説明

光安定剤を補充または導入する方法

光安定剤をポリマー材料、例えばコーティング、塗料、およびプラスチックに取入れる方法であって、光安定剤を含む組成物のコーティングをポリマー材料上に提供するステップと、および光安定剤をポリマー材料に拡散させるのに十分な時間、コーティングをポリマー材料と接触させておくステップと、を含む方法。ポリマー基材の積極的な加熱は必要ない。自然な屋外風化による周囲温度は、安定剤を拡散させるのに十分である。ポリマー材料の経時的変化に影響を及ぼす他の添加剤も、この方法で取入れることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光安定剤をポリマー材料基材に取入れる方法に関する。
【0002】
発明の背景
自動車用コーティング、船舶用コーティング、および屋外条件に暴露される他のポリマーの長期耐候性は、多くが、基材の材料を紫外(UV)線から遮断して、この光で開始する分解反応がポリマーで広がるのを防ぐ、ポリマーに含有される光安定剤添加剤の能力に依存する。この理由から、UV光吸収剤(UVA)(例えばベンゾトリアゾール)およびラジカルトラップ(例えばヒンダードアミン光安定剤(HALS))が、日常的にポリマー組成物に添加されている。しかしこれらの安定剤は、時間の経過と共に化学分解するか、またはポリマーから(特に表面から)移動する場合がある。その結果、コーティングおよびプラスチックが光分解を受けてそれらの性質が変性し、例えば、塗料が光沢を失う、色があせる、またはプラスチックがもろくなる、もしくは退色する。最終的にコーティング層の完全な消失または脱離が起こり得る自動車用コーティングにおいて、この問題は特に喚起されている。
【0003】
一般に、自動車の塗料表面に定期的に艶出剤を塗布することで、光沢が再生し撥水性が上昇する。そのような部分的処理の一つは、Howard et alへの米国特許第5,288,314号に開示され、染料、溶媒、UV添加剤、およびシリコーンを含む他の多数の成分を含有する。Ghodoussiへの米国特許第6,685,765号は、他の成分の中でも、UV吸収剤および光安定剤を含有する保護性ワックス組成物を開示している。どの特許も、光安定剤を塗料樹脂そのものに供給する手段を開示していない。
【0004】
塗料の光沢を再生するために頻繁に自動車用艶出剤を塗布する必要があるというのは、それが一時の部分的な性質であることを示す。光安定剤を塗料または透明コーティングに補充して、継続的で効果的なUV分解耐性を塗料に提供する方法を用いることが、より効果的であろう。
【0005】
同様に、光安定剤は、化学分解するか、さもなければ熱可塑性品から消失するため、安定剤を補充するそのような方法から利益にもなる。
【0006】
光安定剤(LS)、UVAおよびHALSが、コーティングまたはポリマー品を入射UV光から防御することが非常に必要である表面から非常に急速に失われることは周知である。したがって、コーティング系またはポリマー品の表面のLSを補充することは、最大の安定化効果を提供する。
【0007】
UVAを自動車用コーティングに補充するそのような方法の一つは、米国特許第5,487,914号に開示されている。しかしこの方法は、追加の加熱ステップを必要とする。
【0008】
同様に、米国特許第4,322,455号および同第4,323,597号は、ポリカーボネートの表面にUVAを含浸させる方法を開示している。同じく、追加の加熱ステップを必要とする。
【0009】
米国特許第4,146,658号も、ポリカーボネートを表面含浸させる方法を開示している。その実施例は全て、ポリカーボネートを250°F(=121.1℃)に加熱することを含む。更に米国特許第4,146,658号、同第4,322,455号、および同第4,323,597号は全て、非常に特異的な溶媒を選択してUVA浸透を促進し、ポリマー表面の擦傷を防ぐ必要がある。
【0010】
本発明は、光安定剤をポリマー材料、例えば自動車用コーティング、船舶用コーティング、保護コーティングおよび機能性膜、熱可塑性品および熱可塑性複合材料、ポリマーの積極的な加熱を必要としないプラスチック材などに取入れる一般的方法を提供する。この方法は、時間を経た材料もしくは風化した材料へのLSの補充か、LSを非光安定材料の導入か、または既に安定化した系のLSの強化に使用することができる。野外暴露、例えば温暖日の日光への暴露、に遭遇する周囲条件は一般的に、安定剤をポリマー表面に拡散させるのに十分であろう。したがって、本発明の更なる利点は、方法を物品の洗浄または浄化などの日常的な保持活動に組み入れることができることである。
【0011】
発明の概要
本発明は、光安定剤をポリマー基材に取入れる方法であって、
十分な粘度および膜形成能を有する非反応性担体を配合した、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤または両方の、効果的な量を含む除去可能なコーティング組成物を提供するステップと、
紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤または両方を、基材に十分に拡散させるために十分な時間、コヒーレント層を保持するステップと、
紫外線吸収剤、ヒンダートアミン光安定剤、または両者を基材に拡散させるために前記十分な時間、コーティング層をポリマー基材と接触させておくステップと、
を含む方法に関する。
【0012】
コーティング層の残渣は、十分な安定剤拡散が起こった後、洗浄などの方法で除去してもよい。あるいはコーティング残渣は、無期限に基材上に放置するか、または自然の腐食もしくは摩耗がコーティング残渣の除去を引き起こすまで基材上に放置してもよい。
【0013】
組成物は、液体、乳化液、ゲル、または低融点固体の形態であってもよい。組成物はまた、基材を膨張し得る実質的に非揮発性の溶媒を含んでいてもよい。
【0014】
コーティング組成物の粘度または膜形成能を制御することで、本発明のコーティングの塗布前後に、ポリマー基材を積極的に加熱する必要がない。自然の屋外風化の条件などの周囲条件は、安定剤を拡散させるのに十分であろう。
【0015】
本発明は、風化の際にコーティング系、例えば、自動車用コーティング、船舶用ゲルコート、またはいずれか他の塗料した物体、の表面から失われた光安定剤の交換に使用することができる。
【0016】
本発明は、風化の際に熱可塑性品またはポリマー膜から失われる光安定剤の交換に使用することもできる。
【0017】
本発明は、光安定剤を風化の前にポリマー系へ添加することに使用することもできる。加工後に安定剤を添加することが有利となる例は、特定の光安定剤の存在が硬化により妨害される光硬化系、物体全体よりはむしろ表面のみに光安定剤が必要な厚い物品、または早期に添加された安定剤には加工条件が過酷である場合、例えば高温加熱または強酸触媒、が挙げられる。
【0018】
ポリマー材料の経時的変化に影響を及ぼす他の添加剤を、本発明の方法で取入れることもできる。
【0019】
発明の詳細な説明
本発明は、光安定剤、例えば紫外線吸収剤(UVA)およびヒンダードアミン光安定剤(HALS)を、ポリマー材料、例えば熱硬化性または光硬化性のコーティングまたは塗料、船舶用ゲルコート、成形した熱可塑性品、プラスチック材のような複合材料(ポリマーと、木材のかんなくず、木粉、または他の木の粒子とのブレンド)から製造した物品、または保護膜に取入れる方法に関する。方法は、ポリマー材料を加工または使用した後、例えばコーティングを硬化した後、物品を成形した後、または膜を塗布した後にいつでも用いられるが、風化の結果、失われた安定剤を補充するのに特に有用である。
【0020】
光安定剤、UVAおよびHALSは、入射UV光からコーティングを保護することが非常に必要とされているコーティングの表面から非常に急速に失われる。本発明の特に望ましい使用の一つは、即ち、塗料を物品に塗布して、硬化した塗料コーティングをUV光の環境に暴露した後に、UVAを塗料およびコーティングに補充することである。しかしこの開示を参照すれば自明であるように、方法はそれに限定されない。
【0021】
本発明の方法から利益となる塗料およびコーティングは、本発明の開示を参照すれば当業者には容易に明白となるが、非限定的に、自動車用のベースコートおよび透明コートとして使用されるものが挙げられる。そのような自動車用コーティングの例は、アクリル/メラミン、アクリル/ウレタン、ポリエステル/ウレタン、およびエポキシ/酸系塗料であり、生理食塩水の機能性に基づいたコーティングまたはそれを取入れたコーティングを包含する。
【0022】
船舶用コーティング、木材用コーティング、金属用の他のコーティング、ならびにプラスチックおよびセラミックへのコーティングをはじめとする他のコーティング系が、本発明の開示にから利益となることも、容易に明白となろう。そのような船舶用コーティングの具体例は、不飽和ポリエステル、スチレンおよび触媒を含むゲルコートである。
【0023】
コーティングに加えて、LSの補充を有することから利益となる他のポリマー材料、例えば熱可塑性樹脂は、本発明の方法に付することができる。本発明の方法から利益となるプラスチックは、非限定的に、自動車または機械の部品の製造に用いられるプラスチック、屋外用家具、ボート、ビニールサイディング、保護膜、デカルコマニア、シーラント、プラスチック材および繊維強化複合材料のような複合材料、ならびに偏光性膜、導電性膜およびディスプレイに用いられる他の膜などの機能性膜が挙げられる。そのようなプラスチックの具体例は、ポリプロピレン、ポリエチレン、PVC、スチレニクス、ポリアミド、脂肪族ウレタン、脂肪族ポリエステル、熱可塑性ポリオレフィン、イオノマー、不飽和ポリエステル、ならびにABS、SANおよびPC/ABSを含むポリマー樹脂のブレンドである。
