説明

光コネクタおよび光コネクタの組立方法

【課題】光コネクタに挿入する挿入光ファイバの被覆除去を容易に実現する技術の開発。
【解決手段】挿入光ファイバを挟み込むベース部材51及び開放ガイド50と、挿入光ファイバの先端部の被覆を除去する被覆除去部と、被覆の除去された裸光ファイバとフェルールの内蔵光ファイバとの突き合わせ部分を把持固定可能なクランプ部とを備えた光コネクタ。ベース部材51に、開放ガイド50をベース部材51に対して移動させた際に開放ガイド50が当接する当接突起52が形成されている。前記裸光ファイバと内蔵光ファイバとが突き合わされた状態で、開放ガイド50を前方に移動させ当接突起52に乗り上げさせてベース部材51上に空間53を形成し、この空間53で挿入光ファイバをたわみ変形させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェルールに内蔵した内蔵光ファイバの後端に光ファイバを突き合わせ接続して、前記光ファイバに組み立てられる現場組立形の光コネクタおよび光コネクタの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ心線を突き合わせ接続する作業においては、心線先端部の被覆を除去して裸光ファイバを露出させ、裸光ファイバ同士を突き合わせ接続することが広く行われている。また、近年、例えば非特許文献1に示すような外観がテーパ筒状で極小の被覆除去部を光コネクタの内部に搭載して、光コネクタ自体に光ファイバ心線の被覆除去機能を持たせる技術の検討が進められている。
【0003】
光コネクタとしては、予めフェルールに内挿固定した短尺の光ファイバ(以下単に「内蔵光ファイバ」という場合がある)を、外部から挿入される光ファイバ(以下単に「挿入光ファイバ」という場合がある)と突き合わせ接続した状態を保持するため、両光ファイバの突き合わせ端部同士を半割り部材の間に挟みこんで固定するクランプ部を、フェルール後方に設けたものも知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−208220号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】小山良、中島和秀、高谷雅昭、倉嶋利雄、“被覆付き光ファイバ心線の突合せ接続に関する考察”、2009年電子情報通信学会通信ソサエティ大会、B−13−8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、被覆除去部による挿入光ファイバの被覆除去を容易に実現できる光コネクタおよび光コネクタの組立方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
本発明は、内蔵ファイバを内蔵したフェルールと、互いの対向面のそれぞれに、前記内蔵ファイバと突き合わせる挿入光ファイバを案内する案内部を有し、これらの案内部どうしの間にたわみを規制しつつ前後方向に移動可能に挿入光ファイバを挟み込むベース部材及び開放ガイドと、前記ベース部材及び開放ガイドの前方に配され、前記ベース部材及び開放ガイドの案内部どうしの間に挟みこまれて前進してきた前記挿入光ファイバの被覆を除去する被覆除去部と、前記被覆除去部によって被覆の除去された裸光ファイバと前記内蔵光ファイバとの突き合わせ部分を把持固定可能なクランプ部とを備え、前記開放ガイドは、前後方向に移動可能であり、前記ベース部材の前記対向面に、前記開放ガイドを前方に移動させた際に前記開放ガイドが当接する当接突起を形成し、前記裸光ファイバと前記内蔵光ファイバとが突き合わされた状態で、前記開放ガイドを前方に移動させ前記当接突起に乗り上げさせて、前記ベース部材の案内部上に空間を形成し、前記挿入光ファイバを前記空間でたわみ変形させることができ、その状態で、前記クランプ部で前記裸光ファイバと前記内蔵光ファイバの突き合わせ部分を把持固定可能である光コネクタを提供する。
前記当接突起は、前方に向かうほど徐々に前記対向面からの高さを増す傾斜面である押上げ面を有することが好ましい。
本発明の光コネクタは、前記開放ガイドに、前記押上げ面に当接して、前記開放ガイドの前方への移動によって前記開放ガイドを前記ベース部材から離れる方向に導く当接面を有することが好ましい。
前記当接突起は、前記ベース部材の対向面に、前記案内部の両側にそれぞれ形成されていることが好ましい。
本発明の光コネクタは、前記開放ガイドが、前記ベース部材を包囲して、前記被覆除去部による被覆除去中に前記ベース部材の案内部上に空間を形成することのないように前記ベース部材を押さえ込むアーチ状の押さえ込み部を有し、前記ベース部材の外面には、前記押さえ込み部を収容可能な溝部が形成され、前記押さえ込み部は、前記開放ガイドを前記空間が形成されるように移動させる際に、前記溝部に挿入されて前記押さえ込みを解除可能であることが好ましい。
本発明の光コネクタは、前記ベース部材が、前記開放ガイドを包囲して、前記被覆除去部による被覆除去中に前記ベース部材の案内部上に空間を形成することのないように前記開放ガイドを押さえ込むアーチ状の押さえ込み部を有し、前記開放ガイドの外面には、前記押さえ込み部を収容可能な溝部が形成され、前記押さえ込み部は、前記開放ガイドを前記空間が形成されるように移動させる際に、前記溝部に挿入されて前記押さえ込みを解除可能であることが好ましい。
本発明の光コネクタは、前記挿入光ファイバが、光ファイバ把持部により把持され、前記光ファイバ把持部の前進に基づき、前記開放ガイドを前方に移動させる構成が好ましい。
本発明は、挿入光ファイバの先端部を、互いの対向面のそれぞれに案内部を有するベース部材及び開放ガイドの前記案内部どうしの間に挟み込んで、たわみを規制しつつ前進させ、前記挿入光ファイバの被覆を前記ベース部材及び開放ガイドの前方に配された被覆除去部で除去し、前記被覆除去部によって前記被覆の除去された裸光ファイバが、フェルールに内蔵された内蔵ファイバと突き合わせられた状態で、前記開放ガイドを前方に移動させ、前記ベース部材の前記対向面に形成された当接突起に乗り上げさせて前記ベース部材の案内部上に空間を形成し、前記空間で前記挿入光ファイバをたわみ変形させ、その状態で、前記クランプ部で前記裸光ファイバと前記内蔵光ファイバの突き合わせ部分を把持固定する光コネクタの組立方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、裸光ファイバを口出ししていない被覆付き光ファイバを、ベース部材と開放ガイドとの間にその後方から挿入し、被覆除去部に向かって前進させるだけで、挿入光ファイバとして用いた被覆付き光ファイバ先端部の裸光ファイバの口出し、及びこの裸光ファイバの内蔵光ファイバ後端に対する突き合わせ接続を簡単に実現できる。
したがって、挿入光ファイバ先端部に光コネクタを組み立てる作業において、光コネクタに挿入する被覆付き光ファイバ先端部の被覆を除去して裸光ファイバを予め口出しする必要が無く、光コネクタの組み立てを簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の光コネクタの一例を示す斜視図である。
【図2】図1の光コネクタの分解斜視図である。
【図3】図1のコネクタ本体の要部を示す断面図である。
【図4】図1の光コネクタのコネクタ本体の分解斜視図である。
【図5】図1の光コネクタのコネクタ本体の分解斜視図であり、図4とは別の方向から示したものである。
【図6】被覆除去部材の一例を示す(a)斜視図、(b)平面図、(c)断面図である。
【図7】光コネクタの組み立てに使用される組立部材の一例を示す斜視図である。
【図8】図1の光コネクタを示す断面図である。
【図9】図1の光コネクタを示す断面図である。
【図10】(a)、(b)は、図1の光コネクタの拘束部付き可動ガイドを示す斜視図である。
【図11】(a)、(b)は、図1の光コネクタの後側ハウジング及び引き留めカバーを示す斜視図である。
【図12】図1の光コネクタの後側ハウジング後端部の押圧部材受け部と拘束部付き可動ガイド後端部の可動ガイドとの関係を示す図であって、コネクタ後側から見た断面図である。
【図13】図1の光コネクタの拘束部付き可動ガイドを示す側面図である。
【図14】図1の光コネクタの組立中の状態を示す断面図である。
【図15】図1の光コネクタの組立中の状態を示す断面図である。
【図16】(a)は図15のA−A線に沿う断面図、(b)は図15のB−B線に沿う断面図である。
【図17】図14のC−C線に沿う断面図である。
【図18】図1の光コネクタの組立中の状態を示す断面図である。
【図19】図1の光コネクタの組立中の状態を示す断面図である。
【図20】図19のD−D線に沿う断面図である。
【図21】図1の光コネクタの組立中の状態を示す断面図である。
【図22】図21のE−E線に沿う断面図である。
【図23】図1の光コネクタの組立後の状態を示す断面図である。
【図24】図1の光コネクタの組立後の状態を示す断面図である。
【図25】図1の光コネクタのハウジングの周面に開口する連通孔及び窓を示す図である。
【図26】図1の光コネクタの組み立てに使用可能な光ファイバ把持部(押圧用固定部材、外被把持部材)の一例を示す斜視図である。
【図27】図26の光ファイバ把持部の構造を示す図であって、把持ベースに対して押さえ蓋を開放した状態を示す斜視図である。
【図28】(a)〜(e)は、本発明の光コネクタの概要を説明する断面図である。
【図29】(a)〜(d)は、開放ガイドの動作を模式的に説明する側面図である。
【図30】(a)〜(d)は、開放ガイドの動作を模式的に説明する断面図である。
【図31】本発明の光コネクタの第2の例の後部ガイド部を示す斜視図である。
【図32】前図の後部ガイド部の要部を拡大した斜視図である。
【図33】図31の光コネクタの後部ガイド部を示す斜視図である。
【図34】前図の後部ガイド部の要部を拡大した斜視図である。
【図35】図31の光コネクタの全体斜視図である。
【図36】(a)〜(c)は、本発明の光コネクタの第3の例の後部ガイド部の動作を模式的に説明する斜視図である。
【図37】(a)〜(c)は、後部ガイド部の動作を模式的に説明する下面図である。
【図38】(a)、(b)は、後部ガイド部の動作を模式的に説明する断面図である。
【図39】後部ガイド部の他の例を模式的に示す下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
まず、図28(a)〜(d)を参照して本発明に係る第1実施例の概要を説明し、その後、図1〜27を参照してより詳細な実施例を説明する。
なお、図28(a)〜(d)において、左側を前、右側を後として説明する。
【0011】
まず、図28(a)〜(d)に示す実施例の組立方法を用いる光コネクタ100について説明する。
前記光コネクタ100は、光ファイバ12が内挿固定されたフェルール10を有している。フェルール10に内挿固定された光ファイバ12を、以下、内蔵光ファイバとも言う。
前記光コネクタ100は、前記フェルール10先端(前端)の突き合わせ接合用の接合端面11とは反対の後側に、単心の光ファイバ心線、光ファイバ素線といった被覆付き光ファイバ1の被覆2を除去する被覆除去部材30を有する。前記被覆除去部材30は、被覆付き光ファイバ1の被覆2を除去する被覆除去部31(被覆除去刃)を有する。また、被覆除去部材30は、フェルール10の後端部から後側へ延出する後側延出片27に固定して、フェルール10後端から後側に離隔させて設けられている。
また、この光コネクタ1は、フェルール10の後側に、前記被覆除去部材30により被覆2が除去された裸光ファイバ3を内蔵光ファイバ12後端に突き合わせた突き合わせ接続部(図28(c)、(d)の符号P。突き合わせ部分。以下、単に接続部とも言う)を把持固定するためのクランプ部20を有する。
【0012】
前記内蔵光ファイバ12は、フェルール10を貫通する微細孔10aに内挿固定されており、その先端(前端)の端面を、前記フェルール10の接合端面11に揃えて設けられている。前記微細孔10aは、真っ直ぐな中心軸線を以てフェルール10を前後方向に貫設する貫通孔である。また、前記内蔵光ファイバ12は、フェルール10後端から後側に突出する後側突出部12aを有している。内蔵光ファイバ12は、その後端(後側突出部12a後端)が被覆除去部材30よりも前側、すなわちフェルール10と被覆除去部材30との間に位置する短尺の光ファイバ(ここでは裸光ファイバ)である。この内蔵光ファイバ12は、前記後側突出部12aから前側の部分をフェルール10の微細孔10aに内挿固定して設けられている。
【0013】
前記クランプ部20は、前記後側延出片27と、この後側延出片27にコネクタ前後方向に延在形成された溝25、26に対向して配置された蓋部材22、23と、この蓋部材22、23を後側延出片27に向かって閉じる方向に付勢するクランプばね24とを有する。
クランプばね24としては、特に限定は無いが、例えば図2、図4に示すようなスリーブ状のものを採用できる。スリーブ状のクランプばね24としては、例えば、その断面形状(中心軸線に垂直の断面形状)がC字形のもの(図2、図4参照)であるが、これに限定されず、断面形状がコ字形のもの等も採用できる。本実施例のクランプ部20は、1つのクランプばね24の内側に、後側延出片27と、コネクタ前後方向に配列設置した2つの蓋部材22、23とを収納した構成となっている。
【0014】
前記クランプ部20は、フェルール10と被覆除去部材30との間に配置された蓋部材22(第2蓋部材。以下、前蓋部材とも言う)と後側延出片27との間に、裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との接続部Pを把持固定する第1クランプ部を有する。また、このクランプ部20は、被覆除去部材30の後側に配置された蓋部材23(以下、後蓋部材とも言う)と後側延出片27との間に被覆付き光ファイバ1(被覆2が除去されていない部分。被覆部)を把持固定する第2クランプ部を有する。
後側延出片27と蓋部材22,23との間には、被覆付き光ファイバ1やその裸光ファイバ3を挿入する隙間22a,23aを確保する介挿部材(図示略)が抜き去り可能に介挿されている。
なお、光コネクタとしては、互いに別体のクランプばねを用いて第1クランプ部(クランプ部)、第2クランプ部をそれぞれ組み立てた構成も採用可能である。
【0015】
前記光コネクタ100は、前記後側延出片27の後側に、前記被覆付き光ファイバ1を挿通可能な貫通孔63が形成された可動ガイド62を有している。この可動ガイド62は、例えば前記後側延出片27を案内部材として、前記後側延出片27から後側に離隔した初期位置からフェルール10に向かって前進可能に設けられている。なお、前記可動ガイド62の前記初期位置からの前進動を案内する案内部材としては前記後側延出片27に限定されず、例えば、不図示のハウジングに設けられた案内部材などを用いても良い。
