説明

光学記録装置、データバックアップ装置、光学記録装置の制御方法、プログラム

【課題】 ソフトに頼ることなく、高速且つ信頼性の高いデータ記録を行うことができる光学記録装置、データバックアップ装置、光学記録装置の制御方法、プログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】 光ディスクDに対してデータの読み書きを行う第1光ヘッド12と、光ディスクDに書き込まれているデータの読み出しを行う第2光ヘッド15と、を備えた光学記録装置10であって、第1光ヘッド12で書き込んだデータを、その直後に当該第1光ヘッド12に近接して設けられた第2光ヘッド15で読み出すことによりベリファイを行うものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
光ディスクにデータを記録する光学記録装置、データバックアップ装置、光学記録装置の制御方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
光学記録装置の一種として、DVD−RAMドライブが知られている。当該DVD−RAMドライブは、データ書き込み時にベリファイ(書き込んだデータを読み出して元のデータと照合し、書き込んだデータが正確であるかを検査すること)を行うため、データ記録の信頼性が高いこと、また10万回以上の書き換えが可能であるといった理由により、データバックアップ装置として用いられることも多い。このベリファイを行う装置は、例えば特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開昭62−252552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の特許文献に記載の装置は、1つの光ヘッドで書き込み(消去も含む)とベリファイとの2ステップを実行しなければならないため、ベリファイを行うために、書き込み後のトラックに対して光ディスクを1回転余分に回転させなくてはならない。したがって、その分書き込み処理に時間がかかるといった問題があった。しかも、DVD−RAMドライブの場合、その記録媒体(DVD−RAM)は高価であるため、大量のデータをバックアップするためにはコストが嵩むといった問題もあった。
【0004】
このため、低価格の光ディスク(例えば、DVD±RWなど)を用いて、データのバックアップを行い得ることが好ましいが、このような低価格の光ディスクは、一般にデータ記録の信頼性が低いため、バックアップソフト側でRAW(リード・アフター・ライト)を実行する必要があり、上記のベリファイ以上に時間がかかってしまう。
【0005】
そこで、上記の問題点に鑑み、ソフトに頼ることなく、高速且つ信頼性の高いデータ記録を行うことができる光学記録装置、データバックアップ装置、光学記録装置の制御方法、プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光学記録装置は、光ディスクに対してデータの読み書きを行う第1光ヘッドと、光ディスクに書き込まれているデータの読み出しを行う第2光ヘッドと、第1光ヘッドで書き込んだデータを、その直後に当該第1光ヘッドに近接して設けられた第2光ヘッドで読み出すことによりベリファイを行うベリファイ手段と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の光学記録装置の制御方法は、光ディスクに対してデータの読み書きを行う第1光ヘッドと、光ディスクに書き込まれているデータの読み出しを行う第2光ヘッドと、を備えた光学記録装置の制御方法であって、第1光ヘッドで書き込んだデータを、その直後に当該第1光ヘッドに近接して設けられた第2光ヘッドで読み出すことによりベリファイを行うことを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、第1光ヘッドで書き込んだデータを、当該第1光ヘッドに近接して設けられた第2光ヘッドで読み出すことによりベリファイを行う、すなわち第1光ヘッドによるデータ書き込み直後にベリファイを行うため、1つの光ヘッドでベリファイを行う場合のように、ベリファイを行うための光ディスクの回転を必要としない。したがって、ベリファイによりデータ記録の信頼性を確保しつつ、書き込み処理(データ記録)の高速化を図ることができる。また、光ディスクの種類は問わないため、低価格の記録媒体を用いることができ、データの記録に要するコストを抑えることができる。また、汎用の光学ドライブの仕様を継承しつつ、読み出し専用の光ヘッドを追加するだけで比較的容易に本発明の機能を搭載できるため、本発明の開発に要するコストアップを抑えることができる。
【0009】
なお、「光ディスク」とは、DVD±RW、DVD−RAM、CD±RW、BlueRay、HD−DVD、MO等、データ記録方式に光学技術を用いた書き換え可能な記録媒体を指すものである。また、「ベリファイ」とは、書き込んだデータを読み出して元のデータと照合し、書き込んだデータが正確であるかを検査する処理、書き込んだデータと元のデータとが一致しない場合にエラー送出若しくは再書き込みを行う処理の両方を含むものである。
【0010】
上記の光学記録装置において、第1光ヘッドと第2光ヘッドとを併用してデータの読み出しを行う高速読み出し手段をさらに備えていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、2つの光ヘッドを併用してデータの読み出しを行うため、読み出し処理の高速化を図ることができる。
【0012】
上記の光学記録装置において、第1光ヘッドによる読み出しエラーが発生した場合、第1光ヘッドに近接して設けられた第2光ヘッドで再読み出しを行う再読み出し手段をさらに備えていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、第1光ヘッドによる読み出しエラーが発生した場合に、再読み出しを行うため、読み出し品質を向上させることができる。また、第2光ヘッドで再読み出しを行うため、第1光ヘッドで再読み出しを行う場合(光ディスクを1回転させて再読み出しを行う必要がある)と比較して、再読み出しに要する時間を短縮することができる。
