光処理デバイス
【課題】本願の目的は、優れた波長分解能を有する光処理デバイスを提供することである。
【解決手段】複数の光ファイバを含むビーム放出部分と、複数の光ファイバのうちの1つの光ファイバから放出されたビームを分散させる分散要素と、分散要素を通過するビームを合焦する集光レンズと、ビームが複数の光ファイバのうちの他の光ファイバの1つに入射するように集光レンズを通過するビームの光路を変換する光路変換光学系と、光路変換光学系から他の光ファイバの前記1つに入射するビームの光路長を調整する光路長調整部分と、を含む光処理デバイスが提供される。光路変換光学系は、第1の反射点でビームを反射するミラー要素と、ミラー要素から反射されたビームを中間反射点で反射する中間ミラーと、を含む。ミラー要素は中間ミラーから反射されたビームを第2の反射点で反射する。集光レンズはビームの焦点を第1の反射点で形成する。光路長調整部分は空気よりも高い屈折率を有し、ビームは光路長調整部分を通って送出され得る。
【解決手段】複数の光ファイバを含むビーム放出部分と、複数の光ファイバのうちの1つの光ファイバから放出されたビームを分散させる分散要素と、分散要素を通過するビームを合焦する集光レンズと、ビームが複数の光ファイバのうちの他の光ファイバの1つに入射するように集光レンズを通過するビームの光路を変換する光路変換光学系と、光路変換光学系から他の光ファイバの前記1つに入射するビームの光路長を調整する光路長調整部分と、を含む光処理デバイスが提供される。光路変換光学系は、第1の反射点でビームを反射するミラー要素と、ミラー要素から反射されたビームを中間反射点で反射する中間ミラーと、を含む。ミラー要素は中間ミラーから反射されたビームを第2の反射点で反射する。集光レンズはビームの焦点を第1の反射点で形成する。光路長調整部分は空気よりも高い屈折率を有し、ビームは光路長調整部分を通って送出され得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、波長選択型光処理デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的に、入力路からのビーム信号を分散させる分散要素(例えば、回折格子)と、分散ビームの各々が複数の出力路のいずれかに入射することができるようする光路変換光学系とを含む光処理デバイスが使用されている。
【0003】
そのような光路変換光学系として、複数のマイクロミラー要素を含んでおり、該複数のマイクロミラー要素のそれぞれが別々に作動し得るDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)が知られている(例えば、特許文献1を参照)。デジタルマイクロミラーデバイスは、ミラー要素の方向を調整してビームの反射方向を制御するような方法で、反射ビームの光路を多数の出力路のうちの任意の1つに選択的に切り替えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の光処理デバイスによって十分な波長分解能が得られていないので、波長分解能の改善への要求がある。
【0005】
本発明はそのような状況に鑑みて行われ、本発明の目的は優れた波長分解能を有する光処理デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による光処理デバイスは、複数の光ファイバを含むビーム放出部分と、複数の光ファイバのうちの1つの光ファイバから放出されたビームを分散させる分散要素と、分散要素を通過するビームを合焦する集光レンズと、ビームが複数の光ファイバのうちの他の光ファイバの1つに入射するように集光レンズを通過するビームの光路を変換する光路変換光学系と、光路変換光学系から他の光ファイバの前記1つに入射するビームの光路長を調整する光路長調整部分とを含み、光路変換光学系は、第1の反射点でビームを反射するミラー要素と、ミラー要素から反射されたビームを中間反射点で反射する中間ミラーと、を含み、ミラー要素は中間ミラーから反射されたビームを第2の反射点で反射し、集光レンズはビームの焦点を第1の反射点で形成し、光路長調整部分は空気よりも高い屈折率を有し、ビームは光路長調整部分を通って送出され得る。
【0007】
光路長調整部分は、シリコンから形成してもよい。
【0008】
第2の反射点としてミラー要素を含む領域の面積は、第1の反射点としてミラー要素を含む領域の面積よりも大きくしてもよい。
【0009】
光路変換光学系は、分散要素によって分散されたビームが、ビームの波長に応じて複数の異なる光ファイバに入射することを可能にしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ビームの焦点位置が第1の反射点であるので、波長分解能を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による光処理デバイスを示す概略図である。
【図2】図1の光処理デバイスの光路変換光学系と光ファイバの前端部部分とを示す概略図である。
【図3】図1の光処理デバイスの光路変換光学系を示す概略図である。
【図4】図1の光処理デバイスの光ファイバの前端部部分を示す概略図である。
【図5】図1の光処理デバイスの光路変換光学系を概略的に示す図であり、(a)はそれの側面から見たときのそれの図であり、(b)はそれの平面図である。
【図6】図1の光処理デバイスの光路変換光学系の主要部分を概略的に示す図であり、(a)はそれの側面から見たときのそれの図であり、図(b)はそれの平面図である。
【図7】図1の光処理デバイスの光路変換光学系を概略的に示す平面図である。
【図8】図1の光処理デバイスの特定の構成の一例を示す構成図である。
【図9】試験結果を示すグラフである。
【図10】試験結果を示すグラフである。
【図11】試験結果を示すグラフである。
【図12】試験結果を示すグラフである。
【図13】試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態による光処理デバイスが、図面を参照して説明されるであろう。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による光処理デバイス10を示す概略図である。図2は、光処理デバイス10の光路変換光学系7と光ファイバ2の前端部部分とを示す概略図である。図3は、光処理デバイス10の光路変換光学系7を示す概略図である。図4は、光処理デバイス10の光ファイバ2の前端部部分を示す概略図である。
【0014】
図1に示されるように、光処理デバイス10は、複数の光ファイバ2を含むビーム放出部分1と、レンズ3および4(コリメートレンズ)と、レンズ3および4を通過するビームを分散させる回折格子5(分散要素)と、回折格子5を通過するビームを合焦(focus)するレンズ6(スキャンレンズ)(集光レンズ)と、レンズ6を通過するビームの光路を変換する光路変換光学系7と、ビームの光路長を調整する光路長調整部分8と、を含む。
【0015】
図1および図2に示されるように、ビーム放出部分1は、外部デバイスに入力され、それから出力されるビームを伝搬させる複数の光ファイバ2と、幅方向に1列に配列されたファイバを保持する保持部分20と、を含む。ビーム放出部分1として、例えば、光ファイバアレイを有するビーム放出部分を使用することができる。
【0016】
図2に示されるように、光ファイバ2(2Aから2F)は複数の光ファイバグループ9(9Aおよび9B)を含むことができる。
【0017】
光ファイバグループ9は複数の光ファイバ2を含み、該複数の光ファイバ2は、互いに光学的に結合することができる。図面に示された例では、光ファイバ2Aから2Cは第1の光ファイバグループ9Aを構成し、光ファイバ2Dから2Fは第2の光ファイバグループ9Bを構成する。図面に示された例では、光ファイバグループ9の各々は3つの光ファイバ2を含むが、本発明はそれに限定されない。例えば、光ファイバグループは2つ以上の光ファイバ2を含むことができる。
【0018】
