説明

光学装置

【構成】リングRG1は、角度が増大する方向に並ぶ角度範囲AR1およびAR2を跨いで回転する。リングRG1の回転角度が角度範囲AR1に属する角度θonまで増大すると、サブCPUによって主電源が起動される。リングRG1の回転角度が角度範囲AR2において変更されると、これに伴ってズームレンズ12の位置が変更される。メインCPUは、こうして変更されたズームレンズ12の位置を参照してフォーカスレンズ16の配置を調整する。メインCPUはまた、主電源が起動された状態でリングRG1の回転角度が角度範囲AR1に留まる期間が閾値THonまたはTHoffを上回ったとき、起動操作案内画面または終了操作案内画面をLCDモニタに表示する。
【効果】操作性を高めることができ、かつ消費電力を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光学装置に関し、特にディジタルカメラに適用され、回転部材の回転を参照して光学系の設定を調整する、光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、ズームを指示するズームスイッチが押されると、メインマイコンはワイド方向へのズームをカメラAFマイコンに指示する。カメラAFマイコンは、ビデオレンズユニットに設けられたズームレンズをワイド方向に駆動する。ズーム位置はズーム位置検出ブロックによって検出され、検出結果はカメラAFマイコンを介してメインマイコンに伝えられる。ズーム位置がワイド端に達すると、メインマイコンは、表示信号発生ブロックを駆動して“ワイド端”を示す文字を電子式ビューファインダに表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−331433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背景技術では、ズームスイッチは電源スイッチから独立しているため、操作性に限界がある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、操作性を高めることができ、かつ消費電力を抑制することができる、光学装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従う光学装置(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、角度が増大する方向に並ぶ第1角度範囲(AR1)および第2角度範囲(AR2)を跨いで回転する回転部材(RG1)、回転部材の回転角度が第1角度範囲に属する第1特定角度(θon)まで増大したときに電源を起動する起動手段(S1~S3)、第2角度範囲における回転部材の回転を参照して光学系(12, 16)の設定を調整する調整手段(20, S41, S45)、および電源が起動された状態で回転部材の回転角度が第1角度範囲に留まるとき報知を発生する報知手段(S11, S17~S27, S43, S47, S53~S65)を備える。
【0007】
好ましくは、報知手段は、回転部材の回転角度が第2角度範囲に達することなく第1角度範囲に留まる期間を起動手段の処理に応答して測定する第1測定手段(S11, S17~S21)、および第1測定手段によって測定された期間を参照して第1報知を発生する第1報知発生手段(S25)を含む。
【0008】
好ましくは、回転部材の回転角度が第1角度範囲に属する第2特定角度(θoff)まで減少したときに電源を停止する停止手段(S7~S9, S33~S35, S57, S73)がさらに備えられる。
【0009】
或る局面では、報知手段は、回転部材の回転角度の第2角度範囲から第1角度範囲への移行を検知する検知手段(S43)、回転部材の回転角度が第2特定角度に達することなく第1角度範囲に留まる期間を検知手段の検知に応答して測定する第2測定手段(S55~S59)、および第2測定手段によって測定された期間を参照して第2報知を発生する第2報知発生手段(S63)を含む。
【0010】
他の局面では、第2特定角度は第1特定角度よりも小さい角度に相当する。
【0011】
好ましくは、光学系の出力に基づく電子データを処理する処理手段(24)、および処理手段の設定を起動手段の処理に関連して初期化する初期化手段(S5)がさらに備えられる。
【0012】