【0016】
前記後側延出片27は、前記後蓋部材23に対向する部分から後側に延在する案内ベース部51(ベース部材)を有している。また、後側延出片27の前記案内ベース部51から前側の部分21を、以下、クランプベース部とも言う。このクランプベース部21は、クランプ部20の前蓋部材22との間に、被覆除去部材30によって被覆付き光ファイバ1先端部の被覆の除去された裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との接続部Pを把持固定するベース部材として機能する。案内ベース部51は、軸線方向が前後方向に沿う略半円柱状に形成することができる。
【0017】
前記後側延出片27の前記被覆除去部材30から後側に延出する部分(以下、後側片部とも言う)には、前記可動ガイド62の貫通孔63を介して被覆付き光ファイバ1が挿入されるファイバ収容溝26(以下、単に収容溝とも言う)が、コネクタ前後方向に延在形成されている。収容溝26としては、特に限定されるものではないが、本実施例では、単心の被覆付き光ファイバ1を後述する被覆除去部材30の被覆除去部31の裸光ファイバ挿通孔33と同軸上に位置決めすることに鑑みて、例えばU溝、半円溝、V溝などを採用できる。
収容溝26は、略半円柱状の案内ベース部51の軸線方向に沿って形成することができる。
また、可動ガイド62の貫通孔63を介して前記収容溝26に挿入する被覆付き光ファイバ1を、以下、挿入光ファイバとも言う。
【0018】
前記光コネクタ100は、前記案内ベース部51に形成されている前記収容溝26に対向して配置されたガイド部材50を有している。互いに重ね合わされた案内ベース部51及びガイド部材50は、案内ベース部51後側から前記収容溝26に挿入されて被覆除去部31に向かって前進される挿入光ファイバ1の先端部を案内する案内構造(後部ガイド部110)を形成する。前記ガイド部材50は、ガイド部材50に重ね合わせて設けられ、可動ガイド62の貫通孔63から前記収容溝26に挿入されてフェルール10に向かって前進する挿入光ファイバ1を前記収容溝26に押さえ込んで、該挿入光ファイバ1のたわみ変形を規制する。
【0019】
この光コネクタにおいて、前記ガイド部材50は、後述のように、被覆除去部31への押圧によって被覆除去した裸光ファイバ3先端を、内蔵光ファイバ12後端に突き合わせ接続した後に、挿入光ファイバ1を収容溝26に押さえ込んでたわみ変形を規制する閉じ位置から挿入光ファイバ1のたわみ変形を許可する位置に退避される(図28(d)参照)。つまり、前記ガイド部材50は、裸光ファイバ3先端の内蔵光ファイバ12後端に対する突き当て後に、前記閉じ位置から、案内ベース部51の収容溝26から浮き上がるように湾曲変形(たわみ変形)可能な空間を形成する位置(以下、開放位置とも言う)に移動される。前記ガイド部材50を、以下、開放ガイドとも言う。
【0020】
但し、閉じ位置にある開放ガイド50は、挿入光ファイバ1をファイバ収容溝26に強く押し付けて案内ベース部51に固定するのではなく、挿入光ファイバ1の案内ベース部51に対するコネクタ前後方向への円滑な相対移動を可能として押さえ込むものである。
開放ガイド50(本体部50A)は、略半円柱状に形成され、その軸線方向は案内ベース部51の軸線方向に一致していることが好ましい。
また、開放ガイド50は、挿入光ファイバ1をファイバ収容溝26に押さえ込むことで、挿入光ファイバ1を、被覆除去部31を貫通する裸光ファイバ挿通孔33の中心軸線上に位置決めする機能を果たす。
【0021】
挿入光ファイバ1は、開放ガイド50と収容溝26溝底との間隔方向において開放ガイド50と収容溝26内面との間に確保されたファイバ収容領域FSに、可動ガイド62の貫通孔63を介して挿入される。
図28(a)に示すように、図示例の開放ガイド50の、収容溝26に対向する部分には、収容溝26に沿って延在する延在凹所50aが形成されている。本実施例の光コネクタ100のファイバ収容領域FSは、後側延出片27の収容溝26(ベース部材の案内部)と前記開放ガイド50の延在凹所50a(開放ガイドの案内部)とによって構成されている。
延在凹所50aは、略半円柱状の開放ガイド50の軸線方向に沿って形成することができる。
【0022】
次に、図示例の被覆除去部材30について説明する。
本実施例の被覆除去部材30の被覆除去部31は、その後側から挿入光ファイバ1が押圧されることで、挿入光ファイバ1の被覆2を除去して裸光ファイバ3を口出しする被覆除去刃である。以下、この被覆除去部31を被覆除去刃とも言う。
図28(a)〜(d)に例示した被覆除去刃31は、裸光ファイバ挿通孔33が貫通する筒状に形成され、該裸光ファイバ挿通孔33の後端開口の縁が刃先とされた環状刃部31aである。図28(a)〜(d)に例示した環状刃部31a(被覆除去部31)は、その前端側から後側に行くに従って先細りのテーパ筒状に形成されている。
図28(c)に示すように、この光コネクタ100は、収容溝26にその後側から挿入した挿入光ファイバ1の先端を環状刃部31a後端に押圧し、前記挿入光ファイバ1をフェルール10に向かって前進させることで、環状刃部31aによって挿入光ファイバ1の被覆2を除去できる。被覆除去部材30は、挿入光ファイバ1の前進によって被覆除去が進行するに伴い、被覆除去によって挿入光ファイバ1先端に口出しされた裸光ファイバ3が裸光ファイバ挿通孔33に挿入されていく構成となっている。環状刃部31aは、挿入光ファイバ1の裸光ファイバ3の周囲の被覆2を裸光ファイバ3から該環状刃部31aの外周へ分離させる。
【0023】
また、図示例の被覆除去部材30は、その前後方向中央部に、該被覆除去部材30を前後方向に直交する方向に貫通する窓孔32(図28(a)参照)を有している。前記環状刃部31aは、被覆除去部材30の前記窓孔32から前側の壁部から窓孔32内に突設されたテーパ筒状の突部である。また、図示例の被覆除去部材30は、前記窓孔32から後側の壁部を貫通して該被覆除去部材30の後端に開口する被覆付き光ファイバ挿通孔34を有している。この被覆付き光ファイバ挿通孔34は前記裸光ファイバ挿通孔33と同軸上に形成されている。被覆付き光ファイバ挿通孔34の前端は環状刃部31a後端から若干後側に位置している。コネクタ前後方向における被覆付き光ファイバ挿通孔34前端と被覆除去刃31との間の離隔距離は、被覆除去中に環状刃部31a後端(刃先)に押圧される挿入光ファイバ1の直進性維持の点では、出来るだけ小さくすることが好ましい。また、被覆付き光ファイバ挿通孔34の後端は、後側延出片27の収容溝26に対して、該収容溝26から挿入光ファイバ1を挿入可能に位置決めされている。
【0024】
被覆付き光ファイバ挿通孔34は、その断面(被覆付き光ファイバ挿通孔34の中心軸線に垂直の断面)が、挿入光ファイバ1の断面(挿入光ファイバ1の長手方向に垂直の断面)と概ね一致している。この被覆付き光ファイバ挿通孔34は、挿入光ファイバ1を裸光ファイバ挿通孔33と同軸上に位置決めし、被覆除去のために環状刃部31a後端に向かって押圧した挿入光ファイバ1の座屈を防ぎ、除去ムラの発生を防止するとともに、円滑な被覆除去の実現に有効に寄与する。
また、この光コネクタ100は、開放ガイド50が挿入光ファイバ1の被覆除去中のたわみ変形を規制するため、被覆除去部31後端に対する挿入光ファイバ1の押圧による被覆除去作業を安定に行える。
【0025】
図28(d)に示すように、この光コネクタ100は、可動ガイド62を前記初期位置から前進限界位置(例えば後側延出片27後端に当接する位置)まで前進させることで、開放ガイド50が、挿入光ファイバ1を収容溝26に押さえ込んでたわみ変形を規制する閉じ位置から、光コネクタ内に挿入光ファイバ1のたわみ変形を許可する空間を形成する位置に退避(移動)する。この光コネクタ100は、可動ガイド62を初期位置から前進限界位置に前進させることで、可動ガイド62から作用する押圧力によって、開放ガイド50を前記閉じ位置から案内ベース部51に対する開放位置に退避(移動)させる蓋部材移動機構を有している。
【0026】
蓋部材移動機構は、例えば図4、図5、図18に示したように、開放ガイド50がスライド移動する案内ベース部51のスライド面51a(図4参照)に、開放ガイド50が当接する当接突起52が形成され、開放ガイド50に、当接突起52を収容する収容凹部54が形成された構成とされている。
図4、図5、図18に例示した蓋部材移動機構では、可動ガイド62によって後側から押圧された開放ガイド50が、当接突起52によって前記閉じ位置から上昇してベース部材51から離れ、案内ベース部51の収容溝26上に挿入光ファイバ1のたわみ変形を許可する空間が形成される。
【0027】
図28(a)〜(d)は、後述のように可動ガイド62をその後側から押圧して前進させる押圧用固定部材120(光ファイバ把持部)を先端部近傍に固定した挿入光ファイバ1を用い、この挿入光ファイバ1の先端部に光コネクタ100を組み立てる、光コネクタの組立方法を例示している。本実施例は、より具体的には、挿入光ファイバ1と、可撓性を有する線状の抗張力体(図示略)とを互いに並行になるように合成樹脂製の外被6によって一括被覆した光ファイバケーブル5の端末に、光コネクタ100を組み立てる場合を示す。
【0028】
ここでは、前記押圧用固定部材120として、光ファイバケーブル5端末をその両側から把持して光ファイバケーブル5端末に固定される外被把持形のものを用いている。すなわち、この押圧用固定部材120は、光ファイバケーブル5の外被を除去した挿入光ファイバ1(被覆付き光ファイバ1)の被覆を把持する光ファイバ把持部としてだけでなく、光ファイバケーブル5の外被6を把持する外被把持部としても機能するものである。
光ファイバケーブル5端末には、光ファイバケーブル5先端の外被6を除去して露出させた(口出しした)挿入光ファイバ1が突出されている。挿入光ファイバ1は、光ファイバケーブル5端末に固定されている前記押圧用固定部材120から突出されている。
【0029】
光ファイバケーブル5の端末に光コネクタ100を組み立てるには、前記挿入光ファイバ1の前記押圧用固定部材120から突出させた部分(突出部)を、光コネクタ100の後側から、可動ガイド62の貫通孔63を介して後部ガイド部110のファイバ収容領域FSに挿入し、フェルール10に向かって押し込んでいく。
このとき、挿入光ファイバ1は、突出部先端の被覆除去による裸光ファイバ3の口出しを行うことなく、突出部全長が被覆2によって覆われた被覆付き光ファイバの状態のまま、可動ガイド62の貫通孔63から挿入されていく。
【0030】
図28(b)は挿入光ファイバ1先端を環状刃部31a後端に当接させた状態を示す。
図28(b)に示すように、光コネクタ100の可動ガイド62は、収容溝26後端(より具体的にはファイバ収容領域FS後端)から後側に挿入光ファイバ1が被覆除去中に座屈しない距離L1で離隔する初期位置から前進可能とされている。収容溝26、ファイバ収容領域FSの後端とは、後部ガイド部110後面から先細りのテーパ状に窪むテーパ状凹部111の前端(奥端)を意味する。
【0031】
押圧用固定部材120の挿入光ファイバ1に対する固定位置は、図28(b)に示すように、挿入光ファイバ1先端が環状刃部31a後端に当接したときに、可動ガイド62の貫通孔63後端から後側へ、挿入光ファイバ1が被覆除去中に座屈しない距離L2で離隔した位置とする。可動ガイド62の貫通孔63後端とは、可動ガイド62の後面から先細りのテーパ状に窪むテーパ状凹部64の前端(奥端)を意味する。
なお、距離L1および距離L2は、いずれも、挿入光ファイバ1の後述するたわみ幅になることから、2.5mm以下あるいは2.1mm以下とする必要がある。
【0032】
可動ガイド62の貫通孔63は、挿入光ファイバ1を、被覆除去部材30の被覆除去刃31の裸光ファイバ挿通孔33と同軸上に位置決めして、可動ガイド62後側から後部ガイド部110の収容溝26(より具体的にはファイバ収容領域FS)への挿入光ファイバ1の挿入を円滑にする案内部として機能する。
【0033】
図28(b)、(c)に示すように、挿入光ファイバ1の突出部を光コネクタ100のファイバ収容領域FSに挿入し、押圧用固定部材120を光コネクタ100のフェルール10に向かって前進させると、被覆除去部31の環状刃部31a後端に当接した挿入光ファイバ1の前進に伴い、前記環状刃部31aによって挿入光ファイバ1先端の被覆2が除去される。その結果、挿入光ファイバ1先端に被覆2が除去された裸光ファイバ3が口出しされていく。
挿入光ファイバ1先端に口出しされて被覆除去部材30の裸光ファイバ挿通孔34に挿入された裸光ファイバ3は、被覆除去の進行に伴い被覆除去部材30から前側に突出され、クランプベース部21の被覆除去部材30前側に位置する部分に形成された調心溝25に挿入される。調心溝25に挿入された裸光ファイバ3は、調心溝25によって内蔵光ファイバ12後端に対して突き合わせ接続可能に位置決め、調心される。調心溝25としては例えばV溝であるが、これに限定されずU溝、半円溝なども採用可能である。
【0034】
図28(c)、(d)に示すように、押圧用固定部材120は、前進によって可動ガイド62に当接し、可動ガイド62をその後側から押圧しながら可動ガイド62がその前進限界位置(図示例では案内ベース部51後端に当接する位置)に到達(図28(d)参照)するまで前進させる。
挿入光ファイバ1の突出部の押圧用固定部材120からの突出長は、内蔵光ファイバ12後端から、前進限界位置に位置する可動ガイド62に当接する押圧用固定部材120までの離隔距離よりも若干長く設定する。したがって、図28(c)に示すように、押圧用固定部材120によって後側から押圧されながら前進する可動ガイド62が前進限界位置に達する前に、被覆除去部31によって被覆2が除去された裸光ファイバ3の内蔵光ファイバ12後端に対する突き合わせ接続が達成される。挿入光ファイバ1先端の裸光ファイバ3が内蔵光ファイバ12に突き当たると、内蔵光ファイバ12によって裸光ファイバ3の前進が規制され、被覆除去部31による挿入光ファイバ1の被覆除去が停止(完了)する。
【0035】
そして、図28(d)に示すように、挿入光ファイバ1先端の裸光ファイバ3の内蔵光ファイバ12後端に対する突き当ての達成後、押圧用固定部材120によって押圧された可動ガイド62のさらなる前進によって、開放ガイド50が案内ベース部51に対して開放して挿入光ファイバ1のたわみ変形を許可する。開放ガイド50の案内ベース部51に対する開放(開放位置への移動)は、挿入光ファイバ1先端の裸光ファイバ3の内蔵光ファイバ12後端に対する突き当ての達成後、可動ガイド62が前進限界位置に達する前、あるいは前進限界位置に達したときに実現される。閉じ位置から移動した開放ガイド50が開放位置に達すると、挿入光ファイバ1に、収容溝26から浮き上がるようにたわみ変形4が生じる。なお、図28(d)中、挿入光ファイバ1のたわみ変形した部分(たわみ部)に符号4を付記している。
