説明

光プリントヘッド、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】幅狭の光プリントヘッドであっても、十分な剛性が確保でき、組み立ての容易な構造の光プリントヘッドを提供する。
【解決手段】少なくとも感光体及び現像装置を二方向から挟んで位置決めする画像形成装置の面板に、長手方向の両端部側が担持されるプリントヘッドであって、長手方向の両端部側が前記面板に担持される角管形状の本体フレーム20と、本体フレーム20内部に固定され、複数のLED素子からなるLEDアレイチップ12を有する基板11と、本体フレーム20のLEDアレイチップ12に対向するフレーム面にLEDアレイチップ12に対応して固定されるロッドレンズアレイ14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光プリントヘッド、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。詳しくは、像担持体に静電潜像を書き込む光プリントヘッド、およびこれを備えたプロセスカートリッジ、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置として、電子写真方式を利用した画像形成装置が種々考案されており公知技術となっている。その画像形成プロセスは、像担持体である感光体ドラムの表面に静電潜像を形成し、感光体ドラム上の静電潜像を現像剤であるトナー等によって現像して可視像化し、現像された画像を転写装置により記録紙(用紙、記録材、記録媒体ともいう)に転写して画像を担持させ、圧力や熱等を用いる定着装置によって記録紙上のトナー画像を定着する過程により成立している。
【0003】
このような電子写真方式の画像形成装置において、像担持体に静電潜像を書き込む露光手段として、アレイ状に配列された多数の発光部から選択的に光を発光させる微小発光セグメントアレイを備えた自己走査型の光プリントヘッドを用いることが知られている。
【0004】
この光プリントヘッドが備える微小発光セグメントアレイは、LED(Light
Emitting Diode)などからなる発光素子アレイや液晶シャッタを有しており、発光素子アレイを有する場合は微小で多数のLEDなどの発光素子が発光部として機能し、液晶シャッタを有する場合は液晶セルが発光部として機能する。いずれの場合においても発光部は画素単位でアレイ状に配列されている。
【0005】
このような発光素子は、所定の点、あるいは所定の面から拡散光を放射するものであるために、像担持体上に潜像を形成するためには発光素子から発せられた拡散光を各々微少なスポットに結像する必要がある。
【0006】
そこで、光プリントヘッドは、ロッドレンズアレイやルーフプリズムレンズアレイ等の結像素子アレイを設けることによって、良好な光スポットを形成するようにしており、また光スポット位置の変動による色ずれが発生しないよう、光プリントヘッドは高剛性の必要がある。
【0007】
また、結像素子の焦点深度は数十μmであり、従来の走査光学系などに用いられるレンズの焦点深度と比較して極度に小さく、またレンズの開口数も低い等の理由から、結像素子との相対位置関係を高い位置精度に調整し維持する必要がある。このために発光素子と結像素子及び結像素子と像担持体との相対位置関係を高い位置精度になるように調整しかつ維持なければならない。
【0008】
このような光プリントヘッドを高剛性にすることを目的とした技術として、例えば、特許文献1(特開2005-47113号公報)において、光プリントヘッド本体フレームに二重折りにした板金を使用した例(図2参照)や、アルミダイカストを使用した例(図3参照)が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、近年、画像形成装置の小型化に伴い、光プリントヘッドの極端な幅狭化が求められており、上記方式では要求に応えられなかった。すなわち、特許文献1の図2に示される金属平板の多層構造の板金加工品では光プリントヘッドの幅狭化が困難であり、また金属平板を折り返さない板金構造では幅狭化に対応できても剛性不足となってしまった。また、特許文献1の図3に示されるヘッド基板、ハウジング及びベースプレートがコの字型クリップで挟持する構造では光プリントヘッドの幅狭化に伴い組み立てが困難になった。
