説明

光ビームスキャナ及びレーザレーダユニット

【課題】水平方向の広い角度を走査した場合においても垂直方向において変動の少ない光ビームスキャナを提供する。
【解決手段】光源と、前記光源からの光を走査する光スキャナと、前記光源より出射された光ビームを前記光スキャナに入射させるための入力光学系と、を有し、前記光スキャナは、回転軸を中心に回転する回転ミラーであって、前記光源より入射した光ビームを反射するミラーを有しており、前記回転ミラーが前記回転軸を中心に回転することにより、前記光ビームは、前記ミラーのミラー面において異なる位置に照射されるものであって、前記ミラーにおけるミラー面は、前記回転軸に垂直な面に平行な方向において、前記ミラーの一方の側から他方の側に向かって、前記回転軸に平行な方向に対するミラー面傾き角が徐々に増加していることを特徴とする光ビームスキャナを提供することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ビームスキャナ及びレーザレーザユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
走行路に存在する先行車両や障害物の判別、または、道路の車線区分を示す白線やキャッツアイ等のレーンマーカの検出のために、車両等に搭載される走査型レーザレーダを用いた物体種別判別装置が一般的に用いられている。レーザレーダ装置は、車両等の前方にレーザ光を出射し、出射されたレーザ光が先行車両や障害物等において反射され、この反射光を受光することにより、車両等の前方に存在している先行車両や障害物等を検出することができる。
【0003】
一般的な走査型レーザレーダ装置の動作原理について図1に基づき説明する。図1に示されるように、このレーザレーダ装置では、送光部910、受光部920、制御部となるECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)930等を有している。尚、送光部910及び受光部920は、自動車等の車両の前方に存在している物体を検出することができるように、車両の前方に設置されている。
【0004】
送光部910は、パルス状のレーザ光を出射する半導体レーザダイオード(LD:laser diode)911、光スキャナ912、LD911からの光を光スキャナ912に導くための入力光学系913、光スキャナ912を通過した光ビームについて、路面対する傾斜角等を制御するための出力光学系914等を備えている。LD911は、LD駆動回路915を介してECU930に接続されており、ECU930からの駆動信号によりレーザ光を出射する。光スキャナ912は、光スキャナ駆動回路916を介しECU930と接続されており、所定の固定周波数でLD911から出射された光ビームを水平方向に繰り返し走査する。光スキャナ912における光ビームの走査角は走査角モニタ917によって検出され、ECU930側に出力され、光スキャナ駆動信号にフィードバックすることにより走査角度及び走査周波数を制御する。
【0005】
受光部920は、受光レンズ921及び受光素子922等を有しており、車両前方の物体から反射されたレーザ光は受光レンズ921及び不図示のミラー素子等を介し受光素子922に入射する。受光素子922は、フォトダイオード等により形成されており、反射光における光強度に対応する電圧値の電気信号を出力する。受光素子922より出力された電気信号は、増幅器941において増幅され、コンパレータ942に出力される。コンパレータ942では増幅器941からの出力電圧の値を基準電圧V0と比較し、出力電圧の値がV0よりも大きくなったときに、所定の受光信号を時間計測回路943に出力する。
【0006】
時間計測回路943には、ECU930からLD駆動回路915へ出力される駆動信号も入力しており、LD駆動信号を出力してから所定の受光信号が発生するまでの時間、即ち、レーザ光を出射した時刻と、反射光を受光した時刻の時間差を計測時間データとして、ECU930に出力する。この計測時間データに基づいて、ECU930において、物体までの距離を容易に算出することができる。
【0007】
このような構成の走査型レーザレーダ装置において、送光部910に用いられる光スキャナ912として、ポリゴンミラーやガルバノミラー等を用いたものがあり、例えば、図2に示すように、ポリゴンミラー等の走査ミラー951の脇にLD911及びコリメートレンズ等の入力光学系913を配置したものがある。この光スキャナ912においては、LD911から出射されたレーザ光は入力光学系913を介し、ミラー952で反射され、走査ミラー951におけるミラー面951aに照射される。走査ミラー951は回転軸951bを中心に回転しており、ミラー面951aに照射された光は反射されるため、水平方向において広範囲にレーザビームを出射させ走査することができる。これにより、広範囲な領域において距離測定が可能となる。
【0008】
また、近年では、垂直方向においても光ビームを走査する2次元走査や、垂直方向の測定領域の異なる光ビームを水平に走査する複数ラインの走査が要求されている。このような2次元スキャンまたは複数ライン走査を実現するための手段としては、走査方向が90°、異なるミラー等の走査デバイスを直列に接続し、水平方向に光ビームを走査した直後に垂直方向のビーム走査を行なう構造のものの他、より簡便に複数ライン走査を達成するために、回転ポリゴンミラーの光軸に対して反射面に倒れ角を設け、複数の反射面に対して互いに倒れ角が異なるように形成した構造のものがある。
【0009】
例えば、特許文献1には、各面倒れ角の異なるポリゴンミラーを用いたレーザレーダ装置において、測定領域の左右両端の垂直方向における測定範囲の差を小さくする目的で、ポリゴンミラーの上部後方にレーザダイオードを配置し、更に、ポリゴンミラーの正面に配置した折返しミラーによって、レーザダイオードから出射された光ビームをポリゴンミラーのミラー面へ正面から入射させる構成のものが開示されている。
【0010】
また、特許文献2には、光を360°全方位に出射することができるように、発光素子の下にミラー等の偏向部を設けた構成のものが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の面倒れ面を備えた回転ポリゴンミラーによる複数ビーム走査方式では、水平方向のスキャン角度(出射角、出力角)が増大すると垂直方向の出射角度が変動してしまうという問題点があった。具体的に説明すると、ミラー面に対してLDからの光ビームが対面して入射した場合、所定の倒れ角の2倍の垂直方向の出力角で反射され出射されるが、ポリゴンミラーの回転に伴い、ミラー面に対して浅い角度で光ビームが入射する場合には、垂直方向に十分な出射角度が得られない。このため、特に水平方向におけるスキャン角度が全角60°を超えるような広角の走査範囲においては、複数の走査ビームによる測定領域全域を考えたときに、水平方向の走査角が大きくなるほど、垂直方向の測定範囲が限定され、十分な測定領域を確保することができないという問題があった。
【0012】
また、特許文献1に記載されているレーザレーダ装置では、広角のスキャン範囲に対しては、ビーム歪みを抑制する効果が低く、また、ポリゴンミラーの上部にレーザダイオードを配置する構成のため、ユニットの小型化、特にユニットの薄型化が困難となる。
【0013】
また、特許文献1に記載されているものでは、出射される光は走査することができるが、受光部は走査されないため、検出範囲が狭く、また、検出範囲を広くしようとすると検出感度が低下してしまう。
【0014】
また、特許文献2に記載されているものでは、ミラー等の偏向部の上に発光素子を設けた構造のものであるため、装置を縦方向に縮小することが困難であり、装置が大型化してしまう。
【0015】
ここで、縦方向に縮小するために、ミラー等に対して光ビームを水平方向となる側面より入射させる方法があるが、回転しているミラー等に水平方向より光ビームを入射させると、走査される光ビームが曲がってしまい、測定エリアが台形になったり、変形したりするため、所望の測定領域における測定を行なうことができないといった問題点がある。
【0016】
よって、本発明は、複数ラインを走査するための光ビームスキャナにおいて、水平方向の出力角が広い場合であっても、垂直方向の出力角の変動が少なく、十分な測定領域を確保するとともに、測定範囲における歪みを低減することを目的とするものであり、更には、この光ビームスキャナを用いて垂直方向の出力角度が異なる複数ビームの走査を可能とする小型のレーザレーダユニットを提供することを目的とするものである。または、本発明は、所望の領域を走査することができ、小型化可能なレーザレーダユニットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、光源と、前記光源からの光を走査する光スキャナと、前記光源より出射された光ビームを前記光スキャナに入射させるための入力光学系と、を有し、前記光スキャナは、回転軸を中心に回転する回転ミラーであって、前記光源より入射した光ビームを反射するミラーを有しており、前記回転ミラーが前記回転軸を中心に回転することにより、前記光ビームは、前記ミラーのミラー面において異なる位置に照射されるものであって、前記ミラーにおけるミラー面は、前記回転軸に垂直な面に平行な方向において、前記ミラーの一方の側から他方の側に向かって、前記回転軸に平行な方向に対するミラー面傾き角が徐々に増加していることを特徴とする。
【0018】
また、前記回転軸に垂直な面において、前記ミラーの一方の側におけるミラー面に照射される光ビームの前記ミラー面に対する入射角は、前記他方の側のミラー面に照射される光ビームの前記ミラー面に対する入射角度よりも、大きいことを特徴とする。
【0019】
また、前記光ビームの光軸が、前記回転軸より前記回転ミラーの回転半径の0.8倍以上、1.0倍以下離れた位置となるように、前記光ビームが照射されることを特徴とする。
【0020】
また、前記ミラーにおけるミラー面は、前記回転軸に垂直な面に平行な方向において、前記回転軸に平行な方向に対しミラー面傾き角が徐々に増加している領域と、前記回転軸に垂直な面に平行な方向において、前記回転軸に対しミラー面傾き角が一定である領域と、を有していることを特徴とする。
【0021】
また、前記ミラーにおけるミラー面は、前記回転軸に垂直な面に平行な方向において、前記回転軸に対しミラー面傾き角が徐々に増加している2つの異なる領域を有しており、前記2つの異なる領域は、前記徐々に増加する傾きの変化が不連続となる点で接続されていることを特徴とする。
【0022】
また、前記ミラーにおけるミラー面の前記回転軸に垂直な面に平行な方向における長さは、前記ミラーに入射する光ビームの前記回転軸に垂直な面に平行な方向における光ビーム幅Wとすると、5W以上、12W以下であることを特徴とする。
【0023】
また、前記ミラーにおけるミラー面の前記回転軸に垂直な面に平行な方向における長さは、前記回転ミラーの回転半径の2倍以上であることを特徴とする。
【0024】
また、前記ミラーを複数有しており、各々の前記ミラーにおける前記回転軸に平行な方向に対するミラー面傾き角は相互に異なっていることを特徴とする。
