説明

光学表示ユニットの検査方法およびその検査方法を用いた光学表示ユニットの製造方法

【課題】その目的は、光学フィルムが設けられた光学表示ユニットの一方面から光を照射し、その他方面で当該光の透過光像を撮像し、当該撮像した画像から輝点を検出する、光学表示ユニットの検査方法において、検査対象物の欠点の、検査対象物の厚み方向の位置を測定可能とした検査方法を提供することにある。
【解決手段】光学フィルムが設けられた光学表示ユニットの一方面から光を照射し、その他方面で当該光の透過光像を撮像し、当該撮像した画像から輝点を検出する、光学表示ユニットの検査方法であって、前記輝点の検出に際し、輝点の焦点深度を測定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムが設けられた光学表示ユニットの一方面から光を照射し、その他方面で当該光の透過光像を撮像し、当該撮像した画像から輝点を検出する、光学表示ユニットの検査方法に関する。また、当該光学表示ユニットの検査方法を用いて光学表示ユニットを製造する光学表示ユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
偏光板(光学フィルム)が設けられた液晶パネル(光学表示ユニット)の検査方法において、この液晶パネルの一方面から光を照射し、その他方面で、その光の透過光像を撮像し、この透過光像から光ヌケ(輝点と称される)を検出する自動検査装置による検査方法が知られている。この方法の場合、偏光板と液晶パネルの両方の欠点が、同じような光ヌケとして検出されるため、液晶パネルの平面位置での欠点を検出することができるものであるが、液晶パネルの厚み方向の欠点位置を検出することができない。すなわち、液晶パネルに起因する欠点か、液晶パネルに設けられた偏光板に起因する欠点かの区別が判断できない。
【0003】
そこで、偏光板に起因する欠点か、液晶パネルに起因する欠点かを判断するために、熟練検査者による目視検査を行なっている。欠点が偏光板に起因する欠点の場合には、液晶パネルから偏光板を剥離し、その後の液晶パネルを再洗浄し、新たな偏光板を貼り合わせるリワーク処理を行なえる。一方、欠点が液晶パネルに起因する欠点の場合、リワーク処理を行なう必要がない。
【0004】
従って、輝点の自動検査装置で輝点検出された液晶パネルについて、リワーク処理のために熟練検査者による目視検査を行なっているため、その分の作業工程が多く、製造コストの観点からも改善が切望されている。
【0005】
なお、偏光板の欠点検出装置として、下記特許文献1に開示される偏光板検査装置が公知である。この偏光板検査装置は、光源と、この光源からの光を直線偏光にする検査用偏光フィルタを有し、この直線偏光を保護膜(位相差層に相当)付き偏光板に入力させ、その透過光像に基づいて欠陥検出を行う。さらに、光源から保護膜付き偏光板を透過する光路上に、保護膜による光の複屈折を補償する位相差板が配置されている。この位相差板を別途配置することで、保護膜による位相変化をキャンセルして、保護膜による光の複屈折を補償するようにしている。さらに、製品ごとに微妙に異なる保護膜による複屈折を補償するため、電圧により光の位相角が調整可能な可変偏光用光学素子を配置する構成例も開示されている。しかしながら、偏光板の欠点を検出するものであり、液晶パネルに貼り合わされた後の偏光板の欠点について検査する方法を開示していない。
【0006】
【特許文献1】特開2005−9919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、光学フィルムが設けられた光学表示ユニットの一方面から光を照射し、その他方面で当該光の透過光像を撮像し、当該撮像した画像から輝点を検出する、光学表示ユニットの検査方法において、検査対象物の欠点の、検査対象物の厚み方向の位置を測定可能とした検査方法を提供することにある。また、この検査方法を用いて、光学フィルムが貼着された光学表示ユニットを製造する製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、以下の本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
本発明の光学表示ユニットの検査方法は、光学フィルムが設けられた光学表示ユニットの一方面から光を照射し、その他方面で当該光の透過光像を撮像し、当該撮像した画像から輝点を検出する、光学表示ユニットの検査方法であって、
前記輝点の検出に際し、輝点の焦点深度を測定することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、光学フィルムが設けられた光学表示ユニットの一方面から光を照射し、その他方面で当該光の透過光像を撮像し、当該撮像した画像から輝点を検出する際に、輝点の焦点深度を測定することができる。輝点の焦点深度を測定することで、厚み方向の欠点位置を測定でき、例えば、光学表示ユニットの欠点か、光学フィルムの欠点かを判断することができる。
【0011】
光学フィルムは、単層でも多層に積層された構造でもよく、光学表示ユニットの一方面に設けられていてもよく、両方面に設けられていてもよい。光学フィルムを構成するフィルム部材としては、光学特性を有するフィルム部材に限定されず、光学フィルムを保護するためのフィルム部材や透明のフィルム部材も含まれる。また、光学フィルムが多層の場合、フィルム部材間を接着あるいは粘着するための接着剤層あるいは粘着剤層も含まれる。光は、LED、ハロゲンランプ等の光源装置が例示される。また、透過光像を撮像する手段としては、CCDカメラ、CMOSカメラ等のエリアセンサで構成された撮像装置が例示される。光学フィルムまたは光学表示ユニットのいずれかに欠点がある場合、光ヌケ(輝点)の透過光像が撮像される。この透過光像の焦点深度を測定することで、欠点の厚み方向の位置が測定される。偏光板等の光学フィルムが光学表示ユニットの一方面に設けられている構成の場合、検査用偏光板を、当該偏光板とクロスニコルの関係になるように配置する。
【0012】
透過光像に輝点があるか否かは、画像処理による解析で判断される。解析された輝点についてその焦点深度を測定する。焦点深度の測定方法としては、例えば、透過光像の進行路中に設けた光学レンズ(単数でもよく複数でもよい)を移動させて、輝点の焦点深度を測定する(ピント合わせをする)。焦点深度は、公知のピント合わせ手法による画像処理技術(例えば、輪郭の鮮明度判定方法等。)を用いて測定できる。この焦点深度から、欠点が光学表示ユニットの欠点か光学フィルム側の欠点かの判定を行なう。判定方法としては、例えば、予め、光学表示ユニットあるいは光学フィルムの焦点深度を測定しておき、この焦点深度と比較することで判定することができる。
【0013】
また、上記の本発明の一実施形態において、前記輝点が検出された場合に、当該検出された輝点の焦点深度と、光学表示ユニットの焦点深度である基準深度とを比較し、
前記検出された輝点の焦点深度が前記基準深度と所定の範囲で一致する場合に、当該測定された輝点は光学表示ユニットの欠点であると判定することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、輝点が検出された場合に、当該検出された輝点の焦点深度と、光学表示ユニットの焦点深度である基準深度とを比較し、検出された輝点の焦点深度が基準深度と所定の範囲で一致する場合に、当該測定された輝点は光学表示ユニットの欠点であると判定することができる。一方、検出された輝点の焦点深度が基準深度と所定の範囲で一致しない場合に、当該測定された輝点は光学表示ユニットの欠点でないと判定することができる。
【0015】