好ましくは、撮像面で捉えられたシーンを表す電子画像を出力する撮像手段(18)がさらに備えられ、光学系は撮像面の前方に配置されたズームレンズ(12)を含み、調整手段は回転部材の回転に応じてズームレンズの位置を調整するズーム調整機構(20)を含む。
【0013】
この発明に従う動作制御プログラムは、角度が増大する方向に並ぶ第1角度範囲(AR1)および第2角度範囲(AR2)を跨いで回転する回転部材(RG1)、および第2角度範囲における回転部材の回転を参照して光学系(12, 16)の設定を調整する調整手段(20)を備える光学装置(10)のプロセッサ(36, 38)に、回転部材の回転角度が第1角度範囲に属する第1特定角度(θon)まで増大したときに電源を起動する起動ステップ(S1~S3)、および電源が起動された状態で回転部材の回転角度が第1角度範囲に留まるとき報知を発生する報知ステップ(S11, S17~S27, S43, S47, S53~S65)を実行させるための、動作制御プログラムである。
【0014】
この発明に従う動作制御方法は、角度が増大する方向に並ぶ第1角度範囲(AR1)および第2角度範囲(AR2)を跨いで回転する回転部材(RG1)、および第2角度範囲における回転部材の回転を参照して光学系(12, 16)の設定を調整する調整手段(20)を備える光学装置(10)によって実行される動作制御方法であって、回転部材の回転角度が第1角度範囲に属する第1特定角度(θon)まで増大したときに電源を起動する起動ステップ(S1~S3)、および電源が起動された状態で回転部材の回転角度が第1角度範囲に留まるとき報知を発生する報知ステップ(S11, S17~S27, S43, S47, S53~S65)を備える。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、電源は回転部材の回転角度が第1角度範囲に属する第1特定角度まで増大したときに起動され、光学系の設定は第1角度範囲に並ぶ第2角度範囲における回転部材の回転を参照して調整される。これによって、電源および光学系の設定を単一の部材によって制御することができ、操作性が向上する。また、電源が起動されたにも関わらず、回転部材の回転角度が第1角度範囲に留まると、報知が発生される。操作者は現在の状態が起動状態であることを報知によって認識でき、これによって消費電力の抑制が図られる。
【0016】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施例の基本的構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】図2実施例に適用されるリングの回転動作の一部を示す図解図である。
【図4】図2実施例の適用されるリングの回転動作の他の一部を示す図解図である。
【図5】図2実施例に適用される電源&ズーム制御機構の構成の一例を示す図解図である。
【図6】(A)は開始画面の一例を示す図解図であり、(B)は終了画面の一例を示す図解図である。
【図7】(A)は起動操作案内画面の一例を示す図解図であり、(B)は終了操作案内画面の一例を示す図解図である。
【図8】トラッキングカーブの一例を示すグラフである。
【図9】図2実施例に適用されるサブCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図10】図2実施例に適用されるメインCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図11】図2実施例に適用されるメインCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図12】図2実施例に適用されるメインCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図13】図2実施例に適用されるメインCPUの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
[基本的構成]
【0019】
図1を参照して、この実施例の光学装置は、基本的に次のように構成される。回転部材1は、角度が増大する方向に並ぶ第1角度範囲および第2角度範囲を跨いで回転する。起動手段2は、回転部材1の回転角度が第1角度範囲に属する第1特定角度まで増大したときに電源5を起動する。調整手段3は、第2角度範囲における回転部材1の回転を参照して光学系6の設定を調整する。報知手段4は、電源5が起動された状態で回転部材1の回転角度が第1角度範囲に留まるとき報知を発生する。
