光を調節可能に変化させるための方法および装置
【課題】照明光および/または試料光をそのスペクトル構成および/または強度に関して調節可能に変化させるための方法および装置を提供する。
【解決手段】本方法および装置では、第1偏光手段(Pol1)によって、異なる偏光の放射成分への空間的分離が実施され、第1分散手段(Disp1)によって、少なくとも1つの放射成分のスペクトル・空間的分割が行われ、スペクトル・空間的に分割された放射成分の少なくとも1つの部分の偏光状態が変えられ、照明光および/または検出光の反射が実施される。
【解決手段】本方法および装置では、第1偏光手段(Pol1)によって、異なる偏光の放射成分への空間的分離が実施され、第1分散手段(Disp1)によって、少なくとも1つの放射成分のスペクトル・空間的分割が行われ、スペクトル・空間的に分割された放射成分の少なくとも1つの部分の偏光状態が変えられ、照明光および/または検出光の反射が実施される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に生物学的試料、プレパラート、および付属の構成要素を検査するための顕微鏡検査、特に蛍光顕微鏡検査、レーザ走査型顕微鏡検査、蛍光相関スペクトル顕微鏡検査、および走査近接場顕微鏡検査における方法および構成に関する。作用物質のスクリーニングのための蛍光検出に基づく方法(高速高感度スクリーニング)ならびに流出細胞測定法もこれに含まれる。それと共に、複数の試料点における試料の同時照明によってリアルタイムで複数蛍光体を有する試料を同時検査することは、重なり合う蛍光スペクトルの場合に密な試料の空間構造においても可能になる。
【背景技術】
【0002】
生物学的プレパラートを検査するための光学顕微鏡検査の典型的な適用分野は、蛍光顕微鏡検査である(例えば、非特許文献1参照)。これに関して、特定の色素が細胞部分の特有のマーキングのために適用される。
【0003】
ある一定のエネルギーの放射される光子は、吸収されることによって色素分子を励起し、基底状態から励起状態にする。この励起はたいてい一光子吸収と呼ばれる。このように励起された色素分子を、さまざまな方法で基底状態に戻すことができる。蛍光顕微鏡検査では、蛍光光子の放射の下での移行が最も重要である。放出された光子の波長は、ストークス・シフトに基づいて励起放射と比較して一般に赤方にずれており、したがって大きな波長を有する。ストークス・シフトは励起放射からの蛍光放射の分離を可能にする。
【0004】
蛍光光は、ブロック・フィルタと組み合わせた適切な二色性光線分割器によって励起放射から分割され、別々に観察される。これによって、さまざまな色素によって染色された個別の細胞部分の表示が可能になる。しかしながら、基本的に、プレパラートの複数の部分も同時にさまざまな個別に付加される色素によって染色することが可能である(多重蛍光)。さらにまた、個々の色素から送出された蛍光信号を区別するために、専用の二色性光線分割器が適用される。
【0005】
高いエネルギーを有する1つの光子による色素分子の励起(一光子吸収)の他に、より低いエネルギーを有する複数の光子による励起も可能である。この場合、個別光子のエネルギーの総和は、高いエネルギーを有する1つの光子のエネルギーのほぼ何倍にも相当する。この種の色素励起は多光子吸収と呼ばれる(例えば、非特許文献2参照)。それでも色素放出は、この種の励起によって影響されない。すなわち放出スペクトルは多光子吸収の際に負のストークス・シフトを受けるので、励起放射と比較して短い波長を有する。励起放射の放出放射からの分離は、一光子吸収の場合と同様な流儀で行われる。
【0006】
次に、従来技術を、例として共焦点レーザ走査型顕微鏡(LSM)を用いて以下に説明する(図1)。
LSMは本質的に4つのモジュール、すなわち光源、走査モジュール、検出ユニット、および顕微鏡に区分される。これらのモジュールを以下にさらに詳しく説明する。これについてはさらに特許文献1を参照されたい。
【0007】
プレパラートにおけるさまざまな色素を個別に励起するために、LSMにはさまざまな波長のレーザが備えられている。励起波長の選択は、検査しようとする色素の吸収特性に左右される。励起放射は光源モジュールの中で作られる。この際、さまざまなレーザ(例えば気体レーザ:アルゴン、アルゴン・クリプトン、固体レーザ:TiSaレーザ、ダイオード)が使用される。さらに光源モジュールでは、波長の選択および必要な励起波長の強度の調節が、例えば、音響光学結晶の使用によって行われる。続いて、レーザ放射はファイバまたは適切なミラー配置を通じて走査モジュールに達する。
【0008】
光源の中で生成されたレーザ放射は、対物レンズによって回折を制限されてスキャナ、走査レンズ、および鏡胴レンズを通じてプレパラートに集束される。スキャナは試料をx−y方向に点状に走査する。試料を走査する場合、画素滞留時間はたいてい、マイクロ秒未満から数秒の範囲にある。
【0009】
蛍光光の共焦点検出(走査検出)の場合、焦点面(試験片)からおよびその上とその下にある平面から放出される光は、スキャナを経て二色性光線分割器(MDB)に伝わる。二色性光線分割器は蛍光光を励起光から分離する。続いて、蛍光光は絞り(共焦点絞り/ピンホール)の上に集束され、この絞りは正に焦点面に結合された平面の中にある。これによって、蛍光光成分は焦点の外側で抑制される。絞りの大きさを変化させることによって、顕微鏡の光学的分解能を調節することができる。絞りの背後にさらに1つの二色性ブロック・フィルタ(EF)があり、これは再度励起放射を抑制する。ブロック・フィルタを通過した後、蛍光光は点検出器(PMT)によって測定される。
【0010】
多光子吸収を適用する場合には、励起強度が特に高い小さな容積の中で色素蛍光の励起が行われる。この範囲は、共焦点配置の適用における検出された範囲よりも僅かに大きいだけである。したがって、共焦点絞りの使用を省略することができ、検出を対物レンズによって直接行うことができる(非走査検出)。
【0011】
多光子吸収によって励起された色素蛍光を検出するためのさらに別の構成では、やはり走査検出が行われるが、ここでは対物レンズの瞳が検出ユニットの中に形成される(非共焦点走査検出)。
【0012】
三次元照明された画像から、対応する一光子もしくは多光子吸収に関連する両検出配置を通じて、対物レンズの焦点面にある平面(光学断面)のみが再現される。試料のさまざまな深さzにおけるx−y平面における複数の光学断面を描くことによって、次いでコンピュータの支援によって試料の三次元画像を生成することができる。
【0013】
これによって、LSMは厚いプレパラートの検査に適している。励起波長は、適用される特定の吸収特性を有する色素によって決定される。色素の発光特性に合った二色性フィルタによって、それぞれの色素から出される蛍光光が点検出器によって測定されることを保証する。
【0014】
生物医学的適用例においては現在、複数のさまざまな細胞領域がさまざまな色素によって同時マーキングされる(多重蛍光)。従来技術では、個別の色素をさまざまな吸収特性もしくは発光特性(スペクトル)に基づいて別々に実証することができる。
【0015】
別々の実証のために、蛍光光の複数の色素からの近接光分離器(DBS)による追加分割およびさまざまな点検出器(PMT1〜4)における個別色素発光の別々の検出が行われる。
【0016】
流出細胞計算器は、細胞およびその他の粒子の検査と分類の働きをする。このため、細胞は流体の中で解放された状態にあり、毛細管を通じてポンプ搬送される。細胞を検査するために、レーザ光を側面から毛細管の中に集束させる。細胞をさまざまな色素または蛍光生体分子によって染色する。励起された蛍光光と逆散乱した励起光が測定される。試料の蛍光信号の励起光からの分離は、二色性光線分割器によって行われる(図1のMDBを参照)。
【0017】
逆散乱した信号から細胞の大きさを決定することができる。個別細胞の蛍光のスペクトル特性を用いて、さまざまな細胞を分離/分類もしくは分別して計数することができる。細胞の分類はさまざまな毛細管における静電界によって行われる。この成果、すなわち、例えば色素Bを有する細胞と比較して色素Aを有する細胞の数がしばしばヒストグラムとして表示される。
【0018】
流出速度は一般的に数10〜数100cm/秒である。したがって感度の高い検出が必要になる。検出容積を制限するために、従来技術によれば共焦点検出が行われる。
