説明

光ディスク装置

【課題】 特定の光ディスクであるか否かを精度良く判別することができる光ディスク装置を提供すること。
【解決手段】 特定の光ディスクにはデータを書き込まない光ディスク装置20であって、光ピックアップ24と、光ディスクに対して所定波長の光を照射する光照射手段40、42、44と、光ディスクに所定波長の光を照射したときの反射光を受光する受光手段46と、受光手段46が受光した、光ディスクからの反射光に基づき、光ディスクが特定の光ディスクか否かを判別する判別手段52と、判別手段52が、光ディスクが特定の光ディスクではないと判別した場合には、データ書き込みを実行しないように制御する制御手段54と、光照射手段40、42、44が所定波長の光を光ディスクに対して照射する際に、光ピックアップ24を光ディスクに対する所定位置に配置させるセット手段27を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに対してデータの書き込みが可能な光ディスク装置に関し、より詳細には特定の光ディスクにのみデータの書き込みが可能な光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データを書き込み可能なCD−R、CD−RW、DVD−RAM、DVD−R、DVD−RW、DVD+R、DVD+RW等の光ディスクは、容易に消費者が入手でき、消費者は光ディスク装置を用いて自らデータの書き込みを光ディスクに行うことが一般的である。
【0003】
一方、喫茶店等におけるビジネスにおいては、店舗内に光ディスクへのデータ記録可能な光ディスク装置と、音楽等のコンテンツを予め記憶しているかまたはこのようなコンテンツを提供するWEBサイト上からダウンロード可能に設けたコンテンツ提供装置(例えばパーソナルコンピュータ)を設置し、入店した顧客に顧客の好きなコンテンツを有料で光ディスクに記録してもらうサービスの提供が検討されている。
【0004】
かかるサービスでは、店舗側でコンテンツおよび光ディスクを有料で販売し、顧客は店舗側で販売した光ディスクを用いてコンテンツの記録を行ってもらうことが考えられている。
しかし、顧客が自ら持ち込んだ光ディスクにコンテンツを勝手に記録するような事態になると、店舗側での光ディスクの販売による利益を上げることができない。
【0005】
そこで、店舗側で販売する光ディスクには、一般に販売されている光ディスクとは異なる特性を持たせ、光ディスク装置ではこの特性から店舗側で販売した光ディスクであるか否かを判断し、店舗側で販売した光ディスクにのみコンテンツの記録が可能となるような機能を持たせることが望まれている。
【0006】
一般に販売されている光ディスクとは異なる特性を有する光ディスクの例として、特許文献1や特許文献2に記載されているようなものが挙げられる。
特許文献1に開示されている光ディスクは、蛍光体微粒子を混入させた透明な特殊インクを用いて判別用のマークを光ディスク内に描いておき、所定波長の光を照射することにより、特殊インク中の蛍光体を発光させることでマークを浮かび上がらせ、特定の光ディスクであるか否かを判別しようとするものである。
【0007】
また、特許文献2には、データ記憶用のカートリッジに対してカートリッジの種類に応じて異なる発光材料であるマーカーを設けておき、そのカートリッジがドライブでの使用に適しているか否かを識別する構成が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開平7−192385号公報
【特許文献2】特表2001−517847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
光ディスク材料に蛍光体を混入させた場合、蛍光体を発光させるべく何らかの波長の光(判別光)を照射し、且つ光ディスク内の蛍光体が発光した光を正確に検出する必要がある。
