説明

光沢樹脂及びその作製方法

本開示は、熱成形用途のために好適な光沢樹脂を形成するポリマー組成物に関する。本発明のポリマー組成物は、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーと、カップリング剤と、必要な場合にはエラストマーとから構成される反応生成物を含む。光沢樹脂のメルトフローレートを調節するための方法もまた開示される。光沢樹脂のメルトフローレートを調節することにより、光沢樹脂を含有するスクラップの熱可塑性材料を熱成形操作において再利用することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2008年10月2日出願の米国仮特許出願第61/102,212号の優先権を主張し、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、熱成形品に対する光沢仕上げを提供する熱可塑性ポリオレフィン(「TPO」)組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
熱成形用途におけるTPOの使用が公知である。熱成形プロセスは典型的には、押出しされたTPOのフィルム又はシートをTPOの軟化温度又はそれよりも高い温度で加熱することを含む。軟化させられたシートが、真空から供給される圧力、空気圧及び/又は機械的引抜きとともに金型の輪郭に沿って合わせられる。金型が、成形品を形成するために使用される。マッチモールド(match mold)熱成形では、軟化させられたシートが2つの協同する金型の間に置かれる。形成品は冷却され、金型から取り出され、必要に応じてばり取りされる。
【0004】
典型的な熱成形操作では、元のTPOシートの60%もの多くに至るまでがスクラップとして失われる。スクラップを再利用し、熱可塑性ポリオレフィンに配合する試みはこれまで問題があった。このことは特に、光沢層によりキャップされるTPOシートに関して当てはまる。スクラップにおける光沢層の存在により、スクラップを含有する熱成形シートの溶融強度が低下する。スクラップを含有するTPOはまた、垂れ下り速度がシートの加熱期間中に増大することに遭遇する。このことは熱成形操作に悪影響を及ぼし、操作性の問題及び製品劣化の原因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この大きな程度のキャップドTPOシート由来のスクラップを利用することができないことは非効率的であり、かつ、不経済である。熱可塑性ポリオレフィンのスクラップ材がその後の熱可塑性組成物に加えられるとき、負の影響を熱成形プロセス又は製造物品質に与えない光沢層を有する熱可塑性ポリオレフィンが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、ポリマー組成物、構造物及びフィルム、並びに、それらを熱成形操作において使用するための方法を提供する。本発明のポリマー組成物は、熱成形操作において再利用されるために特に適する。
【0007】
1つの実施形態において、ポリマー組成物が提供される。本発明のポリマー組成物は、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及び架橋剤の反応生成物を含む。カップリング剤はビス(スルホニルアジド)であり得る。ポリマー組成物は、ASTM D−523に従って測定されるとき、60を超える60°でのガードナー光沢を有する。さらなる実施形態において、ポリマー組成物は、80を超える60°でのガードナー光沢を有する。
【0008】
ポリマー組成物は、ASTM D−1238(230℃で2.16kg)に従って測定されるとき、約0.1g/10分〜約2.0g/10分のメルトフローレートを有する。ポリマー組成物は、ASTM D−1003に従って測定されるとき、20%未満のヘイズ(haze)を有する。ポリマー組成物は、ASTM D−790に従って測定されるとき、約100kpsi〜約200kpsiの曲げ弾性率を有し、かつ、ASTM D−256に従って測定されるとき、約3ft−lb/in〜約14ft−lb/inの23℃でのノッチ付アイゾッド衝撃強さを有する。
【0009】
1つの実施形態において、ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、6重量%未満のエチレンコポリマーを含むランダムプロピレン/エチレンコポリマーである。
【0010】
1つの実施形態において、反応生成物は、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー、エラストマー及びカップリング剤を含む。エラストマーはエチレン/α−オレフィンコポリマーであり得る。プロピレン/α−オレフィンコポリマー、エラストマー及びカップリング剤の反応生成物は、約1.0g/10分〜約2.0g/10分のメルトフローレート(ASTM D−1238、230℃で2.16kg)、約10ft−lb/in〜約20ft−lb/inの23℃でのノッチ付アイゾッド衝撃強さ(ASTM D−256)、及び、約90kpsi〜約100kpsiの平均曲げ弾性率(ASTM D−790)を有する。
【0011】
1つの実施形態において、多層シートが提供される。本発明の多層シートは、キャップ層と接触しているベース層を含む。ベース層が熱可塑性ポリオレフィンから構成される。キャップ層が、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及びカップリング剤の反応生成物から構成される。キャップ層は、60を超える60°でのガードナー光沢(ASTM D−523)を有する。さらなる実施形態において、キャップ層は、80を超える60°でのガードナー光沢を有する。
【0012】
1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンは、(i)プロピレン耐衝撃コポリマーと、(ii)エラストマーとのブレンド混合物(blend)である。
【0013】
1つの実施形態において、キャップ層は、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー、エラストマー及びカップリング剤の反応生成物である。反応生成物に存在するエラストマーはエチレン/α−オレフィンコポリマーであり得る。
【0014】
1つの実施形態において、光沢樹脂は、約0.5g/10分〜約2.0g/10分のメルトフローレートを有する。
【0015】
1つの実施形態において、シートを製造するための方法が提供される。本発明の方法は、未使用(virgin)の熱可塑性ポリオレフィンを多層構造物とブレンド混合(blending)して、再利用シートを形成することを含む。未使用の熱可塑性ポリオレフィンは垂れ下り速度SRを有する。再利用シートは垂れ下り速度SRを有する。多層構造物はベース層及びキャップ層を有する。キャップ層は光沢樹脂を含む。本発明の方法は、光沢樹脂のメルトフローレートを調節し、その結果、再利用シートが約1.5以下の垂れ下り抵抗指数(sag resistance index)(SRI)を有するようにすることを含む。SRIは下記の式として求められる:
SRI=SR/SR
【0016】
光沢樹脂のメルトフローレートの調節がブレンド混合の前に行われる。ブレンド混合は、溶融ブレンド混合、押出しブレンド混合又はそれらの組合せが可能である。
【0017】
1つの実施形態において、本発明の方法は、光沢樹脂のメルトフローレートを低下させることを含む。これはSRI値を低下させる。光沢樹脂のメルトフローレートを、SRIを約1.2以下に維持するために低下させることができる。
【0018】
1つの実施形態において、光沢樹脂が清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーから構成される。本発明の方法は、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーをカップリングすることを含む。カップリングすることにより、光沢樹脂のメルトフローレートが2.0g/10分未満に低下する。
【0019】
1つの実施形態において、光沢樹脂が、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及びエラストマーから構成される。本発明の方法は、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及びエラストマーをカップリングすることを含む。カップリングすることにより、光沢樹脂のメルトフローレートが2.0g/10分未満に低下する。
【0020】
1つの実施形態において、本発明の方法は、約40wt%〜約60wt%の未使用の熱可塑性ポリオレフィンを約60wt%〜約40wt%の多層構造物に加えて、再利用シートを形成することを含む。
【0021】
1つの実施形態において、本発明の方法は、約5wt%〜約15wt%の光沢樹脂を含有するために、再利用シートに存在する多層構造物の量を調節し、再利用シートを形成することを含む。
【0022】
1つの実施形態において、本発明の方法は、スクラップ材を集めること、及び、スクラップ材を未使用の熱可塑性ポリオレフィンとブレンド混合して、再利用シートを形成することを含む。再利用シートは物品に熱成形することができる。
