説明

光伝送路、光コネクタ、及び光モジュール

【課題】 屈折率差が非等方の光導波路と、屈折率差が等方性の光導波路とを接続する光伝送路において、結合損失を抑制する。
【解決手段】 光伝送路は、コアとクラッドを備える第1及び第2の光導波路と、前記第1の光導波路と前記第2の光導波路をレンズを介して光学的に接続するコネクタと、を含み、前記第1の光導波路と、前記第2の光導波路の少なくとも一方が、第1の方向におけるコアとクラッドの屈折率差と、第2の方向におけるコアとクラッドの屈折率差が異なり、前記第1の光導波路と、前記第2の光導波路の少なくとも一方において、第1の方向における屈折率差が等しくなる第1の出射位置と、第2の方向における屈折率差が等しくなる第2の出射位置とが、光軸上でオフセットして配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送路、光コネクタ、及び光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、サーバー、ハイエンドコンピュータ(HPC)等の分野では、マルチCPU化による性能の向上により、CPUと外部インターフェースの間を通信するI/O機能の伝送容量が飛躍的に増大している。一方で、従来の電気信号による高速伝送には、クロストークの発生や配線密度の観点から限界がある。そこで、光電変換素子を配置して光信号で高速I/Oを実現する技術(光インターコネクト技術)が検討されている。
【0003】
光インターコネクト技術を実現するには、光送受信モジュールが必要となる。光伝送素子モジュールの候補として、発光素子や受光素子を基板にフェイスダウン実装して、基板の下側にポリマー光導波路を直接接続した光モジュールが提案されている。ポリマー光導波路は、光伝送素子を配置した光モジュール内で低コストの光結合を実現できる。しかし伝搬損失は0.04dB/cm前後となり、マルチモード光ファイバの2.4dB/km程度と比較して損失が大きい。もっとも、サーバボード内の光配線の長さは20cm程度であることから、ボード内の光伝送素子モジュールにはポリマー光導波路を用い、1m程度の光配線長が求められるバックプレーンの光伝送にはマルチモード光ファイバを用いる構成が提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。
【0004】
ポリマー導波路は、その製造方法の違いによっていくつか種類がある(たとえば、非特許文献2参照)。図1に、代表例としてコア露光・現像法(直接露光法)と、クラッド露光法(フォトアドレス法)を示す。図1(A)のコア露光・現像法では、下部クラッド層1001上にコア層1002をラミネートした後、マスク1005を用いてコア部分を露光し現像して、コア1003を形成する。コア形成後、上部クラッド層1004をラミネートし、ベークして光導波路を作成する。この方法では、下部クラッド層1001と上部クラッド層1004に同じ材料を選択することで、光導波路の配置面に対して垂直方向(縦方向)と、水平方向(横方向)でコアとクラッドの屈折率差を同程度にしやすい。これを屈折率差の「等方性」と称する。しかし現像後のコア側壁に粗さが残り、伝搬損失が劣化する。
【0005】
他方、図1(B)のクラッド露光法では、下部クラッド層1011、コア層1012、上部クラッド層1014をラミネートした後、コアとなる領域を除く部分を露光して、コア層1012のコアとなる領域以下の部分の屈折率を下げる。この方法は現像プロセスを必要とせず、工程数が少なく低コストである。また、コア側壁の粗さも生じないので伝搬損失の小さいポリマー光導波路が実現できる。しかし、コア側方の屈折率の低減をコア層1012の化学反応により実現するため、コアの側方(横方向)で屈折率差を大きくするのが困難である。他方、フィルム状の光導波路では、積層方向に曲がりやすいので配置面と垂直な方向の屈折率差を大きくして、曲げによる損失を低減する必要がある。その結果光導波路の縦方向と横方向でコアとクラッドの屈折率差が異なる。これを屈折率差の「非等方性」と称する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】T. Shiraishi et al., OTuQ5, OFC2011
【非特許文献2】「光配線光板の御紹介」、住友ベークライト株式会社、http://www.jpca.net/hikari/db/sumibe01.pdf
【非特許文献3】川上直美他、信学技報 R2010-6, CPM2010-6,OPE2010-6(2010-4)
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2008−535037
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
コアとクラッドの屈折率差が、導波路の配置面に対して垂直方向(縦方向)と水平方向(横方向)で異なるポリマー光導波路を、屈折率差が等方性の光ファイバと接合して光結合を行なった場合、後述するように光損失による劣化が生じる。同様に、ポリマー光導波路同士であっても、NA特性が互いに異なる光導波路同士を光結合する場合も、損失が生じ得る。
【0009】
そこで、屈折率差が非等方性の光導波路と、屈折率差が等方性の光導波路を結合する場合、あるいは異なるNA特性を有する屈折率差非等方の光導波路同士を結合する場合に、光結合損失を抑制することのできる構成を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様では、光伝送路を提供する。光伝送路は、
