説明

光ピックアップ

【課題】光学ベースを薄型化することによる剛性の低下によって、光ディスクを高速で回転させた場合に生じる対物アクチュエータの振動に起因する立ち上げミラー等の光学部品の振動を防止する。
【解決手段】対物レンズアクチュエータと光学ベースとを結合する少なくとも3箇所以上の結合点のうち、立ち上げミラーの近傍に設けられた結合点を、対物レンズ中心を通り光ディスクの半径方向に垂直な平面の近傍に設けて光学ベースに伝達される振動を押さえる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクへの記録再生を行う光ピックアップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を用いるディスク状記録媒体としては、波長780nm近傍のレーザー光を用いるCD(Compact Disc)、波長660nm近傍のDVD(Digital Versatile Disc)、波長405nm近傍のBD(Blu−ray)と、より高密度で大容量の情報を記録可能な媒体へと開発が進んできており今後もさらなる高密度化が期待されている。記録ピットが高密度になるに従いレーザー光を記録ピットに位置決めする際の精度も、より高いものが必要とされてくるので、位置決め精度を悪化させる外乱や光ピックアップ内部の可動部から生ずる振動に対する耐振性の向上の必要性が高まっている。また一方で、情報転送速度向上への要求から記録再生倍速を上げる高倍速化も進んできており、光ディスクをより高い回転数で回転させることに起因して発生する振動レベルが大きくなってきており、さらに携帯型パーソナルコンピュータ等への搭載等の必要性から光ピックアップの小型軽量化への要求があり、光ピックアップの光学ベース薄型化に伴う剛性低下により振動しやすくなるなど光ピックアップ側はより振動しやすい構成となってきているため、光ピックアップの耐振性能に対する要求を満足させることが厳しくなってきている。
【0003】
図5は従来の光ピックアップの1例である。101は対物レンズアクチュエータで、対物レンズ(図示せず)をレンズ保持部102に保持したレンズホルダ103を、ディスク(図示せず)に対向するフォーカス方向と、ディスクの半径方向のトラッキング方向に位置制御し、ディスクに設けられた記録ピットに正確に追従させる。レンズホルダ103はワイヤにより弾性支持されており、ワイヤ固定端は、アクチュエータベース104上に設けられたサスペンションホルダ105に固定されている。アクチュエータベース104の一部にはマグネットが取り付けられており、レンズホルダに取り付けられたコイルとの間に磁気回路を構成し、コイルに通電することでフォーカス方向とトラッキング方向にレンズホルダを駆動する駆動力を発生させることができる。
【0004】
110は光学ベースで、対物アクチュエータ101や、立ち上げミラー110、レーザー(図示せず)等を保持する。光学ベースのレーザー保持部112に固定されたレーザーからトラッキング方向に出射されたレーザー光は、図示しないビームスプリッタにより光軸の向きをタンジェンシャル方向(フォーカス方向及びトラッキング方向の両方向に垂直な方向)に変更され、立ち上げミラー111に入射する。立ち上げミラー111は、光学ベースの底板110c上に45度傾斜した状態で取り付けられているミラーであり、入射したレーザー光の光軸をフォーカス方向に変更させる。対物レンズに入射したレーザー光は、対物レンズにより集光されてディスク上の記録ピットに焦点を結ぶ。
【0005】
対物レンズアクチュエータ101のアクチュエータベース104には、トラッキング方向の両端部に凸部104aと104bが設けられており、光学ベースに設けられた凹部110a、110bに対して、バネ105で付勢されることで光学ベース110に対して固定されている。また光学ベース110には貫通穴113が設けられており、アクチュエータベース104に設けられたネジ穴104cとは、バネを介してネジ固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−164750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