【0023】
1つの実施形態において、再利用材を含有する多層シートが提供される。本発明のそのような多層シートはベース層及びキャップ層を含む。ベース層は、(i)未使用の熱可塑性ポリオレフィンと、(ii)多層構造物とのブレンド混合物である。多層構造物は、光沢樹脂から構成される第1の層(すなわち、キャップ層)、及び、TPOから構成される第2の層(すなわち、ベース層)を有する。キャップ層は、カップリングされた清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーである。未使用TPO及び多層構造物は、多層シートの形成前又は形成期間中に、溶融ブレンド混合及び/又は押出しブレンド混合に供される。多層構造物はスクラップ材の1つ又はそれ以上の断片であり、この場合、スクラップ材の断片が未使用のTPOとブレンド混合される。従って、ベース層が再利用材から構成される。
【0024】
1つの実施形態において、ベース層は約90wt%〜約95wt%の熱可塑性ポリオレフィン(未使用TPO+多層構造物の第2の層に由来するTPO)を含む。別の実施形態において、ベース層は約40wt%〜約60wt%の再利用組成物を含む。さらなる実施形態において、再利用組成物は約5wt%〜約15wt%の光沢樹脂を含む。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書中に列挙される数値範囲はどれも、少なくとも2単位の隔たりが、どのような下方値であれ、また、どのような上方値であれ、それらの間に存在するならば、1単位の刻みで、下限値及び上限値からのすべての値を含む。一例として、組成的特性、物理的特性又は他の特性(例えば、分子量、メルトインデックスなど)が100〜1,000であることが述べられるならば、すべての個々の値(例えば、100、101、102など)及び部分範囲(例えば、100〜144、155〜170、197〜200など)が本明細書において明示的に列挙されることが意図される。1未満である値を含有する範囲、又は、1より大きい端数(例えば、1.1、1.5など)を含有する範囲については、1単位は、適宜、0.0001、0.001、0.01又は0.1であると見なされる。10未満の1桁の数字を含有する範囲(例えば、1〜5)については、1単位は典型的には、0.1であると見なされる。これらは、具体的に意図されることの単なる例にすぎず、列挙される最低値及び最高値の間における数値のすべての可能な組合せが、本出願において明示的に述べられていると見なされるものとする。言い換えれば、どのような数値範囲であれ、本明細書中に列挙される数値範囲には、どのような値又は部分範囲であれ、述べられた範囲に含まれる値又は部分範囲が含まれる。数多くの数値範囲が、本明細書中で議論されるように、密度、成分の重量パーセント、分子量及び他の性質に関連して列挙されている。
【0026】
用語「組成物」は、本明細書中で使用される場合、組成物を構成する材料、並びに、組成物の材料から形成される反応生成物及び分解生成物の混合物を示す。
【0027】
用語「ポリマー」は、本明細書中で使用される場合、同じタイプのモノマーであろうとも、又は、異なるタイプのモノマーであろうとも、モノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物を示す。従って、総称用語のポリマーは、1つだけのタイプのモノマーから調製されるポリマーを示すために通常的には用いられる用語のホモポリマー、及び、本明細書中下記で定義されるような用語のインターポリマーを包含する。
【0028】
上記で議論されるように、用語「インターポリマー」は、本明細書中で使用される場合、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されるポリマーを示す。従って、総称用語のインターポリマーには、コポリマー(これは通常、2つの異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーを示すために用いられる)、及び、3つ以上の異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーが含まれる。
【0029】
用語「ブレンド混合物」又は用語「ポリマーブレンド混合物」は、本明細書中で使用される場合、2つ以上のポリマーの組成物を意味する。そのようなブレンド混合物は混和性又は非混和性であってもよい。そのようなブレンド混合物は相分離してもよく、又は、相分離しなくてもよい。そのようなブレンド混合物は、透過型電子顕微鏡観察から決定されるような1つ又はそれ以上のドメイン形態を含有してもよく、又は、そのようなドメイン形態を含有しなくてもよい。
【0030】
1つの実施形態において、ポリマー組成物が提供される。本発明のポリマー組成物は、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及び架橋剤から構成される反応生成物を含む。ポリマー組成物は、60を超える60°でのガードナー光沢を有する。
【0031】
本明細書中で使用される「清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー」は、清澄化剤を伴うプロピレン及びα−オレフィンのランダムコポリマーである。清澄化剤はランダムプロピレン−α−オレフィンコポリマーのヘイズ値(ASTM D1003)を少なくとも10%低下させる。従って、「清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー」は、清澄化剤を伴わないランダムプロピレン−α−オレフィンコポリマーのヘイズ値よりも少なくとも10%小さいヘイズ値を有する。
【0032】
清澄化剤は微結晶のサイズを低下させ、それにより、そのようなコポリマーから作製される物品の透明度及び明澄度を改善する。何らかの特定の理論によってとらわれることを望まないが、清澄化剤は、冷却期間中のより整列したより速いポリオレフィン結晶化のための部位として作用することが考えられる。結晶化過程の期間中において、ポリマー結晶が、球晶と呼ばれるより大きい超構造にまとまる。これらの球晶は、清澄化剤の非存在下で形成される球晶よりも均一であり、かつ、サイズが小さい。低下した球晶サイズは、光が散乱される可能性を低下させる。このようにして、清澄化剤により、ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーの光学的不透明度が改善される。1つの実施形態において、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーは589nmにおける約1.5044の屈折率及び約8.0%以下のヘイズ測定値を有する。
【0033】
好適な清澄化剤の限定されない例には、ジベンジリデンソルビトールアセタール誘導体、例えば、1,3−O−2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール(これは、Milliken Chemical Spartanburg(SC)から、Millad(登録商標)3988の商品名で入手可能である)、1,3−O−2,4−ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール(これもまた、Milliken Chemicalから、Millad(登録商標)3940の商品名で入手可能である)など、ナトリウム2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファート(これは、Asahi Denka Kogyo K.K.から得られ、NA−11として公知である)、アルミニウムビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファート](これもまた、Asahi Denka Kogyo K.K.から得られ、NA−21として公知である)、又は、他の核化剤(特に、極めて迅速な結晶形成及び/又は結晶配置をもたらす核化剤)が含まれる。清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、必要に応じて使用される添加物を含むことができ、例えば、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、安定剤、酸中和剤及び紫外線吸収剤などを含むことができる。
【0034】
ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、プロピレンと、小さい割合の1つ又はそれ以上のα−オレフィン、ジエン、或いは、α−オレフィンの混合物又はブレンド配合物とのランダムコポリマーである。混合物は機械的ブレンド混合物又はインシチューでのブレンド混合物であり得る。プロピレンと重合させるための好適なα−オレフィンコモノマーの限定されない例には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウニデセン(unidecene)、1−ドデセンが含まれる。ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、ランダムプロピレンコポリマーの総重量に基づいて10重量パーセント未満(すなわち、10パーセント未満の任意の値)の1つ又はそれ以上のコモノマーを含むことができる。1つの実施形態において、ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーの総重量に基づいて8重量パーセント未満の1つ又はそれ以上のコモノマーを含むことができ、或いは、ランダムプロピレンコポリマーは、ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーの総重量に基づいて6重量パーセント未満の1つ又はそれ以上のコモノマーを含むことができる。1つの実施形態において、ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーはランダムプロピレン−エチレンコポリマーである。さらなる実施形態において、ランダムプロピレン−エチレンコポリマーは5重量パーセント未満のエチレン又は約3重量パーセントのエチレンを含有する。
【0035】
ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーは様々なプロセスによって調製することができ、例えば、メタロセン触媒又はチーグラー・ナッタ触媒(これは通常、チタンの固体遷移金属成分を有する触媒である)を使用するスラリー重合、液体プールプロセス、気相重合、バルク重合、溶液重合又はそれらの組合せのような重合プロセスによって一段階又は多段階で調製することができる。1つの実施形態において、触媒は、遷移金属/固体成分、すなわち、チタン、マグネシウム及びハロゲンの成分を含む、三塩化チタンの固体組成物;有機金属成分、例えば、有機アルミニウム化合物など;及び、必要な場合には電子供与体を含有する。電子供与体は、窒素原子、リン原子、イオウ原子、ケイ素原子又はホウ素原子を含有する有機化合物であり得る。電子供与体はまた、これらの原子を含有するエステル化合物又はエーテル化合物であり得る。
【0036】
1つの実施形態において、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーがチーグラー・ナッタ触媒を用いて作製され、The Dow Chemical Company(Midland、Michigan)から、Dow 6D83Kポリプロピレン樹脂の名称で入手可能である。Dow 6D83Kは清澄化ランダムプロピレン−エチレンコポリマーであり、約3重量パーセント、または、3.2重量パーセントのエチレン由来ユニットを含有し、約1.9g/10分のメルトフローレートを有する。この清澄化ランダムプロピレン−エチレンコポリマーは、およそ93ジュール/グラムの融解熱、約4.5の分子量分布(Mw/Mn)及び約145℃の融点を示す。Dow 6D83Kについての性質が下記の表1に示される。
【表1】

【0037】
本発明のポリマー組成物はまた、カップリング剤を含む。本明細書中で使用される「カップリング剤」は、ポリマー鎖の脂肪族のCH基、CH基又はCH基、及び、同様に芳香族のCH基の炭素−水素結合の中に入り込むことができる、カルベン基又はニトレン基をそれぞれが形成し得る少なくとも2つの反応性基を含有する化学化合物である。カルベン基を形成し得る反応性基を含有する化学化合物の限定されない例には、ジアゾアルカン、ジェミナル置換されたメチレン基、及び、メタロカルベンが含まれる。ニトレン基を形成し得る反応性基を含有する化学化合物の限定されない例には、ホスファゼンアジド、スルホニルアジド、ホルミルアジド及びアジドが含まれるが、これらに限定されない。ポリマー組成物は、重量比で約200部〜約1000部のカップリング剤を100万部の清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーあたり含むことができる。100万分率で200部から1000部までのすべての個々の値及び部分範囲が本明細書中に含まれる。例えば、ポリマー組成物は、重量比で400部〜800部のカップリング剤を100万部の清澄化ランダムプロピレン−α−オレフィンコポリマーあたり含むことができ、又は、ポリマー組成物は、重量比で400部〜600部のカップリング剤を100万部の清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー組成物あたり含むことができる。例示的なカップリング剤には、ポリ(スルホニルアジド)及びビス(スルホニルアジド)が含まれるが、これらに限定されない。ポリ(スルホニルアジド)の限定されない例には、1,5−ペンタンビス(スルホニルアジド)、1,8−オクタンビス(スルホニルアジド)、1,10−デカンビス(スルホニルアジド)、1,10−オクタデカンビス(スルホニルアジド)、1−オクチル−2,4,6−ベンゼントリス(スルホニルアジド)、4,4’−ジフェニルエーテルビス(スルホニルアジド)、1,6−ビス(4’−スルホンアジドフェニル)ヘキサン、2,7−ナフタレンビス(スルホニルアジド)、並びに、分子あたり平均して1個〜8個の塩素原子及び2個〜5個のスルホニルアジド基を含有する塩素化脂肪族炭化水素の混合スルホニルアジド、並びに、それらの混合物が含まれる。ビス(スルホニルアジド)の限定されない例には、オキシ−ビス(4−スルホニルアジドベンゼン)、2,7−ナフタレンビス(スルホニルアジド)、4,4’−ビス(スルホニルアジド)ビフェニル、4,4’−ジフェニルエーテルビス(スルホニルアジド)及びビス(4−スルホニルアジドフェニル)メタン、並びに、それらの混合物が含まれる。1つの実施形態において、カップリング剤は4,4’−ジフェニルオキシドビス−スルホニルアジドであり得る。
【0038】
様々なスルホニルアジドが市販されており、又は、ナトリウムアジドを対応するスルホニルクロリドと反応することによって調製される。だが、スルホニルヒドラジンを様々な試薬(亜硝酸、四酸化二窒素、テトラフルオロホウ酸ニトロソニウム)により酸化することが使用されている。
【0039】
スルホニルアジド及び他のアジドは衝撃感受性であり得る。アジドを減感する(phlegmatize)こと、或いは、そうでない場合には、アミドを、アジドの製造及び加工の期間中に、又は、アジドの輸送及び取り扱いの期間中に反応から保護することが必要であり得る。本明細書中で使用される「減感する」は、反応性の化学物質を不活性な化学物質又は反応性があまりない化学物質と混合又は組み合わせることによって、化学物質又は化学種の衝撃感受性を低下させるための方法を示す。例えば、米国特許第6,776,924号(その全内容が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるように、酸化防止剤及びカップリング剤を、分子的溶融物(molecular melt)を形成するように一緒にブレンド混合することができ、その結果、この分子的溶融物の形成により、カップリング剤を減感することができる。
【0040】
「カップリング(する)」、「カップリング反応」又は「カップリングされた」は、カップリング剤の反応性基がプロピレン/α−オレフィンコポリマー内のポリマー鎖に結合して一緒になる機構又は反応である。清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーと、カップリング剤との間におけるカップリング反応では、カップリングされた清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーである反応生成物が生じる。何らかの特定の理論によってとらわれることを望まないが、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーは線状のポリマー鎖を含有することが考えられる。カップリング剤の反応性基がこれらの線状のポリマー鎖をカップリングして一緒にするか、又は、そうでない場合には、これらの線状のポリマー鎖と結合して一緒になる。このことは、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーの内部における長鎖ポリマー枝分かれを増大させる。長鎖ポリマー枝分かれのこの存在は、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーと比較して、カップリングされた清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーの溶融強度をそれに対応して増大させ、また、そのメルトフローレート(MFR)をそれに対応して低下させる。従って、反応生成物は、カップリングされた清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーである。
【0041】
他のタイプのカップリングが本開示の範囲内である。カップリングを、シランカップリング、ペルオキシドカップリング及びジエンカップリングとして達成することができる。カップリングはまた、無水マレイン酸/ジアミンのグラフト反応として行うことができる。加えて、電子ビーム線を、長鎖枝分かれをポリマー組成物内に導入するために使用することができる。これらの手順はどれも、ポリマー組成物のMFRを低下させるために使用することができる。
【0042】
