説明

光の偏光を用いる視覚暗号化を有する認証システム

認証システム600は光学認証装置620、630、640を有する。各々の工学認証装置は光学層622、632、642を有する。光学層は、暗号化鍵の制御下で視覚暗号化される第1画像の表現を有する。暗号化された第1画像はそれぞれの認証装置を一意に識別する。検査装置610は暗号化鍵の制御下で光学認証装置の光学層を復号化し、認証装置の一意の識別の確認を可能にするために第1画像を視覚化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光学的認証装置と少なくとも1つの検査装置を有する認証システムに関する。本発明は又、光学的認証装置に関する。本発明は、更に、検査装置に関する。本発明は又、第1画像において第1画像を隠す方法に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第1120737号明細書において、通信アイテムに適用又は具現化するための光学セキュリティ装置に関して記載されている。そのようなアイテムは、主に、文書セキュリティ(銀行手形、証印、カード及びチケットアプリケーション)ブランド保護(医薬、香料、アルコール飲料)、物品の安全梱包、ソフトウェア、自動車のスペアパーツ又はそれらのパッケージング等において見られる。光学セキュリティ装置を、それらが適用される認証物品のために使用することが可能である。そのような装置の第1の種類は、ホログラム、kinogram、透かし、マイクロミシン目、光学可変性インク等を有する。そのような装置は、偽造者が類似する装置を備える上で有する困難性を考慮して、肉眼で検査(第1レベルの検査)することができ、認証を提供する。
【0003】
そのようなセキュリティ装置の第2の種類は、例えば、偏光シート、レンズ、ブラックランプ(UV)等(第2レベル検査)のための、安価で容易に利用することができるツールにより視覚化可能であり、第1の種類に比べてより高度なセキュリティと認証度を備えている。そのようなセキュリティ要素の例は、微細印刷装置、蛍光インク及び偏光効果に基づく装置である。そのような装置は、例えば、光配向性ポリマーネットワーク(PPN)層に基づいていることが可能であり、その層は基板上に堆積され、その基板に対して異なる局部領域において異なる方向に選択的に方向付けられる。PPN層は架橋液晶モノマーの層により覆われる。この層は、光学的に異方性であり、光学的リターダ層を提供する。そのリターダ層の液晶の性質は、偏光シートを用いて見ることが可能である位相リターダ画像を製造することを可能にするPPN層の選択的配向に従う。
【0004】
セキュリティ装置の第3の種類は、光分光器、偏光顕微鏡等のような特別で高価なツールを用いてのみ視覚化及び検出されることができる要素を有する(第3レベル検査)。更に、挿入、続く識別、画像における透かし又は画像の完全な暗号化のための電子的技術が知られている。そのようなセキュリティ装置に対する更なる例には、特定な蛍光インク、ディジタルスクランブル証印を用いて作られた要素がある。それらの装置全ては、特定の復号化ツールのみを用いて受信することができる共通点を有する。
【0005】
包括的で多目的のセキュリティを提供するために、光学セキュリティ装置は、基板と、第1、第2及び第3光学検査レベルを提供するようにする少なくとも第1の光学的構造化層とを有する。その第1層は、所定の異なるオリエンテーションを有する要素領域のアレイを有するLCP材料のリターダ面として構成される。そのような位相リターダにより生成される結果として得られる視覚的オブジェクトは、入射光及び出射光の特定波長分布及び偏光方向に依存する。構造化LCPリターダ層の隣接領域は、1つの領域から他の領域に、少なくとも暗号化され及び光学的に少なくとも非暗号化された隠された画像が記憶される光軸の2つの異なるオリエンテーションを示す。非暗号化された隠された情報/画像又はオブジェクトは、存在する場合、標準的なシート偏光子を用いて視覚化されることができる(第2検査レベル)。更に、パターンの“ランダム化”分配を見ることができる。上記のように、復号化光学ツールを用いて暗号化画像を識別することができる(第3レベル)。このために、適切に構造化された光学的位相リターダ面、即ち、復号化部又は鍵は、線形偏光子と光学装置との間に置かれ、第2の、他の暗号化オブジェクトは可視的になる。第2レベルのオブジェクト及びパターンと組み合わせて用いるときに、他の暗号化されたオブジェクトが現れるように、鍵は選択された。
【0006】
上記のシステムは光学セキュリティの3つのレベルを有するが、悪質なグループは、セキュリティ装置のリターダ面を得ることが可能であり、それを物品に添付することが可能であり、これにより、物品を認証することが可能である。このことは、記述されたシステムが特定の物品において使用するには適切でないようにする。例えば、盗まれたパスポートからリターダ層を取り除くことと、不正パスポートにそれを添付することとにより、不正部分がパスポートを簡単に認証することができることが理解される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、改善された認証システム、改善された光学認証装置及び改善された検査装置を提供することである。更なる目的は、画像を他の画像中に隠す改善された方法を提供することである。
【0008】
本発明の目的に適合させるために、認証システムは、複数の光学認証装置と少なくとも1つの監査装置とを有し、各々の光学認証装置は暗号化鍵の制御下で視覚的に暗号化された第1画像の表現を有する光学層を有する認証システムであって、ここで、暗号化第1画像はそれぞれの認証装置を一意に識別し、検査装置は、暗号化鍵の制御下で光学認証装置の光学層を復号化するように、及び認証装置の一意の識別の確認を可能にする第1画像を視覚化するように動作可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従って、暗号化画像は認証装置を一意に識別する。このようにして、光学層の復号化が第2認証装置の同一性を示すために、第1認証装置から光学層を取り除くこと及び第2認証装置にそれを添付することが、第2認証装置を認証しない。
【0010】
従属請求項2の手段により記載しているように、一意の識別が、認証装置に対して一意である画像を用いることにより実現される。例えば、画像はその装置の一意のシリアル番号を有することが可能である。
【0011】
従属請求項3の手段により記載しているように、画像はその装置のユーザの生物測定学的データを表すことにより一意である。好適には、生物測定学的データは、検査装置を用いる人間により速い視覚的確認を可能にするようにユーザの写真を有する。
