説明

光ケーブルのコネクタ端末構造部

【課題】より狭いスペースでも光ケーブルのコネクタ端末における曲げ規制を可能にすること。
【解決手段】光ケーブルのコネクタ端末構造部10は、光ケーブル22の曲げ規制を行う構成である。この光ケーブルのコネクタ端末構造部10は、光ケーブル22を含む配線部20と、光ケーブル22の一方の端部が基端部に接続される光コネクタ30と、光コネクタ30の基端部より配線部20側の位置で、配線部20の外周部に対して間隔をあけて、配線部20の外周において少なくとも周方向一部に設けられた当接部42を有する曲げ規制部40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ケーブルのコネクタ接続端末における曲げ規制技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光ケーブルは、曲げた状態で配索されたり、配索時に曲げられたりすることがあるが、過度な曲げ半径で曲げられると、伝送劣化及び内部の光ファイバーの損傷を生じることがある。例えば、光ファイバーのうち光コネクタに対する接続端部は、曲げ動作の基点となって小さい曲げ半径で曲げられる可能性が高い。
【0003】
これに対して、特許文献1には、コネクタの基端部に光ケーブルの外周を囲うブーツが設けられた構成が開示されている。さらに、特許文献1では、ブーツ及びその側方に延出する光ケーブルの外周を囲って該ブーツに嵌挿される光コネクタ用曲がりブーツも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−282177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のブーツ及び光コネクタ用曲がりブーツは、光ケーブルの延在方向に長尺であり、光コネクタが狭い箇所に配設される場合には用いることが困難である。しかも、特許文献1のブーツ及び光コネクタ用曲がりブーツは、その端部で光ケーブルの外周部に沿って接触し、光ケーブルと一緒に曲がるため、そこから延出する光ケーブルはブーツ又は光コネクタ用曲がりブーツの端部を基点として小さい曲げ半径で曲げられる恐れもある。
【0006】
そこで、本発明は、より狭いスペースでも光ケーブルのコネクタ端末における曲げ規制を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様は、光ケーブルを含む配線部と、前記光ケーブルの一方の端部が基端部に接続される光コネクタと、前記光コネクタの基端部より前記配線部側の位置で、前記配線部の外周部に対して間隔をあけて、前記配線部の外周において少なくとも周方向一部に設けられた当接部を有する曲げ規制部と、を備える。
【0008】
第2の態様は、第1の態様に係る光ケーブルのコネクタ端末構造部であって、前記当接部は、前記配線部の外周を囲う環状に形成されている。
【0009】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る光ケーブルのコネクタ端末構造部であって、前記曲げ規制部は、前記光コネクタにおける基端側部分に外嵌して設けられた熱収縮チューブにより形成されている。
【0010】
第4の態様は、第1〜第3のいずれか一態様に係る光ケーブルのコネクタ端末構造部であって、前記配線部は、前記光ケーブルの外周を覆うコルゲートチューブを有している。
【0011】
第5の態様は、第4の態様に係る光ケーブルのコネクタ端末構造部であって、前記コルゲートチューブは、前記光コネクタと前記光ケーブルとの境界部分において、前記光コネクタ及び前記光ケーブルに対して非固定である。
【発明の効果】
【0012】
第1の態様に係る光ケーブルのコネクタ端末構造部によると、曲げ規制部が、配線部の光ケーブルの一方の端部が基端部に接続される光コネクタの基端部より配線部側の位置で、配線部の外周部に対して間隔をあけて、配線部の外周において少なくとも周方向一部に設けられた当接部を有するため、配線部が曲げられる際に、曲げられた配線部に当接部が当接して曲げ動作を規制でき、配線部の光コネクタの基端部を基点とする過度な曲げを抑制することができる。これにより、より狭いスペースでも光ケーブルのコネクタ端末における曲げ規制を可能にすることができる。
【0013】
第2の態様に係る光ケーブルのコネクタ端末構造部によると、当接部が、配線部の外周を覆う環状に形成されているため、配線部のどの方向の曲げについても規制することができる。
【0014】
第3の態様に係る光ケーブルのコネクタ端末構造部によると、曲げ規制部が、光コネクタにおける基端側部分に外嵌して設けられた熱収縮チューブにより形成されているため、光コネクタに対して光ケーブルが接続された後からでも、光コネクタを挿通させて取り付け位置で熱収縮させることにより、曲げ規制部を形成することができ、組立作業性に優れる。
