説明

光学反射フィルム、光学反射フィルムの製造方法、およびそれを用いた光学反射体

【課題】水系の屈折率形成用塗布液を用い、製造コストが安く、大面積化が可能であり、塗膜の熱安定性が高い光学反射フィルムとその製造方法、及びその光学反射フィルムを設けた光学反射体を提供する。
【解決手段】基材上に、高屈折率層と低屈折率層を積層したユニットを少なくとも1つ含む光学反射フィルムにおいて、該高屈折率層に金属酸化物粒子と多糖類のアルキルエーテル化合物を含有することを特徴とする光学反射フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属光沢調フィルム、可視光透過着色フィルム、遮熱フィルムに好適に使用できる光学反射フィルムとその製造方法に関する。また、それを用いた光学反射体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギー対策への関心が高まり、建物や車両の窓ガラスから、太陽光の中、熱線の透過を遮断する近赤外光反射フィルムの開発が盛んに行われる様になってきている。これにより冷房設備にかかる負荷を減らすことが出来、省エネルギー対策として有効だからである。
【0003】
従来、近赤外光反射フィルムとして、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層させた積層膜を蒸着法、スパッタ、などのドライ製膜法で作製する提案がされている。また、交互に積層させた積層膜の光学膜厚を調整することで、近赤外光に替えて可視光を反射するように設計できることも知られている。
【0004】
しかし、ドライ製膜法は製造コストが高く、大面積化が困難であり、耐熱性素材に限定される等の課題がある。このような課題を有しているドライ製膜法に代えて、湿式塗布法を用いて熱線遮蔽フィルムを形成する方法も知られている。
【0005】
例えば、金属酸化物や金属化合物微粒子を含む熱硬化型シリコーン樹脂や紫外線硬化型アクリル樹脂を有機溶媒中に分散させた高屈折率層塗布液を、バーコーターを用いた湿式塗布方式により基材上に塗布して透明積層体を形成する方法(例えば、特許文献1参照。)や、ルチル型の酸化チタン、複素環系窒素化合物(例えば、ピリジン)、紫外線硬化型バインダー及び有機溶剤から構成される高屈折率塗膜形成用組成物を、バーコーターを用いた湿式塗布方式により基材上に塗布して透明積層体を形成する方法(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。
【0006】
一方、近赤外光反射フィルムの製造において、水溶性ポリマーを用いた水系塗布液をスピンコートする方法(例えば、特許文献3参照。)も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−110401号公報
【特許文献2】特開2004−123766号公報
【特許文献3】特開2009−86659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示されている方法では、高屈折率層形成用塗布液の溶剤として、有機溶剤が用いられていることが多く、高屈折率層形成及び乾燥時に、多量の有機溶剤を飛散させることになり、環境上の課題がある。
【0009】
これに対し、特許文献3の実施例で、低屈折率層を水溶液を用いてスピンコートしたとの記載がある。しかし、無機酸化物粒子を添加したものではなく、高屈折率層は、TiO2+分散剤+UV硬化樹脂の有機溶剤(PGMEA;Propylene Glycol Monomethyl Ether Acetate)の溶液をスピンコートしているため、完全な水系塗布ではなかった。
【0010】
更に、上記開示されている方法では、バインダーとして紫外線硬化型バインダーや熱硬化型バインダーを用いて、高屈折率層を形成した後、紫外線あるいは熱により硬化するため、柔軟性に乏しい塗膜物性となっている。
【0011】
そのため、夏場の車等、過酷な条件で使用された場合には、熱サイクル(昼間の温度環境と夜の温度環境の繰り返し)に晒されたり、冬場の結露と乾燥を繰り返すことにより、膜面にひびが生じてしまうという課題があった。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、水系の屈折率形成用塗布液を用い、製造コストが安く、大面積化が可能であり、塗膜の熱安定性が高い光学反射フィルムとその製造方法、及びその光学反射フィルムを設けた光学反射体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0014】
(1)
基材上に、高屈折率層と低屈折率層を積層したユニットを少なくとも1つ含む光学反射フィルムにおいて、該高屈折率層に金属酸化物粒子と多糖類のアルキルエーテル化合物を含有することを特徴とする光学反射フィルム。
【0015】
(2)
該多糖類のアルキルエーテル化合物が、セルロースのアルキルエーテル化合物であることを特徴とする前記(1)に記載の光学反射フィルム。
【0016】
(3)
該金属酸化物粒子が、ルチル型酸化チタン粒子であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の光学反射フィルム。
【0017】
(4)
前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の光学反射フィルムを、高屈折率層と低屈折率層を、水系同時重層塗布により形成することを特徴とする光学反射フィルムの製造方法。
【0018】
(5)
各層を形成する塗布液の粘度が、40℃で50〜500mPa・sであることを特徴とする前記(4)に記載の光学反射フィルムの製造方法。
【0019】
(6)
前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の光学反射フィルムが、基体の少なくとも一方の面に設けられていることを特徴とする光学反射体。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、水系の屈折率形成用塗布液を用い、製造コストが安く、大面積化が可能であり、熱安定性の高い光学反射フィルムとその製造方法、及びその光学反射フィルムを設けた光学反射体を提供することができた。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0022】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、基材上に、高屈折率層と低屈折率層とから構成されるユニットを少なくとも1つ有する光学反射フィルムにおいて、該高屈折率層が、少なくとも水系の屈折率形成用塗布液を用い、多糖類のアルキルエーテル化合物と、金属酸化物粒子とを含有することを特徴とする近赤外反射フィルムにより、水系の屈折率形成用塗布液を用い、製造コストが安く、大面積化が可能で、熱安定性の高い光学反射フィルムを実現することができることを見出し、本発明に至った次第である。