コアとクラッドを備える第1及び第2の光導波路と、
前記第1の光導波路と前記第2の光導波路を、レンズを介して光学的に接続するコネクタと、を含み、
前記第1の光導波路と、前記第2の光導波路の少なくとも一方が、第1の方向におけるコアとクラッドの屈折率差と、第2の方向におけるコアとクラッドの屈折率差が異なり、
前記第1の光導波路と、前記第2の光導波路の少なくとも一方において、前記第1の方向における屈折率差が等しくなる第1の出射位置と、前記第2の方向における屈折率差が等しくなる第2の出射位置とが、光軸上でオフセットして配置されている。
【0011】
第2の態様では、光コネクタを提供する。光コネクタは、
光導波路と、
前記光導波路からの光が入射するレンズと、
を備え、
前記光導波路から前記レンズに向かって出力されるビームにおいて、第1の方向において屈折率差が等しくなる第1の出射位置と、前記第1の方向と異なる第2の方向において屈折率差が等しくなる第2の出射位置とが、光軸に沿ってオフセットした位置に配置されている。
【発明の効果】
【0012】
屈折率差が非等方性の光導波路と、屈折率差が等方性の光導波路を結合する場合に、光結合損失を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】公知のポリマー導波路を示す図である。
【図2】光ファイバの屈折率分布を示す図である。
【図3】光導波路のNA(開口数)を説明するための図である。
【図4】非等方光導波路を等方光導波路に直接接続したときの光結合損失を説明するための図である。
【図5】非等方光導波路を、レンズを介して等方光導波路に接続したときの光結合損失を説明するための図である。
【図6】実施例の光伝送路の基本概念図である。
【図7】動作原理を説明するための図である。
【図8】光伝送路で用いられる実施例1の光コネクタの概略図である。
【図9】実施例1の光コネクタの部分構成図である。
【図10】実施例1の光コネクタの水平断面図と垂直断面図である。
【図11】変形例1の基本概念図である。
【図12】変形例1の動作原理を説明するための図である。
【図13】変形例1の光コネクタの構成例である。
【図14】変形例2の基本概念図である。
【図15】実施例2の光導波路の概略図である。
【図16】図15の光導波路とレンズフェルールとの嵌合状態を示す図である。
【図17】図15の光導波路を用いた光コネクタの概略図である。
【図18】実施例1又は2の光伝送路を用いた光送受信モジュールの構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明者は、従来の光コネクタを用いて、コアとクラッドの屈折率差が非等方の光導波路と、屈折率差が等方性の等方光導波路の光結合を行なった場合、光損失による劣化が生じることを見出した。まず、これについて説明する。
【0015】
図2は、一般的なマルチモード光ファイバの屈折率分布を示す。図2(A)のステップインデックスファイバでは、コアで径方向に屈折率が一定し、クラッドでも径方向で屈折率が一定する。図2(B)のグレーデットインデックスファイバは、コアの中心から外側に向けて屈折率が等方的に変化し、クラッドの屈折率は一定である。いずれの場合も光伝搬軸に対して、コアとクラッドの屈折率差は等方性となっている。
【0016】
図3は、光導波路のNA(開口数)を説明するための図である。NAは、コアとクラッドの屈折率差によって決まる。コアの屈折率をn1、クラッドの屈折率をn2とすると、NAは式(1)で表される。
【0017】
【数1】

【0018】
光導波路中の光を光線で考えると、NAすなわち屈折率差が大きい光導波路は、大きい角度の光線まで許容する。NAが大きい光導波路から出射する光線の最大角度は大きくなる。出射する光線の角度をθ、光導波路のコアの屈折率をn1とすると、NAは式(2)で表される。
【0019】
【数2】

【0020】
式(2)から明らかなように、NAと光線角度は相関関係がある。図3(A)の例で、NA=0.3の光導波路Aから空気中に光が出射する場合、最大17.5度の角度の光線が出射される。ここでは、光導波路から出射した光の光線角度を「NAO」と称して、光導波路のNAと区別して表す。図3(A)では、便宜上最大角度の光線しか記載していないが、この角度よりも小さい角度の光はすべて光導波路の中に存在できる。したがって、NAが0.3の光導波路Aからは、NAOが0.3以下の範囲にある多様な光線が出射する。コア径の大きなマルチモード光導波路の場合は、全モードが励振しているとして、コア内の多様な点から、NAOが0.3以下の種々の光線が出射する。出射光線の角度分布と位置の分布はマルチモードの励振状態によって異なる。
【0021】
図3(B)に示すように、NA=0.3の光導波路Aと、NA=0.2の光導波路Bを直接接続することを考える。この場合、NAOが2より大きい角度の光線はNA=0.2の光導波路Bへは伝搬せず、損失となる。損失は、全モード励振したとしておよそ式(3)で表すことができる。
【0022】
【数3】

【0023】
NA=0.3の光導波路Aから、NA=0.2の光導波路Bに伝搬する場合は、約1.8dBの結合損失が発生する。このようにNAが大きい光導波路からNAが小さい光導波路に光が伝搬する場合、結合損失が発生する。
【0024】