【0010】
本発明は、以上の従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、幅狭の光プリントヘッドであっても、十分な剛性を確保でき、組み立ての容易な構造の光プリントヘッドを提供することを目的とし、さらに該光プリントヘッドを用いたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために提供する本発明は、少なくとも感光体及び現像装置を二方向から挟んで位置決めする画像形成装置の面板に、長手方向の両端部側が担持される光プリントヘッドであって、長手方向の両端部側のフレーム面が前記面板に担持される角管形状の本体フレームと、前記本体フレーム内部に固定され、複数の発光素子を有する基板と、前記本体フレームの前記複数の発光素子に対向するフレーム面に該複数の発光素子に対応して固定されるレンズアレイと、を備えることを特徴とする光プリントヘッドである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光プリントヘッドによれば、本体フレームが4つのフレーム面(板材)で4方向を囲まれてなる開放部のない角管形状であるので、幅狭の光プリントヘッドであっても十分な剛性を確保でき、画像形成装置において書込み位置ずれやピントずれによるビームプロファイルの劣化や色ずれを発生させず、画像品質を良好に保つことができる。また、本体フレームの長手方向端部の開口から基板を挿入することにより、容易に組み立て可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】光プリントヘッド及び感光体を示す模式図である。
【図3】本発明に係る光プリントヘッドの構成を示す概略図である。
【図4】本発明の光プリントヘッドと従来の光プリントヘッドの外観図である。
【図5】画像形成装置の面板に本発明の光プリントヘッドを取り付けた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る光プリントヘッド、プロセスカートリッジ、画像形成装置の構成について説明する。
【0015】
(画像形成装置)
図1に、本発明に係る光プリントヘッドを備えた画像形成装置の一実施形態であるカラー画像形成装置100の要部の概略構成を示す。なお、以下、Y,M,C,Kの各符号は、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色に対応する部分として区別する。
【0016】
本実施形態に係る画像形成装置100は、複数の感光体1Y,1M,1C,1Kを並列に配置したタンデム型のカラー画像形成装置であり、中間転写ベルト101に対して各色に対応した感光体1Y,1M,1C,1Kが並列順に等間隔で配設されている。なお、感光体1Y,1M,1C,1Kは同一径に形成され、その周囲には電子写真プロセスに従い各部材が順に配設されている。
【0017】
感光体1Yを例に説明する。感光体1Yの周囲には、帯電器(帯電装置)2Y、画像データに基づく出射光LYを出射する露光装置である本発明の光プリントヘッド3Y(詳細は後述する)、現像器(現像装置)4Y、転写ローラ5Y、クリーニング手段(クリーニング装置)6Yが順に配設されている。なお、7Y,7M,7C,7Kは、各色の感光体周りを一体化したプロセスカートリッジを示している。
【0018】
他の感光体1M,1C,1Kに対しても同様である。即ち、本実施形態では、感光体1Y,1M,1C,1Kを各色に設定された被露光面とするものであり、各々に対して光プリントヘッド3Y,3M,3C,3K(以下、光プリントヘッド3と総称する。他の装置についてもこれに準ずる。)から出射光LY、LM,LC、LKが各々に対応するように設けられている。
【0019】
帯電器2Yにより表面を均一に帯電された感光体1Yは、矢印方向に回転することによって出射光LYを副走査し、感光体1Y上に静電潜像が形成される。なお、図1に示す例では、帯電器2Yとして帯電ローラを用いているが、これに限られるものではない。
【0020】
