説明

光ファイバドロップケーブル

【課題】 屋内用と屋外用を1本で兼用することができる光ファイバドロップケーブルを提供すること。
【解決手段】 光ファイバ心線と、該光ファイバ心線を挟んでその両側に配置される少なくとも1対の抗張力体と、前記光ファイバ心線と前記抗張力体とを被覆する第1のケーブルシースとを有し、更に、支持線と、前記第1のケーブルシースと前記支持線とを被覆する第2のケーブルシースとを有する光ファイバドロップケーブルであって、前記第2のケーブルシースの表面において前記第1のケーブルシースの周囲にノッチが形成されていることを特徴とする光ファイバドロップケーブル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外の接続点から無接続で屋内の光端末回線装置或いは光アウトレットまで接続することのできる光ファイバドロップケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの発展により、ブロードバンドと呼ばれる高速インターネット接続の加入者数が急速に増大しており、高速インターネットアクセス網を実現するために、各加入者宅等に光ファイバケーブルの設置が進められている。従来、各加入者宅等に光ファイバケーブルが設置される場合においては、電柱等に設けられた加入者宅への引き落とし点において、架空布設用の多心ケーブルと、光ファイバ心線および支持線を備えた光ファイバドロップケーブルとを接続し、光ファイバドロップケーブルを各加入者宅の軒下等に設けられた屋外光成端箱に引き込み、そこで支持線のない前記とは別の光ファイバドロップケーブルにメカニカルスプライス等で接続して、支持線のない光ファイバドロップケーブルを屋内の光端末回線装置或いは光アウトレットまで布設していた。屋外光成端箱において、支持線を備えた光ファイバドロップケーブルと支持線の無い光ファイバドロップケーブルとを接続するのは、屋外においては、支持線が有れば、その支持線によって光ファイバドロップケーブル内の光ファイバを支持することが可能となるためであり、屋内においては、支持線が無ければ、ケーブルを壁・床等に沿わして配線しやすくなるためである。
【特許文献1】特開2003−68149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記記載の布設方法では、屋内用および屋外用として異なったケーブルを用意する必要があり、屋外光成端箱において接続作業を行う必要があるため、設置工事において手間および費用面での制約条件となっていた。
【0004】
従って本発明は上記の問題に鑑み、より効率的かつ経済的に屋外の接続点から無接続で屋内の光端末回線装置或いは光アウトレットまで光ファイバケーブルを設置することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の問題を解決するために、請求項1記載の光ファイバドロップケーブルは、光ファイバ心線と、該光ファイバ心線を挟んでその両側に配置される少なくとも1対の抗張力体と、前記光ファイバ心線と前記抗張力体とを被覆する第1のケーブルシースとを有し、更に、支持線と、前記第1のケーブルシースと前記支持線とを被覆する第2のケーブルシースとを有する光ファイバドロップケーブルであって、前記第2のケーブルシースの表面において前記第1のケーブルシースの周囲にノッチが形成されていることを特徴とするものである。
【0006】
請求項2記載の光ファイバドロップケーブルは、光ファイバ心線と、該光ファイバ心線を挟んでその両側に配置される少なくとも1対の抗張力体と、前記光ファイバ心線と前記第1の抗張力体とを被覆する第1のケーブルシースとを有し、更に、支持線と、切り裂き紐と、前記第1のケーブルシースと前記支持線と前記切り裂き紐とを被覆する第2のケーブルシースとを有する光ファイバドロップケーブルであることを特徴とするものである。
【0007】
