説明

光学積層体、及びその製造方法

【課題】界面反射と干渉縞が防止され、且つ光透過性樹脂基材の収縮皺が抑制されて、視認性が向上し、更に、充分な耐擦傷性を有しつつ、カールが抑えられ、光透過性樹脂基材−ハードコート層間の密着性に優れた光学積層体、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】光透過性樹脂基材上に、ハードコート層を備えてなる光学積層体であって、前記ハードコート層が、(1)重量平均分子量が1000以上100000以下であり、且つ、2以上のラジカル重合性官能基を有する樹脂と、(2)重量平均分子量が100以上1000以下であり、且つ、1以上のカチオン重合性官能基を有する樹脂とを含有して硬化している層であり、且つ、前記光透過性樹脂基材に前記樹脂(2)が浸透して硬化していることを特徴とする、光学積層体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ、例えば、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の表面を保護する目的等で使用される、光透過性樹脂基材上にハードコート層を設けた光学積層体、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)又は陰極管表示装置(CRT)等の画像表示装置における画像表示面は、外部光源から照射された光線による反射を少なくし、その視認性を高めることが要求される。これに対して、光透過性基材に、防眩層または反射防止層を形成させた光学積層体(例えば、反射防止積層体)を利用することにより、画像表示装置の画像表示面の反射を低減させ視認性を向上させることが一般になされている。
【0003】
しかしながら、屈折率の差が大きい層を積層させた光学積層体にあっては、互いに重なり合った層の界面において、界面反射及び干渉縞が生じることがしばしば見受けられた。特に、画面表示装置の画像表示面において黒色を再現した際に、干渉縞が顕著に発生し、その結果、画像の視認性を低下させ、また画像表示面の美観を損ねるとの指摘がなされている。特に、光透過性基材の屈折率とハードコート層の屈折率が相違する場合、干渉縞の発生が生じ易いとされている。
【0004】
また、ハードコート層は、通常、熱硬化型樹脂、或いは紫外線硬化型樹脂等の光重合性樹脂を用いて、光透過性基材上に塗膜を形成してなるが、その塗膜厚みが薄いと下地の基材の変形による影響で機械的強度(鉛筆硬度)が十分に高いものではなかった。ハードコート層の厚みを厚くすれば、硬度は向上するものの、ハードコート層の割れや剥がれが生じやすくなると同時に、ハードコート層の成分の硬化収縮による積層体全体の反り(所謂カール)が発生し、該積層体をディスプレイに貼り付ける際に作業性を著しく損なうという問題がある。カールの発生は光透過性樹脂基材の厚みを薄くすると(例えばトリアセチルセルロースフィルムでは80μmが40μmになった際に)更に顕著となる。更に、トリアセチルセルロースフィルム等の耐熱性に劣る光透過性基材上にハードコート層を形成した場合、ハードコート層が硬化する時に発生する重合熱(反応熱)により、基材が熱ダメージを受けて畳模様のような皺が生じ、この皺によって画像の視認性が低下し、また画像表示面の美観を損ねるという問題も生じていた。
【0005】
これらの問題に対して、特許文献1によれば、干渉縞の発生を抑制するために、基材の上に、基材を溶解する溶剤を含む樹脂を用いてハードコート層を形成する方法が提案されている。しかしながら、特許文献1に開示されているハードコート層によっても、硬度を維持しつつ、カールの発生を抑制したり、ハードコート層の硬化時に発生する重合熱による光透過性樹脂基材の熱ダメージによる皺の発生を抑制することはできない。
【0006】
また、特許文献2によれば、基材上に第一のハードコート層と第二のハードコート層とをこの順に形成した2層構成からなる硬化樹脂被膜層を設けてなり、第一のハードコート層はラジカル重合型樹脂とカチオン重合型樹脂のブレンドからなる硬化樹脂被膜層で、第二のハードコート層はラジカル重合型樹脂のみからなる硬化樹脂被膜層であるハードコートフィルムもしくはシートを開示している。しかしながら、このようにハードコート層を2層構造とする場合、上層のラジカル重合性硬化型樹脂のみからなる硬化樹脂被膜層が原因でカールを抑えることができない。
【0007】
また、特許文献3によれば、ハードコート層中にエチレン性不飽和基を同一分子内に3個以上含む化合物、及び開環重合性基を有するポリマー成分を含み、且つ膜厚を20μm〜200μmとすることで、硬度を付与し、カールを抑制したハードコート層としている。しかしながら、特許文献3に開示されているハードコート層によると、干渉縞が発生し、且つ比較的柔らかい開環重合性基を有するポリマー成分が塗膜表面に存在するため硬度が不十分である。
更に、特許文献4ではラジカル重合系化合物とカチオン重合系化合物を特定量で混合した、カールを抑制し、高硬度とすることができるハードコート形成組成物を得ている。しかしながら、特許文献4に開示されている積層体によると、界面反射と干渉縞を防止し、光透過性樹脂基材−ハードコート層間の密着性が良好で、且つ、充分な耐擦傷性を有しつつ、カールの発生を抑制し、ハードコート層の硬化時に発生する重合熱による光透過性樹脂基材の熱ダメージによる収縮皺の発生を抑制するためには、未だ不十分であった。
【0008】
【特許文献1】特開2003−205563号公報
【特許文献2】特開2000−71392号公報
【特許文献3】特開2002−338720号公報
【特許文献4】特許第3408331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、界面反射と干渉縞が防止され、且つ光透過性樹脂基材の収縮皺が抑制されて、視認性が向上し、更に、充分な耐擦傷性を有しつつ、カールが抑えられ、光透過性樹脂基材−ハードコート層間の密着性に優れた光学積層体、及びその製造方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る光学積層体は、光透過性樹脂基材上に、ハードコート層を備えてなる光学積層体であって、
前記ハードコート層が、
(1)重量平均分子量が1000以上100000以下であり、且つ、2以上のラジカル重合性官能基を有する樹脂(以下、単に「前記樹脂(1)」という場合がある)と、
(2)重量平均分子量が100以上1000以下であり、且つ、1以上のカチオン重合性官能基を有する樹脂(以下、単に「前記樹脂(2)」という場合がある)とを含有して硬化している層であり、
且つ、前記光透過性樹脂基材に前記カチオン重合性官能基を有する樹脂が浸透して硬化していることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る光学積層体によれば、ハードコート層に用いられている特定の低分子量のカチオン重合性官能基を有する樹脂が前記光透過性樹脂基材に浸透して硬化しているので、光透過性樹脂基材とハードコート層間において両方の材料を含む領域が存在するため急激な屈折率の変化がなくなり、界面反射及び干渉縞の発生を防止することができる。更に、当該特定の低分子量のカチオン重合性官能基を有する樹脂が前記光透過性樹脂基材に浸透して硬化しているので、光透過性樹脂基材−ハードコート層間の密着性が優れたものになる。また、上記ハードコート層は、特定の高分子量のラジカル重合性官能基を有する樹脂と特定の低分子量のカチオン重合性官能基を有する樹脂とを組み合わせたことにより、特定の低分子量のカチオン重合性官能基を有する樹脂が前記ハードコート層の厚み方向に濃度勾配を有する、すなわち、低分子量のカチオン重合性官能基を有する樹脂の濃度は光透過性樹脂基材側で高く、ハードコート層表面側でより低くなっているので、相対的に特定の高分子量のラジカル重合性官能基を有する樹脂の濃度は、光透過性樹脂基材側で濃度が低く、ハードコート層表面側で濃度が高くなっていると推定される。この層内の成分の濃度勾配によって、光透過性樹脂基材付近には硬化時に発生する重合熱が小さいカチオン重合性官能基を有する樹脂が多く存在することにより、光透過性樹脂基材の熱ダメージによる収縮皺の発生や、カールを抑制することが可能になり、同時に、ハードコート層表面側にはラジカル重合性官能基を有する樹脂が多く存在することにより、硬度や耐擦傷性を高くすることを実現できる。本発明によれば、ハードコート層が一層でありながら各成分の濃度勾配を実現しているので、ハードコート層を二層形成した場合に比べて二層間の密着性や界面反射及び干渉縞の発生の課題が発生することなく、特許文献2のように二層のうち上層のラジカル重合性硬化型樹脂のみからなる硬化樹脂被膜層により結局カールを抑えることができないという課題も解決できる。本発明に係る光学積層体は、上述のように界面反射及び干渉縞の発生を防止しつつ、基材の収縮皺も防止したので、優れた視認性を有するものである。
【0012】
また、本発明に係る光学積層体においては前記樹脂(1)と前記樹脂(2)との重量比(樹脂(1):樹脂(2))が、95:5〜50:50であることが、硬度・カール性の点から好ましい。
【0013】
本発明に係る光学積層体においては、ハードコート層が、(3)重量平均分子量が200以上1000未満であり、且つ、2以上のラジカル重合性官能基を有する樹脂(以下、単に「前記樹脂(3)」という場合がある)をさらに含んでなることが、更にハードコート層の屈折率差を小さくして、より視認性を向上させる点から好ましい。
【0014】
本発明に係る光学積層体においては、前記樹脂(1)と前記樹脂(3)との重量比(樹脂(1):樹脂(3))が、95:5〜5:95であって、且つ、前記樹脂(1)および前記樹脂(3)の和と、前記樹脂(2)との重量比(樹脂(1)+樹脂(3):樹脂(2))が、95:5〜50:50であることが、硬度・カール性の点から好ましい。
【0015】
本発明に係る光学積層体においては、前記ラジカル重合性官能基がエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基であり、前記カチオン重合性官能基がエポキシ基、オキセタニル基、及びビニルエーテル基からなる群より選択される1種以上の官能基であることが、ラジカル重合性官能基に対して硬化が律速で、且つ硬化後の収縮の程度が小さい点から好ましい。
【0016】
本発明に係る光学積層体においては、前記樹脂(1)が、重量平均分子量が1000以上10000未満である1種以上の樹脂と、重量平均分子量が10000以上100000以下である1種以上の樹脂との混合物であることが好ましい。
【0017】
また、本発明に係る光学積層体は、前記ハードコート層が帯電防止剤及び/又は防眩剤を含んでなるものであっても良い。
また、本発明に係る光学積層体は、前記光透過性樹脂基材と前記ハードコート層との間または前記ハードコート層の上に、帯電防止層、防眩層、低屈折率層、防汚層またはこれらの二種以上の層を形成してなることができる。
また、本発明に係る光学積層体は、反射防止積層体として好ましく利用される。
【0018】
本発明に係る光学積層体の製造方法は、光透過性樹脂基材の少なくとも一方の表面に、(1)重量平均分子量が1000以上100000以下であり、且つ、2以上のラジカル重合性官能基を有する樹脂と、(2)重量平均分子量が100以上1000以下であり、且つ、1以上のカチオン重合性官能基を有する樹脂と、前記光透過性樹脂基材の浸透性溶剤とを含んでなるハードコート層形成用塗工液を塗布する塗布工程と、前記塗布工程により塗布された前記ハードコート層形成用塗工液中の前記樹脂(2)を前記光透過性樹脂基材に浸透させる浸透工程と、前記塗布工程により塗布された前記ハードコート層形成用塗工液の前記溶剤を乾燥させる乾燥工程と、前記樹脂(1)及び/又は前記樹脂(2)を硬化させる硬化工程とを有する。
本発明に係る光学積層体の製造方法においては、前記浸透工程が、前記乾燥工程中に行われることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、界面反射と干渉縞が防止され、且つ光透過性樹脂基材の収縮皺が抑制されて、視認性が向上し、更に、充分な耐擦傷性を有しつつ、カールが抑えられ、光透過性樹脂基材−ハードコート層間の密着性に優れた光学積層体、及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
I.光学積層体
本発明に係る光学積層体は、光透過性樹脂基材上に、ハードコート層を備えてなる光学積層体であって、
前記ハードコート層が、
(1)重量平均分子量が1000以上100000以下であり、且つ、2以上のラジカル重合性官能基を有する樹脂と、
(2)重量平均分子量が100以上1000以下であり、且つ、1以上のカチオン重合性官能基を有する樹脂とを含有して硬化している層であり、
且つ、前記光透過性樹脂基材に前記カチオン重合性官能基を有する樹脂が浸透して硬化していることを特徴とする。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリル基又はメタクリル基のいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリロイルとはアクリロイル基又はメタクリロイル基のいずれかであることを意味する。
【0021】
図1は、本発明の光学積層体の一例を示す断面図である。図1に示す例では、光透過性樹脂基材1の一方の表面側に、ハードコート層2を備えてなり、光透過性樹脂基材1中のハードコート層2との境界領域に光透過性樹脂基材に前記カチオン重合性官能基を有する樹脂が浸透して硬化している領域3を有する。
【0022】
本発明に係る光学積層体によれば、ハードコート層に用いられている特定の低分子量のカチオン重合性官能基を有する樹脂が前記光透過性樹脂基材に浸透して硬化しているので、光透過性樹脂基材とハードコート層間において両方の材料を含む領域が存在するため急激な屈折率の変化がなくなり、界面反射及び干渉縞の発生を防止することができる。更に、当該特定の低分子量のカチオン重合性官能基を有する樹脂が前記光透過性樹脂基材に浸透して硬化しているので、光透過性樹脂基材−ハードコート層間の密着性が優れたものになる。本発明においては、基材からのハードコート層の剥離といった問題が生じないため耐熱性や耐水性等の信頼性が高くなるという利点を有する。