【0012】
従属請求項4の手段により記載しているように、光学層は偏光フィルタにより見えるようになる更なる画像を有する。第1画像は更なる画像に視覚的に暗号化され(隠され)、視覚復号化の後にのみ可視的になる。
【0013】
従属請求項5の手段により記載しているように、画像を表すために用いられる光学層の各々のセルに対して、光学暗号化鍵は光の偏光の回転を規定する。第1画像の復号化は光学層のそれぞれのセルにそれらの回転を適用することにより発生する。第1画像は、第1画像の対応するピクセルと、第2画像の対応するピクセルと、セルのための暗号化鍵により規定される回転の関数として、セルを通過する光の偏光にセルにより適用される回転を選択して領域の各々のセルに対して第2画像に隠される。
【0014】
従属請求項6の手段により記載しているように、埋め込みは、第2画像のピクセル値に基づいて第1回転値を割り当てること、及びセルの暗号化鍵により規定された回転及び第1画像のピクセル値に基づいてこれを調節することにより達成される。第2画像のピクセルに割り当てられた回転値に比較して比較的小さい調節を用いることにより、第2画像は偏光フィルタのみを用いて容易に可視的に保たれる。略90°の倍数に調節することにより、又、十分に視認可能な第2画像を得ることができ、一部の場合にのみ反対にされる。
【0015】
従属請求項7の手段においては、白黒の第2画像に対して良好な結果を達成する回転値について記載されている。
【0016】
従属請求項8の手段においては、白黒の第1画像に対して良好な結果を与えるその回転を調節するための値について記載されている。
【0017】
従属請求項9の手段により記載しているように、一意の識別は認証装置に対して一意である暗号化鍵を用いることにより達成される。
【0018】
従属請求項10の手段により記載しているように、検査装置は復号化のためにLCD層を用いる。そのような層は復号化鍵を用いて容易にロードされることができ、固定キーを用いない場合、特に好都合である。
【0019】
従属請求項11の手段により記載しているように、第2画像は、第1画像を隠すために用いられる暗号化鍵を識別する。第2画像を偏光解消することにより、その鍵は識別される。第2画像を復号化するために識別された鍵を用いることにより、その装置を認証することができる。
【0020】
従属請求項12の手段により記載しているように、第2画像を光学復号化することに代えて、その画像は処理器にロードされ、復号化され、そして視覚的確認のために人間に対して表示される。そのような検査方式はより速く且つより正確にすることが可能である。
処理器は又、基準画像と復号化画像を比較し、認証を実行することが可能である。処理器は又、例えば、第2画像から取り出された情報に基づいて、適切な鍵を自動的に取り出すことが可能である。
【0021】
従属請求項13の手段により記載しているように、復号化が処理器により実行される場合、回転の調節は非常に小さくなる。従って、第2画像は、偏光子を通して見るとき、より明瞭になる。原理的には、復号化された第2画像はあまり明瞭ではないが、処理器はこれを容易に補償することができる。
【0022】
従属請求項14の手段により記載しているように、第1画像及び第2画像は確認可能な方法でリンクされている。暗号化を不正に行うことは困難であるため、そのリンクは又、第1画像を不正画像と置き換えることを又困難にし、セキュリティを改善する。
【0023】
従属請求項15の手段により記載しているように、そのリンクは、認証装置のユーザの識別に基づいている。
【0024】
従属請求項16の手段により記載しているように、第2画像は、人間により容易な確認が可能である、ユーザの識別に関連した、名前のような読み取り可能な情報を有する。
【0025】
本発明の目的に適合するように、光学認証装置は、暗号化鍵の制御下で視覚暗号化された第1画像の表現を有する光学層(622)を有し、ここでは、その暗号化された第1画像は認証装置を一意に識別する。
【0026】
本発明の目的に適合するように、光学認証装置を検査するための検査装置は、暗号化鍵の制御下で視覚暗号化された第1画像の表現を有する光学層を有し、ここで、暗号化された第1画像は、認証装置を一意に識別する、検査装置であり、暗号化鍵の制御下で光学認証装置の光学層を復号化するように、及び認証装置の一意の識別の確認を可能にする第1画像を可視化するように動作可能である。
【0027】
本発明の目的に適合するように、光学層が複数の偏光セルを有する光学認証装置の光学層における第2画像に第1画像を隠す方法は、光の偏光のそれぞれの回転を領域の各々のセルに対して記述する視覚暗号化を得る段階と、第2画像の対応するピクセルのピクセル値、
第1画像の対応するピクセル値のピクセル値及びセルに対する暗号化により規定された回転に依存して各々のセルに対して第2画像に第1画像を視覚暗号化する段階と、暗号化された第1画像が光学認証装置を一意に識別する段階と、光学層のそれぞれのセルに決定された回転を適用する段階と、を有する。
【0028】
本発明の以上の及び他の特徴については、以下に説明する実施形態に関して明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明に従ったシステムについて説明するために、先ず、視覚暗号について説明する。視覚暗号(文献、M.Naor,A.Shamiar.“Visual Cryptology”,Eurocrypt ’94,Springer−Verlag LNCS Vol.950,Springer−Verlag,1995,pp.1−12)については、間単には、次のように説明することができる。画像は2つのランダム化された部分であって、画像にランダム化を加えた部分とランダム化自体の部分とに分割される。どちらの部分も、ランダム化のためにオリジナル画像に関する情報を有していない。しかしながら、両方の部分が物理的に重ね合わされるとき、オリジナル画像が再構成される。実施例を図1に示す。オリジナル画像100はシェア(share)110及び120に分割され、それらのシェアは、重ね合わされるとき、再構成画像130を結果として得る。それらの2つの部分が互いに適合しない場合、オリジナル画像の情報は現れず、ランダム画像が生成される。視覚暗号はパーティ間の通信のために用いられてきた。2つのパーティが視覚暗号化を用いて通信することを希望する場合、それらのパーティはランダム化を共有する必要がある。基本実施により、受信パーティにランダム化を含む透明性を与えるようにする。送信器は、それ故、オリジナルメッセージをランダム化するためにこのランダム化を用い、透明性により又は何れの他の手段により、受信器にランダム化メッセージを送信する。受信器は、2つの透明性を互いの最良の状態にし、メッセージを受信する。このスキームはpne−time padと比較されることができる。よりフレキシブルな実施は、2つの表示スクリーンであって、例えば、2つのLCDスクリーンを用いるときに得られる。第1スクリーンは画像プラスランダム化を表示し、第2スクリーンはランダム化それ自体を表示する。それらのスクリーンが互いに最良の状態にあるとき、再構成画像が現れる。
