説明

光出射装置及び光出射方法

【課題】 EL光乃至EL光由来の光を線状光乃至レーザー光として出射可能であり高性能な光出射装置等の提供。
【解決手段】 本発明の光出射装置は、EL光を生ずる発光層、及び該発光層に生ずるEL光を透過させることなく遮光しかつ該EL光を前記発光層の端部のみから放射させ、前記発光層を挟むようにして配置された一対の遮光層とを少なくとも有してなるEL発光手段と、前記発光層の端部から放射される前記EL光を導光し、該EL光と同波長乃至異波長の光を出射する光出射手段とを有する。該光出射装置では、前記EL発光手段が、発光層においてEL光を生じさせる。発光層に生じたEL光は、一対の遮光層により遮光されるため、発光層の端面からのみ放出される。この放出されたEL光は、光出射手段により導光され、EL光のまま、あるいはEL光とは異なる波長の光に変調されて出射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネッセンス(EL)発光を光源とし、該EL光乃至EL光由来光を線状光乃至レーザー光として出射させることができる光導波路型の光出射装置及び光出射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、線状光は多用されているが、前記線状光の中でも、特にレーザー光は、コヒーレントな光であり、高い指向性を示し、スペクトル幅がシャープであることから、各種分野において好適に使用されている。前記レーザー光の照射装置としては、例えば、GaAs等の無機半導体の固体レーザー(半導体レーザー)を用いたダイオードレーザー装置が広く知られている。一般に、前記ダイオードレーザー装置は、注入された電子と正孔とのレーザーキャビティでの再結合に起因する発光を利用するものであるが、かかる利用には電気的条件(電位降下、オーミック損失など)及び光学的条件(屈折率差など)の両条件を充たすことが必要になる。ところが、前記無機半導体の場合、高いキャリア移動度を示すため、電位降下やオーミック損失に関してあまり大きな犠牲を払わずに比較的厚い層を用いることができ、また、屈折率差の大きな半導体材料を利用可能であるため、プレーナ導波路レーザや分布ブラッグ反射器型垂直キャビティレーザを容易に製造することができ、前記両条件を比較的容易に充たすため、該無機半導体を用いた無機半導体レーザーの開発が盛んに行われてきている。
しかしながら、該無機半導体レーザーの場合、高価であり、装置が大型化し、変調が容易ではなく、レーザー光の波長が半導体材料の種類によって特定されてしまい、任意の波長のレーザー光が得られず、用途等が限定されてしまう等の問題がある。前記半導体レーザーよりも安価であり、小型で変調が容易で、既存のレーザー光の波長とは異なる波長の線状光を出射可能な光出射装置の提供が望まれている。
【0003】
このような状況の下、有機EL素子を用いて線状光を出射することができる装置乃至方法が提案されてきている(特許文献1参照)。ここで提案されている装置は、図4に示すように、導体層(正極)26と、有機発光層(EL発光層)27と、導体(負極)28とをこの順に積層してなる平面型発光素子(有機EL素子)で構成された第一領域における有機発光層(EL発光層)27に生じたインコヒーレントなEL光を導体(負極)28側から取り出し、このインコヒーレントなEL光29を、クラッド層31と、コア層32と、クラッド層33とをこの順に積層してなる平面型光導波路で構成された第二領域におけるコア層31内に取り込み、コア層31内に存在する発光材料が前記EL光により励起されてコヒーレントな発光を生じ、該発光材料によるコヒーレントな光を導波させ、コア層31の端部から出力光33を出射させる装置が記載されている。
しかし、この装置の場合、前記有機EL素子における有機発光層27に生じたインコヒーレントなEL光の約80%は有機発光層27の端部から漏出してしまい、有機発光層27における層面から前記平面型光導波路に向けて放射されるインコヒーレントなEL光29は全EL光の約20%に過ぎないため(非特許文献1参照)、EL光29の利用効率が低く、光の強度等が十分でない。また、光励起により、ある平面状媒質中でレーザー発振が生ずるためには、媒質全体の励起分子の量ではなく、該媒質の単位面積当たりの励起分子の密度が重要になる。ところが、この装置の場合、前記平面型光導波路は、前記有機EL発光層における層面の面積と同程度の大きさの面積を有することが必要で、必然的にその励起密度は前記有機EL発光層における励起密度と同程度であることが必要になるが、一般に、有機EL素子中の発光層の励起密度はレーザー発振に必要な励起密度よりも低いため、レーザー発振を行うことができないという問題がある。
【0004】
また、陽電極層、正孔輸送層、有機色素材料を含む発光層、電子輸送層、陰電極層がこの順で積層されてなる有機半導体レーザーが提案されている(特許文献2参照)。この有機半導体レーザーの場合、前記陽電極層がガラス基板上に設けたITO層などであるため、前記発光層に生じたEL光に吸収損失が生じてしまうため、この吸収損失を防ぎつつ前記発光層からEL光を効率よく取り出すには、前記発光層の両表面上に設けられた前記電子輸送層及び前記電子輸送層の厚みを大幅に厚くしなければならず(現状の0.1μmから数μm以上に厚くする必要があり)、また、素子に注入する電流密度を大幅に上げなければならない(現状の最大10A/cmから1000A/cmに上げる必要がある)という問題がある。そのためには、正孔輸送層や電子輸送層の電荷輸送性を現状よりも大幅に向上させる必要があるが、このような正孔輸送層材料、電子輸送層材料を見出すことは困難である。また、この有機半導体レーザーの提案においては、前記発光層から取り出したEL光の導光方法については全く開示されていないため、該有機半導体レーザーは、実用性能を担保することができず、既存のレーザー装置と同等乃至それ以上の性能を有する装置として使用することができない。
【0005】
一方、光導波路コアと光導波路クラッドとを備えた光導波路型のレーザー光源装置も提案されているが(特許文献3及び特許文献4参照)、この場合、光源としては半導体レーザーを用いるため、上述したように、装置が高価で大型化し、レーザー光の波長が半導体材料の種類によって特定されてしまい、任意の波長のレーザー光が得られず、用途等が限定されてしまう等の問題がある。
【0006】
このため、EL素子を光源に用いたレーザー装置は、未だ実用化に至っていないのが現状であり、EL素子を光源に用い、該有機EL素子において生じたEL光をそのまま、あるいは該EL光に由来する光を線状光乃至レーザー光として出射可能であり、各種分野において好適に使用することができる光導波路型の光出射装置及び光出射方法の提供が望まれている。
【0007】
【特許文献1】特許第3675665号
【特許文献2】特開2002−156536
【特許文献3】特開2002−111101
【特許文献4】特開平4−242982号公報
【非特許文献1】N.C.Greenham,et.al.Advanced Materials,Vol.6,p491(1994)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来における問題を解決し、エレクトロルミネッセンス(EL)光乃至EL光由来の光を線状光乃至レーザー光として出射することができ、前記半導体レーザーよりも安価で小型であり、既存のレーザー光の波長とは異なる波長の線状光を出射可能であり、変調も容易であり、各種分野において好適であり高性能な光出射装置及び光出射方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光出射装置は、EL光を生ずる発光層、及び該発光層に生ずるEL光を透過させることなく遮光しかつ該EL光を前記発光層の端部のみから放射させ、前記発光層を挟むようにして配置された一対の遮光層とを少なくとも有してなるEL発光手段と、前記発光層の端部から放射される前記EL光を導光し、該EL光と同波長乃至異波長の光を出射する光出射手段と、を有することを特徴とする。
本発明の光出射装置においては、前記EL発光手段が、前記発光層においてエレクトロルミネッセンス(EL)光を生じさせる。即ち、該EL発光手段は、EL素子として機能する。該発光層において生じたEL光は、該発光層を挟むようにして配置された前記一対の遮光層により遮光されるため、前記発光層の厚みを厚くする必要がなく、該発光層の厚みに関係なく前記発光層の端部(外周)からのみ効率よく放出される。前記EL発光手段(EL素子)における前記発光層に生じたEL光が該発光層の層面から放射される場合には約20%のEL光しか該層面からは放射されないのに対し、前記発光層の端部(外周)から前記EL光が放射される場合には約80%のEL光が該端部(外周)から放射される上、更に前記発光層が一対の遮光層で挟まれていることから、本来は前記発光層の層面から放射される約20%のEL光までも前記発光層の端部(外周)から放射され、結果として、約100%のEL光が前記発光層の端部(外周)から放射される。該光出射装置においては、約100%のEL光を利用可能であることから、光の利用効率に優れる。そして、前記発光層の端部(外周)から放射された前記EL光は、前記光出射手段によって導光され、該EL光のまま、あるいは該EL光とは異なる波長の光に変調されて出射される。その結果、該光出射装置によれば、前記EL光と同波長乃至異波長の光を線状光乃至レーザー光として出射することができる。
【0010】
本発明の光出射装置においては、光出射手段が、前記発光層の端部から放射される前記EL光を導光する導光部材を備えた態様が好ましい。該光出射装置においては、前記導光部材が備えられているため、前記EL光が外部に出射されるまでの各種損失(接続損失、伝送損失など)乃至減衰が抑制乃至低減される。なお、前記導光部が線状導波路の形態に設計された場合、前記EL発光手段(EL素子)の発光層サイズ(面積)を調節することにより、前記光出射手段から出射される光るの励起密度を所望の程度に調節することができ、該励起密度を十分に大きくすることも可能である。即ち、前記EL発光手段における前記発光層に生ずるEL光の発光量は、該EL発光手段における駆動電流密度を一定とすれば、前記EL発光手段の半径の2乗に比例する、該EL発光手段の発光層サイズ(面積)に比例するのに対し、該EL発光手段に対向して位置する(該EL発光手段を取り囲むようにして位置する)前記線状導波路の長さは、前記EL発光手段の半径の1乗に比例するため、該EL発光手段における発光層サイズ(面積)が大きくなる程、前記線状導波路における励起密度は単調に増加する。その結果、該光出射装置においては、前記EL発光手段における発光層サイズ(面積)を適宜調節することにより、該光出射装置から出射される光をレーザー光とする(レーザー発振させる)ことができる。
【0011】
また、本発明の光出射装置においては、前記導光部材が、前記EL光を導光する導光部と、前記EL光を導光しない非導光部とを有し、前記導光部が、前記発光層から放射される前記EL光を吸収し発光を生ずる発光材料を含む態様が好ましい。該光出射装置においては、前記導光部において、前記発光材料が前記EL光を吸収して励起状態となり、基底状態に戻るときに発光を生ずる(前記EL光が該EL光とは異波長の光に変調乃至増幅される)。このため、外部に前記EL光とは異波長の光が誘導放出(出射)される結果、出射光の強度、明るさ等に優れる。なお、このとき、前記EL発光手段(EL素子)における前記発光層に注入する電流注入量を増加していくと、該発光層において生ずるEL光の強度乃至光量が増大するが、このEL光の強度乃至光量の増大に伴って前記発光材料の励起密度も増大する。そして、前記発光材料の励起密度が閾値を超えると、レーザー発振が生ずる。このとき、該光出射装置からはレーザー光が出射される。
【0012】
また、本発明の光出射装置においては、前記導光部がループ状構造を有し、前記導光部材が光共振器として機能する態様が好ましい。該光出射装置においては、前記導光部がループ状構造を有するため、前記EL光が該導光部内に導光された際、該EL光が該導光部内を周回する。そして、周回する光が、その位相と元の位相と一致する条件において共振が起こり、その共振条件の波長のレーザー光となり、該光出射装置からレーザー光が出射可能となる。
【0013】
また、本発明の光出射装置においては、前記非導光部の屈折率が、前記導光部の屈折率よりも低い態様が好ましい。該光出射装置においては、前記EL光が、前記導光部の周囲から外部に漏出しようとしても、前記導光部と前記非導光部との屈折率差により、前記非導光部に進入することなく、該導光部と該非導光部との界面で反射されて該導光部内を進行する。このため、前記導光部は光導波路として機能し、該導光部内を進行する光の外部への漏出が効果的に抑制され、前記導光部内に導光する光の損失(例えば、伝送損失)乃至減衰が低減乃至抑制され、光強度の大きな光が出射可能である。
【0014】
また、本発明の光出射装置においては、前記導光部が、前記発光層の外周近傍に配された態様が好ましい。該光出射装置においては、前記発光層の端部(外周)から放射される前記EL光が、効率的に損失(例えば、接続損失)乃至減衰を生ずることなく前記導光部内に導光される。
【0015】
また、本発明の光出射装置においては、前記導光部材が、前記導光部の外周近傍に、前記発光層から放射される前記EL光であって前記導光部を透過したものを前記導光部に向けて反射する光反射部材を有してなる態様が好ましい。該光出射装置においては、前記発光層の端部(外周)から放射される前記EL光のうち、前記導光部に取り込まれず該導光部を透過したものが、前記導光部に向けて反射される。このため、前記発光層の端部から放射される前記EL光の損失(例えば、接続損失)乃至減衰を生ずることなく効率的に前記導光部によって導光される。
【0016】
また、本発明の光出射装置においては、光出射手段が、前記導光部から光を取り出す光取出部を有する態様が好ましい。該光出射装置においては、前記光取出部が前記導光部から光を取り出し、前記光出射手段により外部に光が線状光乃至レーザー光として出射される。
【0017】
また、本発明の光出射装置においては、EL発光手段がEL素子である態様が好ましい。該光出射装置においては、前記EL発光手段が前記EL素子であるので、前記EL発光の波長等が任意に選択可能である。
【0018】
本発明の光出射方法は、EL発光を生ずる発光層の端部からEL光を放射させるEL光放射工程と、前記発光層から放射された前記EL光を導光し、該EL光と同波長乃至異波長の光を出射させる光出射工程とを含むことを特徴とする。
本発明の光出射方法では、前記EL光放射工程において、前記発光層の端部(外周)からエレクトロルミネッセンス(EL)光を放射させる。そして、前記光出射工程において、前記発光層から放射された前記EL光を導光し、この導光したEL光をそのまま、あるいは異波長の光に変調してから外部に出射させる。以上により、前記EL光と同波長乃至異波長の光を外部に線状光乃至レーザー光として出射させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、エレクトロルミネッセンス(EL)光乃至EL光由来の光を線状光乃至レーザー光として出射することができ、前記半導体レーザーよりも安価で小型であり、既存のレーザー光の波長とは異なる波長の線状光を出射可能であり、変調も容易であり、各種分野において好適であり高性能な光出射装置及び光出射方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(光出射装置及び光出射方法)
本発明の光出射装置は、EL発光手段と、光出射手段と、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有してなる。
本発明の光出射方法は、EL光放射工程と、光出射工程と、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程とを含む。前記EL光放射工程は、前記EL発光手段により好適に行うことができ、前記光出射工程は、前記光出射手段により好適に行うことができ、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。このため、本発明の光出射方法は、本発明の前記光出射装置により好適に実施することができ、本発明の前記光出射装置を実施すると本発明の光出射方法を実施することになる。
以下、本発明の光出射装置について詳細に説明すると共に、その説明を通じて本発明の前記光出射方法の内容をも明らかにする。
【0021】
−EL光放射手段及びEL光放射工程−
前記EL光放射手段としては、少なくとも発光層を有し、該発光層の端部(外周)からEL光を放射させることができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、EL素子などが好適に挙げられる。
前記EL素子としては、例えば、無機EL素子、有機EL素子、などが挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、併用してもよく、これらの中でも、発光効率に優れる点で、有機EL素子が好ましい。
前記EL素子の形状乃至構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、平面型(発光素子)であるのが好ましい。
前記EL素子の層構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、発光層、一対の遮光層、電極層などを有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の層を有してなる。
前記EL光放射工程は、EL発光を生ずる発光層の端部からEL光を放射させる工程である。該EL光放射工程は、前記EL光放射手段により好適に行うことができる。
【0022】
−−発光層−−
前記発光層としては、前記エレクトロルミネッセンス(EL)光を生ずることができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機材料で形成されていてもよいし、有機材料で形成されていてもよい。なお、前記EL素子が前記有機EL素子である場合には、該発光層は前記有機材料で形成される。また、前記発光層は、発光層として単機能に形成されているものであってもよいし、発光層兼電子輸送層、発光層兼正孔輸送層、などのように多機能に形成されているものであってもよい。
【0023】
前記発光層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、発光材料(発光物質乃至発光分子)を含有するのが好ましい。この場合、前記発光層は、前記発光材料を単独で形成されていてもよいし、該発光材料以外に他の材料、例えば、前記発光材料をゲスト材料としたとき、発光波長が該ゲスト材料の光吸収波長付近にあるホスト材料を含んで形成されていてもよい。なお、該ホスト材料は、前記発光層に含有されているのが好ましいが、後述する正孔輸送層、後述する電子輸送層、などに含有されていてもよい。
【0024】
前記ゲスト材料と前記ホスト材料とを併用する場合、前記EL光が生ずる際、まず、前記ホスト材料が励起される。そして、該ホスト材料の発光波長と、前記ゲスト材料(前記発光材料)の吸収波長とが重なり合うので、該ホスト材料から該ゲスト材料へと励起エネルギーが効率的に移動し、該ホスト材料は発光することなく基底状態に戻り、励起状態となった該ゲスト材料(前記発光材料)のみが励起エネルギーを光として放出するため、発光効率・色純度等に優れる。
また、一般に薄膜中に発光分子が単独又は高濃度で存在する場合には、発光分子どうしが接近することにより発光分子間で相互作用が生じ、「濃度消光」と呼ばれる発光効率が低下する現象が起こるが、前記ゲスト材料と前記ホスト材料とを併用する場合、前記ゲスト化合物である前記発光材料が、前記ホスト化合物中に比較的低濃度で分散されているので、前記「濃度消光」が効果的に抑制され、発光効率に優れる点で有利である。更に、前記ゲスト材料と前記ホスト材料とを前記発光層において併用する場合には、前記ホスト材料が一般に製膜性に優れるので、発光特性を維持しつつ製膜性に優れる点で有利である。
【0025】
前記発光材料(発光物質乃至発光分子)乃至前記ゲスト材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、蛍光発光材料、りん光発光材料、などが挙げられる。
前記蛍光発光材料としては、例えば、以下に示す、ペリレン、1,3,6,8−テトラフェニルピレン、ルブレン等の多環式芳香族化合物及びその誘導体、などが挙げられる。また、前記りん光発光材料としては、例えば、以下に示す、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム等のイリジウム錯体、白金(3,5−ジピリジルトルエン)フェノキシド等の白金錯体、などが挙げられる。
これらの発光材料乃至ゲスト材料としては、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記EL発光手段(EL素子)としての発光効率に優れる点で、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、白金(3,5−ジピリジルトルエン)フェノキシド等のりん光発光材料が好ましい。
【0026】
【化1】

