)のうち1台でも充電要求しているものがあるか否かを確認する(S111)。ここで、充電要求している車載充電器162dが1台もなかった場合には、ステップS112へ移行し、各車載充電器162dの最大電力値(PQ1〜n)を次式(1a)に基づいて設定する。
【0051】
PQ1〜n=(Pmax−ΣPL1−m)/n ・・・ (1a)
【0052】
すなわち、このステップS112において、システムコントローラー110は、契約電力値から各負荷130A,130Bへの合計供給電力値を減算し、残った分の電力値を車載充電器162dの台数で等分することで、各車載充電器162dの最大電力値(PQ1〜n)を定める。各車載充電器162dCの最大電力値を設定したならば、最大電力値の変更処理を終了する。そして、図5のフローチャートに復帰して、ステップS102以降の処理を繰り返し行う。
【0053】
一方、前述のステップS111にて、充電要求している車載充電器162dが存在した場合、ステップS113へ移行する。このステップS113では、充電要求している車載充電器162dについて要求電力値を問い合わせるとともに合計し、これら車載充電器162dの合計要求電力値(ΣPQcharge)を求める。そして、求めた合計要求電力値と合計供給電力値(ΣPL1−m)とを合計し、合計した電力値(ΣPQcharge+ΣPL1−m)と契約電力量(Pmax)とを比較する。
【0054】
ここで、契約電力量が合計した電力値以上であれば、ステップS114へ移行する。このステップS114では、充電要求していない車載充電器162dの最大電力値(PQno_charge)を、次式(2a)に基づいて設定する。すなわち、充電要求している車載充電器162dに対しては要求通りの充電を行わせ、充電要求していない車載充電器162dに対しては余った分の電力値を割り振っている。
【0055】
PQno_charge=(Pmax−ΣPQcharge−ΣPL1−n)/(n−充電要求台数) ・・・ (2a)
【0056】
対象となる車載充電器162dについて最大電力値を設定したならば、システムコントローラー110は最大電力値の変更処理を終了し、ステップS102以降の処理を繰り返し行う。
【0057】
一方、ステップS113にて、契約電力量が合計した電力値以上でなかった場合、ステップS115に移行する。このステップS115では、充電要求している車載充電器162dについて、要求電力量を最適化する。
【0058】
図7に示すように、この最適化処理においてシステムコントローラー110は、充電要求している車載充電器162d(NCn)についての残り充電時間を、対応する車両側制御部162aに問い合わせる(S121)。この問い合わせは、充電要求している全ての車載充電器162dについて行われる(S122,S123)。そして、全ての車載充電器162dについて問い合わせを行ったならば、システムコントローラー110は、残り充電時間が最短の車載充電器162dを特定する(S124)。なお、ステップS124のNCxは、充電要求している車載充電器162dのうち残り充電時間が最短のものを示す。
【0059】
車載充電器162d(NCx)を特定したならば、特定した車載充電器162dの最大電力値(PQx)と、充電要求している車載充電器162dの合計要求電力値(ΣPQcharge)とを比較する(S125)。そして、特定した車載充電器162dの最大電力値が車載充電器162dの合計要求電力値未満である場合(PQx<ΣPQcharge)、ステップS126に移行する。
【0060】
このステップS126でシステムコントローラー110は、特定した車載充電器162dの要求電力値(PQcharge_x)をその車載充電器162dの最大電力値(PQx)とするとともに、充電要求している車載充電器162dの合計要求電力値(ΣPQcharge)を、それまでの電力値から特定した車載充電器162dの要求電力値を減算した値(ΣPQcharge−PQcharge_x)にする。すなわち、最も早く充電が終了するバッテリー162e,162fを担当している車載充電器162dに対しては、最大電力で充電を行わせ、他の車載充電器162dに対してはその分だけ充電要求電力値を低く定める。ステップS126で要求電力値を変更したならば、最適化シーケンスを終了する。そして、ステップS102に移行し、前述した処理が繰り返し行われる。
【0061】
一方、ステップS125において、特定した車載充電器162dの最大電力値が、充電要求している車載充電器162dの合計要求電力値以上の場合、ステップS127へ移行する。このステップS127及びその次のステップS128において、システムコントローラー110は、特定した車載充電器162dの最大電力値(PQx)を変更する。
【0062】
すなわち、ステップS127では、次式(3a)に基づいて最大電力値PQx(new)を算出し、次式(4a)に示すように、算出した最大電力値PQx(new)を、特定した車載充電器162dの最大電力値(PQx)に変更する。
【0063】
PQx(new)=PQx−[(PQx−ΣPQcharge)/2] ・・・ (3a)
PQx=PQx(new) ・・・ (4a)
【0064】
これらの処理を行うことで、特定した車載充電器162dの最大電力値(PQx)は、車載充電器162dの合計要求電力値(ΣPQcharge)との差の半分だけ小さな値になる。言い換えれば、合計要求電力値を用いて最大電力値が少しずつ低くなる。そして、最大電力値(PQx)を変更したならば、ステップS121に移行し、前述した処理が繰り返し行われる。
【0065】
次に、充電シーケンスについて説明する。
【0066】
図8に示すように、充電シーケンスにおいてシステムコントローラー110は、充電要求している車載充電器162dのうち、充電が終了したもの或いは要求電力値が下がったものがあるか否かを判断する(S131)。ここで、このような車載充電器162dがなかった場合にはステップS135に移行し、設定された条件で各車載充電器162dを動作させる。そして、全ての車載充電器162dについて充電が完了したか否かを判断し(S136)、全ての車載充電器162dで充電が完了したならば一連の処理を終了する。一方、充電が完了していない車載充電器162dがある場合には、ステップS131に移行して処理を継続する。
【0067】
また、ステップS131にて、充電が終了した車載充電器162d或いは要求電力値が下がった車載充電器162dがあると判断した場合、システムコントローラー110は、電力値の取得処理(S132)、契約電力値と各電力値の合計値との比較処理(S133)、及び、各車載充電器162dにおける最大電力値の変更処理(S134)を行う。これらの処理は、前述したステップS102,S103,S104の各処理と同内容であるため、説明は省略する。これらの処理を行うことで、前述したように、残り充電時間の短いバッテリー162e,162fを充電している車載充電器162dCに対し、早期に充電が終了するように各電力値が設定される。言い換えれば、充電対象となるバッテリー162e,162fの数ができるだけ少なくなるように各電力値が設定される。その結果、限られた契約電力値を各バッテリー162e,162fの充電に有効に使用することができる。
【0068】
<まとめ>
以上説明したように、本実施形態の充電システムは、バッテリー162e,162f(二次電池)を充電する複数台の車載充電器162dと、これらの車載充電器162dと通信可能に接続され、車載充電器162dによる充電動作を制御するシステムコントローラー110(充電制御装置)とを備えている。そして、各車載充電器162dは、充電対象のバッテリー162e,162fに応じた最大充電電力値をシステムコントローラー110に送信する。また、システムコントローラー110は、受信した最大充電電力値同士を加算することで合計充電電力値を求め、この合計充電電力値が契約電力値を超える場合、合計充電電力値が前記契約電力値以下となるように、各車載充電器162dにおける最大充電電力値を変更する。
【0069】
このように構成することで、複数のバッテリー162e,162fを同時期に充電する場合において、各車載充電器162dの合計電力値が契約電力値を超えてしまうことを抑制できる。すなわち、複数の車載充電器162dを有する充電システムであっても、バッテリー162e,162fの充電時における電力を適正に制御できる。また、充電対象となる電気自動車161が増えた場合、電気自動車161が増えた分だけ合計充電電力値も増えるが、同じ制御で対応できる。このため、電気自動車161が増えても容易に対応できる。
【0070】
また、各車載充電器162dは、充電の残り時間をシステムコントローラー110に送信し、システムコントローラー110は、合計充電電力値が契約電力値を超える場合、充電の残り時間が最も短い車載充電器162d(NCx)以外の車載充電器162dについて、最大充電電力値を少なくする。そして、このように構成することで、充電の残り時間が最も短い車載充電器162dについては、他の車載充電器162dよりも早期に充電が完了する。これにより、充電対象となるバッテリー162e,162fの数が少なくなり、システム全体として充電時間を短くすることができる。
【0071】
また、システムコントローラー110は、電気自動車161以外の負荷130(エアコン,照明,冷蔵庫,冷凍庫)に供給される供給電力値を取得し、合計充電電力値と供給電力値の合計値が契約電力値を超える場合、この合計値が契約電力値以下となるように、最大充電電力値を変更する。そして、このように構成することで、負荷130に供給される電力を確保した上で、バッテリー162e,162fの充電に用いられる電力が定められる。その結果、需要家の生活等に支障を来さない範囲で、効率よくバッテリー162e,162fの充電を行うことができる。
【0072】
また、負荷130A,130Bへの供給電力を測定する電力センサー151A,151Bを設け、電力センサー151A,151Bにおける測定結果から、システムコントローラー110に供給電力値を取得させている。このように構成することで、負荷130A,130Bへの供給電力が時間の経過に伴って変化しても適正な条件で充電を行うことができる。
【0073】
また、バッテリー162e,162fが大きな電源容量が必要となる電気自動車161の電源であるため、充電時に必要とされる大電力を適正に制御できる。
【0074】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0075】
第2実施形態の充電システムもまた、電気自動車に搭載されたバッテリー(二次電池)を充電するためのものであり、例えば、電気自動車用の充電スタンドやコンビニエンスストアに設置される。図9に示すように、この充電システムは、システムコントローラー10と、複数台の急速充電器20(20A〜20C)と、急速充電器20以外の負荷装置30(30A,30B)と、トランス40とを有している。
【0076】
システムコントローラー10は、この充電システムにおける制御を担当する装置であり、充電制御装置に相当する。このシステムコントローラー10は、各急速充電器20A〜20Cと通信をして、各急速充電器20A〜20Cによる充電動作を制御する。なお、システムコントローラー10については後で説明する。
【0077】
急速充電器20は、バッテリー62(62A〜62C)を充電する装置であり、1つのシステムに複数台が設置されており、増設も可能である。このシステムでは、1台の急速充電器20A〜20Cが1つのバッテリー62を充電する構成になっている。図9の例では3台の急速充電器20が設置されているため、3つのバッテリー62A〜62Cを同時期に充電することができる。また、各急速充電器20A〜20Cは、充電対象のバッテリー62A〜62Cを搭載した電気自動車61(61A〜61C)との間でも通信をし、各種の情報を交換する。なお、急速充電器20についても後で説明する。
【0078】
