説明

光モジュール、光モジュールコネクタ、光偏向部材

【課題】複数の光導波路が二列に並ぶ構造を有すると共に、接続される光ケーブルと内部基板や嵌合先の外部基板との所望の位置関係を実現すること。
【解決手段】光ケーブルから入力された光信号を電気信号に変換して出力すると共に入力された電気信号を光信号に変換して前記光ケーブルに出力する光モジュールであって、
平板状の基板と、該基板の一方の面に取り付けられた発光手段及び受光手段と、前記光ケーブルから入力された光信号を略90度偏向させて前記受光手段に出力すると共に前記発光手段から入力された光信号を略90度偏向させて前記光ケーブルに出力する光偏向部材と、を備え、前記光偏向部材は、二列に並んだ複数の光導波路を有することを特徴とする、光モジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ケーブルから入力された光信号を電気信号に変換して出力すると共に入力された電気信号を光信号に変換して光ケーブルに出力する光モジュール、当該光モジュールに外部基板と接続するためのコネクタが付加された光モジュールコネクタ、及び当該光モジュール又は光モジュールコネクタに用いられる光偏向部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気通信に比して高速通信可能な手段として、光通信が多く用いられている。光通信によって取得される情報は、通常、基板上に構成されたマイクロコンピュータやIC等で処理されるが、これらの機器は電気信号によって作動するため、光信号を電気信号に変換する必要がある。光ケーブルから供給される光信号を電気信号に変換する処理及びその逆の処理を行う装置は、光モジュールと称されている。更に、本明細書では、光モジュールにコネクタ機能を付加し、外部基板に接続可能とした装置を光モジュールコネクタと称する。
【0003】
また、従来では、光モジュールの内部構成として、複数の光導波路が一列に並ぶ構成が多く用いられていたが、近年では、特許文献1に示すように、複数の光導波路が二列に並ぶ構成が見られる。特許文献1には、光導波路を二段積層した構造のフレキシブル光配線を有する光集積回路について記載されている。
【0004】
一方、特許文献2には、光ケーブルの接続面と、発光素子や受光素子が取り付けられたプリント基板の面が略90度の角度をなすように構成された光トランシーバ(光モジュール)について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−279620号公報
【特許文献2】特開2009−020280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の構成では、光信号の入出力手段としての光ケーブルと、内部基板ないし嵌合先の外部基板との所望の位置関係を実現することができない。
【0007】
また、上記特許文献2では、複数の光導波路を二列に並べることについて何ら考慮されていない。
【0008】
このため、従来開示されている構成からは、複数の光導波路を二列に並べると共に、光ケーブルと内部基板ないし嵌合先の外部基板との所望の位置関係を実現することが困難である。
【0009】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、複数の光導波路が二列に並ぶ構造を有すると共に、接続される光ケーブルと内部基板や嵌合先の外部基板との所望の位置関係を実現することが可能な光モジュール並びに光モジュールコネクタ、及び当該光モジュール又は光モジュールコネクタに用いられる光偏向部材を提供することを、主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の第1の態様は、
光ケーブルから入力された光信号を電気信号に変換して出力すると共に入力された電気信号を光信号に変換して前記光ケーブルに出力する光モジュールであって、
平板状の基板と、
該基板の一方の面に取り付けられた発光手段及び受光手段と、
前記光ケーブルから入力された光信号を略90度偏向させて前記受光手段に出力すると共に前記発光手段から入力された光信号を略90度偏向させて前記光ケーブルに出力する光偏向部材と、を備え、
前記光偏向部材は、二列に並んだ複数の光導波路を有することを特徴とする、
光モジュールである。
【0011】
この本発明の第1の態様によれば、複数の光導波路が二列に並ぶ構造を有すると共に、接続される光ケーブルと内部基板との所望の位置関係を実現することができる。
【0012】
本発明の第1の態様において、
前記光偏向部材は、
凸状に湾曲した外周面と凹状に湾曲した内周面を有し、前記外周面の第1の端部直線と前記内周面の第1の端部直線を含み前記発光手段及び受光手段に対向する第1の平面部が、前記外周面の第2の端部直線と前記内周面の第2の端部直線を含み前記光ケーブルとの接続部に対向する第2の平面部に対して略90度の角度をなす外側部材と、
前記外側部材の内周面に対向するように凸状に湾曲した外周面を有する内側部材と、
を有し、
前記外側部材の外周面、及び前記内側部材の外周面に沿って、それぞれ一列分の前記光導波路が形成されていることを特徴とするものとしてもよい。
【0013】
また、本発明の第1の態様において、
前記光偏向部材は、
凹状に湾曲した内周面を有し、該内周面の第1の端部直線を含み前記発光手段及び受光手段に対向する第1の平面部が、前記外周面の第2の端部直線と前記内周面の第2の端部直線を含み前記光ケーブルとの接続部に対向する第2の平面部に対して略90度の角度をなす外側部材と、
前記外側部材の内周面に対向するように凸状に湾曲した外周面を有する内側部材と、
を有し、
前記外側部材の内周面、及び前記内側部材の外周面に沿って、それぞれ一列分の前記光導波路が形成されていることを特徴とするものとしてもよい。
【0014】
また、本発明の第1の態様において、
前記光偏向部材は、凸状に湾曲した外周面と凹状に湾曲した内周面を有し、前記外周面の第1の端部直線と前記内周面の第1の端部直線を含み前記発光手段及び受光手段に対向する第1の平面部が、前記外周面の第2の端部直線を含み前記光ケーブルとの接続部に対向する第2の平面部に対して略90度の角度をなすように形成され、前記外周面及び前記内周面に沿って、それぞれ一列分の前記光導波路が形成されていることを特徴とするものとしてもよい。
