光学式位置測定装置
【課題】交差する二つの基準尺を備えた光学式位置測定装置を、二つの基準尺間の走査検知間隔を追加して測定できるようにする。
【解決手段】走査検知尺が二つの方向X,Yの第一または第二方向で、基準尺が両方向のそれぞれ別の方向で延伸しており、基準尺が第一および第二方向に対して直角な第三方向Zで、走査検知尺に対し走査検知間隔dだけオフセットして配設され、さらに光源LQを備え、その光が走査検知尺Aと基準尺Mの交点で走査検知尺Aを通過し基準尺Mに当たって、走査検知尺Aに向かって戻りディテクタに到達し、光が走査検知尺Aと基準尺Mの光学的機能構造において回折により異なった分光に分割されて再び一緒にされ、第一方向Xで走査検知尺Aと基準尺M間が移動する時に、分光の干渉によりディテクタで周期的な信号を発生する。そこで、走査検知尺Aと基準尺M間の走査検知間隔dが変化する時に同じく、ディテクタで周期的な信号が発生する。
【解決手段】走査検知尺が二つの方向X,Yの第一または第二方向で、基準尺が両方向のそれぞれ別の方向で延伸しており、基準尺が第一および第二方向に対して直角な第三方向Zで、走査検知尺に対し走査検知間隔dだけオフセットして配設され、さらに光源LQを備え、その光が走査検知尺Aと基準尺Mの交点で走査検知尺Aを通過し基準尺Mに当たって、走査検知尺Aに向かって戻りディテクタに到達し、光が走査検知尺Aと基準尺Mの光学的機能構造において回折により異なった分光に分割されて再び一緒にされ、第一方向Xで走査検知尺Aと基準尺M間が移動する時に、分光の干渉によりディテクタで周期的な信号を発生する。そこで、走査検知尺Aと基準尺M間の走査検知間隔dが変化する時に同じく、ディテクタで周期的な信号が発生する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いの間で可動する二つの対象物の相対的位置を検出するための光学式位置測定装置に関するものである。特に本発明は、入射する光を回折により異なった分光に分割する光学格子を備えた基準尺体を使用する位置測定装置に関するものである。一つの基準尺体を別の基準尺体に対して移動する時に、適切な分光を一緒にすると二つの分光の干渉により、フォトディテクタで周期的な信号が得られる。ディテクタにおける周期を数えることにより、移動の量を推量することができる。
【背景技術】
【0002】
以上のような干渉方式の位置測定装置は、例えば半導体産業において高精密な位置測定のために使用され、そこでは例えばフォトリソグラフィ用の露光マスクを、ウエハーに対して相対的に1m/秒以上の速度で動かさねばならず、そのときに位置決め精度をナノメーター範囲、将来は更にそれ以下に維持せねばならない。従来の干渉計と較べてそのようなシステムの大きな利点は、干渉する分光が通らねばならない経路が非常に短いことであり、それにより気圧、温度、湿度の変動のような、空気の屈折率変動により測定結果を誤らし兼ねない環境要素の影響を殆ど受けない。
【0003】
本発明が前提にする国際公開第WO 2008/138501号において、共通の測定方向に対して直角な線を備えた光学格子が付いており且つ交差する二つの基準尺を使って測定を行うことが公知である。そのような測定システムを使うことにより、二方向で可動するテーブルの位置を一つの測定方向で、二方向のうちの別の方向におけるテーブルの位置とは関係なく検出することができる。互いに90度の角度で配設されているそのような測定システムを二つ使用すると、テーブルの位置を第二方向でも検出することができ、この場合には第一方向におけるテーブルの位置とは関係がない。
【0004】
国際公開第WO 2008/138501号で開示されている配設における欠点は、テーブル面に対して直角なテーブルの動きを検出できないことである。
テーブルの位置をテーブル面において検出するために、複数の場所で走査検知する十字格子を備えた測定配設も公知であり、その十字格子によりテーブル面での横方向移動および回転を検出できる。更にEP1019669B1では追加の走査検知センサを使用し、それを使ってテーブル面に対して直角な動きも、それによりテーブルの6自由度すべてを検出できることが提案されている。しかしながら、そのような間隔センサ、例えば接触式または容量式の測定センサは、半導体産業における現在および将来の製造装置の精度要求を満たすものではない。加えて高精度且つサイズの大きな十字格子は、殊のほか製造にコストがかかる。
【0005】
EP1762828A2に記載されている光学式位置測定装置は、本来の測定方向(水平な測定方向)における測定の他に、測定方向に対して直角な所謂、走査検知間隔、即ち、基準尺とその走査検知ユニット間の間隔の測定もできる。このことは、測定方向に対して直角な第二自由度の測定と同義である(縦方向の測定方向)。このケースでは光が、色々な光学構造を有する透明な走査検知プレートを通過して、反射する基準尺体で基準尺に当たる。二つの分光光束に分割された光は、走査検知プレートと基準尺間を何度も往復する。そのとき分光光束の分光が、水平な測定方向に対して直角な面に関して非対称で進み、異なった経路長を有している。分光光束は、走査検知プレートの上側と下側ないし基準尺体の上側と下側に配設され光学的に機能する色々な構造、例えば異なった回折次数の光線を分割または一緒にするための格子、反射するためのミラー、意図的に光を屈曲するためのレンズと相互して作用する。
【0006】
そのような分光は最後に互いで一緒にされ、それが互いで干渉し、基準尺体と走査検知ヘッド間が相対的に動く時に、複数のフォトディテクタで周期的な信号を発生する。分光の非対称配設により、ディテクタで周期的な信号が得られ、その信号から基準尺体と走査検知ヘッドの水平方向や縦方向における移動量、それにより互いに移動する二つの対象物の横方向と縦方向の移動量が得られる。
【0007】
しかしながら、上記しているようにEP1762828A2に記載のシステムは、交差した基準尺を備えた測定システムに対して、その走査検知プレート構造により使用できない。この走査検知プレートは、測定方向に対して直角な第一基準尺が相対的に動ける第二基準尺まで、測定を阻害することなく拡大できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって本発明の課題は、交差する二つの基準尺を備えた光学式位置測定装置を、二つの基準尺間の走査検知間隔を追加して測定できるように更に展開することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を、請求項1の特徴を備えた装置により解決する。利点ある実施形態は、請求項1に従属する請求項に記載の特徴により得られる。
ここで記載するのは、走査検知尺と基準尺を備えた光学式位置測定装置であり、走査検知尺が二つの方向の第一または第二方向で、基準尺が両方向のそれぞれ別の方向で延伸しており、基準尺が第一および第二方向に対して直角な第三方向で、走査検知尺に対して走査検知間隔だけオフセットして配設されている。さらに光学式位置測定装置が光源を備えており、その光が走査検知尺と基準尺の交点で走査検知尺を通過し、それにより基準尺に当たって、そこから走査検知尺に向かって戻り、更にディテクタに到達し、そのとき光が走査検知尺と基準尺の光学的機能構造において回折により異なった分光に分割されて再び一緒にされ、第一方向で走査検知尺と基準尺間が移動する時に、互いが一緒になった分光の干渉によりディテクタで周期的な信号を発生する。そこで光学式位置測定装置は、走査検知尺と基準尺間の走査検知間隔が変化する時に同じく、ディテクタで周期的な信号が発生するように構成されている。
【0010】
このことは、個々の分光がグループを形成しており、そのとき第一グループの分光と第二グループの分光が互いの間で、走査検知間隔に関係する位相差を有していることにより達成される。
【0011】
そのために第一グループの分光ないし第二グループの分光が互いの間で、第一方向に対して直角な面に関して非対称に進むことがある。
走査検知尺にある光学構造が、第一方向に関して周期的または並進不変であると好ましく、それにより走査検知尺を、第一方向における全移動経路に亘って拡大することができる。
【0012】
基準尺にある光学構造が、第二方向に関して周期的または並進不変であると好ましく、それにより基準尺を、第二方向における全移動経路に亘って拡大することができる。
その他に、十分な品質のディテクタ信号を得るために、光学構造が局所的に二つを超える周期性を有するべきではない。
【0013】
本発明の別の利点および詳細は、以下における図を使った好ましい実施例の説明から分かる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来技術による光学式位置測定装置
【図2】従来技術による光学式位置測定装置
【図3】従来技術による光学式位置測定装置
【図4】従来技術による光学式位置測定装置
