説明

光ディスク装置

【課題】単層および多層ディスクを記録再生可能な光ディスク記録再生装置において、予期せぬ再生パワーの照射から記録データを保護する。また、ディスク判別の信頼性を向上する。
【解決手段】光ピックアップに、楕円形状または円形状の分割線で複数に分割された光変調手段を備える。通常の記録再生時には光変調手段を非動作状態として、通常のNAの光スポットを用いる。一方、記録再生を行わない待機状態であるアイドル時や、ディスク判別時には、光変調手段を動作させて(NAが小さい)サイズの大きな光スポットを用いるとともに、再生パワーよりも大きな所定のパワーで照射するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに係り、特に複数の情報記録層を具備した光ディスクの記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
動作モードに応じて開口数NAを実効的に変更し光ディスクに異なる形状の光スポットを照射する技術としては、例えば特許文献1(特開平6−290485号公報)がある。
【0003】
特許文献1には、「中央部112の光透過率と側部113,113の光透過率を制御手段110からの信号によって制御可能とした。これにより、実施例2は実施例1に比べて、中央部112の光透過率を1、側部113,113の光透過率を0とすることにより、通常の集光スポットより1方向の径が大きい集光スポットを得ることができる」と記載されている。
【0004】
また特許文献1には、「シーク時には、シークに最適なトラッキングサーボ信号すなわちトラック横断信号が得られる集光スポット幅になるように、実施例15に示したような方法等で変調手段111の変調量を設定する。また、再生時には、最適な再生信号が得られる集光スポット長および幅になるように、実施例16に示したような方法等で変調手段111の変調量を設定する。」と記載されている。
【0005】
更に特許文献1には、「フォーカス引き込み開始(ステップ402)以前に集光スポット径を縦横両方向に拡大するように設定し(ステップ419)、その状態でフォーカス引き込みを完了させるようにした。そのあと実施例14〜16にしたがって集光スポットを設定する(ステップ420)。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−290485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、光ディスクの更なる大容量化のために、1枚の光ディスクに複数の情報記録層を積層する検討がなされている。最奥層の記録再生を実現する為には、それより手前の各層の反射率を積層数に応じて低く設定することが必要であり、一例として、従来のBlu−rayDisc(以下、BDと略称する)では未記録状態での反射率が追記型単層ディスクでは18%前後であり追記型2層ディスクでは6%前後であるが、これらに対応して3層ないし4層ディスク(以下、簡単のため多層ディスクと略称する)を実現するためには各層の反射率を3%前後とする必要がある。
【0008】
反射率の低下は再生信号のSignalNoiseRatio(以下、SNRと略称する)の低下を伴うので、SNRの確保のために反射率の低下に合わせて再生パワーを増加する必要がある。上記BDの例では、再生パワーが単層ディスクでは0.3mW程度であり2層ディスクでは0.7mW程度であるのに対し、多層ディスクでは1.2mW程度に増加する必要がある。
【0009】
一方で、集光ビームで加熱することによる記録膜の状態変化を記録原理とする記録型の光ディスクでは、熱エネルギーに対して感度があるために、再生パワー程度であっても長時間照射しつづけることで記録データが劣化する現象が見られることがある。以下、このような劣化現象に対する耐性を、概念として再生光耐力と呼称するが、再生光耐力を確保するためには再生パワーを抑制する必要がある。
【0010】
トレードオフの関係にあるSNR確保と再生光耐力確保とを両立するために、多層ディスクでは再生パワーを各層毎に個別に設定することが考えられる。例えば、第1層では再生パワーを1.2mWとし、第2層では1.4mWとし、第3層では1.6mWとする、といったことが考えられる。
【0011】
ところが各層毎の再生パワーが異なる場合には、フォーカスジャンプの失敗やフォーカスの誤引きこみがあると、記録データを劣化させてしまう可能性がある。例えば上記の例で第3層に引き込むつもりで誤って第1層に引き込んでしまうと、本来1.2mWの再生パワーであるべき第1層に対して1.6mWの再生パワーを照射してしまうことになり、その結果、記録データを劣化させてしまう課題がある。
【0012】
また、前述したように、単層ディスクと多層ディスクとで再生パワーが4倍程度も異なると、ディスク装着時のディスク判別(ディスク層数カウント)における再生パワーが重要となる。即ち、多層ディスクの再生パワーでディスク判別を行うと、装着されたディスクが単層ディスクや2層ディスクだった場合に記録データを劣化させてしまう課題がある。逆に、単層ディスクの再生パワーでディスク判別を行うと、多層ディスクにおいて各層の反射率が低いことに加え、ディスク表面から各層までの距離の差によって発生する球面収差の影響でフォーカス誤差信号等が歪むため、適切な信号を取得できず誤判別する可能性が高くなるという課題がある。
【0013】
