説明

光エネルギー移動素子及び人工光合成素子

【課題】光化学系複合体が安定的に保持され、且つ、高効率で大面積化が可能な光エネルギー移動素子を提供する。
【解決手段】光エネルギー移動素子1は、内部に複数の微細孔12を有し、且つ少なくとも基材表面11sにて複数の微細孔12が開口した誘電体基材11に、誘電体基材11の微細孔12内に充填された充填部21と、充填部21上に基材表面11sより突出して形成され、充填部21の径よりも大きく、且つ、局在プラズモンを誘起しうる大きさの径を有する突出部22とからなる微細金属体20が複数固定され、これら複数の微細金属体20の突出部22の表面にエネルギー供与体30Dとエネルギー受容体30Aとからなる光化学系複合体30が形成されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー供与体とエネルギー受容体とからなる光化学系複合体を備えた光エネルギー移動素子、及びそれを用いた人工光合成素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石油等の化石燃料に替わる安全且つクリーンな新エネルギーとして太陽エネルギーが有力視されており、太陽エネルギーを効率的に利用する光エネルギー移動素子が検討されている。古くから研究されている太陽電池や、太陽光と水とから、クリーンな燃料となる水素と酸素を直接製造することができる光触媒などがその例であるが、これらの光エネルギー移動素子のエネルギー変換効率は未だ充分とはいえない。
【0003】
高効率化へ向けて、植物の光合成機能に着目し、人工的に光合成機能を構築した光化学系複合体を備えた光エネルギー移動素子(人工光合成素子)が研究されている。光化学系複合体は、エネルギー供与体とエネルギー受容体とを備えたものであり、光化学系複合体中で、エネルギー供与体が光を吸収することにより得たエネルギーを、エネルギー受容体が受け取ることによりエネルギー移動を可能とするものである。
【0004】
特許文献1及び2には、金属又は半導体からなる基体表面に、混合自己組織化単分子膜からなる光化学系複合体を備えた光エネルギー移動素子(光電変換系)が開示されており、混合自己組織化単分子膜によって高効率化が達成されることが記載されている。
【0005】
特許文献1及び2に記載の混合自己組織化単分子膜からなる光化学系複合体は、製造が容易で、且つ、複合体内に吸収された光は高効率にエネルギー変換することできるが、膜厚が数nmの単分子膜であるために入射してきた光の吸収効率は極めて低い。
【0006】
一方、特許文献3には、光化学系複合体を、金ナノ微粒子を堆積させた電極上に形成した光電変換素子構造が開示されており、金ナノ微粒子の大きな比表面積と局在プラズモン効果により高密度に光化学系複合体を電極上に固定化して入射光を高効率に光電変換することが記載されている。
【特許文献1】特開2001−303022号公報
【特許文献2】特開2002−25635号公報
【特許文献3】特開2005−259674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、金ナノ微粒子を堆積する構造では、堆積された微粒子と基材との結合が弱いために、微粒子が剥がれ落ちやすく、光化学系複合体を安定的に保持することが難しい。また、基材表面に一様に微粒子を堆積させることが難しいために、均一に光化学系複合体を固定化することが難しく、面全体で均一な機能を発現することが難しい。基材表面に一様に微粒子を堆積させることが難しいために、大面積化も難しい。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、光化学系複合体が安定的に保持され、しかも光エネルギー移動効率(光電変換効率)が高効率な光エネルギー移動素子、及びそれを用いた人工光合成素子を提供することを目的とするものである。
【0009】
本発明はまた、上記特性を有することに加えて、均一な構造を得ることができ、大面積化も可能な光エネルギー移動素子、及びそれを用いた人工光合成素子を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光エネルギー移動素子は、光エネルギーを吸収し、エネルギーを供与するエネルギー供与体と、該エネルギー供与体からエネルギーを受容するエネルギー受容体とからなる光化学系複合体を備えた光エネルギー移動素子において、
内部に複数の微細孔を有し、且つ少なくとも基材表面にて該複数の微細孔が開口した誘電体基材に、
該誘電体基材の前記微細孔内に充填された充填部と、該充填部上に前記基材表面より突出して形成され、該充填部の径よりも大きく、且つ、局在プラズモンを誘起しうる大きさの径を有する突出部とからなる微細金属体が複数固定され、
該複数の微細金属体の前記突出部の表面に前記光化学系複合体が形成された素子構造を有するものであり、
前記基材表面に対して、前記突出部において局在プラズモンを励起可能な波長であり、且つ前記エネルギー供与体が前記光エネルギーを吸収する波長の光を含む入射光が照射されるものであることを特徴とするものである。