【0025】
また、前記光源は、端面発光レーザダイオードであって、前記端面発光レーザダイオードの基板面と、前記回転軸とは、略平行となるように設置されていることを特徴とする。
【0026】
また、前記記載の光ビームスキャナと、前記光ビームスキャナより出射された光ビームが検出対象に照射され、前記検出対象において反射された光を受光する受光部と、を有することを特徴とする。
【0027】
また、本発明は、発光部と、前記発光部より出射された光ビームを走査する光走査部と、前記光走査部より出射された光ビームが検出対象に照射され、前記検出対象において反射された光を受光する受光部と、を有し、前記光走査部は、前記光源より出射された光を反射する光反射部と、回転軸を中心に前記光反射部を回転させる回転部とを有しており、前記回転部が回転することにより前記光ビームが走査されるものであって、前記検出対象において反射された光は、前記光走査部における光反射部において反射され、前記受光部に入射するものであり、前記回転軸に垂直な面に対する出射光の垂直方向の出力角が、前記光ビームを走査した際に一定の角度となるように、前記光反射部の傾斜角度は、前記光反射部の回転角度に対応して変化するものであることを特徴とする。
【0028】
また、本発明は、発光部と、前記発光部より出射された光ビームを走査する光走査部と、前記光走査部より出射された光ビームが検出対象に照射され、前記検出対象において反射された光を受光する受光部と、を有し、前記光走査部は、前記光源より出射された光を反射する光反射部と、回転軸を中心に前記光反射部を回転させる回転部とを有しており、前記回転部が回転することにより前記光ビームが走査されるものであって、前記検出対象において反射された光は、前記光走査部における光反射部において反射され、前記受光部に入射するものであり、前記光反射部の傾斜角度は、前記光反射部の回転角度に対応して変化するものであることを特徴とする。
【0029】
また、前記回転軸に対する前記光反射部の前記傾斜角度を揺動角θとし、前記回転部により回転する前記光反射部の回転角度をφとした場合に、90°−cos−1(sin2θcosφ)が一定の値となるように、揺動角θがφに対応して変化するものであることを特徴とする。
【0030】
また、前記回転部はベース部に、前記回転軸が前記ベース部の面に対し垂直となるように設置されており、前記光反射部の一方の端部は、前記回転軸に対し垂直方向に設置された接続軸により、前記光反射部が前記接続軸を中心に回転可能な状態で接続部と接続されており、前記接続部は前記回転軸に接続されているものであって、前記光反射部の他方の端部は、前記ベース部に設けられたカム溝に入り込む接触部が設けられており、前記光反射部が回転することにより前記接触部は前記カム溝内をカム溝に沿って移動するものであることを特徴とする。
【0031】
また、前記光反射部と前記回転部の回転軸との間には、弾性部材が設けられていることを特徴とする。
【0032】
また、前記回転部はベース部に、前記回転軸が前記ベース部の面に対し垂直となるように設置されており、前記光反射部の一方の端部は、前記回転軸に対し垂直方向に設置された接続軸により、前記光反射部が前記接続軸を中心に回転可能な状態で接続部と接続されており、前記接続部は前記回転軸に接続されているものであって、前記光反射部の傾斜角度は、アクチュエータにより変化させるものであることを特徴とする。
【0033】
また、前記アクチュエータを制御する制御部を有しており、前記制御部により、前記回転軸に垂直な面に対する出射光の垂直方向の出力角が、前記光ビームを走査した際に一定の角度となるように、アクチュエータが制御されるものであることを特徴とする。
【0034】
また、前記回転部により回転する前記光反射部の回転角度をφとし、前記回転軸に垂直な面に対する前記反射部により反射され出射される出射光の角度を垂直方向出力角ψとし、前記接続軸から前記光反射部の他方の端部までの前記回転軸に平行な距離成分をLとし、前記接続軸から前記光反射部の他方の端部までの前記回転軸に垂直な距離成分を揺動量とした場合、揺動量=L・tan{1/2・sin−1(cos(90−ψ)/cosφ)}となるように揺動量が変化するものであることを特徴とする。
【0035】
また、前記光走査部は複数の光反射部を有しており、前記回転軸に対する各々の前記光反射部における傾斜角度は、各々異なっていることを特徴とする。
【0036】
また、前記発光部から光走査部に向けて出射される光ビームの光軸のうち、光走査部に入光する間際の光軸と、光走査部で反射され光検出部において検出される反射光の光軸のうち光走査部から出た間際の光軸とは、同一平面上に存在していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、複数ラインを走査するための光ビームスキャナにおいて、水平方向の出力角が広い場合であっても、垂直方向の出力角の変動が少なく、十分な測定領域を確保するとともに、測定範囲における歪みを低減することができる。更には、この光ビームスキャナを用いて垂直方向の出力角度が異なる複数ビームの走査を可能とする小型のレーザレーダユニットを提供することができる。または、本発明によれば、所望の領域を走査することができ、小型化可能なレーザレーダユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】走査型レーザレーダ装置の構成図
【図2】図1における光スキャナの説明図
【図3】光ビームスキャナの説明図
【図4】光ビームスキャナにおけるミラー面の説明図
【図5】水平方向出力角と垂直方向出力角の相関図(1)
【図6】水平方向出力角と垂直方向出力角の相関図(2)
【図7】第1の実施の形態における光ビームスキャナの説明図
【図8】第1の実施の形態における光ビームスキャナのミラーの説明図
【図9】オフセット量の説明図
【図10】第1の実施の形態におけるミラー回転角と交点座標との相関図
【図11】第1の実施の形態における光ビームスキャナのミラー面倒れ角の説明図
【図12】第1の実施の形態における光ビームスキャナの水平方向出力角と垂直方向出力角の相関図(1)
【図13】第1の実施の形態における光ビームスキャナの水平方向出力角と垂直方向出力角の相関図(2)
【図14】第1の実施の形態における光ビームスキャナのミラー面照射幅の説明図
【図15】第1の実施の形態における光ビームスキャナのミラー回転角とミラー面照射幅との相関図
【図16】第1の実施の形態における光ビームスキャナの水平方向出力角と垂直方向出力角の相関図(3)
【図17】第1の実施の形態における光ビームスキャナの水平方向出力角と垂直方向出力角の相関図(4)
【図18】第2の実施の形態における光ビームスキャナのミラー面倒れ角の説明図
【図19】第2の実施の形態における光ビームスキャナの水平方向出力角と垂直方向出力角の相関図(1)
【図20】第2の実施の形態における光ビームスキャナの水平方向出力角と垂直方向出力角の相関図(2)
【図21】第3の実施の形態における光ビームスキャナのミラー面倒れ角の説明図
【図22】第3の実施の形態における光ビームスキャナの水平方向出力角と垂直方向出力角の相関図(1)
【図23】第3の実施の形態における光ビームスキャナの水平方向出力角と垂直方向出力角の相関図(2)
【図24】第4の実施の形態における端面発光のレーザダイオードの説明図
【図25】第5の実施の形態におけるレーザレーダユニットの説明図
【図26】第5の実施の形態におけるレーザレーダユニットの構成図
【図27】第6の実施の形態におけるレーザレーダユニットの斜視図
【図28】第6の実施の形態におけるレーザレーダユニット内部の斜視図(1)
【図29】第6の実施の形態におけるレーザレーダユニット内部の斜視図(2)
【図30】第6の実施の形態におけるレーザレーダユニット内部の斜視図(3)
【図31】第6の実施の形態におけるレーザレーダユニットのベース部の斜視図
【図32】第6の実施の形態におけるレーザレーダユニットのベース部の上面図
【図33】第6の実施の形態におけるレーザレーダユニットの上面図
【図34】第6の実施の形態におけるレーザレーダユニットの説明図(1)
【図35】第6の実施の形態におけるレーザレーダユニットの説明図(2)
【図36】第6の実施の形態におけるレーザレーダユニットの光走査部の説明図(1)
【図37】第6の実施の形態におけるレーザレーダユニットの光走査部の説明図(2)
【図38】第6の実施の形態におけるレーザレーダユニットの光走査部の説明図(3)
【図39】第6の実施の形態におけるレーザレーダユニットの光走査部の説明図(4)
【図40】第6の実施の形態におけるレーザレーダユニットのミラー回転角と揺動量との相関図
【図41】第6の実施の形態におけるレーザレーダユニットのミラーの接触部の説明図
【図42】第7の実施の形態におけるレーザレーダユニットの説明図
【図43】第8の実施の形態におけるレーザレーダユニットの斜視図
【図44】第8の実施の形態におけるレーザレーダユニットのベース部の上面図
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
〔第1の実施の形態〕
最初に、面倒れミラーによる複数ビーム走査の際に生じる測定領域の歪みについて説明する。図3には、一例として、測定領域の歪みについて説明するための光ビームスキャナの構造を示す。この光ビームスキャナは、2つのミラー面961、962を有する回転ポリゴンミラー960を有しており、この回転ポリゴンミラー960の側面より光ビームを入射させて光ビームを走査するものである。この2つのミラー面961、962は、図4に示すように、回転ポリゴンミラー960の回転軸963に対して、相互に異なる倒れ角を有している。具体的には、ミラー面961は、回転軸963に対し、ミラー面倒れ角θで傾斜した面であり、図面において若干上側に向いている面である。また、ミラー面962は、回転軸963に対し、ミラー面倒れ角θで傾斜した面であり、図面において若干下側に向いている面である。図3は、この光ビームスキャナの上面図であり、図4は、図3における一点鎖線3A−3Bにおいて切断した断面図である。尚、本実施の形態においては、直交座標系として、回転軸963に平行な方向をY軸方向とし、測定範囲の中心をX軸方向とする。また、この説明においては、光ビームの光軸がZ軸と平行となる場合について説明するが、この光ビームの光軸はY軸に垂直となるXZ面内に存在していればよい。尚、説明の便宜上、Y軸に垂直であって、ミラー面961と平行な軸をK軸とし、ミラー面962と平行な軸をK軸とする。また、Z軸を基準に、回転軸963を中心とするミラー面961、962の回転角度を角度φとている。よって、φ=45°のときには、ミラー面961、962において反射した光は、X軸と平行な方向に出射される。
【0041】
ところで、平面鏡による光ビームの反射方向を光線行列表示で考えた場合、入射光線の方向余弦ベクトルを(L、M、N)、鏡面の法線の方向余弦を(l、m、n)、反射光線の方向余弦を(L、M、N)と定義すると、一般的に、数1に示す関係が成り立つ。
【0042】
【数1】

