説明

光受信器

【課題】周波数応答特性を劣化させることなく、結合効率及び受信性能を改善させた光受信器を提供する。
【解決手段】光送信器から出射される光信号は、複数の受光素子12aで個別に受光されて電気信号にそれぞれ変換される。複数の増幅部13aは、対応する受光素子12aで変換された電気信号をそれぞれ個別に増幅する。複数の識別部14aは、対応する増幅部13aから出力される増幅電気信号に基づいて、光信号の多値デジタルデータをそれぞれ個別に識別する。判定部15は、複数の識別部14aが出力する複数のデジタルデータを総合的に判定して、光受信器1から出力するデジタルデータを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号を用いてデータ通信を行う光受信器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光伝送システムとしては、光ファイバを用いて光信号を伝送する光ファイバ伝送や、光ファイバを用いずに自由空間中で光信号を伝送する光空間伝送等がある。これらの光伝送システムで用いる光受信器を考えた場合、送信側からの光信号をいかに効率よく受光素子(PD;フォトディテクタ)で受光するかが課題となっている。特に、光空間伝送では、光送信器と光受信器との間の光軸合わせを正確に行い、かつ、光ビームの拡がりをレンズ等を用いて抑えることで、光送信器から出力される光信号を光受信器の受光素子と結合させる必要がある。
【0003】
この光軸を合わせる方法としては、データ信号を重畳させた光信号とは別に、光軸合わせ用の光信号を送信して事前に光軸合わせを行い、この光軸合わせが完了した後にデータ信号を重畳させた光信号を伝送することで光空間伝送を実現する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平5−183513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した事前に光軸合わせを行う従来の方法において、光信号と受光素子との結合効率を高めるためには、光送信器から出射される光ビームの径を細く絞る必要がある。しかし、結合効率を効果的に高めるまで光ビームの径を細く絞ることは、技術的にも難しく、またある位置関係で光ビームを絞ったとしても、その位置関係がずれると結合効率も低下してしまう。よって、光ビームの径を細く絞る手法は、あまり現実的ではない。
【0005】
そこで、光ビームの径が大きい場合を考えると、図10の(b)に示すように受光素子100の受光径を大きくしないと結合効率を高めることができない。ところが、受光素子100の受光径が大きくなると、受光素子100が持つ容量が大きくなり、その結果周波数応答特性が劣化してデータ信号の伝送レートが制限される(伝送速度が遅くなる)という課題がある。
【0006】
また、光ビームの径が大きい場合の対策として、受光径が小さい受光素子を複数用い、この複数の受光素子で得られた信号をそれぞれ前置増幅した後に加算する手法が考えられる。しかし、このアナログ的な手法では、前置増幅後の加算信号が大振幅になり、後段の回路に非常に大きなダイナミックレンジが必要になるという問題がある。また、加算信号が大振幅になるため、光受信器の消費電力が大きくなるという問題がある。
【0007】
それ故に、本発明の目的は、受光素子の周波数応答特性を劣化させることなく、光受信器の結合効率及び受信性能を改善できる光受信器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光信号を用いてデータ通信を行う光受信器に向けられている。そして、上記目的を達成するために、本発明の光受信器は、複数の受光素子、複数の増幅部、複数の識別部、及び判定部を備える。複数の受光素子は、光信号を受光する。複数の増幅部は、複数の受光素子に対応して設けられ、各受光素子から出力される信号をそれぞれ増幅する。複数の識別部は、複数の増幅部に対応して設けられ、各増幅部から出力される信号に基づいて光信号のデジタルデータをそれぞれ識別する。判定部は、複数の識別部から出力される複数の識別されたデジタルデータを入力し、当該複数の識別されたデジタルデータに基づいて出力するデジタルデータを判定する。
【0009】
判定部は、複数の識別されたデジタルデータのうち、最も多く識別されたデジタルデータを、出力するデジタルデータとして判定することが好ましい。典型的には、複数の識別部は、2値デジタルデータを識別する。
【0010】
また、複数の増幅部に対応して設けられ、各増幅部から出力される信号の振幅レベルをそれぞれ検出する複数の検出部をさらに備えてもよい。この場合、判定部は、検出部で検出された振幅レベルに応じて複数の識別されたデジタルデータにそれぞれ重み付けをし、判定処理を行うことが可能となる。又は、判定部は、検出部で検出された振幅レベルが規定値より大きい識別されたデジタルデータだけを用いて、判定処理を行うことが可能となる。