【0011】
本明細書において、「誘電体基材」の形状は問わず、誘電体基板でもよいし誘電体層でもよい。充填部及び突出部の「径」とは、各部の最大幅を意味する。
【0012】
前記誘電体基材における前記複数の微細孔の分布は、略規則的であることが好ましい。
【0013】
本明細書において、「誘電体基材における複数の微細孔の分布が略規則的である」とは、全体的に見て複数の微細孔の径とピッチが略同一に揃っていること、具体的には、複数の微細孔の径が平均径±10%以内であり、複数の微細孔のピッチが平均ピッチ±10%以内であることと定義する。
【0014】
本発明の光エネルギー移動素子は、更に、前記誘電体基材の裏面に導電体を備えていてもよい。かかる構成の光エネルギー移動素子としては、前記複数の微細孔が前記基材裏面に到達しない範囲で開孔された非貫通孔であり、前記複数の微細金属体の前記充填部と、前記基材裏面に形成された前記導電体とが互いに非導通とされているもの、及び、前記複数の微細孔が前記基材裏面に到達して開孔された貫通孔であり、複数の微細金属体の充填部と導電体とが互いに導通しているものが挙げられる。複数の微細金属体の充填部と導電体とが互いに導通している場合は、導電体を電極として外部に電流を取り出すことができる。
【0015】
前記誘電体基材の好適な態様としては、被陽極酸化金属体の少なくとも一部を陽極酸化して得られる金属酸化物体からなり、前記複数の微細孔が、前記陽極酸化の過程で該金属酸化物体内に形成されたものが挙げられる。誘電体基材の裏面に導電体を備えている場合は、上記陽極酸化は、被陽極酸化金属体の一部にのみ行い、陽極酸化されずに残った前記被陽極酸化金属体の非陽極酸化部分を前記導電体とすることができる。
【0016】
上記態様において、被陽極酸化金属体はAlを主成分とするものであることが好ましい。本明細書において、被陽極酸化金属体の「主成分」は、含量90%以上の成分と定義する。
【0017】
本発明の光エネルギー移動素子において、前記微細金属体は、前記誘電体基材の前記微細孔内に、一部が前記基材表面から突出するまでメッキ処理による金属成長を実施することにより形成されたものであることが好ましい。
【0018】
本発明の光エネルギー移動素子において、互いに隣接する前記微細金属体の前記突出部同士の平均離間距離が、10nm以下であることが好ましい。本明細書において、「突出部同士の平均離間距離」とは、互いに隣接する突出部同士の最短離間距離の平均値と定義する。
【0019】
前記光化学系複合体の好適な態様としては、前記エネルギー受容体と前記エネルギー供与体との混合自己組織化単分子膜が挙げられる。
【0020】
また、本発明の光エネルギー移動素子においては、前記光化学系複合体は、前記突出部の表面に直接形成されているものであってもよいし、あるいは透明絶縁体層を介して、前記突出部の表面に形成されているものであってもよい。なお、「透明絶縁体層」とは、具体的にはSiOなどの無機物あるいはポリマーなどの有機物等から構成される層であり、基材表面に照射される光をほぼ透過する絶縁体層であればよい。
【0021】
本発明の人工光合成素子は、上記本発明の光エネルギー移動素子からなることを特徴とするものである。
【0022】
本発明の人工光合成素子は、前記光化学系複合体に接触した水分子を分解して酸素及び/又は水素を発生させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の光エネルギー移動素子は、少なくとも基材表面にて開口した複数の微細孔を内部に有する誘電体基材に、微細孔内に充填された充填部と、充填部上に基材表面より突出して形成され、充填部の径よりも大きく、且つ、局在プラズモンを誘起しうる大きさの径を有する突出部とからなる微細金属体が複数固定され、これら複数の微細金属体の突出部の表面に、光エネルギーを吸収し、エネルギーを供与するエネルギー供与体と、エネルギー供与体からエネルギーを受容するエネルギー受容体とからなる光化学系複合体が形成されたものである。
【0024】
かかる構成においては、基材表面に対して、突出部において局在プラズモンを励起可能な波長であり、且つエネルギー供与体が光エネルギーを吸収する波長の光を含む入射光が照射されると、光化学系複合体が表面に形成されている微細金属体の突出部において、局在プラズモンが誘起され、局在プラズモン効果による突出部内での光の閉じ込め効果と突出部近傍における電場増強効果によって、入射光の光化学系複合体内への吸収効率が高くなり、高効率な光エネルギー移動効率(光電変換効率)が得られる。
【0025】
また、微細金属体が、誘電体基材の微細孔内に一部が埋め込まれた構造を有しているので、微細金属体が誘電体基材上に堆積されただけの特許文献3の構造に比して、微細金属体と誘電体基材との結合が強く、微細金属体が誘電体基材から剥がれ落ちにくいため、安定的に光化学系複合体を保持することが可能である。
【0026】
