説明

光導波路の検査方法、及び、光コネクタ

【課題】光コネクタに設けられた光導波路の温度変化を検出可能な、光導波路の検査方法及び、光コネクタを提供する。
【解決手段】光コネクタ1に設けられた光導波路5の温度を検査する方法であって、光導波路5に測定光を入射する工程と、光導波路5に測定光を入射した後、光導波路5の光出力側の端部7に設けられた導波路型回折格子9からの反射光を受光する工程と、反射光を受光した後、該反射光の波長を測定する工程と、波長を測定した後、該波長の測定値に基づいて、光導波路5の光出力側の端部7の温度変化を検出する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路の検査方法と光コネクタとに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光導波路の検査方法に関する分野においては、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1に記載の光コネクタの温度検出装置においては、光導波路としての光ファイバを含む光コネクタは、レセプタクルに連結されており、レセプタクルの外壁面に温度検出手段が設けられている。そして、レセプタクルの外壁面に設けられた温度検出手段によってレセプタクルの温度を検出し、この検出されたレセプタクルの温度を光コネクタの温度としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−107282
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の光コネクタの温度検出装置においては、光コネクタを全周にわたって覆うレセプタクルの外壁面の温度をもって光コネクタの温度としている。このため、光コネクタに含まれる光ファイバの温度変化を検出することが困難である。そこで、本発明は、光コネクタに設けられた光導波路の温度変化を検出可能な、光導波路の検査方法と光コネクタとを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光導波路の検査方法は、光コネクタに設けられた光導波路の温度を検査する方法であって、光導波路に測定光を入射する工程と、光導波路に測定光を入射した後、光導波路の光出力側の端部に設けられた回折格子からの反射光を受光する工程と、反射光を受光した後、該反射光の波長を測定する工程と、波長を測定した後、該波長の測定値に基づいて、光導波路の光出力側の端部の温度変化を検出する工程と、を含む、ことを特徴とする。本発明の光導波路の検査方法においては、光導波路の光出力側の端部に設けられた回折格子からの反射光を受光して波長を測定する。この反射光の波長の測定値は、光導波路の光出力側の端部の温度変化に伴って変化する。このため、反射光の波長を測定することによって、光導波路の光出力側の端部の温度変化を検出することができる。
【0006】
また、本発明の光導波路の検査方法は、光コネクタに設けられた光導波路の温度を検査する方法であって、光導波路に測定光を入射する工程と、光導波路に測定光を入射した後、光導波路の光入力側の端部に設けられた第1の回折格子からの第1の反射光と、光コネクタの光出力側の端部に設けられ、第1の回折格子とは異なる格子間隔の第2の回折格子からの第2の反射光とを受光する工程と、第1の反射光と第2の反射光とを受光した後、第1の反射光の波長及び第2の反射光の波長をそれぞれ測定する工程と、第1の反射光の波長及び第2の反射光の波長を測定した後、第1の反射光の波長の測定値と第2の反射光の波長の測定値とに基づいて、光導波路の温度変化を検出する工程と、を含む、ことを特徴とする。本発明の光導波路の検査方法においては、第1の反射光と第2の反射光とを受光して波長を測定する。第1の反射光の波長の測定値は、光導波路の光入力側の端部の温度変化に伴って変化する。また、第2の反射光の波長の測定値は、光導波路の光出力側の端部の温度変化に伴って変化する。このため、第1の反射光の波長と第2の反射光の波長とを測定することにより、光導波路の光出力側の端部の温度変化と、光入力側の端部の温度変化と、を検出することができる。
【0007】