【0027】
【化2】

【0028】
【化3】

【0029】
【化4】

【0030】
【化5】

【0031】
前記ホスト材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、発光波長が該ゲスト材料の光吸収波長付近にあるものが好ましく、例えば、下記構造式(1)で表される芳香族アミン誘導体、下記構造式(2)で表されるカルバゾール誘導体、下記構造式(3)で表されるオキシン錯体、下記構造式(4)で表される1,3,6,8−テトラフェニルピレン化合物、下記構造式(5)で表される4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)−1,1’−ビフェニル(DPVBi)(主発光波長=470nm)、下記構造式(6)で表されるp−セシキフェニル(主発光波長=400nm)、下記構造式(7)で表される9,9’−ビアントリル(主発光波長=460nm)、後述のポリマー材料、などが好適に挙げられる。
【0032】
【化6】

【0033】
前記構造式(1)中、nは、2又は3の整数を表す。Arは、2価若しくは3価の芳香族基又は複素環式芳香族基を表す。R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、1価の芳香族基又は複素環式芳香族基を表す。前記1価の芳香族基又は複素環式芳香族基としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。
前記構造式(1)で表される芳香族アミン誘導体の中でも、下記構造式(1)−1で表されるN,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(NPD)(主発光波長=430nm)及びその誘導体が好ましい。
【0034】
【化7】

