説明

充電装置

【課題】チャデモ規格に則って、定電流を流しながら充電対象のバッテリを急速充電する機能と、充電装置側とバッテリ側とを電気的に接続する充電ケーブルの絶縁試験を行う機能と、を両立した充電装置を提供する。
【解決手段】充電装置は、直流電流をバッテリBに流す充電ケーブル14の一対の導線間に接続されたコンデンサ11と、コンデンサに並列に接続された抵抗23と、抵抗に直列に接続された断続器24と、断続器をオン状態に切り換えて抵抗に直流電流を流すことに起因して、抵抗で生じる電圧降下に対応した電圧をコンデンサに印加することにより、コンデンサを蓄電させた後、交流電流の変換を停止しながら断続器をオフ状態に切り換えて、コンデンサの電圧を充電ケーブルの一対の導線間に印加することにより、充電ケーブルを介してコンデンサを放電させながら充電ケーブルに放電電流を流して、充電ケーブルの絶縁試験を行う制御回路19と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電装置に関し、特に、定電流を流しながら充電対象のバッテリを急速充電するにあたり、充電装置側とバッテリ側とを電気的に接続する充電ケーブルの絶縁試験を行う充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車に搭載されているバッテリを充電する充電装置においては、チャデモ(CHAdeMO、CHArge de MOve)と呼ばれる規格で、充電方式の規格化が進められている。かかるチャデモ規格では、充電装置と電気自動車側の充電コネクタとを電気的に接続する充電ケーブルの極間耐量が500Vである場合には、500V±25Vの電圧範囲内で充電ケーブルの絶縁試験(耐圧試験)を行い、充電ケーブルの安全性を確認した後に充電を開始することが定められている。このような背景から、充電ケーブルの絶縁試験を行う絶縁試験装置が、提案されるようになっている。
【0003】
特許文献1は、絶縁試験装置に関し、充電ケーブル13a、13bに絶縁試験用の電圧を印加して平滑コンデンサCを充電した後に平滑コンデンサCの電圧を測定し、平滑コンデンサCの電圧と充電ケーブル13a、13bの絶縁が正常であるときの電圧基準信号とを比較することによって、充電ケーブル13a、13bの絶縁が正常であるか否かを判定する構成を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−38898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1が開示する構成においては、あくまでも充電ケーブルの絶縁試験装置のみが開示され、バッテリを充電する構成については何等の開示や示唆がなされていないものである。
【0006】
更に、本発明者の検討によれば、バッテリの充電装置に充電ケーブルの絶縁試験機能を付加しようとした場合には、以下のような傾向があることが分かった。
【0007】
すなわち、チャデモ規格では、バッテリの充電電圧は、50kW機に対しては400V(125Aの直流電流の適用時)又は500V(100Aの直流電流の適用時)と定められると共に、例えばバッテリの充電電圧が500Vの場合に絶縁試験を行う際には、500V±25Vの電圧を充電ケーブルに印加することが定められている。ところが、充電装置は、一般的に、電気自動車側からの充電電流指令に従いながら、定電流の充電電流で充電するような制御がなされる構成を有するために、絶縁試験時における充電ケーブルへの印加電圧を直接的に一定値に制御することは難しい。このため、かかる充電装置では、交流電源からの交流電流を直流電流に変換するコンバータの後段に設けられた平滑コンデンサの設定電圧を下げることによって、絶縁試験時における充電ケーブルへの印加電圧が500V±25Vの範囲内に入るように調整することが考えられる。
【0008】
しかしながら、平滑コンデンサの設定電圧の下限を、その前段の交流電流を直流電流に変換するコンバータの出力電圧との兼ね合いで設定し、かつ、平滑コンデンサの後段に設
けられる変圧器における1次コイルと2次コイルとの巻き数比を、種々の使用上の余裕代を与えながら500Vのバッテリの充電電圧を実現するように設定しても、充電ケーブルへの印加電圧は、500V±25Vの範囲を超えてしまう傾向にある。また、変圧器における1次コイルと2次コイルとの巻き数比には実用的に設定できる限界があり、変圧器の巻き数比を現実的な値に設定した場合には、充電ケーブルへの印加電圧はより増加するから、充電ケーブルへの印加電圧を500V±25Vの範囲内に収めるのはなおさら困難な傾向が強い。
【0009】
従って、現状では、チャデモ規格に則って、定電流を流しながら充電対象のバッテリを急速充電する機能と、充電装置側とバッテリ側とを電気的に接続する充電ケーブルの絶縁試験を行う機能と、を両立した新規な構成の充電装置を実現することが待望された状況にある。
【0010】
本発明は、以上の検討を経てなされたもので、チャデモ規格に則って、定電流を流しながら充電対象のバッテリを急速充電する機能と、充電装置側とバッテリ側とを電気的に接続する充電ケーブルの絶縁試験を行う機能と、を両立した充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の目的を達成すべく、本発明は、交流電流から変換されて定電流になるように制御された直流電流を、充電ケーブルを介して、バッテリに流して前記バッテリを充電すると共に、前記充電ケーブルの絶縁試験を行う充電装置であって、前記充電ケーブルの一対の導線間に接続されたコンデンサと、前記コンデンサに並列に接続された抵抗と、前記抵抗に直列に接続された断続器と、前記断続器をオン状態に切り換えて前記抵抗に前記直流電流を流すことに起因して、前記抵抗で生じる電圧降下に対応した電圧を前記コンデンサに印加することにより、前記コンデンサを蓄電させた後、前記交流電流の変換を停止しながら前記断続器をオフ状態に切り換えて、前記コンデンサの電圧を前記充電ケーブルの前記一対の導線間に印加することにより、前記充電ケーブルを介して前記コンデンサを放電させながら前記充電ケーブルに放電電流を流して、前記充電ケーブルの絶縁試験を行う制御回路と、を備えることを第1の局面とする充電装置である。
【0012】
また、本発明の充電装置は、かかる第1の局面に加えて、前記制御回路は、前記コンデンサが放電する際における前記コンデンサの放電の時定数が調整された放電電圧の経時変化特性に基づいて、前記充電ケーブルの絶縁状態を判別することを第2の局面とする。
【0013】