カップリング反応は、驚くべきことに、また、予想外であったが、清澄化プロピレン/α−オレフィンコポリマーの光学特性に悪影響を与えない。カップリングされた清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーを含有するポリマー組成物は、60を超える60°でのガードナー光沢を有する。ガードナー光沢値が、ASTM D−523に従って求められる。1つの実施形態において、カップリングされた清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、60°でのガードナー光沢が80を超えるか、又は、約80〜約90の間であるか、又は、約86.5である。ポリマー組成物は、ASTMD−1003に従って測定されるとき、20%未満のヘイズを有するか、又は、10%未満のヘイズを有する。ポリマー組成物は、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーと、約200ppm〜約1000ppmのカップリング剤とを含む。ポリマー組成物は、ASTM D−1238(230℃で2.16kg)に従って測定されるとき、メルトフローレートが約0.1g/10分〜約2.0g/10分であるか、又は、約0.5g/10分〜約1.5g/10分である。ポリマー組成物は、ASTM D−790に従って測定されるとき、曲げ弾性率が約100kpsi〜約200kpsiであるか、又は、約140kpsi〜約150kpsiである。ポリマー組成物は、ASTM D−256に従って測定されるとき、23℃でのノッチ付アイゾッド衝撃強さが約3ft−lb/in〜約14ft−lb/inであるか、又は、約5.0ft−lb/in〜約6.0ft−lb/inである。
【0043】
1つの実施形態において、ポリマー組成物は、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及びカップリング剤に加えて、エラストマーを含む。清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー、エラストマー及びカップリング剤の間におけるカップリング反応により、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及びエラストマーのカップリング物である反応生成物がもたらされる。何らかの特定の理論によってとらわれることを望まないが、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及びエラストマーのカップリング物は、(i)ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーの長鎖枝分かれ、(ii)エラストマーポリマー鎖の長鎖枝分かれ、及び、(iii)ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー鎖及びエラストマーポリマー鎖から構成される長鎖枝分かれを含むことが考えられる。長鎖ポリマー枝分かれの存在は、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィン及びエラストマーと比較して、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及びエラストマーのカップリング物の溶融強度を増大させ、また、そのMFRを低下させる。従って、反応生成物は、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及びエラストマーのカップリング物である。
【0044】
1つの実施形態において、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及びエラストマーのカップリング物を含有するポリマー組成物は、60°でのガードナー光沢が60を超えるか、又は、約60〜約70であるか、又は、約61であり、MFRが約0.1g/10分〜約2.0g/10分である(ASTM−1238、230℃で2.16kg)。ポリマー組成物はまた、23℃でのノッチ付アイゾッド衝撃強さが約10ft−lb/in〜約20ft−lb/inであり(ASTM D−256)、平均曲げ弾性率が約90kpsi〜約100kpsiである(ASTM D−790)。
【0045】
本明細書中で使用される「エラストマー」は、比較的低い応力のもとでの大きい可逆的変形を受ける材料である。エラストマーは典型的には、構造的不規則性、非極性構造又は柔軟なユニットをポリマー鎖に有するとして特徴づけられる。エラストマーポリマーは、例えば、応力とともにその弛緩長さの少なくとも2倍に伸ばすことができ、そして、応力が解除された後では、ほぼ元の大きさ及び形状に戻る。好適なエラストマーの限定されない例には、天然ゴム、ポリオレフィンエラストマー(POE)、塩素化ポリエチレン(CPE)、シリコーンゴム、スチレン/ブタジエン(SB)コポリマー、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)ターポリマー、スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレン(SEBS)ターポリマー、及び、水素化されたSBS又はSEBSが含まれる。
【0046】
1つの実施形態において、エラストマーはポリオレフィンエラストマーである。ポリオレフィンエラストマーは1つ又それ以上のC〜C20α−オレフィンを重合形態で含み、ガラス転移温度(T)が25℃未満であり、好ましくは0℃未満である。Tは、ポリマー材料がその物理的性質(これには、例えば、機械的強度が含まれる)における突然の変化を示す温度又は温度範囲である。Tを示差走査熱量測定法によって求めることができる。例示的なポリオレフィンエラストマーには、エチレン/α−オレフィン系のコポリマー及びターポリマー及びブロックコポリマー、エチレン−プロピレンのジエンゴム、プロピレン−α−オレフィンコポリマー、シリコンゴム、並びに、ブタジエン系ゴムなどが含まれるが、これらに限定されない。ポリオレフィンエラストマーは、例えば、シングルサイト触媒又はメタロセン触媒を用いて作製されるエチレン/α−オレフィンコポリマーで、エチレンに由来するポリオレフィンエラストマー内のユニットが50重量パーセントを超えるエチレン/α−オレフィンコポリマーを含むことができる。
【0047】
1つの実施形態において、エチレン/α−オレフィン系ポリオレフィンは、エチレンと、4個〜20個の炭素原子、または、その間の任意の数の炭素原子を有するα−オレフィンコモノマーとを含むことができる。例示的なα−オレフィンには、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサドデセン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、ジエチル−1−ブテン、トリメチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジメチル−1−ペンテン、メチルエチル−1−ペンテン、ジエチル−1−ヘキセン、トリメチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、3,5,5−トリメチル−1−ヘキセン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ヘプテン、ジメチルオクテン、エチル−1−オクテン、メチル−1−ノネン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン及びビニルノルボルネンが含まれるが、これらに限定されない。エラストマー成分は0.855g/cm〜0.980g/cmの範囲の密度を有することができる。さらなる実施形態において、エラストマーはエチレン/オクテンコポリマーである。
【0048】
1つの実施形態において、ポリマー組成物は、約75重量%〜約95重量%の清澄化ランダムプロピレン/エチレンコポリマー、又は、約80重量%の清澄化ランダムプロピレン/エチレンコポリマーと、約5重量%〜約25重量%のエラストマー、又は、約20重量%のエラストマーとを含有する。
【0049】
1つの実施形態において、カップリング剤は分子的溶融物(molecular melt)の成分である。本明細書中で使用される「分子的溶融物」は、必要な場合には他のポリマー添加物もまた含有する、カップリング剤及び酸化防止剤のブレンド混合物である。カップリング剤及び酸化防止剤は、ニトレン基を形成する基に関連するラマンスペクトルが、カップリング剤だけのニトレン基を形成する基によって示されるラマンスペクトルと比較してシフトする複合体を形成する。
【0050】
用語「酸化防止剤」は、本明細書中で使用される場合、ポリマーの加工期間中に生じ得る酸化を最小限に抑えるために使用することができる様々なタイプ又は種類の化学化合物を示す。酸化防止剤の用語にはまた、ヒドロカルビルを含めて、酸化防止剤の化学的誘導体が含まれる。酸化防止剤の用語にはさらに、カップリング剤と適正に組み合わされるとき、カップリング剤と相互作用して、カップリング剤だけと比較して、変化したラマンスペクトルを示す複合体を形成する化学化合物が含まれる。好ましくは、酸化防止剤は、ホスフィト含有化合物、又は、+3の酸化状態にあるリンを含有する化合物ではない。ホスフィト系酸化防止剤の限定されない一例がトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィトであり、これは、Ciba Specialty Chemicals Companyから、Irgafos(登録商標)168の商品名で市販されている。