数1に示す式において、図3に示す光ビームスキャナの構成を反映させ、入射光線の方向余弦ベクトルを(0、0、−1)とすると、数2に示される式となる。
【0043】
【数2】

ここで、ミラー面961、962における倒れ角を一般化して角度θと定義し、ミラー回転角を角度φとすると、このときの鏡面の法線の方向余弦(l、m、n)は、数3に示す式で表わされる。
【0044】
【数3】

数2及び数3に示される式より、反射光線の方向余弦は、数4に示す式で表わされる。
【0045】
【数4】

数4より得られる反射光線の方向余弦成分より、ミラー面による水平方向出力角は数5に示す式で表わされ、垂直方向出力角は数6に示す式で表わされる。
【0046】
【数5】

【0047】
【数6】

数5及び数6に示される式より、ミラー面が1枚の場合の水平方向出力角と垂直方向出力角との関係を計算した結果を図5に示す。尚、図5では、ミラーの倒れ角θを0.4°とし、垂直方向におけるビームの広がり角を1.6°とした。また、横軸の水平方向出力角については、ミラー回転角φが45°のときに0°となるように、即ち、図3においてX軸方向が0°となるように定めた。よって、図5では、X軸方向に対し、−80°から80°の範囲の水平方向出力角において走査(スキャン)される。図5に示されるように、水平方向出力角が小さい場合には、光ビーム中心の垂直方向出力角はミラー面倒れ角θの2倍に相当する0.8°に近い値となるが、水平方向出力角が大きくなるに伴い、垂直方向出力角の値が変動し減少する。これは、水平方向出力角が小さい場合には、ミラー回転角φが小さくミラー面に対し垂直に近い角度で光ビームが入射するのに対し、ミラー回転角φが大きくなるにつれて、ミラー面に対し平行に近い浅い角度で光ビームが入射することに起因する。従って、光ビームを走査した場合には、垂直方向における照射範囲は、光ビームの中心に対して、±0.8°の広がりを有しているため、水平方向出力角が小さい場合には、垂直方向出力角は、略0°から+1.6°の範囲となる。しかしながら、水平方向出力角が大きくなるに伴い、垂直方向出力角は低下し、最終的には、ミラー面倒れ角θが0°、即ち、ミラー面倒れ角のない状態である−0.8°から+0.8°の範囲に近づく。このように、図3及び図4に示されるミラー961、962を用いた場合においては、水平方向出力角が大きくなるに伴い、垂直方向出力角が変化し低下してしまう。
【0048】
図6は、図3及び図4に示すように、2枚のミラー面961、962を用いた場合を示すものであり、ミラー面961の倒れ角θを0.4°とし、ミラー面962の倒れ角θを−0.4°とし、2本の光ビームを走査させた場合について計算した結果である。ミラー面961における走査の水平方向出力角と垂直方向出力角との関係は、図5に示す場合と同様である。また、ミラー面962における走査の水平方向出力角と垂直方向出力角との関係は、水平方向出力角が小さい場合には、垂直方向出力角は、略−1.6°から0°の範囲となるが、水平方向出力角が大きくなるに伴い、垂直方向出力角は増加し、最終的には、ミラー面倒れ角θが0°、即ち、ミラー面倒れ角のない状態である−0.8°から+0.8°の範囲に近づく。
【0049】
よって、2つの光ビームを用いた場合においては、水平方向出力角が小さい場合には、垂直方向出力角は、略−1.6°から+1.6°の範囲となるが、水平方向出力角が大きくなるに伴い、垂直方向出力角の範囲が狭くなり、−0.8°から+0.8°の範囲に近づく。このように、図3及び図4に示す構造の光ビームスキャナーでは、水平方向出力角が大きくなるに伴い、垂直方向出力角の範囲が狭くなってしまう。
【0050】
(光ビームスキャナ)
次に、本実施の形態における光ビームスキャナについて説明する。図7及び図8は、本実施の形態における光ビームスキャナを示すものであり、図7は上面図であり、図8(a)は、図7における一点鎖線7A−7Bにおいて切断した断面図であり、図8(b)は、図7における一点鎖線7C−7Dにおいて切断した断面図である。
【0051】
本実施の形態における光ビームスキャナは、光源10となるレーザダイオードと、入力光学系20となるコリメートレンズ、光スキャナ30とを有している。光スキャナ30は、2つのミラー31、32を有する回転ポリゴンミラーであり、回転ポリゴンミラーの回転軸33を中心に回転するものであり、光スキャナ30となる回転ポリゴンミラーの側面より光ビームを入射させて光ビームを走査するものである。尚、直交座標系として、光スキャナ30となる回転ポリゴンミラーの回転軸33をY軸方向とし、測定範囲の中心をX軸方向とする。また、この説明においては、光ビームの光軸がZ軸と平行となる場合について説明する。また、説明の便宜上、Y軸に垂直であって、ミラー31と平行な軸をK軸とし、ミラー32と平行な軸をK軸とする。また、回転軸33を中心とするミラー31、32の回転角度を角度φとし、φ=45°の時に、ミラー31、32において反射した光は、X軸と平行な方向に出射される。
【0052】
本実施の形態においては、光源10となるレーザダイオードは、パルス光を出射するものであるが、レーザダイオードに限られず、非コヒーレントな光を出射するダイオード等のであってもよく、また、パルス光が出射されないものであってもよい。
【0053】
入力光学系20となるコリメートレンズは、光源10から出射された光を所定のビーム径及び所定のビーム広がり角を有する光ビームに変換し、光スキャナ30である回転ポリゴンミラーに出射する。尚、入力光学系20は、コリメートレンズのみを示しているが、例えば、任意の位置及び光出射方向に配置された光源10に対して、光進行方向を制御して回転ポリゴンミラー側方から光ビームを導くような光路変換素子を更に設けてもよい。
【0054】
本実施の形態においては、光スキャナ30である回転ポリゴンミラーにおけるミラー31は、図8に示されるように、ミラー31の長手方向であるK軸方向において、回転軸33に対するミラー面倒れ角θが徐々に変化するように形成されている。具体的には、図8(a)に示すように、光源10からの光が垂直に近い状態で入射するミラー面31aでは、ミラー面倒れ角θ11は小さな角度となっており、図8(b)に示すように、光源10からの光が水平に近い状態で入射するミラー面31bでは、ミラー面倒れ角θ12は大きな角度となっている。即ち、ミラー31は、光ビームが垂直に近い角度で入射するミラー面31aが形成されている一方の側から、光ビームが平行に近い角度で入射するミラー面31bが形成されている他方の側に向かって、ミラー面倒れ角θが徐々に増加するように、形成されている。よって、ミラー31において、一点鎖線7A−7Bと一点鎖線7C−7Dとの間においては、ミラー面倒れ角θは、θ11≦θ≦θ12となるように形成されている。
【0055】
数6に示される式に基づくならば、垂直方向出力角を一定にするためには、sin2θ・cosφの値を一定にすればよい。従って、本実施の形態においては、ミラー回転角φに対応してミラー面倒れ角θが変化するようにミラー31が作製されているため、ミラー回転角φが変化し、水平方向出力角が変化しても垂直方向出力角が一定となる。即ち、水平方向出力角が変化しても垂直方向出力角は殆ど変化しない。
【0056】
このように、本発明は、発明者が回転ポリゴンミラーの回転に伴い、ミラーに照射される光ビームの位置が変化することに着目したものである。即ち、図7に示すように、ミラー31において、Y軸と垂直となるK軸を定義し、ミラー31における面の座標を記述できるようにすると、光ビームがミラー31に入射する際の入射ビームとミラー31におけるミラー面との交点における座標がミラー31の回転に伴って変化する。従って、各々の交点における座標において、sinθ・cosφの値が一定となるように、ミラー回転角φに応じて、ミラー面倒れ角θとなるミラー31を作製すればよいのである。
【0057】
より詳細に、図9に基づき入射する光ビームとミラー31におけるミラー面との交点における座標について説明する。図9は、回転ポリゴンミラーにおけるミラー31に着目したものであり、ミラー回転角φにおける入射する光ビームとミラー31におけるミラー面との交点を示したものである。尚、K軸における原点は、ミラー回転角φが0°の場合に、Z軸とK軸とが交わる点とする。また、回転軸33よりK軸における原点までの距離をミラー回転半径Rとし、回転軸33から入射する光ビームのX軸方向における距離をオフセット量ΔXとする。尚、入射する光ビームとミラー31におけるミラー面との交点は、便宜上、K軸上における座標として示される。この場合において、交点座標k(φ)は、数7に示す式で表わされる。
【0058】
【数7】