【0023】
また、上記ハードコート層は、特定の高分子量のラジカル重合性官能基を有する樹脂と特定の低分子量のカチオン重合性官能基を有する樹脂とを組み合わせたことにより、特定の低分子量のカチオン重合性官能基を有する樹脂が前記ハードコート層の厚み方向に濃度勾配を有すると推定される。すなわち、低分子量のカチオン重合性官能基を有する樹脂の濃度は光透過性樹脂基材側で高く、ハードコート層表面側でより低くなっており、相対的に、特定の高分子量のラジカル重合性官能基を有する樹脂の濃度は、光透過性樹脂基材側で濃度が低く、ハードコート層表面側で濃度が高くなっていると推定される。この層内の成分の濃度勾配によって、光透過性樹脂基材付近には硬化時に発生する重合熱が小さいカチオン重合性官能基を有する樹脂が多く存在することにより、光透過性樹脂基材の熱ダメージによる収縮皺の発生や、カールを抑制することが可能になり、同時に、ハードコート層表面側にはラジカル重合性官能基を有する樹脂が多く存在することにより、硬度や耐擦傷性を高くすることを実現できる。本発明によれば、ハードコート層が一層でありながら各成分の濃度勾配を実現しているので、ハードコート層を二層形成した場合に比べて二層間の密着性や界面反射及び干渉縞の発生の課題が発生することなく、特許文献2のように二層のうち上層のラジカル重合性硬化型樹脂のみからなる硬化樹脂被膜層により結局カールを抑えることができないという課題も解決できる。本発明に係る光学積層体は、上述のように界面反射及び干渉縞の発生を防止しつつ、基材の収縮皺も防止したので、優れた視認性を有するものである。
また、カチオン重合性官能基を有する樹脂は、ラジカル重合性官能基を有する樹脂と、互いに結合を形成しない2つの架橋マトリクスが相互に貫入して絡み合ったいわゆるIPN構造(例えば、H.Sperling著、「Interpenetrating Polymer Networks and Related Materials, Plenum, New York 1981」参照)を形成するため、ラジカル重合性樹脂のみの硬化物に対して収縮を抑えたり弾性を付与する等の効果も期待できる。
【0024】
本発明の光学積層体は、「II.光学積層体の製造方法」の欄で詳述するように、例えば、光透過性樹脂基材上に、(1)重量平均分子量が1000以上100000以下であり、且つ、2以上のラジカル重合性官能基を有する樹脂と、(2)重量平均分子量が100以上1000以下であり、且つ、1以上のカチオン重合性官能基を有する樹脂と、用いる光透過性樹脂基材を浸透して膨潤させる浸透性溶剤を含んでなるハードコート層形成用組成物を塗布し、光透過性樹脂基材の表面から上記カチオン重合性官能基を有する樹脂を光透過性樹脂基材に充填浸透させて各樹脂を硬化して形成することで、容易に、ハードコート層と光透過性樹脂基材との急激な屈折率変化を解消して視認性が良く、且つ、充分な耐擦傷性を有しつつ、カールが抑えられ、光透過性樹脂基材−ハードコート層間の密着性に優れた光学積層体を得ることができるといった利点を有する。
【0025】
更に、光学積層体としての機能又は用途を加味して、ハードコート層の上にその他の層、例えば、帯電防止層、防眩層、低屈折率層等を1層又は2層以上形成しても良い。以下、本発明の光学積層体を構成する各層について順に説明する。
以下、このような本発明の光学積層体について、各構成毎に詳細に説明する。
【0026】
1.光透過性樹脂基材
光透過性樹脂基材は、光を透過するものであれば、透明、半透明、無色または有色を問わないが、可視光域380〜780nmにおける平均光透過率が50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは85%以上である場合が好ましい。なお、光透過率の測定は、紫外可視分光光度計(例えば、(株)島津製作所製 UV−3100PC)を用い、室温、大気中で測定した値を用いる。
【0027】
また、本発明においては、上記特定の樹脂が当該光透過性樹脂基材中に浸透しているので、当該光透過性樹脂基材は膨潤することにより上記特定の樹脂を充填させることができるものであれば用いることができる。
光透過性樹脂基材の具体例としては、トリアセテートセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、アセテートプロピオネートセルロース、アセテートブチレートセルロース、ポリエチレンテレフタレート(PET)、環状ポリオレフィン、ポリエーテルサルホン、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、トリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、(メタ)アクリロニトリル等により形成した薄膜等が挙げられる。
【0028】
また、本発明においては、光透過性樹脂基材に表面処理(例、鹸化処理、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよく、プライマー層(接着剤層)を形成してもよい。本発明における光透過性樹脂基材は、これらの表面処理及びプライマー層も含めたものをいう。従って、プライマー層のみに上記特定の樹脂が浸透している場合も、光透過性樹脂基材に上記特定の樹脂が浸透している場合に含める。上記特定の樹脂が浸透するのに好適なプライマー層としては、例えば、PET基材の場合は電離放射線硬化型、熱硬化型、熱可塑タイプのポリエステル樹脂やPET基材に密着性を示すアクリル樹脂、ポリエーテル樹脂等が挙げられる。
【0029】
本発明においては、光学積層体が用いられる態様によって、光透過性樹脂基材を選択することが好ましい。例えば、目的とする光学積層体に光学的等方性が要求される場合は、光透過性樹脂基材として、トリアセテートセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、アセテートプロピオネートセルロース、アセテートブチレートセルロース等のようなセルロースエステル、ポリノルボルネン系透明樹脂の製品名アートン(JSR(株)製)やゼオノア(日本ゼオン(株)製)等のような環状ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂による易接着処理がされたPET等が用いられることが好ましい。中でも、液晶ディスプレイ用途に用いる場合には、トリアセテートセルロース(TAC)、環状ポリオレフィンが好ましく挙げられる。
【0030】
光透過性樹脂基材の厚さは、通常、30μm〜200μm程度であり、好ましくは40μm〜200μmである。本発明においては、特にカール防止性に優れるようにしたため、光透過性樹脂基材の厚さが薄くてもカール防止性を達成可能になり、40μm〜80μm程度の厚さであっても好適に用いることが可能である。
【0031】
本発明においては、後述するような特定のハードコート層を有することにより、ハードコート層の硬化時に発生する重合熱に起因した光透過性樹脂基材の熱ダメージによる畳模様のような収縮皺の発生を抑制することが可能である。TACのような耐熱性が比較的低い基材であっても、このような収縮皺がなく、ハードコート層を積層後の表面粗さ(Ra)は、0.1μm以下であることが好ましい。ここで表面粗さ(Ra)は、JIS B0601に準拠して測定したものをいう。
【0032】
2.ハードコート層
「ハードコート層」とは、JIS5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものをいう。ハードコート層の膜厚(硬化時)は0.1〜100μm、更に3〜30μmの範囲にあることが好ましい。
本発明に用いられるハードコート層は、(1)重量平均分子量が1000以上100000以下であり、且つ、2以上のラジカル重合性官能基を有する樹脂と、(2)重量平均分子量が100以上1000以下であり、且つ、1以上のカチオン重合性官能基を有する樹脂とを含有して硬化している層である。
【0033】
また、本発明のハードコート層には、(3)重量平均分子量が200以上1000未満であり、且つ、2以上のラジカル重合性官能基を有する樹脂を、更に含んでなることが、ハードコート層中の屈折率差をより小さくして、より視認性を向上させることができる点から好ましい。
本発明に係るハードコート層は、更にラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、帯電防止剤、防眩剤、その他添加剤を含有していても良い。
以下、用いられる樹脂、その他の成分について、順に説明する。
【0034】
(1)重量平均分子量が1000以上100000以下であり、且つ、2以上のラジカル重合性官能基を有する樹脂(樹脂(1))
本発明において用いられる当該樹脂(1)は、後述するように、ハードコート層表面に相対的に多く存在して、主に硬度や耐擦傷性を付与する成分である。
本発明においてラジカル重合性官能基とは、ラジカルを発生させる重合開始剤の存在下において、光照射又は熱により、重合する官能基である。
ここで光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。ラジカル重合性官能基としては、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する官能基が挙げられ、具体的には、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、ビニルシクロアルキル基、アリル基等が挙げられ、中でも反応性の点から、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基(CH2=CH−)、CH2=CR−(ここでRは炭化水素基)等が好ましい。
【0035】
本発明に用いられる樹脂(1)は、上記ラジカル重合性官能基を2つ以上有すれば、骨格は特に限定されることなく、骨格としては例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエーテル樹脂からなる群から選択される一種または二種以上の混合物が挙げられる。
【0036】
本発明に用いられる樹脂(1)は、中でも、(メタ)アクリレート樹脂、末端や側鎖にエチレン性二重結合基を有する反応性ポリマーであることが好ましい。(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、後述する下記一般式(I)で表される重合体が挙げられるが、中でもウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートが、その他成分との相溶性の点から好適に用いられる。
【0037】
2以上のラジカル重合性官能基を有するウレタン(メタ)アクリレートは、1種又は2種以上の水酸基含有ポリエステルや、水酸基含有ポリエーテル、ポリビニルアルコール等の分子中に水酸基を含有する物質と、水酸基含有アクリル酸エステルと、イソシアネート類とを反応させて得られる多価ウレタン(メタ)アクリレートや、水酸基含有アクリル酸エステルとイソシアネート類を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0038】
ウレタン(メタ)アクリレートに用いられる上記水酸基含有ポリエステルとは、1種又は2種以上の多価アルコール及びそのアルキレンオキシド付加物またはε−カプロラクトン付加物と、1種又は2種以上の多塩基酸とのエステル化反応によって得られる水酸基含有ポリエステルである。上記多価アルコールとしては、例えば1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールが挙げられる。また、上記多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、テレフタル酸、無水フタル酸、トリメリット酸が挙げられる。
【0039】
ウレタン(メタ)アクリレートに用いられる上記水酸基含有ポリエーテルとして好ましいものは、多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイド及び/またはε−カプロラクトンを付加することによって得られる水酸基含有ポリエーテルであって、多価アルコールとしては、前記水酸基含有ポリエステルに使用できるものと同じものである。
【0040】
ウレタン(メタ)アクリレートに用いられる水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとして好ましいものは、多価アルコール及びそのアルキレンオキシド付加物またはε−カプロラクトン付加物と、アクリル酸またはメタクリル酸とのエステル化反応物であり、多価アルコール中の水酸基の当量が(メタ)アクリル酸の当量に比較して少なくとも1以上過剰でなければならない。使用する多価アルコールとしては、上記水酸基含有ポリエステルの場合と同じものを使用できる。
【0041】
好ましい水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加グリセリンジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加グリセリンジ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノエトキシレートジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールモノエトキシレートジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ペンタエリスリトールモノエトキシレートジ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ペンタエリスリトールモノエトキシレートジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノラウリレートテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールモノラウリレートテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジペンタエリスリトールモノラウリレートテトラ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ジペンタエリスリトールモノラウリレートテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジメタアクリレートトリアクリレート、ジペンタエリスリトールモノメタアクリレートテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタアクリレートモノアクリレートが挙げられる。