【0036】
次いで、可動ガイド62が前進限界位置に位置する状態を保ったまま、前蓋部材22及び後蓋部材23とクランプベース部27cとの間に介挿されている介挿部材(図示略)を光コネクタ100のクランプ部20から抜き去る。これにより、クランプ部20の第1クランプ部によって挿入光ファイバ1先端の裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との接続部Pを把持固定するとともに、第2クランプ部によって挿入光ファイバ1(被覆付き光ファイバ1)を把持固定する。これにより、光ファイバケーブル5端末(挿入光ファイバ1先端部)への光コネクタ100の組み立てが完了する。
【0037】
また、前蓋部材22及び後蓋部材23とクランプベース部27cとの間に介挿されている介挿部材のクランプ部20からの抜き去り後、引き留め手段を用いて、押圧用固定部材120のフェルール10、後側延出片37に対する後退を規制する引き留め作業を行っても良い。
押圧用固定部材120は、例えば、可動ガイド62を前進限界位置に到達させたときの位置を保ったまま、引き留め作業によって後退を規制する。但し、押圧用固定部材120のフェルール10、後側延出片37に対する引き留め位置はこれに限定されず、例えば、挿入光ファイバ1のたわみ変形4を縮小あるいは解消するべく、可動ガイド62を前進限界位置に到達させたときの位置から若干後側にずれた位置に引き留めても良い。
【0038】
この光コネクタ100によれば、被覆除去部31により被覆2を除去する間は、後側延出片37の収容溝26に対する閉じ位置に配置された開放ガイド50により、挿入光ファイバ1のたわみ変形4を規制することができる。このため、この光コネクタ100は、被覆除去中の挿入光ファイバ1の屈曲を抑制して、被覆2の除去に必要な強い押圧力を、確実に被覆除去部31に伝達することができる。
【0039】
被覆2の除去に必要な挿入光ファイバ1の被覆除去部材35に対する押圧力は、非特許文献1の図1(たわみ幅と最大挿入力との関係)に記載されているように、例えば5〜6N(500〜600g)程度とされる。
また、開放ガイド50の存在により、挿入光ファイバ1のたわみ幅が2.5mm以下あるいは2.1mm以下となり、被覆2の除去に必要な押圧力を発生することができる。
なお、上記たわみ幅とは、挿入光ファイバにおける押圧力の付与されて撓む可能性がある部分の長さをいう。
【0040】
この場合、挿入光ファイバ1の被覆2を除去した裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との端面同士の間には、被覆2の除去に必要な押圧力に相当する強い荷重が加わり続けることになる。
もし両光ファイバ3,12の間に「軸ズレ」等の突き合わせ不良が生じていた場合には、クランプばね24の付勢力によって、両光ファイバ3,12の光軸が一致するように裸光ファイバ3を変位させることが望ましい。
【0041】
そこで、被覆2を除去した後は、開放ガイド50を収容溝26に対する閉じ位置から退避させる。その結果、挿入光ファイバ1自身の弾性によってたわみ変形4(たわみ部)が自発的に形成されるので、裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との端面同士の間の荷重を、被覆除去部31からの反力などを考慮した突き合わせが維持される程度の適度なレベルまで緩和することができる。
これにより、端面間の荷重を適正にしてクランプ部20の前蓋部材22を閉じることができ、クランプ部20で挟み込んだ後の裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との突き合わせ接続状態を良好にすることができる。その結果、光学特性の良好な光コネクタの組立が容易になる。
【0042】
また、既述のように、この実施例の光コネクタ100の可動ガイド62は、収容溝26後端(より具体的にはファイバ収容領域FS後端)から後側に挿入光ファイバ1が被覆除去中に座屈しない距離L1で離隔する初期位置から前進可能である。このため、図28(b)に示すように、収容溝26に挿入した挿入光ファイバ1の先端が被覆除去刃31に当接したときの、可動ガイド62とその後側へ離隔する押圧用固定部材120との間の距離(但し可動ガイド62の貫通孔63後端から押圧用固定部材120までの距離は挿入光ファイバ1が被覆除去中に座屈しない距離L2)よりも長い長さで、挿入光ファイバ1先端の被覆除去長(裸光ファイバ3の口出し長)を確保できる。
【0043】
次に、図1〜図27に例示した実施例を参照して、本発明をより詳細に説明する。
図1に、本実施例に係る光コネクタ100の斜視図を示す。図2に、前記光コネクタ100の分解斜視図を示す。
なお、光コネクタ100について、図8、図9、図14、図15、図18、図19、図21、図23、図24、図25において、左側を前、右側を後として説明する。
図1に示すように、この光コネクタ100は、フェルール10の後側に被覆除去部材30(後述)等を設けて組み立てたコネクタ本体101をスリーブ状のハウジング100Hに収納した概略構成となっている。
【0044】
図1、図2に示すように、ハウジング100Hは、フェルール10が収容される前側ハウジング14と、前側ハウジング14の外周に組み付けられたカップリング13と、前側ハウジング14に後方から組み付けられた後側ハウジング15とにより構成されている。
本実施例では、一例として、フェルール10、カップリング13及び前側ハウジング14の基本構造は、SC形光コネクタ(SC:Single fiber Coupling、JIS C 5973に規定されるもの等)に従っている。前側ハウジング14はSC形光コネクタのプラグフレームである。
但し、ハウジングとしては、上述の構成に限定されない。ハウジングとしては、例えば上述のハウジングからカップリング13を省略した構成のもの等も採用できる。
【0045】
次に、コネクタ本体101を説明する。
本実施例のコネクタ本体101のフェルール10は、例えば、ジルコニアなどのセラミックスやガラス等の硬質の材料によってキャピラリ状に形成された単心用フェルールである。このフェルール10としては、例えば、SC形光コネクタに用いられるものや、MU形光コネクタ(JIS C 5983に制定されるF14形光コネクタ。MU:Miniature-Unit coupling optical fiber connector)に用いられるものを採用できる。
また、フェルール10としては、その一部又は全部を合成樹脂で成形したものを採用することもできる。
【0046】
図8、図9に示すように、前記フェルール10には内蔵光ファイバ12が内挿固定されている。
前記内蔵光ファイバ12は、キャピラリ状の前記フェルール10をその軸方向に貫通する微細孔に内挿され、接着剤による接着固定等によってフェルール10に固定されている。
内蔵光ファイバ12は、その先端(前端)の端面を、前記フェルール10先端(前端)の突き合わせ接合用の接合端面11に揃えて設けられている。また、内蔵光ファイバ12は、フェルール10から後側に突出された後側突出部12aを有する。内蔵光ファイバ12の後端(後側突出部12a後端)は、フェルール10とその後側に配置された被覆除去部材30との間に位置する。
【0047】
図2、図8、図9に示すように、前記コネクタ本体101は、前記フェルール10の後側に、挿入光ファイバ1の被覆2を除去する被覆除去部31を形成した被覆除去部材30と、前記被覆除去部31により被覆2が除去された裸光ファイバ3を内蔵光ファイバ12の後端に突き合わせ接続した突き合わせ接続部を把持固定するためのクランプ部20とを有する。
また、このコネクタ本体101は、図4、図9に示すように、フェルール10先端(前端)の突き合わせ接合用の接合端面11とは反対の後端部から後側へ延出する後側延出片27を有する。この後側延出片27は、フェルール10の中心軸線(及びその延長)に沿う前後方向を長手方向とする細長形状に形成されている。前記被覆除去部材30は、前記後側延出片27に設けられている。
【0048】
図2、図4に示すように、前記クランプ部20は、前記後側延出片27と、この後側延出片27にコネクタ前後方向に延在形成された溝25、26に対向して配置された蓋部材22、23と、この蓋部材22、23を後側延出片27に向かって閉じる方向に付勢するクランプばね24とを有する。
クランプばね24としては、特に限定は無いが、例えば図2、図4に示すようなスリーブ状のものを採用できる。スリーブ状のクランプばね24としては、例えば、その断面形状(中心軸線に垂直の断面形状)がC字形のもの(図2、図4参照)であるが、これに限定されず、断面形状がコ字形のもの等も採用できる。本実施例のクランプ部20は、1つのクランプばね24の内側に、後側延出片27と、コネクタ前後方向に配列設置した2つの蓋部材22、23とを収納した構成となっている。
【0049】
前記クランプ部20は、フェルール10と被覆除去部材30との間に配置された蓋部材22(第2蓋部材。以下、前蓋部材とも言う)と後側延出片27との間に、裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との接続部Pを把持固定する第1クランプ部を有する。また、このクランプ部20は、被覆除去部材30の後側に配置された蓋部材23(以下、後蓋部材とも言う)と後側延出片27との間に挿入光ファイバ1(被覆2が除去されていない部分。被覆部)を把持固定する第2クランプ部を有する。
後側延出片27と蓋部材22,23との間には、挿入光ファイバ1やその裸光ファイバ3を挿入する隙間22a,23a(図28(a)参照)を確保する、介挿片41が抜き去り可能に介挿されている。前記介挿片41は組立部材40に突設された板状突片(第1突起部)である。
なお、コネクタ本体101としては、互いに別体のクランプばねを用いて第1クランプ部(クランプ部)、第2クランプ部をそれぞれ組み立てた構成も採用可能である。
【0050】
図4に示すように、前記後側延出片27は、前記後蓋部材23に対向する部分から後側に延在する案内ベース部51を有している。後側延出片27の前記案内ベース部51から前側の部分21を、以下、クランプベース部とも言う。このクランプベース部21は、クランプ部20の前蓋部材22との間に、被覆除去部材30によって挿入光ファイバ1先端部に口出しされた裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との接続部Pを把持固定する第2ベース部材として機能する。前記第2クランプ部は、後蓋部材23とクランプベース21との間に挿入光ファイバ1を把持固定する。
【0051】
前記後側延出片27の前記被覆除去部材30から後側に延出する部分(後側片部)には、その後側から挿入光ファイバ1が挿入されるファイバ収容溝26が、コネクタ前後方向に延在形成されている。収容溝26としては、特に限定されるものではないが、本実施例では、単心の被覆付き光ファイバである挿入光ファイバ1を被覆除去部材30の被覆除去部31の裸光ファイバ挿通孔33と同軸上に位置決めすることに鑑みて、例えばU溝、半円溝、V溝などを採用できる。
【0052】
図2、図4に示すように、前記コネクタ本体101は、クランプ部20の蓋部材22,23の後方において、収容溝26に挿入された挿入光ファイバ1のたわみ変形を規制する第1蓋部材58を有している。
この第1蓋部材58は、被覆除去部30により挿入光ファイバ1の被覆2を除去する間、挿入光ファイバ1がたわみ変形しないように、クランプ部20の後方において挿入光ファイバ1の上方へのたわみ変形を規制する開放ガイド50と、開放ガイド50が閉じ位置から開放位置へ退避したときに挿入光ファイバ1の第1たわみ幅4a(図19参照)のたわみ変形4が可能なように、所定の距離G(図19参照。以下、間隔とも言う)を介して前後方向に互いに離隔して配される第1蓋部材58の案内構造の他部である光ファイバ押さえ部59を有して構成されている。
【0053】
図16(b)に示すように、前記開放ガイド50は細長形状の部材であり、案内ベース部51に形成されている前記収容溝26に対向して該収容溝26の長手方向に沿って延在配置されている。そして、この開放ガイド50は、前記収容溝26にその後側から挿入されてフェルール10に向かって前進する挿入光ファイバ1を収容溝26に押さえ込んで、該挿入光ファイバ1のたわみ変形を規制する。
この開放ガイド50は、被覆除去部材30の被覆除去部31により被覆2を除去する間は、図16(b)に示す閉じ位置に配置されて、挿入光ファイバ1のたわみ変形を規制する。
【0054】
コネクタ前後方向を長手方向とする細長形状の前記案内ベース部51と前記開放ガイド50とは、後述する拘束部付き可動ガイド60の可動ガイド62からフェルール10に向かう挿入光ファイバ1の前進を案内する後部ガイド部110(案内構造)を構成する。コネクタ本体101は、クランプ部20の後側に、前記案内ベース部51と開放ガイド50とからなる前記後部ガイド部110を有している。
【0055】
図2、図8、図9に示すように、前記コネクタ本体101は、前記後部ガイド部110の後側に、拘束部付き可動ガイド60を有している。この拘束部付き可動ガイド60は、案内ベース部51と開放ガイド50とを収納する拘束スリーブ部61の後端に、挿入光ファイバ1を挿通可能な貫通孔63が形成された可動ガイド62を一体化した構成となっている。
図8、図9に示すように、拘束部付き可動ガイド60は、後側ハウジング15の内側に前後にスライド可能に設けられている。また、拘束部付き可動ガイド60は、前記可動ガイド62が前記後部ガイド部110から後側へ離隔して配置される初期位置(図8、図9に示す位置)に配置されており、該初期位置からフェルール10に向かって前進可能とされている。
【0056】
図8、図9、図10(a)、(b)に示すように、拘束部付き可動ガイド60の可動ガイド62は、前記貫通孔63が形成された外観角形ブロック状のガイド本体65を有する。ガイド本体65は、その貫通孔63の軸線に直交する断面の外周形状が概ね矩形になっている。
可動ガイド62のガイド本体65には、その後側から貫通孔63への挿入光ファイバ1の挿入を容易にするために、テーパ状凹部64が形成されている。可動ガイド62の貫通孔63は、テーパ状凹部64の前端(奥端)に開口する後端から前側に延在形成され、ガイド本体65前面に開口している。前記拘束スリーブ部61は、ガイド本体65前面から前側へ突出されている。
【0057】
図8、図9等に示すように、ここで例示する光コネクタ100は、挿入光ファイバ1と、可撓性を有する線状の抗張力体とを互いに並行になるように合成樹脂製の外被6によって一括被覆した光ファイバケーブル5の端末に組み立てられる。抗張力体としては、例えばアラミド繊維等の抗張力繊維からなるもの、鋼線等を挙げることができる。光ファイバケーブル5としては、インドアケーブル、ドロップケーブル等が挙げられる。挿入光ファイバ1は、この光ファイバケーブル5端末に口出しした部分をコネクタ本体101への挿入に用いる。
