説明

光学デバイス

【課題】有害光の影響を低減するように配置されたフォトダイオードを提供する。
【解決手段】光ビームを生成する複数の光源3a、3b、3cと、複数の光源からの光ビームを重ね合わせて重合せ光ビームを生成するビームコンバイナ7と、重合せ光ビームを受けて一次光ビームと二次光ビームとに分割するビームスプリッタであり、二次光ビームの1つ又は複数の特性が一次光ビームの1つ又は複数の特性を示し、一次光ビームが通る第1の面17と、二次光ビームが通る第2の面19とを備える、ビームスプリッタ11と、ビームスプリッタの第1の面により放出される一次光ビームを反射し、一次光ビームを走査することができる、ミラー構成要素21と、二次光ビームの特性を検出するフォトダイオードとを備え、フォトダイオードは、第1又は第2の面と非平行とされ、ミラーに向けられる有害光の量を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は光学デバイスに関し、特に、限定的ではないが、有害光(prasitic light)の影響を低減するように配置されたフォトダイオードを備える光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]投影デバイスによって投影される光を制御することは極めて重要である。かかる制御は、投影画像のカラーバランスが環境及びシステムの温度ドリフトによって影響されないことを保証し、並びに明瞭で鮮鋭な画像が投影デバイスによって投影されることを保証するために必要である。
【0003】
[0003]投影デバイスよって投影された光を直接測定するように構成された光センサは投影された光を遮り、そのため、投影された画像の品質を損なうことになるので、投影デバイスによって投影される光の直接測定は一般に行われない。したがって、一般に、光センサは、光が投影される前に投影デバイス内で光を測定するように投影デバイス内にて位置決め配置される。光センサによって測定される光の特性は投影デバイスによって投影される光の特性と同じであると仮定され、事前に定めた特性を有する光を投影するための投影デバイスの制御は光センサによって測定された光に基づいて行われる。しかし、既存の投影デバイスでは、光が光センサによって感知された後、光は投影される前に1つ又は複数のさらなる光学要素を通過する。光がこれらのさらなる光学要素を通過するとき光損失が生じ、したがって、光センサによって測定された光の特性は投影デバイスによって投影される光の特性とは非常に異なることになる。したがって、事前に定めた特性を有する光を投影するための投影デバイスを正確に制御することができない。
【0004】
[0004]投影デバイス内の光センサなどの光学要素は有害な光を生成することになる。投影デバイス内の光学要素の配置は、投影デバイスによる有害な投影を最小にするために極めて重要である。投影デバイスによって投影された有害光は投影された画像の品質を損なうことがある。既存の投影デバイスでは、光センサなどの光学要素は有害光の投影を最小限にするように最適には配置されていない。
【0005】
[0005]さらに、例えば、投影デバイスが移動電話又はカメラに組み込まれることになる場合、投影デバイスのサイズを最小限にすることは極めて重要である。小さい投影デバイスでは、一般に、光を投影するのにMEMSマイクロミラーデバイスが使用される。既存の投影デバイスでは、MEMSマイクロミラーデバイスはパッケージに収容される。しかし、パッケージは、MEMSマイクロミラーを受け入れるのに少なくとも十分な大きさでなければならないので投影デバイスのサイズを増加させるという問題がある。そのようなパッケージを有する投影デバイスはいくつかの用途では大きすぎる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]本発明の目的は、上述の問題点の少なくともいくつかを除去又は緩和することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]本発明によれば、それぞれが光ビームを生成するように動作可能である複数の光源と、複数の光源からの光ビームを重ね合わせて重合せ光ビームを生成するように動作可能である少なくとも1つのビームコンバイナと、重合せ光ビームを受け、重合せ光ビームを一次光ビームと二次光ビームとに分割するように配置されるビームスプリッタであり、二次光ビームの1つ又は複数の特性が一次光ビームの1つ又は複数の特性を示し、ビームスプリッタから放出される一次光ビームが通る第1の面と、ビームスプリッタから放出される二次光ビームが通る第2の面とを備える、ビームスプリッタと、ミラーを備えるミラー構成要素であり、ミラーがビームスプリッタの第1の面により放出又は反射される一次光ビームを反射することができるように配置され、ミラーが少なくとも1つの揺動軸を中心にして揺動して一次光ビームを走査することができる、ミラー構成要素とを備える光学デバイスが提供される。この光学デバイスは、二次光ビームを受け、二次光ビームの1つ又は複数の特性を検出するように構成されるフォトダイオードをさらに備え、フォトダイオードは、ビームスプリッタの第1の面又は第2の面の少なくとも一方に対して平行な状態からずらされ、ミラーに向けられる有害光の量を低減するように構成される。
【0008】
[0008]光学デバイスは電荷結合素子(CCD)、例えば、CCDセンサ、CMOSセンサ、フォトダイオードアレイ、又は単一のフォトダイオードを含むことができる。
【0009】
[0009]任意選択的であるが、半反射又は半透過要素を、ビームスプリッタの代わりに、又はそれに加えて備えることができる。
【0010】
[0010]一般に、ミラーで反射される一次光ビームは、画像を表示スクリーン上に投影するのに使用される。
【0011】
[0011]ビームスプリッタの第1の面又は第2の面の少なくとも一方に対して平行な状態からずらされるようにフォトダイオードを配置することによって、フォトダイオードで生成された有害光はビームスプリッタから離れる方向に向けられることになり、その結果、有害光はビームスプリッタによってミラーに送出されないことになる。ビームスプリッタに到達するいかなる有害光もミラーの方向から離れる方向に偏向されることになる。したがって、フォトダイオードで生成された有害光はミラーによって受光されないことになる。一般に、一次光ビームは、ミラーで反射及び走査されると、画像を描き、したがって、一般に、ミラーは画像を表示スクリーン上に投影する。ミラーは有害光をほとんど受光しないことになるので、投影される画像の品質は改善されることになる。
【0012】
[0012]二次光ビームの1つ又は複数の特性は一次光ビームの1つ又は複数の特性を示すので、二次光ビームの検出された1つ又は複数の特性を使用して、走査のためにミラーに供給される一次光ビームの特性をモニタすることができる。
【0013】