また、本発明の光エネルギー移動素子は、例えば、複数の微細孔を基材表面内において略均一に分布するように形成すれば、基材表面に一様に形成された微細金属体の突出部に光化学系複合体を固定化することができるので、面全体で略均一な機能を発現させることができる。
【0027】
本発明では、素子面積が大きくなっても、安定的に光化学系複合体を保持することができ、略均一な構造を得ることも可能であるので、大面積化も可能である。
【0028】
また、光化学系複合体が、透明絶縁体層を介して、微細金属体の突出部の表面に形成されている場合には、光化学系複合体から微細金属体への直接電荷移動が防止され、エネルギー変換効率をより向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
「第1実施形態の光エネルギー移動素子」
図面を参照し、本発明に係る第1実施形態の光エネルギー移動素子の構造について説明する。図1は厚み方向断面図である。図2及び図3は本実施形態の光エネルギー移動素子の製造工程を示す図であり、図2は斜視図、図3は断面図である(光化学系複合体を備えた図については、図3(d)にのみ記載し、斜視図については図示略とする。)。
【0030】
本実施形態の光エネルギー移動素子1は、入射光Lのエネルギーを吸収し、エネルギー受容体(アクセプタ)30Aにエネルギーを供与するエネルギー供与体(ドナー)30Dと、エネルギー供与体30Dからエネルギーを受容するエネルギー受容体30Aとからなる光化学系複合体30を備えたものである。
【0031】
光エネルギー移動素子1は、導電体13上に形成され、平面視略同一形状の多数の微細孔12が、基材表面11sにおいて開口して略規則配列した誘電体基材11を備え、この誘電体基材11に、微細孔12内に充填されている充填部21と、微細孔12上に基材表面11sより突出して形成され、充填部21の径よりも大きく、且つ、局在プラズモンを誘起しうる大きさの径を有する突出部22とからなる微細金属体20が複数固定され、これら複数の微細金属体20の突出部22の表面に、光化学系複合体30が形成されたものである。
【0032】
光エネルギー移動素子1には、基材表面11sに対して、突出部22において局在プラズモンを励起可能な波長であり、且つエネルギー供与体30Dが光エネルギーを吸収する波長の光を含む入射光Lが照射される。入射光Lは特に制限なく、太陽光等の自然光でもよいし、特定の光源から出射された単波長光又はブロード光でもよい。
【0033】
光エネルギー移動素子1において、微細孔12は誘電体基材11の表面11sから厚み方向に略ストレートに開孔され、裏面11rに到達せずに閉口された非貫通孔である。
【0034】
本実施形態において、誘電体基材11は、図2及び図3に示されるように、アルミニウム(Al)を主成分とし、微少不純物を含んでいてもよい被陽極酸化金属体10の一部を陽極酸化して得られたアルミナ(Al)層(金属酸化物層)である。導電体13は、陽極酸化されずに残った被陽極酸化金属体10の非陽極酸化部分により構成されている。
【0035】
被陽極酸化金属体10の形状は制限されず、板状等が挙げられる。また、支持体の上に被陽極酸化金属体10が層状に成膜されたものなど、支持体付きの形態で用いることも差し支えない。
【0036】
陽極酸化は、例えば、被陽極酸化金属体10を陽極とし、カーボンやアルミニウム等を陰極(対向電極)として、これらを陽極酸化用電解液に浸漬させ、陽極と陰極の間に電圧を印加することで実施できる。電解液としては制限されず、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等の酸を、1種又は2種以上含む酸性電解液が好ましく用いられる。
【0037】
図2(a)、図3(a)に示す被陽極酸化金属体10を陽極酸化すると、図2(b)、図3(b)に示されるように、表面10s(図示上面)から該面に対して略垂直方向に酸化反応が進行し、アルミナ層11が生成される。
【0038】
陽極酸化により生成されるアルミナ層11は、平面視略正六角形状の微細柱状体14が隣接して配列した構造を有するものとなる。各微細柱状体14の略中心部には、表面10sから深さ方向に微細孔12が開孔される。また、各微細孔12及び微細柱状体14の底面は、図示する如く、丸みを帯びた形状を有している。陽極酸化により生成されるアルミナ層の構造は、益田秀樹、「陽極酸化法によるメソポーラスアルミナの調製と機能材料としての応用」、材料技術Vol.15,No.10、1997年、p.34等に記載されている。
【0039】
陽極酸化条件は、非陽極酸化部分が残り、かつ微細孔12の深さdが、微細金属体20が容易にアルミナ層11(誘電体基材)から剥がれ落ちない程度に深くなる範囲内で、適宜設計すればよい。電解液としてシュウ酸を用いる場合、好適な条件例としては、電解液濃度0.5M、液温15℃、印加電圧40Vが挙げられる。電解時間を変えることで、任意の層厚のアルミナ層11を生成できる。陽極酸化前の被陽極酸化金属体10の厚みを、生成されるアルミナ層11よりも厚く設定しておけば、非陽極酸化部分が残り、非陽極酸化部分からなる導電体13上に設けられ、平面視略同一形状の多数の微細孔12が、基材表面11sにおいて開口して略規則配列したアルミナ層11(誘電体基材)を得ることができる。