請求項3記載の光ファイバドロップケーブルは、光ファイバ心線と、該光ファイバ心線を挟んでその両側に配置される少なくとも1対の抗張力体と、支持線とを有し、更に、前記光ファイバ心線と前記抗張力体と前記支持線とを被覆する第1のケーブルシースと、前記第1のケーブルシースを被覆する第2のケーブルシースとを有する光ファイバドロップケーブルであって、前記第2のケーブルシースの表面において、前記抗張力体と前記支持線との間の部分に一対のノッチが形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項4記載の光ファイバドロップケーブルは、光ファイバ心線と、該光ファイバ心線を挟んでその両側に配置される少なくとも1対の抗張力体と、前記光ファイバ心線と前記第1の抗張力体とを被覆する第1のケーブルシースとを有し、更に、支持線と、前記第1のケーブルシースと前記支持線とを被覆する第2のケーブルシースとを有する光ファイバドロップケーブルであって、前記第2のケーブルシースを剥離するための剥離手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項5記載の光ファイバドロップケーブルは、請求項1乃至請求項4記載の光ファイバドロップケーブルにおいて、前記光ファイバ心線を挟んで前記光ファイバ心線の両側、かつ、前記第1のケーブルシースの表面に、少なくとも1対のノッチが形成されており、その1対のノッチの開口部を前記第2のケーブルシースによって塞いだことを特徴とするものである。
【0010】
請求項6記載の光ファイバドロップケーブルは、請求項1乃至請求項5記載の光ファイバドロップケーブルにおいて、前記第2のケーブルシースの色が黒色であり、前記第1のケーブルシースと前記第2のケーブルシースの色が異なることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、前記第2のケーブルシースであって前記第1のケーブルシースの周囲を被覆する部分に形成された請求項1記載のノッチを切れ目の基点として前記第2のケーブルシースを引き裂いて、それによって、屋内配線時には前記第2のケーブルシース及びそれと共に前記支持線を剥ぎ取ることができるので、本発明の光ファイバドロップケーブルは1本のケーブルを切断することなく、長手方向の一部においては屋外用途に適した支持線付きの光ファイバドロップケーブルとして、また、長手方向の残りの部分においては屋内用途に適した支持線無しの光ファイバドロップケーブルとして使用することができる。よって、屋外の接続点から屋内の光端末回線装置まで光ファイバ心線を無接続で配線できるため、効率的かつ経済的で、しかも低損失の引落としを実現できる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、前記切り裂き紐により、前記第2のケーブルシースを引き裂いて、支持線無しの光ファイバドロップケーブルを取り出すことができる。それによって、請求項1記載の発明と同様に、本発明の光ファイバドロップケーブルは1本のケーブルを切断することなく、長手方向の一部においては屋外用途に適した支持線付きの光ファイバドロップケーブルとして、長手方向の残りの部分においては屋内用途に適した支持線無しの光ファイバドロップケーブルとして使用することができる。よって、屋外の接続点から屋内の光端末回線装置まで光ファイバ心線を無接続で配線できるため、効率的かつ経済的で、しかも低損失の引落としを実現できる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、前記第2のケーブルシースであって前記抗張力体と前記支持線との間の部分に形成された請求項2記載の1対のノッチ間を長手方向にわたって切断することにより、前記第2のケーブルシースを引き裂いて、支持線無しの光ファイバドロップケーブルを取り出すことができる。それによって、請求項1記載の発明と同様に、本発明の光ファイバドロップケーブルは1本のケーブルを切断することなく、長手方向の一部においては屋外用途に適した支持線付きの光ファイバドロップケーブルとして、長手方向の残りの部分においては屋内用途に適した支持線無しの光ファイバドロップケーブルとして使用することができる。よって、屋外の接続点から屋内の光端末回線装置まで光ファイバ心線を無接続で配線できるため、効率的かつ経済的で、しかも低損失の引落としを実現できる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、前記第2のケーブルシースを剥離するための剥離手段を有することにより、本光ファイバドロップケーブルから前記第2のケーブルシースを剥離させて、支持線無しの光ファイバドロップケーブルを取り出すことができる。それによって、請求項1記載の発明と同様に、本発明の光ファイバドロップケーブルは1本のケーブルを切断することなく、長手方向の一部においては屋外用途に適した支持線付きの光ファイバドロップケーブルとして、長手方向の残りの部分においては屋内用途に適した支持線無しの光ファイバドロップケーブルとして使用することができる。よって、屋外の接続点から屋内の光端末回線装置まで光ファイバ心線を無接続で配線できるため、効率的かつ経済的で、しかも低損失の引落としを実現できる。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、屋外用途に適した支持線付きの光ファイバドロップケーブルとして使用されるときにおいて、請求項5記載のノッチの開口部が塞がれているので、屋外において蝉等がノッチ部に産卵して光ファイバが断線する事態が防止される。