このような光ディスク装置においては、判別光の照射手段や、蛍光体が発光した光を検出するための受光手段を配設しなければならないが、これらの各手段と、光ピックアップとの配設位置が交錯してしまうことがある。このように、光ピックアップと判別光を照射する手段および受光手段の位置関係によっては、光ピックアップにより受光手段の受光状態が変化し、場合によっては特定の光ディスクであるか否かを正確に判別することができなくなるおそれがあった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、特定の光ディスクであるか否かを精度良く判別することができる光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかる光ディスク装置によれば、特定の光ディスク以外の光ディスクにはデータを書き込まないようにする光ディスク装置であって、光ピックアップと、装着された光ディスクに対して所定の波長の光を照射する光照射手段と、光ディスクに前記所定の波長の光を照射したときの反射光を受光する受光手段と、該受光手段が受光した、前記所定の波長の光を照射したときの光ディスクからの反射光に基づいて、装着されている光ディスクが前記特定の光ディスクか否かを判別する判別手段と、該判別手段が、装着されている光ディスクが前記特定の光ディスクではないと判別した場合には、データ書き込みを実行しないように制御する制御手段と、前記光照射手段が所定の波長の光を光ディスクに対して照射する際に、前記光ピックアップを光ディスクに対する所定位置に配置させるセット手段と、を具備することを特徴とする光ディスク装置である。
この構成を採用することによって、光ピックアップからの光の反射が一定になり、特定の波長を有する、光ディスク判別用の光を受光手段が常に一定状態で受光することができるので、光ディスク判別を高い精度で実行することができる。
【0012】
また、前記光ピックアップの位置が前記所定位置であったか否かを確認する光ピックアップ位置確認手段を有していることを特徴とする。
これにより、光ピックアップの所定位置が予め設定された範囲内にあるかないかを確認することができるため、光ディスク判別用の光の受光状態を精密に揃えることができ、光ディスクの判別精度を向上させることができる。
【0013】
また、前記光ピックアップ位置確認手段により、前記光ピックアップが前記所定位置でなかったことが確認された場合、再度、前記光照射手段が、所定波長の光を前記光ディスクに照射し、前記受光手段が前記所定波長の光による光ディスクからの反射光を受光し、前記判別手段が、前記受光手段が受光した、前記所定の波長の光を照射したときの光ディスクからの反射光に基づいて、装着されている光ディスクが前記特定の光ディスクか否かを判別することを特徴とする。
これにより、光ピックアップが所定位置になかった場合において、受光手段の受光状態の変化による反射光の測定誤差を除去することができ、より正確な光ディスクの判別をすることが可能になる。
【0014】
また、前記セット手段は、ステッピングモータを有していることを特徴とする。
この構成により、光ピックアップを光ディスクに対して精密に位置決めすることができるので、さらに精度良く光ディスクの判別をすることができる。
さらに、前記所定位置は、装着された光ディスクの最外周部であることを特徴とする。
このように、光ピックアップを光照射手段や受光手段から可及的に離反させることにより、光ピックアップによる受光手段への判別光の入光状態への影響を低減させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる光ディスク装置によれば、装着された光ディスクが特定の光ディスクである場合にのみデータの書き込みを実行する際において、特定の光ディスクであるか否かの判定を、極めて精度良く判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明にかかる好適な実施例を添付図面に基づいて説明する。
まず、本発明の光ディスク装置の構成を、図1に基づいて説明する。
光ディスク装置20は、装着された光ディスク21にデータ書き込み可能に設けられており、装着された光ディスク21が特定の光ディスクか否かを判別し、特定の光ディスクである場合にのみデータ書き込み可能とする機能を有するものである。
【0017】
まず、光ディスク装置20における通常の動作を実行する構成要素について説明する。
光ディスク装置20は、光ディスク21を回転させるスピンドルモータ22と、光ディスク21にレーザ光を照射すると共に光ディスク21から反射されたレーザ光を受光する光ピックアップ24とを具備している。
光ピックアップ24は、送りモータ27の駆動によりスレッド軸25上を光ディスク21の径方向に移動可能に設けられている。光ピックアップ24は、CPU48により出力される送り制御信号iに基づいて動作する送りモータ(ステッピングモータ)27により、光ディスク21に対する位置が設定される。すなわち、請求項でいうところのセット手段とは、CPU48と送りモータ(ステッピングモータ)27により構成されている。
【0018】