【0020】
電源5は回転部材1の回転角度が第1角度範囲に属する第1特定角度まで増大したときに起動され、光学系6の設定は第1角度範囲に並ぶ第2角度範囲における回転部材1の回転を参照して調整される。これによって、電源5および光学系6の設定を単一の部材によって制御することができ、操作性が向上する。また、電源5が起動されたにも関わらず、回転部材1の回転角度が第1角度範囲に留まると、報知が発生される。操作者は現在の状態が起動状態であることを報知によって認識でき、これによって消費電力の抑制が図られる。
[実施例]
【0021】
図2を参照して、この実施例のディジタルカメラ10は、電源回路42を含む。電源回路42は、互いに異なる複数の電圧値をそれぞれ示す複数の直流電源を生成する。生成された複数の直流電源の一部はサブCPU38に直接的に与えられ、生成された複数の直流電源の他の一部はスイッチ群44を介してサブCPU38以外の回路に与えられる。したがって、サブCPU38は常時起動されるのに対して、サブCPU38以外の回路はスイッチ群44のオン/オフに対応して起動/停止される。
【0022】
なお、サブCPU38以外の回路が起動した状態を“主電源オン状態”と定義し、サブCPU38以外の回路が停止した状態を“主電源オフ状態”と定義する。
【0023】
ディジタルカメラ10はまた、電源&ズーム制御機構20によって駆動されるズームレンズ12と、ドライバ22aおよび22bによってそれぞれ駆動される絞りユニット14およびフォーカスレンズ16とを含む。これらの部材を経た光学像は、イメージャ18の撮像面に照射され、光電変換を施される。
【0024】
図3〜図5を参照して、電源&ズーム制御機構20は、ズームレンズ12を囲むようにカメラ筐体CB1の前面に設けられ、撮像面に直交する方向に延びる光軸AXの回り方向に回転可能なリングRG1を有する。リングRG1は、θoff〜θteleの範囲で回転可能であり、この回転可能範囲は角度が増大する方向に並ぶ角度範囲AR1およびAR2に区分される。
【0025】
角度範囲AR1の下限角度および上限角度はそれぞれ“θoff”および“θwide”に相当し、角度範囲AR2の下限角度および上限角度はそれぞれ“θwide”および“θtele”に相当する。また、角度範囲AR1の中央付近に“θon”が割り当てられる。
【0026】
角度範囲AR1において、リングRG1の回転角度が“θoff”から“θon”まで増大すると、サブCPU38は、主電源オン状態に移行するべくスイッチ群44をオンし、さらにASIC52の設定を初期化する。
【0027】
起動したメインCPU36はまず、図6(A)に示す開始画面を既定時間(=10秒)だけLCDモニタ32に表示するべく、電源制御タスクの下でキャラクタジェネレータ34に命令を与える。キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。この結果、開始画面が既定時間だけLCDモニタ32に表示される。
【0028】
リングRG1の回転角度が“θon”〜“θwide”の範囲に留まる期間が閾値THon(=10秒)に達すると、メインCPU36は、図7(A)に示す起動操作案内画面(リングRG1を“θwide”まで回転させる操作を促す報知画面)の表示をキャラクタジェネレータ34に命令する。キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。この結果、起動操作案内画面がLCDモニタ32に表示される。
【0029】
リングRG1の回転角度が“θwide”に達することなく“θoff”にまで減少すると、メインCPU36は、電源オフ命令をサブCPU38に向けて発行する。サブCPU38は、主電源オフ状態に移行するべくスイッチ群44をオフする。
【0030】
リングRG1の回転角度が“θwide”に達すると、メインCPU36は、電源制御タスクの下でドライバ22bを制御し、フォーカスレンズ16を初期位置に配置する。配置が完了すると、電源制御タスクによって撮像タスクが起動される。
【0031】
なお、起動操作案内画面がLCDモニタ32に表示されていれば、メインCPU36は、フォーカスレンズ16の配置を初期化する前に、起動操作案内画面の非表示をキャラクタジェネレータ34に命令する。キャラクタジェネレータ34はキャラクタデータの出力を停止し、これによって起動操作案内画面が消滅する。
【0032】