【図5】第一実施例
【図6a】第一実施例
【図6b】第一実施例
【図7】第一実施例
【図8】第二実施例
【図9a】第二実施例
【図9b】第二実施例
【図10】第二実施例
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1aではテーブルTを上部外観図で示しており、その位置を第一方向Xと第二方向Yで広がる面で検出することになる。そのためにテーブルTには光学式位置測定装置が配設されており、それが、テーブル端部に配設されていると共に、測定方向に延伸する走査検知尺Aおよび、測定方向に対して直角に延伸する基準尺Mを有している。走査検知尺Aにも基準尺Mにも規則的な格子構造が付いており、その格子線は当該測定方向に対して直角になっている。
【0016】
テーブル上には加工品WSがあり、それを工具WZで加工することになる。対象となり得るのは、加工品WSでは例えばウエハーであり、工具WZではウエハーに対して位置決めする露光光学系とすることができる。工具WZは、ウエハーを調べる顕微鏡の写像光学系の場合もある。
【0017】
テーブルTの位置を第一方向Xでも第二方向Yでも検出できるようにするために、そしてその他に第一および第二方向X,Yに対して直角なZ軸を中心にしたテーブルの回転も求めることができるようにするために、三つのこの光学式位置測定装置がテーブルTに配設されている。以下においては、図1aで左側テーブル端部に配設された位置測定装置にのみ注目する。
【0018】
図1bは、図1aの側面外観を示している。第一方向Xは、ここで注目する位置測定装置にとっての測定方向であり、図面の面に対して直角に立っている。
走査検知ヘッドAKには光源LQが配設されており、その光はまず、走査検知尺Aに平行でテーブル端部に配設されている方向転換ミラーUに当たる。そこから光は、透明な走査検知尺Aを通過して反射基準尺Mに当たり、そして更に往路に対して平行にオフセットした復路を、中で複数のディテクタDETが入射光を電気信号に変換する走査検知ヘッドAKに戻る。これらの信号は、測定方向Xにおいてテーブルが移動する時に周期的である。周期の数、これは補間により増加することができるが、テーブルTの移動量に対する尺度である。その他に、互いで位相がずれた複数の信号(例えば、0/90度または0/120/240度の位相ずれ)を発生させることにより、方向情報も得ることができる。
【0019】
この例では走査検知ヘッドAK、基準尺M、工具WZは、位置が固定されているのに対して、方向転換ミラーU、走査検知尺Aの付いたテーブルTおよび加工品WSは、テーブル面において一緒に可動である。従来技術により公知のこの配設の利点は、第二方向Yにおけるテーブル位置とは関係なく、第一方向Xにおけるテーブル位置の測定が可能であることである。位置測定のために重要な格子線が、走査検知尺Aおよび基準尺M上で測定方向Xに対して直角になっているので、第二方向YでテーブルTが動く時に、走査検知ヘッドAKにあるディテクタのディテクタ信号は不変のままであり、本来の測定方向Xの動きのみに応答する。
【0020】
走査検知尺Aと基準尺M間の間隔を、ここでは走査検知間隔dとして表すことにする。テーブルが、例えばガイド不良により更に第三方向Zで動く場合には、それにより必然的に走査検知間隔dも変化する、というのは、走査検知尺AがテーブルTと固定接続されており、基準尺Mはテーブルとは別に位置が固定されているからである。即ち、走査検知間隔dの検出を介して、テーブルの別の自由度を求めることができるであろう。
【0021】
しかしながら、図1aないし1bのように交差した基準尺体につくられている従来技術で公知の位置測定装置は、走査検知間隔dを測定できず、反対に一般的に、走査検知間隔の小さい変化が本来の位置測定に出来るだけ作用しないように構成されている。
【0022】
図2〜4では、従来技術による光学式位置測定装置を説明しており、その光学式位置測定装置では、走査検知ヘッドと基準尺の走査検知プレート間の間隔を、追加しそして基準尺方向における本来の位置測定に対して直角に検出することができる。
【0023】
図2a,2b,2cでは、透明な走査検知プレートの上側と下側を上部外観図で、光学式位置測定装置の光線の当該通過点と一緒に示している。図3aと3bでは、光路を空間的に想定する補助となる断面図を示している。図4aは光路を展開して図示しており、そこでは理解し易くするために反射も、光学的境界面を通過する透過として示している。図4aに位置を合わせて配設している図4bでは、これらの境界面とその光学構造を改めて図示している。
【0024】
全ての図示においては、境界面を通過する光の通過点または衝突点にマーキングをすると共に、通し番号を付けている。境界面において作用が変化する毎に、点の番号を1だけ大きくしている。回折により複数の分光が発生すると、これを次の衝突点でa,b,c等を付けて区分している。
【0025】
図2aは走査検知プレート上側APOを示しており、それを通過して点1で光源の光が入射する。この場所では走査検知プレートは透明であり、逆反射を防ぐために好ましくはコーティングしている。即ち、点1の光入射位置における光学構造O1の場合には、走査検知プレートの透明なガラス基板で光学的に構造化されていない範囲が対象になる。図2bは走査検知プレート下側APUを示しており、それが基準尺体MVに対向している。点1から来る光が点2で規則的な格子O3に当たり、そして二つの分光に分割され、それが走査検知プレートを出て点3aと3bで基準尺体MVに衝突する。
【0026】
光は点3aと3bでも、格子線が点2と同じく測定方向Xに対して直角になっている規則的な格子O3に当たる。二つの分光は改めて二つの分光に分割され、そして走査検知プレート下側APUに向かって逆反射され、そこで点4a,4b,4c,4dに衝突する。
【0027】
基準尺と走査検知プレート間の傾きに対する一定の影響を補正するために、この場所では四つの分光が平行に向いており、同時に走査検知プレート上側の鏡面構造O2で集束されねばならない。そのために点4aと4bでは走査検知プレート下側APUが、格子周期が変化する一次元格子の形態をした光学構造O4を有している。この構造は円筒レンズとして作用し、入射する光を集束する。点4cと4dでは更に格子線が彎曲しており、それによりレンズ作用の他に、当該光線を平行に向けることも行う。
【0028】
点5a,5b,5c,5dで四つの分光が、走査検知プレート上側APOの鏡面に当たる。
点5aと5bにより、走査検知プレート下側APUの鏡面O2に向かって更に反射が行われ、そこで光が点6aと6bに衝突する。そこから光は再び、走査検知プレート上側APOに向かい、そして点7aと7bで鏡面O2に当たる。
【0029】
光線は、点5c,5d,7a,7bにおける鏡面O2から、改めて走査検知プレート下側APUに向かい、そこで光線は点8a,8bにおいて、格子周期が変化しており円筒レンズとして作用する一次元格子O4に当たる、ないしは点8cと8dにおいて、レンズ作用に加え彎曲した格子線を使って光線の方向変化を行う光学構造に当たる。基準尺体MVの上側にある点9aと9bで、それぞれ二つの光線が干渉して、それにより位相がずれた少なくとも二つの光束がつくられる。以上のようにしてつくられた光線は、基準尺体MVの点9aと9bから走査検知プレート下側APUに向かい、そこでは点10において規則的な格子O3に当たり、そして適切な方向に屈曲される。そして点11aと11bで二つの光線が上側APOで走査検知プレートを出て、ディテクタに最終的に到達し、そこで互いに位相がずれた信号がつくられる。
【0030】
特に図4aで分かることは、基準尺体MVと走査検知プレート下側APU間の走査検知隙間において、点3aから4cに又は3bから4dに向かう分光A1,B1が、点3aから4aに又は点3bから4bに向かう二つの分光A2,B2と較べて、より長い経路を進まねばならないことである。このように測定方向Xに対して直角な面に関して二つの分光光束A,Bの中で非対称であることにより、干渉する分光において位相差が得られ、それが走査検知間隔dに関係している。よって、測定方向Xにおいて走査検知プレートに対して相対的な基準尺体MVの移動量のように、同じく走査検知間隔dの変化がディテクタで周期的な信号をつくり出す。
【0031】
ところが二つの分光光束AとBは互いの間で、測定方向Xに対して直角な前記面に関して対称的に延伸するので、二つの分光光束から得られる位置情報の合計によりX方向における正味の移動量を、そして二つの位置情報の差異から走査検知間隔dの変化を特定できる。
【0032】
言及しているように、横方向の測定方向に直角な面に関して観察する分光光束が非対称であることに基づいて、走査検知間隔dを測定する物理的な基礎および原理的な機能方法を詳しく導き出すことについては、初めに既に挙げておりここで詳細に参照することにする特許文献3の段落[0021]〜[0038]に記載されている。特許文献3の図3の実施例を、ここで図2〜4に図示している。