【0058】
挿入光ファイバ1は、裸光ファイバ3の外周面(側面)を被覆2で覆った構成の被覆付き光ファイバであり、例えば光ファイバ心線や光ファイバ素線等が挙げられる。裸光ファイバ3は、例えば石英系光ファイバである。また、被覆2は、例えば紫外線硬化性樹脂やポリアミド樹脂などを1層または複数層、ほぼ同心円状に被覆した樹脂被覆である。
【0059】
可動ガイド62は、光ファイバケーブル5端末に固定した押圧用固定部材120と連結可能である。
図26、図27に示すように、押圧用固定部材120は、光ファイバケーブル5端末を把持して光ファイバケーブル5に固定して取り付けられる外被把持部材である。この押圧用固定部材120は、光ファイバケーブル5を嵌め込むケーブル嵌合溝122が形成された断面コ字形の把持ベース123と、前記把持ベース123のケーブル嵌合溝122の溝幅方向両側の側壁部125の一方に枢着された押さえ蓋127とを有する。
【0060】
この押圧用固定部材120は、把持ベース123の一対の側壁部125の互いに対向する面に複数突設した把持用突起125aを、ケーブル嵌合溝122に嵌め込まれた光ファイバケーブル5の外被6に食い込ませて、一対の側壁部125の間に光ファイバケーブル5を把持固定できる。把持ベース123は、底壁部126の片面側に突設された一対の側壁部125の間に前記ケーブル嵌合溝122が確保された断面コ字形の部材である。ケーブル嵌合溝122の溝幅方向は、該ケーブル嵌合溝122を介して両側の側壁部125の間隔方向を指す。なお、図示例の押圧用固定部材120の把持用突起125aは、ケーブル嵌合溝122の深さ方向(図27上下)に延在する断面三角形状の突条に形成されている。
そして、この押圧用固定部材120は、前記押さえ蓋127が他方の側壁部125から離隔する開放状態にて把持ベース123を光ファイバケーブル5端末に外嵌めして固定し、押さえ蓋127を把持ベース123の一対の側壁部125の底壁部126とは反対側の端部間におけるケーブル嵌合溝122の開口部を閉じる閉位置に回動し、該押さえ蓋127を他方の側壁部125に係止して、光ファイバケーブル5端末に取り付けられる。
【0061】
この押圧用固定部材120は、把持ベース123のケーブル嵌合溝122の長手方向に沿う延在方向片端から、前記ケーブル嵌合溝122の仮想延長に沿って互いに並行に延出する一対の弾性係止片124を有する。一対の弾性係止片124は、前記把持ベース123のケーブル嵌合溝122の溝幅方向両側の側壁部125に突設されている。
【0062】
図1、図3、図11(a)、(b)に示すように、コネクタ本体101の拘束部付き可動ガイド60後端の可動ガイド62は、後側ハウジング15後端の断面コ字形(コネクタ前後方向に垂直の断面がコ字形)の押圧部材受け部16の内側に前後移動可能に収納されている。
図11(a)、(b)、図12に示すように、押圧部材受け部16は、底板部16aの片面側に一対の側板部16bが立設された断面コ字形に形成されている。押圧部材受け部16の一対の側板部16bの互いに対向する面には、前記押圧用固定部材120の一対の弾性係止片124が挿入される係止片案内溝16cが前後方向に延在形成されている。
図9、図11(a)、(b)、図12に示すように、前記押圧用固定部材120は、一対の弾性係止片124を、前記可動ガイド62のガイド本体65の後側から前記係止片案内溝16cに挿入して押圧部材受け部16の両側の側板部16bと可動ガイド62との間に通し、各弾性係止片124の先端を可動ガイド62の前側まで送り込むことができる。そして、押圧用固定部材120は、図15に示すように、一対の弾性係止片124先端の互いに対向する相手側の弾性係止片124に臨む側に突設された係止爪128を、可動ガイド62のガイド本体65前面に係合させることで可動ガイド62に連結される。
【0063】
なお、図9、図10(a)、(b)、図12に示すように、本実施例にあっては、可動ガイド62のガイド本体65の、押圧部材受け部16の一対の側板部16bに対面する側面にも係止片案内溝66が形成されている。ガイド本体65の係止片案内溝66は、押圧部材受け部16の側板部16bの係止片案内溝16cに対面する位置に形成されている。押圧用固定部材120は、弾性係止片124を、可動ガイド62のガイド本体65及び押圧部材受け部16の側板部16bに形成された係止片案内溝16c、66に挿入してガイド本体65に係合させることができる。
【0064】
コネクタ本体101は、拘束部付き可動ガイド60の初期位置からの前進の規制と規制解除とを切り換える前進規制手段67(図9参照)と、拘束部付き可動ガイド60の初期位置から後側への移動を規制するガイド後退規制手段とを有している。
前進規制手段は、押圧用固定部材120によって後側から押圧されることで、拘束部付き可動ガイド60の初期位置からの前進を規制した状態から前進の規制を解除した状態となる。
【0065】
図9に示すように、図示例のコネクタ本体101の拘束部付き可動ガイド60は、前記前進規制手段として、可動ガイド62のガイド本体65に突設された前進規制用突片67を有している。この前進規制用突片67は、前記ガイド本体65の、押圧部材受け部16の一対の側板部16bに対面する両側のうちの片方から斜め前方に突出されている。図9、図12に示すように、前進規制用突片67の先端(前端)は、押圧部材受け部16の一対の側板部16bの片方の係止片案内溝16cの溝底に形成された突片先端挿入溝16dに挿入され、該突片先端挿入溝16dの前端16e(図9、図11(a)参照)にその後側から突き当てられている。前進規制用突片67は、前記ガイド本体65の、押圧部材受け部16の一対の側板部16bに対面する両側の側部のうち、突片先端挿入溝16dに対面する側部から突出している。図示例の可動ガイド62において、前記前進規制用突片67は、突片先端挿入溝16dに対面する係止片案内溝66の溝底から突出している。
前進規制用突片67は、前側に行くにしたがって、ガイド本体65から離隔し、突片先端挿入溝16dの溝底に接近するように、貫通孔63の軸線に対して傾斜されている。
【0066】
突片先端挿入溝16dは、係止片案内溝16cに比べて狭い溝幅で、コネクタ前後方向に延在形成されている。また、突片先端挿入溝16dは、後側ハウジング15後端部を構成する押圧部材受け部16のみに形成されている。
拘束部付き可動ガイド60は、突片先端挿入溝16dの前端16eに前進規制用突片67先端が突き当てられて前進が規制された位置が初期位置となっている。
【0067】
図9、図10(a)、(b)に示すように、拘束部付き可動ガイド60は、後側延出片27における閉じ位置の開放ガイド50とは反対側の周面から突出する係止突起27a(図5、図9参照)が、拘束スリーブ部61の前端部に形成された係止用窓孔61bに入り込んで、初期位置から後側への移動が規制されている。
図9に示すように、初期位置の拘束部付き可動ガイド60は、拘束スリーブ部61の前記係止用窓孔61b前側に位置する部分が、係止突起27a前端のコネクタ前後方向に垂直に形成された前端面に当接することで初期位置から後側への移動が規制されている。
前記係止突起27aは、拘束部付き可動ガイド60の初期位置から後側への移動を規制するガイド後退規制手段として機能する。
【0068】
図15に示すように、可動ガイド62の前進規制用突片67は、押圧用固定部材120を可動ガイド62のガイド本体65に連結する際に、係止片案内溝16c、66に挿入して前進させた弾性係止片124先端によって押圧される。そして、弾性係止片124によって後側から押圧された前進規制用突片67は、弾性係止片124先端の前進によって、その先端が前記突片先端挿入溝16dから押圧部材受け部16内側に移動されて、突片先端挿入溝16dの前端16eに対する突き当てが解除される。
前記可動ガイド62はプラスチック製の一体成形品である。前進規制用突片67は、押圧用固定部材120の弾性係止片124先端によって後側から押圧されたときに、該前進規制用突片67とガイド本体65との境界部の弾性変形により、該境界部をヒンジ部として、その先端がガイド本体65の側面68に接近するように貫通孔63の軸線に対する向きが変わる。なお、図示例の可動ガイド62の前進規制用突片67とガイド本体65とは、板状の前進規制用突片67の板厚に比べて薄肉に形成された薄肉部69をヒンジ部(境界部)としており、該薄肉部69を介して繋がっている。
【0069】
押圧用固定部材120の弾性係止片124の係止爪128を含む先端部は、係止片案内溝16c、66の溝幅のほぼ全体に収納されるサイズに形成されており、突片先端挿入溝16dには入り込まない。弾性係止片124は、その先端によって、前進規制用突片67の先端からガイド本体65近傍に位置する前進規制用突片67根元側にずれた位置を前方に押圧して、前進規制用突片67先端を前記突片先端挿入溝16dから押圧部材受け部16内側に向かって移動し、突片先端挿入溝16dの前端16eに対する前進規制用突片67先端の突き当てを解除する。また、弾性係止片124は、突片先端挿入溝16dの前端16eに対する前進規制用突片67先端の突き当てを解除するとともに、その先端の係止爪128がガイド本体65に係合する。
拘束部付き可動ガイド60は、突片先端挿入溝16dの前端16eに対する前進規制用突片67先端の突き当てが解除されることで、初期位置から前進可能となる。
なお、光コネクタとしては、可動ガイド62のガイド本体65の係止片案内溝66を省略した構成も採用可能である。
【0070】
図9に示すように、ガイド後退規制手段として機能する前記係止突起27aは、コネクタ後側から前側に行くにしたがって後側延出片27周面からの突出寸法が増大するテーパ状に形成されている。
拘束部付き可動ガイド60の前記係止用窓孔61bの後側には前後方向に延在する長孔61cが形成されている。
図15に示すように、拘束部付き可動ガイド60は、突片先端挿入溝16dの前端16eに対する前進規制用突片67先端の突き当てが解除された状態で、初期位置から前方に押圧されると、拘束スリーブ部61における前記係止用窓孔61bと長孔61cとの間の部分である孔間壁部61dが、拘束スリーブ部61の若干の弾性変形によって前記係止突起27aを乗り越え、図19に示すように係止突起27aを長孔61cに収納できる。
拘束部付き可動ガイド60は、係止突起27aが長孔61cに入り込むと、孔間壁部61dが係止突起27aに当接する位置から後側延出片27に対する後側への相対的な移動が規制される。また、この光コネクタ100では、可動ガイド62が前進限界位置に到達したときに、係止突起27aが長孔61cに入り込み、拘束部付き可動ガイド60の後側延出片27に対するコネクタ前後方向の変位が規制される。
【0071】
拘束部付き可動ガイド60は、詳細を後述するように、開放ガイド50を収容溝26に対して挿入光ファイバ1のたわみ変形を規制する閉じ位置に拘束するように構成できる。また、拘束部付き可動ガイド60は、押圧用固定部材120の押し込みによって初期位置から前進し、開放ガイド50を前方へと駆動して、ファイバ収容溝26を外へ移動(閉じ位置から退避)させる機能を有する。
拘束部付き可動ガイド60の拘束スリーブ部61は、被覆除去部材30の被覆除去部31による挿入光ファイバ1の被覆除去中に、開放ガイド50を案内ベース部51から離間しないように押さえ込むとともに、開放ガイド50が案内ベース部51から離間する前に、押圧用固定部材120の前進に基づき前記押さえ込みを解除する押さえ込み部として機能する。
この拘束部付き可動ガイド60は、前記拘束スリーブ部61の内側に案内ベース部51と開放ガイド50とを収納した状態を維持したまま、前記初期位置から前進可能である。拘束部付き可動ガイド60は、前記初期位置から前進するとき、拘束スリーブ部61が後側延出片27に対してスライド移動する。
【0072】
この実施例の光コネクタの蓋部材移動機構について具体的に説明する。
図4、図5、図8、図9、図29、図30に示すように、開放ガイド50がスライド移動する案内ベース部51のスライド面51a(対向面)には、開放ガイド50を前進させた際に開放ガイド50が当接する当接突起52が突出形成されている。
以下の説明においては、スライド面51aに垂直でスライド面51aから離れる方向(図29、図30の上方)を上方といい、その反対の方向を下方ということがある。
図示例の当接突起52は、スライド面51aの複数箇所に形成されている。具体的には、当接突起52は、一対の後部当接突起52A,52Aと、後部当接突起52A,52Aよりも前側に形成された一対の前部当接突起52B,52Bとを有する。なお、当接突起52の数は図示例に限らず、1または複数としてよい。
【0073】
図4および図30に示すように、後部当接突起52Aはスライド面51aと略平行な矩形状の上面52Aaと、上面52Aaの前端から前方に向かって徐々に下降する前面52Abと、上面52Aaの後端から後方に向かって徐々に下降する後面52Acとを有する側面視台形状の突起である。
前部当接突起52Bは、スライド面51aと略平行な矩形状の上面52Baと、上面52Baの前端から垂下する前面52Bbと、上面52Baの後端から後方に向かって徐々に下降する後面52Bcとを有する側面視台形状の突起である。
当接突起52A,52Bの幅(厚さ)は前後方向に略一定であることが好ましい。
【0074】
後面52Ac,52Bcは、スライド面51aに対し傾斜する押上げ面(傾斜面)であり、後述するように、開放ガイド50の前進時に開放ガイド50を押し上げることができる。後面52Ac,52Bcは、前方に向かって徐々にスライド面51aからの高さを増すように形成されている。後面52Ac,52Bcは、スライド面51aに対して一定角度で傾斜していることが好ましい。
後面52Ac,52Bcの傾斜角度は互いに同じとすると、開放ガイド50に均等な押し上げ力を作用させることができるため好ましい。
【0075】
後部当接突起52A,52Aは、収容溝26の両側、すなわち収容溝26の一方側および他方側にそれぞれ形成されている。これら後部当接突起52A,52Aは、前後方向位置をほぼ一致させて形成することが好ましい。前部当接突起52B,52Bは、収容溝26の両側、すなわち収容溝26の一方側および他方側にそれぞれ形成されている。これら前部当接突起52B,52Bは、前後方向位置をほぼ一致させて形成することが好ましい。
【0076】
案内ベース部51の外面51cには、後述するように、開放ガイド50が離隔方向(上方)に移動したときに開放ガイド50の押さえ込み部50Bが収容可能な溝部55が形成されている。
【0077】
開放ガイド50は、本体部50Aと、本体部50Aに形成された1または複数の押さえ込み部50Bとを有する。