【0015】
また、本発明の第1の態様において、
前記基板における前記発光手段及び受光手段が取り付けられた面と反対側の面に、少なくとも前記発光手段を制御するドライバ、及び放熱フィンが取り付けられていることを特徴とするものとしてもよい。
【0016】
本発明の第2の態様は、
本発明の第1の態様の光モジュールと、
該光モジュールと外部基板を接続させるコネクタと、を備える光モジュールコネクタであって、
前記コネクタによって前記外部基板に嵌合された状態で、前記光ケーブルの導入方向、前記基板の平面部、及び前記外部基板の平面部が略平行となることを特徴とする、
光モジュールコネクタである。
【0017】
この本発明の第2の態様によれば、複数の光導波路が二列に並ぶ構造を有すると共に、接続される光ケーブルと内部基板や嵌合先の外部基板との所望の位置関係を実現することができる。
【0018】
本発明の第3の態様は、
凸状に湾曲した外周面と凹状に湾曲した内周面を有し、前記外周面の第1の端部直線と前記内周面の第1の端部直線を含む第1の平面部が、前記外周面の第2の端部直線と前記内周面の第2の端部直線を含む第2の平面部に対して略90度の角度をなす外側部材と、
前記外側部材の内周面に対向するように凸状に湾曲した外周面を有する内側部材と、
を有し、
前記外側部材の外周面、及び前記内側部材の外周面に沿って、それぞれ一列分の光導波路が形成され、
前記第1の平面部において入力された光信号を略90度偏向させて前記第2の平面部に出力すると共に、前記第2の平面部において入力された光信号を略90度偏向させて前記第1の平面部に出力することを特徴とする、
光偏向用部材である。
【0019】
この本発明の第3の態様によれば、複数の光導波路が二列に並ぶ構造を有すると共に、第1の平面部又は第2の平面部において入力された光信号を略90度偏向させて第2の平面部又は第1の平面部に出力することができる。
【0020】
本発明の第4の態様は、
凹状に湾曲した内周面を有し、該内周面の第1の端部直線を含む第1の平面部が、前記内周面の第2の端部直線を含む第2の平面部に対して略90度の角度をなす外側部材と、
前記外側部材の内周面に対向するように凸状に湾曲した外周面を有する内側部材と、
を有し、
前記外側部材の内周面、及び前記内側部材の外周面に沿って、それぞれ一列分の光導波路が形成され、
前記第1の平面部において入力された光信号を略90度偏向させて前記第2の平面部に出力すると共に、前記第2の平面部において入力された光信号を略90度偏向させて前記第1の平面部に出力することを特徴とする、
光偏向用部材である。
【0021】
この本発明の第4の態様によれば、複数の光導波路が二列に並ぶ構造を有すると共に、第1の平面部又は第2の平面部において入力された光信号を略90度偏向させて第2の平面部又は第1の平面部に出力することができる。
【0022】
本発明の第5の態様は、
凸状に湾曲した外周面と凹状に湾曲した内周面を有し、前記外周面の第1の端部直線と前記内周面の第1の端部直線を含む第1の平面部が、前記外周面の第2の端部直線を含む第2の平面部に対して略90度の角度をなすように形成され、
前記外周面及び前記内周面に沿って、それぞれ一列分の光導波路が形成され、
前記第1の平面部において入力された光信号を略90度偏向させて前記第2の平面部に出力すると共に、前記第2の平面部において入力された光信号を略90度偏向させて前記第1の平面部に出力することを特徴とする、
光偏向用部材。
【0023】
この本発明の第5の態様によれば、複数の光導波路が二列に並ぶ構造を有すると共に、第1の平面部又は第2の平面部において入力された光信号を略90度偏向させて第2の平面部又は第1の平面部に出力することができる。
【0024】
本発明の第6の態様は、
光ケーブルから入力される光信号を電気信号に変換して嵌合先の機器に出力すると共に前記嵌合先の機器から入力される電気信号を光信号に変換して前記光ケーブルに出力する光モジュールコネクタであって、
基板に嵌合された状態で、前記光ケーブルの導入方向と基板面が略平行となることを特徴とする、
光モジュールコネクタである。
【0025】
この本発明の第6の態様によれば、複数の光導波路が二列に並ぶ構造を有すると共に、接続される光ケーブルと内部基板や嵌合先の外部基板との所望の位置関係を実現することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、複数の光導波路が二列に並ぶ構造を有すると共に、接続される光ケーブルと内部基板や嵌合先の外部基板との所望の位置関係を実現することが可能な光モジュール及び光モジュールコネクタ、及び当該光モジュール又は光モジュールコネクタに用いられる光偏向部材を提供することを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施例に係る光モジュールコネクタ100の全体構成を示す断面図である。
【図2】光ケーブル5の断面における、二列に並んだ複数の光導波路の配列を例示した図である。
【図3】光偏向部材120の外観構成を示す斜視図と、断面図を共に示した図である。
【図4】外側部材122と内側部材124のそれぞれの外観構成を示す斜視図である。
【図5】外側部材122と内側部材124が組み合わされた状態において、光偏向部材122を外側部材122の第2の平面部122D及び内側部材124の第2の平面部124D側から見た図である。
【図6】本発明の第2実施例に係る光モジュールコネクタ200の全体構成を示す断面図である。
【図7】光偏向部材220の外観構成を示す斜視図と、断面図を共に示した図である。
【図8】外側部材222と内側部材224のそれぞれの外観構成を示す斜視図である。
【図9】外側部材222と内側部材224が組み合わされた状態において、光偏向部材222を外側部材222の第2の平面部222D及び内側部材224の第2の平面部224D側から見た図である。
【図10】本発明の第3実施例に係る光モジュールコネクタ300の全体構成を示す断面図である。
【図11】光偏向部材320の外観構成を示す斜視図と、断面図を共に示した図である。
【図12】光偏向部材320を図11(A)とは反対側から見た図である。
【図13】本発明の他の実施例に係る光モジュールコネクタ400の全体構成を示す断面図である。