負荷装置30は、急速充電器20を除いた各種の機器が該当する。例えば、エアコンや照明が負荷装置30に該当する。また、コンビニエンスストアであれば、冷蔵庫や冷凍庫といった設備も負荷装置30に該当する。本実施形態では、屋内配線に設けた電力センサー51(51A,51B)からの検出信号をシステムコントローラー10が取得し、この検出信号のレベルに基づいて各負荷装置30A,30Bに供給される電力値を認識する。
【0079】
トランス40は、変電所から供給される高圧電力を需要家で使用する低圧電力に変換する装置である。本実施形態において、トランス40は、6.6kVの高圧電力を200Vの低圧電力に変換する。また、トランス40に接続された高圧線には電力センサー52が取り付けられている。この電力センサー52の検出信号もまたシステムコントローラー10に出力される。このため、システムコントローラー10は、この充電システムに供給される電力値を取得することができる。
【0080】
次に、システムコントローラー10について説明する。
【0081】
図10(a)に示すように、システムコントローラー10は、制御部11と、通信用インタフェース12とを有する。制御部11は、CPU13とメモリー14とを有しており、CPU13がメモリー14に記憶されたプログラムを実行することで、各種の制御動作が実現される。例えば、各急速充電器20に対する最大電力値の設定を変更する動作が実現される。通信用インタフェース12は、システムコントローラー10における通信を制御する。すなわち、各急速充電器20A〜20Cとの間でなされる通信を制御する。
【0082】
メモリー14の一部領域は、図10(b)に示すように、プログラム記憶領域、識別情報記憶領域、契約電力値記憶領域、最大電力値記憶領域、供給電力値記憶領域、要求電力値記憶領域、合計電力値記憶領域、合計要求電力値記憶領域、及び、残り充電時間記憶領域として用いられている。
【0083】
プログラム記憶領域には、CPU13によって読み出されて実行されるプログラムが記憶されている。
【0084】
識別情報記憶領域には、システムコントローラー10と通信可能な電気機器について、その電気機器を示す識別情報が記憶されている。本実施形態では、各急速充電器20A〜20Cについて、それぞれの急速充電器20A〜20Cを示す固有の識別情報が記憶されている。従って、システムコントローラー10は、受信した情報に含まれる識別情報を、識別情報記憶領域に記憶された識別情報と照合することで、受信した情報が何れの急速充電器20A〜20Cから送信されたものかを認識できる。
【0085】
契約電力値記憶領域には、充電システムを所有する需要家との契約内容に応じた契約電力値が記憶される。この契約電力値は、各急速充電器20A〜20Cに対する最大電力値を定める際に参照される。
【0086】
最大電力値記憶領域には、各急速充電器20A〜20Cの充電時における最大電力値が、識別情報に対応付けられた状態で個別に記憶される。この最大電力値は、各急速充電器20A〜20Cでなされる充電動作において、電力値の上限値となる。従って、各急速充電器20A〜20Cは、最大電力値を上限として、充電対象となる電気自動車61A〜61Cから要求された電力値で充電を行う。
【0087】
供給電力値記憶領域には、各負荷装置30A,30Bに供給される電力値が記憶される。すなわち、電力センサー51A,51Bの検出信号から取得された供給電力値が負荷装置30A,30B毎に記憶される。
【0088】
要求電力値記憶領域には、要求電力値が記憶される。この要求電力値は、充電対象のバッテリー62A〜62Cが接続されている急速充電器20A〜20Cにおいて、そのバッテリー62A〜62Cを搭載した電気自動車61A〜61Cから充電用として要求されている電力値である。この要求電力値は、充電要求されている急速充電器20A〜20C毎に記憶されており、契約電力値と同様に、各急速充電器20A〜20Cに対する最大電力値を定める際に参照される。
【0089】
合計電力値記憶領域には、合計電力値が記憶される。この合計電力値は、最大電力値記憶領域に記憶された各最大電力値、及び、各負荷装置30A,30Bに供給される電力値を合計することで得られる。この合計電力値もまた、各急速充電器20A〜20Cに対する最大電力値を定める際に参照される。
【0090】
合計要求電力値記憶領域には、合計要求電力値が記憶される。この合計要求電力値は、要求電力値記憶領域に記憶された要求電力値を合計することで算出される。この合計要求電力値もまた、各急速充電器20A〜20Cに対する最大電力値を定める際に参照される。
【0091】
残り充電時間記憶領域には、充電対象のバッテリー62に対する残り充電時間が、急速充電器20A〜20C毎に記憶される。この残り充電時間は、バッテリー62が搭載された機器から送信される。本実施形態では、各電気自動車61A〜61Cのコントローラー(図示せず)から送信された最大充電時間が相当する。従って、各急速充電器20A〜20Cは、この最大充電時間を残り充電時間としてメモリー25(図11(a)を参照)に記憶するとともに、システムコントローラー10へ送信する。そして、システムコントローラー10は、受信した充電時間をメモリー14の残り充電時間記憶領域へ急速充電器20A〜20C毎に記憶する。
【0092】
次に、急速充電器20について説明する。
【0093】
図11(a)に示すように、急速充電器20は、制御部21と、通信用インタフェース22と、充電ユニット23とを有する。制御部21は、CPU24とメモリー25とを有しており、CPU24がメモリー25に記憶されたプログラムを実行することで、各種の制御動作が実現される。例えば、充電ユニット23における充電電流や充電時の電圧を設定する動作が実現される。通信用インタフェース22は、急速充電器20における通信を制御する。すなわち、システムコントローラー10や電気自動車61との間でなされる通信を制御する。
【0094】
メモリー25の一部領域は、図11(b)に示すように、プログラム記憶領域、識別情報記憶領域、最大電力値記憶領域、要求電力値記憶領域、及び、残り充電時間記憶領域として用いられている。
【0095】
プログラム記憶領域には、CPU24によって読み出されて実行されるプログラムが記憶されている。
【0096】
識別情報記憶領域には、その急速充電器20A〜20Cを示す固有の識別情報が記憶されている。各急速充電器20A〜20Cは、送信する情報にこの識別番号を含ませることで、どの急速充電器20A〜20Cから送信された情報であるかをシステムコントローラー10に認識させることができる。
【0097】
最大電力値記憶領域には、その急速充電器20A〜20Cにおける最大電力値が記憶される。前述したように各急速充電器20A〜20Cは、この最大電力値を上限として、充電対象となる電気自動車61A〜61Cから要求された電力値で充電を行う。
【0098】
要求電力値記憶領域には、要求電力値が記憶される。この要求電力値は、前述したように、充電対象のバッテリー62A〜62Cが接続されている急速充電器20A〜20Cについて、そのバッテリー62A〜62Cを搭載した電気自動車61A〜61Cから充電用として要求されている電力値である。
【0099】
残り充電時間記憶領域には、前述したように、その充電器62A〜62Cで充電されるバッテリー62A〜62Cの残り充電時間が記憶される。
【0100】
充電ユニット23は、充電対象のバッテリー62A〜62Cに対する充電用の電力を供給する部分である。この充電ユニット23は交流200Vを直流の充電電流に変換する。そして、この充電電流をコード26及びプラグ27を介して電気自動車61に流し込み、バッテリー62を充電する。この充電ユニット23は、制御部21によって設定された充電電流や電圧で充電を行う。その際、制御部21は、記憶された最大電力値を参照し、その最大電力値を超えない範囲で各電気自動車61A〜62Cからの要求に従い、充電電流や電圧の大きさを設定する。
【0101】
この急速充電器20では、プラグ27を電気自動車61に接続することで、電気自動車61と電気的に接続される。そして、電気自動車61との間で定期的(例えば500ms)に充電情報が送受信される。この充電情報は、例えば、要求電力値,最大充電時間,制御関連情報(故障フラグ,状態フラグ等の情報),バッテリー62の残存容量である。また、充電の開始時には、充電電圧の上限値,電池総容量,バッテリー62の残存容量などが電気自動車61から急速充電器20へと送信される。一方、急速充電器20からは、現在の充電電力値,出力可能な最大電力値及び制御関連情報等が送信される。
【0102】
次に、この充電システムにおける動作について説明する。
【0103】
この充電システムにおいて、各急速充電器20A〜20Cは、充電対象のバッテリー62A〜62Cに対する充電時の最大電力値(最大充電電力値)をシステムコントローラー10(充電制御装置)に送信する。また、システムコントローラー10は、受信した最大電力値同士を加算することで合計充電電力値を求め、この合計充電電力値と各負荷装置30A,30Bに供給される合計供給電力値の合計値が契約電力値を超える場合、この合計値が契約電力値以下となるように、急速充電器20A〜20Cにおける最大電力値を変更する。以下、フローチャートに基づいて、充電システムの動作を詳しく説明する。
【0104】
図12に示すように、この充電システムでは、まずシステムコントローラー10がイニシャライズ(S1)を行い、各パラメーターを初期化する。このイニシャライズによって、契約電力値(Pmax)がシステムコントローラー10の契約電力値記憶領域にセットされる。
【0105】
イニシャライズを行ったならば、電力値の取得処理(S2)が行われる。この取得処理において、システムコントローラー10は、現在設定されている最大電力値(PQ1〜n)、すなわち充電用電力の設定最大値を各急速充電器20から取得する。また、各負荷装置30に供給されている電力値(PL1−m)を電力センサー51A,51Bの検出信号から取得する。そして、取得された各電力量は、システムコントローラー10のメモリー14(最大電力値記憶領域,供給電力値記憶領域)に記憶される。
【0106】
各電力値を取得したならば、契約電力値と各電力値の合計値との比較処理(S3)が行われる。この比較処理において、システムコントローラー10は、最大電力値記憶領域に記憶された最大電力値を合計して合計充電電力値(ΣPQ1〜n)を算出する。また、供給電力値記憶領域に記憶された供給電力値を合計して合計供給電力値(ΣPL1−m)を算出する。そして、合計充電電力値と合計供給電力値を合計して合計値(ΣPQ1〜n+ΣPL1−m,合計充電電力値)を算出する。さらに、算出した合計値を、契約電力値記憶領域に記憶された契約電力値(Pmax)と比較する。
【0107】
ここで、契約電力値が合計値以上(Pmax≧ΣPQ1〜n+ΣPL1−m)であった場合、充電シーケンス(S5)に移行してバッテリー62に対する充電を行う。一方、契約電力値が合計値以上でなかった場合には、各急速充電器20A〜20Cにおける最大電力値(PQ1〜n)の変更処理(S4)を行い、契約電力値が合計値以上となるように最大電力値を変更する。
【0108】
以下、最大電力値の変更処理について説明する。
【0109】
図13に示すように、この変更処理においてシステムコントローラー10は、各急速充電器20A〜20C(=QC1〜n)に問い合わせをし、これらの急速充電器20のうち1台でも充電要求されているものがあるか否かを確認する(S11)。ここで、充電要求されている急速充電器20が1台もなかった場合には、ステップS12へ移行し、各急速充電器20A〜20Cの最大電力値(PQ1〜n)を次式(1b)に基づいて設定する。
【0110】
PQ1〜n=(Pmax−ΣPL1−m)/n ・・・ (1b)
【0111】
すなわち、このステップS12において、システムコントローラー10は、契約電力値から負荷装置30への合計供給電力値を減算し、残った分の電力値を急速充電器20の台数で等分することで、各急速充電器20A〜20Cの最大電力値(PQ1〜n)を定める。各急速充電器20A〜20Cの最大電力値を設定したならば、最大電力値の変更処理を終了する。そして、図12のフローチャートに復帰して、ステップS2以降の処理を繰り返し行う。