【0023】
本発明における多糖類のアルキルエーテル化合物とは、アルキルキエーテル基の置換率において、多糖類の持つ水酸基の全量に対しアルキルエーテル基に置換された比率で示すならば、置換率が10%未満では、分子間の水素結合が強すぎるため多糖類のゲル化や不溶化が生じ、置換率が50%を超えると疎水性が高くなることにより無機粒子の凝集が生じるため、本発明においては置換率が10%〜50%が好ましい。無機粒子を分散安定化するためには、さらに20%〜40%が好ましい。また、極めて親水性の強いスルホン酸基、カルボキシ基を有する置換基も金属酸化物粒子の分散安定化を阻害する傾向があり好ましくない。
【0024】
後記する実施例項にて示されている如く、本発明の目的は、適正な親水性を有する多糖類のアルキルエーテル化合物と、金属酸化物粒子とを含有する高屈折率層により達成される。
【0025】
すなわち、従来の光学反射フィルムの作製方法において、樹脂バインダー中に金属酸化物微粒子を分散した高屈折率層の形成方法としては、主には、媒体として有機溶剤を用いた高屈折率層塗布液により形成していたが、塗膜均一性あるいは環境適性で問題を抱えていた。
【0026】
従来、例えば、樹脂ポリマーと金属酸化物粒子(例えば、酸化チタン粒子)を含む高屈折率層塗布において、水系の塗布液が適用されなかった理由としては、水溶性高分子溶液中に酸化チタン粒子を安定して分散させることが困難であったことが挙げられる。金属酸化物粒子を分散した水系の塗布液を作製する方法としては、親水性の高い樹脂材料を用い、金属酸化物粒子を樹脂材料との水素結合により安定化させることが試みられており、樹脂材料中の親水性基量を増やしたり、スルホン酸基やカルボキシル基のような親水性の高い基を導入したりする方法が一般的に用いられている。しかしながら、これらの方法では、酸化チタンナノ粒子等の表面活性の高い金属酸化物粒子を安定して分散させることができていなかった。
【0027】
本発明者は、上記課題につき鋭意検討を進めた結果、水系の高屈折率層形成用の塗布液として、多糖類のアルキルエーテル化合物と、金属酸化物粒子(例えば、ルチル型の酸化チタン等)を、水系媒体中に安定に分散させて存在させることができた。さらに、塗布液としての増粘性を確保することができ、同時重層塗布において層間の物質移動が少ないため屈折率差が高く、均一な塗膜を得ることができ、環境適性にも優れた光学反射フィルムを得ることができた。
【0028】
以下、本発明の近赤外反射フィルムの構成要素、及び本発明を実施するための形態等について詳細な説明をする。
【0029】
《光学反射フィルム》
本発明の光学反射フィルムは、基材上に、高屈折率層と低屈折率層から構成されるユニットを少なくとも1つ積層した構成を有し、特定波長の光を反射する光学反射フィルムであることを一つの特徴とする。
【0030】
特定波長領域の反射率は、隣接する2層の屈折率差と積層数で決まり、屈折率の差が大きいほど、少ない層数で同じ反射率が得られる。この屈折率差と必要な層数については、市販の光学設計ソフトを用いて計算することができる。例えば、赤外反射率90%以上を得るためには、屈折率差が0.1より小さいと、20層以上の積層が必要になり、生産性が低下するだけでなく、積層界面での散乱が大きくなり、透明性が低下し、また故障なく製造することも非常に困難になる。反射率の向上と層数を少なくする観点からは、屈折率差に上限はないが、実質的には1.40程度が限界である。
【0031】
以下、本発明の光学反射フィルムの1つの用途である赤外光反射フィルムを例にとり、詳細に説明する。
【0032】
本発明の近赤外光反射フィルムの光学特性として、JIS R3106−1998で示される可視光領域の透過率が50%以上であり、かつ、波長900nm〜1400nmの領域に反射率50%を超える領域を有することが好ましい。
【0033】
一般に、近赤外反射フィルムにおいては、高屈折率層と低屈折率層の屈折率の差を大きく設計することが、少ない層数で赤外光反射率を高くすることができるので好ましい。本発明では、高屈折率層と低屈折率層から構成されるユニットの少なくとも1つにおいて、隣接する該高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が少なくとも0.1以上であること、好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.4以上であることが望ましい。
【0034】
次いで、本発明の近赤外反射フィルムにおける高屈折率層と低屈折率層の基本的な構成概要について説明する。
【0035】
本発明の近赤外反射フィルムにおいては、基材上に、高屈折率層と低屈折率層から構成されるユニットを少なくとも1つ積層した構成であればよいが、好ましい高屈折率層と低屈折率層の層数としては、上記の観点から、総層数の範囲としては、50ユニット以下がよく、より好ましくは40層(20ユニット)以下であり、さらに好ましくは20層(10ユニット)以下である。
【0036】
また、本発明の近赤外反射フィルムにおいては、隣接する該高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が0.1以上であること、高屈折率層と低屈折率層を上記のようにそれぞれ複数層有する場合には、全ての屈折率層が本発明で規定する要件を満たすことが好ましい。ただし、最表層や最下層に関しては、本発明で規定する要件外の構成であっても良い。
【0037】
また、本発明の近赤外反射フィルムにおいては、高屈折率層の好ましい屈折率としては1.80〜2.50であり、より好ましくは1.90〜2.20である。また、低屈折率層の好ましい屈折率としては1.10〜1.60であり、より好ましくは1.30〜1.50である。
【0038】
また、本発明の近赤外反射フィルムにおいては、金属酸化物として体積平均粒径100nm以下のルチル型酸化チタンを、高屈折率層に添加することが好ましい。金属酸化物を高屈折率層と低屈折率層の両層に添加することがより好ましい。本発明において、高屈折率層中における金属酸化物の含有量としては、高屈折率層全質量の30質量%以上、90質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは、50質量%以上、80質量%以下であることが望ましい。
【0039】