前記焦点深度の測定処理、前記測定された輝点の焦点深度と基準深度の比較処理等は、コンピュータを用いたプログラム制御構成や、専用回路やファームウエアを用いた構成も例示できる。これら検査方法を実現するための検査装置としては、光源、撮像手段、欠点検出手段、焦点合わせ用の光学レンズ、焦点深度測定手段、測定された焦点深度と基準深度を比較処理する比較処理手段、基準深度の値や製品仕等を記憶しておくメモリ等を具備させて構成することが例示される。
【0016】
また、上記測定方法の一実施態様として、第1測定として、光学表示ユニットに焦点を合わせて基準深度を測定し、第2測定として、前記基準深度から離れた位置の輝点の焦点深度を測定し、前記第1測定の基準深度と前記第2測定の焦点深度を比較することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、先ず光学表示ユニットに焦点を合わせて基準深度を測定し、次いで、この基準深度から、焦点位置を光学表示ユニットの厚み方向に上下に移動させて、焦点の合う輝点を測定することで輝点の焦点深度を測定する。例えば、基準深度から離れた位置で、焦点が合う輝点が測定(検出)されれば、光学フィルムに輝点(欠点)が存在すると判定される。あるいは、基準深度から所定の距離以上離れた位置で焦点が合う輝点が測定されれば、光学フィルムに輝点(欠点)が存在すると判定される。また、例えば、焦点が合う輝点が測定されなければ、光学フィルムに輝点(欠点)は存在しないものと判定される。あるいは、基準深度から所定の距離未満の位置で焦点が合う輝点が測定されれば、光学表示ユニットに輝点(欠点)が存在すると判定される。
【0018】
また、他の本発明の光学表示ユニットの製造方法は、
光学フィルムが設けられた光学表示ユニットから、欠点を含む光学フィルムを除去し、当該光学表示ユニットに新たに光学フィルムを設ける光学表示ユニットの製造方法であって、
上記に記載の光学表示ユニットの検査方法を用いて光学フィルムが設けられた光学表示ユニットを検査する工程において、光学フィルムの欠点であるかあるいは光学表示ユニットの欠点であるかを判定し、
前記判定の結果、欠点が光学フィルムの欠点である場合に、光学表示ユニットから当該欠点を含む光学フィルムを除去し、当該光学表示ユニットに新たに光学フィルムを貼り合わせることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、上記記載の検査方法を用いることで、光学フィルムが設けられた光学表示ユニットの厚み方向の欠点の位置を簡単に検査でき、光学フィルム側に欠点があれば、その光学フィルムを除去して、その除去後の光学表示ユニットを再利用することができる。光学表示ユニットから光学フィルムを除去する方法としては、公知の光学フィルムを光学表示ユニットから剥離する剥離装置が例示される。光学表示ユニットに光学フィルムを貼り合せる方法は特に制限されず、例えば、光学表示ユニットのサイズに応じた枚葉の光学フィルムを光学表示ユニットに貼り合せる手作業でもよく、自動貼り合せ装置による方法等でもよい。また、光学フィルムは、単層フィルムでもよく多層フィルムでもよく、さらに、光学フィルムに他のフィルム部材、粘着剤層、接着剤層等が設けられていてもよい。
【0020】
また、他の本発明の光学表示ユニットの製造方法は、 光学フィルムが設けられた光学表示ユニットの製造方法であって、前記光学フィルムは粘着剤を介して離型フィルムを貼り合せて構成しており、
前記光学フィルムを前記光学表示ユニットに設ける場合に、離型フィルムを切断せずに、当該光学フィルムおよび粘着剤を切断し、
当該離型フィルムを剥離し、当該剥離後の光学フィルムを当該粘着剤を介して当該光学表示ユニットに貼り合わせ、
上記記載の光学表示ユニットの検査方法を用いて光学フィルムが貼り合わされた光学表示ユニットを検査する工程において、前記光学フィルムの欠点であるかあるいは光学表示ユニットの欠点であるかを判定し、
前記判定の結果、欠点が光学フィルムの欠点である場合に、光学表示ユニットから当該欠点を含む光学フィルムを除去し、
前記光学フィルムが除去された光学表示ユニットに新たに光学フィルムを貼り合わせるように構成することを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、光学フィルムを光学表示ユニットに設ける場合に、離型フィルムを切断せずに、当該光学フィルムおよび粘着剤を切断し、当該離型フィルムを剥離し、当該剥離後の光学フィルムを当該粘着剤を介して当該光学表示ユニットに貼り合わせることができる。そして、光学フィルムが貼り合わされた光学表示ユニットを上記検査方法で検査することができるため、光学表示ユニットに起因する欠点か、光学フィルムに起因する欠点かを簡単に判断することができる。光学フィルムに起因する欠点であれば、光学フィルムを剥離し(以下で「リワーク」と称することがある。)、光学表示ユニットを再度利用するために、貼り合せ工程に提供することができる。よって、貼り合せ工程、検査工程、リワーク工程、再貼り合せ工程を一連の製造工程として実行できるため、製造工程の連続性が実現され、また、目視確認による検査工程を省略できるため、生産効率が大幅に向上され、製造コストも大幅に低減できる。
【0022】
検査において、光学表示ユニットの一方面にのみ光学フィルムが形成されている場合には、輝点検出の際に、検査用の偏光板を用いることがある。光学表示ユニットから光学フィルムを除去する方法としては、公知の光学フィルムを光学表示ユニットから剥離する剥離装置が例示される。光学フィルムを除去した後に、粘着剤が残存している場合があるため、貼り合せ工程に提供する前に、光学表示ユニットを洗浄することが好ましい。また、前述の洗浄の前に光学表示ユニットの欠点検査を行なってもよい。
【0023】
本発明の光学表示ユニットとしては、例えば、液晶セルのガラス基板ユニット、有機EL発光体ユニット等が挙げられる。また、光学表示ユニットは、光学フィルムとの貼り合わせ前に予め洗浄処理されることが好ましい。ガラス基板ユニットは、ガラス基板が1枚構成でもよく2枚以上の複数構成でもよい。
【0024】
また、「欠点」は、例えば、多層フィルム、粘着剤層、接着剤層等の表面又は内部の汚れ、傷、異物をかみ込んだ打痕状のひねったような特殊状欠点(クニックと称されることがある)、気泡、異物などを意味し、透過光による検査において、光ヌケ(輝点)として識別される。また、光学表示ユニットの欠点として、ドット抜け、異物、汚れ等が例示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(光学表示ユニットの製造方法)
本発明の光学表示ユニットの製造方法(実施形態1)について以下に説明する。図1に光学表示ユニットの製造方法のフローチャートを示す。図2に、光学表示ユニットの製造システムの主要構成を示す。また、実施形態1の製造システムの別実施形態として、第1・第2欠点検査装置14・24を備えていない構成も例示できる。
【0026】
(光学フィルム)
本発明の光学表示ユニットに設けられる光学フィルムは、偏光子フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、それらフィルムの2以上の組み合わせ積層フィルムが例示される。これら光学フィルムの表面には、保護用の透明フィルムが積層される場合がある。また、光学フィルムの一方表面には、光学表示ユニットに貼り付けられるように、粘着剤が形成され、この粘着剤を保護するための離型フィルムが設けられる。また、光学フィルムのその他方表面には、粘着剤を介して表面保護フィルムが設けられる。これらフィルムの具体的構成は後述する。以下において、表面保護フィルムおよび離型フィルムが積層された光学フィルムを多層フィルム(シート製品)と称することがある。
【0027】
(製造フローチャート)