また、本発明の光導波路の検査方法は、光コネクタに設けられた光導波路の温度を検査する方法であって、光導波路に測定光を入射する工程と、光導波路に測定光を入射した後、光導波路の光出力側の端部に設けられた回折格子からの反射光を受光する工程と、反射光を受光した後、該反射光の強度を測定する工程と、強度を測定した後、該強度の測定値に基づいて、光導波路の光出力側の端部の温度変化を検出する工程と、を含む、ことを特徴とする。本発明の光導波路の検査方法においては、回折格子からの反射光の強度を測定する。この反射光の強度の測定値は、光導波路の光出力側の端部の温度変化に伴って変化する。したがって、反射光の強度を測定することによって、光導波路の光出力側の端部の温度変化を検出することができる。
【0008】
また、本発明の光導波路の検査方法においては、測定光を入射する工程は、所定の波長の光を透過する光フィルタを介して光導波路に測定光を入射し、反射光を受光する工程は、光導波路に測定光を入射した後、光導波路の光出力側の端部に設けられた回折格子からの反射光を光フィルタを介して受光し、反射光の強度を測定する工程は、反射光を光フィルタを介して受光した後、該反射光の強度を測定する、ことが好ましい。この場合、回折格子からの反射光を、光フィルタを介して受光し、強度を測定する。この反射光の強度の測定値は、光導波路の光出力側の端部の温度変化に伴って変化する。したがって、反射光の強度を測定することによって、光導波路の光出力側の端部の温度変化を検出することができる。
【0009】
また、本発明の光導波路の検査方法は、光コネクタに設けられた光導波路の温度を検査する方法であって、光導波路に測定光を入射する工程と、光導波路に測定光を入射した後、光導波路の少なくとも光出力側の端部に設けられたチャープト回折格子からの反射光を受光する工程と、反射光を受光した後、該反射光のスペクトルを測定する工程と、スペクトルを測定した後、該スペクトルの形状に基づいて、光導波路の温度変化を検出する工程と、を含む、ことを特徴とする。本発明の光コネクタの温度管理方法においては、チャープト回折格子からの反射光を受光して、反射光のスペクトルを測定する。このスペクトルの形状は、光導波路内部の温度変化に伴って変化する。このため、反射光のスペクトルを測定することによって、光導波路内部の温度変化を検出することができる。
【0010】
また、本発明の光コネクタは、複数の光導波路を備えた光コネクタであって、複数の光導波路は、光出力側の端部に第1の回折格子を有する光導波路を含む、ことを特徴とする。本発明の光コネクタにおいて、複数の光導波路は、光出力側の端部に設けられ所定の波長の光を反射する第1の回折格子を有する光導波路を含む。このため、測定光を第1の回折格子の設けられた光導波路に入射すると、一部が第1の回折格子によって反射される。この反射された反射光の波長の値は、光導波路の光出力側の端部の温度変化に伴って変化する。このため、反射光を受光して波長を測定することによって、光導波路の光出力側の端部の温度変化を検出することができる。
【0011】
また、本発明の光コネクタにおいては、第1の回折格子を有する光導波路は、光入力側の端部に設けられた第2の回折格子をさらに有し、第2の回折格子の格子間隔は、第1の回折格子の格子間隔と異なる、ことが好ましい。この場合、第1の回折格子が設けられている光導波路は、光入力側の端部に設けられた第2の回折格子をさらに備える。このため、測定光を入射すると、一部が第1の回折格子によって反射され、一部が第2の回折格子によって反射される。第1の回折格子からの反射光の波長は、光導波路の光出力側の端部の温度変化に伴って変化する。また、第2の回折格子からの反射光の波長は、光導波路の光入力側の端部の温度変化に伴って変化する。よって、第1の回折格子及び第2の回折格子からの反射光を受光して波長を測定することにより、光導波路の光出力側の端部の温度変化と、光導波路の光入力側の温度変化と、を検出することができる。
【0012】
また、本発明の光コネクタにおいては、第1の回折格子を有する光導波路は、光入力側の端部に設けられた所定の波長の光を透過する光フィルタをさらに有する、ことが好ましい。この場合、第1の回折格子が設けられている光導波路は、光導波路の光入力側の端部に、所定の波長の光を透過する光フィルタを備える。測定光をこの光導波路に入射すると、一部が光フィルタを透過して、第1の回折格子によって反射される。そして、この反射光は、光フィルタを透過して受光される。この受光される反射光の強度は、光導波路の光出力側の端部の温度変化に伴って変化する。このため、この反射光の強度を測定することによって、光導波路の光出力側の端部の温度変化を検出することができる。
