説明

光拡散性樹脂組成物及びこれを用いた光拡散シート

【課題】光拡散シートに用いた際に、高い演色性及び輝度を実現できる光拡散性樹脂組成物、これを用いた光拡散シート及び光源ユニットを提供すること。
【解決手段】バインダー樹脂(A)を好ましくは1〜80質量%、光拡散剤(B)を好ましくは15〜95質量%、及び一般式(I)で表されるトリメチンシアニン化合物(C)を好ましくは0.0001〜5質量%含有する光拡散性樹脂組成物を、光拡散シートの光拡散層に用いる。光源ユニットは、前記光拡散シートと、光源、好ましくは白色LEDとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の構造を有するトリメチンシアニン化合物を含む光拡散性樹脂組成物及びこれを用いた光拡散シートに関するものである。本発明の光拡散性樹脂組成物及び光拡散シートは、液晶、PDP、有機EL等のディスプレイ、イメージセンサ、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、オーディオ、ビデオ、カーナビゲーション、電話機、携帯端末機及び産業用計測器等の表示用、蛍光灯、LED、EL照明等の照明用等に有用である。
【背景技術】
【0002】
テレビ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、ゲーム機等に用いられている液晶表示装置では、その背面にバックライトユニットを配置しており、このバックライトユニットの光を利用して画像を表示させている。バックライトユニットからの光は、画像・映像を見やすくするために、輝度が高く、且つ均一な発光であることが望まれており、光拡散板又はシートを用いることで均一光を取り出すことが可能となっている。
バックライトの光源としては、従来の冷陰極蛍光ランプ(CCFL)よりも低消費電力・長寿命・小型である白色発光ダイオード(白色LED)が主流となりつつある。また、照明用途においても同様に、寿命や消費電力に優れる白色LEDが盛んに検討されている。
しかしながら、白色LED光は、演色性が低いため、光拡散板又はシートに各種の波長吸収材料を含有させて調整する必要があった。しかし、波長吸収材料は、不要な光を吸収することで演色性を向上させるが、同時に輝度を低下させてしまうという問題があった。
これに対し、不要な光を吸収し、所望の光を放射する染料(蛍光色素)を用いる検討がなされている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
一方、光源・照明の演色性を評価する方法は、JIS Z 8726(光源の演色性評価方法)で規定されており、15色の試験色を照明したときに、基準となる照明光で照明した色と、どのくらい違って見えるかを色差で表し、演色評価数を計算する方法が採用されている。中でも、平均演色評価数(Ra)として表されるものは、試験No.1〜8までの平均演色評価色における基準光と試料光との差を平均値で表したものであり、100に近いほど演色性が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−146115号公報
【特許文献2】特開2009−043611号公報
【特許文献3】特開2008−133443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3に記載されている染料(蛍光色素)は、演色性、色度及び輝度の点で満足できるものではなかった。
従って、本発明の目的は、光拡散シートに用いた際に、高い演色性、色度及び輝度を実現できる光拡散性樹脂組成物、これを用いた光拡散シート及び光源ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、染料(蛍光色素)として、特定の構造を有するトリメチンシアニン化合物を含有させた光拡散性樹脂組成物及びこれを用いた光拡散シートにより、上記目的を達成できることを知見した。
【0007】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、バインダー樹脂(A)、光拡散剤(B)及び下記一般式(I)で表されるトリメチンシアニン化合物(C)を含有する光拡散性樹脂組成物を提供するものである。
【0008】
【化1】