【0040】
通常、互いに隣接する微細孔12同士のピッチは10〜500nmの範囲で、また微細孔の孔径は、5〜400nmの範囲でそれぞれ制御可能である。特開2001−9800号公報や特開2001−138300号公報には、微細孔の形成位置や孔径をより細かく制御する方法が開示されている。これらの方法を用いることにより、上記範囲内において任意の孔径及び深さを有する微細孔を略規則的に配列形成することができる。
【0041】
図2(c)及び図3(c)に示されるように、充填部21と突出部22とからなる微細金属体20は、誘電体基材11の微細孔12に電気メッキ処理等を施すことにより形成される。
【0042】
電気メッキを行う場合には、導電体13が電極として機能し、電場が強い微細孔12の底部から優先的に金属が析出する。この電気メッキ処理を継続して行うことにより、微細孔12内に金属が充填されて微細金属体20の充填部21が形成される。充填部21が形成された後、更に電気メッキ処理を続けると、微細孔12から充填金属が溢れるが、微細孔12付近の電場が強いことから、微細孔12周辺に継続して金属が析出していき、充填部21上に基材表面11sより突出し、充填部21の径よりも大きい径を有する突出部22が形成される。
【0043】
微細金属体20は、突出部22の大きさが、局在プラズモンを誘起可能な大きさであればよいが、入射光Lの波長を考慮すると、突出部22の径が10nm以上300nm以下の範囲であることが好ましい。
【0044】
互いに隣接する突出部22同士は離間されていることが好ましく、その平均離間距離wは、数nm〜10nmの範囲であることがより好ましい。平均離間距離が上記範囲内である場合は、局在プラズモン効果による電場増強効果を効果的に得ることができる。
【0045】
局在プラズモン現象は、凸部の自由電子が光の電場に共鳴して振動することで凸部周辺に強い電場を生じる現象であるので、微細金属体20は、自由電子を有する任意の金属でよい。光エネルギー移動素子1は、基材表面11sに対して、突出部22において局在プラズモンを励起可能な波長であり、且つエネルギー供与体30Dが光エネルギーを吸収する波長の光を含む入射光Lが照射されるものであるので、エネルギー供与体30Dの吸収波長と略一致する波長において局在プラズモンを生じる金属が好ましく、Au,Ag,Cu,Pt,Ni,Ti等が挙げられ、電場増強効果の高いAu,Ag等が特に好ましい。
【0046】
本実施形態では、微細孔12は基材裏面11rに到達せずに開孔された非貫通孔であり、微細金属体20の充填部21は微細孔12内に充填されたものであるので、微細金属体20と導電体13とは互いに導通されていない。
【0047】
光化学系複合体30は、微細金属体20の局在プラズモンを誘起する波長の光において高効率に光エネルギーを吸収可能なものであることが好ましい。従って、光化学系複合体30のエネルギー吸収効率が良くなるように、光化学系複合体30と微細金属体20の組み合わせを決定することが好ましい。
【0048】
光化学系複合体30としては、エネルギー供与体30Dとエネルギー受容体30Aとの混合自己組織化単分子膜が挙げられる。混合自己組織化単分子膜は、多数のエネルギー供与体30Dとエネルギー受容体30Aとが有機分子同士の相互作用等によって自然に交互に規則的に配列して、高度な配向性を有する単分子膜を形成したものである。混合自己組織化単分子膜としては、藍藻植物や高等植物のPSIやPSII,及び紅色細菌等の光化学系蛋白材料等からなる自己組織化単分子膜、及び特許文献1,2に記載の自己組織化単分子膜等が挙げられる。
【0049】
例えば、光化学系複合体30が上記PSIの場合は、吸収ピーク波長が700nm付近である。従って、700nm付近で局在プラズモン共鳴を生じるAu等を微細金属体20の構成材料とすれば、エネルギー吸収効率を効果的に高めることができる。
【0050】
図3(d)には、突出部22と光化学系複合体30との結合の様子がわかるように、結合部分を拡大した図を示してある。図3(d)の拡大図において、矢印はエネルギーの移動を模式的に示している。
【0051】
本実施形態では、エネルギー供与体30Dとエネルギー受容体30Aとがそれぞれ結合基を介して微細金属体20の突出部22の表面に共有結合又は配位結合されている。
【0052】
上記結合基としては、チオール基、ジスルフィド基、及びスルフィド基等が挙げられる。図3(d)では、例として結合基がチオール基の場合について図示してある。
【0053】
自己組織化単分子膜を形成する性質を有し、微細金属体20と結合する結合基が導入されたエネルギー供与体30Dとエネルギー受容体30Aとを含む溶液を調製し、これに光化学系複合体30を形成する前の図3(c)に示す構造体を浸漬させることで、図3(c)に示す構造体上にエネルギー供与体30Dとエネルギー受容体30Aとの自己組織化単分子膜からなる光化学系複合体30を形成することができる。