【0035】
【化8】

【0036】
前記構造式(2)中、Arは、以下に示す、芳香族環を含む2価若しくは3価の基、又は、複素環式芳香族環を含む2価若しくは3価の基を表す。
【化9】

【0037】
これらは、非共役性の基で置換されていてもよく、また、Rは、連結基を表し、例えば以下のものが好適に挙げられる。
【0038】
【化10】

【0039】
前記構造式(2)中、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、水酸基、アミド基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素環基、又は芳香族複素環基を表し、これらは置換基で更に置換されていてもよい。
【0040】
前記構造式(2)中、nは、整数を表し、2又は3が好適に挙げられる。
前記構造式(2)で表されるカルバゾール誘導体の中でも、Arが、ベンゼン環が単結合を介して2つ連結された芳香族基であり、R及びR10が水素原子であり、n=2であるもの、即ち、下記構造式(2)−1で表される4,4’−ビス(9−カルバゾリル)−ビフェニル(CBP)(主発光波長=380nm)及びその誘導体から選択されるものが、発光効率等に特に優れる点で好ましい。
【0041】
【化11】

【0042】
【化12】

【0043】
前記構造式(3)中、R11は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、水酸基、アミド基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素環基、又は芳香族複素環基を表し、これらは置換基で更に置換されていてもよい。
【0044】
前記構造式(3)で表されるオキシン錯体の中でも、下記構造式(3)−1で表されるアルミニウムキノリン錯体(Alq)(主発光波長=530nm)が好ましい。
【0045】
【化13】

【0046】
【化14】

【0047】
前記構造式(4)中、R12〜R15は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子又は置換基を表す。該置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基が好適に挙げられ、これらは更に置換基で置換されていてもよい。
前記構造式(4)で表される1,3,6,8−テトラフェニルピレンの中でも、R12〜R15が水素原子である、即ち、下記構造式(4)−1で表される1,3,6,8−テトラフェニルピレン(主発光波長=440nm)が、発光効率等に特に優れる点で好ましい。
【0048】
【化15】

【0049】
【化16】

【0050】
【化17】

【0051】
【化18】

【0052】
前記ポリマー材料であるホスト材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記構造式で表される、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリチオフェン(PAT)、ポリパラフェニレン(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)、ポリフルオレン(PF)、ポリアセチレン(PA)及びこれらの誘導体から選択されるのが好ましい。
【0053】
【化19】

【0054】
前記構造式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、アルキル基、シクロアルキル基、窒素原子や硫黄原子を含んでいてもよいアリール基、又はアリールオキシ基を表し、これらは置換基で置換されていてもよい。xは、整数を表す。
【0055】
前記ポリマー材料であるホスト材料の中でも、該ホスト材料から前記ゲスト材料へのエネルギー移動が効率よく行われる点で下記構造式(8)で表されるポリビニルカルバゾール(PVCz)が好ましい。
【0056】
構造式(8)

【0057】
前記構造式(8)中、R17及びR18は、環状構造の任意の位置に付与されたそれぞれ複数の置換基を表し、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、アルキル基、シクロアルキル基、窒素原子や硫黄原子を含んでいてもよいアリール基、又はアリールオキシ基を表し、これらは置換基で置換されていてもよい。該R17及びR18は、任意の隣接する置換位置がお互い結合して、窒素原子、硫黄原子、酸素原子を含んでいてもよい芳香族環を形成してもよく、これらは置換基で置換されていてもよい。xは、整数を表す。
前記ポリマー材料であるホスト材料を使用する場合、該ホスト材料を溶媒中に溶解し、前記ゲスト材料を混合して塗布液を調製した後、該塗布液を、スピンコート法、インクジェット法、ディップコート法、ブレードコート法などの湿式製膜手法にて塗布することができる。このとき、塗布形成される層の電荷輸送性を高める目的で、該層の上に、正孔輸送層材料及び電子輸送層材料を同時に溶液中に混合し、製膜することもできる。これらの湿式製膜手法は、特に多機能な前記発光層を1層(正孔輸送層兼電子輸送層兼発光層)に形成する場合に好適である。
【0058】
前記発光層における前記発光材料の含有層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1〜50質量%であるのが好ましく、0.5〜20質量%であるのがより好ましい。
前記含有量が、0.1質量%未満であると、寿命・発光効率等が十分でないことがあり、50質量%を超えると、色純度が低下することがあり、一方、前記より好ましい範囲であると、寿命・発光効率等に優れる点で好ましい。
なお、前記発光層が発光層兼電子輸送層、発光層兼正孔輸送層などのように多機能に形成されている場合には、これらの層における前記発光材料の含有量も、上記同様とすることができる。
【0059】
前記発光層は、電界印加時に、後述する、正極層、正孔注入層、正孔輸送層等から正孔を注入することができ、後述する、負極層、電子注入層、電子輸送層等から電子を注入することができ、更に該正孔と該電子との再結合の場を提供し、該再結合の際に生ずる再結合エネルギーにより、発光を示す前記発光材料(発光物質乃至発光分子)を発光させる機能を有していればよい。
【0060】
前記発光層は、公知の方法に従って形成することができ、例えば、蒸着法、湿式製膜法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、分子積層法、LB法、印刷法、転写法、などにより好適に形成することができる。
これらの中でも、有機溶媒を用いず廃液処理の問題がなく、低コストで簡便かつ効率的に製造することができる点で蒸着法が好ましいが、前記発光層を単層構造に形成する場合、例えば、該発光層を正孔輸送層兼発光層兼電子輸送層等として形成する場合には湿式製膜法も好ましい。
【0061】
前記蒸着法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、真空蒸着法、抵抗加熱蒸着、化学蒸着法、物理蒸着法、などが挙げられ、該化学蒸着法としては、例えば、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法などが挙げられる。前記蒸着法による前記発光層の形成は、例えば、前記発光材料を真空蒸着することにより、該発光層が前記発光材料(前記ゲスト材料)以外に前記ホスト材料を含有する場合には該発光材料(該ゲスト材料)及び該ホスト材料を真空蒸着による同時蒸着することにより、好適に行うことができる。前者の場合は、共蒸着の必要がない点で製造が容易である。
前記湿式製膜法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、インクジェット法、スピンコート法、ニーダーコート法、バーコート法、ブレードコート法、キャスト法、ディップ法、カーテンコート法などが挙げられる。
前記湿式製膜法の場合、前記発光層の材料を樹脂成分と共に溶解乃至分散させた溶液を用いる(塗布等する)ことができ、該樹脂成分としては、例えば、ポリビニルカルバゾール、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、などが挙げられる。
前記湿式製膜法による前記発光層の形成は、例えば、前記発光材料(前記ゲスト材料)及び必要に応じて用いる前記樹脂材料を溶剤に溶液(塗布液)を用いる(塗布し乾燥する)ことにより、該発光層が前記発光材料(前記ゲスト材料)以外に前記ホスト材料を含有する場合には該発光材料(該ゲスト材料)、該ホスト材料及び必要に応じて用いる前記樹脂材料を溶剤に溶解した溶剤に溶液(塗布液)を用いる(塗布し乾燥する)ことにより、好適に行うことができる。
【0062】
前記発光層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、5〜80nmが好ましく、10〜40nmがより好ましい。
前記発光層の厚みが、前記好ましい数値範囲であると、該発光層に生じたEL光の発光効率・発光輝度・色純度が十分であり、前記より好ましい数値範囲であるとそれが顕著である点で有利であり、一方、5nm未満であると、発光効率が低下してしまうことがあり、80nmを超えると、駆動電圧が顕著に上昇してしまうことがある。
【0063】
−−一対の遮光層−−
前記一対の遮光層としては、前記発光層に生じた前記EL光を透過させず遮光することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する、電極層(負極層、正極層)、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、保護層、光反射層、基板などから選択される2層であるのが好ましい。一般のEL素子においては、前記発光層に生じた前記EL光を該発光層の対向方向に透過させる必要があることから前記各層を透明材料で形成するが、本発明においては、前記EL光を前記発光層の端部(外周)から放射させるため、前記発光層以外の層を透明材料で形成する必要はなく、前記各層が遮光性材料で形成されていてもよいし、前記各層のうち、互いに前記発光層を介して位置する少なくとも2層が遮光性材料で形成されていてもよい。
本発明においては、これらの中でも、前記発光層の厚みを厚くする必要がなく、該発光層の厚みが薄くても十分な光強度、発光輝度の前記EL光を該発光層の端部(外周)から放射させることができる点で、前記光反射層の2層で前記一対の遮光層が形成されているのが特に好ましい。また、前記電極層(負極層、正極層)の一方又は両方が光反射層を兼ねていてもよい。
【0064】
前記光反射層の位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記電極層(前記正極層及び前記負極層)よりも外側、即ち最外側が好ましい。この場合、前記各層の機能を阻害等することなく、前記発光層における発光効率を劣化させず、また、外部からの余分な光が前記発光層に進入するのを効果的に遮光することができる点で好ましい。
【0065】
前記光反射層の好ましい例としては、絶縁層上に、金属層、及び屈折率の異なる2種以上の透明材料の周期繰返し構造層のいずれか、が積層された構造を有しているのが好ましい。この場合、前記金属層の形成が容易な点で好ましい。
前記金属層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、Ag、Al、Cr、Au、Mg、Ni、Li、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、これらの中でも、反射率が高く、該金属層の形成が容易な点でAg、Alなどが好ましい。
前記屈折率の異なる2種以上の透明材料の周期繰返し構造層としては、特に制限はなく、光反射層として公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、Al、MgO、SiO、SiO、TiO、LiF、MgF、CaF、ITO、などで形成された層の周期繰返し構造などが好適に挙げられる。前記周期繰返し構造を構成する各層の厚みとしては、例えば、100〜1000nmなどが好ましい。
【0066】
前記絶縁層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、該絶縁層は、透明であってもよいし、有色であってもよく、また、該絶縁層の材料としては、例えば、無機材料であってもよいし、有機材料であってもよい。
前記無機材料としては、例えば、Al、MgO、SiO、SiO、TiO、LiF、MgF、CaFなどが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、樹脂が好適に挙げられ、具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド、エポキシ樹脂、などが挙げられる。
【0067】
前記絶縁層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10nm〜5mmが好ましく、100nm〜1mmがより好ましい。
前記絶縁層の厚みが、10nm未満であると、絶縁性が十分でないことがあり、5mmを超えると、EL光の吸収率が大きくなり素子動作に悪影響を及ぼすことがある。
【0068】
前記一対の遮光層の厚みとしては、前記発光層に生じた前記EL光を遮光することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10nm〜1mmが好ましく、100nm〜1000nmがより好ましい。
前記一対の遮光層の厚みが、10nm未満であると、光反射率に劣ることがあり、1mmを超えると、装置重量面で支障が生ずることがある。
【0069】
−−電極層−−
前記電極層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、正極層(陽極層)、負極層(陰極層)が挙げられる。なお、これらの電極層の内、通常、前記正極層が下部電極として下方に配置され、前記負極層が上部電極として上方に配置される。
前記正極層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記発光層に向けて正孔(キャリア)を供給することができるものが好ましい。
前記正極層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられ、これらの中でも仕事関数が4eV以上の材料が好ましい。
前記正極層の材料の具体例としては、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル、アルミニウム、リチウム等の金属、これらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅等の無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の有機導電性材料、これらとITOとの積層物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、導電性金属酸化物が好ましく、生産性、高伝導性、透明性などの観点からはITOが特に好ましい。
前記正極層の厚みとしては、特に制限はなく、材料等により適宜選択可能であるが、1〜5000nmが好ましく、20〜200nmがより好ましい。
前記正極層は、通常、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等のガラス、透明樹脂等の基板上に形成される。
【0070】
前記基板として前記ガラスを用いる場合、該ガラスからの溶出イオンを少なくする観点からは、前記無アルカリガラス、シリカなどのバリアコートを施した前記ソーダライムガラスが好ましい。
前記基板の厚みとしては、機械的強度を保つのに充分な厚みであれば特に制限はないが、該基材としてガラスを用いる場合には、通常0.2mm以上であり、0.7mm以上が好ましい。
前記正極層は、例えば、蒸着法、湿式製膜法、電子ビーム法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、分子積層法、LB法、印刷法、転写法、化学反応法(ゾル−ゲル法など)により該ITOの分散物を塗布する方法、などの上述した方法により好適に形成することができる。
前記正極層は、洗浄、その他の処理を行うことにより、該有機EL素子の駆動電圧を低下させたり、発光効率を高めることも可能である。前記その他の処理としては、例えば、前記正極の素材がITOである場合には、UV−オゾン処理、プラズマ処理などが好適に挙げられる。
【0071】
前記負極層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記発光層に向けて電子を供給することができるものが好ましい。
前記負極層の材料としては、特に制限はなく、前記電子輸送層、前記発光層などの該負極と隣接する層乃至分子との密着性、イオン化ポテンシャル、安定性等に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられる。
前記負極層の材料の具体例としては、アルカリ金属(例えばLi、Na、K、Csなど)、アルカリ土類金属(例えばMg、Caなど)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金又はそれらの混合金属、リチウム−アルミニウム合金又はそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金又はそれらの混合金属、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、これらの合金、などが挙げられる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、仕事関数が4eV以下の材料が好ましく、アルミニウム、リチウム−アルミニウム合金又はそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金又はそれらの混合金属、などがより好ましい。
【0072】
前記負極層の厚みとしては、特に制限はなく、該負極の材料等に応じて適宜選択することができるが、1〜10,000nmが好ましく、20〜200nmがより好ましい。
前記負極層は、例えば、蒸着法、湿式製膜法、電子ビーム法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、分子積層法、LB法、印刷法、転写法、などの上述した方法により好適に形成することができる。
前記負極層の材料として2種以上を併用する場合には、該2種以上の材料を同時に蒸着し、合金電極等を形成してもよいし、予め調製した合金を蒸着させて合金電極等を形成してもよい。
前記正極層及び前記負極層の抵抗値としては、低い方が好ましく、数百Ω/□以下であるのが好ましい。
【0073】
−−その他の層−−
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、保護層、などが挙げられる。
【0074】
前記正孔注入層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、電界印加時に前記正極層から正孔を注入する機能を有しているものであるのが好ましい。
前記正孔注入層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記式で表されるスターバーストアミン[4,4‘,4’’−トリ(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン](以下「2−TNATA」と略すことがある)、銅フタロシアニン、ポリアニリン、などが好適に挙げられる。
【0075】
【化20】