光ファイバグループ9Aにおいて、光ファイバ2Bから放出されたビームL1の光路(入力路)は光路変換光学系7で変換することができ、その結果、ビームは戻りビームL2として光ファイバ2Aおよび2C(出力路)に入射することができる。光ファイバグループ9Bにおいて、光ファイバ2Eから放出されたビームL1の光路(入力路)は光路変換光学系7によって変換することができ、その結果、ビームは戻りビームL2として光ファイバ2Dおよび2F(出力路)に入射することができる。
【0019】
入力路としての光ファイバ2の前端部表面2aと、出力路としての光ファイバ2の前端部表面2aとは、光路方向において同じ位置に配置されることが望ましい。図面に示された例において、すべての光ファイバ2(2Aから2F)の前端部表面2aは光路方向において同じ位置に配置されている。
【0020】
回折格子5は、光ファイバ2から放出されたビームL(ビームL1)を、異なる波長を有する多数のビームに分散させることができる。回折格子5のビーム放出方向に波長依存性があり、回折格子5は光路変換光学系7に対して波長ごとに異なるビーム入射位置を設定することが望ましい。
【0021】
レンズ6(スキャンレンズ)は、回折格子5を通過する放出ビームL1を合焦し、光路変換光学系7の内部に焦点を形成することができる。
【0022】
レンズ6(スキャンレンズ)は、異なる波長を有する多数のビームを平行にする。
【0023】
図2および図3に示されるように、光路変換光学系7は、複数の光ファイバ2のうちの1つの光ファイバ2から放出されたビームL1の光路を変換し、その結果、そのビームは戻りビームL2(ビームL)として他の光ファイバ2に入射する。
【0024】
光路変換光学系7は、本体部分11と中間反射部分12とを含み、該中間反射部分12は、本体部分11の戻り方向側(図2および3の左側)で、本体部分11に対して所定の間隙をもって設置される。
【0025】
本体部分11は、支持体部分13と、支持体部分13の戻り方向側の表面に設置される複数のミラー要素15(15a、15b、15c、…)と、を含む。ミラー要素15は支持体部分13の戻り方向側の表面に沿った区域に平行に配設することができ、それによって、ミラー要素アセンブリ15Aが形成される。
【0026】
ミラー要素15の各々の傾きは調整可能であり、傾きを調整することによってビームの反射方向が制御されるとき、反射ビームの光路が設定されることができる。
【0027】
本体部分11として、複数のマイクロミラー要素を有し、且つ複数のマイクロミラー要素のそれぞれが別々に作動可能であるDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)を使用することができる。
【0028】
中間反射部分12はフレーム18を含み、該フレーム18は、ビームが該窓部分を通過することを可能にする複数の窓部分17と、フレーム18に設置された複数の中間ミラー19(19aから19d)と、を有する。
【0029】
中間ミラー19は、ミラー要素15から反射されたビームが別のミラー要素15に向けて反射されるように、フレーム18の放出方向(図2および3の右側)の表面に設置される。中間ミラー19は、図2および図3の垂直方向に、ある間隔で設置される。図面に示された例では、各窓部分17は、垂直方向に互いに隣接する中間ミラー19の間に形成される。
【0030】
光路変換光学系7は、回折格子5によって分散されたビームの光路を、ミラー要素15に応じて異なる光路に変換し、その結果、戻りビームL2は光ファイバ2のいずれか1つに入射することができる。
【0031】
例えば、戻りビームL2は、各波長に応じて異なる光ファイバ2に入射することができる。このため、光路変換光学系7はスイッチ光学系として機能することができる。この場合、光処理デバイス10は波長選択スイッチとして機能する。
【0032】
光路変換光学系7は光ファイバ2に入射しないようにビームの方向を制御することができるので、光路変換光学系は、各波長のビームが他の光ファイバ2のうちの1つに別々に入射するか、または他の光ファイバ2のどれにも入射しないかを選択することができる。
【0033】
このため、光路変換光学系7は遮断光学系としても機能することができる。この場合、光処理デバイス10は波長ブロッカとして機能する。
【0034】
光路変換光学系7は、各波長のビームを所定の減衰率で減衰させることによってビームが光ファイバ2に入射するように、光路を変換することができる。例えば、所定の波長のビームは、ミラー要素15を使用して反射量を調整することによってビームを減衰させながら光ファイバ2に入射することができる。
【0035】
このため、光路変換光学系7はフィルタ光学系としても機能することができる。この場合、光処理デバイス10は波長フィルタとして機能する。
【0036】
図2および図4に示されるように、光路長調整部分8は、ビームを送出し、かつ空気よりも高い屈折率を有する材料から形成される。例えば、シリコン(Si)(3.5の屈折率)、SiO2(1.45の屈折率)、SiON(1.5の屈折率)などを使用することができる。特に、大きい屈折率を有するSiが使用される場合、光路方向における光路長調整部分8の寸法を減少させることができ、それは、別の光ファイバ2に入射するか、またはそれから放出されるビームを妨害しないようにすることができる点で望ましい。
【0037】
光路長調整部分8の形状は特に限定されず、例えば、光ファイバ2の光軸方向に円柱形状または直方体形状とされてもよい。
【0038】
光路長調整部分8は、戻りビームL2がそれに入射するように、出力路としての光ファイバ2の前端部表面2aと向き合う位置に設置することができる。光路長調整部分8は入力路としての光ファイバ2の前端部表面2aと向き合う表面に設置されないので、放出ビームL1は光路長調整部分8を通過することができない。
【0039】
図2に示された例では、光路長調整部分8は、光ファイバ2Aから2Fの中で出力路である光ファイバ2A、2C、2D、および2Fの前端部表面2aの各々と向き合う位置に設置され、入力路である光ファイバ2Bおよび2Eの前端部表面2aの各々に向き合う位置には設置されない。
【0040】
戻りビームL2の光路長は、放出ビームL1が光路長調整部分8を通過しないようにし、戻りビームL2が光路長調整部分8を通過するようにすることによって調整することができる。
【0041】
さらに、光路長調整部分8の設置位置は、戻りビームL2の光路長を調整することができさえすれば図面に示された例に限定されず、他の位置、例えば、光路変換光学系7の近傍に配置することができる。
【0042】
図1および図2に示されるように、光ファイバ2の内部を伝搬するビームおよび光ファイバ2から放出されたビームL1は、異なる波長を有する多数の信号ビームを含む波長多重光(wavelength multiplexed light)とすることができる。
【0043】
光ファイバ2の前端部表面2aから放出されたビームL1はレンズ3および4(コリメータレンズ)によって平行にされ、次に、回折格子5によって異なる波長を有する多数のビームに分散される。
【0044】
分散された放出ビームL1は、光路変換光学系7に向けて移動すると同時にレンズ6(スキャンレンズ)によって合焦される。
【0045】
図2および図3に示されるように、光路変換光学系7において、放出ビームL1は中間反射部分12の各窓部分17を通過し、各ミラー要素15に到達し、ミラー要素15から反射されたビームは中間ミラー19に向けて移動する。
【0046】
例えば、図3に示されるように、光ファイバ2Bから放出されたビームL1はミラー要素15bで反射され、次に、異なる波長を有する反射ビームL3およびL4はそれぞれ中間ミラー19aおよび19bに向けて移動することができる。放出ビームL1がミラー要素15によって最初は反射される点は、第1の反射点R1と呼ばれる(図3を参照)。この例では、第1の反射点R1はミラー要素15bである。
【0047】
反射ビームL3およびL4はそれぞれ中間ミラー19aおよび19bで反射され、反射ビームL5およびL6はそれぞれミラー要素15aおよび15cに向けて移動してミラー要素15aおよび15cで反射され、次に、反射ビーム(戻りビームL2)は中間反射部分12の窓部分17を通過して光ファイバ2Aおよび2C(出力路)に向けて移動する(図2を参照)。
【0048】