[0013]1つ又は複数の特性は、光強度、光波長、光変調速度、光ビーム位置合わせ(1つ又は複数の光ビーム間の)、フォトダイオード表面での光ビームサイズ/形状、スペックルレベル、レーザモード、レーザ発散、非点収差、レーザビーム均一性、レーザ経年変化のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0014】
[0014]ミラー構成要素は、好ましくは、MEMSミラーデバイスである。MEMSミラーデバイスは光学MEMS(微小電気機械システム)を含むデバイスである。光学MEMSは、時間とともに光を移動及び偏向させるように構成された円柱、長方形、正方形マイクロミラーを備えることができる。マイクロミラーは、通常、ねじりアームによって固定部分に接続され、1つ又は2つの軸に沿って傾斜や揺動することができる。静電気、熱、電気磁気、又は圧電を含む様々な作動原理を使用することができる。MEMSマイクロミラーデバイスは既知であり、マイクロミラーの面積は約数mmである。MEMSマイクロミラーデバイスは、2つの揺動軸に沿って揺動して水平及び垂直の両方に沿って光を走査するように構成される単一のマイクロミラーを備えることができる。代替として、MEMSマイクロミラーデバイスは、第1の揺動軸に沿って揺動して水平に沿って光を走査するように構成される第1のMEMSマイクロミラーと、第2の揺動軸に沿って揺動して垂直に沿って光を走査するように構成される第2のMEMSマイクロミラーとを備えることができる。好ましくは、第1及び第2のMEMSマイクロミラーは、揺動軸が直交するように正確に位置づけられることになる。
【0015】
[0015]重合せ光ビームは、さらに、第1の面によりビームスプリッタに受け取られ得る。
【0016】
[0016]1つ又は複数の光源は1つ又は複数のレーザを備えることができる。
【0017】
[0017]フォトダイオードは、ビームスプリッタの第1の面及び第2の面の両方に対して平行な状態からずらされるようにさらに構成することができる。
【0018】
[0018]ビームスプリッタの第1の面は反射防止膜をさらに含むことができる。ビームスプリッタの第2の面は反射防止膜をさらに含むことができる。反射防止膜は、SiO、Si、MgO、MgF、Tiなどの誘電体材料又は金属酸化物の単層又は多層を含むことができる。
【0019】
[0019]光学デバイスは、一次光ビームの1つ又は複数の特性を示す二次光ビームの1つ又は複数の特性に関連するデータを受信し、一次光ビームの1つ又は複数の特性が1つ又は複数の事前に定めた特性に維持されるように複数の光源の各々を制御するようにフォトダイオードと動作可能に連通するコントローラをさらに備えることができる。
【0020】
[0020]光学デバイスは、二次光ビームが入射するフォトダイオード上の位置を検出するための検出手段をさらに備えることができる。これにより、光源(例えば、レーザ)の位置合わせ不良を検出できることになる。例えば、二次光ビームが、フォトダイオードの事前に定めた区域の外側であるフォトダイオード上の位置で検出される場合、光源のうちの1つ又は複数が位置合わせ不良であることを確認することができる。これは製造段階において特に有用であり、この段階において、ミラー構成要素を光学デバイスに組み込む前に、必要に応じて光源が位置合わせされているかどうかを検出するために検出手段を使用して試験を行うことができる。光源が正確に位置合わせされている(例えば、二次光ビームが入射されているフォトダイオード上の位置を検出するための検出手段が、事前に定めた区域の内側であるフォトダイオード上の位置に二次光ビームが入射していることを検出する)場合、光学デバイスはミラー構成要素を組み込むことによって完了することができる。しかし、多くの場合、例えば、製造欠陥又は取り扱い誤りのために、光源は正確に位置合わせされないことになる。位置合わせ不良の光源をもつ光学デバイスは適切に機能することができず、欠陥のある光学デバイスは処分されなければならない。光源が位置合わせされていないことを検出手段が示す(例えば、二次光ビームが入射されているフォトダイオード上の位置を検出するための検出手段が、事前に定めた区域の外側であるフォトダイオード上の位置に二次光ビームが入射していることを検出する)場合、ミラー構成要素が光学デバイスに組み込まれる前に光学デバイスを処分することができる。したがって、検出手段は、光源が正確に位置合わせされている光学デバイスにのみミラー構成要素を組み込むことができるようにする。
【0021】
[0021]光学デバイスは、ビームスプリッタがミラーと直接に光連通するように構成することができる。この場合、ビームスプリッタとミラーとの間に挿入される光学要素はなく、ミラーはいかなるさらなる光学要素も通過する必要なしにビームスプリッタから直接に一次光ビームを受光することができるので、一次光ビームがビームスプリッタからミラーまで通るとき光学損失がほとんど又はまったくないことになる。その結果、ビームスプリッタにおける一次光ビームの特性と、最終的にミラーに到達する一次光ビームの特性との間に差がほとんど又はまったくないことになる。したがって、ビームスプリッタにおいてフォトダイオードによって取得される二次光ビームの特性の測定値は、ミラーで受け取られる一次光ビームの特性を正確に示すことになる。したがって、ミラーに到達する一次光ビームのより正確な制御を実施することができ、その結果、ミラーで反射及び走査される一次光ビームのより正確な制御を達成することができる。ミラーで反射及び走査される一次光ビームを使用して画像を表示スクリーン上に投影する場合、本発明によって提供される、ミラーに到達する一次光ビームの改善された一層正確な制御により、投影画像の特性の制御を改善することができる。
【0022】
[0022]したがって、光学デバイスは、ミラーで反射された一次光ビームが通過することができるウィンドウ(窓部)を有するパッケージをさらに備えることができ、光学デバイスは、ビームスプリッタからの一次光ビームを受け、一次ビームをミラーに反射するように配置される反射面をさらに備え、反射面はウィンドウと一体化するように構成される。ウィンドウへの反射面の一体化はよりコンパクトな光学デバイスを可能にする。
【0023】
[0023]ビームコンバイナ、ビームスプリッタ、及びミラーは、ミラーで反射された一次光ビームのスペックルを低減させるために、ミラーで反射された一次光ビームが重合せ光ビームを通過するように配置することができる。重合せ光ビームはビームコンバイナからビームスプリッタまで通ることができる。ミラーで反射された一次光ビームの重合せ光ビームとの相互作用は、ミラーで反射された一次光ビームのスペックルを低減させる、すなわち、アンチスペックル効果を与える。スペックルの低減により、より鮮鋭な画像を光学デバイスによって表示スクリーン上に投影することができる。
【0024】