【0076】
前記正孔注入層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1〜100nm程度が好ましく、5〜50nmがより好ましい。
前記正孔注入層は、例えば、蒸着法、湿式製膜法、電子ビーム法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、分子積層法、LB法、印刷法、転写法、などの上述した方法により好適に形成することができる。
【0077】
前記正孔輸送層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、電界印加時に前記正極層からの正孔を輸送する機能を有しているものが好ましい。
前記正孔輸送層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族アミン化合物、カルバゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、スチリルアミン、芳香族ジメチリディン化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー及びポリマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー及びポリマー、カーボン膜、などが挙げられる。なお、これらの正孔輸送層の材料を前記発光材料と混合して製膜すると正孔輸送層兼発光層を形成することができる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの中でも、芳香族アミン化合物が好ましく、具体的には、下記式で表されるTPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン)、下記構造式(67)で表されるNPD(N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン)などがより好ましい。
【0078】
【化21】

【0079】
【化22】

【0080】
前記正孔輸送層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常1〜500nmであり、10〜100nmが好ましい。
前記正孔輸送層は、例えば、蒸着法、湿式製膜法、電子ビーム法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、分子積層法、LB法、印刷法、転写法、などの上述した方法により好適に形成することができる。
【0081】
前記正孔ブロッキング層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記正極層から注入された正孔を障壁する機能を有しているものが好ましい。
前記正孔ブロッキング層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記正孔ブロッキング層を有していると、前記正極層側から輸送されてきた正孔が該正孔ブロッキング層でブロックされ、前記負極層から輸送されてきた電子は該正孔ブロッキング層を通過して前記発光層に到達することにより、該発光層で効率良く電子と正孔との再結合が生じるため、該発光層以外の層での前記正孔と前記電子との再結合を防ぐことができ、目的とする発光材料からの発光が効率的に得られ、色純度等の点で有利である。
前記正孔ブロッキング層は、前記発光層と前記電子輸送層との間に配置されるのが好ましい。
【0082】
前記正孔ブロッキング層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通常1〜500nm程度であり、10〜50nmが好ましい。
前記正孔ブロッキング層は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
前記正孔ブロッキング層は、例えば、蒸着法、湿式製膜法、電子ビーム法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、分子積層法、LB法、印刷法、転写法、などの上述した方法により好適に形成することができる。
【0083】
前記電子輸送層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記負極層からの電子を輸送する機能、前記正極層から注入された正孔を障壁する機能のいずれかを有しているものが好ましい。
前記電子輸送層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記アルミニウムキノリン錯体(Alq)等のキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体など、などが挙げられる。なお、これらの電子輸送層の材料を前記発光層の材料と混合して製膜すると電子輸送層兼発光層を形成することができ、更に前記正孔輸送層の材料も混合させて製膜すると電子輸送層兼正孔輸送層兼発光層を形成することができ、この際、ポリビニルカルバゾール、ポリカーボネート等のポリマーを使用することができる。
【0084】
前記電子輸送層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通常1〜500nm程度であり、10〜50nmが好ましい。
前記電子輸送層は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
この場合、前記発光層に隣接する該電子輸送層に用いる電子輸送材料としては、前記発光材料よりも光吸収端が短波長である電子輸送材料を用いることが、前記EL素子(前記EL発光手段)中の発光領域を前記発光層に限定し、前記電子輸送層からの余計な発光を防ぐ観点からは好ましい。前記発光材料よりも光吸収端が短波長である電子輸送材料としては、例えば、フェナントロリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体などが挙げられ、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)や、以下に示す化合物などが好適に挙げられる。
【0085】
【化23】

【0086】
【化24】

【0087】
【化25】

【0088】
【化26】

【0089】
前記電子輸送層は、例えば、蒸着法、湿式製膜法、電子ビーム法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、分子積層法、LB法、印刷法、転写法、などの上述した方法により好適に形成することができる。
【0090】
前記電子注入層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ化リチウム等のアルカリ金属フッ化物、フッ化ストロンチウム等のアルカリ土類金属フッ化物、などを好適に使用できる。
前記電子注入層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することでき、例えば、通常、0.1〜10nm程度であり、0.5〜2nmが好ましい。
前記電子注入層は、例えば、蒸着法、電子ビーム法、スパッタリング法などにより好適に形成することができる。
【0091】
前記保護層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、水分や酸素等の前記EL素子(前記EL発光手段)を劣化促進させる分子乃至物質が前記EL素子(前記EL発光手段)内に侵入することを抑止可能であるものが好ましい。
前記保護層の材料としては、例えば、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO、Al、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe、Y、TiO等の金属酸化物、SiN、SiNなどの窒化物、MgF、LiF、AlF、CaF等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質などが挙げられる。
前記保護層は、例えば、蒸着法、湿式製膜法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、印刷法、転写法、などの上述した方法により好適に形成することができる。
【0092】
前記EL発光手段(EL素子)における層構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、以下の(1)〜(13)の層構成、即ち、(1)正極層/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/負極層、(2)正極層/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/負極層、(3)正極層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/負極層、(4)正極層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/負極層、(5)正極層/正孔注入層/正孔輸送層/発光層兼電子輸送層/電子注入層/負極層、(6)正極層/正孔注入層/正孔輸送層/発光層兼電子輸送層/負極層、(7)正極層/正孔輸送層/発光層兼電子輸送層/電子注入層/負極層、(8)正極層/正孔輸送層/発光層兼電子輸送層/負極層、(9)正極層/正孔注入層/正孔輸送層兼発光層/電子輸送層/電子注入層/負極層、(10)正極層/正孔注入層/正孔輸送層兼発光層/電子輸送層/負極層、(11)正極層/正孔輸送層兼発光層/電子輸送層/電子注入層/負極層、(12)正極層/正孔輸送層兼発光層/電子輸送層/負極層、(13)正極層/正孔輸送層兼発光層兼電子輸送層/負極層、などが好適に挙げられる。なお、前記EL発光手段(EL素子)が前記正孔ブロッキング層を有する場合には、前記(1)〜(13)において、前記発光層と前記電子輸送層との間に該正孔ブロッキング層が配置される層構成が好適に挙げられる。
【0093】
前記EL発光手段(EL素子)の層構成の内、前記(4)正極層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/負極層の態様を図示すると、図3の通りであり、EL発光手段(EL素子)は、基板25上に、光反射層24と、透明絶縁層23と、正極層22(例えばITO電極)と、正孔注入・輸送層21(例えば、電子受容性の高い下記テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(FTCNQ)が0.001〜1%ドープ)と、発光層20と、電子注入・輸送層19(リチウム、ナトリウムなどのアルカリ金属を0.001〜10%ドープ)と、負極層18(例えばITO電極)と、透明絶縁層17と、光反射層16とをこの順に積層してなる層構成を有する。なお、正極層22と負極層18とは電源を介して互いに接続されている。
【0094】
【化27】