【0013】
また、本発明の光コネクタは、複数の光導波路を備えた光コネクタであって、複数の光導波路は、少なくとも光出力側の端部に設けられたチャープト回折格子を有する光導波路を含む、ことを特徴とする。本発明の光コネクタにおいて、複数の光導波路は、チャープト回折格子の設けられた光導波路を含む。このため、この光導波路に測定光を入射すると、一部がチャープト回折格子によって反射される。チャープト回折格子によって反射される反射光のスペクトルの形状は、光導波路内部の温度変化に伴って変化する。このため、反射光のスペクトルを測定することにより、光導波路内部の温度変化を検出することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光コネクタに設けられた光導波路の温度変化を検出可能な、光導波路の検査方法と光コネクタとを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係る装置構成を模式的に表した図である。
【図2】実施形態に係る装置構成を模式的に表した図である。
【図3】第1実施形態及び第2実施形態に係る光導波路の検査方法を説明するための図である。
【図4】第3実施形態及び第4実施形態に係る光導波路の検査方法を説明するための図である。
【図5】実施形態に係る装置構成を模式的に表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、可能な場合には、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
(第1実施形態)図1(a)は、第1実施形態に係る装置構成を模式的に表した図である。図1(a)に示されるように、光コネクタ1及び光コネクタ2は、レーザ光を伝送するための光ファイバ3を他の光ファイバ4に接続するためのコネクタである。光コネクタ1は光導波路5を有する。光導波路5は、導波路型回折格子9を含む。導波路型回折格子9は、光導波路5の光出力側の端部7に設けられている。光コネクタ2は、光導波路8を有する。光導波路5の光入力側の端部6は光ファイバ3に光学的に接続され、光導波路5の光出力側の端部7は、光導波路8の光入力側の端部に接続されている。光導波路8の光出力側の端部は光ファイバ4に光学的に接続されている。光ファイバ3の一端は、光導波路5の光入力側の端部6に光学的に接続され、他端は光学系16を介してレーザ光源10と温度変化検出部11とに光学的に接続されている。
【0018】
図2は、レーザ光源10、温度変化検出部11及び光学系16の具体的な構成例を示す図である。レーザ光源10は、例えばレーザダイオード(不図示)及びレーザダイオードの駆動回路(不図示)等を有する。レーザ光源10は、光学系16を介して、光ファイバ3にレーザ光を入射する。温度変化検出部11は、測定用光源14と受光部15とを有する。測定用光源14は、例えば、白色光源である。測定用光源14は、光学系16を介して、光ファイバに測定光を入射する。受光部15は、レーザ光源10に接続されており、例えば、図示しないフォトダイオード等の受光素子、A/Dコンバータ、CPU、ROM及びRAM等を有する。受光部15は、光ファイバ3を介して伝送される反射光を、光学系16を介して受光して電気信号に変換し、受光した光の波長や強度等を測定して解析する。さらに、受光部15は、この反射光の波長や強度等の解析結果に基づいて、レーザ光源10から射出されるレーザ光の強度を制御するための信号を、レーザ光源10の駆動回路に送信する。
【0019】
光学系16は、レンズ12,13,17,19及びハーフミラー18,20を有する。レーザ光源10から射出されたレーザ光は、レンズ12、ハーフミラー18及びレンズ13を介して光ファイバ3に入射される。測定用光源14から射出された測定光はレンズ17及びハーフミラー20を介してハーフミラー18に至り、ハーフミラー18により反射された後、レンズ13を介して光ファイバ3に入射される。また、光ファイバ3を介して伝送された反射光は、レンズ13を介してハーフミラー18に至り、ハーフミラー18により反射されてハーフミラー20に至る。さらにハーフミラー20により反射された後、レンズ19を介して受光部15に入射する。
【0020】