【0011】
また、識別部は、増幅部から出力される信号の振幅が規定値より小さい場合には、判定部へのデジタルデータ出力を停止し、判定部は、識別部から出力される識別されたデジタルデータだけを用いて、判定処理を行ってもよい。この場合、対応する受光素子及び増幅部の動作をさらに停止させることもできる。
【0012】
さらには、受光素子の受光パワーを検出する受光パワー検出部と、受光パワー検出部で検出された受光パワーが規定値より小さい場合には、受光素子から増幅部への出力を停止する受光電流出力切り替え部とをさらに備えてもよい。この場合、受光電流出力切り替え部は、対応する増幅部及び識別部の動作をさらに停止させることもできる。
【発明の効果】
【0013】
上記本発明によれば、受光素子の周波数応答特性を劣化させることなく、光受信器の結合効率及び受信性能を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光受信器1の構成を示すブロック図である。図1において、第1の実施形態に係る光受信器1は、受光部12と、前置増幅部13と、データ識別部14と、判定部15とを備える。
【0015】
図示しない光送信器から出射される光信号は、受光部12で受光されて光−電気変換される。この受光部12は、複数の受光素子(PD;フォトディテクタ)12aで構成されており、各受光素子12aが、光信号をそれぞれ個別に受光して電気信号に変換する。この各受光素子12aは、光信号の変調速度に対して、十分な周波数応答特性を持つような受光面積を持つ。受光素子12aの結合効率を上げるためには、受光素子12aの受光径を大きくすればよいが、従来技術で説明した通り受光径が大きくなると周波数応答特性が劣化する。このため、本発明では、複数の受光素子12aを使用する形態を採用している。図1では、受光部12が5つの受光素子12aで構成される例を示している。
【0016】
前置増幅部13は、受光部12の複数の受光素子12aに対応して複数の増幅部13aを備えており、各受光素子12aで変換された電気信号をそれぞれ個別に増幅する。
データ識別部14は、前置増幅部13の複数の増幅部13aに対応して複数の識別部14aを備えており、各増幅部13aから出力される増幅電気信号に基づいて、光信号の多値デジタルデータをそれぞれ個別に識別する。例えば、データ識別部14において2値デジタルデータへの識別を行う場合、各識別部14aに予め規定値を持たせておき、増幅された電気信号が規定値を超えればデジタルデータ「1」、超えなければデジタルデータ「0」と識別することが考えられる。
【0017】
判定部15は、データ識別部14の複数の識別部14aが出力する複数のデジタルデータを総合的に判定して、光受信器1から出力するデジタルデータを決定する。この判定部15が行う典型的な判定手法としては、以下の手法が挙げられる。複数の識別部14aが出力する複数のデジタルデータのうち、数の多いデジタルデータを光受信器1から出力するデジタルデータとして決定する。例えば、5つの識別部14aが出力する複数のデジタルデータが「1、1、0、0、1」であった場合、数の多い「1」をデジタルデータとして決定するのである。
【0018】
このとき、前置増幅部13の複数の増幅部13aは、それぞれ独立に雑音を発生するため、各増幅部13aの受光パワーに対する符号誤り率特性は同じであっても、同じタイミングにおける符号誤りは各々独立に発生することになる。ここで、受光部12の各受光素子12aの受光パワーは同じであるものとし、そのときの前置増幅部13を構成する(2n+1)個の増幅部13aの符号誤り率を全て同じ「Pe1」で表現すると、光受信器1としての符号誤り率Peは、下記式(1)で与えられる。なお、下記式(1)では、各増幅部で生じる雑音が受光する光信号に存在する雑音に比べ支配的であるものとしている。
Pe ≒ n(2n+1)[Pe1]n+1 … (1)
【0019】
例えば、図1の例示した光受信器1のように増幅部13aが5個(n=2)の場合の計算を考える。n=2の場合の光受信器1の符号誤り率Peは、次のように計算される。
Pe = Pe1×Pe1Pe1×Pe1×(1−Pe1)
+Pe1×Pe1×Pe1×(1−Pe1)×Pe1
+Pe1×Pe1×(1−Pe1)×Pe1×Pe1
+Pe1×(1−Pe1)×Pe1×Pe1×Pe1
+(1−Pe1)×Pe1×Pe1×Pe1×Pe1
+Pe1×Pe1×Pe1×(1−Pe1)×(1−Pe1)
+Pe1×Pe1×(1−Pe1)×Pe1×(1−Pe1)
+Pe1×(1−Pe1)×Pe1×Pe1×(1−Pe1)
+(1−Pe1)×Pe1×Pe1×Pe1×(1−Pe1)
+Pe1×Pe1×(1−Pe1)×(1−Pe1)×Pe1
+Pe1×(1−Pe1)×Pe1×(1−Pe1)×Pe1