また、本発明の充電装置は、かかる第1又は第2の局面に加えて、前記断続器は、電磁継電器であり、更に、前記抵抗と前記コンデンサとの間に、前記コンデンサの前記放電電流が前記抵抗に流入することを防ぐ逆電流阻止用ダイオードが設けられたことを第3の局面とする。
【0014】
また、本発明の充電装置は、かかる第1又は第2の局面に加えて、前記断続器は、半導体スイッチング素子であることを第4の局面とする。
【0015】
また、本発明の充電装置は、かかる第1から第4のいずれかの局面に加えて、前記制御回路は、前記直流電流の検出電流値に加えて、前記コンデンサの検出電圧値にも基づいて、前記直流電流が定電流になるように制御することを第6の局面とする。
【0016】
また、本発明の充電装置は、かかる第1から第5のいずれかの局面に加えて、前記交流電流を変換して前記直流電流を得るように互いに並列に接続された複数の充電ユニットを有し、前記制御回路は、前記複数の充電ユニットのうちの一部の充電ユニットに対して前
記コンデンサ、前記抵抗及び前記断続器を備えたものを用いて、前記絶縁試験を行うことを第5の局面とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の局面における構成によれば、直流電流をバッテリに流す充電ケーブルの一対の導線間に接続されたコンデンサと、コンデンサに並列に接続された抵抗と、抵抗に直列に接続された断続器と、断続器をオン状態に切り換えて抵抗に直流電流を流すことに起因して、抵抗で生じる電圧降下に対応した電圧をコンデンサに印加することにより、コンデンサを蓄電させた後、交流電流の変換を停止しながら断続器をオフ状態に切り換えて、コンデンサの電圧を充電ケーブルの一対の導線間に印加することにより、充電ケーブルを介してコンデンサを放電させながら充電ケーブルに放電電流を流して、充電ケーブルの絶縁試験を行う制御回路と、を備えることにより、チャデモ規格に則って、定電流を流しながら充電対象のバッテリを急速充電する機能と、充電装置側とバッテリ側とを電気的に接続する充電ケーブルの絶縁試験を行う機能と、を両立した充電装置を提供することができ、特に、抵抗の抵抗値を相対的に大きな値に設定してそれに相対的に微小な電流を流すことができると共に、充電ケーブルの一対の導線間に充電ケーブルの絶縁試験に適した電圧を印加することができるので、充電ケーブルの絶縁試験を安価で簡素な構成でもって効率的かつ確実に行うことができる。
【0018】
本発明の第2の局面における構成によれば、制御回路が、コンデンサが放電する際におけるコンデンサの放電の時定数が調整された放電電圧の経時変化特性に基づいて、充電ケーブルの絶縁状態を判別することにより、コンデンサに放電時間調整用の抵抗を付加するという簡便な構成を採用しながら、充電ケーブルの絶縁試験を正確に行うことができる。
【0019】
本発明の第3の局面における構成によれば、断続器が、電磁継電器であって、更に、抵抗とコンデンサとの間に、コンデンサの放電電流が抵抗に流入することを防ぐ逆電流阻止用ダイオードが設けられることにより、コンデンサの放電時にコンデンサの放電電流が抵抗に流入することを確実に防ぐことができ、充電ケーブルの絶縁試験を正確に行うことができる。
【0020】
本発明の第4の局面における構成によれば、断続器は、半導体スイッチング素子であることにより、コンデンサの放電時にコンデンサの放電電流が抵抗に流入することを確実に防ぐことができ、充電ケーブルの絶縁試験を正確に行うことができ、逆電流阻止用ダイオードを省略した簡素な構成を実現することができる。
【0021】
本発明の第5の局面における構成によれば、制御回路が、直流電流の検出電流値に加えて、コンデンサの検出電圧値にも基づいて、直流電流が定電流になるように制御することにより、直流電流を検出する際に用いる電流計の計測特性においてドリフトが発生したとしてもその影響を低減することができ、抵抗に流れる電流をより正確に制御してコンデンサ11の放電電圧をより正確に設定することができる。
【0022】
本発明の第6の局面における構成によれば、交流電流を変換して直流電流を得るように互いに並列に接続された複数の充電ユニットを有し、制御回路が、複数の充電ユニットのうちの一部の充電ユニットに対してコンデンサ、抵抗及び断続器を備えたものを用いて、絶縁試験を行うことにより、直流電流を検出する際に用いる電流計の定格を下げることができ、抵抗に流れる電流をより正確に制御してコンデンサ11の放電電圧をより正確に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態における充電装置の構成を示す回路図である。
【図2】本発明の第2の実施形態における充電装置の構成を示す回路図である。
【図3】本発明の第3の実施形態における充電装置の構成を示す回路図である。
【図4】本発明の第4の実施形態における充電装置の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の各実施形態における充電装置につき、図面を適宜参照して、詳細に説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態における充電装置の構成について、詳細に説明する。
【0026】
図1は、本実施形態における充電装置の構成を示す回路図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態における充電装置S1は、図示を省略する電気自動車に搭載されているバッテリBを充電すると共に、バッテリBを充電するにあたり、典型的には樹脂製の外皮中に互いに絶縁された正極側及び負極側の一対の導線を有して充電装置S1側と電気自動車側の充電コネクタCVとを電気的に接続する充電ケーブル14の絶縁試験を行うものである。かかる充電装置S1は、交流電源1に電気的に接続されて、コンタクタ2、リアクトル3、PWM(Pulse Wwidth Modulation)コンバータ4、コンデンサ5、インバータブリッジ6、変圧器7、ダイオードブリッジ8、リアクトル9、電流計10、コンデンサ11、抵抗12、ダイオード13、充電ケーブル14、コンタクタ15、電圧制御回路17、PWM制御回路18、制御回路19、電流制御回路21、PWM制御回路22、抵抗23、リレー24、及びダイオード25を備えている。なお、以下、電気的に接続という文言を、単に接続と簡略化して表記する場合がある。
【0028】
交流電源1は、典型的には商用の3相交流電源であり、U相の入力線LU、V相の入力線LV及びW相の入力線LWを介して、U相、V相及びW相の3相からなる3相交流電流を充電装置S1に入力する。
【0029】
