説明

光検出装置

【課題】製造が容易で、車両の周辺光および車両のウィンドシールドに付着した雨滴の検出精度を向上可能な光検出装置を提供する。
【解決手段】第1導光体30、第1受光素子、発光素子、第2導光体60および第2受光素子は、車両のウィンドシールドに取り付け可能なケースに収容されている。第1導光体30は、車両の周辺光を透過可能に設けられ、第2導光体60と接触可能な接触面35、および、当該接触面35とは異なる位置に突起状の第1溶着部36を有している。第2導光体60は、発光素子から射出された光およびウィンドシールドと車両外部との境界面で反射された光を透過可能に設けられ、第1溶着部36に対応する位置に突起状の第2溶着部68を有している。第1導光体30と第2導光体60とは、接触面35と接触面67とで接触しつつ、第1溶着部36と第2溶着部68とが熱溶着されることにより一体となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光検出装置に関し、特に車両の周辺光および車両のウィンドシールドに付着した雨滴を検出可能な光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の周辺光を検出可能な光検出装置が公知である。また、この光検出装置に、赤外線を射出可能な発光素子、および、当該発光素子が射出した赤外線のうちウィンドシールドと車両外部との境界面で反射された赤外線を受光する受光素子を追加することで、車両の周辺光に加え、ウィンドシールドに付着した雨滴を検出可能な光検出装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された発明の第四実施形態では、2つの受光素子(第1受光素子および第2受光素子)とウィンドシールドとの間に透明な透明部および黒色の黒色部を設け、透明部を透過した周辺光を第1受光素子で受光し、黒色部を透過した赤外線を第2受光素子で受光するようにしている。この構成では、周辺光に含まれる可視光を黒色部で遮ることにより、第2受光素子に前記可視光が到達するのを抑制している。これにより、第2受光素子による雨滴の検出精度の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−29807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1には「透明部と黒色部とは2色成形などでそれぞれの間に空気層などを生じないように密着して形成される」と記載されていることから、透明部と黒色部との接合面は溶着しており、当該接合面近傍には部材の溶け込みによってにじみが生じているものと考えられる。このにじみにより透明部および黒色部中の周辺光および赤外線の光路が阻害されると、第1受光素子による周辺光の検出精度および第2受光素子による雨滴の検出精度が低下するおそれがある。また、接合面近傍のにじみが少なくなるよう透明部と黒色部とを2色成形する場合、高度な製造技術が要求される。よって、製造コストが増大するおそれがある。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造が容易で、車両の周辺光および車両のウィンドシールドに付着した雨滴の検出精度を向上可能な光検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、ケースと、第1導光体と、第1受光素子と、発光素子と、第2導光体と、第2受光素子と、を備えている。ケースは、車両のウィンドシールドに取り付け可能である。第1導光体はケースに収容され、第1導光体にはウィンドシールドを透過した車両の周辺光が入射する。第1受光素子は、ケース内に設けられ、第1導光体を透過した周辺光を受光し、その光の強度に応じた信号を出力する。発光素子は、ケース内に設けられ、光を射出可能である。第2導光体は、所定範囲の波長の光を遮蔽可能に着色されている。また、第2導光体は、ケースがウィンドシールドに取り付けられた状態において発光素子とウィンドシールドとの間に位置するようケースに収容されている。また、第2導光体は発光素子から射出された光を透過し、第2導光体には当該透過した光のうちウィンドシールドと車両外部との境界面で反射した光が入射する。第2受光素子は、ケース内に設けられ、前記境界面で反射された光のうち第2導光体を透過した光を受光し、その光の強度に応じた信号を出力する。この構成により、第1受光素子の出力値に基づき周辺光を検出し、第2受光素子の出力値に基づきウィンドシールドに付着した雨滴を検出することが可能である。また、上記構成において、例えば発光素子は赤外線を射出するものとし、第2導光体は可視光を遮蔽可能に着色されているものとすれば、周辺光に含まれる可視光が第2受光素子に到達しないよう、前記可視光を第2導光体によって遮ることができる。そのため、第2受光素子による雨滴の検出精度を向上することができる。