電源制御タスクによって起動された撮像タスクの下で、メインCPU36は、動画取り込み処理を実行するべく、ドライバ22cに露光動作および電荷読み出し動作の繰り返しを命令する。ドライバ22cは、周期的に発生する垂直同期信号Vsyncに応答して、イメージャ18の撮像面を露光し、かつ撮像面で生成された電荷をラスタ走査態様で読み出す。イメージャ18からは、読み出された電荷に基づく生画像データが周期的に出力される。
【0033】
信号処理回路24は、イメージャ18から出力された生画像データに白バランス調整,色分離,YUV変換などの処理を施す。これによって生成されたYUV形式の画像データは、メモリ制御回路26を通してSDRAM28のYUV画像エリア28aに書き込まれる。LCDドライバ30は、YUV画像エリア28aに格納された画像データをメモリ制御回路26を通して繰り返し読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ32を駆動する。この結果、撮像面で捉えられたシーンを表すリアルタイム動画像(スルー画像)がモニタ画面に表示される。
【0034】
信号処理回路24はまた、画像データを形成するYデータをメインCPU36に与える。メインCPU36は、与えられたYデータにAE処理を施して適正EV値を算出し、算出された適正EV値を定義する絞り量および露光時間をドライバ22aおよび22cにそれぞれ設定する。これによって、スルー画像の明るさが適度に調整される。
【0035】
メインCPU36はまた、既定のAF起動条件が満足されたとき、信号処理回路24から与えられたYデータの高周波成分に基づいて簡易AF処理を実行する。これによってフォーカスレンズ16が合焦点に配置され、スルー画像の鮮鋭度が向上する。
【0036】
再び図5を参照して、電源&ズーム制御機構20は、角度範囲AR2におけるリングRG1の回転運動を光軸AXに沿う直線運動に変換する変換機構CV1をさらに含む。摺動機構SL1は、変換機構CV1によって変換された直線運動を利用してズームレンズ12を光軸AXに沿う方向に摺動させる。ズームレンズ12は、回転角度が“θwide”を示すときにワイド端に配置され、角度範囲AR2における回転角度の増大に伴ってテレ側に移動し、そして回転角度が“θtele”を示すときにテレ端に配置される。スルー画像のズーム倍率は、このようなズームレンズ12の移動に伴って変化する。
【0037】
フラッシュメモリ50には、図8に示すトラッキングカーブC0〜C13に相当するグラフデータが記憶される。図8を参照して、被写界深度が“無限”である場合、合焦位置はズームレンズ12の位置に対してトラッキングカーブC0に沿うように変化する。また、被写界深度が“20m”である場合、合焦位置はズームレンズ12の位置に対してトラッキングカーブC1に沿うように変化する。さらに、被写界深度が“10m”である場合、合焦位置はズームレンズ12の位置に対してトラッキングカーブC2に沿うように変化する。
【0038】
同様に、被写界深度が“5m”,“3m”,“1m”,“0.9m”,“0.8m”,“0.7m”,“0.6m”,“0.5m”,“0.4m”,“0.3m”,“至近”である場合、合焦位置はズームレンズ12の位置に対してトラッキングカーブC3,C4,C5,C6,C7,C8,C9,C10,C11,C12,C13に沿うように変化する。
【0039】
撮像タスクが起動された当初は、トラッキングカーブC0が参照トラッキングカーブとして設定される。ただし、簡易AF処理が完了する毎にズームレンズ12およびフォーカスレンズ16の現在位置に相当する座標が図8に示すグラフから検出される。参照トラッキングカーブは、検出された座標上に存在するトラッキングカーブ或いは検出された座標を挟む2つのトラッキングカーブに基づいて作成されたトラッキングカーブに更新される。
【0040】
リングRG1の回転によってズームレンズ12の位置が変更されると、メインCPU36は、変更後のズームレンズ12の位置を参照したフォーカストラッキング処理を電源制御タスクの下で実行する。フォーカスレンズ16は、撮像タスクの下で設定された参照トラッキングカーブに沿って光軸方向に移動する。
【0041】
キー入力装置40に設けられたシャッタボタン40shが半押しされると、CPU36は、信号処理回路24から与えられたYデータに基づく厳格AE処理を撮像タスクの下で実行し、最適EV値を算出する。算出された最適EV値を定義する絞り量および露光時間は、上述と同様、ドライバ22aおよび22cにそれぞれ設定される。この結果、スルー画像の明るさが厳格に調整される。