光ピックアップ24で受光した光ディスク21からのレーザ反射光強度信号aは、RFアンプ26に出力される。RFアンプ26では、トラッキングエラー信号b、フォーカスエラー信号c、ウォブル信号d等の各制御信号が生成される。
RFアンプ26で生成されたトラッキングエラー信号b、フォーカスエラー信号cは、サーボプロセッサ28に入力され、サーボプロセッサ28はこれら制御信号に基づいて、光ピックアップ24のトラッキングサーボ、フォーカスサーボを制御する。
ウォブル信号dは、PLL回路31に入力され、PLL回路31ではウォブル信号に基づいてデータ書き込み時に用いる同期信号eが生成される。同期信号eは、後述するエンコーダ30に入力される。
【0019】
光ディスク21へ書き込むべきデータは、エンコーダ30内に入力され、データのEFM変調やEFM+変調等のエンコード処理がなされ、PLL回路31から入力された同期信号eに同期される。エンコーダ30でエンコード処理されたデータは、レーザドライバ32に入力される。レーザドライバ32では、エンコードされたデータに基づいて光ピックアップ24内のレーザダイオードの駆動電流量を制御し、光ピックアップ24にデータの書き込みを行なわせる。
【0020】
光ディスク装置20全体の動作は、CPU48が制御している。CPU48は、スピンドルモータ22や、サーボプロセッサ28その他の構成要素について、データ読み出し時やデータ書き込み時におけるそれぞれの動作を統括制御する。
【0021】
以下、本発明に特有な構成要素について説明する。まず、特定の光ディスクについて説明する。
本実施例で想定している特定の光ディスクとは、光ディスクを構成する材料に蛍光体を混入させたものである。
蛍光体を混入させたことにより、特定の光ディスクに所定の波長の光(以下、判別光ということがある)を照射することによって該特定の光ディスクは発光する。この発光を検出することにより、光ディスクが特定の光ディスクであるか否かを判別することができる。
なお、特許請求の範囲および本明細書中でいう、所定の波長の光を照射した時の反射光とは、光ディスク21において単に反射する光だけではなく、光ディスク21中の蛍光体が生じた蛍光を含む概念である。
【0022】
光ディスク装置20内には、光ディスク21に対して所定の波長の光(判別光)を照射するための光照射手段が設けられている。具体的には、UVを照射するUVLED40と、白色光を照射する白色LED42と、青色光を照射する青色LED44とが設けられている。各LED40,42,44は、装着された光ディスク21の記録面側に光を照射できるように光ディスク21に対して光ピックアップ24と同一の側に設けられている。
【0023】
光ディスク装置20には、各LED40,42,44が照射した光に対する光ディスク21からの反射光を受光するために,カラーセンサの一例としてのRGBセンサ46が設けられている。
RGBセンサ46は、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の3色のそれぞれの光強度を検出可能な素子であって、フォトダイオードの受光面側に赤、緑、青のフィルタのいずれかが交換可能に配設されている。赤のフィルタが受光面側に配置されているときは赤色光の光強度を検出し、緑のフィルタが受光面側に配置されているときは緑色光の光強度を検出し、青のフィルタが受光面側に配置されているときは青色光の光強度を検出することができる。
【0024】
各LED40,42,44のそれぞれの照射のオン―オフ切り換えは、CPU48により制御されている。CPU48は、各LED40,42,44に対してオン―オフ制御信号fを出力し、各LEDによる各色の光の照射を切り換えている。RGBセンサ46の各色のフィルタの切り換え処理についてもCPU48によって制御されている。すなわち、CPU48は所定のタイミングでフィルタ切換信号gをRGBセンサ46へ出力し、RGBセンサ46が検出する光の色を選択している。
【0025】
CPU48には、光ディスク判別用データが記憶されているROM等の記憶手段50が接続されている。
光ディスク判別用データとは、RGBセンサ46が、光照射手段(UVLED40、白色LED42、青色LED44)により照射された判別光による光ディスク21からの反射光を受光したときの光強度の値にもとづいて、装着されている光ディスク21が特定の光ディスクであると判定できる光強度の値に関するデータであって、予め算出して記憶手段50に記憶されている。
【0026】
さらに、CPU48には、RGBセンサ46によって受光された各光強度の値を一旦記憶させておく受光結果記憶手段55が設けられている。