+(1−Pe1)×Pe1×Pe1×(1−Pe1)×Pe1
+Pe1×(1−Pe1)×(1−Pe1)×Pe1×Pe1
+(1−Pe1)×Pe1×(1−Pe1)×Pe1×Pe1
+(1−Pe1)×(1−Pe1)×Pe1×Pe1×Pe1
+Pe1×Pe1×Pe1×Pe1×Pe1
= 10[Pe1]3 −15[Pe1]4 −6[Pe1]5
≒ 10[Pe1]3(∵[Pe1]3 ≫[Pe1]4 ≫[Pe1]5
【0020】
ここで、仮にPe1が1E−3であるとすると、光受信器1としての符号誤り率Peは約1E−8となり改善されることが分かる。この符号誤り率特性を図2に示す。図2では、受光素子及び増幅部の数がそれぞれ、1個のときの符号誤り率特性を実線で、3個のときの符号誤り率特性を点線で、5個のときの符号誤り率特性を一点鎖線で示している。図2で分かるように、最小受光パワー(符号誤り率が1E−12となる受光パワー)は、受光素子及び増幅部が3個のときには約2dBが、5個のときには約3dBが改善される。
【0021】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る光受信器1によれば、受光素子12aの周波数応答特性を劣化させることなく、結合効率及び受信性能を改善させることができる。
【0022】
〔第2の実施形態〕
図3は、本発明の第2の実施形態に係る光受信器2の構成を示すブロック図である。図3において、第2の実施形態に係る光受信器2は、受光部12と、前置増幅部13と、データ識別部14と、判定部25と、振幅検出部26とを備える。
図3に示すように、第2の実施形態に係る光受信器2は、上記第1の実施形態に係る光受信器1に対して、判定部25及び振幅検出部26の構成が異なる。以下、同一構成部分には同一参照符号を付してその説明を省略し、上記異なる構成について第2の実施形態に係る光受信器2を説明する。
【0023】
振幅検出部26は、前置増幅部13の複数の増幅部13aに対応して複数の検出部26aを備えており、各増幅部13aが出力する電気信号の振幅レベルを検出する。この検出された振幅レベルの情報は、判定部25へ伝えられる。判定部25は、データ識別部24の複数の識別部14aが出力する複数のデジタルデータを、振幅検出部26から受ける振幅レベル情報に従った重み付けを考慮した上で判定し、光受信器2から出力するデジタルデータを決定する。
【0024】
典型的には、電気信号の振幅レベルに応じた重み付け係数をそれぞれのデジタルデータに付与する(例えば、9乗レベルに相当する振幅レベルであれば重み付けを大きく、3乗レベルに相当する振幅レベルであれば重み付けを小さくする)。そして、デジタルデータ毎に加算した重み付け係数の合計値を判定して、合計値が大きいデジタルデータを光受信器2から出力するデジタルデータとして決定する。
【0025】
また、規定値等を用いて振幅レベルが大きい上位数個のデジタルデータだけを対象にして判定し、数の多いデジタルデータを光受信器2から出力するデジタルデータとして決定してもよい。このとき、無効データとされたデジタルデータを処理する増幅部13a及び識別部14aの動作を停止すれば、消費電力を抑えることができる。なお、有効データとする数の判定を、規定値ではなく、振幅レベルの合計が所定の値、例えば符号誤り率がエラーフリー(1E−12)以上になるか否かで判定してもよい。
【0026】
以上のように、本発明の第2の実施形態に係る光受信器2によれば、増幅部13aが出力する電気信号の振幅レベルが大きければ信号の信頼性が高いと判断して、その信号の重み付けを大きくする。これにより、受光部12で受光するデジタルデータの値を、より正確に判定することができる。
【0027】
〔第3の実施形態〕
図4は、本発明の第3の実施形態に係る光受信器3の構成を示すブロック図である。図4において、第3の実施形態に係る光受信器3は、受光部12と、前置増幅部13と、データ識別部34と、判定部35とを備える。
図4に示すように、第3の実施形態に係る光受信器3は、上記第1の実施形態に係る光受信器1に対して、データ識別部34及び判定部35の構成が異なる。以下、同一構成部分には同一参照符号を付してその説明を省略し、上記異なる構成について第3の実施形態に係る光受信器3を説明する。
【0028】
データ識別部34は、前置増幅部13の複数の増幅部13aに対応して複数の識別部34aを備えており、各増幅部13aから出力される増幅電気信号に基づいて、光信号の多値デジタルデータをそれぞれ個別に識別する。この識別部34aは、予め定めた規定値を持っており、増幅電気信号が規定値以上である場合にだけ識別処理を行う。識別処理によって得られたデジタルデータは、データが出力されていることを示す「出力可」信号と共に、判定部14へ出力される。一方、増幅電気信号が規定値未満である場合、識別部34aは、判定部14へのデジタルデータの出力を停止して、データが出力されていないことを示す「出力不可」信号を判定部14へ出力すると共に、受光素子12a及び増幅部13aを電源オフ状態に制御して動作を停止させる。なお、この動作停止は、所定の期間(光送信器側の光信号出力サイクル等に従う)継続して行われ、所定の期間が経過すると次の光受信処理のために元の電源オン状態に復帰する。