(式中、R1〜R17は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、水酸基、−NRR’、置換されていてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、又は置換されていてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を表し、R及びR’は、各々独立して、水素原子、置換されていてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、又は置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリール基を表す。該アルキル基及びアリールアルキル基中のメチレン基並びに該アリール基とインドレニン環又はトリメチン鎖との結合部は、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−OCO−又は−COO−で中断されていてもよく、該アルキル基及びアリールアルキル基中の炭化水素鎖は、二重結合又は三重結合を有してもよく、R13とR14、R15とR16、並びにR1〜R4及びR5〜R8の隣接する基同士は、互いに連結し環を形成してもよい。
但し、R1〜R8の内少なくとも1つはニトロ基又はトリフルオロメチル基を表す。
Anm-はm価のアニオンを表し、mは1又は2の整数を表し、pは電荷を中性に保つ係数を表す。)
【0009】
また、本発明は、透明な基材層と、該基材層の少なくとも一つの面に形成された光拡散層とを有し、該光拡散層は、上記光拡散性樹脂組成物からなる光拡散シートを提供するものである。
【0010】
また、本発明は上記光拡散シートと、光源(特にLED光源)とを備えた光源ユニットを提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光拡散シートに用いた際に、高い演色性、色度及び輝度を実現できる光拡散性樹脂組成物を提供できる。該光拡散性樹脂組成物を用いた光拡散シートは演色性及び輝度が高いため光源ユニットに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1(a)】本発明の光拡散シートを適用した直下型方式の光源ユニットの一実施形態を示す概略断面図である。
【図1(b)】本発明の光拡散シートを適用した直下型方式の光源ユニットの別の一実施形態を示す概略断面図である。尚、図1(b)の光源ユニットは、図1(a)の光源ユニットとは、光源に対し、光拡散シートの構成が逆になっている。
【図2】本発明の光拡散シートを適用したエッジライト型方式の光源ユニットの一実施形態を示す概略断面図である。
【図3】本発明の光拡散シートを適用した光源ユニットの別の一実施形態を示す断面図である。
【図4(a)】実施例7、比較例8、9における光拡散シートのR成分の輝度の測定方法を説明する概略断面図である。
【図4(b)】比較例7における光拡散シートのR成分の輝度の測定方法を説明する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の光拡散性樹脂組成物、光拡散シート及び光源ユニットについて、好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
【0014】
本発明の光拡散性樹脂組成物は、バインダー樹脂(A)、光拡散剤(B)及び上記一般式(I)で表わされるトリメチンシアニン化合物(C)を含有する。以下、各成分について順に説明する。
【0015】
<バインダー樹脂(A)>
本発明に用いられるバインダー樹脂(A)としては、光拡散剤(B)の粒子同士を接着する機能を有し、トリメチンシアニン化合物(C)と相溶性がよく、後述する透明な基材層に対して接着性の高いものが好ましい。かかるバインダー樹脂(A)としては、例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル; ポリアミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ− 1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリメチルアクリレート、ポリイソブチルメタクリレート、ポリトリフルオロエチルメタクリレート、ポリ−2,3−ジブロモプロピルメタクリレート、ポリフェニルメタクリレート、ポリペンタクロロフェニルメタクリレート、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン;ABS樹脂(アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体);MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体);AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体);ノルボルネン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の中でも、アクリル系樹脂及びMS樹脂は透明性が高いため特に好ましく用いられる。
【0016】
また、本発明に用いられるバインダー樹脂(A)には、熱硬化性樹脂を用いることもできる。熱硬化性樹脂としては、上記のバインダー樹脂(A)に要求される性能「光拡散剤(B)の粒子同士を接着する機能を有し、トリメチンシアニン化合物(C)と相溶性がよく、後述する透明な基材層に対して接着性の高いこと」以外に、熱硬化性を有していればよく、例えば、特開2004−198707号公報に開示されている、アクリルポリマーやポリエステルポリオール等のポリオールを含有するポリマー組成物等が挙げられる。バインダー樹脂(A)として熱硬化性樹脂を用いる場合、本発明の光拡散性樹脂組成物は、架橋剤を含有していること(好ましくは、熱硬化性樹脂100質量部に対し、1〜50質量部)が好ましく、該架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
【0017】
また、本発明のバインダー樹脂(A)には、光硬化性樹脂を用いることもできる。光硬化性樹脂としては、上記のバインダー樹脂(A)に求められる性能「光拡散剤(B)の粒子同士を接着する機能を有し、トリメチンシアニン化合物(C)と相溶性がよく、後述する透明な基材層に対して接着性の高いこと」以外に、光硬化性を有していればよく、例えば、光重合性不飽和化合物及び/又はエポキシ化合物からなるものが挙げられる。該光重合性不飽和化合物及び/又はエポキシ化合物としては、単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。バインダー樹脂(A)として光硬化性樹脂を用いる場合、本発明の光拡散性樹脂組成物は、光重合開始剤を含有していること(好ましくは、光硬化性樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部)が好ましく、該光重合開始剤としては、光の照射によりラジカルを発生させるものであれば特に限定されないが、光の照射前後において、可視光に吸収を有さないものが好ましく、例えば、アルキルフェノン系、オキシム系の光ラジカル開始剤;オニウム系、スルホニウム系の光酸発生剤等が挙げられる。
【0018】
<光拡散剤(B)>
本発明に用いられる光拡散剤(B)としては、室温におけるD線の屈折率が好ましくは1.0〜2.0、より好ましくは1.3〜1.7であり、平均粒子径が好ましくは0.1〜50μm、より好ましくは1〜30μmであるものが用いられ、例えばガラスビース、シリカ粒子、水酸化アルミニウム粒子、炭酸カルシウム粒子、炭酸バリウム粒子、酸化チタン粒子等の無機粒子;架橋スチレン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子等の有機粒子;無機粉末−アクリル樹脂粒子等の無機−有機粒子等が挙げられる。これらの粒子の中でも、有機粒子が光拡散性樹脂組成物中へ均一に分散しやすいため好ましい。
尚、光拡散剤を用いない層(樹脂層)であっても、演色性の優れた光を得ることが可能であるが、樹脂層内で波長変換発光した光は、樹脂層と空気の界面で反射し、樹脂層内部に留まるか、樹脂層の端面から発光するという現象が起こり、結果として前面に放射される光が減少して、輝度の低下を招く。これに対し、光拡散剤を樹脂層に配合すると、上述した現象による輝度の低下が抑止される。このため、光拡散剤は必要なものである。
【0019】
<トリメチンシアニン化合物(C)>
本発明に用いられる上記一般式(I)で表されるトリメチンシアニン化合物(C)は、本発明の光源ユニットが発する光の色純度を向上させ、蛍光を発することで、輝度の低下を抑止するものである。