【0016】
請求項6記載の発明によれば、屋外においては前記第2のケーブルシースを最外層とすることで、その黒色によって、ケーブルの汚れが目立たなくなり、また、紫外線を透過させ難いためケーブルの内層を紫外線による劣化から保護することが可能となり、屋内においては前記第1のケーブルシースを最外層とすることで、ケーブルの色が壁などに合わせた色とすることが可能となり、屋内に布設された光ファイバドロップケーブルが目立たなくなって、美観上好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態における光ファイバドロップケーブルの断面を示している。本図において、1が光ファイバドロップケーブル、以下その構成部品であり、11が光ファイバ心線、12a及び12bが抗張力体、13が第1のケーブルシース、14が支持線、15が第2のケーブルシース、16が第2のケーブルシースに形成されたノッチを示しており、1は支持線付きの光ファイバドロップケーブルであることがわかる。本実施例においては、光ファイバ心線11は2芯であり、その両側に1対の抗張力体12a、12bが配置され、第1のケーブルシース13により光ファイバ心線11と1対の抗張力体12a、12bが共通被覆されており、光ファイバ心線11に外力或いは環境温度変化などによって歪みが生じるのを防いでいる。また、第2のケーブルシース15により第1のケーブルシース13と支持線14が共通被覆されており、両端或いは長手方向の複数点において支持線14を引っ張ることによって光ファイバドロップケーブル2を支持することができる。さらに、第2のケーブルシース15であって第1のケーブルシース13の周囲を被覆する部分に断面V字状のノッチ16が形成されており、ノッチ16から第2のケーブルシース15を引き裂いて第2のケーブルシース15内にある第1のケーブルシース13、すなわち支持線無しの光ファイバドロップケーブルを取り出すことができる。
【0018】
本実施例においては、第1のケーブルシース13であって光ファイバ心線11を挟んでその両側に断面V字状のノッチ17a及び17bが形成されており、2本の抗張力体12a、12bを引き離す方向に力を加えることによってノッチ17a及び17bを切れ目の基点として第1のケーブルシース13を引き裂いて、第1のケーブルシース13内にある光ファイバ心線11を取り出すことができる。さらに、第2のケーブルシース15によって、第1のケーブルシースに形成されたノッチ17a及び17bの開口部が塞がれて、第2のケーブルシース15の外表面が断面V字状でなく平滑な面となっているため、ノッチ17a及び17bへ蝉が産卵管を突き刺し光ファイバ心線11に外傷を与えることがないように形成されている。
【0019】
図2もまた本発明の一実施形態における光ファイバドロップケーブルの断面を示している。本図において、2が光ファイバドロップケーブル、以下その構成部品であり、21が光ファイバ心線、22a及び22bが抗張力体、23が第1のケーブルシース、24が支持線、25が第2のケーブルシース、26が第2のケーブルシースを切り裂くための切り裂き紐を示しており、2は支持線付きの光ファイバドロップケーブルであることがわかる。本実施例においても、光ファイバ心線21は4芯であり、その両側に1対の抗張力体22a、22bが配置され、第1のケーブルシース23により光ファイバ心線21と1対の抗張力体22a、22bが共通被覆されており、光ファイバ心線21に外力或いは環境温度変化などによって歪みが生じるのを防いでいる。また、第2のケーブルシース25により第1のケーブルシース23と支持線24と切り裂き紐25とが共通被覆されており、両端或いは長手方向の複数点において支持線24を引っ張ることによって光ファイバドロップケーブル2を支持することができるし、切り裂き紐25により両端部から第2のケーブルシース25を引き裂いて第2のケーブルシース25内にある第1のケーブルシース23、すなわち支持線無しの光ファイバドロップケーブルを取り出すことができる。
【0020】