【0024】
ポリマー基材の最終形態は、無関係である。例えば、成形品、例えば自動車のダッシュボードおよび郵便受け並びに合成繊維で構成される物品、例えば日よけ、カーペットおよび家具部品、およびゴム製品、例えば屋外用マット類、は全て、安定剤の補充用として本発明の方法から利益を得ることができる。
【0025】
加工条件または相互作用性材料の存在が、加工時のポリマー材料へのLSの添加を妨害する場合がある。また、既に特定量のLSを含有するポリマー材料の表面でLS濃度を上昇させる必要があってもよい。したがって本発明の別の態様は、風化の跡がみえないポリマー材料にLSを添加することで、LSを含有していない材料にLSを導入するか、またはLSが既に添加されたポリマー材料の表面を強化する方法である。そのようなポリマー材料の例は、先に引用した同じ材料および製品が挙げられる。
【0026】
光安定組成物は、最低限で、非反応性担体、ならびにUV吸収剤およびHALSからなる群から選択される光安定化合物の少なくとも1種を含む。非反応性担体は、UV吸収剤、HALS、またはポリマーに対して実質的に非反応性の担体である。この担体は、液体または低融点の固体(即ち約50℃未満の融点を有する)であってもよいが、好ましくは本発明の方法の際に担体とポリマー材料基材の間で密な接触が確実に得られるよう、好ましくは液体である。担体は、単独成分であっても、または、揮発性もしくは非揮発性であってもよい成分の混合物を含んでいてもよい。本発明の方法の際にポリマー材料表面が湿潤されるのであれば、個々の担体は本発明の方法にとって重要でない。
【0027】
同じく光安定化組成物は、安定剤をポリマーに拡散させるために十分な時間、ポリマー材料と接触させておくために十分高い粘度を有するよう配合させる。したがって担体は、増粘剤および他のレオロジー調整剤を含んでいてもよい。
【0028】
組成物中に含まれるUVAは、そのような添加剤またはUVAの混合物であってもよく、その多くは当該技術分野で周知である。そのような材料の具体例は、2−(2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、トリスアリール−o−ヒドロキシフェニル−s−トリアジン、オルトヒドロキシベンゾフェノン、シアノアクリラート、オキサニリド、ベンジリデンマロナート、ベンゾキサジノンUV吸収剤、シンナマートおよびサリチラートを包含する置換および非置換安息香酸のエステル、ホルムアミジン、ジベンゾイルメタン、ならびにp−アミノ安息香酸のエステルである。選択する厳密なUVAまたはUVA混合物は、個々の用途に大きく依存する。例えば、より過酷な条件で使用される場合には、より堅牢なUVA、例えばベンゾトリアゾール、オルトヒドロキシベンゾフェノン、トリフェニルトリアジン、シアノアクリラート、オキサニリド、ベンジリデンマロナートが好ましいだろう。
【0029】
2−(2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールは、例えば、公知の市販されるヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾール、ならびに米国特許第3,004,896号;同第3,055,896号;同第3,072,585号;同第3,074,910号;同第3,189,615号;同第3,218,332号;同第3,230,194号;同第4,127,586号;同第4,226,763号;同第4,275,004号;同第4,278,589号;同第4,315,848号;同第4,347,180号;同第4,383,863号;同第4,675,352号;同第4,681,905号;同第4,853,471号;同第5,268,450号;同第5,278,314号;同第5,280,124号;同第5,319,091号;同第5,410,071号;同第5,436,349号;同第5,516,914号;同第5,554,760号;同第5,563,242号;同第5,574,166号;同第5,607,987号;同第5,977,219号;および同第6,166,218号に開示されたベンゾトリアゾールであり、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−sec−ブチル−5−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ビス−α−クミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−(2−(ω−ヒドロキシオクタ(エチレンオキシ)カルボニルエチル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−ドデシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−(2−オクチルオキシカルボニル)エチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、ドデシル化2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−(2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル)−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−(2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル)−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル−2H−ベンゾトリアゾール、2,2'−メチレン−ビス(4−t−オクチル(6−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−オクチル−5−α−クミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−フルオロ−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−α−クミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−α−クミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、メチル3−(5−トリフルオロメチル)−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマート、5−ブチルスルホニル−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−α−クミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−ブチルスルホニル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、および5−フェニルスルホニル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールである。
【0030】
トリスアリール−o−ヒドロキシフェニル−s−トリアジンは、例えば、公知の市販されるトリスアリール−o−ヒドロキシフェニル−s−トリアジン、ならびに米国特許第3,843,371号;同第4,619,956号;同第4,740,542号;同第5,096,489号;同第5,106,891号;同第5,298,067号;同第5,300,414号;同第5,354,794号;同第5,461,151号;同第5,476,937号;同第5,489,503号;同第5,543,518号;同第5,556,973号;同第5,597,854号;同第5,681,955号;同第5,726,309号;同第5,736,597号;同第5,942,626号;同第5,959,008号;同第5,998,116号;同第6,013,704号;同第6,060,543号;同第6,242,598号;および同第6,255,483号に開示されたトリアジンであり、4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン、4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−6−(4−クロロフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−6−(4−クロロフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−6−(4−ブロモフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス〔2−ヒドロキシ−4−(2−アセトキシエトキシ)フェニル〕−6−(4−クロロフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(4−ビフェニリル)−