受光結果記憶手段55は、CPU48内部のメモリ領域であっても、CPU外部に接続されているRAM等のメモリであってもよい。
【0027】
なお、本実施例では、UV、白色および青色の3種類の光を光ディスク21に照射した場合のそれぞれの反射光において、RGBセンサ46により受光された赤色、緑色および青色の3色の光強度値の閾値が光ディスク判別用データとして記憶されている。
これを具体的に説明すると、この光ディスク判別用データは、UVを光ディスク21に照射して得られた反射光をRGBセンサ46において受光した赤色光、緑色光および青色光の光強度値の閾値、白色光を光ディスク21に照射して得られた反射光をRGBセンサ46において受光した赤色光、緑色光および青色光の光強度値の閾値、ならびに青色光を光ディスク21に照射して得られた反射光をRGBセンサ46において受光した赤色光、緑色光および青色光の光強度値の閾値からなる。
【0028】
CPU48は、RGBセンサ46で受光されたUV、白色および青色の光を照射して得られた光ディスク21からの反射光のそれぞれにおける赤色、緑色および青色の光強度値と、記憶手段50に記憶されている各光強度値の閾値とを比較し、各色の受光強度値が閾値を越えている場合には特定の光ディスク21であると判別する判別手段52と、判別手段52によって特定の光ディスクであると判別された場合にのみデータ書き込み可能とし、特定の光ディスク以外の光ディスクであると判別された場合にはデータ書き込みを実行しないように各構成要素を制御する制御手段54とを備えている。
このような、判別手段52および制御手段54は、上記のような動作をするように記述され、予め記憶手段50に記憶されている制御プログラムをCPU48が読み込むことにより実行される。
【0029】
CPU48による制御プログラムの読み込みは、光ディスク21が装着された後に行われる。光ディスク21が装着されるまでの間、光ピックアップ24は光ディスク21の最内周に相当する位置に配設されているが、光ディスク21が装着された後には、判別光の反射を抑えるため、判別光の照射前に光ディスク21の最外周部位置に移動される。光ピックアップ24のセット位置は高精度でセットされるべきため、光ピックアップ24を光ディスク21の最外周部位置まで移動させるに必要なステッピングモータ27に与えるパルス数は、光ディスク21のアドレスと共に予めセット手段であるCPU48の記憶手段に記憶されている。
【0030】
CPU48は、光ディスク21が装着されると、光ピックアップ24が最内周位置に配設されていることを図示しない位置確認用のスイッチにより確認した後、予めCPU48の記憶手段に記憶されていたパルス数をステッピングモータ27に与えて、ステッピングモータ27を所定位置にセットする。この際、ステッピングモータ27が低速で回転するように、パルス数の周波数変換をしておけば、ステッピングモータ27の慣性により光ピックアップ24がずれてしまうことを防止できるため好適である。
このように、光ピックアップ24等による判別光の反射を抑えると共に、光ピックアップ24等による判別光の遮断状態の相違による光ディスク21の判別条件の差異を取り除くことにより、非常に高精度での光ディスク21の判別処理を行うことができる。
【0031】
また、上述したような特定の光ディスクであるか否かを判別するための機能としては、ディスク判別用データを用いて判別光を照射して得られた光ディスク21からの反射光の光強度値を閾値と比較する方法だけではない。
例えば、図2に示すように、光ディスク21がCDである場合、光ディスク21の最内周に設けられているリードイン29のATIP(Absolute Time In Pre-groove)には、製造メーカやディスクの種類といったATIP情報が光ディスク製造時に予め記録されているが、特定の光ディスクにはATIP情報に特定の光ディスクである旨のデータが記録されているはずなので、CPU48がこのATIP情報を読み込んで、判別手段52がATIP情報を基に特定の光ディスクであるか否かを判別することもできる。
【0032】
次に、光ディスク装置における特定の光ディスクの判別方法について、図3〜図5に基づいて説明する。
まず、ユーザが光ディスク21を光ディスク装置20内に挿入すると、図示しないトレイ等が駆動して光ディスク21がスピンドルモータ22の先端部のターンテーブルに装着される。これに伴い、CPU48は光ピックアップ24に試しにレーザ光を照射させ、光ディスク21からの反射光があった場合には、CPU48は光ディスク21が装着されたことを検知する(ステップS100)。
【0033】