【図14】本発明の他の実施例に係る光モジュールコネクタ500の全体構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例】
【0029】
<第1実施例>
以下、図面を参照し、本発明の第1実施例に係る光モジュールコネクタ100について説明する。
【0030】
[全体構成]
図1は、本発明の第1実施例に係る光モジュールコネクタ100の全体構成を示す断面図である。光モジュールコネクタ100は、嵌合先の外部基板1に取り付けられた基板側RACN(ライトアングルコネクタ)2に嵌合可能となっており、光ケーブル5から供給される光信号を電気信号に変換して外部基板1に供給する。また、光モジュールコネクタ100は、外部基板1から供給される電気信号を光信号に変換して光ケーブル5に供給することも可能である。RACNによる光モジュールコネクタ100と外部基板1の嵌合部分の形状については特段の制限はなく、図1に示したものに限定されない。
【0031】
光モジュールコネクタ100は、光モジュール側MPO(Multi-fiber Push-On)コネクタ110と、光偏向部材120と、内部基板130と、受光素子132と、発光素子134と、ドライバ140と、熱伝導シート142と、放熱フィン144と、光モジュール側RACN150と、を備える。これらの構成は、例えば図1に一点鎖線で示すカバー部材155に収容される。なお、光モジュールコネクタ100から光モジュール側RACN150を除いたものが、「光モジュール」に相当する。
【0032】
光モジュールコネクタ100に取り付けられる光ケーブル5は、二列に並んだ複数の光導波路(光ファイバ)を内包している。図2は、光ケーブル5の断面における、二列に並んだ複数の光導波路の配列を例示した図である。図示するように、本発明において「一列に並ぶ」とは、全てが一定間隔で並ぶものに限らず、途中にイレギュラーな間隔が存在するものも含む。また、一列分の光導波路の本数について特段の制限は存在せず、12本、16本等、任意に定めることができる。光ケーブル5の先端には、光ケーブル側MPOコネクタ6が取り付けられ、光モジュール側MPOコネクタ110に光ケーブル側MPOコネクタ6が押し込まれて嵌合することによって、光モジュールコネクタ100と光ケーブル5が光信号を入出力可能となっている。
【0033】
なお、本発明はこれに限定されず、光ケーブル5に内包される複数の光導波路の配列は任意であり、光モジュール側MPOコネクタ110の光信号入出力部の配列が図2に示したような二列に並ぶ配列であれば足りる。
【0034】
[光偏向部材]
図3は、光偏向部材120の外観構成を示す斜視図と、断面図を共に示した図である。図3(A)は光偏向部材120の外観構成を示しており、図3(B)は光偏向部材20の断面図を示している。図示するように、光偏向部材120は、外側部材122と内側部材124が接合されて構成される。
【0035】
図4は、外側部材122と内側部材124のそれぞれの外観構成を示す斜視図である。図4(A)は、外側部材122の外観構成を示しており、図4(B)は内側部材124の外観構成を示している。外側部材122と内側部材124は、例えばオレフィン系の樹脂で形成されている。
【0036】
外側部材122は、凸状に湾曲した外周面122Aと、凹状に湾曲した内周面122Bと、外周面122Aの第1の端部直線122Aaと内周面122Bの第1の端部直線122Baを含む第1の平面部(底面部)122Cと、外周面122Aの第2の端部直線122Abと内周面122Bの第2の端部直線122Bbを含む第2の平面部(背面部)122Dと、側面122E、122Fと、を有する。
【0037】
外側部材122の外周面122A及び内周面122Bは、例えば平面と円柱側面とを組み合わせた形状となっており、第1の平面部122Cと第2の平面部122Dは、略90度の角度をなしている。
【0038】
また、外側部材122の外周面122A及び内周面122Bは、例えばその断面が直線と円弧の連続した形状となるように形成されるが、これに限らず、光信号の通過を妨げない程度になだらかな形状であればよい。例えば、直線、放物線、楕円、双曲線等、又はその組み合わせからなる任意の形状をとり得る。
【0039】
外側部材122の外周面122Aには、一列分の光導波路122Gが形成されている(図4では、八本の光導波路が一列に並んでいる)。光導波路は、例えば外周面122Aに形成された溝に光透過性を有する所望のコア材料を充填し、そのコア層を覆うように所望の樹脂被覆を積層することによって形成される。
【0040】
内側部材124は、外側部材122の内周面122Bに対向するように凸状に湾曲した外周面124Aと、外周面124Aの第1の端部直線124Aaを含む第1の平面部(底面部)124Cと、外周面124Aの第2の端部直線124Abを含む第2の平面部(背面部)124Dと、側面124E、124Fと、を有する。
【0041】
内側部材24の第1の平面部124Cは、外側部材122と内側部材124が接着等により組み合わされた状態で、外側部材122の第1の平面部122Cと略同一平面部上に位置する。同様に、内側部材124の第2の平面部124Dは、外側部材122と内側部材124が接着等により組み合わされた状態で、外側部材122の第1の平面部122Dと略同一平面部上に位置する(図3参照)。
【0042】
内側部材124の外周面124Aは、外側部材122の外周面122Aと同様、直線、円弧等で形成される。なお、図4(B)に示すような段差124Acを一部に含んでも構わない。外側部材122の外周面122Aについても同様であり、本発明における「外周面」や「内周面」は、若干の段差等を一部に含んでも許容される。
【0043】
内側部材124の外周面124Aには、一列分の光導波路124Gが形成されている(図4では、八本の光導波路が一列に並んでいる)。光導波路は、外側部材122と同様、外周面124Aに形成された溝に光透過性を有する所望のコア材料を充填し、そのコア層を覆うように所望の樹脂被覆を積層することによって形成される。なお、外周面の一部に段差が設けられている場合、当該部分については貫通孔にコア材料を充填することによって光導波路が形成されてよい。
【0044】