本発明は、以上を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、単層および多層ディスクを記録再生可能な光ディスク記録再生装置において、予期せぬ再生パワーの照射から記録データを保護することである。また、本発明の別の目的は、ディスク判別の信頼性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の課題を解決するため、本発明では一例として特許請求の範囲記載の構成を用いる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、予期せぬ再生パワー照射からの記録データ保護が可能である。また、ディスク判別の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施例における再生準備動作のフローチャート
【図2】第1実施例における光ピックアップの構成図
【図3】第1実施例における光変調手段の平面図
【図4】第1実施例における光ディスク記録再生装置のブロック図
【図5】第1実施例における記録準備動作のフローチャート
【図6】第2実施例における光変調手段の平面図
【図7】第2実施例におけるディスク判別動作のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の詳細を説明するにあたり、便宜上、本発明における単層ないし2層の情報記録層を備えた従来の光ディスクの一例として、BDを取り上げる。また、本発明における3層または4層の情報記録層を備えた光ディスクは、やはり便宜上、BDの光学系や信号フォーマットを流用した次世代BDを想定して説明する。もっとも、本発明の本質はBDおよび次世代BDに限定されるものではなく、再生パワーに関してSNRの確保と再生光耐力の確保とがトレードオフの関係にある光記録媒体や光ディスクに適用可能である。
【0018】
以下、本発明に従う光ディスク装置及び光ディスク記録再生方法の実施例を、図面を用いて詳細に説明する。以下の実施例に示される光ディスク装置によれば、特に複数の情報記録層を具備した光ディスクに対して、予期せぬ再生パワー照射からの記録データ保護が可能となるともに、ディスク判別の信頼性が向上する。
【実施例1】
【0019】
本発明の第1実施例としての光ディスク記録再生装置の構成ならびに動作を、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図2は本実施例における光ピックアップの構成図である。本実施例における光ピックアップは、BDの対応波長である405nm帯のレーザ光源11と、このレーザ光源11を駆動するレーザ駆動回路12と、このレーザ光源11から放射された光束を平行光束に変換するコリメートレンズ13と、平行光束が透過する際に光束の一部に対して振幅を変調可能な光変調手段14と、所定の直線偏光を略100%透過し、この直線偏光と直交する直線偏光を略100%反射する偏光ビームスプリッタ15と、直線偏光を円偏光に変換し、また、円偏光を直線偏光に変換する1/4波長板16と、レンズ間距離が可変な2枚組合せレンズで構成されて装着された光ディスク30のカバー層厚さに応じて平行光束の球面収差を調整する球面収差補正手段17と、平行光束を光ディスク30の所定の情報記録層に所定のNA且つ所定の収差量以下で光スポットを形成する対物レンズ18と、この対物レンズ18をフォーカシング方向及びトラッキング方向に変位させるための対物レンズアクチュエータ19と、を備える。また、レーザ光源11から放射された光束の一部を受光して電気信号に変換するフロントモニタ20と、ディスクからの反射光束を所定の収束光束に変換する検出レンズ21と、この収束光束を受光して電気信号に変換する光検出器22と、を備える。
【0021】
レーザ光源11から放射された直線偏光の光束は、コリメートレンズ13で平行光束に変換され、光変調手段14に入射する。
【0022】
本実施例の光変調手段14は、少なくとも2つの領域に分割された液晶素子と、所定の直線偏光を略100%透過し、この直線偏光と直交する直線偏光を略100%反射する偏光素子と、で構成する。図3は本実施例の光変調手段14の平面図であり、液晶素子の分割パターンの一例を示している。本実施例において光束の主光線が透過する中央部領域14aは楕円形状であり、ディスク半径方向に対応する方向が長軸方向で、長径は対物レンズ18のNAに換算して0.7に相当し、ディスク接線方向に対応する方向が短軸方向で、短径は対物レンズ18のNAに換算して0.5に相当する。周辺部領域14bは、光変調手段制御回路42を介して電気的に動作させることで旋光度の制御が可能であり、動作状態においては透過光束が入射光束に対して90°旋光し、非動作状態においては旋光しない。一方、中央部領域14aに入射した直線偏光については、偏光方向が変化せずに透過する。また、偏光素子は、この中央部領域14aを透過した直線偏光および非動作状態で周辺部領域14bを透過した直線偏光が、略100%透過する配置とする。
【0023】
光変調手段14を透過した光束は光変調手段14が動作状態か非動作状態かに関わらず所定の直線偏光であり、この直線偏光を略100%透過する方向に配置された偏光ビームスプリッタ15に入射する。偏光ビームスプリッタ15を透過した光束は、次いで、1/4波長板16で円偏光に変換され、球面収差補正手段17で所定の球面収差が付与された後、対物レンズ18に導かれる。対物レンズ18は入射した光束を光ディスク30の情報記録層に集光して光スポットを形成する。
【0024】