【0015】
第4の態様に係る光ケーブルのコネクタ端末構造部によると、配線部が光ケーブルの外周を覆うコルゲートチューブを有しているため、光コネクタから延出する光ケーブルの根元より先の部分においても、曲げ規制を行うことができる。
【0016】
第5の態様に係る光ケーブルのコネクタ端末構造部によると、配線部のコルゲートチューブが、光コネクタと光ケーブルの境界部分において、光コネクタ及び光ケーブルに対して非固定であるため、配線部の曲げ動作による負荷を軽減してコルゲートチューブの折れ等を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】光ケーブルのコネクタ端末構造部の斜視図である。
【図2】光コネクタに光ケーブルが接続された状態を示す斜視図である。
【図3】光ケーブルの配索例を示す図である。
【図4】光ケーブルのコネクタ端末構造部の平面図である。
【図5】光ケーブルのコネクタ端末構造部の側面図である。
【図6】配線部が曲げられた様子を示す図である。
【図7】曲げ規制部を形成する工程を示す図である。
【図8】曲げ規制部を形成する工程を示す図である。
【図9】曲げ規制部を形成する工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態に係る光ケーブルのコネクタ端末構造部10について説明する(図1参照)。この光ケーブルのコネクタ端末構造部10は、光コネクタ30に接続される光ケーブル22における該光コネクタ30に対する接続端部において、光ケーブル22の過度な曲げを抑制するための構成である。
【0019】
本光ケーブルのコネクタ端末構造部10は、光ケーブル22を含む配線部20と、光コネクタ30と、曲げ規制部40とを備える。
【0020】
配線部20は、光ケーブル22と、光ケーブル22の外周を覆うコルゲートチューブ25とを有している。
【0021】
光ケーブル22は、ガラス製又はプラスチック製の光ファイバーを内部に有するケーブルである。この光ケーブル22は、一方の端部が光コネクタ30に接続されている。
【0022】
光ケーブル22を含む配線部20は、例えば、自動車のカーナビゲーションシステム92と車体94との間に配索されることがある(図3参照)。すなわち、光ケーブル22は、一方の端部がカーナビゲーションシステム92に接続される光コネクタ30に接続され、他方の端部が車体94側に設けられる機器に接続される光コネクタ等に接続される。カーナビゲーションシステム92によっては、車体94のダッシュボードに形成された収容部96内に配設されるものもあり、この場合、カーナビゲーションシステム92と光ケーブル22の他方の接続先との間隔が小さくなる。また、このようなカーナビゲーションシステム92は、収容部96から退出させた状態で接続作業を行った後に収容部96内に配設される。すなわち、光ケーブル22を含む配線部20は、カーナビゲーションシステム92の収容部96に対する押し込み時に、小さい曲げ半径で曲げられる可能性が高い。
【0023】
コルゲートチューブ25は、光ケーブル22の小さい曲げ半径での曲げ動作を抑制するための部材である。コルゲートチューブ25は、周方向に沿った凸条の山部と凹条の谷部とが延在方向に交互に連続して設けられた筒状に形成された部材である。このコルゲートチューブ25は、合成樹脂材料(例えば、PP(ポリプロピレン)、PA(ポリアミド)等)を筒状に押出成型すると共にブロー成型或いはバキューム成型して製造される。また、コルゲートチューブ25は、光ケーブル22より高い剛性に設定されて形成されていることが好ましい。
【0024】
コルゲートチューブ25は、光ケーブル22のうち曲げて配索される部分の外周を覆うように設けられるとよい。より具体的には、コルゲートチューブ25は、光ケーブル22のうち光コネクタ30に対する接続端部(光ケーブル22の延在方向における光コネクタ30との境界部分)を含む範囲を覆っている。また、コルゲートチューブ25は、光コネクタ30と光ケーブル22との境界部分において、光コネクタ30及び光ケーブル22に対して非固定である(図4参照)。また、コルゲートチューブ25の光コネクタ30とは反対側の端部は、光ケーブル22の外周部に対して粘着テープ26を巻き付ける等して固定されている。
【0025】
光コネクタ30は、光ケーブル22の一方の端部が基端部に接続されると共に、上記カーナビゲーションシステム92等の車載機器又は相手光コネクタに接続される部材である(図2参照)。以下、光コネクタ30の一例として、雄コネクタを示す。この光コネクタ30は、先端部から基端部に向けて順に、接続部32と、大型部34と、小型部36とを有している。
【0026】