数7に示されるように、交点座標k(φ)は、ミラー回転角φとオフセット量ΔXとに依存して変化する。
【0059】
図10は、ミラー回転角φと交点座標kとの関係を計算した結果であり、横軸がミラー回転角φ、縦軸が交点座標kをミラー回転半径Rで規格化した値である。図10に示されるように、オフセット量ΔXがミラー回転半径Rよりも大きい場合には、異なる2つのミラー回転角φが同一のミラー面に入射することがわかる。例えば、オフセット量ΔX=1.1Rの場合では、ミラー回転角φが53°及び73°のときに、いずれもk=0.5Rとなるミラー座標において、ミラー面に入射する。この場合、ミラー回転角φを大きくして光ビームを広範囲に走査しようとしても、ミラー回転角φに応じて所定の垂直方向出力角を有するようにミラー面倒れ角θを設計することは困難となる。従って、水平方向に広範囲に光ビームを走査する場合には、オフセット量ΔXは、ミラー回転半径R以下であることが好ましい。また、オフセット量ΔXの値をミラー回転半径Rよりも小さくしすぎると、ミラー回転角φが大きい場合における交点座標kが小さくなり、ミラーの全長を大きくすることが必要となる。ミラー回転角φを85°と考えた場合には、図10に示す場合では、ΔXが0.8R以上であれば交点座標kは、−2Rよりも大きくなる。
【0060】
以上の状況を鑑みると、オフセット量ΔXは、0.8R≦ΔX≦1.0Rの範囲であることが好ましく、更には、0.95R≦ΔX≦1.0Rの範囲であることが好ましい。
【0061】
次に、図11に基づきミラー面倒れ角θについて説明する。図11では、オフセット量ΔX=0.98R、垂直方向出力角が0.8°となるように、ミラー31を設計したものである。尚、図11における横軸のミラー座標は、ミラーにおける面内座標をミラー回転角Rにより規格化された値である。具体的に、このミラー31の設計手順は、ミラー回転角φと予め設定されたオフセット量ΔXから数7に示す式により、光ビームがミラー31に入射する座標を求めることができる。この座標において、所望の垂直方向出力角を得るためのミラー面倒れ角θが数6に示す式により定めることができる。更に、このときの水平方向出力角が数5に示す式により定められる。ミラー回転角φをパラメータとして、上記の計算を繰り返すことのよりミラー31におけるミラー面座標とミラー面倒れ角θとの関係を算出することができる。
【0062】
図12は、図11に示すミラー面倒れ角θが変化するミラー31において、水平方向出力角と垂直方向出力角との関係を計算により求めたものである。尚、垂直方向の光ビームの広がり角を1.6°と設定し、水平方向には光ビームが幅を有していない理想的な光ビームを仮定している。図12に示されるように、この場合においては、垂直方向出力角は、水平方向出力角に依存することなく、常に0.8°となる。また、図13は、2枚のミラー31、32を有する回転ポリゴンミラーにより光ビームを走査した場合を示すものである。具体的には、ミラー31における垂直方向出力角が+0.8°、ミラー32における垂直方向出力角が−0.8°となるように、各々のミラー31、32におけるミラー面倒れ角θを算出して設計した場合を示す。図13に示されるように、水平方向出力角が変化した場合においても、垂直方向出力角の範囲は変化することなく、−1.6°〜+1.6°の範囲の測定範囲を確保することができる。
【0063】
ところで、上記においては、光ビームが水平方向に幅を有しない場合について説明したが、実際の光ビームは、垂直方向のみならず水平方向にも幅を有している。即ち、図14に示すように、ミラー31に入射する光ビームは、光ビーム幅Wを有しており、この光ビームがミラー31に入射した場合、ミラー31のミラー面において、ミラー面照射幅Wmの範囲に照射される。光ビームがミラー31のミラー面に対し略垂直に入射する場合は、ミラー面照射幅Wmは、光ビーム幅Wと略等しいが、ミラー回転角φが増加し、ミラー31におけるミラー面に対し浅い角度で入射する場合には、ミラー回転角φに応じてミラー面照射幅Wmは広くなる。尚、ミラー面照射幅Wmは、ミラー回転角φと光ビーム幅Wとにより、数8に示す式で表わされる。
【0064】
【数8】