続いて、図1(a)、図2及び図3(a)を用いて、第1実施形態に係る光コネクタの検査方法について説明する。図3(a)は、反射光の波長と光強度との関係を例示しおり、横軸は波長を表し、縦軸は反射光強度を表している。先ず、温度変化検出部11の測定用光源14が、光導波路5に測定光を入射する。続いて、光導波路5の光出力側の端部7に設けられた導波路型回折格子9からの反射光を、温度変化検出部11の受光部15が受光する。続いて、受光部15は、この反射光の波長を測定し、この測定値に基づいて、光導波路5の光出力側の端部7の温度変化を検出する。具体的には、図3(a)に示されるように、波長の測定値λが、光導波路5の光出力側の端部7の温度変化に伴って変化するので、受光部15は、この波長の測定値λの変化を検出することにより、光導波路5の光出力側の端部7の温度変化を検出する。続いて、受光部15は、検出した温度変化が所定以上である場合(受光した反射光の波長が所定以上変化した場合)、この温度変化がレーザ光の照射に起因するものとして、レーザ光源10から射出されるレーザ光の強度を制御するための信号をレーザ光源10の駆動回路に送信する。
【0021】
以上説明したように、第1実施形態においては、受光部15が、光導波路5の光出力側の端部7に設けられた導波路型回折格子9からの反射光を受光して波長を測定する。この反射光の波長は、光導波路5の光出力側の端部7の温度変化に伴って変化する。このため、受光部15は、反射光の波長を測定することによって、光導波路5の光出力側の端部7の温度変化を検出することができる。さらに、受光部15は、検出した温度変化に応じて、レーザ光源10から射出されるレーザ光の強度を制御することができるので、レーザ光に起因する光導波路5の光出力側の端部7の温度変化を抑制することができる。
【0022】
(第2実施形態)図1(b)は、第2実施形態に係る装置構成を模式的に表した図である。図1(b)に示されるように、光コネクタ1aは、第1実施形態の光コネクタ1の光導波路5に替えて、光導波路5aを有する。光導波路5aは、導波路型回折格子9及び導波路型回折格子21を含む。導波路型回折格子9は、光導波路5aの光出力側の端部7に設けられており、導波路型回折格子21は、光導波路5aの光入力側の端部6に設けられている。また、導波路型回折格子21の格子間隔は、導波路型回折格子9の格子間隔とは異なる。光導波路5aの他の構成は、第1実施形態の光導波路5と同様である。
【0023】
続いて、図1(b)、図2及び図3(b)を用いて、第2実施形態に係る光コネクタの検査方法について説明する。図3(b)は、反射光の波長と光強度との関係を例示しており、横軸は波長を表し、縦軸は反射光強度を表している。先ず、温度変化検出部11の測定用光源14が、光導波路5aに測定光を入射する。続いて、光導波路5aの光出力側の端部7に設けられた導波路型回折格子9からの反射光と、光導波路5aの光入力側の端部6に設けられた導波路型回折格子21からの反射光と、を温度変化検出部11の受光部15が受光する。続いて、受光部15は、これらの反射光の波長を測定し、これらの測定値に基づいて、光導波路5aの温度変化を検出する。この温度変化の検出について具体的に説明する。図3(b)に示されるように、導波路型回折格子9からの反射光の波長の測定値λは、光導波路5aの光出力側の端部7の温度変化に伴って変化する。また、導波路型回折格子21からの反射光の波長の測定値λは、光導波路5aの光入力側の端部6の温度変化に伴って変化する。受光部15は、波長の測定値λの変化を検出することにより、光導波路5の光出力側の端部7の温度変化を検出し、波長の測定値λの変化を検出することにより、光導波路5aの光入力側の端部6の温度変化を検出する。続いて、光入力側の端部6において温度変化が検出されず、光出力側の端部7において所定以上の温度変化が検出された場合(導波路型回折格子21からの反射光の波長が変化せず、導波路型回折格子9からの反射光の波長が所定以上変化した場合)に限り、受光部15は、この温度変化がレーザ光源10から射出されるレーザ光の照射に起因するものとして、レーザ光源10から射出されるレーザ光の強度を制御するための信号を、レーザ光源10の駆動回路に送信する。
【0024】