光ディスク21が装着されたことが判明した場合には、CPU48は回転制御信号hを出力してスピンドルモータ22を所定の回転速度で回転させる(ステップS102)と共に、送り制御信号i(所要パルス数)を出力して光ピックアップ24の送りモータであるステッピングモータ27を駆動させて光ピックアップ24を光ディスク21の最外周にゆっくりと移動させる(ステップS104)。
このように、光ピックアップ24を光ディスク21の最外周に移動させるのは、光ディスク装置の構造が図6に示すような構造になっているためである。図6に示すように、光照射手段であるUVLED40、白色LED42および青色LED44と、受光手段であるRGBセンサ46は、光ピックアップ24の移動路線上に配設されており、光ピックアップ24が移動することで、UVLED40、白色LED42および青色LED44からの光の照射状態およびRGBセンサ46の受光状態に変化を生じてしまうおそれがある。一定条件で所定の波長の光を照射するためには、光ピックアップ24を光照射手段であるUVLED40、白色LED42および青色LED44と、RGBセンサ46から遠ざける必要がある。
【0034】
また、送りモータにステッピングモータ27を用いているのは、光ピックアップ24のセット位置を精密に位置決めすることにより、光ディスク21の判別条件を等しくするためである。すなわち、UVLED40、白色LED42および青色LED44の照射時に光ピックアップ24がその近傍に存在していると、これらから照射されるUV、白色光あるいは青色光を光ピックアップ24が反射してしまい、RGBセンサ46による光ディスク21からの反射光の受光に影響を与えるからである。また、光ピックアップ24の位置が異なることによってもRGBセンサ46による光ディスク21からの反射光の受光に影響を与えるおそれがあるためである。
【0035】
そして、CPU48は、光ディスク21に対して白色光を照射するように白色LED42にオン−オフ制御信号fを出力し、RGBセンサ46に対しては、光ディスク21に白色光を照射した際における反射光について赤色、緑色および青色の3色の光を受光するようにフィルタ切換信号gを出力する(ステップS106)。
白色光照射時に、RGBセンサ46が受光した各色における光強度の値は、CPU48が、受光結果記憶手段55内に記憶させておく。
【0036】
次に、CPU48は、光ディスク21に対してUVを照射するようにUVLED40にオン−オフ制御信号fを出力し、RGBセンサ46に対しては、光ディスク21にUVを照射した際における反射光について赤色、緑色および青色の3色の光を受光するようにフィルタ切換信号gを出力する(ステップS108)。
UV照射時に、RGBセンサ46が受光した各色における光強度の値は、CPU48が、受光結果記憶手段55内に記憶させておく。
【0037】
そして、CPU48は、光ディスク21に対して青色光を照射するように青色LED40にオン−オフ制御信号fを出力し、RGBセンサ46に対しては、光ディスク21に青色光を照射した際における反射光について赤色、緑色および青色の3色の反射光強度を検出するようにフィルタ切換信号gを出力する(ステップS110)。
青色光照射時に、RGBセンサ46が検出した各色における光強度の値は、CPU48が受光結果記憶手段内に記憶させておく。
【0038】
このように、本実施例によるステップS106、S108およびS110の工程によって受光される光強度の値は9つである(図5参照)。
なお、ここでの例では、白色、UV、青色の順番にLEDの光を光ディスク21に照射させたが、本発明としては光ディスク21に対して照射させる判別光の順番は、この順番に限定されるものではなく、どのような順番で照射させてもよい。
また、白色、UV、青色の各判別光を照射した時のRGBセンサ46による光ディスク21からの反射光を色別に受光させる順番も、赤色、緑色、青色の順番で受光させることに限定されるものではなく、どのような順番で受光させるようにしてもよい。
【0039】
各判別光を受光した後、光ピックアップ24は、光ディスク21に読み取り光を照射し、光ディスク21からの反射光からATIP情報をCPU48に送る(ステップS112)。CPU48が有している位置確認手段58は、予めCPU48の記憶手段に記憶されている光ピックアップ24が配設されているべき位置のアドレスと、ATIP情報による実際の光ピックアップ24の位置のアドレスとを比較し(ステップS114)、光ピックアップ24が所定位置にあったと判断した場合(ステップS114のYes側)には、CPU48が送り制御信号iを出力してステッピングモータ27を制御し、光ピックアップ24を光ディスク21の最内周に移動させる(ステップS116)。一方、光ピックアップ24が所定位置になかったと判断した場合(ステップS114のNo側)には、光ピックアップ24を一端最内周位置に戻し(ステップS115)、所定のパルス数をステッピングモータ27に与え、光ピックアップ24を再度所定位置(最外周位置)にセットしなおした後、光ディスクの判別処理を再実行させるべく、ステップS104へ戻る。