図15には、ミラー回転角φとミラー面照射幅Wmとの関係を計算により得られた結果を示す。尚、縦軸のミラー面照射幅Wmは光ビーム幅Wにより規格化されている。図15に基づくならば、例えば、ミラー回転角φが80°の場合には、ミラー面照射幅Wmは、光ビーム幅Wの約5.8倍となる。実際の光ビームスキャナの設計においては、このミラー面照射幅Wmを考慮して、ミラー31の全長、即ち、XZ面におけるミラー31のミラー面の長さを定める必要がある。
【0065】
例えば、図14に示すように、2枚のミラー31、32を用いた回転ポリゴンミラーにより光ビームを走査する場合において、水平方向において全角140°の範囲を走査するような広角の光ビームスキャナの場合では、ミラー回転角φを10°〜80°の範囲等となるように、ミラー回転角φにおける角度範囲が略70°となるように走査する必要がある。この場合、ミラー回転角φが大きくなった場合におけるミラー面照射幅Wmを考慮すると、ミラー31の全長は光ビーム幅Wの約5倍以上に設定することが好ましく、更には、6倍以上に設定することが好ましい。一般的に、レーザレーダ装置に用いられる光ビームにおける水平方向のビーム径は1mm〜10mmである。例えば、ビーム径5mmの場合では、ミラー31の全長は30mm以上の長さで作製されることが好ましい。尚、ミラー31の全長が長くなることにより、回転ポリゴンミラーにおけるミラー回転直径、即ち、2Rを超えてしまう場合がある。一方、ミラー31の全長を長くしすぎると、光ビームスキャナの全体が大型なものとなるため好ましくない。よって、数8に示す式に基づき、ミラー回転角φが85°以下の範囲において使用する場合を考えると、ミラー31の全長を光ビーム幅Wの12倍程度とすることにより、光ビームが照射されるミラー面照射幅Wmがミラー31の全長以下となる。よって、ミラー31の全長、即ち、ミラー31のK軸方向における全長は、Y軸方向における光ビーム幅Wの5倍以上、12倍以下であることが好ましい。
【0066】
図16は、計算により得られたミラー31に入射する光ビームが水平方向に光ビーム幅Wを有している場合を考慮した水平方向出力角と垂直方向出力との関係を示すものである。尚、水平方向における光ビーム幅Wは、ミラー回転半径Rの1/16と仮定している。水平方向出力角の増加、即ち、ミラー回転角φの増加に伴い、垂直方向出力角における照射範囲が増大する傾向にある。これは、図11に示されるように、ミラー31が、ミラー面の各々座標においてミラー面倒れ角θが異なる範囲において、一定の光ビーム幅Wの光ビームが照射されるため、ミラー面倒れ角θが小さい領域に光ビームが照射された場合には、垂直方向出力角が小さく、ミラー面倒れ角θが大きい領域に光ビームが照射された場合には、垂直方向出力角が大きくなって出力されるためである。ミラー回転角φが大きくなるほど、ミラー面照射幅Wmが広がるため、垂直方向出力角の照射範囲も増大する。
【0067】
図17は、2枚のミラー31、32を有する回転ポリゴンミラーにより光ビームを走査した場合において、水平方向における光ビーム幅を考慮した場合を示すものである。具体的には、ミラー31における垂直方向出力角が+0.8°、ミラー32における垂直方向出力角が−0.8°となるように、各々のミラー31、32におけるミラー面倒れ角θを算出して設計した場合を示す。図17に示されるように、水平方向出力角が増加するにつれて、垂直方向出力角における照射範囲が広がるものの、照射範囲が狭まることはないため、所望の照射範囲を確保することができる。
【0068】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、水平方向出力角を変化させた場合において、垂直方向出力角の変化がより小さい光ビームスキャナである。本実施の形態における光ビームスキャナは、図7に示す構成と同様の構成のものであり、ミラーが、図18に示すミラー面倒れ角θを有するものである。
【0069】
図18は、本実施の形態における光ビームスキャナのミラー31におけるミラー座標とミラー面倒れ角θの関係を示すものである。図18に示されるように、ミラー座標が0近傍までは、図11と同様に、ミラー座標が低下するに伴い、ミラー面倒れ角θは、徐々に増加するが、ミラー座標が0近傍よりも小さな領域では、ミラー面倒れ角θはミラー座標が0近傍における値と略同位置の値により均一に形成したものである。
【0070】
図10に示されるように、オフセット量ΔXが0.8R以上、ミラー回転角φが70°以下の場合では、光ビームがミラー31に入射する際の交点座標kは、−0.5×R以上の範囲に限定される。特に、オフセット量ΔXが1.0Rの場合では、光ビームとミラー面との交点座標kは、正の値に限定される。即ち、この場合には、ミラー31の全長のうち、交点座標kが負の領域には、光ビームの中心は入射しない。実際には、光ビームは一定の光ビーム幅を有しているため、Zが負となる領域においてもミラー面が存在している必要はあるものの、その負の領域に対してミラー面倒れ角θの最適設計、即ち、光ビーム幅を有しない理想的な光ビームが入射した場合に垂直方向出力角が一定となるようにミラー面倒れ角θを形成すると、図11に示すように、ミラー座標が負の領域においてミラー面倒れ角θが急激に増加してしまう。即ち、光ビームが所定の光ビーム幅を有している場合、その光ビーム端では、ミラー面倒れ角θがより大きく設定されたミラー座標における領域に入射するため、ミラー31により反射される光は、所望の垂直方向出力角よりも大きな出力角となる。このため、垂直方向における光ビームの広がり角が大きくなる。しかしながら、実際には、図10に示されるように、一定の値よりも小さなミラー座標の領域においては、光ビームの中心が入射することはないため、この領域においては、ミラー面倒れ角θを一定の値となるように形成することにより、余剰な垂直方向出力角の広がり、即ち、垂直方向における余剰となる光ビームの広がりを防ぐことができる。これにより、所望の範囲の垂直方向出射角を得ることができる。尚、図18に示す場合において、一定の値よりも小さなミラー座標の領域としては、ミラー座標が0近傍よりも小さな領域が挙げられる。
【0071】
図19は、本実施の形態におけるミラー31において、計算により得られた水平方向出力角と垂直方向出力との関係を示すものである。図19に示されるように、水平方向出力角が変化しても、垂直方向出力角はあまり変化することなく、略一定の範囲を保つことができる。
【0072】
図20は、2枚のミラー31、32を有する回転ポリゴンミラーにより光ビームを走査した場合において、水平方向における光ビーム幅を考慮した場合を示すものである。具体的には、ミラー31における垂直方向出力角が+0.8°、ミラー32における垂直方向出力角が−0.8°となるように、各々のミラー31、32におけるミラー面倒れ角θを算出して設計した場合を示す。図20に示されるように、水平方向出射角が45°近傍においては、それまで垂直方向出射角が増加していたものが減少しているが、水平方向出力角が増加しても、垂直方向出力角における照射範囲は殆ど変化することなく、照射範囲が広がることはない。よって、照射範囲が狭まることはなく、所望の照射範囲を確保することができる。尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0073】
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、水平方向出力角を変化させた場合において、垂直方向出力角の変化がより小さい光ビームスキャナである。本実施の形態における光ビームスキャナは、図7に示す構成と同様の構成のものであり、ミラーが、図21に示すミラー面倒れ角θを有するものである。
【0074】
図21は、本実施の形態における光ビームスキャナのミラー31におけるミラー座標とミラー面倒れ角θの関係を示すものである。図21に示されるように、ミラー座標が0.1Rまでは、図11と同様に、ミラー座標が低下するに伴い、ミラー面倒れ角θは、徐々に増加する曲線により形成されており、ミラー座標が0.1Rよりも小さな領域では、この曲線とは異なるミラー座標とミラー面倒れ角θとの関係の曲線により形成されている。
【0075】
よって、本実施の形態においては、ミラー31は、ミラー座標が1R近傍においては、ミラー面倒れ角θの変化は小さく、ミラー座標が0.1Rまでは、ミラー座標が小さくなるに従い徐々にミラー面倒れ角θの変化が大きくなる。ミラー座標が0.1Rよりも小さな領域では、再びミラー面倒れ角θの変化が小さくなり、ミラー座標が小さくなるに従い徐々にミラー面倒れ角θの変化が大きくなる。このため、ミラー座標が0.1Rにおいて変曲点を有しており、ミラー31の全長におけるミラー座標とミラー面倒れ角θとの関係においては、2つの異なる曲線を有している。
【0076】
図22は、本実施の形態におけるミラー31において、計算により得られた水平方向出力角と垂直方向出力角との関係を示すものである。図22に示されるように、水平方向出力角が+60°以上の領域においても、垂直方向出力角の範囲は殆ど変化することはなく、水平方向出力角が変化しても、垂直方向出力角は変化することなく、より一層、略一定の範囲を保つことができる。
【0077】
図23は、2枚のミラー31、32を有する回転ポリゴンミラーにより光ビームを走査した場合において、水平方向における光ビーム幅を考慮した場合を示すものである。具体的には、ミラー31における垂直方向出力角が+0.8°、ミラー32における垂直方向出力角が−0.8°となるように、各々のミラー31、32におけるミラー面倒れ角θを算出して設計した場合を示す。図23に示されるように、水平方向出力角が増加しても、垂直方向出力角における照射範囲は殆ど変化することなく、照射範囲が広がることはない。よって、照射範囲が狭まることはなく、より一層所望の照射範囲を確保することができる。尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0078】
〔第4の実施の形態〕
次に、第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は、光源10として所定の位置に設置された端面発光のレーザダイオードを用いたものである。
【0079】
図24に示されるように、光源10として用いられている端面発光のレーザダイオード11は、基板11aの表面に薄い発光領域11bが形成されており、発光領域11bよりレーザ光が出射されるため、光ビームの広がり角は、基板11a面に対し平行であるか垂直であるかにより異なる。一般的には、光ビームの広がり角の大きい方向、即ち、基板11a面に対し垂直方向を速軸と称し、光ビームの広がり角の小さい方向、即ち、基板11a面に対し平行方向を遅軸と称する。発光領域11bより出射されたレーザ光は、速軸方向においては、光ビーム幅は1μmであり、広がり角は約30°である。基板11a面に垂直方向における発光領域11bの幅は狭いため、速軸方向においては、シングルモード発振する。一方、遅軸方向においては、発光領域11bは基板11a面に平行な活性層の幅に依存し、高出力レーザダイオードにおいては、活性層の幅を広げることにより発光強度を高めている。活性層の幅は40μmから400μm程度の範囲で形成される場合が多いが、出射されるレーザ光の波長と比較すると、遅軸方向における活性層の幅は大きいため、マルチモード発振となる。尚、遅軸方向における広がり角は約10°であり、この広がり角は、活性層の幅にはあまり依存しない。よって、端面発光のレーザダイオード11より出射されるレーザ光は、速軸方向では、シングルモード発振であるためビームプロファイルは、ガウシアンビームに近いが、遅軸方向では、マルチモード発振であるため、ビームプロファイルは特定の関数で表現することは困難である。
【0080】
端面発光のレーザダイオード11からの出射光をコリメートレンズ等の入力光学系20を用いて平行光にした場合を考えると、速軸方向は、シングルモード発振であるため、通常のガウシアンビームと同様のビーム幅とビーム広がり角との関係を有する平行ビームを作り出すことができる。これに対し、遅軸方向は、マルチモード発振であるため、完全な平行ビームにすることは困難であり、コリメートレンズを通過した後においても、ある程度の広がり角を有する光ビームとして伝播していく。
【0081】
以上より、光源10として端面発光のレーザダイオード11を用いる場合には、速軸、即ち、基板11b面に垂直方向を光ビームスキャナの光ビーム走査方向(水平方向)に一致させて使用することが好ましい。これにより、水平方向における角度分解能を向上させることができる。尚、この場合、基板11b面と回転軸33とは略平行となる。この場合、遅軸方向はコリメートレンズを通過した後も、ある程度の広がり角を有しているためこの広がり角により、垂直方向出力角が定まる。尚、本実施の形態は、第1から第3の実施の形態において適用することができる。
【0082】
〔第5の実施の形態〕