【0042】
イソシアネート類としては、分子中に少なくとも1個以上のイソシアネート基を持つ化合物ならば使用可能であるが、トリレンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の2価のイソシアネート類およびそれらの2量体または3量体が好ましい。
【0043】
好ましいウレタン(メタ)アクリレートを例示すると、ポリビニルアルコールとトリレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートとを反応して得られるウレタンアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートとトリレンジイソシアネートとをモル比2:1でウレタン化反応する事によって得られる6官能ウレタンアクリレート、1,6−ヘキサンジオールとトリメリット酸とをモル比3:1でエステル化反応する事によって得られた水酸基含有ポリエステル1モルとトリレンジイソシアネート3モルと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート3モルとの反応によって得られる3官能(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンとアジピン酸とをモル比2:1でエステル化反応する事によって得られた水酸基含有ポリエステル1モルとヘキサメチレンジイソシアネート4モルと1−メチル−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート4モルとの反応によって得られる4官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールとテレフタル酸とをモル比2:1でエステル化反応する事によって得られた水酸基含有ポリエステル1モルとイソホロンジイソシアネート6モルとグリセリンジ(メタ)アクリレート6モルとの反応によって得られる6官能(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールとテレフタル酸とをモル比2:1でエステル化反応する事によって得られた水酸基含有ポリエステル1モルと4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート10モルとエチレンオキシド付加グリセリンジ(メタ)アクリレート10モルとの反応によって得られる10官能(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンとテレフタル酸とポリエチレングリコール(分子量400)とをモル比2:2:1でエステル化反応する事によって得られた水酸基含有ポリエステル1モルと水添トリレンジイソシアネート4モルとプロピレンオキシド付加グリセリンジ(メタ)アクリレート4モルとの反応によって得られる4官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールとアジピン酸とポリプロピレングリコール(分子量600)とをモル比2:2:1でエステル化反応する事によって得られた水酸基含有ポリエステル1モルと水添4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート6モルとε−カプロラクトン付加グリセリンジ(メタ)アクリレート6モルとの反応によって得られる6官能(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド5モル付加1,3−ブタンジオールと2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートとをモル比1:2:2で反応して得られるポリエーテルウレタン(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド10モル付加1,4−ブタンジオールとキシリレンジイソシアネートとエチレンオキサイド付加トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートとをモル比1:2:2で反応して得られるポリエーテルウレタン(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド5モル付加1,6−ヘキサンジオールとトリレンジイソシアネートの2量体とプロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートとをモル比1:2:2で反応して得られるポリエーテルウレタン(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド10モル付加ネオペンチルグリコールとトリレンジイソシアネートの3量体とε−カプロラクトン付加トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートとをモル比1:2:4で反応して得られるポリエーテルウレタン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(分子量400)とイソホロンジイソシアネートの2量体とペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとをモル比1:2:2で反応して得られるポリエーテルウレタン(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量600)とイソホロンジイソシアネートの3量体とエチレンオキシド付加ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとをモル比1:2:4で反応して得られるポリエーテルウレタン(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン5モル付加トリメチロールプロパンと4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートの2量体とプロピレンオキシド付加ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとをモル比1:3:3で反応して得られるポリエーテルウレタン(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン10モル付加グリセリンと4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートの3量体とε−カプロラクトン付加ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとをモル比1:3:6で反応して得られるポリエーテルウレタン(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン10モル付加ペンタエリスリトールと水添トリレンジイソシアネートの2量体とペンタエリスリトールモノエトキシレートジ(メタ)アクリレートとをモル比1:3:3で反応して得られるポリエーテルウレタン(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン10モル付加ジペンタエリスリトールと水添トリレンジイソシアネートの3量体とエチレンオキシド付加ペンタエリスリトールモノエトキシレートジ(メタ)アクリレートとをモル比1:6:12で反応して得られるポリエーテルウレタン(メタ)アクリレート、ポリビニルアルコールとイソホロンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応して得られるウレタン(メタ)アクリレート、トリレンジイソシアネートとプロピレンオキシド付加ペンタエリスリトールモノエトキシレートジ(メタ)アクリレートとをモル比1:2で反応して得られるウレタン(メタ)アクリレート、ヘキサメチレンジイソシアネートとε−カプロラクトン付加ペンタエリスリトールモノエトキシレートジ(メタ)アクリレートとをモル比1:2で反応して得られるウレタン(メタ)アクリレート、イソホロンジイソシアネートとジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとをモル比1:2で反応して得られるウレタン(メタ)アクリレート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートとエチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとをモル比1:2で反応して得られるウレタン(メタ)アクリレート、水添トリレンジイソシアネートとプロピレンオキシド付加ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとをモル比1:2で反応して得られるウレタン(メタ)アクリレート、水添4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートとε−カプロラクトン付加ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとをモル比1:2で反応して得られるウレタン(メタ)アクリレート、リジンジイソシアネートメチルエステルとジペンタエリスリトールモノラウリレートテトラ(メタ)アクリレートとをモル比1:2で反応して得られるウレタン(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとエチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールモノラウリレートテトラ(メタ)アクリレートとをモル比1:2で反応して得られるウレタン(メタ)アクリレート、キシリレンジイソシアネートとプロピレンオキシド付加ジペンタエリスリトールモノラウリレートテトラ(メタ)アクリレートとをモル比1:2で反応して得られるウレタン(メタ)アクリレート、トリレンジイソシアネートの2量体とε−カプロラクトン付加ジペンタエリスリトールモノラウリレートテトラ(メタ)アクリレートとをモル比1:2で反応して得られるウレタン(メタ)アクリレート、トリレンジイソシアネートの3量体とジペンタエリスリトールジメタアクリレートトリアクリレートとをモル比1:3で反応して得られるウレタン(メタ)アクリレート、イソホロンジイソシアネートの2量体とジペンタエリスリトールモノメタアクリレートテトラアクリレートとをモル比1:2で反応して得られるウレタン(メタ)アクリレート、イソホロンジイソシアネートの3量体とジペンタエリスリトールテトラメタアクリレートモノアクリレートとをモル比1:3で反応して得られるウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0044】
中でも、本発明においてフィルム基材のハードコート層として必要なソフトセグメントとハードセグメントをバランス良く持っている点から好適に用いられるウレタン(メタ)アクリレートとしては、イソホロンジイソシアネートの単量体又は多量体とペンタエリスリトール多官能アクリレートとジペンタエリスリトール多官能アクリレートとを反応して得られるウレタン(メタ)アクリレート、イソホロンジイソシアネートの単量体又は多量体とペンタエリスリトール多官能アクリレートとグリセリン多官能アクリレートとを反応して得られるウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。ここで多官能アクリレートとは、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有するものをいう。なお、イソホロンジイソシアネートの単量体又は多量体とペンタエリスリトール多官能アクリレートとジペンタエリスリトール多官能アクリレートを反応して得られるウレタン(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、商品名UV−1700B(日本合成化学製)が挙げられ、イソホロンジイソシアネートの単量体又は多量体とペンタエリスリトール多官能アクリレートとグリセリン多官能アクリレートを反応して得られるウレタン(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、商品名ビームセット371(荒川化学工業製)が挙げられる。
【0045】
また、エポキシ(メタ)アクリレートで好ましいものは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。これらのエポキシ(メタ)アクリレートのうち特に好ましいものは、ノボラックタイプエポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、及び1分子中に少なくとも3個以上の水酸基を含有する脂肪族または芳香族多価アルコール及び、該多価アルコールのアルキレンオキシド付加物またはε−カプロラクトン付加物のグリシジルエーテルと、アクリル酸またはメタクリル酸との反応物である。これらのエポキシ(メタ)アクリレートは、分子内の全てのエポキシ基を(メタ)アクリル化しても、あるいは一部エポキシ基が残っていても良い。
【0046】