[0024]光学デバイスは、ミラーで反射された一次光ビームが通過することができるウィンドウをさらに備えることができ、ウィンドウは、それを通過する一次光ビームの光学特性を調整するように構成される。ウィンドウは、それを通過する一次光ビームを集束するように構成することができる。ウィンドウは、それを通過する一次光ビームを発散させるように構成することができる。ウィンドウは、それを通過する一次光ビームの方向を偏向するように構成することができる。例えば、ウィンドウは、一次光ビームが水平基準に対して45°の角度で投影されるように、水平基準に沿って進む一次光ビームを偏向するように構成することができる。
【0025】
[0025]光学デバイスはパッケージをさらに備えることができ、ミラー構成要素はパッケージの表面の少なくとも一部を画定する。パッケージは少なくとも複数の光源、ビームコンバイナ、ビームスプリッタ、及びフォトダイオードを収容することができる。
【0026】
[0026]ミラー構成要素はパッケージの上面及び下面の少なくとも一部を画定することができる。したがって、パッケージがミラー構成要素の上面及び下面を越えて延びる必要がないので、パッケージの全厚を低減することができる。
【0027】
[0027]ミラー構成要素はパッケージの4つの面の少なくとも一部を画定することができる。例えば、ミラー構成要素はパッケージの上面、下面、第1の側面、及び第2の側面の少なくとも一部を画定することができる。
【0028】
[0028]光学デバイスは、光源、フォトダイオード、及びミラー構成要素の各々を電気的に接続するように構成される単一の導電性部材を備えることができる。単一の導電性部材は可撓性材料を含むことができる。単一の導電性部材はモノフレックス回路を含むことができる。
【0029】
[0029]本発明のさらなる態様によれば、特許請求の範囲のいずれか一項に記載の光学デバイスを備える投影デバイスが提供される。
【0030】
[0030]本発明のさらなる態様によれば、複数の光源のそれぞれが光ビームを生成するように複数の光源を動作させるステップと、光ビームを重ね合わせて重合せ光ビームを生成するステップと、ビームスプリッタを使用して重合せ光ビームを一次光ビームと二次光ビームとに分割するステップであり、二次光ビームの特性が一次光ビームの特性を示し、ビームスプリッタは、ビームスプリッタから放出される一次光ビームが通る第1の面と、放出される二次光ビームが通る第2の面とを備える、ステップと、ビームスプリッタの第1の面又は第2の面の少なくとも一方に対して平行な状態からずらされるように構成されるフォトダイオードで二次光ビームを受けるステップと、フォトダイオードを使用して二次光ビームの1つ又は複数の特性を検出するステップと、二次光ビームの検出された1つ又は複数の特性を処理して一次光ビームの特性を決定するステップと、一次光ビームを走査して画像を表示スクリーン上に投影するステップとを含む画像を投影する方法が提供される。
【0031】
[0031]光学デバイスは電荷結合素子(CCD)、例えば、CCDセンサ、CMOSセンサ、フォトダイオードアレイ、又は単一のフォトダイオードを含むことができる。
【0032】
[0032]オプションとして、半反射又は半透過要素をビームスプリッタの代わりに備えることができる。
【0033】
[0033]この方法は、一次光ビームの1つ又は複数の特性が1つ又は複数の事前に定めた特性と一致するように複数の光源のうちの1つ又は複数を調整するステップをさらに含むことができる。
【0034】
[0034]本発明のさらなる態様によれば、光を反射し、1つ又は複数の揺動軸のまわりで揺動して反射光を走査することができるミラーと、複数の光学要素であり、ミラーが光を反射し、1つ又は複数の揺動軸を中心にして揺動して反射光を走査できるようにミラーに光を生成することができるように配置される、複数の光学要素とを備える光学デバイスが提供される。この光学デバイスは、ミラーと直接的な光連通状態にある光学要素と光連通するフォトダイオードをさらに備え、その結果、フォトダイオードは、前記光学要素によってミラーに送られる光の1つ又は複数の特性を検出することができる。
【0035】
[0035]光はミラーに到達する前にいかなるさらなる光学要素とも相互作用しないので、ミラーと直接に光連通する光学要素からミラーに光が進行するとき、光学損失がまったくないか、又は少なくとも極めて少ない。その結果、ミラーと直接に光連通する光学要素において測定された光の特性は、ミラーに到達する光の特性と同じ又は少なくともほとんど同じであることになる。したがって、ミラーと直接的な光連通状態にある光学要素と光連通するフォトダイオードを備えることによって、ミラーで反射及び走査される光の特性を正確に測定することができる。したがって、ミラーで反射及び走査された光はより正確に制御することができる。ミラーを使用して画像を投影する場合、本発明は、ミラーによって投影される光のより正確な特性決定を達成することができるので投影画像の特性の制御を改善することができる。
【0036】
[0036]本発明のさらなる態様によれば、1つ又は複数の光学要素を収容するのに好適なパッケージモジュールが提供され、パッケージモジュールはミラー構成要素と協同してパッケージを形成することができるように構成され、ミラー構成要素はパッケージの表面の少なくとも一部を画定する。
【0037】
[0037]本発明のさらなる態様によれば、1つ又は複数の光学要素を収容するパッケージを備える光学デバイスが提供され、光学デバイスはミラー構成要素を備え、ミラー構成要素はパッケージの表面の少なくとも一部を画定するように構成される。
【0038】
[0038]上述の態様の各々において、ミラー構成要素はパッケージの上面及び下面の少なくとも一部を画定することができる。
【0039】
[0039]上述の態様の各々において、ミラー構成要素はパッケージの4つの面の少なくとも一部を画定することができる。例えば、ミラー構成要素はパッケージの上面、下面、第1の側面、及び第2の側面の少なくとも一部を画定することができる。
【0040】
[0040]上述の態様/実施形態の各々において、ミラー構成要素は、好ましくは、MEMSマイクロミラーデバイスである。
【0041】
[0041]複数の光源はレーザを備えることができる。
【0042】
[0042]本発明は、例示としてのみ与えられ、図で示される実施形態の説明を用いて一層よく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態による光学デバイスの上面図である。
【図2a】図1に示された光学デバイス1におけるビームスプリッタ11及びフォトダイオード29の様々な想定し得る構成の一つを示す側面図である。
【図2b】図1に示された光学デバイス1におけるビームスプリッタ11及びフォトダイオード29の様々な想定し得る構成の一つを示す側面図である。
【図2c】図1に示された光学デバイス1におけるビームスプリッタ11及びフォトダイオード29の様々な想定し得る構成の一つを示す側面図である。
【図3】図1のデバイスで使用される単一の導電性部材の斜視図である。
【図4a】図1のデバイスで使用することができるウィンドウの斜視図である。