(1)第1ロール原反準備工程(図1、S1)。長尺の第1多層フィルムF1を第1ロール原反として準備する。第1ロール原反の幅は、光学表示ユニットの貼り合わせサイズに依存している。図6に示すように、第1多層フィルムF1の積層構造は、第1光学フィルムF11と、第1離型フィルムF12と、表面保護フィルムF13とを有する。第1光学フィルムF11は、第1偏光子F11aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第1フィルムF11bと、その他方面に接着剤層(不図示)を介した第2フィルムF11cとで構成されている。
【0028】
第1、第2フィルムF11b、F11cは、例えば、偏光子保護フィルム(例えばトリアセチルセルロースフィルム、PETフィルム等)である。第2フィルムF11cは、第1粘着剤F14を介して光学表示ユニット面側に貼り合わされる。第1フィルムF11bには、表面処理を施すことができる。表面処理としては、例えば、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキングの防止や拡散ないしアンチグレア等を目的とした処理等が挙げられる。第1離型フィルムF12は、第2フィルムF11cと第1粘着剤層F14を介して設けられている。また、表面保護フィルムF13は、第1フィルムF11bと粘着剤層F15を介して設けられている。第1、第2フィルムF11b、F11cの具体的構成は後述する。以下において、偏光子と偏光子保護フィルムとの積層構造を偏光板と称することがある。
【0029】
(2)搬送工程(図1、S2)。準備され設置された第1ロール原反から第1多層フィルムF1を繰り出し、下流側に搬送する。第1多層フィルムF1を搬送する第1搬送装置12は、例えば、ニップローラ対、テンションローラ、回転駆動装置、アキュムレート装置、センサー装置、制御装置等で構成されている。
【0030】
(3)第1検査工程(図1、S3)。第1多層フィルムF1の欠点を第1欠点検査装置14を用いて検査する。ここでの欠点検査方法としては、第1多層フィルムF1の両面に対し、透過光、反射光による画像撮影・画像処理する方法、検査用偏光フィルムをCCDカメラと検査対象物との間に、検査対象である偏光板の偏光軸とクロスニコルとなるように配置(0度クロスと称することがある)して画像撮影・画像処理する方法、検査用偏光フィルムをCCDカメラと検査対象物との間に、検査対象である偏光板の偏光軸と所定角度(例えば、0度より大きく10度以内の範囲)になるように配置(x度クロスと称することがある)して画像撮影・画像処理する方法が挙げられる。なお、画像処理のアルゴリズムは公知の方法を適用でき、例えば二値化処理による濃淡判定によって欠点を検出することができる。
【0031】
透過光による画像撮影・画像処理方法では、第1多層フィルムF1内部の異物が検出できる。反射光による画像撮影・画像処理方法では、第1多層フィルムF1表面の付着異物が検出できる。0度クロスによる画像撮影・画像処理方法では、主に、表面異物、汚れ、内部の異物等が輝点として検出できる。x度クロスによる画像撮影・画像処理方法では、主に、クニックを検出することができる。
【0032】
第1欠点検査装置14で得られた欠点の情報は、その位置情報(例えば、位置座標)とともに紐付けされて、制御装置1に送信され、後述する第1切断装置16による切断方法に寄与させることができる。
【0033】
(4)第1切断工程(図1、S4)。第1切断装置16は、第1離型フィルムF12を切断せずに、表面保護フィルムF13、粘着剤層F15、第1光学フィルムF11および第1粘着剤層F14を所定サイズに切断する。切断手段としては、例えば、レーザ装置、カッター、その他の公知の切断手段等が挙げられる。第1欠点検査装置14で得られた欠点の情報に基づいて、欠点を避けるように切断するように構成される。これにより、第1多層フィルムF1の歩留まりが大幅に向上する。欠点を含む第1多層フィルムF1は、後述する第1排除装置19によって排除され、光学表示ユニットWには貼り付けされないように構成される。
【0034】
(5)第1多層フィルム貼合工程(図1、S5)。第1剥離装置17を用いて第1離型フィルムF12を除去しながら、第1貼合装置18を用いて当該第1離型フィルムF12が除去された第1光学フィルムF11を、第1粘着剤層F14を介して光学表示ユニットWに貼り合せる。貼り合せに際し、後述するように、第1光学フィルムF11と光学表示ユニットWをロール対(図3の181、182)で挟んで圧着する。
【0035】
(6)洗浄工程(図1、S6)。光学表示ユニットWは、図3に示すように、研磨洗浄装置10および水洗浄装置11によって、その表面が洗浄される。洗浄された光学表示ユニットWは、搬送機構によって、第1貼合装置18まで搬送される。搬送機構は、例えば、搬送用ローラ、搬送方向切り替え機構、回転駆動装置、センサー装置、制御装置等で構成される。
【0036】
これら、第1ロール原反準備工程、第1検査工程、第1切断工程、第1光学フィルム貼合工程、洗浄工程のそれぞれの工程は連続した製造ラインで実行されることが好ましい。以上の一連の製造工程において、光学表示ユニットWの一方面に第1多層フィルム(第1光学フィルムF11)が貼り合わされた。以下では、その他面に第2多層フィルム(第2光学フィルムF21)を貼り合わる製造工程について説明する。
【0037】
(7)第2ロール原反準備工程(図1、S11)。長尺の第2多層フィルムF2を第2ロール原反として準備する。図6の示すように、第2多層フィルムF2の積層構造は、第1多層フィルムと同様の構成であるが、これに限定されない。第2多層フィルムF2は、第2光学フィルムF21と、第2離型フィルムF22と、表面保護フィルムF23とを有する。第2光学フィルムF21は、第2偏光子21aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第3フィルムF21bと、その他方面に接着剤層(不図示)を介した第4フィルムF21cとで構成されている。
【0038】
第3フィルムF21bは、例えば、偏光子保護フィルム(例えばトリアセチルセルロースフィルム、PETフィルム等)である。第4フィルムF21cは、例えば、位相差フィルムである。この位相差フィルムは偏光子保護の機能も兼ねている。第4フィルムF21cは、第2粘着剤層F24を介して光学表示ユニット面側に貼り合わされる。第3フィルムF21bには、表面処理を施すことができる。表面処理としては、例えば、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキングの防止や拡散ないしアンチグレア等を目的とした処理等が挙げられる。第2離型フィルムF22は、第4フィルムF21cと第2粘着剤層F24を介して設けられている。また、表面保護フィルムF23は、第3フィルムF21bと粘着剤層F25を介して設けられている。第3、第4フィルムF21b、F21cの具体的構成は後述する。
【0039】
(8)搬送工程(図1、S12)。準備され設置された第2ロール原反から第2多層フィルムF2を繰り出し、下流側に搬送する。第2多層フィルムを搬送する第2搬送装置22は、例えば、ニップローラ対、テンションローラ、回転駆動装置、アキュムレート装置、センサー装置、制御装置等で構成されている。
【0040】
(9)第2検査工程(図1、S13)。第2多層フィルムF2の欠点を、第2欠点検査装置24を用いて検査する。ここでの欠点検査方法は、上述した第1欠点検査装置14による方法と同様である。
【0041】