【0014】
上記の光学記録装置において、再読み出し手段は、第1光ヘッドとは異なる電圧パラメータで第2光ヘッドを駆動して再読み出しを行うことが好ましい。
【0015】
この構成によれば、第2光ヘッドの電圧パラメータを、第1光ヘッドと異ならせることにより、読み出し品質(読み出しの安定性)をより向上させることができる。
【0016】
上記の光学記録装置において、第2光ヘッドが、高速読み出し手段として機能しているときに、第1光ヘッドによる読み出しエラーが発生した場合、第2光ヘッドを、再読み出し手段としての機能に切り換えることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、高速読み出しを行っているときでも、短時間で再読み出しを行い、読み出し品質を向上させることができる。
【0018】
上記の光学記録装置において、第2光ヘッドは、データの書き込みも行い、第1光ヘッドと第2光ヘッドとを併用してデータの書き込みを行う高速書き込み手段をさらに備えていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、2つの光ヘッドを併用してデータの書き込みを行うため、書き込み処理の高速化を図ることができる。
【0020】
上記の光学記録装置において、第1光ヘッドによる書き込みエラーが発生した場合、第1光ヘッドに近接して設けられた第2光ヘッドで再書き込みを行う再書き込み手段をさらに備えていることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、第1光ヘッドによる書き込みエラーが発生した場合に、再書き込みを行うため、書き込み品質を向上させることができる。また、第2光ヘッドで再書き込みを行うため、第1光ヘッドで再書き込みを行う場合(光ディスクを1回転させて再書き込みを行う必要がある)と比較して、再書き込みに要する時間を短縮することができる。
【0022】
上記の光学記録装置において、再書き込み手段は、第1光ヘッドとは異なる電圧パラメータで第2光ヘッドを駆動して再書き込みを行うことが好ましい。
【0023】
この構成によれば、第2光ヘッドの電圧パラメータを、第1光ヘッドと異ならせることにより、書き込み品質(書き込みの安定性)をより向上させることができる。
【0024】
上記の光学記録装置において、データ書き込み時における第2光ヘッドを、ベリファイ手段、高速書き込み手段または再書き込み手段のいずれとして機能させるかを選択する機能選択手段をさらに備えていることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、ユーザの好みやニーズに応じて、データ書き込み時における第2光ヘッドの機能を、ベリファイ手段による読み出し、高速書き込み手段による書き込み、再書き込み手段による再書き込みのいずれかで選択することができる。
【0026】
上記の光学記録装置において、再書き込み手段は、第2光ヘッドで書き込んだデータを、その直後に当該第2光ヘッドに近接して設けられた第1光ヘッドで読み出すことによりベリファイを行うことが好ましい。
【0027】
この構成によれば、再書き込みを行っているときでも、ベリファイによりデータ記録の信頼性を確保することができる。
【0028】
上記の光学記録装置において、第1光ヘッドおよび第2光ヘッドをそれぞれ支持する2つの光ヘッド支持部材と、各光ヘッド支持部材を介して、第1・第2各光ヘッドを、光ディスク上で移動させる2つのトラッキング手段と、をさらに備えていることが好ましい。
【0029】
この構成によれば、第1光ヘッドおよび第2光ヘッドを、それぞれ独立して移動させるため、移動制御の自由度を高めることができる。
【0030】
上記の光学記録装置において、第1光ヘッドおよび第2光ヘッドを一括して支持する光ヘッド支持部材と、光ヘッド支持部材を介して、第1・第2両光ヘッドを、光ディスク上で移動させる単一のトラッキング手段と、をさらに備えていることが好ましい。
【0031】
この構成によれば、第1光ヘッドおよび第2光ヘッドを、単一のトラッキング手段で移動させるため、トラッキング手段を駆動する駆動機構(モータ等)を共通化させることができ、装置コストを抑えることができる。
【0032】
本発明のデータバックアップ装置は、上記の光学記録装置を用いていることを特徴とする。
【0033】
この構成によれば、ソフトに頼ることなく、高速且つ信頼性の高いデータのバックアップを行うことができる。
【0034】
本発明のプログラムは、コンピュータに、上記の光学記録装置の制御方法を実現させるためのものであることを特徴とする。
【0035】
このプログラムを実行することにより、ソフトに頼ることなく、高速且つ信頼性の高いデータ記録を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の一実施形態に係る光学記録装置、データバックアップ装置、光学記録装置の制御方法、プログラムについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は、2つの光ヘッドを用いて、光ディスクに対するデータの記録および再生を行う光学記録装置に関し、データ記録時またはデータ再生時といった状況に応じて、またユーザのニーズに応じて、各光ヘッドを制御する。これにより、データ記録・再生品質の向上および/または処理速度の向上といった作用・効果を奏する。そこで、本発明の光学記録装置を、コンピュータで処理・生成したデータをバックアップするためのデータバックアップ装置に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0037】