また、光プリントヘッド3Yによる出射光LYの照射位置よりも感光体1Yの回転方向下流側には、感光体1Yにトナーを供給する現像器4Yが配設され、現像器4Yからイエローのトナーが供給される。
【0021】
現像器4Yから供給されたトナーは、静電潜像が形成された部分に付着し、トナー像が形成される。同様に感光体1M,1C,1Kには、それぞれマゼンタ、シアン、ブラックの単色トナー像が形成される。
【0022】
各感光体1の現像器4の配設位置よりもさらに回転方向下流側には、中間転写ベルト101が配置されている。中間転写ベルト101は、両端にある複数の搬送ローラ105に巻付けられ、図示しないモータの駆動により矢印方向に移動搬送されるようになっている。
【0023】
転写ローラ5Y,5M,5C,5Kは、各感光体1で現像された各々単色画像を順次重ねあわせて中間転写ベルト101に転写し、中間転写ベルト101上にカラー画像を形成する。
【0024】
さらに、2次転写ローラ103にバイアスを印加して、搬送ベルト102により搬送された被記録媒体(用紙)に4色のトナー像を一括して転写する。カラー画像が形成された用紙は、定着器104により定着処理が行われた後、カラー画像として排紙される。
【0025】
(光プリントヘッド)
図2は、本実施形態に係る光プリントヘッド3および感光体1を示す模式図である。
光プリントヘッド3の基板11には、光源としての複数のLED素子12aが配列され、LEDアレイチップ12として感光体1の長手方向に沿うようにライン状に実装される。また、LED素子12aを駆動するための駆動IC13も複数実装されている。なお、駆動IC13は全てのLEDで1つとしても、別基板としても良い。また、基板11は、LEDアレイ基板(LEDA基板)ともいう。
【0026】
基板11上には、LEDアレイチップ12が書込幅に対応して数十〜数百個程度実装される。また、各LEDアレイチップ12内には、LED素子12aが数十〜数百個程度配列され、隣り合うLEDアレイチップ12は、その端部に位置するLED素子12aの隣接間隔が、所定間隔になるように基板11上に実装される。
【0027】
例えば、600dpi、A4幅(210mm)では、LED素子12aが全数で42.3μm間隔で4960個配列する必要があり、LED素子12aが100個からなるLEDアレイチップ12であれば、50個実装されることとなる。同様に、1200dpi、A3幅(297mm)ではLED素子12aが全数14000個程度配列する必要があり、LED素子12aが100個からなるLEDアレイチップ12の場合、140個実装されることになる。
【0028】
なお、LED素子12aは、所定の点または所定の面から拡散光を放射するものであるため、感光体面上に潜像を形成するためにはLED素子12aから発せられた拡散光を各々微少なスポットに結像する必要がある。このための結像光学素子としては、例えばマイクロレンズアレイや、屈折率分布型ロッドレンズアレイ等を用いることができる。
【0029】
本実施形態では、屈折率分布を有するロッドレンズ14aを束ねたロッドレンズアレイ14を用い、拡散光を感光体表面に結像させている。図2中の拡大図に示すように、ロッドレンズアレイ14は、半径方向に2次曲線分布状の屈折率分布を有する円柱状の屈折率分布型ロッドレンズ14aを2列千鳥配列状に束ねたものである。また、各ロッドレンズ14aの隙間には、不透明樹脂(黒色樹脂)が充填、硬化されており、ロッドレンズ14a間を漏れるフレア光を抑えている。また、ロッドレンズ14a両側からレンズと同等の線膨張係数をもつガラスを分散させた樹脂製の部材によりロッドレンズ14aを保持している。
【0030】
(光プリントヘッドの構造)
以下、本発明の光プリントヘッドの構造について図3を参照して、詳細に説明する。なお、図3(A)は光プリントヘッド3の主走査方向(長手方向)端部からみた正面図、図3(B)は斜視図である。また、図3に示すように、光プリントヘッドの長手方向を主走査方向(X方向)、光プリントヘッドの短手方向を副走査方向(Y方向)、光の出射方向をピント方向(Z方向)と呼ぶ。
【0031】