上記一般式(I)におけるR1〜R17、R及びR’で表される置換されていてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、t−ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−へプタデシル、n−オクタデシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等の直鎖、分岐及び環状のアルキル基が挙げられる。該アルキル基中のメチレン基が−O−で中断された基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、メトキシメチル、エトキシメチル、2−メトキシエチル等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−S−で中断された基としては、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−SO2−で中断された基としては、メチルスルホニル、エチルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−CO−で中断された基としては、アセチル、1−カルボニルエチル、アセチルメチル、1−カルボニルプロピル、2−オキソブチル、2−アセチルエチル、1−カルボニルイソプロピル、シクロペンタンカルボニル等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−OCO−で中断された基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−COO−で中断された基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0020】
上記一般式(I)におけるR1〜R17、R及びR’で表される置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられ、アリール基とインドレニン環又はトリメチン鎖との結合部(以下、アリール基の結合部ともいう)が−O−で中断された基としてはフェノキシ、1−ナフトキシ、2−ナフトキシ等が挙げられ、アリール基の結合部が−S−で中断された基としてはフェニルチオ、1−ナフチルチオ、2−ナフチルチオ等が挙げられ、アリール基の結合部が−SO2−で中断された基としては、フェニルスルホン、1−ナフチルスルホン、2−ナフチルスルホン等が挙げられ、アリール基の結合部が−CO−で中断された基としては、ベンゾイル、1−ナフトイル、2−ナフトイル等が挙げられ、アリール基の結合部が−OCO−で中断された基としては、ベンゾイルオキシ、1−ナフトイルオキシ、2−ナフトイルオキシ等が挙げられ、アリール基の結合部が−COO−で中断された基としては、フェノキシカルボニル基、1−ナフトキシカルボニル基等が挙げられる。
【0021】
上記一般式(I)におけるR1〜R17で表される置換されていてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロピル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、4−クロロフェニルメチル等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−O−で中断された基としては、ベンジルオキシ、フェノキシメチル、フェノキシエチル、1−ナフチルメトキシ基、2−ナフチルメトキシ基、1−アントリルメトキシ等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−S−で中断された基としては、ベンジルチオ、フェニルチオメチル、フェニルチオエチル等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−SO2−で中断された基としては、ベンジルスルホニル等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−CO−で中断された基としては、ベンジルカルボニル基、フェネチルカルボニル、1−ナフチルメチルカルボニル基等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−OCO−で中断された基としては、フェニルアセテート基、1−ナフチルアセテート機等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−COO−で中断された基としては、ベンジルオキシカルボニル基、フェニチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0022】
上記一般式(I)におけるR1〜R17で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0023】
上記の置換されていてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、及び置換されていてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基の置換基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、シクロペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、ビシクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル等のアルキル基;メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、第三アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、イソヘプチルオキシ、第三ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、第三オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ等のアルコキシ基;メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、第二ブチルチオ、第三ブチルチオ、イソブチルチオ、アミルチオ、イソアミルチオ、第三アミルチオ、ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、ヘプチルチオ、イソヘプチルチオ、第三ヘプチルチオ、n−オクチルチオ、イソオクチルチオ、第三オクチルチオ、2−エチルヘキシルチオ等のアルキルチオ基;ビニル、1−メチルエテニル、2−メチルエテニル、2−プロペニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、イソブテニル、3−ペンテニル、4−ヘキセニル、シクロヘキセニル、ビシクロヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、デセニル、ぺンタデセニル、エイコセニル、トリコセニル等のアルケニル基;ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等のアリールアルキル基;フェニル、ナフチル等のアリール基;フェノキシ、ナフチルオキシ等のアリールオキシ基;フェニルチオ、ナフチルチオ等のアリールチオ基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;アセチル、2−クロロアセチル、プロピオニル、オクタノイル、アクリロイル、メタクリロイル、フェニルカルボニル(ベンゾイル)、フタロイル、4−トリフルオロメチルベンゾイル、ピバロイル、サリチロイル、オキザロイル、ステアロイル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル、カルバモイル等のアシル基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等のアシルオキシ基;アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、アニリノ、クロロフェニルアミノ、トルイジノ、アニシジノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ,ナフチルアミノ、2−ピリジルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、ホルミルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ等の置換アミノ基;スルホンアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、イミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基等が挙げられ、これらの基は更に上記の基で置換されていてもよい。また、カルボキシル基及びスルホ基は塩を形成していてもよい。尚、炭素原子を有する置換基で置換される場合は、該置換基を含めたフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;、R及びR’で表される基全体の炭素原子数が規定された炭素原子数範囲を満たすものとする。
【0024】
上記一般式(I)で表されるトリメチンシアニン化合物(C)のカチオン(以下、トリメチンシアニンカチオンともいう)は、下記〔化2〕に示されるような共鳴構造を有するが、下記一般式(X)及び(Y)のどちらの構造式であってもよい。本明細書においては下記一般式(X)の構造で代表して表している。
また、上記トリメチンシアニンカチオンには、R13とR14及びR15とR16で表される基が結合する不斉炭素原子をキラル中心とするエナンチオマー、ジアステレオマー又はラセミ体等の光学異性体が存在する場合があるが、これらのうち、いかなる光学異性体を単離して用いても、あるいはそれらの混合物として用いてもよい。
【0025】
【化2】