【0008】
また、本発明では、第1導光体は、第2導光体と接触可能な接触面、および、当該接触面とは異なる位置に突起状の第1溶着部を有している。第2導光体は、第1導光体の第1溶着部に対応する位置に突起状の第2溶着部を有している。そして、第1導光体と第2導光体とは、前記接触面の部分で互いに接触しつつ、第1溶着部と第2溶着部とが熱溶着されることにより一体となっている。このように、本発明では、第1溶着部および第2溶着部のみが溶融しているため、前記接触面の近傍にはにじみは生じない。これにより、第1導光体中の周辺光の光路および第2導光体中の発光素子からの光の光路は阻害されることがない。したがって、第1受光素子による周辺光の検出精度および第2受光素子による雨滴の検出精度を向上することができる。また、本発明では、第1溶着部と第2溶着部とを溶着することのみで第1導光体と第2導光体とを一体にできるため、製造が容易である。
【0009】
請求項2に記載の発明では、第1導光体および第2導光体は、同一の材料により形成されている。そのため、線膨張係数の違いにより第1導光体と第2導光体との間で発生し得るガタおよび応力による変形等を抑制することができる。これにより、第1導光体を透過する周辺光および第2導光体を透過する発光素子からの光は、前記ガタおよび前記変形の影響を受けることなく、第1受光素子および第2受光素子に到達可能である。したがって、第1受光素子による周辺光の検出精度および第2受光素子による雨滴の検出精度をより向上することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、第1導光体の前記接触面および第2導光体の前記接触面に接触する面は、テーパ状に形成されている。これにより、第1導光体を第2導光体に精度よく組み付けることができる。したがって、第1受光素子による周辺光の検出精度および第2受光素子による雨滴の検出精度をさらに向上することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、第2導光体に接するようケース内に設けられ、第1受光素子、発光素子および第2受光素子が設置される基板をさらに備えている。当該基板は、第1導光体の第1溶着部および第2導光体の第2溶着部に対応する位置に係止部を有し、当該係止部が第1溶着部と第2溶着部との溶着部分によって係止されることで、第2導光体からの離脱が規制されている。そのため、基板を第2導光体に固定するための部材を別途設ける必要がない。したがって、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態による光検出装置を示す断面図。
【図2】図1に示す光検出装置を矢印II方向から見た図。
【図3】本発明の第1実施形態による光検出装置の第1導光体および第2導光体を示す図であって、(A)は第1溶着部および第2溶着部を溶着する前の状態を示す図、(B)は(A)のB−B線による模式的断面図、(C)は第1溶着部および第2溶着部を溶着した後の状態を示す図。
【図4】本発明の第2実施形態による光検出装置の第1導光体、第2導光体および基板を示す図であって、(A)は第1溶着部および第2溶着部を溶着する前の状態を示す図、(B)は(A)のB−B線による模式的断面図、(C)は第1溶着部および第2溶着部を溶着した後の状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による光検出装置およびその一部を図1〜図3に示す。光検出装置10は、車両のウィンドシールド1に取り付けられる。ここで、当該ウィンドシールド1は、車両の進行方向前側に設置されるフロントガラスとする。光検出装置10は、ウィンドシールド1のワイパー払拭領域内で、かつ、運転者の視界を妨げないようウィンドシールド1の上方に取り付けられる。図1は、光検出装置10がウィンドシールド1に取り付けられた状態を示している。
【0014】
光検出装置10は、図1に示すようにケース20、第1導光体30、第1受光素子40、第1受光素子42、発光素子50、第2導光体60および第2受光素子70などを備えている。光検出装置10は、車両の周辺光を検出し、車両のヘッドライト等のオン/オフ等を制御するのに用いられる。また、光検出装置10は、ウィンドシールド1に付着した雨滴の量を検出し、ワイパーの払拭モードを制御するのに用いられる。
ケース20は、樹脂等からなる遮光材料によって略直方体状に形成されている。ケース20は、有底箱状のケース本体21および板状の蓋部材22を有している。蓋部材22は、ケース本体21の底部とは反対側の端部を覆っている(図1および図2参照)。ケース20の蓋部材22側には、ブラケット2が装着される。ケース20は、ブラケット2を介して接着剤3によりウィンドシールド1の車室内側に取り付けられる。