図4は、屈折率差が非等方性の光導波路(「非等方光導波路」と略称する)と、屈折率が等方性の光導波路(「等方光導波路」と略称する)を直接接続したときの光結合損失を説明するための図である。図4(A)の非等方光導波路2Aでは、光導波路の配置面に対して垂直(縦)方向と水平方向(横方向)で、屈折率差すなわちNAが異なり、出射する光線のNAOも、垂直(縦)方向と水平(横)方向で異なる。以下の説明及び図面において、「縦方向」というときは、光導波路の配置面に対して垂直方向または高さ方向を意味し、「横方向」と言うときは、光導波路の配置面に対して水平方向または幅方向を意味するものとする。
【0025】
図4(A)では、空気中への縦方向の出射光6の最大NAOは0.3であるが、横方向の出射光7の最大NAOは0.2となる。
【0026】
図4(B)では、非等方光導波路2Aを、NA=0.3の等方光導波路2Bと直接接合する。非等方光導波路2Aから等方光導波路2Bへ光送信する場合、等方光導波路2BのNA値は、非等方性導波路2AのAN値と同等またはそれ以上なので、結合損失の影響なしに光信号が伝搬する。他方、等方光導波路2Bから非等方光導波路2Aで光を受信する場合、NA値が小さくなっている横方向で結合損失が生じる。
【0027】
そこで、図4(C)に示すように、等方光導波路2BのNA値を、非等方光導波路2Aの横方向のNA値に合わせて0.2とする。そうすると、今度は、非等方光導波路2Aから等方光導波路2Bへの光送信で結合損失が生じる。つまり、送受信のいずれかの方向でNAの不一致が発生し、光結合の損失が生じる。
【0028】
図5は、非等方光導波路3Bと等方性の光ファイバ3Bを、レンズを介して接続したときの光結合損失を説明する図である。図5(A)に示すように、レンズ5を用いることでレンズ5に入射する光のNAOを変換することができる。光コネクタ用の一般的な光導波路のチャネルピッチは250umと高密度なので、レンズ5にも250um径のマイクロレンズアレイが用いられる。このような小さいサイズのレンズを通常の方法で製造すると、加工の都合上、中心対称なレンズとなる。中心対称のレンズ5では、NAOは縦横のそれぞれの光線に対して等しい割合で変化する。
【0029】
図5(B)では、レンズ5で集光される光の横方向のNAOがファイバ3BのNA(NA=0.2)と一致するように、レンズ5を加工する。この場合、ファイバ3Bから導波路3Aへの受信では、結合損失なしに光接続することができる。しかし、導波路3Aからファイバ3Bへの送信では、縦方向にNAOが大きい光が(NAO=0.27)、NAの小さいファイバ3B(NA=0.2)に入射するため、光結合に損失が生じる。
【0030】
図5(C)では、レンズ5で集光される光の縦方向のNAOが、ファイバ3BのNA(NA=0.2)と一致するようにレンズ5を加工する。この場合、導波路3Aからファイバ3Bへの送信では、結合損失なしに光接続することができる。しかし、ファイバ3Bから導波路3Aへの受信では、横方向にNAOが大きい光が(NAO=0.32)、NAの小さい導波路3A(NA=0.24)に入射するため、光結合に損失が生じる。
【0031】
このように、中心対称に加工されたレンズでは、縦方向と横方向のいずれかの方向で接続相手とNAが一致するように曲率を調整しても、他の方向でNAの不一致が生じる。この問題は、レンズの曲率を非対称に加工することで解消されるが、微小なレンズを1つずつ非対称に加工するのは困難である。
【0032】
そこで、以下で説明する実施例では、レンズの形状は変えずに、光導波路から大きなNAで出射する光線の出射位置と、小さなNAで出射する光線の出射位置を異ならせる(オフセットさせる)ことによって、縦方向、横方向の双方で結合損失を抑制して、効率的な光結合を実現する。
【0033】
図6は、屈折率差が非等方性の導波路(第1導波路)4Aと、屈折率差が等方性のファイバ(第2導波路)4Bを、レンズ5を介して接続する光伝送路1の基本概念を示す。
【0034】
コアとクラッドの屈折率差が非等方の導波路4Aでは、たとえば、縦方向のNAが0.32、横方向のNAが0.24である。この導波路4Aからレンズ5に入力するビームのNAOは、縦方向で0.32、横方向で0.24である。この場合、NAが高い方向、すなわち屈折率差が大きい方向に進むビーム6の出射位置E2を、NAが低い方向、すなわち屈折率差が小さい方向に進むビーム7の出射位置E1よりも、距離dだけ光軸Pに沿ってレンズ5の側にオフセットさせる。出射位置をオフセットさせるための具体的な構成は後述する。NAが高い方向のビーム出射位置をレンズ5側に近づけることによって、レンズ5から接続先の等方性光ファイバ4Bに入力するビームのNAOは、縦方向、横方向ともに0.2に変換される。換言すると、NAの相違に応じてビームの出射位置をオフセットさせることによって、縦方向と横方向で非対称にNAOを変化させることができる。これにより、光結合損失を抑制して、屈折率差が非等方の光導波路4Aからの出射光を、屈折率差が等方性の光ファイバ4Bに効率的に結合することができる。
【0035】
図7は、図6の動作原理を説明する図である。図7では図示と説明の簡便のために、十分に薄いレンズ15を用い、レンズ15を空気層で取り囲んだモデルを考える。もっとも基本的な原理はどのようなレンズ系を用いても変わらない。図7では便宜上、NAが高い方向のビーム6とNAが低い方向のビーム7を同じ平面上に描いているが、実際は、ビーム6とビーム7は互いに直交する面内に出射する。
【0036】
まず、NAが低い方向のビーム7について考える。導波路4Aの出射端からレンズ15までの距離をL1、レンズ15からファイバ4Bまでの距離をL2とすると、レンズ系の倍率M1はM1=L2/L1で表される。レンズ15を出射したビーム7のNAOをNAOout、レンズ15に入射するビーム7のNAOをNAOinとすると、NAOoutは式(4)で近似される。