(式中、R1〜R17は上記一般式(I)と同義である。)
【0026】
上記トリメチンシアニンカチオンにおいて、R1〜R12が、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、−NRR’(R及びR’が置換されていてもよい炭素原子数6〜20(特に炭素原子数6〜10)のアリール基であるもの)、又は置換されていてもよい(特にハロゲン原子で置換されている)炭素原子数1〜20(特に炭素原子数1〜5)のアルキル基(該アルキル基中のメチレン基は−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−OCO−又は−COO−で中断されていてもよい)であるものが高い蛍光強度を有するため好ましく、R1〜R12が、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、置換されていてもよい(特にハロゲン原子で置換されている)炭素原子数1〜5のアルキル基、又は置換されていてもよい炭素原子数7〜20(特に炭素原子数6〜10)のアリールアルキル基が更に好ましい。R2又はR6がニトロ基又はトリフルオロメチル基であるものは製造が容易であるため特に好ましい。
【0027】
上記トリメチンシアニンカチオンの具体例としては、下記カチオンNo.1〜No.64が挙げられるが、これらのカチオンに制限されない。
【0028】
【化3】

【0029】
【化4】

【0030】
【化5】

【0031】
【化6】

【0032】
【化7】

【0033】
【化8】

【0034】
【化9】

【0035】
【化10】

【0036】
【化11】

【0037】
【化12】

【0038】
【化13】

【0039】
【化14】

【0040】
【化15】

【0041】
【化16】

【0042】
【化17】

【0043】
【化18】

【0044】
【化19】

【0045】
【化19A】

【0046】
上記一般式(I)におけるAnm-で表されるアニオンとしては、例えば、一価のものとして、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、フッ素アニオン等のハロゲンアニオン;過塩素酸アニオン、塩素酸アニオン、チオシアン酸アニオン、六フッ化リン酸アニオン、六フッ化アンチモンアニオン、四フッ化ホウ素アニオン等の無機系アニオン;ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ジフェニルアミン−4−スルホン酸アニオン、2−アミノ−4−メチル−5−クロロベンゼンスルホン酸アニオン、2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸アニオン、特開平8−253705号公報、特表2004−503379号公報、特開2005−336150号公報、国際公開2006/28006号公報等に記載されたスルホン酸アニオン等の有機スルホン酸アニオン;オクチルリン酸アニオン、ドデシルリン酸アニオン、オクタデシルリン酸アニオン、フェニルリン酸アニオン、ノニルフェニルリン酸アニオン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスホン酸アニオン等の有機リン酸系アニオン;ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸アニオン、ビスパーフルオロブタンスルホニルイミドアニオン、パーフルオロ−4−エチルシクロヘキサンスルホネートアニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸アニオン、トリス(フルオロアルキルスルホニル)カルボアニオン、ジベンゾイル酒石酸アニオン等が挙げられ、二価のものとしては、例えば、ベンゼンジスルホン酸アニオン、ナフタレンジスルホン酸アニオン等が挙げられる。また、励起状態にある活性分子を脱励起させる(クエンチングさせる)機能を有するクエンチャーアニオンやシクロペンタジエニル環にカルボキシル基やホスホン酸基、スルホン酸基等のアニオン性基を有するフェロセン、ルテノセン等の金属錯体化合物であるクエンチャーアニオンも本発明の波長変換機能を阻害しない範囲で必要に応じて用いることができる。
【0047】
上記のクエンチャーアニオンとしては、例えば、下記一般式(1)又は(2)で表されるもの、下記式(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)又は(12)で表されるものが挙げられ、特開昭60−234892号公報、特開平5−43814号公報、特開平5−305770号公報、特開平6−239028号公報、特開平9−309886号公報、特開平9−323478号公報、特開平10−45767号公報、特開平11−208118号公報、特開2000−168237号公報、特開2002−201373号公報、特開2002−206061号公報、特開2005−297407号公報、特公平7−96334号公報、国際公開第98/29257号パンフレット等に記載されたようなアニオンも挙げられる。
【0048】
【化20】

(式中、Mは、Fe、Co、Ni、Ti、Cu、Zn、Zr、Cr、Mo、Os、Mn、Ru、Sn、Pd、Rh、Pt又はIrを表し、R18及びR19は、各々独立に、ハロゲン原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基又は−SO2−G基を表し、Gは、アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、ピペリジノ基又はモルホリノ基を表し、a及びbは、各々独立に、0〜4の整数を表す。また、R20、R21、R22及びR23は、各々独立に、アルキル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基又はハロゲン化フェニル基を表す。)
【0049】
【化21】