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシカルボニルエチリデンオキシフェニル)−s−トリアジン、2−フェニル−4−〔2−ヒドロキシ−4−(3−sec−ブチルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル〕−6−〔2−ヒドロキシ−4−(3−sec−アミルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル〕−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル〕−s−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−n−ブチルオキシフェニル)−6−(2,4−ジ−n−ブチルオキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ノニルオキシ*−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−5−α−クミルフェニル〕−s−トリアジン(*は、オクチルオキシ基とノニルオキシ基とデシルオキシ基との混合を示す)、メチレンビス−{2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ブチルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−s−トリアジン}、3:5'、5:5'および3:3'位で5:4:1の比で架橋したメチレン架橋ダイマー混合物、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−イソオクチルオキシカルボニルイソプロピリデンオキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−5−α−クミルフェニル)−s−トリアジン、2−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,6−ビス〔2−ヒドロキシ−4−(3−ブチルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル〕−s−トリアジン、2,4,6−トリス〔2−ヒドロキシ−4−(3−sec−ブチルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル〕−s−トリアジン、4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−2−(2−ヒドロキシ−4−(3−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)−s−トリアジンと4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−2−(2−ヒドロキシ−4−(3−トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)−s−トリアジンとの混合物、Tinuvin(登録商標)400(Ciba Specialty Chemicals Corp.,)、4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−2−(2−ヒドロキシ−4−(3−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)−s−トリアジン、および4,6−ジフェニル−2−(4−ヘキシルオキシ−2−ヒドロキシフェニル)−s−トリアジンである。
【0031】
2−ヒドロキシベンゾフェノンは、例えば、4−ヒドロキシ、4−メトキシ、4−オクチルオキシ、4−デシルオキシ、4−ドデシルオキシ、4−ベンジルオキシ、4,2',4'−トリヒドロキシ、および2'−ヒドロキシ−4,4'−ジメトキシの誘導体である。
【0032】
置換および非置換安息香酸のエステルは、例えば、4−tert−ブチルフェニルサリチラート、フェニルサリチラート、オクチルフェニルサリチラート、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−tert−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾアート、ヘキサデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾアート、オクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾアート、2−メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェニル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾアートである。オクチルメトキシシンナマート;2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナマート;2−エチルヘキシルメトキシシンナマート;2−エトキシへキシル−4−メトキシシンナマート;2−プロペン酸,3−(4−メトキシフェニル)−,2−エチルヘキシルエステル;オクチノキサート;および2−エチルヘキシルp−メトキシシンナマート。
【0033】
シアノアクリラートおよびベンジリデンマロナートは、例えば、α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸エチルエステルまたはイソオクチルエステル、α−カルボメトキシケイ皮酸メチルエステル、α−シアノ−β−メチル−p−メトキシケイ皮酸メチルエステルまたはブチルエステル、α−カルボメトキシ−p−メトキシケイ皮酸メチルエステル、N−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチルインドリン、ジメチルp−メトキシベンジリデンマロナート、およびジ−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)p−メトキシベンジリデンマロナートである。
【0034】
オキサニリドは、例えば、4,4'−ジオクチルオキサニリド、2,2'−ジエトキシオキサニリド、2,2'−ジオクチルオキシ−5,5'−ジ−tert−ブトキサニリド、2,2'−ジドデシルオキシ−5,5'−ジ−tert−ブトキサニリド、2−エトキシ−2'−エチルオキサニリド、N,N'−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−tert−ブチル−2'−エトキサニリドおよび、その2−エトキシ−2'−エチル−5,4'−ジ−tert−ブトキサニリドとの混合物、o−メトキシ二置換オキサニリドとp−メトキシ二置換オキサニリドとの混合物、ならびにo−エトキシ二置換オキサニリドとp−エトキシ二置換オキサニリドとの混合物である。
【0035】
例えば、UVAは、
2−(3',5'−ジ−tert−アミル−2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(3'−tert−ブチル−2'−ヒドロキシ−5'−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、
2−〔3'−tert−ブチル−5'−(2−メトキシカルボニルエチル)−2'−ヒドロキシフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物、
2−〔2'−ヒドロキシ−3'−(α,α−ジメチルベンジル)−5'−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、
5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
2−(2'−ヒドロキシ−5'−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、
2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブチルオキシフェニル)−6−(2,4−ビスブチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
トリス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンのα−クロロプロピオン酸エステル(C7〜C9アルコールの異性体混合物から製造)の混合物との反応生成物、
2−〔4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2−(5'−tert−オクチル−2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(3'−ドデシル−5'−メチル−2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(3'−tert−ブチル−5'−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)−2'−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、