【0037】
【数4】

【0038】
次に、NAが高い方のビーム6について考える。導波路からレンズ15までの距離をL1'、レンズ15からファイバ4Bまでの距離をL2とすると、レンズ系の倍率M2はM2=L2/L1'で表される。レンズ15を出射したビーム6のNAOをNAOout、レンズ15に入射するビーム6のNAOをNAO'inとすると、NAO'outは式(5)で近似される。
【0039】
【数5】

【0040】
ここで、NAO'in>NAOin であり、非等方な関係にある。NAO'out=NAOoutを満たすようにL1'、L1(L1'<L1)を適切な値に設計することで、オフセット量dが決まってくる。これにより、レンズ15からファイバ4Bに出射するビームの角度を等方的にすることができる。
【実施例1】
【0041】
図8は、図6の光伝送路1で使用される実施例1の光コネクタ10の概略図である。図8(A)は上面図、図8(B)は相手側導波路との接続面となる前面図である。実施例1の光コネクタ10は、光導波路11と、光導波路11を保持するフェルール20を含む。光導波路11は、たとえばポリマー導波路であり、コア11aとクラッド11bの屈折率差が非等方である。フェルール20は、光導波路11の出射端11cに対応する位置にレンズアレイ25Aを有する。実施例1の光コネクタ10では、フェルール20の構造を工夫することで、ポリマー導波路11の出射端11cから出射するビームの出射位置を、NAの大きい方向と、NAの小さい方向とで異ならせる。
【0042】
図9は、フェルール20の構成例を示す図である。図9(A)〜図9(C)に示すように、フェルール20は、高屈折率材料で形成された第1部材22と、第1部材22よりも低い屈折率の低屈折率部材で形成された第2部材21を含む。第1部材22は、レンズ25と突起22aを有する。第2部材21は、ポリマー導波路11を受け取るスリット23と、突起22aを受け取るスリット24を有する。
【0043】
高屈折率の第1部材22は、透明な材料で形成されている。低屈折率の第2部材21は必ずしも透明でなくてもよいがクラッドとして作用し、クラッドに漏れこむ光も存在するので透明であるのが望ましい。高屈折率の突起22aを、低屈折率の第2部材21のスリット24に嵌合することで、コアとクラッドのようにY方向(高さ方向)にだけ光の閉じ込めが可能な導波路が形成される。
【0044】
図10は、組立後の光コネクタ10を示す。高屈折率の第1部材22と低屈折率の第2部材21が嵌合され、ポリマー導波路11が挿入されている。図10(A)は図9(B)のA−A'断面図(水平断面図)、図10(B)は図9(B)のB−B'断面図(垂直断面図)である。屈折率差が非等方のポリマー導波路11では、たとえばコア11aの屈折率は1.53、縦方向(Y方向)でコア11aを挟み込むクラッド24の屈折率は1.5、横方(X方向)でコア11aを挟み込む側方クラッド11bの屈折率は1.515である。屈折率差は縦方向で大きくなっている。具体的には、縦方向でNA=0.32、横方向ではNA=0.24である。
【0045】
図10(A)に示すように、水平(X)方向でみたときは、非等方光導波路11の端面11cは、全体として高屈折率材料の突起22aに当接し、水平方向のビームLHの出射位置はE1点となる。他方、図10(B)に示すように垂直(Y)方向では、高屈折率の突起22aが低屈折率の第2部材21に挟まれて、延長導波路27を形成している。したがって、コア11aを出た縦方向のビームLVは、全反射を繰り返したまま延長導波路27を伝搬しE2点から出射する。ビームLVの出射位置E2は、ビームLHの出射位置E1に比べて、距離dだけレンズ25に近くなる。この例では、d=50μmである。フェルール20の第1部材22は、突起22aの突出量が50μmとなるように加工されている。
【0046】
伝搬損失を抑制するためには、ポリマー導波路11のコア11aの屈折率は、フェルール20の高屈折率材料の屈折率に近いのが望ましく、クラッド11bの屈折率はフェルール20の低屈折率材料の屈折率に近いのが望ましい。
【0047】
このように、実施例1では、フェルール20の構造を工夫することにより、非等方光導波路11からNAの大きい第1方向に出射する光LVの出射位置E2を、NAの小さい第2方向に出射する光LHの出射位置E1よりも、レンズ25に近づけた。なお、ポリマー導波路11の横方向の屈折率が縦方向の屈折率よりも大きい場合は、横方向のビームの出射位置をレンズ25に近づける。この場合、図9(A)の突起22aを縦方向(Y方向)に延びるように形成すればよい。
【0048】
(変形例1)
図11は、実施例1の変形例1の光伝送路31の概略図である。変形例1でも、屈折率差が非等方の第1の光導波路(たとえばポリマー導波路)4Aと、屈折率差が等方性の第2の光導波路(たとえば光ファイバ)4Bとを、レンズ35を介して接続する。図6の光伝送路1との相違点は、屈折率差が等方性の光ファイバ4Bからの出射光を、レンズ35で集光またはコリメートして、非等方性のポリマー導波路4Aに光結合させる点にある。この場合、接続相手の非等方光導波路4Aにおいて、NAが低い方向となるビーム37の出射位置を、レンズ35に近い側にオフセットさせる。
【0049】
この結果、たとえば光ファイバ4Bの出射光のうち、相手側の非等方光導波路4AでNAが低くなる方向(横方向;NA=0.24)のビーム37のNAOの変換率を小さくし、相手側の非等方光導波路4AでNAが高くなる方向(縦方向;NA=0.32)のビーム36のNAOの変換率を大きくして、効率的な光結合を実現する。特に、伝送方向が非等方光導波路4Aから光ファイバ4Bの場合に、結合損失の抑制効果が大きい。