アクチュエータベース104と光学ベース110が従来例の様に結合されている場合、アクチュエータベース104が振動すると、その振動が光学ベース110に伝わってしまい、光学ベース110上に設けられた立ち上げミラー111等の光学部品を振動させてしまう問題があった。例えば、対物レンズがディスクに追従するようにフォーカス方向およびトラッキング方向に位置制御される際には、レンズホルダ103に設けられたコイルに通電することでコイルに駆動力を与えるが、マグネット側にもその反力が発生しアクチュエータベース104および対物レンズアクチュエータ101全体を振動させる。この際には様々な振動モードが励起されるが、特にタンジェンシャル方向を回転軸とする振動モードは、対物レンズアクチュエータ101全体が剛体回転(ローリング)する低次振動モードを初めとして数多く発生する。この様な振動が発生するとその回転軸から離れる点ほど振幅が大きくなるため、本従来例の様にアクチュエータベース104がトラッキング方向の両端部(104a、104b)で光学ベース110と結合している場合は、ローリング動作による振幅がもっとも大きい箇所で光学ベース110との結合していることから、光学ベース110へ振幅大きい振動を伝達してしまうという問題があった。
【0008】
さらに近年の光学ベースは光ピックアップ小型化の要求のため厚みが薄くなってきており、底板の厚みを大きく取ることができず、板厚を薄くしたり部分的に底板をなくしたりせざるを得ない場合が増えてきている。このため光学ベース110の底板の上(110c)に固定される立ち上げミラー111は、底板の剛性低下により振動しやすくなってしまう。立ち上げミラー111の取り付け精度はレーザーの光軸の方向に大きく影響するものであり、組立時の取り付け精度の管理が必要であるばかりでなく、経時的な変動やアクチュエータの駆動に伴う振動による共振等が発生しない様にする必要があるが、光ピックアップの薄型化が進むにつれ、アクチュエータの駆動に伴う振動を受けたときに振動しやすくなってしまうという問題がある。特にタンジェンシャル方向を回転軸とする回転振動が立ち上げミラー111に生じた場合には、立ち上げミラー111の回転量に応じたトラッキング方向のスポットずれが生じ、安定な記録再生が出来なくなる。
【0009】
本発明は、上記対物アクチュエータの振動に起因する立ち上げミラー等の光学部品の振動を防止可能な光ピックアップを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の光ピックアップは、光ディスクに対して情報の記録再生を行う光ピックアップであって、対物レンズを前記光ディスクに対向する方向および前記光ディスクの半径方向に変位自在に支持する対物レンズアクチュエータと、レーザーと、前記レーザーから出射されたレーザー光を反射して前記対物レンズに導く立ち上げミラーと、前記対物レンズアクチュエータおよび前記レーザーおよび前記立ち上げミラーを保持する光学ベースと、を備え、前記対物レンズアクチュエータと前記光学ベースは少なくとも3箇所以上の結合点で結合されており、前記結合点のうち、前記立ち上げミラー近傍に設けられた結合点は、前記対物レンズの中心を通り前記光ディスクの半径方向に垂直な平面の近傍に設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、対物レンズアクチュエータのタンジェンシャル方向を回転軸とするローリング振動が発生した場合でも、対物レンズアクチュエータと光学ベースの結合点が振動振幅の小さな回転軸近傍にあるため光学ベースに伝達される振動を小さく押さえることができ、立ち上げミラーが振動しにくいため、光ピックアップの薄型化による剛性の低い光学ベースであっても、安定した記録再生が可能な光ピックアップを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1における光ピックアップの分解斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における対物レンズアクチュエータ部分の分解斜視図
【図3】本発明の実施の形態1における光ピックアップの裏面斜視図
【図4】本発明の実施の形態2における光ピックアップの斜視図