【0033】
しかしながら、図1aと1bで説明したようなシステムで使用するためには、そのような位置測定装置は直ぐには適していないことが、図2aと2bによっても分かる。
そのためには測定を阻害することなく、走査検知尺A上で光の衝突点を測定方向Xに移動できることが必要である。そのためには走査検知尺Aの光学構造が、第一方向Xに関して周期的または並進不変でなければならない。並進不変であるのは、測定方向、即ち、第一方向Xで延伸している鏡面または透明な面、および第一方向Xに対してラインが平行に延伸する格子構造である。適切な周期的光学構造とは、X方向で格子周期が変化しない格子構造である。
【0034】
以下において本発明の二つの実施例を説明するが、その実施例では走査検知尺が専ら、そのような並進不変または周期的な光学構造を有している。よって、得られる位置測定装置は、図1aと1bに従って構成されており、同時に走査検知間隔dの測定を可能にするものである。
【実施例1】
【0035】
図5〜7において本発明の第一実施例を示している。図示の形式は、図2〜4における従来技術の図示に類似して選んでおり、色々な光線の衝突点に通し番号を付すと共に、関係する境界面での異なった外観を図示している。図5〜7を一緒に見ることにより、第一実施例の光路を完全に追随できる。
【0036】
ここでは、この実施例の幾つかの詳細について触れることにする:
図5aと5bは、走査検知尺Aの(まず光源の光が当たる)上側および下側(ないし走査検知尺Aは第一方向Xで延伸しているので、それぞれその一部分)を、その色々な光学構造O1,O2,O3,O4を使って示している。これらの構造は、第一方向(即ち測定方向)Xに関して並進不変であるか、即ち、透光する範囲O1、鏡面O2、Y方向で変化する格子周期を有すると共に線の方向が測定方向Xに対して平行である一次元格子O4のようであるか、それとも周期的であるか、即ち、線の方向が測定方向Xに対して直角である規則的な格子O3のようであるか、のいずれかである。以上により、適切な走査検知尺Aのための前述条件が満たされている。
【0037】
図5cは、基準尺Mの(まず光源の光が当たる)上側(ないし基準尺Mは第二方向Yで延伸しているので、その一部分)を、その色々な光学構造O3を使って示している。これらの構造O3は第二方向Yに関して並進不変であり、以上により、適切な基準尺Mのための前述条件が満たされている。
【0038】
図6aと6bでは方向転換要素Uを図示しており、それを使うことにより光源LQの光が、走査検知ヘッドAKから走査検知尺Aの方に、又はこれから逆に走査検知ヘッドAKにあるディテクタDETの方に向けられる。
【0039】
走査検知尺Aの下側にある衝突点2から、四つの光線が基準尺Mの方に向かう。衝突点3dと3cを伴う光線A1,A2が第一分光光束Aを形成し、衝突点3aと3bを伴う光線B1,B2が第二分光光束Bを形成する。
【0040】
明らかに分かることは、分光光束AないしBの中で分光A1,A2ないしB1,B2が非対称であり、それが当該分光間で異なった長さの光路となり、それにより更に走査検知間隔dに関係する位相差になることである。図7aで展開されている光路で最もよく分かるように、二つの分光A1,A2ないしB1,B2は、測定方向Xに対して直角であり衝突点2を含む面に関して非対称に進む。
【0041】
加えて分かるのは、二つの分光光束AとBが対称なことであり、それは、二つの分光光束からの位置情報の加算によりX方向での移動情報を、そして減算により走査検知間隔dの変化を求めるために必要である。分光光束Aの二つの分光A1,A2を前記の面で映すと、光束Bが得られる。
【0042】
同じく認められることは、回折円筒レンズ(衝突点4a〜4dを含む光学構造O4)、ミラー(衝突点5a〜5dを含む光学構造O2)、別の回折円筒レンズ(衝突点6a〜6dを含む光学構造O4)の組み合わせであり、それを使って、走査検知尺Aの傾斜動作を補正するために全ての分光A1,A2,B1,B2の逆反射を行う。
【0043】
衝突点8bないし8aでは、二つの分光光束AとBの分光を一緒にして干渉させる。そして点9aと9bで二つの光線が、走査検知尺Aを出て方向転換要素Uの方向に向い、その光線から公知の方法で必要な周期的信号を得ることができる。
【0044】
経路長さが異なることの欠点、従って分光光束の中で分光の位相差の欠点は、光の波長の変化も走査検知ヘッドAKのディテクタにおける周期的な信号になることである。
【実施例2】
【0045】
第二実施例では、干渉させる分光の位相差を作動点において、即ち、規定の走査検知間隔において消滅することにより、位置測定(Xとd)が波長と関係することを、少なくとも減少する方法を示している。
【0046】
図8〜10において本発明の第二実施例を示している。図示の形式は、図5〜7における従来技術の図示に類似して選んでおり、色々な光線の衝突点に通し番号を付すと共に、関係する境界面での異なった外観を図示している。図8〜10を一緒に見ることにより、第二実施例の光路を完全に追随できる。
【0047】
同じく、この実施例の幾つかの詳細について触れることにする:
図8aないし8bは、走査検知尺Aの(まず光源の光が当たる)上側ないし下側(ないし走査検知尺Aは第一方向Xで延伸しているので、それぞれその一部分)を、その色々な光学構造O1,O2,O3,O4,O5を使って示している。これらの構造は、第一方向(即ち測定方向)Xに関して並進不変であるか、即ち、透光する範囲O1、鏡面O2、Y方向で変化する格子周期を有すると共に線の方向が測定方向Xに対して平行である一次元格子O4のようであるか、それとも周期的であるか、即ち、線の方向が測定方向Xに対して直角である規則的な格子O3のようであるか、あるいは格子周期が測定方向Xで一定であるが第二方向Yで変化する二次元格子O5のようであるか、のいずれかである。以上により、適切な走査検知尺Aのための前述条件が、同じく満たされている。
【0048】
図8cは、基準尺Mの(まず光源LQの光が当たる)上側(ないし基準尺Mは第二方向Yで延伸しているので、その一部分)を、その色々な光学構造O1,O2,O3を使って示している。これらの構造は、同じく第二方向Yに関して並進不変である。
【0049】
図9aと9bでは方向転換要素Uを図示しており、それを使うことにより光源LQの光が、走査検知ヘッドAKから走査検知尺Aの方に、又はこれから逆に走査検知ヘッドAKにあるディテクタDETの方に向けられる。
【0050】
特に図9bと10aを一緒に見て分かるように、走査検知尺Aの下側の衝突点2でまず三つの分光への分割が行われ、そのうちの二つが基準尺Mの上側の衝突点5aと5cに到達し、そこでは格子で逆に走査検知尺Aの方に反射される。しかしながら第三の分光は、基準尺の上側にある透明な範囲(衝突点3)を通過して、基準尺Mの背面側にある反射範囲(衝突点4)に当たり、そこで反射されてその前面側で衝突点5bにおいて基準尺Mを出る。衝突点5a,5b,5cにおける分光の位相状態を比較すると、分光すべてが同じ長さの経路を進んだ。
【0051】
衝突点5bからの分光は衝突点8bで分割されて、分光光束Aの分光A2と分光光束Bの分光B2を形成する。これらは二つとも再び同じ長さの経路を進む。
基準尺Mを通過する追加的な経路は一定であるので、位相差が特定の走査検知距離d、作動点に対してのみ消滅する。よって光の波長変化が、作動点において位置測定を誤らせない。しかしながら走査検知距離dが変化すると、分光の位相差が分光光束A,Bの中で変化し、ディテクタが周期的な信号をつくりだす。分光AとBからつくり出された位置変化の差異形成により、同じく走査検知距離dの変化が得られる。
【0052】
この実施例でも図10aにおいても、それぞれ測定方向Xに対して直角な面に関して分光が、分光光束A,Bの中で非対称であること、そして二つの分光光束A,B間で対称であることが分かる。
【0053】
走査検知尺Aの傾斜動作を補正する仕組みが、この実施例でも分かる:分光が、衝突点6a,6b,6cで第一回折円筒レンズを通過し、それが衝突点7a,7b,7cで光をミラーに集束し、そこから光は第二回折円筒レンズに向かって衝突点8a,8b,8cに達する。
【0054】
そのとき第二円筒レンズは、更に第二の機能を満たす。既に前述しているように、基準尺基板を通過して追加的な経路を経た中央の分光は、衝突点8bで分光A2ないしB2に分割される。
【0055】
分光光束AとBのための衝突点8a,8b,8cにおいて、X方向で同時に異なった回折する時にY方向では共通したレンズ作用を行わせるために、光学構造O5は、Y方向で変化する第一周期性およびX方向で一定である第二周期性を有している。即ち、局所的に十字格子またはチェス盤模様となっており、その周期はY方向で変化するが、X方向では一定である。それによりこの光学構造O5も、それがX方向で周期的であるという重要な条件を満たしており、よって、それを走査検知尺Aに任意の長さで設けることができる。