【0042】
メインCPU36はまた、信号処理回路24から与えられたYデータの高周波成分に基づく厳格AF処理を撮像タスクの下で実行する。これによってフォーカスレンズ16が合焦点に配置され、スルー画像の鮮鋭度が向上する。シャッタボタン42shが全押しされると、メインCPU36は、静止画取り込み処理を実行するとともに、記録処理の実行をメモリI/F46に命令する。
【0043】
シャッタボタン42shが全押しされた時点のシーンを表す撮影画像データは、静止画取り込み処理によってYUV画像エリア28aから静止画像エリア28bに退避される。記録処理の実行を命令されたメモリI/F46は、静止画像エリア28bに退避された撮影画像データをメモリ制御回路26を通して読み出し、読み出された撮影画像データを収めた画像ファイルを記録媒体48に記録する。
【0044】
リングRG1の回転角度が“θwide”を下回ると、メインCPU36は、図6(B)に示す終了画面を既定時間(=10秒)だけ表示するべく、電源制御タスクの下でキャラクタジェネレータ34に命令を与え、さらにドライバ22bを制御してフォーカスレンズ16を退避位置に配置する。キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。この結果、終了画面が既定時間だけLCDモニタ32に表示される。
【0045】
リングRG1の回転角度が“θwide”〜“θoff”の範囲に留まる期間が閾値THoff(=10秒)に達すると、メインCPU36は、図7(B)に示す終了操作案内画面(=リングRG1を“θoff”まで回転させる操作を促す報知画面)の表示を電源制御タスクの下でキャラクタジェネレータ34に命令する。キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。この結果、終了操作案内画面がLCDモニタ32に表示される。
【0046】
リングRG1の回転角度が“θoff”に達すると、メインCPU36は、既定の終了処理を実行し、電源オフ命令をサブCPU38に向けて発行する。サブCPU38は、主電源オフ状態に移行するべくスイッチ群44をオフする。
【0047】
なお、終了操作案内画面がLCDモニタ32に表示されていれば、メインCPU36は、終了処理を実行する前に、終了操作案内画面の非表示をキャラクタジェネレータ34に命令する。キャラクタジェネレータ34はキャラクタデータの出力を停止し、これによって終了操作案内画面が消滅する。
【0048】
サブCPU38は、図9に示すフロー図を実行する。なお、このフロー図に対応する制御プログラムは、メモリ38mに記憶される。
【0049】
ステップS1では、リングRG1の現在の回転角度が“θon”以上であるか否かを繰り返し判別する。判別結果がNOからYESに更新されると、ステップS3で主電源をオンし(スイッチ群44をオンし)、ステップS5でASIC52の設定を初期化する。ステップS7では、電源オフ命令がメインCPU36から発行されたか否かを繰り返し判別する。判別結果がNOからYESに更新されると、ステップS9で主電源をオフし(スイッチ群44をオフし)、その後にステップS1に戻る。
【0050】
メインCPU36は、図10〜図13に示す電源制御タスクと図15に示す撮像タスクとを含む複数のタスクを並列的に実行する。なお、これらのタスクに対応する制御プログラムは、フラッシュメモリ50に記憶される。
【0051】
図10を参照して、ステップS11では現在時刻を変数TIM1に設定し、ステップS13では開始画面を既定時間(=10秒)だけ表示するようキャラクタジェネレータ34に命令を与える。キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。この結果、開始画面が既定時間だけLCDモニタ32に表示される。
【0052】
ステップS15では、フラグFLGntc1を“0”に設定する。ここで、フラグFLGntc1は、起動操作案内画面の表示/非表示を識別するためのフラグであり、“0”が非表示を示す一方、“1”が表示を示す。ステップS17では、現在時刻を変数TIM2に設定する。ステップS19では、リングRG1の現在の回転角度が“θwide”以上であるか或いはリングRG1の現在の回転角度が“θoff”に相当するという論理和条件が満足されるか否かを判別する。判別結果がNOであればステップS21に進み、判別結果がYESであればステップS29に進む。