【図4b】図1のデバイスで使用することができるウィンドウの斜視図である。
【図4c】図1のデバイスで使用することができるウィンドウの斜視図である。
【図4d】図1のデバイスで使用することができるウィンドウの斜視図である。
【図4e】プリズムの側面図である。
【図4f】プリズムの側面図である。
【図4g】ウィンドウに加えて又は代替として備えることができる反射板の側面図である。
【図5】本発明のさらなる実施形態による光学デバイスの上面図である。
【図6a】本発明による光学デバイスのパッケージの上面図である。
【図6b】本発明による光学デバイスのパッケージの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
[0043]図1は、本発明の一実施形態による光学デバイスの上面図である。
【0045】
[0044]光学デバイス1は、それぞれが光ビーム5a、5b、5cを放出するように動作可能である3つの光源3a、3b、3cを備える。好ましくは、光源3a、3b、3cはレーザの形態である。この特定の例では、光源3aは赤色光ビーム5aを放出し、光源3bは緑色光ビーム5bを放出し、光源3cは青色光ビームを5c放出する。本発明はこの特定の色配列を有することに限定されず、光源3a、3b、3cは任意の他の色配列を有することができ、例えば、光源3aは緑色光ビームを放出することができ、光源3bは青色光ビームを放出することができ、光源3cは赤色光ビームを放出することができることを理解されたい。
【0046】
[0045]放出された光ビーム5a、5b、5cは、これらの光ビームを重ね合わせて重合せ光ビーム9を生成するビームコンバイナ7に向けられる。ビームコンバイナは、任意選択的ではあるが、単一部品で設定することができ、また、例えばビームコンバイナ7は図1に示された光学デバイス1の場合のように3つの半反射ウィンドウ7a、7b、7cで設定することができるよう、複数の部品で設定することができる。
【0047】
[0046]光学デバイス1はビームスプリッタ11をさらに備える。ビームスプリッタ11は、重合せ光ビーム9を受け、重合せ光ビーム9を一次光ビーム13と二次光ビーム15とに分割するように配置される。一次光ビーム13が表示スクリーン上に投影される際、投影画像が表示スクリーンに現われるように、一次光ビーム13は画像の一連の画素を画定するように構成される。二次光ビーム15の1つ又は複数の特性は一次光ビーム13の1つ又は複数の特性を示す。例えば、二次光ビーム15の輝度又は強度は一次光ビーム13の輝度又は強度に比例し、又は二次光ビーム15の赤色、緑色及び青色の光の割合は一次光ビーム13の赤色、緑色及び青色の光の割合と同じである。
【0048】
[0047]ビームスプリッタ11は第1の面17を有し、ビームスプリッタ11は第1の面17を通して重合せ光ビーム9を受け、一次光ビーム13が第1の面17を通してビームスプリッタ11から放出される。ビームスプリッタ11は第2の面19をさらに含み、二次光ビーム15が第2の面19を通してビームスプリッタ11から放出される。ビームスプリッタ11の第1の面17及び第2の面19はそれぞれ反射防止膜33を有する。反射防止膜33は、SiO、Si、MgO、MgF、Tiなどの誘電体材料又は金属酸化物の単層又は多層からなるものとすることができる。
【0049】
[0048]光学デバイス1はMEMSマイクロミラーデバイス21の形態のミラー構成要素をさらに備える。MEMSマイクロミラーデバイス21はMEMSマイクロミラー23を備え、MEMSマイクロミラー23は、ビームスプリッタ11から受けた一次光ビーム13を表示スクリーン27に反射することができるように配置される。MEMSマイクロミラー23は、さらに、一次光ビーム13を走査するために少なくとも1本の揺動軸を中心にして揺動することができ、特定の例では、MEMSマイクロミラー23は2本の直交揺動軸を中心にして揺動することができるように構成され、その結果、MEMSマイクロミラー23は表示スクリーン27に沿って水平方向及び垂直方向の両方に光を走査することができる。MEMSマイクロミラー23で反射及び走査された一次光ビーム13は表示スクリーン27に画像25、すなわち投影画像25を描く。
【0050】
[0049]光学デバイス1はフォトダイオード29を備える。フォトダイオード29はビームスプリッタ11からの二次光ビーム15を受けるように構成される。フォトダイオード29は二次光ビーム15の1つ又は複数の特性を検出するように構成され、例えば、フォトダイオード29は二次光ビーム15の輝度若しくは強度及び/又は二次光ビーム15の赤色、緑色及び青色の光の割合を検出するように構成される。二次光ビーム15の特性は一次光ビーム13の1つ又は複数の特性を示すか、又はそれに比例するので、二次光ビーム15の検出された特性は、MEMSマイクロミラー23によって投影される一次光ビーム13の特性をモニタするのに使用することができる。投影画像25の光学特性は一次光ビーム13の特性を制御することによって制御することができる。
【0051】
[0050]フォトダイオード29は、ビームスプリッタ11の第2の面19に対して平行な状態からずれるように配置される。ビームスプリッタ11の第2の面19に対して平行な状態からずれるようにフォトダイオード29を配置することによって、フォトダイオード29で生成された有害光31は、一般に、ビームスプリッタ11から離れる方向に向けられることになり、その結果、有害光31はビームスプリッタ11によってMEMSマイクロミラー23には伝えられないことになる。ビームスプリッタ11に到達するいかなる有害光もビームスプリッタ11によってMEMSマイクロミラー23から離れた方向に偏向されることになる。ビームスプリッタ11の反射防止膜33は、有害光31をMEMSマイクロミラー23から離れた方向に偏向させるビームスプリッタの能力をさらに強化することになる。したがって、フォトダイオード29で生成された有害光はMEMSマイクロミラー23によって受光さないことになる。MEMSマイクロミラー23は有害光をほとんど受光されないことになるので、表示スクリーン27上に投影される画像25の質は改善されることになる。図1に示された特定の例では、フォトダイオード29は、ビームスプリッタ11の第1の面17に対して平行な状態から同様に外れるように配置される。
【0052】
[0051]図1に示されるように、ビームコンバイナ7(この例では3つの半反射ウィンドウ7a、7b、7cで定義される)、ビームスプリッタ11、MEMSマイクロミラーデバイス21は、MEMSマイクロミラー23で反射される一次光ビーム13がビームコンバイナ7からビームスプリッタ11まで通る重合せ光ビーム9を通過するように配置される。これは、MEMSマイクロミラー23で反射される一次光ビーム13のスペックルを低減する効果がある。スペックルを低減すると、より明瞭でよりシャープな投影画像25が可能になる。
【0053】