【0056】
格子にある各周期性または周波数が独自の回折次数を生み出すので、個々の回折次数における、それにより分光における強度は、存在する周期性の数と共に減少する。ディテクタDETで良好な信号を得るためには、使用する光学構造O1〜O5の有する周期性または周波数は局所的に最大二つであることに注意すべきであろう。この境界条件は、両方の実施例で満たされている。透明な範囲O1および鏡面O2は周期性を全く含まず、一次元格子O3は周期性を有している(それは、格子周期が局所的に変化している時も部分的な観察で当て嵌まる)。唯一、第二実施例の光学構造O5が−局所的な観察時に−二つの周期性を含んでいる。
【0057】
この境界条件は例えば、分光の分割または統合、分光の方向決め、あるいは分光の集束のような多すぎる機能を、走査検知プレートAまたは検知尺Mの個々の境界面に設けないように作用している、それどころか必要な機能を、光学構造O1〜O5において有する周期性ないし周波数は局所的に最大二つであるという条件を満たすことができるように、配分せねばならない。
【0058】
説明した二つの実施例においては、傾斜動作を補正するために必要な逆反射を走査検知尺Aで行う。勿論、この機能を基準尺Mで実施することも可能である。また走査検知尺Aと基準尺Mという表現も任意であり、最終的に対象になるのは交差した二つの基準尺体であり、そのうちの一つが少なくとも部分的に透明であり、他が少なくとも部分的に反射性でなければならない。
【0059】
実施例では走査検知尺Aが測定方向Xに延伸しており、よって測定方向Xに対して直角且つその延伸方向に対して直角である線を有する格子が付いている。しかしながら走査検知尺Aは、格子線が延伸方向に対して平行に付いている時には、例えば最初に引用した特許文献1の図6で示しているように、測定方向Xに対して直角にも配設できる。そして基準尺格子の線方向は、同じく対応して回転している。
【0060】
二つの基準尺体、即ち走査検知尺Aと基準尺Mは、必ずしも直線的である必要はない。二つが一つの面を定義する限り、二つの方向X,Yの一つが円弧または、移動量を相対的に測定する別の彎曲した軌道を示すことも想定できる。以上のようにすることで例えば、円弧上の経路、それにより角度を測定することができる。
【0061】
全ての実施例において、図によれば分光A1,A2ないしB1,B2が一緒になった後に、分光光束A,Bあたり一つの光線がディテクタ方向に走査検知プレートを出て行く。しかしながら、そこでは分光光束あたり、位相がずれた複数の信号が複数のディテクタで形成されねばならない。そのために、二つの示した光線とは別の回折次数を引用するか、または光路において位相をずらす追加の要素、偏光器、分光器を使って、ディテクタ用の対応する光線をつくるかのいずれかを行う。そのような方法は専門家には一般的であり、ここでは詳細には記載しない。
【0062】
チルト動作を補正するために必要な逆反射の前に、回折円筒レンズおよびミラーを使って、全ての関係する分光を平行または少なくとも、測定方向Xにおける方向成分が量的に同じとなるように方向付けると利点がある、というのは、全ての分光に対して同じ円筒レンズを使用できるからである。
【符号の説明】
【0063】
A 走査検知尺
A 分光光束
AK 走査検知ヘッド
APO 走査検知プレート上側
APU 走査検知プレート下側
B 分光光束
DET ディテクタ
LQ 光源
M 基準尺
MV 基準尺体
O1〜O5 光学構造
T テーブル
U 方向転換ミラー
WS 加工品
WZ 工具
X 第一方向
Y 第二方向
Z 第三方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いの間で可動する二つの対象物の相対的位置を検出するための光学式位置測定装置に関するものである。特に本発明は、入射する光を回折により異なった分光に分割する光学格子を備えた基準尺体を使用する位置測定装置に関するものである。一つの基準尺体を別の基準尺体に対して移動する時に、適切な分光を一緒にすると二つの分光の干渉により、フォトディテクタで周期的な信号が得られる。ディテクタにおける周期を数えることにより、移動の量を推量することができる。
【背景技術】
【0002】
以上のような干渉方式の位置測定装置は、例えば半導体産業において高精密な位置測定のために使用され、そこでは例えばフォトリソグラフィ用の露光マスクを、ウエハーに対して相対的に1m/秒以上の速度で動かさねばならず、そのときに位置決め精度をナノメーター範囲、将来は更にそれ以下に維持せねばならない。従来の干渉計と較べてそのようなシステムの大きな利点は、干渉する分光が通らねばならない経路が非常に短いことであり、それにより気圧、温度、湿度の変動のような、空気の屈折率変動により測定結果を誤らし兼ねない環境要素の影響を殆ど受けない。
【0003】
本発明が前提にする国際公開第WO 2008/138501号において、共通の測定方向に対して直角な線を備えた光学格子が付いており且つ交差する二つの基準尺を使って測定を行うことが公知である。そのような測定システムを使うことにより、二方向で可動するテーブルの位置を一つの測定方向で、二方向のうちの別の方向におけるテーブルの位置とは関係なく検出することができる。互いに90度の角度で配設されているそのような測定システムを二つ使用すると、テーブルの位置を第二方向でも検出することができ、この場合には第一方向におけるテーブルの位置とは関係がない。
【0004】
国際公開第WO 2008/138501号で開示されている配設における欠点は、テーブル面に対して直角なテーブルの動きを検出できないことである。
テーブルの位置をテーブル面において検出するために、複数の場所で走査検知する十字格子を備えた測定配設も公知であり、その十字格子によりテーブル面での横方向移動および回転を検出できる。更にEP1019669B1では追加の走査検知センサを使用し、それを使ってテーブル面に対して直角な動きも、それによりテーブルの6自由度すべてを検出できることが提案されている。しかしながら、そのような間隔センサ、例えば接触式または容量式の測定センサは、半導体産業における現在および将来の製造装置の精度要求を満たすものではない。加えて高精度且つサイズの大きな十字格子は、殊のほか製造にコストがかかる。
【0005】
EP1762828A2に記載されている光学式位置測定装置は、本来の測定方向(水平な測定方向)における測定の他に、測定方向に対して直角な所謂、走査検知間隔、即ち、基準尺とその走査検知ユニット間の間隔の測定もできる。このことは、測定方向に対して直角な第二自由度の測定と同義である(縦方向の測定方向)。このケースでは光が、色々な光学構造を有する透明な走査検知プレートを通過して、反射する基準尺体で基準尺に当たる。二つの分光光束に分割された光は、走査検知プレートと基準尺間を何度も往復する。そのとき分光光束の分光が、水平な測定方向に対して直角な面に関して非対称で進み、異なった経路長を有している。分光光束は、走査検知プレートの上側と下側ないし基準尺体の上側と下側に配設され光学的に機能する色々な構造、例えば異なった回折次数の光線を分割または一緒にするための格子、反射するためのミラー、意図的に光を屈曲するためのレンズと相互して作用する。
【0006】
そのような分光は最後に互いで一緒にされ、それが互いで干渉し、基準尺体と走査検知ヘッド間が相対的に動く時に、複数のフォトディテクタで周期的な信号を発生する。分光の非対称配設により、ディテクタで周期的な信号が得られ、その信号から基準尺体と走査検知ヘッドの水平方向や縦方向における移動量、それにより互いに移動する二つの対象物の横方向と縦方向の移動量が得られる。
【0007】
しかしながら、上記しているようにEP1762828A2に記載のシステムは、交差した基準尺を備えた測定システムに対して、その走査検知プレート構造により使用できない。この走査検知プレートは、測定方向に対して直角な第一基準尺が相対的に動ける第二基準尺まで、測定を阻害することなく拡大できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって本発明の課題は、交差する二つの基準尺を備えた光学式位置測定装置を、二つの基準尺間の走査検知間隔を追加して測定できるように更に展開することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を、請求項1の特徴を備えた装置により解決する。利点ある実施形態は、請求項1に従属する請求項に記載の特徴により得られる。