また、本発明に係る高屈折率層が、多糖類のアルキルエーテル化合物を含有することを特徴とするが、上記各添加剤を低屈折率層に添加することもできる。本発明において、高屈折率層中におけるアルキルエーテル化合物の含有量としては、高屈折率層全質量の10質量%以上、50質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは、15質量%以上、30質量%以下である。
【0040】
本発明において、高屈折率層、低屈折率層の屈折率は、下記の方法に従って求めることができる。
【0041】
基材上に屈折率を測定する各屈折率層を単層で塗設したサンプルを作製し、このサンプルを10cm×10cmに断裁した後、下記の方法に従って屈折率を求める。分光光度計として、U−4000型(日立製作所社製)を用いて、各サンプルの測定面とは反対側の面(裏面)を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して、5度正反射の条件にて可視光領域(400nm〜700nm)の反射率を25点測定して平均値を求め、その測定結果より平均屈折率を求める。
【0042】
〔高屈折率層〕
本発明に係る高屈折率層においては、多糖類のアルキルエーテル化合物と、金属酸化物粒子を含有することを特徴とする。
【0043】
〈多糖類のアルキルエーテル化合物〉
本発明でいう多糖類のアルキルエーテル化合物とは、多糖類の持つ水酸基の水素原子の一部をアルキル基に置換した化合物であり、その置換率は10〜50%であることが好ましい。多糖類のアルキルエーテルは、例えば文献RD95378007(1995年10月)に記載の方法により、後述する種々の多糖類を用いて調製することができる。
【0044】
〈多糖類〉
多糖類としては、特に制限はなく、例えば、一般に知られている天然単純多糖類、天然複合多糖類、合成単純多糖類及び合成複合多糖類に挙げることができ、これら多糖類の詳細については、「生化学事典(第2版),東京化学同人出版」、「食品工業」第31巻(1988)21頁等を参照することができる。
【0045】
本発明に適用可能な多糖類としては、例えば、セルロース類、ガラクタン類(例えば、アガロース、アガロペクチン等)、ガラクトマンナン類(例えば、ローカストビーンガム、グアガム等)、キシログルカン類(例えば、タマリンドガム等)、グルコマンナン類(例えば、蒟蒻マンナン、木材由来グルコマンナン、キサンタンガム等)、アルギン酸及びアルギン酸塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、ファーセレラン等の紅藻類に由来する天然高分子多糖類等が挙げられ、塗布液中に共存する金属酸化微粒子の分散安定性を低下させない観点から、好ましくは、その構成単位がカルボン酸基やスルホン酸基を有しないものが好ましい。その様な多糖類としては、例えば、セルロース、L−アラビトース、D−リボース、2−デオキシリボース、D−キシロースなどのペントース、D−グルコース、D−フルクトース、D−マンノース、D−ガラクトースなどのヘキソースのみからなる多糖類であることが好ましい。本発明においては、セルロースをメトキシ基で置換したメチルセルロースや、メトキシ基とヒドロキシプロポキシル基で置換したヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性セルロースエーテルや、グアガムをエトキシ基で置換したエチル化グアガムが好ましい。
【0046】
多糖類のアルキルエーテルの製造方法は、特に限定されないが、従来公知の方法である、苛性ソーダ、苛性カリウムなどのアルカリを触媒として、多糖類に塩化メチル、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のエーテル化剤と反応させる方法等を用いることができる。本発明のアルキルエーテルとは、多糖類の水酸基の水素原子がアルキル基に置換された構造を有すことを言い、アルキル基としては炭素数が1〜6のアルキルが好ましく、特にメトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基が好ましい。さらに、アルキル基とともにその一部に水酸基を持つヒドロキシメトキシル基、ヒドロキシエトキシル基、ヒドロキシプロポキシル基等で一部が置換されていることが好ましい。
【0047】
アルキルキエーテル基の置換率とは、多糖類の持つ水酸基の全量に対しアルキルエーテル基に置換された比率である。置換率が10%未満では、分子間の水素結合が強すぎるため多糖類のゲル化や不溶化が生じ、置換率が50%を超えると疎水性が高くなることにより無機粒子の凝集が生じるため、本発明においては置換率が10%〜50%が無機粒子を分散安定化するために好ましく、さらに20%〜40%が好ましい。又、多糖類のアルキルエーテル化合物は、40℃にて水100gに1.0g以上の溶解性を有するものである。
【0048】
更に、本発明の多糖類アルキルエーテルの分子量は、1000〜10万が好ましく、5000〜5万がさらに好ましい。
【0049】
(金属酸化物粒子)
本発明に係る高屈折率層に用いられる金属酸化物粒子としては、屈折率が2.0以上で、体積平均粒径が100nm以下の金属酸化物粒子を用いることが好ましく、例えば、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化チタン等を挙げることができるが、特に、ルチル型酸化チタン粒子を用いることが好ましい。
【0050】
〈ルチル型酸化チタン〉
一般的に、酸化チタン粒子は、粒子表面の光触媒活性の抑制や、溶媒等への分散性を向上する目的で、表面処理が施された状態で使用されることが多く、例えば、酸化チタン粒子表面をシリカからなる被覆層で覆われ、粒子表面が負電荷を帯びたものや、アルミニウム酸化物からなる被覆層が形成されたpH8〜10で表面が正電荷を帯びたものが知られている。
【0051】
本発明においては、金属酸化物粒子が、体積平均粒径が100nm以下のルチル型(正方晶形)の酸化チタン粒子であることが好ましい。
【0052】
ここでいう体積平均粒径とは、媒体中に分散された一次粒子または二次粒子の体積平均粒径であり、レーザー回折/散乱法、動的光散乱法等により測定できる。
【0053】
本発明に係るルチル型酸化チタン粒子の体積平均粒径は、100nm以下であることが好ましいが、4nm以上、50nm以下であることがより好ましく、更に好ましくは4nm以上、30nm以下である。体積平均粒径が100nm以下であれば、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。体積平均粒径が100nmを超える酸化チタン粒子は、本発明に限らず高屈折率層に用いるには適正なものといえない。
【0054】