押さえ込み部50Bは、案内ベース部51を押さえ込んで、案内ベース部51と開放ガイド50との上下方向の相対移動を規制するものであって、案内ベース部51を包囲可能に形成されている。
図示例の押さえ込み部50Bは、本体部50Aの対向面50bの一方の側縁から延出して他方の側縁に至るアーチ状の板状体であり、案内ベース部51の断面略半円形の外面51cに沿って案内ベース部51を包囲できる。押さえ込み部50Bは、延在凹所50aに垂直な面に沿う略半円形とすることができる。
押さえ込み部50Bの内径は案内ベース部51の外径よりやや大きくするのが好ましい。図示例では、2つの押さえ込み部50Bが前後方向(本体部50Aの軸線方向)に間隔をおいて本体部50Aに形成されている。
【0078】
図29(a)、図29(b)、図30(a)および図30(b)では、開放ガイド50は比較的後方に位置しており、開放ガイド50の後端部50eは、案内ベース部51後端から後側に突出されている。
この状態では、押さえ込み部50Bは、案内ベース部51の溝部55が形成されていない位置にあり、案内ベース部51を閉じ位置に拘束することができる。すなわち、押さえ込み部50Bは、案内ベース部51を、収容溝26上に挿入光ファイバがたわみ変形可能な空間を形成するように移動することのない(すなわち、閉じ位置から開放位置への案内ベース部51と開放ガイド50との相対移動を生じさせない)ように押さえ込むことができる(図9および図15を参照)。
【0079】
図29(c)、図29(d)、図30(c)および図30(d)に示すように、押圧用固定部材120および可動ガイド62により開放ガイド50を前進させると、押さえ込み部50Bは案内ベース部51の溝部55に相当する位置に至る。溝部55は押さえ込み部50Bを収容可能であるため、案内ベース部51と開放ガイド50との移動規制は解除される。
すなわち、押さえ込み部50Bは、図29(a)、図30(a)等に示す後方位置では案内ベース部51を閉じ位置に拘束し、この拘束状態を保ったまま開放ガイド50が前進し、図29(d)、図30(d)等に示す前進位置に至ると、案内ベース部51の閉じ位置への拘束を解除することができる(図19を参照)。
【0080】
本体部50Aの対向面50bは、案内ベース部51に重ね合わせた状態で案内ベース部51のスライド面51aに対向する面であり、この対向面50bには、案内ベース部51に重ね合わせた状態で当接突起52を収容可能な収容凹部54が形成されている。
図示例の収容凹部54は、対向面50bの複数箇所に形成されている。具体的には、後部当接突起52A,52Aに応じた位置に形成された一対の後部収容凹部54A,54Aと、後部収容凹部54A,54Aよりも前側に形成された一対の前部収容凹部54B,54Bとを有する。前部収容凹部54B,54Bは、前部当接突起52B,52Bに応じた位置に形成されている。
【0081】
図5および図30に示すように、後部収容凹部54Aは前後方向に沿う溝状に形成され、対向面50bと略平行な内天面54Aaと、内天面54Aaの前端から垂下する前面54Abと、内天面54Aaの後端から後方に向かって徐々に下降する後面54Acとを有する。
前部収容凹部54Bは前後方向に沿う溝状に形成され、本体部50Aの前端50cに達して形成されており、対向面50bと略平行な内天面54Baと、内天面54Baの後端から後方に向かって徐々に下降する後面54Bcとを有する。
収容凹部54A,54Bの幅は前後方向に略一定であることが好ましい。
【0082】
後面54Ac,54Bcは、対向面50bに対し傾斜する傾斜面(当接面)であり、後述するように、開放ガイド50の前進時に、当接突起52A,52Bの後面52Ac,52Bcに当接して開放ガイド50の上昇を促すことができる。後面54Ac,54Bcの傾斜角度は、当接突起52A,52Bの後面52Ac,52Bの傾斜角度と同じとするのが好ましい。
後面54Ac,54Bcの傾斜角度は互いに同じとすると、開放ガイド50に均等な押し上げ力を作用させることができるため好ましい。
【0083】
後部収容凹部54A,54Aは、延在凹所50aの一方側および他方側にそれぞれ形成されている。後部収容凹部54A,54Aは、前後方向位置をほぼ一致させて形成することが好ましい。前部収容凹部54B,54Bは、延在凹所50aの一方側および他方側にそれぞれ形成されている。前部収容凹部54B,54Bは、前後方向位置をほぼ一致させて形成することが好ましい。
【0084】
可動ガイド62が初期位置にあるとき、開放ガイド50は、収容溝26に対する閉じ位置にある。すなわち、開放ガイド50は、図16(b)に示すように前記対向面50bをスライド面51aに重ね合わせて閉じ位置に配置される。
【0085】
図29(a)、図29(b)、図30(a)および図30(b)に示すように、押圧用固定部材120および可動ガイド62を前進させ、可動ガイド62を開放ガイド50の後端部50eに当接させる。
この状態では、押さえ込み部50Bは、案内ベース部51の溝部55が形成されていない位置にあり、案内ベース部51を閉じ位置に拘束することができる(図9および図15を参照)。
【0086】
図29(c)、図29(d)、図30(c)および図30(d)に示すように、押圧用固定部材120および可動ガイド62により開放ガイド50を前進させる。この前進移動過程において、押さえ込み部50Bが溝部55に達するまでは、案内ベース部51が閉じ位置に拘束された状態が維持される。
開放ガイド50をさらに前進させると、押さえ込み部50Bが溝部55に達し、溝部55に収容可能となって前記拘束は解除され、開放ガイド50は上昇可能となる(図19を参照)。
【0087】
開放ガイド50は、収容凹部54A,54Bの後面54Ac,54Bcが当接突起52A,52Bの後面52Ac,52Bcに当接し、傾斜に沿って押し上げられる。すなわち、開放ガイド50は当接突起52A,52Bに乗り上げて上方に移動し、図20に示すように、開放ガイド50の対向面50bは案内ベース部51のスライド面51aから離れ、対向面50bとスライド面51aとの間にたわみ変形4が形成可能な隙間53(空間)が形成される。
【0088】
この光コネクタでは、前記当接突起52は、光ファイバ把持部の前進に基づき前記開放ガイドが前進した際に前記開放ガイドを前記ベース部材から離間させる離間構造として機能する。
【0089】
なお、前記離間構造としては、当接突起と収容凹部の配置を逆にした構成、すなわち開放ガイドに当接突起を形成し、案内ベース部に収容凹部を形成した構成としても良い。また、案内ベース部と開放ガイドの両方に当接突起と収容凹部を形成することもできる。また、収容凹部は形成しない構成も可能である。
すなわち、本発明では、案内ベース部と開放ガイドのうち少なくとも一方に、他方に当接してこれを離間方向に移動させる当接突起を形成することができる。案内ベース部と開放ガイドのうち他方には、当接突起を収容する収容凹部を形成することができる。
【0090】
図示例では、開放ガイド50が押さえ込み部50Bを有し、案内ベース部51に、押さえ込み部50Bを収容可能な溝部55が形成されているが、逆に、案内ベース部が押さえ込み部を有し、開放ガイドに溝部が形成されていてもよい。
例えば、案内ベース部は、スライド面を有する略半円柱状の本体部と、開放ガイドを包囲して押さえ込む1または複数のアーチ状の押さえ込み部を有する構造とすることができる。
前記押さえ込み部は、前記被覆除去部による被覆除去中には、前記案内ベース部のスライド面(収容溝)上に空間が形成されないように前記開放ガイドを押さえ込むことができる。前記押さえ込み部は、前記開放ガイドを前記空間が形成されるように移動させる際に、前記溝部に挿入されて前記押さえ込みを解除できる。
【0091】
図8、図13に示すように、拘束部付き可動ガイド60の拘束スリーブ部61には、組立部材40の光ファイバ押さえ片42が挿通される窓61aが形成されている。窓61aは、拘束スリーブ部61の肉厚を貫通して、該拘束スリーブ部61の外周面及び内周面に開口する開口部である。
なお、拘束部付き可動ガイド60は、可動ガイド62が初期位置にあるときには、拘束スリーブ部61内面で開放ガイド50を閉じ位置に拘束するように構成することもできる。
開放ガイド50を閉じ位置に拘束したままスライド移動した後、拘束を解除することを実現するための構造としては、例えば、拘束スリーブ部61に開放用開口部61eを形成し、開放ガイド50に、開放用開口部61eに収納可能な拘束用突部(図示略)を形成した構造を採用することもできる。
前記拘束用突部は、拘束スリーブ部61内面に当接して開放ガイド50を閉じ位置に拘束するが、前記スライド移動によって開放用開口部61eに達すると、開放用開口部61eに収納可能となるため拘束スリーブ部61内面による離隔方向の移動規制が解除される。このため、開放ガイド50の案内ベース部51に対する閉じ位置への拘束が解除される。
【0092】
図14、図15に示すように、コネクタ本体101の前記案内ベース部51と前記開放ガイド50との間には、複数の光ファイバ押さえ片42,42が介挿されている。各光ファイバ押さえ片42は、その先端の、光ファイバ押さえ部59によって、収容溝26に挿入光ファイバ1を押さえ込むことができる。
複数の光ファイバ押さえ片42,42は、前記開放ガイド50が閉じ位置から開放位置に移動(退避)されたときに、裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との端面同士の間に突き合わせが維持される程度の荷重を残して、挿入光ファイバ1のたわみ変形が可能なように、前後方向に所定の間隔G(図19参照)を介して配される。
【0093】
クランプ部20は、図3に示すように、後側ハウジング15の押圧部材受け部16から前側部分を構成する筒状部15a内に収容される。筒状部15aには、組立部材40(詳しくは後述)の介挿片41が挿入される窓15bと、光ファイバ押さえ片42が挿入される窓15cが形成されている。これら窓15b、15cは筒状部15aの肉厚を貫通して形成されている。
また、図17、図22、図25に示すように、ハウジング100Hには、スリーブ状のカップリング13の肉厚及びスリーブ状の前側ハウジング14の肉厚を貫通して、前記前側ハウジング14に内挿嵌合されている前記筒状部15aの窓15bに連通し、前記介挿片41が挿入される連通孔15dが形成されている。
なお、後側ハウジング15の筒状部15aの、光ファイバ押さえ片42が挿入される窓15cは、カップリング13及び前側ハウジング14の後側に位置しており、カップリング13及び前側ハウジング14によって覆われることなく、筒状部15aの周面に開口している。
【0094】
図4に示すように、クランプベース部21の前蓋部材22が重ね合わされる合わせ面には、調心機構として、裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12とを位置決めして調心する調心溝25が形成されている。調心溝25はフェルール10の微細孔の軸線(軸線のフェルール後側への仮想延長)に沿ってクランプベース部21の長手方向に延びている。調心溝25の断面形状は、例えばV溝であるが、U溝、丸溝(断面半円形の溝)などであってもよい。調心溝25は、接続される裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との対ごとに(心数分:ここでは1本)設けられる。
【0095】
また、図2、図3に示すように、この光コネクタ100は、フェルール10をコネクタ前側へ弾性付勢して、他の光コネクタとの突き合わせ接続時の突き当て力を与えるスプリング18を有する。
このスプリング18は、具体的にはコイルスプリングであり、フェルール10後端部の外周に突設されたフランジ部10bの後側にてコネクタ本体101に外挿され、前記フランジ部10bと後側ハウジング15前端との間に介挿されている。
フェルール10は、このスプリング18によってコネクタ前側に弾性付勢されて、前記フランジ部10bが、ハウジング100H(具体的には前側ハウジング14内側)の前端部内側に突設されているストッパ壁部14aにその後側から当接する前側移動限界位置に配置されている。コネクタ本体101は、フェルール10にその前方から後方への押圧力(押し込み力)を作用させたときに、スプリング18を押し縮めながら、ハウジング100Hに対してコネクタ後側へ押し込み可能である。
【0096】
収容溝26は、調心溝25の延長上に設けられている。このファイバ収容溝26は、クランプベース部21の後蓋部材23が重ね合わされる部分に形成されているとともに、該部分からさらに後方に延在している。ファイバ収容溝26は、挿入光ファイバ1の先端部を収納し、かつ、後蓋部材23がクランプばね24でクランプされたときに、挿入光ファイバ1をしっかりとクランプ固定できる形状になっている。
挿入光ファイバ1をファイバ収容溝26に沿ってクランプ部20に挿入すると、ファイバ収容溝26を経て被覆除去部材30に誘導される。図28(b)に示すように、被覆除去部材30の被覆除去部31により被覆2を除去して、裸光ファイバ3を内蔵光ファイバ12と突き合わせることができる。
【0097】
図6に示すように、被覆除去部材30は、前方側に裸光ファイバ挿通孔33を、後方側に被覆付き光ファイバ挿通孔34を有する。裸光ファイバ挿通孔33及び被覆付き光ファイバ挿通孔34は、いずれも光ファイバの長手方向に沿って形成された円形孔である。裸光ファイバ挿通孔33と被覆付き光ファイバ挿通孔34との間には、光ファイバの長手方向に交差する方向に貫通した窓孔32が形成されている。被覆除去部31は、窓孔32が裸光ファイバ挿通孔33とつながる側の側面に形成されている。図示例の被覆除去部材30の被覆除去刃31は、光ファイバ挿通孔33の周囲にテーパ状に形成された環状刃部31aと、窓孔32の形成方向に対して垂直に形成された水平刃部31bを有する。
【0098】
図28(a)及び図28(b)に示すように、収容溝26から被覆除去部材30に向けて挿入光ファイバ1を前進させると、挿入光ファイバ1先端は被覆付き光ファイバ挿通孔34に挿入される。被覆付き光ファイバ挿通孔34は直線状であり、挿入光ファイバ1を被覆除去刃31に向けて真っ直ぐ位置決めすることができる。挿入光ファイバ1は、その先端が被覆付き光ファイバ挿通孔34を通過すると、窓孔32を横断して、先端が被覆除去刃31に当接する。そして、挿入光ファイバ1は、その先端が被覆除去刃31に向けて押圧されることにより、被覆2が除去されて、裸光ファイバ3が裸光ファイバ挿通孔33に挿入される。このとき、裸光ファイバ3と被覆2との間に環状刃部31aが差し込まれることにより、被覆2を裸光ファイバ3から容易に剥離することができる。また、裸光ファイバ3から円筒状に剥離された被覆2を水平刃部31bで2つに分断することにより、不要な被覆2を窓孔32の上下から容易に排出することができる。
【0099】