【0015】
ここで、以下の説明のために、図1においてx軸、y軸およびz軸を示すことでxyz空間を定義する。x軸は車両の前後方向を示し、y軸は車両の左右方向を示し、z軸は車両の上下方向を示す。すなわち、xy平面は車両(地面)に対し水平な面であり、z軸は鉛直方向の直線と一致する。
【0016】
ケース20は、ケース本体21と蓋部材22との間に開口23を有している。ケース20が取り付けられたウィンドシールド1は、x軸(水平)に対して傾斜角θ1を有している。光検出装置10がウィンドシールド1に取り付けられた状態において、車両の周辺光は、ウィンドシールド1を透過し、開口23を通過することでケース20内へ入射可能である。
【0017】
第1導光体30は、開口23の近傍に配置されるよう、ケース20に収容されている。第1導光体30は、例えばポリカーボネート等の樹脂またはガラス等により形成され、透明である。第1導光体30は、入射面31および射出面32を有している。入射面31は、開口23に位置する。入射面31には、ウィンドシールド1を透過した車両の周辺光のうち特定方向の光6が入射する。ここで、「特定方向」とは、車両の前方から車両に向かう方向のことである。つまり、特定方向の光6は、車両前方の光であって、x軸に一致する方向の光である。以下、特定方向の光6を前方光6という。入射面31に入射した前方光6は、第1導光体30の内部を透過し、射出面32から射出される。
【0018】
第1導光体30は、入射面31および射出面32の他に、入射面33および射出面34を有している。入射面33には、ウィンドシールド1を透過した車両の周辺光のうち上方光7が入射する。ここで、上方光7は、車両の上方から車両に向かう方向、すなわち車両上方の光である。上方光7は、z軸に一致する方向の光である。入射面33に入射した上方光7は、第1導光体30の内側と外側との境界面で全反射し、その光路を変更する。第1導光体30の前記境界面で反射された上方光7は、射出面34から射出される。
【0019】
ケース20の内側には、基板11が設けられている。この基板11に、第1受光素子40、第1受光素子42、発光素子50および第2受光素子70などが設置されている。
第1受光素子40は、フォトダイオードまたはフォトトランジスタ等から構成されている。第1受光素子40は、第1導光体30の射出面32から射出された前方光6を受光可能な位置に設置されている。
【0020】
第1受光素子40は、受光面41で前方光6を受光すると、前方光6の強度に応じた信号を出力する。本実施形態では、第1受光素子40は、特に可視光の強度に応じた信号を出力するよう構成されている。第1受光素子40からの出力信号は、基板11上の図示しない信号増幅器に送られ、その信号レベルが増幅される。当該信号増幅器により信号レベルが増幅された信号は、前方光の強度信号として、基板11上の図示しない演算回路素子等、およびコネクタ12を経由し図示しない制御装置に伝送される。
【0021】
第1受光素子42は、第1受光素子40と同様、フォトダイオードまたはフォトトランジスタ等から構成されている。第1受光素子42は、第1導光体30の射出面34から射出された上方光7を受光可能な位置に設置されている。第1受光素子42は、受光面43で上方光7を受光すると、上方光7の強度に応じた信号を出力する。本実施形態では、第1受光素子42は、第1受光素子40と同様、特に可視光の強度に応じた信号を出力するよう構成されている。第1受光素子42からの出力信号は、上方光の強度信号として、基板11上の図示しない演算回路素子等、およびコネクタ12を経由して図示しない制御装置に伝送される。このように、第1受光素子42は、第1受光素子40と同様、第1導光体30を透過した周辺光を受光する。
【0022】
制御装置は、第1受光素子40から伝送された前方光の強度信号、および第1受光素子42から伝送された上方光の強度信号に基づき、車両のヘッドライト等のオン/オフ等の制御を行う。
本実施形態では、発光素子50は、基板11上に、第1受光素子42を間に挟むようにして2つ設置されている(図2参照)。また、発光素子50は、例えば赤外線を射出可能に構成されている。
【0023】
ケース20の蓋部材22には、中央部に略矩形の開口24が形成されている。第2導光体60は、この開口24から一方の面61が露出した状態となるよう、ケース20に収容されている。光検出装置10がウィンドシールド1に取り付けられるとき、第2導光体60とウィンドシールド1との間には、透明な板状の弾性部材4が、第2導光体60およびウィンドシールド1と接するようにして設けられる。また、第2導光体60は、光検出装置10がウィンドシールド1に取り付けられた状態では、第1受光素子40、第1受光素子42および発光素子50とウィンドシールド1との間に位置する。