(10)第2切断工程(図1、S14)。第2切断装置26は、第2離型フィルムF22を切断せずに、表面保護フィルムF23、粘着剤層F25、第2光学フィルムF21および第2粘着剤層F24を所定サイズに切断する。切断手段としては、例えば、レーザ装置、カッター、その他の公知の切断手段等が挙げられる。第2欠点検査装置24で得られた欠点の情報に基づいて、欠点を避けるように切断するように構成される。これにより、第2多層フィルムF2の歩留まりが大幅に向上する。欠点を含む第2多層フィルムF2は、後述する第2排除装置29によって排除され、光学表示ユニットWには貼り付けされないように構成される。
【0042】
(11)第2多層フィルム貼合工程(図1、S15)。次いで、第2切断工程後に、第2剥離装置27を用いて第2離型フィルムF22を除去しながら、第2貼合装置28を用いて当該第2離型フィルムF22が除去された第2光学フィルムF21を、前記第2粘着剤層F24を介して、光学表示ユニットW1の第1光学フィルムF11が貼り合わされている面と異なる面に貼り合せる。なお、第2光学フィルムF21を光学表示ユニットW1に貼り合せる前に、搬送機構Rの搬送方向切り替え機構によって光学表示ユニットW1を90度回転させ、第1光学フィルムF11と第2光学フィルムF21をクロスニコルの関係にする場合がある。貼り合せに際し、後述するように、第2光学フィルムF21と光学表示ユニットW1をロール対(図4の281、282)で挟んで圧着する。
【0043】
(12)光学表示ユニットの検査工程(図1、S16)。検査装置30は、偏光子等の光学フィルムが両面に貼り合わされ光学表示ユニットW12を検査する。第1の検査方法としては、光学表示ユニットW12の一方面から光源を用いて光を照射し、この光の透過光像を撮像手段(例えばCCDカメラ、CMOSカメラ)で撮像し、撮像した画像を画像処理解析して光ヌケ(輝点)を検出し、欠点があるか否かを判定する方法である。この場合、検出された輝点の焦点深度を測定することで、光学表示ユニットW側の欠点であるか、あるいは多層フィルム側の欠点であるかを判定する。具体的方法は以下の動作フローで説明される。
【0044】
図7に示す検査フローについて説明する。まず、撮像された画像データを画像処理、解析して輝点を検出する(S161)。次いで、この輝点が欠点か否かが判定される。輝点が欠点であると判定されるか否かは、例えば、数、サイズによって判定される。輝点が検出されなければ、これ以降の検査を実行しないように構成される。なお、別実施形態としては、ステップS1における輝点検出処理は省略され、ステップS162から検査動作を開始できる。
【0045】
次いで、光学表示ユニットに焦点を合わせて基準の焦点深度(基準深度)を測定する(S162)。次いで、光学表示ユニットの焦点位置(基準深度)を基準にして、光学表示ユニットの垂直上下方向にそれぞれ焦点を徐々に移動させ、焦点の合う輝点を測定(検出)する(輝点の焦点深度を測定する)(S163)。そして、例えば、光学表示ユニットの上方向において、基準深度から所定距離以上離れた位置で焦点の合う輝点が測定された場合(S164)、光学表示ユニット上面側の多層フィルムF2(図6参照)側に輝点が存在し、多層フィルムF2が不良品として判定される(S165)。また、光学表示ユニットの下方向において、基準深度から所定距離以上離れた位置で焦点の合う輝点が測定された場合(S164)、光学表示ユニット下面側の多層フィルムF1(図6参照)側に輝点が存在し、多層フィルムF1が不良品として判定される(S165)。多層フィルム側が不良品として判定された場合、光学表示ユニットはリワーク工程に搬送される。
【0046】
一方、光学表示ユニットの上下方向において、基準深度から所定距離未満の位置で焦点の合う輝点が測定された場合、光学表示ユニット側に輝点が存在し、光学表示ユニットが不良品として判定される(S166)。光学表示ユニット側が不良品として判定された場合、光学表示ユニットは廃棄処分される。
【0047】
また、輝点の焦点深度の測定方法としては、図5に示す光学レンズ3021を図面上で垂直に上下させ、輝点の焦点が合う位置を測定することで実現される。焦点が合ったか否かの判定は、焦点合わせのアルゴリズムを適用することができる。
【0048】
上記の「所定距離」は、光学表示ユニットの厚み、光学表示ユニットの焦点位置によって適宜設定される。光学表示ユニットの液晶パネルパターンに焦点を合わせる場合には、このパネルパターンの光学表示ユニットの厚み方向位置を基準として、液晶パネル上側表面までの距離と、液晶パネル下側表面までの距離がそれぞれ設定される。そして、「所定距離」と比較する値は、輝点の焦点深度から光学表示ユニットの基準深度を除算して得られる値である。
【0049】
また、別実施形態として、欠点と判定された輝点の焦点深度と、光学表示ユニット(液晶パネル)の焦点深度(基準深度)とをそれぞれ測定する場合の測定順序を特に制限しないように構成できる。この場合、それぞれにおいて測定された基準深度と輝点の焦点深度を比較することで輝点が光学表示ユニット側にあるか多層フィルム側にあるかを判定することができる。またこの場合、基準深度は、予め測定され、メモリ38に保存されていてもよい。例えば、輝点が検出された場合に、当該検出された輝点の焦点深度と、光学表示ユニットの焦点深度である基準深度とを比較し、検出された輝点の焦点深度が基準深度と所定の範囲で一致する場合に、当該測定された輝点は光学表示ユニットの欠点であると判定することができる。一方、検出された輝点の焦点深度が基準深度と所定の範囲で一致しない場合に、当該測定された輝点は光学表示ユニットの欠点でないと判定することができる。「所定の範囲で一致するか否か」は、例えば、検出された輝点の焦点深度から基準深度を除算した値が、所定値よりも小さいか否か、或いは、所定の範囲内に含まれるか否かで判断される。「所定値」または「所定の範囲」は、焦点深度測定の精度、測定誤差(ピント合わせ誤差)と、光学表示ユニットの厚み、光学フィルムの厚み、その他の光学表示ユニットに設けられるフィルム部材の厚み等を考慮して設定され、例えば、所定値としては0〜10μmの範囲のいずれかの値、また、所定の範囲としては−10μm〜+10μmの範囲等が例示される。
【0050】
また、さらに他の検査方法として、光学表示ユニットW12の表面に対し、光を照射し、その反射光像を撮像し、この画像を画像処理し解析して欠点か否かを判定する方法が例示される。また他の方法として、検査用偏光フィルムをCCDカメラと検査対象物との間に設置する方法も例示される。なお、画像処理のアルゴリズムは公知の方法を適用でき、例えば二値化処理による濃淡判定によって欠点を検出することができる。
【0051】
(13)検査装置30で得られた欠点の情報に基づいて、光学表示ユニットW12の良品判定がなされる。良品判定された光学表示ユニットW12は、次の実装工程に搬送される。多層フィルム側に欠点が存在して不良品判定された場合、搬送機構によって、フィルム剥離装置40に搬送され、そこで、リワーク処理が施される(S17)。フィルム剥離装置40は、光学表示ユニットの表面に貼り合わされた多層フィルムを剥離する機能を有する公知の装置である。フィルム剥離装置40は、例えば、剥離爪を有し、光学表示ユニットの液晶パネル表面と多層フィルムとの貼り合せ面の境界において、当該多層フィルムに当該剥離爪を引っかけ、多層フィルムを剥離するように剥離爪を移動するように構成されている。このリワーク処理では、欠点を含む多層フィルムを少なくとも剥離すればよい。しかし、光学表示ユニットの両面に多層フィルムが設けられている場合には、その両方の多層フィルムを剥離しておき、剥離した光学表示ユニットを再度、上記の連続したラインに供給し、光学表示ユニットの両面に多層フィルムを貼り合わせることが生産効率の観点から好ましい。一方、光学表示ユニットの片面に多層フィルムを残した場合、その片面の貼り合せを手作業であるいは公知の貼合装置で行える。
【0052】