【0053】
ステップS21では変数TIM2から変数TIM1を減算して得られる数値が閾値THonを上回るか否かを判別し、ステップS23ではフラグFLGntc1が“0”を示すか否かを判別する。ステップS21の判別結果およびステップS23の判別結果の少なくとも一方がNOであればそのままステップS17に戻り、ステップS21の判別結果およびステップS23の判別結果のいずれもがYESであればステップS25〜S27の処理を経てステップS17に戻る。
【0054】
ステップS25では起動操作案内画面の表示をキャラクタジェネレータ34に命令し、ステップS27ではフラグFLGntc1を“1”に更新する。ステップS25の処理の結果、キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。これによって、起動操作画面がLCDモニタ32に表示される。
【0055】
ステップS29ではフラグFLGntc1が“1”を示すか否かを判別し、判別結果がNOであればそのままステップS33に進む一方、判別結果がYESであればステップS31で起動案内画面の非表示をキャラクタジェネレータ34に命令してからステップS33に進む。ステップS31の処理の結果、キャラクタジェネレータ34はキャラクタデータの出力を停止し、これによって起動操作案内画面が消滅する。
【0056】
ステップS33では、リングRG1の現在の回転角度が“θoff”に相当するか否かを判別する。判別結果がYESであれば、ステップS35で電源オフ命令をサブCPU38に向けて発行し、その後に処理を終了する。判別結果がNOであればステップS37に進み、ドライバ22bを制御してフォーカスレンズ16の配置を初期化する。初期化が完了すると、ステップS39で撮像タスクを起動する。
【0057】
ステップS41では、リングRG1の回転角度が変更されたか否かを繰り返し判別する。判別結果がNOからYESに更新されると、リングRG1の現在の回転角度が“θwide”を下回るか否かをステップS43で判別する。判別結果がNOであればステップS45に進み、ドライバ22bを制御してフォーカストラッキングを実行する。フォーカスレンズ16の位置は、撮像タスクの下で設定された参照トラッキングカーブに沿って調整される。フォーカストラッキングが完了すると、ステップS41に戻る。
【0058】
ステップS43の判別結果がYESであれば、ステップS47で現在時刻を変数TIM1に設定し、ステップS49で終了画面を既定時間(=10秒)だけ表示するようキャラクタジェネレータ34に命令を与える。ステップS49の処理の結果、キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。これによって、終了画面が既定時間だけLCDモニタ32に表示される。
【0059】
ステップS51では、ドライバ22bを制御してフォーカスレンズ16を退避位置に配置する。ステップS53では、フラグFLGntc2を“0”に設定する。ここで、フラグFLGntc2は、終了操作案内画面の表示/非表示を識別するためのフラグであり、“0”が非表示を示す一方、“1”が表示を示す。
【0060】
ステップS55では、現在時刻を変数TIM2に設定する。ステップS57ではリングRG1の現在の回転角度が“θoff”に相当するか否かを判別し、判別結果がYESであればステップS67に進む一方、判別結果がNOであればステップS59に進む。
【0061】
ステップS59では変数TIM2から変数TIM1を減算して得られる数値が閾値THoffを上回るか否かを判別し、ステップS61ではフラグFLGntc2が“0”を示すか否かを判別する。ステップS59の判別結果およびステップS61の判別結果の少なくとも一方がNOであればそのままステップS55に戻る一方、ステップS59の判別結果およびステップS61の判別結果のいずれもがYESであればステップS63〜S65の処理を経てステップS55に戻る。
【0062】
ステップS63では終了操作案内画面の表示をキャラクタジェネレータ34に命令し、ステップS65ではフラグFLGntc2を“1”に更新する。ステップS63の処理の結果、キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。これによって、終了操作案内画面がLCDモニタ32に表示される。
【0063】
