説明

光学フィルタ及び光学フィルタの製造方法

【課題】反射防止膜の成膜に起因するNDフィルタのバッチ毎の濃度のばらつきを低減する。
【解決手段】透明基板25上に、誘電体膜であるAl23膜31aと光吸収膜であるTiXY膜31bとを交互に成膜することにより薄膜積層体31を形成している。この薄膜積層体31の最上層はTiXY膜31bとし、そのTiXY膜31b上に酸化防止膜として膜厚6.5nmのAl23膜32を成膜している。このAl23膜32上に、反射防止膜であるMgF2膜33を成膜することにより、12層のND膜から成るNDフィルタ10を構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオカメラ或いはスチルビデオカメラ等の撮影系に使用するに適した例えばNDフィルタ等の光学フィルタ及び光学フィルタの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光量絞りは銀塩フィルム或いはCCD等への固体撮像素子へ入射する光量を制御するため、撮影光学系の光路中に設けられており、快晴時や高輝度の被写界が明るい場合にはより小さく絞り込まれるように構成されている。
【0003】
従って、快晴時や高輝度の被写界を撮影すると絞りは小絞りとなり、絞りのハンチング現象や光の回折の影響も受け易く像性能の劣化を生ずる。この対策として、絞り羽根にNDフィルタを取り付けることにより、被写界の明るさが同じでも、絞りの開口部が大きくなるような工夫がなされている。
【0004】
また、NDフィルタは通常では撮像光学系中に配置されるため、NDフィルタの表面で光束が反射するとゴーストやフレア等の悪影響が発生するため、NDフィルタの表面の反射防止は重要な課題となってきている。
【0005】
特許文献1においては、これらの問題を解決するために、基板上に金属膜のTi膜と、誘電体膜のMgF2膜とSiO2膜を交互に複数層積層することにより、光量を減衰させて反射防止効果が得られるNDフィルタが開示されている。
【0006】
また、特許文献2においては、2種類以上のチタン酸化物と、誘電体膜としてAl23、SiO2、MgF2から選択された材料を用い、これらを複数層積層することによりND膜としている。そして、最上層のチタン酸化物上に、更に反射防止膜としてMgF2膜を成膜することにより、反射防止効果を有するNDフィルタが開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平5−93811号公報
【特許文献2】特開平7−63915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし反射防止膜であるMgF2は、フッ素が解離し易い材料であるため、蒸着の直前にプレヒートの時間が必要となる。また、材料の光学定数を安定させるためにプレヒートの時間を長くする必要がある。しかし、このプレヒート中の数分間で蒸着機内に堆積した不純物を含む膜等から水分や酸素が放出され、既に成膜された金属膜であるチタンやチタン酸化物と反応することにより、NDフィルタの濃度が低下する虞れがある。なお、この度合いはNDフィルタの製造バッチ毎にばらつきを生ずるため、透過率も製造バッチ毎にばらついてしまう。
【0009】
即ち、NDフィルタとして薄膜積層体の透過率を正しく制御しても、最上層に反射防止膜であるMgF2を成膜すると、NDフィルタとしての光学特性にばらつきが生ずる虞れがある。
【0010】
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、真空蒸着機を繰り返し使用する際に、反射防止膜の成膜に起因するバッチ毎の濃度のばらつきを低減する光学フィルタを提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、バッチ毎の濃度のばらつきを低減する光学フィルタの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係る光学フィルタは、透明基板の上に複数の光吸収膜と誘電体膜を交互に積層し前記光吸収膜が最上層とした薄膜積層体の上に酸化防止膜を成膜し、該酸化防止膜の上に反射防止膜を成膜することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る光学フィルタの製造方法は、透明基板の上に物理蒸着法により薄膜を成膜する光学フィルタの製造方法において、光吸収膜が最上層となるように前記光吸収膜と誘電体膜とを交互に積層して薄膜積層体を成膜する工程と、前記薄膜積層体の上に酸化防止膜を成膜する工程と、該酸化防止膜の上に反射防止膜を成膜する工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る光学フィルタ及び光学フィルタの製造方法によれば、連続して成膜する際に、プレヒート等の影響でバッチ回数を重ねることで、濃度がばらついてしまう問題を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
図1は撮影光学系の構成図を示し、光軸上にレンズ1、可変の開口部を有する光量絞り装置2、レンズ3、4、5、ローパスフィルタ6、CCD等から成る固体撮像素子7が順次に配列されている。光量絞り装置2においては、絞り羽根支持板8に一対の絞り羽根9a、9bが可動に取り付けられており、絞り羽根9aには開口部を通過する光量を減光するための光学フィルタであるNDフィルタ10が接着されている。また、本実施例においては絞り羽根9aにNDフィルタ10を貼り付けたが、絞り羽根9aの近傍に設けてもよい。
【0017】
図2はNDフィルタ10を製造するための真空蒸着機のチャンバの構成図を示している。チャンバ21内には、蒸着源22、回転可能な蒸着傘23が設けられ、この蒸着傘23には基板治具24が配置されている。
【0018】
図3は基板治具24の拡大断面図を示しており、この基板治具24にはNDフィルタ10の基板となる透明基板25が取り付けられ、蒸着傘23と共にZ軸を中心に回転し成膜が行われる。
【0019】
本実施例における透明基板25は、膜厚75μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)を使用している。NDフィルタ10に用いるPETの板厚は50μm〜100μmが好ましく、更には60μm〜80μmが好ましい。
【0020】
なお、この透明基板25の材質に関しては、PET以外にもポリカーボネートやノルボルネン系樹脂、芳香族ポリアミド樹脂等を用いてもよい。PETを使用する理由は、材料が安価でありながら、可視域の波長域で透明性が高いためである。
【0021】
図4はNDフィルタ10の膜構成図を示し、透明基板25上に、真空蒸着法により複数の誘電体膜であるAl23膜31aと光吸収膜であるTiXY膜31bとを交互に成膜することにより、薄膜積層体31を形成している。そして、この薄膜積層体31の最上層はTiXY膜31bとし、そのTiXY膜31b上に、酸化防止膜として膜厚6.5nmのAl23膜32を成膜している。更に、このAl23膜32上に、反射防止膜であるMgF2膜33を成膜することにより、12層のND膜から成るNDフィルタ10が構成されている。
【0022】
表1は図4に示すND膜の膜材料と膜厚の関係を示している。
【0023】
表1
層数 材料 膜厚(nm)
12 MgF2 125.0
11 Al23 6.5
10 TiXY 10.0
9 Al23 29.7
8 TiXY 9.3
7 Al23 19.8
6 TiXY 12.4
5 Al23 39.2
4 TiXY 13.3
3 Al23 13.0
2 TiXY 2.6
1 Al23 31.2
【0024】
なお、成膜条件は基板設定温度130℃、成膜圧力8.40×10-4Paとし、蒸着源22から透明基板25までの距離が950mmのチャンバ21を用いている。
【0025】
本実施例においては薄膜積層体31の最上層である第10層のTiXY膜31bと、第12層のMgF2膜33の間にAl23膜32が設けることにより、光吸収膜であるTiXY膜31bの酸化を防止することができ、透過率の上昇を防止できる。
【0026】
本実施例においては、膜厚を比較的に容易に制御でき、かつ可視域の波長域で散乱が非常に小さいことから、真空蒸着法により光吸収膜と誘電体膜を複数積層した薄膜積層体31を形成し、この薄膜積層体31の上に反射防止膜を成膜する。
【0027】