本発明に係るルチル型酸化チタン粒子の体積平均粒径とは、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、それぞれd、d・・・d・・・dの粒径を持つ粒子がそれぞれn、n・・・n・・・n個存在する金属酸化物粒子の集団において、粒子1個当りの表面積をa、体積をvとした場合に、体積平均粒径m={Σ(v・d)}/{Σ(v)}で表される体積で重み付けされた平均粒径である。
【0055】
さらに、本発明に係る酸化チタン粒子は、単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる単分散度が40%以下をいう。更に好ましくは30%以下であり、特に好ましくは0.1〜20%となる粒子である。
【0056】
単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
〈ルチル型酸化チタンゾルの製造方法〉
本発明においては、近赤外反射フィルムを製造する方法として、水系高屈折率層塗布液を調製する際に、ルチル型酸化チタンとして、pHが1.0以上、3.0以下で、かつチタン粒子のゼータ電位が正である水系の酸化チタンゾルを用いることが好ましい。
【0057】
一般的に酸化チタン粒子は、粒子表面の光触媒活性の抑制や、溶媒等への分散性を向上する目的で表面処理を施された状態で使用されることが多く、例えば、酸化チタン粒子表面をシリカからなる被覆層で覆われ、粒子表面が負電荷を帯びたものや、アルミニウム酸化物からなる被覆層が形成されたpH8〜10で表面が正電荷を帯びたものが知られているが、本発明においては、このような表面処理が施されていないpHが1.0〜3.0で、かつゼータ電位が正である酸化チタンの水系ゾルが用いることが好ましい。
【0058】
本発明で用いることのできるルチル型酸化チタンゾルの調製方法としては、例えば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等に記載された事項を参照にすることができる。
【0059】
また、本発明に係るルチル型酸化チタンのその他の製造方法については、例えば、「酸化チタン−物性と応用技術」清野学 p255〜258(2000年)技報堂出版株式会社、或いはWO2007/039953号明細書の段落番号0011〜0023の記載の工程(2)の方法を参考にすることができる。
【0060】
上記工程(2)による製造方法とは、二酸化チタン水和物をアルカリ金属の水酸物又はアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選択される、少なくとも1種の塩基性化合物で処理する工程(1)の後に、得られた二酸化チタン分散物を、カルボン酸基含有化合物及び無機酸で処理する工程(2)からなる。本発明では、工程(2)により得られた無機酸によりpHを1.0〜3.0に調整されたルチル型酸化チタンの水系ゾルを用いることができる。
【0061】
(水溶性高分子)
本発明の光学反射フィルムにおいては、高屈折率層が、多糖類のアルキルエーテル化合物とともに他の水溶性高分子を併用して使用することができる。
【0062】
〈水溶性ポリマー類〉
本発明に適用可能な水溶性高分子としては、反応性官能基を有するポリマー類が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩が挙げられる。これらの中で、特に好ましい例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン類及びそれを含有する共重合体が挙げられる。
【0063】
水溶性高分子の重量平均分子量は、1,000以上200,000以下が好ましい。更には、3,000以上40,000以下がより好ましい。
【0064】
本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0065】
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。また、ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0066】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0067】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0068】
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号および同63−307979号に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0069】
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することもできる。
【0070】
本発明においては、反応性官能基を有するポリマーを使用する場合には、硬化剤を使用してもよい。反応性官能基を有するポリマーがポリビニルアルコールの場合には、ホウ酸及びその塩やエポキシ系硬化剤が好ましい。
【0071】
本発明においては、上記各水溶性高分子は、高屈折率層の全質量に対し、5.0質量%以上、50質量%以下の範囲で含有させることが好ましく、10質量%以上、40質量%以下がより好ましい。但し、水溶性高分子と共に、例えば、エマルジョン樹脂を併用する場合には、3.0質量%以上含有すればよい。水溶性高分子が少ないと、高屈折率層を塗工した後の乾燥時に、膜面が乱れて透明性が劣化する傾向が大きくなる。一方、含有量が50質量%以下であれば、相対的な金属酸化物の含有量が適切となり、高屈折率層と低屈折率層の屈折率差を大きくすることが容易になる。
【0072】
〔低屈折率層〕
本発明では、前述の高屈折率層よりも低い低屈折率層を有する。低屈折率層は、屈折率が1.6以下であることが好ましい。さらには、1.30〜1.50であることが好ましい。
【0073】
本発明に係る低屈折率層においては、水溶性高分子中に、金属酸化物粒子を分散したものを用いることができる。なお、低屈折率層で用いる水溶性高分子化合物は、上記高屈折率層で記載の水溶性高分子と同様のもの、すなわち、セルロース類、増粘多糖類、反応性官能基を有するポリマー類や各種ゼラチン類を使用できる。なお、高屈折率層と低屈折率層で用いられる水溶性高分子等は、同一であっても異なっていても良いが、同一であることが同時重層塗布を実施する上で好ましい。
【0074】
本発明に係る低屈折率層においては、ポリマーだけで構成されていても、金属酸化物粒子を含有していても良いが、金属酸化物粒子を含有する場合は、二酸化ケイ素を用いることが好ましく、コロイダルシリカゾルを用いることが特に好ましい。
【0075】