従来技術によれば、点スキャナの代わりにいわゆるリニア・スキャナも適用される(例えば、非特許文献2参照)。原理的な構造は本質的に図1のLSMの構造に対応する。ただし点焦点の代わりに試料(3)の中に1本の線が形成され、検査しようとする試料は一方向(xまたはy)にのみ走査される。1点の代わりに1本の線を走査することによって、結像速度を大幅に高速化することができる。こうして、この走査方法を、急速に進む工程をリアルタイムで観察(リアルタイム顕微鏡検査)するために適用することができる。
【0019】
従来技術によるリアルタイム顕微鏡検査のためのさらに別の配置では、検査しようとする領域全体が、広がった光源によって照明される。しかし、走査しようとする領域全体の特定の点見本のみが、高速回転する円板によって解放される。この方法は文献ではニポウディスク法と呼ばれることが多い(例えば、非特許文献2参照)。
【0020】
例えばいわゆるチップリーダにおけるような色素のスクリーニングのための配置は、その光学的構造がレーザ走査型顕微鏡に似ている。しかし、これは巨視的試料の検査、例えばバイオチップにおける作用物質のスクリーニングのための明らかにより大きなイメージ・フィールドを走査する。走査領域の辺長はこの場合数10mmである。この走査領域は、例えばガルバノスキャナの走査角度を拡大するか、顕微鏡配置の中間画像の中に試料を配置するか、あるいは中間画像を試料に応じて拡大して表示する特殊な対物レンズ配置(マクロ対物レンズ)を用いることによって、達成することができる。
【0021】
試料から放出された光からの励起光の分離は、従来技術によれば、ストークス・シフトの利用によるスペクトル分離、試料照明/検出のために適用される光学系の開口数の制限、またはさまざまな偏光方向の分割によって行われる。
【0022】
試料から放出された光からの励起光のスペクトル分離のために、専用の二色性光線分割器が適用される。これはたいてい図2aに示すように、できるだけ効率よく励起光を反射して、試料から放出された光からできるだけ効率よく伝送するように設計されている。反射角度(反射能)と波長との関係が図示されている。偏光された励起光を適用する場合には、反射した波長範囲の最低スペクトル帯域幅(s)は約10nmであり、この場合カットオフ特性(f)はたいてい>5nmである。したがって、従来技術では励起波長を適用する場合に二色性光線分割器によって、試料から放出された光を効率よく分離することができる。それでも、たいてい励起光と放出された光とのスペクトル重複に至るので、複数の波長による複数の色素の同時励起の場合(多重蛍光型顕微鏡検査)には効率は悪くなる。さらに、異なる吸収特性を有するさまざまな色素を適用する場合には、その度に専用の光線分割器を作らなければならない。広視野顕微鏡では、たいてい白色光源の光による試料の広帯域励起が行われ、この場合、励起放射と放出された放射はスペクトルで部分的に重複する。したがって、従来技術による二色性光線分割器を適用する場合には、励起光と放出された光との分離効率は悪くなる。
【0023】
試料照明光学系の開口数(図2bの4)の制限による励起光と放出された光との分離は、軸に近い光線(1)のみが試料(2)の方向に来るように、例えば制限された開口による試料の照明によって実施可能である。放出はすべての空間方向に行われるので、残っている開口領域においてこの試料(2)の光を集めることができる。次いで、励起光の放出された光からの分離は、部分的に完全な鏡になっている(黒い領域の)平板(3)によって行われる。試料から放出された光の検出は放射方向(5)に行われる。従来技術(例えば、特許文献2)から知られている開口数の分離法では、開口の制限によって一方では検出の効率が、他方ではその配置の光学的分解能が悪くなるという欠点がある。この場合この両パラメータは互いに結合している。例えば高い分離効率を達成しようと望めば、光学的分解能は悪くなる。
【0024】
従来技術によるこれまで述べた方法にはすべて、試料から放出された光からの励起光の分離が波長に依存し、すなわち柔軟に調節できず、または必要なスペクトル特性と照明光線の数に依存して一般的には70%〜90%という制限された効率を有する、という欠点がある。
【0025】
特許文献3、特許文献4、特許文献5、および特許文献6には、機械的構成要素を動かすことなくスペクトル的に柔軟に励起光からの検出光の調節可能な分離を行うことができる光学的装置を記載している(図3)。この構成では、MDBは音響光学変調器AOTF(17,4)に代わっている。これは試料の方向から来る観察光(5,12)を、検出器(15)の方向になるように伝達する。励起光(3,9)は(12)に対してある角度で進み、AOTFを通って共通の試料光線経路(5)に回折される。この場合、AOTFの周波数は、励起光線経路と検出光線経路が共直線的に進むように調節される必要がある。これが保証されなければ、励起スポットはさまざまな波長を適用する場合に重なり合わないので、特に共焦点検出の場合に検出効率の低下となるか、もしくは画像のアーチファクトになる。専用の補償装置が特許文献7に記載されている。この配置の場合、伝達全体を悪化させる多数の互いに同調する光学的構成要素が必要であるという欠点がある。
【0026】
特許文献8には、広視野顕微鏡もしくは線形走査顕微鏡における励起光からの検出光の無彩色分離を行うことができる方法および光学装置が記載されている。この場合、試料において励起および/または逆散乱された、および/または試料から反射された光放射が分離され、試料照明は、試料面と把握面との間の光線経路の瞳面および/または瞳面の近くに集束され、この平面の中に検出光からの照明光の空間的分離のための手段が備えられている。
【0027】
特許文献9(図3)には、照明光および/または試料光をそのスペクトル構成および/または強度に関して調節可能に変化させるための方法および構成が記載されており、この場合、第1偏光手段(P1,P3)によって、異なる偏光の放射成分への空間的分離が行われ、第1分散手段(D1)によって少なくとも1つの放射成分のスペクトル・空間的分割が実施され、スペクトル・空間的に分割された成分はエレメントSの上に写像され(L1)、スペクトル・空間的に分割された放射成分の少なくとも1つの部分の偏光状態はエレメントSの作用によって変更され、第2写像手段(L2)と偏光手段(P2,P4)を通じて、異なる偏光の放射成分の空間的分離および/または集結が実施され、その際、空間的集結が、偏光状態に関して変更および変更されない放射成分によって第2分散手段(D2)を通じて生じることは有利である。この構成の場合、スペクトル・空間的分割のための光学的構成要素の数によって、この構成の効率が低下することは欠点である。その上、要素Sにおけるスペクトル成分の偏光状態の操作が線形アレイによって行われる。このアレイは、所定のスペクトル分解能に応じて電子的配線に関する高い経費を必要とする。その上、空間光変調器を適用する場合には速度は制限され、数10msになる。従来技術の特許文献9(図3)では、各2つの光分割キューブ(P2とP1もしくはP4とP3)2の間に、光放射を空間スペクトル的にY座標に沿って分割するか、もしくは再び集める分散要素(例えばプリズムまたは格子)D1およびD2が配置されている。光学系L1およびL2は、それぞれその焦点距離fの間隔にあり、この焦点距離はまた光学系について分散要素D1もしくはD2と偏光回転用要素、例えば空間光変調器(SLM)Sとの間で異なることができる。光学系L1およびL2は分散要素D1およびD2と共同でSLM Sの個所におけるスペクトル・フーリエ平面の生成のために働く。この平面で、方向2または方向1から来る光のスペクトル成分が空間的にy座標に沿って分離される。SLM(例えばイェノプティク社(Firma Jenoptik)SLM640[ドイツ所在])は、個別に方向制御可能な一連のストライプ(SLM640の場合は640個のストライプ)から成っている。それぞれの画素の方向制御に応じて、貫通する光の偏光方向を変えることができる。SLMは、従来技術によればいわゆるパルス整形器の中にはめ込まれている(例えば、非特許文献3参照)。この場合、分散要素と組み合わせたSLMの作用によって、光源のスペクトル成分の位相遅延および/または振幅変更が行われる。このために、光源は下記の構成とは反対に線形に偏光されなければならない。そのわけは、さもなければエネルギー損失が起こるからである。特許文献10には、スペクトル分割された照明光がミラー支持体(ST)を通じて選択的に反射され、分散要素において再び集められる配置が記載されている。試料光も同様に分散要素を通じて空間的にスペクトル分割され、次に専用のくさび型ガラス・プリズム(GK)を通じて、対応して分離された検出チャネルへと偏向される。水平くさび移動によってチャネル位置が、垂直くさび移動によって帯域幅が変化する。この変形例は上述のさらに別の構成よりも有利である。ミラー・システム(ST,GK)およびこの方向制御は確かに複雑で、ある限られたフレキシビリティのみを示す。特に、試料光のチャネル分割は、ガラスくさびの数と形状によって予め決められたやり方によって行われる。