U相の入力線LU、V相の入力線LV及びW相の入力線LWの各々においては、コンタクタ2及びリアクトル3が順次設けられ、これらを介して、その後段に設けられたPWMコンバータ4に3相交流電流が入力される。
【0030】
コンタクタ2は、各々、交流電源1からの3相交流電流における対応する相の交流電流を断続する断続器であり、典型的には電磁接触器である。
【0031】
リアクトル3は、各々、AC(Alternate Current)リアクトルであり、コンタクタ2を介して入力される3相交流電流における対応する相の交流電流に含まれる高周波成分を低減してPWMコンバータ4に入力し、その交流電流における力率の改善をする。
【0032】
PWMコンバータ4は、リアクトル3を介して入力される3相交流電流を直流電流に変換するコンバータであり、典型的にはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)とダイオードとの組み合わせによって構成され、PWM制御回路18からの駆動信号に従ってPWM駆動制御されてスイッチング動作することによってかかる交流電流を直流電流に変換する。
【0033】
具体的は、PWMコンバータ4は、いずれも同じ回路構成であるスイッチング回路4U
、4V及び4Wを、対応して前段回路、中段回路及び後段回路として備える。スイッチング回路4U、4V及び4Wは、各々、いずれも逆電流防止用のダイオードを伴って直列に接続された2つのIGBTを備える。
【0034】
スイッチング回路4Uにおいては、2つのIGBTのエミッタ及びコレクタ間にリアクトル3を介したU相交流電流が入力され、かかるIGBTのゲートには、各々、PWM制御回路18が接続される。同様に、スイッチング回路4Vにおいては、2つのIGBTのエミッタ及びコレクタ間にリアクトル3を介したV相交流電流が入力され、かかるIGBTのゲートには、各々、PWM制御回路18が接続される。スイッチング回路4Wにおいては、2つのIGBTのエミッタ及びコレクタ間にリアクトル3を介したW相交流電流が入力され、かかるIGBTのゲートには、各々、PWM制御回路18が接続される。
【0035】
コンデンサ5は、典型的には電解コンデンサである大容量の平滑コンデンサであり、コンデンサ5の正電位側は、スイッチング回路4U、4V及び4Wにおける一方のIGBTのコレクタに各々接続されると共に、コンデンサ5の負電位側は、スイッチング回路4U、4V及び4Wにおける他方のIGBTのエミッタに各々接続されて、PWMコンバータ4からの直流電流を平滑化して一定にする。
【0036】
併せて、コンデンサ5の正電位側は、電圧制御回路17に接続され、対応して電圧制御回路17は、コンデンサ5の正電位側の電圧を検出する。
【0037】
よって、PWMコンバータ4においては、その駆動制御用の基準電圧値を含む制御信号を電圧制御回路17に入力する制御回路19の制御の下で、電圧制御回路17及びPWM制御回路18により、所定の直流電流を出力するように制御回路19から与えられた基準電圧値及びコンデンサ5の検出電圧値に応じたフィードバックPWM駆動制御がなされる。つまり、電圧制御回路17は、コンデンサ5の検出電圧値を制御回路19から与えられた基準電圧値に収束させるような制御信号をPWM制御回路18に入力し、対応してPWM制御回路18は、かかる制御信号に従ってPWMコンバータ4をスイッチング動作させる駆動信号をPWMコンバータ4に入力する。そして、PWMコンバータ4は、かかる駆動信号に従ってスイッチング動作して、コンデンサ5の検出電圧値、つまりPWMコンバータ4の出力電圧値を基準電圧値に収束させていく。
【0038】
インバータブリッジ6は、コンデンサ5を介して入力される直流電流を交流電流に変換するインバータであり、典型的にはIGBTとダイオードとの組み合わせによって構成される。インバータブリッジ6は、PWM制御回路22からの駆動信号に従ってPWM駆動制御されてスイッチング動作することにより、かかる直流電流を所定の高周波の交流電流に変換する。
【0039】
具体的には、インバータブリッジ6は、いずれも同じ回路構成であるスイッチング回路6F及び6Rを、対応して前段回路及び後段回路として備える。スイッチング回路6F及び6Rは、各々、いずれも逆電流防止用のダイオードを伴って直列に接続された2つのIGBTを備える。スイッチング回路6F及び6RのIGBTのゲートには、各々、PWM制御回路22が接続される。
【0040】
変圧器7は、典型的には絶縁トランスである変圧器であり、インバータブリッジ6を介して入力される交流電流を所定の電圧に変圧する。変圧器7は、インバータブリッジ6からの交流電流は所定の高周波に変換されているので、小型の変圧器として構成される。
【0041】
具体的には、変圧器7は、1次コイル7F及びこれに対向した2次コイル7Sを備える。1次コイル7Fの一端は、スイッチング回路6Fの2つのIGBTのエミッタ及びコレ
クタ間に接続されると共に、1次コイル7Fの他端は、スイッチング回路6Rの2つのIGBTのエミッタ及びコレクタ間に接続される。
【0042】
ダイオードブリッジ8は、変圧器7を介して入力される交流電流を直流電流に変換するコンバータであり、典型的には複数のダイオードの組み合わせによって構成され、2次コイル7Sからの交流電流を直流電流に変換する。
【0043】
具体的には、ダイオードブリッジ8は、いずれも同じ回路構成であるダイオード回路8F及び8Rを、対応して前段回路及び後段回路として備える。ダイオード回路8F及び8Rは、各々、いずれも直列に接続された2つのダイオードを備える。ダイオード回路8Fの2つのダイオードのカソードとアノードとの間には、2次コイル7Sの一端が接続されると共に、ダイオード回路8Rの2つのダイオードのカソードとアノードとの間には、2次コイル7Sの他端が接続される。
【0044】
リアクトル9は、平滑リアクトルであり、ダイオードブリッジ8からの直流電流に含まれる高周波成分を低減する。リアクトル9の一端は、ダイオード回路8F及び8Rにおける一方のダイオードのカソードに各々接続される。
【0045】
電流計10は、リアクトル9の他端とコンデンサ11の正電位側との間に接続され、ダイオードブリッジ8から出力されてリアクトル9によって平滑化された直流電流の電流値を計測して、その計測信号を電流制御回路21に出力する。対応して電流制御回路21は、ダイオードブリッジ8からの平滑化された直流電流の電流値を検出する。また、スイッチング回路6F及び6RのIGBTのゲートには、各々、PWM制御回路22が接続されている。
【0046】