【図5】従来の光ピックアップの分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における光ピックアップの分解斜視図、図2は本発明の実施の形態1における対物レンズアクチュエータの分解斜視図、図3は本発明の実施の形態1における光ピックアップの裏面斜視図である。
【0015】
図1および図2において、1は第1の対物レンズ、2は第2の対物レンズで、レーザー光により情報の記録再生を行う円盤状の記録媒体である光ディスク(図示せず)に対向して配置される。第1の対物レンズ1は、波長405nm近傍のレーザー光を用いる光ディスク(例えばBD)用対物レンズであり、材質に耐光性に優れるガラスを用い、高NAにより極めて小さいスポットを形成することが可能に構成されている。第2の対物レンズ2は、波長780nm近傍のレーザー光を用いるCD、波長660nm近傍のDVD兼用対物レンズであり、材質にプラスチックが用いられ、低コストで、重量は例えばガラスである第1の対物レンズの3分の1程度となっている。
【0016】
3はレンズホルダで、第1の対物レンズ1、第2の対物レンズ2を固定するレンズ保持部材である。4は端子板で、レンズホルダ3のトラッキング方向(光ディスクの半径方向)両端に固定される小基板であり、レンズホルダ3に接着剤等を用いて固定され、弾性支持部材である6本のワイヤ5が片側3本づつレンズ中心に対して対称に半田付けされている。またワイヤ5の他端は、サスペンションホルダ6に設けられた基板(図示せず)に半田付けされており、ワイヤ5はレンズホルダ3に設けられたコイル7(後述)への導電部材としても機能する。またワイヤ5は、第1の対物レンズ1、第2の対物レンズ2を含むレンズホルダ3等をディスクに対向するフォーカス方向およびトラッキング方向に移動自在に弾性支持しており、長手方向がタンジェンシャル方向(トラッキング方向と、光ディスクに対向する方向のフォーカス方向の両方向に直交する方向)に向いて設置されている。また、第1の対物レンズ1、第2の対物レンズ2は、タンジェンシャル方向に並べて配置されている。
【0017】
サスペンションホルダ6は、ワイヤ5の一端を固定支持するとともに、ワイヤ5の固定支持部近傍にゲル状の振動抑制部材を収納するポケットを備え、ワイヤ5の共振を抑制させる働きを有する。
【0018】
7はアクチュエータベースで、サスペンションホルダ6が固定される固定台である。アクチュエータベース7には3つの凸部8a、8b、9aが設けられており、光学ベース(後述)への固定に用いられる。
【0019】
10はフォーカスコイル、11はフォーカスマグネットであり、フォーカスコイル10はレンズホルダ3のタンジェンシャル方向の両端面に各々2個づつ設けられ、フォーカスマグネット11はアクチュエータベース7の、フォーカスコイル10に対向する位置(7a、7b)に同数設けられている。フォーカスコイル10およびフォーカスマグネット11は、通電されることによりフォーカス方向へレンズホルダ3を駆動する力を発生し、対物レンズと光ディスクとの距離を制御可能にしている。
【0020】
12はトラッキングコイル、13はトラッキングマグネットであり、トラッキングコイル12は第1の対物レンズ1と第2の対物レンズ2の間にレンズホルダ3から突き出る形でトラッキング方向の両端に各々1個づつ固定されており、トラッキングマグネット13は、トラッキングコイルを挟み込む様に、アクチュエータベース7の一部であるトラッキングヨーク14に計4個が固定されている。トラッキングコイル12およびトラッキングマグネット13は、通電されることによりトラッキング方向へレンズホルダ3を駆動する力を発生し、光ディスクに設けられた記録トラックに対する位置決めを可能にしている。以上説明した第1の対物レンズ1、第2の対物レンズ2、レンズホルダ3、アクチュエータベース7等から、対物レンズアクチュエータ40が構成されている。
【0021】