光プリントヘッド3は、少なくとも感光体及び現像装置を二方向から挟んで位置決めする画像形成装置100の面板に、長手方向の両端部側が担持されるものであって(後述)、図3に示すように、長手方向の両端部側が前記面板に担持される角管形状の本体フレーム20と、本体フレーム20内部に固定され、複数の発光素子(LED素子12a)を有する基板11と、本体フレーム20の前記複数の発光素子に対向するフレーム面(図3(A)において下の面)に該複数の発光素子に対応して固定されるロッドレンズアレイ14と、を備えることを特徴とする。なお、本体フレーム20内のガイドプレート20a上には、外部からLED素子12aに電力を供給するための給電線を接続するためのコネクタ21を有する。
【0032】
ここで、本体フレーム20の副走査方向における断面形状(図3(A)に示す断面形状)は、4つのフレーム面(板材)で4方向を囲まれてなる開放部のない中空の矩形を呈している。これにより、従来のように例えば3つのフレーム面に囲まれ1方向に開放部のある本体フレーム(後述の図4(b)に示す本体フレーム20’)よりも、画像形成装置の面板に設置した場合に光書き込みの位置ずれや色ずれに影響する副走査方向において高剛性を示す。このような本体フレーム20は、十分な剛性を確保できる部材、例えば金属材料からなることが好ましく、特にアルミ押出型材からなることが好適である。
【0033】
また、本体フレーム20は、その内部に、対向するフレーム面(図3(A)において左右の面)の間に架け渡されるとともに該フレーム面それぞれと一体的に成形されるガイドプレート20aを有し、該ガイドプレート20aに基板11が固定される構成となっている。なお、本体フレーム20のガイドプレート20aが架け渡されるフレーム面にはそれぞれガイドプレート20aに対応する位置近傍(基板11が配置される位置)であってその長手方向の複数個所(図3(B)において基板接着部11aに対応する箇所)に外部から内部に接着剤を注入することが可能な穴が設けられている。
【0034】
また、本体フレーム20の下面となるフレーム面において、LEDアレイチップ12に対向する位置であって該フレーム面を貫通するように、ロッドレンズアレイ14が接着により固定されている。詳しくは、本体フレーム20のフレーム面に開口部を設けておき、その開口部にロッドレンズアレイ14を嵌め込んで接着固定している。
【0035】
本発明の光プリントヘッド3は、このような構成の本体フレーム20で基板11及びロッドレンズアレイ14を保持することにより、従来の上部が開放された鋼製の本体フレームで保持するよりも画像形成装置100において光書き込みの位置ずれや色ずれを防止することができる。
【0036】
例えば、図4に示すように、アルミ押出型材からなる角管形状の本体フレーム20を用いた光プリントヘッド(図4(a))と、上部が開放された鋼製の本体フレーム20’を用いた光プリントヘッド(図4(b))を、それぞれ前述したプロセスカートリッジに取り付けた状態(つまり図5のように画像形成装置100の面板に設置した状態)を考える。このとき、それぞれの本体フレームを書き込み幅(X方向)A4サイズ、幅(Y方向)7mm、高さ(Z方向)10mm、肉厚0.6mmの実際の本体フレームサイズとして、光プリントヘッドの副走査方向1次モードの共振周波数のシミュレーション計算を行ったところ、上部が開放された鋼製の本体フレーム20’では、共振周波数の1次モードが197Hzであったのに対し、同じ肉厚のアルミ押出型材製の本体フレーム20では225Hzとなった。
【0037】
本体フレーム20’(鋼製)に比べて本体フレーム20の重量が軽くなったにも関わらず共振周波数の1次モードが高くなったということは、剛性がアップしていることを示している。すなわち、本体フレーム20によれば、画像形成装置100における駆動機構の振動(例えばギヤの噛合わせによる振動)と共振して、光書き込み位置ずれや色ずれが発生することを防止することができる。
【0038】
なお、本体フレーム20は、ロッドレンズアレイ14を取り付けたフレーム面(図3における下面)の主走査方向(長手方向)の両端部側に、前記面板が有する当該光プリントヘッド3のピント方向(Z方向)の位置決め基準面に対して、当該光プリントヘッド3の位置を変位させるピント調整手段であるピント方向調整ねじ23を有する。このように構成される光プリントヘッド3は、画像形成装置100においてピント方向調整ねじ23により感光体1に対するピント調整が可能である。