本実施例においても、第1のケーブルシース23であって光ファイバ心線21を挟んでその両側に断面三角形状のノッチ27a及び27bが形成されており、2本の抗張力体22a、22bを引き離す方向に力を加えることによって第1のケーブルシース23を引き裂いて、第1のケーブルシース23内にある光ファイバ心線21を取り出すことができる。さらに、第2のケーブルシース25によって、第1のケーブルシースに形成されたノッチ27a及び27bの開口部が塞がれて、第2のケーブルシース15の外表面が断面三角形状でなく平滑な面となっているため、ノッチ27a及び27bへ蝉が産卵管を突き刺し光ファイバ心線21に外傷を与えることがないように形成されている。
【0021】
図3は本発明の別の実施形態における光ファイバドロップケーブルの断面を示している。本図において、3が光ファイバドロップケーブル、以下その構成部品であり、31が光ファイバ心線、32a及び32bが抗張力体、33が第1のケーブルシース、34が支持線、35が第2のケーブルシース、36a及び36bが第2のケーブルシースに形成されたノッチを示しており、3は支持線付きの光ファイバドロップケーブルであることがわかる。本実施例においては、光ファイバ心線31は1芯であり、その両側に1対の抗張力体32a、32bが配置され、第1のケーブルシース33によって光ファイバ心線31と1対の抗張力体32a、32bに加えて支持線34が共通被覆されている。また、第2のケーブルシース35により第1のケーブルシース33が被覆されており、さらに、第2のケーブルシース35であって抗張力体32aと支持線34との間の部分に2つの円弧が合わさった断面略γ字状のノッチ36a及び36bが形成されている。本実施例においては、上記図1に示した実施例と同様、光ファイバ心線31と1対の抗張力体32a、32bが共通被覆されているため、光ファイバ心線31に外力或いは環境温度変化などによって歪みが生じるのを防いでおり、支持線34が光ファイバドロップケーブル3内の他の構成要素と共通被覆されているため、両端或いは長手方向の複数点において支持線34を引っ張ることによって光ファイバドロップケーブル3を支持することができる。さらに、2つのノッチ36a、36bの間を長手方向にわたって切断することにより、第2のケーブルシース35を引き裂いて、光ファイバ心線31と抗張力体32a及び32bが第1のケーブルシース33の一部によって共通被覆され一体化されたもの、すなわち支持線無しの光ファイバドロップケーブルを取り出すことができる。
【0022】
本実施例においても、第1のケーブルシース33であって光ファイバ心線31を挟んでその両側に断面三角形状のノッチ37a及び37bが形成されており、2本の抗張力体を引き離す方向に力を加えることによって第1のケーブルシース33を引き裂いて、第1のケーブルシース33内にある光ファイバ心線31を取り出すことができる。さらに、第2のケーブルシース35によって、第1のケーブルシースに形成されたノッチ37a及び37bの開口部が塞がれて、第2のケーブルシース35の外表面が断面略γ字状でなく平滑な面となっているため、ノッチへ蝉が産卵管を突き刺し光ファイバ心線31に外傷を与えることがないように形成されている。
【0023】
上記実施形態図1〜図3においては、外層である第2のケーブルシースが黒色、内層である第1のケーブルシースが白色である。そのため、支持線付きの光ファイバドロップケーブルとして使用される屋外においては、第2のケーブルシースを付けた状態で使用し、その黒色によって、ケーブルの汚れを目立たなくすることが可能であり、また、その黒色によって、紫外線を透過させ難いためケーブルの内層を紫外線による劣化から保護することが可能である。また、支持線無しの光ファイバドロップケーブルとして使用される屋内においては、第2のケーブルシースを剥いで第1のケーブルシースが露出するようにして使用し、その白色によって白色等淡色が多い屋内の壁・床等にケーブルを布線したときにケーブルが屋内で目立たなくすることが可能である。なお、第1のケーブルシースの色は、白色等淡色が多い屋内の壁・床等にケーブルを布線したときにケーブルが屋内で目立たない色で良いため、白色に限らず、乳白色、若草色など比較的明度の高い色であっても良い。
【0024】
上記実施形態において示したように、図1〜図3においては、第2のケーブルシースに形成されたノッチ或いは切り裂き紐を利用して、外層である第2のケーブルシースを長手方向の一部において剥ぎ取ることができるため、簡単にかつ同時にさらには光ファイバ心線を接続することなく、ケーブルの形状と色を、1本の光ファイバドロップケーブルの長手方向の一部において屋外用途に適したものから屋内用途に適したものに変えることができる。