ステップS67ではフラグFLGntc2が“1”を示すか否かを判別し、判別結果がNOであればそのままステップS71に進む一方、判別結果がYESであればステップS69で終了操作案内画面の非表示をキャラクタジェネレータ34に命令してからステップS71に進む。ステップS69の処理の結果、キャラクタジェネレータ34はキャラクタデータの出力を停止し、これによって終了操作案内画面が消滅する。
【0064】
ステップS71では既定の終了処理を実行し、ステップS73では電源オフ命令をサブCPU38に向けて発行する。電源制御タスクは、ステップS73の処理の後に終了される。
【0065】
図15を参照して、ステップS81では動画取り込み処理を実行する。この結果、スルー画像がLCDモニタ32に表示される。ステップS83ではシャッタボタン40shが半押しされたか否かを判別し、判別結果がYESであればステップS95に進む一方、判別結果がNOであればステップS87に進む。
【0066】
ステップS87では簡易AE処理を実行し、この結果、スルー画像の明るさが適度に調整される。ステップS89では既定のAF起動条件が満足されたか否かを判別し、判別結果がNOであればそのままステップS85に戻る一方、判別結果がYESであればステップS91〜S93の処理を経てステップS85に戻る。
【0067】
ステップS91では簡易AF処理を実行し、これによってスルー画像の鮮鋭度が改善される。ステップS93では、ズームレンズ12およびフォーカスレンズ16の現在位置に相当する座標を図8に示すグラフから検出し、参照トラッキングカーブを検出された座標上に存在するトラッキングカーブ或いは検出された座標を挟む2つのトラッキングカーブに基づいて作成されたトラッキングカーブに更新する。
【0068】
ステップS85の判別結果がYESであれば、ステップS95で厳格AE処理を実行し、ステップS97で厳格AF処理を実行する。この結果、スルー画像の明るさおよび鮮鋭度が厳格に調整される。厳格AF処理が完了すると、シャッタボタン40shが全押しされたか否かをステップS99で判別し、シャッタボタン40shの操作が解除されたか否かをステップS101で判別する。
【0069】
ステップS101の判別結果がYESであればステップS85に戻り、ステップS99の判別結果がYESであればステップS103で静止画取り込み処理を実行する。ステップS103の処理の結果、シャッタボタン40shが全押しされた時点のシーンを表す画像データがYUV画像エリア28aから静止画像エリア28bに退避される。
【0070】
ステップS105では、記録処理の実行をメモリI/F46に命令する。メモリI/F46は、静止画像エリア28bに退避された画像データをメモリ制御回路26を通して読み出し、読み出された画像データを収めた画像ファイルを記録媒体48に記録する。記録処理が完了すると、ステップS85に戻る。
【0071】
以上の説明から分かるように、リングRG1は、角度が増大する方向に並ぶ角度範囲AR1およびAR2を跨いで回転する。リングRG1の回転角度が角度範囲AR1に属する角度θonまで増大すると、サブCPU38によって主電源が起動される(S1~S3)。リングRG1の回転角度が角度範囲AR2において変更されると、変換機構CV1および摺動機構SL1によってズームレンズ12の位置が変更される。メインCPU36は、変更されたズームレンズ12の位置を参照してフォーカスレンズ16の配置を調整する(S41, S45)。メインCPU36はまた、主電源が起動された状態でリングRG1の回転角度が角度範囲AR1に留まる期間が閾値THonまたはTHoffを上回ったとき、起動操作案内画面または終了操作案内画面をLCDモニタ30に表示する(S11, S17~S27, S43, S47, S53~S65)。
【0072】
このように、主電源はリングRG1の回転角度が角度範囲AR1に属する角度θonにまで増大したときに起動され、ズームレンズ12およびフォーカスレンズ16の設定は角度範囲AR1に並ぶ角度範囲AR2におけるリングRG1の回転を参照して調整される。これによって、主電源および光学系の設定を単一の部材によって制御することができ、操作性が向上する。また、主電源が起動されたにも関わらず、リングRG1の回転角度が角度範囲AR1に留まると、LCDモニタ30を通して報知が発生される。操作者は現在の状態が起動状態であることを報知によって認識でき、これによって消費電力の抑制が図られる。
【0073】