接続部32は、カーナビゲーションシステム92等の車載機器又は相手光コネクタに接続される部分である。接続部32に対して大型部34を挟んで基端側に位置する小型部36は、光コネクタ30の先端部と基端部とを結ぶ方向に直交する断面視において、大型部34より小さい断面形状に形成されている。また、光コネクタ30は、内部に光ケーブル22の一方の端部が配設されるキャビティ38を有し、該キャビティ38が小型部36の基端部で開口した形状に形成されている。
【0027】
ここでは、光コネクタ30には、2本の配線部20における光ケーブル22が接続され、これに対応して2つのキャビティ38が並列状に設けられている。なお、2本の光ケーブル22は、比較的狭い(ここでは3mm)間隔で光コネクタ30に接続されているため、本光コネクタ30に接続の光ケーブル22に対してブーツ取り付けを行うことは困難である。そして、光コネクタ30は、それぞれ異なる略直方体の接続部32、大型部34及び小型部36が連続して設けられ、2つのキャビティ38が隣合う方向に幅広な形状に形成されている。
【0028】
もっとも、光コネクタ30は、上記形状に限らず、他の形状を採用することも可能である。また、光コネクタ30に接続される光ケーブル22は、2本に限られず、1本でも3本以上の複数本でもよい。また、光コネクタ30は、雄コネクタに限らず、相手コネクタとしての雄コネクタを接続可能な雌コネクタであってもよい。
【0029】
曲げ規制部40は、光コネクタ30の基端部から延出する配線部20の曲げ動作を規制する部分であり、光コネクタ30の基端部を基点として曲げられる配線部20に当接可能な当接部42を有している(図4〜図6参照)。当接部42は、光コネクタ30の基端部より配線部20側の位置で、配線部20の外周部に対して間隔をあけて、配線部20の外周において少なくとも周方向一部に設けられている。この当接部42は、光コネクタ30から直線状に延出する状態の配線部20の外周において、該配線部20が曲げられる側に設けられていることが好ましい。ここでは、当接部42は、配線部20の外周を囲う環状に形成されている。すなわち、配線部20のどの方向の曲げ動作も規制することができる。
【0030】
また、当接部42の配線部20の外周部に対する間隔及び光コネクタ30の基端部からの距離は、配線部20が光コネクタ30の基端部を基点として曲げ動作される際に、過度な曲げ姿勢となる前の姿勢で配線部20の外周部に当接可能となるように設定されるとよい。少なくとも、当接部42は、光ケーブル22が最小許容曲げ半径より小さい曲げ半径で曲げられる前の姿勢で、配線部20に当接可能であるとよい。換言すると、当接部42は、光ケーブル22の最小許容曲げ半径と同じかそれより大きい曲げ半径の曲げ姿勢で配線部20に当接するような、配線部20の外周部に対する間隔及び光コネクタ30の基端部からの距離(例えば10mm以上)に設定されている。
【0031】
ここで、最小許容曲げ半径とは、曲げ半径が小さくなるのに伴って大きくなる光ファイバーの伝送損失及び破断確率が光ケーブル22の使用に耐え得ると想定される限界の曲げ半径として設定されるものである。より具体的には、伝送損失(曲げ損失)は、例えば、ある曲げ半径でn周巻かれた光ケーブル22に対して、ある波長Lの光信号を入射させたときの損失の度合い(dB)で評価される。また、破断確率は、例えば、ある曲げ半径でm周巻かれた光ケーブル22のt年後の破断する確率で評価される(例えば、加速試験が行われるとよい)。そして、最小許容曲げ半径は、伝送損失及び破断確率の両評価値が、実際の使用状況に応じて決定される基準を満たすように設定される。例えば、伝送損失が、ある曲げ半径rで100周巻かれた光ケーブル22に対して波長1550nmの光信号を入射させたときの損失の度合い(dB)で、破断確率が、ある曲げ半径rで50周巻かれた光ケーブル22の15年後の破断する確率で評価されるとよい。この場合、たとえば、最小許容曲げ半径は、伝送損失が0.5dB/100周以下で、且つ、破断確率が1.0×10−6以下となるような曲げ半径rとすることができる。なお、曲げ半径とは、光ケーブル22の中心軸の曲率半径のことを言うものとする。
【0032】
ここでは、曲げ規制部40は、光コネクタ30における基端側部分に外嵌して設けられた熱収縮チューブ41により形成されている。この曲げ規制部40は、全体として筒状を成し、当接部42を有する囲い部44と、外嵌部46とを有している。
【0033】
外嵌部46は、光コネクタ30の小型部36の外周部に沿った形状に形成され、該小型部36に外嵌された部分である。すなわち、外嵌部46は、略角筒状に形成されている。この外嵌部46は、その内周側で小型部36との間に介在する接着層48により、小型部36の外周部に接着されているとよい。この接着層48は、接着剤の塗布、両面粘着テープ等により形成されているとよい。
【0034】