図1は、本発明の一実施形態に係るデータバックアップ装置10のシステム構成図である。同図に示すように、データバックアップ装置10は、光ディスクDを回転させるスピンドルモータ11と、光学式ピックアップを有する2つの光ヘッド12,15と、各光ヘッド12,15を支持する2つのヘッド支持部材(ヘッドアーム)32,35と、各ヘッド支持部材32,35を介して2つの光ヘッド12,15を光ディスクD上の適切な位置に臨むようにそれぞれ移動させるトラッキングモータ13,16と、これらスピンドルモータ11、光ヘッド12,15(ヘッド支持部材32,35)およびトラッキングモータ13,16を駆動する駆動部20と、2つの光ヘッド12,15による読み書き処理(記録および再生処理)を行う読み書き処理部30と、駆動部20および読み書き処理部30を統括制御するコントローラ40と、コンピュータPCとデータの入出力を行うためのインターフェース50と、を備えている。
【0038】
上記の2つの光ヘッド12,15は、読み書きを行う第1光ヘッド12と、読み出し専用の第2光ヘッド15とから成り、通常処理時は、第2光ヘッド15が、第1光ヘッド12の読み書き方向後方に近接して設けられる(図3(a)参照)。すなわち、図1に示したように、光ディスクDの回転方向に対して第1光ヘッド12の先方に第2光ヘッド15が位置することとなる。
【0039】
駆動部20は、第1光ヘッド12を駆動する第1光ヘッドドライバ22と、第1光ヘッド12用のトラッキングモータ13を駆動する第1光ヘッド位置ドライバ23と、第2光ヘッド15を駆動する第2光ヘッドドライバ25と、第2光ヘッド15用のトラッキングモータ16を駆動する第2光ヘッド位置ドライバ26と、スピンドルモータ11を駆動する回転ドライバ21と、を有している。
【0040】
コントローラ40は、上記の駆動部20を制御するためのサーボシステム41を有し、当該サーボシステム41は、各光ヘッド12,15(ピックアップ)の位置に応じて、回転ドライバ21(スピンドルモータ11)を制御し、最適な回転数で光ディスクDを回転させる。また、コントローラ40は、光ヘッドドライバ22,25(光ヘッド12,15)や光ヘッド位置ドライバ23,26(トラッキングモータ13,16)を制御して、フォーカシングやトラッキングといった光スポット位置の制御、並びに希望トラックまで光ヘッド12,15を移動させるシーク制御等も行う。
【0041】
さらに、コントローラ40は、コンピュータPCから送信される記録データを読み書き処理部30に入力したり、読み書き処理部30から出力される再生データをコンピュータPCに送信するといった制御を行う。図2に示すように、同心円の複数のトラック(m,m+1,m+2・・・)が、それぞれ複数のセクタ(n,n+1,n+2・・・)によって分割される同心円状の光ディスクDを用いる場合、データの読み書きはセクタ単位で行う。なお、本発明は、同心円状の光ディスクD以外にも螺旋状(渦巻き状)の光ディスクD(例えば、CD−ROM等)にも適用可能であるが、以下、同心円状の光ディスクDを用いた場合について主に言及する。
【0042】
ここで、データバックアップ装置10における書き込み処理および読み取り処理の流れを簡単に説明する。コンピュータPCからデータの記録命令が出された場合、コントローラ40は、駆動部20を制御して2つの光ヘッド12,15をそれぞれ適切な位置に移動させる。また、コンピュータPCから送信された記録データを、読み書き処理部30に入力する。読み書き処理部30は、コントローラ40から入力された記録データを、レーザ発光のON/OFFを駆動するための記録信号に変換し、光ヘッド12,15に入力する。一方、コンピュータPCから光ディスクDの再生命令が出された場合、コントローラ40は、駆動部20を制御して、2つの光ヘッド12,15を再生したい希望のセクタにアクセスさせる。また、2つの光ヘッド12,15により微弱なレーザパワー(記録時の1/10程度)によって読み出された信号を、読み書き処理部30によりデジタル信号処理する。コントローラ40は、当該デジタル信号処理後の再生データを、インターフェース50を介してコンピュータPCに出力する。
【0043】
次に、図4の機能ブロック図を参照し、データバックアップ装置10の制御構成について説明する。データバックアップ装置10の制御系は、光ヘッド制御部100、書き込み制御部200および読み出し制御部300から成り、書き込み制御部200および読み出し制御部300は、図1に示す読み書き処理部30およびコントローラ40によってその主要部が構成されている。
【0044】
光ヘッド制御部100は、第1光ヘッド12と、当該第1光ヘッド12を移動させる第1光ヘッドトラッキング手段110と、第2光ヘッド15と、当該第2光ヘッド15を移動させる第2光ヘッドトラッキング手段120と、これらを制御する光ヘッド制御手段150と、を備えている。なお、第1光ヘッドトラッキング手段110および第2光ヘッドトラッキング手段120は、トラッキングモータ13,16(図1参照)によってその主要部が構成されている。また、光ヘッド制御手段150は、駆動部20およびコントローラ40によってその主要部が構成されている。
【0045】
上記のとおり、第1光ヘッド12は、データを読み書き可能であり、第2光ヘッド15は、読み出し専用である。そして、この2つの光ヘッド12,15により、ベリファイ処理、高速読み出し処理および再読み出し処理を実行可能となっている(図3(a)参照)。また、上記の第2光ヘッド15を、読み書き可能なものにした場合(以下、読み書き可能な(読み書きを必要とする)第2光ヘッドには参照番号18を付す)は、上記の処理以外にも高速書き込み処理および再書き込み処理を実行可能である(図3(b)参照)。各処理の詳細については後述する。
【0046】
続いて、書き込み制御部200について説明する。書き込み制御部200は、ベリファイ手段210と、高速書き込み手段220と、再書き込み手段230と、機能選択手段240と、を備えている。ベリファイ手段210は、第1光ヘッド12で書き込んだデータを、その直後に第2光ヘッド15で読み出し、元のデータと照合することで、書き込んだデータが正確であるかを検査する、いわゆるベリファイ処理を行うものである。
【0047】