よって、インバータブリッジ6においては、その駆動制御用の基準電流値を含む制御信号を電流制御回路21に入力する制御回路19の制御の下で、電流制御回路21及びPWM制御回路22により、ダイオードブリッジ8からリアクトル9を介して所定の直流電流が出力されるように、制御回路19から与えられた基準電流値及び電流計10が計測した計測電流値に応じたフィードバックPWM駆動制御がなされる。つまり、電流制御回路21は、電流計10が計測する計測電流値を制御回路19から与えられた基準電流値に収束させるような制御信号をPWM制御回路22に入力し、対応してPWM制御回路22は、かかる制御信号に従ってインバータブリッジ6をスイッチング動作させる駆動信号をインバータブリッジ6に入力する。そして、インバータブリッジ6は、かかる駆動信号に従ってスイッチング動作して、電流計10が計測する計測電流値、つまりダイオードブリッジ8から出力されてリアクトル9によって平滑化された直流電流の電流値を基準電流値に収束させていく。かかるPWM制御回路22によるインバータブリッジ6のPWM駆動制御は、ダイオードブリッジ8から出力されてリアクトル9によって平滑化された直流電流の電流値を基準電流値という所定の一定値に収束させるフィードバック制御であるので、バッテリBに流れる直流充電電流の電流値も実質所定の一定値となる。
【0047】
コンデンサ11は、典型的には電解コンデンサであり、主としてバッテリBの充電に先立つ充電ケーブル14の絶縁試験時に機能させることを意図して設けられたもので、一旦充電された後に放電して充電ケーブル14に絶縁試験用の電流を流す。つまり、コンデンサ11は、かかる絶縁試験用の電流を充電ケーブル14に流すものであれば足りるから、コンデンサ5の静電容量よりも小さい静電容量を有している。コンデンサ11の正電位側は、電流計10を介してリアクトル9の他端に接続される。コンデンサ11の負電位側は、ダイオード回路8F及び8Rにおける他方のダイオードのアノードに各々接続されると共に、充電ケーブル14の負極側の導線に接続される。
【0048】
併せて、コンデンサ11の正電位側は、制御回路19に接続される。対応して制御回路19は、バッテリBの充電に先立つ充電ケーブル14の絶縁試験時に、コンデンサ11の放電によるその正電位側の電圧の経時変化特性を検出する。
【0049】
抵抗12は、コンデンサ11に並列に接続され、バッテリBの充電に先立つ充電ケーブル14の絶縁試験時に、コンデンサ11が放電する際の時定数を規定するための抵抗値を有している。つまり、抵抗12の抵抗値は、バッテリBの充電に先立つ充電ケーブル14の絶縁試験時に、コンデンサ11の放電時間を規定するに足りる値に設定されている。
【0050】
ダイオード13は、コンデンサ11及び抵抗12の後段であって、かつ充電ケーブル14の前段に設けられて、コンタクタ15がオフ状態からオン状態に切り替わる際の充電ケーブル14を介して流れる逆電流を阻止する。ダイオード13のアノードは、コンデンサ11の正電位側に接続されると共に、ダイオード13のカソードは、充電ケーブル14の正極側の導線に接続される。
【0051】
コンタクタ15は、充電ケーブル14を介して充電装置S1から入力されてくる直流電流を断続する電気自動車側の断続器である。コンタクタ15は、バッテリBの充電時にはオン状態に維持され、バッテリBの充電に先立つ充電ケーブル14の絶縁試験時にはオフ状態に維持される。
【0052】
制御回路19は、充電装置S1全体の動作を制御する制御回路である。つまり、制御回路19は、PWMコンバータ4の駆動制御用の基準電圧値を含む制御信号を電圧制御回路17に入力すると共に、ダイオードブリッジ8の駆動制御用の基準電流値を含む制御信号を電流制御回路21に入力することにより、対応して電圧制御回路17、PWM制御回路18、電流制御回路21及びPWM制御回路22の動作を制御することを介してPWMコンバータ4のスイッチング動作及びダイオードブリッジ8のスイッチング動作を制御するのみならず、コンタクタ2の断続切り換え動作及びリレー24の断続切り換え動作を制御して、充電装置S1における充電動作及び絶縁試験動作を制御する。
【0053】
更に、本実施形態の充電装置S1には、バッテリBの充電に先立つ充電ケーブル14の絶縁試験時に、コンデンサ11と協働して機能する抵抗23、リレー24及びダイオード25が設けられているが、以下、これらの構成要素について詳細に説明する。
【0054】
抵抗23は、コンデンサ11及び抵抗12の前段でそれらに並列に接続され、バッテリBの充電に先立つ充電ケーブル14の絶縁試験時のリレー24がオン状態のときに通電されて、コンデンサ11に印加される電圧を規定する素子である。かかる充電ケーブル14の絶縁試験時にはバッテリBを充電する必要はないのであるから、充電電流よりも小さな電流を流した方が電力消費上は効率的である。よって、例えば、充電ケーブル14に500Vの電圧を印加してその絶縁試験をする際には、抵抗23の抵抗値を500Ω程度の相対的に大きな値に設定して、その際に流す必要のある直流電流の電流値を、充電電流よりも2桁程度小さい1A程度の微小電流値に抑えることとする。抵抗23の一端は、電流計10を介してリアクトル9の他端とコンデンサ11の正電位側との間に接続されると共に、抵抗23の他端は、リレー24を介してダイオード回路8F及び8Rにおける他方のダイオードのアノードとコンデンサ11の負電位側との間に各々接続される。
【0055】
リレー24は、電磁継電器であってそれに起因する断続切り換え時の応答遅れを有しており、コンデンサ11及び抵抗12の前段で抵抗23に直列に接続される。
【0056】
ダイオード25は、抵抗23及びリレー24の後段であって、かつコンデンサ11及び抵抗12の前段に設けられて、バッテリBの充電に先立つ充電ケーブル14の絶縁試験時
のリレー24がオン状態からオフ状態に切り替わる際の応答遅れに起因するコンデンサ11から抵抗23への放電電流の流入を防止すべく逆電流を阻止する。ダイオード25のアノードは、抵抗23の一端に接続されると共に、ダイオード13のカソードは、コンデンサ11の正電位側に接続される。なお、ダイオード25は、リレー24が比較的迅速に断続動作をして、コンデンサ11から抵抗23へ流入する放電電流が比較的小さい場合には、必ずしも設けなくともよい。
【0057】
以上のような構成を有する本実施形態の充電装置S1は、以下に詳細に説明するように動作して、バッテリBを充電すると共に、バッテリBを充電するバッテリBを充電するにあたり充電ケーブル14の絶縁試験を行う。
【0058】