【0050】
【化22】

【0051】
上記一般式(I)中のAnm-で表されるアニオンとしては、生産性、溶解性及び耐久性の点から、ハロゲンアニオン、六フッ化リン酸アニオン、四フッ化ホウ素アニオン、過塩素酸アニオン、及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸アニオンが好ましい。
【0052】
上記一般式(I)で表されるトリメチンシアニン化合物(C)は、上記トリメチンシアニンカチオンとAnm-で表されるアニオンとの塩であり、従来周知の方法に準じて製造することができる。また、上記例示のトリメチンシアニンカチオンとAnm-で表されるアニオンとは電荷を中性に保つ形で任意に組み合わせることができる。
【0053】
本発明の光拡散性樹脂組成物において、上記一般式(I)で表されるトリメチンシアニン化合物(C)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0054】
本発明の光拡散性樹脂組成物において、バインダー樹脂(A)の含有量は、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%である。バインダー樹脂(A)の含有量が1質量%未満であると、拡散粒子同士や基板との接着力が低下する場合があり、80質量%を超えると、光拡散性が低下する場合がある。
また、光拡散剤(B)の含有量は、好ましくは15〜95質量%、より好ましくは29〜79質量%である。光拡散剤(B)の含有量が15質量%未満であると、十分な光拡散性が得られなくなる場合があり、95質量%を超えると、全光線透過率が低下する場合がある。
また、上記一般式(I)で表されるトリメチンシアニン化合物(C)の含有量は、好ましくは0.0001〜5質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。上記一般式(I)で表されるトリメチンシアニン化合物(C)の含有量が0.0001質量%未満であると、赤色への波長変換効果が小さくなる場合があり、5質量%を超えると、輝度の低下が大きくなる場合がある。
【0055】
本発明の光拡散性樹脂組成物には、上記一般式(I)で表されるトリメチンシアニン化合物(C)以外の色素(その他の色素)を本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。使用できる色素は特に限定されないが、シアニン系色素、ピリジン系色素、オキサジン系色素、クマリン系色素、クマリン色素系染料、ナフタルイミド系色素、ピロメテン系色素、ペリレン系色素、ピレン系色素、アントラセン系色素、スチリル系色素、ローダミン系色素、アゾ系色素、キノン系色素、スクアリリウム系色素、ジケトピロロピロール系色素、イリジウム錯体系色素、ユーロピウム系色素、ポルフィリン系色素、アザポルフィリン系色素、ナフトラクタム系色素等が挙げられる。
【0056】
本発明の光拡散性樹脂組成物には、溶媒を使用することができる。該溶媒としては、特に制限されないが、例えば、水、アルコール系、ジオール系、ケトン系、エステル系、エーテル系、脂肪族又は脂環式炭化水素系、芳香族炭化水素系、シアノ基を有する炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素系の溶媒等が挙げられ、これらの溶媒の中では、ケトン系及び芳香族炭化水素系の溶媒が塗工性に優れるため好ましい。また、溶媒の使用量としては、上記(A)〜(C)の合計量が10〜99質量%となるように用いることが好ましい。
【0057】
本発明の光拡散性樹脂組成物は、上述した光重合開始剤、架橋剤、その他の色素の他、必要に応じて、熱重合開始剤、光安定剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、界面活性剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、重金属不活性剤、透明化剤、造核剤、結晶化剤、相溶化剤等の各種添加剤を使用することができる。本発明において、各種添加剤の含有量は、好ましくは合計で20質量%以下とする。
【0058】
本発明の光拡散性樹脂組成物の製造方法(配合方法)は特に制限されず、従来公知の混合及び混練方法により得ることが出来る。例えば、上記溶媒を用いない場合、上記各成分をヘンシェルミキサー、タンブラー、リボンブレンダー等の公知の混合機を用いて混合した後、溶融混練する方法が挙げられる。また、上記溶媒を用いる場合は、必要に応じてバインダー樹脂(A)を加熱した後、各成分を溶媒に溶解又は分散させる方法(但し、光拡散剤(B)は溶解しない)や、溶媒を用いずに各成分を溶融混練した混合物を溶媒に溶解させる方法等が挙げられる。溶媒使用の有無に関わらず、各成分の配合順序についても特に制限はない。
【0059】
本発明の光拡散性樹脂組成物は、入射した光を好適な輝度及び色純度の拡散光として放射する特性を有するため、以下で説明する光拡散シートの他に、光拡散板として使用することができる。光拡散板は、バインダー樹脂(A)が熱可塑性樹脂である場合、溶融状態の組成物を射出成形、ブロー成形、押出成形、圧縮成形等の公知の手法により成形することで製造できる。また、バインダー樹脂(A)が熱硬化性樹脂である場合、組成物を金型内で硬化させることで製造できる。
あるいはまた、バインダー樹脂(A)が光硬化性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂である場合、これらの樹脂と、光重合開始剤及び/又は架橋剤とを混合した後、光照射及び/又は加熱処理により硬化させることで製造することもできる。
尚、本発明の光拡散性樹脂組成物を光拡散板に用いる場合、塗工性を必要としないため上記溶媒は用いないことが好ましい。
【0060】
次に、本発明の光拡散シートについて説明する。尚、特に説明しない部分については、本発明の光拡散性樹脂組成物における説明が適宜採用される。
【0061】
本発明の光拡散シートは、透明な基材層と、該基材層の少なくとも一つの面に形成された光拡散層とを有し、該光拡散層が本発明の光拡散性樹脂組成物からなるものである。
【0062】