2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナマート、
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、
2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸エチルエステルまたはイソオクチルエステル、
α−カルボメトキシケイ皮酸メチルエステル、
α−シアノ−β−メチル−p−メトキシケイ皮酸メチルエステルまたはブチルエステル、
α−カルボメトキシ−p−メトキシケイ皮酸メチルエステル、
ジメチルp−メトキシベンジリデンマロナート、
ジ−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)p−メトキシベンジリデンマロナート、
2,2'−ジエトキシオキサニリド、
2,2'−ジオクチルオキシ−5,5'−ジ−tert−ブトキサニリド、
2,2'−ジドデシルオキシ−5,5'−ジ−tert−ブトキサニリド、
2−エトキシ−2'−エチルオキサニリド、
N,N'−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、
2−エトキシ−5−tert−ブチル−2'−エトキサニリドおよび、その2−エトキシ−2'−エチル−5,4'−ジ−tert−ブトキシアニリドとの混合物、ならびに
o−メトキシ二置換オキサニリドとp−メトキシ二置換オキサニリドとの混合物、およびo−エトキシ二置換オキサニリドとp−エトキシ二置換オキサニリドとの混合物、
からなる群から選択される化合物の1種以上である。
【0036】
例えば、UVAは、
2−(3'−tert−ブチル−2'−ヒドロキシ−5'−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、
2−〔3'−tert−ブチル−5'−(2−メトキシカルボニルエチル)−2'−ヒドロキシフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物、
2−〔2'−ヒドロキシ−3'−(α,α−ジメチルベンジル)−5'−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、
5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
トリス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンの、α−クロロプロピオン酸エステル(C7〜C9アルコールの異性体混合物から製造)の混合物との反応生成物、
2−〔4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2−(3'−ドデシル−5'−メチル−2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2'−ヒドロキシ−5'−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、
2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、
α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸エチルエステルまたはイソオクチルエステル、
ジ−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)p−メトキシベンジリデンマロナート、および
2−エトキシ−2'−エチルオキサニリド、
からなる群から選択される化合物の1種以上である。
【0037】
組成物に含まれるHALSは、そのような添加剤、またはHALSの混合物であってもよく、その多くは当該技術分野で周知である。HALSはまた、オリゴマーまたはポリマーであってもよい。
【0038】
HALSは、例えば、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−アリル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ベンジル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバカート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシナート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバカート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバカート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)n−ブチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロナート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合体、N,N'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−tert−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの直鎖状または環状縮合体、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ニトロトリアセタート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、1,1'−(1,2−エタンジイル)−ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−2−n−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)マロナート、3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4.5〕デカン−2,4−ジオン、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバカート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)スクシナート、N,N'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−モルホリノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの直鎖状または環状縮合体、2−クロロ−4,6−ビス(4−n−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合体、2−クロロ−4,6−ジ(4−n−ブチルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合体、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4.5〕デカン−2,4−ジオン、3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、3−ドデシル−1−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、4−ヘキサデシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンと4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの混合物、N,N'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−シクロヘキシルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合生成物、1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンおよび4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合生成物(CAS登録番号〔136504−96−6〕);N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−n−ドデシルスクミンイミド、N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−n−ドデシルスクミンイミド、2−ウンデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ〔4,5〕デカン、7,7,9,9−テトラメチル−2−シクロウンデシル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ〔4,5〕デカンとエピクロロヒドリンとの反応生成物、1,1−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニル)−2−(4−メトキシフェニル)エタン、N,N'−ビスホルミル−N,N'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン、4−メトキシメチレンマロン酸の1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ヒドロキシピペリジンとのジエステル、ポリ〔メチルプロピル−3−オキシ−4−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)〕シロキサン、マレイン酸無水物−α−オレフィン共重合体の2,2,6,6−テトラメチル−4−アミノピペリジンまたは1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−アミノピペリジンとの反応生成物である。