【0112】
一方、前述のステップS11にて、充電要求されている急速充電器20が存在した場合、ステップS13へ移行する。このステップS13では、充電要求されている急速充電器20A〜20Cの要求電力値を問い合わせるとともに合計し、これらの急速充電器20A〜20Cの合計要求電力値(ΣPQcharge)を求める。そして、求めた合計要求電力値と合計供給電力値(ΣPL1−m)とを合計し、合計した電力値(ΣPQcharge+ΣPL1−m)と契約電力量(Pmax)とを比較する。
【0113】
ここで、契約電力量が合計した電力値以上であれば、ステップS14へ移行する。このステップS14では、充電要求されていない急速充電器20の最大電力値(PQno_charge)を、次式(2b)に基づいて設定する。すなわち、充電要求されている急速充電器20A〜20Cに対しては要求通りの充電を行わせ、充電要求されていない急速充電器20A〜20Cに対しては余った分の電力値を割り振っている。
【0114】
PQno_charge=(Pmax−ΣPQcharge−ΣPL1−n)/(n−充電要求台数) ・・・ (2b)
【0115】
対象となる急速充電器20A〜20Cの最大電力値を設定したならば、システムコントローラー10は最大電力値の変更処理を終了し、ステップS2以降の処理を繰り返し行う。
【0116】
一方、ステップS13にて、契約電力量が合計した電力値以上でなかった場合、ステップS15に移行する。このステップS15では、充電要求されている各急速充電器20A〜20Cについて、要求電力量を最適化する。
【0117】
図14に示すように、この最適化処理においてシステムコントローラー10は、充電要求されている急速充電器20A〜20Cについて、残り充電時間を問い合わせる(S21)。この問い合わせは、充電要求されている全ての急速充電器20A〜20Cについて行われる(S22,S23)。そして、全ての急速充電器20A〜20Cについて問い合わせを行ったならば、システムコントローラー10は、残り充電時間が最短の急速充電器20x(=QCx)を特定する(S24)。なお、xは、急速充電器20A〜20Cのうち残り充電時間が最短のものを示す。
【0118】
急速充電器20xを特定したならば、特定した急速充電器20xの最大電力値(PQx)と受電対象の急速充電器20A〜20Cの合計要求電力値(ΣPQcharge)とを比較する(S25)。そして、特定した急速充電器20xの最大電力値が急速充電器20A〜20Cの合計要求電力値未満である場合(PQx<ΣPQcharge)、ステップS26に移行する。
【0119】
このステップS26でシステムコントローラー10は、特定した急速充電器20xの要求電力値(PQcharge_x)をその急速充電器20xの最大電力値(PQx)とするとともに、急速充電器20A〜20Cの合計要求電力値(ΣPQcharge)を、それまでの電力値から特定した急速充電器20xの要求電力値を減算した値(ΣPQcharge−PQcharge_x)にする。すなわち、最も早く充電が終了するバッテリー62xを担当している急速充電器20xに対しては、最大電力で充電を行わせ、他の急速充電器20A〜20Cに対してはその分だけ充電要求電力値を低く定める。ステップS26で要求電力値を変更したならば、最適化シーケンスを終了する。そして、ステップS2に移行し、前述した処理が繰り返し行われる。
【0120】
一方、ステップS25において、特定した急速充電器20xの最大電力値が急速充電器20A〜20Cの合計要求電力値以上の場合、ステップS27へ移行する。このステップS27及びその次のステップS28において、システムコントローラー10は、特定した急速充電器20の最大電力値(PQx)を変更する。
【0121】
すなわち、ステップS27では、次式(3b)に基づいて最大電力値PQx(new)を算出し、次式(4b)に示すように、算出した最大電力値PQx(new)を特定した急速充電器20の最大電力値(PQx)に変更する。
【0122】
PQx(new)=PQx−[(PQx−ΣPQcharge)/2] ・・・ (3b)
PQx=PQx(new) ・・・ (4b)
【0123】
これらの処理を行うことで、特定した急速充電器20xの最大電力値(PQx)は、急速充電器20の合計要求電力値(ΣPQcharge)との差の半分だけ小さな値になる。言い換えれば、合計要求電力値を用いて最大電力値が少しずつ低くなる。そして、最大電力値(PQx)を変更したならば、ステップS21に移行し、前述した処理が繰り返し行われる。
【0124】
次に、充電シーケンスについて説明する。
【0125】
図15に示すように、充電シーケンスにおいてシステムコントローラー10は、充電要求のあった急速充電器20A〜20C(QC1〜n)のうち、充電が終了したもの或いは要求電力値が下がったものがあるか否かを判断する(S31)。ここで、このような急速充電器20がなかった場合にはステップS35に移行し、設定された条件で各急速充電器20A〜20Cを動作させる。そして、全ての急速充電器20A〜20Cについて充電が完了したか否かを判断し(S36)、全ての急速充電器20A〜20Cで充電が完了したならば一連の処理を終了する。一方、充電が完了していない急速充電器20A〜20Cがある場合には、ステップS31に移行して処理を継続する。
【0126】
また、ステップS31にて、充電が終了したもの或いは要求電力値が下がったものがあると判断された場合、システムコントローラー10は、電力値の取得処理(S32)、契約電力値と各電力値の合計値との比較処理(S33)、及び、各急速充電器20における最大電力値の変更処理(S34)を行う。これらの処理は、前述したステップS2,S3,S4の各処理と同内容であるため、説明は省略する。これらの処理を行うことで、前述したように、残り充電時間の短いバッテリー62A〜62Cを充電している急速充電器20A〜20Cに対し、早期に充電が終了するように各電力値が設定される。言い換えれば、充電対象となるバッテリー62の数ができるだけ少なくなるように各電力値が設定される。その結果、限られた契約電力値を各バッテリー62の充電に有効に使用することができる。
【0127】
<まとめ>
以上説明したように、本実施形態の充電システムは、バッテリー62を充電する複数台の急速充電器20A〜20Cと、これらの急速充電器20A〜20Cと通信可能に接続され、急速充電器20A〜20Cによる充電動作を制御するシステムコントローラー10(充電制御装置)とを備えている。そして、各急速充電器20A〜20Cは、充電対象のバッテリー62A〜62Cに応じた最大充電電力値をシステムコントローラー10に送信する。また、システムコントローラー10は、受信した最大充電電力値同士を加算することで合計充電電力値を求め、この合計充電電力値が契約電力値を超える場合、合計充電電力値が前記契約電力値以下となるように、各急速充電器20における最大充電電力値を変更する。
【0128】
このように構成することで、複数のバッテリー62A〜62Cを同時期に充電する場合において、各急速充電器20A〜20Cの合計電力値が契約電力値を超えてしまうことを抑制できる。すなわち、複数の急速充電器20A〜20Cを有する充電システムであっても、バッテリー62A〜62Cの充電時における電力を適正に制御できる。また、急速充電器20を増設した場合には、急速充電器20の合計電力値が増設した分だけ増えるが、同じ制御で対応できる。このため、急速充電器20の増設にも対応できる。
【0129】
また、各急速充電器20A〜20Cは、充電の残り時間をシステムコントローラー10に送信し、システムコントローラー10は、合計充電電力値が契約電力値を超える場合、充電の残り時間が最も短い急速充電器20x以外の急速充電器20A〜20Cについて、最大充電電力値を少なくする。そして、このように構成することで、充電の残り時間が最も短い急速充電器20xについては、他の急速充電器20A〜20Cよりも早期に充電が完了する。これにより、充電対象となるバッテリー62の数が少なくなり、システム全体として充電時間を短くすることができる。
【0130】
また、システムコントローラー10は、急速充電器20以外の負荷装置30(エアコン,照明,冷蔵庫,冷凍庫)に供給される供給電力値を取得し、合計充電電力値と供給電力値の合計値が契約電力値を超える場合、この合計値が契約電力値以下となるように、最大充電電力値を変更する。そして、このように構成することで、負荷装置30に供給される電力を確保した上で、急速充電器20で用いられる電力が定められる。その結果、需要家の生活等に支障を来さない範囲で、効率よくバッテリー62の充電を行うことができる。
【0131】
また、負荷装置30A,30Bへの供給電力を測定する電力センサー51A,51Bを設け、電力センサー51A,51Bにおける測定結果から、システムコントローラー10に供給電力値を取得させている。このように構成することで、負荷装置30A,30Bへの供給電力が時間の経過に伴って変化しても適正な条件で充電を行うことができる。
【0132】
また、バッテリー62が電気自動車61の電源として用いられるものであるので、大きな電源容量が必要となる電気自動車61用のバッテリー62について、充電時における電力を適正に制御できる。
【0133】
ところで、前述の各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更や改良等が可能であり、また本発明はその等価物も含むものである。
【0134】
充電対象となる二次電池に関し、前述の各実施形態では電気自動車用のバッテリーを例示したがこれに限定されるものではない。電気自動車用のバッテリーと同程度の容量を有する二次電池であれば、充電対象となり得る。
【0135】
また、前述の各実施形態において、充電システムには、エアコン等の負荷装置が含まれているが、負荷装置を別系統にしてもよい。この場合には、充電対象のバッテリーに対する充電時の最大電力値(最大充電電力値)の合計と契約電力値とを比較することになる。
【符号の説明】
【0136】
110…システムコントローラー,111…制御部,112…通信用インタフェース,113…CPU,114…メモリー,121(121A〜121C)…コンセント,122(122A〜122C)…普通充電ケーブル,123(123A〜123C)…充電ガン,124(124A〜124C)…通信回線,130(130A,130B)…負荷,140…トランス,151(151A,151B)…電力センサー,152…電力センサー,161(161A〜161C)…電気自動車,162(162A〜162C)…電気系統,162a…車両側制御部,162b…普通充電インレット,162c…急速充電インレット,162d…車載充電器,162e…駆動用バッテリー(二次電池),162f…補機用バッテリー(二次電池),162g…インバーター,162h…駆動モーター,162i…制御ユニット,162j…通信用インタフェース,162k…CPU,162m…メモリー,10…システムコントローラー,11…制御部,12…通信用インタフェース,13…CPU,14…メモリー,20(20A〜20C)…急速充電器20,21…制御部,22…通信用インタフェース,23…充電ユニット,24…CPU,25…メモリー,26…コード,27…プラグ,30(30A,30B)…負荷装置,40…トランス,51(51A,51B)…電力センサー,52…電力センサー,61(61A〜61C)…電気自動車,62(62A〜62C)…バッテリー(二次電池)