透明基板25上に薄膜積層体31を形成する方法に関しては、真空蒸着法以外にも、スパッタリング法等の物理蒸着法及びインクジェットプリンティング法等を用いることができる。勿論、反射防止膜であるMgF2膜33も薄膜積層体31と同様に、真空蒸着法以外の方法で形成することもできる。
【0028】
図4に示すNDフィルタ10の各層は、透明基板25の全面に形成されている。また、酸化防止膜であるAl23膜32は透明性を有する誘電体膜であり、下層の金属膜である光吸収膜の酸化を防止できるものであれば、SiO2等を用いてもよい。
【0029】
本実施例におけるNDフィルタ10の光学特性の目標値は、濃度0.6(透過率25.1%)で、透過率の平坦性は6%以下、反射率は3%以下となるように光学設計を行っている。一般的に、NDフィルタ10として使用される場合の濃度は、±0.05のばらつきが許容範囲とされている。
【0030】
なお、透過率の平坦性は波長λ=400〜700nmの範囲における透過率において、透過率の最大値TMaxから最小値TMinを引いた差を波長λ=550nmの透過率で徐した商で求められ、次の式(1)で表される。
透過率の平坦性=(TMax−TMin)/550nm・・・(1)
【0031】
透過率と濃度の関係については、次の式(2)式で表される。
濃度(OD)=−Log(透過率)・・・(2)
【0032】
濃度OD(オプティカル デンシティ)は透過率の対数で導くことができ、透過率の値が低いほど濃度は濃くなる関係となっている。成膜したND膜の物理膜厚の合計は312.0nmであり、バッチ毎の濃度ばらつきは0.0016であった。
【0033】
先の表1に示す膜構成によりND膜を成膜すると、図5に示すようにバッチ回数を重ねても、ND0.6±0.05の許容範囲内で十分に条件を満たすことができる。なお、成膜したND膜の密着度を確認するために、JISに基づいた方法でクロスカット試験を実施したが、膜の剥離は生じなかった。光学特性については反射率3%以内で、透過率も平坦性4%台の優れた特性を得ることができた。
【0034】
図6は比較例1として、第10層のTiXY膜31b上に、酸化防止膜であるAl23膜32を成膜せずに、直接に反射防止膜であるMgF2膜33を積層した11層のND膜から成るNDフィルタ10である。
【0035】
表2はこの比較例1のND膜の膜材料と膜厚の関係を示している。
【0036】
表2
層数 材料 層厚(nm)
11 MgF2 125.0
10 TiXY 10.0
9 Al23 29.7
8 TiXY 9.3
7 Al23 19.8
6 TiXY 12.4
5 Al23 39.2
4 TiXY 13.3
3 Al23 13.0
2 TiXY 2.6
1 Al23 31.2
【0037】
成膜条件は実施例と同様に、基板設定温度130℃、成膜圧力8.40×-4Paとし、蒸着源22から透明基板25までの距離が950mmのチャンバ21を用いて成膜した。
【0038】
本比較例1においても、実施例と同様に光学特性の目標使用は、濃度0.6(透過率25.1%)で、透過率の平坦性は6%以下、反射率は3%以下となるような光学設計を行っている。成膜したND膜の物理膜厚の合計は305.5nmであり、バッチ毎の濃度のばらつきは0.0288であった。
【0039】
表2の膜構成により成膜すると、図7に示すようにバッチ回数を重ねると透過率は上昇する傾向にあり、ND0.6±0.05の許容範囲を外れてしまう。
【0040】
これは上述したように、真空蒸着機内に堆積した不純物を含む膜等から水分や酸素が放出され、既に成膜された光吸収膜であるTiXY膜31bと反応し、NDフィルタ10の濃度が低下するためである。
【0041】
なお、実施例と同様に、比較例1について膜の密着度を確認するために、クロスカット試験を実施したが、膜の剥離は生じなかった。また、光学特性については反射率3%以内で、透過率も平坦性4%台で問題は生じなかった。
【0042】
表3は比較例2として、実施例1の第11層のAl23膜32の膜厚を9.0、10.0、11.0、12.0nmと変化させ、反射率の変化を比較した。
【0043】
表3
第11層のAl23膜32の膜厚(nm) 反射率の評価
9.0 ○ 反射率3%以下
10.0 △ 反射率3%を多少上回る
11.0 × 反射率3%以上
12.0 × 反射率3%以上