【0095】
前記発光層の輝度半源時間としては、長い程好ましく、例えば、電流密度50A/mの連続駆動において、5時間以上が好ましく、20時間以上がより好ましく、40時間以上が更に好ましく、60時間以上が特に好ましい。
【0096】
前記発光層におけるEL光のピーク波長としては、特に制限はなく、紫外〜近赤外光域から適宜選択することができ、例えば、300〜800nmが好ましく、350nm〜650nmがより好ましい。なお、該ピーク波長としては、後述の導光部に発光材料が含まれている場合には、該発光材料の吸収波長領域に含まれていることが必要である。
【0097】
前記発光層における発光電圧としては、電圧20V以下で発光することが望まれ、10V以下で発光するのが好ましく、7V以下で発光するのがより好ましい。
前記発光層における電流効率としては、電流密度5A/mにおいて、5cd/A以上であるのが好ましく、10cd/A以上であるのがより好ましく、20cd/A以上であるのが特に好ましい。
【0098】
前記EL発光手段(EL素子)の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1つであってもよいし、2以上であってもよく、2以上である場合には、各EL発光手段における前記EL光のピーク波長が互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0099】
前記EL発光手段(EL素子)の製造乃至形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蒸着法、CVD法、スパッタリング法、塗布法(スピンコート法など)、フォトリソグラフィー法、などが挙げられる。
これらの方法は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記EL発光手段の形状の調整が容易であるものが好ましく、蒸着法、塗布法、スパッタリング法などがより好ましい。
前記EL発光手段(EL素子)は、上述したように、前記発光層及び前記一対の遮光層を有してなる積層構造を有するが、該EL発光手段(EL素子)の平面形状、即ち上から観たときの形状としては、後述する導光部材における導光部の形状等に応じて適宜選択することができ、例えば、該導光部がループ状構造を有する場合には、該ループ状と同様の外周形状を有する円状などが好適に挙げられる。該EL発光手段(EL素子)における外周形状と、前記導光部の内周形状とを同じ形状にしておくと、該EL発光手段における前記発光層の端部(外周)から放射される前記EL光が前記導光部に取り込まれる際の光の損失(例えば、接続損失)を効果的に抑制乃至低減させることができる点で有利である。
なお、前記EL発光手段(EL素子)が前記円状である場合、該EL発光手段(EL素子)の直径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、100μm以上であるのが好ましく、200μm〜10mmがより好ましい。
前記直径が、100μm未満であると、出射光(出力光)の強度が不十分となることがある。
【0100】
−光出射手段及び光出射工程−
前記光出射手段としては、前記発光層の端部(外周)から放射される前記EL光を導光し、該EL光と同波長乃至異波長の光を出射することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記EL光の損失(例えば、伝送損失、接続損失)乃至減衰を抑制する観点からは、前記EL光を導光可能な導光部材を有しているのが好ましい。
前記光出射工程は、前記発光層から放射された前記EL光を導光し、該EL光と同波長乃至異波長の光を出射させる工程である。該光出射工程は、前記光出射手段により好適に行うことができる。
【0101】
前記導光部材としては、前記EL光を導光することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記EL光を導光可能な導光部と、前記EL光を導光しない非導光部とを有してなるものが好ましく、光共振器として機能するものがより好ましい。この場合、インコヒーレントな前記EL光をコヒーレントなレーザー光として出射させることが可能になる点で有利である。なお、本発明においては、前記光出射装置から出射される光を、出射光、出力光などと称する。
【0102】
前記導光部の材料としては、前記EL光の損失(例えば、伝送損失)乃至減衰を生じさせないものであるのが好ましく、例えば、無機材料、有機材料の中から適宜選択することができる。
前記無機材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、Al、MgO、SiO、SiO、TiO、LiF、ITO、ガラス、などが挙げられる。
前記有機材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、樹脂などが挙げられる。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル等のスチレン系樹脂、シクロブテン樹脂、ポリイミド、エポキシ樹脂、などが挙げられ、これらの中でも、フッ素化ポリイミド、ベンゾシクロブテン、重水素化シリコーン、重水素化ポリメチルメタクリレート、UVエポキシ樹脂、UVアクリレート、感光性ポリイミド、などがより好ましい。
これらの材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、フォトリソグラフィー法により、所望の形状の光導波路として機能する前記導光部を容易にかつ正確、精細に所望のパターン状に形成可能な点で、感光性ポリイミドが好ましい。
【0103】
前記導光部の屈折率としては、特に制限はなく、前記非導光部の屈折率に応じて適宜選択することができ、例えば、1.4〜1.8であるのが好ましく、1.5〜1.7であるのがより好ましい。
前記屈折率が、1.4未満であると、前記導波部内に光を十分に閉じ込めておくことが困難となることがあり、1.8を超えると、吸収損失が増大することがある。
【0104】
前記導光部の形状乃至構造としては、前記EL光を導光することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、管状、線状導波路構造などが好適に挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2以上を組合せて使用してもよい。これらの中でも、前記EL光の損失を可能な限り低減させる観点からは、前記線状導波路構造が好ましい。
なお、前記導光部が、例えば、前記線状導波路構造であった場合、該導光部は屈曲部(角部)が生じないように前記導光部材に備えられているのが好ましい。前記導光部に屈曲部が存在すると、該屈曲部において前記EL光の損失(例えば、曲げ損失)が生ずることがある点で好ましくない。
前記導光部に屈曲部(角部)が生じない範囲において、前記導光部は、前記導光部材において直線状に備えられている必要はなく、螺旋状構造、ループ状構造、円状構造、曲線状構造、などの状態で備えられていてもよい。これらの中でも、ループ状構造などが特に好ましい。前記導光部がループ状構造であると、前記EL光が前記ループ状構造の前記導光部内に導光された際、該EL光が該導光部内を周回し、周回する光がその位相と元の位相と一致する条件において共振が起こり、その共振条件の波長のレーザー光となり、該光出射装置からレーザー光が出射可能となる点で有利であり、また、該ループ状構造の前記導光部内を周回する前記EL光が前記EL発光手段(EL素子)における前記発光層側に逆行してしまうのを効果的に抑制することができる点で有利である。
【0105】
前記導光部の軸方向(長さ方向)に対し略直交方向の断面形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、略円形、楕円形、四角形(略正方形、略長方形)等の角形、不定形、などが好適に挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2以上を組合せてもよい。これらの中でも、製造性の観点からは、前記四角形等の角形が好ましい。
また、前記断面形状の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、線状光乃至レーザー光を出射させる観点からは、前記断面形状の大きさが小さい方が好ましく、該断面形状の直径乃至最大径としては、例えば、1μm〜100μmが好ましい。
【0106】
前記導光部の長さとしては、前記EL光の損失(例えば、伝送損失)乃至減衰が実用上十分低い範囲内であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、該導光部に後述する発光材料を含有させておき、インコヒーレントな前記EL光をコヒーレントな光に変調させる場合には、この変調に十分な長さであることが好ましい。
【0107】
前記導光部の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、単独の部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよいが、前記EL光の損失(例えば、接続損失)を可能な限り生じさせない観点からは、単独の部材で形成されていることが好ましい。
前記導光部の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記EL発光手段(EL素子)における前記発光層の端部(外周)から放射される前記EL光の効率的な導光(取り込み)の観点からは、該発光層の厚みよりも前記断面形状における直径乃至最大径が大きいことが好ましい。この場合、前記EL光の損失(例えば、接続損失)を低減乃至抑制することができる点で好ましい。
【0108】
前記導光部の配置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記EL発光手段(EL素子)における前記発光層の端部(外周)から放射される前記EL光の損失(例えば、接続損失)を可能な限り低減させ、該EL光の効率的な導光(取り込み)の観点からは、前記発光層の端部(外周)近傍、などが好適に挙げられる。
なお、前記導光部と、前記EL発光手段における前記発光層の端部(外周)との距離としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、該導光部が前記発光層と接していてもよいし離れていてもよく、例えば、0.1μm〜2mmが好ましい。
【0109】
なお、前記導光部と前記発光層とが離れて配置されている場合、両者の間は、エアギャップが存在していてもよいし、透光性材料が配置されていてもよく、後者の場合、前記EL光のフレネル反射損失を低減乃至抑制することができる点で好ましい。
前記透光性材料としては、前記導光部の材料より低い屈折率を有し、該導光部に前記EL光を導光することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、後述する非導光部の材料のうち、透光性に優れた材料などが好適に挙げられる。
【0110】
本発明においては、前記導光部に、前記EL発光手段(EL素子)における前記発光層の端部(外周)から放射される前記EL光を吸収して発光可能な発光材料を含まれているのが特に好ましい。この場合、前記EL光を所望の波長の光に変換させることができ、また、誘導放出が可能な条件においてはインコヒーレントな前記EL光をコヒーレントな光にすることができ、その結果、該発光材料を含む光出射装置から出射される光の光強度の向上、変調等が可能となり、各種用途への適用が可能となる等の点で好ましい。