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電システム、及び、充電システムにおける充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車用の二次電池は大容量であり、この二次電池を充電するための充電器は電源容量で30kW〜50kWであるため、二次電池の充電には大電力を必要とする。このように、充電に大電力を必要とすることから、一般の需要家のみならず高圧受電の需要家であっても、現状の契約では、複数の二次電池を並行して充電する場合、契約電力内での運用が困難になることが考えられる。そして、今後の電気自動車の普及により、充電スタンドやコンビニエンスストアなど、複数の二次電池を同時期に充電する需要家が増えると考えられる。このような状況の下、引用文献1には、複数の二次電池を独立した条件で同時に充電可能な充電装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−199752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1の充電装置において、1台の充電器で運用する場合には、複数の二次電池を同時期に充電しても、条件を適正化できる。しかし、増設等によって複数台の充電器が設置された場合、個々の充電器が独立して動作するため、全体の電力が契約電力を超えてしまうこともあり得る。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数台の充電器を有する充電システムにおいて、二次電池の充電時における電力を適正に制御することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を達成するため、本発明は、二次電池を充電する複数台の充電器と、前記複数台の充電器と通信可能に接続され、前記充電器による充電動作を制御する充電制御装置と、を備えた充電システムであって、各充電器は、充電対象の前記二次電池に対する最大充電電力値を前記充電制御装置に送信し、前記充電制御装置は、受信した前記最大充電電力値同士を加算することで合計充電電力値を求め、前記合計充電電力値が契約電力値を超える場合、前記合計充電電力値が前記契約電力値以下となるように、少なくとも1台の前記充電器における前記最大充電電力値を変更することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、二次電池を充電する複数台の充電器と、前記複数台の充電器と通信可能に接続され、前記充電器による充電動作を制御する充電制御装置と、を備える充電システムにおける充電方法であって、充電対象の前記二次電池に対する最大充電電力値を、各充電器から送信させるステップと、受信した前記最大充電電力値同士を加算することで、合計充電電力値を求めるステップと、前記合計充電電力値が前記契約電力値を超える場合、前記合計充電電力値が前記契約電力値以下となるように、少なくとも1台の前記充電器における前記最大充電電力値を変更するステップとを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数台の充電器を有する充電システムにおいて、二次電池の充電時における電力を適正に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態における充電システムの構成を模式的に説明する図である。
【図2】システムコントローラーを説明するブロック図である。
【図3】電気自動車の電気系統を説明するブロック図である。
【図4】車両側制御部を説明するブロック図である。
【図5】第1実施形態における充電システムの動作を説明するメインフローチャートである。
【図6】最大電力値の変更処理を説明するフローチャートである。
【図7】最適化シーケンスを説明するフローチャートである。
【図8】充電シーケンスを説明するフローチャートである。
【図9】第2実施形態における充電システムの構成を模式的に説明する図である。
【図10】システムコントローラーを説明するブロック図である。
【図11】急速充電器を説明するブロック図である。
【図12】第2実施形態における充電システムの動作を説明するメインフローチャートである。
【図13】最大電力値の変更処理を説明するフローチャートである。
【図14】最適化シーケンスを説明するフローチャートである。
【図15】充電シーケンスを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
【0011】
第1実施形態の充電システムは、電気自動車に搭載された二次電池を充電するためのものであり、例えば、電気自動車用の充電スタンドやコンビニエンスストアに設置される。図1に示すように、この充電システムは、システムコントローラー110と、複数台の電気自動車161(161A〜161C)と、電気自動車161以外の負荷130(130A,130B)と、トランス140とを有している。
【0012】
システムコントローラー110は、この充電システムにおける制御を担当する装置であり、充電制御装置に相当する。このシステムコントローラー110は、各電気自動車161A〜161C(詳しくは図3に示す車両側制御部162a)と通信をして、各電気自動車161A〜161Cにおける充電動作を制御する。なお、システムコントローラー110については後で説明する。
【0013】
図3に示すように、電気自動車161には車載充電器162dが搭載されている。車載充電器162dは、車両側制御部162aから制御に応じて二次電池を充電する装置である。従って、車両側制御部162aと車載充電器162dの組が、通信機能付きの充電器を構成する。例示した電気自動車161には、二次電池として駆動用バッテリー162eと補機用バッテリー162fが搭載されている。このため、車載充電器162dは、これらのバッテリー162e,162fを充電する。
【0014】
図1の例では3台分のコンセント121(121A〜121C)が設けられており、充電ガン123(123A〜123C)を備える普通充電ケーブル122(122A〜122C)によって、電気自動車161A〜161Cと電気的に接続されている。このため、3台の電気自動車161に搭載されたバッテリー162e,162fを、同時期に充電することができる。また、各電気自動車161A〜161Cの電気系統162A〜162C(詳しくは、図3の車両側制御部162a)は、有線或いは無線の通信回線124(124A〜124C)を通じてシステムコントローラー110と通信をし、各種の情報を交換する。なお、電気自動車161についても後で説明する。
【0015】
負荷130は、電気自動車161を除いた各種の機器が該当する。例えば、エアコンや照明が負荷130に該当する。また、コンビニエンスストアであれば、冷蔵庫や冷凍庫といった設備も負荷130に該当する。本実施形態では、屋内配線に設けた電力センサー151(151A,151B)からの検出信号をシステムコントローラー110が取得し、この検出信号のレベルに基づいて各負荷130A,130Bに供給される電力値を認識する。
【0016】
トランス140は、変電所から供給される高圧電力を需要家で使用する低圧電力に変換する装置である。本実施形態において、トランス140は、6.6kVの高圧電力を200Vの低圧電力に変換する。また、トランス140に接続された高圧線には電力センサー152が取り付けられている。この電力センサー152の検出信号もまたシステムコントローラー110に出力される。このため、システムコントローラー110は、この充電システムに供給される電力値を取得することができる。
【0017】
次に、システムコントローラー110について説明する。
【0018】
図2(a)に示すように、システムコントローラー110は、制御部111と、通信用インタフェース112とを有する。制御部111は、CPU113とメモリー114とを有しており、CPU113がメモリー114に記憶されたプログラムを実行することで、各種の制御動作が実現される。例えば、各車載充電器162dに対する最大電力値の設定を変更する動作が実現される。通信用インタフェース112は、システムコントローラー110における通信を制御する。すなわち、各電気自動車161A〜161Cの車載充電器162dとの間でなされる通信を制御する。
【0019】
メモリー114の一部領域は、図2(b)に示すように、プログラム記憶領域、識別情報記憶領域、契約電力値記憶領域、最大電力値記憶領域、供給電力値記憶領域、要求電力値記憶領域、合計電力値記憶領域、合計要求電力値記憶領域、及び、残り充電時間記憶領域として用いられている。
【0020】
プログラム記憶領域には、CPU113によって読み出されて実行されるプログラムが記憶されている。
【0021】
識別情報記憶領域には、システムコントローラー110と通信可能な電気機器について、その電気機器を示す識別情報が記憶されている。本実施形態では、各電気自動車161A〜161Cについて、それぞれの電気自動車161A〜161Cを示す固有の識別情報が記憶されている。従って、システムコントローラー110は、受信した情報に含まれる識別情報を、識別情報記憶領域に記憶された識別情報と照合することで、受信した情報が何れの電気自動車161A〜161Cから送信されたものかを認識できる。
【0022】
契約電力値記憶領域には、充電システムを所有する需要家との契約内容に応じた契約電力値が記憶される。この契約電力値は、各電気自動車161A〜161Cの車載充電器162dに対する最大電力値を定める際に参照される。
【0023】
最大電力値記憶領域には、車載充電器162dの充電時における最大電力値が、識別情報に対応付けられた状態で個別に記憶される。この最大電力値は、各電気自動車161A〜161Cの車載充電器162dでなされる充電動作において、電力値の上限値となる。従って、車載充電器162dは、最大電力値を上限としてその電気自動車161A〜161Cで定めた電力値で充電を行う。
【0024】
供給電力値記憶領域には、各負荷130A,130Bに供給される電力値が記憶される。すなわち、電力センサー151A,151Bの検出信号から取得された供給電力値が負荷130A,130B毎に記憶される。
【0025】
要求電力値記憶領域には、要求電力値が記憶される。この要求電力値は、充電対象の電気自動車161A〜161Cがそのバッテリー162e,162fを充電するために要求している電力値である。この要求電力値は、充電対象の電気自動車161A〜161C毎に記憶されており、契約電力値と同様に、各車載充電器162dにおける最大電力値を定める際に参照される。
【0026】
合計電力値記憶領域には、合計電力値が記憶される。この合計電力値は、最大電力値記憶領域に記憶された各最大電力値、及び、各負荷130A,130Bに供給される電力値を合計することで得られる。この合計電力値もまた、各車載充電器162dにおける最大電力値を定める際に参照される。
【0027】
合計要求電力値記憶領域には、合計要求電力値が記憶される。この合計要求電力値は、要求電力値記憶領域に記憶された要求電力値を合計することで算出される。この合計要求電力値もまた、各車載充電器162dにおける最大電力値を定める際に参照される。
【0028】
残り充電時間記憶領域には、充電対象のバッテリー162e,162fに対する残り充電時間が、充電対象の電気自動車161A〜161C毎に記憶される。この残り充電時間は、二次電池が搭載された機器から送信される。本実施形態では、各電気自動車161A〜161Cの車両側制御部162aから送信された最大充電時間が相当する。システムコントローラー110は、受信した充電時間をメモリー114の残り充電時間記憶領域に、充電対象の電気自動車161A〜161C毎に記憶する。
【0029】
次に、電気自動車161の電気系統162(162A〜162C)について説明する。
【0030】
図3に示すように、電気自動車161の電気系統162は、車両側制御部162aと、普通充電インレット162bと、急速充電インレット162cと、車載充電器162dと、駆動用バッテリー162eと、補機用バッテリー162fと、インバーター162gと、駆動モーター162hとを有している。
【0031】