【0039】
立体障害アミンは、米国特許第5,980,783号、同第6,046,304号、および同第6,297,299号に記載された化合物の1種であってもよく、それらの開示は、本明細書に参考することにより組み込まれる。
【0040】
HALSは、また、N原子がヒドロキシ置換アルコキシ基で置換された立体障害アミンであり、例えば、1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−4−オクタデカノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(2−ヒドロキシ−2−メトキシプロポキシ)−4−ヘキサデカノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−オキシ−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンのt−アミルアルコールからの炭素基との反応生成物、1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート、ビス(1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジパート、ビス(1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)スクシナート、ビス(1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)グルタラート、および2,4−ビス{N−〔1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル〕−N−ブチルアミノ}−6−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−s−トリアジンなどの化合物である。
【0041】
例えばHALSは、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5.1.11.2〕ヘンエイコサン−20−プロピオン酸,2,2,4,4−テトラメチル−21−オキソ−,ドデシルエステル、
3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−2,5−ピロリジンジオン、
1−アセチル−4−(3−ドデシル−2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ〕−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン、
4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、
2−ウンデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ〔4,5〕デカン、
ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
2,4−ジクロロ−6−tert−オクチルアミノ−s−トリアジンと4,4'−ヘキサメチレンビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)との重縮合生成物、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
N,N',N'',N'''−テトラキス〔(4,6−ビス(ブチル−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)アミノ−s−トリアジン−2−イル)−1,10−ジアミノ−4,7−ジアザデカン、
N−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−n−ドデシルスクシンイミド、
N−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル−n−ドデシルスクシンイミド、
4−C15〜C17アルカノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
1,5−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−1,5−ジアザ−4−オキソプロパン、
1,3,5−トリス〔3−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルアミノ)−2−ヒドロキシプロピル〕イソシアヌラート、
ジ−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)p−メトキシベンジリデンマロナート、および
2,4−ジクロロ−6−〔N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ〕−s−トリアジンと1,10−ジアミノ−4,7−ジアザデカンとの重縮合生成物、
からなる群から選択される化合物の1種以上である。
【0042】
例えばHALSは、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5.1.11.2〕ヘンエイコサン−20−プロピオン酸,2,2,4,4−テトラメチル−21−オキソ−,ドデシルエステル、
3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−2,5−ピロリジンジオン、
1−アセチル−4−(3−ドデシル−2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、および
2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ〕−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン、
からなる群から選択される化合物の1種以上である。
【0043】
コーティング組成物を形成するために、いずれかの技術により光安定剤を組成物の非反応性担体および別の補助的材料と混合するが、個々の混合および加工は本発明にとって重要ではない。選択した具体的なUVAおよびHALは、担体の組成に依存するだろう。例えば、選択した安定剤は、ポリマー基材に均等かつ効率的に塗布させるために十分安定した溶液、懸濁液、またはエマルションを形成しなければならない。
【0044】
レオロジーは、理想的には擬塑性でなければならず、せん断細分化(shear thinning)加工、例えば吹き付けの際に容易な塗布を可能にし、付着時およびせん断応力の除去時に粘性が急速に回復しなければならない。
【0045】
安定剤を特定の担体からポリマー基材に拡散させる速度も、用いる安定剤および濃度両者の選択に影響を与えるだろう。
【0046】
コーティング組成物中に存在する安定剤の量は、コーティングの形態および基材への塗布方法にも依存する。コーティング組成物は、液体、乳化液、ゲル、または低融点固体の形態であってもよい。光安定剤をポリマーに拡散させるのに十分長い時間、光安定剤をポリマー表面と接触させておくことが本質的要素である。したがってコーティング配合剤は、以下の性質を有する。
【0047】
液体である場合、塗布の際のコーティング組成物は、1分間あたり20回転の#4スピンドルを使用したBrookfield Viscometerで測定した場合、光安定剤は、少なくとも約500cps、例えば約500〜約10,000cps、例えば約500〜約5000cps、または例えば約1000〜約2500cpsの粘度を有する。
【0048】
最適な厚さの選択は、組成物のUVAおよびHALS濃度をはじめとする複数の因子に依存するが、ポリマー基材にそのように提供されるコーティング組成物の厚さは、塗布すると約25〜約1000ミクロンであり、本発明の開示を参照すれば当該技術分野の範囲内であろう。例えば、コーティング組成物は、約50〜600ミクロン、例えば約50〜200ミクロンの湿潤膜に塗布する。
【0049】
ポリマー表面に共に保持される光安定剤、UVAおよびHALSの一緒の量が、拡散に必要な時間を通して少なくとも0.2g/m2を保持するのであれば、この層を揮発性成分の蒸発により乾燥して、25〜1000ミクロンよりもかなり薄い膜にしてもよい。例えば、湿潤膜または乾燥膜のいずれかであるコーティング層に含有される光安定剤の総量は、約0.2g/m2〜約10g/m2または約0.5g/m2〜6g/m2である。例えば、コーティング組成物を配合して塗布し、ポリマー表面にコヒーレント層を残留させ、ポリマー表面に約0.5g/m2〜約2g/m2の光安定剤を提供する。
【0050】