また、前記導光部が、前記EL光を吸収する材料(ホスト材料)と、その材料からのエネルギー移動により励起され発光する発光材料(ゲスト材料)の2種の材料を含んでいてもよい。この形態は、前記ゲスト材料の濃度を上述した「濃度消光」の影響がない低濃度にすることができ、かつ前記ホスト材料の濃度を大きくすることにより、前記導光部における前記EL光の吸収率を十分大きくすることができる点で有利である。前記導光部に含まれるホスト材料及びゲスト材料としては、上述したものが挙げられる。ただし、前記導光部に含まれるホスト材料及びゲスト材料においては、上述したホスト材料及びゲスト材料におけるような電荷輸送機能を有している必要はない。
【0111】
前記発光材料の吸収波長領域としては、前記EL発光手段(EL素子)における前記発光層から放射される前記EL光の発光波長領域と重なりがあることが必要である。該発光材料の吸収ピーク波長は、前記EL発光ピーク波長に対し、±50nmに位置するのが好ましく、±20nmに位置するのがより好ましい。
前記発光材料の吸収ピーク波長が、前記EL光の発光ピーク波長に対し、50nm以上離れていると、該発光材料の前記EL光の吸収・変換効率が低下してしまい、前記EL光の損失(例えば、伝送損失)乃至減衰が生じてしまうことがあり、光強度の大きな光を出射させることができないことがある。なお、前記導光部が前記発光材料を含んでいる場合、一般に、該導光部から外部に出射される光を前記EL光のピーク波長よりも長波長側にピーク波長がある光を出射させることができる。
【0112】
前記発光材料としては、前記EL光を吸収して励起状態となり、基底状態に戻るときに発光を生ずるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、レーザー活性物質などとして公知のものを使用することができ、無機化合物、有機化合物、などが挙げられる。
前記無機化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、希土類イオン、などが挙げられ、具体的には、プラセオジムイオン、ツリウムイオン、ルミウムイオン、エルピウムイオン、ネオジムイオン、ユーロピウムイオンなどが挙げられる。
前記有機化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上述した、ルブレン、ペリレン、1,3,6,8−テトラフェニルピレンなどが好適に挙げられる。なお、前記発光材料が前記ルブレンである場合、該光出射装置から出射される光は、前記ルブレンの発光色である黄色となる。
【0113】
これらの発光材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、出射させる光をコヒーレントなレーザー光にする観点からは前記発光材料を1種単独で使用するのが好ましい。これらの中でも、一般に、前記導光部の材料が無機材料であるときは該発光材料も前記無機化合物であるのが好ましく、前記導光部の材料が有機材料であるときは該発光材料も前記有機化合物であるのが、該導光部への前記発光材料の均一分散の観点からは好ましい。
【0114】
前記発光材料の前記導光部における存在状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記EL光の増幅乃至変調効率の観点からは、例えば、該導光部に均一分散しているのが好ましい。
前記発光材料を前記導光部内に均一に分散させる方法としては、特に制限はなく、該発光材料、前記導光部の材料の種類、大きさ、形状等に応じて適宜選択することができ、例えば、前記発光材料及び前記導光部の材料がいずれも有機材料、有機化合物である場合には、両材料を溶剤等に溶解、あるいは溶融等させる方法などが好適に挙げられる。
【0115】
前記発光材料の前記導光部における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1〜20モル%が好ましく、0.2〜10モル%がより好ましい。
前記発光材料の含有量が、0.1モル%未満であると、前記EL光の増幅ないし変調効率が十分でないことがあり、光強度の大きな光を出射させることができない、コヒーレントで指向性の高いレーザー光を出射させることができないことがあり、20モル%を超えると、該導光部内に導光される光に損失(例えば、伝送損失)乃至減衰、及び前記発光材料の濃度消光による発光効率の低下が生することがある。
【0116】
前記非導光部としては、それ自身は前記EL光を導光せず、前記導光部と組み合わされた際に該導光部のみが前記EL光を導光可能にさせ得るものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記非導光部の配置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記導光部の周囲を覆うようにして設けられた配置が好ましく、前記導光部を内部に埋め込むようにして設けられた配置が特に好ましい。これらの場合、前記導光部内に取り込まれた前記EL光は、該導光部の周囲から外部に漏出しようとしても、該導光部の周囲に該非導光部が存在するため、前記導光部と前記非導光部との屈折率差により、前記非導光部に進入することなく、該導光部と該非導光部との界面で反射されて該導光部内を進行する。このため、前記非導光部に埋め込まれた前記導光部は、光導波路として機能し、該導光部内を進行する光の外部への漏出が効果的に抑制され、前記導光部内に導光する光の損失(例えば、伝送損失)が生ずるのを防ぐことができ、光強度の大きな光を出射可能である点で有利である。
【0117】
前記非導光部の屈折率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記導光部の屈折率よりも低いのが好ましい。この場合、前記非導光部の屈折率が前記導光部の屈折率よりも低いため、前記導光部内を進行する前記EL光が該非導光部に進入することなく、該導光部と該非導光部との界面で反射されて該導光部内を進行する。このため、前記非導光部に埋め込まれた前記導光部は、光導波路として機能し、該導光部内を進行する光の外部への漏出が効果的に抑制され、前記導光部内に導光する光の損失(例えば、伝送損失)が生ずるのを防ぐことができ、光強度の大きな光を出射可能である点で有利である。なお、前記導光部をコアとして、前記非導光部を前記コアの外周を覆うクラッドとして光ファイバ構造を形成してもよい。
【0118】
前記導光部と前記非導光部との屈折率差としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、大きい方が好ましく、0.05以上であるのがより好ましく、0.1以上であるのが特に好ましい。
前記屈折率差が、0.05未満であると、前記導光部への光の閉じ込めが不十分なことがあり、前記EL光の導光効率が十分でなく、該出射装置から出射される光の強度乃至明るさが十分でないことがある。
【0119】
前記非導光部の材料としては、特に制限はなく、前記導光部の屈折率、形状等に応じて適宜選択することができ、例えば、有機材料、無機材料、などが挙げられる。
なお、前記非導光部は、空気で形成してもよく、即ち該非導光部を設けずに空気を存在させてもよく、このような場合であっても、前記導光部の屈折率が前記空気の屈折率よりも高くなっていれば、該空気を前記非導光部として機能させることができる。また、前記非導光部を後述する基板上に設ける場合には、該基板も前記非導光部としての機能を有することが好ましい。
【0120】
前記無機材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記導光部の材料として例示したものなどが挙げられ、例えば、Al、MgO、SiO、SiO、TiO、LiF、ITO、ガラス、MgF,CaF、などが挙げられる。
前記有機材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記導光部の材料として例示したものなどが挙げられ、例えば、樹脂などが好適に挙げられる。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル等のスチレン系樹脂、シクロブテン樹脂、ポリイミド、エポキシ樹脂、などが挙げられる。
これらの材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ベンゾシクロブテン、重水素化シリコーン、ポリメチルメタクリレート、UVエポキシ樹脂、UVアクリレート、感光性ポリイミド、フッ素化ポリイミド、光透過性ポリイミド、などがより好ましく、前記導光部を覆うのが容易であり、取扱性、耐久性等に優れる点で、ポリメチルメタクリレートなどが好ましい。
【0121】
前記導光部及び前記非導光部の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、スパッタリング法、フォトリソグラフィー法、塗布法(スピンコート法など)、蒸着法、CVD法、エッチング法、接着法、などが挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、併用してもよいが、これらの中でも、任意の形状を形成可能な方法が好ましく、蒸着法、塗布法、フォトリソグラフィー法、エッチング法、が微細かつ任意の形状乃至構造の前記導光部を効率的に形成可能な点で好ましい。
【0122】
本発明においては、前記導光部材が、前記EL発光手段(EL素子)における前記発光層から放射される前記EL光であって前記導光部を透過したEL光を前記導光部に向けて反射する光反射部材を有しているのが好ましい。該導光部材が該光反射部材を有していると、前記EL光の損失(例えば、接続損失)を効果的に低減させることができ、前記EL光の利用効率に優れる点で有利である。
【0123】
前記光反射部材の配置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記発光層の端部(外周)近傍に配置させた前記導光部の外周近傍であるのが好ましい。この場合、前記発光層の端部(外周)から放射(漏出)された前記EL光は、該発光層の端部(外周)近傍に配置させた前記導光部に取り込まれるが、前記EL光の一部は、前記導光部をそのまま透過してしまうことがある。しかし、該導光部の更に外周近傍に前記光反射部材が配置されていると、該EL光は外光反射部材により反射されて前記導光部に再び取り込まれる。その結果、前記発光層の端部(外周)から放射(漏出)される前記EL光の損失(例えば、接続損失)が効果的に低減される。
【0124】
前記光反射部材の材料としては、前記EL光を透過させずに反射させることができればよく、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、合金、誘電体多層膜などが挙げられる。これらの材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、製造性の点で、金属などが好ましい。
前記光反射部材の形状乃至構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リング状壁構造物、箱状構造物などが好適に挙げられる。
【0125】
本発明においては、前記光出射手段が、前記導光部から光を取り出して外部に出射する光取出部を有しているのが好ましい。
前記光取出部としては、前記導光部材における前記導光部と光学的に接続されていることが好ましい。該光取出部が前記導光部に光学的に接続されていると、前記導光部内を導光される光の損失(例えば、接続損失)乃至減衰等を効果的に低減させることができ、光強度の大きな光を出射させることができる点で有利である。
なお、前記光取出部と前記導光部とを光学的に接続するためには、両者を光波長程度の間隔で接近させておけばよく、必ずしも両者が直接、接した状態で接続されている必要はない。前記光取出部と前記導光部との光学的接続を行う手段としては、特に制限はなく、周知の光導波路技術を利用することができ、例えば、方向性結合、などを利用することができる。