図3に示されるように、ビームL3およびL4が中間ミラー19(19aおよび19b)で反射される点は、中間反射点Riと呼ばれる。
【0049】
中間ミラー19から反射されたビームL5およびL6がミラー要素15で反射される点は、第2の反射点R2と呼ばれる。この例では、第2の反射点R2はミラー要素15aおよび15cである。
【0050】
図5は、光路変換光学系7を概略的に示す図であり、(a)はそれの側面から見たときのそれの図であり、(b)はそれの平面図である。図6は、光路変換光学系7の主要部分を示す図であり、(a)はそれの側面から見たときのそれの図であり、(b)はそれの平面図である。
【0051】
図5(a)に示されるように、レンズ6(スキャンレンズ)(図1を参照)を通過する放出ビームL1は、ミラー要素15(15b)(第1の反射点R1)で反射されて中間ミラー19に向けて移動し、中間ミラー19(19aおよび19b)(中間反射点Ri)で反射され、ミラー要素15(15aおよび15c)(第2の反射点R2)で再度反射されて戻りビームL2として形成される。
【0052】
光処理デバイス10において、放出ビームL1の焦点位置は、中間反射点Riではなく第1の反射点R1である。
【0053】
焦点位置はレンズ6の光学特性に依存するので、焦点位置は最適特性を有するレンズ6を選択することによって第1の反射点R1に位置合わせすることができる。さらに、焦点位置は、光路方向にレンズ6(スキャンレンズ)(図1を参照)の位置を調整することによって最適化することができる。
【0054】
放出ビームL1の焦点位置は第1の反射点R1に設定されるので、第1の反射点R1での放出ビームL1のビーム直径は減少し、それによって、波長分解能を改善することができる。
【0055】
焦点位置を第1の反射点R1に設定することによって波長分解能が改善される理由は、反射損を抑制して小さくし、その結果、放出ビームL1が最初にミラー要素15で反射されるときビーム直径が小さくなるようにすることができ、それによって、ビームを波長ごとに分割する精度が改善されるからである。
【0056】
したがって、焦点が光ファイバ2から光路変換光学系7を通って光ファイバ2に至る往復路の中間点としての中間反射点Riで形成される場合、ビームの焦点は第1の反射点R1で焦点がぼけ、そのため、十分な波長分解能を得ることが難しい。
【0057】
さらに、焦点位置は第1の反射点R1に正確には設定されないことがあるが、光路方向において第1の反射点R1からはずれた位置に配置することができる。すなわち、焦点位置は、第1の反射点R1またはその近傍に設定することができる。
【0058】
図5(b)は、ビームの方向と、光路変換光学系7のミラーの平面構成とを概略的に示す図である。図面において、矢印はミラー要素15の傾き方向を示す(図3を参照)。具体的には、上向きの矢印は、ミラー要素15が図3において斜め上向きに向くことを示し、下向きの矢印は、ミラー要素15が図3において斜め下向きに向くことを示す。
【0059】
例えば、第1の反射点R1を含むミラー要素アセンブリ15Aの領域A1と第2の反射点R2を含むミラー要素アセンブリ15Aの領域A2とのそれぞれにおいて、すべてのミラー要素15が矢印で示された方向(斜め上向きまたは斜め下向き)を向く。
【0060】
図5(b)に示されるように、放出ビームL1の焦点位置が第1の反射点R1に設定される(事例1)場合、第1の反射点R1のビーム直径は、焦点位置が中間反射点Riに設定される(事例2)場合よりも小さくなる。事例1では、中間反射点Riおよび第2の反射点R2でのビーム直径は事例2よりも大きくなる。
【0061】
図5(b)および図6(b)に示されるように、第2の反射点R2でのビーム直径は増加するので、第2の反射点R2としてのミラー要素15(15aおよび15c)を含む領域A2は事例2の領域A2よりも大きくなるように設定されることが望ましい。
【0062】
図面に示された例では、第2の反射点R2としてのミラー要素15(15aおよび15c)を含む領域A2の幅W2(図6(b)の横方向の寸法)は、第1の反射点R1としてのミラー要素15(15b)を含む領域A1の幅W1よりも大きくなるように設定される。このため、領域A2の面積は領域A1よりも広くなる。
【0063】
したがって、第2の反射点R2でのビームの損失は減少することができ、そのため、波長分解能の劣化を防止することができる。
【0064】
以下、領域A2の幅W2が領域A1の幅W1よりも大きくなるように設定することは、拡大と呼ばれる。
【0065】
図9は、拡大が行われる場合と行われない場合との出力特性を示す。例2では、図6(b)の事例2に示されるように、領域A2の幅は領域A1の幅と等しくなるように設定された。例1では、事例1に示されるように、領域A2の幅(W2)は領域A1の幅(W1)よりも大きくなるように設定された。
【0066】
図9から理解されるように、拡大が行われた例1では、優れた出力特性が得られた。
【0067】
図1および図2に示されるように、戻りビームL2はレンズ6によって平行にされ、レンズ3および4によって合焦され、光路長調整部分8を通過し、次に、光ファイバ2の前端部表面2aに入射する。図2および図4に示された例では、戻りビームL2は光路長調整部分8を通過し、光ファイバ2A、2C、2D、および2Fに入射する。
【0068】
上述のように、放出ビームL1の焦点位置は第1の反射点R1に設定されるので、第1の反射点R1の後のビーム(反射ビームL3からL6および戻りビームL2)の光路の長さ(実際の光路の長さ)は放出ビームL1の光路の長さよりも長い。
【0069】
光処理デバイス10において、戻りビームL2の光路長(光路の長さ)は光路長調整部分8を設けることによって調整される。このため、第1の反射点R1の後のビーム(反射ビームL3からL6および戻りビームL2)の光路長は放出ビームの光路長L1に応じて最適化することができる。
【0070】
したがって、焦点位置を第1の反射点R1に設定することに伴う光学特性の劣化(例えば、挿入損失の増加)を防止することが可能である。
【0071】
図10および図11は、光路長調整部分8が設置されている場合と、設置されていない場合との出力特性を示すグラフである。
【0072】
図10に示されるように、Siから形成された光路長調整部分8(光路方向に200mmの長さを有する)が設けられる場合、図11に示されるような光路長調整部分8が設けられない場合と比較して、優れた出力特性が得られている。
【0073】
さらに、入力路である光ファイバ2の前端部位置と出力路である光ファイバ2の前端部位置とが光路方向にシフトされている場合、第1の反射点R1の後のビーム(反射ビームL3からL6および戻りビームL2)の光路長は、放出ビームL1の光路長に応じて調整することができる。
【0074】
図7は、光路変換光学系7を使用する方法の一例を示す平面図である。
【0075】
この例では、互いに隣接する3つのチャネルCH1からCH3が設けられる。第1のチャネルCH1において、戻りビームL2は第1のチャネルの光ファイバ2(図示せず)に入射する。第3のチャネルCH3において、戻りビームL2は第3のチャネルの光ファイバ2(図示せず)に入射する。チャネルCH1とチャネルCH3との間に配置された第2のチャネルCH2において、ビームは光ファイバ2のいずれにも入射しない。
【0076】
第1のチャネルCH1において、ミラー要素15bは斜め上向きに向き、ミラー要素15aは斜め下向きに向き、それによって、反射ビームは中間ミラー19aとミラー要素15aとを通って第1のチャネルの光ファイバ2に向けて移動する。
【0077】
第3のチャネルCH3において、ミラー要素15bは斜め下向きに向き、ミラー要素15cは斜め上向きに向き、それによって、反射ビームは中間ミラー19bとミラー要素15cとを通って第3のチャネルの光ファイバ2に向けて移動する。
【0078】
第2のチャネルCH2において、第2の反射点R2としてのミラー要素15は外向きに向き、その結果、ビームは光ファイバ2のいずれにも入射しない。すなわち、ミラー要素15aが使用される場合、ミラー要素は斜め上向きに向く。ミラー要素15cが使用される場合、ミラー要素は斜め下向きに向く。したがって、反射ビームは光ファイバ2に向けて移動しない。