本発明において、二酸化ケイ素は、その平均粒径が100nm以下であることが好ましい。一次粒子の状態で分散された二酸化ケイ素の一次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、20nm以下のものが好ましく、より好ましくは10nm以下である。また二次粒子の平均粒径としては、30nm以下であることが、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
【0076】
本発明に係る金属酸化物の平均粒径は、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
【0077】
〔その他の添加剤〕
本発明に係る高屈折率層、低屈折率層には、必要に応じて各種添加剤を用いることができる。
【0078】
〈エマルジョン樹脂〉
本発明においては、本発明に係る高屈折率層または前記低屈折率層が、更にエマルジョン樹脂を含有することが好ましい。
【0079】
本発明でいうエマルジョン樹脂とは、油溶性のモノマーを、分散剤を含む水溶液中でエマルジョン状態に保ち、重合開始剤を用いて乳化重合させた樹脂微粒子である。
【0080】
エマルジョンの重合時に使用される分散剤としては、一般的には、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジエチルアミン、エチレンジアミン、4級アンモニウム塩のような低分子の分散剤の他に、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエキシエチレンラウリル酸エーテル、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンのような高分子分散剤が挙げられる。
【0081】
本発明に係るエマルジョン樹脂とは、水系媒体中に微細な、例えば、平均粒径が0.01〜2.0μm程度の樹脂粒子がエマルジョン状態で分散されている樹脂で、油溶性のモノマーを、水酸基を有する高分子分散剤を用いてエマルジョン重合して得られる。用いる分散剤の種類によって、得られるエマルジョン樹脂のポリマー成分に基本的な違いは見られないが、水酸基を有する高分子分散剤を用いてエマルジョン重合すると、微細な微粒子の少なくとも表面に水酸基の存在が推定され、他の分散剤を用いて重合したエマルジョン樹脂とはエマルジョンの化学的、物理的性質が異なる。
【0082】
水酸基を含む高分子分散剤とは、重量平均分子量が10000以上の高分子の分散剤で、側鎖または末端に水酸基が置換されたものであり、例えばポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミドのようなアクリル系の高分子で2−エチルヘキシルアクリレートが共重合されたもの、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールのようなポリエーテル、ポリビニルアルコールなどが挙げられ、特にポリビニルアルコールが好ましい。
【0083】
高分子分散剤として使用されるポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、カチオン変性したポリビニルアルコールやカルボキシル基のようなアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール、シリル基を有するシリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。ポリビニルアルコールは、平均重合度は高い方がインク吸収層を形成する際のクラックの発生を抑制する効果が大きいが、平均重合度が5000以内であると、エマルジョン樹脂の粘度が高くなく、製造時に取り扱いやすい。したがって、平均重合度は300〜5000のものが好ましく、1500〜5000のものがより好ましく、3000〜4500のものが特に好ましい。ポリビニルアルコールのケン化度は70〜100モル%のものが好ましく、80〜99.5モル%のものがより好ましい。
【0084】
上記の高分子分散剤で乳化重合される樹脂としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニル系化合物、スチレン系化合物といったエチレン系単量体、ブタジエン、イソプレンといったジエン系化合物の単独重合体または共重合体が挙げられ、例えばアクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂等が挙げられる。
【0085】
〈各屈折率層のその他の添加剤〉
本発明に係る高屈折率層と低屈折率層に適用可能な各種の添加剤を以下に列挙する。例えば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報及び同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報及び同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0086】
〔基材〕
本発明の近赤外反射フィルムに適用する基材としては樹脂基材が望ましく、いわゆるフィルム支持体であることが好ましい。フィルム支持体は、透明であっても不透明であってもよく、種々の樹脂フィルムを用いることができ、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルムである。ポリエステルフィルム(以降ポリエステルと称す)としては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。
【0087】
また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの二種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
【0088】
本発明に係る樹脂基材の厚みは、10〜300μmであることが好ましく、より好ましくは20〜150μmである。また、本発明の樹脂基材は、2枚を重ねたものであっても良く、この場合、その種類が同じでも異なってもよい。
【0089】
〔光学反射フィルムの製造方法〕
本発明の光学反射フィルムの製造方法においては、樹脂基材上に、高屈折率層と低屈折率層とから構成されるユニットを少なくとも1つ形成し、該高屈折率層が、多糖類のアルキルエーテル化合物と、金属酸化物粒子とを含有する高屈折率層形成用の塗布液を用いて形成することを特徴とし、更には、該高屈折率層と低屈折率層を、水系同時重層塗布により形成することが好ましい。
【0090】
本発明の光学反射フィルムの製造方法では、樹脂基材上に高屈折率層と低屈折率層から構成されユニットを積層して形成されるが、具体的には高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層するように、同時重層塗布、乾燥して積層体を形成することが好ましい。
【0091】
塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,761,419号、同第2,761,791号公報に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
【0092】
同時重層塗布を行う際の高屈折率層塗布液と低屈折率層塗布液の塗布時の粘度としては、50〜500mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは70〜300mPa・sの範囲である。
【0093】
また、塗布液の15℃における粘度としては、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、さらに好ましくは3,000〜30,000mPa・sである。
【0094】
塗布および乾燥方法としては、高屈折率層塗布液と低屈折率層塗布液を30℃以上に加温して、塗布を行った後、形成した塗膜の温度を1〜15℃に一旦冷却し、10℃以上で乾燥することが好ましく、より好ましくは、乾燥条件として、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件で行うことである。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜均一性の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
【0095】
本発明においては、上記高屈折率層塗布液を調製する際、体積平均粒径が100nm以下のルチル型の酸化チタンを添加、分散して調製した水系の高屈折率層塗布液を用いて、高屈折率層を形成することが好ましい。この時、ルチル型の酸化チタンとしては、pHが1.0以上、3.0以下で、かつチタン粒子のゼータ電位が正である水系の酸化チタンゾルとして、高屈折率層塗布液に添加して調製することが好ましい。
【0096】
〔膜設計〕
本発明においては、少なくとも隣接した2層(高屈折率層及び低屈折率層)の屈折率差が0.2以上であることが好ましく、より好ましくは0.3以上である。また、上限には特に制限はないが通常1.4以下である。
【0097】
隣接した層界面での反射は、層間の屈折率比に依存するのでこの屈折率比が大きいほど、反射率が高まる。また、単層膜でみたとき層表面における反射光と、層底部における反射光の光路差を、n・d=波長/4、で表される関係にすると位相差により反射光を強めあうよう制御でき、反射率を上げることができる。ここで、nは屈折率、dは層の物理膜厚、n・dは光学膜厚である。この光路差を利用することで、反射を制御できる。この関係を利用して、各層の屈折率と膜厚を制御して、可視光や、近赤外光の反射を制御する。即ち、各層の屈折率、各層の膜厚、各層の積層のさせ方で、特定波長領域の反射率をアップさせることができる。
【0098】
本発明の光学反射フィルムは反射率をアップさせる特定波長領域を変えることにより、可視光反射フィルムや近赤外光反射フィルムとすることができる。即ち、反射率をアップさせる特定波長領域を可視光領域に設定すれば可視光反射フィルムとなり、近赤外領域に設定すれば近赤外光反射フィルムとなる。
【0099】
本発明の光学反射フィルムを遮熱フィルムに用いる場合は、近赤外光反射フィルムとすればよい。高分子フィルムに互いに屈折率が異なる膜を積層させた多層膜を形成し、JIS R3106−1998で示される可視光領域の透過率が50%以上で、かつ、波長900〜1400nmの領域に反射率40%を超える領域を有するように光学膜厚とユニットを設計することが好ましい。
【0100】
太陽直達光の入射スペクトルのうち赤外域が室内温度上昇に関係し、これを遮蔽することで室内温度の上昇を抑えることができる。日本工業規格JIS R3106に記載された重価係数をもとに赤外の最短波長(760nm)から最長波長3200nmまでの累積エネルギー比率をみると、波長760nmから最長波長3200nmまでの赤外全域の総エネルギーを100としたときの、760nmから各波長までの累積エネルギーをみると、760から1300nmのエネルギー合計が赤外域全体の約75%を占めている。従って、1300nmまでの波長領域を遮蔽することが熱線遮蔽による省エネルギー効果の効率がよい。
【0101】
この近赤外光域(760〜1300nm)の反射率を最大ピーク値で約80%以上にすると、体感温度の低下が官能評価により得られる。たとえば8月の午前中の南東方法を向く窓際での体感温度が近赤外光域の反射率を最大ピーク値で約80%にまで遮蔽したとき明確な差がでた。
【0102】
このような機能を発現するのに必要となる多層膜構造を光学シミュレーション(FTG Software Associates Film DESIGN Version 2.23.3700)で求めた結果、屈折率は1.9以上、望ましくは2.0以上の高屈折率層を利用し、6層以上積層した場合に優れた特性が得られることがわかっている。例えば、高屈折率層と低屈折率層(屈折率=1.35)を交互に8層積層したモデルのシミュレーション結果をみると、高屈折率層の屈折率が1.8では反射率が70%にも達しないが、1.9になると約80%の反射率が得られる。また、高屈折率層(屈折率=2.2)と低屈折率層(屈折率=1.35)を交互に積層したモデルでは、積層数が4では反射率が60%にも達していないが、6層になると約80%の反射率が得られる。
【0103】
〔光学反射フィルムの応用〕
本発明の光学反射フィルムは、幅広い分野に応用することができる。例えば、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備に貼り合せ、熱線反射効果を付与する熱線反射フィルム等の窓貼用フィルム、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。
【0104】
特に、本発明に係る光学反射フィルムが直接もしくは接着剤を介して基体であるガラスもしくはガラス代替樹脂基体に貼合される部材には好適である。
【0105】
接着剤は、基体である窓ガラスなどに貼り合わせたとき、光学反射フィルムが日光(熱線)入射面側にあるように設置する。また近赤外反射フィルムを窓ガラスと基材との間に挟持すると、水分等周囲ガスから封止でき耐久性に好ましい。本発明の光学反射フィルムを屋外や車の外側(外貼り用)に設置しても環境耐久性があって好ましい。
【0106】
本発明に適用可能な接着剤としては、光硬化性もしくは熱硬化性の樹脂を主成分とする接着剤を用いることができる。
【0107】