【0025】
なお、光ファイバ心線と、該光ファイバ心線を挟んでその両側に配置される少なくとも1対の抗張力体と、前記光ファイバ心線と前記第1の抗張力体とを被覆する第1のケーブルシースとを有し、更に、支持線と、前記第1のケーブルシースと前記支持線とを被覆する第2のケーブルシースとを有する光ファイバドロップケーブルである場合、前記第2のケーブルシースを剥離するための剥離手段が設けられているのであれば、外層である第2のケーブルシースを長手方向の一部において剥ぎ取ることができ、簡単にかつ同時にさらには光ファイバ心線を接続することなく、ケーブルの形状を、1本の光ファイバドロップケーブルの長手方向の一部において屋外用途に適したものから屋内用途に適したものに変えることができる。それ故、前記第2のケーブルシースを剥離するための剥離手段としては、ノッチ或いは切り裂き紐に限らず、前記第2のケーブルシースの内層に剥離しやすい層が設けられていても良いし、或いは前記第2のケーブルシース自体に剥離剤が添加されていても良い。
【0026】
本発明において、光ファイバドロップケーブル内の光ファイバ心線は、特に種類や形状が限定されるものではないが、好適に用いられる例として、コアとクラッドからなるガラス体の光ファイバの外周に紫外線硬化樹脂が被覆されてなるものが挙げられる。なお、光ファイバ心線は、図1においては2本、図2においては4本、図3においては1本設けられているが、これがより多数であっても良く、または複数の光ファイバがテープ状に一体化された光ファイバ心線となっていても良い。また、他の構成要素においても材質が限定されるものではないが、抗張力体は、鋼やアラミドFRP(繊維強化プラスチック)等を用いることができ、支持線は、鋼線やFRP線等を用いることができ、好適には、亜鉛アルミ合金メッキ鋼線が用いられるし、第1及び第2のケーブルシースは、難燃ポリエチレン(FRPE)が好適に用いられる。なお、第1及び第2のケーブルシースの着色においては、好適には着色すべきケーブルシースの最外層に着色用顔料を含ませることによって色彩が施される。
【0027】
次に、図4を用いて本発明の光ファイバドロップケーブルの一使用例を示す。本図において、41が本発明の光ファイバドロップケーブルであり、42が架空布設用光ファイバケーブル、43が電柱、44が架空クロージャ、45が加入者宅、46が屋外光成端箱、47が光端末回線装置すなわちOptical Network Unit以下ONUを示している。多数の光ファイバ心線を備えた架空布設用光ファイバケーブル42は電柱43上に設置された架空クロージャ44において、各加入者宅に引き落とす光ファイバドロップケーブル41と光ファイバ心線同士接続される。光ファイバドロップケーブル41は、架空クロージャ44から加入者宅45の軒下に設置された屋外光成端箱46を経由して、加入者宅45の屋内に引き込まれ、ONU47まで布線されて接続される。架空クロージャ44と屋外光成端箱46との間において、光ファイバドロップケーブル41は、その構成要素である第2のケーブルシースを付けた状態で支持線付きの光ファイバドロップケーブルとして使用され、支持線が架空クロージャ44と屋外光成端箱46との間で支持されている。また、屋外光成端箱46とONU47との間において、光ファイバドロップケーブル41は、その構成要素である第2のケーブルシースを剥した状態で支持線無しの光ファイバドロップケーブルとして使用され、屋内の壁面、床面などに布線されている。屋外光成端箱46においては、光ファイバドロップケーブル41の長手方向のうち第2のケーブルシースが剥されている部分と剥されていない部分との境目が固定されている。よって、屋外に設置された架空クロージャ44と屋内に設置されたONU47との間を1本の光ファイバドロップケーブルにより結ぶことができる。本発明の光ファイバドロップケーブルにおいては、屋内用と屋外用の光ファイバドロップケーブルを1本の光ファイバドロップケーブルで兼用することができるため、屋内用と屋外用の2本のケーブルを準備して接続する場合に比較して、接続点での挿入損失がないため光学的な特性を向上することができる。また、第2のケーブルシースに設けられたノッチ等の剥離手段により、簡単にケーブル長手方向の一部において第2のケーブルシースを剥ぐことができるので、手間が掛からず経済的かつ効率的に、屋外に設置された架空クロージャ44と屋内に設置されたONU47との間に光ファイバドロップケーブルを布設することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上説明したように、本発明の光ファイバドロップケーブルは、経済的かつ効率的に布設を実現することについて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係わる光ファイバドロップケーブルの一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明に係わる光ファイバドロップケーブルの別の実施例を示す断面図である。