【0051】
例示的な種類の酸化防止剤には、炭素ラジカル捕捉剤及び/又は酸素ラジカル捕捉剤のどちらかとして機能し得る化合物、例えば、フェノール系化合物及びその誘導体、ヒンダードアミン、アミンヒドロキシド、チオエステル系化合物、並びに、ヒンダードフェノール系化合物などが含まれるが、これらに限定されない。加えて、ラクトンを酸化防止剤として使用することができる。分子的溶融物は1つ又はそれ以上の酸化防止剤を含有することができる。
【0052】
例示的なフェノール系酸化防止剤及び置換フェノール系酸化防止剤には、2,2’−メチレンビス(6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールが含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
例示的なヒンダードフェノール系化合物には、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマート(これは、Ciba Specialty Chemicals Companyから、Irganox(登録商標)1010の商品名で市販されている)が含まれるが、これに限定されない。
【0054】
例示的なラクトンには、o−キシレンとの5,7−ビス(1,1,−ジメチルエチル)−3−ヒドロキシ−2(3H)−ベンゾフラノン反応生成物(これは、Ciba Specialty Chemicals Companyから、Irganox(登録商標)HP−136の商品名で市販されている)が含まれるが、これに限定されない。
【0055】
1つの実施形態において、分子的溶融物に存在するカップリング剤及び酸化防止剤の少なくとも一部が、ポリマーを修飾するためのカップリング剤の利用を有害に妨害しない複合体を形成する。分子的溶融物におけるカップリング剤対酸化防止剤のモル比が1:10〜10:1であり得る。1:10から10:1までのすべての個々の値及び部分範囲が本明細書中に含まれ、かつ、本明細書中に開示される。例えば、カップリング剤対酸化防止剤のモル比は1:2〜8:1であり得るか、又は、カップリング剤対酸化防止剤のモル比は1:1〜4:1であり得る。分子的溶融物は、分子的溶融物の重量に基づいて99重量パーセント未満のカップリング剤を含むことができる。99重量パーセント未満のすべての個々の値及び部分範囲が本明細書中に含まれ、かつ、本明細書中に開示される。例えば、分子的溶融物は、分子的溶融物の重量に基づいて75重量パーセント未満のカップリング剤を含むことができ、又は、分子的溶融物は、分子的溶融物の重量に基づいて50重量パーセント未満のカップリング剤を含むことができ、又は、分子的溶融物は、分子的溶融物の重量に基づいて35重量パーセント未満のカップリング剤を含むことができ、又は、分子的溶融物は、分子的溶融物の重量に基づいて25重量パーセント未満のカップリング剤を含むことができる。分子的溶融物は、分子的溶融物の重量に基づいて少なくとも1重量パーセントの酸化防止剤を含むことができる。少なくとも1重量パーセントのすべての個々の値及び部分範囲が本明細書中に含まれる。例えば、分子的溶融物は、分子的溶融物の重量に基づいて少なくとも25重量パーセントの酸化防止剤を含むことができ、又は、分子的溶融物は、分子的溶融物の重量に基づいて少なくとも50重量パーセントの酸化防止剤を含むことができ、又は、分子的溶融物は、分子的溶融物の重量に基づいて少なくとも65重量パーセントの酸化防止剤を含むことができ、又は、分子的溶融物は、分子的溶融物の重量に基づいて少なくとも75重量パーセント未満の酸化防止剤を含むことができる。
【0056】
分子的溶融物を、カップリング剤及び酸化防止剤を溶融ブレンド混合することによって、又は、カップリング剤及び酸化防止剤を共通溶媒から共沈殿させることによって、又は、いずれかの他の従来的方法によって形成することができる。分子的溶融物は任意の好都合な形態(すなわち、固体又は液体)にすることができる。
【0057】
カップリング剤及び酸化防止剤に加えて、他の化合物を、場合により分子的溶融物に存在させることができる。そのようなさらなる化合物は、カップリング剤又は酸化防止剤のどちらとも有害に反応せず、また、分子的溶融物の結晶化度を著しく上昇させない。
【0058】
カップリング剤が、ポリマー鎖をカップリングするために効果的であるために、カップリング剤を、熱、音響エネルギー、放射線又は他の化学的活性化エネルギーにより活性化することが必要である場合がある。カップリング反応を、溶媒系媒体、押出し機、溶融ミキサー、ポンプコンベア又は他のポリマー混合デバイス(例えば、Brabender溶融ミキサーなど)のような限定されない例を含めて、十分な混合及び温度制御をもたらす任意の装置において行うことができる。1つの実施形態において、カップリング反応が押出し機において行われる。「押出し機」は、本明細書中で使用される場合、ペレット又はシート/フィルムを押出し、かつ、1つ又はそれ以上の温度帯域列を有するデバイスである。押出し機はシングルバリア押出し機又はマルチプルバリア押出し機であり得る。
【0059】
1つの実施形態において、押出し機は、カップリング反応をランダムプロピレンコポリマーの軟化温度において、かつ、ポリマーの大部分をポリ(スルホニルアジド)のピーク分解温度に上げるための十分な熱がないうちに行うための十分な熱及び混合を提供する。
【0060】
1つの実施形態において、カップリング反応が反応性溶融ブレンド混合を介して達成される。反応性溶融ブレンド混合には、清澄化ランダムプロピレン−α−オレフィンコポリマーと、カップリング剤とを混合することができ、かつ、カップリング剤と、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーとの間におけるカップリング反応を生じさせるための十分なエネルギーを加えることができる押出しプロセス又は任意の他の方法が含まれるが、これらに限定されない。さらなる実施形態において、約100ppm〜約500ppmのビス(スルホニルアジド)(BSA)系カップリング剤が、反応生成物を形成するために、Dow 6D83Kと反応性溶融ブレンド混合される。さらなる実施形態において、ビス(スルホニルアジド)の量が、組成物の総重量に基づいて、約0.01重量パーセント〜約0.1重量パーセントのビス(スルホニルアジド)であり、又は、約0.02重量パーセント〜約0.06重量パーセントのビス(スルホニルアジド)である。
【0061】
カップリング反応において場合により含まれ得る他の成分には、エラストマー、酸化防止剤及びフィラーが含まれる。反応性ブレンド混合プロセスをただ1つだけの槽において行うことができ、例えば、溶融ミキサー(例えば、Brabenderミキサー、Banburyミキサー又はFarrell連続ミキサー)又はポリマー押出し機などにおいて行うことができる。カップリング反応により、上記で議論されるように、(i)カップリングされた清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー、又は、(ii)清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及びエラストマーのカップリング物が形成される。
【0062】
カップリング剤の量を調節することにより、ポリマー組成物についてのMFRがそれに対応して調節される。下記の表2は、カップリング剤の量(すなわち、アジド含有量)と、ポリマー組成物についてのMFRとの関係を示す。
【表2】

【0063】
表3は、Dow 6D38K、エラストマー及びカップリング剤の反応生成物から構成されるポリマー組成物の一例を提供する。この表におけるデータは、カップリング生成物が、ヘイズ又はモジュラスのどちらかの性能における劣化をほとんど伴うことなく、或いは、ヘイズ又はモジュラスのどちらかの性能における劣化を全く伴うことなく、著しく改善された低温衝撃性能を有することを明らかにする。
【表3】

【0064】
前記ポリマー組成物はどれも、下記で詳しく議論されるように、押出しプロセス及び/又は熱成形プロセスにおいて光沢樹脂として使用することができる。
【0065】
1つの実施形態において、本開示は多層構造物を提供する。本発明の多層構造物はベース層及びキャップ層を含む。ベース層(又は基体)はキャップ層と接触してもよく、又は、キャップ層と接触しなくてもよい。本明細書中で使用される「接触」は、触れるという行為若しくは状態、連結するという行為若しくは状態、及び/又は、会合するという行為若しくは状態である。1つの実施形態において、ベース層はキャップ層と「直接に接触し」、その結果、ベース層の少なくとも一部分が、ベース層と、キャップ層との間における介在層及び/又は介在構造物を何ら有することなく、キャップ層の少なくとも一部分と物理的に触れるか、又は、直接に連結する。別の実施形態において、1つ又はそれ以上の介在層を、ベース層と、キャップ層との間に設けることができ、又は、そうでない場合には、ベース層と、キャップ層との間に配置することができる。