バッテリBの充電時には、まず、充電ケーブル14を電気自動車側の充電コネクタCVに手動で接続して、コンタクタ15を手動でオン状態に切り換えると共に、制御回路19が、コンタクタ2をオン状態及びリレー24をオフ状態に各々切り換える。ここで、制御回路19は、PWM制御回路18の駆動制御用の基準電圧値を含む制御信号を電圧制御回路17に入力し、対応して電圧制御回路17は、コンデンサ5の検出電圧値を制御回路19からの基準電圧値に収束させるような制御信号をPWM制御回路18に入力する。対応してPWM制御回路18は、かかる制御信号に従ってPWMコンバータ4に駆動信号を入力する。同時に、制御回路19は、PWM制御回路22の駆動制御用の基準電流値を含む制御信号を電流制御回路21に入力し、対応して電流制御回路21は、ダイオードブリッジ8からの平滑化された出力電流の検出電流値を制御回路19からの基準電流値に収束させるような制御信号をPWM制御回路22に入力する。対応してPWM制御回路22は、かかる制御信号に従ってインバータブリッジ6に駆動信号を入力する。
【0059】
つまり、PWM制御回路18は、制御回路19及び電圧制御回路17の制御に従って、コンデンサ5の検出電圧値を基準電圧値に収束させるようにPWMコンバータ4をPWM駆動制御してスイッチング動作させると共に、PWM制御回路22は、制御回路19及び電流制御回路21の制御に従って、ダイオードブリッジ8からの平滑化された出力電流の検出電流値を基準電流値に収束させるようにインバータブリッジ6をPWM駆動制御してスイッチング動作させる。
【0060】
併せて、変圧器7が、インバータブリッジ6から入力される交流電流を所定の電圧に変圧し、ダイオードブリッジ8が、変圧器7から入力される交流電流を直流電流に変換し、更にリアクトル9が、ダイオードブリッジ8から入力される直流電流を平滑化した後に、かかる直流電流が充電ケーブル14を介してバッテリBに流れて、この結果、バッテリBが充電される。この際、PWM制御回路22によるインバータブリッジ6のPWM駆動制御は、ダイオードブリッジ8からの平滑化された出力電流値を基準電流値という所定の一定値に収束させるフィードバック制御であるので、バッテリBに流れる直流充電電流の電流値も実質所定の一定値となる。また、リレー24はオフ状態であるので、ダイオードブリッジ8からの直流電流は抵抗23に流れることはない。
【0061】
一方で、バッテリBの充電に先立って、充電ケーブル14の絶縁試験を行う際には、まず、充電ケーブル14を電気自動車側の充電コネクタCVに手動で接続して、コンタクタ15を手動でオフ状態に切り換えると共に、制御回路19が、コンタクタ2をオン状態及びリレー24をオフ状態に各々切り換える。ついで、PWM制御回路18が、制御回路19及び電圧制御回路17の制御に従って、電圧制御回路17からのコンデンサ5の検出電圧値を制御回路19からの基準電圧値に収束させるようにPWMコンバータ4をPWM駆動制御してスイッチング動作させる。この際、制御回路19は、電流制御回路21に対してインバータブリッジ6のスイッチング動作を停止状態に維持する制御信号を入力するため、対応してPWM制御回路22は、インバータブリッジ6に駆動信号を入力することは
なく、インバータブリッジ6のスイッチング動作は停止状態に維持される。
【0062】
次に、制御回路19が、リレー24をオフ状態からオン状態に所定期間(例えば1秒間程度)切り換えると共に、その期間だけ、PWM制御回路22の駆動制御用の基準電流値を含む制御信号を電流制御回路21に入力し、対応して電流制御回路21は、ダイオードブリッジ8からの平滑化された出力電流の検出電流値を基準電流値に収束させるような制御信号をPWM制御回路22に入力すると共に、対応してPWM制御回路22は、ダイオードブリッジ8からの平滑化された出力電流の検出電流値を基準電流値に収束させるような駆動信号をインバータブリッジ6に入力する。
【0063】
つまり、かかる所定期間だけ、PWM制御回路22が、制御回路19及び電流制御回路21の制御に従って、ダイオードブリッジ8からの平滑化された出力電流の検出電流値を基準電流値に収束させるように、インバータブリッジ6をPWM駆動制御してスイッチング動作させると共に、変圧器7が、インバータブリッジ6から入力される交流電流を所定の電圧に変圧し、かつ、ダイオードブリッジ8が、変圧器7から入力される交流電流を直流電流に変換してリアクトル9にその直流電流を出力する。この結果、その期間だけ抵抗23に直流電流が流れる。ここで、PWM制御回路22によるインバータブリッジ6のPWM駆動制御は、ダイオードブリッジ8からの平滑化された出力電流の検出電流が基準電流値という一定値に収束するフィードバック制御であるので、抵抗23に流れる直流電流の電流値も実質一定値となる。これにより、抵抗23にはその抵抗値に起因した一定の電圧降下が発生する。具体的には、基準電流値を1Aに設定し、かつ抵抗23の抵抗値を500Ωに設定した場合には、抵抗23においては、1Aの電流が流れることによって500Vの電圧降下が正確に発生する。そして、この電圧降下によって発生した電圧に対応して、抵抗23に並列接続されているコンデンサ11が、かかる所定期間において正確に充電される。
【0064】
次に、かかる所定時間経過後、制御回路19は、リレー24をオン状態からオフ状態に切り換えると共に、電流制御回路21に対してインバータブリッジ6のスイッチング動作を停止状態に維持する制御信号を入力し、対応してPWM制御回路22は、インバータブリッジ6に対する駆動信号の入力を停止し、インバータブリッジ6のスイッチング動作は停止される。これにより、コンデンサ11の充電電圧がダイオード13を介して充電ケーブル14に印加され、コンデンサ11に蓄積された電荷は抵抗12と充電ケーブル14の絶縁抵抗とで消費される。
【0065】
この際、制御回路19は、コンデンサ11の放電によるその正電位側の電圧経時変化特性を検出していき、検出されたコンデンサ11の電圧の経時変化特性と図示を省略するメモリに格納された基準経時変化特性とを比較することにより、充電ケーブル14の絶縁状態が正常であるか否かを判別する。かかる判別の仕方としては、検出されたコンデンサ11の電圧の経時変化特性における単数又は複数の所定時刻の電圧値と基準経時変化特性における対応する時刻の電圧値とを比較に用いてもよいし、検出されたコンデンサ11の電圧の経時変化特性における所定期間の変化プロフィールと基準経時変化特性における対応する期間の変化プロフィールとを比較に用いてもよい。そして、充電ケーブル14の絶縁が正常である場合、制御回路19は、バッテリBの充電を開始することになる。
【0066】