[0052]光学デバイス1はコントローラ32をさらに備える。このコントローラ32は、フォトダイオード29によって測定される二次光ビームの1つ又は複数の特性に関連するデータを受信するためにフォトダイオード29と動作可能に連通する。コントローラ32は二次光ビームの1つ又は複数の特性に関連するデータを処理して、一次光ビーム13の1つ又は複数の特性に関連するデータを生成することができる。コントローラ32は、さらに、光源3a、3b、3cの各々と動作可能に連通し、一次光ビーム13の1つ又は複数の特性が1つ又は複数の事前に定めた特性に維持されるように光源3a、3b、3cの各々を制御することができる。一次光ビーム13を制御することによって、投影画像25の光の特性が制御される。したがって、一次光ビーム13の特性が1つ又は複数の事前に定めた特性に維持されるように一次光ビーム13の特性を制御することによって、投影画像25の光学特性を事前に定めた光学特性に維持することができる。コントローラ32はマイクロコントローラとすることができ、コントローラ32は別のデジタル処理装置(マイクロコントローラ、FPGAなど)とさらに連通して、情報を共有するか、又はアルゴリズムを計算若しくは実行することができることに留意するべきである。
【0054】
[0053]光学デバイス1は表示スクリーン27上に画像25を投影するように動作させることができる。動作中、光源3a、3b、3cは、それぞれ、赤色光ビーム5a、緑色光ビーム5b、及び青色光ビーム5cを放出するように動作する。光ビーム5a、5b、5cはビームコンバイナ7で重ね合わされて重合せ光ビーム9となる。次に、ビームスプリッタ11は重合せ光ビーム9を一次光ビーム13と二次光ビーム15とに分割する。ここで、二次光ビーム15の特性は一次光ビーム13の特性を示す。一次光ビーム13はビームスプリッタ11の第1の面17を通してビームスプリッタ11から放出され、二次光ビームはビームスプリッタ11の第2の面19を通してビームスプリッタ11から放出される。二次光ビーム15は、ビームスプリッタ11の第2の面19に対して平行な状態からずれるように構成されるフォトダイオード29で受光される。二次光ビーム15の1つ又は複数の特性はフォトダイオード29を使用して検出される。フォトダイオード29によって検出された二次光ビーム15の1つ又は複数の特性を処理して、一次光ビーム13の特性が決定される。光源3a、3b、3cは、一次光ビーム13の決定された特性が事前に定めた特性と一致するようにコントローラ32によって調整することができる。MEMSマイクロミラーデバイス21のMEMSマイクロミラー23は一次光ビーム13を表示スクリーン27の方に反射し、揺動軸を中心にして揺動して表示スクリーンの端から端まで一次光ビーム13を走査し、表示スクリーン27上に投影画像25を表示する。一次光ビーム13の決定された特性が事前に定めた特性と一致するように光源3a、3b、3cを制御することによって、投影画像25の光学特性を事前に定めた光学特性に維持することができる。
【0055】
[0054]光学デバイス1は、二次光ビーム15が入射するフォトダイオード29上の位置を検出するための検出手段35をさらに備える。この検出手段35はフォトダイオード29と一体化するように構成することができる。これにより、光源3a、3b、3cの位置合わせ不良を検出できることになる。例えば、二次光ビーム15が、フォトダイオード29の事前に定めた区域の外側であるフォトダイオード29上の位置で検出される場合、光源3a、3b、3cのうちの1つ又は複数が位置合わせ不良であることを確認することができる。これは製造段階において特に有用であり、この段階において、MEMSマイクロミラーデバイス21を光学デバイスに組み込む前に、必要に応じて光源3a、3b、3cが位置合わせされているかどうかを検出するために検出手段35を使用して試験を行うことができる。光源3a、3b、3cが正確に位置合わせされている(例えば、二次光ビーム15が入射しているフォトダイオード29上の位置を検出するための検出手段35が、事前に定めた区域の内側であるフォトダイオード29上の位置に二次光ビーム15が入射していることを検出する)場合、光学デバイス1はMEMSマイクロミラーデバイス21を組み込むことによって完了することができる。しかし、多くの場合、例えば、製造欠陥又は取り扱い誤りのために、光源3a、3b、3cは正確に位置合わせされないことになる。位置合わせ不良の光源3a、3b、3cを有する光学デバイス1は適切に機能することができず、欠陥のある光学デバイスは処分されなければならない。光源3a、3b、3cが位置合わせされていないことを検出手段35が示す(例えば、事前に定めた区域の外側であるフォトダイオード29上の位置に二次光ビーム15が入射していることを検出手段35が検出する)場合、MEMSマイクロミラーデバイス21が光学デバイス1に組み込まれる前に光学デバイス1を処分することができる。したがって、検出手段35は、光源3a、3b、3cが正確に位置合わせされている光学デバイス1にのみMEMSマイクロミラーデバイス21を組み込むことができるようにするものである。
【0056】
[0055]図1に示された実施形態では、光学デバイス1は、ビームスプリッタ11がMEMSマイクロミラーデバイス21のMEMSマイクロミラー23と直接に光連通するように構成される。したがって、ビームスプリッタ11とMEMSマイクロミラー23との間に挿入される光学要素はない。MEMSマイクロミラー23はいかなるさらなる光学要素も通過する必要なしにビームスプリッタ11から直接に一次光ビーム13を受け取るので、一次光ビーム13がビームスプリッタ11からMEMSマイクロミラー23まで通るとき光学損失がほとんど又はまったくないことになる。その結果、ビームスプリッタ11における一次光ビーム13の特性と、最終的にMEMSマイクロミラー23に到達し、反射される一次光ビーム13の特性との間に差がほとんど又はまったくないことになる。したがって、ビームスプリッタ11においてフォトダイオード29によって取得される二次光ビーム15の特性の測定値は、MEMSマイクロミラー23で受け取られ、反射される一次光ビーム13の特性を正確に示すことになる。結果として、それにより、MEMSマイクロミラー23に到達する一次光ビーム13のより正確な制御を実施することができ、その結果、MEMSマイクロミラー23で反射及び走査される一次光ビーム13のより正確な制御を達成することができる。これにより、投影画像25の光学特性をより正確に制御することができる。
【0057】