そのような液体配合剤では、塗布によるコーティング組成物中の安定剤の量は、約0.1〜約10重量%である。例えば、配合されたコーティングは、光安定剤を約0.2〜約5重量%、例えば光安定剤を約0.4〜約2重量%含む。配合剤中の光安定剤は、UVAのみ、HALSのみ、またはUVAとHALSの混合物を含むことができ、本明細書に詳述した重量%と等しくする。例えば、HALSに対するUVAの重量比は、約9:1〜約1:9、または約3:1〜約1:3である。例えば、HALSに対するUVAの重量比は、約1:1である。
【0051】
コーティングをゲル、濃厚な油またはろう状固体として塗布する場合、塗布の際のコーティングの粘度はかなり高くなるが、その塗布方法、例えば布またはブラシでコーティングを広げることが、かなり薄い初期層にしてもよい。この場合、コーティング中のLSの濃度は一般に高く、ポリマー表面の光安定剤は最低で約0.2g/m2に達する。
【0052】
ゲル、油またはろう状固体として塗布されるそのようなコーティングにおいて、光安定剤は、組成物の全重量に基づいて、組成物の少なくとも約5重量%含まれ、組成物の実質的にほぼ全量含まれていてもよい。好ましくは光安定剤は、組成物の約8〜約50重量%含まれる。例えば、ゲル、油またはろう状固体である本発明のコーティング組成物は、組成物の約10〜約30重量%を含む。
【0053】
組成物の形態または塗布の方法に関わらず、そのいずれも本発明の実行にとって重要ではないが、コーティングは、安定剤が拡散に必要な時間を通してポリマー表面に少なくとも0.2g/m2、理想的には約0.5〜約2g/m2付着するように配合する。
【0054】
本発明の開示を参考にすれば、厳密な配合剤は、当業者により日常の実験をとおして容易に決定できる。
【0055】
担体の主な役割は、均質に塗布させて、ポリマー表面とLSとを密に接触させることである。場合により担体は、基材を膨張させ得る実質的に非揮発性の溶媒を含んでいてもよく、溶媒の1種はグリセリンである。
【0056】
有用な担体は、溶媒、有機オリゴマーおよびポリマー、レオロジー調整剤、増粘剤を含む、界面活性剤、せっけん、例えばラウリル硫酸ナトリウムなどの脂肪酸の塩に基づくせっけんなど、シリコーン、および乳化剤から選択される、単独成分または材料の混合物であってもよい。
【0057】
有用な溶媒の例としては、非限定的に、水、炭化水素溶媒、例えばオクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、Stoddard溶媒、Isopar溶媒、フッ化炭素、芳香族溶媒例えばキシレンおよびメシチレン、アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、シクロヘキサノール、デカノール、脂肪アルコール、グリコール、エチレングリコールおよびプロピレングリコールなど)、ケトン、例えばアセトン、ブタノン、ペンタノン、シクロペンタノン、およびシクロヘキサノン、エステル、脂肪族アルコールの酢酸エステル、アミド、および尿素が挙げられる。
【0058】
有機オリゴマーおよびポリマーは、非限定的に、ペトロリュームジェリー、パラフィン油、鉱物油、ポリアクリル酸、アクリルオリゴマー、ポリアクリラートおよびポリアクリルアミドが挙げられる。
【0059】
増粘剤およびレオロジー調整剤は、非限定的に、擬塑性チキソトロープ、例えばVISCALEX(登録商標)AT89(液体分散アクリル酸共重合体)またはVISCALEX(登録商標)HV30(メタクリル酸共重合体会合性増粘剤)、Newtonian流体、アクリルポリマー、架橋性アクリルポリマー、会合性増粘剤、アルギナート、カラゲナン、セルロースおよび誘導体(ナトリウムおよびカリウムなどの異なる対イオンでのカルボキシメチルセルロース誘導体;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、グアー、グアー誘導体、ローカストビーンガム、キサンタンガム、有機粘土、水膨潤性粘土、シリカ、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、アルカリ膨潤性エマルション型増粘剤(ASE)、疎水基修飾ASE(HASE)、疎水基修飾ウレタン増粘剤(HEUR)、および液体分散ポリマー(LDP)が挙げられる。
【0060】
有用な界面活性剤は、非限定的に、アニオン性界面活性剤、例えばスルホナート、カルボキシラート、スルファート、およびホスファート;非イオン性界面活性剤、例えばアセチレングリコール、アルキルポリグリコシド、アルコールエトキシラート、アルキルフェノールエトキシラート、アルカノールアミド、ブロック共重合体、ジアルキルシロキサンおよびフッ素系界面活性剤;カチオン性界面活性剤、例えば第四級アミン、ならびに両性化合物、例えばN−アルキルベタインが挙げられる。
【0061】
本発明のコーティング組成物は、場合により、様々な従来の添加剤、例えば以下に列挙する材料、またはその混合物を、約0.01〜約10重量%、好ましくは約0.025〜約5重量%、特に約0.1〜約2重量%含有していてもよい。
【0062】
アルキル化モノフェノール、アルキルチオメチルフェノール、ヒドロキノンおよびアルキル化ヒドロキノン、トコフェロール、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、アルキリデンビスフェノール、ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化マロナート、芳香族ヒドロキシベンジル化合物、ベンジルホスホナート、アシルアミノフェノール、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステル、β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸のエステル、β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸のエステル、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、フェノチアジンホスファイトおよびホスホナイトをはじめとする抗酸化剤;
【0063】
金属不活性化剤、例えば、N,N'−ジフェニルオキサミド、N−サリチラル−N'−サリチロイルヒドラジン、N,N'−ビス(サリチロイル)ヒドラジン、N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、3−サリチロイルアミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス(ベンジリデン)オキサリルジヒドラジド、オキサニリド、イソフタロイルジヒドラジド、セバコイルビスフェニルヒドラジド、N,N'−ジアセチルアジポイルジヒドラジド、N,N'−ビス(サリチロイル)オキサリルジヒドラジド、N,N'−ビス(サリチロイル)チオプロピオニルジヒドラジド;
【0064】
ヒドロキシルアミン、ニトロンおよびアミンオキシド、例えば米国特許第5,844,029号および同第5,880,191号に開示されたアミンオキシド誘導体、ジデシルメチルアミンオキシド、トリデシルアミンオキシド、トリドデシルアミンオキシド、およびトリヘキサデシルアミンオキシド;
【0065】
ベンゾフラノンおよびインドリノン、例えば、米国特許第4,325,863号、同第4,338,244号、同第5,175,312号、同第5,216,052号、同第5,252,643号、同第5,369,159号、同第5,356,966号、同第5,367,008号、同第5,428,177号、または同第5,428,162号に開示されたもの、または3−〔4−(2−アセトキシエトキシ)フェニル〕−5,7−ジ−tert−ブチルベンゾフラン−2−オン、5,7−ジ−tert−ブチル−3−〔4−(2−ステアロイルオキシエトキシ)フェニル〕ベンゾフラン−2−オン、3,3'−ビス〔5,7−ジ−tert−ブチル−3−(4−〔2−ヒドロキシエトキシ〕フェニル)ベンゾフラン−2−オン〕、5,7−ジ−tert−ブチル−3−(4−エトキシフェニル)ベンゾフラン−2−オン、3−(4−アセトキシ−3,5−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−tert−ブチルベンゾフラン−2−オン、3−(3,5−ジメチル−4−ピバロイルオキシフェニル)−5,7−ジ−tert−ブチルベンゾフラン−2−オン、3−(3,4−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−tert−ブチルベンゾフラン−2−オン、Irganox(登録商標)HP-136(Ciba Specialty Chemicals Corp.,)、および3−(2,3−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−tert−ブチルベンゾフラン−2−オン;ならびに
【0066】
チオ系相乗剤(thiosynergists)、例えばジラウリルチオジプロピオナートまたはジステアリルチオジプロピオナート。
【0067】
他の添加剤、例えば、分散剤、可塑化剤、顔料、染料、蛍光増白剤、流れ調整剤、防炎剤、静電防止剤、透明化剤、防腐剤および殺生物剤。
【0068】