【0079】
しかし、上述のように、チャネルCH1およびチャネルCH3では、拡大が行われて、第2の反射点R2であるミラー要素15aおよび15cを含む領域A2の幅が増大される。したがって、第2の反射点R2を含む領域のミラー要素15が第2のチャネルCH2において単一の方向に向くように製作された場合、第2のチャネルCH2のビームの一部がチャネルCH1またはチャネルCH3の区域A2にどの方向にも誘導され、その結果、ビームは光ファイバ2への漏洩ビームとして入射する。
【0080】
これを避けるために、この例では、第2のチャネルCH2のミラー要素15(15b)を含む領域A1が、第1のチャネルCH1に隣接する第1のチャネル側領域A11と第3のチャネルCH3に隣接する第3のチャネル側領域A12とに分割される。
【0081】
第1のチャネル側領域A11では、ミラー要素15bは第1のチャネルCH1のミラー要素15bの方向と反対の方向(斜め下向き)に向き、それによって、反射ビームは中間ミラー19bとミラー要素15cとを通って光ファイバ2からはずれた方向に移動する。
【0082】
第3のチャネル側領域A12では、ミラー要素15bは第3のチャネルCH3のミラー要素15bの方向と反対の方向(斜め上向き)に向き、それによって、反射ビームは中間ミラー19aとミラー要素15aとを通って光ファイバ2からはずれた方向に移動する。
【0083】
したがって、漏洩ビームは、CH2のビームがチャネルCH1およびCH3の領域A2に誘導されないようにすることによって防止することができる。
【0084】
図12および図13は、光路変換光学系7が図7に示された構成を有する場合の出力特性を示すグラフである。
【0085】
これらの図面から、第1のチャネルCH1の出力特性(図12)および第3のチャネルCH1の出力特性(図13)は満足のいくようになることが見いだされる。
【0086】
図8は、光処理デバイス10の特定の構成の一例を示す。図面に示された光処理デバイス10は、ビーム放出部分1と、レンズ3および4(コリメートレンズ)と、レンズ3および4からのビームを分散させる回折格子5Aおよび5Bと、レンズ6(スキャンレンズ)と、光路変換光学系7と、光路長調整部分(図示せず)と、を備えるケース21を含む。参照符号22から24はミラーを示す。
【0087】
ビーム放出部分1の光ファイバの数は特に限定されず、任意とすることができ、例えば、3つ以上とすることができる。さらに、光路変換光学系のミラー要素の数は1つまたは複数に任意に設定することができる。さらにミラー要素および中間ミラーでビームを反射する回数は上述の例に限定されない。
【符号の説明】
【0088】
1 ビーム放出部分
2 光ファイバ
3、4 レンズ(コリメートレンズ)
5 回折格子(分散要素)
6 レンズ(集光レンズ)
7 光路変換光学系
8 光路長調整部分
15 ミラー要素
19 中間ミラー
L1 放出ビーム
L2 戻りビーム
R1 第1の反射点
R2 第2の反射点
Ri 中間反射点
A1 第1の反射点を含むミラー要素アセンブリの区域
A2 第2の反射点を含むミラー要素アセンブリの区域
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、波長選択型光処理デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的に、入力路からのビーム信号を分散させる分散要素(例えば、回折格子)と、分散ビームの各々が複数の出力路のいずれかに入射することができるようする光路変換光学系とを含む光処理デバイスが使用されている。
【0003】
そのような光路変換光学系として、複数のマイクロミラー要素を含んでおり、該複数のマイクロミラー要素のそれぞれが別々に作動し得るDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)が知られている(例えば、特許文献1を参照)。デジタルマイクロミラーデバイスは、ミラー要素の方向を調整してビームの反射方向を制御するような方法で、反射ビームの光路を多数の出力路のうちの任意の1つに選択的に切り替えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の光処理デバイスによって十分な波長分解能が得られていないので、波長分解能の改善への要求がある。
【0005】
本発明はそのような状況に鑑みて行われ、本発明の目的は優れた波長分解能を有する光処理デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による光処理デバイスは、複数の光ファイバを含むビーム放出部分と、複数の光ファイバのうちの1つの光ファイバから放出されたビームを分散させる分散要素と、分散要素を通過するビームを合焦する集光レンズと、ビームが複数の光ファイバのうちの他の光ファイバの1つに入射するように集光レンズを通過するビームの光路を変換する光路変換光学系と、光路変換光学系から他の光ファイバの前記1つに入射するビームの光路長を調整する光路長調整部分とを含み、光路変換光学系は、第1の反射点でビームを反射するミラー要素と、ミラー要素から反射されたビームを中間反射点で反射する中間ミラーと、を含み、ミラー要素は中間ミラーから反射されたビームを第2の反射点で反射し、集光レンズはビームの焦点を第1の反射点で形成し、光路長調整部分は空気よりも高い屈折率を有し、ビームは光路長調整部分を通って送出され得る。
【0007】
光路長調整部分は、シリコンから形成してもよい。
【0008】
第2の反射点としてミラー要素を含む領域の面積は、第1の反射点としてミラー要素を含む領域の面積よりも大きくしてもよい。
【0009】
光路変換光学系は、分散要素によって分散されたビームが、ビームの波長に応じて複数の異なる光ファイバに入射することを可能にしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ビームの焦点位置が第1の反射点であるので、波長分解能を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による光処理デバイスを示す概略図である。
【図2】図1の光処理デバイスの光路変換光学系と光ファイバの前端部部分とを示す概略図である。
【図3】図1の光処理デバイスの光路変換光学系を示す概略図である。
【図4】図1の光処理デバイスの光ファイバの前端部部分を示す概略図である。
【図5】図1の光処理デバイスの光路変換光学系を概略的に示す図であり、(a)はそれの側面から見たときのそれの図であり、(b)はそれの平面図である。
【図6】図1の光処理デバイスの光路変換光学系の主要部分を概略的に示す図であり、(a)はそれの側面から見たときのそれの図であり、図(b)はそれの平面図である。
【図7】図1の光処理デバイスの光路変換光学系を概略的に示す平面図である。
【図8】図1の光処理デバイスの特定の構成の一例を示す構成図である。
【図9】試験結果を示すグラフである。
【図10】試験結果を示すグラフである。
【図11】試験結果を示すグラフである。
【図12】試験結果を示すグラフである。
【図13】試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態による光処理デバイスが、図面を参照して説明されるであろう。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による光処理デバイス10を示す概略図である。図2は、光処理デバイス10の光路変換光学系7と光ファイバ2の前端部部分とを示す概略図である。図3は、光処理デバイス10の光路変換光学系7を示す概略図である。図4は、光処理デバイス10の光ファイバ2の前端部部分を示す概略図である。
【0014】
図1に示されるように、光処理デバイス10は、複数の光ファイバ2を含むビーム放出部分1と、レンズ3および4(コリメートレンズ)と、レンズ3および4を通過するビームを分散させる回折格子5(分散要素)と、回折格子5を通過するビームを合焦(focus)するレンズ6(スキャンレンズ)(集光レンズ)と、レンズ6を通過するビームの光路を変換する光路変換光学系7と、ビームの光路長を調整する光路長調整部分8と、を含む。