【0044】
図8は実施例における第11層のAl23膜32の膜厚の違いによる反射率特性のグラフ図を示している。λ=550nmの透過率のバッチ間のばらつきは、実施例と同等以上の結果が得られたが、光学特性は透過率の平坦性が6%に近い特性となり、反射率は酸化防止膜であるAl23膜32の厚さが11.0mm以上となると、3%を超過してしまう。
【0045】
これは第11層の酸化防止膜であるAl23膜32の膜厚の変化により、透過率、反射率の波長シフトが生じ、透過率では波形の上限、下限の差が大きくなるためである。また、反射率では波形の最小値をλ=550nmで設定するのが一般的であるが、波長シフトにより、短波長側又は長波長側の反射率が高くなってしまった。
【0046】
このことから、酸化防止膜であるAl23膜32の膜厚は、10.0nm以下が好適である。
【0047】
なお、透明基板25やND膜について、第11層のAl23膜32の膜厚が9.0、10.0、11.0、12.0nmの何れでもクラックや皺は生じなかった。また、実施例と同様に、膜の密着度を確認するために、クロスカット試験を実施したが、膜の剥離は生じなかった。
【0048】
更に、比較例3として、実施例の第11層のAl23膜32の膜厚を1.0、2.0、3.0、4.0nmと変化させて、バッチ回数を重ねることによる濃度の変化を比較した。
【0049】
図9は比較例3における第11層のAl23膜32の膜厚とバッチ回数によるND膜の濃度変化を示したグラフ図である。同じ濃度で繰り返し成膜を行った結果、何れもバッチ回数を重ねることにより、徐々に透過率が上昇してしまう傾向にある。しかし、酸化防止膜であるAl23膜32の膜厚を3.0nm以上にすることによって、バッチ回数に対する透過率の上昇をND0.6±0.05の許容範囲内に収めることができる。
【0050】
また、比較例3の何れの場合も透明基板25や膜にクラックや皺の発生はなかった。なお、実施例と同様に膜の密着度を確認するために、クロスカット試験を実施したが、何れも膜の剥離は生じなかった。光学特性については反射率3%以内で、透過率も平坦性4%台の優れた特性を得ることができた。
【0051】
上述の実施例及び比較例から酸化防止膜であるAl23膜32の膜厚を3.0〜10.0nmにすることによって酸化防止効果が得られ、バッチ回数を重ねることで濃度がばらついてしまう問題を低減することができる。また、酸化防止膜であるAl23膜32の膜厚を4.5〜8.5nmの範囲が、より酸化防止効果に好ましい条件である。更に、最良の形態は酸化防止膜であるAl23膜32の膜厚は6.5nmである。
【0052】
バッチ回数が増加することにより、真空蒸着機内の蒸着板に膜が堆積し、真空時に水分や酸素を放出することにより、NDフィルタ10の濃度が断続的に薄くなる傾向があり、濃度ばらつきが生じてしまう。従って、定期的に真空蒸着機内の清掃は必要であるが、本発明を実施することにより、真空蒸着機内の定期的な清掃まで規定濃度の許容範囲を外れないようにすることができる。
【0053】
最後に、上述の方法により製造したNDフィルタ10の環境安定性を調べるため、NDフィルタ10を温度60℃、湿度90%、240Hの放置試験を行った。この試験前後での透過率を測定すると、その差が0.2%以下と殆ど差は見られなかった。
【0054】
また、本実施例のND膜は単濃度のNDフィルタだけでなく、図10に示すような面内方向において、光吸収膜及び誘電体膜の膜数の異なる領域を有することにより、透過率の濃度が段階的に変化する段階的NDフィルタに応用することもできる。
【0055】
更には、図11に示すように光吸収膜及び誘電体膜の少なくとも1層の膜厚は基板の面内方向に連続的に変化させることにより、透過率の濃度が連続的に変化するグラデーションNDフィルタにも応用できる。
【0056】
これらのNDフィルタは、通常では酸化防止膜を挿入せずに膜を成膜している。その際に、昇華型の材料を使用する際に成膜まで時間が掛ってしまうことにより、TiXY膜が酸化され透過率が徐々に上昇してしまう影響は、単一濃度のNDフィルタを製造するときよりも大きい。
【0057】
これは図10に示す段階的NDフィルタや、図11に示すグラデーションNDフィルタの濃度の薄い部分の光吸収膜であるTiXY層が、膜厚も薄いため酸化の影響が濃度に現れ易いためである。