【図3】本発明に係わる光ファイバドロップケーブルの更に別の実施例を示す断面図である。
【図4】本発明に係わる光ファイバドロップケーブルの使用例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0030】
1、2、3、41 ・・・光ファイバドロップケーブル
11、21、31 ・・・光ファイバ心線
12a、12b、22a、22b、32a、32b ・・・抗張力体
13、23、33 ・・・第1のケーブルシース
14、24、34 ・・・支持線
15、25、35 ・・・第2のケーブルシース
16、17a、17b、27a、27b、36a、36b、37a、37b・・・ノッチ
26 ・・・切り裂き紐
42 ・・・架空布設用光ファイバケーブル
43 ・・・電柱
44 ・・・架空クロージャ
45 ・・・加入者宅
46 ・・・屋外光成端箱
47 ・・・ONU




【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ心線と、該光ファイバ心線を挟んでその両側に配置される少なくとも1対の抗張力体と、前記光ファイバ心線と前記第1の抗張力体とを被覆する第1のケーブルシースとを有し、更に、支持線と、前記第1のケーブルシースと前記支持線とを被覆する第2のケーブルシースとを有する光ファイバドロップケーブルであって、前記第2のケーブルシースの表面において前記第1のケーブルシースの周囲にノッチが形成されていることを特徴とする光ファイバドロップケーブル。
【請求項2】
光ファイバ心線と、該光ファイバ心線を挟んでその両側に配置される少なくとも1対の抗張力体と、前記光ファイバ心線と前記第1の抗張力体とを被覆する第1のケーブルシースとを有し、更に、支持線と、切り裂き紐と、前記第1のケーブルシースと前記支持線と前記切り裂き紐とを被覆する第2のケーブルシースとを有することを特徴とする光ファイバドロップケーブル。
【請求項3】
光ファイバ心線と、該光ファイバ心線を挟んでその両側に配置される少なくとも1対の抗張力体と、支持線とを有し、更に、前記光ファイバ心線と前記抗張力体と前記支持線とを被覆する第1のケーブルシースと、前記第1のケーブルシースを被覆する第2のケーブルシースとを有する光ファイバドロップケーブルであって、前記第2のケーブルシースの表面において、前記抗張力体と前記支持線との間の部分に一対のノッチが形成されていることを特徴とする光ファイバドロップケーブル。
【請求項4】
光ファイバ心線と、該光ファイバ心線を挟んでその両側に配置される少なくとも1対の抗張力体と、前記光ファイバ心線と前記第1の抗張力体とを被覆する第1のケーブルシースとを有し、更に、支持線と、前記第1のケーブルシースと前記支持線とを被覆する第2のケーブルシースとを有する光ファイバドロップケーブルであって、前記第2のケーブルシースを剥離するための剥離手段が設けられていることを特徴とする光ファイバドロップケーブル。
【請求項5】
前記光ファイバ心線を挟んで前記光ファイバ心線の両側、かつ、前記第1のケーブルシースの表面に、少なくとも1対のノッチが形成されており、その1対のノッチの開口部を前記第2のケーブルシースによって塞いだことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光ファイバドロップケーブル。
【請求項6】
前記第2のケーブルシースの色が黒色であり、前記第1のケーブルシースと前記第2のケーブルシースの色が異なることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の光ファイバドロップケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−337499(P2006−337499A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−159406(P2005−159406)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】