15は光学ベースで、アクチュエータベース7や、各種光学部品、電気部品を保持している。近年は光ピックアップの薄型化・小型化に伴い、肉厚が小さくなったり、光学部品の厚みが大きすぎて光学ベース15を切り欠く必要がある場合があるなど、光学ベース15の剛性が小さく振動しやすくなってきている。光学ベース15は3つの凹部16a、16b、17aを備える。アクチュエータベース7と光学ベース15は、凸部8a、8b、9aと凹部16a、16b、17aの間の隙間に流し込まれた図示しない接着剤(例えば紫外線硬化型の接着剤)で固定されており、この接着剤はアクチュエータベース7と光学ベース15の間の振動伝達を低減するダンピング効果も有している。また3つの凹部のうち、凹部16a、16bは第1の対物レンズ1と第2の対物レンズ2から離れた位置に配置されており、かつ各々の対物レンズの中心を通りトラッキング方向に垂直な平面に対してほぼ対称の位置に配置されている。一方、凹部17aは、第2の対物レンズ2(および後述する第2の立ち上げミラー24)の近傍に設けられ、かつ各々の対物レンズの中心を通りトラッキング方向に垂直な平面内に設けられている。
【0022】
20は第1の半導体レーザーで、波長405nm近傍のレーザー光を出射可能な半導体レーザーである。第1の半導体レーザー20は、図示しないホルダを介して光学ベース15に固定されている。第1の半導体レーザー20から出射されたレーザーは第1のPBS21で、光軸がタンジェンシャル方向になるように反射され、コリメータレンズ22と第2の立ち上げミラー24を透過した後、第1の立ち上げミラー23でフォーカス方向に反射されて第1の対物レンズ1に入射する。第1の対物レンズ1によって収束されたレーザー光は、光ディスクの表面から所定の深さに形成された情報記録層に合焦するように、第1の対物レンズと光ディスクとの距離が制御される。
【0023】
波長405nm近傍のレーザー光により情報の記録再生を行う光ディスクには、表面からの深さが異なる複数の情報記録層を有するものがあり、各々の情報記録層の記録再生を行うためには、第1の対物レンズ1と光ディスクとの距離を変更するだけでなく、表面からの深さの差に起因して発生する球面収差を除去する必要がある。このためコリメータレンズ22は、光軸方向(タンジェンシャル方向)に位置を変えうる様に構成されており、コリメータレンズ22を保持するコリメータホルダ25は、ステッピングモータ26と送りネジおよびナットピースによって光軸方向に移動することが可能となっている。
【0024】
30は第2の半導体レーザーで、波長780nm近傍と波長660nm近傍のレーザー光を出射可能な半導体レーザーである。第2の半導体レーザー30は、図示しないホルダを介して光学ベース15に固定されている。第2の半導体レーザー30から出射されたレーザーは第2のPBS31で、光軸がタンジェンシャル方向になるように反射され、第1のPBS21とコリメータレンズ22を透過した後、第2の立ち上げミラー32でフォーカス方向に反射されて第2の対物レンズ2に入射する。第2の対物レンズ2によって収束されたレーザー光は、第1の対物レンズ1の場合と同様に光ディスクの表面から所定の深さに形成された情報記録層に合焦するように、対物レンズアクチュエータにより第2の対物レンズと光ディスクとの距離が制御される。
【0025】
第1の立ち上げミラー23と、第2の立ち上げミラー24は、それぞれ対応する対物レンズのフォーカス方向下側の光学ベース15の底板に固定されているが、光学ベース15の薄型化により立ち上げミラーの下には底板の肉厚を十分とることができないため、立ち上げミラー下の底板部分はU字型に切り欠かれており、そのU字形の切り欠きの中に第1の立ち上げミラー23と第2の立ち上げミラー24が配置され、それぞれトラッキング方向の側面で光学ベース15と接着固定されている。また、第2の立ち上げミラー24からレーザー側にはコリメータレンズ22や第1のPBS21、第2のPBS31が配置されているが、光ピックアップ全体の薄型化のため底板の肉厚が十分に取れないため底板側に固定することができず、光学ベース15の天板側(光ディスク側)に設けた壁(15c)に固定されており、コリメータレンズ22や第1のPBS21、第2のPBS31に対向する光学ベース15の底板部分は完全に切り欠かれている。このため光学ベース15のうち、特に第2の立ち上げミラー24が固定される箇所(15a、15b)は剛性が低く振動しやすくなっている。ここで、アクチュエータベース7の固定に用いられる凹部16a、16b、17aのうち、振動しやすい第2の立ち上げミラー24に最も近い凹部17aは、光学ベース15のうち、対物レンズの中心を通りトラッキング方向に垂直な平面に一致する位置に設けられており、フォーカス方向から見たときには、第1の対物レンズ1と第2の対物レンズ2の中心を結ぶ直線の延長上に配置されている。
【0026】