【0058】
このように、図10、図11に示すNDフィルタを形成する場合に、本発明を適用することは特に好適である。
【0059】
なお、本実施例においてはNDフィルタについて説明したが、NDフィルタ以外の光学フィルタにおいても実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】撮影光学系の構成図である。
【図2】チャンバの構成図である。
【図3】基板治具の拡大断面図である。
【図4】実施例のNDフィルタの膜構成図である。
【図5】酸化防止膜を成膜した場合の透過率のグラフ図である。
【図6】比較例1のNDフィルタの膜構成図である。
【図7】酸化防止膜を成膜しない場合の透過率のグラフ図である。
【図8】酸化防止膜の膜厚別の反射率のグラフ図である。
【図9】酸化防止膜の膜厚別のバッチ回数による濃度変化のグラフ図である。
【図10】段階的NDフィルタの断面図である。
【図11】グラデーションNDフィルタの断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1、3〜5 レンズ
2 光量絞り装置
6 ローパスフィルタ
7 固体撮像素子
8 絞り羽根支持板
9a、9b 絞り羽根
10 NDフィルタ
21 チャンバ
22 蒸着源
23 蒸着傘
24 基板治具
25 透明基板
31 薄膜積層体
31a、32 Al23
31b TiXY
33 MgF2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板の上に複数の光吸収膜と誘電体膜を交互に積層し前記光吸収膜が最上層とした薄膜積層体の上に酸化防止膜を成膜し、該酸化防止膜の上に反射防止膜を成膜することを特徴とする光学フィルタ。
【請求項2】
前記酸化防止膜は透明性を有する誘電体膜から成り、3.0〜10.0nmの物理膜厚であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項3】
前記酸化防止膜はAl23又はSiO2から成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学フィルタ。
【請求項4】
前記光吸収膜及び前記誘電体膜の膜数は前記透明基板の面内方向で異なる複数の領域を有することにより、透過率の濃度が段階的に変化するように構成したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つの請求項に記載の光学フィルタ。
【請求項5】
前記光吸収膜及び前記誘電体膜の少なくとも1層の膜厚は前記透明基板の面内方向に連続的に変化し、透過率の濃度が連続的に変化するように構成したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つの請求項に記載の光学フィルタ。
【請求項6】
透明基板の上に物理蒸着法により薄膜を成膜する光学フィルタの製造方法において、光吸収膜が最上層となるように前記光吸収膜と誘電体膜とを交互に積層して薄膜積層体を成膜する工程と、前記薄膜積層体の上に酸化防止膜を成膜する工程と、該酸化防止膜の上に反射防止膜を成膜する工程とを備えることを特徴とする光学フィルタの製造方法。
【請求項7】
前記酸化防止膜は透明性を有する誘電体膜から成り、3.0〜10.0nmの物理膜厚であることを特徴とする請求項6に記載の光学フィルタの製造方法。
【請求項8】
前記酸化防止膜はAl23であることを特徴とする請求項6又は7に記載の光学フィルタの製造方法。
【請求項9】
固体撮像素子と撮影光学系と絞り羽根を有する光量絞り装置において、請求項1〜8の何れか1つの請求項による光学フィルタを前記絞り羽根の近傍に配置したことを特徴とする光量絞り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−54999(P2010−54999A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222224(P2008−222224)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】