【特許文献1】独国特許出願公開第19702753号明細書
【特許文献2】欧州特許第1353209号明細書
【特許文献3】米国特許第6510001号明細書
【特許文献4】米国特許第6654165号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2003/0133189号明細書
【特許文献6】独国特許発明第19936573号明細書
【特許文献7】独国特許発明第10137155号明細書
【特許文献8】独国特許発明第10257237号明細書
【特許文献9】独国特許発明第10241472号明細書
【特許文献10】独国特許発明第19842288号明細書
【特許文献11】独国特許出願公開第10033180号明細書
【特許文献12】独国特許出願公開第10241472号明細書
【非特許文献1】ポーリー(Pawley),“Handbook of biological confocal Microscopy”;Plenum Press 1995年
【非特許文献2】コール(Corle),キノ(Kino);“Confocal Scanning Optical Microscopy and Related Imaging Systems”;Academic Press 1996年
【非特許文献3】ストブラワら(Stobrawa et al.),Apl.Phy.B72,627−630(2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明の目的は、照明光および/または試料光をそのスペクトル構成および/または強度に関して調節可能に変化させるための方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本方法および装置では、第1偏光手段(Pol1)によって、異なる偏光の放射成分への空間的分離が実施され、第1分散手段(Disp1)によって、少なくとも1つの放射成分のスペクトル・空間的分割が行われ、スペクトル・空間的に分割された放射成分の少なくとも1つの部分の偏光状態が変えられ、照明光および/または検出光の反射が実施される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図4は、反射における本発明による構成を示す。
図4aでは、結合ポートKP2を通じて本質的に非偏光光が試料から極分割器Pに至り、これから互いに垂直に交わる偏光成分(矢印もしくは点)に分割され、一成分は直接分散要素Dに達し、他の成分は分割器Pにおいて反射し、ミラーMを通じて要素Dに至り、ここでスペクトル分割される。
【0031】
放射は、レンズLを通じてSLMSとミラーM1の平面S/M1に集束され、こうして波長に応じてその偏光において異なった影響を受け、これによって、再び極分割器Pの方向に到る光の個別のスペクトル成分の偏光を変えることができる。
【0032】
Sの平面では、単一または複数のスペクトル成分がその偏光において、偏光平面が正確に90度または90度から外れた値だけ回転されるように影響を受ける。さらに、偏光平面がスペクトル構成部分によって影響されないままになるように、Sを切り替えることが可能である。角度εだけ傾いたミラーM1の上に、この目的のためにSLM(空間光変調器)が装着され(SLMの後側は鏡になっている)、SLMはミラーM1において反射したスペクトル分割した放射成分に影響する。
【0033】
図示した場合では、ある可能な実施形態においては試料光に対して影響がないので、検出方向には影響せず、スペクトル分離検出のためのさらに別の手段を準備することができる(例えば、特許文献11参照)。
【0034】
反射成分は再び分散要素を越えて、そこで集められ、ミラーMもしくは極分割器Pの裏側を通じて結合ポートKP4(異なる場所)に到る。その他は、特許文献12を参照されたい。
【0035】
図4bは、照明光の影響を示しており、照明光は結合ポートKP1とミラーM2を経て極分割器Pに至り、ここで両偏光成分に分割され、分散要素D、レンズL、およびSLM/ミラーM1を経て、結合ポート2の方向に到る。
【0036】
異なる偏光方向が分散要素とSLMとの異なる場所に達し、こうして、KP2において分割器Pを通じて再び統合される前にSLMによって異なった影響を受けることができる。
【0037】
この際、照明光の場合にはSLMを通じて調節可能に、成分の偏光平面がそれぞれの垂直方向へ回転し、これによって極分割器Pの後で再び統合される(試料の方向)。
図5には、本発明による構成が詳細に側面図で示され、この場合、異なる偏光方向を有する異なる波長IおよびIIの光が示されている。要素Dにおける分離によって、励起光もしくは検出光はSLMにおいて偏光の回転によって異なる影響を受け、異なる出口に向けられ、もしくは完全または部分的にしだいに減光される。
【0038】
図6は、ミラーM1の傾斜がある場合とない場合の光線経路の相違を示す。極分割器PにおけるミラーM1の傾斜(図6bを参照)を通じて、光源(1)と試料光(2)との光経路の相互変位Vが存在することが明らかになる。さらに検出(4)は分離される。3つのポート(KP1,2,および4)が必要であり、これによって蛍光顕微鏡では励起光は方向(1)から来て試料方向(2)に導かれ、試料光は(2)から来て検出器方向(4)に分離されることが可能である。M1の傾斜がなければ、ポート(2)および(1)は共通の光線経路を形成するので、これは不可能である。これによって、励起光の試料への結合は不可能である(図6aを参照)。
【0039】
図7は、SLMSがミラーM1の前に、ある間隔で分離して置かれた配置を示す。
図8は、SLMによるミラー・マスクSMを示し、これは図9aに詳しく図示されている。これは鏡面化された部分と鏡面化されていない部分とを有する(暗い部分AAは鏡面化されていない)。
【0040】
図9bには、鏡面化されない領域に3つの層を有することが有利であるこの種のミラー・マスクの部分断面があり、この場合、層cは反射性であり、bは偏光回転のための層であり(1/4波長板)、aは暗い部分AAでは透過性である。
【0041】
したがって、SMの透過性個所において放射は偏光回転を受ける。SMがXに沿って(垂直に)変位すると、空間的さまざまな透過性領域が、スペクトル分割された光経路に達し、これによって他の波長成分がそれぞれ影響を受ける。したがって、SMは調節可能な反射器として作用し、特定の領域において特定のスペクトル成分のために偏向が回転される。
【0042】
SMを通じて照明光が調節可能にそのスペクトル構成において影響されることは有利である。
要素SMの別の実施形態を図10に示す。この場合、ミラー・マスクを有する層aと反射性層cとは互いに僅かな角度αで傾いている。これによって、マスクを通過して層cによって反射される光線は、層aにおいて反射した光線に対して2αの角度の相互変位を受ける。層bは偏向光学的性質を示さず、したがって層bを、空気、または(望ましくない境界面反射による損失を避けるため)ミラー・マスクaの基板において屈折率が適合していることが有利である媒体とすることができる。
【0043】