光偏向部材120は、外側部材22の第1の平面部122C及び内側部材124の第1の平面部124Cが、受光素子132及び発光素子134に対向するように、接着剤やネジ等を用いて内部基板130に取り付けられる。例えば、外側部材122の第1の平面部122Cが発光素子134に対向し、内側部材124の第1の平面部124Cが受光素子132に対向する位置で内部基板130に取り付けられる。なお、光偏向部材120と受光素子132及び発光素子134の間には、光学系の特性を向上させるためのレンズ等が取り付けられてもよい。
【0045】
また、光偏向部材120には、外側部材122の第2の平面部122D及び内側部材124の第2の平面部124Dが光モジュール側MPOコネクタ110に対向するように、光モジュール側MPOコネクタ110が取り付けられる。
【0046】
係る構成によって、光偏向部材120は、光ケーブル5から入力された光信号を略90度偏向させて受光手段132に出力すると共に、発光手段134から入力された光信号を略90度偏向させて光ケーブル5に出力することができる。
【0047】
また、光偏向部材120は、外側部材122の外周面122Aと内側部材124の外周面124Aにそれぞれ一列分の光導波路が形成されているため、外側部材122と内側部材124が組み合わされると、二列に並んだ複数の光導波路を有することになる。従って、その断面における光導波路の配列や、第2の平面部122D、124Dにおける光導波路の終端部の配列は、図2に示したような配列となる。図5は、外側部材122と内側部材124が組み合わされた状態において、光偏向部材122を外側部材122の第2の平面部122D及び内側部材124の第2の平面部124D側から見た図である。これによって、複数の光信号入出力部が二列に並んだMPOコネクタに適応することができ、もとより、二列に並んだ複数の光導波路(光ファイバ)を内包する光ファイバにも適応することができる。
【0048】
なお、本実施例に係る光偏向部材120を製造する際に、溝の形成、コア材料の充填、及び樹脂被覆を積層する工程の全てが、凸状に湾曲した外周面120に対して行われる。これに対して後述する第2、第3実施例では、凹状に湾曲した内周面に対して同様の工程を行う必要が生じる。これらの工程は、内周面よりも外周面に対して行う方が容易である(ヒビが発生しにくい、充填量を均一にし易い等の理由による)ため、第1実施例の光偏向部材120は、第2、第3実施例に比して製造が容易であるという利点を有している。
【0049】
[その他、まとめ]
内部基板130は、例えばガラスエポキシ樹脂製の基板上に銅配線等を形成した平板状の基板であり、一方の面に受光素子132及び発光素子134が取り付けられ、反対側面にドライバ140、熱伝導シート142、及び放熱フィン144が積層される。ドライバ140と発光素子134の接続は、VIAを形成すると共に、当該VIAの引き出し部近傍に設けたパッドと発光素子134をワイヤボンディングによって接続する。これによって、内部基板130の大きさを過大にすることなく、効率的に各構成要素を配置することができる。
【0050】
受光素子132は、光電変換素子であり、MPOコネクタや光偏向部材120を介して光ファイバ5から入力された光信号を電気信号に変換し出力する。受光素子132が出力した電気信号は、RACNを介して外部基板1に出力される。
【0051】
ドライバ140は、RACNを介して外部基板1から入力された電気信号を、光信号に変換して発光素子134に出力させる。また、ドライバ140は、受光素子132が出力した電気信号に対して増幅、フィルタ処理等を行ってもよい。
【0052】
係る構成によって、光ケーブル5から入力された光信号を電気信号に変換して外部基板1に出力すると共に、外部基板1から入力された電気信号を光信号に変換して光ケーブル5に出力することができる。
【0053】
また、光ケーブル5の導入方向と受光手段132及び発光手段134が取り付けられた内部基板130の平面部は略平行となり、内部基板130と外部基板1は図1に示したようなRACNによって接続されるため、光ケーブル5の導入方向と外部基板1の平面部を略平行にすることができる(これらが、図1におけるY軸方向に沿っている)。
【0054】
この結果、外部基板1の端部においてその平面部に平行な方向から光モジュールコネクタ1を差し込むことが可能となり、ケーブル接続の方向が好適なものとなる。例えば外部基板1がマイクロコンピュータの一部であるような場合を考える。デスクトップパソコンやノートパソコンにおける接続端子は、通常、平板状の筐体に対してその平面部に平行な方向からケーブルを接続するように設計されている。本実施例の光モジュールコネクタ1は、このような接続態様に好適に適応することができる。
【0055】
以上説明した本実施例に係る光偏向部材120によれば、複数の光導波路が二列に並ぶ構造を有すると共に、光ケーブル5から入力された光信号を略90度偏向させて受光手段132に出力し、発光手段134から入力された光信号を略90度偏向させて光ケーブル5に出力することができる。
【0056】
また、本実施例の光モジュールコネクタ100及びその一部を構成する光モジュールによれば、光偏向部材120を用いることにより、複数の光導波路が二列に並ぶ構造を有すると共に、光ケーブル5と内部基板130や外部基板1との所望の位置関係(光ケーブル5の導入方向と内部基板130や外部基板1の平面部が平行)を実現することができる。
【0057】
<第2実施例>
以下、図面を参照し、本発明の第2実施例に係る光モジュールコネクタ200について説明する。
【0058】
[全体構成]
図6は、本発明の第2実施例に係る光モジュールコネクタ200の全体構成を示す断面図である。光モジュールコネクタ200は、嵌合先の外部基板1に取り付けられた基板側RACN(ライトアングルコネクタ)2に嵌合可能となっており、光ケーブル5から供給される光信号を電気信号に変換して外部基板1に供給する。また、光モジュールコネクタ200は、外部基板1から供給される電気信号を光信号に変換して光ケーブル5に供給することも可能である。RACNによる光モジュールコネクタ200と外部基板1の嵌合部分の形状については特段の制限はなく、図6に示したものに限定されない。
【0059】
光モジュールコネクタ200は、光モジュール側MPOコネクタ210と、光偏向部材220と、内部基板230と、受光素子232と、発光素子234と、ドライバ240と、熱伝導シート242と、放熱フィン244と、光モジュール側RACN250と、を備える。これらの構成は、例えば図1に一点鎖線で示すカバー部材255に収容される。なお、光モジュールコネクタ200から光モジュール側RACN250を除いたものが、「光モジュール」に相当する。