前述の光変調手段14が非動作状態においては、前述のとおり光束は光変調手段14の中央部領域14aおよび周辺部領域14bを透過し、対物レンズアクチュエータ19に設けた開口制限でNA0.85相当に絞られて、BDにおける一般的な光スポットとして光ディスク30に照射される。
【0025】
一方、光変調手段14が動作状態においては、光束は中央部領域14aのみを透過するので、ディスク半径方向に関してはNA0.7相当に絞られ、ディスク接線方向に関してはNA0.5相当に絞られる。即ち、光変調手段14を開口制限として機能させることで、BDにおける一般的な光スポットよりも拡大したディスク接線方向を長軸方向とする楕円形状の光スポットを形成する。
【0026】
ここで、光変調手段14の中央部領域14aの形状をディスク接線方向とディスク半径方向とでNAが異なる楕円形状とした理由を説明する。
【0027】
まず、ディスク半径方向に関しては、プッシュプル信号の生成を考慮した。プッシュプル信号はトラッキング誤差信号として利用するほか、プッシュプル信号に重畳されたウォブル信号からアドレス情報等を再生するのに利用する。
プッシュプル信号はディスクの溝構造による回折現象を利用して生成され、0次回折光と±1次回折光との重なりを確保すること、言い換えると対物レンズの瞳に±1次回折光が入射することが、十分なプッシュプル信号を検出するための必要条件である。トラックピッチが0.32μm、波長が405nmの条件下では、NAが0.63以下では対物レンズの瞳に±1次回折光が入射せず、プッシュプル信号がほとんど検出されない。そこで、本実施例ではプッシュプル信号の検出が可能なNA0.7とした。
【0028】
また、ディスク接線方向に関しては、光スポットのエネルギー密度を考慮した。同一の入射光量に対して、光スポットのエネルギー密度は概ね光スポットの面積で決まり、円形状の場合にはNAの2乗に反比例するものとして扱うと、ディスク半径方向と同様のNA0.7とした場合の光スポットのエネルギー密度はNA0.85の光スポットに対して0.68倍であるが、更に、ディスク接線方向のNAを下げて楕円形状とすることでエネルギー密度の低減を可能とした。ただし、NAを小さくするほど、光検出器22における受光面の分割線と受光面上の光スポットとの相対位置ずれがフォーカス誤差信号の劣化に及ぼす影響が大きく、フォーカス誤差検出精度の低下を招く恐れがある。そこで本実施例では、一例として、NA0.5とした。この場合のエネルギー密度はNA0.85の光スポットに対して約半分の0.48倍である。
【0029】
図4は本実施例の光ディスク記録再生装置のブロック図である。本実施例の光ディスク記録再生装置は、光ピックアップ10と、スピンドルモータ31と、スライダ機構32と、システム制御回路40と、サーボ制御回路41と、光変調手段制御回路42と、サーボ信号生成回路43と、再生信号生成回路44と、再生信号2値化回路45と、エンコーダ46と、デコーダ47と、動作条件毎の光変調手段の駆動設定と光スポットのパワー設定値(あるいはレーザ光源11の発光パワーの設定値)を記憶する光スポット条件記憶手段48を備える。また、図示しないが、上位装置との通信を行うためにインタフェースを備える。
【0030】
光ピックアップ10の構成ならびに動作は前述したとおりである。
【0031】
システム制御回路40は、本実施例の光ディスク記録再生装置全体の動作を制御する機能を備えている。即ち、サーボ制御回路41を介して、スピンドルモータ31に装着された光ディスク30の回転制御を行い、スライダ機構32を駆動して光ピックアップ10を光ディスク30の半径方向に変位させるシーク制御及び送り制御を行い、光ピックアップ10に搭載されている対物レンズアクチュエータ19を駆動して対物レンズ18のフォーカス制御およびトラッキング制御を行い、同じく光ピックアップに搭載されている球面収差補正手段17を駆動して球面収差を補正する。また、光スポット条件記憶手段48を参照し、参照結果に応じて、前述したように光変調手段制御回路42を介して光変調手段14の動作状態と非動作状態とを切り替える。
【0032】
また、システム制御回路40は、光ピックアップ10に搭載されたフロントモニタ20の出力に基づいて、レーザ光源11の出射光量が光スポット条件記憶手段48の参照結果に基づく所定の光量となるようにレーザ駆動回路12を介してこのレーザ光源11を駆動する。なお、レーザ駆動回路12は駆動電流に所定の周波数の高周波を重畳する機能を有し、再生時にはレーザ光源11を所定のパルス波形で発光させる。記録時には、記録データ信号がエンコーダ46によって所定の変調記録によるNRZI信号に変換されてシステム制御回路40に供給され、システム制御回路40はこのNRZI信号に対応した記録ストラテジ(発光パルス列)に変換し、レーザ駆動回路12を介して所定の光強度およびパルス幅でレーザ光源11を発光させる。
【0033】
光ディスク30からの反射光束は光検出器22で受光されて電気信号に変換され、サーボ信号生成回路43および再生信号生成回路44に送られる。サーボ信号生成回路43は、装着された光ディスク30に好適な検出方法で各種のサーボ信号を選択して生成し、システム制御回路40に供給する。サーボ信号には少なくともフォーカス誤差信号とトラッキング誤差信号とが含まれる。システム制御回路40は、これらサーボ信号に基づき、前述したようにサーボ制御回路を介して対物レンズアクチュエータ19を駆動し、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボを動作させる。また、サーボ信号生成回路43で生成されたプッシュプル信号の振幅や再生信号生成回路44を介して供給された再生信号の振幅に基づいて、サーボ制御回路41を介して球面収差補正手段17を駆動し、光ディスク30のカバー層厚さに対応して球面収差を補正する。