被覆付き光ファイバ挿通孔34後端の入口(ファイバ入口)には、外から内へ向けて径が縮小するテーパ穴34aが設けられている。被覆付き光ファイバ1の先端がテーパ穴34aに案内されることにより、被覆付き光ファイバ挿通孔34への差込みがより確実になる。
また、裸光ファイバ挿通孔33の出口には、内から外へ向けて径が拡大するテーパ穴33aが設けられている。裸光ファイバ3が裸光ファイバ挿通孔33から出る方向に若干の余裕があることにより、裸光ファイバ挿通孔33から調心溝25へ裸光ファイバ3を容易に誘導することができる。
【0100】
図7に示すように、組立部材40は、クランプベース部21と蓋部材22,23との間に隙間22a,23aを確保する楔状の介挿片41,41を有する。また、組立部材40においては、上述した複数の光ファイバ押さえ片42,42が、介挿片41,41と並列して形成された突起部(第2突起部、第3突起部)であることができる。これにより、光コネクタの組立後に不要となる光ファイバ押さえ片42,42を組立部材40に一体化して、廃棄物の個数を減少することができ、作業性が向上する。
なお、光ファイバ押さえ片42,42を組立部材40とは別体で構成できることは言うまでもない。
【0101】
図14に示すように、クランプベース部21及び蓋部材22,23が重ね合わされる合わせ面の一側縁部には、クランプベース部21と蓋部材22,23との間に隙間22a,23a(図28(a)参照)を確保する介挿片41,41が挿入されている。図17に、クランプベース部21と前蓋部材22との間の隙間22aが介挿片41によって確保されている様子を示す。介挿片41,41を抜くと、クランプベース部21と蓋部材22,23との間を閉じて、クランプばね24のクランプ力によって閉じた状態とすることができる。
なお、光コネクタ100は、組立部材40の介挿片41をクランプ部20に予め挿入しておくことにより、組立部材40をコネクタ本体101に取り付けた状態(組立部材付き光コネクタの状態)で、販売、携帯等を行うことが可能である。この場合、配線現場における作業時に、光コネクタに合った楔を用意したり、介挿片41をクランプ部20に割り入れたりする手間が省略できる。
【0102】
本実施例の光コネクタ100の組立方法は、まず、図26に示すように、先端側に挿入光ファイバ1となる被覆付き光ファイバを露出させた光ファイバケーブル5に、押圧用固定部材120(把持部材)を取り付けたものを用意する。
そして、図14及び図15に示すように、挿入光ファイバ1に取り付けた押圧用固定部材120を、光コネクタ100のハウジング100Hの後側ハウジング15後端の押圧部材受け部16に向かってその後側から前進させる。これにより、図1に示すように押圧用固定部材120の前側(弾性係止片124が突出している側)に突出させた挿入光ファイバ1の突出部を、可動ガイド62の貫通孔63から収容溝26に挿入していく。そして、押圧用固定部材120の前進の継続によって、挿入光ファイバ1の先端が被覆除去部材30に到達して被覆2を除去(除去を開始)し、裸光ファイバ3を内蔵光ファイバ12に突き合わせることができる。
また、押圧用固定部材120は、前進によって、後側ハウジング15後端の押圧部材受け部16に押し込むことで、コネクタ本体101後部の拘束部付き可動ガイド60後端の可動ガイド62に連結できる。
【0103】
挿入光ファイバ1は、開放ガイド50と収容溝26溝底との間隔方向において開放ガイド50と収容溝26内面との間に確保されたファイバ収容領域FSに、可動ガイド62の貫通孔63から挿入される。
開放ガイド50は、挿入光ファイバ1をファイバ収容溝26に強く押し付けて案内ベース部51に固定するのではなく、挿入光ファイバ1の案内ベース部51に対するコネクタ前後方向への円滑な相対移動を可能として押さえ込み挿入光ファイバ1のたわみ変形を規制する。
開放ガイド50は、挿入光ファイバ1をファイバ収容溝26に押さえ込むことで、挿入光ファイバ1を、被覆除去部31の裸光ファイバ挿通孔33の中心軸線上に位置決めする機能を果たす。
【0104】
図16(b)、図20に示すように、閉じ位置にある開放ガイド50の、収容溝26に対向する部分には、収容溝26に沿って延在する延在凹所50aが形成されている。本実施例に係るコネクタ本体101のファイバ収容領域FSは、後側延出片27の収容溝26と前記開放ガイド50の延在凹所50aとによって構成されている。
【0105】
図1に示すように、この光コネクタ100は、後側ハウジング15後端の押圧部材受け部16に押し込む押圧用固定部材120を案内するための案内レール130を着脱可能に取り付けることができる。
案内レール130は、細長形状のレール部131の長手方向片端の取付部132を、光コネクタ100のハウジング100Hの後端部(具体的には押圧部材受け部16)に取り付けることで、レール部131を押圧部材受け部16の底板部16aの後側に該底板部16aを延長する如く配置した状態に取り付けられる。図1、図2に示すように、図示例の案内レール130の前記取付部132は、光コネクタ100の押圧部材受け部16の底板部16aにその下側から当接される当接板133に突設された一対の弾性係合爪134の突端の突爪135を、押圧部材受け部16における一対の側板部16bの互いに対面する内面側とは反対の外面側に突設されたレール係合壁16f(図2、図11(a)、(b)参照)の上端に係合させることで、前記当接板133を押圧部材受け部16の底板部16aに押し付けて押圧部材受け部16にしっかりと固定して取り付けられる。
なお、取付部132としては、光コネクタ100のハウジング100H後端部に案内レール130を着脱可能に取り付け可能な構成であれば良く、図示例の構造に限定されない。
【0106】
案内レール130は、光コネクタ100に取り付けたときに、押圧用固定部材120が載置されるレール部131上の押圧部材ガイド面136が、光コネクタ100の押圧部材受け部16の前記底板部16a上面(図1〜図3において底板部16a上側の面)の後側に連続する位置に配置される。光コネクタ100に案内レール130を取り付けた場合、押圧用固定部材120は、レール部131の押圧部材ガイド面136上にて光コネクタ100の押圧部材受け部16の後側に離隔した位置からスライド移動させて前進させることで、押圧部材ガイド面132から前記底板部16a上面上に移動させて押圧部材受け部16内側に押し込むことができる。
このとき、押圧用固定部材120は、挿入光ファイバ1自体の剛性によって該押圧用固定部材120からその前側に真っ直ぐに突出する突出部が光コネクタ100の可動ガイド62の貫通孔63の中心軸線に沿う向きで該貫通孔63の後方延長上にある状態のまま、案内レール130のレール部131上を前進させることができる。その結果、押圧用固定部材120の前進によって、挿入光ファイバ1の突出部を可動ガイド62の貫通孔63から収容溝26に挿入していく作業を円滑に行うことができ、挿入途中での突出部の座屈を防止に有効に寄与する。
【0107】
なお、押圧部材受け部16の底板部16aに取り付けた案内レール130は、前記取付部132の弾性係合爪134を弾性変形させて前記突爪135の押圧部材受け部16のレール係合壁16f上端に対する係合を解除することで、光コネクタ100から取り外すことができる。
また、光コネクタ100の押圧部材受け部16への押圧用固定部材120の押し込みは、必ずしも案内レール130を使用して行う必要は無く、案内レール130を使用しないで行っても良い。
【0108】
図28(b)等を参照して説明したように、光コネクタ100の拘束部付き可動ガイド60の可動ガイド62は、収容溝26後端(より具体的にはファイバ収容領域FS後端)から後側に挿入光ファイバ1が被覆除去中に座屈しない距離L1で離隔する初期位置から前進可能とされている。挿入光ファイバ1の突出部の突出長は、挿入光ファイバ1先端が被覆除去部31後端に当接したときに、押圧用固定部材120を、可動ガイド62の貫通孔63後端から後側へ挿入光ファイバ1が被覆除去中に座屈しない距離L2で離隔させて配置できる長さとする。
【0109】
この実施例では、押圧用固定部材120の前進によって可動ガイド62を前進限界位置に到達させる。挿入光ファイバ1の突出部の長さ(突出長)は、可動ガイド62を前進限界位置に移動したときの押圧用固定部材120から内蔵光ファイバ12後端までの距離(詳細には光ファイバ支持部129から内蔵光ファイバ12後端までの距離)よりも長く設定する。これにより、被覆除去部材30によって被覆2が除去された裸光ファイバ3が内蔵光ファイバ12後端に突き当たった後に、開放ガイド50の移動による収容溝26の開放が完了し、挿入光ファイバ1のたわみ変形が許可される。
また、挿入光ファイバ1の突出部の長さは、挿入光ファイバ1の材質や外径等に鑑みて、押圧用固定部材120の前進によって可動ガイド62を前進限界位置に到達させたときに、突き合わせ状態の裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との間に所期の突き合わせ力(突き当て力)を確保できる大きさのたわみ変形を形成できる長さに設定する。
【0110】
また、図8、図26等に示すように、この実施例において、挿入光ファイバ1の突出部は、押圧用固定部材120前側に設けられている先細りのテーパ状の前側ファイバ支持部129から突出する部分を指す。挿入光ファイバ1先端が被覆除去刃31に当接したときの可動ガイド62の貫通孔63後端と押圧用固定部材120との間の距離L1は、可動ガイド62の貫通孔63後端と前側ファイバ支持部129前端との間を距離を指す。
前記前側ファイバ支持部129は、可動ガイド62後側のテーパ状凹部64内面に面接触可能なテーパ状の外周面を有する。押圧用固定部材120は、可動ガイド62に連結したとき、可動ガイド62のテーパ状凹部64に収納された前側ファイバ支持部129外周面がテーパ状凹部64に面接触する。
【0111】
図27に示すように、前側ファイバ支持部129は、一対の支持部半体129a、129bからなる半割り構造となっている。この前側ファイバ支持部129は、把持ベース123前端に突設された支持部半体129aに、押さえ蓋127前端に突設された支持部半体129bを閉じ合わせて、把持ベース123の支持部半体129aに前後方向に延在形成されたファイバ溝129cに配置した挿入光ファイバ1を、押さえ蓋127の支持部半体129bによってファイバ溝129cに押さえ込む。
【0112】
図15は、図28(c)に対応する同じ時点、すなわち、被覆除去された裸光ファイバ3の先端が内蔵光ファイバ12後端に突き当たった時点であり、ファイバ収容溝26上の閉じ位置に開放ガイド50が存在して、開放ガイド50が、挿入光ファイバ1のたわみ変形を規制する状態を示している。被覆除去刃31による挿入光ファイバ1の被覆除去中は、図16(a)、(b)に示すように、挿入光ファイバ1の長手方向に沿って、光ファイバ押さえ片42と開放ガイド50とが交互に存在し、両者が挿入光ファイバ1にかぶさることで、挿入光ファイバ1のたわみ変形を規制することができる。
【0113】
図14、図15に示すように、開放ガイド50の押さえ部収容凹所50gは、前記押さえ側部の前後方向に互いに離隔した2箇所に形成されている。図8、図14に示すように、光ファイバ押さえ片42は、後側ハウジング15の窓15cと、拘束部付き可動ガイド60の拘束スリーブ部61の窓61aとを貫通して設けられている。
図示例の光コネクタには、開放ガイド50の2箇所の押さえ部収容凹所50gに対応して2つの光ファイバ押さえ片42が設けられている。
【0114】
この光コネクタは、ファイバ収容溝26に対する閉じ位置に開放ガイド50が存在することにより、開放ガイド50の前端とクランプ部20との隙間56や、収容溝26後端と可動ガイド62との隙間57が、光ファイバ1の座屈のない間隔(例えば2.1mm以下)に制限されている。
【0115】
図18及び図19は、図28(d)に対応する時点、すなわち、被覆2の除去が完了した後、開放ガイド50による挿入光ファイバ1のたわみ規制を解除した状態を示す。
図20に示すように、本実施例においては、開放ガイド50がファイバ収容溝26の上へ移動することにより、ファイバ収容溝26の上方(後側延出片27の溝形成面51bに対して垂直に収容溝26から離間する方向)に挿入光ファイバ1がたわみ変形4を形成する隙間53が確保される。
【0116】
たわみ変形4した後における裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との端面同士の間に作用する荷重は、被覆除去部から被覆への反力やクランプばね24の付勢力の強さ等にも依存して、適宜変更可能であるが、例えば0.3N〜1N(30g〜100g)の範囲内であることができる。
複数の光ファイバ押さえ片42,42の間隔G(第1たわみ幅)は、挿入光ファイバ1の材質や外径等にも依存するが、一般的な樹脂被覆径が0.25mmの石英系光ファイバの場合、5〜10mm程度が挙げられる。挿入光ファイバ1の端面に加わる押圧力に対して、どの程度の間隔Gでたわみ変形4が発生するかは、挿入光ファイバ1の材質や外径等に依存して決まる弾性率などのパラメータに応じて推定することもできる。また、実験的に好適な間隔Gを決定することもできる。
【0117】
なお、光ファイバ押さえ片42とクランプ部20の後蓋部材23との間隔H(図19参照)等は、光ファイバ押さえ片42,42の間隔Gより小さいので、間隔H等には光ファイバの座屈やたわみは発生しない。
収容溝26を有する案内ベース部51は、クランプ部20のクランプベース部21と一体化されていると、収容溝26が途切れることなく形成することができるので、好ましい。
【0118】
図21は、クランプベース部21と蓋部材22,23とにより、挿入光ファイバ1及び内蔵光ファイバ12を挟み込んで、突き合わせ接続を維持した状態を示す。図7に示すように、組立部材40は、光ファイバ押さえ片42、42を組立部材ベース部材45(以下、単にベース部材45という)に突設した主ユニット部40Aと、ベース部材45から延出された突起支持部43に介挿片41を突設した可動ユニット部40Bとを有する。各光ファイバ押さえ片42の突端には光ファイバ押さえ部59が設けられている。
また、前記主ユニット部40Aは、前記ベース部材45から延出され前記突起支持部43の両側に配置された一対の弾性操作片44,44を有する。そして、この組立部材40は、図22に示すように、弾性操作片44,44を互いに接近させる方向に操作することにより、突起支持部43のベース部材45側の端部に形成された薄肉部46が弾性変形して、可動ユニット部40Bをクランプ部20から遠ざかる方向へと変位させることができる。これにより、別の工具を用意することなく、組立部材40に一体に設けられた弾性操作片44の操作によって介挿片41の抜き出しを実施することができる。
【0119】