【0060】
なお、これらの構成要素のうち、光偏向部材220を除く構成要素は、符号の3桁目の「2」を「1」に置換すると同符号となる第1実施例の構成要素と、同じ機能及び構成を有している。
【0061】
[光偏向部材]
図7は、光偏向部材220の外観構成を示す斜視図と、断面図を共に示した図である。図7(A)は光偏向部材220の外観構成を示しており、図7(B)は光偏向部材220の断面図を示している。図示するように、光偏向部材220は、外側部材222と内側部材224が接合されて構成される。
【0062】
図8は、外側部材222と内側部材224のそれぞれの外観構成を示す斜視図である。図8(A)は、外側部材222の外観構成を示しており、図8(B)は内側部材224の外観構成を示している。外側部材222と内側部材224は、例えばオレフィン系の樹脂で形成されている。
【0063】
外側部材222は、凹状に湾曲した内周面222Bと、内周面222Bの第2の端部直線222Baを含む第1の平面部(底面部)222Cと、内周面222Bの第2の端部直線222Bbを含む第2の平面部(背面部)222Dと、側面222E、222Fと、天板面222Hと、正面222Iと、を有する。
【0064】
外側部材222の内周面222Bは、例えば平面部と円柱側面とを組み合わせた形状となっており、第1の平面部222Cと第2の平面部222Dは、略90度の角度をなしている。
【0065】
また、外側部材222の内周面222Bは、例えばその断面が直線と円弧の連続した形状となるように形成されるが、これに限らず、光信号の通過を妨げない程度になだらかな形状であればよい。例えば、直線、放物線、楕円、双曲線等、又はその組み合わせからなる任意の形状をとり得る。
【0066】
外側部材22の内周面222Bには、一列分の光導波路222Gが形成されている(図8では、八本の光導波路が一列に並んでいる)。光導波路は、例えば内周面222Bに形成された溝に光透過性を有する所望のコア材料を充填し、そのコア層を覆うように所望の樹脂被覆を積層することによって形成される。
【0067】
内側部材224は、外側部材222の内周面222Bに対向するように凸状に湾曲した外周面224Aと、外周面224Aの第1の端部直線224Aaを含む第1の平面部(底面部)224Cと、外周面224Aの第2の端部直線224Abを含む第2の平面部(背面部)224Dと、側面224E、224Fと、を有する。
【0068】
内側部材24の第1の平面部224Cは、外側部材222と内側部材224が接着等により組み合わされた状態で、外側部材222の第1の平面部222Cと略同一平面部上に位置する。同様に、内側部材224の第2の平面部224Dは、外側部材222と内側部材224が接着等により組み合わされた状態で、外側部材222の第2の平面部222Dと略同一平面部上に位置する(図7参照)。
【0069】
内側部材224の外周面224Aは、外側部材222の外周面222Aと同様、直線、円弧等で形成される。
【0070】
内側部材224の外周面224Aには、一列分の光導波路224Gが形成されている(図8では、八本の光導波路が一列に並んでいる)。光導波路は、外側部材222と同様、外周面224Aに形成された溝に光透過性を有する所望のコア材料を充填し、そのコア層を覆うように所望の樹脂被覆を積層することによって形成される。
【0071】
光偏向部材220は、外側部材222の第1の平面部222C及び内側部材224の第1の平面部224Cが、受光素子232及び発光素子234に対向するように、接着剤やネジ等を用いて内部基板230に取り付けられる。例えば、外側部材222の第1の平面部222Cが発光素子234に対向し、内側部材224の第1の平面部224Cが受光素子232に対向する位置で内部基板230に取り付けられる。なお、光偏向部材220と受光素子232及び発光素子234の間には、光学系の特性を向上させるためのレンズ等が取り付けられてもよい。
【0072】
また、光偏向部材220には、外側部材222の第2の平面部222D及び内側部材224の第2の平面部224Dが、光モジュール側MPOコネクタ210に対向するように、光モジュール側MPOコネクタ210が取り付けられる。
【0073】
係る構成によって、光偏向部材220は、光ケーブル5から入力された光信号を略90度偏向させて受光手段232に出力すると共に、発光手段234から入力された光信号を略90度偏向させて光ケーブル5に出力することができる。
【0074】
また、光偏向部材220は、外側部材222の外周面222Aと内側部材224の外周面224Aにそれぞれ一列分の光導波路が形成されているため、外側部材222と内側部材224が組み合わされると、二列に並んだ複数の光導波路を有することになる。従って、その断面における光導波路の配列や、第2の平面部222D、224Dにおける光導波路の終端部の配列は、図2に示したような配列となる。図9は、外側部材222と内側部材224が組み合わされた状態において、光偏向部材222を外側部材222の第2の平面部222D及び内側部材224の第2の平面部224D側から見た図である。これによって、複数の光信号入出力部が二列に並んだMPOコネクタに適応することができ、もとより、二列に並んだ複数の光導波路(光ファイバ)を内包する光ファイバにも適応することができる。
【0075】
[その他、まとめ]
内部基板230は、例えばガラスエポキシ樹脂製の基板上に銅配線等を形成した平板状の基板であり、一方の面に受光素子232及び発光素子234が取り付けられ、反対側面にドライバ240、熱伝導シート242、及び放熱フィン244が積層される。ドライバ140と発光素子134の接続は、VIAを形成すると共に、当該VIAの引き出し部近傍に設けたパッドと発光素子134をワイヤボンディングによって接続する。これによって、内部基板230の大きさを過大にすることなく、効率的に各構成要素を配置することができる。
【0076】
受光素子232は、光電変換素子であり、MPOコネクタや光偏向部材220を介して光ファイバ5から入力された光信号を電気信号に変換し出力する。受光素子232が出力した電気信号は、RACNを介して外部基板1に出力される。
【0077】