【0050】
図12は、図11の動作原理を説明する図である。図12では図示と説明の簡便のために、十分に薄いレンズ35を用い、レンズ35を空気層で取り囲んだモデルを考える。もっとも基本的な原理はどのようなレンズ系を用いても変わらない。図12では便宜上、相手側の非等方光導波路4AにおいてNAが高くなる方向のビーム36とNAが低くなる方向のビーム37を同じ平面上に描いているが、実際は、ビーム36とビーム37は互いに直交する面内に出射するものである。
【0051】
まず、相手側の非等方光導波路4AにおいてNAが高くなる方向のビーム36について考える。光ファイバ4Bの出射端からレンズ35までの距離をL1、レンズ35から非等方光導波路4Aまでの距離をL2とすると、レンズ系の倍率M1はM1=L2/L1で表される。レンズ35を出射したビーム36のNAOをNAOout、レンズ35に入射するビーム36のNAOをNAOinとすると、NAOoutは式(6)で近似される。
【0052】
【数6】

【0053】
次に、相手側の非等方光導波路4AにおいてNAが低くなる方向のビーム37について考える。光ファイバ4Bからの出射位置からレンズ35までの距離をL1'、レンズ35から非等方光導波路4Aまでの距離をL2とすると、レンズ系の倍率M2はM2=L2/L1'で表される。レンズ35を出射したビーム37のNAOをNAOout、レンズ35に入射するビーム37のNAOをNAO'inとすると、NAO'outは式(7)で近似される。
【0054】
【数7】

【0055】
ここで、NAO'in=NAOin となり等方な関係にある。L1'<L1で適切な値に設計することで、NAO'out<NAOoutの非等方な導波路4Aにマッチする出射ビームに変換することができる。
【0056】
図13は、図11の光伝送路31で使用される変形例1のフェルール40の概略図である。図13(A)〜図13(D)に示すように、フェルール40は、高屈折率材料で形成された第1部材42と、第1部材42よりも低い屈折率の低屈折率部材で形成された第2部材41を含む。第1部材42は、レンズ45と突起42aを有する。複数のレンズ45はレンズアレイ45Aを構成する。第2部材41は、光ファイバ30を受け取る挿入穴43と、突起42aを受け取るスリット24を有する。挿入穴43の底面43aが光ファイバ30の配置面となる。
【0057】
図9及び10の例と同様に、高屈折率の第1部材42の突起42aが、低屈折率の第2部材41のスリット44に嵌合することで、あたかもコアとクラッドのようにY方向(高さ方向)にだけ光の閉じ込めが可能な延長導波路47が形成される。ここで、相手側の非等方導波路でNAが低くなる方向(図13(C)のY方向)のビームの出射位置がE2点までレンズ45側にオフセットされる。他方、相手側の非等方導波路でNAが高くなる方向(図13(D)のX方向)のビームの出射位置はE1点である。
【0058】
このように、屈折率差が等方性の光ファイバ4Aにレンズを適用した場合にも、光損失を抑制して、非等方光導波路4Bへと効率的に光伝搬させることができる。
【0059】
(変形例2)
図14は、実施例1の変形例2の光伝送路51の概略図である。変形例2では、光伝送路を相手側のコネクタがレンズコネクタである場合の適用例を提供する。光伝送路51では、屈折率差が非等方の第1の光導波路(たとえばポリマー導波路)4Aと、屈折率差が等方性の第2の光導波路(たとえば光ファイバ)4Bを、レンズ15、35を介して光接続する。この場合、レンズ15は集光レンズではなく、コリメートレンズとなる。
【0060】
図14の例では、非等方光導波路4Aの側でのみ、NA(すなわち屈折率差)が高い方向のビーム6の出射位置E2を、NAが低い方向のビーム7の出射位置E1よりもレンズ15に近い位置にオフセットさせている。これを実現するための具体的な構成は、図9及び10に示したとおりである。これにより、屈折率差の大きい縦方向(導波路保持面に対して垂直方向)で、NAOの変換率を大きくして、最終的に光ファイバ4Bに入射するビームの屈折率差を、全方向で等方にしている。
【0061】
図14の構成に代えて、光ファイバ4Bの側で、相手側の非等方光導波路4AにおけるNAの相違に応じて出射位置を異ならせた構成としてもよい。この場合は、図12及び図13の構成を採用すればよい。さらに、非等方光導波路4Aと光ファイバ4Bの双方でビーム出射位置をオフセットさせる構成を採用してもよい。
【実施例2】
【0062】
図15は、実施例2の光コネクタで用いる光導波路60の概略図である。実施例1では光コネクタのフェルール(保持部)に、ビーム出射位置をオフセットさせる構造を作り込んだ。実施例2では、光導波路にビーム出射位置のオフセット構造を作り込む。
【0063】
光導波路60は、コア63と、縦方向(導波路保持面に対して垂直方向)にコア63を被覆する下部クラッド61及び上部クラッド64と、横方向(導波路保持面に対して水平方向)にコア63を被覆する側方クラッド62を含む。
【0064】
コア63の屈折率をn1、側方クラッド62の屈折率をn2、下部クラッド61及び上部クラッド64の屈折率をn3とする。これらの屈折率は、n1>n2>n3の関係を満たす。コア63の出射端63aは、側方クラッド62で覆われる。すなわち、コア63の出射端63aは光導波路60の端面69から距離dだけ後退して位置する。横方向(水平断面)のビームの出射位置E1は、コアの出射端63aと一致する。他方、縦方向(垂直断面)では、屈折率n2の側方クラッド62が、距離dだけ下部クラッド61と上部クラッド64(ともに屈折率n1)に挟まれて光閉じ込め構造を形成する。この光閉じ込め構造は延長導波路67を形成し、光の伝搬が継続する。この結果、縦方向のビームの出射位置E2は、距離dだけレンズ側(図16参照)に近付く。これにより屈折率差の異なる縦方向と横方向でビームの出射位置をオフセットさせることができる。