また、2種類の対物レンズの配置は、記録密度が小さく振動に対する許容度がより大きい波長660nmおよび波長780nmに対応する第2の対物レンズ2を、コリメータレンズ22等の光学部品に近い方に配置している。第2の対物レンズ2に対応する第2の立ち上げミラー24が固定されるのが、光学ベース15の中で特に振動しやすい箇所である15a、15bであるが、記録密度が小さく振動に対する許容度がより大きい方の対物レンズを選定して配置することにより、性能に対する影響を最小限に抑えることができる。
【0027】
次に本実施の形態1の動作を説明する。
【0028】
光ピックアップが記録再生状態にある時には、フォーカスコイル10、トラッキングコイル12、フォーカスマグネット11、トラッキングマグネット13から構成される磁気回路により、対物レンズを保持するレンズホルダ3をフォーカス方向およびトラッキング方向に駆動する。この際にマグネットを保持しているアクチュエータベース7は駆動の反力を受ける。フォーカスマグネット11を保持するフォーカスヨーク7a、7bはフォーカス方向の反力を、トラッキングマグネット13を保持するトラッキングヨーク14はトラッキング方向の反力を受けるが、これら反力はアクチュエータベース7を共振させ、アクチュエータベース7および対物レンズアクチュエータ40全体は、その形状や剛性により決まる固有モードで振動することになる。例えば最も低次の振動モードのひとつはアクチュエータ全体がタンジェンシャル方向(2つの対物レンズの中心を結ぶ直線の方向)を回転軸に回動する剛体モードである。この場合回転軸から離れた点ほど振動振幅が大きいため、アクチュエータベース7と光学ベース15の固定を回転軸から離れた点に設けると、大振幅で光学ベース15を加振することになり、光学ベース15上の光学部品を振動させて性能に悪影響を及ぼすこととなる。なおタンジェンシャル方向を回転軸とする振動モードはねじりモード等多数あり、それらのモードについても回転軸から離れた点で大振幅となるのは同様である。
【0029】
本発明においては、トラッキング方向のスポットずれを生じさせる、立ち上げミラー24のタンジェンシャル方向を回転軸とする回転振動を抑制するために、第2の立ち上げミラー24の近傍に設けられたアクチュエータベース7の凸部9a(および光学ベース7の凹部17a)を、2つの対物レンズの中心を通りトラッキング方向に垂直な平面上に配置したので、タンジェンシャル方向を回転軸とする各種振動モードに対して、振動振幅の小さいモードの節となる中心部で支持することになるので、アクチュエータベース7から光学ベース15に伝達する振動を大幅に低減することができ、第2の立ち上げミラー24の不要振動を抑制して性能の安定した信頼性の高い光ピックアップを提供することが可能である。
【0030】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における光ピックアップの斜視図である。以下、実施の形態1と同じ部分については説明を省略する。
【0031】
アクチュエータベース7には、凸部8a、8b、9b、9cの4つが設けられており、光学ベース7との固定に用いられる。凸部8a、8bは実施の形態1と同じである。凸部9b、9cは、第2の対物レンズ2の下側に設けられた第2の立ち上げミラー24(図示せず)の近傍に設けられており、2つの対物レンズの中心を通りディスクの半径方向に垂直な平面の近傍かつ平面から等距離(平面に対して対称な位置)に設けられている。
【0032】
また光学ベース7には凹部16a、16b、17bが設けられている。凹部16a、16bは実施の形態1と同じである。凹部17bは、凸部9b、9cの両方を囲む様に形成されており、凸部9b、9cと凹部17bの隙間に図示しない接着剤を流しこむことにより、アクチュエータベース7と光学ベース15を固定する。
【0033】
次に本実施の形態の動作を説明する。
【0034】
光ピックアップが記録再生状態にある時には、磁気回路により、対物レンズを保持するレンズホルダ3をフォーカス方向およびトラッキング方向に駆動する。この際にマグネットを保持しているアクチュエータベース7は駆動の反力を受けるのは実施の形態1と同様である。
【0035】