【0054】
光化学系複合体30としては、多数のエネルギー供与体30Dとエネルギー受容体30Aとを交互に人工的に配列させたものでもよい。この場合、エネルギー供与体30Dとエネルギー受容体30Aとの組み合わせは、エネルギー移動効率のよいものであることが好ましい。かかるエネルギー供与体30Dとエネルギー受容体30Aの組み合わせとしては、ピレン−ポルフィリン、フラーレン−ポルフィリン等が挙げられる。
【0055】
図1のように、光エネルギー移動素子1に入射光Lが入射されると、光化学系複合体30のエネルギー供与体30Dは、入射光Lの光エネルギーを吸収して励起され、電子を放出する。次いで放出された励起電子を、光化学系複合体30のエネルギー受容体30Aが受け取って電子の伝達が行われ、従って光エネルギーが移動する。上記したように、本実施形態では、入射光Lを、微細金属体20において局在プラズモンを誘起される波長を含む光とすることにより、光化学系複合体30が結合されている突出部22において局在プラズモンによる突出部22内での光の閉じ込め効果と突出部22近傍における電場増強効果を得ることができる。従って、より入射光Lを、より長い時間光化学系複合体30付近にとどめることができ、入射光Lを、より効率良く光化学系複合体30に吸収させることができる。特に、局在プラズモン共鳴波長においては、電場増強効果は100倍以上にもなることから、吸収効率を格段に向上させることが可能である。
【0056】
背景技術の項において述べたように、局在プラズモンによる突出部22内での光の閉じ込め効果と突出部22近傍における電場増強効果がない条件では、自己組織化単分子膜の膜厚は数nmの単分子膜であるために入射してきた光の吸収効率は極めて低い。しかしながら、本実施形態によれば、入射光Lの吸収効率を効果的に高めることができるので、自己組織化単分子膜を形成している光化学系複合体30において、より高効率な光エネルギー移動を可能とすることができる。
以上のように、本実施形態の光エネルギー移動素子1は構成されている。
【0057】
本実施形態の光エネルギー移動素子1は、少なくとも基材表面11sにて開口した複数の微細孔12を内部に有する誘電体基材11に、微細孔12内に充填された充填部21と、充填部21上に基材表面11sより突出して形成され、充填部21の径よりも大きく、且つ、局在プラズモンを誘起しうる大きさの径を有する突出部22とからなる微細金属体20が複数固定され、これら複数の微細金属体20の突出部22の表面に、光エネルギーを吸収し、エネルギーを供与するエネルギー供与体30Dと、エネルギー供与体30Dからエネルギーを受容するエネルギー受容体30Aとからなる光化学系複合体30が形成されたものである。
【0058】
かかる構成においては、基材表面11sに対して、突出部22において局在プラズモンを励起可能な波長であり、且つエネルギー供与体30Dが光エネルギーを吸収する波長の光を含む入射光Lが照射されると、光化学系複合体30が表面に形成されている微細金属体20の突出部22において、局在プラズモンが誘起され、局在プラズモン効果により突出部22内での光の閉じ込め効果と突出部22近傍における電場増強効果によって、入射光Lの光化学系複合体30内への吸収効率が高くなり、高効率な光エネルギー移動効率(光電変換効率)が得られる。
【0059】
また、微細金属体20が、誘電体基材11の微細孔12内に一部が埋め込まれた構造を有しているので、微細金属体20が誘電体基材11上に堆積されただけの特許文献3の構造に比して、微細金属体20と誘電体基材11との結合が強く、微細金属体20が誘電体基材11から剥がれ落ちにくいため、安定的に光化学系複合体30を保持することが可能である。
【0060】
また、光エネルギー移動素子1は、例えば、複数の微細孔12を基材表面11s内において略均一に分布するように形成すれば、基材表面11sに一様に形成された微細金属体20の突出部22に光化学系複合体30を固定化することができるので、面全体で略均一な機能を発現させることができる。
【0061】
本実施形態では、素子面積が大きくなっても、安定的に光化学系複合体30を保持することができ、略均一な構造を得ることも可能であるので、大面積化も可能である。
【0062】
以上のように、本実施形態によれば、光化学系複合体30が安定的に保持され、しかも高効率で大面積化が可能な光エネルギー移動素子1を提供することができる。
【0063】
上記実施形態では、導電体13は、被陽極酸化金属体10の非陽極酸化部分としたが、被陽極酸化金属体10を全て陽極酸化して金属酸化物体11(誘電体基材)とし、基板裏面11rに別途蒸着等により設けた金属により構成してもよい。この場合、導電体13の材料は制限なく、任意の金属やITO(インジウム錫酸化物)等の導電性の材料が挙げられる。
【0064】
また、基材裏面11rに導電体13を備えた場合について説明したが、微細金属体20を微細孔12に充填する方法として、電気メッキ法等のように、微細孔12に導通性を必要とする方法を用いない場合は、導電体13は備えていなくてもよい。