ここで記載するのは、走査検知尺と基準尺を備えた光学式位置測定装置であり、走査検知尺が二つの方向の第一または第二方向で、基準尺が両方向のそれぞれ別の方向で延伸しており、基準尺が第一および第二方向に対して直角な第三方向で、走査検知尺に対して走査検知間隔だけオフセットして配設されている。さらに光学式位置測定装置が光源を備えており、その光が走査検知尺と基準尺の交点で走査検知尺を通過し、それにより基準尺に当たって、そこから走査検知尺に向かって戻り、更にディテクタに到達し、そのとき光が走査検知尺と基準尺の光学的機能構造において回折により異なった分光に分割されて再び一緒にされ、第一方向で走査検知尺と基準尺間が移動する時に、互いが一緒になった分光の干渉によりディテクタで周期的な信号を発生する。そこで光学式位置測定装置は、走査検知尺と基準尺間の走査検知間隔が変化する時に同じく、ディテクタで周期的な信号が発生するように構成されている。
【0010】
このことは、個々の分光がグループを形成しており、そのとき第一グループの分光と第二グループの分光が互いの間で、走査検知間隔に関係する位相差を有していることにより達成される。
【0011】
そのために第一グループの分光ないし第二グループの分光が互いの間で、第一方向に対して直角な面に関して非対称に進むことがある。
走査検知尺にある光学構造が、第一方向に関して周期的または並進不変であると好ましく、それにより走査検知尺を、第一方向における全移動経路に亘って拡大することができる。
【0012】
基準尺にある光学構造が、第二方向に関して周期的または並進不変であると好ましく、それにより基準尺を、第二方向における全移動経路に亘って拡大することができる。
その他に、十分な品質のディテクタ信号を得るために、光学構造が局所的に二つを超える周期性を有するべきではない。
【0013】
本発明の別の利点および詳細は、以下における図を使った好ましい実施例の説明から分かる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来技術による光学式位置測定装置
【図2】従来技術による光学式位置測定装置
【図3】従来技術による光学式位置測定装置
【図4】従来技術による光学式位置測定装置
【図5】第一実施例
【図6a】第一実施例
【図6b】第一実施例
【図7】第一実施例
【図8】第二実施例
【図9a】第二実施例
【図9b】第二実施例
【図10】第二実施例
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1aではテーブルTを上部外観図で示しており、その位置を第一方向Xと第二方向Yで広がる面で検出することになる。そのためにテーブルTには光学式位置測定装置が配設されており、それが、テーブル端部に配設されていると共に、測定方向に延伸する走査検知尺Aおよび、測定方向に対して直角に延伸する基準尺Mを有している。走査検知尺Aにも基準尺Mにも規則的な格子構造が付いており、その格子線は当該測定方向に対して直角になっている。
【0016】
テーブル上には加工品WSがあり、それを工具WZで加工することになる。対象となり得るのは、加工品WSでは例えばウエハーであり、工具WZではウエハーに対して位置決めする露光光学系とすることができる。工具WZは、ウエハーを調べる顕微鏡の写像光学系の場合もある。
【0017】
テーブルTの位置を第一方向Xでも第二方向Yでも検出できるようにするために、そしてその他に第一および第二方向X,Yに対して直角なZ軸を中心にしたテーブルの回転も求めることができるようにするために、三つのこの光学式位置測定装置がテーブルTに配設されている。以下においては、図1aで左側テーブル端部に配設された位置測定装置にのみ注目する。
【0018】
図1bは、図1aの側面外観を示している。第一方向Xは、ここで注目する位置測定装置にとっての測定方向であり、図面の面に対して直角に立っている。
走査検知ヘッドAKには光源LQが配設されており、その光はまず、走査検知尺Aに平行でテーブル端部に配設されている方向転換ミラーUに当たる。そこから光は、透明な走査検知尺Aを通過して反射基準尺Mに当たり、そして更に往路に対して平行にオフセットした復路を、中で複数のディテクタDETが入射光を電気信号に変換する走査検知ヘッドAKに戻る。これらの信号は、測定方向Xにおいてテーブルが移動する時に周期的である。周期の数、これは補間により増加することができるが、テーブルTの移動量に対する尺度である。その他に、互いで位相がずれた複数の信号(例えば、0/90度または0/120/240度の位相ずれ)を発生させることにより、方向情報も得ることができる。
【0019】
この例では走査検知ヘッドAK、基準尺M、工具WZは、位置が固定されているのに対して、方向転換ミラーU、走査検知尺Aの付いたテーブルTおよび加工品WSは、テーブル面において一緒に可動である。従来技術により公知のこの配設の利点は、第二方向Yにおけるテーブル位置とは関係なく、第一方向Xにおけるテーブル位置の測定が可能であることである。位置測定のために重要な格子線が、走査検知尺Aおよび基準尺M上で測定方向Xに対して直角になっているので、第二方向YでテーブルTが動く時に、走査検知ヘッドAKにあるディテクタのディテクタ信号は不変のままであり、本来の測定方向Xの動きのみに応答する。
【0020】
走査検知尺Aと基準尺M間の間隔を、ここでは走査検知間隔dとして表すことにする。テーブルが、例えばガイド不良により更に第三方向Zで動く場合には、それにより必然的に走査検知間隔dも変化する、というのは、走査検知尺AがテーブルTと固定接続されており、基準尺Mはテーブルとは別に位置が固定されているからである。即ち、走査検知間隔dの検出を介して、テーブルの別の自由度を求めることができるであろう。
【0021】
しかしながら、図1aないし1bのように交差した基準尺体につくられている従来技術で公知の位置測定装置は、走査検知間隔dを測定できず、反対に一般的に、走査検知間隔の小さい変化が本来の位置測定に出来るだけ作用しないように構成されている。
【0022】
図2〜4では、従来技術による光学式位置測定装置を説明しており、その光学式位置測定装置では、走査検知ヘッドと基準尺の走査検知プレート間の間隔を、追加しそして基準尺方向における本来の位置測定に対して直角に検出することができる。
【0023】
図2a,2b,2cでは、透明な走査検知プレートの上側と下側を上部外観図で、光学式位置測定装置の光線の当該通過点と一緒に示している。図3aと3bでは、光路を空間的に想定する補助となる断面図を示している。図4aは光路を展開して図示しており、そこでは理解し易くするために反射も、光学的境界面を通過する透過として示している。図4aに位置を合わせて配設している図4bでは、これらの境界面とその光学構造を改めて図示している。
【0024】
全ての図示においては、境界面を通過する光の通過点または衝突点にマーキングをすると共に、通し番号を付けている。境界面において作用が変化する毎に、点の番号を1だけ大きくしている。回折により複数の分光が発生すると、これを次の衝突点でa,b,c等を付けて区分している。
【0025】
図2aは走査検知プレート上側APOを示しており、それを通過して点1で光源の光が入射する。この場所では走査検知プレートは透明であり、逆反射を防ぐために好ましくはコーティングしている。即ち、点1の光入射位置における光学構造O1の場合には、走査検知プレートの透明なガラス基板で光学的に構造化されていない範囲が対象になる。図2bは走査検知プレート下側APUを示しており、それが基準尺体MVに対向している。点1から来る光が点2で規則的な格子O3に当たり、そして二つの分光に分割され、それが走査検知プレートを出て点3aと3bで基準尺体MVに衝突する。
【0026】
光は点3aと3bでも、格子線が点2と同じく測定方向Xに対して直角になっている規則的な格子O3に当たる。二つの分光は改めて二つの分光に分割され、そして走査検知プレート下側APUに向かって逆反射され、そこで点4a,4b,4c,4dに衝突する。
【0027】
基準尺と走査検知プレート間の傾きに対する一定の影響を補正するために、この場所では四つの分光が平行に向いており、同時に走査検知プレート上側の鏡面構造O2で集束されねばならない。そのために点4aと4bでは走査検知プレート下側APUが、格子周期が変化する一次元格子の形態をした光学構造O4を有している。この構造は円筒レンズとして作用し、入射する光を集束する。点4cと4dでは更に格子線が彎曲しており、それによりレンズ作用の他に、当該光線を平行に向けることも行う。
【0028】
点5a,5b,5c,5dで四つの分光が、走査検知プレート上側APOの鏡面に当たる。
点5aと5bにより、走査検知プレート下側APUの鏡面O2に向かって更に反射が行われ、そこで光が点6aと6bに衝突する。そこから光は再び、走査検知プレート上側APOに向かい、そして点7aと7bで鏡面O2に当たる。
【0029】