【0040】
なお、光ピックアップ24が所定位置にあったか否かを判断する際においては、光ピックアップ24から光ディスク21に照射された読み取り光に対する反射光から得られた位置情報(アドレス)と、位置確認手段58の記憶手段に予め記憶されていた位置情報(アドレス)との差が所定の閾値内に入っているか否かにより判断されている。したがって、判別光による反射光の受光状態に影響がないと考えられる程度の光ピックアップ24のずれが生じた程度では、光ディスク21の判別処理を繰り返し実行することはない。
【0041】
さらにCPU48は、光ピックアップ24に光ディスク21のリードイン29に記録されているATIP情報を読み出させる(ステップS118)。ATIP情報は、RFアンプ26を介してCPU48内に入力される。CPU48では入力されたATIP情報を解析して、当該光ディスク21が特定の光ディスクであるか否かを判断する(ステップS120)。もしも、ATIP情報に特定の光ディスクである旨の記録がされていなければ(ステップS120のNo側)、CPU48は、装着されている光ディスク21は特定の光ディスクでは無いと判別する(ステップS123)。
CPU48がATIP情報を解析した結果、特定の光ディスクである旨の記録があれば(ステップS120のYes側)、ステップS122へ移行する。
【0042】
ステップS122では、CPU48は、ステップS106、S108およびS110において予め測定して記憶させておいた、白色光、UVおよび青色光を照射したときのRGBセンサ46により受光された赤色、緑色および青色の光強度値を受光結果記憶手段55から取り出し、予め記憶させておいたディスク判別用データである各光強度値の閾値を記憶手段50から取り出し、対応するそれぞれの値を比較する。
比較の結果、測定した全ての光強度の値が閾値を越えている場合(ステップS122のYes側)には、特定の光ディスクであると判別する(ステップS124)。
【0043】
CPU48はステップS122において、受光結果記憶手段55に記憶されている各判別光を照射して得られた反射光をRGBセンサ46により赤色、緑色および青色で受光した各色の光強度の値について、記憶手段50から取り出した各色の光強度の閾値を越えないものが1つでも存在している場合(ステップS122のNo側)には、特定の光ディスクでは無いと判別する(ステップS123)。
このように、ATIP情報では特定の光ディスクであると判別された場合であっても、実際にUV、白色および青色のそれぞれの判別光を照射して反射光を測定することによって、判別の正確を期すことができる。
すなわち、通常の光ディスクに偽のATIP情報を記録し、蛍光体を混入させたように見た目の色を特定の光ディスクに模した偽特定光ディスクの製造も可能であるので、このような偽特定光ディスクを精度良く判別することができる。
【0044】
なお、特定の光ディスクではないと判別された場合(ステップS123)には、CPU48の制御手段54は、この光ディスクに対してはデータ書き込みをしないようにスピンドルモータ22、光ピックアップ24、エンコーダ30等の各構成要素を制御する(ステップS125)。
一方、特定の光ディスクであると判別された場合(ステップS124)には、この光ディスクに対しては、ユーザの操作通りにデータの書き込みを実行すべく、CPU48の制御手段54は、スピンドルモータ22、光ピックアップ24、エンコーダ30等の各構成要素を制御する(ステップS126)。
【0045】
以上本発明につき好適な実施例を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
例えば、上述してきた実施例においては、光ディスク21の判別時において、光ピックアップ24を光ディスク21の最外周部分にセットする場合についてのみ説明したが、本発明としては、常に同じ条件で判別光による光ディスク21からの反射光を受光することが可能であれば、光ピックアップ24のセット位置は、装着された光ディスク21に対して最外周位置に限定されることはない。
【0046】