以上の本実施形態における充電装置S1では、充電ケーブル14の一対の導線間に接続されたコンデンサ11と並列に接続された抵抗23と抵抗23に直列に接続されたリレー24とを備え、充電ケーブル14の絶縁試験を行う際には、制御回路19が、一旦、インバータブリッジ6のスイッチング動作を行わせながらリレー24をオン状態に切り換えることによって抵抗23に通電し、その通電に伴って抵抗23により生じる電圧降下分の電圧をコンデンサ11に印加してコンデンサ11を蓄電しておき、その後インバータブリッ
ジ6のスイッチング動作を停止しながらリレー24をオフ状態に切り換えることによって、コンデンサ11を放電させてその電圧を充電ケーブル14の極間に印加する。このような構成によれば、抵抗23の抵抗値を相対的に大きな値に設定して抵抗23に相対的に微小な電流を流すと共に、充電ケーブル14の極間に絶縁試験に適した電圧を印加することができるので、充電ケーブル14の絶縁試験を安価で簡素な構成でもって効率的かつ確実に行うことができる。
【0067】
また、本実施形態における充電装置S1では、放電時の時定数を調整する抵抗12が付加されたコンデンサ11の放電によるその正電位側の電圧経時変化特性を検出していき、検出されたコンデンサ11の電圧の経時変化特性と図示を省略するメモリに格納された基準経時変化特性とを比較することにより、充電ケーブル14の絶縁状態が正常であるか否かを判別する。このような構成によれば、コンデンサ11に放電時の時定数を調整する抵抗12を付加するという簡便な構成で、充電ケーブル14の絶縁試験を正確に行うことができる。
【0068】
また、本実施形態における充電装置S1では、ダイオード25が、抵抗23及びリレー24の後段であって、かつコンデンサ11及び抵抗12の前段に設けられる。このような構成によれば、バッテリBの充電に先立つ充電ケーブル14の絶縁試験時のリレー24がオン状態からオフ状態に切り替わる際の応答遅れに起因するコンデンサ11から抵抗23への放電電流の流入を防止することができ、充電ケーブル14の絶縁試験を正確に行うことができる。
【0069】
(第2の実施形態)
次に、図2を参照して、本発明の第2の実施形態における充電装置の構成について、詳細に説明する。
【0070】
図2は、本実施形態における充電装置の構成を示す回路図である。
【0071】
図2に示すように、本実施形態における充電装置S2は、第1の実施形態における充電装置S1に対して、リレー24が半導体スイッチング素子31に置き換わって、かつ、ダイオード25が省略されている構成を有する点で相違する。
【0072】
つまり、第1の実施形態における充電装置S1においては、バッテリBの充電に先立つ充電ケーブル14の絶縁試験時には、電磁継電器であるリレー24を断続するものであるから、リレー24の断続時の応答遅れによってコンデンサ11から抵抗23に放電電流が流入することを抑制する必要があり、このため逆電流阻止用のダイオード25を付加的に設けることにより構成が煩雑化していた。そこで、かかる事態をも考慮して、本実施形態における充電装置S2においては、リレー24の代わりに半導体スイッチング素子31を備える構成を採用したものである。本実施形態の残余の構成は第1の実施形態のものと同一であり、同一な構成要素には同一の符号を付して、適宜説明を簡略化又は省略する。
【0073】
具体的には、半導体スイッチング素子31は、コンデンサ11及び抵抗12の前段で抵抗23に直列に接続され、MOSFET(Metal−Oxide Semiconductor Field−Effect Transistor)やIGBTなどの半導体素子であって、その断続切り換え時の応答が電磁継電器に比較して相対的に迅速である。制御回路19は、半導体スイッチング素子31の断続切り換え動作を制御する。
【0074】
よって、バッテリBの充電時には、制御回路19は、インバータブリッジ6のスイッチング動作を維持しながら半導体スイッチング素子31をオフ状態に切り換える。一方で、バッテリBの充電に先立って、充電ケーブル14の絶縁試験を行う際には、制御回路19
は、インバータブリッジ6のスイッチング動作を維持しながら半導体スイッチング素子31をオフ状態からオン状態に所定時間切り換えて、コンデンサ11を充電し、かかる所定時間が経過したならば、インバータブリッジ6のスイッチング動作を停止すると共に半導体スイッチング素子31をオン状態からオフ状態に切り換えて、コンデンサ11の充電電圧を充電ケーブル14に印加する。この際、半導体スイッチング素子31の断続時の応答遅れは、実質無視し得るレベルであるから、コンデンサ11の放電時においては、第1の実施形態における充電装置S1において設けた逆電流阻止用のダイオード25を省略しても、抵抗23に流入する放電電流は極めて小さくなって実質無視し得るレベルになると共に、充電ケーブル14に印加されるコンデンサ11の放電量を絶縁試験に充分なレベルに確保する。
【0075】
以上の本実施形態における充電装置S2では、電磁継電器であるリレーの代わりに設けた半導体スイッチング素子31の応答速度が電磁継電器であるリレーの応答速度よりも格段に速いために、特に充電ケーブル14の絶縁試験を行う際に、インバータブリッジ6のスイッチング動作を停止すると共に半導体スイッチング素子31をオン状態からオフ状態に切り換えても、抵抗23に流入する放電電流を極めて小さくでき、付加的に設けられるべき逆電流阻止用のダイオードを不要にすることができる。
【0076】
(第3の実施形態)
次に、図3を参照して、本発明の第3の実施形態における充電装置の構成について、詳細に説明する。
【0077】
図3は、本実施形態における充電装置の構成を示す回路図である。
【0078】
図3に示すように、本実施形態における充電装置S3は、第1の実施形態における充電装置S1に対して、制御回路19が更に電圧制御回路41を備える構成を有する点で相違する。
【0079】
つまり、第1の実施形態における充電装置S1においては、バッテリBの充電に先立つ充電ケーブル14の絶縁試験時には、電流計10の定格の1/100程度を使ってダイオードブリッジ8からの直流電流を計測しながら、充電ケーブル14に例えば500Vの電圧を正確に印加することが必要となるから、電流計10の計測特性に発生するドリフトが無視し得ないことに起因して、ダイオードブリッジ8からの直流電流を計測する際に誤差が発生する事態が考えられる。そこで、かかる事態をも考慮して、本実施形態における充電装置S3においては、制御回路19が電圧制御回路41を備える構成を採用したものである。本実施形態の残余の構成は第1の実施形態のものと同一であり、同一な構成要素には同一の符号を付して、適宜説明を簡略化又は省略する。なお、電圧制御回路41は、制御回路19の前段にそれから独立した回路として設けられていてもよい。