光線は、点5c,5d,7a,7bにおける鏡面O2から、改めて走査検知プレート下側APUに向かい、そこで光線は点8a,8bにおいて、格子周期が変化しており円筒レンズとして作用する一次元格子O4に当たる、ないしは点8cと8dにおいて、レンズ作用に加え彎曲した格子線を使って光線の方向変化を行う光学構造に当たる。基準尺体MVの上側にある点9aと9bで、それぞれ二つの光線が干渉して、それにより位相がずれた少なくとも二つの光束がつくられる。以上のようにしてつくられた光線は、基準尺体MVの点9aと9bから走査検知プレート下側APUに向かい、そこでは点10において規則的な格子O3に当たり、そして適切な方向に屈曲される。そして点11aと11bで二つの光線が上側APOで走査検知プレートを出て、ディテクタに最終的に到達し、そこで互いに位相がずれた信号がつくられる。
【0030】
特に図4aで分かることは、基準尺体MVと走査検知プレート下側APU間の走査検知隙間において、点3aから4cに又は3bから4dに向かう分光A1,B1が、点3aから4aに又は点3bから4bに向かう二つの分光A2,B2と較べて、より長い経路を進まねばならないことである。このように測定方向Xに対して直角な面に関して二つの分光光束A,Bの中で非対称であることにより、干渉する分光において位相差が得られ、それが走査検知間隔dに関係している。よって、測定方向Xにおいて走査検知プレートに対して相対的な基準尺体MVの移動量のように、同じく走査検知間隔dの変化がディテクタで周期的な信号をつくり出す。
【0031】
ところが二つの分光光束AとBは互いの間で、測定方向Xに対して直角な前記面に関して対称的に延伸するので、二つの分光光束から得られる位置情報の合計によりX方向における正味の移動量を、そして二つの位置情報の差異から走査検知間隔dの変化を特定できる。
【0032】
言及しているように、横方向の測定方向に直角な面に関して観察する分光光束が非対称であることに基づいて、走査検知間隔dを測定する物理的な基礎および原理的な機能方法を詳しく導き出すことについては、初めに既に挙げておりここで詳細に参照することにする特許文献3の段落[0021]〜[0038]に記載されている。特許文献3の図3の実施例を、ここで図2〜4に図示している。
【0033】
しかしながら、図1aと1bで説明したようなシステムで使用するためには、そのような位置測定装置は直ぐには適していないことが、図2aと2bによっても分かる。
そのためには測定を阻害することなく、走査検知尺A上で光の衝突点を測定方向Xに移動できることが必要である。そのためには走査検知尺Aの光学構造が、第一方向Xに関して周期的または並進不変でなければならない。並進不変であるのは、測定方向、即ち、第一方向Xで延伸している鏡面または透明な面、および第一方向Xに対してラインが平行に延伸する格子構造である。適切な周期的光学構造とは、X方向で格子周期が変化しない格子構造である。
【0034】
以下において本発明の二つの実施例を説明するが、その実施例では走査検知尺が専ら、そのような並進不変または周期的な光学構造を有している。よって、得られる位置測定装置は、図1aと1bに従って構成されており、同時に走査検知間隔dの測定を可能にするものである。
【実施例1】
【0035】
図5〜7において本発明の第一実施例を示している。図示の形式は、図2〜4における従来技術の図示に類似して選んでおり、色々な光線の衝突点に通し番号を付すと共に、関係する境界面での異なった外観を図示している。図5〜7を一緒に見ることにより、第一実施例の光路を完全に追随できる。
【0036】
ここでは、この実施例の幾つかの詳細について触れることにする:
図5aと5bは、走査検知尺Aの(まず光源の光が当たる)上側および下側(ないし走査検知尺Aは第一方向Xで延伸しているので、それぞれその一部分)を、その色々な光学構造O1,O2,O3,O4を使って示している。これらの構造は、第一方向(即ち測定方向)Xに関して並進不変であるか、即ち、透光する範囲O1、鏡面O2、Y方向で変化する格子周期を有すると共に線の方向が測定方向Xに対して平行である一次元格子O4のようであるか、それとも周期的であるか、即ち、線の方向が測定方向Xに対して直角である規則的な格子O3のようであるか、のいずれかである。以上により、適切な走査検知尺Aのための前述条件が満たされている。
【0037】
図5cは、基準尺Mの(まず光源の光が当たる)上側(ないし基準尺Mは第二方向Yで延伸しているので、その一部分)を、その色々な光学構造O3を使って示している。これらの構造O3は第二方向Yに関して並進不変であり、以上により、適切な基準尺Mのための前述条件が満たされている。
【0038】
図6aと6bでは方向転換要素Uを図示しており、それを使うことにより光源LQの光が、走査検知ヘッドAKから走査検知尺Aの方に、又はこれから逆に走査検知ヘッドAKにあるディテクタDETの方に向けられる。
【0039】
走査検知尺Aの下側にある衝突点2から、四つの光線が基準尺Mの方に向かう。衝突点3dと3cを伴う光線A1,A2が第一分光光束Aを形成し、衝突点3aと3bを伴う光線B1,B2が第二分光光束Bを形成する。
【0040】
明らかに分かることは、分光光束AないしBの中で分光A1,A2ないしB1,B2が非対称であり、それが当該分光間で異なった長さの光路となり、それにより更に走査検知間隔dに関係する位相差になることである。図7aで展開されている光路で最もよく分かるように、二つの分光A1,A2ないしB1,B2は、測定方向Xに対して直角であり衝突点2を含む面に関して非対称に進む。
【0041】
加えて分かるのは、二つの分光光束AとBが対称なことであり、それは、二つの分光光束からの位置情報の加算によりX方向での移動情報を、そして減算により走査検知間隔dの変化を求めるために必要である。分光光束Aの二つの分光A1,A2を前記の面で映すと、光束Bが得られる。
【0042】
同じく認められることは、回折円筒レンズ(衝突点4a〜4dを含む光学構造O4)、ミラー(衝突点5a〜5dを含む光学構造O2)、別の回折円筒レンズ(衝突点6a〜6dを含む光学構造O4)の組み合わせであり、それを使って、走査検知尺Aの傾斜動作を補正するために全ての分光A1,A2,B1,B2の逆反射を行う。
【0043】
衝突点8bないし8aでは、二つの分光光束AとBの分光を一緒にして干渉させる。そして点9aと9bで二つの光線が、走査検知尺Aを出て方向転換要素Uの方向に向い、その光線から公知の方法で必要な周期的信号を得ることができる。
【0044】
経路長さが異なることの欠点、従って分光光束の中で分光の位相差の欠点は、光の波長の変化も走査検知ヘッドAKのディテクタにおける周期的な信号になることである。
【実施例2】
【0045】
第二実施例では、干渉させる分光の位相差を作動点において、即ち、規定の走査検知間隔において消滅することにより、位置測定(Xとd)が波長と関係することを、少なくとも減少する方法を示している。
【0046】
図8〜10において本発明の第二実施例を示している。図示の形式は、図5〜7における従来技術の図示に類似して選んでおり、色々な光線の衝突点に通し番号を付すと共に、関係する境界面での異なった外観を図示している。図8〜10を一緒に見ることにより、第二実施例の光路を完全に追随できる。
【0047】
同じく、この実施例の幾つかの詳細について触れることにする:
図8aないし8bは、走査検知尺Aの(まず光源の光が当たる)上側ないし下側(ないし走査検知尺Aは第一方向Xで延伸しているので、それぞれその一部分)を、その色々な光学構造O1,O2,O3,O4,O5を使って示している。これらの構造は、第一方向(即ち測定方向)Xに関して並進不変であるか、即ち、透光する範囲O1、鏡面O2、Y方向で変化する格子周期を有すると共に線の方向が測定方向Xに対して平行である一次元格子O4のようであるか、それとも周期的であるか、即ち、線の方向が測定方向Xに対して直角である規則的な格子O3のようであるか、あるいは格子周期が測定方向Xで一定であるが第二方向Yで変化する二次元格子O5のようであるか、のいずれかである。以上により、適切な走査検知尺Aのための前述条件が、同じく満たされている。
【0048】
図8cは、基準尺Mの(まず光源LQの光が当たる)上側(ないし基準尺Mは第二方向Yで延伸しているので、その一部分)を、その色々な光学構造O1,O2,O3を使って示している。これらの構造は、同じく第二方向Yに関して並進不変である。
【0049】
図9aと9bでは方向転換要素Uを図示しており、それを使うことにより光源LQの光が、走査検知ヘッドAKから走査検知尺Aの方に、又はこれから逆に走査検知ヘッドAKにあるディテクタDETの方に向けられる。
【0050】
特に図9bと10aを一緒に見て分かるように、走査検知尺Aの下側の衝突点2でまず三つの分光への分割が行われ、そのうちの二つが基準尺Mの上側の衝突点5aと5cに到達し、そこでは格子で逆に走査検知尺Aの方に反射される。しかしながら第三の分光は、基準尺の上側にある透明な範囲(衝突点3)を通過して、基準尺Mの背面側にある反射範囲(衝突点4)に当たり、そこで反射されてその前面側で衝突点5bにおいて基準尺Mを出る。衝突点5a,5b,5cにおける分光の位相状態を比較すると、分光すべてが同じ長さの経路を進んだ。