車両側制御部162aは、電気自動車161における制御を担当する部分であり、車両側通信部としても機能する。普通充電インレット162bは充電ガン123が接続される部分である。急速充電インレット162cは急速充電器が備える急速充電用の充電ガンが接続される部分である。車載充電器162dは、駆動用バッテリー162e及び補機用バッテリー162fを充電する部分である。すなわち、車載充電器162dは、充電ガン123等を通じて供給された単相低圧電源によって、これらの駆動用バッテリー162e及び補機用バッテリー162fを充電する。駆動用バッテリー162eは、駆動モーター162hを動作させるための直流電力を蓄える部分である。補機用バッテリー162fは、車両側制御部162a等の計器類を動作させるための直流電力を蓄える部分である。
【0032】
各バッテリー162e,162fへの充電時において、車載充電器162dは充電に関する制御も行う。この充電制御は、システムコントローラー110による制御の下で行われる(後述する)。なお、駆動用バッテリー162eと補機用バッテリー162fとは、蓄える直流電力の電圧が異なっている。このため、車載充電器162dには、DC/DCコンバーター回路が設けられており、適した電圧で充電が行えるように構成されている。
【0033】
インバーター162gは、駆動用バッテリー162eに蓄えられた直流電力から交流電力を生成する電力変換装置である。このインバーター162gは、車両側制御部162aからの制御信号に応じて、周波数が調整された交流電力が出力される。そして、インバーター162gで生成された交流電力は、駆動モーター162hに供給される。従って、駆動モーター162hの回転数は、車両側制御部162aからの制御信号に応じて制御される。
【0034】
駆動モーター162hは、タイヤを回転させる駆動源となる部分である。すなわち、駆動モーター162hの回転軸はトランスミッション(図示せず)に接続されており、駆動モーター162hからの回転力は適宜減速されて車軸に伝達される。
【0035】
図4(a)に示すように、車両側制御部162aは、制御ユニット162iと、通信用インタフェース162jとを有する。制御ユニット162iは、CPU162kとメモリー162mとを有しており、CPU162kがメモリー162mに記憶されたプログラムを実行することで、各種の制御動作が実現される。例えば、車載充電器162dにおける充電電流や充電時の電圧を設定する動作が実現される。通信用インタフェース162jは、電気自動車161における通信を制御する。この例では、システムコントローラー110との間でなされる通信を制御する。
【0036】
メモリー162mの一部領域は、図4(b)に示すように、プログラム記憶領域、識別情報記憶領域、最大電力値記憶領域、要求電力値記憶領域、及び、残り充電時間記憶領域として用いられている。
【0037】
プログラム記憶領域には、CPU162kによって読み出されて実行されるプログラムが記憶されている。
【0038】
識別情報記憶領域には、その電気自動車161A〜161Cを示す固有の識別情報が記憶されている。車両側制御部162aは、送信する情報にこの識別番号を含ませることで、どの電気自動車161A〜161Cから送信された情報であるかをシステムコントローラー110に認識させることができる。
【0039】
最大電力値記憶領域には、その電気自動車161A〜161Cに対する最大電力値が記憶される。そして、電気自動車161A〜161Cは、この最大電力値を上限とするとともに定めた電力値で充電を行う。
【0040】
要求電力値記憶領域には、要求電力値が記憶される。この要求電力値は、充電対象の電気自動車161A〜161Cがバッテリー162e,162fを充電するために要求している電力値である。
【0041】
残り充電時間記憶領域には、前述したように、その電気自動車161A〜161Cに搭載されたバッテリー162e,162fに対する残り充電時間が記憶される。
【0042】
この電気自動車161では、充電ガン123が普通充電インレットに162bに接続され、所定の開始スイッチ(図示せず)に対する操作信号を車両側制御部162aが認識することで充電が開始される。その際、車両側制御部162aは、システムコントローラー110と通信回線124を通じて電気的に接続される。そして、定期的(例えば500ms)に充電関連情報が送受信される。この充電関連情報は、バッテリー162e,162fの充電に必要とされる各種の情報である。
【0043】
次に、この充電システムにおける動作について説明する。
【0044】
この充電システムにおいて、各電気自動車161A〜161Cは、充電対象のバッテリー162e,162f(二次電池)に対する充電時の最大電力値(最大充電電力値)をシステムコントローラー110(充電制御装置)に送信する。また、システムコントローラー110は、受信した最大電力値同士を加算することで合計充電電力値を求め、この合計充電電力値と各負荷130A,130Bに供給される合計供給電力値の合計値が契約電力値を超える場合、この合計値が契約電力値以下となるように、各電気自動車161A〜161C(車載充電器162d)における最大電力値を変更する。以下、フローチャートに基づいて、充電システムの動作を詳しく説明する。
【0045】
図5に示すように、この充電システムでは、まずシステムコントローラー110がイニシャライズ(S101)を行い、各パラメーターを初期化する。このイニシャライズによって、契約電力値(Pmax)がシステムコントローラー110の契約電力値記憶領域にセットされる。
【0046】
イニシャライズを行ったならば、電力値の取得処理(S102)が行われる。この取得処理において、システムコントローラー110は、各車載充電器162d(NC1〜n)について現在設定されている最大電力値(PQ1〜n)、すなわち充電用電力の設定最大値を、各電気自動車161A〜161Cの車両側制御部162aから取得する。また、各負荷130A,130Bに供給されている電力値(PL1−m)を電力センサー151A,151Bの検出信号から取得する。そして、取得された各電力量は、システムコントローラー110のメモリー114(最大電力値記憶領域,供給電力値記憶領域)に記憶される。
【0047】
各電力値を取得したならば、契約電力値と各電力値の合計値との比較処理(S103)が行われる。この比較処理において、システムコントローラー110は、最大電力値記憶領域に記憶された最大電力値を合計して合計充電電力値(ΣPQ1〜n)を算出する。また、供給電力値記憶領域に記憶された供給電力値を合計して合計供給電力値(ΣPL1−m)を算出する。そして、合計充電電力値と合計供給電力値を合計して合計値(ΣPQ1〜n+ΣPL1−m,合計充電電力値)を算出する。さらに、算出した合計値を、契約電力値記憶領域に記憶された契約電力値(Pmax)と比較する。
【0048】
ここで、契約電力値が合計値以上(Pmax≧ΣPQ1〜n+ΣPL1−m)であった場合、充電シーケンス(S105)に移行してバッテリー162e,162fに対する充電を行う。一方、契約電力値が合計値以上でなかった場合には、各車載充電器162dにおける最大電力値(PQ1〜n)の変更処理(S104)を行い、契約電力値が合計値以上となるように最大電力値を変更する。
【0049】
以下、最大電力値の変更処理について説明する。
【0050】
図6に示すように、この変更処理においてシステムコントローラー110は、各車両側制御部162aに問い合わせをし、各車載充電器162d(NC1〜n)のうち1台でも充電要求しているものがあるか否かを確認する(S111)。ここで、充電要求している車載充電器162dが1台もなかった場合には、ステップS112へ移行し、各車載充電器162dの最大電力値(PQ1〜n)を次式(1a)に基づいて設定する。
【0051】
PQ1〜n=(Pmax−ΣPL1−m)/n ・・・ (1a)
【0052】
すなわち、このステップS112において、システムコントローラー110は、契約電力値から各負荷130A,130Bへの合計供給電力値を減算し、残った分の電力値を車載充電器162dの台数で等分することで、各車載充電器162dの最大電力値(PQ1〜n)を定める。各車載充電器162dCの最大電力値を設定したならば、最大電力値の変更処理を終了する。そして、図5のフローチャートに復帰して、ステップS102以降の処理を繰り返し行う。
【0053】
一方、前述のステップS111にて、充電要求している車載充電器162dが存在した場合、ステップS113へ移行する。このステップS113では、充電要求している車載充電器162dについて要求電力値を問い合わせるとともに合計し、これら車載充電器162dの合計要求電力値(ΣPQcharge)を求める。そして、求めた合計要求電力値と合計供給電力値(ΣPL1−m)とを合計し、合計した電力値(ΣPQcharge+ΣPL1−m)と契約電力量(Pmax)とを比較する。
【0054】
ここで、契約電力量が合計した電力値以上であれば、ステップS114へ移行する。このステップS114では、充電要求していない車載充電器162dの最大電力値(PQno_charge)を、次式(2a)に基づいて設定する。すなわち、充電要求している車載充電器162dに対しては要求通りの充電を行わせ、充電要求していない車載充電器162dに対しては余った分の電力値を割り振っている。
【0055】
PQno_charge=(Pmax−ΣPQcharge−ΣPL1−n)/(n−充電要求台数) ・・・ (2a)
【0056】
対象となる車載充電器162dについて最大電力値を設定したならば、システムコントローラー110は最大電力値の変更処理を終了し、ステップS102以降の処理を繰り返し行う。
【0057】
一方、ステップS113にて、契約電力量が合計した電力値以上でなかった場合、ステップS115に移行する。このステップS115では、充電要求している車載充電器162dについて、要求電力量を最適化する。
【0058】
図7に示すように、この最適化処理においてシステムコントローラー110は、充電要求している車載充電器162d(NCn)についての残り充電時間を、対応する車両側制御部162aに問い合わせる(S121)。この問い合わせは、充電要求している全ての車載充電器162dについて行われる(S122,S123)。そして、全ての車載充電器162dについて問い合わせを行ったならば、システムコントローラー110は、残り充電時間が最短の車載充電器162dを特定する(S124)。なお、ステップS124のNCxは、充電要求している車載充電器162dのうち残り充電時間が最短のものを示す。
【0059】
車載充電器162d(NCx)を特定したならば、特定した車載充電器162dの最大電力値(PQx)と、充電要求している車載充電器162dの合計要求電力値(ΣPQcharge)とを比較する(S125)。そして、特定した車載充電器162dの最大電力値が車載充電器162dの合計要求電力値未満である場合(PQx<ΣPQcharge)、ステップS126に移行する。
【0060】
このステップS126でシステムコントローラー110は、特定した車載充電器162dの要求電力値(PQcharge_x)をその車載充電器162dの最大電力値(PQx)とするとともに、充電要求している車載充電器162dの合計要求電力値(ΣPQcharge)を、それまでの電力値から特定した車載充電器162dの要求電力値を減算した値(ΣPQcharge−PQcharge_x)にする。すなわち、最も早く充電が終了するバッテリー162e,162fを担当している車載充電器162dに対しては、最大電力で充電を行わせ、他の車載充電器162dに対してはその分だけ充電要求電力値を低く定める。ステップS126で要求電力値を変更したならば、最適化シーケンスを終了する。そして、ステップS102に移行し、前述した処理が繰り返し行われる。
【0061】
一方、ステップS125において、特定した車載充電器162dの最大電力値が、充電要求している車載充電器162dの合計要求電力値以上の場合、ステップS127へ移行する。このステップS127及びその次のステップS128において、システムコントローラー110は、特定した車載充電器162dの最大電力値(PQx)を変更する。
【0062】
すなわち、ステップS127では、次式(3a)に基づいて最大電力値PQx(new)を算出し、次式(4a)に示すように、算出した最大電力値PQx(new)を、特定した車載充電器162dの最大電力値(PQx)に変更する。