【0034】
再生信号生成回路44は、波形等化回路とA/Dコンバータとを備えており、光ピックアップ10から供給されたアナログの再生信号に対して、所定の波形等化処理の後、標本化および量子化を行ってデジタル信号に変換し、再生信号2値化回路45に供給する。
【0035】
再生信号2値化回路45は、トランスバーサルフィルタと、ビタビ復号回路と、PRML再生系パラメータ設定回路とを備える。再生信号生成回路44から供給されたデジタル信号はトランスバーサルフィルタで所定のPRクラスに等化される。ビタビ復号回路は最尤復号を行って、この等化波形を所定の変調規則に基づくNRZI信号に変換する。PRML再生系パラメータ設定回路は、ビタビ復号回路により生成されたNRZI信号のエラーを評価する機能を備えている。また、PRクラスおよび再生波形生成回路44から供給された信号レベルに対応したトランスバーサルフィルタによるPR等化後の目標波形を決定し、この目標波形および前述のエラー評価結果に基づいて、トランスバーサルフィルタのタップ係数とビタビ復号回路における識別点レベルとを設定する機能を備えている。再生信号2値化回路45で生成されたNRZI信号はデコーダ47によって、再生データ信号に変換される。
【0036】
図1は本実施例の再生準備動作のフローチャートである。上位装置からの再生命令に対して、本実施例の光ディスク記録再生装置が再生を開始するまでの動作手順を示すものである。
【0037】
まず、光ピックアップ10をアイドルモードに設定するために、ステップ100として現時点での動作モードの確認を行い、結果に応じて処理を分岐する。アイドルモードとは、ここでは、光ディスク装置としては動作中だが装着された光ディスク30に対してデータの再生および記録を行っていない待機状態のことである。
【0038】
アイドルモードではない場合には、ステップ101として、光スポット条件記憶手段48からアイドルモードの設定値を読み出す。本実施例においては、装着された光ディスク30の種類に関わらず、光変調手段の状態は動作状態である。
一方、光スポットのパワーは光ディスク30が単層ディスクか、2層ディスクか、あるいは3層または4層ディスクか、に応じて異なる設定値とする。(後述の再生モードにおける光スポットのパワーとは異なり、3層または4層ディスクにおいて全ての情報記録層で同一の設定値とする。)前述の光スポットのエネルギー密度を考慮して、本実施例では各ディスクの標準速における再生パワーの1倍以上2倍以下の値とし、一例として、光スポットのパワーを、単層ディスクは0.5mW、2層ディスクは1.0mW、3層または4層ディスクは2.0mWとする。なお、光ディスク30が追記型ディスクか書換型ディスクかで異なる設定値とすることができる。
【0039】
また、レーザ駆動回路12による高周波重畳の設定はオフである。一般的には、高周波重畳によってレーザノイズを低減できるが、一方で再生光耐力が低下する。アイドルモードでは高周波重畳をオフにすることで、更なる再生光耐力の確保が可能である。あるいは再生光耐力が向上する分、光スポットのパワーを増加することが可能である。
【0040】
次いで、ステップ102として、光変調手段14を動作状態に設定し、レーザ光源11を装着された光ディスク30に対応した設定値で発光させる。
前述のとおり、光変調手段14を動作状態にすることで、光束をディスク接線方向に関してはNA0.5、ディスク半径方向に関してはNA0.7に開口制限し、通常のNA0.85の光スポットよりも拡大した楕円形状の光スポットを形成する。また、光スポットのパワーをNA0.85における通常の再生パワーよりも高くするとともに、光スポットのエネルギー密度をNA0.85における通常の光スポットのエネルギー密度よりも低くする。
【0041】
これにより、アイドルモードにおいて、光検出器22で受光する光量を向上してサーボ信号等のSNRを確保しつつ、再生光耐力の確保を可能とする。
ステップ100において既にアイドルモードの場合には、上記のステップ101とステップ102はスキップする。
【0042】
次いでステップ103として、アクセス動作を実施する。即ち、再生開始アドレスに応じて、スライダ機構32によって光ピックアップ10をディスク半径方向に駆動してシーク動作を行い、対物レンズアクチュエータ19を駆動して目的の情報記録層にフォーカスジャンプを行い、更にトラッキング動作を行い、ウォブル信号からアドレスを取得し、トラックを移動して再生開始アドレスのあるトラックに光スポットを位置づける。
【0043】
ところで、カバー層の厚さ誤差に対してNAの4乗に比例する球面収差が発生することが知られているが、球面収差があるとフォーカス誤差信号の波形に歪みが生じ、フォーカスジャンプの失敗する原因となる。本実施例においては、フォーカスジャンプ時にディスク半径方向に関してNA0.7およびディスク接線方向に関してNA0.5の光スポットであることから、フォーカス誤差信号の歪みが抑制されて安定したフォーカスジャンプが可能である。
【0044】
ステップ104として、光スポット条件記憶手段48から再生モードの設定値を読み出す。再生モードの設定値は、装着された光ディスク30の種類および情報記録層毎に対応させた各々の設定値として、予め光スポット条件記憶手段48に記録されている。本実施例においては、光変調手段14の状態は装着された光ディスク30の種類に関わらず非動作状態である。