前記光取出部の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記導光部の材料と同様の材料が好適に挙げられ、該光取出部の材料を前記導光部の材料とが同一であってもよいし、異なっていてもよい。これらの材料の中でも、ポリメチルメタクリレート、などが好適に挙げられる。
【0126】
前記光取出部は、前記導光部材における前記導光部と光学的に接続されていることが好ましい。該光取出部が前記導光部に光学的に接続されていると、前記導光部内を導光される光の損失(例えば、接続損失)乃至減衰等を効果的に低減させることができ、光強度の大きな光を出射させることができる点で有利である。
前記光取出部の前記導光部との間の距離としては、前記導光部内を導光させる光の損失(接続損失)が実用上十分低い限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、該光取出部における前記導光部との最近接地点において、前記導光部内に導光される光の波長程度の距離であるのが好ましい。この場合、前記光取出部と前記導光部とを光学的に接続することができ、前記導光部から該光取出部に光を取り出した際に、該光の損失(接続損失等)を効果的に抑制することができる点で有利である。なお、前記距離が、前記導光部内に導光される光の波長よりも大きい場合、前記導光部から前記光取出部に効率よく光を取り出すことができないことがあり、また、光の取出しの際に光の損失(例えば、接続損失)などが生ずることがある。
【0127】
前記光取出部の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1つであってもよいし、2以上であってもよい。前記光取出部の数が、2以上であると、光出射装置の機能拡張の点で有利である。
【0128】
また、本発明においては、前記光出射手段が、前記EL発光手段(EL素子)おける前記発光層の端部(外周)と、前記導光部との間に、前記発光層から放射される前記EL光を効率的に前記導光部に集光可能な集光部材を有しているのが好ましい。
前記集光部材としては、前記EL光を前記導光部に集光させることができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、透光性に優れた材料で形成されているのが好ましく、例えば、集光レンズ等のレンズ系、導波路構造などが好適に挙げられる。これらの集光部材は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0129】
本発明においては、上述したEL発光手段及び前記光出射手段の数が、各々1つであってもよいし、少なくともいずれかが2以上であってもよい。
本発明の光出射装置又は光出射方法によって出射される前記出射光の波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、350〜800nmであるのが好ましい。
【0130】
−その他の手段及びその他の工程−
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記EL発光手段(EL素子)を固定配置させるための基板(基材、支持体)、光導波路形成用部材、などが好適に挙げられる。
前記基板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、シリコン基板、ガラス基板(SiO基板)、プラスチック基板、金属基板などが好適に挙げられる。該基板は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記基板の中でも、製造性及びコストの点で、シリコン基板、ガラス基板、熱酸化シリコン基板(Si+SiO)、が好ましい。
【0131】
本発明においては、前記EL発光手段(EL素子)及び前記光出射手段(例えば、前記導光部材及び前記光取出部)を前記基板上に、同時に乃至順次形成することができ、この場合、該EL発光手段(EL素子)における前記発光層と、前記導光部材における前記導光部及び前記光取出部との配置、位置関係の制御が容易であり、該発光層と該導光部及び前記光取出部との光学的接続を容易に行うことができる点で有利である。一般に、光学的接続を行う場合には、接続する2つの部材の位置を精度よく調整することが必要になり容易ではなく、接続損失が生じ易いという問題があるが、上述したように、前記基板上に前記EL発光手段と前記導光部及び前記光取出部とを同時に乃至順次、例えば、蒸着法、塗布法、フォトリソグラフィー法、エッチング法、などにより形成することにより、容易に光学的接続を行うことができる点で有利である。
【0132】
前記光導波路形成用部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リング共振器、ミラー素子、ハーフミラー素子、分岐合流素子、光スイッチ、光集積回路、リングレーザ、全反射板コーナ、グレーティング導波路、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0133】
本発明の光出射装置の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記EL発光手段(EL素子)及び前記光出射手段をそれぞれ別個に製造し、最後に両者を光学的に接続する方法、前記EL発光手段(EL素子)及び前記光出射手段を前記基板上に同時に乃至順次形成する方法、などが挙げられる。これらの中でも、前記EL発光手段(EL素子)及び前記光出射手段を前記基板上に同時に乃至順次形成する方法が、該EL発光手段(EL素子)と該光出射手段との位置合せが容易であり、両者の光学的接続が容易である点で好ましい。従来における発光ダイオード装置、半導体レーザー装置等においては、一般に、発光ダイオードや半導体レーザーを別個に作製した光導波路に正確に位置合せをしなければならず、この位置合せが容易ではなく、僅かなズレによって光の接続損失が生じ得るという問題があるが、本発明の光出射装置において、前記EL発光手段(EL素子)と前記導光部材及び前記光取出部とを同時に形成した場合には、上記問題がなく、光の損失(例えば、接続損失)を効果的に抑制乃至低減することができ、更に製造効率に優れる点で好ましい。
なお、前記EL発光手段(EL素子)及び前記光出射手段の製造乃至形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スパッタリング法、蒸着法(CVD法など)、塗布法(スピンコート法など)、フォトリソグラフィー法、エッチング法、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【実施例】
【0134】
以下、実施例により本発明の光出射装置及び光出射方法を詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に何ら限定されるものではない。なお、この実施例の光出射方法は、この実施例に係る光出射装置を実施すると、その実施がされることを意味する。
図1及び図2に示すように、本発明の光出射装置は、EL発光手段3と、光出射手段とを基板7(熱酸化シリコン(Si+SiO))に上に有してなる。
【0135】
EL発光手段3は、平面型の有機EL素子であり、図3に示すように、基板25と、光反射層24と、透明樹脂層23(絶縁性)と、正極層22と、正孔注入・輸送層21と、発光層20と、電子注入・輸送層19と、負極層18と、透明層17(絶縁性)と、光反射層16とをこの順に積層してなる構造を有する。なお、正極層22と、負極層18とは、導線4により電源6に電気的に接続されている。
【0136】
EL発光手段3は、基板7上に設けられており、上から観ると直径が10mmの円形である。EL発光手段3は、以下のようにして形成した。即ち、まず、基板7上に、光反射層24として、スパッタリング法により銀(Ag)を厚みが0.1μmでありかつ基板7の全面に形成した。次に、光反射層24上に、透明樹脂層23として、スピンコート法により光透過性ポリイミド(特開2000−198842号公報参照)を厚みが5μmとなるようにかつ基板7の全面に塗布して形成した。次に、透明樹脂層23上に、正極層22として、スパッタリング法によりITOを厚みが0.2μmとなるようにかつ直径が10mmである円状に形成した。なお、正極層22には、導線4により電源6に電気的に結線した。正極層22上に、正孔注入・輸送層21として、真空蒸着法により、前記2−TNATA層及び前記NPD層を厚みがそれぞれ100nm及び20nmとなるようにかつ正極層22と同形状に順次形成した。なお、正孔注入・輸送層の性能向上の目的で、前記2−TNATA層には、上述したテトラフルオロテトラシアノキノジメタンを0.2モル%ドープさせた。そして、正孔注入・輸送層21上に、発光層20として、真空蒸着法により、2モル%の1,3,6,8−テトラキス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ピレンを含む前記CBPを厚みが30nmとなるようにかつ正孔注入・輸送層21と同形状に形成した。発光層20上に、電子注入・輸送層19として、真空蒸着法により、前記BCPを厚みが40nmとなるようにかつ発光層20と同形状に形成した。なお、電子注入・輸送層の性能向上の目的で、電子注入・輸送層19には、リチウムを1モル%ドープさせた。電子注入・輸送層19上に、負極層18として、スパッタリング法により、ITOを厚みが200nmとなるようにかつ電子注入・輸送層19と同心円状で直径が9mmであるように形成した。そして、負極層18上に、透明層17として、蒸着法によりLiFを厚みが2μmとなるようにかつ負極層18と同形状に形成した。更に、透明層17上に、光反射層16として、スパッタリング法により銀(Ag)を厚みが0.1μmとなるようにかつ透明層17と同形状に形成した。以上により、特開2004−83507号公報に記載のような緑色発光有機EL素子であるEL発光手段を形成した。なお、図1では、EL発光手段3(有機EL素子)は、基板7上に直接設けられてないように見えるが、図1では、光反射層2及び透明樹脂層23をEL発光手段3の下の非導光部2に含めている。
【0137】
EL発光手段3においては、電源6から正極層22と負極層18とに電圧が印加されると、正極層22に隣接する正孔注入・輸送層21において正孔が注入され、発光層20に向けて輸送される一方、負極層18に隣接する電子注入・輸送層19において電子が注入され、発光層20に向けて輸送される。そして、発光層20において、前記正孔と前記電子とが結合し、その際のエネルギーを利用して該発光層20内に含まれる発光材料がEL光(この実施例では緑色(波長:500nm))を生ずる。発光層20に生じた前記EL光は、約80%がその端部(外周)から外部に放射され、約20%がその層面から外部に放射されるが、EL発光手段3においては、発光層20が光反射層24及び光反射層16により挟まれているため、前記約20%の光もEL発光手段3の端部(外周)から外部に放射される結果、実質的には約100%のEL光がEL発光手段3の端部(外周)から放射される。
【0138】
前記光出射手段は、導光部材を有してなり、該導光部材は、図1及び図2に示すように、導光部(光導波路)1と、非導光部2と、光取出部9とを有してなる。
【0139】