次に、第5の実施の形態について、図25及び図26に基づき説明する。本実施の形態は、第1から第4の実施の形態における光ビームスキャナを有するレーザレーダユニットである。図25に示されるように、本実施の形態におけるレーザレーダユニットは、光ビームを水平方向に走査する光ビームスキャナの近傍に、受光素子122及び受光素子122に光を入射させるための受光レンズ121を有している。光ビームスキャナによって、レーザレーダユニットの外部に出射された光ビーム(送光ビーム)は、先行車両、障害物、標識等の検出対象に照射されると、その位置で散乱され、出射された光ビームと平行な光線成分がレーザレーダユニットに戻ってくる。この散乱された反射光をレーザレーダユニットに備えられている受光レンズ121により集光し、受光素子122に入射させる。受光素子122としては、レーザレーダユニットまでの距離が比較的近い検出対象を検出することを目的とする装置においては、一般的なSi−PiNフォトダイオードが好ましい。また、レーザレーダユニットから検出対象までの距離が数十m以上となる場合において検出対象を検出することを目的とする装置においては、より感度の高いアバランシェ・フォトダイオード(APD)が好ましい。
【0083】
図26に基づき、本実施の形態におけるレーザレーダユニットについて、より詳細に説明する。図26に示されるように、本実施の形態におけるレーザレーダユニットでは、送光部110、受光部120、制御部となるECU130等を有している。尚、送光部110及び受光部120は、自動車等の車両の前方に存在している物体を検出することができるように、車両の前方に設置されている。
【0084】
送光部110は、パルス状のレーザ光を出射する半導体レーザダイオードにより形成されている光源10、光スキャナ30、光源10からの光を光スキャナ30に導くためのコリメータレンズ等の入力光学系20、光スキャナ30を通過した光ビームについて、路面対する傾斜角等を制御するための出力光学系114等を備えている。光源10は、LD駆動回路115を介してECU130に接続されており、ECU130からの駆動信号によりレーザ光を出射する。光スキャナ30は、光スキャナ駆動回路116を介しECU130と接続されており、所定の固定周波数で光源10から出射された光ビームを水平方向に繰り返し走査する。光スキャナ30における光ビームの走査角は走査角モニタ117によって検出され、ECU130側に出力され、光スキャナ駆動信号にフィードバックすることにより走査角度及び走査周波数を制御する。
【0085】
受光部120は、受光レンズ121及び受光素子122等を有しており、車両前方の物体から反射されたレーザ光は受光レンズ121及び不図示のミラー素子等を介し受光素子122に入射する。受光素子122は、フォトダイオード等により形成されており、反射光における光強度に対応する電圧値の電気信号を出力する。受光素子122より出力された電気信号は、増幅器141において増幅され、コンパレータ142に出力される。コンパレータ142では増幅器141からの出力電圧の値を基準電圧V0と比較し、出力電圧の値がV0よりも大きくなったときに、所定の受光信号を時間計測回路143に出力する。
【0086】
時間計測回路143には、ECU130からLD駆動回路115へ出力される駆動信号も入力しており、LD駆動信号を出力してから所定の受光信号が発生するまでの時間、即ち、レーザ光を出射した時刻と、反射光を受光した時刻の時間差を計測時間データとして、ECU130に出力する。この計測時間データに基づいて、ECU130において、物体までの距離を容易に算出することができる。
【0087】
以上により、本発明における光ビームスキャナでは、複数の光ビームが互いに十分な測定範囲を維持して走査することができる。即ち、水平方向において広角な走査をした場合においても、垂直方向における照射範囲が殆ど変化することなく、照射範囲が狭まることもない。また、走査する光ビームの本数に応じて垂直方向において領域分割した距離測定を行なうことができる。また、本実施の形態における説明では、説明の便宜上回転ポリゴンミラーに2枚のミラーが設けられている場合について説明したが、ミラーの枚数は3枚以上であっても同様の効果を得ることができる。
【0088】
〔第6の実施の形態〕
本実施の形態におけるレーザレーダユニットについて、図27〜図35に基づき説明する。本実施の形態におけるレーザレーダユニットは、図27及び図28等に示されるように、光ビームを出射する発光部310と、光ビームを走査しレーザレーダユニットより出射する光走査部320と、レーザレーダユニットより出射された光が検出対象において反射された光を検出する光検出部330とを有している。発光部310、光走査部320、光検出部330は、外部からの光の侵入を防ぎ、また、水分やゴミ等の侵入を防ぐため、ベース部340とカバー部350により形成されている筐体内に設置されている。カバー部350には、発光部310において発光した波長の光を透過する材料により形成された窓部351を有しており、窓部351を介し、出射光が出射され、反射光が入射する。尚、図27は本実施の形態におけるレーザレーダユニットの外観の斜視図である。図28〜図30はカバー部350を取り外した状態を示す斜視図であり、図28は後述するミラー322の正面側から見た斜視図であり、図29はミラー322の背面側から見た斜視図であり、図30はミラー322の側面側から見た斜視図である。図31及び図32は、ベース部340と後述するモータ321とを示すものであり、図31は斜視図であり、図32は上面図である。図33は、カバー部350を取り外した状態の上面図であり、図34及び図35は、この状態における出射光、反射光の光路を説明するための図である。
【0089】
発光部310は、光源となるLD(laser diode;レーザダイオード)311と、LD311を駆動するための回路基板313と、LD311からの出射光を略平行光となるようにコリメートするレンズ312を有している。尚、これらについては、図には示していないが、所定の支持部等によりベース部340に支持固定されている。
【0090】
光走査部320は、発光部310より入射した光ビームを左右上下方向に偏向させるものである。光走査部320は、ベース部340に設置されている回転部となるモータ321と光反射部となるミラー322とを有しており、モータ321とミラー322とは接続部323を介して接続されている。具体的には、モータ321と接続部323とは、モータ321の回転軸321aと接続部323において接続されており、ミラー322と接続部323とは、回転軸321aに対し垂直方向となる接続軸322bにより、ミラー322が接続軸322bを中心に回転可能な状態で接続されている。尚、説明では、接続軸3322bはミラー322の端部に直接取り付いているが、直接取り付けが絶対必要なのではなく、加工の都合で構成がとりにくい場合等には、別部材でミラー322を支える取り付け部品を追加し、その部分に接続軸322bを取り付けても良い。また、回転部となるモータ321は、ベース部340の表面に対し、回転軸321aが垂直となるように設置されている。また、モータ321は、ステッピングモータやDCモータ、ACサーボモータ等であり、不図示の回転制御部により、外部制御により回転角を制御することができるもの、または、回転角を検出する機能を別途有しており回転が制御されるものである。
【0091】
また、図29及び図30に示されるように、光反射部となるミラー322の背面とモータ321の回転軸321aとの間には、弾性部材となるバネ324が設けられている。バネ324は、ミラー322がモータ321の回転軸321aが設けられている側に引張られる方向、または、モータ321の回転軸321aが設けられている側から外側に押し出される方向に力が加えられている。
【0092】
また、図31及び図32に示されるように、ベース部340には、モータ321の周囲に、所定の形状で形成されたカム溝341が設けられており、図28及び図30に示されるように、ミラー322にはカム溝341に入る接触部322aを有している。これにより、モータ321が回転軸321aを中心に回転することにより、カム溝341に入り込んだミラー322の接触部322aはカム溝341を移動し、モータ321の回転軸321aに対するミラー322の傾斜角を変化させることができる。尚、この傾斜角は、後述する揺動角度θである。
【0093】
光検出部330は、不図示の検出対象において反射された反射光を受光し、受光した反射光の光強度に応じて電気信号を出力する光検出素子331と、反射光を光検出素子331に入射させるための集光レンズ332と、光検出素子331を駆動するための回路等を有する回路基板333とを有している。光検出素子331としては、フォトダイオード(PD)等を用いてもよいが、反射光の光量が低い場合には、アバランシェフォトダイオード(APD)を用いることが好ましい。尚、これらについては、図には示していないが、所定の支持部等によりベース部340に支持固定されている。
【0094】
図33に示されるように、発光部310は、光検出部330の上にあり、ベース部340の上面から見た場合、発光部310から光走査部320に向けて出射される光ビームの光軸と光走査部320より光検出部330において検出される反射光の光軸は略重なっている。言い換えるならば、発光部310から光走査部320に向けて出射される光ビームの光軸と光走査部320より光検出部330において検出される反射光の光軸とは同一平面上に存在しており、この平面は回転軸321aに対して平行な面、即ち、ベース部340の表面に対し垂直な面である。また、モータ321の回転軸321aは、発光部310から出射される光ビームの光軸及び光検出部330において検出される反射光の光軸の延長線上からずれた位置となるように設置されている。
【0095】
尚、発光部310から光走査部320に向けて出射される光ビームの光軸と光走査部320より光検出部330において検出される反射光の光軸の略重なりは、本構造で示すものに限らず、前記発光部310から光走査部320に向けて出射される光ビームの光軸のうち、光走査部320に入光する間際の光軸と、光走査部320で反射され光検出部330において検出される反射光の光軸のうち光走査部320から出た間際の光軸が略重なっていれば良く、その部分以外の光路を別のミラー等で曲げても良い。例えば発光部310はそのままにし、被検出物から戻ってきた光を光走査部320で反射したあとミラーを入れ、光検出部330の向きや位置を変えても良い。また、例えば光検出部330はそのままにし、前記発光部310から光走査部320に向けて出射される光ビームの途中に別のミラーを置き、発光部310の向きや位置を変えても良い。
【0096】
また、モータ321の回転軸321aは、発光部310から出射される光ビームの光軸及び光検出部330において検出される反射光の光軸の延長線上からずれた位置となっているが、これに限らず一致していても良い。このずれ量は、レーザレーダとしての検出したい範囲(特に水平方向の角度)と他の部品による光のけられ等で決められる。
【0097】
本実施の形態におけるレーザレーダユニットにおいては、光ビームを出射する際には、図34に示されるように、不図示の制御部からの制御に基づき、回路基板313を介してLD311の発光が制御される。LD311から出射された光ビームは、レンズ312に入射し、略平行光となるようにコリメートされた後、ミラー322において所定の方向に反射され、レーザレーダユニットより出射される。ミラー322では、水平方向のみならず垂直方向においても所定の方向となるように出射される。
【0098】
出射された光ビームは、検出対象が存在している場合には、検出対象において反射される。検出対象において反射された反射光を受光する際には、図35に示されるように、反射光はミラー322において反射され、集光レンズ332において集光され、光検出素子331に入射し、電気信号に変換された後、回路基板333に伝達される。この伝達された信号に基づき不図示の処理部等において、検出対象までの距離を光ビームが出射された後、受光するまでの時間等に基づき算出する。
【0099】
次に、図36から図39に基づき、ミラー322の傾きについて説明する。図36は、光走査部320を上から見た図であり、回転軸321aに対し垂直な面において、入射光に対するミラー322におけるミラー面の法線方向の角度をミラー回転角φとし、ミラー322に入射する入射光に対するミラー322において反射され出射する出射光の角度を水平方向出力角とする。また、図37は、図36において矢印36Aより見た図であり、回転軸321aに対するミラー322の傾斜角度を揺動角度θとする。図38は、図36において矢印36Bより見た図、即ち、回転軸321aに対して垂直な方向でかつ出射光に対しても垂直な方向から見た図であり、回転軸321aに垂直な面に対するミラー322において反射され出射される出射光の角度を垂直方向出力角ψとする。尚、この時、θ=0であれば、図36に示す水平方向出力角はφと同じになり、図38で示す垂直方向出射角ψはψ=0となるが、θ=0ではない時にはこの関係ではなくなる。詳細は以下に述べる。
【0100】
以上に基づき、水平方向出力角を数9に示し、垂直方向出力角ψを数10に示し、揺動角度θを数11に示す。
【0101】
【数9】

