説明

充電設備管理装置及び充電設備管理システム

【課題】利用者に対して充電設備の空き状況を的確に知らせる。
【解決手段】充電設備管理装置1の制御部10は、記憶部12に記憶されている充電設備情報の中から検索条件に該当する充電設備情報を検索し、その検索結果を通信部11より通信端末3へ送信させる。通信端末3では、充電設備管理装置1から送信される検索結果を表示デバイス(液晶ディスプレイ)の画面に表示する。このとき、通信端末3の画面には、少なくとも充電スタンド2の所在地、利用料金、利用状況などの充電設備情報が表示される。各充電スタンド2の利用状況が定期的に更新されているので、通信端末3の画面に表示される利用状況の情報により、どこの充電スタンド2が空いているかということを利用者が的確に知ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車を充電するための充電設備を管理する充電設備管理装置及び充電設備管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車を充電するための充電設備(充電スタンド)に関する情報を一元的に管理し、電気自動車の運転者に前記情報を提供する充電設備管理装置及び充電設備管理システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この従来例における充電設備は、電気自動車に搭載されている蓄電池を充電済みの蓄電池と交換したり、あるいは電気自動車に搭載されている蓄電池を充電するためのものであって、所在地、営業時間、充電済みの蓄電池の在庫の有無などの情報がサーバで管理されている。そして、運転者は、電気自動車に搭載されている通信装置を使って前記サーバにアクセスし、充電設備に関する情報、例えば、現在位置から最も近い充電設備の所在地や、当該現在位置から半径数キロメートル以内の範囲にある充電設備の内で最も充電価格の安い充電設備の所在地などの情報を取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−148590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1記載の従来例では、充電設備の利用可否判定において、電気自動車が蓄電池の交換を必要としない場合には常に利用可能と判定されている(特許文献1の段落0100〜段落0101参照)。しかしながら、実際には充電設備に設置されているアウトレット(コンセント)に空きがなければ、電気自動車を充電することはできない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、利用者に対して充電設備の空き状況を的確に知らせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の充電設備管理装置は、充電設備の所在地や利用状況などに関する充電設備情報を記憶する記憶手段と、利用者の通信端末との間でデータ通信を行う通信手段と、利用者から情報提供の要求を受け取ると、当該利用者が利用可能な前記充電設備のうちで現在利用中でない充電設備の当該充電設備情報を抽出して前記通信手段から前記利用者の通信端末へ送信させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
この充電設備管理装置において、前記通信手段は、前記充電設備との間でデータ通信を行い、前記制御手段は、前記充電設備から送信される前記充電設備情報を前記通信手段で受信して前記記憶手段に記憶させることが好ましい。
【0008】
この充電設備管理装置において、前記記憶手段は、予め登録された利用者の識別情報を記憶し、前記制御手段は、前記情報提供の要求とともに前記通信手段で受信する識別情報が前記記憶手段に記憶されている前記識別情報と一致する場合にのみ、前記記憶手段から前記充電設備情報を抽出し且つ前記通信手段から前記通信端末へ送信させることが好ましい。
【0009】
本発明の充電設備管理システムは、何れかの充電設備管理装置と、電気自動車を充電する1乃至複数の充電設備と、当該充電設備を利用して前記電気自動車を充電する利用者が所持する通信端末とを有し、前記充電設備は、自らの前記充電設備情報を記憶するとともに当該充電設備情報を定期的に前記充電設備管理装置へ送信し、前記充電設備管理装置は、前記充電設備情報が送信されてこない期間が所定のしきい値を超えた場合に当該充電設備の充電設備情報を削除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の充電設備管理装置及び充電設備管理システムは、利用者に対して充電設備の空き状況を的確に知らせることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る充電設備管理装置及び充電設備管理システムの実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態の充電設備管理装置1は、図1に示すように複数台の充電設備(充電スタンド)2と、利用者が所持する通信端末(例えば、携帯電話機など)3とともに、本発明に係る充電設備管理システムを構成している。