【0030】
図2は、上記の参照文献においてNaorとShamirにより記載されているような視覚暗号処理について示している。その処理は、ここでは単一ピクセルに対して示しているが、勿論、ソース画像における全てのピクセルが、この方法により処理されるべきである。オリジナル画像100の全てのピクセルは、4つのサブピクセルに変換される。このピクセルについての第1シェアS1を生成するために、4つのピクセルの2つがランダムに選択される一方、他の2つは白色(透明性)であるように選択される。このピクセルの他のシェアS2を生成するために、4つのサブピクセルは、オリジナル画像における対応するピクセルが白色である場合には、コピーされ、オリジナル画像が黒色である場合には、反転される。各々のピクセルに対して、4つのピクセルの2つが黒色(非透明性)である必要がある新しいランダム選択が実行される必要がある。ピクセルが分割されるサブピクセルの数は任意に選択されることができるが、少なくとも2つである必要がある。このようにして、2つのサブピクセルのコレクションが生成される。それらのコレクションは2つのシェアを作る。いずれのシェアも、オリジナルピクセルの色に関するいずれの情報を与えない。全ての場合、それらのシェアにおいてオリジナルピクセルを表すように選択される一部のサブピクセルは黒色であり、残りは白色である。更に、ランダム選択が確率p=0.5で、各々のピクセルに対して独立してなされるため、黒色と白色の有効な組み合わせの全ては、起こり易さは同様である。
【0031】
オリジナル画像を再構成するために、2つのシェアS1及びS2が重ね合わされ、即ち、互いに上に置かれる。これは、図2の最後の列において示されている。オリジナルピクセルが黒色(P2)である場合、シェアS1及びS2からのサブピクセルの重ね合わせは、4つの黒色のサブピクセルを結果として得る。オリジナルピクセルが白色(P1)である場合、シェアS1及びS2からのサブピクセルの重ね合わせは、再構成画像130において、結果として黒色と白色の混ざったパターンになり、そのパターンは遠くから見るとき、しばしば、グレーに見える。2つの部分が互いに適合しない場合、オリジナル画像における情報は何も現れず、ランダム画像が生成される。両方のシェアについて知らない場合、サブピクセルの1つの集合がオリジナル画像100における白色のピクセルに一致する確率は、その集合がオリジナル画像100において黒色のピクセルに一致する確率と等しい。
【0032】
上記のスキームにおいては、再構成画像130における細部の同じレベルを示すために、シェア110、120は、オリジナル画像100より4倍大きい分解能を必要とする。これは、再構成画像130をオリジナル画像100の4倍の大きさにする。未公開の欧州特許第02075527.8号明細書において、第1シェアを生成するために第1LCD層を用い、第2シェアを生成するために第2LCD層を用いることが記載されている。それらのLCDを重ね合わせることにより、オリジナル画像は可視的になる。このシステムにおいては、分解能は増加しない。この特許明細書においては、視覚暗号化に対する偏光子とリフレクタを組み合わせたLCD層を用いる種々の方法について記載している。それらの技術は、本発明に従ったシステムにおいて用いることができ、参照として含まれる。
【0033】
視覚暗号化のための液晶ディスプレイの使用について理解するために、先ず、図3に示すようなバックライトの設定における一般的な透明性液晶ディスプレイ(LCD)の構成について考察する。LCDスクリーンの後ろに置かれたバックライトとして、典型的に実現される光源301は、この偏光フィルタ302に向かう有効な偏光全てを有する光波を投影する。水平偏光された光波のみがこの偏光フィルタ302を通過する。液晶セル303、304は、セル303、304に印加される電圧及び液晶ディスプレイの構成に依存して、通常、[0,π/2]又は[0,π/4]の特定の角度に対してそれらセルを通過する光波の偏光を、通常、回転させる。この実施形態におけるセル303,304は、最も一般的な種類である捩れネマチック液晶である。それに代えて、他の種類の液晶を用いることが可能である。又、バックライトを使用するのではなく、反射型又は半透過型液晶ディスプレイを使用することが可能である。十分な電圧が液晶セルに印加される場合、セルの内部分子構造は、通過光の偏光が特定量だけ変化される方法で変化する。図3に示すように、電圧は、液晶セル304に印加されたが、液晶セル303には印加されなかった。液晶セル303が通過光の偏光を回転させることを示すように、そのセルは文字“R”で印を付けられた。明確化のために、液晶セル303により影響される回転は、π/2又は90°として、図3に示されているが、その回転は、この場合、0乃至π/2のいずれの角度であることができる。
【0034】
液晶セル303、304を通過した光波は、続いて、第2偏光フィルタ305を通過する。この偏光フィルタ305は、水平偏光された光波のみを通過するようにするという点で、偏光フィルタ302のように機能する。液晶セル303を通過した光の偏光は回転されたため、この光は偏光フィルタ305によりブロックされ、それ故、その出力は黒色ピクセル306として現れる。アクティブにされた液晶セル304を通過した光の偏光は尚も水平であるため、この光は偏光フィルタ305を通過し、白色ピクセル306として現れる。代替として、第2偏光フィルタ305は、液晶セル303により一度回転された光のみを通過させるように選択することが可能である。その液晶ディスプレイの出力は、それ故、上で説明したことと全く反対である。しかしながら、これは、単なるデザインの違いである。
【0035】
偏光フィルタ302及び305は又、他の偏光であって、例えば、垂直偏光を有する光波のみが通過するようにするために変更されることが可能である。更に、液晶303、304は、オリジナルの方向に対して垂直な入力光の偏光を回転させることが可能であるが、例えば、更に、単一偏光層のみが存在することが可能である反射型LCDにおける場合に、その偏光を45°だけ回転させることが可能である。重要なことは、黒色ピクセルを生成するように、偏光の最終方向は第2偏光フィルタ305の偏光方向に対して垂直である。