図11は、図10の要素SMを適用する2つ構成を示す。この場合、すべての要素は上述の図におけると同様な機能と説明によって同じ方法で図示されている。この場合、図11Aは偏光光学要素を有する変形を示し、したがって2つの偏光光線分割器P1およびP2が使用される。この構成では、試料から放出された光(KP2)の偏光方向が直接P2およびP1を通じて検出ポートKP4に達し、これによってこの光のために損失が最小限に抑えられることが有利である。他の偏光方向(励起光に平行に偏光される)のための励起と検出の分離は、SMにおける光線のスペクトルに応じた傾斜を通じて行われる。試料における多重散乱を通じてその偏光方向に回転した励起光も同様に、P2およびP1を通じてKP4に達する。この励起光のとりわけ非常に僅かな成分は、蛍光撮像を実施する場合には、検出の前にフィルタによって遮断される必要がある。一方では、対応する遮断が行われる場合には、この光は照明(散乱光)の中での撮像を可能にする。励起と検出の幾何学的分離によって、図11Bに示すように偏光光学的構成要素に依拠しない実施形態も可能になる。この場合、P1およびP2はミラーM1およびM2に代わっている。これによって、この分離は光の偏光に(およびこれによって、散乱による励起光の偏光の、場合によっては存在する回転にも)依存しない。さらにこの分離は、もっと簡単な構成部分の適用による構造を簡略化する。
【0044】
図9および10に示すような要素SMの代わりに、図11における配置では、図12に概略的に示すようにミラー・アレイを使用することもできる。この場合、それぞれの小さなミラー要素SEは少なくとも2つの離散個所で個別に傾斜可能であるから、y軸に沿ったどの個所で光線がSMに落ちるかによって、光線は1または2のように偏向される。この場合、ミラーの大きさは、完全なフレキシビリティを可能にするために、分散要素の分解と続くレンズに適合させるべきである。
【0045】
図13は、検出器配置DE1およびDE2ならびに光源LQおよび(影響されない)光源LQ2を有し、さらに従来技術による試料PRの方向における結像レンズを有する全体構成図である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】従来技術による共焦点レーザ走査型顕微鏡(LSM)を説明する図。
【図2】従来技術による二色性光線分割器(MDB)を説明する概略図。
【図3】従来技術によってスペクトル的に柔軟に励起光からの検出光の調節可能な分離を行うことができる光学的方法を示す図。
【図4】反射における本発明による配置を示す図。
【図5】本発明による配置の詳細側面図。
【図6】ミラーM1の傾斜がある場合とない場合の光線経路の相違を示す図。
【図7】SLM(S)がミラーM1のミラーの前にある間隔で分離して置かれた配置を示す図。
【図8】SLMによるミラー・マスクSMを示す図。
【図9】図8のミラー・マスクの詳細図。
【図10】要素SMの別の実施形態を示す図。
【図11】図10の要素SMを適用する2つの配置を示す図。
【図12】ミラー・アレイを使用する図11における配置を示す図。
【図13】検出器配置DE1およびDE2ならびに光源Q1および(影響されない)光源LQ2を有し、さらに従来技術による試料PRの方向における結像レンズを有する全体配置図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に生物学的試料、プレパラート、および付属の構成要素を検査するための顕微鏡検査、特に蛍光顕微鏡検査、レーザ走査型顕微鏡検査、蛍光相関スペクトル顕微鏡検査、および走査近接場顕微鏡検査における方法および構成に関する。作用物質のスクリーニングのための蛍光検出に基づく方法(高速高感度スクリーニング)ならびに流出細胞測定法もこれに含まれる。それと共に、複数の試料点における試料の同時照明によってリアルタイムで複数蛍光体を有する試料を同時検査することは、重なり合う蛍光スペクトルの場合に密な試料の空間構造においても可能になる。
【背景技術】
【0002】
生物学的プレパラートを検査するための光学顕微鏡検査の典型的な適用分野は、蛍光顕微鏡検査である(例えば、非特許文献1参照)。これに関して、特定の色素が細胞部分の特有のマーキングのために適用される。
【0003】
ある一定のエネルギーの放射される光子は、吸収されることによって色素分子を励起し、基底状態から励起状態にする。この励起はたいてい一光子吸収と呼ばれる。このように励起された色素分子を、さまざまな方法で基底状態に戻すことができる。蛍光顕微鏡検査では、蛍光光子の放射の下での移行が最も重要である。放出された光子の波長は、ストークス・シフトに基づいて励起放射と比較して一般に赤方にずれており、したがって大きな波長を有する。ストークス・シフトは励起放射からの蛍光放射の分離を可能にする。
【0004】
蛍光光は、ブロック・フィルタと組み合わせた適切な二色性光線分割器によって励起放射から分割され、別々に観察される。これによって、さまざまな色素によって染色された個別の細胞部分の表示が可能になる。しかしながら、基本的に、プレパラートの複数の部分も同時にさまざまな個別に付加される色素によって染色することが可能である(多重蛍光)。さらにまた、個々の色素から送出された蛍光信号を区別するために、専用の二色性光線分割器が適用される。
【0005】
高いエネルギーを有する1つの光子による色素分子の励起(一光子吸収)の他に、より低いエネルギーを有する複数の光子による励起も可能である。この場合、個別光子のエネルギーの総和は、高いエネルギーを有する1つの光子のエネルギーのほぼ何倍にも相当する。この種の色素励起は多光子吸収と呼ばれる(例えば、非特許文献2参照)。それでも色素放出は、この種の励起によって影響されない。すなわち放出スペクトルは多光子吸収の際に負のストークス・シフトを受けるので、励起放射と比較して短い波長を有する。励起放射の放出放射からの分離は、一光子吸収の場合と同様な流儀で行われる。
【0006】
次に、従来技術を、例として共焦点レーザ走査型顕微鏡(LSM)を用いて以下に説明する(図1)。
LSMは本質的に4つのモジュール、すなわち光源、走査モジュール、検出ユニット、および顕微鏡に区分される。これらのモジュールを以下にさらに詳しく説明する。これについてはさらに特許文献1を参照されたい。
【0007】
プレパラートにおけるさまざまな色素を個別に励起するために、LSMにはさまざまな波長のレーザが備えられている。励起波長の選択は、検査しようとする色素の吸収特性に左右される。励起放射は光源モジュールの中で作られる。この際、さまざまなレーザ(例えば気体レーザ:アルゴン、アルゴン・クリプトン、固体レーザ:TiSaレーザ、ダイオード)が使用される。さらに光源モジュールでは、波長の選択および必要な励起波長の強度の調節が、例えば、音響光学結晶の使用によって行われる。続いて、レーザ放射はファイバまたは適切なミラー配置を通じて走査モジュールに達する。
【0008】
光源の中で生成されたレーザ放射は、対物レンズによって回折を制限されてスキャナ、走査レンズ、および鏡胴レンズを通じてプレパラートに集束される。スキャナは試料をx−y方向に点状に走査する。試料を走査する場合、画素滞留時間はたいてい、マイクロ秒未満から数秒の範囲にある。
【0009】
蛍光光の共焦点検出(走査検出)の場合、焦点面(試験片)からおよびその上とその下にある平面から放出される光は、スキャナを経て二色性光線分割器(MDB)に伝わる。二色性光線分割器は蛍光光を励起光から分離する。続いて、蛍光光は絞り(共焦点絞り/ピンホール)の上に集束され、この絞りは正に焦点面に結合された平面の中にある。これによって、蛍光光成分は焦点の外側で抑制される。絞りの大きさを変化させることによって、顕微鏡の光学的分解能を調節することができる。絞りの背後にさらに1つの二色性ブロック・フィルタ(EF)があり、これは再度励起放射を抑制する。ブロック・フィルタを通過した後、蛍光光は点検出器(PMT)によって測定される。
【0010】
多光子吸収を適用する場合には、励起強度が特に高い小さな容積の中で色素蛍光の励起が行われる。この範囲は、共焦点配置の適用における検出された範囲よりも僅かに大きいだけである。したがって、共焦点絞りの使用を省略することができ、検出を対物レンズによって直接行うことができる(非走査検出)。
【0011】
多光子吸収によって励起された色素蛍光を検出するためのさらに別の構成では、やはり走査検出が行われるが、ここでは対物レンズの瞳が検出ユニットの中に形成される(非共焦点走査検出)。
【0012】
三次元照明された画像から、対応する一光子もしくは多光子吸収に関連する両検出配置を通じて、対物レンズの焦点面にある平面(光学断面)のみが再現される。試料のさまざまな深さzにおけるx−y平面における複数の光学断面を描くことによって、次いでコンピュータの支援によって試料の三次元画像を生成することができる。
【0013】
これによって、LSMは厚いプレパラートの検査に適している。励起波長は、適用される特定の吸収特性を有する色素によって決定される。色素の発光特性に合った二色性フィルタによって、それぞれの色素から出される蛍光光が点検出器によって測定されることを保証する。