以上説明したように、第2実施形態において、受光部15は、光導波路5aの光出力側の端部7に設けられた導波路型回折格子9からの反射光と、光導波路5aの光入力側の端部6に設けられた導波路型回折格子21からの反射光と、を受光して波長を測定する。導波路型回折格子9からの反射光の波長は、光導波路5aの光出力側の端部7の温度変化に伴って変化する。また、導波路型回折格子21からの反射光の波長は、光導波路5aの光入力側の端部6の温度変化に伴って変化する。このため、導波路型回折格子9からの反射光の波長と導波路型回折格子21からの反射光の波長とを測定することにより、光導波路5aの光入力側の端部6の温度変化と、光出力側の端部7の温度変化と、を検出することができる。さらに、受光部15は、光導波路5aの光出力側の端部7にのみ温度変化を検出した場合に限り、検出した温度変化に応じて、レーザ光源10から射出されるレーザ光の強度を制御することができるので、レーザ光に起因する光導波路5aの光出力側の端部7の温度変化を効率良く抑制することができる。
【0025】
(第3実施形態)図1(c)は、第3実施形態に係る装置構成を模式的に表した図である。図1(c)に示されるように、光コネクタ1bは、第1実施形態の光コネクタ1の光導波路5に替えて、光導波路5bを備えている。光導波路5bは、導波路型回折格子9と、光フィルタとして帯域透過フィルタ22と、を含む。導波路型回折格子9は、光導波路5bの光出力側の端部7に設けられており、帯域透過フィルタ22は、光導波路5bの光入力側の端部6に設けられている。帯域透過フィルタ22は、所定の波長帯域の光を透過する。光導波路5cの他の構成は、第1実施形態の光導波路5と同様である。
【0026】
続いて、図1(c)、図2及び図4(a)を用いて、第3実施形態に係る光コネクタの検査方法について説明する。図4(a)は、反射光の強度と光出力側の端部の温度との関係を例示しており、横軸は温度を表し、縦軸は反射光強度を表している。先ず、温度変化検出部11の測定用光源14が、光導波路5bに測定光を入射する。この測定光は、光導波路5bの光入力側の端部6に設けられた帯域透過フィルタ22を透過し、光導波路5bの光出力側の端部7に設けられた導波路型回折格子9によって反射される。温度変化検出部11の受光部15は、この導波路型回折格子9からの反射光を受光する。続いて、受光部15は、この受光した反射光の強度を測定し、この測定値に基づいて、光導波路5bの光出力側の端部7の温度変化を検出する。この温度変化の検出について具体的に説明する。導波路型回折格子9の設けられた光出力側の端部7に温度変化が生じると、導波路型回折格子9からの反射光の波長が変化する。導波路型回折格子9からの反射光の波長が変化して、帯域透過フィルタ22の透過波長領域からのズレが生じると、帯域透過フィルタ22を透過する反射光の強度が変化する。このように、光出力側の端部7に温度変化が生じると、帯域透過フィルタ22を透過して受光部15により受光される導波路型回折格子9からの反射光の強度が変化する。よって、受光部15は、この反射光の強度の変化に基づいて、光出力側の端部7の温度変化を検出することができる。続いて、受光部15は、検出した温度変化が所定以上である場合(受光した反射光の強度が、所定以上変化した場合)、この温度変化がレーザ光の照射に起因するものとして、レーザ光源10から射出されるレーザ光の強度を制御するための信号を、レーザ光源10の駆動回路に送信する。
【0027】
以上説明したように、第3実施形態において、受光部15は、光導波路5bの光出力側の端部7に設けられた導波路型回折格子9によって反射され、帯域透過フィルタ22を透過した光(反射光)を受光して強度を測定する。この反射光の強度は、光導波路5bの光出力側の端部7の温度変化に伴って変化する。このため、受光部15は、この反射光の強度を測定することによって、光導波路5bの光出力側の端部7の温度変化を検出することができる。さらに、受光部15は、検出した温度変化に応じて、レーザ光源10から射出されるレーザ光の強度を制御することができるので、レーザ光に起因する光導波路5bの光出力側の端部7の温度変化を抑制することができる。なお、第3実施形態においては、帯域透過フィルタ22を、光導波路5bの光入力側の端部6に設ける構成としたが、これに限らない。例えば、図2に示されるように、帯域透過フィルタ23を、測定用光源14と光導波路5との間に設けることもできる。この構成によれば、測定光は、帯域透過フィルタ23を介して光導波路5bに入射される。さらに、帯域透過フィルタ22,23に替えて、短波長側の光或いは長波長側の光を透過させるようなエッジフィルタを用いることもできる。また、帯域透過フィルタ22,23を用いる替わりに、出射波長が固定されたレーザ光源を測定用光源14として用いてもよい。この場合、温度変化検出部11の測定用光源14が、光導波路5に出射波長が固定された測定光を入射する。