好ましいエポキシ(メタ)アクリレートを例示すると、フェノールノボラックエポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、o−クレゾールノボラックエポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルのテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテルのヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルのトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテルのペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラグリシジルエーテルのテトラ(メタ)アクリレート、フェノールノボラックエポキシ樹脂とアジピン酸と(メタ)アクリル酸との反応物、o−クレゾールノボラックエポキシ樹脂とテレフタル酸と(メタ)アクリル酸との反応物、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリメリット酸と(メタ)アクリル酸との反応物、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルとハイドロキノンと(メタ)アクリル酸との反応物、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテルとp−ノニルフェノールと(メタ)アクリル酸との反応物が挙げられる。
【0047】
また、樹脂(1)としては、下記一般式(I)で表される重合体も用いることができる。
【0048】
【化1】

(一般式(I)中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、nは0又は1を表す。Rは水素原子又はメチル基を表す。Aは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。x、yは各重合単位のモル%である。yは0であっても良い。)
【0049】
Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。
連結基Lの好ましい例としては、*−(CH−O−**,*−(CH−NH−**、*−(CH−O−**、*−(CH−O−**、*−(CH−O−(CH)−O−**、*−CONH−(CH−O−**、*−CHCH(OH)CH−O−**、*−CHCHOCONH(CH−O−**等が挙げられる。ここで、*は、ポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は、(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。
【0050】
一般式(I)中、Rは水素原子またはメチル基を表すが、硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
一般式(I)においてxは100モル%、すなわち単独の重合体であっても良い。また、xが100モル%であっても、xモル%で表された(メタ)アクリロイル基を含有する重合単位が2種以上混合して用いられた共重合体であってもよい。xとyの比は、特に制限はなく、硬度や、溶剤への溶解性、透明性等種々の観点から適宜選択することができる。
【0051】
一般式(I)中、Aは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、特に制限はなく、硬度や、溶剤への溶解性、透明性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていても良い。
【0052】
例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができる。
【0053】
また、本発明において、樹脂(1)として用いられる末端や側鎖にエチレン性二重結合基を有する反応性ポリマーとしては、骨格成分がポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリ(アクリロニトリル/スチレン)、ポリ((メタ)アクリル酸2−ヒドロキシメチル/(メタ)アクリル酸メチル)、ポリ((メタ)アクリル酸2−ヒドロキシメチル/(メタ)アクリル酸ブチル)、及び、これらの樹脂とシリコーン樹脂との共重合体等が挙げられる。
【0054】
以上の化合物については市販品を用いることができる。重量平均分子量が1000以上10000以下であり、且つ、2以上のラジカル重合性官能基を有するウレタンアクリレートとしては、共栄社製 商品名AH−600、AT−600、UA−306H、UA−306T、UA−306I等;日本合成化学製 商品名UV−1700B、UV−3000B、UV−3200B、UV−6300B、UV−6330B、UV−7000B等;荒川化学工業製 商品名ビームセット500シリーズ(502H、504H、550B等);新中村化学工業製 商品名U−6HA、U−15HA、UA−32P、U−324A等;東亞合成製 商品名M−9050等が挙げられる。
【0055】
また、重量平均分子量が1000以上10000以下であり、且つ、2以上のラジカル重合性官能基を有するエポキシアクリレートとしては、昭和高分子製 商品名SPシリーズ(SP−4060、1450等)、VRシリーズ(VR−60、1950;VR−90、1100等)等;日本合成化学製 商品名UV−9100B、UV−9170B等;新中村化学工業製 商品名EA−6320/PGMAc、EA−6340/PGMAc等が挙げられる。
【0056】
また、重量平均分子量が1000以上10000以下であり、且つ、2以上のラジカル重合性官能基を有する反応性マクロモノマーとしては、東亞合成製 商品名マクロモノマーシリーズ AA−6、AS−6、AB−6、AA−714SK等が挙げられる。
【0057】
また、重量平均分子量が10000以上100000以下であり、且つ、2以上のラジカル重合性官能基を有するウレタンアクリレートとしては、日本合成化学製 商品名紫光シリーズ(UV−3000B、UV−3200B、UV−3500BA、UV−3520TL、UV−3700BA等);荒川化学工業製 商品名ビームセット371等が挙げられる。また、重量平均分子量が10000以上100000以下であり、且つ、2以上のラジカル重合性官能基を有する反応性マクロモノマーとしては、東亞合成製 商品名マクロモノマーAA−10、AK−30、AK−32等が挙げられる。
【0058】
本発明に用いられる樹脂(1)の重量平均分子量は、1000以上100000以下であるが、硬度や耐擦傷性、塗膜平坦性の向上を重点とする場合には、重量平均分子量が10000以上100000以下の樹脂(1a)を用いることが好ましく、一方、干渉縞をより低減して視認性の向上を重点とする点からは、重量平均分子量が1000以上10000未満の樹脂(1b)を用いることが好ましい。中でも、硬度や、硬度や耐擦傷性、及び、視認性を向上する点から、樹脂(1)としては、重量平均分子量が10000以上100000以下の樹脂(1a)と重量平均分子量が1000以上10000未満の樹脂(1b)とを各々1種以上混合して用いることが好ましい。ここで本発明における重量平均分子量は、分子量分布を有しないものについては、分子量そのものをいい、分子量分布を有するものについては、ゲル浸透クロマトグラフィー法により測定したポリスチレン換算値をいう。また、分子量は、重合前の分子量である。
上記分子量の異なる樹脂(1a)と樹脂(1b)を混合して用いる場合、樹脂(1)中に樹脂(1a):樹脂(1b)=5:95〜95:5の重量比、更に、5:95〜60:40の重量比で配合することが好ましい。
【0059】
また、本発明に用いられる樹脂(1)は、2以上のラジカル重合性官能基を有する樹脂であるが、ハードコート層表面に相対的に多く存在して、主に硬度や耐擦傷性を付与する点から、ラジカル重合性官能基の数は、ポリマー分子1モル当たり2モル以上、更に5モル以上であることが好ましい。
また、主に硬度や耐擦傷性を付与する点から本発明に用いられる樹脂(1)にはフッ素原子のような硬度が柔らかくなるような成分が入っていない方が好ましい。
【0060】
(2)重量平均分子量が100以上1000以下であり、且つ、1以上のカチオン重合性官能基を有する樹脂(樹脂(2))
本発明において用いられる当該樹脂(2)は、後述するように、ハードコート層と基材の境界付近に相対的に多く存在して、主にカールや基材に発生する収縮皺を抑制し、且つ、前記基材に浸透して基材との密着性を向上する成分である。
本発明においてカチオン重合性官能基とは、必要に応じてカチオンを発生させる重合開始剤の存在下において、光照射及び/又は加熱により、重合する官能基である。
カチオン重合性官能基としては、例えば、エポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテル基、チオエーテル基、ビニルエーテル基が挙げられる。これらの中でも、エポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテル基は、重合反応に伴う収縮が小さいという点から好ましい。また、環状エーテル基のうちエポキシ基を有する化合物は多様な構造の化合物が入手し易く、得られたハードコート層の耐久性に悪影響を与えず、ラジカル重合成分との相溶性もコントロールし易いという利点がある。また、環状エーテル基のうちオキセタニル基は、エポキシ基と比較して重合度が高い、低毒性であり、得られたハードコート層をエポキシ基を有する化合物と組み合わせた際に塗膜中でのカチオン重合性モノマーから得られるネットワーク形成速度を早め、ラジカル重合系モノマーと混在する領域でも未反応のモノマーを膜中に残さずに独立したネットワークを形成する等の利点がある。
【0061】
1以上のエポキシ基を有する樹脂としては、脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル又は、シクロヘキセン環、シクロペンテン環含有化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化する事によって得られる脂環族エポキシ樹脂;脂肪族多価アルコール、又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、コポリマーなどの脂肪族エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールFや水添ビスフェノールA等のビスフェノール類、又はそれらのアルキレンオキサイド付加体、カプロラクトン付加体等の誘導体と、エピクロルヒドリンとの反応によって製造されるグリシジルエーテル、及びノボラックエポキシ樹脂等でありビスフェノール類から誘導されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0062】
上記脂環族エポキシ樹脂としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(UVR−6105、UVR−6107、UVR−6110)、ビス−3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアディペート(UVR−6128)(以上、カッコ内は商品名で、ダウ・ケミカル製である。)が挙げられる。
【0063】
また、上記グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル(デナコールEX−611、デナコールEX−612、デナコールEX−614、デナコールEX−614B、デナコールEX−622)、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(デナコールEX−512、デナコールEX−521)、ペンタエリスリトルポリグリシジルエーテル(デナコールEX−411)、ジグリセロールポリグリシジルエーテル(デナコールEX−421)、グリセロールポリグリシジルエーテル(デナコールEX−313、デナコールEX−314)、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(デナコールEX−321)、レソルチノールジグリシジルエーテル(デナコールEX−201)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(デナコールEX−211)、1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(デナコールEX―212)、ヒドロジビスフェノールAジグリシジルエーテル(デナコールEX−252)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(デナコールEX−810、デナコールEX−811)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(デナコールEX―850、デナコールEX―851、デナコールEX―821)、プロピレングリコールグリシジルエーテル(デナコールEX―911)、ポリプロピレングリコールグリシジルエーテル(デナコールEX―941、デナコールEX−920)、アリルグリシジルエーテル(デナコールEX−111)、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(デナコールEX−121)、フェニルグリシジルエーテル(デナコールEX−141)、フェノールグリシジルエーテル(デナコールEX−145)、ブチルフェニルグリシジルエーテル(デナコールEX−146)、ジグリシジルフタレート(デナコールEX−721)、ヒドロキノンジグリシジルエーテル(デナコールEX−203)、ジグリシジルテレフタレート(デナコールEX−711)、グリシジルフタルイミド(デナコールEX−731)、ジブロモフェニルグリシジルエーテル(デナコールEX−147)、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(デナコールEX−221) (以上、カッコ内は商品名で、ナガセケムテックス製である。)が挙げられる。
【0064】