【0063】
PQx(new)=PQx−[(PQx−ΣPQcharge)/2] ・・・ (3a)
PQx=PQx(new) ・・・ (4a)
【0064】
これらの処理を行うことで、特定した車載充電器162dの最大電力値(PQx)は、車載充電器162dの合計要求電力値(ΣPQcharge)との差の半分だけ小さな値になる。言い換えれば、合計要求電力値を用いて最大電力値が少しずつ低くなる。そして、最大電力値(PQx)を変更したならば、ステップS121に移行し、前述した処理が繰り返し行われる。
【0065】
次に、充電シーケンスについて説明する。
【0066】
図8に示すように、充電シーケンスにおいてシステムコントローラー110は、充電要求している車載充電器162dのうち、充電が終了したもの或いは要求電力値が下がったものがあるか否かを判断する(S131)。ここで、このような車載充電器162dがなかった場合にはステップS135に移行し、設定された条件で各車載充電器162dを動作させる。そして、全ての車載充電器162dについて充電が完了したか否かを判断し(S136)、全ての車載充電器162dで充電が完了したならば一連の処理を終了する。一方、充電が完了していない車載充電器162dがある場合には、ステップS131に移行して処理を継続する。
【0067】
また、ステップS131にて、充電が終了した車載充電器162d或いは要求電力値が下がった車載充電器162dがあると判断した場合、システムコントローラー110は、電力値の取得処理(S132)、契約電力値と各電力値の合計値との比較処理(S133)、及び、各車載充電器162dにおける最大電力値の変更処理(S134)を行う。これらの処理は、前述したステップS102,S103,S104の各処理と同内容であるため、説明は省略する。これらの処理を行うことで、前述したように、残り充電時間の短いバッテリー162e,162fを充電している車載充電器162dCに対し、早期に充電が終了するように各電力値が設定される。言い換えれば、充電対象となるバッテリー162e,162fの数ができるだけ少なくなるように各電力値が設定される。その結果、限られた契約電力値を各バッテリー162e,162fの充電に有効に使用することができる。
【0068】
<まとめ>
以上説明したように、本実施形態の充電システムは、バッテリー162e,162f(二次電池)を充電する複数台の車載充電器162dと、これらの車載充電器162dと通信可能に接続され、車載充電器162dによる充電動作を制御するシステムコントローラー110(充電制御装置)とを備えている。そして、各車載充電器162dは、充電対象のバッテリー162e,162fに応じた最大充電電力値をシステムコントローラー110に送信する。また、システムコントローラー110は、受信した最大充電電力値同士を加算することで合計充電電力値を求め、この合計充電電力値が契約電力値を超える場合、合計充電電力値が前記契約電力値以下となるように、各車載充電器162dにおける最大充電電力値を変更する。
【0069】
このように構成することで、複数のバッテリー162e,162fを同時期に充電する場合において、各車載充電器162dの合計電力値が契約電力値を超えてしまうことを抑制できる。すなわち、複数の車載充電器162dを有する充電システムであっても、バッテリー162e,162fの充電時における電力を適正に制御できる。また、充電対象となる電気自動車161が増えた場合、電気自動車161が増えた分だけ合計充電電力値も増えるが、同じ制御で対応できる。このため、電気自動車161が増えても容易に対応できる。
【0070】
また、各車載充電器162dは、充電の残り時間をシステムコントローラー110に送信し、システムコントローラー110は、合計充電電力値が契約電力値を超える場合、充電の残り時間が最も短い車載充電器162d(NCx)以外の車載充電器162dについて、最大充電電力値を少なくする。そして、このように構成することで、充電の残り時間が最も短い車載充電器162dについては、他の車載充電器162dよりも早期に充電が完了する。これにより、充電対象となるバッテリー162e,162fの数が少なくなり、システム全体として充電時間を短くすることができる。
【0071】
また、システムコントローラー110は、電気自動車161以外の負荷130(エアコン,照明,冷蔵庫,冷凍庫)に供給される供給電力値を取得し、合計充電電力値と供給電力値の合計値が契約電力値を超える場合、この合計値が契約電力値以下となるように、最大充電電力値を変更する。そして、このように構成することで、負荷130に供給される電力を確保した上で、バッテリー162e,162fの充電に用いられる電力が定められる。その結果、需要家の生活等に支障を来さない範囲で、効率よくバッテリー162e,162fの充電を行うことができる。
【0072】
また、負荷130A,130Bへの供給電力を測定する電力センサー151A,151Bを設け、電力センサー151A,151Bにおける測定結果から、システムコントローラー110に供給電力値を取得させている。このように構成することで、負荷130A,130Bへの供給電力が時間の経過に伴って変化しても適正な条件で充電を行うことができる。
【0073】
また、バッテリー162e,162fが大きな電源容量が必要となる電気自動車161の電源であるため、充電時に必要とされる大電力を適正に制御できる。
【0074】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0075】
第2実施形態の充電システムもまた、電気自動車に搭載されたバッテリー(二次電池)を充電するためのものであり、例えば、電気自動車用の充電スタンドやコンビニエンスストアに設置される。図9に示すように、この充電システムは、システムコントローラー10と、複数台の急速充電器20(20A〜20C)と、急速充電器20以外の負荷装置30(30A,30B)と、トランス40とを有している。
【0076】
システムコントローラー10は、この充電システムにおける制御を担当する装置であり、充電制御装置に相当する。このシステムコントローラー10は、各急速充電器20A〜20Cと通信をして、各急速充電器20A〜20Cによる充電動作を制御する。なお、システムコントローラー10については後で説明する。
【0077】
急速充電器20は、バッテリー62(62A〜62C)を充電する装置であり、1つのシステムに複数台が設置されており、増設も可能である。このシステムでは、1台の急速充電器20A〜20Cが1つのバッテリー62を充電する構成になっている。図9の例では3台の急速充電器20が設置されているため、3つのバッテリー62A〜62Cを同時期に充電することができる。また、各急速充電器20A〜20Cは、充電対象のバッテリー62A〜62Cを搭載した電気自動車61(61A〜61C)との間でも通信をし、各種の情報を交換する。なお、急速充電器20についても後で説明する。
【0078】
負荷装置30は、急速充電器20を除いた各種の機器が該当する。例えば、エアコンや照明が負荷装置30に該当する。また、コンビニエンスストアであれば、冷蔵庫や冷凍庫といった設備も負荷装置30に該当する。本実施形態では、屋内配線に設けた電力センサー51(51A,51B)からの検出信号をシステムコントローラー10が取得し、この検出信号のレベルに基づいて各負荷装置30A,30Bに供給される電力値を認識する。
【0079】
トランス40は、変電所から供給される高圧電力を需要家で使用する低圧電力に変換する装置である。本実施形態において、トランス40は、6.6kVの高圧電力を200Vの低圧電力に変換する。また、トランス40に接続された高圧線には電力センサー52が取り付けられている。この電力センサー52の検出信号もまたシステムコントローラー10に出力される。このため、システムコントローラー10は、この充電システムに供給される電力値を取得することができる。
【0080】
次に、システムコントローラー10について説明する。
【0081】
図10(a)に示すように、システムコントローラー10は、制御部11と、通信用インタフェース12とを有する。制御部11は、CPU13とメモリー14とを有しており、CPU13がメモリー14に記憶されたプログラムを実行することで、各種の制御動作が実現される。例えば、各急速充電器20に対する最大電力値の設定を変更する動作が実現される。通信用インタフェース12は、システムコントローラー10における通信を制御する。すなわち、各急速充電器20A〜20Cとの間でなされる通信を制御する。
【0082】
メモリー14の一部領域は、図10(b)に示すように、プログラム記憶領域、識別情報記憶領域、契約電力値記憶領域、最大電力値記憶領域、供給電力値記憶領域、要求電力値記憶領域、合計電力値記憶領域、合計要求電力値記憶領域、及び、残り充電時間記憶領域として用いられている。
【0083】
プログラム記憶領域には、CPU13によって読み出されて実行されるプログラムが記憶されている。
【0084】
識別情報記憶領域には、システムコントローラー10と通信可能な電気機器について、その電気機器を示す識別情報が記憶されている。本実施形態では、各急速充電器20A〜20Cについて、それぞれの急速充電器20A〜20Cを示す固有の識別情報が記憶されている。従って、システムコントローラー10は、受信した情報に含まれる識別情報を、識別情報記憶領域に記憶された識別情報と照合することで、受信した情報が何れの急速充電器20A〜20Cから送信されたものかを認識できる。
【0085】
契約電力値記憶領域には、充電システムを所有する需要家との契約内容に応じた契約電力値が記憶される。この契約電力値は、各急速充電器20A〜20Cに対する最大電力値を定める際に参照される。
【0086】
最大電力値記憶領域には、各急速充電器20A〜20Cの充電時における最大電力値が、識別情報に対応付けられた状態で個別に記憶される。この最大電力値は、各急速充電器20A〜20Cでなされる充電動作において、電力値の上限値となる。従って、各急速充電器20A〜20Cは、最大電力値を上限として、充電対象となる電気自動車61A〜61Cから要求された電力値で充電を行う。
【0087】
供給電力値記憶領域には、各負荷装置30A,30Bに供給される電力値が記憶される。すなわち、電力センサー51A,51Bの検出信号から取得された供給電力値が負荷装置30A,30B毎に記憶される。
【0088】
要求電力値記憶領域には、要求電力値が記憶される。この要求電力値は、充電対象のバッテリー62A〜62Cが接続されている急速充電器20A〜20Cにおいて、そのバッテリー62A〜62Cを搭載した電気自動車61A〜61Cから充電用として要求されている電力値である。この要求電力値は、充電要求されている急速充電器20A〜20C毎に記憶されており、契約電力値と同様に、各急速充電器20A〜20Cに対する最大電力値を定める際に参照される。
【0089】
合計電力値記憶領域には、合計電力値が記憶される。この合計電力値は、最大電力値記憶領域に記憶された各最大電力値、及び、各負荷装置30A,30Bに供給される電力値を合計することで得られる。この合計電力値もまた、各急速充電器20A〜20Cに対する最大電力値を定める際に参照される。
【0090】
合計要求電力値記憶領域には、合計要求電力値が記憶される。この合計要求電力値は、要求電力値記憶領域に記憶された要求電力値を合計することで算出される。この合計要求電力値もまた、各急速充電器20A〜20Cに対する最大電力値を定める際に参照される。
【0091】
残り充電時間記憶領域には、充電対象のバッテリー62に対する残り充電時間が、急速充電器20A〜20C毎に記憶される。この残り充電時間は、バッテリー62が搭載された機器から送信される。本実施形態では、各電気自動車61A〜61Cのコントローラー(図示せず)から送信された最大充電時間が相当する。従って、各急速充電器20A〜20Cは、この最大充電時間を残り充電時間としてメモリー25(図11(a)を参照)に記憶するとともに、システムコントローラー10へ送信する。そして、システムコントローラー10は、受信した充電時間をメモリー14の残り充電時間記憶領域へ急速充電器20A〜20C毎に記憶する。