【0039】
具体的には、ピント方向調整ねじ23の先端(下側)は、後述する画像形成装置100の前後面板30のピント方向基準面32と当接するように加圧されており、主走査方向両端それぞれのピント方向調整ねじ23を調整することで、主走査方向全域に渡って、ピントを合わせることができる。なお、ピントの調整は、実際に画像を出力しながら調整しても良いし、基準となる治具上で空中像を観察しながら調整するようにしても良い。また、ピント方向調整ねじ23は、ピント調整後に変位しないよう、不図示のねじロック等を用いて、ピント方向調整ねじ23を固定することが好ましい。
【0040】
このように、ピント調整手段を光プリントヘッド3の長手方向両端近傍に設けたことで、画像形成装置100においてピント位置に主走査方向の傾きがあっても、主走査方向全域に渡ってピント調整を行うことを可能とすることができる。よって、ピントずれを全域に亘って無くして、画像品質を良好に保つことができる。
【0041】
また、本体フレーム20は、ロッドレンズアレイ14を取り付けたフレーム面に対して垂直となるフレーム面(図3(A)における左側面)の長手方向の両端部側に、前記面板が有する当該光プリントヘッド3の副走査方向(Y方向)の位置決め基準面に対して、当該光プリントヘッド3の位置を変位させる副走査方向調整手段である副走査方向調整ねじ24を有する。このように構成される光プリントヘッド3は、画像形成装置100において副走査方向調整ねじ24により副走査方向への位置決めが可能である。
【0042】
具体的には、副走査方向調整ねじ24は、後述する画像形成装置100の前後面板30の副走査方向基準面33と当接するように加圧されている。なお、副走査方向調整ねじ24は、ドライバーやレンチ等を用いて回転させることができ、ねじを締結、緩めることができる。したがって、副走査方向調整ねじ24を調整することにより、光プリントヘッド3の主走査方向の走査線傾きを変化させることができる。
【0043】
このように、副走査方向調整手段を光プリントヘッド3の長手方向両端近傍に設けることにより、副走査方向の傾き調整を行うことができる。よって、カラー画像形成装置100において、色ずれを生じさせず、画像品質を良好に保つことができる。
【0044】
また、このように光プリントヘッド3の長手方向両端近傍の側面と下面に副走査方向調整ねじ24とピント方向調整ねじ23を設けたことにより、幅狭の光プリントヘッド3であっても、倒れの発生を防止することができ、よって、倒れが無いことで書込み位置ずれや、ピントずれによるビームプロファイルの劣化が発生せずし、画像品質を良好に保つことができる。
【0045】
なお、本体フレーム20の主走査方向端部の開口は、ごみの進入を防ぐため最後に封止するのが望ましいが、ピント方向調整ねじ23,副走査方向調整ねじ24を調整後に封止してもよいし、ロッドレンズアレイ14を接着などで正確な位置に固定後に、ピント方向調整ねじ23,副走査方向調整ねじ24に対して外部からアクセスできるような形で封止してもよい。
【0046】
ところで、従来のように上部が開放された本体フレーム(例えば、図4(b)に示す本体フレーム20’)を用いる光プリントヘッドでは、まず本体フレームに対して治具などを用い、ロッドレンズアレイ14を接着などにより正確な位置に固定し、次にロッドレンズアレイ14の焦点位置にLED素子12aの発光位置がくるように、治具などを用いて基板11を接着などにより正確な位置に固定していた。しかしながら、本発明の光プリントヘッド3では、本体フレーム20の上部が閉じているため、本体フレーム20内部で基板11の位置を微調整することが難しい。
【0047】
そこで、本発明の光プリントヘッド3の組み立ての際には、まずLEDアレイチップ12及び駆動IC13が実装された基板11を本体フレーム20の主走査方向(長手方向)端部から該本体フレーム20の内部に挿入して固定する。詳しくは、基板11を本体フレーム20の主走査方向端部の開口からガイドプレート20aに沿って本体フレーム20内に挿入し、所定位置で本体フレーム20のフレーム面に設けた複数の基板接着部11aの穴から接着剤を注入して基板11をガイドプレート20a及びフレーム内面に固定する。これにより、基板11上の複数のLED素子12aが本体フレーム20の所定位置に固定された状態となる。