【0036】
図4は、2つの回転層の重ね合わせにより、黒色及び白色画像の再構成の実施についての模式図である。その回転層は液晶により構成されることが可能であるが、又、欧州特許第1120737号明細書に記載されている回転層と同様な透明性のような、適切な光学的層材料を用いて構成されることが可能である。以下においては、液晶を使用することに焦点を当てて、説明する。‘r’で示している光学層におけるセルは、π/2ラジアンだけ光の偏光を回転させる。上記のように、LCDディスプレイは3つの主要部分であって、下部偏光子、LC層(即ち、光学層)及び上部偏光子を有する。光学層は小さいセルに副分割される。偏光子はフィルタとして機能する。それらは、1つの方向(例えば、水平方向)に入射光の偏光を投射する。LCセルは、電圧がセルに印加されているか否かに依存して、入射光の変更を回転させる。透明性のような、他の光学層材料を使用する場合、セルの回転は、その層の製造において固定されることが可能である。視覚暗号システムは次のような構成要素であって、即ち、上部ではなく下部における偏光子420を有する第1回転層と、下部ではなく上部における偏光子440を有する第2回転層とを有する。光源450(例えば、バックライト)からの入射光は、光ビームの伝搬方向に対して垂直な面にある有効な偏光子(円偏光光)全てを有する光波を有する。水平偏光は第1回転層410の前に置かれているため、その光はこのフィルタの後、水平偏光される。回転層はセル又はピクセルに分割され、それらの一部(図4において‘r’で示している)は、π/2だけ入射光の偏光を回転させる一方、他のセルは、偏光の方向を変化させない(バイナリシステム)。LC回転層に対して、これは、電圧がセルに印加されるか否かに依存している。最終的に、最後の偏光子440は、出力において白黒ピクセルを結果的にもたらす垂直偏光を有する光をブロックする。Naor−Shamirの視覚暗号化の重ね合わせにおいては、シェアはOR関数のように振舞うが、本発明の設定においては、シェアはXORのように振舞う。
【0037】
2つの回転層410及び430における回転セル及び非回転セルの分布はオリジナル画像のシェアを構成する。2つのシェアはNaor−Shamirの視覚暗号化に類似して生成され、オリジナル画像における全てのピクセルに対して、第2回転僧30におけるセルは回転する(‘r’)又は回転しないとしてランダムに選択される。第1回転層410における対応するセルの回転は、オリジナルピクセルが黒色であった場合に、両方の層の2つの対応するセルによりもたらされる偏光の全体の回転がπ/2であるように、選択される。オリジナルピクセルが白色である場合、それ故、偏光の全体の回転は0又はπである必要がある。
【0038】
このような方法においては、液晶ディスプレイにおける1つのセルは、オリジナル画像における「1つのピクセルに対応している。それ故、個々のシェアは、オリジナル画像と同じ分解能を有している。更に、オリジナル画像における白色ピクセルは又、再構成される画像において白色である(Naor−Shamirの視覚暗号化のように‘グレー’ではない)。同様に、黒色ピクセルは黒色ピクセルとして再構成され、それ故、再構成画像においてコントラスト及び輝度の損失はない。光学回転層として液晶層を使用することは、LCDディスプレイが電子回路により駆動されるため、シェアが動的に更新されるという優位性を有する。透明性の積み重ねを備える必要はない。
【0039】
図4Aは、単一の回転層を有する構成を示している。そのような構成は、本発明に従った認証装置において使用されることが可能である。認証装置は回転送10を有する、少なくとも1つの光学層を有する。認証装置は又、下部偏光子420を有することが可能である。検査装置は、視覚暗号化鍵を構成する第2回転層430を有する。検査装置は又、第2偏光子440を有することが可能である。そのように所望される場合、検査装置は又、第1偏光子420を有することが可能であり、その場合、認証装置は回転層420のみを有し且つ図4Bに示すような位置に挿入される。図4Cは反射型検査を示している。反射層460は、回転層410の後の認証装置の中にあることが可能である。その反射層は又、検査装置の一部であることが可能であり、その場合、検査装置の回転層410は挿入されている。この場合、1つの偏光フィルタ440のみが用いられており、光はそれを2回通過する。回転層による回転は、同じ結果を得るために半分である必要があり、光がそれらの層を2回通過することを補償する。
【0040】
階調及びカラー
アクティブLC層の使用により、又、グレースケール及びカラーを有する画像の再構成が可能になる。図4における液晶層は、LCセルに対する印加電圧とLCの構成とに依存して、特定の範囲、即ち[0;π/2]又は[0;π]における任意の角度に対して偏光を回転することができる。LC1及びLC2によりもたらされる回転の全量が、それぞれ、α及びαである場合、全回転は次式のようになる。
α=α+α (1)
再構成されたピクセルの正規化された強度をI∈[0,1]により表すと、次式のようになる。
(α)=cosα=cos(α+α) (2)
それ故、α及びαに対して適切な値を選択することにより、ピクセルの強度を変化させることが可能であり、このことは標準的なLCDにおいて起こることである。階調を用いて暗号化を実行するために、ピクセルのシェアは、異なるLC層に印加される電圧分布により実施される回転α及びαを有する。値αは[0;π]からランダムに選択され、αは、再構成されたピクセルの強度Iがオリジナルピクセルの強度Iで近似されるように選択される。
【0041】
式(2)は、全回転αの関数として再構成された強度Iを与える。αは[0;π]において選択されるため、αは、Iのπ周期のために強度[0;π]に属しなければならない。この構成は、アタッカがα又はαを得るときに情報がリークしないことを確実にする。α,α∈[0;π]であることを仮定すれば、αは次のアルゴリズム1により決定されることができる。
INPUT:I∈[0,1],α[0;π]
OUTPUT:α∈[0;π]それ故cos(α+α)=I
1)arccos(|(I)1/2|);η∈{x,π−x}を計算する
2)η−α<0である場合、回帰はα=η−α+πであり、終了する
3)η−α≧0である場合、回帰はα=η−α+πである