すなわち、突起支持部43の弾性操作片44に臨む両側には、該突起支持部43の前記介挿片41が突設されている突起側からその反対の裏面側に行くにしたがって弾性操作片44側に張り出す傾斜面43aが形成されている。したがって、互いに接近させた一対の弾性操作片44,44によって突起支持部43を両側から押圧することで、可動ユニット部40Bをクランプ部20から遠ざかる方向へと変位させることができる。
また、図示例の組立部材40の弾性操作片44は、突起支持部43の傾斜面43aに対面する部分が、該傾斜面43aに平行に延在する傾斜面44aとされており、突起支持部43を押圧するときに、傾斜面43a、44a同士の当接によって、可動ユニット部40Bをクランプ部20から遠ざかる方向へと確実に変位させることができる。
【0120】
図示例の組立部材40は、プラスチック製の一体成形品である。図示例の組立部材40の前記突起支持部43は、平板状のベース部材45に垂直の板状に形成されている。前記薄肉部46は、ベース部材45側の端部に形成された溝47によって、突起支持部43が局所的に薄肉とされた部位を指す。
突起支持部43は、細長板状の前記ベース部材45の長手方向片端から該ベース部材45の長手方向の仮想延長に沿って延出している。介挿片41及び光ファイバ押さえ片42は、突起支持部43とベース部材45とが構成する細長形状の部材本体の長手方向の複数箇所から互いに同じ方向に突出している。
【0121】
また、この組立部材40は、互いに接近させた一対の弾性操作片44,44によって突起支持部43を両側から押圧したときに、突起支持部43のベース部材45側の端部に形成された薄肉部46がヒンジ部となって突起支持部43がベース部材45に対して傾動し、可動ユニット部40Bをクランプ部20から遠ざかる方向へと変位させることができる。
その結果、この組立部材40は、裸光ファイバ3及び内蔵光ファイバ12を挟み込む前蓋部材22が閉じた後、若干の時間差を経て、被覆光ファイバ1を挟み込む後蓋部材23を閉じることができる。これにより、裸光ファイバ3及び内蔵光ファイバ12の突き合わせ接続をより良好にすることができる。
弾性操作片44の操作は、片手で「つまむ」といった簡単な操作であり、作業性に優れる。
【0122】
図23及び図24は、挿入光ファイバ1の固定後、光ファイバ押さえ片42,42を収容溝26の上から外した状態を示す。これにより、ファイバ収容溝26に収容された挿入光ファイバ1に、曲げ半径R=10mm程度の大きな(緩やかに湾曲する)たわみ変形7が形成されるので、挿入光ファイバ1のたわみによる損失を低減することができる。このときのたわみ変形7は、光コネクタにおけるクランプ部20(具体的には挿入光ファイバ1を把持固定した第2クランプ部の後蓋部材23)と可動ガイド62との間の離隔距離をたわみ幅(第2たわみ幅7a)とする湾曲(曲げ)変形である。光ファイバ押さえ片42,42を収容溝26の上から外したときには、光ファイバ押さえ片42,42の間隔G(第1たわみ幅4a)に比べて格段に大きいたわみ幅を以て、挿入光ファイバ1の曲げ変形を緩やかにすることができる。
以上の手順により、本実施例の光コネクタ100を組み立てることができる。
【0123】
なお、既述のように、たわみ幅とは、挿入光ファイバにおける押圧力の付与されて撓む可能性がある部分の長さをいう。
図19、図24等の図示例では、第1たわみ幅4aは間隔Gと同じであり、第2たわみ幅7aは、クランプ部20の後蓋部材23と可動ガイド62(詳細には貫通孔63前端)との間の離隔距離と同じである。
【0124】
図1、図3に示すように、図示例の光コネクタ100は、押圧用固定部材120の引き留め手段として、後側ハウジング15に枢着された引き留めカバー17を有している。図1、図11(a)、(b)に示すように、この引き留めカバー17は、後側ハウジング15後端部の押圧部材受け部16に収納された押圧用固定部材120に上(図1、図3、図11(a)、(b)において上側)から被せるカバー板17dの両側に細長形状の回動アーム17eが互いに平行に設けられた構成のカバー本体17Hを有している。この引き留めカバー17は、一対の回動アーム17eの前記カバー板17dから突出された先端を、回転軸17a(図3参照)によって、後側ハウジング15に該後側ハウジング15の左右方向(押圧部材受け部16の一対の側板部16bの間隔方向)の回転軸線を以て回動可能に枢着してハウジング100Hに設けられている。
【0125】
この引き留めカバー17は、前記回転軸17aを中心に回動させることで、前記カバー板17dを、押圧部材受け部16に収納された押圧用固定部材120上に被せることができる(図23、図24参照)。このときの押圧部材受け部16に対する位置を被せ位置とも言う。また、この引き留めカバー17は、押圧部材受け部16に対して被せ位置に配置したときに、カバー板17dが押圧部材受け部16の底板部16aに沿う向きとなる。また、引き留めカバー17は、カバー板17dの、被せ位置に配置したときに押圧部材受け部16の底板部16aに対面する側(以下、裏面側とも言う)にリブ状に張り出す一対の回動アーム17eの間に、押圧部材受け部16の底板部16aから突出する一対の側板部16bの突端部(上端部)を収納する。
【0126】
図1等に示すように、この引き留めカバー17のカバー本体17Hには、押圧部材受け部16との係合によって、引き留めカバー17を被せ位置に配置した状態を保つラッチ17fが突設されている。図11(a)、(b)に示すように、図示例の光コネクタ100の押圧部材受け部16は、一対の側板部16bの後端部下側に、押圧部材受け部16の左右両側の側面から窪む係合凹所16gを有している。引き留めカバー17は、カバー本体17Hの、前記押圧部材受け部16の左右方向に一致する左右方向両側から裏面側に突出されている前記ラッチ17fの先端の突爪17gを、押圧部材受け部16の左右両側から前記係合凹所16gに入り込ませて押圧部材受け部16に係合させることで押圧部材受け部16に対する開放が規制され、被せ位置に配置された状態を安定に保てる。
【0127】
図23、図24に示すように、引き留めカバー17は、前記被せ位置に配置したときに、カバー本体17Hの回転軸17aとは反対側の端部から裏面側に突設されている後退規制片17bを、押圧用固定部材120の後側に配置できる。
後退規制片17bは、押圧用固定部材120から後方に延出する光ファイバケーブル5を避けて、押圧部材受け部16の左右方向に一致する押圧用固定部材120の左右両側の壁部の後側に配置される。また、この後退規制片17bは、図3に示すようにコネクタ本体101のフェルール10後端部のフランジ部10bがハウジング100H前端部内側のストッパ壁部14aにその後側から当接しているとき(すなわち、コネクタ本体101がハウジング100Hに対する前側移動限界位置にあるとき)に、押圧用固定部材120から後方に離隔した位置に配置される。
コネクタ本体101がハウジング100Hに対する前側移動限界位置にあるときの後退規制片17bの押圧用固定部材120から後方への離隔距離は、例えば、コネクタ本体101のハウジング100Hに対する前側移動限界位置から後側への可動距離(ハウジング100H後側への押し込み可能量)と同じか、それよりも短く設定する。これにより、押圧用固定部材120が後退規制片17bに当接する位置を、ハウジング100Hに対するコネクタ本体101の後側移動限界位置とする。
【0128】
さらに、図24に示すように、前記引き留めカバー17は、前記被せ位置に配置したときに、可動ガイド62のガイド本体65に係合している押圧用固定部材120の弾性係止片124と、該弾性係止片124を介してガイド本体65とは反対側の押圧部材受け部16の側壁部16bとの間の隙間に挿入されて、弾性係止片124の前記ガイド本体65に対する係合解除を防止する係合ロック片17cを有している。この係合ロック片17cは、カバー本体17Hの左右両側から裏面側に突出されており、前記隙間に挿入されることで、前記ガイド本体65から離隔する方向への弾性係止片124の弾性変形を防ぎ、前記ガイド本体65に対する弾性係止片124の係合状態を安定に保つ。
【0129】
なお、引き留めカバー17を被せ位置に配置するのは、押圧用固定部材120の前進によって可動ガイド62を前進限界位置に到達させた後であれば、いつでも可能である。
【0130】
以上、本発明を最良の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の最良の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば光コネクタの具体的構成は、本発明の技術的思想に適合する限り、なんら限定されるものではない。光コネクタを組み立てる具体的手順も、光コネクタの具体的構成に応じて改変可能である。
【0131】
クランプ部の構成は、光ファイバを調心して端面同士の突き合わせ接続をクランプ保持する構成のものであれば、構造や形状は特に限定されるものではない。例えば、素子の基体に対向する蓋体の個数は1個でも複数個でもよい。
本発明は、フェルールに複数の内蔵光ファイバが内挿固定された光コネクタに適用することもできる。この場合、クランプ部に設けられる位置決め溝などの調心機構は、少なくとも、内蔵光ファイバの本数分設ければ、該光コネクタによってコネクタ成端される光ファイバのそれぞれを、調心機構によって内蔵光ファイバと光接続させることができる。
挿入光ファイバに固定する押圧用固定部材としては、光ファイバケーブル端末を把持して該光ファイバケーブル端末に取り付けられる外被把持部材に限定されない。押圧用固定部材としては、挿入光ファイバとして用いる被覆付き光ファイバを直接把持して該被覆付き光ファイバに取り付けることができる構成のものも採用可能である。
光コネクタとしては、フェルールを収納するハウジングを有していないものも採用可能である。例えば、上述の実施形態の光コネクタ100のコネクタ本体101自体を光コネクタとして用いることも可能である。
【0132】
また、上述の実施形態では、可動ガイドを具備する構成の光コネクタを例示したが、本発明に係る光コネクタとしては、可動ガイドを具備していないものも採用可能である。
すなわち、本発明に係る組立方法を適用する光コネクタとしては、被覆除去部によって被覆除去された裸光ファイバと内蔵光ファイバとが突き合わされた状態で、開放ガイドを、例えばベース部材(上記実施形態では案内ベース部)に対するスライド移動、ベース部材からの離間等によって、ベース部材の案内部上に空間を形成するように移動させることが可能な構成のものであれば良い。
そして、光コネクタは、かかる構成により、ベース部材からの離間前は閉じ位置に開放ガイドが配置された状態で被覆除去を円滑に行った後に、挿入光ファイバのたわみ変形を許容して、挿入光ファイバ先端の裸光ファイバと内蔵光ファイバとの突き合わせ接続をより良好にすることができる。
【0133】
開放ガイドの前進は、可動ガイドを介することなく、光ファイバ把持部(上記実施形態では押圧用固定部材)によって直接行っても良い。光ファイバ把持部の前進に基づき前記ベース部材から開放ガイドを離間させる構造としては、開放ガイドを光ファイバ把持部に押圧されて前進する可動ガイドによって押圧することで、開放ガイドを例えば斜め前方への移動等によってベース部材から離隔(離間)させる構成に限定されない。この構造としては、例えば、光ファイバ把持部によって直接、開放ガイドを押圧することで、開放ガイドをベース部材から離隔(離間)させることができる構成であっても良い。
また、挿入光ファイバは、必ずしも光ファイバ把持部を固定したものである必要は無く、光ファイバ把持部を取り付けていない挿入光ファイバを使用しても良い。
光ファイバ把持部としては、光ファイバに着脱可能に固定できる構成のものも採用可能である。この点、挿入光ファイバの先端部に組み立てた光コネクタとしては、光ファイバ把持部を具備する構成のものの他、光ファイバ把持部を具備していない構成も採り得る。すなわち、光ファイバ把持部は、挿入光ファイバの先端部に組み立てた光コネクタの構成要件に含まれる場合と、含まれない場合とがある。
【0134】
上述の実施形態では、可動ガイドを、光ファイバ把持部によって後側から押して、ベース部材(上述の実施形態では案内ベース部51)及び開放ガイドとの間の隙間を短縮しつつ前進させる構成を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、光ファイバ把持部の前進に基づいて、ベース部材及び/又は開放ガイドを移動して、ベース部材の案内部上に空間(たわみ形成空間)を形成する構成を採用可能である。ここで、可動ガイドは、ベース部材後端及び/又は開放ガイド後端に当接する位置に設定した初期位置から光ファイバ把持部によって押して、ベース部材及び/又は開放ガイドとの間の隙間を短縮しつつ前進させることができる。
挿入光ファイバ1先端部への光コネクタ100の組立作業にあっては、挿入光ファイバのたわみ変形を許可する閉じ位置から移動された開放ガイドが開放位置に配置されるのが、被覆除去部によって被覆を除去した裸光ファイバ3先端の内蔵光ファイバ後端に対する突き当て(突き合わせ)の実現後であれば良く、光ファイバ把持部の前進に基づく開放ガイドの前進開始は、内蔵光ファイバに対する裸光ファイバの突き当て前であっても良い。
【0135】
次に、第2実施例の光コネクタ200について図31〜図35を参照しつつ説明する。図31は、光コネクタ200の後部ガイド部210を示す斜視図である。図32は、後部ガイド部210の要部を拡大した斜視図である。図33は、後部ガイド部210を示す斜視図である。図34は、後部ガイド部210の要部を拡大した斜視図である。図35は、光コネクタ200の全体斜視図である。
【0136】
図35に示すように、光コネクタ200は、挿入光ファイバ1の先端部を案内する案内構造である後部ガイド部110(図28等参照)に代えて後部ガイド部210が用いられている点、および拘束部付き可動ガイド60に代えて可動ガイド260が用いられている点で、前述の光コネクタ100(図28等参照)と異なる。
可動ガイド260は、後側ハウジング15後端の押圧部材受け部116の内側に前後移動可能に収納されている。
その他の構成については、図1〜図30に示す第1実施例に用いられている構造を採用できる。なお、図35は、引き留めカバー17を外した状態の光コネクタ200を示す。
以下の説明においては、案内ベース部251の対向面251aに垂直で対向面251aから離れる方向を上方といい、その反対の方向を下方ということがある。
【0137】
図31および図32に示すように、可動ガイド260は前後方向に延在して形成され、可動ガイド260の上面には、案内ベース部251を収容可能な収容凹部261が形成されている。収容凹部261は前後方向に沿って形成されている。
可動ガイド262には、挿入光ファイバ1を収容凹部261に導く貫通孔(図示略)を有する。可動ガイド262の後部には、挿入光ファイバ1を前記貫通孔に導くテーパ状凹部264が形成されている。