【0048】
ついで、基板11が本体フレーム20の内部に固定された後に、ロッドレンズアレイ14を複数のLED素子12aとの位置関係を調整して配置し、該ロッドレンズアレイ14を本体フレーム20のフレーム面(下面)に固定する。詳しくは、ロッドレンズアレイ14のロッドレンズ14aの焦点位置がLED素子12aの発光位置となるように治具などを用い、ロッドレンズアレイ14の位置を調整し、本体フレーム20の外部から接着剤を注入して正確な位置に固定する。ロッドレンズアレイ14はレンズアレイ接着部14bで本体フレーム20に固定されることになる。
【0049】
このように、本発明の光プリントヘッド3では、本体フレーム20の長手方向端部の開口から基板11を挿入して固定し、ついでロッドレンズアレイ14を位置調整して固定することにより、容易に組み立て可能である。
【0050】
(光プリントヘッドの取り付け)
以下、光プリントヘッド3の画像形成装置100への取り付けについて、図5を参照して説明する。なお、図5(A)は光プリントヘッド3を面板30へ取り付けた状態での画像形成装置(プロセスカートリッジ)の正面図、図5(B)は、図5(A)における光プリントヘッド3の周辺拡大図を示している。
【0051】
ここで、面板30は、例えば図5(A)に示すように、画像形成装置100の前後(主走査方向の両側)に設けられ、感光体1と現像器4等を高精度に位置決めするための部材である。図5では、画像形成装置100の主走査方向の一方の側の面板30を示している。面板30は感光体1の回転中心軸40、現像ローラの回転中心軸41、主基準ピン42、現像副基準ピン43を位置決めしており、この面板30に光プリントヘッド3が当接するピント方向と副走査方向の基準面(ピント方向基準面32,副走査方向基準面33)を設けることにより、幅狭の光プリントヘッド3であっても、倒れることなく感光体1に対して正確に位置決め、および位置調整ができる。よって、光プリントヘッド3の倒れを防いで、書込み位置ずれやピントずれによるビームプロファイルの劣化を発生させず、画像品質を良好に保つことができる。
【0052】
また、図5(B)に示すように、面板30はピント方向にピント方向基準面32、副走査方向に副走査方向基準面33を有しており、ピント方向基準面32に対し光プリントヘッド3のピント方向調整ねじ23が当接し、副走査方向基準面33に対し光プリントヘッド3の副走査方向調整ねじ24が当接する。
【0053】
さらに、光プリントヘッド3は、画像形成装置100のステー36に固定されたコイルばねであるピント方向加圧ばね34により、面板30のピント方向基準面32に向けて付勢されている。また、同様に、ステー36に固定された板ばねである副走査方向加圧ばね35により、面板30の副走査方向基準面33に向けて付勢されている。
【0054】
また、光プリントヘッド3がこのような状態で保持されているところ、ピント方向調整ねじ23と副走査方向調整ねじ24とを回転させることにより、光プリントヘッド3の位置の微調整を可能としている。なお、本実施形態では、付勢手段として、コイルばねと、板ばねとを用いているがこれに限られるものではない。
【0055】
このように、ばねなどの付勢手段により、光プリントヘッド3を各基準面32,33に密着させることができるので、光プリントヘッド3の倒れを防いで、書込み位置ずれやピントずれによるビームプロファイルの劣化を発生させず、画像品質を良好に保つことができる。
【0056】
以上説明した光プリントヘッド3およびこれを備えた画像形成装置100によれば、光プリントヘッド3の幅が狭くなっても、光プリントヘッド3の倒れを側面で防止することができ、かつピントを下面で調整することができる。また、側面の受けを調整可能としているので、副走査方向のラインの傾き調整することができる。また、以上説明した構成による光プリントヘッド3を備えたプロセスカートリッジ7とすることにより、同様の効果を備えたプロセスカートリッジを提供することができる。
【0057】
なお、これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0058】
1,1Y,1M,1C,1K 感光体
2,2Y,2M,2C,2K 帯電器