なお、この実施例では、ディジタルカメラを想定しているが、この発明は顕微鏡,双眼鏡,望遠鏡などの光学装置にも適用できる。
【0074】
また、この実施例では、リングRG1の回転を促すときに起動操作案内画面および/または終了操作案内画面を報知として出力するようにしている。しかし、これらの案内画面に代えて或いはこれらの案内画面とともに、振動や音声を報知として出力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 …ディジタルカメラ
12 …ズームレンズ
16 …フォーカスレンズ
20 …電源&ズーム制御機構
34 …キャラクタジェネレータ
36 …メインCPU
38 …サブCPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
角度が増大する方向に並ぶ第1角度範囲および第2角度範囲を跨いで回転する回転部材、
前記回転部材の回転角度が前記第1角度範囲に属する第1特定角度まで増大したときに電源を起動する起動手段、
前記第2角度範囲における前記回転部材の回転を参照して光学系の設定を調整する調整手段、および
前記電源が起動された状態で前記回転部材の回転角度が前記第1角度範囲に留まるとき報知を発生する報知手段を備える、光学装置。
【請求項2】
前記報知手段は、前記回転部材の回転角度が前記第2角度範囲に達することなく前記第1角度範囲に留まる期間を前記起動手段の処理に応答して測定する第1測定手段、および前記第1測定手段によって測定された期間を参照して第1報知を発生する第1報知発生手段を含む、請求項1記載の光学装置。
【請求項3】
前記回転部材の回転角度が前記第1角度範囲に属する第2特定角度まで減少したときに前記電源を停止する停止手段をさらに備える、請求項1または2記載の光学装置。
【請求項4】
前記報知手段は、前記回転部材の回転角度の前記第2角度範囲から前記第1角度範囲への移行を検知する検知手段、前記回転部材の回転角度が前記第2特定角度に達することなく前記第1角度範囲に留まる期間を前記検知手段の検知に応答して測定する第2測定手段、および前記第2測定手段によって測定された期間を参照して第2報知を発生する第2報知発生手段を含む、請求項3記載の光学装置。
【請求項5】
前記第2特定角度は前記第1特定角度よりも小さい角度に相当する、請求項3または4記載の光学装置。
【請求項6】
前記光学系の出力に基づく電子データを処理する処理手段、および
前記処理手段の設定を前記起動手段の処理に関連して初期化する初期化手段をさらに備える、請求項1ないし5のいずれかに記載の光学装置。
【請求項7】
撮像面で捉えられたシーンを表す電子画像を出力する撮像手段をさらに備え、
前記光学系は前記撮像面の前方に配置されたズームレンズを含み、
前記調整手段は前記回転部材の回転に応じて前記ズームレンズの位置を調整するズーム調整機構を含む、請求項1ないし6のいずれかに記載の光学装置。
【請求項8】
角度が増大する方向に並ぶ第1角度範囲および第2角度範囲を跨いで回転する回転部材、および前記第2角度範囲における前記回転部材の回転を参照して光学系の設定を調整する調整手段を備える光学装置のプロセッサに、
前記回転部材の回転角度が前記第1角度範囲に属する第1特定角度まで増大したときに電源を起動する起動ステップ、および
前記電源が起動された状態で前記回転部材の回転角度が前記第1角度範囲に留まるとき報知を発生する報知ステップを実行させるための、動作制御プログラム。
【請求項9】
角度が増大する方向に並ぶ第1角度範囲および第2角度範囲を跨いで回転する回転部材、および前記第2角度範囲における前記回転部材の回転を参照して光学系の設定を調整する調整手段を備える光学装置によって実行される動作制御方法であって、
前記回転部材の回転角度が前記第1角度範囲に属する第1特定角度まで増大したときに電源を起動する起動ステップ、および
前記電源が起動された状態で前記回転部材の回転角度が前記第1角度範囲に留まるとき報知を発生する報知ステップを備える、動作制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−25195(P2013−25195A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161280(P2011−161280)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】