【0066】
ベース層は熱可塑性ポリオレフィン(thermoplastic polyolefin)(TPO)である。TPOは単一成分であり得るか、又は、2つ以上の成分のブレンド混合物であり得る。1つの実施形態において、TPOは、(i)カップリングされた耐衝撃プロピレンコポリマーと、(ii)エラストマーとのブレンド混合物であり、また、(i)カップリングされた耐衝撃プロピレンコポリマーと、(ii)エラストマーとから構成される。耐衝撃プロピレンコポリマーは、約0.900g/ccの密度及び0.50のメルトフローレート(230℃/2.16kg、ASTM1238)を有することができる。エラストマーは、約0.875g/ccの密度(ASTM D792)及び2.9g/10分のメルトフローレート(190℃/10k、ASTM1238)を有するエチレン−プロピレンコポリマーであり得る。好適なTPOの限定されない一例が、The Dow Chemical Company(Midland、Michigan)から入手可能なD500 Developmental Performance Polymerである。TPOはフィラーを含んでもよく、又は、フィラーを含まなくてもよい。1つの実施形態において、ベース層は顔料を含む。
【0067】
1つの実施形態において、TPOは、ポリプロピレンホモポリマー、エラストマー及びフィラー(並びに、場合により核形成剤及び/又はカップリング剤)のブレンド混合物である。
【0068】
キャップ層が光沢樹脂から構成され、この場合、光沢樹脂は前記ポリマー組成物のいずれかである。1つの実施形態において、キャップ層が、以前に開示されるような清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及びカップリング剤の反応生成物(すなわち、カップリングされた清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー)から構成される。キャップ層は、多層構造物に対する所望される仕上げを提供する。キャップ層は顔料を含んでもよく、又は、顔料を含まなくてもよい。
【0069】
1つの実施形態において、多層構造物は第3の層を含む。第3の層は、キャップ層及び/又はベース層と直接に接触していてもよい。1つの実施形態において、第3の層が、キャップ層と、ベース層との間に設けられる。ベース層は最も内側の層であってもよく、又は、最も内側の層でなくてもよい。キャップ層は最も外側の層であってもよく、又は、最も外側の層でなくてもよい。第3の層は、キャップ層と同じ組成(すなわち、清澄化ランダムプロピレン−α−オレフィンコポリマー及びカップリング剤の反応生成物)を有することができる。第3の層は、第3の層/多層構造物を所望の通りに着色するために顔料を含むことができる。さらなる実施形態において、キャップ層、ベース層又は第3の層の組合せは、どのような組合せであれ、顔料を含有することができる。それぞれの層における顔料は所望に応じて同じ又は異なり得る。
【0070】
前記多層構造物のどれも、フィルム又はシートへの押出し、共押出し又は他の場合には成形を行うことができる。同様に、個々の層(キャップ層及び/又はベース層)はどれも、フィルム又はシートに押出し又は成形することができる。本明細書中で使用される「シート」は、約0.015インチよりも大きい厚さを有する押出し(又は共押出し)された構造物である。「フィルム」は、約0.015インチよりも小さい厚さを有する押出し(又は共押出し)された構造物である。シートに関する開示はフィルム構造物に対して同等に適用され得ることが理解される。フィルム/シートは、完成した熱成形品に熱成形することができる。
【0071】
多くの熱成形製造プロセスにおいて、熱可塑性シートの40重量%〜60重量%もの多くがスクラップとして失われ得る。本明細書中で使用される「スクラップ」又は「スクラップ材」は、(i)熱成形操作に供されており、かつ、(ii)最終的な熱成形製造物に取り込まれない前記多層構造物のいずれか(すなわち、フィルム又はシート)である。スクラップは、押出しシート又は熱成形シート及び/或いは仕上がった熱成形品/熱成形製造物から切断又は除去される裁ち落し、端部又は他の余剰部から生じる。スクラップ材は、集められると、さらなる再利用のために、又は、他の目的のために粉砕され得る。本明細書中で使用される「粉砕再生材料(regrind)」は、粉砕されたスクラップ材である。「未使用(の)」材料又は「未使用の熱可塑性ポリオレフィン」は、熱成形操作及び/又は押出し操作に供されていない材料又はTPOである。
【0072】
スクラップが再利用できることは、経済的効率及び製造効率にとって有益である。しかしながら、TPOスクラップ材を含有する熱成形品を製造することは困難である。再利用TPOは、それだけの場合、又は、未使用のTPOとブレンド混合された場合、典型的には、未使用のTPOと比較して、増大した垂れ下り速度を示す。いくつかの要因が、再利用TPOについての垂れ下り速度の増大に寄与し得る。例えば、熱成形の期間中、多層構造物のキャップ層及び/又はベース層は熱分解を受ける。熱分解は、多層構造体の一方の層又は両方の層についてのMFRにおける増大を引き起こす。加えて、従来のキャップ層は、(TPOと比較して)大きいMFRと、低い粘度とを有する傾向があり、従って、再利用キャップ層を含有するスクラップ材の垂れ下り速度を増大させる。
【0073】
本開示は、キャップドTPOシートが、熱成形シート及び/又は完成した熱成形品の性質に悪影響を及ぼすことなく、熱成形プロセスに再利用され得る方法を提供する。1つの実施形態において、シートを製造するための方法が提供される。この方法は、未使用の熱可塑性ポリオレフィンを多層構造物とブレンド混合して、再利用シートを形成することを含む。多層構造物は、ベース層と、光沢樹脂から構成されるキャップ層とを含む。多層構造物は、本明細書中に開示されるいずれかの多層構造物が可能である。光沢樹脂は、本明細書中に開示されるいずれかの光沢樹脂が可能である。未使用の熱可塑性ポリオレフィンは、SRとして示される垂れ下り速度を有する。再利用シートは、SRとして示される垂れ下り速度を有する。上記方法は、光沢樹脂のメルトフローレートを調節し、その結果、再利用シートが約1.5以下の垂れ下り抵抗指数(SRI)を有するようにすること(ここで、
SRI=SR/SR
である)を含む。
【0074】
本明細書中で使用される「垂れ下り速度」は、加熱された熱可塑性シートが、所定の距離を(重力を介して)垂れ下がるために要する時間(秒単位)である。本開示の目的のために、垂れ下り速度は、187ミルの厚さを有する2.5インチ×35インチの熱可塑性シートに基づいており、この場合、シートは2.2°F/秒の加熱速度で周囲から加熱される。「所定の距離」は、熱成形機のクランプ枠から3.25インチ下方である第1の位置と、クランプ枠から5.88インチ下方である第2の位置との間の距離である。従って、「所定の距離」は2.63インチである。検出デバイスが第1の位置に置かれる。シートが、クランプ枠に入れられたまま、2.2°F/秒で加熱される。加熱したとき、シートの中心が垂れ下がり始める。垂れ下がるシートの最も下側の部分が第1の位置における検出器を通り過ぎると、垂れ下り速度の測定がタイマーの始動とともに始まる。2.2°F/秒の加熱速度での持続した加熱により、シートは垂れ下がり続ける。その後、加熱されたシートの最も下側部分が第2の位置(すなわち、クランプ枠から5.88インチ下方)に達するために要する時間が測定される。これは「移動時間」である。シートについての垂れ下り速度(インチ/秒)が下記のように計算される。
垂れ下り速度=2.63インチ/移動時間(秒)
【0075】
従って、「SR」は、未使用TPOのシートについての垂れ下り速度であり、「SR」は、ある量のスクラップ材を含有する再利用シートについての垂れ下り速度である。
【0076】
本明細書中で使用される「垂れ下り抵抗指数」(SRI)は、再利用シートの加工性を決定するための指数であり、下記のように定義される。
SRI=SR/SR
【0077】
予想外であり、また、驚くべきことに、SRIが1.5以下である再利用シートが、未使用の熱可塑性シートと類似するか、又は、実質的に類似するプロセス特性を与えることが発見されている。SRIが1.5以下である再利用シートはまた、未使用TPOだけから作製される熱成形製造物と類似するか、又は、実質的に類似する特性、耐久性及び/又は構造的一体性を有する熱成形製造物をもたらす。
【0078】
本発明の方法は、未使用のTPOを多層構造物とブレンド混合して、再利用シートを形成することを含む。ブレンド混合は、未使用TPO及び/又は多層構造物を粉砕すること、再粉砕すること、融解すること、再融解すること、溶融ブレンド混合すること(又はそれらの任意の組合せ)を含むことができる。多層構造物は、光沢樹脂から構成されるキャップ層と、熱可塑性ポリオレフィンから構成されるベース層とを有する。光沢樹脂は、本明細書中で以前に議論されたような前記ポリマー組成物のいずれかであり得る。前記多層構造物のどれも、未使用のTPOとブレンド混合することができる。多層構造物は、フィルム、シート、それらの細片、及び/又は、それらの組合せであり得る。1つの実施形態において、多層構造物はシートであり、この場合、シート片が、未使用のTPOとブレンド混合されるために、以前の熱成形プロセス又はシート作製プロセスからスクラップとして集められる。