可動ガイド262の前部には、第1分割開放ガイド250Aの軸部254Aが嵌合する軸受部262aが形成され、可動ガイド262の後部には、第2分割開放ガイド250Bの軸部254Bが嵌合する軸受部262bが形成されている。
【0138】
図31および図32に示すように、後部ガイド部210は、案内ベース部251および開放ガイド250を備えている。
案内ベース部251の、開放ガイド250に対向する対向面251aには収容溝26が形成されている。
案内ベース部251の外側面251bには、段部252が形成されている。段部252は、後方に向けて案内ベース部251の幅が不連続的に小さくなる部分である。段部252より後方の部分の案内ベース部251は、段部252より前方の部分の案内ベース部251より幅が狭くなっている。
段部252の後面252aは、外側面251bの上縁から後方に向かって徐々に下降するように傾斜して形成されている。図示例の後面252aは一定角度で傾斜している。
【0139】
開放ガイド250は、第1分割開放ガイド250Aと、第2分割開放ガイド250Bの後方に設けられた第2分割開放ガイド250Bとを有する。
第1分割開放ガイド250Aは、前後方向に延在する本体部250Aaと、本体部250Aaの前端に形成された軸部254Aと、本体部250Aaの後端250Aa1から垂下する板状の動作板255とを有する。
軸部254Aは、可動ガイド262の軸受部262aに回動自在に支持されており、第1分割開放ガイド250Aは、軸部254Aを中心として本体部250Aaの後端250Aa1が案内ベース部251に対し接近および離隔するように回動可能である。
【0140】
動作板255は、本体部250Aaの後端250Aa1から下方に延出して形成されている。
動作板255は、本体部250Aaの後端250Aa1よりも後方に延出しており、この後方延出部分256の上縁256aは前後方向に沿って形成されている。動作板255の前縁255aは、後方に向かって徐々に下降するように傾斜している。
動作板255と段部252は、開放ガイド250を前記閉じ位置から案内ベース部251に対する開放位置に退避(移動)させる蓋部材移動機構を構成する。
【0141】
第2分割開放ガイド250Bは、前後方向に延在する本体部250Baと、本体部250Baの後端に形成された軸部254Bとを有する。
本体部250Baは、第1分割開放ガイド250Aの本体部250Aaの後端250Aa1の近傍に位置している。
軸部254Bは、可動ガイド262の軸受部262bに回動自在に支持されており、第2分割開放ガイド250Bは、軸部254Bを中心として本体部250Baの前端250Ba1が案内ベース部251に対し接近および離隔するように回動可能である。
【0142】
図31および図32に示す状態では、第1分割開放ガイド250Aの本体部250Aaは後方に向かって徐々に下降する姿勢とされ、後端250Aa1は、案内ベース部251の対向面251aに接するか、または対向面251aに近い位置にある。
同様に、第2分割開放ガイド250Bの本体部250Baは、前方に向かって徐々に下降する姿勢とされ、前端250Ba1は、案内ベース部251の対向面251aに接するか、または対向面251aに近い位置にある。
この位置(閉じ位置)の開放ガイド250は、挿入光ファイバ1を前記収容溝26に押さえ込んで、挿入光ファイバ1のたわみ変形を規制できる。
【0143】
開放ガイド250は、被覆除去部材30の被覆除去部31により被覆2を除去する間は、図31および図32に示す閉じ位置に配置されて、挿入光ファイバ1のたわみ変形を規制する。
挿入光ファイバ1先端の裸光ファイバ3の内蔵光ファイバ12後端に対する突き当ての達成後、可動ガイド262の前進によって、次に示すように、開放ガイド250が案内ベース部251に対して開放位置に移動して挿入光ファイバ1のたわみ変形を許可する。
【0144】
図33および図34に示すように、押圧用固定部材(図28等参照)等によって可動ガイド262および開放ガイド250を案内ベース部251に対して前進させると、第1分割開放ガイド250Aの動作板255の前縁255aが案内ベース部251の段部252の後面252aに当接し、後面252aの傾斜に従って上昇する。このため、第1分割開放ガイド250Aは軸部254Aを中心として回動し、後端250Aa1は案内ベース部251から離隔する。
動作板255が上昇するため、動作板255の上縁256aによって第2分割開放ガイド250Bの前端250Ba1が押し上げられ、第2分割開放ガイド250Bは、軸部254Bを中心として回動し、前端250Ba1が案内ベース部251から離隔する。
これにより、開放ガイド250は開放位置(図33および図34参照)となり、案内ベース部251と開放ガイド250との間にたわみ変形4を形成可能な隙間(空間)が形成される。
【0145】
次に、第3実施例の光コネクタ300について図36〜図38を参照しつつ説明する。図36は、光コネクタ300の後部ガイド部310の動作を模式的に説明する斜視図である。図37は、後部ガイド部310の動作を模式的に説明する下面図である。図38は、後部ガイド部310の動作を模式的に説明する断面図である。
光コネクタ300は、挿入光ファイバ1の先端部を案内する案内構造である後部ガイド部110(図28等参照)に代えて後部ガイド部310が用いられている点で、前述の光コネクタ100(図28等参照)と異なる。
その他の構成については、図1〜図30に示す第1実施例に用いられている構造を採用できる。
【0146】
図36および図37に示すように、後部ガイド部310は、案内ベース部351および開放ガイド350を備えている。
案内ベース部351の対向面351aには収容溝26が形成されている。
案内ベース部351の外面351bには、開放ガイド350を回動させる当接突起352が形成されている。
図37に示すように、当接突起352の後縁352aは、収容溝26に垂直な面に対し傾斜して形成されている。図示例の当接突起352は平面視略三角形であり、後縁352aは収容溝26に垂直な面に対し一定角度で傾斜している。
【0147】
図36に示すように、開放ガイド350は、略円筒状の回動体353と、回動体353の内面から突出した押さえ部354とを有する。
回動体353は、案内ベース部351が挿通可能な内部空間を有し、案内ベース部351に対して軸回り方向に回動自在とされている。
図38(a)に示すように、押さえ部354は、回動体353の中心軸に向かって徐々に幅が狭くなるように形成され、断面円弧状の先端面354aで挿入光ファイバ1をファイバ収容溝26に押さえ込むことができる。
【0148】
図37に示すように、回動体353の前端353aには、回動体353の軸線方向に対し傾斜した当接傾斜部353bが形成されている。図示例では、前端353aの一部が当接傾斜部353bとされ、その傾斜方向は当接突起352の後縁352aの傾斜方向とほぼ同じである。
当接突起352と回動体353は、開放ガイド350を前記閉じ位置から案内ベース部351に対する開放位置に退避(移動)させる蓋部材移動機構を構成する。
【0149】
図36(a)、図37(a)および図38(a)に示す状態では、案内ベース部351は回動体353に挿通している。
押さえ部354の先端面354aは収容溝26に対向しており、収容溝26内の挿入光ファイバ1を上から押さえ込むことができる位置にある。この位置(閉じ位置)の開放ガイド350は挿入光ファイバ1のたわみ変形を規制できる。
図36(b)および図37(b)に示すように、開放ガイド350を案内ベース部351に対して前進させると、回動体353の当接傾斜部353bが当接突起352の後縁352aに当接する。
【0150】
開放ガイド350は、被覆除去部材30の被覆除去部31により被覆2を除去する間は、前記閉じ位置に配置されて、挿入光ファイバ1のたわみ変形を規制する。
挿入光ファイバ1先端の裸光ファイバ3の内蔵光ファイバ12後端に対する突き当ての達成後、開放ガイド350の前進によって、次に示すように、開放ガイド350は、案内ベース部351に対して開放位置に移動して挿入光ファイバ1のたわみ変形を許可する。
【0151】
図36(c)および図37(c)に示すように、押圧用固定部材(図28等参照)等によって開放ガイド350を案内ベース部351に対して前進させると、回動体353には、当接突起352の後縁352aの傾斜に従って右回り方向の回転力が加えられ、右回りに回転する。
このため、図38(b)に示すように、押さえ部354は右回り方向に移動し、先端面354aは収容溝26に対向する位置から移動する。
これにより、開放ガイド350は開放位置(図36(c)、図37(c)および図38(b)参照)となり、案内ベース部351と、開放ガイド350の先端面354aとの隙間が大きくなり、挿入光ファイバ1のたわみ変形4が可能となる。
【0152】
図39は、後部ガイド部の他の例を示すもので、この例では、案内ベース部351の外面351bに、当接突起352に代えて当接突起362が形成されている。
当接突起362は、平面視略三角形の本体部362aと、本体部362aから回動体353に向かって軸線に沿って延出するストッパ部362bとを備えている。
回動体353の前端353aには、軸線に平行な当接ストッパ部353cが当接傾斜部353bに連なって形成されている。
この例では、回動体353の当接ストッパ部353cが当接突起362のストッパ部362bに当接して左回り方向の回転が規制される。
このため、当接ストッパ部353cがストッパ部362bに当接する位置を図38(a)に示す閉じ位置とすれば、開放位置にある開放ガイド350を閉じ位置に戻すのが容易になる。
【符号の説明】
【0153】
1…被覆付き光ファイバ(挿入光ファイバ)、2…被覆、3…裸光ファイバ、4…たわみ変形、10…フェルール、12…内蔵光ファイバ、20…クランプ部、21…第2ベース部材(クランプベース部)、25…調心溝(V溝)、26…(ベース部材の)案内部(光ファイバ収容溝)、30…被覆除去部材、31…被覆除去部(被覆除去刃)、50…開放ガイド、50A・・・本体部、50B・・・押さえ込み部、51…ベース部材(案内ベース部)、52…当接突起、52Ac、52Bc…後面(傾斜面)、53…空間(隙間)、54…収容凹部、54Ac、54Bc…後面(当接面)、100…光コネクタ、101…光コネクタ(コネクタ本体)、110…案内構造(後部ガイド部)、120…光ファイバ把持部(押圧用固定部材)、P…突き合わせ部(突き合わせ接続部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内蔵ファイバを内蔵したフェルールと、
互いの対向面のそれぞれに、前記内蔵ファイバと突き合わせる挿入光ファイバを案内する案内部を有し、これらの案内部どうしの間にたわみを規制しつつ前後方向に移動可能に挿入光ファイバを挟み込むベース部材及び開放ガイドと、
前記ベース部材及び開放ガイドの前方に配され、前記ベース部材及び開放ガイドの案内部どうしの間に挟みこまれて前進してきた前記挿入光ファイバの被覆を除去する被覆除去部と、
前記被覆除去部によって被覆の除去された裸光ファイバと前記内蔵光ファイバとの突き合わせ部分を把持固定可能なクランプ部とを備え、
前記開放ガイドは、前後方向に移動可能であり、
前記ベース部材の前記対向面に、前記開放ガイドを前方に移動させた際に前記開放ガイドが当接する当接突起を形成し、
前記裸光ファイバと前記内蔵光ファイバとが突き合わされた状態で、前記開放ガイドを前方に移動させ前記当接突起に乗り上げさせて、前記ベース部材の案内部上に空間を形成し、前記挿入光ファイバを前記空間でたわみ変形させることができ、その状態で、前記クランプ部で前記裸光ファイバと前記内蔵光ファイバの突き合わせ部分を把持固定可能である光コネクタ。
【請求項2】
前記当接突起は、前方に向かうほど徐々に前記対向面からの高さを増す傾斜面である押上げ面を有する請求項1記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記開放ガイドに、前記押上げ面に当接して、前記開放ガイドの前方への移動によって前記開放ガイドを前記ベース部材から離れる方向に導く当接面を有する請求項2記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記当接突起は、前記ベース部材の対向面に、前記案内部の両側にそれぞれ形成されている請求項1〜3のうちいずれか1項記載の光コネクタ。
【請求項5】
前記開放ガイドは、前記ベース部材を包囲して、前記被覆除去部による被覆除去中に前記ベース部材の案内部上に空間を形成することのないように前記ベース部材を押さえ込むアーチ状の押さえ込み部を有し、
前記ベース部材の外面には、前記押さえ込み部を収容可能な溝部が形成され、
前記押さえ込み部は、前記開放ガイドを前記空間が形成されるように移動させる際に、前記溝部に挿入されて前記押さえ込みを解除可能である請求項1〜4のうちいずれか1項記載の光コネクタ。
【請求項6】
前記ベース部材は、前記開放ガイドを包囲して、前記被覆除去部による被覆除去中に前記ベース部材の案内部上に空間を形成することのないように前記開放ガイドを押さえ込むアーチ状の押さえ込み部を有し、
前記開放ガイドの外面には、前記押さえ込み部を収容可能な溝部が形成され、
前記押さえ込み部は、前記開放ガイドを前記空間が形成されるように移動させる際に、前記溝部に挿入されて前記押さえ込みを解除可能である請求項1〜4のうちいずれか1項記載の光コネクタ。
【請求項7】
前記挿入光ファイバは、光ファイバ把持部により把持され、
前記光ファイバ把持部の前進に基づき、前記開放ガイドを前方に移動させる請求項1〜6のうちいずれか1項記載の光コネクタ。
【請求項8】
挿入光ファイバの先端部を、互いの対向面のそれぞれに案内部を有するベース部材及び開放ガイドの前記案内部どうしの間に挟み込んで、たわみを規制しつつ前進させ、前記挿入光ファイバの被覆を前記ベース部材及び開放ガイドの前方に配された被覆除去部で除去し、
前記被覆除去部によって前記被覆の除去された裸光ファイバが、フェルールに内蔵された内蔵ファイバと突き合わせられた状態で、前記開放ガイドを前方に移動させ、前記ベース部材の前記対向面に形成された当接突起に乗り上げさせて前記ベース部材の案内部上に空間を形成し、前記空間で前記挿入光ファイバをたわみ変形させ、
その状態で、前記クランプ部で前記裸光ファイバと前記内蔵光ファイバの突き合わせ部分を把持固定する光コネクタの組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2013−15793(P2013−15793A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150454(P2011−150454)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(591044647)株式会社 スズキ技研 (36)
【Fターム(参考)】