【0080】
具体的には、コンデンサ11の正電位側は、制御回路19中の電圧制御回路41に接続され、電圧制御回路41は、コンデンサ11の正電位側の電圧値を検出する。
【0081】
よって、制御回路19は、PWM制御回路22の駆動制御用の基準電流値及びコンデンサ11の検出電圧値を含む制御信号を電流制御回路21に出力し、対応して電流制御回路21は、ダイオードブリッジ8からの平滑化された出力電流の検出電流値を基準電流値に収束させると共にコンデンサ11の検出電圧値を例えば500Vに収束させるように制御する制御信号をPWM制御回路22に出力する。対応してPWM制御回路22は、かかる制御信号に従った駆動信号をインバータブリッジ6に出力する。この結果、インバータブリッジ6においては、ダイオードブリッジ8からの平滑化された出力電流の検出電流値を基準電流値に収束させると共にコンデンサ11の検出電圧値を例えば500Vに収束さ
せるようにフィードバックPWM駆動制御がなされる。
【0082】
以上の本実施形態における充電装置S3では、ダイオードブリッジ8からの平滑化された出力電流の検出電流値を用いたインバータブリッジ6の制御ループに加えて、電圧制御回路41がコンデンサ11の電圧値を検出したその検出電圧値にも基づいたインバータブリッジ6の制御ループを構成する。このような構成によれば、特に充電ケーブル14の絶縁試験を行う際に、電流計10の計測特性にドリフトが発生したとしても、電流制御回路21の制御動作を微調整しながらインバータブリッジ6をスイッチング動作させることができ、抵抗23に流れる電流をより正確に制御してコンデンサ11の放電電圧をより正確に設定することができる。
【0083】
(第3の実施形態の変形例)
第3の実施形態における充電装置S3は、第1の実施形態における充電装置S1の制御回路19において電圧制御回路41を設けた構成になっているが、同様に、第2の実施形態における充電装置S2の制御回路19において電圧制御回路41を設けるようにしてもよい。これにより、特に充電ケーブル14の絶縁試験を行う際に、電流計10の計測特性にドリフトが発生したとしても、電流制御回路21の制御動作を微調整しながらインバータブリッジ6をスイッチング動作させることができ、抵抗23に流れる電流をより正確に制御してコンデンサ11の放電電圧をより正確に設定することができると共に、半導体スイッチング素子31をオン状態からオフ状態に切り換える際に、抵抗23に流入する放電電流を極めて小さくでき、付加的に設けられるべき逆電流阻止用のダイオードを不要にすることができる。
【0084】
(第4の実施形態)
最後に、図4を参照して、本発明の第4の実施形態における充電装置の構成について、詳細に説明する。
【0085】
図4は、本実施形態における充電装置の構成を示す回路図である。なお、説明の便宜上、制御系の図示は省略している。
【0086】
図4に示すように、本実施形態における充電装置S4は、第1の実施形態における充電装置S1に対して、コンタクタ2、リアクトル3及びPWMコンバータ4の代わりに、これらと同様の機能を有するPFC(Power Factor Correction)回路51を備えた充電ユニット50を採用すると共に、交流電源1を、互いに並列に接続された3つの単相交流用の充電ユニット50の各々に接続した構成を有する点で相違する。
【0087】
つまり、第1の実施形態における充電装置S1においては、バッテリBの充電に先立つ充電ケーブル14の絶縁試験時には、電流計10の定格の1/100程度を使ってダイオードブリッジ8からの直流電流を計測しながら、充電ケーブル14に例えば500Vの電圧を正確に印加することが必要となるから、電流計10の計測特性にドリフトが発生することに起因して、ダイオードブリッジ8からの直流電流を計測する際に誤差が発生する事態が考えられる。そこで、かかる事態をも考慮して、本実施形態における充電装置S4においては、3つの充電ユニット50にバッテリBの充電を分担させて各充電ユニット50に流れる電流を小電流化し、電流計10の定格自体を下げることにより、充電ケーブル14の絶縁試験時において電流計10の計測特性におけるドリフトを無視し得る構成を採用したものである。本実施形態の残余の構成は第1の実施形態のものと同一であり、同一な構成要素には同一の符号を付して、適宜説明を簡略化又は省略する。なお、説明の便宜上、本実施形態では、バッテリBの充電時には3つの充電ユニット50を用いているが、原理的には複数の充電ユニット50であればよく、充電ケーブルの絶縁試験時には、1つの
みの充電ユニット50を用いているが、原理的には複数の充電ユニット50の一部を用いればよい。また、交流電源1として単相交流電源を用いているが、充電ユニット50等を適宜バランスよく組み合わせれば、原理的には3相交流電源にも適用可能である。
【0088】
具体的には、バッテリBの充電時には、3つの充電ユニット50の全てを利用してバッテリBを充電するが、バッテリBの充電に先立つ充電ケーブル14の絶縁試験時には、3つの充電ユニット50の内の1つのみを利用して、コンデンサ11の充電電圧を充電ケーブル14に印加する。つまり、図4中では、上段に示す回路構成が、充電ケーブル14の絶縁試験時に、コンデンサ11の充電電圧を充電ケーブル14に印加するためのものであり、そこには、抵抗23、リレー24及びダイオード25が設けられる。また、コンデンサ11、抵抗12、ダイオード13及び充電ケーブル14は、3つの充電ユニット50の各々について共通である。
【0089】
よって、バッテリBの充電時には、制御回路は、3つの充電ユニット50の各々のインバータブリッジ6のスイッチング動作を維持しながらリレー24をオフ状態に切り換えて、バッテリBを充電する。
【0090】
一方で、バッテリBの充電に先立って、充電ケーブル14の絶縁試験を行う際には、制御回路は、3つの充電ユニット50の内の1つのみのインバータブリッジ6のスイッチング動作を維持しながらリレー24をオフ状態からオン状態に所定時間切り換えて、コンデンサ11を充電し、かかる所定時間が経過したならば、インバータブリッジ6のスイッチング動作を停止すると共にリレー24をオン状態からオフ状態に切り換えて、コンデンサ11の充電電圧を充電ケーブル14に印加する。
【0091】
ここで、3つの充電ユニット50の各々には、相対的な小電流(3台の場合は、典型的には125A/3又は100A/3の電流値を呈するような電流)が流れるから、これらに対して定格の小さい電流計10が各々適用されている。対応して充電ケーブル14の絶縁試験に用いる1つのみの充電ユニット50に対しても定格の小さい電流計10が適用されているから、特に充電ケーブル14の絶縁試験を行う場合にコンデンサ11を充電するときであっても、電流計10の計測特性におけるドリフトは無視し得るレベルとなる。