【0065】
図16に示すように、図15の構成を有する光導波路60を、レンズ75付きのフェルール72のスリット68に挿入して、光コネクタ70を構成する。この構成では、フェルール72の形状、構成を変える必要がない。光導波路60をスリット68に挿入し、光導波路60の端面69をスリット68の底面68aに当接させることで、光導波路保持面68bに対して垂直方向(Y方向)のビームと、水平方向(X方向)のビームで、その出射位置をオフセットすることができる。
【0066】
図17は、実施例2の光コネクタ70の外観図である。図17(A)は上面図、図17(B)は相手方コネクタとの接続面となる前面図、図17(C)は、側面図である。サークルAで示すように、コア端面63aは、光導波路60の挿入端69より挿入方向に後退して位置する。コア端面63aは、側方クラッド62で被覆されている。側方クラッド62の屈折率n2は、コア63の屈折率n1よりは小さいが、上下クラッド61、64の屈折率n3より大きい。上下クラッド61、64と、側方クラッド62で延長導波路67を形成している。これにより、コアとクラッドの屈折率差すなわちNAが大きい方向のビームの出射位置を、レンズ75に近づけることができる。
【0067】
光導波路60を挿入するスリット68は2段、あるいはそれ以上にしてもよい。図17では、1段当たり12チャンネルの光導波路60をアセンブリする例を示しているが、この例に限定されない。また、光導波路60を保持するフェルール72に、スリット68と通じる空気穴76を設けてもよい。空気孔76は、光導波路60を挿入し仮固定して接着剤を注入する際に、接着剤の導入を容易にする。接着剤を硬化させることによってアセンブルが完了する。
【0068】
なお、図15〜図17では、非等方光導波路60の先端部で出射位置を異ならせる構成を図示したが、図1(A)に示す等方光導波路の先端部で、出射位置を異ならせることも可能である。すなわち、図1(A)のコアの出射端を導波路の端面から後退させ、コアの屈折率よりも小さくクラッドの屈折率よりも大きな屈折率を有する光透過性部材でコア出射端を被覆する。そして、接続相手となる非等方光導波路において屈折率差(NA)が小さくなる方向にのみさらに光を閉じ込める延長導波路を設ける。この場合は、図11の構成がファイバ4Bにより実現される。
【0069】
また、非等方光導波路と等方光導波路をコネクタで光学的に接続した実施例について説明したが、非等方光導波路と非等方光導波路をコネクタで光学的に接続した実施例についても、光導波路の出射端の位置を少なくともいずれかの非等方光導波路で異ならせることで適用することができる。
【0070】
図18は、実施例1又は実施例2の光伝送路を適用した光モジュール100の概略図である。光モジュール100は、たとえばサーバボードとバックプレーンとの間の光接続に適している。光モジュール100は、一例としてポリマー導波路112を用いた光コネクタ110を含む。ポリマー導波路112はレンズ(図18では不図示)を有する保持部111に保持され、光ファイバ122に光結合される。
【0071】
ポリマー導波路112は、上述のように、屈折率差が非等方である。そのため、光コネクタ110では、実施例1のようにフェルールに出射位置オフセット構造が形成されているか、あるいは実施例2のように、ポリマー導波路112に出射位置オフセット構造が設けられている。これにより、屈折率が等方性の光ファイバ122と低損失で結合することができる。
【0072】
光モジュール100は、フレキシブルプリント基板(FPC)102上にフェイスダウン実装された複数の素子103−106を有する。FPC102は、ポリイミド等の薄くて透明な材料を用いる。これにより、高周波の電気信号の損失を抑制する。実装された素子は、たとえば電気信号を光信号に変換するための発光素子駆動IC103と、発光素子104を含む。また、光信号を電気信号に変換するための受光素子106と、受光素子106からの電流を電圧に変換するTIA(trans-impedance amplifier)105を含む。発光素子104としてVCSEL(vertical cavity semiconductor emission laser)アレイ、受光素子106としてPD(photo diode)アレイを利用してもよい。FPC102の下側に、透明材料で構成される図示しないレンズシートが接着層を介して貼り付けられ、レンズシートの下側にポリマー導波路112が配置されている。この光モジュール100により、安価なポリマー導波路と、バックプレーンへつながる光ファイバとの結合損失を抑制することができる。
【0073】
本発明は、シングルモードの光導波路にも、マルチモードも光導波路にも適用可能であるが、コア径の大きいマルチモードの光導波路や光ファイバで特に効果を発揮する。シングルモードの光導波路を考えると、光源は点光源と考えることができる。図6のように出射位置オフセット構造でNAOを変換した場合、出射位置をレンズ側にずらした方のビームの径がわずかに広がる。このビーム径の変化が光結合に若干影響することもあり得る。他方、マルチモードの光導波路の場合はコア径が大きく多様な点を光源として含むので、出射位置オフセット構造を用いてもビーム径の変化量は無視できるからである。また、ポリマー導波路と光ファイバとの光結合に限らず、互いにNA特性が異なるポリマー導波路同士の光結合にも適用できる。