【0029】
判定部35は、データ識別部34の複数の識別部34aが出力する複数のデジタルデータのうち、「出力可」信号が通知されているデジタルデータのみを判定に有効なデータであると判断して、光受信器3から出力するデジタルデータを決定する。この処理により、受光部12にある複数の受光素子12aのうち、受光パワーが弱い受光素子12aからの信号を遮断することができ、その結果符号誤りの発生要因を減少させることができる。
【0030】
以上のように、本発明の第3の実施形態に係る光受信器3によれば、増幅部13aが出力する電気信号の振幅レベルが小さければ符号誤り発生の要因となると判断して、その電気信号の出力を停止すると共に、関連する受光素子12a及び増幅部13aの動作を停止する。これにより、光受信器3の受信性能を改善することができると共に、消費電力を削減することができる。
【0031】
なお、上記第3の実施形態では、データ識別部34が前置増幅部13の出力信号振幅を判断して受光素子12a及び増幅部13aの動作を停止させる場合を説明したが、上記第2の実施形態で記載した判定部25に、同様の受光素子12a及び増幅部13aの動作停止機能を備えてもよい。また、この場合には、同時に識別部34aの動作を停止させてもよい。
【0032】
〔第4の実施形態〕
図5は、本発明の第4の実施形態に係る光受信器4の構成を示すブロック図である。図5において、第4の実施形態に係る光受信器4は、受光部42と、前置増幅部13と、データ識別部14と、判定部15とを備える。
図5に示すように、第4の実施形態に係る光受信器4は、上記第1の実施形態に係る光受信器1に対して、受光部42の構成が異なる。以下、同一構成部分には同一参照符号を付してその説明を省略し、上記異なる構成について第4の実施形態に係る光受信器4を説明する。
【0033】
受光部42は、複数の受光素子42a、及びその複数の受光素子42aに対応して設けられる受光パワー検出部42b及び受光電流出力切り替え部42cとで構成されている。各受光素子42aは、光信号をそれぞれ個別に受光して電気信号に変換する。各受光パワー検出部42bは、対応する受光素子42aの受光パワー(受光電流)を検出して、受光パワーが予め定めた規定値以上か否かを判断する。受光パワーが予め定めた規定値以上である場合、受光パワー検出部42bは、受光素子42aによって得られた受光パワーを前置増幅部13へ出力するように、受光電流出力切り替え部42cを制御する。一方、受光パワーが予め定めた規定値未満である場合、受光パワー検出部42bは、受光素子42aによって得られた受光パワーを前置増幅部13へ出力させないように、受光電流出力切り替え部42cを制御する。受光電流出力切り替え部42cは、受光パワー検出部42bの制御に従って、受光素子42aから増幅部13aへの出力動作/出力停止を切り替える。このとき同時に、受光電流出力切り替え部42cは、増幅部13a及び識別部14aの動作を停止しても構わない。
【0034】
以上のように、本発明の第4の実施形態に係る光受信器4によれば、受光素子42aの受光パワーを判断して、その受光パワーの出力を停止する。これにより、光受信器4の受信性能を改善することができる。
【0035】
次に、上述した第1〜第4の実施形態に係る光受信器1〜4を、実際に基板に組み込んで実現した場合の構造例を、図6〜図9を用いて説明する。
図6は、第1の実施形態に係る光受信器1を基板50に組み込んだ構造例を示す図である。この構造例では、ビームプロファイル(図6中の網掛け部分)を持つ光信号を効率よく受光できるように、5つの受光素子12aをクロス形状に配置している。
【0036】
ここで、図6のように、5つの受光素子12aをクロス形状に配置した場合、各受光素子12aから判定部15までの配線長が同じにならない。これは、各受光素子12aで受光された信号が判定部15へ到達するまでの時間に、差が生じる原因となる。そこで、図7のように、データ識別部14と判定部15との間に、時間差を吸収する遅延素子17aで構成される遅延部17を設けることが好ましい。
【0037】
また、図8に示すように、複数の受光素子12aの受光面側に、光送信器から送信される光信号を集光する集光レンズ18を設けてもよい。このような構造にすれば、光信号を複数の受光素子12aで効率よく受光することができる。
【0038】