【0015】
図1および図2に示されるように、ビーム放出部分1は、外部デバイスに入力され、それから出力されるビームを伝搬させる複数の光ファイバ2と、幅方向に1列に配列されたファイバを保持する保持部分20と、を含む。ビーム放出部分1として、例えば、光ファイバアレイを有するビーム放出部分を使用することができる。
【0016】
図2に示されるように、光ファイバ2(2Aから2F)は複数の光ファイバグループ9(9Aおよび9B)を含むことができる。
【0017】
光ファイバグループ9は複数の光ファイバ2を含み、該複数の光ファイバ2は、互いに光学的に結合することができる。図面に示された例では、光ファイバ2Aから2Cは第1の光ファイバグループ9Aを構成し、光ファイバ2Dから2Fは第2の光ファイバグループ9Bを構成する。図面に示された例では、光ファイバグループ9の各々は3つの光ファイバ2を含むが、本発明はそれに限定されない。例えば、光ファイバグループは2つ以上の光ファイバ2を含むことができる。
【0018】
光ファイバグループ9Aにおいて、光ファイバ2Bから放出されたビームL1の光路(入力路)は光路変換光学系7で変換することができ、その結果、ビームは戻りビームL2として光ファイバ2Aおよび2C(出力路)に入射することができる。光ファイバグループ9Bにおいて、光ファイバ2Eから放出されたビームL1の光路(入力路)は光路変換光学系7によって変換することができ、その結果、ビームは戻りビームL2として光ファイバ2Dおよび2F(出力路)に入射することができる。
【0019】
入力路としての光ファイバ2の前端部表面2aと、出力路としての光ファイバ2の前端部表面2aとは、光路方向において同じ位置に配置されることが望ましい。図面に示された例において、すべての光ファイバ2(2Aから2F)の前端部表面2aは光路方向において同じ位置に配置されている。
【0020】
回折格子5は、光ファイバ2から放出されたビームL(ビームL1)を、異なる波長を有する多数のビームに分散させることができる。回折格子5のビーム放出方向に波長依存性があり、回折格子5は光路変換光学系7に対して波長ごとに異なるビーム入射位置を設定することが望ましい。
【0021】
レンズ6(スキャンレンズ)は、回折格子5を通過する放出ビームL1を合焦し、光路変換光学系7の内部に焦点を形成することができる。
【0022】
レンズ6(スキャンレンズ)は、異なる波長を有する多数のビームを平行にする。
【0023】
図2および図3に示されるように、光路変換光学系7は、複数の光ファイバ2のうちの1つの光ファイバ2から放出されたビームL1の光路を変換し、その結果、そのビームは戻りビームL2(ビームL)として他の光ファイバ2に入射する。
【0024】
光路変換光学系7は、本体部分11と中間反射部分12とを含み、該中間反射部分12は、本体部分11の戻り方向側(図2および3の左側)で、本体部分11に対して所定の間隙をもって設置される。
【0025】
本体部分11は、支持体部分13と、支持体部分13の戻り方向側の表面に設置される複数のミラー要素15(15a、15b、15c、…)と、を含む。ミラー要素15は支持体部分13の戻り方向側の表面に沿った区域に平行に配設することができ、それによって、ミラー要素アセンブリ15Aが形成される。
【0026】
ミラー要素15の各々の傾きは調整可能であり、傾きを調整することによってビームの反射方向が制御されるとき、反射ビームの光路が設定されることができる。
【0027】
本体部分11として、複数のマイクロミラー要素を有し、且つ複数のマイクロミラー要素のそれぞれが別々に作動可能であるDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)を使用することができる。
【0028】
中間反射部分12はフレーム18を含み、該フレーム18は、ビームが該窓部分を通過することを可能にする複数の窓部分17と、フレーム18に設置された複数の中間ミラー19(19aから19d)と、を有する。
【0029】
中間ミラー19は、ミラー要素15から反射されたビームが別のミラー要素15に向けて反射されるように、フレーム18の放出方向(図2および3の右側)の表面に設置される。中間ミラー19は、図2および図3の垂直方向に、ある間隔で設置される。図面に示された例では、各窓部分17は、垂直方向に互いに隣接する中間ミラー19の間に形成される。
【0030】
光路変換光学系7は、回折格子5によって分散されたビームの光路を、ミラー要素15に応じて異なる光路に変換し、その結果、戻りビームL2は光ファイバ2のいずれか1つに入射することができる。
【0031】
例えば、戻りビームL2は、各波長に応じて異なる光ファイバ2に入射することができる。このため、光路変換光学系7はスイッチ光学系として機能することができる。この場合、光処理デバイス10は波長選択スイッチとして機能する。
【0032】
光路変換光学系7は光ファイバ2に入射しないようにビームの方向を制御することができるので、光路変換光学系は、各波長のビームが他の光ファイバ2のうちの1つに別々に入射するか、または他の光ファイバ2のどれにも入射しないかを選択することができる。
【0033】
このため、光路変換光学系7は遮断光学系としても機能することができる。この場合、光処理デバイス10は波長ブロッカとして機能する。
【0034】
光路変換光学系7は、各波長のビームを所定の減衰率で減衰させることによってビームが光ファイバ2に入射するように、光路を変換することができる。例えば、所定の波長のビームは、ミラー要素15を使用して反射量を調整することによってビームを減衰させながら光ファイバ2に入射することができる。
【0035】
このため、光路変換光学系7はフィルタ光学系としても機能することができる。この場合、光処理デバイス10は波長フィルタとして機能する。
【0036】
図2および図4に示されるように、光路長調整部分8は、ビームを送出し、かつ空気よりも高い屈折率を有する材料から形成される。例えば、シリコン(Si)(3.5の屈折率)、SiO2(1.45の屈折率)、SiON(1.5の屈折率)などを使用することができる。特に、大きい屈折率を有するSiが使用される場合、光路方向における光路長調整部分8の寸法を減少させることができ、それは、別の光ファイバ2に入射するか、またはそれから放出されるビームを妨害しないようにすることができる点で望ましい。
【0037】
光路長調整部分8の形状は特に限定されず、例えば、光ファイバ2の光軸方向に円柱形状または直方体形状とされてもよい。
【0038】
光路長調整部分8は、戻りビームL2がそれに入射するように、出力路としての光ファイバ2の前端部表面2aと向き合う位置に設置することができる。光路長調整部分8は入力路としての光ファイバ2の前端部表面2aと向き合う表面に設置されないので、放出ビームL1は光路長調整部分8を通過することができない。
【0039】
図2に示された例では、光路長調整部分8は、光ファイバ2Aから2Fの中で出力路である光ファイバ2A、2C、2D、および2Fの前端部表面2aの各々と向き合う位置に設置され、入力路である光ファイバ2Bおよび2Eの前端部表面2aの各々に向き合う位置には設置されない。
【0040】
戻りビームL2の光路長は、放出ビームL1が光路長調整部分8を通過しないようにし、戻りビームL2が光路長調整部分8を通過するようにすることによって調整することができる。
【0041】
さらに、光路長調整部分8の設置位置は、戻りビームL2の光路長を調整することができさえすれば図面に示された例に限定されず、他の位置、例えば、光路変換光学系7の近傍に配置することができる。
【0042】
図1および図2に示されるように、光ファイバ2の内部を伝搬するビームおよび光ファイバ2から放出されたビームL1は、異なる波長を有する多数の信号ビームを含む波長多重光(wavelength multiplexed light)とすることができる。
【0043】
光ファイバ2の前端部表面2aから放出されたビームL1はレンズ3および4(コリメータレンズ)によって平行にされ、次に、回折格子5によって異なる波長を有する多数のビームに分散される。
【0044】