【0014】
生物医学的適用例においては現在、複数のさまざまな細胞領域がさまざまな色素によって同時マーキングされる(多重蛍光)。従来技術では、個別の色素をさまざまな吸収特性もしくは発光特性(スペクトル)に基づいて別々に実証することができる。
【0015】
別々の実証のために、蛍光光の複数の色素からの近接光分離器(DBS)による追加分割およびさまざまな点検出器(PMT1〜4)における個別色素発光の別々の検出が行われる。
【0016】
流出細胞計算器は、細胞およびその他の粒子の検査と分類の働きをする。このため、細胞は流体の中で解放された状態にあり、毛細管を通じてポンプ搬送される。細胞を検査するために、レーザ光を側面から毛細管の中に集束させる。細胞をさまざまな色素または蛍光生体分子によって染色する。励起された蛍光光と逆散乱した励起光が測定される。試料の蛍光信号の励起光からの分離は、二色性光線分割器によって行われる(図1のMDBを参照)。
【0017】
逆散乱した信号から細胞の大きさを決定することができる。個別細胞の蛍光のスペクトル特性を用いて、さまざまな細胞を分離/分類もしくは分別して計数することができる。細胞の分類はさまざまな毛細管における静電界によって行われる。この成果、すなわち、例えば色素Bを有する細胞と比較して色素Aを有する細胞の数がしばしばヒストグラムとして表示される。
【0018】
流出速度は一般的に数10〜数100cm/秒である。したがって感度の高い検出が必要になる。検出容積を制限するために、従来技術によれば共焦点検出が行われる。
従来技術によれば、点スキャナの代わりにいわゆるリニア・スキャナも適用される(例えば、非特許文献2参照)。原理的な構造は本質的に図1のLSMの構造に対応する。ただし点焦点の代わりに試料(3)の中に1本の線が形成され、検査しようとする試料は一方向(xまたはy)にのみ走査される。1点の代わりに1本の線を走査することによって、結像速度を大幅に高速化することができる。こうして、この走査方法を、急速に進む工程をリアルタイムで観察(リアルタイム顕微鏡検査)するために適用することができる。
【0019】
従来技術によるリアルタイム顕微鏡検査のためのさらに別の配置では、検査しようとする領域全体が、広がった光源によって照明される。しかし、走査しようとする領域全体の特定の点見本のみが、高速回転する円板によって解放される。この方法は文献ではニポウディスク法と呼ばれることが多い(例えば、非特許文献2参照)。
【0020】
例えばいわゆるチップリーダにおけるような色素のスクリーニングのための配置は、その光学的構造がレーザ走査型顕微鏡に似ている。しかし、これは巨視的試料の検査、例えばバイオチップにおける作用物質のスクリーニングのための明らかにより大きなイメージ・フィールドを走査する。走査領域の辺長はこの場合数10mmである。この走査領域は、例えばガルバノスキャナの走査角度を拡大するか、顕微鏡配置の中間画像の中に試料を配置するか、あるいは中間画像を試料に応じて拡大して表示する特殊な対物レンズ配置(マクロ対物レンズ)を用いることによって、達成することができる。
【0021】
試料から放出された光からの励起光の分離は、従来技術によれば、ストークス・シフトの利用によるスペクトル分離、試料照明/検出のために適用される光学系の開口数の制限、またはさまざまな偏光方向の分割によって行われる。
【0022】
試料から放出された光からの励起光のスペクトル分離のために、専用の二色性光線分割器が適用される。これはたいてい図2aに示すように、できるだけ効率よく励起光を反射して、試料から放出された光からできるだけ効率よく伝送するように設計されている。反射角度(反射能)と波長との関係が図示されている。偏光された励起光を適用する場合には、反射した波長範囲の最低スペクトル帯域幅(s)は約10nmであり、この場合カットオフ特性(f)はたいてい>5nmである。したがって、従来技術では励起波長を適用する場合に二色性光線分割器によって、試料から放出された光を効率よく分離することができる。それでも、たいてい励起光と放出された光とのスペクトル重複に至るので、複数の波長による複数の色素の同時励起の場合(多重蛍光型顕微鏡検査)には効率は悪くなる。さらに、異なる吸収特性を有するさまざまな色素を適用する場合には、その度に専用の光線分割器を作らなければならない。広視野顕微鏡では、たいてい白色光源の光による試料の広帯域励起が行われ、この場合、励起放射と放出された放射はスペクトルで部分的に重複する。したがって、従来技術による二色性光線分割器を適用する場合には、励起光と放出された光との分離効率は悪くなる。
【0023】
試料照明光学系の開口数(図2bの4)の制限による励起光と放出された光との分離は、軸に近い光線(1)のみが試料(2)の方向に来るように、例えば制限された開口による試料の照明によって実施可能である。放出はすべての空間方向に行われるので、残っている開口領域においてこの試料(2)の光を集めることができる。次いで、励起光の放出された光からの分離は、部分的に完全な鏡になっている(黒い領域の)平板(3)によって行われる。試料から放出された光の検出は放射方向(5)に行われる。従来技術(例えば、特許文献2)から知られている開口数の分離法では、開口の制限によって一方では検出の効率が、他方ではその配置の光学的分解能が悪くなるという欠点がある。この場合この両パラメータは互いに結合している。例えば高い分離効率を達成しようと望めば、光学的分解能は悪くなる。
【0024】
従来技術によるこれまで述べた方法にはすべて、試料から放出された光からの励起光の分離が波長に依存し、すなわち柔軟に調節できず、または必要なスペクトル特性と照明光線の数に依存して一般的には70%〜90%という制限された効率を有する、という欠点がある。
【0025】
特許文献3、特許文献4、特許文献5、および特許文献6には、機械的構成要素を動かすことなくスペクトル的に柔軟に励起光からの検出光の調節可能な分離を行うことができる光学的装置を記載している(図3)。この構成では、MDBは音響光学変調器AOTF(17,4)に代わっている。これは試料の方向から来る観察光(5,12)を、検出器(15)の方向になるように伝達する。励起光(3,9)は(12)に対してある角度で進み、AOTFを通って共通の試料光線経路(5)に回折される。この場合、AOTFの周波数は、励起光線経路と検出光線経路が共直線的に進むように調節される必要がある。これが保証されなければ、励起スポットはさまざまな波長を適用する場合に重なり合わないので、特に共焦点検出の場合に検出効率の低下となるか、もしくは画像のアーチファクトになる。専用の補償装置が特許文献7に記載されている。この配置の場合、伝達全体を悪化させる多数の互いに同調する光学的構成要素が必要であるという欠点がある。
【0026】
特許文献8には、広視野顕微鏡もしくは線形走査顕微鏡における励起光からの検出光の無彩色分離を行うことができる方法および光学装置が記載されている。この場合、試料において励起および/または逆散乱された、および/または試料から反射された光放射が分離され、試料照明は、試料面と把握面との間の光線経路の瞳面および/または瞳面の近くに集束され、この平面の中に検出光からの照明光の空間的分離のための手段が備えられている。
【0027】