【0051】
衝突点5bからの分光は衝突点8bで分割されて、分光光束Aの分光A2と分光光束Bの分光B2を形成する。これらは二つとも再び同じ長さの経路を進む。
基準尺Mを通過する追加的な経路は一定であるので、位相差が特定の走査検知距離d、作動点に対してのみ消滅する。よって光の波長変化が、作動点において位置測定を誤らせない。しかしながら走査検知距離dが変化すると、分光の位相差が分光光束A,Bの中で変化し、ディテクタが周期的な信号をつくりだす。分光AとBからつくり出された位置変化の差異形成により、同じく走査検知距離dの変化が得られる。
【0052】
この実施例でも図10aにおいても、それぞれ測定方向Xに対して直角な面に関して分光が、分光光束A,Bの中で非対称であること、そして二つの分光光束A,B間で対称であることが分かる。
【0053】
走査検知尺Aの傾斜動作を補正する仕組みが、この実施例でも分かる:分光が、衝突点6a,6b,6cで第一回折円筒レンズを通過し、それが衝突点7a,7b,7cで光をミラーに集束し、そこから光は第二回折円筒レンズに向かって衝突点8a,8b,8cに達する。
【0054】
そのとき第二円筒レンズは、更に第二の機能を満たす。既に前述しているように、基準尺基板を通過して追加的な経路を経た中央の分光は、衝突点8bで分光A2ないしB2に分割される。
【0055】
分光光束AとBのための衝突点8a,8b,8cにおいて、X方向で同時に異なった回折する時にY方向では共通したレンズ作用を行わせるために、光学構造O5は、Y方向で変化する第一周期性およびX方向で一定である第二周期性を有している。即ち、局所的に十字格子またはチェス盤模様となっており、その周期はY方向で変化するが、X方向では一定である。それによりこの光学構造O5も、それがX方向で周期的であるという重要な条件を満たしており、よって、それを走査検知尺Aに任意の長さで設けることができる。
【0056】
格子にある各周期性または周波数が独自の回折次数を生み出すので、個々の回折次数における、それにより分光における強度は、存在する周期性の数と共に減少する。ディテクタDETで良好な信号を得るためには、使用する光学構造O1〜O5の有する周期性または周波数は局所的に最大二つであることに注意すべきであろう。この境界条件は、両方の実施例で満たされている。透明な範囲O1および鏡面O2は周期性を全く含まず、一次元格子O3は周期性を有している(それは、格子周期が局所的に変化している時も部分的な観察で当て嵌まる)。唯一、第二実施例の光学構造O5が−局所的な観察時に−二つの周期性を含んでいる。
【0057】
この境界条件は例えば、分光の分割または統合、分光の方向決め、あるいは分光の集束のような多すぎる機能を、走査検知プレートAまたは検知尺Mの個々の境界面に設けないように作用している、それどころか必要な機能を、光学構造O1〜O5において有する周期性ないし周波数は局所的に最大二つであるという条件を満たすことができるように、配分せねばならない。
【0058】
説明した二つの実施例においては、傾斜動作を補正するために必要な逆反射を走査検知尺Aで行う。勿論、この機能を基準尺Mで実施することも可能である。また走査検知尺Aと基準尺Mという表現も任意であり、最終的に対象になるのは交差した二つの基準尺体であり、そのうちの一つが少なくとも部分的に透明であり、他が少なくとも部分的に反射性でなければならない。
【0059】
実施例では走査検知尺Aが測定方向Xに延伸しており、よって測定方向Xに対して直角且つその延伸方向に対して直角である線を有する格子が付いている。しかしながら走査検知尺Aは、格子線が延伸方向に対して平行に付いている時には、例えば最初に引用した特許文献1の図6で示しているように、測定方向Xに対して直角にも配設できる。そして基準尺格子の線方向は、同じく対応して回転している。
【0060】
二つの基準尺体、即ち走査検知尺Aと基準尺Mは、必ずしも直線的である必要はない。二つが一つの面を定義する限り、二つの方向X,Yの一つが円弧または、移動量を相対的に測定する別の彎曲した軌道を示すことも想定できる。以上のようにすることで例えば、円弧上の経路、それにより角度を測定することができる。
【0061】
全ての実施例において、図によれば分光A1,A2ないしB1,B2が一緒になった後に、分光光束A,Bあたり一つの光線がディテクタ方向に走査検知プレートを出て行く。しかしながら、そこでは分光光束あたり、位相がずれた複数の信号が複数のディテクタで形成されねばならない。そのために、二つの示した光線とは別の回折次数を引用するか、または光路において位相をずらす追加の要素、偏光器、分光器を使って、ディテクタ用の対応する光線をつくるかのいずれかを行う。そのような方法は専門家には一般的であり、ここでは詳細には記載しない。
【0062】
チルト動作を補正するために必要な逆反射の前に、回折円筒レンズおよびミラーを使って、全ての関係する分光を平行または少なくとも、測定方向Xにおける方向成分が量的に同じとなるように方向付けると利点がある、というのは、全ての分光に対して同じ円筒レンズを使用できるからである。
【符号の説明】
【0063】
A 走査検知尺
A 分光光束
AK 走査検知ヘッド
APO 走査検知プレート上側
APU 走査検知プレート下側
B 分光光束
DET ディテクタ
LQ 光源
M 基準尺
MV 基準尺体
O1〜O5 光学構造
T テーブル
U 方向転換ミラー
WS 加工品
WZ 工具
X 第一方向
Y 第二方向
Z 第三方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査検知尺(A)と基準尺(M)を備えた光学式位置測定装置であって、走査検知尺(A)が二つの方向(X,Y)の第一または第二方向で延伸し、基準尺(M)が互いに異なる2つの方向(X,Y)のそれぞれへ延伸しており、基準尺(M)が第一および第二方向(X,Y)に対して直角な第三方向(Z)で、走査検知尺(A)に対して走査検知間隔(d)だけオフセットして配設されており、更に光源を備えており、その光が走査検知尺(A)と基準尺(M)の交点で走査検知尺(A)を通過し、それにより基準尺(M)に当たって、そこから走査検知尺(A)に向かって戻り、更にディテクタに到達し、そのとき光が走査検知尺(A)と基準尺(M)の光学構造(O1,O2,O3,O4,O5)において回折により異なった分光(A1,A2,B1,B2)に分割されて再び一緒にされ、第一方向(X)で走査検知尺(A)と基準尺(M)間が移動する時に、互いが一緒になった分光(A1,A2,B1,B2)の干渉によりディテクタで周期的な信号を発生する光学式位置測定装置において、
走査検知尺(A)と基準尺(M)間の走査検知間隔(d)が変化する時にも、周期的なディテクタ信号が発生することを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学式位置測定装置において、
ディテクタ信号が、第二方向(Y)で走査検知尺(A)と基準尺(M)間が移動する時に不変のままであることを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学式位置測定装置において、
分光(A1,A2,B1,B2)がグループ(A,B)を形成しており、そのとき第一グループ(A)の分光(A1,A2)と第二グループ(B)の分光(B1,B2)が互いの間で、走査検知間隔(d)に関係する位相差を有していることを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光学式位置測定装置において、
位相差が特定の走査検知距離(d)に対して消滅することを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光学式位置測定装置において、
各グループ(A,B)の中の分光(A1,B1)それぞれが、基準尺(M)または走査検知尺(A)の透明な基板の中の追加的な経路を経ることを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項6】
請求項3、4、または5に記載の光学式位置測定装置において、
第一グループ(A)の分光(A1,A2)が、第一方向(X)に対して直角な面に関して第二グループ(B)の分光(B1,B2)に対して鏡面対称に進むことを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項7】
請求項3、4、5、または6に記載の光学式位置測定装置において、
第一グループ(A)の分光(A1,A2)ないし第二グループ(B)の分光(B1,B2)が互いの間で、第一方向(X)に対して直角な面に関して非対称に進むことを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項8】