分散された放出ビームL1は、光路変換光学系7に向けて移動すると同時にレンズ6(スキャンレンズ)によって合焦される。
【0045】
図2および図3に示されるように、光路変換光学系7において、放出ビームL1は中間反射部分12の各窓部分17を通過し、各ミラー要素15に到達し、ミラー要素15から反射されたビームは中間ミラー19に向けて移動する。
【0046】
例えば、図3に示されるように、光ファイバ2Bから放出されたビームL1はミラー要素15bで反射され、次に、異なる波長を有する反射ビームL3およびL4はそれぞれ中間ミラー19aおよび19bに向けて移動することができる。放出ビームL1がミラー要素15によって最初は反射される点は、第1の反射点R1と呼ばれる(図3を参照)。この例では、第1の反射点R1はミラー要素15bである。
【0047】
反射ビームL3およびL4はそれぞれ中間ミラー19aおよび19bで反射され、反射ビームL5およびL6はそれぞれミラー要素15aおよび15cに向けて移動してミラー要素15aおよび15cで反射され、次に、反射ビーム(戻りビームL2)は中間反射部分12の窓部分17を通過して光ファイバ2Aおよび2C(出力路)に向けて移動する(図2を参照)。
【0048】
図3に示されるように、ビームL3およびL4が中間ミラー19(19aおよび19b)で反射される点は、中間反射点Riと呼ばれる。
【0049】
中間ミラー19から反射されたビームL5およびL6がミラー要素15で反射される点は、第2の反射点R2と呼ばれる。この例では、第2の反射点R2はミラー要素15aおよび15cである。
【0050】
図5は、光路変換光学系7を概略的に示す図であり、(a)はそれの側面から見たときのそれの図であり、(b)はそれの平面図である。図6は、光路変換光学系7の主要部分を示す図であり、(a)はそれの側面から見たときのそれの図であり、(b)はそれの平面図である。
【0051】
図5(a)に示されるように、レンズ6(スキャンレンズ)(図1を参照)を通過する放出ビームL1は、ミラー要素15(15b)(第1の反射点R1)で反射されて中間ミラー19に向けて移動し、中間ミラー19(19aおよび19b)(中間反射点Ri)で反射され、ミラー要素15(15aおよび15c)(第2の反射点R2)で再度反射されて戻りビームL2として形成される。
【0052】
光処理デバイス10において、放出ビームL1の焦点位置は、中間反射点Riではなく第1の反射点R1である。
【0053】
焦点位置はレンズ6の光学特性に依存するので、焦点位置は最適特性を有するレンズ6を選択することによって第1の反射点R1に位置合わせすることができる。さらに、焦点位置は、光路方向にレンズ6(スキャンレンズ)(図1を参照)の位置を調整することによって最適化することができる。
【0054】
放出ビームL1の焦点位置は第1の反射点R1に設定されるので、第1の反射点R1での放出ビームL1のビーム直径は減少し、それによって、波長分解能を改善することができる。
【0055】
焦点位置を第1の反射点R1に設定することによって波長分解能が改善される理由は、反射損を抑制して小さくし、その結果、放出ビームL1が最初にミラー要素15で反射されるときビーム直径が小さくなるようにすることができ、それによって、ビームを波長ごとに分割する精度が改善されるからである。
【0056】
したがって、焦点が光ファイバ2から光路変換光学系7を通って光ファイバ2に至る往復路の中間点としての中間反射点Riで形成される場合、ビームの焦点は第1の反射点R1で焦点がぼけ、そのため、十分な波長分解能を得ることが難しい。
【0057】
さらに、焦点位置は第1の反射点R1に正確には設定されないことがあるが、光路方向において第1の反射点R1からはずれた位置に配置することができる。すなわち、焦点位置は、第1の反射点R1またはその近傍に設定することができる。
【0058】
図5(b)は、ビームの方向と、光路変換光学系7のミラーの平面構成とを概略的に示す図である。図面において、矢印はミラー要素15の傾き方向を示す(図3を参照)。具体的には、上向きの矢印は、ミラー要素15が図3において斜め上向きに向くことを示し、下向きの矢印は、ミラー要素15が図3において斜め下向きに向くことを示す。
【0059】
例えば、第1の反射点R1を含むミラー要素アセンブリ15Aの領域A1と第2の反射点R2を含むミラー要素アセンブリ15Aの領域A2とのそれぞれにおいて、すべてのミラー要素15が矢印で示された方向(斜め上向きまたは斜め下向き)を向く。
【0060】
図5(b)に示されるように、放出ビームL1の焦点位置が第1の反射点R1に設定される(事例1)場合、第1の反射点R1のビーム直径は、焦点位置が中間反射点Riに設定される(事例2)場合よりも小さくなる。事例1では、中間反射点Riおよび第2の反射点R2でのビーム直径は事例2よりも大きくなる。
【0061】
図5(b)および図6(b)に示されるように、第2の反射点R2でのビーム直径は増加するので、第2の反射点R2としてのミラー要素15(15aおよび15c)を含む領域A2は事例2の領域A2よりも大きくなるように設定されることが望ましい。
【0062】
図面に示された例では、第2の反射点R2としてのミラー要素15(15aおよび15c)を含む領域A2の幅W2(図6(b)の横方向の寸法)は、第1の反射点R1としてのミラー要素15(15b)を含む領域A1の幅W1よりも大きくなるように設定される。このため、領域A2の面積は領域A1よりも広くなる。
【0063】
したがって、第2の反射点R2でのビームの損失は減少することができ、そのため、波長分解能の劣化を防止することができる。
【0064】
以下、領域A2の幅W2が領域A1の幅W1よりも大きくなるように設定することは、拡大と呼ばれる。
【0065】
図9は、拡大が行われる場合と行われない場合との出力特性を示す。例2では、図6(b)の事例2に示されるように、領域A2の幅は領域A1の幅と等しくなるように設定された。例1では、事例1に示されるように、領域A2の幅(W2)は領域A1の幅(W1)よりも大きくなるように設定された。
【0066】
図9から理解されるように、拡大が行われた例1では、優れた出力特性が得られた。
【0067】
図1および図2に示されるように、戻りビームL2はレンズ6によって平行にされ、レンズ3および4によって合焦され、光路長調整部分8を通過し、次に、光ファイバ2の前端部表面2aに入射する。図2および図4に示された例では、戻りビームL2は光路長調整部分8を通過し、光ファイバ2A、2C、2D、および2Fに入射する。
【0068】
上述のように、放出ビームL1の焦点位置は第1の反射点R1に設定されるので、第1の反射点R1の後のビーム(反射ビームL3からL6および戻りビームL2)の光路の長さ(実際の光路の長さ)は放出ビームL1の光路の長さよりも長い。
【0069】
光処理デバイス10において、戻りビームL2の光路長(光路の長さ)は光路長調整部分8を設けることによって調整される。このため、第1の反射点R1の後のビーム(反射ビームL3からL6および戻りビームL2)の光路長は放出ビームの光路長L1に応じて最適化することができる。
【0070】
したがって、焦点位置を第1の反射点R1に設定することに伴う光学特性の劣化(例えば、挿入損失の増加)を防止することが可能である。
【0071】
図10および図11は、光路長調整部分8が設置されている場合と、設置されていない場合との出力特性を示すグラフである。
【0072】
図10に示されるように、Siから形成された光路長調整部分8(光路方向に200mmの長さを有する)が設けられる場合、図11に示されるような光路長調整部分8が設けられない場合と比較して、優れた出力特性が得られている。
【0073】
さらに、入力路である光ファイバ2の前端部位置と出力路である光ファイバ2の前端部位置とが光路方向にシフトされている場合、第1の反射点R1の後のビーム(反射ビームL3からL6および戻りビームL2)の光路長は、放出ビームL1の光路長に応じて調整することができる。
【0074】
図7は、光路変換光学系7を使用する方法の一例を示す平面図である。
【0075】