【0024】
第2導光体60は、ポリカーボネート等の樹脂またはガラス等により形成されている。ここで、第1導光体30と第2導光体60とは同一の材料により形成されている。また、第2導光体60は、所定範囲の波長の光を遮蔽可能に着色されている。本実施形態では、第2導光体60は、例えば可視光の波長範囲に属する波長の光を遮蔽可能に着色されている。よって、赤外線は、第2導光体60を透過可能である。
【0025】
第2受光素子70は、2つの発光素子50からほぼ同じ距離離れた位置に1つ設置されている(図2参照)。第2受光素子70は、受光面71で光を受光すると、その光の強度に応じた信号を出力する。本実施形態では、第2受光素子70は、特に赤外線の強度に応じた信号を出力するよう構成されている。
【0026】
図1に示すように、光検出装置10がウィンドシールド1に取り付けられた状態において、発光素子50が赤外線8を射出すると、当該赤外線8は、第2導光体60の他方の面62に入射し、一方の面61から射出される。第2導光体60の一方の面61から射出された赤外線8は、弾性部材4を透過し、ウィンドシールド1と車両外部との境界面5で反射される。境界面5で反射された赤外線8は、再び弾性部材4を透過して第2導光体60の一方の面61に入射し、他方の面62から射出される。第2受光素子70は、第2導光体60の他方の面62から射出された赤外線8を受光面71で受光する。第2受光素子70は、受光面71で赤外線8を受光すると、その強度に応じた信号を出力する。第2受光素子70からの出力信号は、基板11上の図示しない演算回路素子に伝送される。
【0027】
第2導光体60の他方の面62は、発光素子50から照射された赤外線8が境界面5で効率的に反射(全反射)されるよう、かつ、境界面5で反射された赤外線8が第2受光素子70に効果的に到達するよう、レンズ状に形成されている。
【0028】
発光素子50が赤外線8を射出しているとき、ウィンドシールド1の車両外部側に雨滴が付着すると、雨滴の量に応じ、境界面5で反射される赤外線8の量(強度)が低下する。これにより、第2受光素子70から出力される信号が変化する。そのため、第2受光素子70からの出力信号が伝送される演算回路素子は、当該出力信号の変化に基づき、ウィンドシールド1の車両外部側に付着した雨滴の量を検出可能である。当該検出された雨滴の量に関する信号は、コネクタ12を経由して図示しない制御装置に伝送される。制御装置は、演算回路素子から伝送された雨滴の量に関する信号に基づき、ワイパーの払拭モードを制御する。
【0029】
本実施形態では、図1に示すように、第2導光体60は、ケース20がウィンドシールド1に取り付けられた状態において、発光素子50、第1受光素子40、第1受光素子42および第2受光素子70とウィンドシールド1との間に位置するよう設けられている。また、第2導光体60は、上述のように、可視光の波長範囲に属する波長の光を遮蔽可能に着色されている。そのため、車両の周辺光に含まれる可視光は、第2導光体60によって遮られ、第1受光素子40、第1受光素子42および第2受光素子70に到達することが抑制される。これにより、第2導光体60を透過した可視光によって、特定方向の周辺光を受光する第1受光素子40および第1受光素子42の出力値が影響を受けること、ならびに、発光素子50からの赤外線を受光する第2受光素子70の出力値が影響を受けること、が低減される。したがって、本実施形態では、第1受光素子40および第1受光素子42による周辺光の検出精度、ならびに、第2受光素子70による雨滴の検出精度を向上することができる。
【0030】
次に、本実施形態の第1導光体30および第2導光体60について、図3に基づき詳細に説明する。
図3(A)は、製造途中の光検出装置10の第1導光体30、第2導光体60およびコネクタ12を示す図である。図3(A)に示すように、第1導光体30は、略矩形板状に形成されている。第2導光体60は、略矩形板状の底部63を有している。当該底部63に、図1に示す一方の面61および他方の面62が形成されている。また、第2導光体60は、底部63の外縁端から他方の面62側へ矩形筒状に立ち上がる側壁64を有している。つまり、第2導光体60は、有底箱状に形成されている。第2導光体60の側壁64を構成する4つの壁のうち対向する2つに、それぞれ切り欠き状の嵌め込み部65および嵌め込み部66が形成されている。第1導光体30は、第2導光体60の嵌め込み部65に嵌め込まれている。嵌め込み部66には、コネクタ12が嵌め込まれている。
【0031】