組成物のコーティングを塗布する方法は、組成物の性質、例えば液体またはろう状固体に一部依存するが、本発明にとって重要ではない。コーティングの塗布は、適切なアプリケータ、例えば布、スポンジ、ブラシ、または艶出剤、油、せっけんもしくはワックスの塗布に用いる他の装置で、スプレーすること、または広げることで実行してもよい。
【0069】
塗布の好ましい方法は、液体形態のコーティングをポリマー材料にスプレーして、コーティングを上記の厚さの湿潤膜層、粘液またはエマルションとして残留させることである。
【0070】
組成物中に存在する光安定剤をポリマー、例えばコーティング、膜、成形品、または複合材料へ拡散することを引き起こすのに十分な時間、コーティングをポリマー材料基材と接触させておく。本発明のLSは、多くの移行方法と同様に、低温日よりも温暖日に急速に基材に拡散すると予測される。ポリマー品で吸収された光、例えば日光は、ポリマー表面を暖めるにつれて、安定剤の拡散も増加させるであろう。
【0071】
通常の塗布では、温暖日または好天日の朝に塗布した安定コーティング組成物を、同日の夕方に除去する。例えば、日光中の自動車の外装は、色に依存して容易に35℃以上の温度に達することができる。もちろん、塗布後のコーティング残渣を洗浄または除去することが不便である場合、コーティングをより長期間または無期限に物品に残すことができる。
【0072】
LSのポリマー材料基材への拡散の後、残渣の組成物材料は、基材に残留させるか、または、例えば洗浄で、除去することができる。
【0073】
本発明の方法によれば、組成物中のLSは基材内に拡散するのであり、基材の表面コーティングとして存在するのではない。
【0074】
実施例
【0075】
光安定剤
UVA1:2−(3'−tert−ブチル−2'−ヒドロキシ−5'−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、
UVA2:2−〔3'−tert−ブチル−5'−(2−メトキシカルボニルエチル)−2'−ヒドロキシフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物、
UVA3:2−〔2'−ヒドロキシ−3'−(α,α−ジメチルベンジル)−5'−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、
UVA4:トリス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンの、α−クロロプロピオン酸エステルの混合物(C7〜C9アルコールの異性体混合物から製造)との反応生成物、
UVA5:2−〔4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、
UVA6:2−(3'−ドデシル−5'−メチル−2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
UVA7:2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
UVA8:α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸エチルエステルまたはイソオクチルエステル、
HALS1:ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
HALS2:ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
HALS3:7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5.1.11.2〕ヘンエイコサン−20−プロピオン酸,2,2,4,4−テトラメチル−21−オキソ−,ドデシルエステル、
HALS4:3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−2,5−ピロリジンジオン、
HALS5:2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ〕−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン
【0076】
VISCALEX(登録商標)AT89は、液体分散アクリル酸共重合体である。
VISCALEX(登録商標)HV30は、メタクリル酸共重合体会合性増粘剤である。
ISOPAR(登録商標)H、TEXANOL(登録商標)およびStoddard溶媒は、高沸点の市販される炭化水素系溶媒である。
【0077】
以下の非限定的実施例は、本発明におけるコーティングとして有用な組成物を示す。本発明の開示を参照すれば、他の配合は当業者に自明であろう。パーセント値は全て組成物全量に対する概算の重量パーセント値である。
【0078】
実施例1:
高粘度シリコーン 15%
低粘度シリコーン 10%
UVA1 5%
HALS1 5%
乳化剤 4%
VISCALEX(登録商標)AT89/ISOPAR(登録商標)H 1:1 2%
水 59%
【0079】
実施例2:
ISOPAR(登録商標)溶媒 25%
UVA8 5%
HALS2 2.5%
スルホスクシナート湿潤剤 0.2%
アミノメチルプロパノール 0.3%
VISCALEX(登録商標)HV30 1%
水 66%
【0080】
実施例3:
パラフィン油 30%
UVA4 3%
HALS1 1.5%
WITCONATE(登録商標)P10-59(湿潤剤) 1%
Triton X100(殺生物剤) 1%
アミノメチルプロパノール 〜0.3%
RHEOVIS(登録商標)152(レオロジー調整剤) 1%
水 62.2%
【0081】
実施例4:
モンタンワックス 50%
脂肪族炭化水素溶媒 35%
HALS1 5%
水添ひまし油ワックス 10%
【0082】
実施例5:
Stoddard溶媒 20%
UVA5 2%
低分子量シリコーン 10%
OPTIFLO(登録商標)H400 増粘剤(Sud-Chemie) 5%
モルホリンオレアート 5%
水 58%
【0083】
実施例6:
テキサノール 30%
UVA2 5%
HALS2 2%
VISCALEX(登録商標)HV30 2%
アミノメチルプロパノール 〜0.3%
水 60.7%
【0084】
実施例7:
高粘度シリコーン 15%
低粘度シリコーン 10%
UVA1 1%
HALS1 1%
乳化剤 4%
VISCALEX(登録商標)AT89/ISOPAR(登録商標)H 1:1 2%
水 67%
【0085】
実施例8:
ISOPAR溶媒 25%
UVA7 1%
HALS2 0.5%
Alcopol O 0.2%
アミノメチルプロパノール 0.3%
VISCALEX(登録商標)HV-30 1%
水 72%
【0086】
実施例9:
パラフィン油 30%
UVA6 0.6%
HALS5 1%
WITCONATE P1059 1%
Triton X100 1%
アミノメチルプロパノール 〜0.3%
RHEOVIS 152 1%
水 65.1%
【0087】
実施例10:
モンタンワックス 50%
脂肪族炭化水素溶媒 35%
HALS3 1%
水添ひまし油ワックス 14%
【0088】
実施例11:
Stoddard溶媒 20%
HALS2 1%
低分子量シリコーン 10%
OPTIFLO(登録商標)H400 増粘剤(Sud-Chemie) 5%
モルホリンオレアート 5%
水 59%
【0089】
実施例12:
テキサノール 30%
UVA2 1%
HALS4 0.6%
VISCALEX(登録商標)HV30 2%
アミノメチルプロパノール 〜0.3%
水 66.1%
【0090】
実施例13:
高粘度シリコーン 15%
低粘度シリコーン 10%
UVA1 0.5%
HALS2 0.5%
乳化剤 4%
VISCALEX(登録商標)AT89/ISOPAR(登録商標)H 1:1 2%
水 68%
【0091】
必要に応じて、20回転の#4スピンドルを用いたBrookfield Viscometerで測定すると1000〜2000cpsになるように、標準法で上記組成物の粘度を調整した。ポリマー表面(例えば自動車もしくは船舶のコーティング、または成形した熱可塑性品)にスプレーすることで、ポリマー基材にコーティングを塗布し、日光の下で12時間放置し、その後、従来の方法で残渣を洗浄した。
【0092】
あるいは、上記組成物の1種を飽和させたアプリケータ、例えばブラシ、スポンジ、布または紙雑巾を、ポリマー品またはコーティング品の表面で通過させることで、コーティングを塗布した。12〜24時間放置した後、従来の方法で残渣を洗浄した。
【0093】
実施例14:
パラフィン油 40%
UVA6 25%
HALS1 10%
Witconate(登録商標)P1059 1%
Triton(登録商標)X100 1%
アミノメチルプロパノール 〜0.3%
Rheovis(登録商標)152 1%
水 〜12%
水添ひまし油ワックス 〜10%
以下の配合剤は、薄い膜厚で塗布されるかなり濃厚なコーティングを例示している。
【0094】
配合剤を均質化して布でポリマーに塗布し、均質な塗装にした。12〜18時間後に、従来の洗浄で残渣を除去した。
【0095】
実施例15:
担体は、市販の洗浄および保守製品(例えば、クレンザー、艶出剤およびワックス)を含むことができる。50%Isopar(登録商標)Hで希釈した粘性上昇剤:Viscalex(登録商標)AT89を添加して、適切な安定剤の移行に必要な未乾燥塗膜厚およびコーティング引張強さ(coating tenacity)(方法の期間に接触し続けるコーティングの能力)を得た。