ドライバ240は、RACNを介して外部基板1から入力された電気信号を、光信号に変換して発光素子234に出力させる。また、ドライバ240は、受光素子232が出力した電気信号に対して増幅、フィルタ処理等を行ってもよい。
【0078】
係る構成によって、光ケーブル5から入力された光信号を電気信号に変換して外部基板1に出力すると共に、外部基板1から入力された電気信号を光信号に変換して光ケーブル5に出力することができる。
【0079】
また、光ケーブル5の導入方向と受光手段232及び発光手段234が取り付けられた内部基板230の平面部は略平行となり、内部基板230と外部基板1は図1に示したようなRACNによって接続されるため、光ケーブル5の導入方向と外部基板1の平面部を略平行にすることができる(これらが、図6におけるY軸方向に沿っている)。
【0080】
この結果、外部基板1の端部においてその平面部に平行な方向から光モジュールコネクタ1を差し込むことが可能となり、ケーブル接続の方向が好適なものとなる。例えば外部基板1がマイクロコンピュータを構成するような場合を考えると、デスクトップパソコンやノートパソコンにおける接続端子は、通常、平板状の筐体に対してその平面部に平行な方向からケーブルを接続するように設計されている。本実施例の光モジュールコネクタ1は、このような接続態様に好適に適応することができる。
【0081】
以上説明した本実施例に係る光偏向部材220によれば、複数の光導波路が二列に並ぶ構造を有すると共に、光ケーブル5から入力された光信号を略90度偏向させて受光手段232に出力し、発光手段234から入力された光信号を略90度偏向させて光ケーブル5に出力することができる。
【0082】
また、本実施例の光モジュールコネクタ200及びその一部を構成する光モジュールによれば、光偏向部材220を用いることにより、複数の光導波路が二列に並ぶ構造を有すると共に、光ケーブル5と内部基板230や外部基板1との所望の位置関係(光ケーブル5の導入方向と内部基板230や外部基板1の平面部が平行)を実現することができる。
【0083】
<第3実施例>
以下、図面を参照し、本発明の第3実施例に係る光モジュールコネクタ300について説明する。
【0084】
[全体構成]
図10は、本発明の第3実施例に係る光モジュールコネクタ300の全体構成を示す断面図である。光モジュールコネクタ300は、嵌合先の外部基板1に取り付けられた基板側RACN(ライトアングルコネクタ)2に嵌合可能となっており、光ケーブル5から供給される光信号を電気信号に変換して外部基板1に供給する。また、光モジュールコネクタ300は、外部基板1から供給される電気信号を光信号に変換して光ケーブル5に供給することも可能である。RACNによる光モジュールコネクタ300と外部基板1の嵌合部分の形状については特段の制限はなく、図6に示したものに限定されない。
【0085】
光モジュールコネクタ300は、光モジュール側MPOコネクタ310と、光偏向部材320と、内部基板330と、受光素子332と、発光素子334と、ドライバ340と、熱伝導シート342と、放熱フィン344と、光モジュール側RACN350と、を備える。これらの構成は、例えば図1に一点鎖線で示すカバー部材355に収容される。なお、光モジュールコネクタ300から光モジュール側RACN350を除いたものが、「光モジュール」に相当する。
【0086】
なお、これらの構成要素のうち、光偏向部材320を除く構成要素は、符号の3桁目の「3」を「1」に置換すると同符号となる第1実施例の構成要素と、同じ機能及び構成を有している。
【0087】
[光偏向部材]
図11は、光偏向部材320の外観構成を示す斜視図と、断面図を共に示した図である。図11(A)は光偏向部材320の外観構成を示しており、図11(B)は光偏向部材320の断面図を示している。また、図12は、光偏向部材320を図11(A)とは反対側から見た図である。光偏向部材320は、例えばオレフィン系の樹脂で形成されている。
【0088】
光偏向部材320は、凸状に湾曲した外周面320Aと、凹状に湾曲した内周面320Bと、外周面320Aの第1の端部直線320Aaと内周面320Bの第1の端部直線320Baを含む第1の平面部(底面部)320Cと、外周面320Aの第2の端部直線320Abを含む第2の平面部(背面部)320Dと、側面320E、320Fと、を有する。
【0089】
外側部材320の外周面320A及び内周面320Bは、例えば平面部と円柱側面とを組み合わせた形状となっており、第1の平面部320Cと第2の平面部320Dは、略90度の角度をなしている。
【0090】
また、外側部材320の外周面320A及び内周面320Bは、例えばその断面が直線と円弧の連続した形状となるように形成されるが、これに限らず、光信号の通過を妨げない程度になだらかな形状であればよい。例えば、直線、放物線、楕円、双曲線等、又はその組み合わせからなる任意の形状をとり得る。
【0091】
外側部材320の外周面320Aには、一列分の光導波路320Gが形成されている(図11では、八本の光導波路が一列に並んでいる)。光導波路は、例えば外周面320Aに形成された溝に光透過性を有する所望のコア材料を充填し、そのコア層を覆うように所望の樹脂被覆を積層することによって形成される。
【0092】
また、外側部材320の内周面320Bにも、一列分の光導波路320Kが形成されている(図12では、八本の光導波路が一列に並んでいる)。光導波路は、例えば内周面322Bに形成された溝に光透過性を有する所望のコア材料を充填し、そのコア層を覆うように所望の樹脂被覆を積層することによって形成される。
【0093】
光偏向部材320は、第1の平面部320Cが、受光素子332及び発光素子334に対向するように、接着剤やネジ等を用いて内部基板330に取り付けられる。なお、光偏向部材320と受光素子332及び発光素子334の間には、光学系の特性を向上させるためのレンズ等が取り付けられてもよい。
【0094】
また、光偏向部材320には、外側部材322の第2の平面部322D及び内側部材324の第2の平面部324Dが、光モジュール側MPOコネクタ310に対向するように、光モジュール側MPOコネクタ310が取り付けられる。
【0095】
係る構成によって、光偏向部材320は、光ケーブル5から入力された光信号を略90度偏向させて受光手段332に出力すると共に、発光手段334から入力された光信号を略90度偏向させて光ケーブル5に出力することができる。
【0096】