図3(B)は、図3(A)のB−B線による断面を模式的に示したものである。第1導光体30は、外縁端の一部に、第2導光体60の嵌め込み部65に接触可能な接触面35を有している。接触面35は、第1導光体30の外縁端を構成する4辺のうちの3辺に形成されており、底面351、側面352および側面353からなる。
一方、第2導光体60の嵌め込み部65には、第1導光体30の接触面35と接触可能な接触面67が形成されている。ここで、嵌め込み部65の形状は、第1導光体35の形状に対応する形状である。接触面67は、第1導光体30の底面351に接触可能な底面671、ならびに、第1導光体30の側面352および側面353にそれぞれ接触可能な側面672および側面673からなる。
【0032】
本実施形態では、第1導光体30の側面352および側面353は、第2導光体60への第1導光体30の嵌め込み方向へ向かうに従い互いに近づくようテーパ状に形成されている。同様に、第2導光体60の側面672および側面673も、第1導光体30の嵌め込み方向へ向かうに従い互いに近づくようテーパ状に形成されている。
【0033】
なお、本実施形態では、第2導光体60の側面672および側面673のそれぞれに、第1導光体30の嵌め込み方向へ直線状に延びる溝部674および溝部675が形成されている。また、第1導光体30の側面352および側面353のそれぞれには、溝部674および溝部675に対応して直線状に延びる凸部354および凸部355が形成されている(図3(A)参照)。これにより、第1導光体30は、第2導光体60に組み付けられるとき、凸部354および凸部355が溝部674および溝部675に案内されつつ、嵌め込み部65に嵌め込まれる。第1導光体30は、嵌め込み部65に嵌め込まれた状態において、接触面35が第2導光体60の接触面67と接触している。
【0034】
第1導光体30は、接触面35とは異なる位置に突起状の第1溶着部36を有している。本実施形態では、第1溶着部36は、第1導光体30の底面351とは反対側の端面の両端から突出するよう、2つ設けられている。第2導光体60は、第1導光体30の第1溶着部36に対応する位置に突起状の第2溶着部68を有している。つまり、第2溶着部68は、第2導光体60の接触面67とは異なる位置に形成されている。第2溶着部68は、第1溶着部36の数に対応し、本実施形態では2つ設けられている。
【0035】
図3(C)に示すように、第1導光体30と第2導光体60とは、接触面35と接触面67とで接触しつつ、第1溶着部36と第2溶着部68とが熱溶着されることにより一体となっている。図3(C)は第1溶着部36および第2溶着部68の熱溶着後の状態を示し、図3(A)および(B)は第1溶着部36および第2溶着部68の熱溶着前の状態を示している。
【0036】
本実施形態では、図1に示すように、基板11は、第1受光素子40等が設置される面と、第2導光体60の側壁64の底部63とは反対側の端部とが接するよう、図示しないネジ等の固定部材によって第2導光体60に固定される。これにより、第2導光体60は、底部63とは反対側の端部が基板11によって塞がれた状態となる。なお、この状態では、第1導光体30およびコネクタ12は、基板11に係止されることで、第2導光体60からの脱落が防止されている。また、基板11は、第1溶着部36と第2溶着部68との溶着部分M1(溶着により変形した部分)に干渉しないよう、溶着部分M1に対応する部分が切り欠かれている。
【0037】
本実施形態による光検出装置10の製造方法は、以下の工程を含む。
(嵌め込み工程)
第1導光体30を第2導光体60の嵌め込み部65に嵌め込む(図3(A)および(B)参照)。
(熱溶着工程)
嵌め込み工程の後、第1導光体30の第1溶着部36と第2導光体60の第2溶着部68とを熱溶着する(図3(C)参照)。
(基板取り付け工程)
熱溶着工程の後、ネジ等の固定部材により基板11を第2導光体60に取り付ける。
【0038】
以上説明したように、本実施形態では、第1導光体30は、第2導光体60と接触可能な接触面35、および、当該接触面35とは異なる位置に突起状の第1溶着部36を有している。第2導光体60は、第1導光体30の第1溶着部36に対応する位置に突起状の第2溶着部68を有している。そして、第1導光体30と第2導光体60とは、接触面35と接触面67とで接触しつつ、第1溶着部36と第2溶着部68とが熱溶着されることにより一体となっている。このように、本実施形態では、第1溶着部36および第2溶着部68のみが溶融しているため、接触面35および接触面67の近傍にはにじみは生じない。これにより、第1導光体30中の周辺光の光路および第2導光体60中の発光素子50からの赤外線の光路は阻害されることがない。したがって、第1受光素子40および第1受光素子42による周辺光の検出精度ならびに第2受光素子70による雨滴の検出精度を向上することができる。また、本実施形態では、第1溶着部36と第2溶着部68とを溶着することのみで第1導光体30と第2導光体60とを一体にできるため、製造が容易である。