特許文献9(図3)には、照明光および/または試料光をそのスペクトル構成および/または強度に関して調節可能に変化させるための方法および構成が記載されており、この場合、第1偏光手段(P1,P3)によって、異なる偏光の放射成分への空間的分離が行われ、第1分散手段(D1)によって少なくとも1つの放射成分のスペクトル・空間的分割が実施され、スペクトル・空間的に分割された成分はエレメントSの上に写像され(L1)、スペクトル・空間的に分割された放射成分の少なくとも1つの部分の偏光状態はエレメントSの作用によって変更され、第2写像手段(L2)と偏光手段(P2,P4)を通じて、異なる偏光の放射成分の空間的分離および/または集結が実施され、その際、空間的集結が、偏光状態に関して変更および変更されない放射成分によって第2分散手段(D2)を通じて生じることは有利である。この構成の場合、スペクトル・空間的分割のための光学的構成要素の数によって、この構成の効率が低下することは欠点である。その上、要素Sにおけるスペクトル成分の偏光状態の操作が線形アレイによって行われる。このアレイは、所定のスペクトル分解能に応じて電子的配線に関する高い経費を必要とする。その上、空間光変調器を適用する場合には速度は制限され、数10msになる。従来技術の特許文献9(図3)では、各2つの光分割キューブ(P2とP1もしくはP4とP3)2の間に、光放射を空間スペクトル的にY座標に沿って分割するか、もしくは再び集める分散要素(例えばプリズムまたは格子)D1およびD2が配置されている。光学系L1およびL2は、それぞれその焦点距離fの間隔にあり、この焦点距離はまた光学系について分散要素D1もしくはD2と偏光回転用要素、例えば空間光変調器(SLM)Sとの間で異なることができる。光学系L1およびL2は分散要素D1およびD2と共同でSLM Sの個所におけるスペクトル・フーリエ平面の生成のために働く。この平面で、方向2または方向1から来る光のスペクトル成分が空間的にy座標に沿って分離される。SLM(例えばイェノプティク社(Firma Jenoptik)SLM640[ドイツ所在])は、個別に方向制御可能な一連のストライプ(SLM640の場合は640個のストライプ)から成っている。それぞれの画素の方向制御に応じて、貫通する光の偏光方向を変えることができる。SLMは、従来技術によればいわゆるパルス整形器の中にはめ込まれている(例えば、非特許文献3参照)。この場合、分散要素と組み合わせたSLMの作用によって、光源のスペクトル成分の位相遅延および/または振幅変更が行われる。このために、光源は下記の構成とは反対に線形に偏光されなければならない。そのわけは、さもなければエネルギー損失が起こるからである。特許文献10には、スペクトル分割された照明光がミラー支持体(ST)を通じて選択的に反射され、分散要素において再び集められる配置が記載されている。試料光も同様に分散要素を通じて空間的にスペクトル分割され、次に専用のくさび型ガラス・プリズム(GK)を通じて、対応して分離された検出チャネルへと偏向される。水平くさび移動によってチャネル位置が、垂直くさび移動によって帯域幅が変化する。この変形例は上述のさらに別の構成よりも有利である。ミラー・システム(ST,GK)およびこの方向制御は確かに複雑で、ある限られたフレキシビリティのみを示す。特に、試料光のチャネル分割は、ガラスくさびの数と形状によって予め決められたやり方によって行われる。
【特許文献1】独国特許出願公開第19702753号明細書
【特許文献2】欧州特許第1353209号明細書
【特許文献3】米国特許第6510001号明細書
【特許文献4】米国特許第6654165号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2003/0133189号明細書
【特許文献6】独国特許発明第19936573号明細書
【特許文献7】独国特許発明第10137155号明細書
【特許文献8】独国特許発明第10257237号明細書
【特許文献9】独国特許発明第10241472号明細書
【特許文献10】独国特許発明第19842288号明細書
【特許文献11】独国特許出願公開第10033180号明細書
【特許文献12】独国特許出願公開第10241472号明細書
【非特許文献1】ポーリー(Pawley),“Handbook of biological confocal Microscopy”;Plenum Press 1995年
【非特許文献2】コール(Corle),キノ(Kino);“Confocal Scanning Optical Microscopy and Related Imaging Systems”;Academic Press 1996年
【非特許文献3】ストブラワら(Stobrawa et al.),Apl.Phy.B72,627−630(2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明の目的は、照明光および/または試料光をそのスペクトル構成および/または強度に関して調節可能に変化させるための方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本方法および装置では、第1偏光手段(Pol1)によって、異なる偏光の放射成分への空間的分離が実施され、第1分散手段(Disp1)によって、少なくとも1つの放射成分のスペクトル・空間的分割が行われ、スペクトル・空間的に分割された放射成分の少なくとも1つの部分の偏光状態が変えられ、照明光および/または検出光の反射が実施される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図4は、反射における本発明による構成を示す。
図4aでは、結合ポートKP2を通じて本質的に非偏光光が試料から極分割器Pに至り、これから互いに垂直に交わる偏光成分(矢印もしくは点)に分割され、一成分は直接分散要素Dに達し、他の成分は分割器Pにおいて反射し、ミラーMを通じて要素Dに至り、ここでスペクトル分割される。
【0031】
放射は、レンズLを通じてSLMSとミラーM1の平面S/M1に集束され、こうして波長に応じてその偏光において異なった影響を受け、これによって、再び極分割器Pの方向に到る光の個別のスペクトル成分の偏光を変えることができる。
【0032】
Sの平面では、単一または複数のスペクトル成分がその偏光において、偏光平面が正確に90度または90度から外れた値だけ回転されるように影響を受ける。さらに、偏光平面がスペクトル構成部分によって影響されないままになるように、Sを切り替えることが可能である。角度εだけ傾いたミラーM1の上に、この目的のためにSLM(空間光変調器)が装着され(SLMの後側は鏡になっている)、SLMはミラーM1において反射したスペクトル分割した放射成分に影響する。
【0033】
図示した場合では、ある可能な実施形態においては試料光に対して影響がないので、検出方向には影響せず、スペクトル分離検出のためのさらに別の手段を準備することができる(例えば、特許文献11参照)。
【0034】
反射成分は再び分散要素を越えて、そこで集められ、ミラーMもしくは極分割器Pの裏側を通じて結合ポートKP4(異なる場所)に到る。その他は、特許文献12を参照されたい。
【0035】
図4bは、照明光の影響を示しており、照明光は結合ポートKP1とミラーM2を経て極分割器Pに至り、ここで両偏光成分に分割され、分散要素D、レンズL、およびSLM/ミラーM1を経て、結合ポート2の方向に到る。
【0036】
異なる偏光方向が分散要素とSLMとの異なる場所に達し、こうして、KP2において分割器Pを通じて再び統合される前にSLMによって異なった影響を受けることができる。
【0037】
この際、照明光の場合にはSLMを通じて調節可能に、成分の偏光平面がそれぞれの垂直方向へ回転し、これによって極分割器Pの後で再び統合される(試料の方向)。
図5には、本発明による構成が詳細に側面図で示され、この場合、異なる偏光方向を有する異なる波長IおよびIIの光が示されている。要素Dにおける分離によって、励起光もしくは検出光はSLMにおいて偏光の回転によって異なる影響を受け、異なる出口に向けられ、もしくは完全または部分的にしだいに減光される。
【0038】
図6は、ミラーM1の傾斜がある場合とない場合の光線経路の相違を示す。極分割器PにおけるミラーM1の傾斜(図6bを参照)を通じて、光源(1)と試料光(2)との光経路の相互変位Vが存在することが明らかになる。さらに検出(4)は分離される。3つのポート(KP1,2,および4)が必要であり、これによって蛍光顕微鏡では励起光は方向(1)から来て試料方向(2)に導かれ、試料光は(2)から来て検出器方向(4)に分離されることが可能である。M1の傾斜がなければ、ポート(2)および(1)は共通の光線経路を形成するので、これは不可能である。これによって、励起光の試料への結合は不可能である(図6aを参照)。
【0039】
図7は、SLMSがミラーM1の前に、ある間隔で分離して置かれた配置を示す。
図8は、SLMによるミラー・マスクSMを示し、これは図9aに詳しく図示されている。これは鏡面化された部分と鏡面化されていない部分とを有する(暗い部分AAは鏡面化されていない)。
【0040】
図9bには、鏡面化されない領域に3つの層を有することが有利であるこの種のミラー・マスクの部分断面があり、この場合、層cは反射性であり、bは偏光回転のための層であり(1/4波長板)、aは暗い部分AAでは透過性である。