囲い部44は、配線部20の光コネクタ30側部分の外周を囲う部分である。そして、囲い部44の端部が環状の当接部42である。この囲い部44は、2本の配線部20を内側に配設し、且つ、その2本の配線部20の外周部に対して周方向全体に亘って間隔をあけて設けられている。この囲い部44は、貫通方法に直交する断面視において、2本の配線部20が隣り合う方向に長尺な略楕円形(一対の弧状部分を一対の直線部分が結ぶ形状で、角を丸めた長方形に近い形状の場合もある)を成している(図1参照)。
【0035】
また、曲げ規制部40は、囲い部44が弾性変形可能であってもよい。但し、配線部20の光コネクタ30の基端部を基点とした曲げ動作を規制可能、すなわち、少なくともコルゲートチューブ25より高い剛性に設定されていることが好ましい。さらに、この曲げ規制部40は、光コネクタ30の基端部を基点とした配線部20の曲げ動作において、光ケーブル22が最小許容曲げ半径より小さい曲げ半径で曲げられることを阻止可能な高い剛性であることも重要である。
【0036】
上記曲げ規制部40は、以下のようにして形成される。まず、光コネクタ30の小型部36の外周部に接着層48を形成する(図7参照)。ここで、熱収縮チューブ41の内周部ではなく、小型部36の外周部に接着層48を形成することにより、熱収縮チューブ41の取り付け位置配設作業の際に、接着層48が光コネクタ30の外面にくっつくことを防止して作業性を向上させることができる。そして、熱収縮前の熱収縮チューブ41を、光コネクタ30と配線部20との境界部分を覆う位置に配設する(図7、図8参照)。より具体的には、熱収縮チューブ41は、一方の端部が小型部36の外周に位置して、接着層48を囲う位置に配設されるとよい。
【0037】
次に、熱収縮チューブ41を熱収縮させる(図8、図9参照)。熱収縮作業は、熱風を当てることにより行うことができる。これにより、熱収縮チューブ41のうち小型部36の外周に位置する部位は、小型部36の外周部に沿う形状に変形する。この際、熱収縮した熱収縮チューブ41は、小型部36に対して接着層48により接着される。また、熱収縮チューブ41のうち配線部20の外周に位置する部位は、小型部36の外周に位置する部位より小さく熱収縮され、隣接する小型部36の外周部に似た形状に変形する。
【0038】
ここで、熱収縮チューブ41を、配線部20の外周部に間隔をあけた形状に形成するための2つの方法について説明する。1つ目は、熱収縮チューブ41を選定する方法である。すなわち、熱収縮チューブ41として、光コネクタ30を挿通可能な形状及び大きさで、且つ、熱収縮後の形態で小型部36の外部形状より小さくなると共に光コネクタ30の基端部から延出する配線部20の外周部に対して間隔をあけた大きさとなる収縮率のものを選定するとよい。2つ目は、熱収縮時の収縮態様を加熱温度及び加熱時間等を調節する方法である。なお、2つ目の方法においても、熱収縮チューブ41としても、光コネクタ30を挿通可能な形状及び大きさで、且つ、熱収縮後の形態で小型部36の外部形状より小さくなる収縮率のものを選定するとよい。
【0039】
光ケーブルのコネクタ端末構造部10において、配線部20に光コネクタ30の基端部を基点とする曲げが生じると、配線部20は、曲げ規制部40の囲い部44の内側で当接部42に当接する姿勢まで曲げられる。この状態で、当接部42に当接する姿勢まで曲げられた配線部20は、この曲げ姿勢以上に光コネクタ30の基端部を基点として曲げられることを規制される。そして、配線部20が上記曲げ姿勢からさらに曲げられる際には、当接部42より先の部分で曲げられる。すなわち、配線部20の光コネクタ30の基端部を基点とした曲げ量は曲げ規制された範囲に留まって、曲げ規制部40がない場合に配線部20における光コネクタ30側の根元部分に集中する曲げ応力が他の部分に分散される。もっとも、曲げ規制部40が弾性変形可能な部材で形成されている場合には、弾性変形の範囲で曲げ変形され得る。
【0040】
また、配線部20が曲げられる際には、曲げ形態の外周側では、コルゲートチューブ25に伸びが生じる。そして、伸びが生じた状態でコルゲートチューブ25に大きな曲げ応力が作用すると、伸びが生じていない状態で曲げ応力が作用する場合よりコルゲートチューブ25に折れが生じ易い。ここでは、コルゲートチューブ25が光コネクタ30側の端部が固定されていないことにより、曲げ動作に伴って該端部が光ケーブル22に対して延在方向に移動して伸びが抑制されるように構成されている。
【0041】
上記構成に係る光ケーブルのコネクタ端末構造部10によると、曲げ規制部40が、光コネクタ30の基端部より配線部20側の位置で、配線部20の外周部に対して間隔をあけて、配線部20の外周において少なくとも周方向一部に設けられた当接部42を有するため、配線部20が曲げられる際に、曲げられた配線部20に当接部42が当接して曲げ動作を規制でき、配線部20の光コネクタ30の基端部を基点とする過度な曲げを抑制することができる。これにより、より狭いスペースでも光ケーブル22の光コネクタ30端末における曲げ規制を可能にすることができる。