また、その他の市販品のエポキシ樹脂としては、商品名エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート828EL、エピコート828XA、エピコート834、エピコート801、エピコート801P、エピコート802、エピコート815、エピコート815XA、エピコート816A、エピコート819、エピコート834X90、エピコート1001B80、エピコート1001X70、エピコート1001X75、エピコート1001T75、エピコート806、エピコート806P、エピコート807、エピコート152、エピコート154、エピコート871、エピコート191P、エピコートYX310、エピコートDX255、エピコートYX8000、エピコートYX8034等(以上商品名、ジャパンエポキシレジン製)が挙げられる。
【0065】
一方、1以上のオキタセニル基を有する樹脂としては、特に限定されないが、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(OXT−101)、1,4−ビス−3−エチルオキセタン−3−イルメトキシメチルベンゼン(OXT−121)、ビス−1−エチル−3−オキセタニルメチルエーテル(OXT−221)、3−エチル−3−2−エチルへキシロキシメチルオキセタン(OXT−212)、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン(OXT−211)(以上、カッコ内は商品名で東亜合成製である。)や、商品名エタナコールEHO、エタナコールOXBP、エタナコールOXTP、エタナコールOXMA(以上商品名、宇部興産製)が挙げられる。
【0066】
また、好適に用いられる樹脂(2)としては、硬度・カール性の点から、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ヒドロジビスフェノールAジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0067】
中でも、本発明においては、硬化膜の硬度を維持する点から、1以上のエポキシ基を有する樹脂(2a)と1以上のオキセタニル基を有する樹脂(2b)を混合して用いることが好ましい。好適な組み合わせとしては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートとビス−1−エチル−3−オキセタニルメチルエーテル等が挙げられる。なお、上記1以上のエポキシ基を有する樹脂(2a)と1以上のオキセタニル基を有する樹脂(2b)を混合して用いる場合、樹脂(2)中に樹脂(2a):樹脂(2b)=70:30〜95:5の重量比で配合することが好ましい。
【0068】
本発明に用いられる樹脂(2)の重量平均分子量は、100以上1000以下であるが、上記樹脂(1)に比べて相対的に基材付近に多く存在するようにし、且つ、上記基材中に浸透させる点からは、重量平均分子量が更に200以上800以下であることが好ましく、更に好ましくは、300以上600以下である。
【0069】
また、本発明に用いられる樹脂(2)は、1以上のカチオン重合性官能基を有する樹脂であるが、前記基材とハードコート層の境界付近に相対的に多く存在して、重合熱の発生を抑えてカールを抑制し、且つ、前記基材に浸透する点から、カチオン重合性官能基の数は、1〜12、1〜6、特に2であることが好ましい。
【0070】
また、本発明に係る光学積層体においては、前記樹脂(1)と前記樹脂(2)との重量比(樹脂(1):樹脂(2))が、95:5〜50:50、更に、80:20〜60:40であることが、硬度を維持しカールや重合時に発生する皺の発生を抑える点から好ましい。
【0071】
(3)重量平均分子量が200以上1000未満であり、且つ、2以上のラジカル重合性官能基を有する樹脂(樹脂(3))
本発明において用いられる当該樹脂(3)は、分子量の大きい上記樹脂(1)と分子量の小さい上記樹脂(2)を組み合わせる場合に、更にハードコート層の厚み方向における濃度分布に起因する屈折率差を小さくして、より視認性を向上させることができる点から併用することが好ましい。但し、上記樹脂(2)の前記基材境界付近における濃度をより高くする点から、当該樹脂(3)の分子量は、上記樹脂(2)の分子量よりも大きいものを用いることが好ましく、更に分子量として200以上大きいものを用いることが好ましい。
当該樹脂(3)において、ラジカル重合性官能基やその骨格は、上述した(1)と同様のものを用いることができる。
【0072】
本発明において用いられる樹脂(3)としては、例えば、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール300ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール600ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性エチレングリコールジ(メタ)アクリレート(長瀬産業製デナコールDA−811等)、ポリプロピレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール400ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール700ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド(EO)・プロピレンオキシド(PO)ブロックポリエーテルジ(メタ)アクリレート(日本油脂製ブレンマーPETシリーズ等)、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA EO付加型ジ(メタ)アクリレート(東亞合成製M−210、新中村化学工業製NKエステルA−BPE−20等)、水添ビスフェノールA EO付加型ジ(メタ)アクリレート(新中村化学工業製NKエステルA−HPE−4等)、ビスフェノールA PO付加型ジ(メタ)アクリレート(共栄社化学製ライトアクリレートBP−4PA等)、ビスフェノールA エピクロルヒドリン付加型ジ(メタ)アクリレート(ダイセルUCB製エピクリル150等)、ビスフェノールA EO・PO付加型ジ(メタ)アクリレート(東邦化学工業製BP−023−PE等)、ビスフェノールF EO付加型ジ(メタ)アクリレート(東亞合成製アロニックスM−208等)、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、及びそのエピクロルヒドリン変性品、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及びそのカプロラクトン変性品、1、4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、トリメチロールプロパンアクリル酸・安息香酸エステル、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート(東亞合成製アロニックスM−215等)等の2官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
【0073】
また、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン変性品、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン変性品、イソシアヌール酸EO変性トリ(メタ)アクリレート(東亞合成製アロニックスM−315等)、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、フタル酸水素−(2,2,2−トリ−(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチル、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン変性品等の3官能(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン変性品、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4官能(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン、脂肪酸、アルキル、ウレタン変性品等の5官能(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン、脂肪酸、アルキル、ウレタン変性品、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン、脂肪酸、アルキル、ウレタン変性品等の6官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
【0074】
また、重量平均分子量が200以上1000未満のポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートも好適に用いることができる。市販品では、ポリエステル(メタ)アクリレートとして、荒川化学工業製の商品名ビームセット700シリーズ、すなわちビームセット700(6官能)、ビームセット710(4官能)、ビームセット720(3官能)等が挙げられる。また、ウレタン(メタ)アクリレートとしては、荒川化学工業製の商品名ビームセット551B、ビームセット900;新中村化学工業製 商品名U−2PPA、U−4HA、U−6LPA、U−4H、U−6H等が挙げられる。また、エポキシ(メタ)アクリレートとしては、昭和高分子製の商品名SPシリーズ、例えばSP−1506,500、SP−1507,480、VRシリーズ、例えばVR−77、新中村化学工業製 商品名EA−1010/ECA、EA−11020、EA−1025、EA−6310/ECA等が挙げられる。
【0075】
本発明において、当該樹脂(3)を用いる場合には、前記樹脂(1)および前記樹脂(3)の和と、前記樹脂(2)との重合比(樹脂(1)+(3):樹脂(2))が、95:5〜50:50、更に80:20〜60:40であることが好ましい。
また、前記樹脂(1)と前記樹脂(3)との重合比(樹脂(1):樹脂(3))は、95:5〜5:95、更に80:20〜60:40であることが、硬度・カール性の点から好ましい。
【0076】
(5)重合開始剤
本発明においては、上記ラジカル重合性官能基やカチオン重合性官能基の開始又は促進させるために、必要に応じてラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル及びカチオン重合開始剤等を適宜選択して用いても良い。これらの重合開始剤は、光照射及び/又は加熱により分解されて、ラジカルもしくはカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。
【0077】
ラジカル重合開始剤は、光照射及び/又は加熱によりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であれば良い。例えば、光ラジカル重合開始剤としては、イミダゾール誘導体、ビスイミダゾール誘導体、N−アリールグリシン誘導体、有機アジド化合物、チタノセン類、アルミナート錯体、有機過酸化物、N−アルコキシピリジニウム塩、チオキサントン誘導体等が挙げられ、更に具体的には、1,3−ジ(tert−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラキス(tert−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ビス(2,4,5−トリフェニル)イミダゾール、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名イルガキュア651、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)(商品名イルガキュア784、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
また、カチオン重合開始剤は、光照射及び/又は加熱によりカチオン重合を開始させる物質を放出することが可能であれば良い。カチオン重合開始剤としては、スルホン酸エステル、イミドスルホネート、ジアルキル−4−ヒドロキシスルホニウム塩、アリールスルホン酸−p−ニトロベンジルエステル、シラノール−アルミニウム錯体、(η6-ベンゼン)(η-シクロペンタジエニル)鉄(II)等が例示され、さらに具体的には、ベンゾイントシレート、2,5−ジニトロベンジルトシレート、N−トシフタル酸イミド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
ラジカル重合開始剤としても、カチオン重合開始剤としても用いられるものとしては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、トリアジン化合物、鉄アレーン錯体等が例示され、更に具体的には、ジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム等のヨードニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム等のスルホニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のスルホニウム塩、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等の2,4,6−置換−1,3,5トリアジン化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
(5)その他の添加剤
本発明においてハードコート層には、帯電防止剤及び/又は防眩剤を含んでなるものが、更に帯電防止性及び/又は防眩性を付与できる点から好ましい。更に、硬度を上昇させる点から、シリカ微粒子、樹脂微粒子、反応性又は非反応性レベリング剤、各種増感剤等を混合しても良い。
【0081】
(帯電防止剤(導電剤))