当該ベリファイ処理は、例えば図3(a)に示すように、第1光ヘッド12と第2光ヘッド15が同一トラック(m)上の隣り合うセクタn,n−1に臨んでいる(シークしている)場合、第1光ヘッド12がセクタnの書き込みを行った直後に、光ディスクDの回転に伴って読み書き方向後方に位置する第2光ヘッド15がセクタnに臨んだとき、セクタnの読み出しを行う。ベリファイ処理によって、書き込んだデータが元のデータと一致しないと判定した場合は、書き込み処理を中止する。なお、同図では、各光ヘッド12,15を支持するヘッド支持部材32,25のみ図示し、これを駆動するトラッキングモータ13,16(図1参照)等の図示は省略している(同図(b)も同様)。
【0048】
高速書き込み手段220は、第1光ヘッド12と第2光ヘッド15とを併用して書き込みを行うものである。したがって、高速書き込み手段220は、第2光ヘッド18が読み書き用である場合に機能する。
【0049】
当該高速書き込み処理は、例えば、第1光ヘッド12と第2光ヘッド18が図3(b)に示すように位置している場合、第1光ヘッド12がセクタnに対するデータの書き込みを行っている間(同時若しくは若干の時間差をおいて)、第2光ヘッド18はセクタn−1に対するデータの書き込みを行う。すなわち、2つの光ヘッド12,18がそれぞれ1つおきのセクタに対して同時期に書き込みを行うことで、連続書き込みを行った場合、処理速度を2倍にすることができる。
【0050】
再書き込み手段230は、第1光ヘッド12による書き込みエラー(バッファー・アンダーラン・エラーなど)が生じた場合、第2光ヘッド18によりリトライするものである。したがって、再書き込み手段230も、第2光ヘッド18が読み書き用であることが前提である。この場合、再書き込みを行う第2光ヘッド18は、書き込み制御手段250および光ヘッド制御手段150による制御により、書き込みを行った第1光ヘッド12とは異なる電圧パラメータ(記録レーザパワー)により再書き込みを行う。
【0051】
当該再書き込み処理は、例えば、第1光ヘッド12と第2光ヘッド18が図3(b)に示すように位置している場合、第1光ヘッド12がセクタnに対するデータの書き込みを行ったときにエラーが発生すると、その直後、すなわち光ディスクDの回転に伴って読み書き方向後方に位置する第2光ヘッド18がセクタnに臨んだとき、セクタnに対するデータの書き込みを行う。なお、再書き込みも失敗した場合は、書き込み処理を中止する。
【0052】
機能選択手段240は、データ書き込み時における第2光ヘッド18を、ベリファイ手段210、高速書き込み手段220または再書き込み手段230のいずれとして機能させるかを選択するものである。当該機能選択手段240は、コンピュータPCからの指令、若しくはデータバックアップ装置10に備えられた操作ボタンやディップスイッチ(図示省略)によって実現されるものであり、ユーザの操作に基づいて選択される。
【0053】
これにより、ユーザが、データ記録の信頼性を重視する場合はベリファイ手段210、記録速度を重視する場合は高速書き込み手段220、データ記録の安定性を重視する場合は再書き込み手段230など、好みやニーズに応じた機能を選択することができる。なお、第2光ヘッド15が読み出し専用のものである場合、当該機能選択手段240は機能せず、第2光ヘッド15は、データ書き込み時においてベリファイ処理のみに利用されることとなる。
【0054】
続いて、読み出し制御部300について説明する。読み出し制御部300は、高速読み出し手段310と、再読み出し手段320と、これらを制御する読み出し制御手段350と、を備えている。高速読み出し手段310は、第1光ヘッド12と第2光ヘッド15とを併用して読み出しを行うものである。
【0055】
当該高速読み出し処理は、例えば、第1光ヘッド12と第2光ヘッド15が図3(a)に示すように位置している場合、第1光ヘッド12がセクタnに対するデータの読み出しを行っている間(同時若しくは若干の時間差をおいて)、第2光ヘッド15はセクタn−1に対するデータの読み出しを行う。すなわち、2つの光ヘッド12,15がそれぞれ1つおきのセクタに対して読み出しを行い、その読み出したデータを交互にコンピュータPCに転送することで、連続読み出しを行った場合、処理速度を2倍にすることができる。
【0056】
再読み出し手段320は、第1光ヘッド12による読み出しエラー(ジッタ発生など)が生じた場合、第2光ヘッド15によりリトライするものである。この場合、再読み出しを行う第2光ヘッド15は、読み出し制御手段350および光ヘッド制御手段150の制御により、読み出しを行った第1光ヘッド12とは異なる電圧パラメータ(再生レーザパワー)により再読み出しを行う。
【0057】
当該再読み出し処理は、例えば、第1光ヘッド12と第2光ヘッド15が図3(a)に示すように位置している場合、第1光ヘッド12がセクタnに対するデータの読み出しを行ったときにエラーが発生すると、その直後、すなわち光ディスクDの回転に伴って読み書き方向後方に位置する第2光ヘッド15がセクタnに臨んだとき、セクタnに対するデータの読み出しを行う。なお、再読み出しも失敗した場合は、書き込み処理を中止する。
【0058】
上記の構成により、データバックアップ装置10は、データ書き込み時において、書き込み制御手段250により、機能選択手段240の選択結果に基づいて、機能させる手段を決定し、光ヘッド制御手段150との協働により各種書き込み処理を行う。また、データ読み出し時においては、読み出し制御手段350と光ヘッド制御手段150との協働により各種読み出し処理を行う。なお、読み出し制御手段350は、ユーザによる機能の選択を必要とすることなく、状況に応じて高速読み出し処理と再読み出し処理とを切り換えて処理することが可能である(複合読み出し処理)。
【0059】
そこで、以下、上記のベリファイ手段210、高速書き込み手段220、再書き込み手段230による各処理、並びに高速読み出し手段310および再読み出し手段320の複合読み出し処理について、それぞれフローチャートを参照して説明する。
【0060】