【0102】
【数10】

【0103】
【数11】

図39に示すように、ミラー322における接続軸322bから、接触部322aがカム溝341の側面と接触している位置までにおいて、回転軸321aに平行方向の成分の距離をLとし、回転軸321aに垂直方向における距離(揺動量)をXとすると、数9から数11に基づき揺動量Xは数12に示す式で表わされる。
【0104】
【数12】

数12に示す式に基づき表1に示す条件におけるミラー回転角φと揺動量Xとの関係を表2に示す。また、図40には表2の結果の相関関係を示す。
【0105】
【表1】

【0106】
【表2】

表2及び図40に示されるように、ミラー回転角φが90°に近づくに伴い、揺動量Xは急激に増加している。実際には、ミラー回転角φが90°の状態というのは、発光部310からの光ビームの入射方向と、ミラー322におけるミラー面とが平行となるため、ミラー322により光ビームを偏向することはできない。本実施の形態におけるレーザレーダユニットでは、表2等に基づき所定の垂直方向出力角が得られるように、カム溝341を形成する。これにより、図31及び図32に示されるようなカム溝341が形成され、ミラー回転角φが増加するに伴い、回転軸321aからカム溝341までの距離(揺動量X)が増加するように形成されている。
【0107】
本実施の形態では、ミラー322の接触部322aはカム溝341に沿って移動するため、ミラー回転角φに応じて所望の揺動角度θにすることができる。これにより、ミラー322がどの位置にあっても、垂直方向に対して一定の角度で光を出射することができる。即ち、水平方向出力角に依存することなく垂直方向出力角を一定に保つことができる。また、同時に、同じ角度の反射光を検出することができる。
【0108】
ところで、図39に示されるように、ミラー322の揺動角度θは揺動量Xにより定まり、揺動量Xはカム溝341の側面とミラー322の接触部322aにおける先端部分における接触位置により定まる。このため、接触部322aは、常に、カム溝341の側面と接触している。接触部322aの形状は、図41(a)に示されるように、丸棒等の棒状のものでもよく、図41(b)に示されるように、点接触となるように、接触部322aの先端部分に球状の球状部322cを設けてもよい。また、図41(c)に示されるように、接触部322aの先端部分にベアリング部322dを設けることにより、カム溝341の側面との接触抵抗を減らすことができる。尚、接触部322aの先端部分とカム溝341との摩擦抵抗を減らすため、機械油等の物質を塗布することが好ましい。
【0109】
本実施の形態におけるレーザレーダユニットは、水平方向出力角が変化しても垂直方向出力角が変化することなく光を走査することができる。このため、車両等の前方に装着した場合には、走行する車両等の前方において車両の高さにおける水平方向の状況を知ることができるため、車両等における自動運転システム等に寄与することができ、運転の安全にも貢献することができる。また、垂直方向出力角を広げるため、光を走査する本数を増やす場合においても、水平方向出力角に対し垂直方向出力角は変動しないため、少ない光の走査本数で広い垂直方向出力角における検出対象の検出を行なうことができる。
【0110】
〔第7の実施の形態〕
次に、第7の実施の形態について説明する。本実施の形態におけるレーザレーダユニットは、ミラー322の揺動角度θをカム溝341ではなく、アクチュエータにより制御するものである。
【0111】
図42に基づき、本実施の形態におけるレーザレーダユニットについて説明する。本実施の形態におけるレーザレーダユニットは、ベース部440にはカム溝は設けられておらず、光走査部420には、ミラー322の揺動角度θを変化させるためのアクチュエータ425が設けられている。このため、光走査部420にはバネは設けられてはいない。また、本実施の形態におけるレーザレーダユニットには、制御部450が設けられており、モータ321及びアクチュエータ425と接続されている。
【0112】
アクチュエータ425は、モータ321の回転軸321aとミラー322の背面との間に設けられており、電圧等を印加することにより伸縮するピエゾ素子、磁力等を使ったリニアモータ等の駆動機構により形成されている。
【0113】
アクチュエータ425は、制御部450により、モータ321の回転、即ち、ミラー回転角φに応じて、アクチュエータ425が所定量伸縮し、ミラー322の揺動角度θが所定の角度となるように制御される。このため、制御部450には、ミラー回転角φとミラー322の揺動角度θとの関係を算出する演算機能を有している。尚、モータ321には、モータ321の回転角度、即ち、ミラー回転角φを検出するための不図示のセンサ等を設けてもよく、この場合には、センサ等により検出されたモータ321の回転角度に応じてミラー322の揺動角度θが所定の角度となるように、アクチュエータ425の伸縮が制御される。
【0114】
これにより、ミラー回転角φに対応してミラー322の揺動角θが制御することができ、第6の実施の形態と同様に、水平方向出力角を変化させても垂直方向出力角は、殆ど変化することなく光ビームを走査することができる。
【0115】
尚、上記以外の内容については、第6の実施の形態と同様である。
【0116】
〔第8の実施の形態〕
次に、第8の実施の形態について説明する。本実施の形態におけるレーザレーダユニットは、光走査部において複数のミラーを有するものであり、図43及び図44に基づき、本実施の形態におけるレーザレーダユニットについて説明する。尚、図43は、本実施の形態におけるレーザレーダユニットにおいて、カバー部を取り外した状態の斜視図であり、図44は、ベース部540の上面図である。
【0117】
本実施の形態におけるレーザレーダユニットにおいては、ベース部540には、2つのカム溝541及び542が設けられている。また、光走査部520には、互いの背面側が向きあうように設置された2枚のミラー521及び522を有しており、この2枚のミラー521及び522は接続部523を介し、モータ321の回転軸321aと接続されている。ミラー521は、接続部523と回転軸321aに対し垂直方向となる接続軸521bにおいて回転可能な状態で接続されており、ミラー522は、接続部523と回転軸321aに対し垂直方向となる接続軸522bにおいて回転可能な状態で接続されている。また、ミラー521の背面と回転軸321aとの間には、弾性部材となるバネ551が設けられており、ミラー522の背面と回転軸321aとの間には、弾性部材となるバネ552が設けられている。更に、ミラー521には、カム溝541に入り込む接触部521aが設けられており、接触部521aはカム溝541の壁面に接触しながらカム溝541内を移動する。同様に、ミラー522には、カム溝542に入り込む接触部522aが設けられており、接触部522aはカム溝542の壁面に接触しながらカム溝542内を移動する。
【0118】
カム溝541は、ミラー521が所定のミラー回転角φにおいて所定の揺動角度θとなるように形成されており、カム溝542は、ミラー522が所定のミラー回転角φにおいて所定の揺動角度θとなるように形成されている。尚、カム溝541及び542が重ならぬように、ミラー522の接触部522a近傍には、オフセット部522cが設けられているが、このオフセット部522cはあまり大きくない方が好ましい。
【0119】
本実施の形態におけるレーザレーダユニットでは、2枚のミラー521及び522の揺動角度θ及びθを各々独立に制御することができるため、垂直方向出力角の異なる領域において光ビームを走査することができる。よって、垂直方向出力角の範囲を広げることができる。
【0120】
尚、光走査部520に設けられるミラーの数は2枚に限定されるものではなく、3枚以上設けてもよい。但し、ミラーとカム溝の位置が大きくなるとオフセットを大きくしなければならないが、これによりミラー面に対してミラーの揺動中心と揺動させる点を結ぶ線とのずれが生じる。これが影響する場合は、オフセットを考慮した溝形状のカム溝にすることで解決される。
【0121】
尚、上記以外の記載については、第6の実施の形態と同様であり、第7の実施の形態のものにも適用することができる。
【0122】
また、カム溝を多くしたくない場合においては、複数枚のミラーで走査する際、カムでの動きは一枚目のミラーが受け、その動きを他のミラーにリンク等で伝達し、動かすのでもよい。その場合、一枚目のミラーが投射する部分では、そのミラーに必要な揺動を行うが、一枚目のミラーが投射しない部分でも他のミラーが発光に必要な揺動のために、一枚目のミラーは揺動を行っている。
【0123】
また、カム構造は前述した記載のものに限定されるものではない。例えば、前述したカム溝における溝形状は摺動面となる一方の側面のみ精度を出せばよいが、カム溝の両側の側面において、精度出せばどちらかの面にならって動くことになるので、バネ等は不要となる。
【0124】