【0096】
市販の水性カーワックス 97.5%
UVA1 0.05%
HALS1 0.05%
VISCALEX(登録商標)AT89/ISOPAR(登録商標)H 1:1 2.4%
【0097】
上記配合剤を、代表的な自動車用アクリル/メラミンコーティングで塗装した鋼板およびプラスチック板に塗布して、日光に対して5°の角度で屋外に1日放置した。パネルが達した最高温度は、47℃であった。翌日、板を洗浄してコーティングの上層をミクロトームで切除した。ミクロトームで切除した層を抽出して、抽出物をUV分光法で分析したところ、UVAがコーティングの上部7ミクロンに0.5重量%の濃度で移行していることが示された。
【0098】
本発明の開示を参照すれば、本発明の多くの改良が当業者に明白であろう。本発明の真の範囲に含まれるそのような改良は全て、添付の特許請求の範囲に含まれるだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の光安定剤をポリマー材料に取入れる方法であって、
塗布したときの光安定剤が少なくとも0.2g/m2含まれるコヒーレントコーティング層をポリマー基材上に保持するため、十分な粘度または膜形成能を有するよう配合させた非反応性担体に懸濁させた、紫外線吸収剤およびヒンダードアミン光安定剤からなる群から選択される光安定剤を少なくとも1種含む除去可能なコーティング組成物を、ポリマー基材に塗布するステップと、
光安定剤をポリマー基材に拡散させておくステップと、
を含む方法。
【請求項2】
ポリマー材料が、金属、ポリマー、木材、複合材料、セラミック、またはガラス繊維の基材上の硬化コーティングである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
コーティングが、アクリル/メラミン、アクリル/ウレタン、ポリエステル/ウレタン、エポキシ/酸、およびシリコーン含有コーティングからなる群から選択される自動車用コーティングである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
コーティングが、船舶用ゲルコートである、請求項2記載の方法。
【請求項5】
ポリマー材料が、熱可塑性品である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
熱可塑性品が、ポリプロピレン、ポリエチレン、熱可塑性ポリオレフィン、PVC、スチレニクス、ポリアミド、脂肪族ウレタン、脂肪族ポリエステル、イオノマー、不飽和ポリエステル樹脂、天然および合成ゴム、ならびにABS、SANおよびPC/ABSを含む樹脂ブレンドからなる群から選択される樹脂からなる、請求項5記載の方法。
【請求項7】
ポリマー品が、熱硬化性または熱可塑性膜である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
熱硬化性または熱可塑性膜が、導電性、半導性、絶縁性、エレクトロクロミック、電気泳動性、保護性、反射性、屈折性、偏光性、またはIRもしくはUV吸収性である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
ポリマー品が、ポリマーと、木材、ガラス、粘土、または無機物質の、粒子、ナノ粒子または繊維とを含む複合材料である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
複合材料が、プラスチック材である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記拡散ステップの後に、コーティングからの残渣を前記基材から除去する更なるステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
1分間あたり20回転の#4スピンドルを用いたBrookfield Viscometerで測定したとき、コーティング組成物が、約500〜約10,000cpsの粘度を有する液体である、請求項1記載の方法。
【請求項13】
1分間あたり20回転の#4スピンドルを用いたBrookfield Viscometerで測定した場合、コーティング組成物が、約500〜約5,000cpsの粘度を有する液体である、請求項1記載の方法。
【請求項14】
1分間あたり20回転の#4スピンドルを用いたBrookfield Viscometerで測定した場合、コーティング組成物が、約1000〜約2500cpsの粘度を有する液体である、請求項1記載の方法。
【請求項15】
光安定剤が、コーティング組成物の重量に基づいて、合計で約0.1〜約10重量%存在し、ヒンダードアミン光安定剤に対する紫外線吸収剤の重量比が、約1:9〜約9:1である、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール、オルトヒドロキシベンゾフェノン、トリフェニルトリアジン、ベンジリデンマロナート、シアノアクリラートおよびオキサニリドからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記紫外線吸収剤が、
2−(3'−tert−ブチル−2'−ヒドロキシ−5'−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、
2−〔3'−tert−ブチル−5'−(2−メトキシカルボニルエチル)−2'−ヒドロキシフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物、
2−〔2'−ヒドロキシ−3'−(α,α−ジメチルベンジル)−5'−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、
5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
トリス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンのα−クロロプロピオン酸エステルの混合物(C7〜C9アルコールの異性体混合物から製造)との反応生成物、
2−〔4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2−(3'−ドデシル−5'−メチル−2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2'−ヒドロキシ−5'−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、
2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、
α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸エチルエステルまたはイソオクチルエステル、
ジ−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)−p−メトキシベンジリデンマロナート、および
2−エトキシ−2'−エチルオキサニリド、
からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記ヒンダートアミン光安定剤が、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5.1.11.2〕ヘンエイコサン−20−プロピオン酸,2,2,4,4−テトラメチル−21−オキソ−,ドデシルエステル、
3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−2,5−ピロリジンジオン、
1−アセチル−4−(3−ドデシル−2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、および
2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ〕−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン、
からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項19】
コーティング組成物が、ゲル、油、またはろう状固体であり、コーティング組成物が、光安定剤を組成物の全重量に基づいて約5〜約50重量%含む、請求項1記載の方法。
【請求項20】
コーティング組成物が、更に、抗酸化剤、染料、蛍光増白剤、流れ調整剤(flow-control agent)、静電防止剤、防腐剤および殺生物剤からなる群から選択される添加剤を1種以上含む、請求項1記載の方法。

【公表番号】特表2008−514413(P2008−514413A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534006(P2007−534006)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【国際出願番号】PCT/EP2005/054716
【国際公開番号】WO2006/034980
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】