3,3Y,3M,3C,3K 光プリントヘッド
4,4Y,4M,4C,4K 現像器
5,5Y,5M,5C,5K 転写ローラ
6,6Y,6M,6C,6K クリーニング手段
7,7Y,7M,7C,7K プロセスカートリッジ
11 基板
11a 基板接着部
12 LEDアレイチップ
12a LED素子
13 駆動IC
14 ロッドレンズアレイ
14a ロッドレンズ
14b レンズアレイ接着部
20 本体フレーム
20a ガイドプレート
21 コネクタ
23 ピント方向調整ねじ
24 副走査方向調整ねじ
30 面板
32 ピント方向基準面
33 副走査方向基準面
34 ピント方向加圧ばね
35 副走査方向加圧ばね
36 ステー
40 感光体回転中心軸
41 現像ローラ回転中心軸
42 主基準ピン
43 現像副基準ピン
100 画像形成装置
101 中間転写ベルト
102 搬送ベルト
103 2次転写ローラ
104 定着器
105 搬送ローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】
【特許文献1】特開2005-47113号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも感光体及び現像装置を二方向から挟んで位置決めする画像形成装置の面板に、長手方向の両端部側が担持される光プリントヘッドであって、
長手方向の両端部側が前記面板に担持される角管形状の本体フレームと、
前記本体フレーム内部に固定され、複数の発光素子を有する基板と、
前記本体フレームの前記複数の発光素子に対向するフレーム面に該複数の発光素子に対応して固定されるレンズアレイと、を備えることを特徴とする光プリントヘッド。
【請求項2】
前記本体フレームは、その内部に、対向するフレーム面の間に架け渡されるとともに該フレーム面それぞれと一体的に成形されるガイドプレートを有し、該ガイドプレートに前記基板が固定されることを特徴とする請求項1に記載の光プリントヘッド。
【請求項3】
前記本体フレームは、アルミ押出型材からなることを特徴とする請求項1または2に記載の光プリントヘッド。
【請求項4】
前記基板が前記本体フレームの長手方向端部から該本体フレームの内部に挿入され、固定されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光プリントヘッド。
【請求項5】
前記基板が前記本体フレームの内部に固定された後に、前記レンズアレイが前記複数の発光素子との位置関係が調整されて配置され、ついで前記本体フレームに固定されてなることを特徴とする請求項4に記載の光プリントヘッド。
【請求項6】
前記本体フレームは、前記レンズアレイを取り付けたフレーム面の長手方向の両端部側に、前記面板が有する当該光プリントヘッドのピント方向の位置決め基準面に対して、当該光プリントヘッドの位置を変位させるピント調整手段を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光プリントヘッド。
【請求項7】
前記本体フレームは、前記レンズアレイを取り付けたフレーム面に対して垂直となるフレーム面の長手方向の両端部側に、前記面板が有する当該光プリントヘッドの副走査方向の位置決め基準面に対して、当該光プリントヘッドの位置を変位させる副走査方向調整手段を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光プリントヘッド。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の光プリントヘッドを有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の光プリントヘッド、または請求項8に記載のプロセスカートリッジを有することを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−56458(P2013−56458A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195661(P2011−195661)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】