続いて、光導波路5の光出力側の端部7に設けられた導波路型回折格子9からの反射光を、温度変化検出部11の受光部15が受光する。続いて、受光部15は、この反射光の強度を測定し、この測定値に基づいて、光導波路5の光出力側の端部7の温度変化を検出する。具体的には、図4(a)に示されるように、強度の測定値が、光導波路5の光出力側の端部7の温度変化に伴って変化するので、受光部15は、この強度の測定値の変化を検出することにより、光導波路5の光出力側の端部7の温度変化を検出する。続いて、受光部15は、検出した温度変化が所定以上である場合(受光した反射光の強度が所定以上変化した場合)、この温度変化がレーザ光の照射に起因するものとして、レーザ光源10から射出されるレーザ光の強度を制御するための信号をレーザ光源10の駆動回路に送信する。
【0028】
(第4実施形態)図1(d)は、第4実施形態に係る装置構成を模式的に表した図である。図1(d)に示されるように、光コネクタ1cは、第1実施形態の光コネクタ1の光導波路5に替えて光導波路5cを備えている。光導波路5cは、チャープト回折格子24を含む。チャープト回折格子24は、光導波路5cの光入力側の端部6から光出力側の端部7に向かって格子間隔が変化する。このため、チャープト回折格子24は、光導波路5c内の位置に応じて異なる波長の光を反射する。チャープト回折格子24は、少なくとも光導波路5cの光出力側の端部7に設けられている領域を有する。なお、チャープト回折格子24は、5cの光入力側の端部6に設けられている領域を有してもよい。光導波路5cの他の構成は、第1実施形態の光導波路5と同様である。
【0029】
続いて、図1(d)、図2及び図4(b)を用いて、第4実施形態に係る光コネクタの検査方法について説明する。図4(b)は、反射光の波長と光強度の関係(スペクトル)と例示しており、横軸は波長を表し、縦軸は反射光強度を表している。図4(b)に示すスペクトルの長波長側の端部D1は、光導波路5cの光出力側の端部7からの反射光の強度を表し、短波長側の端部D2は、光導波路5cの光入力側の端部6からの反射光の強度を表している。先ず、温度変化検出部11の測定用光源14が、光導波路5cに測定光を入射する。続いて、光導波路5cに設けられたチャープト回折格子24からの反射光を、温度変化検出部11の受光部15が受光する。続いて、受光部15は、受光した反射光のスペクトルを測定し、測定したスペクトルの形状に基づいて、光導波路5cの温度変化を検出する。図4(b)に示されるスペクトルの形状は、光導波路5c内部の温度変化に伴って変化する。受光部15は、スペクトルの形状の変化を検出することにより、光導波路5c内部の温度変化を検出する。続いて、受光部15は、スペクトルの、端部D1における形状のみが所定以上変化した場合、即ち、光導波路5cの光出力側の端部7においてのみ所定以上の温度変化が検出された場合に限り、この温度変化がレーザ光源10から射出されるレーザ光の照射に起因するものとして、レーザ光源10から射出されるレーザ光の強度を制御するための信号を、レーザ光源10の駆動回路に送信する。
【0030】
以上説明したように、第4実施形態において、受光部15は、光導波路5cに設けられたチャープト回折格子24からの反射光を受光してスペクトルを測定する。このスペクトルの形状は、光導波路5c内部の温度変化に伴って変化する。このため、反射光のスペクトルを測定することによって、光導波路5c内部の温度変化を検出することができる。さらに、受光部15は、光導波路5cの光出力側の端部7にのみ温度変化が検出された場合に限り、この温度変化に応じて、レーザ光源10から射出されるレーザ光の強度を制御することができるので、レーザ光に起因する光導波路5aの光出力側の端部7の温度変化を効率良く抑制することができる。
【0031】
(第5実施形態)図5(a)は、第5実施形態に係る光コネクタ25の構成を模式的に表した図である。図5(a)に示されるように、光コネクタ25及び光コネクタ33は、複数の光ファイバ28を他の複数の光ファイバ34に光学的に接続するためのコネクタである。光コネクタ25は、複数の光導波路26を備える。複数の光導波路26は、第1実施形態と同様の光導波路5を少なくとも一つ含む。光コネクタ33は、複数の光導波路32を備える。複数の光ファイバ28の数、複数の光導波路26の数、複数の光導波路32の数及び複数の光ファイバ34の数は同一である。複数の光導波路26の光入力側の端部は、複数の光ファイバ28に光学的に接続され、複数の光導波路26の光出力側の端部は、複数の光導波路32の光入力側の端部に光学的に接続されている。複数の光導波路32の光出力側の端部は、複数の光ファイバ34に光学的に接続されている。複数の光ファイバ28のそれぞれは、一端において、複数の光導波路26の光入力側のそれぞれの端部に光学的に接続されており、他端において、光学系16を介してレーザ光源10と温度変化検出部11とに光学的に接続されている。