【0074】
以上の説明に対し、以下の付記を提示する。
(付記1)
コアとクラッドを備える第1及び第2の光導波路と、
前記第1の光導波路と前記第2の光導波路を、レンズを介して光学的に接続するコネクタと、
を含み、
前記第1の光導波路と、前記第2の光導波路の少なくとも一方が、第1の方向におけるコアとクラッドの屈折率差と、第2の方向におけるコアとクラッドの屈折率差が異なり、
前記第1の光導波路と、前記第2の光導波路の少なくとも一方において、第1の方向における屈折率差が等しくなる第1の出射位置と、第2の方向における屈折率差が等しくなる第2の出射位置とが、光軸上でオフセットして配置されていることを特徴とする光伝送路。
(付記2)
前記第1の方向における前記屈折率差を第1の屈折率差とし、前記第2の方向における前記屈折率差を第2の屈折率差とすると、前記第1の屈折率差は前記第2の屈折率差よりも大きく、
前記第1の光導波路の側で、前記第1の方向で出射する第1ビームの出射位置が、前記第2の方向で出射する第2ビームの出射位置よりも、前記レンズに近い位置に設定されていることを特徴とする付記1に記載の光伝送路。
(付記3)
前記第1の方向における前記屈折率さを第1の屈折率差とし、前記第2の方向における前記屈折率差を第2の屈折率差とすると、前記第1の屈折率差は前記第2の屈折率差よりも大きく、
前記第2の光導波路の側で、前記第1の光導波路において前記第2の屈折率となる方向に出射する第2ビームの出射位置が、前記第1の光導波路において前記第1の屈折率となる方向に出射する第1ビームの出射位置よりも、前記レンズに近い位置に設定されていることを特徴とする付記1に記載の光伝送路。
(付記4)
光導波路と、
前記光導波路からの光が入射するレンズと、
を備え、
前記光導波路から前記レンズに向かって出力されるビームにおいて、第1の方向において屈折率差が等しくなる第1の出射位置と、前記第1の方向と異なる第2の方向において屈折率差が等しくなる第2の出射位置とが、光軸に沿ってオフセットした位置に配置されていることを特徴とする光コネクタ。
(付記5)
前記光導波路は、コアとクラッドの屈折率差が前記第1の方向と前記第1の方向で異なる非等方光導波路であり、
前記第1の方向は前記非等方光導波路の屈折率差が大きい方向であり、前記第2の方向は前記屈折率差の小さい方向であり、前記第1の方向に出射する前記第1ビームの出射位置が、前記第2の方向に出射する前記第2ビームの出射位置よりも、前記レンズに近い位置にあることを特徴とする付記4に記載の光コネクタ。
(付記6)
前記光導波路は、コアとクラッドの屈折率差が等方的な等方光導波路であり、
前記第1の方向は、接続相手となる非等方光導波路においてコアとクラッドの屈折率差が小さい方向であり、前記第2の方向は、前記接続相手となる前記非等方光導波路において前記第1の方向よりも前記屈折率差の大きい方向であり、前記第1の方向に出射する前記第1ビームの出射位置が、前記第2の方向に出射する前記第2ビームの出射位置よりも、前記レンズに近い位置にあることを特徴とする付記4に記載の光コネクタ。
(付記7)
前記光導波路を保持し、前記レンズを有する保持部、
をさらに有し、
前記保持部は、前記光導波路を出射した光を、前記第1の方向にのみ閉じ込める延長導波路を有することを特徴とする付記4〜6のいずれか1に記載の光コネクタ。
(付記8)
前記保持部は、
前記レンズを含み、前記レンズの反対側に突起を有する高屈折率材料の第1部材と、
前記光導波路が挿入される第1スリット及び前記突起と嵌合する第2スリットを有する低屈折率材料の第2部材と
を有し、前記第1部材の突起が前記第2部材の第2スリットと嵌合して前記延長導波路を形成することを特徴とする付記7に記載の光コネクタ。
(付記9)
前記光導波路は、前記レンズと対向する先端部に、前記第1の方向にのみ光を閉じ込める延長導波路を有することを特徴とする付記4〜6のいずれか1に記載の光コネクタ。
(付記10)
前記光導波路の前記先端に、前記コアの屈折率よりも小さく前記クラッドの屈折率よりも大きい屈折率の光透過性部材を配置し、前記光透過性部材と前記クラッドとで、前記第1の方向と前記第2の方向のいずれか一方にのみ前記コアを出射した光をさらに導波させる延長導波路を設けたことを特徴とする付記9に記載の光コネクタ。
(付記11)
前記光導波路は、第1の屈性率n1を有するコアと、第2の屈折率n2を有し前記コアの側方を被覆する側方クラッドと、第3の屈折率n3を有し前記コアを積層方向に挟み込む上下クラッドとを有し、前記第1の屈折率、前記第2の屈折率及び前記第3の屈折率は、n1>n2>n3を満たすことを特徴とする付記9に記載の光コネクタ。
(付記12)
1以上の光電変換素子と、
前記光電変換素子に光学的に接続される請求項1に記載の光伝送路と、
を含むことを特徴とする光モジュール。
(付記13)
前記光電変換素子に、前記屈折率差が非等方性の前記第1の光導波路が光学的に接続され、
前記第1の光導波路は、前記コネクタを介して、前記屈折率差が等方性の前記第2の光導波路に接続されることを特徴とする付記12に記載の光モジュール。
【産業上の利用可能性】
【0075】
光インターコネクトを含む光伝送の分野に利用可能である。一例として、サーバーやハイエンドコンピュータシステムの高速伝送路に適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1、31、51、131 光伝送路