【0045】
一方、光スポットのパワーは光ディスク30が単層ディスクか、2層ディスクか、3層または4層ディスクかによって(更に3層または4層ディスクにおいては情報記録層毎に)異なる設定値である。一例として、標準再生速度における光スポットのパワーを、単層ディスクは0.3mW、2層ディスクは0.6mW、3層ディスクの第1層は1.2mW、3層ディスクの第2層は1.1mW、3層ディスクの第3層は1.0mWとする。また4層ディスクの第1層と第2層は1.2mW、第3層は1.1mW、第4層は1.0mWとする。なお、光ディスク30が追記型ディスクか書換型ディスクかで異なる設定値とすることができる。
【0046】
再生倍速によって異なる再生パワーを設定できるように、各々の条件毎に設定値を光スポット条件記憶手段48に予め保持しておく。再生倍速によって再生パワーが異なる場合には、光スポット条件記憶手段48に再生倍速に対応する条件が直接記録されていない状況が起こりうる。例えば、5倍速で再生を実施したいが、設定値が記録されている条件は標準速、2倍速、4倍速、6倍速というような状況である。この場合には、4倍速と6倍速の各設定値を読み出し、線形補間等によって5倍速の設定値を計算する。
【0047】
また、レーザ駆動回路12の高周波重畳の設定はオンである。
【0048】
ステップ105として、光変調手段14を非動作状態に設定し、通常のNA0.85の光スポットとして照射する。また、ステップ104で読み出した、装着された光ディスク30の種類および情報記録層に対応した光スポットのパワーに基づいて、レーザ光源11を発光させる。即ち、BDおよび次世代BDの再生に適した標準的な光スポットを形成する。そして、必要に応じて球面収差およびフォーカスオフセットを調整する。
【0049】
以上の手順で再生準備を完了し、再生を開始する。
【0050】
図5は本実施例の記録準備動作のフローチャートである。上位装置からの記録命令に対して、本実施例の光ディスク記録再生装置が記録を開始するまでの動作手順を示すものである。
ステップ100、ステップ101、ステップ102の動作は、前述の再生準備動作と同様であり、光スポットをアイドルモードに設定する。
ステップ106として、アクセス動作を実施して記録開始アドレスのあるトラックに光スポットを位置づける。
ステップ107として、光スポット条件記憶手段48から記録モードの設定値を読み出す。記録モードの設定値は、装着された光ディスク30の種類および情報記録層毎に対応させた各々の設定値として、予め光スポット条件記憶手段48に記録されている。事前の試し書きによって決定したパワー情報やパルス補正情報を含む記録ストラテジの各設定値についても、記録モードの設定値の一部として本ステップにて読み出す。
【0051】
本実施例においては、再生モードと同様に、光変調手段14の状態は装着された光ディスク30の種類に関わらず非動作状態である。
【0052】
一方、光スポットのパワーは、記録ストラテジのバイアスパワー(またはクーリングパワー)に設定する。一般的に記録ストラテジの記録パワーや消去パワーはディスクによって様々だが、バイアスパワーはディスク間で共通化が可能であり、本実施例では、前述の再生モードにおける光スポットのパワーと同じ値とする。一例として、標準記録速度における光スポットのパワーを、単層ディスクは0.3mW、2層ディスクは0.6mW、3層ディスクの第1層は1.2mW、3層ディスクの第2層は1.1mW、3層ディスクの第3層は1.0mWとする。また4層ディスクの第1層と第2層は1.2mW、第3層は1.1mW、第4層は1.0mWとする。
【0053】
また、記録倍速によって記録ストラテジのバイアスパワーが異なる場合には、光スポット条件記憶手段に直接記録されていない設定値については、再生モードの場合と同様に、線形補間等によって計算する。
【0054】
また、レーザ駆動回路12の高周波重畳の設定はオフである。
【0055】
ステップ108として、光変調手段14を非動作状態に設定し、通常のNA0.85の光スポットとして照射する。また、ステップ107で読み出した、装着された光ディスク30の種類および情報記録層に対応した光スポットのパワーに基づいて、レーザ光源11を発光させる。即ち、BDおよび次世代BDの記録に適した標準的な光スポットを形成する。そして、必要に応じて球面収差およびフォーカスオフセットを調整する。
【0056】
以上の手順で記録準備を完了し、記録を開始する。
【0057】
以上述べてきたように、本実施例においては、特に、アイドルモードにおける光スポットのパワー設定を、3層または4層ディスクにおいて全ての情報記録層に対して同一の値とし、また、異なる再生倍速および記録倍速に対しても同一の値とすることで、アクセス動作中にフォーカスジャンプの失敗やシークの失敗があっても、情報記録層に想定以上のパワーで光スポットを照射することを防止し、記録データの保護が可能である。
【実施例2】
【0058】
本発明の第2実施例としての光ディスク記録再生装置の構成ならびに動作を、図面を参照しながら説明する。
【0059】
本実施例における光ディスク記録再生装置の構成は、後述する光ピックアップ10における光変調手段14を除いて、第1実施例と同様であり、また、各構成要素の動作も第1実施例に準ずるものなので説明を省略する。
【0060】
図6は本実施例の光変調手段14の平面図であり、液晶素子の分割パターンの一例を示している。第1実施例における楕円形状の中央部領域14aを、対物レンズのNAに換算して0.5に相当する円形状の中央部領域14cと両側の三日月状の中央側部領域14dおよび14eの3つの領域に分割し、周辺部領域14bとあわせて4つの領域を備える構成である。