【0092】
次に、急速充電器20について説明する。
【0093】
図11(a)に示すように、急速充電器20は、制御部21と、通信用インタフェース22と、充電ユニット23とを有する。制御部21は、CPU24とメモリー25とを有しており、CPU24がメモリー25に記憶されたプログラムを実行することで、各種の制御動作が実現される。例えば、充電ユニット23における充電電流や充電時の電圧を設定する動作が実現される。通信用インタフェース22は、急速充電器20における通信を制御する。すなわち、システムコントローラー10や電気自動車61との間でなされる通信を制御する。
【0094】
メモリー25の一部領域は、図11(b)に示すように、プログラム記憶領域、識別情報記憶領域、最大電力値記憶領域、要求電力値記憶領域、及び、残り充電時間記憶領域として用いられている。
【0095】
プログラム記憶領域には、CPU24によって読み出されて実行されるプログラムが記憶されている。
【0096】
識別情報記憶領域には、その急速充電器20A〜20Cを示す固有の識別情報が記憶されている。各急速充電器20A〜20Cは、送信する情報にこの識別番号を含ませることで、どの急速充電器20A〜20Cから送信された情報であるかをシステムコントローラー10に認識させることができる。
【0097】
最大電力値記憶領域には、その急速充電器20A〜20Cにおける最大電力値が記憶される。前述したように各急速充電器20A〜20Cは、この最大電力値を上限として、充電対象となる電気自動車61A〜61Cから要求された電力値で充電を行う。
【0098】
要求電力値記憶領域には、要求電力値が記憶される。この要求電力値は、前述したように、充電対象のバッテリー62A〜62Cが接続されている急速充電器20A〜20Cについて、そのバッテリー62A〜62Cを搭載した電気自動車61A〜61Cから充電用として要求されている電力値である。
【0099】
残り充電時間記憶領域には、前述したように、その充電器62A〜62Cで充電されるバッテリー62A〜62Cの残り充電時間が記憶される。
【0100】
充電ユニット23は、充電対象のバッテリー62A〜62Cに対する充電用の電力を供給する部分である。この充電ユニット23は交流200Vを直流の充電電流に変換する。そして、この充電電流をコード26及びプラグ27を介して電気自動車61に流し込み、バッテリー62を充電する。この充電ユニット23は、制御部21によって設定された充電電流や電圧で充電を行う。その際、制御部21は、記憶された最大電力値を参照し、その最大電力値を超えない範囲で各電気自動車61A〜62Cからの要求に従い、充電電流や電圧の大きさを設定する。
【0101】
この急速充電器20では、プラグ27を電気自動車61に接続することで、電気自動車61と電気的に接続される。そして、電気自動車61との間で定期的(例えば500ms)に充電情報が送受信される。この充電情報は、例えば、要求電力値,最大充電時間,制御関連情報(故障フラグ,状態フラグ等の情報),バッテリー62の残存容量である。また、充電の開始時には、充電電圧の上限値,電池総容量,バッテリー62の残存容量などが電気自動車61から急速充電器20へと送信される。一方、急速充電器20からは、現在の充電電力値,出力可能な最大電力値及び制御関連情報等が送信される。
【0102】
次に、この充電システムにおける動作について説明する。
【0103】
この充電システムにおいて、各急速充電器20A〜20Cは、充電対象のバッテリー62A〜62Cに対する充電時の最大電力値(最大充電電力値)をシステムコントローラー10(充電制御装置)に送信する。また、システムコントローラー10は、受信した最大電力値同士を加算することで合計充電電力値を求め、この合計充電電力値と各負荷装置30A,30Bに供給される合計供給電力値の合計値が契約電力値を超える場合、この合計値が契約電力値以下となるように、急速充電器20A〜20Cにおける最大電力値を変更する。以下、フローチャートに基づいて、充電システムの動作を詳しく説明する。
【0104】
図12に示すように、この充電システムでは、まずシステムコントローラー10がイニシャライズ(S1)を行い、各パラメーターを初期化する。このイニシャライズによって、契約電力値(Pmax)がシステムコントローラー10の契約電力値記憶領域にセットされる。
【0105】
イニシャライズを行ったならば、電力値の取得処理(S2)が行われる。この取得処理において、システムコントローラー10は、現在設定されている最大電力値(PQ1〜n)、すなわち充電用電力の設定最大値を各急速充電器20から取得する。また、各負荷装置30に供給されている電力値(PL1−m)を電力センサー51A,51Bの検出信号から取得する。そして、取得された各電力量は、システムコントローラー10のメモリー14(最大電力値記憶領域,供給電力値記憶領域)に記憶される。
【0106】
各電力値を取得したならば、契約電力値と各電力値の合計値との比較処理(S3)が行われる。この比較処理において、システムコントローラー10は、最大電力値記憶領域に記憶された最大電力値を合計して合計充電電力値(ΣPQ1〜n)を算出する。また、供給電力値記憶領域に記憶された供給電力値を合計して合計供給電力値(ΣPL1−m)を算出する。そして、合計充電電力値と合計供給電力値を合計して合計値(ΣPQ1〜n+ΣPL1−m,合計充電電力値)を算出する。さらに、算出した合計値を、契約電力値記憶領域に記憶された契約電力値(Pmax)と比較する。
【0107】
ここで、契約電力値が合計値以上(Pmax≧ΣPQ1〜n+ΣPL1−m)であった場合、充電シーケンス(S5)に移行してバッテリー62に対する充電を行う。一方、契約電力値が合計値以上でなかった場合には、各急速充電器20A〜20Cにおける最大電力値(PQ1〜n)の変更処理(S4)を行い、契約電力値が合計値以上となるように最大電力値を変更する。
【0108】
以下、最大電力値の変更処理について説明する。
【0109】
図13に示すように、この変更処理においてシステムコントローラー10は、各急速充電器20A〜20C(=QC1〜n)に問い合わせをし、これらの急速充電器20のうち1台でも充電要求されているものがあるか否かを確認する(S11)。ここで、充電要求されている急速充電器20が1台もなかった場合には、ステップS12へ移行し、各急速充電器20A〜20Cの最大電力値(PQ1〜n)を次式(1b)に基づいて設定する。
【0110】
PQ1〜n=(Pmax−ΣPL1−m)/n ・・・ (1b)
【0111】
すなわち、このステップS12において、システムコントローラー10は、契約電力値から負荷装置30への合計供給電力値を減算し、残った分の電力値を急速充電器20の台数で等分することで、各急速充電器20A〜20Cの最大電力値(PQ1〜n)を定める。各急速充電器20A〜20Cの最大電力値を設定したならば、最大電力値の変更処理を終了する。そして、図12のフローチャートに復帰して、ステップS2以降の処理を繰り返し行う。
【0112】
一方、前述のステップS11にて、充電要求されている急速充電器20が存在した場合、ステップS13へ移行する。このステップS13では、充電要求されている急速充電器20A〜20Cの要求電力値を問い合わせるとともに合計し、これらの急速充電器20A〜20Cの合計要求電力値(ΣPQcharge)を求める。そして、求めた合計要求電力値と合計供給電力値(ΣPL1−m)とを合計し、合計した電力値(ΣPQcharge+ΣPL1−m)と契約電力量(Pmax)とを比較する。
【0113】
ここで、契約電力量が合計した電力値以上であれば、ステップS14へ移行する。このステップS14では、充電要求されていない急速充電器20の最大電力値(PQno_charge)を、次式(2b)に基づいて設定する。すなわち、充電要求されている急速充電器20A〜20Cに対しては要求通りの充電を行わせ、充電要求されていない急速充電器20A〜20Cに対しては余った分の電力値を割り振っている。
【0114】
PQno_charge=(Pmax−ΣPQcharge−ΣPL1−n)/(n−充電要求台数) ・・・ (2b)
【0115】
対象となる急速充電器20A〜20Cの最大電力値を設定したならば、システムコントローラー10は最大電力値の変更処理を終了し、ステップS2以降の処理を繰り返し行う。
【0116】
一方、ステップS13にて、契約電力量が合計した電力値以上でなかった場合、ステップS15に移行する。このステップS15では、充電要求されている各急速充電器20A〜20Cについて、要求電力量を最適化する。
【0117】
図14に示すように、この最適化処理においてシステムコントローラー10は、充電要求されている急速充電器20A〜20Cについて、残り充電時間を問い合わせる(S21)。この問い合わせは、充電要求されている全ての急速充電器20A〜20Cについて行われる(S22,S23)。そして、全ての急速充電器20A〜20Cについて問い合わせを行ったならば、システムコントローラー10は、残り充電時間が最短の急速充電器20x(=QCx)を特定する(S24)。なお、xは、急速充電器20A〜20Cのうち残り充電時間が最短のものを示す。
【0118】
急速充電器20xを特定したならば、特定した急速充電器20xの最大電力値(PQx)と受電対象の急速充電器20A〜20Cの合計要求電力値(ΣPQcharge)とを比較する(S25)。そして、特定した急速充電器20xの最大電力値が急速充電器20A〜20Cの合計要求電力値未満である場合(PQx<ΣPQcharge)、ステップS26に移行する。
【0119】
このステップS26でシステムコントローラー10は、特定した急速充電器20xの要求電力値(PQcharge_x)をその急速充電器20xの最大電力値(PQx)とするとともに、急速充電器20A〜20Cの合計要求電力値(ΣPQcharge)を、それまでの電力値から特定した急速充電器20xの要求電力値を減算した値(ΣPQcharge−PQcharge_x)にする。すなわち、最も早く充電が終了するバッテリー62xを担当している急速充電器20xに対しては、最大電力で充電を行わせ、他の急速充電器20A〜20Cに対してはその分だけ充電要求電力値を低く定める。ステップS26で要求電力値を変更したならば、最適化シーケンスを終了する。そして、ステップS2に移行し、前述した処理が繰り返し行われる。
【0120】
一方、ステップS25において、特定した急速充電器20xの最大電力値が急速充電器20A〜20Cの合計要求電力値以上の場合、ステップS27へ移行する。このステップS27及びその次のステップS28において、システムコントローラー10は、特定した急速充電器20の最大電力値(PQx)を変更する。
【0121】
すなわち、ステップS27では、次式(3b)に基づいて最大電力値PQx(new)を算出し、次式(4b)に示すように、算出した最大電力値PQx(new)を特定した急速充電器20の最大電力値(PQx)に変更する。
【0122】
PQx(new)=PQx−[(PQx−ΣPQcharge)/2] ・・・ (3b)
PQx=PQx(new) ・・・ (4b)
【0123】
これらの処理を行うことで、特定した急速充電器20xの最大電力値(PQx)は、急速充電器20の合計要求電力値(ΣPQcharge)との差の半分だけ小さな値になる。言い換えれば、合計要求電力値を用いて最大電力値が少しずつ低くなる。そして、最大電力値(PQx)を変更したならば、ステップS21に移行し、前述した処理が繰り返し行われる。
【0124】
次に、充電シーケンスについて説明する。
【0125】