帯電防止層を形成する帯電防止剤の具体例としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基などのアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系などの両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系などのノニオン性化合物、スズ及びチタンのアルコキシドのような有機金属化合物及びそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられ、さらに上記に列記した化合物を高分子量化した化合物が挙げられる。また、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、または金属キレート部を有し、且つ、電離放射線により重合可能なモノマーまたはオリゴマー、或いは電離放射線により重合可能な重合可能な官能基を有する且つ、プリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物もまた帯電防止剤として使用できる。
【0082】
また、導電性超微粒子が挙げられる。導電性微粒子の具体例としては、金属酸化物からなるものを挙げることができる。そのような金属酸化物としては、ZnO(屈折率1.90、以下、カッコ内の数値は屈折率を表す。)、CeO(1.95)、Sb(1.71)、SnO(1.997)、ITOと略して呼ばれることの多い酸化インジウム錫(1.95)、In(2.00)、Al(1.63)、アンチモンドープ酸化錫(略称;ATO、2.0)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(略称;AZO、2.0)等を挙げることができる。微粒子とは、1ミクロン以下の、いわゆるサブミクロンの大きさのものを指し、好ましくは、平均粒子径が0.1nm〜0.1μmのものである。
帯電防止剤は、上記樹脂の合計量100重量部に対し、1〜30重量部、好ましくは3〜15重量部含有させることができる。
【0083】
(防眩剤)
防眩剤としては、後記する防眩層の項で説明する防眩剤と同様のものを、上記樹脂の合計量100重量部に対し、20〜30重量部、好ましくは10〜25重量部含有させることができる。
【0084】
(シリカ微粒子)
本発明においては、透明性を維持し、耐擦傷性を向上させる点からシリカ微粒子を含有しても良い。シリカ微粒子としては、分散媒を含有しない粉末状の微粒子シリカを用いてもよいが、分散工程を省略でき、生産性が高い点からシリカ微粒子をコロイド溶液としたコロイダルシリカを用いることが好ましい。シリカの平均粒子径は硬度の点から10〜50nmであるが、更に好ましくは10〜30nmであり、特に好ましくは10〜20nmである。
シリカ微粒子は必要に応じてシランカップリング剤による表面処理で(メタ)アクリロイル基やエポキシ基、オキセタニル基を導入するとバインダー成分との反応性が付与され硬化膜の耐擦傷性を更に向上させることが出来る。
シリカ微粒子の含有量は樹脂100重量部に対し、20重量部超、60重量部未満、更に25重量部以上、40重量部以下であることが好ましい。20重量部以下の場合、ハードコート層表面の硬度が不十分となる恐れがあり、60重量部以上の場合、ハードコート層と薄層の界面の密着性が不十分となる恐れがある。
【0085】
(6)物性値
本発明において「ハードコート層」とは、JIS5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものであるが、当該鉛筆硬度試験で更に2H以上、特に3H以上であることが好ましい。
【0086】
また、ハードコート層の表面を、#0000番のスチールウールを用いて、所定の摩擦荷重で10往復摩擦し、その後のハードコート層の剥がれの有無を目視した場合に、1000g以上の摩擦荷重に耐えられることが好ましく、更に1500g以上の摩擦荷重に耐えられることが好ましい。
【0087】
また、光学積層体のカールを基材を10cm×10cmにカットしたサンプル片を水平な台の上に置き、端部の浮き上がりを測定した場合に、3cm以下であることが好ましい。
【0088】
(7)濃度勾配
本発明に係るハードコート層は、上記特定の高分子量のラジカル重合性官能基を有する樹脂(1)と上記特定の低分子量のカチオン重合性官能基を有する樹脂(2)とを組み合わせたことにより、特定の低分子量のカチオン重合性官能基を有する樹脂(2)がハードコート層の厚み方向に濃度勾配を有すると推定される。なお、本発明における濃度勾配とは、厚み方向の任意の2点において濃度が異なるものであれば良い。
【0089】
低分子量の樹脂(2)の濃度は、光透過性樹脂基材とハードコート層の境界領域側の方が、ハードコート層表面側よりも高くなっていると推定される。すなわち、相対的に、特定の高分子量の樹脂(1)の濃度は、光透過性樹脂基材側で濃度が低く、ハードコート層表面側で濃度が高くなっていると推定される。
この層内の成分の濃度勾配によって、光透過性樹脂基材付近には硬化時に発生する重合熱が小さいカチオン重合性官能基を有する樹脂(2)が多く存在することにより、光透過性樹脂基材の熱ダメージによる収縮皺の発生や、カールを抑制することが可能になる。同時に、ハードコート層表面側にはラジカル重合性官能基を有する樹脂(1)が多く存在することにより、硬度や耐擦傷性を高くすることを実現できる。本発明によれば、ハードコート層が一層でありながら各成分の濃度勾配を実現しているので、ハードコート層を二層形成した場合に比べて二層間の密着性や界面反射及び干渉縞の発生の課題が発生することなく、特許文献2のように二層のうち上層のラジカル重合性硬化型樹脂のみからなる硬化樹脂被膜層により結局カールを抑えることができないという課題も解決できる。本発明に係る光学積層体は、上述のように界面反射及び干渉縞の発生を防止しつつ、基材の収縮皺も防止したので、優れた視認性を有するものである。
【0090】
このようなハードコート層における上記樹脂(2)の濃度勾配は、例えば、GSP(精密斜め切削法)により位相差フィルムを切断して厚み方向の断面が出るようにし、当該断面の飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)を行うことによって、厚み方向の材料の濃度分布を測定する方法等により確認することができる。
【0091】
3.基材中の前記樹脂(2)が浸透して硬化している領域
本発明においては、前記光透過性樹脂基材中に、前記樹脂(2)が浸透して硬化している領域を有することを特徴とする。
本発明に係る光学積層体によれば、ハードコート層に用いられている特定の低分子量の前記樹脂(2)が前記光透過性樹脂基材に浸透して硬化しているので、光透過性樹脂基材とハードコート層の間に両方の材料を含む領域が存在するため、光透過性樹脂基材とハードコート層間の界面が実質的に存在しなくなり、急激な屈折率の変化がなくなって、界面反射及び干渉縞の発生を防止することができる。更に、当該特定の低分子量のカチオン重合性官能基を有する樹脂が前記光透過性樹脂基材に浸透して硬化しているので、光透過性樹脂基材−ハードコート層間の密着性が非常に優れたものになる。本発明においては、基材からのハードコート層の剥離といった問題が生じないため耐熱性や耐水性等の信頼性が高くなるという利点を有する。
【0092】
前記光透過性樹脂基材中に、前記樹脂(2)が浸透して硬化している領域の厚みは、通常0.5μm〜8μmの範囲内、特に1μm〜4μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲内であれば、有効に界面反射及び干渉縞の発生を防止し、且つ光透過性樹脂基材−ハードコート層間の密着性を向上させることができるからである。
当該領域の存在は、例えば、塗膜の断面から顕微IRによるマッピングやTOF−SIMS法によって、確認することができる。
【0093】
なお、本発明に係る光学積層体の密着性としては、剥離試験として、得られたサンプルに1mm角の切れ目を碁盤目状に入れ、接着テープ(ニチバン株式会社製、セロテープ(登録商標))をハードコート層に貼り付け、その後テープを引き剥がし、目視により観察し、下記密着度が100%であることが好ましい。
密着度(%)=(剥がれなかった部分/テープを貼り付けた領域)×100
【0094】
4. その他の層
本発明による光学積層体は、上記したように光透過性樹脂基材とハードコート層とにより基本的には構成されてなる。しかしながら、光学積層体としての機能または用途を加味してハードコート層の上に、下記する一又は二以上の層を形成してもよい。また更に、中屈折率層や高屈折率層を含んで形成しても良い。
【0095】
(1)帯電防止層
帯電防止層は、帯電防止剤と樹脂とを含んでなるものである。帯電防止剤はハードコート層で説明したのと同様であって良い。帯電防止層の厚さは、30nm〜1μm程度であることが好ましい。
【0096】
(樹脂)
樹脂の具体例としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは光硬化性樹脂もしくは光硬化性化合物(有機反応性ケイ素化合物を含む)を使用することができる。樹脂としては、熱可塑性の樹脂も使用できるが、熱硬化性樹脂を使用することがより好ましく、より好ましくは、光硬化性樹脂または光硬化性化合物を含む光硬化性組成物である。
光硬化性組成物としては、分子中に重合性不飽和結合または、エポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜に混合したものである。
光硬化性組成物中のプレポリマー、オリゴマー、及びモノマーの例としては、前記ハードコート層で挙げたのと同様のものを用いることができる。
【0097】
通常、光硬化性組成物中のモノマーとしては、必要に応じて、1種若しくは2種以上を混合して用いるが、光硬化性組成物に通常の塗布適性を与えるために、前記のプレポリマー又はオリゴマーを5重量%以上、前記モノマー及び/又はポリチオール化合物を95重量%以下とするのが好ましい。
【0098】
光硬化性組成物を塗布し、硬化させたときのフレキシビリティーが要求されるときは、モノマー量を減らすか、官能基の数が1又は2の(メタ)アクリレートモノマーを使用するとよい。光硬化性組成物を塗布し、硬化させたときの耐摩耗性、耐熱性、耐溶剤性が要求されるときは、官能基の数が3つ以上の(メタ)アクリレートモノマーを使う等、光硬化性組成物の設計が可能である。ここで、官能基が1のものとして、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートが挙げられる。官能基が2のものとして、エチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが挙げられる。官能基が3以上のものとして、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
【0099】
光硬化性組成物を塗布し、硬化させたときのフレキシビリティーや表面硬度等の物性を調整するため、光硬化性組成物に、光照射では硬化しない樹脂を添加することもできる。具体的な樹脂の例としては次のものがある。ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂である。中でも、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等の添加がフレキシビリティーの向上の点で好ましい。
【0100】
光硬化性組成物の塗布後の硬化が紫外線照射により行われるときは、光重合開始剤や光重合促進剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いる。光重合開始剤の添加量は、光硬化性組成物100重量部に対し、0.1〜10重量部である。
【0101】
光硬化性組成物には、次のような有機反応性ケイ素化合物を併用してもよい。
有機ケイ素化合物の1は、一般式RSi(OR')で表せるもので、R及びR'は炭素数1〜10のアルキル基を表し、Rの添え字mとOR'の添え字nとは、各々が、m+n=4の関係を満たす整数である。
【0102】
具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0103】
光硬化性組成物に併用し得る有機ケイ素化合物は、シラン且つ、プリング剤である。具体的には、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、メチルメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等が挙げられる。
【0104】
(2)防眩層
防眩層は、透過性基材とハードコート層または低屈折率層との間に形成されてよい。防眩層は樹脂と防眩剤とにより形成されてよく、樹脂は、ハードコート層の項で説明したのと同様であってよい。
【0105】
本発明の好ましい態様によれば、防眩層は微粒子の平均粒子径をR(μm)とし、防眩層の凹凸の凸部分の鉛直方向での基材面からの最大値をHmax(μm)とし、防眩層の凹凸平均間隔をSm(μm)とし、凹凸部の平均傾斜角をθaとした場合に、下記式:
8R≦Sm≦30R
R<Hmax<3R
1.3≦θa≦2.5
1≦R≦8
全てを同時に満たすものが好ましい。
【0106】
また、本発明の別の好ましい様態によれば、微粒子と透明樹脂組成物の屈折率をそれぞれ、n1、n2とした場合に、Δn=│n1−n2│<0.1を満たすものであり、且つ、防眩層内部のヘイズ値が55%以下である防眩層が好ましい。
【0107】
(防眩剤)
防眩剤としては微粒子が挙げられ、微粒子の形状は、真球状、楕円状などのものであってよく、好ましくは真球状のものが挙げられる。また、微粒子は無機系、有機系のものが挙げられるが、好ましくは有機系材料により形成されてなるものが好ましい。微粒子は、防眩性を発揮するものであり、好ましくは透明性のものがよい。微粒子の具体例としては、プラスチックビーズが挙げられ、より好ましくは、透明性を有するものが挙げられる。プラスチックビーズの具体例としては、スチレンビーズ(屈折率1.59)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.49)、アクリル−スチレンビーズ(屈折率1.54)、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズなどが挙げられる。微粒子の添加量は、透明樹脂組成物100重量部に対し、2〜30重量部、好ましくは10〜25重量部程度である。