[0056]図2a〜図cは、図1に示された光学デバイス1におけるビームスプリッタ11及びフォトダイオード29の様々な想定し得る構成の側面図である。図2aは、ビームスプリッタの第1の面17と第2の面19とが平行である標準のビームスプリッタ11を示す。フォトダイオード29は、ビームスプリッタ11の第1の面17及び第2の面19の両方に対して平行な状態からずれるように配置される。図1に示された光学デバイスでは、ビームスプリッタ11及びフォトダイオード29は図2aに示されたように配置されている。しかし、本発明が機能するには、フォトダイオード29は、第1の面17又は第2の面19のうちの少なくとも一方との平行からずれているだけでよいことを理解すべきである。したがって、本発明の有利な効果を得るには、フォトダイオード29は、ビームスプリッタ11の第1の面17又は第2の面19に対する平行状態からずれるように配置されるだけでよい。図2b及び図2cはビームスプリッタ11及びフォトダイオード29の想定し得る構成を示し、フォトダイオード29は、ビームスプリッタ11の第1の面17又は第2の面19の一方との平行状態からずれている。
【0058】
[0057]図2bはビームスプリッタ11bを示し、図2aに示されたビームスプリッタ11とは異なり、ビームスプリッタ11bの第1の面17bと第2の面19bとは平行でなく、ビームスプリッタ11bはくさび形となっている。ビームスプリッタ11bは、その第1の面17bが垂直であり、ビームスプリッタ11bの第2の面19bがその垂直な基準から外れるように構成される。フォトダイオード29はビームスプリッタ11bの第2の面19bに平行であるように配置される。ビームスプリッタ11bの第1の面17bと第2の面19bとは平行でないので、フォトダイオード29を第2の面19bと平行になるように配置することによって、フォトダイオード29はビームスプリッタ11bの第1の面17bに対して平行な状態からずれるように配置されることになる。図2bに示された特定の例では、フォトダイオード29はビームスプリッタ11bの第2の面19bに固定される。任意の好適な固定手段を使用して、ビームスプリッタ11bの第2の面19bにフォトダイオード29を固定することができる。
【0059】
[0058]図2cは、図1に示された光学デバイス1のビームスプリッタ11及びフォトダイオード29のさらなる想定し得る構成を示す。図2cに示された構成は図2bに示されたものと同様であり、ビームスプリッタ11cの第1の面17cと第2の面19cとは平行でなく、ビームスプリッタはくさび形である。図2bに示された構成とは異なり、ビームスプリッタ11cの第2の面19cが垂直であり、ビームスプリッタ11cの第1の面17cはその垂直の基準からずれている。フォトダイオード29は第2の面19cに平行であるように配置される。ビームスプリッタ11cの第1の面17cと第2の面19cとは平行でないので、フォトダイオード29を第2の面19cと平行になるように配置することによって、フォトダイオード29はビームスプリッタ11cの第1の面17cに対して平行な状態からずれるように配置されることになる。図2cに示された特定の例では、フォトダイオード29はビームスプリッタ11cの第2の面19cに固定される。任意の好適な固定手段を使用して、ビームスプリッタ11cの第2の面19cにフォトダイオード29を固定することができる。光学デバイス1のさらなる特徴は、光学デバイス1が、光源3a、3b、3c、フォトダイオード29、及びMEMSマイクロミラーデバイス21の各々を電気的に接続するように構成される単一の導電性部材を備えることである。単一の導電性部材は、光源3a、3b、3c、フォトダイオード29、及びMEMSマイクロミラーデバイス21の各々と、検出手段35と、コントローラ32とを電気的に接続することができる。図3は、図1の光学デバイスで使用される単一の導電性部材40の斜視図である。図3は、光学デバイス1から分離された単一の導電性部材40を示す。単一の導電性部材40は可撓性材料を含み、それにより、単一の導電性部材40は必要に応じて曲げることができる。
【0060】
[0059]図3に示されるように、単一の導電性部材40は5つの電気接点41a〜41eを含み、電気接点41a〜41cはそれぞれ光源3a、3b、3cの各々との電気的接続を行うために使用され、電気接点41dはフォトダイオード29との電気的接続を行うために使用され、電気接点41eはMEMSマイクロミラーデバイス21との電気的接続を行うために使用される。単一の導電性部材40は、5つの電気接点41a〜eの各々を電気的に接続する主導電性プラットフォーム43を含む。導電性部材40は任意の数の電気接点を備えることができることは理解されよう。導電性部材40に設けられる電気接点の数は、導電性部材が電気的に接続することになる構成要素の数によって定められる。
【0061】
[0060]図1に示された光学デバイス1はパッケージ37をさらに備える。パッケージ37は光源3a、3b、3c、ビームコンバイナ7、ビームスプリッタ11、及びフォトダイオード29を収容する。パッケージ37は、さらに、MEMSマイクロミラーデバイス21を収容するように構成することができ、又は代替として、後で説明するように、MEMSマイクロミラーデバイス21がパッケージ37の一部を画定することができる。
【0062】
[0061]ウィンドウ(窓部)39がパッケージ37に設けられる。MEMSマイクロミラー23で反射された光はウィンドウ39を通してパッケージ37の内部から放出することができ、その結果、光は表示スクリーン27に入射して、表示スクリーン27に投影画像25を投影することができる。ウィンドウ39は任意の好適な構成を有することができる。ウィンドウ39は、それを通過する光の光学特性を調整するように構成することができる。ウィンドウ39は、必要に応じて、それを通過する光の光学特性を調整するのに必要とされる任意の好適な構成をとることができる。図4a〜図4eは、如何にすればウィンドウ39を通過する光45の光学特性を調整するようにウィンドウ39を構成することができるかの例を示す斜視図である。図4aは、如何にしてウィンドウ39を通過する光45の方向を変えるように構成することができるか、すなわち、如何にして光45を上方に偏向するように構成することができるかを示している。任意選択的ではあるが、図4aに示されたウィンドウ39は、光45が垂直に向けられる、すなわち、光45がウィンドウ39から出射されるとき、光45がウィンドウ39に入射した水平方向から垂直方向に90度偏向されるように光45の方向を偏向するように構成することができる。図4bは、如何にしてウィンドウ39を通過する光45を発散させるようにウィンドウ39を構成するかを示す。光45の発散は投影画像25のサイズを拡大することになる。図4cは、如何にしてウィンドウ39を通過する光45を集束するようにウィンドウ39を構成するかを示す。光を集束すると、投影画像のサイズは縮小され、画像輝度が増強されることになる。図4dは、光45の方向が変わらないままであるようにウィンドウ39を構成することができることを示す。図4eは、ウィンドウ39のさらに想定し得る構成を示す。図4eは、プリズム46によってウィンドウ39を画定することができることを示す。図4eに示されたプリズム46は5つの側面を有する。プリズム46は任意の数の側面を有することができ、5つの側面を有することに限定されないことが理解されよう。5つの側面を有するプリズム46はペンタプリズム46と称される。ペンタプリズム46は、図4eに示されるように、水平方向から垂直方向に光45を偏向することができる。ウィンドウ39は、ウィンドウ39の1つ又は複数の面に設けられるアンチスペックル層44をさらに含むことができる。アンチスペックル層44は、光45がウィンドウ39を通って投影スクリーン上に投影されるときに生じるスペックル効果を低減することになる。