上記の階調の概念をカラーに拡大することができる。図5は、1つのカラーピクセルが、フィルタ520により偏光されたバックライト550にカラーフィルタ560を適用することにより異なるカラー‘バックライト’(赤色、緑色及び青色)を各々有する3つのサブピクセルから構築される。階調のように、各々のカラーの強度は、回転層510を用いて、赤色、緑色及び青色それぞれの回転α、α及びαを変化させることにより個別に変化させることができる。このようにして、いずれのカラーを構成することができる。ピクセル当たり3回であって、R、G及びBそれぞれに対して1回、アルゴリズム1を適用することにより、Naor−Shamirの視覚暗号化システムと対照的に分解能を損なうことなく、カラー視覚暗号化システムを実施することができる。
【0042】
実際の実施においては、ピクセル強度は[0;1]におけるいずれの値を有することはないが、例えば、k=256個の区別可能な値の離散集合に限定される。又、α及びαに対する有効な値は、αの観測により、ピクセル強度又はカラーに関する情報が現れないように、選択される必要がある。α及びαに対するk個の有効な値の集合は、次式により与えられる。
α=jπ/k
α=iπ/k+Δ
ここで、i,j∈{0,...,k−1}である。π/2におけるcos2xの対称性のために、オフセットΔ∈(0,π/2k))が、k個の異なる強度を得るために必要とされる。
【0043】
図6は、本発明に従った認証システム600を示している。このシステムは、参照番号620、630及び640で示している複数の光学認証装置を有する。各々の光学認証装置は、光学層622、632及び642を有する。原理的には、認証装置は、光学層を支持することができるいずれの物品である。本発明については、パスポートを参照して更に詳細に説明する。本発明は、何らパスポートに限定されるものではない。光学層は、暗号化鍵の制御下で視覚的に暗号化される第1画像の表現を有する。視覚暗号化についての上記の説明から理解できるであろうように、復号化を用いないで、ランダムパターンとして画像が現れる。本発明に従って、暗号化された第1画像は、それぞれの認証装置を一意に識別する。図4を参照するに、認証装置は、すっくなくとも光学層410と、オプションとしての偏光子420を有する。そのシステムは、少なくとも1つの検査装置610を更に有する。検査装置は、暗号化鍵の制御下で光学認証装置の光学層を復号化するように動作可能である。従って、検査装置は、認証装置の一意の識別の確認を可能にするように第1画像を視覚化することができる。図4を参照するに、検査装置は、暗号化鍵を表す少なくとも光学層430を有する。典型的には、検査装置は又、偏光子440を有する。認証装置が偏光子420を有しない場合、検査装置は偏光子を有することが可能である。
【0044】
好適な実施形態においては、暗号化は、光学認証装置及び/又は認証装置のユーザに対して一意である第1画像を用いることにより一意にされる。図7は、本発明に従った認証装置としてのパスポート700を示している。パスポートは、典型的には、いずれの光学装置を用いないで、人間が検査することができるパスポートのユーザの写真を有する。通常、パスポートは又、名前、出生地、生年月日、有効期間等のようなテキスト情報を有する。パスポートは又、人間読み取り可能及び/又はコンピュータ読み取り可能フォームの状態の一意のパスポート識別コード730を有する。光学認証装置に対して暗号化を一意にするために、第1画像はそのようなコードの表示を有することが可能である。検査装置610を使用して第1画像を復号化することにより、その表示を表すことができる。セキュリティを向上させるために、その表示は又、従来の(非視覚的な)パスポート識別の暗号化を用いて、暗号化されることが可能である。悪質なグループは、それ故、視覚検査をパスすることができる不正パスポートを作成できるように、視覚暗号化と共に従来の暗号化を破壊しなければならない。コンピュータデータベースを使用して、いずれの検出された識別の悪用を登録することにより、成功する不正行為の確率を更に低下させることが可能である。
【0045】
好適には、第1画像は認証装置のユーザに対して一意である。これは、その装置のユーザが第1画像をチェックすることにより、検査官が認証を更に確認することを可能にする。好適には、第1画像は、認証装置のユーザの、例えば、写真、指紋又は眼球の虹彩のような生物測定学的データを表す。第1画像は又、コンピュータ作成視覚表示であって、例えば、指紋における重要なポイントの視覚表示であることが可能である。図7は、第1画像に埋め込まれた光学領域740を示している。有利であることに、その領域はユーザの写真を埋め込んでいる。その写真は写真710と同じであることが可能である。しかしながら、視覚暗号化鍵を破壊する確率を低下させるために、例えば、異なる角度で同時に撮影された他の写真を用いることが好ましい。このことは、オペレータがパスポートの認証を瞬時に確認することを可能にする。
【0046】
以下の実施形態においては、第1画像を第2画像に埋め込み且つ暗号化する方法について説明する。第2画像は偏光子により容易に視覚化することができ、第1画像は、視覚復号化の後にのみ、視覚化することができる。第2画像中に第1画像を隠すこの方法を、上記のシステムにおいて使用することができ、暗号化された1画像は認証装置に対して一意であることが理解できるであろう。しかしながら、その方法は又、他のアプリケーションであって、例えば、暗号化出力が一意である必要がない場合に、用いることができる。
【0047】
偏光画像に隠された情報
第2画像中の第1画像の形で、例えば、テキスト又はグラフィックデータのような情報を隠す方法について説明する。第2画像は偏光ピクセルを用いて構成され、一般の偏光子を用いて取り出されることができる。隠された情報は、しかしながら、特定の偏光子(例えば、LCDディスプレイ又は特定の透明性)が用いられるときにのみ、取り出されることができる。その意味では、電子的手段を用いないで検出することができる透かしのようなものとして、その方法を理解することができる。可能なアプリケーションは、パスポートのように、オフィス文書の真偽の確認についてのアプリケーションである。上記のように、視覚暗号化(VC)は、画像を2つのランダムかされたシェア、即ち、画像に加えられたランダム化及びランダム化それ自体のシェアに分割するために用いられることができる。両方のシェアが物理的に重ね合わされるとき、オリジナル画像が再構成される。VCの方法においては、どちらかのシェアはオリジナル画像の情報を含まず、まさに完全なランダムパターンである。その方法は第1画像及び第2画像を用いる。第1画像は、VCを用いて2つのシェアに分割される。シェアの1つは第2画像に埋め込まれる。この第2画像は、次いで、一般的な偏光子を用いて再構成され、第1(隠された)画像は、第1画像(鍵)の他のシェアが既知である場合にのみ再構成されることができる。その方法を、この既存の画像にノイジーパターン(透かし)を付け加えたものとして理解することができる。透かしは電子的手段により検出されないが、適切な鍵を有する特定の装置を用いてその画像を容易に重ね合わせることができる。