【0061】
周辺部領域14bと中央側部領域14dおよび14eは、光変調手段制御回路42を介して電気的に動作させることで旋光度の制御が可能であり、動作状態においては透過光束が入射光束に対して90°旋光し、非動作状態においては旋光しない。また、中央部領域14cに入射した直線偏光については、偏光方向が変化せずに透過する。
【0062】
光変調手段14が非動作状態においては、前述のとおり光束は光変調手段14の中央部領域14c、中央側部領域14dおよび14e、周辺部領域14bを透過し、対物レンズアクチュエータ19に設けた開口制限でNA0.85相当に絞られて、BDにおける一般的な光スポットとして光ディスク30に照射される。
【0063】
光変調手段14の第1の動作状態として、周辺部領域14bのみを動作状態とし、中央側部領域14dおよび14eを非動作状態とする。即ち、第1実施例における光変調手段14の動作状態と同様であり、光束をディスク接線方向に関してはNA0.5相当、ディスク半径方向に関してはNA0.7相当に開口制限し、通常のNA0.85の光スポットよりも拡大した楕円形状の光スポットを形成する。
【0064】
また、光変調手段14の第2の動作状態として、周辺部領域14bと中央側部領域14dおよび14eをいずれも動作状態とする。この場合、光束をNA0.5相当に開口制限し、第1実施例における楕円形状の光スポットよりもディスク半径方向に拡大した円形状の光スポットを形成する。
【0065】
第1の動作状態は第1実施例と同様にアイドルモードにおける光スポットを形成するためのものであり、一方、第2の動作状態は後述するディスク判別モードにおける光スポットを形成するためのものである。ディスク判別時にはトラッキング動作が不要であり、プッシュプル信号を生成する必要がない。そこで本実施例においては、ディスク半径方向に関してもディスク接線方向と同様にNA0.5相当に開口制限する。この場合のエネルギー密度はNA0.85の光スポットに対して0.35倍である。
【0066】
図7は本実施例のディスク判別動作のフローチャートである。
ステップ111として、スライダ機構32を駆動して光ピックアップ10をディスク半径方向に変位してディスク判別を実施する半径位置に位置づける。一例として、ディスクの面振れの影響が小さい最内周位置に位置づける。
ステップ112として、後述のフォーカススイープにおいて合焦時のエネルギー注入で情報記録面がダメージを受けるのを防止するため、スピンドルモータ31を駆動して光ディスク30を回転させる。
ステップ113として、光スポット条件記憶手段48からディスク判別モードの設定値を読み出す。前述のとおり、ディスク判別モードにおける光変調手段14の動作状態は第2の動作状態であり、光ディスク30に照射される光スポットはNA0.5に相当する。光スポットのパワーの設定値は、再生パワーが最も小さい単層ディスクの情報記録面の保護と、3層または4層ディスクに対する反射光量の確保を考慮する。本実施例においては、NA0.5相当の光スポットのエネルギー密度は再生時のNA0.85の光スポットに対して0.35倍なので、再生パワーの2.8倍以下の値とし、一例として、光スポットのパワーを0.8mWとする。ただし、高周波重畳をオフにすることで、さらに光スポットのパワーを増加させることが可能である。
ステップ114として、光変調手段14を第2の動作状態に設定し、レーザ光源11を光スポットのパワーが0.8mWになるように発光させる。高周波重畳はオフとする。
ステップ115として、対物レンズアクチュエータ19を駆動して対物レンズ18をフォーカス方向に変位させてフォーカススイープ動作を実行し、フォーカス誤差信号を検出する。
ステップ116として、検出したフォーカス誤差信号に対して所定の演算処理を施す。例えば、フォーカス誤差信号振幅とゼロクロスする回数から、装着された光ディスク30の種類と層数を判別する。
【0067】
ところで、カバー層の厚さ誤差に対してNAの4乗に比例する球面収差が発生することが知られているが、球面収差があるとフォーカス誤差信号の波形に歪みが生じ、3層または4層ディスクに対して層数を誤判別する原因となっている。本実施例におけるNA0.5相当の光スポットで発生する球面収差量は、同一のカバー層の厚さ誤差に対して、NA0.85の光スポットで発生する球面収差量の0.12倍と非常に小さく抑えることができ、歪みがほとんどないフォーカス誤差信号を取得することが可能である。そのため、安定した層数判別が可能であり、また、球面収差補正手段17の初期設定を省略することができる。
【0068】
ステップ117として、取得したフォーカス誤差信号の妥当性を含めてディスク判別結果の妥当性を判定する。判別結果が妥当な場合には、ステップ116におけるディスク判別結果をもってディスク判別処理を終了する。また、妥当でない場合としては、例えばCD(コンパクトディスク)やDVDなど、BDまたは次世代BDとは異なるディスクが装着された場合が該当する。その場合には、光ピックアップ10などをCDやDVDに適した設定に変更し、説明は省略するが、本実施例とは異なるディスク判別の動作に移行する。もしくはエラー判定としてディスク判別処理を終了する。
【0069】
本実施例においては、特に、アイドルモードよりも更にNAの小さな光スポットとし、球面収差の発生を抑制するとともに再生モードよりも高いパワーの光スポット照射可能とすることで、単層ディスク、2層ディスク、3層または4層ディスクのいずれに対しても安定して情報記録層数を測定し、ディスク判別が可能である。