本発明の光拡散シートに用いられる透明な基材層としては、例えば、ガラス等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、エチレン‐酢酸ビニル共重合樹脂、エポキシ樹脂、ポリフルオレン樹脂、シリコーン樹脂等の合成高分子材料を用いることができる。
【0063】
上記透明な基材層は、単一の材料から形成されていても2種以上の材料から形成されていてもよく、また、単一の層から形成されていても複数の層から形成されていてもよい。
【0064】
上記透明な基材層の厚みは、10〜10000μmの範囲であることが好ましく、30〜500μmの範囲であることがより好ましい。
上記透明な基材層の厚みが10μm未満であると、光拡散シートの機械的強度が低下することがある。また、上記透明な基材層の厚みが10000μmを超えると、透明な基材層を通過する光量が減少し、輝度が低下することがある。
【0065】
上記透明な基材層は、可視光に対して80%以上の透過率を有することが好ましく、86%以上の透過率を有することがより好ましい。上記透明な基材層のヘイズは、2%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。上記透明な基材層の屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましい。
【0066】
上記透明な基材層には、各種の表面処理を施してもよい。該表面処理は、例えば、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理等を含む。
【0067】
上記拡散層は、本発明の光拡散性樹脂組成物からなり、上記透明な基材層の少なくとも一つの面に形成される。
上記透明な基材層の少なくとも一つの面に、上記光拡散層を形成する方法としては、特に限定されないが、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スピンコート法あるいはエクストルージョンコート法等が挙げられる。用いる光拡散性樹脂組成物の形態としては、上記溶媒を用いたものが、塗工性及び生産性が優れる点で好ましい。
【0068】
上記光拡散層の厚みは、0.1〜500μmの範囲から選択されることが好ましく、10〜100μmの範囲から選択されることがより好ましい。
上記光拡散層の厚みが0.1μm未満であると、光拡散層に入射した光が充分に拡散されないことがある。また、上記光拡散層の厚みが100μmを超えると、光拡散層を通過する光量が減少し、輝度が低下することがある。
【0069】
上記光拡散層は、単一の材料から形成されていても2種以上の材料から形成されていてもよく、また、単一の層から形成されていても複数の層から形成されていてもよい。
【0070】
次に、本発明の光源ユニットについて図面を参照しながら説明する。尚、特に説明しない部分については、本発明の光拡散性樹脂組成物及び光拡散シートにおける説明が適宜採用される。
【0071】
本発明の光源ユニットは、本発明の光拡散シート10と、光源3とを備えるものである。例えば、直下型方式の光源ユニットとして、図1(a)に示す形態が挙げられる。図1(a)の光源ユニットでは、光源3は、光拡散シート10の透明な基材層1側に設けられていている。また、光源3は、図1(b)に示すように、光拡散シート10の光拡散層2側に設けられていてもよい。
【0072】
本発明の光源ユニットは、光源3で発せられた光が透明な基材層1及び光拡散層2を経て拡散光として放出する機能を有していればよく、光拡散層2とは別の光学機能層、例えばフレネルレンズ層等を有していてもよい。
【0073】
上記光源3としては、発光ダイオード(LED)、冷陰極管、EL、キセノンランプ、ハロゲンランプ等が挙げられるが、本発明の光拡散シートを用いることで、白色の色純度が最も高くなる点から、LED(特に白色LED)が特に好ましい。
【0074】
本発明の光源ユニットにおいて、上記光源3としてLEDを用いる場合、LEDは点発光であるため、面発光として光を取り出す場合、その形態を、図1(a)又は(b)に示す直下型方式にかえて、図2に示すようなエッジライト方式としてもよい。
図2の光源ユニットでは、光源3で発生し、導光板4を通った光が、反射板5によって反射されることで、光拡散シート10の面内に均一に供給される。
【0075】
上記導光板4としては、アクリル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の材料を用いることができる。
上記導光板4の厚みは、0.1〜100mmの範囲から選択されることが好ましく、0.5〜50mmの範囲から選択されることがより好ましい。
【0076】
上記反射板5としては、空気層や白色微粒子を含有したアクリル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の材料を用いることができる。
上記反射板5の厚みは、10〜10000μmの範囲から選択されることが好ましく、50〜5000μmの範囲から選択されることがより好ましい。
【0077】
本発明の光源ユニットは、ディスプレイ用バックライトユニット、住宅及び車載用照明等に好適に用いられる。照明用途としては、図1(a)、図1(b)及び図2に示す形態の他に、図3に示す形態も好適に用いられる。
【実施例】
【0078】
以下、実施例及び比較例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
【0079】
[実施例1〜5及び比較例1〜6]
下記〔表1〕の配合比に従い、実施例1〜5及び比較例1〜6の光拡散性樹脂組成物を調製した。図1(a)に示すように、各光拡散性樹脂組成物をPETフィルム(パナック社製、フィルム厚100μm)からなる透明な基材層1上に、No.90のバーコーターを用いて塗工後、100℃で10分間加熱乾燥し、光拡散性樹脂組成物からなる光拡散層2を有する実施例1〜5及び比較例1〜6の光拡散シート10を作製した。尚、配合する色素の量は、光拡散剤を加えない場合のλmax(584nm)における吸光度が〔表1〕の値となるように調整した。得られた光拡散シートについて、JIS Z 8726に基づき、白色LEDを光源3として、拡散光の放射スペクトルの平均演色評価数(Ra)を分光放射計(SR−LEDW、トプコン社)にて測定した。結果を〔表2〕に示す。
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