【0108】
防眩層用組成物を調整する際に沈降防止剤を添加することが好ましい。沈降防止剤を添加することにより、防眩剤の沈殿を抑制し、溶媒内に均一に分散させることができるからである。沈降防止剤の具体例としては、平均粒子径が0.5μm以下、好ましくは0.1〜0.25μm程度のシリカビーズが挙げられる。
防眩層の膜厚(硬化時)は0.1〜100μm、好ましくは0.8〜20μmの範囲にあることが好ましい。膜厚がこの範囲にあることにより、防眩層としての機能を十分に発揮することができる。
【0109】
(3)低屈折率層
低屈折率層は、シリカ、もしくはフッ化マグネシウムを含有する樹脂、低屈折率樹脂であるフッ素系樹脂、シリカ、もしくはフッ化マグネシウムを含有するフッ素系樹脂から構成され、屈折率が1.46以下の、やはり30nm〜1μm程度の薄膜、または、シリカ、もしくはフッ化マグネシウムの化学蒸着法もしくは物理蒸着法による薄膜で構成することができる。フッ素樹脂以外の樹脂については、帯電防止層を構成するのに用いる樹脂と同様である。
【0110】
低屈折率層は、より好ましくは、シリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体で構成することができる。このシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体は、具体的には、フッ化ビニリデンが30〜90%、ヘキサフルオロプロピレンが5〜50%(以降も含め、百分率は、いずれも質量基準)を含有するモノマー組成物を原料とした共重合により得られるもので、フッ素含有割合が60〜70%であるフッ素含有共重合体100部と、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物80〜150部とからなる樹脂組成物であり、この樹脂組成物を用いて、膜厚200nm以下の薄膜であって、且つ耐擦傷性が付与された屈折率1.60未満(好ましくは1.46以下)の低屈折率層を形成する。
【0111】
低屈折率層を構成する上記のシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体は、モノマー組成物における各成分の割合が、フッ化ビニリデンが30〜90%、好ましくは40〜80%、特に好ましくは40〜70%であり、又ヘキサフルオロプロピレンが5〜50%、好ましくは10〜50%、特に好ましくは15〜45%である。このモノマー組成物は、更にテトラフルオロエチレンを0〜40%、好ましくは0〜35%、特に好ましくは10〜30%含有するものであってもよい。
【0112】
上記のモノマー組成物は、上記のシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体の使用目的および効果が損なわれない範囲において、他の共重合体成分が、例えば、20%以下、好ましくは10%以下の範囲で含有されたものであってもよく、このような、ほかの共重合成分の具体例として、フルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロエチレン、3−ブロモ−3,3−ジフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロピレン、α−トリフルオロメタクリル酸等のフッ素原子を有する重合性モノマーを例示することができる。
【0113】
以上のようなモノマー組成物から得られるフッ素含有共重合体は、そのフッ素含有割合が60〜70%であることが必要であり、好ましいフッ素含有割合は62〜70%、特に好ましくは64〜68%である。フッ素含有割合が、このような特定の範囲であることにより、フッ素含有重合体は、溶剤に対して良好な溶解性を有し、かつ、このようなフッ素含有重合体を成分として含有することにより、種々の基材に対して優れた密着性を有し、高い透明性と低い屈折率を有すると共に十分に優れた機械的強度を有する薄膜を形成するので、薄膜の形成された表面の耐傷性等の機械的特性を十分に高いものとすることができ、極めて好適である。
【0114】
このフッ素含有共重合体は、その分子量がポリスチレン換算数平均分子量で5,000〜200,000、特に10,000〜100,000であることが好ましい。このような大きさの分子量を有するフッ素含有共重合体を用いることにより、得られるフッ素系樹脂組成物の粘度が好適な大きさとなり、従って、確実に好適な塗布性を有するフッ素系樹脂組成物とすることができる。フッ素含有共重合体は、それ自体の屈折率が1.45以下、特に1.42以下、更に1.40以下であるものが好ましい。屈折率が1.45を越えるフッ素含有共重合体を用いた場合には、得られるフッ素系塗料により形成される薄膜が反射防止効果の小さいものとなる場合がある。
【0115】
このほか、低屈折率層は、SiO2からなる薄膜で構成することもでき、蒸着法、スパッタリング法、もしくはプラズマCVD法等により、またはSiO2ゾルを含むゾル液からSiO2ゲル膜を形成する方法によって形成されたものであってもよい。なお、低屈折率層は、SiO2以外にも、MgF2の薄膜や、その他の素材でも構成し得るが、下層に対する密着性が高い点で、SiO2薄膜を使用することが好ましい。上記の手法のうち、プラズマCVD法によるときは、有機シロキサンを原料ガスとし、他の無機質の蒸着源が存在しない条件で行なうことが好ましく、また、被蒸着体をできるだけ低温度に維持して行なうことが好ましい。
【0116】
本発明の低屈折率層の好ましい態様によれば、「空隙を有する微粒子」を利用することが好ましい。
「空隙を有する微粒子」は低屈折率層の層強度を保持しつつ、その屈折率を下げることを可能とする。「空隙を有する微粒子」とは、微粒子の内部に気体が充填された構造及び/又は気体を含む多孔質構造体を形成し、微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中の気体の占有率に反比例して屈折率が低下する微粒子を意味する。また、本発明にあっては、微粒子の形態、構造、凝集状態、塗膜内部での微粒子の分散状態により、内部、及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子も含まれる。
【0117】
空隙を有する無機系の微粒子の具体例としては、特開2001−233611号公報で開示されている技術を用いて調製したシリカ微粒子が好ましくは挙げられる。空隙を有するシリカ微粒子は製造が容易でそれ自身の硬度が高いため、バインダーと混合して低屈折率層を形成した際、その層強度が向上され、かつ、屈折率を1.20〜1.45程度の範囲内に調製することを可能とする。特に、空隙を有する有機系の微粒子の具体例としては、特開2002−80503号公報で開示されている技術を用いて調製した中空ポリマー微粒子が好ましく挙げられる。
【0118】
塗膜の内部及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子としては先のシリカ微粒子に加え、比表面積を大きくすることを目的として製造され、充填用のカラムおよび表面の多孔質部に各種化学物質を吸着させる除放材、触媒固定用に使用される多孔質微粒子、または断熱材や低誘電材に組み込むことを目的とする中空微粒子の分散体や凝集体を挙げることができる。そのような具体的としては、市販品として日本シリカ工業株式会社製の商品名NipsilやNipgelの中から多孔質シリカ微粒子の集合体、日産化学工業(株)製のシリカ微粒子が鎖状に繋がった構造を有するコロイダルシリカUPシリーズ(商品名)から、本発明の好ましい粒子径の範囲内のものを利用することが可能である。
【0119】
「空隙を有する微粒子」の平均粒子径は、5nm以上300nm以下であり、好ましくは下限が8nm以上であり上限が100nm以下であり、より好ましくは下限が10nm以上であり上限が80nm以下である。微粒子の平均粒子径がこの範囲内にあることにより、低屈折率層に優れた透明性を付与することが可能となる。
【0120】
(4)防汚層
本発明の好ましい態様によれば、低屈折率層の最表面の汚れ防止を目的として防汚層を設けてもよく、好ましくは低屈折率層が形成された光透過性基材の一方の面と反対の面側に防汚層が設けられてなるものが好ましい。防汚層は、反射防止積層体に対して防汚性と耐擦傷性のさらなる改善を図ることが可能となる。
【0121】
防汚剤の具体例としては、分子中にフッ素原子を有する光硬化型樹脂組成物への相溶性が低く、低屈折率層中に添加することが困難とされるフッ素系化合物および/またはケイ素系化合物、分子中にフッ素原子を有する光硬化型樹脂組成物および微粒子に対して相溶性を有するフッ素系化合物および/またはケイ系化合物が挙げられる。
【0122】
8.用途
本発明に係る光学積層体は、ハードコート積層体として、好ましくは反射防止積層体として利用される。また、本発明に係る光学積層体は、透過型表示装置に利用される。特に、テレビジョン、コンピュータ、ワードプロセッサなどのディスプレイ表示に使用される。とりわけ、CRT、液晶パネル、プラズマディスプレイなどのディスプレイの表面に用いられる。
【0123】
II.光学積層体の製造方法
本発明に係る光学積層体の製造方法は、光透過性樹脂基材の少なくとも一方の表面に、(1)重量平均分子量が1000以上100000以下であり、且つ、2以上のラジカル重合性官能基を有する樹脂と、(2)重量平均分子量が100以上1000以下であり、且つ、1以上のカチオン重合性官能基を有する樹脂と、前記光透過性樹脂基材の浸透性溶剤とを含んでなるハードコート層形成用塗工液を塗布する塗布工程と、前記塗布工程により塗布された前記ハードコート層形成用塗工液中の前記樹脂(2)を前記光透過性樹脂基材に浸透させる浸透工程と、前記塗布工程により塗布された前記ハードコート層形成用塗工液の前記溶剤を乾燥させる乾燥工程と、前記樹脂(1)及び/又は前記樹脂(2)を硬化させる硬化工程とを有する。
【0124】
このような本発明に係る光学積層体の製造方法について、図面を用いて具体的に説明する。図2は、本発明に係る光学積層体の製造方法の一例を示す工程図である。図2(a)に示すように、まず光透過性樹脂基材1上に、ハードコート層形成用塗工液4を塗布する塗布工程が行われる。次いで、図2(b)に示すように、ハードコート層形成用塗工液4中の上記樹脂(2)を上記光透過性樹脂基材1に浸透させる浸透工程、および上記塗布工程により塗布された上記ハードコート層形成用塗工液4中の上記溶媒を乾燥させる乾燥工程が行われる。これにより、上記光透過性樹脂基材表面から、上記ハードコート層形成用塗工液中の上記樹脂(2)が浸透し、光透過性樹脂基材1中のハードコート層形成用塗膜5との境界領域に光透過性樹脂基材に上記樹脂(2)が浸透している領域6が形成される。そして、図2(c)に示すように、上記ハードコート層形成用塗膜5側から紫外線7を照射することにより、ハードコート層形成用塗膜5及び光透過性樹脂基材中に浸透された上記樹脂(2)等を重合して硬化させる硬化工程が行われることにより、ハードコート層2及び光透過性樹脂基材に上記樹脂(2)が浸透して硬化している領域3が形成され、光学積層体10が形成される。なお、上記基材1に浸透する成分としては上記樹脂(2)が主体となるように、ハードコート層形成用塗工液を調製する必要があるが、本発明の効果が損なわれない限り、上記樹脂(3)や上記樹脂(1)や他の成分が同時に上記基材1に浸透しても良い。
【0125】
このような本発明の光学積層体の製造方法によれば、上記ハードコート層形成用塗工液4は、上記基材を浸透する浸透性溶剤を含有し、且つ、分子量が小さい上記樹脂(2)と分子量が大きい上記樹脂(1)を組み合わせて調製されているため、光透過性樹脂基材1上に、ハードコート層形成用塗工液4が塗布された後、ハードコート層形成用塗工液4中の浸透性溶剤が上記基材1を膨潤させ、分子量の小さい上記樹脂(2)を上記基材1中に浸透させることにより、容易に上記基材1とハードコート層中の材料を含有する領域を形成することができ、その結果、基材1とハードコート層2の界面や屈折率差に起因する界面反射や干渉縞を容易に抑制することができる。また、浸透工程及び乾燥工程の際に、分子量の小さい上記樹脂(2)がハードコート層2の厚み方向において基材1側で高い濃度となり、分子量の高い上記樹脂(1)が相対的にハードコート層表面付近で高い濃度となる。従って、ハードコート層表面においては、ラジカル重合性官能基を有する硬度が高い樹脂の濃度が高いことにより、充分な耐擦傷性を有しつつ、基材付近では硬化収縮が小さいカチオン重合性官能基を有する樹脂の濃度が高いことにより、カールが抑えられ、更に、基材に上記樹脂(2)が浸透して硬化している領域の存在により、光透過性樹脂基材−ハードコート層間の密着性が特に向上した光学積層体を得ることができるといった利点を有する。
以下、本発明の光学積層体の製造方法について、工程毎に説明する。
【0126】
1.塗布工程
本発明における塗布工程は、光透過性樹脂基材の少なくとも一方の表面に、前記樹脂(1)と、前記樹脂(2)と、前記光透過性樹脂基材の浸透性溶剤とを含んでなるハードコート層形成用塗工液を塗布する工程である。
本発明に用いられるハードコート層形成用塗工液には、必要に応じて他の添加剤が添加される。このような添加剤としては、具体的には、上述したような重合開始剤、帯電防止剤、防眩剤等を挙げることができる。また、前記樹脂(3)のような他の樹脂を含有しても良い。前記樹脂(1)、前記樹脂(2)、及びこれらの添加剤については、上記「I.光学積層体」において説明したのと同様のものを使用することができるのでここでは説明を省略する。
ハードコート層形成用塗工液は、一般的な調製法に従って、上記成分を混合し分散処理することにより調製される。混合分散には、ペイントシェーカー又はビーズミル等で適切に分散処理することが可能となる。
なお、硬化工程が行われた後は、光学積層体に含有される上記樹脂(1)、上記樹脂(2)は所定の重合度で重合されたものであることから、厳密にはハードコート層形成用塗工液に用いられたものと異なるものである。
【0127】