【0048】
画像は、光学層の特定なセルを用いて表される。暗号化鍵は、各々の領域のセルに対して光の偏光の回転を表す。検査装置は、第1画像の表現を表すために、各々の領域のセルを通過する光に暗号化鍵により規定された回転を適用する。第1画像は、次のことに依存して、セルを通過する光の偏光の回転を決定する各々の領域のセルにより第2画像に視覚的に暗号化される。
− 第2画像の対応するセルのピクセル値
− 第1画像の対応するセルのピクセル値
− セルに対する暗号化鍵により規定された回転
好適には、各々の領域のセルに対して、回転が次のようなことにより決定される。
− ピクセルの強度に依存して区別可能な回転値を第2画像の対応するピクセルに割り当てること
− 第1画像のピクセル値と暗号化鍵とに依存して、正回転又は負回転を回転値に適合させること
白黒混合画像(又は、より一般には、2色値画像)に対して下で説明するように、好適な、区別可能な回転値は、反射型認証装置を用いる場合、0°及び45°であり、光が回転層410を2回通過する。この場合、下部偏光フィルタ420はミラー(リフレクタ)と置き換えられ、検査装置は偏光フィルタ440を他の側からの光を通過させる。非反射型認証装置(バックライトを有する)を用いる場合、好適な区別可能な回転値は0°及び90°である。この場合、検査装置は、第1(埋め込まれた)画像を復号化するために、偏光フィルタ420及び440並びに偏光層430に適用される。2つのカラー値の画像についての好適な適合値は、下で更に詳細に説明するように、略+30°又は−30°である。
【0049】
その方法について、白黒画像(即ち、2つのカラー値の画像)に対して更に説明する。当業者は、階調及びカラーについての上での説明に基づいて、複数レベルの画像(例えば、階調)に本発明を適用することができる。第2白黒画像を、図4Aに示す方法に従って実施する。全ての白色ピクセルは、0ラジアンに対して入射光を回転させる回転層におけるセルにより構成され、黒色セルは、π/2ラジアンに対する光を回転させる回転層におけるセルにより構成される。第1白黒画像は、テキスト又はグラフィックデータの形の情報を表す。説明を容易にするために、両方の画像は同じサイズ及び同じ数のピクセル(一般に、妥当な重ね合わせが存在する場合に、十分である)を有すると仮定する。目的は、視覚暗号化様式で第2画像に第1画像を埋め込むことである。
【0050】
通常のVCと同様に、第1画像な2つのシェアに分割される。一のシェアはランダムパターン(鍵)を有し、他のシェアは画像及びランダム化と(暗号化画像)を有する。鍵が、π/6又は−π/6の偏光回転を各々のピクセルに対してランダムに割り当てられることにより形成される。このような回転についての選択は再構成白黒ピクセルに対する良好な強度を与えるが、アプリケーションに依存して、他の選択を行うことができる。
【0051】
暗号化された第1画像を第2画像に埋め込むことは、表1に従って実行さえる。鍵における回転及び第1画像及び第2画像におけるピクセルカラーを与えることにより、テーブルは、埋め込まれた第1画像を有する第2画像に対する回転を与える。
【0052】
【表1】

図4Aにおけるような設定を用いる場合、埋め込み処理により、第2画像における黒色ピクセルが、ここでは、π/2+/−π/6の回転として認識され、従って、再構成された黒色ピクセルの強度は0からcos(π/2+/−π/6)=0.25まで変化することが理解できる。同様に、白色ピクセルの強度は1から0.75まで変化し、即ち、再構成された第1画像におけるコントラストは減少する。他方、第2回転層が鍵を有する図4Bにおけるような設定を用いる場合、第1画像は再構成される。白色ピクセルは強度1又は0.75を有する一方、黒色ピクセルは強度0又は0.25を有する。
【0053】
図8は、第2画像に第1画像を隠すことの実施例を模式的に示している。図8Aは第2画像を示す。図8Bは第1画像を示す。画像は9つのセル(3x3)を表している。図8Cは、暗号化鍵によりそれぞれのセルに規定された回転を示している。図8Dは、認証装置の回転層に埋め込まれたセルの結果としての回転を示している。これは、埋め込まれた第1画像を有する第2画像を示している。図8Eは、図4Aに示す再構成を用いる場合の再構成された第2画像を示している。図8Fは、検査装置において回転層430が鍵である、図4Bに示す再構成を用いる場合の再構成された第2画像を示している。
【0054】
図9は、隠された情報の更に実際的な実施例について示している。第2画像は、文字列‘slow’を有する一方、第1(又は、隠された)画像は、文字列‘quick’である。その画像は両方の画像の再構成を与える。
【0055】
実施及びアプリケーション
上記の説明から、2つのシェアが存在することは明らかである。一のシェアは、回転−π/6、π/6、π/3及び−π/3を有するピクセルを用いる2つの画像を有する一方、第2シェア(鍵)は、回転−π/6及びπ/6を有するピクセルを有する。多くのアプリケーションにおいては、それらの回転は液晶セルを使用して実現されるが、これは必ずしも必要ではない。特定の透明性における回転のパターンを‘凍結する’ことが可能である。これは、例えば、文書の一部として第1シェアを用いることを可能にする。第2シェアは、それ故、鍵を有するLCDであり、又は、隠されたメッセージを読み出すための透明性であることが可能である。
【0056】
上記のように、可能なアプリケーションはパスポートに対する方法を適用することにある。第2画像は、名前及び写真のような通常の情報を有するパスポートの主ページである。通常のチェックにおいて、この画像は、通常の偏光子を用いて再構成されることができる。第1画像と同じサイズを好適に有する第1画像は又、任意の位置に写真を有する。第2画像の白色の空間はランダムパターンを用いて埋められている。この画像は、鍵を用いてのみ再構成されることができ、第2画像の写真は第1画像における写真と比較されることができる。この方法は、全てのピクセルに対して異なる偏光回転を有する特定の透明性を生成することが技術的に困難であるため、写真を置き換えるための閾値を生成する。更に、鍵は偽造者に対して既知ではないため、パスポートにおける視覚的に暗号化された新しい写真を埋め込むことは困難である。
【0057】