また、本実施の形態においては、判別光の照射が終了した後に、光ディスク21にデータの読み取り光を照射して、光ディスクからの反射光に含まれるATIP情報により、光ピックアップ24が所定の位置にあったか否かを確認しているが、単に、所定のパルス数をステッピングモータ27に与えて最外周部位置に移動させるだけの形態とすることももちろん可能である。さらには、所定のパルス数をステッピングモータ27に与えることにより、光ピックアップ24を最外周部位置に移動させた後に、直ちに読み取り光を光ディスク21に照射してATIP情報を先に読み取り、光ピックアップ24の位置確認した後に、判別光の照射を行う形態とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明にかかる光ディスク装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】光ディスクのリードイン領域について説明する光ディスクの断面図である。
【図3】特定の光ディスクか否かを判別する方法について説明するフローチャートである。
【図4】図3のフローチャートの続きである。
【図5】光ディスク判別のために光ディスク装置が検出する光の種類をまとめた説明図である。
【図6】光ディスクの内部構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0048】
20 光ディスク装置
21 光ディスク
22 スピンドルモータ
24 光ピックアップ
25 スレッド軸
26 RFアンプ
27 送りモータ(ステッピングモータ)
28 サーボプロセッサ
29 リードイン
30 エンコーダ
31 PLL回路
32 レーザドライバ
40 UVLED
42 白色LED
44 青色LED
46 RGBセンサ
48 CPU
50 記憶手段
52 判別手段
54 制御手段
55 受光結果記憶手段
58 光ピックアップ位置確認手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の光ディスク以外の光ディスクにはデータを書き込まないようにする光ディスク装置であって、
光ピックアップと、
装着された光ディスクに対して所定の波長の光を照射する光照射手段と、
光ディスクに前記所定の波長の光を照射したときの反射光を受光する受光手段と、
該受光手段が受光した、前記所定の波長の光を照射したときの光ディスクからの反射光に基づいて、装着されている光ディスクが前記特定の光ディスクか否かを判別する判別手段と、
該判別手段が、装着されている光ディスクが前記特定の光ディスクではないと判別した場合には、データ書き込みを実行しないように制御する制御手段と、
前記光照射手段が所定の波長の光を光ディスクに対して照射する際に、前記光ピックアップを光ディスクに対する所定位置に配置させるセット手段と、を具備することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記光ピックアップの位置が前記所定位置であったか否かを確認する光ピックアップ位置確認手段を有していることを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記光ピックアップ位置確認手段により、前記光ピックアップが前記所定位置でなかったことが確認された場合、
再度、前記光照射手段が、所定波長の光を前記光ディスクに照射し、
前記受光手段が前記所定波長の光による光ディスクからの反射光を受光し、
前記判別手段が、前記受光手段が受光した、前記所定の波長の光を照射したときの光ディスクからの反射光に基づいて、装着されている光ディスクが前記特定の光ディスクか否かを判別することを特徴とする請求項2記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記セット手段は、ステッピングモータを有していることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記所定位置は、装着された光ディスクの最外周部であることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−228319(P2006−228319A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−39912(P2005−39912)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(000106944)シナノケンシ株式会社 (316)
【Fターム(参考)】