図5は、ベリファイ処理を示すフローチャートである。ベリファイ処理は、まず第1光ヘッド12によりmトラックnセクタに対するデータの書き込みを行い(S01)、隣接する第2光ヘッド15によりそのmトラックnセクタに書き込まれたデータを読み出す(S02)。ここで、読み出したデータと、元のデータとが一致しない場合は(S03:No)、エラーを送出し(S04)、書き込み処理を中止する(S05)。なお、エラーを送出する(S04)とは、エラーステータスを反映させたり割り込みを送出したりすることを指す。
【0061】
一方、読み出したデータと、元のデータが一致する場合は(S03:Yes)、mトラック最後のセクタであるか否かを判別し(S06)、最後のセクタでない場合は(S06:No)、同じトラック(mトラック)の次のセクタ(n+1セクタ)に対して上記の処理を実行する(S07)。また、最後のセクタである場合は(S06:Yes)、全データ(全トラック)の書き込みを終了したか否かを判別し(S08)、終了していない場合は(S08:No)、次のトラック(m+1トラック)の最初のセクタに対して上記の処理を実行する(S09)。また、全データの書き込みを終了した場合は(S08:Yes)、書き込み処理を終了する(S10)。
【0062】
このように、本発明のベリファイ処理は、近接した位置に設けられた2つの光ヘッド12,15を用いて書き込み直後に読み出し照合を行う、すなわちベリファイを実行するために光ディスクDの回転を必要としないため、データ記録の信頼性を確保しつつも、書き込み処理の低下を避けることができる。
【0063】
次に、図6のフローチャートを参照し、高速書き込み処理について説明する。高速書き込み処理は、まず第1光ヘッド12によりmトラックnセクタに対するデータの書き込みを行うと共に(S21)、隣接する第2光ヘッド18によりその隣のセクタ(n−1セクタ)に対するデータの書き込みを行う(S22)。そして、第2光ヘッド18の書き込み対象となっているセクタがmトラック最後のセクタであるか否かを判別し(S23)、最後でない場合は(S23:No)、第1光ヘッド12がn+2セクタを、また第2光ヘッド18がn+1セクタに対する書き込み処理を行うように、光ディスクDの回転(および各光ヘッド12,18の位置)を制御する(S24)。
【0064】
また、最後のセクタである場合は(S23:Yes)、全データ(全トラック)の書き込みを終了したか否かを判別し(S25)、終了していない場合は(S25:No)、次のトラック(m+1トラック)に移行し(S26)、全データの書き込みを終了した場合は(S25:Yes)、書き込み処理を終了する(S27)。
【0065】
このように、本発明の高速書き込み処理は、2つの光ヘッド12,18を併用して、各光ヘッド12,18が1セクタおきに書き込みを行うため、書き込み処理の高速化を図ることができる。すなわち、連続してデータを書き込む場合は、2倍の処理速度を実現可能である。
【0066】
次に、図7のフローチャートを参照し、再書き込み処理について説明する。再書き込み処理は、まず第1光ヘッド12によりmトラックnセクタに対するデータの書き込みを行い(S41)、書き込みエラーが発生したか否かを判別する(S42)。書き込みエラーが発生した場合は(S42:Yes)、隣接する第2光ヘッド18によりそのmトラックnセクタに対するデータの再書き込みを行う(S43)。このとき、第2光ヘッド18は、第1光ヘッド12とは異なる電圧パラメータにより駆動され、書き込みを行う。そして、第2光ヘッド15でも正常に書き込みを行うことができなかった場合(書き込みエラーが発生した場合)は(S44:No)、エラーを送出し(S45)、書き込み処理を中止する(S46)。
【0067】
また、正常に書き込みを行うことができた場合(S44:Yes)、並びに第1光ヘッド12による書き込みエラーが発生しなかった場合は(S42:No)、mトラック最後のセクタであるか否かを判別し(S47)、最後でない場合は(S47:No)、次のセクタ(n+1セクタ)に対して上記の処理を実行する(S48)。また、最後のセクタである場合は(S47:Yes)、全データ(全トラック)の書き込みを終了したか否かを判別し(S49)、終了していない場合は(S49:No)、次のトラック(m+1トラック)に移行し(S50)、全データの書き込みを終了した場合は(S49:Yes)、書き込み処理を終了する(S51)。
【0068】
このように、本発明の再書き込み処理は、近接した位置に設けられた2つの光ヘッド12,18を用いて、第1光ヘッド12による書き込みエラー発生直後に第2光ヘッド18で再書き込みを行うため、書き込み品質を保持しつつも再書き込みに要するタクトタイムの遅延を最小限にすることができる。また、異なる電圧パラメータで再書き込みを行うことにより、安定した書き込みを行うことができる。
【0069】
次に、図8のフローチャートを参照し、高速読み出し/再読み出し処理(複合読み出し処理)について説明する。高速読み出し/再読み出し処理は、まず第1光ヘッド12によりmトラックnセクタに対するデータの読み出しを行うと共に(S61)、隣接する第2光ヘッド15によりその隣のmトラックn−1セクタに対するデータの読み出しを行う(S62)。
【0070】
ここで、仮に第1光ヘッド12による読み出しエラーが発生した場合は(S63:Yes)、第2光ヘッド15による高速読み出し(n−1セクタの読み出し)を中止し、mトラックnセクタの再読み出しを行う(S64)。このとき、第2光ヘッド15は、第1光ヘッド12とは異なる電圧パラメータで読み出しを行う。そして、第2光ヘッド15でもnセクタの読み出しを行うことができなかった場合(読み出しエラーが発生した場合)は(S65:No)、エラーを送出し(S66)、読み出し処理を中止する(S67)。なお、S63で第2光ヘッド15の読み出しエラーを検出した場合は、第1光ヘッド12により再読み出しを行うこととなるが、この場合は、光ディスクDの1周分の回転を待って、第1光ヘッド12による再読み出しを行う(フローチャートへの記載省略)。
【0071】