代替としての実施形態において、暗号化された第2画像は、認証装置に対して一意である暗号化鍵の制御下で暗号化を実行することにより認証装置に対して一意にされる。このために、システム600は、関連暗号化鍵を各々の認証装置に記憶するための記憶装置650を有する。検査装置610は、記憶装置から関連暗号化鍵を各々の認証装置に対して取り出すことができる。好適には、認証装置の第2画像は、それぞれの一意の暗号化鍵を表す情報を有する。この情報は、例えば、鍵を表す識別子であることが可能である。偏光子により画像を検査することにより、その識別を理解することができる。示される復号化鍵が取り出され、適用されることができる。復号化された画像は、次いで、検査されることができる。
【0058】
好適な実施形態においては、検査装置は、領域のセルと協働するように配列された複数のLCDセルを有するLCD層を有する。検査装置は、領域の対応するセルに対する暗号化鍵により規定された回転に従ってLCDのセルを設定することができる。このことは、複数の鍵を使用することを非常に容易にする。
【0059】
他の好適な実施形態においては、各々の認証装置における一意のコードをプリントすることにより、記憶装置650を省くことができる。このコード(例えば、鍵の暗号化バージョン)から、検査装置は、第1(埋め込まれた)画像が再構成されることができる適切な鍵を演繹することができる。
【0060】
透明性又はLCD層のような適切な光学層を用いて、人間が検査を実行することができる。好適な実施形態においては、検査装置は、図10に示すようなコンピュータに組み込まれ又はそれに接続される。コンピュータ1000は、検査装置の一部であることが可能である入力装置1020により認証装置1030から得られる暗号化された第1画像をロードするための入力1010を有する。入力装置は、例えば、セルの回転を区別することができるカメラ又はスキャナであることが可能である。それ故、記述が電子的に(視覚的にではなく)なされ、適切なプログラムの制御下で、処理器は、復号化鍵(例えば、記憶装置1040からの)がロードされ、ディスプレイ1050において復号化された第1画像の続くレンダリングのためにロードされた暗号化第1画像を復号化する。ディスプレイは又、検査装置の一部であることが可能である。復号化は単純である。図8Eに示すように、偏光子を適用することにより、第2画像を認識することができる。又、復号化鍵は既知であるため、第1画像を再構成するために、表1を用いることができる。入力装置が又、第2画像を認識することができる限り、回転の調節を異なるように、例えば、10°以下(又は、これより90°又は180°大きく)にすることができることが理解できるであろう。
【0061】
好適な実施形態においては、第2画像及び第1画像を認証の関連性とリンクされる。これは、認証装置のユーザの識別に基づいていることが可能である。このために、第2画像は、ユーザの識別に関連付けられた、名前、ユーザ識別番号又は認証装置の識別番号のような読み取り可能情報を表す一方、第1画像はユーザの生物測定学的データを表す。
【0062】
上記の実施形態は本発明を限定するのではなく、例示するものであり、当業者は、同時提出の特許請求の範囲における範囲から逸脱することなく、多くの代替の実施形態をデザインすることが可能であることに留意する必要がある。用語“を有する”は、請求項に挙げた要素又は段階以外の要素又は段階の存在を排除するものではない。本発明は、幾つかの別個の要素を有するハードウェアにより、及び適切にプログラムされたコンピュータにより実施されることができる。システム/装置/機器請求項が幾つかの手段を列挙している場合、それらの手段の幾つかは同一のハードウェアにより具現化されることができる。
コンピュータプログラムは、光学記憶装置のような適切な媒体に記憶/分配されることが可能であるが、インターネット又は無線通信システムにより分配されるように、他の形式で分配されることが又、可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】オリジナル画像と、オリジナル画像を視覚暗号化することにより得られる2つのシェアと、2つのシェアを重ね合わせることにより得られる再構成画像とを示す図である。
【図2】NaorとShamirにより考案された視覚暗号化処理について示す図である。
【図3】液晶ディスプレイの構成を模式的に示す図である。
【図4】2つの回転層を重ね合わせることにより白黒画像の再構成の実施について模式的に示す図である。
【図5】階調及びカラー画像のための視覚暗号化技術について示す図である。
【図6】本発明に従った認証システムを示す図である。
【図7】認証装置のパスポートを示す図である。
【図8】第2画像に第1画像を隠す方法を模式的に示す図である。
【図9】第2画像と隠された第1画像を示す図である。
【図10】自動検査システムを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光学認証装置と少なくとも1つの検査装置とを有する認証システムであって:
各々の光学認証装置は暗号化鍵の制御下で視覚暗号化される第1画像の表現を含み、前記の暗号化された第1画像はそれぞれの前記識別装置を一意に識別し;そして
前記検査装置は、暗号化鍵の制御下で前記光学認証装置の光学層を復号化するように、及び認証装置の一意の識別の確認を可能にする第1画像を視覚化するように動作可能である;
ことを特徴とする認証システム。
【請求項2】
請求項1に記載の認証システムであって、第1画像は、前記光学認証装置及び/又は前記光学認証装置のユーザに対して一意である、ことを特徴とする認証システム。
【請求項3】
請求項2に記載の認証システムであって、第1画像は、前記認証装置のユーザの写真、指紋又はアイリススキャンのような生物測定学的データを表す、ことを特徴とする認証システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれに記載の認証システムであって、前記光学層は第2画像を表す複数の偏光セルを有する、認証システムであり:
前記検査装置は前記第2画像の表現を見ることが可能とするために前記光学層に偏光を
適用するように動作可能であり;そして
前記第1画像は、視覚復号化の後にのみ視覚化可能であり、前記第2画像を表すセルに視覚暗号化される;
ことを特徴とする認証システム。
【請求項5】
請求項4に記載の認証システムであって、 前記暗号化鍵は、光の偏光の回転を前記光学層の各々のセルに対して表す、認証システムであり:
前記検査装置は、前記第1画像の表現を表すために前記暗号化鍵により規定された前記回転を前記光学層の各々のセルを通過する光に適用するように動作可能であり;そして