また、光偏向部材320は、外周面320Aと内周面320Bにそれぞれ一列分の光導波路が形成されているため、外二列に並んだ複数の光導波路を有することになる(図12参照)。これによって、複数の光信号入出力部が二列に並んだMPOコネクタに適応することができ、もとより、二列に並んだ複数の光導波路(光ファイバ)を内包する光ファイバにも適応することができる。
【0097】
[その他、まとめ]
内部基板330は、例えばガラスエポキシ樹脂製の基板上に銅配線等を形成した平板状の基板であり、一方の面に受光素子332及び発光素子334が取り付けられ、反対側面にドライバ340、熱伝導シート342、及び放熱フィン344が積層される。ドライバ140と発光素子134の接続は、VIAを形成すると共に、当該VIAの引き出し部近傍に設けたパッドと発光素子134をワイヤボンディングによって接続する。これによって、内部基板330の大きさを過大にすることなく、効率的に各構成要素を配置することができる。
【0098】
受光素子332は、光電変換素子であり、MPOコネクタや光偏向部材320を介して光ファイバ5から入力された光信号を電気信号に変換し出力する。受光素子332が出力した電気信号は、RACNを介して外部基板1に出力される。
【0099】
ドライバ340は、RACNを介して外部基板1から入力された電気信号を、光信号に変換して発光素子334に出力させる。また、ドライバ340は、受光素子332が出力した電気信号に対して増幅、フィルタ処理等を行ってもよい。
【0100】
係る構成によって、光ケーブル5から入力された光信号を電気信号に変換して外部基板1に出力すると共に、外部基板1から入力された電気信号を光信号に変換して光ケーブル5に出力することができる。
【0101】
また、光ケーブル5の導入方向と受光手段332及び発光手段334が取り付けられた内部基板230の平面部は略平行となり、内部基板330と外部基板1は図1に示したようなRACNによって接続されるため、光ケーブル5の導入方向と外部基板1の平面部を略平行にすることができる(これらが、図10におけるY軸方向に沿っている)。
【0102】
この結果、外部基板1の端部においてその平面部に平行な方向から光モジュールコネクタ1を差し込むことが可能となり、ケーブル接続の方向が好適なものとなる。例えば外部基板1がマイクロコンピュータを構成するような場合を考えると、デスクトップパソコンやノートパソコンにおける接続端子は、通常、平板状の筐体に対してその平面部に平行な方向からケーブルを接続するように設計されている。本実施例の光モジュールコネクタ1は、このような接続態様に好適に適応することができる。
【0103】
以上説明した本実施例に係る光偏向部材320によれば、複数の光導波路が二列に並ぶ構造を有すると共に、光ケーブル5から入力された光信号を略90度偏向させて受光手段332に出力し、発光手段334から入力された光信号を略90度偏向させて光ケーブル5に出力することができる。
【0104】
また、本実施例の光モジュールコネクタ300及びその一部を構成する光モジュールによれば、光偏向部材320を用いることにより、複数の光導波路が二列に並ぶ構造を有すると共に、光ケーブル5と内部基板330や外部基板1との所望の位置関係(光ケーブル5の導入方向と内部基板330や外部基板1の平面部が平行)を実現することができる。
【0105】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0106】
例えば、複数の光導波路が二列に並ぶ構造を有すると共に、光ケーブル5の導入方向と外部基板1の平面部が平行となるような位置関係を実現するための構成として、以下のような構成を採用してもよい。
【0107】
図13は、本発明の他の実施例に係る光モジュールコネクタ400の全体構成を示す断面図である。光モジュールコネクタ400は、光モジュール側MPOコネクタ410と、第1内部基板420と、受光素子422と、発光素子424と、第2基板430と、フレキシブルケーブル440と、光モジュール側RACN450と、を備える。上記実施例において説明したドライバは、例えば第1内部基板420のいずれかの側に取り付けられる。また、フレキシブルケーブル440は、図2に例示したように、二列に並んだ複数の光導波路を内包している。
【0108】
係る構成によっても、複数の光導波路が二列に並ぶ構造を有すると共に、光ケーブル5と外部基板1との所望の位置関係(光ケーブル5の導入方向と外部基板1の平面部が平行)を実現することができる。
【0109】
また、図14は、本発明の他の実施例に係る光モジュールコネクタ500の全体構成を示す断面図である。光モジュールコネクタ500は、光モジュール側MPOコネクタ510と、内部基板520と、受光素子522と、発光素子524と、光モジュール側RACN550と、を備える。上記実施例において説明したドライバは、例えば内部基板520の受光素子522及び発光素子524が取り付けられた面に取り付けられる。
【0110】
係る構成によっても、複数の光導波路が二列に並ぶ構造を有する(光モジュール側MPOコネクタ510内)と共に、光ケーブル5と外部基板1との所望の位置関係(光ケーブル5の導入方向と外部基板1の平面部が平行)を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、光通信に適用可能な接続機器の製造産業等に利用可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 外部基板
2 基板側RACN
5 光ケーブル
6 光ケーブル側MPOコネクタ
100、200、300 光モジュールコネクタ
110、210、310 光モジュール側MPOコネクタ
120、220、320 光偏向部材
122、222、322 外側部材
122A、320A 外周面
122B、222B、320B 内周面
122C、124C、222C、224C、320C 第1の平面部
122D、124D、222D、224D、320D 第2の平面部
122G、124G、222G、224G、320G、320K 光導波路
124、224、324 内側部材
124A、224A 外周面
130、230、330 内部基板
132、232、332 受光素子
134、234、334 発光素子
140、240、340 ドライバ
142、242、342 熱伝導シート