ステップS17のリワーク処理において、両面の多層フィルムが剥離された光学表示ユニットは、ステップS6の洗浄工程に提供され、次いで、その両面に多層フィルムが貼り合わされる。
【0053】
以上の製造工程によれば、輝点の焦点深度を測定することで、欠点がどの部材に起因するかを判断することができるため、熟練検査者によるリワーク処理を行なうか否かの検査を別に設ける必要がない。
【0054】
(実施形態1の製造方法を実現する好適な製造システム)
以下に、実施形態1の製造方法を実現する好適な製造システムの一例について説明する。図3は、第1剥離装置17、第1貼付装置18、第1排除装置19について示す図である。図4は、第2剥離装置27、第2貼付装置28、第2排除装置29について示す図である。図5は検査装置30について説明するための図である。
【0055】
先ず、研磨洗浄装置10について説明する。収納箱から光学表示ユニットWを取り出し、搬送機構に載置させる。光学表示ユニットWが洗浄位置に到達したら、搬送を停止し、光学表示ユニットWの端部を保持手段で保持する。不図示の研磨手段を垂直上方から光学表示ユニットWの上面に接触させ、不図示の研磨手段を垂直下方からパネル下面に接触させる。それぞれの研磨手段を光学表示ユニットWの両表面において回転させる。これによって、光学表示ユニットWの両表面の付着異物が除去される。付着異物としては、例えば、ガラスの微小片、繊維片等が例示される。
【0056】
次に、水洗浄装置11について説明する。研磨洗浄された光学表示ユニットWは、その両面に対し流水パイプから流出される洗浄水によって洗浄される。また、洗浄水の流水とともに、洗浄用の回転ブラシを光学表示ユニットWの両面に対し作用させて洗浄するように構成してもよい。次いで、光学表示ユニットWは乾燥装置による清浄空気の送風によって水切りがなされる。次いで、光学表示ユニットWは、第1貼合装置18に搬送される。
【0057】
次に、製造装置構成について順に説明する。長尺の第1シート製品(第1多層フィルム)F1の第1ロール原反は、自由回転あるいは一定の回転速度で回転するようにモータ等と連動されたローラ架台装置に設置される。制御装置1によって回転速度が設定され、駆動制御される。
【0058】
第1搬送装置12は、第1シート製品F1を下流側に搬送する搬送機構である。第1搬送装置12は制御装置1によって制御されている。
【0059】
第1欠点検査装置14は、搬送されてきた第1シート製品F1に対し欠点検査をする。第1欠点検査装置14は、CCDカメラで撮像された画像データを解析して欠点を検出し、さらにその位置座標を算出する。この欠点の位置座標は、後述の第1切断装置16によるスキップカットに提供される。
【0060】
第1切断装置16は、上述の欠点検査後に、離型フィルムH12を切断せずに、第1光学フィルムF11、表面保護フィルム15、第1粘着剤層F14、粘着剤層F15を所定サイズに切断する。第1切断装置16は、例えばレーザ装置である。第1欠点検査処理で検出された欠点の位置座標に基づいて、第1切断装置16は、欠点部分を避けるように所定サイズに切断する。すなわち、欠点部分を含む切断品は不良品として後工程で第1排除装置19によって排除される。あるいは、第1切断装置16は、欠点の存在を無視して、連続的に所定サイズに切断してもよい。この場合、後述の貼り合せ処理において、当該部分を貼り合わせずに除去するように構成できる。この場合の制御も制御装置1の機能による。
【0061】
また、第1切断装置16は、第1シート製品F1をその天井面側から吸着保持する保持テーブルを配置し、レーザ装置を第1シート製品F1の床側下方に備える。第1シート製品F1の幅方向にレーザを走査させるように平行移動し、最上部の離型フィルムH12を残して第1光学フィルムF11、第1粘着剤層F14、表面保護フィルムF13、粘着剤層F15をその搬送方向に所定ピッチで切断(以下、適宜「ハーフカット」という)する。また、このレーザ装置は、第1シート製品F1の幅方向から挟むようにして、切断部位に向けて温風を吹き付けるエアーノズルと、この温風により搬送される切断部位から発生したガス(煙)を集煙する集煙ダクトとが対向した状態で一体構成されていることが好ましい。第1シート製品F1を保持テーブルで吸着する場合に、その下流側と上流側の第1シート製品F1の連続搬送を停止しないように、搬送機構のアキュムレート装置は上下垂直方向に移動するように構成されている。この動作も制御装置1の制御による。
【0062】
第1貼合装置18は、上記切断処理後に、第1剥離装置17によって離型フィルムH12が剥離された第1シート製品F1(第1光学フィルムF11)を、第1粘着剤層F14を介して光学表示ユニットWに貼り合せる。第1検査装置14によって、良品判定された第1シート製品F1のみが、光学表示ユニットWと貼り合わされる。良品判定された第1シート製品F1と光学表示ユニットWが貼り合わせ位置に同期して搬送される。図3に示すように、第1シート製品F1および光学表示ユニットWのそれぞれの先端部分が重なり合うように搬送される。これは、制御装置1が、第1搬送装置12(アキュムレート装置を含む)および搬送機構を連動するように制御し実現している。
【0063】
図3に示すように、貼り合せる場合に、押さえローラ181、案内ローラ182によって、第1光学フィルムF11を光学表示ユニットW面に圧接しながら貼り合わせる。押さえローラ181、案内ローラ182の押さえ圧力、駆動動作は、制御装置1によって制御される。
【0064】
第1剥離装置17の剥離機構171としては、先端が先鋭なナイフエッジ部を有し、このナイフエッジ部に離型フィルムH12を巻き掛けて反転移送することにより、離型フィルムH12を剥離すると共に、離型フィルムH12を剥離した後の第1シート製品F1(第1光学フィルムF11)を光学表示ユニットW面に送り出すように構成される。剥離された離型離ルムH12はロール172に巻き取られる。ロール172の巻取り制御は、制御装置1によって制御される。
【0065】
貼合せ機構としては、押さえロ一ラ181とそれに対向して配置される案内ローラ182とから構成されている。案内ローラ182は、モータにより回転駆動するゴムローラで構成され、当該ローラを昇降可能とする駆動機構を備えて配備されている。また、その直上方にはモータにより回転駆動する金属ローラからなる押さえローラ181が、当該ローラを昇降可能とする駆動機構を備えて配備されている。光学表示ユニットWを貼合せ位置に送り込む際には押さえローラ181は、貼り合わせ位置から離れるように移動しローラ間隔を開けるようになっている。なお、案内ローラ182および押さえローラ181は、いずれもゴムローラであってもよいし金属ローラであってもよい。光学表示ユニットWは、上述したように各種洗浄装置によって洗浄され、搬送機構によって搬送される構成である。この搬送機構の搬送制御も制御装置1の制御による。
【0066】
第1シート製品(第1多層フィルム)F1を排除する第1排除装置19について説明する。図3に示す第1排除装置19は、光学表示ユニットWよりも床側に配置される。排除動作の場合、排除ローラ192を不図示の駆動機構で排除位置に移動させる。排除ローラを駆動する駆動機構は公知の駆動機構を用いることができる。排除ローラ192にはテープ部材191が掛け渡されている。テープ部材191は、テープ部材191の巻回手段から繰り出され、排除ローラ192を介して巻取りローラ193に巻き取られる構成である。
【0067】
第1剥離装置17のナイフエッジ171によって離型フィルムを、第1シート製品F1から剥離しつつ、当該第1シート製品F1を光学表示ユニットWの貼り合わせ位置より床方向に向かわせる。そして、押さえローラ181と排除ローラ192とで当該第1シート製品F1を挟持し、当該第1シート製品F1を粘着剤を介してテープ部材191に粘着させるように構成し、テープ部材191を巻取りローラ193で巻き取ることにより、1シート製品F1を排除する構成である。ナイフエッジ171の先端位置は、貼り合わせ位置方向から、回転駆動され、床面側に先端位置が回転することにより、第1シート製品F1を光学表示ユニットWの貼り合わせ位置より床方向に向かわせている。以上の各動作は、制御装置1によって制御される。