【0041】
したがって、SMの透過性個所において放射は偏光回転を受ける。SMがXに沿って(垂直に)変位すると、空間的さまざまな透過性領域が、スペクトル分割された光経路に達し、これによって他の波長成分がそれぞれ影響を受ける。したがって、SMは調節可能な反射器として作用し、特定の領域において特定のスペクトル成分のために偏向が回転される。
【0042】
SMを通じて照明光が調節可能にそのスペクトル構成において影響されることは有利である。
要素SMの別の実施形態を図10に示す。この場合、ミラー・マスクを有する層aと反射性層cとは互いに僅かな角度αで傾いている。これによって、マスクを通過して層cによって反射される光線は、層aにおいて反射した光線に対して2αの角度の相互変位を受ける。層bは偏向光学的性質を示さず、したがって層bを、空気、または(望ましくない境界面反射による損失を避けるため)ミラー・マスクaの基板において屈折率が適合していることが有利である媒体とすることができる。
【0043】
図11は、図10の要素SMを適用する2つ構成を示す。この場合、すべての要素は上述の図におけると同様な機能と説明によって同じ方法で図示されている。この場合、図11Aは偏光光学要素を有する変形を示し、したがって2つの偏光光線分割器P1およびP2が使用される。この構成では、試料から放出された光(KP2)の偏光方向が直接P2およびP1を通じて検出ポートKP4に達し、これによってこの光のために損失が最小限に抑えられることが有利である。他の偏光方向(励起光に平行に偏光される)のための励起と検出の分離は、SMにおける光線のスペクトルに応じた傾斜を通じて行われる。試料における多重散乱を通じてその偏光方向に回転した励起光も同様に、P2およびP1を通じてKP4に達する。この励起光のとりわけ非常に僅かな成分は、蛍光撮像を実施する場合には、検出の前にフィルタによって遮断される必要がある。一方では、対応する遮断が行われる場合には、この光は照明(散乱光)の中での撮像を可能にする。励起と検出の幾何学的分離によって、図11Bに示すように偏光光学的構成要素に依拠しない実施形態も可能になる。この場合、P1およびP2はミラーM1およびM2に代わっている。これによって、この分離は光の偏光に(およびこれによって、散乱による励起光の偏光の、場合によっては存在する回転にも)依存しない。さらにこの分離は、もっと簡単な構成部分の適用による構造を簡略化する。
【0044】
図9および10に示すような要素SMの代わりに、図11における配置では、図12に概略的に示すようにミラー・アレイを使用することもできる。この場合、それぞれの小さなミラー要素SEは少なくとも2つの離散個所で個別に傾斜可能であるから、y軸に沿ったどの個所で光線がSMに落ちるかによって、光線は1または2のように偏向される。この場合、ミラーの大きさは、完全なフレキシビリティを可能にするために、分散要素の分解と続くレンズに適合させるべきである。
【0045】
図13は、検出器配置DE1およびDE2ならびに光源LQおよび(影響されない)光源LQ2を有し、さらに従来技術による試料PRの方向における結像レンズを有する全体構成図である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】従来技術による共焦点レーザ走査型顕微鏡(LSM)を説明する図。
【図2】従来技術による二色性光線分割器(MDB)を説明する概略図。
【図3】従来技術によってスペクトル的に柔軟に励起光からの検出光の調節可能な分離を行うことができる光学的方法を示す図。
【図4】反射における本発明による配置を示す図。
【図5】本発明による配置の詳細側面図。
【図6】ミラーM1の傾斜がある場合とない場合の光線経路の相違を示す図。
【図7】SLM(S)がミラーM1のミラーの前にある間隔で分離して置かれた配置を示す図。
【図8】SLMによるミラー・マスクSMを示す図。
【図9】図8のミラー・マスクの詳細図。
【図10】要素SMの別の実施形態を示す図。
【図11】図10の要素SMを適用する2つの配置を示す図。
【図12】ミラー・アレイを使用する図11における配置を示す図。
【図13】検出器配置DE1およびDE2ならびに光源Q1および(影響されない)光源LQ2を有し、さらに従来技術による試料PRの方向における結像レンズを有する全体配置図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光および/または試料光をそのスペクトル構成および/または強度に関して調節可能に変化させるための方法であって、
第1偏光手段(Pol1)によって、異なる偏光の放射成分への空間的分離が実施され、
第1分散手段(Disp1)によって、少なくとも1つの放射成分のスペクトル・空間的分割が行われ、
スペクトル・空間的に分割された放射成分の少なくとも1つの部分の偏光状態が変えられ、
照明光および/または検出光の反射が実施される、
方法。
【請求項2】
照明光をそのスペクトル構成および/または強度に関して変化させるための装置であって、
異なる偏光の放射成分への空間的分離のための第1偏光手段(Pol1)であって、この上位または下位に少なくとも1つの放射成分のスペクトル・空間的分割のための第1分散手段(Disp1)が配置されている第1偏光手段と、
スペクトル・空間的に分割された放射成分の少なくとも1つの部分の偏光状態を変化させるための手段であって、この下位に照明光および/または試料光の光方向を変えるための反射手段が配置されている手段と、
から成る装置。
【請求項3】
照明光と試料光を分離するための構成であって、
異なる偏光の放射成分への空間的分離のための第1偏光手段(Pol1)であって、この上位または下位に少なくとも1つの放射成分のスペクトル・空間的分割のための第1分散手段(Disp1)が配置されている第1偏光手段と、
スペクトル・空間的に分割された放射成分の少なくとも1つの部分の偏光状態を変化させるための手段であって、この下位に照明光および/または試料光の光方向を変えるための反射手段が配置されている手段と、
から成る構成。
【請求項4】
照明光および/または試料光をそのスペクトル構成および/または強度に関して変化させるための装置であって、
少なくとも1つの放射成分をスペクトル・空間的に分割するための少なくとも1つの第1光学要素と、
スペクトル分割された光を少なくとも2つの異なる空間角の1つに空間的に可変反射させるための手段と、
各反射方向のスペクトル分割された光を集めるための第2光学要素と、
から成る装置。
【請求項5】
前記第1および第2光学要素が同一である請求項4に記載の構成。
【請求項6】
空間的に可変反射させるための前記手段が、少なくとも2つの方向の1つに方向配置された固定ミラー要素を備えるミラー・マスクである請求項4に記載の構成。
【請求項7】
空間的に可変反射させるための前記手段がミラー・アレイであって、各ミラー要素は空間における少なくとも2つの位置において方向配置されることができる請求項4に記載の構成。
【請求項8】
反射手段の傾斜が実施される請求項1乃至7のいずれか1項に記載の構成。
【請求項9】
照明光および/または試料光が互いに垂直に交わる偏光された成分に分割される請求項1乃至8のいずれか1項に記載の構成。
【請求項10】
試料光が少なくとも部分的に、少なくとも1つの検出器によって検出される請求項1乃至9のいずれか1項に記載の構成。
【請求項11】
光源として少なくとも1つのレーザが備えられる請求項1乃至10のいずれか1項に記載の構成。
【請求項12】
光源として白色光源が備えられる請求項1乃至11のいずれか1項に記載の構成。
【請求項13】
複数の波長による照明が実施される請求項1乃至12のいずれか1項に記載の構成。
【請求項14】
試料光から来る蛍光光および/または照明光および/または燐光光および/または散乱光が検出される請求項1乃至13のいずれか1項に記載の構成。
【請求項15】
照明光の強度および/またはスペクトル構成が像撮影の間に変化し、したがってさまざまな試料個所がさまざまに照明される請求項1乃至14のいずれか1項に記載の構成。
【請求項16】
分散要素に付属する結像レンズが備えられ、前記結像レンズはスペクトル成分を焦点面に結像し、前記焦点面には、空間的に分割した放射成分の少なくとも一部分の偏光状態を変化させるための手段が配置されている請求項1乃至15のいずれか1項に記載の構成。
【請求項17】