144、244、344 放熱フィン
150、250、350 光モジュール側RACN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ケーブルから入力された光信号を電気信号に変換して出力すると共に入力された電気信号を光信号に変換して前記光ケーブルに出力する光モジュールであって、
平板状の基板と、
該基板の一方の面に取り付けられた発光手段及び受光手段と、
前記光ケーブルから入力された光信号を略90度偏向させて前記受光手段に出力すると共に前記発光手段から入力された光信号を略90度偏向させて前記光ケーブルに出力する光偏向部材と、を備え、
前記光偏向部材は、二列に並んだ複数の光導波路を有することを特徴とする、
光モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の光モジュールであって、
前記光偏向部材は、
凸状に湾曲した外周面と凹状に湾曲した内周面を有し、前記外周面の第1の端部直線と前記内周面の第1の端部直線を含み前記発光手段及び受光手段に対向する第1の平面部が、前記外周面の第2の端部直線と前記内周面の第2の端部直線を含み前記光ケーブルとの接続部に対向する第2の平面部に対して略90度の角度をなす外側部材と、
前記外側部材の内周面に対向するように凸状に湾曲した外周面を有する内側部材と、
を有し、
前記外側部材の外周面、及び前記内側部材の外周面に沿って、それぞれ一列分の前記光導波路が形成されていることを特徴とする、
光モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の光モジュールであって、
前記光偏向部材は、
凹状に湾曲した内周面を有し、該内周面の第1の端部直線を含み前記発光手段及び受光手段に対向する第1の平面部が、前記外周面の第2の端部直線と前記内周面の第2の端部直線を含み前記光ケーブルとの接続部に対向する第2の平面部に対して略90度の角度をなす外側部材と、
前記外側部材の内周面に対向するように凸状に湾曲した外周面を有する内側部材と、
を有し、
前記外側部材の内周面、及び前記内側部材の外周面に沿って、それぞれ一列分の前記光導波路が形成されていることを特徴とする、
光モジュール。
【請求項4】
請求項1に記載の光モジュールであって、
前記光偏向部材は、凸状に湾曲した外周面と凹状に湾曲した内周面を有し、前記外周面の第1の端部直線と前記内周面の第1の端部直線を含み前記発光手段及び受光手段に対向する第1の平面部が、前記外周面の第2の端部直線を含み前記光ケーブルとの接続部に対向する第2の平面部に対して略90度の角度をなすように形成され、前記外周面及び前記内周面に沿って、それぞれ一列分の前記光導波路が形成されていることを特徴とする、
光モジュール。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光モジュールであって、
前記基板における前記発光手段及び受光手段が取り付けられた面と反対側の面に、少なくとも前記発光手段を制御するドライバ、及び放熱フィンが取り付けられていることを特徴とする、
光モジュール。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光モジュールと、
該光モジュールと外部基板を接続させるコネクタと、を備える光モジュールコネクタであって、
前記コネクタによって前記外部基板に嵌合された状態で、前記光ケーブルの導入方向、前記基板の平面部、及び前記外部基板の平面部が略平行となることを特徴とする、
光モジュールコネクタ。
【請求項7】
凸状に湾曲した外周面と凹状に湾曲した内周面を有し、前記外周面の第1の端部直線と前記内周面の第1の端部直線を含む第1の平面部が、前記外周面の第2の端部直線と前記内周面の第2の端部直線を含む第2の平面部に対して略90度の角度をなす外側部材と、
前記外側部材の内周面に対向するように凸状に湾曲した外周面を有する内側部材と、
を有し、
前記外側部材の外周面、及び前記内側部材の外周面に沿って、それぞれ一列分の光導波路が形成され、
前記第1の平面部において入力された光信号を略90度偏向させて前記第2の平面部に出力すると共に、前記第2の平面部において入力された光信号を略90度偏向させて前記第1の平面部に出力することを特徴とする、
光偏向用部材。
【請求項8】
凹状に湾曲した内周面を有し、該内周面の第1の端部直線を含む第1の平面部が、前記内周面の第2の端部直線を含む第2の平面部に対して略90度の角度をなす外側部材と、
前記外側部材の内周面に対向するように凸状に湾曲した外周面を有する内側部材と、
を有し、
前記外側部材の内周面、及び前記内側部材の外周面に沿って、それぞれ一列分の光導波路が形成され、
前記第1の平面部において入力された光信号を略90度偏向させて前記第2の平面部に出力すると共に、前記第2の平面部において入力された光信号を略90度偏向させて前記第1の平面部に出力することを特徴とする、
光偏向用部材。
【請求項9】
凸状に湾曲した外周面と凹状に湾曲した内周面を有し、前記外周面の第1の端部直線と前記内周面の第1の端部直線を含む第1の平面部が、前記外周面の第2の端部直線を含む第2の平面部に対して略90度の角度をなすように形成され、
前記外周面及び前記内周面に沿って、それぞれ一列分の光導波路が形成され、
前記第1の平面部において入力された光信号を略90度偏向させて前記第2の平面部に出力すると共に、前記第2の平面部において入力された光信号を略90度偏向させて前記第1の平面部に出力することを特徴とする、
光偏向用部材。
【請求項10】
光ケーブルから入力される光信号を電気信号に変換して嵌合先の機器に出力すると共に前記嵌合先の機器から入力される電気信号を光信号に変換して前記光ケーブルに出力する光モジュールコネクタであって、
基板に嵌合された状態で、前記光ケーブルの導入方向と基板面が略平行となることを特徴とする、
光モジュールコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−118265(P2012−118265A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267443(P2010−267443)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】