この例では、互いに隣接する3つのチャネルCH1からCH3が設けられる。第1のチャネルCH1において、戻りビームL2は第1のチャネルの光ファイバ2(図示せず)に入射する。第3のチャネルCH3において、戻りビームL2は第3のチャネルの光ファイバ2(図示せず)に入射する。チャネルCH1とチャネルCH3との間に配置された第2のチャネルCH2において、ビームは光ファイバ2のいずれにも入射しない。
【0076】
第1のチャネルCH1において、ミラー要素15bは斜め上向きに向き、ミラー要素15aは斜め下向きに向き、それによって、反射ビームは中間ミラー19aとミラー要素15aとを通って第1のチャネルの光ファイバ2に向けて移動する。
【0077】
第3のチャネルCH3において、ミラー要素15bは斜め下向きに向き、ミラー要素15cは斜め上向きに向き、それによって、反射ビームは中間ミラー19bとミラー要素15cとを通って第3のチャネルの光ファイバ2に向けて移動する。
【0078】
第2のチャネルCH2において、第2の反射点R2としてのミラー要素15は外向きに向き、その結果、ビームは光ファイバ2のいずれにも入射しない。すなわち、ミラー要素15aが使用される場合、ミラー要素は斜め上向きに向く。ミラー要素15cが使用される場合、ミラー要素は斜め下向きに向く。したがって、反射ビームは光ファイバ2に向けて移動しない。
【0079】
しかし、上述のように、チャネルCH1およびチャネルCH3では、拡大が行われて、第2の反射点R2であるミラー要素15aおよび15cを含む領域A2の幅が増大される。したがって、第2の反射点R2を含む領域のミラー要素15が第2のチャネルCH2において単一の方向に向くように製作された場合、第2のチャネルCH2のビームの一部がチャネルCH1またはチャネルCH3の区域A2にどの方向にも誘導され、その結果、ビームは光ファイバ2への漏洩ビームとして入射する。
【0080】
これを避けるために、この例では、第2のチャネルCH2のミラー要素15(15b)を含む領域A1が、第1のチャネルCH1に隣接する第1のチャネル側領域A11と第3のチャネルCH3に隣接する第3のチャネル側領域A12とに分割される。
【0081】
第1のチャネル側領域A11では、ミラー要素15bは第1のチャネルCH1のミラー要素15bの方向と反対の方向(斜め下向き)に向き、それによって、反射ビームは中間ミラー19bとミラー要素15cとを通って光ファイバ2からはずれた方向に移動する。
【0082】
第3のチャネル側領域A12では、ミラー要素15bは第3のチャネルCH3のミラー要素15bの方向と反対の方向(斜め上向き)に向き、それによって、反射ビームは中間ミラー19aとミラー要素15aとを通って光ファイバ2からはずれた方向に移動する。
【0083】
したがって、漏洩ビームは、CH2のビームがチャネルCH1およびCH3の領域A2に誘導されないようにすることによって防止することができる。
【0084】
図12および図13は、光路変換光学系7が図7に示された構成を有する場合の出力特性を示すグラフである。
【0085】
これらの図面から、第1のチャネルCH1の出力特性(図12)および第3のチャネルCH1の出力特性(図13)は満足のいくようになることが見いだされる。
【0086】
図8は、光処理デバイス10の特定の構成の一例を示す。図面に示された光処理デバイス10は、ビーム放出部分1と、レンズ3および4(コリメートレンズ)と、レンズ3および4からのビームを分散させる回折格子5Aおよび5Bと、レンズ6(スキャンレンズ)と、光路変換光学系7と、光路長調整部分(図示せず)と、を備えるケース21を含む。参照符号22から24はミラーを示す。
【0087】
ビーム放出部分1の光ファイバの数は特に限定されず、任意とすることができ、例えば、3つ以上とすることができる。さらに、光路変換光学系のミラー要素の数は1つまたは複数に任意に設定することができる。さらにミラー要素および中間ミラーでビームを反射する回数は上述の例に限定されない。
【符号の説明】
【0088】
1 ビーム放出部分
2 光ファイバ
3、4 レンズ(コリメートレンズ)
5 回折格子(分散要素)
6 レンズ(集光レンズ)
7 光路変換光学系
8 光路長調整部分
15 ミラー要素
19 中間ミラー
L1 放出ビーム
L2 戻りビーム
R1 第1の反射点
R2 第2の反射点
Ri 中間反射点
A1 第1の反射点を含むミラー要素アセンブリの区域
A2 第2の反射点を含むミラー要素アセンブリの区域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ポートと、
前記光ポートから受け取った光ビームを、複数の波長成分に空間的に分散させるための分散要素と、
前記分散要素から受け取った前記波長成分を合焦するためのレンズ構成体と、
前記合焦された複数の波長成分を前記レンズ構成体から受け取り、前記波長成分のうちの少なくとも1つを前記光ポートのうちの1つに選択的に誘導するための光路変換系であって、前記光路変換系がデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を含み、少なくとも1つの波長成分が前記光ポートのうちの選択された1つに誘導される前に前記デジタルマイクロミラーデバイスから少なくとも2回反射され、前記デジタルマイクロミラーデバイスは、前記波長成分が前記デジタルマイクロミラーデバイスから1回目または2回目に反射されるとき前記波長成分に光処理を実行する、光路変換系と、
前記光ポートのうちの1つに選択的に誘導される前記波長成分が横切る光路長を調整して、前記波長成分に実行される前記光処理を改善するための光路長補償器と、
を備えることを特徴とする、光処理デバイス。
【請求項2】
実行される前記光処理が振幅フィルタ処理を含むことを特徴とする、請求項1に記載の光処理デバイス。
【請求項3】
前記振幅フィルタ処理の分解能が、前記光路長を調整することによって改善されることを特徴とする、請求項2に記載の光処理デバイス。
【請求項4】
前記複数の波長成分が前記デジタルマイクロミラーデバイスから前記1回目または前記2回目に反射されるとき、前記レンズ構成体は、前記デジタルマイクロミラーデバイス上に前記複数の波長成分を合焦することを特徴とする、請求項1に記載の光処理デバイス。
【請求項5】
前記光路長補償器は、前記光ポートのうちの1つによって受け取られ、且つ前記光路変換系に誘導される波長成分と、選択された出力部に前記光路変換系から選択的に誘導される波長成分との間の異なる光路長を生成することを特徴とする、請求項1に記載の光処理デバイス。
【請求項6】
前記デジタルマイクロミラーデバイスが前記波長成分を選択的に反射するための別々に作動可能なミラー要素のアレイを含み、前記光路変換系は、前記デジタルマイクロミラーデバイスからの前記反射波長成分を受け取り、且つそれらを前記デジタルマイクロミラーデバイスの前記ミラー要素のうちの選択されたものに誘導して戻すための光学要素をさらに含み、前記レンズ構成体は、前記複数の波長成分が前記光学要素によって受け取られる前または後に前記複数の波長成分を前記ミラー要素上に合焦することを特徴とする、請求項3に記載の光処理デバイス。
【請求項7】
前記レンズ構成体が集光レンズを含むことを特徴とする、請求項1に記載の光処理デバイス。
【請求項8】
前記光学要素が、反射表面を有する複数の平面ミラーを含み、該反射表面は、前記デジタルマイクロミラーデバイスの前記ミラー要素の反射表面と向き合っていることを特徴とする、請求項7に記載の光処理デバイス。
【請求項9】
前記光路変換系が、前記波長成分の各々を、前記光ポートのうちの異なるものに選択的に誘導するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の光処理デバイス。
【請求項10】
前記光路長補償器がシリコンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の光処理デバイス。
【請求項11】
前記光路長補償器は複数の光学要素を含み、該複数の光学要素のそれぞれが前記光ポートのうちの1つに選択的に誘導される波長成分によって横切られる前記光路に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の光処理デバイス。