そして、第2光ヘッド15により正常に再読み出しを行うことができた場合(S65:Yes)、並びに第1光ヘッド12および第2光ヘッド15による書き込みエラーが発生しなかった場合は(S63:No)、mトラック最後のセクタであるか否かを判別し(S68)、最後でない場合は(S68:No)、第1光ヘッド12がn+2セクタを、また第2光ヘッド15がn+1セクタに対する読み出し処理を行うように、光ディスクDの回転(および各光ヘッドの位置)を制御する(S69)。
【0072】
また、最後のセクタである場合は(S68:Yes)、全データ(全トラック)の読み出しを終了したか否かを判別し(S70)、終了していない場合は(S70:No)、次のトラック(m+1トラック)に移行し(S71)、全データの読み出しを終了した場合は(S70:Yes)、書き込み処理を終了する(S72)。
【0073】
このように、本発明の複合読み出し処理は、2つの光ヘッド12,15を併用するため、読み出し処理の高速化を図ることができる。また、第1光ヘッド12による読み出しエラーが発生した場合は、その発生直後に第2光ヘッド15で再読み出しを行うため、読み出し品質を保持しつつも再読み出しに要するタクトタイムの遅延を最小限にすることができる。また、異なる電圧パラメータで再読み出しを行うことにより、安定した読み出しを行うことができる。
【0074】
以上のとおり、本実施形態によれば、第1光ヘッド12で書き込んだデータを、当該第1光ヘッド12の読み書き方向後方に近接して設けられた第2光ヘッド15で読み出すことによりベリファイ処理を行うため、1つの光ヘッドで書き込み・読み出しを行う場合に必須となる光ディスクDの回転を必要としない。したがって、ベリファイによりデータ記録の信頼性を確保しつつ、書き込み処理の高速化を図ることができる。また、光ディスクDの種類は問わないため、低価格の記録媒体を用いることができ、データの記録に要するコストを抑えることができる。しかも、ベリファイ処理をデータバックアップ装置10側で行うため、コンピュータPC側では、RAWなど書き込みデータを確認するための処理を省略することができる。
【0075】
また、ベリファイ機能を有しない汎用の光学ドライブ(DVD±RWドライブ、CD±RWドライブ、BlueRayドライブ、HD−DVDドライブ等)の仕様を継承しつつ、第2光ヘッド15(または18)の増設およびそれに伴うプログラム変更だけで比較的容易に本発明の機能を搭載できるため、本発明の開発に要するコストアップを抑えることができる。
【0076】
また、データ書き込み時および読み出し時において、2つの光ヘッド12,15(または18)を併用して処理(高速書き込み処理、高速読み出し処理)を行うことができるため、処理速度の向上を図ることができる。
【0077】
また、第1光ヘッド12による書き込みエラーまたは読み出しエラーが発生した場合に、それぞれ再書き込み、再読み出しを行うため(再書き込み処理、再読み出し処理)、書き込み品質および読み出し品質を向上させることができる。また、第2光ヘッド15(または18)で再書き込み・再読み出しを行うため、第1光ヘッド12で再書き込み・再読み出しを行う場合(光ディスクDを1回転させて再書き込み・再読み出しを行う必要がある)と比較して、処理に要する時間を短縮することができる。
【0078】
また、再書き込み・再読み出しを行う場合は、第2光ヘッド15(または18)の電圧パラメータを、第1光ヘッド12と異ならせるため、書き込み・読み出しの安定性をより向上させることができる。
【0079】
また、機能選択手段240により、データ書き込み時における第2光ヘッド15(または18)を、ベリファイ手段210、高速書き込み手段220または再書き込み手段230のいずれとして機能させるかを選択することができるため、ユーザの好みやニーズに応じて、データバックアップ装置10を動作させることができる。
【0080】
また、第1光ヘッド12および第2光ヘッド15(または18)の移動を、2つのトラッキング手段110,120によりそれぞれ独立して移動させるため、第1光ヘッド12を第2光ヘッド15(または18)の読み書き方向後方に位置させる(光ヘッドの位置を交代する)など、移動制御の自由度を高めることができる。
【0081】
なお、上記の例では、例えばベリファイ処理を行っている場合、第1光ヘッド12がmトラックnセクタの書き込みを行った直後、第2光ヘッド15が同じセクタの読み出しを行うものとしたが(図3(a)参照)、図9に示すように、第1光ヘッド12がm+1トラックn+1セクタの書き込みを行っている間、第2光ヘッド15でmトラックnセクタの読み出しを行うようにしても良い。なお、同図のセクタは、周方向に並ぶセクタを同じセクタ番号として示している。また、見やすくするため、トラック間を離して示している。
【0082】
すなわち、必ずしも2つの光ヘッド12,15が隣接するセクタに臨む必要はなく、αトラック(α:0以上の整数)βセクタ(β:0以上の整数)だけ離間したトラックおよびセクタの読み出しを行うようにしても良い。但し、αおよびβの値は、ベリファイ処理に要する時間短縮のため(光ディスクDの回転数を少なくするため)小さいことが好ましい。また、ヘッド支持部材32,35やトラッキングモータ13,16(いずれも図1参照)の配置や移動制御の兼ね合いにより、βを1以上の値としても良い(第1光ヘッド12と第2光ヘッド15が周方向に並ぶセクタの書き込み・読み出しを行わないようにしても良い)。なお、当該第1光ヘッド12と第2光ヘッド15の配置は、ベリファイ処理以外の処理にも適用可能である。
【0083】
また、上記の例では、第1光ヘッド12と第2光ヘッド15を、別個の光ヘッド支持部材32,35で支持すると共に、それぞれ独立したトラッキング手段110,120(図4参照)によって移動制御を行うものとしたが、図10に示すように、第1光ヘッド12および第2光ヘッド15を一括して支持する共通光ヘッド支持部材71,72を利用し、当該共通光ヘッド支持部材71,72を介して、第1・第2両光ヘッド12,15を共通のトラッキング手段(図示省略)で連動して移動制御するようにしても良い。
【0084】