【0032】
このように、第5実施形態に係る光コネクタ25は、第1実施形態と同様の光導波路5を備える。したがって、光導波路5の導波路型回折格子9からの反射光を受光して波長を測定することによって、光導波路5の光出力側の端部7の温度変化(更には、複数の光導波路26の光出力側の端部の温度変化)を検出することができる。なお、複数の光導波路26は、二以上の光導波路5を含んでいてもよい。
【0033】
(第6実施形態)図5(b)は第6実施形態に係る装置構成を模式的に表した図である。図5(b)に示されるように、光コネクタ25aは、第5実施形態の光コネクタ25の複数の光導波路26に替えて、複数の光導波路26aを備える。複数の光導波路26aは、第2実施形態と同様の光導波路5aを少なくとも一つ含む。光コネクタ25aの他の構成は第5実施形態の光コネクタ25と同様である。このように、第6実施形態に係る光コネクタ25aは、第2実施形態と同様の光導波路5aを備える。したがって、導波路型回折格子9及び導波路型回折格子21からの反射光を受光して波長を測定することにより、光導波路5aの光出力側の端部7の温度変化(更には、複数の光導波路26aの光出力側の端部の温度変化)と、光導波路5aの光入力側の端部6の温度変化(更には、複数の光導波路26aの光入力側の端部の温度変化)と、を検出することができる。なお、複数の光導波路26aは、二以上の光導波路5aを含んでいてもよい。
【0034】
(第7実施形態)図5(c)は、第7実施形態に係る装置構成を模式的に表した図である。図5(c)に示されるように、光コネクタ25bは、第5実施形態の光コネクタ25の複数の光導波路26に替えて、複数の光導波路26bを備える。複数の光導波路26bは、第3実施形態と同様の光導波路5bを少なくとも一つ含む。光コネクタ25bの他の構成は、第5実施形態の光コネクタ25と同様である。このように、第7実施形態に係る光コネクタ25bは、第3実施形態と同様の光導波路5bを備える。したがって、導波路型回折格子9によって反射され、帯域透過フィルタ22を透過した光(反射光)を受光して、強度を測定することによって、光導波路5bの光出力側の端部7の温度変化(更には、複数の導波路26bの光出力側の端部の温度変化)を検出することができる。なお、複数の導波路26bは、二以上の光導波路5bを含んでいてもよい。また、帯域透過フィルタ22,23に替えて、短波長側の光或いは長波長側の光を透過させるようなエッジフィルタを用いることもできる。
【0035】
(第8実施形態)図5(d)は、第8実施形態に係る装置構成を模式的に表した図である。光コネクタ25cは、第5実施形態の光コネクタ25の複数の光導波路26に替えて、複数の光導波路26cを備える。複数の光導波路26cは、第4実施形態と同様の光導波路5cを少なくとも一つ含む。光コネクタ25cの他の構成は、第5実施形態の光コネクタ25と同様である。このように、第8実施形態に係る光コネクタ25cは、第4実施形態と同様の光導波路5cを備える。したがって、チャープト格子24からの反射光のスペクトルを測定することにより、光導波路5c内部の温度変化を検出することができる。なお、複数の光導波路26cは、二以上の光導波路5cを含んでいてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1,1a,1b,1c,2,25,25a,25b,25c,33…光コネクタ、3,4…光ファイバ、5,5a,5b,5c,8…光導波路、6…光入力側の端部、7…光出力側の端部、9,21…導波路型回折格子、10…レーザ光源、11…温度変化検出部、12,13,17,19…レンズ、14…測定用光源、15…受光部、16…光学系、18,20…ハーフミラー、22,23…帯域透過フィルタ、24…チャープト回折格子、26,26a,26b,26c,32…複数の光導波路、28,34…複数の光ファイバ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光コネクタに設けられた光導波路の温度を検査する方法であって、