また、上記ハードコート層形成用塗工液に用いられる浸透性溶剤の「浸透性」とは、光透過性樹脂基材に対して浸透性、膨潤性、湿潤性等のすべての概念を包含する意である。光透過性樹脂基材を十分に膨潤等させることが可能であり、かつ上記樹脂(1)及び上記樹脂(2)を溶解もしくは分散させることができる溶媒であれば特に限定されるものではない。
浸透性溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、メチルグリコール、メチルグリコールアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ニトロメタン、N―メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物;ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、テトラクロルエタン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン等のその他の物;またはこれらの混合物が挙げられる。より好ましい浸透性溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン等が挙げられる。
具体的には、光透過性樹脂基材がTACであり、上記樹脂(1)が(メタ)アクリレート樹脂であり、上記樹脂(2)が、エポキシ樹脂やオキセタン樹脂である場合は、ケトン類が好適に用いられる。
【0128】
本発明のハードコート層形成用塗工液における固形分の濃度としては、特に限定されるものではないが、通常5質量%〜40質量%の範囲内、特に15質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましい。
また、光透過性樹脂基材上への塗工量としては、得られる光学積層体が要求される性能により異なるものであるが、乾燥後の塗工量が1g/m〜30g/mの範囲内、特に5g/m〜25g/mの範囲内であることが好ましい。
【0129】
本工程における塗布方法は、光透過性樹脂基材表面にハードコート層形成用塗工液を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の各種方法を用いることができる。
【0130】
2.浸透工程及び乾燥工程
本発明においては、上記塗布工程の後、上記塗布工程により塗布された上記ハードコート層形成用塗工液中の上記樹脂(2)を上記光透過性樹脂基材に浸透させる浸透工程、および上記塗布工程により塗布された上記ハードコート層形成用塗工液中の上記浸透性溶剤を乾燥させる乾燥工程が行われる。
【0131】
上記浸透工程は、上記樹脂(2)が十分に上記光透過性樹脂基材内に浸透し取り込まれるように塗布後の上記光透過性樹脂基材を放置する工程であるが、用いる溶媒の種類等によっては、乾燥工程と同時に行ってもよい。
【0132】
また、上記乾燥工程は、ハードコート層形成用塗工液中の溶媒を乾燥させる工程であり、用いる溶媒の種類、浸透工程と同時に行うか否かにより温度および時間が大幅に異なる。乾燥する方法としては、例えば、減圧乾燥又は加熱乾燥、更にはこれらの乾燥を組み合わせる方法等が挙げられる。例えば、溶媒としてケトン系溶剤を用い、浸透工程と同時に行う場合は、通常室温〜80℃、好ましくは40℃〜60℃の範囲内の温度で、30秒〜10分、好ましくは1分〜5分程度の時間で乾燥工程が行われる。
【0133】
3.硬化工程
上記ラジカル重合性官能基を有する樹脂(1)や樹脂(3)、上記カチオン重合性官能基を有する樹脂(2)を重合乃至架橋させて硬化するために、硬化工程が行われる。このような硬化工程を行うことにより、ハードコート層の硬度や耐擦傷性、及び光透過性樹脂基材−ハードコート層間の密着性を向上し、且つ、得られる光学積層体の安定性を向上させるものである。
【0134】
本発明における硬化工程は、用いる樹脂により適宜方法を選択して行う。主としてラジカル重合性官能基の重合を促進する点から、光照射を行う光硬化工程を含むことが好ましい。光照射には、主に、紫外線、可視光、電子線、電離放射線等が使用される。電子線硬化の場合には、100KeV〜300KeVのエネルギーを有する電子線等を使用する。紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等を使用する。
また、カチオン重合性官能基は熱によっても重合することから、40℃〜120℃の温度にて処理する熱硬化工程を含んでも良い。また、室温(25℃)で24時間以上放置することにより重合を行っても良い。
中でも、光照射後に40〜120℃に加熱することが、カチオン重合系モノマーの硬化が促進し、未反応のモノマーの残留が無くなると同時に短時間で所望の物性が得られる点から好ましい。
【0135】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0136】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。尚、実施例中、部は特に特定しない限り重量部を表す。
【0137】
後述する実施例において行った評価方法は以下のとおりである。
(1)干渉縞
光学積層体のハードコート層と反対面の面に、裏面反射を防止するための黒色テープを貼り、ハードコート層の面から光学積層体を目視しで観察し、下記評価基準にて評価した。
<評価基準>
評価◎:干渉縞の発生はなかった。
評価○:干渉縞の発生が若干あったが、製品として許容されるものであった。
評価×:干渉縞の発生があった。
(2)耐擦傷性
光学積層体のハードコート層の表面を、#0000番のスチールウールを用いて、所定の摩擦荷重で10往復摩擦し、その後のハードコート層の剥がれの有無を目視し下記の基準にて評価した。
<評価基準>
評価◎:1500gの時にハードコート層の剥がれはなかった。
評価○:1000gの時にハードコート層が剥がれはなかった。
評価△:500gの時にハードコート層が剥がれはなかった。
評価×:500gでハードコート層が剥がれた。
(3)鉛筆硬度
得られた光学積層体のハードコート層表面の鉛筆硬度をJIS K5400に準じて評価した。3Hの鉛筆を用いて、500g荷重で5本線を引きその後のハードコート層の傷の有無を目視し下記の基準にて評価した。
<評価基準>
評価◎:傷は0〜1本であった。
評価○:傷は2〜3本であった。
評価×:傷は4〜5本であった。
【0138】
(4)カール性試験
光学積層体を10cm四方に切り取った後水平な場所に置き、四隅が何mm浮いているかを計り、平均値を下記基準にて判断した。
<評価基準>
評価◎:10mm以下
評価○:10〜20mm
評価△:20〜30mm
評価×:30mm以上
【0139】
(実施例1〜8、比較例1〜2)
光透過性樹脂基材として、40μmセルローストリアセテートフィルム(フジタック:商品名、富士写真フィルム(株)製)を用い、当該基材上に、下記表1の組成に従った樹脂を配合した下記に示すハードコート層形成用塗工液をWET重量15g/m(乾燥重量6g/m)を塗布した。50℃にて30秒乾燥し、紫外線100mJ/cm2を照射して実施例1〜8および比較例1〜2の光学積層体を調製した。表1に、上記評価結果についても併せて示す。
【0140】
<ハードコート層形成用塗工液の組成>
・樹脂(下記表1):10重量部
・メチルエチルケトン:10重量部
・イルガキュア184(ラジカル重合開始剤、チバスペシャルティケミカルズ製):
ラジカル重合性官能基を有する樹脂の合計量に対して4重量%
・イルガキュア250(カチオン重合開始剤、チバスペシャルティケミカルズ製):カチオン重合性官能基を有する樹脂の合計量に対して5重量%
・MCF−350SF:0.01重量部
【0141】
【表1】

表1中の説明
BS371(ビームセット371):ウレタンアクリレート
(多官能;分子量40000;荒川化学社製)
UV1700B:ウレタンアクリレート
(10官能:分子量2000:日本合成社製)
M9050:ウレタンアクリレート
(多官能:分子量500:東亞合成社製)
DPHA:ジペンタエリストールトリアクリレート
(6官能:分子量524:日本化薬社製)
UVR−6110:脂環式エポキシ樹脂
(2官能:分子量252:ダウ・ケミカル社製)
EX−252:ジグリシジル型エポキシ樹脂
(2官能:分子量348:ナガセケムテックス社製)
EX−147:ジグリシジル型エポキシ樹脂
(1官能:分子量308:ナガセケムテックス社製)
OXT−221:ジオキセタン樹脂
(2官能:分子量214:東亞合成社製)
イルガキュアー184:ラジカル重合開始剤
(チバスペシャルティケミカルズ社製)
イルガキュアー250:カチオン重合開始剤
(チバスペシャルティケミカルズ社製)
【0142】
(実施例9〜16、比較例3〜4)
光透過性樹脂基材として、80μmセルローストリアセテートフィルム(フジタック:商品名、富士写真フィルム(株)製)を用いこと以外は、前記実施例1〜8及び比較例1〜2と同様の方法で本発明の光学積層体を得た。その結果、表2に示すように、同様の結果が得られた。
【0143】
【表2】

【0144】
(実施例17〜24、比較例5〜6)
上記実施例1〜8及び比較例1〜2で得られた光学積層体上に、調製した以下の組成の低屈折率層用組成物を (乾燥重量0.1g/m)にて塗布した。50℃にて1分乾燥し、紫外線100mJ/cmを照射して実施例17〜24および比較例5〜6の反射防止フィルムを調製した。表3に、上記評価結果についても併せて示す。
【0145】
<低屈折率層用組成物>
・多孔質シリカ微粒子(メチルイソブチルケトン中に20%濃度で分散させたゾル):150部
・ペンタエリストールトリアクリレート:100部
・イルガキュアー369:ラジカル重合開始剤(チバスペシャルティケミカルズ社製):3.5部
・メチルイソブチルケトン:5000部
【0146】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明に係る光学積層体の基本的な層構成を示す図である。
【図2】本発明に係る光学積層体の製造方法の基本的な工程を示す図である。
【符号の説明】
【0148】
1 光透過性樹脂基材
2 ハードコート層
3 樹脂が浸透して硬化している領域
4 ハードコート層形成用塗工液
5 ハードコート層形成用塗膜
6 樹脂が浸透している領域
7 紫外線
10 光学積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性樹脂基材上に、ハードコート層を備えてなる光学積層体であって、
前記ハードコート層が、
(1)重量平均分子量が1000以上100000以下であり、且つ、2以上のラジカル重合性官能基を有する樹脂と、
(2)重量平均分子量が100以上1000以下であり、且つ、1以上のカチオン重合性官能基を有する樹脂とを含有して硬化している層であり、
且つ、前記光透過性樹脂基材に前記樹脂(2)が浸透して硬化していることを特徴とする、光学積層体。
【請求項2】
前記樹脂(1)と前記樹脂(2)との重量比(樹脂(1):樹脂(2))が、95:5〜50:50であることを特徴とする、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項3】
前記ハードコート層が、(3)重量平均分子量が200以上1000未満であり、且つ、2以上のラジカル重合性官能基を有する樹脂をさらに含んでなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光学積層体。
【請求項4】
前記樹脂(1)と前記樹脂(3)との重量比(樹脂(1):樹脂(3))が、95:5〜5:95であって、且つ、前記樹脂(1)および前記樹脂(3)の和と、前記樹脂(2)との重量比(樹脂(1)+樹脂(3):樹脂(2))が、95:5〜50:50である、請求項3に記載の光学積層体。
【請求項5】
前記ラジカル重合性官能基がエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基であり、前記カチオン重合性官能基がエポキシ基、オキセタニル基、及びビニルエーテル基からなる群より選択される1種以上の官能基である、請求項1乃至4のいずれかに記載の光学積層体。
【請求項6】
前記樹脂(1)が、重量平均分子量が1000以上10000未満である1種以上の樹脂と、重量平均分子量が10000以上100000以下である1種以上の樹脂との混合物である、請求項1乃至5のいずれかに記載の光学積層体。
【請求項7】
前記ハードコート層が、帯電防止剤および/または防眩剤を含んでなる、請求項1乃至6のいずれかに記載の光学積層体。
【請求項8】
前記光透過性樹脂基材と前記ハードコート層との間または前記ハードコート層の上に、帯電防止層、防眩層、低屈折率層、防汚層またはこれらの二種以上の層を形成してなる、請求項1乃至7のいずれかに記載の光学積層体。
【請求項9】
反射防止積層体として利用される、請求項1乃至8のいずれかに記載の光学積層体。
【請求項10】
光透過性樹脂基材の少なくとも一方の表面に、(1)重量平均分子量が1000以上100000以下であり、且つ、2以上のラジカル重合性官能基を有する樹脂と、(2)重量平均分子量が100以上1000以下であり、且つ、1以上のカチオン重合性官能基を有する樹脂と、前記光透過性樹脂基材の浸透性溶剤とを含んでなるハードコート層形成用塗工液を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程により塗布された前記ハードコート層形成用塗工液中の前記樹脂(2)を前記光透過性樹脂基材に浸透させる浸透工程と、
前記塗布工程により塗布された前記ハードコート層形成用塗工液の前記溶剤を乾燥させる乾燥工程と、
前記樹脂(1)及び/又は前記樹脂(2)を硬化させる硬化工程とを有する、光学積層体の製造方法。
【請求項11】
前記浸透工程が、前記乾燥工程中に行われる請求項10に記載の光学積層体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−237483(P2007−237483A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60312(P2006−60312)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】