【0079】
1つの実施形態において、未使用のTPOが、多層シート(これはスクラップ材であってもよい)と溶融ブレンド混合としてブレンド混合されるか、又は、そうでない場合には混合される。溶融ブレンド混合は、未使用TPO及び多層シート(すなわち、スクラップ材)を接触させ、その後で、それぞれが融解する温度に加熱することを含む。代替では、溶融ブレンド混合を、未使用TPO及び多層シートを個々に、それぞれが融解するそれぞれの温度に加熱することとして行うことができる。その後、融解された成分が一緒にされ、接触させられ、互い混合される。
【0080】
本発明の方法はまた、光沢樹脂のメルトフローレートを調節することを含む。光沢樹脂のメルトフローレートの調節が、未使用のTPOが多層構造物とブレンド混合される前に行われる。1つの実施形態において、光沢樹脂のメルトフローレートを、未使用TPOの形成前、形成期間中又は形成後に調節することができる。光沢樹脂のメルトフローレートが調節され、その結果、SRI値が約1.5以下であるようにされる。調節は、光沢樹脂のメルトフローレートを増大させること、又は、光沢樹脂のメルトフローレートを低下させることを含むことができる。1つの実施形態において、光沢樹脂のメルトフローレートが、SRI値を約0.5から約1.5以下に維持するために、又は、SRI値を約0.7から約1.4以下に維持するために、又は、SRI値を約1.0から約1.2以下に維持するために調節される。
【0081】
光沢樹脂は前記ポリマー組成物のいずれかであり得る。1つの実施形態において、光沢樹脂が清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーから構成される。メルトフローレートの調節は、光沢樹脂のメルトフローレートを低下させるために、清澄化プロピレン/α−オレフィンコポリマーをカップリングすることを含む。カップリング反応が、上記で議論されるようなカップリング剤により行われる。
【0082】
別の実施形態において、光沢樹脂は清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及びエラストマーを含む。本発明の方法は、光沢樹脂のメルトフローレートを低下させるために、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及びエラストマーをカップリングすることを含む。カップリング反応が、上記で議論されるようなカップリング剤により行われる。
【0083】
光沢樹脂のメルトフローレートを低下させることは、TPOとブレンド混合されるときに光沢樹脂によって与えられる希釈効果を低下させる。希釈効果を弱めることによって、再利用組成物における光沢樹脂の存在はTPOの垂れ下り速度に悪影響を及ぼさない。
【0084】
1つの実施形態において、光沢樹脂のメルトフローレート(「MFR」)が2.0g/10分未満に低下させられ、又は、約0.1g/10分〜1.9g/10分未満に低下させられ、又は、約0.5g/10分〜約1.5g/10分未満に低下させられる。メルトフローレートが、ASTM D−1238(230℃で2.16kg)に従って測定される。光沢樹脂のMFRを低下させることにより、SRについての値が低下する。SRについて値が低いほど、SRI値が低くなる。
【0085】
1つの実施形態において、ブレンド混合物に対して添加されるか、又は、そうでない場合には一緒にされる多層構造物の量が、SRI値を約1.5以下で維持するために調節される。多層構造物の細片を、再粉砕され、未使用のTPOと溶融ブレンド混合されるスクラップ材として集めることができる。本発明の方法は、約40wt%〜約60wt%の未使用熱可塑性ポリオレフィンを約60wt%〜約40wt%の多層構造物に添加して、再利用シートを形成することを含むことができる。
【0086】
1つの実施形態において、未使用のTPOとともに添加されるか、又は、そうでない場合には一緒にされる多層構造物の量が、再利用シートの重量に基づいて約5wt%〜約15wt%の光沢樹脂を有する再利用シートを提供するために、又は、そうでない場合には形成するために調節される。さらなる実施形態において、本発明の方法は、約5wt%〜約10wt%の光沢樹脂、又は、約8.5wt%の光沢樹脂を含有するために、再利用シートを形成することを含む。
【0087】
1つの実施形態において、本発明の方法は、スクラップ材を集めること、及び、スクラップ材を未使用のTPOとブレンド混合して、再利用シートを形成することを含む。スクラップ材はブレンド混合の前に粉砕することができる。ブレンド混合は、上記で議論されるような溶融ブレンド混合及び/又は押出しブレンド混合が可能である。スクラップ材は、以前の熱成形操作から集められる多層構造物の1つ又はそれ以上の多層構造物片である。1つの実施形態において、多層構造物は、光沢樹脂から構成される第1の層と、TPOから構成される第2の層とを有する。
【0088】
1つの実施形態において、本発明の方法は、再利用シートを物品に熱成形することを含む。光沢樹脂のメルトフローレートを、1.5以下のSRI値を維持するために調節することにより、驚くべきことに、また、予想外であったが、再利用スクラップ材を、完成した熱成形品の構造及び/又は特性に対する悪影響を伴うことなく、完成した熱成形品に取り込むことが可能になる。加えて、本発明の方法は好都合なことに、スクラップを廃棄する必要性を小さくし、それにより、製造効率を増大させる。熱成形された再利用シートから作製される好適な物品の限定されない例には、フェンダースカート、カバー、装備品、筺体、フード及び自動車部品が含まれる。
【0089】
スクラップ材を熱成形操作に再利用するための上記方法により、多層シートが製造される。1つの実施形態において、多層シートはベース層及びキャップ層を含む。ベース層は、(i)未使用の熱可塑性ポリオレフィンと、(ii)多層構造物とのブレンド混合物である。多層構造物は、光沢樹脂から構成される第1の層(すなわち、キャップ層)と、TPOから構成される第2の層(すなわち、ベース層)とを有する。未使用TPO及び多層構造物は、上記で議論されるように、溶融ブレンド混合及び/又は押出しブレンド混合することができる。1つの実施形態において、多層構造物はスクラップ材の1つ又はそれ以上のスクラップ片である。スクラップ材が、未使用のTPOと(溶融)ブレンド混合される。従って、ベース層が再利用材から構成される。
【0090】
多層シートはまた、キャップ層を、ベース層と接触して含む。キャップ層は、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及びカップリング剤の反応生成物である光沢樹脂から構成される。キャップ層は、ASTM D−523に従って測定されるとき、60を超える60°でのガードナー光沢を有する。ベース層における光沢樹脂と、キャップ層における光沢樹脂とは同じ又は異なり得る。光沢樹脂は、本明細書中に開示されるような光沢樹脂のどれも可能である。1つの実施形態において、ベース層における光沢樹脂はキャップ層における光沢樹脂と同じである。
【0091】
1つの実施形態において、ベース層は約90wt%〜約95wt%の熱可塑性ポリオレフィンを含む。未使用TPO及び多層構造物におけるTPOは同じ又は異なり得る。多層構造物に存在するTPOと一緒にされる未使用TPOは、ベース層の約90wt%〜約95wt%に達する。別の実施形態において、未使用TPO及び多層構造物におけるTPOはそれぞれがD500である。
【0092】
1つの実施形態において、ベース層が、約40wt%〜約60wt%の未使用熱可塑性ポリオレフィンから構成される。これはベース層の重量に基づく。
【0093】
1つの実施形態において、ベース層は約5wt%〜約15wt%の光沢樹脂を含有する。これはベース層の重量に基づく。
【0094】
1つの実施形態において、ベース層及び/又はキャップ層に存在する光沢樹脂のメルトフローレートが、ASTM D−1238(230℃で2.16kg)に従って測定されるとき、約0.5g/10分〜約2.0g/10分である。
【0095】
本開示の様々な実施形態の限定されない例が下記において提供される。
【0096】
1つの実施形態E1において、シートを製造するための方法は、垂れ下り速度SRを有する未使用の熱可塑性ポリオレフィンを多層構造物とブレンド混合して、垂れ下り速度SRを有する再利用シートを形成すること(ここで、多層構造物は、ベース層と、光沢樹脂を含むキャップ層とを有する)、及び、光沢樹脂のメルトフローレートを調節し、その結果、再利用シートが約1.5以下の垂れ下り抵抗指数(SRI)を有するようにすること(ここで、
SRI=SR/SR
である)を含む。