前記偏光状態の変化が、方向制御可能な液晶セルを有するSLM(空間光変調器)を通じて実施される請求項1乃至16のいずれか1項に記載の構成。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれか1項に記載の検出光の偏光状態を平行または順次にスペクトル分解式把握を行うための測定法。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれか1項に記載の光源および/または光学要素によって生じる励起光の強度変動を調整するための方法。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれか1項に記載の構成を有する広視野顕微鏡。
【請求項21】
請求項1乃至20のいずれか1項に記載の構成を有する蛍光顕微鏡。
【請求項22】
請求項1乃至21のいずれか1項に記載の構成を有する点走査するレーザ走査型顕微鏡。
【請求項23】
請求項1乃至22のいずれか1項に記載の構成を有する線走査するレーザ走査型顕微鏡。
【請求項24】
走査式、部分走査式、または非走査式検出が実施される請求項23乃至25のいずれか1項に記載の走査型顕微鏡。
【請求項25】
請求項1乃至24のいずれか1項に記載の構成を有する流出細胞測定器。
【請求項26】
請求項1乃至25のいずれか1項に記載の構成を有し、照明光線経路および/または検出光線経路の中にブレッドボードを有する平行共焦点顕微鏡。
【請求項27】
請求項1乃至26のいずれか1項に記載の構成を有し、対象物への周期的構造の結像、構造の位相変位、位相変位された画像の記録のための構成。
【請求項1】
照明光および/または試料光をそのスペクトル構成および/または強度に関して調節可能に変化させるための方法であって、
第1偏光手段(Pol1)によって、異なる偏光の放射成分への空間的分離が実施され、
第1分散手段(Disp1)によって、少なくとも1つの放射成分のスペクトル・空間的分割が行われ、
スペクトル・空間的に分割された放射成分の少なくとも1つの部分の偏光状態が変えられ、
照明光および/または検出光の反射が実施される、
方法。
【請求項2】
照明光をそのスペクトル構成および/または強度に関して変化させるための装置であって、
異なる偏光の放射成分への空間的分離のための第1偏光手段(Pol1)であって、この上位または下位に少なくとも1つの放射成分のスペクトル・空間的分割のための第1分散手段(Disp1)が配置されている第1偏光手段と、
スペクトル・空間的に分割された放射成分の少なくとも1つの部分の偏光状態を変化させるための手段であって、この下位に照明光および/または試料光の光方向を変えるための反射手段が配置されている手段と、
から成る装置。
【請求項3】
照明光と試料光を分離するための構成であって、
異なる偏光の放射成分への空間的分離のための第1偏光手段(Pol1)であって、この上位または下位に少なくとも1つの放射成分のスペクトル・空間的分割のための第1分散手段(Disp1)が配置されている第1偏光手段と、
スペクトル・空間的に分割された放射成分の少なくとも1つの部分の偏光状態を変化させるための手段であって、この下位に照明光および/または試料光の光方向を変えるための反射手段が配置されている手段と、
から成る構成。
【請求項4】
照明光および/または試料光をそのスペクトル構成および/または強度に関して変化させるための装置であって、
少なくとも1つの放射成分をスペクトル・空間的に分割するための少なくとも1つの第1光学要素と、
スペクトル分割された光を少なくとも2つの異なる空間角の1つに空間的に可変反射させるための手段と、
各反射方向のスペクトル分割された光を集めるための第2光学要素と、
から成る装置。
【請求項5】
前記第1および第2光学要素が同一である請求項4に記載の構成。
【請求項6】
空間的に可変反射させるための前記手段が、少なくとも2つの方向の1つに方向配置された固定ミラー要素を備えるミラー・マスクである請求項4に記載の構成。
【請求項7】
空間的に可変反射させるための前記手段がミラー・アレイであって、各ミラー要素は空間における少なくとも2つの位置において方向配置されることができる請求項4に記載の構成。
【請求項8】
反射手段の傾斜が実施される請求項1乃至7のいずれか1項に記載の構成。
【請求項9】
照明光および/または試料光が互いに垂直に交わる偏光された成分に分割される請求項1乃至8のいずれか1項に記載の構成。
【請求項10】
試料光が少なくとも部分的に、少なくとも1つの検出器によって検出される請求項1乃至9のいずれか1項に記載の構成。
【請求項11】
光源として少なくとも1つのレーザが備えられる請求項1乃至10のいずれか1項に記載の構成。
【請求項12】
光源として白色光源が備えられる請求項1乃至11のいずれか1項に記載の構成。
【請求項13】
複数の波長による照明が実施される請求項1乃至12のいずれか1項に記載の構成。
【請求項14】
試料光から来る蛍光光および/または照明光および/または燐光光および/または散乱光が検出される請求項1乃至13のいずれか1項に記載の構成。
【請求項15】
照明光の強度および/またはスペクトル構成が像撮影の間に変化し、したがってさまざまな試料個所がさまざまに照明される請求項1乃至14のいずれか1項に記載の構成。
【請求項16】
分散要素に付属する結像レンズが備えられ、前記結像レンズはスペクトル成分を焦点面に結像し、前記焦点面には、空間的に分割した放射成分の少なくとも一部分の偏光状態を変化させるための手段が配置されている請求項1乃至15のいずれか1項に記載の構成。
【請求項17】
前記偏光状態の変化が、方向制御可能な液晶セルを有するSLM(空間光変調器)を通じて実施される請求項1乃至16のいずれか1項に記載の構成。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれか1項に記載の検出光の偏光状態を平行または順次にスペクトル分解式把握を行うための測定法。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれか1項に記載の光源および/または光学要素によって生じる励起光の強度変動を調整するための方法。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれか1項に記載の構成を有する広視野顕微鏡。
【請求項21】
請求項1乃至20のいずれか1項に記載の構成を有する蛍光顕微鏡。
【請求項22】
請求項1乃至21のいずれか1項に記載の構成を有する点走査するレーザ走査型顕微鏡。
【請求項23】
請求項1乃至22のいずれか1項に記載の構成を有する線走査するレーザ走査型顕微鏡。
【請求項24】
走査式、部分走査式、または非走査式検出が実施される請求項23乃至25のいずれか1項に記載の走査型顕微鏡。
【請求項25】
請求項1乃至24のいずれか1項に記載の構成を有する流出細胞測定器。
【請求項26】
請求項1乃至25のいずれか1項に記載の構成を有し、照明光線経路および/または検出光線経路の中にブレッドボードを有する平行共焦点顕微鏡。
【請求項27】
請求項1乃至26のいずれか1項に記載の構成を有し、対象物への周期的構造の結像、構造の位相変位、位相変位された画像の記録のための構成。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−313356(P2006−313356A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128585(P2006−128585)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(506151659)カール ツァイス マイクロイメージング ゲーエムベーハー (71)
【氏名又は名称原語表記】Carl Zeiss MicroImaging GmbH
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(506151659)カール ツァイス マイクロイメージング ゲーエムベーハー (71)
【氏名又は名称原語表記】Carl Zeiss MicroImaging GmbH
【Fターム(参考)】
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