また、微細金属体20の形成後に、導電体13を除去した構成としてもよい。
【0065】
「第2実施形態の光エネルギー移動素子」
図面を参照し、本発明に係る第2実施形態の光エネルギー移動素子の構造について説明する。図4は、上記実施形態の図1に対応する図である。図示されるように、本実施形態の光エネルギー移動素子2は、誘電体基材11において、複数の微細孔12は基材裏面11rに到達して開孔された貫通孔であり、微細金属体20と導電体13とが互いに導通している以外は、図1に示される第1実施形態の光エネルギー移動素子1と同様の構成としている。
【0066】
本実施形態の光エネルギー移動素子2は、第1実施形態と同様の方法で製造されたものである。微細金属体20を電気メッキにより成長する際に、条件によっては微細孔12の底面と被陽極酸化金属体10の非陽極酸化部分からなる導電体13との間の薄い層が破られて、本実施形態の構成が得られる。
【0067】
本実施形態の光エネルギー移動素子2は、被陽極酸化金属体10をすべて陽極酸化する、若しくは被陽極酸化金属体10の一部を陽極酸化した後、非陽極酸化部分とその近傍部分を除去することで、貫通孔からなる微細孔12を有する誘電体基材11を得、別途蒸着等により導電体13を成膜することでも得られる。
【0068】
本実施形態の光エネルギー移動素子2においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0069】
「第3実施形態の光エネルギー移動素子」
図面を参照し、本発明に係る第3実施形態の光エネルギー移動素子の構造について説明する。図4は、上記実施形態の図1に対応する図である。図示されるように、本実施形態の光エネルギー移動素子3は、光化学系複合体30が、透明絶縁体層31を介して、微細金属体20の突出部22の表面に形成されている。光エネルギー移動素子3は透明絶縁体層31が設けられていること以外は、図1に示される第1実施形態の光エネルギー移動素子1と同様の構成としている。
【0070】
透明絶縁体層31は、厚さ50nm以下のSiO膜であり、基材表面に照射される光Lをほぼ透過するものである。透明絶縁体層31の主な機能は、光化学系複合体30から微細金属体20への直接電荷移動を防止することである。一般に金属の近傍に存在する物質から金属へのエネルギー移動の程度は、金属が半無限の厚さを持つ平面なら距離の3乗に反比例して、金属が無限に薄い平板なら距離の4乗に反比例して、また、金属が微粒子なら距離の6乗に反比例して小さくなる。光エネルギー移動素子3においては、光化学系複合体30から微細金属体20への直接電荷移動を防止し得る透明絶縁体層31の厚さは、微細金属体20の材料、大きさおよび形状などに左右され、数nm〜数十nm程度である。透明絶縁体層31の膜厚としては、直接電荷移動を防止し得る厚さ以上の膜厚を確保することが好ましい。一方、局在プラズモン効果による電場増強効果は、金属表面からの距離に応じて指数関数的に減衰することが知られている。また、この電場増強効果の強度も金属表面の形状等により左右される。従って、本実施形態における微細金属体20の突出部22の径や形状を考慮すると、透明絶縁体層31の膜厚は、効果的な電場増強効果が得られように、50nm以下であることが好ましい。
【0071】
さらに、透明絶縁体層31の材料は、SiO膜、に限定されるものではない。好ましい材料の他の具体例としては、ポリマーが挙げられる。また、透明絶縁体層の好ましい材料としてより詳しくは、疎水性高分子、無機酸化物を挙げることができる。
【0072】
疎水性高分子は、水に対する溶解度が20重量%以下であるモノマーを50重量%以上含むことが好ましい。水に対する溶解度が20重量%以下であるモノマーの具体例としては、ビニルエステル類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、オレフィン類、スチレン類、クロトン酸エステル類、イタコン酸ジエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、アリル化合物類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類等から任意に選ぶことができ、スチレン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ヘキサフルオロプロパン、酢酸ビニル、アクリロニトリルなどが好ましく用いられる。疎水性高分子化合物としては、1種類のモノマーから成るホモポリマーでも、2種類以上のモノマーから成るコポリマーでもよい。
【0073】