本発明においては、振動しやすい第2の立ち上げミラー24の近傍に設けられたアクチュエータベース7の凸部9b、9c(および光学ベース7の凹部17b)を、2つの対物レンズの中心を通りトラッキング方向に垂直な平面上の近傍に配置し、かつ平面に対して対称な位置としたので、タンジェンシャル方向を回転軸とする各種振動モードに対して、振動振幅の小さいモードの節となる中心部に近い箇所で支持することになるので、アクチュエータベース7から光学ベース15に伝達する振動を大幅に低減することができ、第2の立ち上げミラー24の不要振動を抑制して性能の安定した信頼性の高い光ピックアップを提供することが可能である。さらに、凸部9b、9cの2箇所でアクチュエータベース7を光学ベース15に固定するので、結合の剛性が高く、光ピックアップが落下等の状況下で大きな衝撃を受けた場合でも、アクチュエータベース7と光学ベース15の固定が外れる可能性を少なくすることができ、信頼性の高い光ピックアップを提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明にかかる光ピックアップは、振動しやすい立ち上げミラーの近傍におけるアクチュエータベースと光学ベースの結合点を、対物レンズの中心を通りトラッキング方向に垂直な平面の近傍に設けたので、アクチュエータが駆動源となる振動の節で結合されることによりアクチュエータベースから光学ベースに伝わる振動が大幅に低減されており、安定で信頼性に優れる光ピックアップとして有用である。
【符号の説明】
【0037】
1 第1の対物レンズ
2 第2の対物レンズ
3 レンズホルダ
4 端子板
5 ワイヤ
6 サスペンションホルダ
7 アクチュエータベース
7a,7b フォーカスヨーク
8a,8b,9a,9b,9c 凸部
10 フォーカスコイル
11 フォーカスマグネット
12 トラッキングコイル
13 トラッキングマグネット
14 トラッキングヨーク
15 光学ベース
16a,16b,17a,17b 凹部
20 第1の半導体レーザー
21 第1のPBS
22 コリメータレンズ
23 第1の立ち上げミラー
24 第2の立ち上げミラー
25 コリメータホルダ
26 ステッピングモータ
30 第2の半導体レーザー
31 第2のPBS
40 対物レンズアクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクに対して情報の記録再生を行う光ピックアップであって、対物レンズを前記光ディスクに対向する方向および前記光ディスクの半径方向に変位自在に支持する対物レンズアクチュエータと、レーザーと、前記レーザーから出射されたレーザー光を反射して前記対物レンズに導く立ち上げミラーと、前記対物レンズアクチュエータおよび前記レーザーおよび前記立ち上げミラーを保持する光学ベースと、を備え、前記対物レンズアクチュエータと前記光学ベースは少なくとも3箇所以上の結合点で結合されており、前記結合点のうち、前記立ち上げミラー近傍に設けられた結合点は、前記対物レンズの中心を通り前記光ディスクの半径方向に垂直な平面の近傍に設けられていることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項2】
前記対物レンズアクチュエータと前記光学ベースは少なくとも4箇所以上の結合点で結合されており、前記立ち上げミラーの近傍に設けられた結合点は、前記対物レンズの中心を通り光ディスクの半径方向に垂直な平面の近傍かつ前記平面に略対称な位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ。
【請求項3】
対物レンズアクチュエータは波長の異なるレーザーにそれぞれ対応する2つの対物レンズを備え、光学ベースは前記2つの対物レンズに対応する2つの立ち上げミラーを備え、前記2つの立ち上げミラーはレーザー光の入射方向に並んで配置され、レーザー光の入射側に配置される立ち上げミラーは、波長の長い方のレーザーに対応する立ち上げミラーであることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−181141(P2011−181141A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43909(P2010−43909)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】