【0063】
[0062]ウィンドウ39に加えて、又は、ウィンドウ39の代替として、MEMSマイクロミラー23で反射された光はパッケージ37の内部からプリズム47又は反射板48に放出することができる。図4f及び図4gはそれぞれプリズム47及び反射板48を示す。プリズム47は水平基準に対して45°で配置される面49を有するが、プリズム47は、代替として、水平基準に対して任意の他の角度で配置される面49を有するように構成することができることが理解されよう。反射板48も、水平基準に対して45°に向けられていることが示されている。プリズム47及び反射板48は、水平方向から垂直方向に光45を偏向することができるように向けられている。しかし、プリズム47及び反射板48は、任意の他の方向に光45を偏向するように任意の他の特定の方向に向けられ得ることが理解されよう。ウィンドウ39とは異なり、光45はプリズム47又は反射板48を通過しない。
【0064】
[0063] ウィンドウ39に加えてプリズム47又は反射板48が使用される場合、プリズム47又は反射板48は、ウィンドウ39を通過する光45を受けるように光学デバイス1に配置される。プリズム47又は反射板48がウィンドウ39の代替として使用される場合、プリズム47又は反射板48はMEMSマイクロミラー23で反射された光を直接に受けるように光学デバイス1に配置される。
【0065】
[0064]プリズム47及び/又は反射板48は、プリズム47及び/又は反射板48の1つ又は複数の面にアンチスペックル層(図示せず)をさらに備えることができる。アンチスペックル層は、光45が投影スクリーン上に投影されるときに生じるスペックル効果を低減することになる。
【0066】
[0065]図5は本発明のさらなる実施形態による光学デバイス50の上面図である。光学デバイス50は、図1に示された光学デバイス1と同じ特徴的構成の多くを有し、同様の特徴的構成は同じ参照番号が与えられる。図1に示された光学デバイス1とは異なり、ビームスプリッタ11及びフォトダイオードは、MEMSマイクロミラー23で反射された一次光ビーム13が重合せ光ビーム9を通過しないように配置されている。
【0067】
[0066]光学デバイス50は、ウィンドウ39と一体化した反射面51の形態の反射手段をさらに備える。反射面51は、ビームスプリッタ11からの一次光ビーム13を受け取り、一次光ビーム13をMEMSマイクロミラーデバイス21のMEMSマイクロミラー23に反射するように配置される。一般に、先行技術デバイスでは、反射手段は別個の反射ミラー構成要素として設けられるが、しかし、本発明は、有利には、反射面51をウィンドウ39と一体化することによってよりコンパクトな光学デバイス50を達成する。光学デバイス50は、さらに、先行技術の光学デバイスと比較して個別の光学要素がより少ないことになる。
【0068】
[0067]図6aは、上述の光学デバイス1、50の各々で使用されるパッケージ37の想定し得る構成の上面図である。図6bは、図6aに示されたパッケージ37の背面図である。
【0069】
[0068]図6aから分かるように、パッケージ37は、MEMSマイクロミラーデバイス21がパッケージ37の面61、63、65、67の少なくとも一部を画定できるように構成される。図6aは、MEMSマイクロミラーデバイス21の上面69がパッケージ37の上面61の一部を画定することを示す。MEMSマイクロミラーデバイス21の側面73、75は、さらに、それぞれパッケージ37の側面63、65の一部を画定する。図6bから一層明確に分かるように、MEMSマイクロミラーデバイス21の下面71は、さらに、パッケージ37の下面67の一部を画定する。したがって、MEMSマイクロミラーデバイス21は、パッケージ37の面61、63、65、67の各々の一部を画定する。パッケージ37は、代替として、MEMSマイクロミラーデバイス21がパッケージ37の面61、63、65、67のいくつかのみの一部を画定するように構成することができ、例えば、パッケージ37は、MEMSマイクロミラーデバイス21の上面69及びMEMSマイクロミラーデバイス21の下面71のみがパッケージ37の上面61及び下面67のみの一部をそれぞれ画定できるように構成することができることが理解されるべきである。
【0070】
[0069]MEMSマイクロミラーデバイス21がパッケージ37の面61、63、65、67の少なくとも一部を画定するので、光学デバイス1、50はよりコンパクトになり、有効である。例えば、MEMSマイクロミラーデバイス21の上面69及び下面71がそれぞれパッケージ37の上面61及び下面67の一部を画定する場合、パッケージ37がMEMSマイクロミラーデバイス21の上面69及び下面71を越えて延びないことになるので光学デバイス1、50の全厚を低減することができる。そのような場合、光学デバイス1、50の厚さ「t」はMEMSマイクロミラーデバイス21の厚さ「T」を超えないことになる。光学デバイス1、50の全厚「t」が低減されるので、よりコンパクトな光学デバイス1、50を達成することができる。
【0071】
[0070]本発明の説明された実施形態への様々な変形及び変更が、添付の特許請求の範囲で定義されるような本発明の範囲から逸脱することなく当業者には明らかであろう。本発明が特定の好ましい実施形態に関連して説明されたが、特許請求される本発明はそのような特定の実施形態に不当に限定されるべきでないことが理解されなければならない。
【符号の説明】
【0072】
1 光学デバイス
3a、3b、3c 光源
5a 赤色光ビーム
5b 緑色光ビーム
5c 青色光ビーム
7 ビームコンバイナ
7a、7b、7c 半反射ウィンドウ
9 重合せ光ビーム
11、11b、11c ビームスプリッタ
13 一次光ビーム
15 二次光ビーム
17、17b、17c 第1の面
19、19b、19c 第2の面
21 MEMSマイクロミラーデバイス
23 MEMSマイクロミラー
25 画像、投影画像
27 表示スクリーン
29 フォトダイオード
31 有害光
32 コントローラ
33 反射防止膜
35 検出手段
37 パッケージ
39 ウィンドウ
40 導電性部材
41a〜41e 電気接点
43 主導電性プラットフォーム
44 アンチスペックル層
45 光
46 プリズム、ペンタプリズム
47 プリズム
48 反射板
49 面
50 光学デバイス
51 反射面
61 パッケージの上面
63 パッケージの側面
65 パッケージの側面
67 パッケージの下面
69 MEMSマイクロミラーデバイスの上面