前記第1画像は、前記第2画像の対応するピクセルのピクセル値と、前記第1画像の対応するピクセルのピクセル値と、前記セルに対する前記暗号化鍵により規定された回転と、に依存して前記セルを通過する光の偏光の回転を決定する前記光学層の各々のセルにより前記第2画像に視覚暗号化される;
ことを特徴とする認証システム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の認証システムであって、前記光学層の各々に対して前記回転は:
前記ピクセルの強度に依存して、別個の回転値を前記第2画像の前記対応するピクセルに割り当てることと;
前記暗号化鍵と第1画像のピクセル値とに依存して正又は負回転を有する前記回転値を調節することと;
により決定される、ことを特徴とする認証システム。
【請求項7】
請求項6に記載の認証システムであって、前記第2画像は2つのカラー値を有する画像
である、認証システムであり:
前記別個の回転値は0°及び90°であり、前記検査装置は、偏光フィルタ及び前記光学層を偏光光が通過することにより前記第2画像の検査を可能にするように動作可能であり;又は
前記別個の回転値は0°及び45°であり、前記検査装置は、反射層の上の前記光学層
と偏光フィルタとを光が通過するようにさせることにより第2画像の検査を可能にするように動作可能である;
ことを特徴とする認証システム。
【請求項8】
請求項7に記載の認証システムであって、第1画像は2つのカラー値を有する画像であり、前記回転値は約プラス又はマイナス30°に調節される、ことを特徴とする認証システム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれに記載の認証システムであって、各々の認証装置に対して、前記暗号化は前記認証装置に関連する一意の暗号化鍵の制御下にある、認証システムであり:
前記認証システムは、前記関連する暗号化鍵を各々の認証装置に対して記憶するための記憶装置を有し;
前記検査装置は、前記記憶装置から前記関連する暗号化鍵を各々の認証装置に対して検索するように動作可能である;
ことを特徴とする認証システム。
【請求項10】
請求項9に記載の認証システムであって、各々の認証装置に対して、それぞれの前記第2画像はそれぞれの前記一意の暗号化鍵を識別する情報を有する、ことを特徴とする認証システム。
【請求項11】
請求項10に記載の認証システムであって、前記検査装置は、前記光学層の前記セルを協働するように配列された複数のLCDセルを有するLCD層を有する、認証システムであり:
前記検査装置は、領域の対応するセルに対して前記暗号化鍵により規定された回転に従って前記LCDの各々のセルを設定するように動作可能である;
ことを特徴とする認証システム。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれに記載の認証システムであって、前記検査装置は:
前記暗号化された第1画像をロードするための入力;並びに
プログラムの制御下で、前記復号化鍵をロードし、ディスプレイにおいて前記の復号化された第1画像の続くレンダリングのために前記のロードされた暗号化された第1画像を
復号化するための処理器;
を有する、ことを特徴とする認証システム。
【請求項13】
請求項12に記載の認証システムであって、前記回転値は10°modulo90°以下に調節される、ことを特徴とする認証システム。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれに記載の認証システムであって、前記第2画像及び前記第1画像は確認可能な割り当てによりリンクされている、ことを特徴とする認証システム。
【請求項15】
請求項14に記載の認証システムであって、前記リンクは前記認証装置のユーザの識別に基づいている、ことを特徴とする認証システム。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれに記載の認証システムであって、前記第2画像は、名前、ユーザ識別番号又は前記認証装置の識別番号のような、即ち、前記ユーザの同一性に関連する、読み取り可能情報を表す、ことを特徴とする認証システム。
【請求項17】
請求項1に記載の認証システムで使用される光学認証装置であって、該光学認証装置は、暗号化鍵の制御下で視覚暗号化される第1画像の表現を有する光学層を有し、前記の暗号化された第1画像は前記認証装置を一意に識別する、ことを特徴とする光学認証システム。
【請求項18】
請求項1に記載の認証システムで使用される検査装置であって、暗号化鍵の制御下で視覚暗号化される第1画像の表現を有する光学層を有する光学認証装置の検査のための、検査装置であり:
前記暗号化された第1画像は、前記認証装置を一意に識別し;
前記検査装置は、前記暗号化鍵の制御下で前記光学認証装置の前記光学層を復号化するように、そして前記認証装置の一意の識別の確認を可能にするために前記第1画像を視覚化するように動作可能である;
ことを特徴とする検査装置。
【請求項19】
光学認証装置の光学層の第2画像に第1画像を隠す方法であって、前記光学層は複数の偏光セルを有する、方法であり:
光の偏光のそれぞれの回転を各々の領域のセルに対して表す視覚暗号化鍵を得る段階;
前記光学層の各々のセルに対して、前記第2画像に前記第1画像を視覚暗号化する段階であって、前記第2画像の対応するピクセルのピクセル値と、前記第1画像の対応するピクセルのピクセル値と、前記セルに対する前記暗号化鍵により規定された回転と、に依存して前記セルを通過する光の偏光のそれぞれの回転を決定し、前記の暗号化された第1画像は前記光学認証装置を一意に識別する、段階;並びに
前記光学層の前記それぞれのセルに前記の決定された回転を適用する段階;
を有することを特徴とする方法。





















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−510051(P2006−510051A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−559973(P2004−559973)
【出願日】平成15年11月17日(2003.11.17)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005193
【国際公開番号】WO2004/055720
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】