接着剤は紫外線に対して耐久性を有するものが好ましく、アクリル系粘着剤またはシリコーン系粘着剤が好ましい。更に粘着特性やコストの観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。特に剥離強さの制御が容易なことから、アクリル系粘着剤において、溶剤系及びエマルジョン系の中で溶剤系が好ましい。アクリル溶剤系粘着剤として溶液重合ポリマーを使用する場合、そのモノマーとしては公知のものを使用できる。
【0108】
また、合わせガラスの中間層として用いられるポリビニルブチラール系樹脂、あるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂を用いてもよい。具体的には可塑性ポリビニルブチラール(積水化学工業社製、三菱モンサント社製等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(デュポン社製、武田薬品工業社製、デュラミン)、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー社製、メルセンG)等である。なお、接着層には紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着調整剤等を適宜添加配合してもよい。
【実施例】
【0109】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0110】
(高屈折率層塗布液1の調製)
ジルコニアゾル(ナノユースZR30−AR 日産化学工業(株)社製)60質量部を撹拌しながら50℃まで昇温した後、置換率=20%のエチル化グアガム(分子量8万)の5質量%水溶液100質量部と純水150質量部を添加して90分撹拌した後、5質量%界面活性剤水溶液(コータミン24P 花王(株)社製)0.45質量部を添加して高屈折率層塗布液1を調製した。
【0111】
(高屈折率層塗布液2の調製)
エチル化グアガム水溶液の代わりに、メチルセルロース(メトローズSM25 信越化学工業(株)社製)の5質量%水溶液を使用したほかは高屈折率層用塗布液1と同様にして高屈折率層用塗布液2を調製した。
【0112】
(高屈折率層塗布液3の調製)
エチル化グアガム水溶液の代わりに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ60SH15 信越化学工業(株)社製)の5質量%水溶液を使用したほかは高屈折率層用塗布液1と同様にして高屈折率層用塗布液3を調製した。
【0113】
(高屈折率層塗布液4の調製)
ジルコニアゾルの代わりに20質量%二酸化チタンゾル(体積平均粒径35nm、ルチル型二酸化チタン)を使用したほかは高屈折率層用塗布液1と同様にして高屈折率層用塗布液4を調製した。
【0114】
(高屈折率層塗布液5の調製)
エチル化グアガム水溶液の代わりに、メチルセルロース(メトローズSM25 信越化学工業(株)社製)の5質量%水溶液を使用したほかは高屈折率層用塗布液4と同様にして高屈折率層用塗布液5を調製した。
【0115】
(高屈折率層塗布液6の調製)
エチル化グアガム水溶液の代わりに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ60SH15 信越化学工業(株)社製)の5質量%水溶液を使用したほかは高屈折率層用塗布液4と同様にして高屈折率層用塗布液6を調製した。
【0116】
(高屈折率層塗布液7の調製)
エチル化グアガム水溶液の代わりに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ60SH50 信越化学工業(株)社製)の5質量%水溶液を使用したほかは高屈折率層用塗布液4と同様にして高屈折率層用塗布液7を調製した。
【0117】
(高屈折率層塗布液8の調製)
エチル化グアガム水溶液の代わりに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ60SH100 信越化学工業(株)社製)の5質量%水溶液を使用したほかは高屈折率層用塗布液4と同様にして高屈折率層用塗布液8を調製した。
【0118】
(高屈折率層塗布液9(比較例)の調製)
下記組成物をボールミルにて4時間分散させ、分散粒子径がD50で20nmの酸化チタンの分散液を作製した。
【0119】
イソプロパノール 100質量部
ピリジン 3質量部
エチルシリケート(コルコート製、有効成分30質量%) 5質量部
ルチル型酸化チタン粒子(体積平均粒子径15nm) 10質量部
得られた分散液に、紫外線硬化バインダー(信越化学工業製 X−12−2400、有効成分30質量%)1.5質量部、触媒(信越化学工業製DX−2400)0.15質量部配合し、ボールミルにて1時間分散させ、分散粒子径がD50で16nmの酸化チタン含有高屈折率層塗布液9を調製した。
【0120】
(高屈折率層塗布液10(比較例)の調製)
エチル化グアガム水溶液の代わりに、グアガムの5質量%水溶液を使用したほかは高屈折率層用塗布液4と同様にして高屈折率層用塗布液10を調製した。
【0121】
(高屈折率層塗布液11(比較例)の調製)
エチル化グアガム水溶液の代わりに、セルロースの5質量%水懸濁液を使用したほかは高屈折率層用塗布液4と同様にして高屈折率層用塗布液11を調製した。この液は、セルロースの未溶解凝集物が多く存在するため、塗布液として用いることが出来なかった。
【0122】
(高屈折率層塗布液12(比較例)の調製)
エチル化グアガム水溶液の代わりに、カルボキシメチルセルロースの5質量%水溶液を使用したほかは高屈折率層用塗布液4と同様にして高屈折率層用塗布液12を調製した。この液は白濁してしまったため、塗布液として用いることが出来なかった。
【0123】
(低屈折率層塗布液1の調製)
コロイダルシリカ(スノーテックスAK 日産化学工業(株)社製)68質量部と3%ホウ酸水溶液20質量部を撹拌しながら40℃まで昇温した後、ポリビニルアルコール(PVA235 重量平均分子量15万 (株)クラレ社製)の5質量%水溶液280質量部と純水240質量部を添加して10分間攪拌した後、5質量%界面活性剤水溶液(コータミン24P 花王(株)社製)0.64質量部を添加して低屈折率層塗布液1を調製した。
【0124】
(低屈折率層塗布液2の調製)
メチルセルロース(メトローズSM25 信越化学工業(株)社製)の5質量%水溶液300質量部に、純水150質量部と5質量%界面活性剤水溶液(コータミン24P 花王(株)社製)0.48質量部を添加して低屈折率層塗布液2を調製した。
【0125】
(低屈折率層塗布液3の調製)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ60SH15 信越化学工業(株)社製)の5質量%水溶液400質量部に、純水100質量部と5質量%界面活性剤水溶液(コータミン24P 花王(株)社製)0.48質量部を添加して低屈折率層塗布液3を調製した。
【0126】