【0082】
〔表2〕の結果より、色素として、上記一般式(I)で表されるトリメチンシアニン化合物(C)を含有する本発明の光拡散性樹脂組成物を用いた光拡散シートは、比較色素であるアザポルフィリン化合物を含有する比較例の光拡散性樹脂組成物を用いた光拡散シートに比して、より少量の色素配合量で演色性が向上していることが明確である。
【0083】
〔実施例6〜9及び比較例7〜10〕
下記〔表3〕の配合比に従い、実施例1と同様にして、実施例6〜9及び比較例8〜10の光拡散シート10を作製し、これらの光拡散シート10及びその他の部材が、図4(a)に示す構成となるように設置して、白色LEDを光源3とした拡散光のR成分のxy色度及び輝度を測定した。
これとは別に、実施例1において、光拡散層2にかえて、色素を含有しない光拡散剤層9を設けた以外は、実施例1と同様にして、比較例7の光拡散シートを作製し、この光拡散シート及びその他の部材が、図4(b)に示す構成となるように設置して、白色LEDを光源3とした拡散光のR成分のxy色度及び輝度を測定した。
輝度の算出は、光拡散剤の種類毎に色素を含まない比較例7及び比較例10を100としたときの相対値とした。即ち、比較例7の輝度に対し、実施例6及び比較例8〜9の輝度、並びに比較例10の輝度に対し、実施例7〜9の輝度を相対値とした。結果を〔表3〕に示す。
【0084】
【表3】