71 MEMSマイクロミラーデバイスの下面
73、75 MEMSマイクロミラーデバイスの側面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが光ビームを生成するように動作可能である複数の光源と、
前記複数の光源からの前記光ビームを重ね合わせて重合せ光ビームを生成するように動作可能である少なくとも1つのビームコンバイナと、
前記重合せ光ビームを受け、前記重合せ光ビームを一次光ビームと二次光ビームとに分割するように配置されるビームスプリッタであり、前記二次光ビームの1つ又は複数の特性が前記一次光ビームの1つ又は複数の特性を示し、該ビームスプリッタから放出される前記一次光ビームが通る第1の面と、該ビームスプリッタから放出される前記二次光ビームが通る第2の面とを備える、ビームスプリッタと、
ミラーを備えるミラー構成要素であり、前記ミラーが前記ビームスプリッタの前記第1の面を通して放出される前記一次光ビームを反射することができるように配置され、前記ミラーが少なくとも1つの揺動軸を中心にして揺動して前記一次光ビームを走査することができる、ミラー構成要素と
を備える光学デバイスであって、
前記二次光ビームを受け、前記二次光ビームの1つ又は複数の特性を検出するように構成されるフォトダイオードをさらに備え、
前記フォトダイオードが、前記ビームスプリッタの前記第1の面又は前記第2の面の少なくとも一方に対して平行の状態からずらされ、前記ミラーに向けられる有害光の量を低減するように構成される、光学デバイス。
【請求項2】
さらに、前記フォトダイオードが、前記ビームスプリッタの前記第1の面及び前記第2の面の両方に対して平行の状態からずらされるように構成される、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記一次光ビームの1つ又は複数の特性を示す前記二次光ビームの1つ又は複数の特性に関連するデータを受信し、前記一次光ビームの1つ又は複数の特性が1つ又は複数の事前に定めた特性に維持されるように前記複数のレーザの各々を制御するように前記フォトダイオードと動作可能に連通するコントローラをさらに備える、請求項1又は2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記二次光ビームが入射するフォトダイオード上の位置を検出するための検出手段をさらに備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記ビームスプリッタが前記ミラーと直接に光連通するように配置される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記ミラーで反射された前記一次光ビームが通過することができるウィンドウを有するパッケージをさらに備え、
前記ビームスプリッタからの前記一次光ビームを受け、前記一次ビームを前記ミラーに反射するように配置される反射面をさらに備え、前記反射面が前記ウィンドウと一体化するように構成される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記ビームコンバイナ、前記ビームスプリッタ、及び前記ミラーは、前記ミラーで反射された前記一次光ビームが前記重合せ光ビームを通過して前記ミラーで反射された前記一次光ビームのスペックルを低減するように配置される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記ミラーで反射された前記一次光ビームが通過することができるウィンドウをさらに備え、前記ウィンドウが、該ウィンドウを通過する前記一次光ビームの前記光学特性を調整するように構成される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項9】
パッケージをさらに備え、前記ミラー構成要素が前記パッケージの表面の少なくとも一部を画定する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記ミラー構成要素が前記パッケージの上面及び下面の少なくとも一部を画定する、請求項9に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記ミラー構成要素が前記パッケージの4つの面の少なくとも一部を画定する、請求項9又は10に記載の光学デバイス。
【請求項12】
前記光源、前記フォトダイオード、及び前記ミラー構成要素の各々を電気的に接続するように構成される単一の導電性部材を備える、請求項1〜11のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の光学デバイスを備える投影デバイス。
【請求項14】
画像を投影する方法であって、
複数の光源のそれぞれが光ビームを生成するように前記複数の光源を動作させるステップと、
前記光ビームを重ね合わせて重合せ光ビームを生成するステップと、
ビームスプリッタを使用して前記重合せ光ビームを一次光ビームと二次光ビームとに分割するステップであり、前記二次光ビームの特性が前記一次光ビームの特性を示し、前記ビームスプリッタは、該ビームスプリッタから放出される前記一次光ビームが通る第1の面と、放出される前記二次光ビームが通る第2の面とを備える、ステップと、
前記ビームスプリッタの前記第1の面又は前記第2の面の少なくとも一方に対して平行な状態からずれているように構成されるフォトダイオードにて前記二次光ビームを受けるステップと、
前記フォトダイオードを使用して前記二次光ビームの1つ又は複数の特性を検出するステップと、
前記二次光ビームの前記検出された1つ又は複数の特性を処理して前記一次光ビームの特性を決定するステップと、
前記一次光ビームを走査して画像を表示スクリーン上に投影するステップと
を含む、方法。
【請求項15】
前記一次光ビームの1つ又は複数の特性が1つ又は複数の事前に定めた特性と一致するように前記複数の光源のうちの1つ又は複数を調整するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。


【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図4f】
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【図4g】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【公開番号】特開2013−47774(P2013−47774A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−4340(P2012−4340)
【出願日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【出願人】(511269783)レモプティックス ソシエテ アノニム (3)
【Fターム(参考)】