さらに、図9に示すように、基板50が両面実装可能な基板であれば、一方面(表面)に複数の受光素子12aを実装し、他方面(裏面)に複数の増幅部13aを実装して、複数の受光素子12aと複数の増幅部13aとをスルーホール等を介して接続する構造も考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の光受信器は、自由空間中に光信号を伝送するシステム等に利用可能であり、特に、受光素子の周波数応答特性を劣化させることなく、結合効率及び受信性能を改善させたい場合等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光受信器1の構成を示すブロック図
【図2】図1の光受信器1の符号誤り率特性を示す図
【図3】本発明の第2の実施形態に係る光受信器2の構成を示すブロック図
【図4】本発明の第3の実施形態に係る光受信器3の構成を示すブロック図
【図5】本発明の第4の実施形態に係る光受信器4の構成を示すブロック図
【図6】本発明の光受信器1〜4を基板50に組み込んだ構造例を示す図
【図7】本発明の光受信器1〜4を基板50に組み込んだ構造例を示す図
【図8】本発明の光受信器1〜4を基板50に組み込んだ構造例を示す図
【図9】本発明の光受信器1〜4を基板50に組み込んだ構造例を示す図
【図10】従来の光受信器における課題を説明するための図
【符号の説明】
【0041】
1〜4 光受信器
12、42 受光部
12a、42a、100 受光素子
13 前置増幅部
13a 増幅部
14、34 データ識別部
14a、34a 識別部
15、25、35 判定部
17 遅延部
17a 遅延素子
18 集光レンズ
26 振幅検出部
26a 検出部
42b 受光パワー検出部
42c 受光電流出力切り替え部
50 基板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を用いてデータ通信を行う光受信器であって、
前記光信号を受光する複数の受光素子と、
前記複数の受光素子に対応して設けられ、各受光素子から出力される信号をそれぞれ増幅する複数の増幅部と、
前記複数の増幅部に対応して設けられ、各増幅部から出力される信号に基づいて前記光信号のデジタルデータをそれぞれ識別する複数の識別部と、
前記複数の識別部から出力される複数の識別されたデジタルデータを入力し、当該複数の識別されたデジタルデータに基づいて出力するデジタルデータを判定する判定部とを備える、光受信器。
【請求項2】
前記判定部は、前記複数の識別されたデジタルデータのうち、最も多く識別されたデジタルデータを、出力するデジタルデータとして判定することを特徴とする、請求項1に記載の光受信器。
【請求項3】
前記複数の識別部は、2値デジタルデータを識別することを特徴とする、請求項1に記載の光受信器。
【請求項4】
前記複数の増幅部に対応して設けられ、各増幅部から出力される信号の振幅レベルをそれぞれ検出する複数の検出部をさらに備え、
前記判定部は、前記検出部で検出された振幅レベルに応じて前記複数の識別されたデジタルデータにそれぞれ重み付けをし、判定処理を行うことを特徴とする、請求項1に記載の光受信器。
【請求項5】
前記複数の増幅部に対応して設けられ、各増幅部から出力される信号の振幅レベルをそれぞれ検出する複数の検出部をさらに備え、
前記判定部は、前記検出部で検出された振幅レベルが規定値より大きい識別されたデジタルデータだけを用いて、判定処理を行うことを特徴とする、請求項1に記載の光受信器。
【請求項6】
前記識別部は、前記増幅部から出力される信号の振幅が規定値より小さい場合には、前記判定部へのデジタルデータ出力を停止し、
前記判定部は、前記識別部から出力される識別されたデジタルデータだけを用いて、判定処理を行うことを特徴とする、請求項1に記載の光受信器。
【請求項7】
前記識別部は、前記増幅部から出力される信号の振幅が規定値より小さい場合には、対応する前記受光素子及び前記増幅部の動作をさらに停止させることを特徴とする、請求項6に記載の光受信器。
【請求項8】
前記受光素子の受光パワーを検出する受光パワー検出部と、
前記受光パワー検出部で検出された受光パワーが規定値より小さい場合には、前記受光素子から前記増幅部への出力を停止する受光電流出力切り替え部とをさらに備える、請求項1に記載の光受信器。
【請求項9】
前記受光電流出力切り替え部は、前記受光パワー検出部で検出された受光パワーが規定値より小さい場合には、対応する前記増幅部及び前記識別部の動作をさらに停止させることを特徴とする、請求項8に記載の光受信器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−203873(P2006−203873A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−367072(P2005−367072)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】