例えば、同図(a)は、隣り合うセクタ(n,n+1)に第1・第2両光ヘッド12,15が臨むように、これらを共通光ヘッド支持部材71に取付けた場合(連動移動制御A)を示している。この場合、例えばベリファイ処理であれば、第1光ヘッド12でn+1セクタの書き込みを行っている間に、第2光ヘッド15でnセクタの読み出しを行うこととなる。また、同図(b)は、隣り合うトラックに第1・第2両光ヘッド12,15が臨むように、これらを共通光ヘッド支持部材72に取付けた場合(連動移動制御B)を示している。この場合、例えばベリファイ処理であれば、第1光ヘッド12でm+1トラックnセクタの書き込みを行っている間に、第2光ヘッド15でmトラックnセクタの読み出しを行うこととなる。
【0085】
このように、第1光ヘッド12および第2光ヘッド15を、単一のトラッキング手段で移動させることにより、トラッキング手段を駆動する駆動機構(トラッキングモータ)を共通化させることができ、装置コストを抑えることができる。なお、同図に示した単一のトラッキング手段は、ベリファイ処理以外の処理にも適用可能である。
【0086】
また、上記の例では、2つの光ヘッド12,15(または18)を用いた場合を例示したが、3つ若しくは4つなど複数の光ヘッドを用いた場合にも本発明は適用可能である。この場合、例えば高速書き込み処理であれば、第1光ヘッド12で書き込み、第2光ヘッド15で併用して書き込み、第3光ヘッドおよび第4光ヘッドでベリファイ用の読み出しといったように、高速書き込み処理とベリファイ処理とを複合処理として実行可能である。また、3つの光ヘッドを用いて、例えばnセクタ、n+1セクタ、n+2セクタなど、3つ並ぶセクタの書き込み・読み出しを行うことにより、連続したデータであれば3倍の処理速度を実現することも可能である。
【0087】
また、上記の例では、再書き込み手段220は(図4参照)、第1光ヘッド12による書き込みエラーが生じた場合、第2光ヘッド18による再書き込みを行うものとしたが(図6参照)、この第2光ヘッド18による再書き込みを行っている間は、第1光ヘッド12によるベリファイを行うことが好ましい。この場合、第1光ヘッド12は、第2光ヘッド15の読み書き方向後方に近接して設けられ(第1光ヘッド12と第2光ヘッド15の位置が入れ替わる)、第2光ヘッド15で書き込んだデータを、その直後に読み出す。そして、読み出したデータが、元のデータと一致しない場合は、書き込み処理を中止する。この構成により、データ記録の安定性および信頼性を確保することができる。
【0088】
また、高速書き込み手段230は(図4参照)、第2光ヘッド18で先読みを行うものとしたが、第1光ヘッド12を第2光ヘッド18の読み書き方向後方に設け、第2光ヘッド18で先読みすることも可能である。
【0089】
また、再書き込み手段220は(図4参照)、読み出し処理の場合と同様に(図8のフローチャート参照)、ベリファイ処理の実行中、若しくは高速書き込み処理の実行中に書き込みエラーが発生した場合、他方の光ヘッドで再書き込み処理を行うことも可能である。すなわち、再書き込み処理は、ベリファイ処理または高速書き込み処理との複合処理として実行可能であり、この場合、機能選択手段240は(図4参照)、ベリファイ手段210または高速書き込み手段220のいずれかの機能を選択することとなる。
【0090】
また、読み出し処理中においても、複合読み出し処理とするのではなく、高速読み出し処理と再読み出し処理とを単独で処理するようにしても良い。すなわち、読み出し制御部300にも、機能選択手段240を設け、高速読み出し手段310と、再読み出し手段320とのいずれを機能させるかを選択可能に構成しても良い。
【0091】
また、上記の例では、1セクタ毎にデータの書き込み・読み出しを行うものとしたが、複数セクタ毎にこれらを行っても良い。すなわち、高速書き込み処理・高速読み出し処理の際にも、隣り合うセクタの書き込み・読み出しを行うのではなく、第1光ヘッド12でn,n+1セクタの書き込み・読み出し、第2光ヘッド15でn+2,n+3セクタの書き込み・読み出しなど、一定間隔を空けたセクタの書き込み・読み出しを連続して行うようにしても良い。
【0092】
また、上記の例では、同心円状の光ディスクDを例示したが、螺旋状の光ディスクDを用いた場合は、一定間隔を空けたセクタに臨むように2つの光ヘッド12,15(または18)を配置し、書き込み・読み出しを行うようにすれば良い。
【0093】
また、上記の例に示した、データバックアップ装置10の各部(各機能)をプログラムとして提供することも可能である。また、そのプログラムを記録媒体(図示省略)に格納して提供することも可能である。記録媒体としては、CD−ROM、フラッシュROM、メモリカード(コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、メモリスティック等)、コンパクトディスク、光磁気ディスク、デジタルバーサタイルディスクおよびフレキシブルディスク、ハードディスク等を利用可能である。
【0094】
また、上記の実施形態におけるデータバックアップ装置10の例によらず、装置構成や処理工程等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。すなわち、上記の例では、光学記録装置をデータバックアップ装置10(コンピュータ用途)として用いた場合を例示したが、独立して機能する他の光学ドライブ(DVDレコーダー等)にも適用可能である。
【0095】
また、「光ディスクD」としては、DVD±RW、DVD−RAM、CD±RW、BlueRay、HD−DVD、MO(光磁気ディスク)等、データ記録方式に光学技術を用いた書き換え可能な記録媒体を利用可能である。すなわち、ベリファイ機能(1つの光ヘッドで書き込み、光ディスク1回転後の読み出しにより行うベリファイ)を持つDVD−RAMやMOにも適用可能であり、これらに適用した場合は、よりデータ記録の信頼性を高めることができる。さらに、コンピュータ側で、バックアップソフト等によりRAW機能を実行する場合にも、本発明を適用し、更に信頼性を向上させることも当然可能である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一実施形態に係るデータバックアップ装置のシステム構成図である。