また、前述した実施の形態における説明にあるような、"LDからの光はミラーの位置がどこにあっても垂直方向に対して一定の角度で光を出射することができ、同時に同じ角度の反射光を検出することができる"構成ではなく、あえて、垂直方向に対しての角度を変化させてもよい。例えば、検出範囲の中心部を高めに走査し、両端を低めに走査するようにミラーを動かす。また、斜めに走査したり、波打たせたりする。これにより、検出範囲において任意の軌跡で走査をすることができ、その結果、検出範囲を任意の設定にすることができる。
【0125】
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0126】
10 光源
11 レーザダイオード
11a 基板
11b 発光領域
20 入力光学系
30 光スキャナ
31 ミラー
31a ミラー面
31b ミラー面
32 ミラー
33 回転軸
110 送光部
114 出力光学系
115 LD駆動回路
116 光スキャナ駆動回路
117 走査角モニタ
120 受光部
121 受光レンズ
122 受光素子
130 ECU
141 増幅器
142 コンパレータ
143 時間計測回路
R ミラー回転半径
W 光ビーム幅
Wm ミラー面照射幅
ΔX オフセット量
θ ミラー面倒れ角
φ ミラー回転角
【先行技術文献】
【特許文献】
【0127】
【特許文献1】特開平9−274076号公報
【特許文献2】特開2009−98111号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光を走査する光スキャナと、
前記光源より出射された光ビームを前記光スキャナに入射させるための入力光学系と、
を有し、
前記光スキャナは、回転軸を中心に回転する回転ミラーであって、前記光源より入射した光ビームを反射するミラーを有しており、
前記回転ミラーが前記回転軸を中心に回転することにより、前記光ビームは、前記ミラーのミラー面において異なる位置に照射されるものであって、
前記ミラーにおけるミラー面は、前記回転軸に垂直な面に平行な方向において、前記ミラーの一方の側から他方の側に向かって、前記回転軸に平行な方向に対するミラー面傾き角が徐々に増加していることを特徴とする光ビームスキャナ。
【請求項2】
前記回転軸に垂直な面において、前記ミラーの一方の側におけるミラー面に照射される光ビームの前記ミラー面に対する入射角は、前記他方の側のミラー面に照射される光ビームの前記ミラー面に対する入射角度よりも、大きいことを特徴とする請求項1に記載の光ビームスキャナ。
【請求項3】
前記光ビームの光軸が、前記回転軸より前記回転ミラーの回転半径の0.8倍以上、1.0倍以下離れた位置となるように、前記光ビームが照射されることを特徴とする請求項1または2に記載の光ビームスキャナ。
【請求項4】
前記ミラーにおけるミラー面は、前記回転軸に垂直な面に平行な方向において、前記回転軸に平行な方向に対しミラー面傾き角が徐々に増加している領域と、
前記回転軸に垂直な面に平行な方向において、前記回転軸に対しミラー面傾き角が一定である領域と、
を有していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光ビームスキャナ。
【請求項5】
前記ミラーにおけるミラー面は、前記回転軸に垂直な面に平行な方向において、前記回転軸に対しミラー面傾き角が徐々に増加している2つの異なる領域を有しており、
前記2つの異なる領域は、前記徐々に増加する傾きの変化が不連続となる点で接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光ビームスキャナ。
【請求項6】
前記ミラーにおけるミラー面の前記回転軸に垂直な面に平行な方向における長さは、
前記ミラーに入射する光ビームの前記回転軸に垂直な面に平行な方向における光ビーム幅Wとすると、5W以上、12W以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の光ビームスキャナ。
【請求項7】
前記ミラーにおけるミラー面の前記回転軸に垂直な面に平行な方向における長さは、
前記回転ミラーの回転半径の2倍以上であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の光ビームスキャナ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の光ビームスキャナと、
前記光ビームスキャナより出射された光ビームが検出対象に照射され、前記検出対象において反射された光を受光する受光部と、
を有することを特徴とするレーザレーダユニット。
【請求項9】
発光部と、
前記発光部より出射された光ビームを走査する光走査部と、
前記光走査部より出射された光ビームが検出対象に照射され、前記検出対象において反射された光を受光する受光部と、
を有し、
前記光走査部は、前記光源より出射された光を反射する光反射部と、回転軸を中心に前記光反射部を回転させる回転部とを有しており、前記回転部が回転することにより前記光ビームが走査されるものであって、
前記検出対象において反射された光は、前記光走査部における光反射部において反射され、前記受光部に入射するものであり、
前記回転軸に垂直な面に対する出射光の垂直方向の出力角が、前記光ビームを走査した際に一定の角度となるように、前記光反射部の傾斜角度は、前記光反射部の回転角度に対応して変化するものであることを特徴とするレーザレーダユニット。
【請求項10】
発光部と、
前記発光部より出射された光ビームを走査する光走査部と、
前記光走査部より出射された光ビームが検出対象に照射され、前記検出対象において反射された光を受光する受光部と、
を有し、
前記光走査部は、前記光源より出射された光を反射する光反射部と、回転軸を中心に前記光反射部を回転させる回転部とを有しており、前記回転部が回転することにより前記光ビームが走査されるものであって、
前記検出対象において反射された光は、前記光走査部における光反射部において反射され、前記受光部に入射するものであり、
前記光反射部の傾斜角度は、前記光反射部の回転角度に対応して変化するものであることを特徴とするレーザレーダユニット。
【請求項11】
前記回転軸に対する前記光反射部の前記傾斜角度を揺動角θとし、前記回転部により回転する前記光反射部の回転角度をφとした場合に、
90°−cos−1(sin2θcosφ)が一定の値となるように、揺動角θがφに対応して変化するものであることを特徴とする請求項9または10に記載のレーザレーダユニット。
【請求項12】
前記回転部はベース部に、前記回転軸が前記ベース部の面に対し垂直となるように設置されており、
前記光反射部の一方の端部は、前記回転軸に対し垂直方向に設置された接続軸により、前記光反射部が前記接続軸を中心に回転可能な状態で接続部と接続されており、
前記接続部は前記回転軸に接続されているものであって、
前記光反射部の他方の端部は、前記ベース部に設けられたカム溝に入り込む接触部が設けられており、
前記光反射部が回転することにより前記接触部は前記カム溝内をカム溝に沿って移動するものであることを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載のレーザレーダユニット。
【請求項13】
前記回転部はベース部に、前記回転軸が前記ベース部の面に対し垂直となるように設置されており、
前記光反射部の一方の端部は、前記回転軸に対し垂直方向に設置された接続軸により、前記光反射部が前記接続軸を中心に回転可能な状態で接続部と接続されており、
前記接続部は前記回転軸に接続されているものであって、
前記光反射部の傾斜角度は、アクチュエータにより変化させるものであることを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載のレーザレーダユニット。
【請求項14】
前記回転部により回転する前記光反射部の回転角度をφとし、前記回転軸に垂直な面に対する前記反射部により反射され出射される出射光の角度を垂直方向出力角ψとし、
前記接続軸から前記光反射部の他方の端部までの前記回転軸に平行な距離成分をLとし、前記接続軸から前記光反射部の他方の端部までの前記回転軸に垂直な距離成分を揺動量とした場合、
揺動量=L・tan{1/2・sin−1(cos(90−ψ)/cosφ)}
となるように揺動量が変化するものであることを特徴とする請求項12または13に記載のレーザレーダユニット。
【請求項15】
前記発光部から光走査部に向けて出射される光ビームの光軸のうち、光走査部に入光する間際の光軸と、光走査部で反射され光検出部において検出される反射光の光軸のうち光走査部から出た間際の光軸とは、同一平面上に存在していることを特徴とする請求項9から14のいずれかに記載のレーザレーダユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公開番号】特開2013−83626(P2013−83626A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−147398(P2012−147398)
【出願日】平成24年6月29日(2012.6.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】