【0092】
また、PFC回路51は、バッテリBの充電時及び充電ケーブル14の絶縁試験時において、制御回路の制御の下で、交流電源1からの交流電流を断続すると共に、その交流電流に含まれる高周波成分を低減して力率改善をしながら、スイッチング動作することによってかかる交流電流を直流電流に変換する。
【0093】
以上の本実施形態における充電装置S4では、3つの充電ユニット50の各々に相対的な小電流が流れることに対応して、これらに対して定格の小さい電流計10が各々適用されている。これにより、特に充電ケーブル14の絶縁試験を行う際にコンデンサ11を充電するときであっても、充電ケーブル14の絶縁試験に用いる充電ユニット50に適用された電流計10の計測特性におけるドリフトを無視し得るレベルとすることができ、ダイオードブリッジ8からの直流電流をより正確に計測しながら抵抗23に流れる電流をより正確に制御して、コンデンサ11の放電電圧をより正確に設定することができる。併せて、PFC回路51を用いることにより、3つの充電ユニット50を用いる場合であっても構成を簡素化することができる。
【0094】
(第4の実施形態の変形例)
第4の実施形態における充電装置S4においても、第2の実施形態における充電装置S2と同様に、リレー24を半導体スイッチング素子に置き換えてもよい。これにより、付加的に設けられるべき逆電流阻止用のダイオード25を不要にすることができる。
【0095】
また、第4の実施形態における充電装置S4においても、第3の実施形態における充電装置S3と同様に制御回路19に電圧制御回路41を設けるようにしてもよい。これにより、特に充電ケーブル14の絶縁試験を行う際に、定格の小さい電流計10を用いたとしてもその計測特性においてもある程度のドリフトが発生した場合、電流制御回路21の制御動作を微調整しながらインバータブリッジ6をスイッチング動作させることができ、抵抗23に流れる電流をより正確に制御してコンデンサ11の放電電圧をより正確に設定することができる。
【0096】
また、第4の実施形態における充電装置S4において用いたPFC回路51は、第1の実施形態における充電装置S1から第3の実施形態における充電装置S3に対して適宜適用可能であることはもちろんである。
【0097】
なお、本発明は、部材の形状、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上のように、本発明においては、チャデモ規格に則って、定電流を流しながら充電対象のバッテリを急速充電する機能と、充電装置側とバッテリ側とを電気的に接続する充電ケーブルの絶縁試験を行う機能と、を両立した充電装置を提供することができるものであるため、その汎用普遍的な性格から広範に電気自動車等のバッテリの充電装置の分野に適用され得るものと期待される。
【符号の説明】
【0099】
S1〜S4…充電装置
B…バッテリ
CV…充電コネクタ
1…交流電源
2…コンタクタ
3…リアクトル
4…PWMコンバータ
5、11…コンデンサ
6…インバータブリッジ
7…変圧器
8…ダイオードブリッジ
9…リアクトル
10…電流計
12、23…抵抗
13…ダイオード
14…充電ケーブル
15…コンタクタ
17…電圧制御回路
18…PWM制御回路
19…制御回路
21…電流制御回路
22…PWM制御回路
24…リレー
25…ダイオード
26…電圧検出回路
31…半導体スイッチング素子
41…電圧制御回路
50…充電ユニット
51…PFC回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電流から変換されて定電流になるように制御された直流電流を、充電ケーブルを介して、バッテリに流して前記バッテリを充電すると共に、前記充電ケーブルの絶縁試験を行う充電装置であって、
前記充電ケーブルの一対の導線間に接続されたコンデンサと、
前記コンデンサに並列に接続された抵抗と、
前記抵抗に直列に接続された断続器と、
前記断続器をオン状態に切り換えて前記抵抗に前記直流電流を流すことに起因して、前記抵抗で生じる電圧降下に対応した電圧を前記コンデンサに印加することにより、前記コンデンサを蓄電させた後、前記交流電流の変換を停止しながら前記断続器をオフ状態に切り換えて、前記コンデンサの電圧を前記充電ケーブルの前記一対の導線間に印加することにより、前記充電ケーブルを介して前記コンデンサを放電させながら前記充電ケーブルに放電電流を流して、前記充電ケーブルの絶縁試験を行う制御回路と、
を備える充電装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記コンデンサが放電する際における前記コンデンサの放電の時定数が調整された放電電圧の経時変化特性に基づいて、前記充電ケーブルの絶縁状態を判別する請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記断続器は、電磁継電器であり、更に、前記抵抗と前記コンデンサとの間に、前記コンデンサの前記放電電流が前記抵抗に流入することを防ぐ逆電流阻止用ダイオードが設けられた請求項1又は2に記載の充電装置。
【請求項4】
前記断続器は、半導体スイッチング素子である請求項1又は2に記載の充電装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記直流電流の検出電流値に加えて、前記コンデンサの検出電圧値にも基づいて、前記直流電流が定電流になるように制御する請求項1から4のいずれかに記載の充電装置。
【請求項6】
前記交流電流を変換して前記直流電流を得るように互いに並列に接続された複数の充電ユニットを有し、前記制御回路は、前記複数の充電ユニットのうちの一部の充電ユニットであって前記コンデンサ、前記抵抗及び前記断続器を備えたものを用いて、前記絶縁試験を行う請求項1から5のいずれかに記載の充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−42639(P2013−42639A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179552(P2011−179552)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(598130882)株式会社 ハセテック (5)
【Fターム(参考)】