【0070】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであって、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0071】
また、上記の各構成は、それらの一部又は全部が、ハードウェアで構成されても、プロセッサでプログラムが実行されることにより実現されるように構成されてもよい。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0072】
10・・・光ピックアップ、11・・・レーザ光源、13・・・コリメートレンズ、14・・・光変調手段、15・・・偏光ビームスプリッタ、16・・・1/4波長板、17・・・球面収差補正手段、18・・・対物レンズ、19・・・対物レンズアクチュエータ、20・・・フロントモニタ、21・・・検出レンズ、22・・・光検出器、30・・・光ディスク、31・・・スピンドルモータ、32・・・スライダ機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスク再生装置であって、
光源と、該光源から出射された光束を集光して光ディスクの情報記録面に光スポットを形成する対物レンズと、複数に分割された領域のうち所定の領域を変調して前記光スポットの形状を変化させる光変調手段と、を具備した光ピックアップと、
前記光ピックアップを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記光変調手段を第1の動作状態として第1の光スポットを形成し、前記光源を第1の発光パワーで発光させ、前記光ピックアップおよび前記対物レンズを変位させて前記第1の光スポットを前記光ディスクの所定のトラックに位置づけ、
前記光変調手段を第2の動作状態として前記第1の光スポットよりも小さい第2の光スポットを形成し、前記光源を前記第1の発光パワーより小さい第2の発光パワーで発光させ、前記光ディスクの再生をするように制御する、
ことを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項2】
前記光変調手段は、
前記光ディスクの半径方向に対応する方向を長軸とする楕円形状の分割線で内外の領域に分割され、前記楕円形状の分割線は前記光変調手段における前記対物レンズの開口制限に対応する円形状の光束断面よりも小さいこと、を特徴とする請求項1に記載の光ディスク再生装置。
【請求項3】
前記光変調手段の動作状態と前記光源の発光パワーとを設定値として記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記記憶部を参照し、参照結果に基づいて前記光変調手段の動作状態と前記光源の発光パワーを制御すること、を特徴とする請求項1または請求項2に記載の光ディスク再生装置。
【請求項4】
光ディスク記録装置であって、
光源と、該光源から出射された光束を集光して光ディスクの情報記録面に光スポットを形成する対物レンズと、複数に分割された領域のうち所定の領域を変調して前記光スポットの形状を変化させる光変調手段と、を具備した光ピックアップと、
前記光ピックアップを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記光変調手段を第1の動作状態として第1の光スポットを形成し、前記光源を第1の発光パワーで発光させ、前記光ピックアップおよび前記対物レンズを変位させて前記第1の光スポットを前記光ディスクの所定のトラックに位置づけ、
前記光変調手段を第2の動作状態として前記第1の光スポットよりも小さい第2の光スポットを形成し、前記光源を少なくとも前記第1の発光パワーよりも小さい第2の発光パワーを含む発光パルス列で発光させ、前記光ディスクの記録をするように制御する、
ことを特徴とする光ディスク記録装置。
【請求項5】
前記光変調手段は、
前記光ディスクの半径方向に対応する方向を長軸とする楕円形状の分割線で内外の領域に分割され、前記楕円形状の分割線は前記光変調手段における前記対物レンズの開口制限に対応する円形状の光束断面よりも小さいこと、を特徴とする請求項4に記載の光ディスク記録装置。
【請求項6】
前記光変調手段の動作状態と前記光源の発光パワーとを設定値として記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記記憶部を参照し、参照結果に基づいて前記光変調手段の動作状態と前記光源の発光パワーを制御すること、を特徴とする請求項4または請求項5に記載の光ディスク記録装置。
【請求項7】
光ディスクを再生する光ディスク装置であって、
光源と、該光源から出射された光束を集光して光ディスクの情報記録面に光スポットを形成する対物レンズと、複数に分割された領域のうち所定の領域を変調して前記光スポットの形状を変化させる光変調手段と、を具備した光ピックアップと、
前記光ピックアップを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、情報記録層の層数が1層の光ディスクの再生時に、前記光変調手段を第1の動作状態として第1の光スポットを形成し、前記光源を第1の発光パワーで発光させて前記情報記録層の層数が1層の光ディスクを再生するように制御し、かつ、前記光ディスクの情報記録面の層数判別時に、前記光変調手段を第2の動作状態として前記第1の光スポットよりも大きい第2の光スポットを形成し、前記光源を前記第1の発光パワーよりも大きい第2の発光パワーで発光させ、前記対物レンズを前記光ディスクのフォーカス方向に変位させてフォーカス誤差信号を取得し、前記フォーカス誤差信号に基づいて前記光ディスクの情報記録面の層数を判別するように制御すること、を特徴とする光ディスク装置。