【0042】
また、当接部42が、配線部20の外周を覆う環状に形成されているため、配線部20のどの方向の曲げについても規制することができる。
【0043】
また、曲げ規制部40が、光コネクタ30における基端側部分に外嵌して設けられた熱収縮チューブ41により形成されているため、光コネクタ30に対して光ケーブル22が接続された後からでも、光コネクタ30を挿通させて取り付け位置で熱収縮させることにより、曲げ規制部40を形成することができ、組立作業性に優れる。
【0044】
また、配線部20が光ケーブル22の外周を覆うコルゲートチューブ25を有しているため、光コネクタ30から延出する光ケーブル22の根元より先の部分においても、曲げ規制を行うことができる。
【0045】
また、配線部20のコルゲートチューブ25が、光コネクタ30と光ケーブル22の境界部分において、光コネクタ30及び光ケーブル22に対して非固定であるため、配線部20の曲げ動作によるコルゲートチューブ25にかかる負荷を軽減して折れ等を抑制することができる。また、光コネクタ30においてコルゲートチューブ25を固定する構成を省略でき、その分の配線部20の曲げスペースを大きく確保することができる。
【0046】
また、後付け可能な熱収縮チューブ41を用いて曲げ規制部40を形成すると共に、コルゲートチューブ25を他端部で固定することによって光コネクタ30におけるコルゲートチューブ25固定用の構成を省略しつつ光ケーブル22を光ケーブル22のうち曲げ規制したい部分に保持しているため、既存の光コネクタを利用して光ケーブル22の光コネクタ30接続端部における曲げ規制を行うことができる。これにより、新たな光コネクタの設計、製造装置の新設(成型金型等)を省略することができ、費用及び工数の低減を図ることができる。
【0047】
これまで、曲げ規制部40が熱収縮チューブ41により形成される例で説明してきたが、これに限られるものではなく、当接部42が光コネクタ30の基端部より光ケーブル22側の位置で、配線部20の外周部に対して間隔をあけて、配線部20の外周において少なくとも周方向一部に設けられていればよい。例えば、曲げ規制部は、光コネクタ30の基端部の外周部がわらに基端側に延設されて構成されていてもよい。また、曲げ規制部は、配線部20の外周における周方向一部分のみに、曲げられる配線部20に当接可能な当接部が設けられた構成であってもよい。
【0048】
また、配線部20において、コルゲートチューブ25以外の曲げ規制用の部材が光ケーブル22に装着されてもよいし、コルゲートチューブ25が省略されてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 コネクタ端末構造部
20 配線部
22 光ケーブル
25 コルゲートチューブ
30 光コネクタ
40 曲げ規制部
41 熱収縮チューブ
42 当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ケーブルを含む配線部と、
前記光ケーブルの一方の端部が基端部に接続される光コネクタと、
前記光コネクタの基端部より前記配線部側の位置で、前記配線部の外周部に対して間隔をあけて、前記配線部の外周において少なくとも周方向一部に設けられた当接部を有する曲げ規制部と、
を備える、光ケーブルのコネクタ端末構造部。
【請求項2】
請求項1に記載の光ケーブルのコネクタ端末構造部であって、
前記当接部は、前記配線部の外周を囲う環状に形成されている、光ケーブルのコネクタ端末構造部。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の光ケーブルのコネクタ端末構造部であって、
前記曲げ規制部は、前記光コネクタにおける基端側部分に外嵌して設けられた熱収縮チューブにより形成されている、光ケーブルのコネクタ端末構造部。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の光ケーブルのコネクタ端末構造部であって、
前記配線部は、前記光ケーブルの外周を覆うコルゲートチューブを有している、光ケーブルのコネクタ端末構造部。
【請求項5】
請求項4に記載の光ケーブルのコネクタ端末構造部であって、
前記コルゲートチューブは、前記光コネクタと前記光ケーブルとの境界部分において、前記光コネクタ及び前記光ケーブルに対して非固定である、光ケーブルのコネクタ端末構造部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−57860(P2013−57860A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196997(P2011−196997)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】