【図2】光ディスク上におけるトラックとセクタを説明するための図である。
【図3】第1光ヘッドおよび第2光ヘッドの配置を示す図である。
【図4】データバックアップ装置の機能ブロック図である。
【図5】ベリファイ処理を示すフローチャートである。
【図6】高速書き込み処理を示すフローチャートである。
【図7】再書き込み処理を示すフローチャートである。
【図8】高速読み出し/再読み出し処理を示すフローチャートである。
【図9】他の実施例における第1光ヘッドおよび第2光ヘッドの配置を示す図である。
【図10】他の実施例における第1光ヘッドおよび第2光ヘッドの支持形態を示す図である。
【符号の説明】
【0097】
10:データバックアップ装置,11:スピンドルモータ,12:第1光ヘッド,13:第1光ヘッド用トラッキングモータ,15:第2光ヘッド(読み出し専用),16:第2光ヘッド用トラッキングモータ,18:第2光ヘッド(読み書き用),20:駆動部,30読み書き処理部,32:第1光ヘッド支持部材,35:第2光ヘッド支持部材,40:コントローラ,71:共通光ヘッド支持部材(連動移動制御A),72:共通光ヘッド支持部材(連動移動制御B),D:光ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクに対してデータの読み書きを行う第1光ヘッドと、
前記光ディスクに書き込まれているデータの読み出しを行う第2光ヘッドと、
前記第1光ヘッドで書き込んだデータを、その直後に当該第1光ヘッドに近接して設けられた前記第2光ヘッドで読み出すことによりベリファイを行うベリファイ手段と、を備えていることを特徴とする光学記録装置。
【請求項2】
前記第1光ヘッドと前記第2光ヘッドとを併用して前記データの読み出しを行う高速読み出し手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の光学記録装置。
【請求項3】
前記第1光ヘッドによる読み出しエラーが発生した場合、
前記第1光ヘッドに近接して設けられた前記第2光ヘッドで再読み出しを行う再読み出し手段をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の光学記録装置。
【請求項4】
前記再読み出し手段は、前記第1光ヘッドとは異なる電圧パラメータで前記第2光ヘッドを駆動して再読み出しを行うことを特徴とする請求項3に記載の光学記録装置。
【請求項5】
前記第2光ヘッドが、前記高速読み出し手段として機能しているときに、前記第1光ヘッドによる読み出しエラーが発生した場合、
前記第2光ヘッドを、前記再読み出し手段としての機能に切り換えることを特徴とする請求項3または4に記載の光学記録装置。
【請求項6】
前記第2光ヘッドは、前記データの書き込みも行い、
前記第1光ヘッドと前記第2光ヘッドとを併用して前記データの書き込みを行う高速書き込み手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光学記録装置。
【請求項7】
前記第1光ヘッドによる書き込みエラーが発生した場合、
前記第1光ヘッドに近接して設けられた前記第2光ヘッドで再書き込みを行う再書き込み手段をさらに備えていることを特徴とする請求項6に記載の光学記録装置。
【請求項8】
前記再書き込み手段は、前記第1光ヘッドとは異なる電圧パラメータで前記第2光ヘッドを駆動して再書き込みを行うことを特徴とする請求項7に記載の光学記録装置。
【請求項9】
データ書き込み時における前記第2光ヘッドを、前記ベリファイ手段、前記高速書き込み手段または前記再書き込み手段のいずれとして機能させるかを選択する機能選択手段をさらに備えていることを特徴とする請求項7または8に記載の光学記録装置。
【請求項10】
前記再書き込み手段は、前記第2光ヘッドで書き込んだデータを、その直後に当該第2光ヘッドに近接して設けられた前記第1光ヘッドで読み出すことによりベリファイを行うことを特徴とする請求項7または8に記載の光学記録装置。
【請求項11】
前記第1光ヘッドおよび前記第2光ヘッドをそれぞれ支持する2つの光ヘッド支持部材と、
各光ヘッド支持部材を介して、前記第1・第2各光ヘッドを、前記光ディスク上で移動させる2つのトラッキング手段と、をさらに備えていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の光学記録装置。
【請求項12】
前記第1光ヘッドおよび前記第2光ヘッドを一括して支持する光ヘッド支持部材と、
前記光ヘッド支持部材を介して、前記第1・第2両光ヘッドを、前記光ディスク上で移動させる単一のトラッキング手段と、をさらに備えていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の光学記録装置。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の光学記録装置を用いたデータバックアップ装置。
【請求項14】
光ディスクに対してデータの読み書きを行う第1光ヘッドと、
前記光ディスクに書き込まれているデータの読み出しを行う第2光ヘッドと、を備えた光学記録装置の制御方法であって、
前記第1光ヘッドで書き込んだデータを、その直後に当該第1光ヘッドに近接して設けられた前記第2光ヘッドで読み出すことによりベリファイを行うことを特徴とする光学記録装置の制御方法。
【請求項15】
コンピュータに、請求項14に記載の光学記録装置の制御方法を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−80407(P2007−80407A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−268123(P2005−268123)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】