導光部1は、線状導波路であり、光導波路として機能する。導光部1は、基板7上に形成したEL発光手段3の外周近傍に該EL発光手段3の端部(外周)との間隙が0.1mmとなるように、スピンコート法及びエッチング法により、発光材料としての上述したルブレンを10モル%含むポリメチルメタクリレート(屈折率:1.49)によるループ状構造の線状導波路である導光部1を厚みが4μm、幅が4μmとなるように、上記EL発光手段3の作製工程中、透明樹脂層23を作製した後、正極層22以降の作製に先立って形成した。前記ルブレンは、EL発光手段3における発光層20に生じたEL光5を内部に導光すると共に、該EL光5よりも長波長(波長:560nm)の光8(黄色)を発光(変調)する。なお、図1では、導光部1は、基板7上に直接設けられていないように見えるが、この実施例においては、導光部1の下の非導光部2には光反射層2及び透明樹脂層23が存在している。
【0140】
非導光部2は、基板7上に設けられた導光部1の表面を該基板7と共に覆うようにして、また、更にはEL発光手段3(有機EL素子)及び後述する光取出部9の表面までも覆うようにして設けられている。非導光部2は、蒸着法により、LiF(屈折率:1.39)を用いて形成されている。なお、該非導光部2は、EL発光手段3(有機EL素子)の表面も覆っていることから、該EL発光手段3(有機EL素子)の保護層としても機能する。
非導光部2は、導光部1の外周近傍に、該導光部1の端部(外周)形状と同形状であり、発光層20から放射されるEL光5であって導光部1を透過したものを導光部1に向けて反射する光反射部材(銀(Ag)で形成されたリング状構造反射膜)を有している。該光出射装置においては、発光層20の端部(外周)から放射されるEL光5のうち、導光部1に取り込まれず導光部1を透過したものが、導光部1に向けて反射されるため、発光層20の端部(外周)から放射されるEL光5の損失(例えば、接続損失)乃至減衰を生ずることなく効率的に導光部1によって導光される。
【0141】
光取出部9は、光導波路として機能し、光共振器となる導光部2から一部の光8を取り出し、出射光(出力光)10を外部に出射(出力)する。光取出部9は、基板7上に、フォトリソグラフィー法により、光透過性ポリイミド(特開2000−198842号公報参照(屈折率:1.6)を用い、厚みが4μm、幅が4μmとなるように形成した。光取出部9は、導光部1に対し、光学的接続に必要な、光波長程度の間隔(500nm)をもって配置されている。なお、光取出部9は、導光部1の形成と並行して行われる。
【0142】
この実施例の光出射装置においては、EL発光手段3が、発光層20において生じたエレクトロルミネッセンス(EL)光5の約100%が、その端部(外周)から放射される。このEL光5は、前記光出射手段における前記導光部材における導光部1内に取り込まれる。このとき、導光部1と発光層20とは光学的に接続されているため、該EL光5における、損失(接続損失、伝送損失など)乃至減衰が抑制乃至低減され、実質的な損失を伴うことなく、導光部1内に取り込まれる。そして、導光部1がループ状構造の線状導波路として設計されているので、EL発光手段3の発光層20のサイズ(面積)を調節することにより、光取出部9の先端部から出射される出射光(出力光)10の励起密度を所望の程度に調節することができ、該励起密度を十分に大きくすることができる。即ち、EL発光手段3における発光層20に生ずるEL光5の発光量は、該EL発光手段3における駆動電流密度を一定とすれば、EL発光手段3の半径の2乗に比例する、該EL発光手段3の発光層20のサイズ(面積)に比例するのに対し、該EL発光手段3に対向して位置する(該EL発光手段3を取り囲むようにして位置する)前記線状導波路である導光部1の長さは、前記EL発光手段3の半径の1乗に比例するため、該EL発光手段3における発光層20のサイズ(面積)が大きくなる程、前記線状導波路である導光部1における励起密度は単調に増加する。その結果、該光出射装置においては、EL発光手段3における発光層20のサイズ(面積)を適宜調節することにより、光取出部9の先端部から出射される出射光(出力光)をレーザー光とする(レーザー発振させる)ことができる。
【0143】
また、該光出射装置においては、導光部1において、前記発光材料であるルブレンが前記EL光5を吸収して励起状態となり、基底状態に戻るときに発光する(前記EL光5が該EL光とは異波長の光8に変調乃至増幅される)。このため、外部に前記EL光5とは異波長の光10が誘導放出(出射)される結果、出射光(出力光)10の強度、明るさ等に優れる。なお、このとき、EL発光手段3における発光層20に注入する電流注入量を増加していくと、発光層20において生ずるEL光5の強度乃至光量が増大するが、このEL光5の強度乃至光量の増大に伴って前記発光材料であるルブレンの励起密度も増大する。そして、前記ルブレンの励起密度が閾値を超えると、レーザー発振が生ずる。このとき、該光出射装置からはレーザー光である出射光(出力光)10が出射される。
【0144】
また、該光出射装置においては、導光部1がループ状構造を有するため、EL光5が導光部1内に導光された際、EL光5が導光部1内を周回する。そして、周回する光が、その位相と元の位相と一致する条件において共振が起こる結果、その共振条件の波長のレーザー光となり、該光出射装置からレーザー光が出射光(出力光)10として出射される。
【0145】
また、該光出射装置においては、EL光5が、導光部1の周囲から外部に漏出しようとしても、導光部1と非導光部2との屈折率差により、導光部1の外側を覆う非導光部2に進入することなく、該導光部1と非導光部2との界面で反射されて導光部1内を進行する。このため、導光部1は光導波路として機能し、導光部1内を進行する光8の外部への漏出が効果的に抑制され、導光部1内に導光する光の損失(例えば、伝送損失)乃至減衰が低減乃至抑制され、光強度の大きな出射光(出力光)10が出射可能である。
【0146】
以下、本発明の好ましい態様を付記すると、以下の通りである。
(付記1) EL光を生ずる発光層、及び、該発光層を挟むようにして配置され、該発光層に生じたEL光を透過させることなく遮光しかつ該EL光を前記発光層の端部のみから放射させる一対の遮光層とを少なくとも有してなるEL発光手段と、
前記発光層の端部から放射される前記EL光を導光し、該EL光と同波長乃至異波長の光を出射する光出射手段と、
を有することを特徴とする光出射装置。
(付記2) 光出射手段が、発光層の端部から放射されるEL光を導光する導光部材を備えた付記1から2のいずれかに記載の光出射装置。
(付記3) 導光部材が、導光部と非導光部とを有してなる付記2に記載の光出射装置。
(付記4) 導光部が、発光層から放射されるEL光を吸収し発光を生ずる発光材料を含む付記3に記載の光出射装置。
(付記5) 導光部がループ状構造を有し、導光部材が光共振器として機能する付記2から4のいずれかに記載の光出射装置。
(付記6) 発光材料の吸収ピーク波長が、EL発光手段における発光層に生じたEL光の発光ピーク波長に対し、±50nmに位置する付記5に記載の光出射装置。
(付記7) 発光材料が、導光部に均一に分散した付記5から6のいずれかに記載の光出射装置。
(付記8) 発光材料が、有機化合物である付記5から7のいずれかに記載の光出射装置。
(付記9) 非導光部の屈折率が、導光部の屈折率よりも低い付記4から8のいずれかに記載の光出射装置。
(付記10) 導光部が非導光部に埋め込まれた付記4から9のいずれかに記載の光出射装置。
(付記11) 導光部が、管状である付記4から10のいずれかに記載の光出射装置。
(付記12) 導光部の軸方向の断面形状が、略円形である付記4から11のいずれかに記載の光出射装置。
(付記13) 導光部が、発光層の外周近傍に配された付記4から12のいずれかに記載の光出射装置。
(付記14) 導光部材が、導光部の外周近傍に、発光層から放射されるEL光であって前記導光部を透過したものを前記導光部に向けて反射する光反射部材を有してなる付記3から13のいずれかに記載の光出射装置。
(付記15) 光出射手段が、導光部から光を取り出す光取出部を有する付記1から14のいずれかに記載の光出射装置。
(付記16) 光出射手段から出射される出射光の波長が、350〜800nmである付記1から15のいずれかに記載の光出射装置。
(付記17) EL発光手段がEL素子である付記1から16のいずれかに記載の光出射装置。
(付記18) 一対の遮光層が、正極層、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、負極層、保護層、及び光反射層から選択される2層である付記1から17のいずれかに記載の光出射装置。
(付記19) EL発光手段が、正極層及び負極層を有してなり、一対の遮光層が光反射層であり、該光反射層が前記正極層及び前記負極層よりも外側に配された付記1から18のいずれかに記載の光出射装置。
(付記20) EL発光を生ずる発光層の端部からEL光を放射させるEL光放射工程と、前記発光層から放射された前記EL光を導光し、該EL光と同波長乃至異波長の光を出射させる光出射工程とを含むことを特徴とする光出射方法。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明の光出射装置及び光出射方法は、各種分野において好適に使用することができ、例えば、線状光乃至レーザー光を出射可能なレーザー装置、レーザーポインタ、などとして好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】図1は、本発明の光出射装置の断面概略説明図である。
【図2】図2は、図1に示す光出射装置の平面概略説明図である。
【図3】図3は、本発明の光出射装置におけるEL光放射手段(EL素子)の一構造例を示す断面概略説明図である。
【図4】図4は、従来における光導波路型の有機ELレーザー装置の一例を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【0149】
1 導光部(光導波路)
2 非導光部
3 EL発光手段(EL素子)
4 導線
5 EL光
6 電源
7 基板
8 光
9 光取出部
10 出射光(出力光)
16 光反射層
17 透明絶縁層
18 負極層(陰極層)
19 電子注入・輸送層
20 発光層
21 正孔注入・輸送層
22 正極層(陽極層)
23 透明絶縁層
24 光反射層
25 基板
26 導体層(電極)
27 有機発光層
28 導体(電極)
29 EL光
30 クラッド層
31 コア層(光導波層)
32 クラッド層
33 出力光


【特許請求の範囲】
【請求項1】
EL光を生ずる発光層、及び、該発光層を挟むようにして配置され、該発光層に生じたEL光を透過させることなく遮光しかつ該EL光を前記発光層の端部のみから放射させる一対の遮光層とを少なくとも有してなるEL発光手段と、
前記発光層の端部から放射される前記EL光を導光し、該EL光と同波長乃至異波長の光を出射する光出射手段と、
を有することを特徴とする光出射装置。
【請求項2】
光出射手段が、発光層の端部から放射されるEL光を導光する導光部材を備えた請求項1に記載の光出射装置。
【請求項3】
導光部材が、EL光を導光する導光部と、前記EL光を導光しない非導光部とを有し、前記導光部が、発光層から放射されるEL光を吸収し発光を生ずる発光材料を含む請求項2に記載の光出射装置。
【請求項4】
導光部がループ状構造を有し、導光部材が光共振器として機能する請求項3に記載の光出射装置。
【請求項5】
導光部が、発光層の外周近傍に配された請求項3から4のいずれかに記載の光出射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−278494(P2006−278494A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−92331(P2005−92331)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】