【0085】
〔表3〕の結果より、本発明の光拡散シートは、上記一般式(I)で表されるトリメチンシアニン化合物(C)が、不要な波長域の光を吸収し、所望(R成分)の波長域に蛍光を発することで、R成分の色度及び輝度が向上していることが明確である。
また、実施例6と比較例7との対比及び実施例7〜9と比較例10との対比により、上記一般式(I)で表されるトリメチンシアニン化合物(C)は、光拡散剤と同じ層に存在することで更に高い効果を発揮することが明らかである。
【0086】
[実施例11〜13]
下記〔表4〕の配合比に従い、その他の色素を加えた、実施例10〜12の光拡散性樹脂組成物を作製し、次いで実施例1と同様にして、実施例10〜12の光拡散シート10を作製し、実施例6と同様の手法により、白色LEDを光源3とした拡散光のR成分のxy色度及び輝度を測定した。R成分の輝度については、上記比較例10におけるR成分の輝度を100として相対値を〔表4〕に示す。
【0087】
【表4】

【0088】
上記実施例10は、その他の色素を用いていない実施例7よりも更にR成分輝度が向上しており、実施例11及び12は、その他の色素を用いていない実施例8よりもR成分の輝度が同様に向上している。
【0089】
よって、本発明の光拡散性樹脂組成物を用いた光拡散シートは、演色性及び色度を向上させ、更に輝度の低下も抑止可能であるため光源ユニットに好適である。
【符号の説明】
【0090】
1 透明な基材層
2 光拡散層
3 光源
4 導光板
5 反射板
6 赤色カラーフィルタ
7 分光放射輝度計
8 バインダー樹脂及び蛍光剤層
9 色素を含まない光拡散層
10 光拡散シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー樹脂(A)、光拡散剤(B)及び下記一般式(I)で表されるトリメチンシアニン化合物(C)を含有する光拡散性樹脂組成物。
【化1】

(式中、R1〜R17は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、水酸基、−NRR’、置換されていてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、又は置換されていてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を表し、R及びR’は、各々独立して、水素原子、置換されていてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、又は置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリール基を表す。該アルキル基及びアリールアルキル基中のメチレン基並びに該アリール基とインドレニン環又はトリメチン鎖との結合部は、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−OCO−又は−COO−で中断されていてもよく、該アルキル基及びアリールアルキル基中の炭化水素鎖は、二重結合又は三重結合を有してもよく、R13とR14、R15とR16、並びにR1〜R4及びR5〜R8の隣接する基同士は、互いに連結し環を形成してもよい。
但し、R1〜R8の内少なくとも1つはニトロ基又はトリフルオロメチル基を表す。
Anm-はm価のアニオンを表し、mは1又は2の整数を表し、pは電荷を中性に保つ係数を表す。)
【請求項2】
上記バインダー樹脂(A)を1〜80質量%、上記光拡散剤(B)を15〜95質量%、及び上記一般式(I)で表されるトリメチンシアニン化合物(C)を0.0001〜5質量%含有する請求項1に記載の光拡散性樹脂組成物。
【請求項3】
透明な基材層と、該基材層の少なくとも一つの面に形成された光拡散層とを有し、該光拡散層は、請求項1又は2に記載の光拡散性樹脂組成物からなる光拡散シート。
【請求項4】
請求項3に記載の光拡散シートと、光源とを備えた光源ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の光源が白色LEDであることを特徴とする光源ユニット。

【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【公開番号】特開2012−208465(P2012−208465A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253153(P2011−253153)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】