【請求項12】
前記波長成分が前記光学要素で受け取られる前または後に前記ミラー要素上に誘導された前記波長成分の各々のビーム直径が、前記光学要素上に誘導された前記波長成分の各々のビーム直径よりも小さいことを特徴とする、請求項6に記載の光処理デバイス。
【請求項13】
前記光学要素が、選択された光ポートに隣接して配置されることを特徴とする、請求項11に記載の光処理デバイス。
【請求項14】
前記光路長補償器が、前記光処理デバイス内の反射を最小にするように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の光処理デバイス。
【請求項15】
前記光路長補償器が、前記波長成分によって横切られる光路に対して前記光路長補償器の光軸を傾けることによって反射を最小にするように構成されることを特徴とする、請求項14に記載の光処理デバイス。
【請求項16】
前記光路長補償器が反射防止膜を含むことを特徴とする、請求項13に記載の光処理デバイス。
【請求項17】
光ビームを処理する方法であって、
光ポートから受け取った光ビームを、複数の波長成分に空間的に分散させる段階と、
前記波長成分を合焦する段階と、
前記光ポートのうちの選択された1つに誘導される前に前記合焦された波長成分をデジタルマイクロミラーデバイスから少なくとも2回反射することによって、前記光ポートのうちの1つに前記合焦された波長成分のうちの少なくとも1つを選択的に誘導する段階と、
前記合焦された波長成分が反射される他の場合を犠牲にして、前記合焦された波長成分が前記デジタルマイクロミラーデバイスから1回目または2回目に反射されるときに前記合焦された波長成分の分解能を最適化する段階と、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項1】
複数の光ポートと、
前記光ポートから受け取った光ビームを、複数の波長成分に空間的に分散させるための分散要素と、
前記分散要素から受け取った前記波長成分を合焦するためのレンズ構成体と、
前記合焦された複数の波長成分を前記レンズ構成体から受け取り、前記波長成分のうちの少なくとも1つを前記光ポートのうちの1つに選択的に誘導するための光路変換系であって、前記光路変換系がデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を含み、少なくとも1つの波長成分が前記光ポートのうちの選択された1つに誘導される前に前記デジタルマイクロミラーデバイスから少なくとも2回反射され、前記デジタルマイクロミラーデバイスは、前記波長成分が前記デジタルマイクロミラーデバイスから1回目または2回目に反射されるとき前記波長成分に光処理を実行する、光路変換系と、
前記光ポートのうちの1つに選択的に誘導される前記波長成分が横切る光路長を調整して、前記波長成分に実行される前記光処理を改善するための光路長補償器と、
を備えることを特徴とする、光処理デバイス。
【請求項2】
実行される前記光処理が振幅フィルタ処理を含むことを特徴とする、請求項1に記載の光処理デバイス。
【請求項3】
前記振幅フィルタ処理の分解能が、前記光路長を調整することによって改善されることを特徴とする、請求項2に記載の光処理デバイス。
【請求項4】
前記複数の波長成分が前記デジタルマイクロミラーデバイスから前記1回目または前記2回目に反射されるとき、前記レンズ構成体は、前記デジタルマイクロミラーデバイス上に前記複数の波長成分を合焦することを特徴とする、請求項1に記載の光処理デバイス。
【請求項5】
前記光路長補償器は、前記光ポートのうちの1つによって受け取られ、且つ前記光路変換系に誘導される波長成分と、選択された出力部に前記光路変換系から選択的に誘導される波長成分との間の異なる光路長を生成することを特徴とする、請求項1に記載の光処理デバイス。
【請求項6】
前記デジタルマイクロミラーデバイスが前記波長成分を選択的に反射するための別々に作動可能なミラー要素のアレイを含み、前記光路変換系は、前記デジタルマイクロミラーデバイスからの前記反射波長成分を受け取り、且つそれらを前記デジタルマイクロミラーデバイスの前記ミラー要素のうちの選択されたものに誘導して戻すための光学要素をさらに含み、前記レンズ構成体は、前記複数の波長成分が前記光学要素によって受け取られる前または後に前記複数の波長成分を前記ミラー要素上に合焦することを特徴とする、請求項3に記載の光処理デバイス。
【請求項7】
前記レンズ構成体が集光レンズを含むことを特徴とする、請求項1に記載の光処理デバイス。
【請求項8】
前記光学要素が、反射表面を有する複数の平面ミラーを含み、該反射表面は、前記デジタルマイクロミラーデバイスの前記ミラー要素の反射表面と向き合っていることを特徴とする、請求項7に記載の光処理デバイス。
【請求項9】
前記光路変換系が、前記波長成分の各々を、前記光ポートのうちの異なるものに選択的に誘導するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の光処理デバイス。
【請求項10】
前記光路長補償器がシリコンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の光処理デバイス。
【請求項11】
前記光路長補償器は複数の光学要素を含み、該複数の光学要素のそれぞれが前記光ポートのうちの1つに選択的に誘導される波長成分によって横切られる前記光路に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の光処理デバイス。
【請求項12】
前記波長成分が前記光学要素で受け取られる前または後に前記ミラー要素上に誘導された前記波長成分の各々のビーム直径が、前記光学要素上に誘導された前記波長成分の各々のビーム直径よりも小さいことを特徴とする、請求項6に記載の光処理デバイス。
【請求項13】
前記光学要素が、選択された光ポートに隣接して配置されることを特徴とする、請求項11に記載の光処理デバイス。
【請求項14】
前記光路長補償器が、前記光処理デバイス内の反射を最小にするように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の光処理デバイス。
【請求項15】
前記光路長補償器が、前記波長成分によって横切られる光路に対して前記光路長補償器の光軸を傾けることによって反射を最小にするように構成されることを特徴とする、請求項14に記載の光処理デバイス。
【請求項16】
前記光路長補償器が反射防止膜を含むことを特徴とする、請求項13に記載の光処理デバイス。
【請求項17】
光ビームを処理する方法であって、
光ポートから受け取った光ビームを、複数の波長成分に空間的に分散させる段階と、
前記波長成分を合焦する段階と、
前記光ポートのうちの選択された1つに誘導される前に前記合焦された波長成分をデジタルマイクロミラーデバイスから少なくとも2回反射することによって、前記光ポートのうちの1つに前記合焦された波長成分のうちの少なくとも1つを選択的に誘導する段階と、
前記合焦された波長成分が反射される他の場合を犠牲にして、前記合焦された波長成分が前記デジタルマイクロミラーデバイスから1回目または2回目に反射されるときに前記合焦された波長成分の分解能を最適化する段階と、
を含むことを特徴とする、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−65017(P2013−65017A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−204287(P2012−204287)
【出願日】平成24年9月18日(2012.9.18)
【出願人】(510021199)ニスティカ,インコーポレーテッド (5)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−204287(P2012−204287)
【出願日】平成24年9月18日(2012.9.18)
【出願人】(510021199)ニスティカ,インコーポレーテッド (5)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]