【0068】
次に、図4に示す第2排除装置29の動作について説明する。例えば欠点が存在し不良品判定された第2シート製品F2が貼り合わせ位置に搬送されてくると、光学表示ユニットW1の搬送送りが停止し、案内ローラ282は垂直下方に移動する。次いで、テープ部材291が掛け渡された排除ローラ292は案内ローラ282の定位置である貼り合わせ位置に移動し、押さえローラ281は垂直下方に移動する。押さえローラ281は、第2シート製品F2を排除ローラ292側に押さえつけて、第2シート製品F2を粘着剤層を介してテープ部材291に貼り付ける。テープ部材291とともに第2シート製品F2を巻取りローラ293に巻き取る。排除後、押さえローラ281は上昇し、排除ローラ292は原位置に復帰し、案内ローラ282は原位置に復帰する。以上の動作は、制御装置1によって制御される。
【0069】
上記で製造された光学表示ユニットW1は、下流側に搬送され、第2光学フィルムF21(第2多層フィルムF2)が貼り合わされる。以下において、同様の装置構成については、その説明を簡単に説明する。
【0070】
第2光学フィルムF21を第1光学フィルムF11と90°の関係(クロスニコルの関係)に貼り合わせる場合は、光学表示ユニットW1を搬送機構Rの搬送方向切り替え機構によって、90°回転させてから第2光学フィルムF21が貼り合わされる。以下で説明する第2多層フィルムF2の貼り合わせ方法においては、第2多層フィルムF2を反転させた状態で(離型フィルムが上面となるようにして)各工程を処理し、第2光学フィルムF21を光学表示ユニットW1の下側から貼り合わせるように構成される。
【0071】
長尺の第2シート製品F2の第2ロール原反は、自由回転あるいは一定の回転速度で回転するようにモータ等と連動されたローラ架台装置に設置される。制御装置1によって回転速度が設定され、駆動制御される。
【0072】
第2搬送装置22は、第2シート製品F2を下流側に搬送する搬送機構である。第2搬送装置22は制御装置1によって制御されている。
【0073】
第2欠点検査装置24は、搬送されてきた第2シート製品F2に対し欠点検査をする。第2欠点検査装置24は、CCDカメラで撮像された画像データを解析し、欠点を検出し、さらにその位置座標を算出する。この欠点の位置座標は、後述の第2切断装置26によるスキップカットに提供される。
【0074】
第2切断装置26は、上述の欠点検査後に、離型フィルムH22を切断せずに、第2光学フィルムF21、表面保護フィルム25、第2粘着剤層F24、粘着剤層F25を所定サイズに切断する。第2切断装置26は、例えばレーザ装置である。第2欠点検査処理で検出された欠点の位置座標に基づいて、第2切断装置26は、欠点部分を避けるように所定サイズに切断する。すなわち、欠点部分を含む切断品は不良品として後工程で第2排除装置29によって排除される。あるいは、第2切断装置26は、欠点の存在を無視して、連続的に所定サイズに切断してもよい。この場合、後述の貼り合せ処理において、当該部分を貼り合せずに除去するように構成できる。この場合の制御も制御装置1の機能による。
【0075】
また、第2切断装置26は、第2シート製品F2を床側から吸着保持する保持テーブルを配置し、レーザ装置を第2シート製品F2の天井側に備える。第2シート製品F2の幅方向にレーザを走査させるように平行移動し、最下部の離型フィルムH22を残して第2光学フィルムF21、第2粘着剤層F24、表面保護フィルムF23、粘着剤層F25をその搬送方向に所定ピッチで切断する。第2シート製品F2を保持テーブルで吸着する場合に、その下流側と上流側の第2シート製品F2の連続搬送を停止しないように、搬送機構のアキュムレート装置は上下垂直方向に移動するように構成されている。この動作も制御装置1の制御による。
【0076】
第2貼合装置28は、切断処理後に、第2剥離装置27によって離型フィルムH22が剥離された第2シート製品F2(第2光学フィルムF21)を、第2粘着剤層F24を介して光学表示ユニットW1に貼り合せる。図4に示すように、貼り合せる場合に、押さえローラ281、案内ローラ282によって、第2光学フィルムF21を光学表示ユニットW1面に圧接しながら貼り合わせる。押さえローラ281、案内ローラ282の押さえ圧力、駆動動作は、制御装置1によって制御される。第2検査装置24によって、良品判定された第2シート製品F2のみが、光学表示ユニットW1と貼り合わされる。良品判定された第2シート製品F2と光学表示ユニットW1が貼り合わせ位置に同期して搬送される。図4に示すように、第2シート製品F2および光学表示ユニットW1のそれぞれの先端部分が重なり合うように搬送される。これは、制御装置1が、第2搬送装置22(アキュムレート装置を含む)および搬送機構を連動するように制御し実現している。
【0077】
第2剥離装置27の剥離機構271としては、先端が先鋭なナイフエッジ部を有し、このナイフエッジ部に離型フィルムH22を巻き掛けて反転移送することにより、離型フィルムH22を剥離すると共に、離型フィルムH22を剥離した後の第2シート製品F2(第2光学フィルム)を光学表示ユニットW1面に送り出すように構成される。剥離された離型離ルムH22はロール272に巻き取られる。ロール272の巻取り制御は、制御装置1によって制御される。
【0078】
貼合せ機構としては、押さえローラ281とそれに対向して配置される案内ローラ282とから構成されている。案内ローラ282は、モータによる回転駆動するゴムローラで構成され昇降可能に配備されている。また、その直下方にはモータにより回転駆動する金属ローラからなる押さえローラ281が昇降可能に配備されている。光学表示ユニットW1を貼合せ位置に送り込む際に、押さえローラ281は、下方位置まで移動されてローラ間隔を開けるようになっている。なお、案内ローラ282および押さえローラ281は、いずれもゴムローラであってもよいし金属ローラであってもよい。
【0079】
第1、第2多層フィルムが貼り合わせされた光学表示ユニットW12は、図5に示す検査装置30に搬送される。検査装置30は、光学表示ユニットW12の下側から光を照射する光源301と、この光を光学レンズ3021を介して撮像する撮像手段302とを有して構成される。光源301は、光源制御部31で制御され、撮像手段302は撮像素子制御部32で制御される。光学レンズ3021は、不図示の駆動部と連動され、この駆動部を光学レンズ駆動制御部33が制御する。光学レンズ3021は、図面上垂直方向に駆動し、撮像される画像の焦点合わせ(焦点深度測定)のために用いられる。光学レンズ3021は、図面では撮像手段302と区別されているが、これに限定されず、撮像手段302に組み込まれる構成でもよい。
【0080】
撮像手段302で撮像された画像は、画像処理解析部34で、画像処理し解析され、輝点が検出される。そして、欠点判定部35で、その検出された輝点が欠点であるか否かが判定される。欠点であると判定されたら、まず、基準の焦点深度(基準深度)として、光学表示ユニットの液晶パネルのパターンの焦点深度が測定される。焦点深度測定部36は、パネルパターンの焦点深度を測定するために、光学レンズ駆動制御部33に指令し、光学レンズ3021を垂直方向に段階的に上下させていき、そのときの撮像された画像群を解析して焦点合わせを行うことで、基準の焦点深度を測定する。なお、液晶パネルのパターン以外の他部材を基準位置とすることもできる。また、測定された基準深度は、メモリ38に保存され、必要に応じて読み出されるように構成される。メモリ38には、液晶パネルの種類ごとの厚み値、パネルパターンの厚み方向位置、パネルパターンからパネル表面までの距離のデータ、所定の範囲、所定値のデータ等も予め保存され、光学表示ユニットの仕様、多層フィルムの仕様に応じて選択して読み出されるように構成される。