【0039】
また、本実施形態では、第1導光体30および第2導光体60は、同一の材料により形成されている。そのため、線膨張係数の違いにより第1導光体と第2導光体との間で発生し得るガタおよび応力による変形等を抑制することができる。これにより、第1導光体30を透過する周辺光および第2導光体60を透過する発光素子50からの赤外線は、前記ガタおよび前記変形の影響を受けることなく、第1受光素子40、第1受光素子42および第2受光素子70に到達可能である。したがって、第1受光素子40および第1受光素子42による周辺光の検出精度ならびに第2受光素子70による雨滴の検出精度をより向上することができる。
【0040】
さらに、本実施形態では、第1導光体30の接触面35のうち側面352および側面353は、第2導光体60への第1導光体30の嵌め込み方向へ向かうに従い互いに近づくようテーパ状に形成されている。また、側面352および側面353に接触する第2導光体60の側面672および側面673も、第1導光体30の嵌め込み方向へ向かうに従い互いに近づくようテーパ状に形成されている。これにより、第1導光体30を第2導光体60に精度よく組み付けることができる。したがって、第1受光素子40および第1受光素子42による周辺光の検出精度ならびに第2受光素子70による雨滴の検出精度をさらに向上することができる。
【0041】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による光検出装置の一部を図4に示す。第2実施形態は、第2導光体60と基板11との固定の仕方が第1実施形態と異なる。
第2実施形態では、図4(A)に示すように、基板11には、第1導光体30の第1溶着部36および第2導光体60の第2溶着部68に対応する位置に係止部13が形成されている。本実施形態では、係止部13は基板11を切り欠くことにより形成されている。
【0042】
図4(A)および(B)に示すように、基板11が第2導光体60の底部63とは反対側の端部を塞いだ状態において、第1溶着部36および第2溶着部68は、基板11よりも突出するよう形成されている。本実施形態では、図4(C)に示すように、基板11が第2導光体60の底部63とは反対側の端部を塞いだ状態において、第1導光体30の第1溶着部36と第2導光体60の第2溶着部68とは熱溶着されている。そのため、基板11は、係止部13が、第1溶着部36と第2溶着部68との溶着部分M2(溶着により変形した部分)により係止されている。これにより、基板11は、第2導光体60からの離脱が規制されている。なお、この状態では、第1導光体30およびコネクタ12は、基板11に係止されることで、第2導光体60からの脱落が防止されている。図4(C)は第1溶着部36および第2溶着部68の熱溶着後の状態を示し、図4(A)および(B)は第1溶着部36および第2溶着部68の熱溶着前の状態を示している。
【0043】
本実施形態による光検出装置の製造方法は、以下の工程を含む。
(嵌め込み工程)
第1導光体30を第2導光体60の嵌め込み部65に嵌め込む。
(基板設置工程)
嵌め込み工程の後、基板11を第2導光体60の底部63とは反対側の端部に設置する(図4(A)および(B)参照)。
(熱溶着工程)
基板設置工程の後、第1導光体30の第1溶着部36と第2導光体60の第2溶着部68とを熱溶着する(図4(C)参照)。
【0044】
なお、本実施形態では、第2導光体60の第2溶着部68の反対側には、突起部69が形成されている。また、基板11の突起部69に対応する位置には、係止部14が形成されている。係止部14は、係止部13と同様、基板11を切り欠くことにより形成されている。そして、係止部14は、熱により溶けて変形した突起部69により係止されている(図示せず)。これにより、第2導光体60からの基板11の離脱を規制する効果をより向上することができる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態では、基板11は、第1導光体30の第1溶着部36および第2導光体60の第2溶着部68に対応する位置に係止部13を有している。基板11は、係止部13が第1溶着部36と第2溶着部68との溶着部分M2によって係止されることで、第2導光体60からの離脱が規制されている。そのため、基板11を第2導光体60に固定するための部材を別途設ける必要がない。したがって、製造コストを低減することができる。
【0046】
(他の実施形態)
本発明の他の実施形態では、第1導光体と第2導光体とは、異なる材料により形成されていてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、第1導光体の側面(接触面)および第2導光体の側面(接触面)は、テーパ状に形成されていなくてもよい。