前記光導波路に測定光を入射する工程と、
前記光導波路に前記測定光を入射した後、前記光導波路の光出力側の端部に設けられた回折格子からの反射光を受光する工程と、
前記反射光を受光した後、該反射光の波長を測定する工程と、
前記波長を測定した後、該波長の測定値に基づいて、前記光導波路の前記光出力側の端部の温度変化を検出する工程と、を含む、
ことを特徴とする光導波路の検査方法。
【請求項2】
光コネクタに設けられた光導波路の温度を検査する方法であって、
前記光導波路に測定光を入射する工程と、
前記光導波路に前記測定光を入射した後、前記光導波路の光入力側の端部に設けられた第1の回折格子からの第1の反射光と、前記光コネクタの光出力側の端部に設けられ、前記第1の回折格子とは異なる格子間隔の第2の回折格子からの第2の反射光とを受光する工程と、
前記第1の反射光と前記第2の反射光とを受光した後、前記第1の反射光の波長及び前記第2の反射光の波長をそれぞれ測定する工程と、
前記第1の反射光の波長及び前記第2の反射光の波長を測定した後、前記第1の反射光の波長の測定値と前記第2の反射光の波長の測定値とに基づいて、前記光導波路の温度変化を検出する工程と、を含む、
ことを特徴とする光導波路の検査方法。
【請求項3】
光コネクタに設けられた光導波路の温度を検査する方法であって、
前記光導波路に測定光を入射する工程と、
前記光導波路に前記測定光を入射した後、前記光導波路の光出力側の端部に設けられた回折格子からの反射光を受光する工程と、
前記反射光を受光した後、該反射光の強度を測定する工程と、
前記強度を測定した後、該強度の測定値に基づいて、前記光導波路の前記光出力側の端部の温度変化を検出する工程と、を含む、
ことを特徴とする光導波路の検査方法。
【請求項4】
前記測定光を入射する工程は、所定の波長の光を透過する光フィルタを介して前記光導波路に前記測定光を入射し、
前記反射光を受光する工程は、前記光導波路に前記測定光を入射した後、前記光導波路の前記光出力側の端部に設けられた前記回折格子からの前記反射光を前記光フィルタを介して受光し、
前記反射光の強度を測定する工程は、前記反射光を前記光フィルタを介して受光した後、該反射光の強度を測定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の光導波路の検査方法。
【請求項5】
光コネクタに設けられた光導波路の温度を検査する方法であって、
前記光導波路に測定光を入射する工程と、
前記光導波路に前記測定光を入射した後、前記光導波路の少なくとも光出力側の端部に設けられたチャープト回折格子からの反射光を受光する工程と、
前記反射光を受光した後、該反射光のスペクトルを測定する工程と、
前記スペクトルを測定した後、該スペクトルの形状に基づいて、前記光導波路の温度変化を検出する工程と、を含む、
ことを特徴とする光導波路の検査方法。
【請求項6】
複数の光導波路を備えた光コネクタであって、
前記複数の光導波路は、光出力側の端部に第1の回折格子を有する光導波路を含む、
ことを特徴とする光コネクタ。
【請求項7】
前記第1の回折格子を有する光導波路は、光入力側の端部に設けられた第2の回折格子をさらに有し、
前記第2の回折格子の格子間隔は、前記第1の回折格子の格子間隔と異なる、
ことを特徴とする請求項6に記載の光コネクタ。
【請求項8】
前記第1の回折格子を有する光導波路は、光入力側の端部に設けられた所定の波長の光を透過する光フィルタをさらに有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の光コネクタ。
【請求項9】
複数の光導波路を備えた光コネクタであって、
前記複数の光導波路は、少なくとも光出力側の端部に設けられたチャープト回折格子を有する光導波路を含む、
ことを特徴とする光コネクタ。





【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−164528(P2010−164528A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9090(P2009−9090)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】