【0013】
充電スタンド2は、制御部20、コンセント部21、通信部22、記憶部23を共通に備えている。コンセント部21は、電気自動車(図示せず)に接続するための充電ケーブルが挿抜自在に接続されるアウトレット(コンセント)、コンセントへの充電ケーブルの接続の有無を検出するセンサなどを具備している。通信部22は、無線あるいは有線の通信媒体を介してネットワーク(インターネット)4に接続し、ネットワーク4を経由して充電設備管理装置1との間でデータ通信を行う。さらに通信部22は、通信ケーブルLsを介して他の充電スタンド2の通信部22との間でデータ通信する機能も有している。記憶部23は、電気的に書換可能な半導体メモリ(フラッシュメモリなど)からなり、自らの設置場所(所在地の住所)や利用状況(使用中又は未使用)、利用料金(例えば、1キロワット当たりの単価)などの情報(充電設備情報)を記憶している。制御部20は、マイクロコントローラやメモリなどで構成され、メモリに格納されているプログラムをマイクロコントローラで実行することにより、後述する種々の機能を実現している。
【0014】
ここで、各充電スタンド2においては、外部のコンピュータから送信されて通信部22で受信された充電設備情報が制御部20によって記憶部23に書き込まれる。また、図示例では、1台の充電スタンド2(親機)の通信部22のみがネットワーク4経由のデータ通信を行い、その他の充電スタンド2(子機)の通信部22は親機との間のデータ通信のみを行っている。故に、親機の制御部20は、子機の記憶部23に記憶されている充電設備情報を通信部22によるデータ通信によって収集するとともに、収集した各子機の充電設備情報並びに自己の充電設備情報を通信部22からネットワーク4を経由して充電設備管理装置1へ送信する。なお、通信ケーブルLsで接続される複数台の充電スタンド2は、何れも同じ場所(例えば、商業施設の駐車場など)に設置されており、その他の場所に設置された充電スタンドの図示は省略されている。
【0015】
一方、充電設備管理装置1は、制御部10、通信部11、記憶部12を備えている。通信部11は、無線あるいは有線の通信媒体を介してネットワーク4に接続し、ネットワーク4を経由して充電スタンド4(通信部22)との間でデータ通信を行う。記憶部11は、ハードディスク装置などの大容量の記憶装置からなり、管理対象である複数台の充電スタンド2から取得される充電設備情報を記憶している。制御部10は、マイクロコントローラやメモリなどで構成され、メモリに格納されているプログラムをマイクロコントローラで実行することにより、後述する種々の機能を実現している。
【0016】
通信端末3は、例えば、携帯電話機からなり、携帯電話網を経由してネットワーク4に接続し、ネットワーク4経由で充電設備管理装置1との間でデータ通信を行う。但し、通信端末3は携帯電話機に限定されず、ネットワーク4を経由してデータ通信する機能を有したパーソナルコンピュータやカーナビゲーションシステムなどであっても構わない。
【0017】
次に、新たに充電スタンド2が設置された場合の充電設備管理装置1及び充電設備管理システムの動作を説明する。まず、充電スタンド2が新たに設置されると、それらの充電スタンド2の記憶部23に充電設備情報が記憶(登録)される。ここで、各充電スタンド2の充電設備情報は、例えば、登録用のコンピュータ(図示せず)からネットワーク4経由で親機に送られ、親機から通信ケーブルLsを介して子機に転送される。そして、親機及び子機の記憶部23に充電設備情報が登録(記憶)される。さらに親機の制御部20は、親機自身及び各子機の記憶部23に登録された充電設備情報を通信部23よりネットワーク4経由で充電設備管理装置1へ送信する。
【0018】
充電設備管理装置1の制御部10は、通信部11で受信した充電設備情報を充電スタンド2(親機及び子機)の識別符号と対応付けて記憶部12に記憶(登録)する。ここで、上述したように充電設備情報には各充電スタンド2の利用状況が含まれているが、この利用状況は時々刻々と変化する。したがって、本実施形態における充電スタンド2の制御部20は、定期的(例えば、5分〜10分毎)に利用状況の情報(使用又は未使用)を充電設備管理装置1へ送信している。そして、充電設備管理装置1の制御部10は、記憶部12に記憶されている充電設備情報のうちで各充電スタンド2の利用状況の情報を、各充電スタンド2から定期的に送られてくる最新の利用状況の情報に更新する。ここで、充電設備管理装置1の制御部10は、何れかの充電スタンド2から充電設備情報が送信されてこない期間が所定のしきい値(例えば、24時間〜数日間)を超えた場合に当該充電スタンド2の充電設備情報を記憶部12から削除する。つまり、長期間に亘って充電設備情報が送信されてこなければ、当該充電スタンド2が故障あるいは撤去されたとみなし、そのような充電スタンド2の充電設備情報を削除することにより、誤った情報が利用者に提供されることを防いでいる。