請求項3〜7のいずれか一項に記載の光学式位置測定装置において、
分光(A1,A2,B1,B2)が逆反射を受けることを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項9】
請求項8に記載の光学式位置測定装置において、
分光(A1,A2,B1,B2)が、逆反射の前後で平行に進むことを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の光学式位置測定装置において、
逆反射が、少なくとも一つの回折レンズ(O4,O5)および鏡面(O2)を使って行われることを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項11】
請求項3〜10のいずれかに記載の光学式位置測定装置において、
各グループ(A,B)の干渉する分光(A1,A2,B1,B2)から、それぞれ互いに位相がずれたディテクタ信号が発生し、そのとき第一グループ(A)および第二グループ(B)の異なった組み合わせにより、一方で第一方向(X)において走査検知尺(A)と基準尺(M)間の移動量、他方で走査検知間隔(d)の変化を求めることができることを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項12】
前記請求項のいずれかに記載の光学式位置測定装置において、
走査検知尺(A)にある光学構造(O1,O2,O3,O4,O5)が、第一方向(X)に関して周期的または並進不変であることを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項13】
前記請求項のいずれかに記載の光学式位置測定装置において、
基準尺(M)にある光学構造(O1,O2,O3,O4,O5)が、第二方向(Y)に関して周期的または並進不変であることを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項14】
請求項12または13に記載の光学式位置測定装置において、
光学構造(O1,O2,O3,O4,O5)の有する周期性が、局所的に最大2つであることを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項1】
走査検知尺(A)と基準尺(M)を備えた光学式位置測定装置であって、走査検知尺(A)が二つの方向(X,Y)の第一または第二方向で延伸し、基準尺(M)が互いに異なる2つの方向(X,Y)のそれぞれへ延伸しており、基準尺(M)が第一および第二方向(X,Y)に対して直角な第三方向(Z)で、走査検知尺(A)に対して走査検知間隔(d)だけオフセットして配設されており、更に光源を備えており、その光が走査検知尺(A)と基準尺(M)の交点で走査検知尺(A)を通過し、それにより基準尺(M)に当たって、そこから走査検知尺(A)に向かって戻り、更にディテクタに到達し、そのとき光が走査検知尺(A)と基準尺(M)の光学構造(O1,O2,O3,O4,O5)において回折により異なった分光(A1,A2,B1,B2)に分割されて再び一緒にされ、第一方向(X)で走査検知尺(A)と基準尺(M)間が移動する時に、互いが一緒になった分光(A1,A2,B1,B2)の干渉によりディテクタで周期的な信号を発生する光学式位置測定装置において、
走査検知尺(A)と基準尺(M)間の走査検知間隔(d)が変化する時にも、周期的なディテクタ信号が発生することを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学式位置測定装置において、
ディテクタ信号が、第二方向(Y)で走査検知尺(A)と基準尺(M)間が移動する時に不変のままであることを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学式位置測定装置において、
分光(A1,A2,B1,B2)がグループ(A,B)を形成しており、そのとき第一グループ(A)の分光(A1,A2)と第二グループ(B)の分光(B1,B2)が互いの間で、走査検知間隔(d)に関係する位相差を有していることを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光学式位置測定装置において、
位相差が特定の走査検知距離(d)に対して消滅することを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光学式位置測定装置において、
各グループ(A,B)の中の分光(A1,B1)それぞれが、基準尺(M)または走査検知尺(A)の透明な基板の中の追加的な経路を経ることを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項6】
請求項3、4、または5に記載の光学式位置測定装置において、
第一グループ(A)の分光(A1,A2)が、第一方向(X)に対して直角な面に関して第二グループ(B)の分光(B1,B2)に対して鏡面対称に進むことを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項7】
請求項3、4、5、または6に記載の光学式位置測定装置において、
第一グループ(A)の分光(A1,A2)ないし第二グループ(B)の分光(B1,B2)が互いの間で、第一方向(X)に対して直角な面に関して非対称に進むことを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項8】
請求項3〜7のいずれか一項に記載の光学式位置測定装置において、
分光(A1,A2,B1,B2)が逆反射を受けることを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項9】
請求項8に記載の光学式位置測定装置において、
分光(A1,A2,B1,B2)が、逆反射の前後で平行に進むことを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の光学式位置測定装置において、
逆反射が、少なくとも一つの回折レンズ(O4,O5)および鏡面(O2)を使って行われることを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項11】
請求項3〜10のいずれかに記載の光学式位置測定装置において、
各グループ(A,B)の干渉する分光(A1,A2,B1,B2)から、それぞれ互いに位相がずれたディテクタ信号が発生し、そのとき第一グループ(A)および第二グループ(B)の異なった組み合わせにより、一方で第一方向(X)において走査検知尺(A)と基準尺(M)間の移動量、他方で走査検知間隔(d)の変化を求めることができることを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項12】
前記請求項のいずれかに記載の光学式位置測定装置において、
走査検知尺(A)にある光学構造(O1,O2,O3,O4,O5)が、第一方向(X)に関して周期的または並進不変であることを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項13】
前記請求項のいずれかに記載の光学式位置測定装置において、
基準尺(M)にある光学構造(O1,O2,O3,O4,O5)が、第二方向(Y)に関して周期的または並進不変であることを特徴とする、光学式位置測定装置。
【請求項14】
請求項12または13に記載の光学式位置測定装置において、
光学構造(O1,O2,O3,O4,O5)の有する周期性が、局所的に最大2つであることを特徴とする、光学式位置測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【公開番号】特開2012−103245(P2012−103245A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231341(P2011−231341)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(501232827)ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲーエムベーハー (24)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(501232827)ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲーエムベーハー (24)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]