さらに、水に対する溶解度が20重量%以上であるモノマーを共重合した高分子化合物を併用してもよい。水に対する溶解度が20重量%以上であるモノマーの具体例としては、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸、アクリル酸、アリルアルコール等が挙げられる。疎水性高分子としては、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリスチレンがより好ましい。そうすることによって、膜形成が容易になりかつ表面に生理活性物質を固定化するための官能基を露出させることも容易になる。例えばポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステルで形成された膜は表面を酸や塩基で加水分解することによって表面にカルボキシル基とヒドロキシル基を露出することが容易であり、またポリスチレンで形成された膜はUV/オゾン処理などの酸化処理施すことによってカルボキシル基を露出させることが容易である。
【0074】
透明絶縁体層の材料として使用可能な無機酸化物としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、フェライト及びその複合材料や誘導体を選択することができる。
【0075】
透明絶縁体層31の成膜方法としては常法によって行うことができ、例えばゾルゲル法、スパッタ法、蒸着法、めっき法などの手法を採用することができる。
【0076】
本実施形態の光エネルギー移動素子3においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、光化学系複合体30から微細金属体20への直接電荷移動が防止されるため、エネルギー変換効率をより向上させることができる。
【0077】
上記の第1,第2および第3実施形態の光エネルギー移動素子1,2および3は、人工光合成素子として用いることができる。人工光合成素子は、光エネルギーを吸収することにより生じる電子の伝達により発現する機能を利用した素子である。
【0078】
本実施形態の光エネルギー移動素子1または3に水分子を接触させて、光エネルギーを照射することにより、光エネルギー移動素子1または3の表面に結合された光化学系複合体30により、接触している水分子が分解されて、酸素及び/又は水素を発生させることができる。すなわち、本実施形態の光エネルギー移動素子1または3を用いた人工光合成素子は、酸素発生素子及び/又は水素発生素子として利用できる。水分子は、通常の液体の水に含まれるものでもよいし、空気中等に含まれる水分子でもよい。
【0079】
上記第2実施形態の光エネルギー移動素子2は、光化学系複合体30にて生じた電流を導電体13からなる電極から取り出すことができ、光電変換素子としても利用可能である。
【0080】
<設計変更>
上記第1、第2および第3実施形態では、誘電体基材11の製造に用いる被陽極酸化金属体10の主成分としてAlのみを挙げたが、陽極酸化可能であれば、任意の金属が使用できる。Al以外では、Ti、Ta、Hf、Zr、Si、In、Zn等が使用できる。被陽極酸化金属体10は、陽極酸化可能な金属を2種以上含むものであってもよい。
【0081】
用いる被陽極酸化金属の種類によって、形成される微細孔12の平面パターンは変わるが、平面視略同一形状の微細孔12が隣接して配列した構造を有する誘電体基材11が形成されることには変わりない。
【0082】
また、陽極酸化を利用して微細孔12を規則配列させる場合について説明したが、微細孔12の形成方法は、陽極酸化に制限されない。表面全面を一括処理でき、大面積化に対応でき、高価な装置を必要としないことから、陽極酸化を利用した上記第1、第2および第3実施形態は好ましいが、陽極酸化を利用する以外に、樹脂等の基板の表面にナノインプリント技術により規則配列した複数の凹部を形成する、金属等の基板の表面に、集束イオンビーム(FIB)、電子ビーム(EB)等の電子描画技術により規則配列した複数の凹部を描画する等の微細加工技術が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の光エネルギー移動素子は、光電変換素子,酸素発生素子,水素発生素子等の人工光合成素子に好ましく利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明に係る第一実施形態の光エネルギー移動素子の厚み方向断面図
【図2】図1の光エネルギー移動素子の製造工程を示す斜視図
【図3】図2に対応する製造工程断面図
【図4】本発明に係る第二実施形態の光エネルギー移動素子の厚み方向断面図
【図5】本発明に係る第三実施形態の光エネルギー移動素子の厚み方向断面図
【符号の説明】
【0085】
1,2,3 光エネルギー移動素子,人工光合成素子
10 被陽極酸化金属体
11 誘電体基材(金属酸化物層)
11s 基材表面
11r 基材裏面
12 微細孔
13 導電体(非陽極酸化部分)(電極)
20 微細金属体
21 充填部
22 突出部
30 光化学系複合体
30D エネルギー供与体
30A エネルギー受容体
31 透明絶縁体層
L 入射光
w 突出部同士の離間距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光エネルギーを吸収し、エネルギーを供与するエネルギー供与体と、該エネルギー供与体からエネルギーを受容するエネルギー受容体とからなる光化学系複合体を備えた光エネルギー移動素子において、