(低屈折率層塗布液4の調製)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ60SH50 信越化学工業(株)社製)の5質量%水溶液400質量部に、純水100質量部と5質量%界面活性剤水溶液(コータミン24P 花王(株)社製)0.48質量部を添加して低屈折率層塗布液4を調製した。
【0127】
(低屈折率層塗布液5の調製)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ60SH100 信越化学工業(株)社製)の5質量%水溶液300質量部に、純水200質量部と5質量%界面活性剤水溶液(コータミン24P 花王(株)社製)0.48質量部を添加して低屈折率層塗布液5を調製した。
【0128】
(低屈折率層塗布液6の調製)
高屈折率層塗布液9の調製において、ルチル型酸化チタン粒子をシリカのオルガノゾル(平均一次粒子径10〜20nm、日産化学株式会社製、XBA−ST)に変えた以外は同様にして、低屈折率層塗布液6を作製した。
【0129】
(塗布試料1の作製)
9層重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置を用い、前記の低屈折率層用塗布液1及び高屈折率層用塗布液1を45℃に保温しながら、45℃に加温した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製A4300:両面易接着層)上に、最下層を低屈折率層として、それぞれ交互に乾燥時の膜厚が低屈折率層は各層150nm、高屈折率層は各層150nmになるように計9層の同時重層塗布を行った。
【0130】
塗布直後、5℃の冷風を吹き付けてセットさせた。このとき、表面を指でふれても指に何もつかなくなるまでの時間(セット時間)は5分間であった。
【0131】
セット完了後、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、9層からなる重層塗布品を作製した。
【0132】
《近赤外反射フィルムの評価》
上記作製した各近赤外反射フィルムについて、下記の特性値の測定及び性能評価を行った。
【0133】
(各層の屈折率の測定)
基材上に屈折率を測定する対象層(高屈折率層、低屈折率層)をそれぞれ単層で塗設したサンプルを作製し、下記の方法に従って、各高屈折率層及び低屈折率層の屈折率を求めた。
【0134】
分光光度計として、U−4000型(日立製作所社製)を用いて、各サンプルの測定側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して、5度正反射の条件にて可視光領域(400nm〜700nm)の反射率の測定結果より、屈折率を求めた。
【0135】
なお、試料12では高屈折率層での凝集が激しく、試料13では塗膜の白濁が大きく、評価に耐えない膜面品質で、屈折率の測定を行うことができなかったため、表1には,NDと表示した。
【0136】
(可視光透過率及び近赤外透過率の測定)
上記分光光度計(積分球使用、日立製作所社製、U−4000型)を用い、各近赤外反射フィルムの300nm〜2000nmの領域における透過率を測定した。可視光透過率は550nmにおける透過率の値を、近赤外透過率は1200nmにおける透過率の値を用いた。
【0137】
《塗布乾燥後の塗膜の割れ》
塗布乾燥後、23℃、相対湿度20%の部屋で、24時間調湿後の塗膜の状態を以下の基準で評価した。
【0138】
塗膜の割れの評価基準
1:目視で塗膜に大きな割れが多数観察される
2:目視で塗膜に大きなひび割れが数個観察される
3:目視で塗膜にかすかに割れが数個観察される
4:目視で塗膜の割れが観察されないが、100倍ルーペで見ると複数のひび割れがされる
5:目視で塗膜の割れが観察されないが、100倍のルーペで数個のひび割れが観察される
6:目視、100倍のルーペともに、ひび割れが観察されない
《ヒートサイクル試験での割れ》
塗布されたフィルムを23℃、相対湿度55%で1日調湿したのち、85℃の恒温槽で2時間、さらに23℃、相対湿度55%で2時間、のサイクルを3回繰り返したのち2.5cm×2.5cmの範囲内の塗膜の割れを、目視と100倍のルーペで確認、塗布乾燥後と同じ評価基準で塗膜のわれを評価した。
【0139】
評価結果は、下記表1に記載したが、本発明内のものはいずれも本発明外の比較例に比して優れた性能を有することがわかる。
【0140】
【表1】

【0141】
実施例2
〔光学反射体1〜11の作製〕
実施例1で作製した試料1〜11の光学反射フィルムを用いて光学反射体1〜11を作製した。厚さ5mm、20cm×20cmの透明アクリル樹脂板上に、試料1〜11の光学反射フィルムをそれぞれアクリル接着剤で接着して、光学反射体1〜11を作製した。
【0142】
〔評価〕
上記作製した本発明の光学反射体1〜11は、光学反射体のサイズが大きいにもかかわらず、容易に利用可能であり、また、本発明の光学反射フィルムを利用することで、優れた近赤外反射性を確認することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、高屈折率層と低屈折率層を積層したユニットを少なくとも1つ含む光学反射フィルムにおいて、該高屈折率層に金属酸化物粒子と多糖類のアルキルエーテル化合物を含有することを特徴とする光学反射フィルム。
【請求項2】
該多糖類のアルキルエーテル化合物が、セルロースのアルキルエーテル化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光学反射フィルム。
【請求項3】
該金属酸化物粒子が、ルチル型酸化チタン粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学反射フィルム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学反射フィルムを、高屈折率層と低屈折率層を、水系同時重層塗布により形成することを特徴とする光学反射フィルムの製造方法。
【請求項5】
各層を形成する塗布液の粘度が、40℃で50〜500mPa・sであることを特徴とする請求項4に記載の光学反射フィルムの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学反射フィルムが、基体の少なくとも一方の面に設けられていることを特徴とする光学反射体。

【公開番号】特開2013−44916(P2013−44916A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182332(P2011−182332)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】