【0081】
次いで、欠点であると判定された輝点について、焦点深度が測定される。焦点深度測定部36は、輝点の焦点深度を測定するために、光学レンズ駆動制御部33に指令し、光学レンズ3021を垂直方向に段階的に上下させる。垂直方向に段階的に上下させていき、そのときの撮像された画像群を解析して焦点合わせを行うことで、焦点深度が測定される。
【0082】
比較部37は、基準深度と測定された輝点の焦点深度を比較し、どの部材に欠点が存在するかを判断する。具体的には、上記記載の検査フロー(図7参照)に従った処理を行なう。検査において、多層フィルム側に欠点が存在すると判断された場合、光学表示ユニットW12はリワーク処理に提供される。
【0083】
以上の検査装置30の制御系の構成要素は、コンピュータを用いたプログラム制御構成や、専用回路やファームウエアを用いた構成で実現できる。
【0084】
また、検査装置30の他の構成として、光源303は、所定角度で光学表示ユニットW12表面を照射し、その反射光像をCCDカメラ304によって画像データとして撮像する。光源307およびCCDカメラ308はその反対面の検査を実行する。これら画像データから欠点が画像処理解析され、良品か否かの判定がなされる。
【0085】
検査装置30で、多層フィルム側が不良品であると判定された光学表示ユニットは、搬送機構によってフィルム剥離装置40に搬送される。フィルム剥離装置40は、例えば、剥離爪を有し、光学表示ユニットの液晶パネル表面と多層フィルムとの貼り合せ面の境界において、当該多層フィルムに当該剥離爪を引っかけ、多層フィルムを剥離するように剥離爪を移動するように構成されている。フィルム剥離装置40は、光学表示ユニットの両面に設けられている多層フィルムを剥離する。両面の多層フィルムが剥離された光学表示ユニットは、搬送機構によって、研磨洗浄装置10、水洗浄装置11に搬送される。
【0086】
それぞれの装置の動作タイミングは、例えば、所定の位置にセンサーを配置して検知する方法で算出され、または、搬送装置や搬送機構の回転部材をロータリーエンコーダ等で検出するようにして算出される。制御装置1は、ソフトウエアプログラムとCPU、メモリ等のハードウエア資源との協同作用によって実現されてもよく、この場合プログラムソフトウエア、処理手順、各種設定等はメモリが予め記憶されている。また、専用回路やファームウエア等で構成できる。また、制御装置1は、それぞれの装置を一括して制御する構成であるが、これに制限されず、それぞれの装置ごとに制御部を設け、制御装置1からの指令に応じて、それぞれの装置の制御部がそれぞれの装置の動作を制御するように構成することもできる。
【0087】
(別実施形態の製造システム)
以上の製造システムにおいては、光学表示ユニットに設けられる多層フィルムの製造方法として、ロール原反から長尺の多層フィルムを搬送して、所定サイズに切断し、光学表示ユニットに貼り合わせる方法について説明したが、特にこれに制限されず、多層フィルムを光学表示ユニットのサイズに合わせて予め枚葉状態に切断し、この枚葉の多層フィルムを光学表示ユニットに貼り合わせる方法でもよい。そして、枚葉の多層フィルムを貼り合わせた光学表示ユニットを上記の検査装置30および方法を用いて輝点の焦点深度を測定するように構成できる。
【0088】
前述においても、第1光学フィルム、第2光学フィルムを形成する偏光子、および偏光子の片側または両側に用いられるフィルムについては一部説明しているが、一般的には、以下の材料を例示できる。
【0089】
(偏光子)
ポリビニルアルコール系フィルムの染色、架橋、延伸の各処理は、別々に行う必要はなく同時に行ってもよく、また、各処理の順番も任意でよい。なお、ポリビニルアルコール系フィルムとして、膨潤処理を施したポリビニルアルコール系フィルムを用いてもよい。一般には、ポリビニルアルコール系フィルムを、ヨウ素や二色性色素を含む溶液に浸漬し、ヨウ素や二色性色素を吸着させて染色した後洗浄し、ホウ酸やホウ砂等を含む溶液中で延伸倍率3倍〜7倍で一軸延伸した後、乾燥する。ヨウ素や二色性色素を含む溶液中で延伸した後、ホウ酸やホウ砂等を含む溶液中でさらに延伸(二段延伸)した後、乾燥することにより、ヨウ素の配向が高くなり、偏光度特性が良くなるため、特に好ましい。
【0090】
偏光子とその保護層である透明の偏光子保護フィルムとの接着処理は、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルアルコール系ポリマーからなる接着剤、あるいは、ホウ酸やホウ砂、グルタルアルデヒドやメラミン、シュウ酸などのビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤から少なくともなる接着剤等を介して行うことができる。かかる接着層は、水溶液の塗布乾燥層等として形成されるが、その水溶液の調製に際しては必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触媒も配合することができる。
【0091】
(偏光子保護層:偏光子保護フィルム)
偏光子の片側又は両側に設ける偏光子保護層には、適宜な透明フィルムを用いることができる。例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびこれらの混合物があげられる。なお、偏光子の片側には、透明保護フィルムが接着剤層により貼り合わされるが、他の片側には、透明保護フィルムとして、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂を用いることができる。透明保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などがあげられる。
【0092】
透明保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より1〜500μm程度である。特に1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましい。透明保護フィルムは、5〜150μmの場合に特に好適である。
【0093】
前記透明保護フィルムは、接着剤を塗工する前に、偏光子との接着性を向上させるために、表面改質処理を行ってもよい。具体的な処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、オゾン処理、プライマー処理、グロー処理、ケン化処理、カップリング剤による処理などがあげられる。また適宜に帯電防止層を形成することができる。
【0094】
本発明による光学フィルムは、実用に際して各種光学層を積層した多層積層構造の光学フィルムも例示できる。その光学層については特に限定されるものではないが、例えば、前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面(前記接着剤塗布層を設けない面)に対して、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした表面処理を施したり、視角補償等を目的とした配向液晶層を積層する方法があげられる。また、反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板(λ板)を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられる光学フィルムを1層または2層以上貼りあわせたものもあげられる。特に偏光板の場合、反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、視角補償層または視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板として好ましく適用される。