内部に複数の微細孔を有し、且つ少なくとも基材表面にて該複数の微細孔が開口した誘電体基材に、該誘電体基材の前記微細孔内に充填された充填部と、該充填部上に前記基材表面より突出して形成され、該充填部の径よりも大きく、且つ、局在プラズモンを誘起しうる大きさの径を有する突出部とからなる微細金属体が複数固定され、該複数の微細金属体の前記突出部の表面に前記光化学系複合体が形成された素子構造を有するものであり、
前記基材表面に対して、前記突出部において局在プラズモンを励起可能な波長であり、且つ前記エネルギー供与体が前記光エネルギーを吸収する波長の光を含む入射光が照射されるものであることを特徴とする光エネルギー移動素子。
【請求項2】
前記誘電体基材における前記複数の微細孔の分布が略規則的であることを特徴とする請求項1に記載の光エネルギー移動素子。
【請求項3】
前記誘電体基材は、被陽極酸化金属体の少なくとも一部を陽極酸化して得られる金属酸化物体からなり、前記複数の微細孔は、前記陽極酸化の過程で該金属酸化物体内に形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光エネルギー移動素子。
【請求項4】
更に、前記誘電体基材の裏面に導電体を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光エネルギー移動素子。
【請求項5】
前記誘電体基材において、前記複数の微細孔は前記基材裏面に到達しない範囲で開孔された非貫通孔であり、
前記複数の微細金属体の前記充填部と、前記基材裏面に形成された前記導電体とが互いに非導通とされていることを特徴とする請求項4に記載の光エネルギー移動素子。
【請求項6】
前記誘電体基材において、前記複数の微細孔は前記基材裏面に到達して開孔された貫通孔であり、
前記複数の微細金属体の前記充填部と、前記基材裏面に形成された前記導電体とが互いに導通とされていることを特徴とする請求項4に記載の光エネルギー移動素子。
【請求項7】
前記基材裏面に形成された前記導電体が、外部に電流を取り出すための電極である ことを特徴とする請求項6に記載の光エネルギー移動素子。
【請求項8】
前記誘電体基材は、被陽極酸化金属体の一部を陽極酸化して得られる金属酸化物体からなり、前記複数の微細孔は、前記陽極酸化の過程で該金属酸化物体内に形成されたものであり、
前記基材裏面に形成された前記導電体が、前記被陽極酸化金属体の非陽極酸化部分からなることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の光エネルギー移動素子。
【請求項9】
前記被陽極酸化金属体が、Alを主成分とすることを特徴とする請求項3又は8に記載の光エネルギー移動素子。
【請求項10】
前記微細金属体は、前記誘電体基材の前記微細孔内に、一部が前記基材表面から突出するまでメッキ処理による金属成長を実施して、形成されたものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光エネルギー移動素子。
【請求項11】
互いに隣接する前記微細金属体の前記突出部同士の平均離間距離が、10nm以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の光エネルギー移動素子。
【請求項12】
前記光化学系複合体は、前記エネルギー受容体と前記エネルギー供与体との混合自己組織化単分子膜であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の光エネルギー移動素子。
【請求項13】
前記光化学系複合体が前記突出部の表面に直接形成されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の光エネルギー移動素子。
【請求項14】
前記光化学系複合体が、透明絶縁体層を介して、前記突出部の表面に形成されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の光エネルギー移動素子。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の光エネルギー移動素子からなることを特徴とする人工光合成素子。
【請求項16】
前記光化学系複合体に接触した水分子を分解して酸素及び/又は水素を発生する素子であることを特徴とする請求項15に記載の人工光合成素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−166697(P2008−166697A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249349(P2007−249349)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】