2A、3A、4A、112 非等方光導波路
2B、3B、4B、30、122 等方光導波路(ファイバ)
5、15、25、35、45、75 レンズ
6 屈折率差(NA)が大きい方向に出射するビーム
7 屈折率差(NA)が小さい方向に出射するビーム
10、70 光コネクタ
11 光導波路
11a コア
11b クラッド
20、40、72 フェルール(保持部)
21、41 第2部材(低屈折率部材)
22、42 第1部材(高屈折率部材)
22a、42a 突起
23 導波路用スリット
24、44 突起用スリット
27、47、67 延長導波路
36 相手方において屈折率差(NA)が大きくなる方向に出射するビーム
37 相手方において屈折率差(NA)が小さくなる方向に出射するビーム
60 出射位置オフセット構造を有する光導波路
61 下部クラッド(屈折率n2)
62 側方クラッド(屈折率n3)
63 コア(屈折率n1)
64 上部クラッド(屈折率n2)
100 光モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアとクラッドを備える第1及び第2の光導波路と、
前記第1の光導波路と前記第2の光導波路を、レンズを介して光学的に接続するコネクタと、
を含み、
前記第1の光導波路と、前記第2の光導波路の少なくとも一方が、第1の方向におけるコアとクラッドの屈折率差と、第2の方向におけるコアとクラッドの屈折率差が異なり、
前記第1の光導波路と、前記第2の光導波路の少なくとも一方において、第1の方向における屈折率差が等しくなる第1の出射位置と、第2の方向における屈折率差が等しくなる第2の出射位置とが、光軸上でオフセットして配置されていることを特徴とする光伝送路。
【請求項2】
光導波路と、
前記光導波路からの光が入射するレンズと、
を備え、
前記光導波路から前記レンズに向かって出力されるビームにおいて、第1の方向において屈折率差が等しくなる第1の出射位置と、前記第1の方向と異なる第2の方向において屈折率差が等しくなる第2の出射位置とが、光軸に沿ってオフセットした位置に配置されていることを特徴とする光コネクタ。
【請求項3】
前記光導波路は、コアとクラッドの屈折率差が前記第1の方向と前記第2の方向で異なる非等方光導波路であり、
前記第1の方向は前記非等方光導波路の屈折率差が大きい方向であり、前記第2の方向は前記屈折率差の小さい方向であり、前記第1の方向に出射する前記第1ビームの出射位置が、前記第2の方向に出射する前記第2ビームの出射位置よりも、前記レンズに近い位置にあることを特徴とする請求項2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記光導波路は、コアとクラッドの屈折率差が等方的な等方光導波路であり、
前記第1の方向は、接続相手となる非等方光導波路においてコアとクラッドの屈折率差が小さい方向であり、前記第2の方向は、前記接続相手となる前記非等方光導波路において前記第1の方向よりも前記屈折率差の大きい方向であり、前記第1の方向に出射する前記第1ビームの出射位置が、前記第2の方向に出射する前記第2ビームの出射位置よりも、前記レンズに近い位置にあることを特徴とする請求項2に記載の光コネクタ。
【請求項5】
前記光導波路を保持し、前記レンズを有する保持部、
をさらに有し、
前記保持部は、前記光導波路を出射した光を、前記第1の方向にのみ閉じ込める延長導波路を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の光コネクタ
【請求項6】
前記保持部は、
前記レンズを含み、前記レンズの反対側に突起を有する高屈折率材料の第1部材と、
前記光導波路が挿入される第1スリット及び前記突起と嵌合する第2スリットを有する低屈折率材料の第2部材と
を有し、前記第1部材の突起が前記第2部材の第2スリットと嵌合して前記延長導波路を形成することを特徴とする請求項5に記載の光コネクタ。
【請求項7】
前記光導波路は、前記レンズと対向する先端部に、前記第1の方向にのみ光を閉じ込める延長導波路を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項8】
前記光導波路の前記先端に、前記コアの屈折率よりも小さく前記クラッドの屈折率よりも大きい屈折率の光透過性部材を配置し、前記光透過性部材と前記クラッドとで、前記第1の方向と前記第2の方向のいずれか一方にのみ前記コアを出射した光をさらに導波させる延長導波路を設けたことを特徴とする請求項7に記載の光コネクタ。
【請求項9】
前記光導波路は、第1の屈性率n1を有するコアと、第2の屈折率n2を有し前記コアの側方を被覆する側方クラッドと、第3の屈折率n3を有し前記コアを積層方向に挟み込む上下クラッドとを有し、前記第1の屈折率、前記第2の屈折率及び前記第3の屈折率は、n1>n2>n3を満たすことを特徴とする請求項7に記載の光コネクタ。
【請求項10】
1以上の光電変換素子と、
前記光電変換素子に光学的に接続される請求項1に記載の光伝送路と、
を含むことを特徴とする光モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−29782(P2013−29782A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167569(P2011−167569)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】