図15に示すように、充電シーケンスにおいてシステムコントローラー10は、充電要求のあった急速充電器20A〜20C(QC1〜n)のうち、充電が終了したもの或いは要求電力値が下がったものがあるか否かを判断する(S31)。ここで、このような急速充電器20がなかった場合にはステップS35に移行し、設定された条件で各急速充電器20A〜20Cを動作させる。そして、全ての急速充電器20A〜20Cについて充電が完了したか否かを判断し(S36)、全ての急速充電器20A〜20Cで充電が完了したならば一連の処理を終了する。一方、充電が完了していない急速充電器20A〜20Cがある場合には、ステップS31に移行して処理を継続する。
【0126】
また、ステップS31にて、充電が終了したもの或いは要求電力値が下がったものがあると判断された場合、システムコントローラー10は、電力値の取得処理(S32)、契約電力値と各電力値の合計値との比較処理(S33)、及び、各急速充電器20における最大電力値の変更処理(S34)を行う。これらの処理は、前述したステップS2,S3,S4の各処理と同内容であるため、説明は省略する。これらの処理を行うことで、前述したように、残り充電時間の短いバッテリー62A〜62Cを充電している急速充電器20A〜20Cに対し、早期に充電が終了するように各電力値が設定される。言い換えれば、充電対象となるバッテリー62の数ができるだけ少なくなるように各電力値が設定される。その結果、限られた契約電力値を各バッテリー62の充電に有効に使用することができる。
【0127】
<まとめ>
以上説明したように、本実施形態の充電システムは、バッテリー62を充電する複数台の急速充電器20A〜20Cと、これらの急速充電器20A〜20Cと通信可能に接続され、急速充電器20A〜20Cによる充電動作を制御するシステムコントローラー10(充電制御装置)とを備えている。そして、各急速充電器20A〜20Cは、充電対象のバッテリー62A〜62Cに応じた最大充電電力値をシステムコントローラー10に送信する。また、システムコントローラー10は、受信した最大充電電力値同士を加算することで合計充電電力値を求め、この合計充電電力値が契約電力値を超える場合、合計充電電力値が前記契約電力値以下となるように、各急速充電器20における最大充電電力値を変更する。
【0128】
このように構成することで、複数のバッテリー62A〜62Cを同時期に充電する場合において、各急速充電器20A〜20Cの合計電力値が契約電力値を超えてしまうことを抑制できる。すなわち、複数の急速充電器20A〜20Cを有する充電システムであっても、バッテリー62A〜62Cの充電時における電力を適正に制御できる。また、急速充電器20を増設した場合には、急速充電器20の合計電力値が増設した分だけ増えるが、同じ制御で対応できる。このため、急速充電器20の増設にも対応できる。
【0129】
また、各急速充電器20A〜20Cは、充電の残り時間をシステムコントローラー10に送信し、システムコントローラー10は、合計充電電力値が契約電力値を超える場合、充電の残り時間が最も短い急速充電器20x以外の急速充電器20A〜20Cについて、最大充電電力値を少なくする。そして、このように構成することで、充電の残り時間が最も短い急速充電器20xについては、他の急速充電器20A〜20Cよりも早期に充電が完了する。これにより、充電対象となるバッテリー62の数が少なくなり、システム全体として充電時間を短くすることができる。
【0130】
また、システムコントローラー10は、急速充電器20以外の負荷装置30(エアコン,照明,冷蔵庫,冷凍庫)に供給される供給電力値を取得し、合計充電電力値と供給電力値の合計値が契約電力値を超える場合、この合計値が契約電力値以下となるように、最大充電電力値を変更する。そして、このように構成することで、負荷装置30に供給される電力を確保した上で、急速充電器20で用いられる電力が定められる。その結果、需要家の生活等に支障を来さない範囲で、効率よくバッテリー62の充電を行うことができる。
【0131】
また、負荷装置30A,30Bへの供給電力を測定する電力センサー51A,51Bを設け、電力センサー51A,51Bにおける測定結果から、システムコントローラー10に供給電力値を取得させている。このように構成することで、負荷装置30A,30Bへの供給電力が時間の経過に伴って変化しても適正な条件で充電を行うことができる。
【0132】
また、バッテリー62が電気自動車61の電源として用いられるものであるので、大きな電源容量が必要となる電気自動車61用のバッテリー62について、充電時における電力を適正に制御できる。
【0133】
ところで、前述の各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更や改良等が可能であり、また本発明はその等価物も含むものである。
【0134】
充電対象となる二次電池に関し、前述の各実施形態では電気自動車用のバッテリーを例示したがこれに限定されるものではない。電気自動車用のバッテリーと同程度の容量を有する二次電池であれば、充電対象となり得る。
【0135】
また、前述の各実施形態において、充電システムには、エアコン等の負荷装置が含まれているが、負荷装置を別系統にしてもよい。この場合には、充電対象のバッテリーに対する充電時の最大電力値(最大充電電力値)の合計と契約電力値とを比較することになる。
【符号の説明】
【0136】
110…システムコントローラー,111…制御部,112…通信用インタフェース,113…CPU,114…メモリー,121(121A〜121C)…コンセント,122(122A〜122C)…普通充電ケーブル,123(123A〜123C)…充電ガン,124(124A〜124C)…通信回線,130(130A,130B)…負荷,140…トランス,151(151A,151B)…電力センサー,152…電力センサー,161(161A〜161C)…電気自動車,162(162A〜162C)…電気系統,162a…車両側制御部,162b…普通充電インレット,162c…急速充電インレット,162d…車載充電器,162e…駆動用バッテリー(二次電池),162f…補機用バッテリー(二次電池),162g…インバーター,162h…駆動モーター,162i…制御ユニット,162j…通信用インタフェース,162k…CPU,162m…メモリー,10…システムコントローラー,11…制御部,12…通信用インタフェース,13…CPU,14…メモリー,20(20A〜20C)…急速充電器20,21…制御部,22…通信用インタフェース,23…充電ユニット,24…CPU,25…メモリー,26…コード,27…プラグ,30(30A,30B)…負荷装置,40…トランス,51(51A,51B)…電力センサー,52…電力センサー,61(61A〜61C)…電気自動車,62(62A〜62C)…バッテリー(二次電池)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池を充電する複数台の充電器と、
前記複数台の充電器と通信可能に接続され、前記充電器による充電動作を制御する充電制御装置と、を備えた充電システムであって、
各充電器は、
充電対象の前記二次電池に対する最大充電電力値を前記充電制御装置に送信し、
前記充電制御装置は、
受信した前記最大充電電力値同士を加算することで合計充電電力値を求め、前記合計充電電力値が契約電力値を超える場合、前記合計充電電力値が前記契約電力値以下となるように、少なくとも1台の前記充電器における前記最大充電電力値を変更することを特徴とする充電システム。
【請求項2】
前記各充電器は、
充電の残り時間を前記充電制御装置に送信し、
前記充電制御装置は、
前記合計充電電力値が前記契約電力値を超える場合、前記残り時間が最も短い充電器以外の充電器について、前記最大充電電力値を少なくすることを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記充電制御装置は、
前記充電器以外の負荷装置に供給される供給電力値を取得し、
前記合計充電電力値と前記供給電力値の合計値が前記契約電力値を超える場合、前記合計値が前記契約電力値以下となるように、前記最大充電電力値を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記負荷装置への供給電力を測定する電力センサーを設け、
前記充電制御装置は、
前記電力センサーにおける測定結果から前記供給電力値を取得することを特徴とする請求項3に記載の充電システム。
【請求項5】
前記二次電池は、
電気自動車の電源として用いられることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の充電システム。
【請求項6】
二次電池を充電する複数台の充電器と、前記複数台の充電器と通信可能に接続され、前記充電器による充電動作を制御する充電制御装置と、を備える充電システムにおける充電方法であって、
充電対象の前記二次電池に対する最大充電電力値を、各充電器から送信させるステップと、
受信した前記最大充電電力値同士を加算することで、合計充電電力値を求めるステップと、
前記合計充電電力値が前記契約電力値を超える場合、前記合計充電電力値が前記契約電力値以下となるように、少なくとも1台の前記充電器における前記最大充電電力値を変更するステップとを行うことを特徴とする充電方法。
【請求項1】
二次電池を充電する複数台の充電器と、
前記複数台の充電器と通信可能に接続され、前記充電器による充電動作を制御する充電制御装置と、を備えた充電システムであって、
各充電器は、
充電対象の前記二次電池に対する最大充電電力値を前記充電制御装置に送信し、
前記充電制御装置は、
受信した前記最大充電電力値同士を加算することで合計充電電力値を求め、前記合計充電電力値が契約電力値を超える場合、前記合計充電電力値が前記契約電力値以下となるように、少なくとも1台の前記充電器における前記最大充電電力値を変更することを特徴とする充電システム。
【請求項2】
前記各充電器は、
充電の残り時間を前記充電制御装置に送信し、
前記充電制御装置は、
前記合計充電電力値が前記契約電力値を超える場合、前記残り時間が最も短い充電器以外の充電器について、前記最大充電電力値を少なくすることを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記充電制御装置は、
前記充電器以外の負荷装置に供給される供給電力値を取得し、
前記合計充電電力値と前記供給電力値の合計値が前記契約電力値を超える場合、前記合計値が前記契約電力値以下となるように、前記最大充電電力値を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記負荷装置への供給電力を測定する電力センサーを設け、
前記充電制御装置は、
前記電力センサーにおける測定結果から前記供給電力値を取得することを特徴とする請求項3に記載の充電システム。
【請求項5】
前記二次電池は、
電気自動車の電源として用いられることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の充電システム。
【請求項6】
二次電池を充電する複数台の充電器と、前記複数台の充電器と通信可能に接続され、前記充電器による充電動作を制御する充電制御装置と、を備える充電システムにおける充電方法であって、
充電対象の前記二次電池に対する最大充電電力値を、各充電器から送信させるステップと、
受信した前記最大充電電力値同士を加算することで、合計充電電力値を求めるステップと、
前記合計充電電力値が前記契約電力値を超える場合、前記合計充電電力値が前記契約電力値以下となるように、少なくとも1台の前記充電器における前記最大充電電力値を変更するステップとを行うことを特徴とする充電方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−211891(P2011−211891A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34928(P2011−34928)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]