【0095】
(位相差板)
偏光子に積層される光学フィルムの一例として位相差板が挙げられる。位相差板としては、高分子材料を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。延伸処理は、例えばロール延伸法、長間隙沿延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法などにより行うことができる。延伸倍率は、一軸延伸の場合には1.1〜3倍程度が一般的である。位相差板の厚さも特に制限されないが、一般的には10〜200μm、好ましくは20〜100μmである。
【0096】
前記高分子材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネイト、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。これら高分子素材は延伸等により配向物(延伸フィルム)となる。
【0097】
位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであってもよい。
【0098】
(粘着剤)
本発明による偏光板や、前記の積層光学フィルム部材には、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層が設けられる。その粘着層は、特に限定されるものではないが、アクリル系等の従来に準じた適宜な粘着剤にて形成することができる。吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨脹差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる画像表示装置の形成性等の点により、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層であることが好ましい。また、微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層などとすることができる。粘着層は必要に応じて必要な面に設ければよく、例えば、偏光子と偏光子保護層からなる偏光板について言及するならば、必要に応じて、偏光子保護層の片面または両面に粘着層を設ければよい。
【0099】
(離型フィルム)
前記粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的に離型フィルム(セパレータと称することがある。)が仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
【0100】
このセパレータが設けられた面と反対面の偏光板には、表面保護フィルムが弱粘着剤を介して形成される。その目的は、傷防止、汚染防止等が主目的である。表面保護フィルムとしては、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
【0101】
(液晶表示装置)
本発明の光学フィルムは液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セル(光学表示ユニットに相当する。)と光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】実施形態1の光学表示ユニットの製造方法のフローチャート
【図2】実施形態1の製造システムを説明するための図
【図3】実施形態1の製造システムの装置構成について説明するための図
【図4】実施形態1の製造システムの装置構成について説明するための図
【図5】実施形態1の製造システムの装置構成について説明するための図
【図6】第1、第2多層フィルムの積層構造の一例について説明するための図
【図7】光学表示ユニットの検査フローについて説明するための図
【符号の説明】
【0103】
F1 第1多層フィルム
F2 第2多層フィルム
W 光学表示ユニット(液晶パネル)
1 制御装置
30 検査装置
31 光源制御部
32 撮像素子制御部
33 光学レンズ駆動制御部
34 画像処理解析部
35 欠点判定部
36 焦点深度測定部
37 比較部
38 メモリ
40 フィルム剥離装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学フィルムが設けられた光学表示ユニットの一方面から光を照射し、その他方面で当該光の透過光像を撮像し、当該撮像した画像から輝点を検出する、光学表示ユニットの検査方法であって、
前記輝点の検出に際し、輝点の焦点深度を測定することを特徴とする光学表示ユニットの検査方法。
【請求項2】
前記輝点が検出された場合に、当該検出された輝点の焦点深度と、光学表示ユニットの焦点深度である基準深度とを比較し、
前記検出された輝点の焦点深度が前記基準深度と所定の範囲で一致する場合に、当該測定された輝点は光学表示ユニットの欠点であると判定することを特徴とする請求項1に記載の光学表示ユニットの検査方法。
【請求項3】
第1測定として、光学表示ユニットに焦点を合わせて基準深度を測定し、
第2測定として、前記基準深度から離れた位置の輝点の焦点深度を測定し、
前記第1測定の基準深度と前記第2測定の焦点深度を比較する請求項2に記載の光学表示ユニットの検査方法。
【請求項4】
光学フィルムが設けられた光学表示ユニットから、欠点を含む光学フィルムを除去し、当該光学表示ユニットに新たに光学フィルムを設ける光学表示ユニットの製造方法であって、
前記請求項1から3のいずれかに記載の光学表示ユニットの検査方法を用いて光学フィルムが設けられた光学表示ユニットを検査する工程において、光学フィルムの欠点であるかあるいは光学表示ユニットの欠点であるかを判定し、
前記判定の結果、欠点が光学フィルムの欠点である場合に、光学表示ユニットから当該欠点を含む光学フィルムを除去し、当該光学表示ユニットに新たに光学フィルムを貼り合わせることを特徴とする光学表示ユニットの製造方法。
【請求項5】
光学フィルムが設けられた光学表示ユニットの製造方法であって、前記光学フィルムは粘着剤を介して離型フィルムを貼り合せて構成しており、
前記光学フィルムを前記光学表示ユニットに設ける場合に、離型フィルムを切断せずに、当該光学フィルムおよび粘着剤を切断し、
当該離型フィルムを剥離し、当該剥離後の光学フィルムを当該粘着剤を介して当該光学表示ユニットに貼り合わせ、
前記請求項1から3のいずれかに記載の光学表示ユニットの検査方法を用いて光学フィルムが貼り合わされた光学表示ユニットを検査する工程において、前記光学フィルムの欠点であるかあるいは光学表示ユニットの欠点であるかを判定し、
前記判定の結果、欠点が光学フィルムの欠点である場合に、光学表示ユニットから当該欠点を含む光学フィルムを除去し、
前記光学フィルムが除去された光学表示ユニットに新たに光学フィルムを貼り合わせるように構成することを特徴とする光学表示ユニットの製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−250893(P2009−250893A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101679(P2008−101679)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】