【0047】
上述の実施形態では、発光素子が赤外線を射出するよう構成される例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、発光素子は、可視光および赤外線以外の波長の光を射出可能に構成されていてもよい。この場合でも、可視光を遮蔽可能に第2導光体を着色すれば、周辺光に含まれる可視光は第2導光体により遮られ、発光素子から射出される光は第2導光体を透過して第2受光素子に到達可能である。
【0048】
また、上述の実施形態では、2つの第1受光素子により周辺光のうちの前方光および上方光を受光する例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、第1受光素子は、周辺光を受光できるのであれば、1つ、あるいは3つ以上設けられる構成としてもよい。
また、上述の実施形態では、基板上に2つの発光素子を設置する例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、発光素子を1つ、あるいは3つ以上設ける構成としてもよい。
【0049】
本発明の他の実施形態では、光検出装置による周辺光の検出結果を、ヘッドライトに限らず例えば車両の計器類の照明または室内灯の輝度あるいはオン/オフを制御するのに用いてもよい。さらに、光検出装置による雨滴の検出結果を、ワイパーに限らず例えばエアコン等の機器を制御するのに用いてもよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 ・・・ウィンドシールド
5 ・・・境界面
10 ・・・光検出装置
20 ・・・ケース
30 ・・・第1導光体
35 ・・・接触面
351 ・・・底面(接触面)
352、353 ・・・側面(接触面)
36 ・・・第1溶着部
40、42 ・・・第1受光素子
50 ・・・発光素子
60 ・・・第2導光体
68 ・・・第2溶着部
70 ・・・第2受光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のウィンドシールドに取り付け可能なケースと、
前記ケースに収容され、前記ウィンドシールドを透過した前記車両の周辺光が入射する第1導光体と、
前記ケース内に設けられ、前記第1導光体を透過した前記周辺光を受光し、その光の強度に応じた信号を出力する第1受光素子と、
前記ケース内に設けられ、光を射出可能な発光素子と、
所定範囲の波長の光を遮蔽可能に着色され、前記ケースが前記ウィンドシールドに取り付けられた状態において前記発光素子と前記ウィンドシールドとの間に位置するよう前記ケースに収容され、前記発光素子から射出された光を透過し、当該透過した光のうち前記ウィンドシールドと前記車両外部との境界面で反射した光が入射する第2導光体と、
前記ケース内に設けられ、前記境界面で反射された光のうち前記第2導光体を透過した光を受光し、その光の強度に応じた信号を出力する第2受光素子と、を備え、
前記第1導光体は、前記第2導光体と接触可能な接触面、および、当該接触面とは異なる位置に突起状の第1溶着部を有し、
前記第2導光体は、前記第1溶着部に対応する位置に突起状の第2溶着部を有し、
前記第1導光体と前記第2導光体とは、前記接触面の部分で互いに接触しつつ、前記第1溶着部と前記第2溶着部とが熱溶着されることにより一体となっていることを特徴とする光検出装置。
【請求項2】
前記第1導光体および前記第2導光体は、同一の材料により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記第1導光体の前記接触面および前記第2導光体の前記接触面に接触する面は、テーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記第2導光体に接するよう前記ケース内に設けられ、前記第1受光素子、前記発光素子および前記第2受光素子が設置される基板をさらに備え、
前記基板は、前記第1溶着部および前記第2溶着部に対応する位置に係止部を有し、当該係止部が前記第1溶着部と前記第2溶着部との溶着部分によって係止されることで、前記第2導光体からの離脱が規制されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−237315(P2011−237315A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109985(P2010−109985)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】