【0019】
次に、充電設備管理装置1から利用者の通信端末3に充電設備情報を提供する際の動作について説明する。但し、以下の説明では、通信端末3がGlobal Positioning System(全地球測位システム)による測位機能を有しているものとする。
【0020】
充電設備管理装置1の制御部10はウェブサーバ機能を搭載しており、記憶部12に記憶している充電設備情報を検索するためのウェブページをネットワーク4上に公開している。但し、ウェブページへのアクセスを特定の利用者(例えば、会員登録している利用者や特定の企業の社員など)のみに限定する場合、利用者IDとパスワードで認証された前記特定の利用者のみに前記ウェブページへのアクセスが許可される。
【0021】
そして、利用者の通信端末3から前記ウェブページにアクセスされ、当該ウェブページ内の検索ボックスに所定の検索条件が入力される。検索条件としては、例えば、予め登録されている地域(市町村など)や、あるいは通信端末3で測位された現在位置から半径5キロメートルの範囲などが考えられる。なお、この検索条件が情報提供の要求として通信端末3から充電設備管理装置1に送信される。
【0022】
充電設備管理装置1の制御部10は、記憶部12に記憶されている充電設備情報の中から検索条件に該当する充電設備情報を検索し、その検索結果を通信部11より通信端末3へ送信させる。通信端末3では、充電設備管理装置1から送信される検索結果を表示デバイス(液晶ディスプレイ)の画面に表示する。このとき、通信端末3の画面には、少なくとも充電スタンド2の所在地、利用料金、利用状況などの充電設備情報が表示される。ここで、各充電スタンド2の利用状況が定期的に更新されているので、通信端末3の画面に表示される利用状況の情報により、どこの充電スタンド2が空いているかということを利用者が的確に知ることができる。
【0023】
ところで、各充電スタンド2の充電設備情報をコンピュータを利用して充電設備管理装置1に登録することも可能である。しかしながら、全ての充電スタンド2の充電設備情報をコンピュータから登録することは、登録作業の手間と作業ミスが生じやすくなる虞がある。これに対して本実施形態では、各充電スタンド2から送信される充電設備情報を充電設備管理装置1が記憶部12に記憶しているので、登録作業の手間が少なくなるとともに作業ミスが生じ難くなるという利点がある。
【符号の説明】
【0024】
1 充電設備管理装置
2 充電スタンド(充電設備)
3 通信端末
10 制御部(制御手段)
11 通信部(通信手段)
12 記憶部(記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電設備の所在地や利用状況などに関する充電設備情報を記憶する記憶手段と、利用者の通信端末との間でデータ通信を行う通信手段と、利用者から情報提供の要求を受け取ると、当該利用者が利用可能な前記充電設備のうちで現在利用中でない充電設備の当該充電設備情報を抽出して前記通信手段から前記利用者の通信端末へ送信させる制御手段とを備えることを特徴とする充電設備管理装置。
【請求項2】
前記通信手段は、前記充電設備との間でデータ通信を行い、前記制御手段は、前記充電設備から送信される前記充電設備情報を前記通信手段で受信して前記記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項1記載の充電設備管理装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、予め登録された利用者の識別情報を記憶し、前記制御手段は、前記情報提供の要求とともに前記通信手段で受信する識別情報が前記記憶手段に記憶されている前記識別情報と一致する場合にのみ、前記記憶手段から前記充電設備情報を抽出し且つ前記通信手段から前記通信端末へ送信させることを特徴とする請求項2記載の充電設備管理装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかの充電設備管理装置と、電気自動車を充電する1乃至複数の充電設備と、当該充電設備を利用して前記電気自動車を充電する利用者が所持する通信端末とを有し、前記充電設備は、自らの前記充電設備情報を記憶するとともに当該充電設備情報を定期的に前記充電設備管理装置へ送信し、前記充電設備管理装置は、前記充電設備情報が送信されてこない期間が所定のしきい値を超えた場合に当該充電設備の充電設備情報を削除することを特徴とする充電設備管理システム。

【図1】
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【公開番号】特開2012−58153(P2012−58153A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203512(P2010−203512)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】