【請求項8】
前記光変調手段は、
円形状または楕円形状の分割線で内外の領域に分割され、前記円形状または楕円形状の分割線は前記光変調手段における前記対物レンズの開口制限に対応する円形状の光束断面よりも小さいこと、を特徴とする請求項7に記載の光ディスク装置。
【請求項9】
前記光変調手段の動作状態と前記光源の発光パワーとを設定値として記憶する記憶部を備え、
前記制御部は前記記憶部を参照し、参照結果に基づいて前記光変調手段の動作状態と前記光源の発光パワーを制御すること、を特徴とする請求項7または請求項8に記載の光ディスク装置。
【請求項10】
光ディスク装置における光ディスク再生方法であって、
前記光ディスク装置は、光源と、該光源から出射された光束を集光して光ディスクの情報記録面に光スポットを形成する対物レンズと、複数に分割された領域のうち所定の領域を変調して前記光スポットの形状を変化させる光変調手段と、を具備した光ピックアップを備えており、
前記光変調手段を第1の動作状態として第1の光スポットを形成し、前記光源を第1の発光パワーで発光させ、前記光ピックアップおよび前記対物レンズを変位させて前記第1の光スポットを前記光ディスクの所定のトラックに位置づけるステップと、
前記光変調手段を第2の動作状態として前記第1の光スポットよりも小さい第2の光スポットを形成し、前記光源を前記第1の発光パワーより小さい第2の発光パワーで発光させ、前記光ディスクの再生をするステップと、を含むことを特徴とする光ディスク再生方法。
【請求項11】
前記第1の光スポットが、前記光ディスクの接線方向を長軸とする楕円形状であること、を特徴とする請求項10に記載の光ディスク再生方法。
【請求項12】
前記光変調手段の動作状態と前記光源の発光パワーとを設定値として記憶する記憶部を参照し、参照結果に基づいて前記光変調手段の動作状態と前記光源の発光パワーを制御すること、を特徴とする請求項10または請求項11に記載の光ディスク再生方法。
【請求項13】
光ディスク装置における光ディスク記録方法であって、
前記光ディスク装置は、光源と、該光源から出射された光束を集光して光ディスクの情報記録面に光スポットを形成する対物レンズと、複数に分割された領域のうち所定の領域を変調して前記光スポットの形状を変化させる光変調手段と、を具備した光ピックアップを備えており、
前記光変調手段を第1の動作状態として第1の光スポットを形成し、前記光源を第1の発光パワーで発光させ、前記光ピックアップおよび前記対物レンズを変位させて前記第1の光スポットを前記光ディスクの所定のトラックに位置づけるステップと、
前記光変調手段を第2の動作状態として前記第1の光スポットよりも小さい第2の光スポットを形成し、前記光源を少なくとも前記第1の発光パワーよりも小さい第2の発光パワーを含む発光パルス列で発光させ、前記光ディスクの記録をするステップと、を含むことを特徴とする光ディスク記録方法。
【請求項14】
前記第1の光スポットが、前記光ディスクの接線方向を長軸とする楕円形状であること、を特徴とする請求項13に記載の光ディスク記録方法。
【請求項15】
前記光変調手段の動作状態と前記光源の発光パワーとを設定値として記憶する記憶部を参照し、参照結果に基づいて前記光変調手段の動作状態と前記光源の発光パワーを制御すること、を特徴とする請求項13または請求項14に記載の光ディスク記録方法。
【請求項16】
光ディスク装置における光ディスクの層数判別方法であって、
前記光ディスク装置は、光源と、該光源から出射された光束を集光して光ディスクの情報記録面に光スポットを形成する対物レンズと、複数に分割された領域のうち所定の領域を変調して前記光スポットの形状を変化させる光変調手段と、を具備した光ピックアップを備え、情報記録層の層数が1層の光ディスクの再生時には、前記光変調手段を第1の動作状態として第1の光スポットを形成し、前記光源を第1の発光パワーで発光させて前記情報記録層の層数が1層の前記光ディスクを再生するものであり、
光ディスク層数判別時には、
前記光変調手段を第2の動作状態として前記第1の光スポットよりも大きい第2の光スポットを形成し、
前記光源を前記第1の発光パワーよりも大きい第2の発光パワーで発光させ、
前記対物レンズを前記光ディスクのフォーカス方向に変位させてフォーカス誤差信号を取得し、
前記フォーカス誤差信号に基づいて前記光ディスクの情報記録面の層数を判別することを特徴とする光ディスク層数判別方法。
【請求項17】
前記光変調手段の動作状態と前記光源の発光パワーとを設定値として記憶する記憶部を参照し、参照結果に基づいて前記光変調手段の動作状態と前記光源の発光パワーを制御すること、を特徴とする請求項16に記載の光ディスク層数判別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−159353(P2011−159353A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19873(P2010−19873)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】