2.光沢樹脂のメルトフローレートを低下させることを含むE1の方法。E3。調節することがブレンド混合の前に行われる、E1〜E2のいずれかの方法。E4。光沢樹脂のメルトフローレートを低下させること、及び、SRIを約1.2以下に維持することを含む、E1〜E3のいずれかの方法。E5。光沢樹脂が清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーを含み、方法が、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーをカップリングすることを含む、E1〜E4のいずれかの方法。E6。光沢樹脂が清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及びエラストマーを含み、方法が、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及びエラストマーをカップリングすることを含む、E1〜E5のいずれかの方法。E7。光沢樹脂のメルトフローレートを2.0g/10分未満に低下させることを含む、E1〜E6のいずれかの方法。E8。約40wt%〜約60wt%の未使用熱可塑性ポリオレフィンを約60wt%〜約40wt%の多層構造物に添加して、再利用シートを形成することを含む、E1〜E7のいずれかの方法。E9。約5wt%〜約15wt%の光沢樹脂を含む再利用シートを形成することを含む、E1〜E8のいずれかの方法。E10。多層構造物を含むスクラップ材をブレンド混合の前に集めることを含む、E1〜E9のいずれかの方法。E11。再利用シートを物品に熱成形することを含む、E1〜E10のいずれかの方法。E12。未使用熱可塑性ポリオレフィン及び多層構造物を溶融ブレンド混合することを含む、E1〜E11のいずれかの方法。
【0097】
1つの実施形態E13において、ポリマー組成物が提供され、このポリマー組成物は、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及びカップリング剤の反応生成物を含み、かつ、組成物は、ASTM D−523に従って測定されるとき、60を超える60°でのガードナー光沢を有する。E14。80を超える60°でのガードナー光沢を有する、E13の組成物。E15。ASTM D−1238(230℃で2.16kg)に従って測定されるとき、約0.1g/10分〜約2.0g/10分のメルトフローレートを有する、E13〜E14のいずれかの組成物。E16。ASTM D−1003に従って測定されるとき、20%未満のヘイズを有する、E13〜E15のいずれかの組成物。E17。プロピレン/α−オレフィンコポリマーが6重量%未満のエチレンコポリマーを含む、E13〜E16のいずれかの組成物。E18。カップリング剤がビス(スルホニルアジド)である、E13〜E17のいずれかの組成物。E19。ASTM D−790に従って測定されるとき、約100kpsi〜約200kpsiの曲げ弾性率を有する、E13〜E18のいずれかの組成物。E20。ASTM D−256に従って測定されるとき、約3ft−lb/in〜約14ft−lb/inの23℃でのノッチ付アイゾッド衝撃強さを有する、E13〜E19のいずれかの組成物。E21。反応生成物が、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー、エラストマー及びカップリング剤を含む、E13〜E20のいずれかの組成物。E22。エラストマーがエチレン/α−オレフィンコポリマーである、E21の組成物。E23。ASTM D−1238(230℃で2.16kg)に従って測定されるとき、約1.0g/10分〜約2.0g/10分のメルトフローレートを有する、E21の組成物。E24。ASTM D−256に従って測定されるとき、約10ft−lb/in〜約20ft−lb/inの23℃でのノッチ付アイゾッド衝撃強さを有する、E21の組成物。E25。ASTM D−790に従って測定されるとき、約90kpsi〜約100kpsiの平均曲げ弾性率を有する、E21の組成物。
【0098】
1つの実施形態E26において、多層シートが提供され、この多層シートは、熱可塑性ポリオレフィンを含むベース層、及び、ベース層と接触しているキャップ層を含み、ここで、キャップ層は、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及びカップリング剤の反応生成物を含み、キャップ層は、ASTM D−523に従って測定されるとき、60を超える60°でのガードナー光沢を有する。E27。キャップ層が、80を超える60°でのガードナー光沢を有する、E26の多層シート。E28。熱可塑性ポリオレフィンが、(i)プロピレン耐衝撃コポリマーと、(ii)エラストマーとのブレンド混合物を含む、E26〜E27のいずれかの多層シート。E29。キャップ層が、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー、エラストマー及びカップリング剤の反応生成物を含む、E26〜E28のいずれかの多層シート。
【0099】
1つの実施形態E30において、多層シートが提供され、この多層シートは、(i)未使用の熱可塑性ポリオレフィンと、(ii)光沢樹脂を含む第1の層と、熱可塑性ポリオレフィンを含む第2の層とを有する多層構造物とのブレンド混合物を含むベース層、及び、ベース層と接触しているキャップ層を含み、ここで、キャップ層は、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及びカップリング剤の反応生成物を含み、キャップ層は、ASTM D−523に従って測定されるとき、60を超える60°でのガードナー光沢を有する。E31。光沢樹脂が上記反応生成物を含む、E30の多層シート。E32。ベース層が約90wt%〜約95wt%の熱可塑性ポリオレフィンを含む、E30〜E31のいずれかの多層シート。E33。ベース層が約40wt%〜約60wt%の未使用熱可塑性ポリオレフィンを含む、E30〜E32のいずれかの多層シート。E34。ベース層が約5wt%〜約15wt%の光沢樹脂を含む、E30〜E33のいずれかの多層シート。E35。光沢樹脂のメルトフローレートが、ASTM D−1238(230℃で2.16kg)に従って測定されるとき、約0.5g/10分〜約2.0g/10分である、E30〜E34のいずれかの多層シート。
【0100】
限定としてではなく、例として、本開示の実施例が次に示される。
【実施例】
【0101】
[実施例1]
下記の構造を有する、幅25インチ及び長さ35インチのサイズを有する多層ポリマーシートを共押出しした:
ベース層 0.168インチの厚さ
キャップ層 0.019インチの厚さ
【0102】
0.168インチの厚さのTPOベース層(Developmental Performance Polymer D500)が、表4に示されるような実施例のそれぞれからの光沢樹脂から構成される0.019インチの厚さのキャップ層とともに共押出しされる。続いて、シートサンプルがAVTシャトル熱成形機で熱成形される。それぞれのシートがAVT熱成形機のクランプ枠に置かれ、4つすべての側面でしっかり固定される。次いで、固定されたシートが、シートがセラミックス赤外線ヒーターによって2.2°F/秒で加熱されるAVT熱成形機の加熱ステーションの中に割り出し(indexed)される。
【0103】
表4及び表5に記されるような垂れ下り速度は、加熱されたシートが、所定の距離を垂れ下がるために要する時間(秒単位)を示す。「所定の距離」は、クランプ枠から3.25インチ下方である第1の位置と、クランプ枠から5.88インチ下方である第2の位置との間における垂直距離である。従って、「所定の距離」は2.63インチである。検出デバイスが第1の位置に置かれる。シートが、クランプ枠に入れられたまま、2.2°F/秒で加熱される。加熱したとき、シートの中心が垂れ下がり始める。垂れ下がるシートの最も下側の部分が第1の位置における検出器を通り過ぎると、垂れ下り速度の測定がタイマーの始動とともに始まる。2.2°F/秒の加熱速度での持続した加熱により、シートは垂れ下がり続ける。その後、加熱されたシートの最も下側部分が第2の位置(すなわち、クランプ枠から5.88インチ下方)に達するために要する時間が測定される。これは「移動時間」である。シートについての垂れ下り速度が下記のように計算される。
垂れ下り速度=2.63インチ/移動時間(秒)
【0104】
表4及び表5に報告される実験について、垂れ下り速度は、シートがクランプ枠の3.25インチ下方からクランプ枠の5.88インチ下方に垂れ下がるための時間である。垂れ下り速度はオーブンにおいて光カーテンによって測定される。垂れ下り速度は、時間によって除された移動した垂直距離である。加熱速度が、最終的なシート温度に加熱するために要求される時間によって除された、オーブンで加熱された後のシートの最終温度を測定することによって求められる。シートが、クランプ枠からおよそ5.88インチ下方の事前に決められた垂れ下りに達すると、シートがオーブンから取り出される。真空ボックスが、シートと接触させるために持ち上げられ、真空が、シートを予備延伸するために加えられる。次いで、雄型がシート内に挿入され、真空が工具に加えられ、そして、シートが工具上に引き出されることを可能にするために、真空ボックスから開放される。シートが冷却され、部品が工具から取り出される。成形前のシートの光沢、及び、熱成形部品の光沢が、BYKガードナー光沢計を使用して測定される。
【0105】
下記の表4は、本開示の実施形態に従う多層構造物について、光沢の値及び垂れ下り速度の値を示す。表4は、シートの光沢がキャップ材料のMFRに比較的依存していないことを例示する。同様にまた、構造物の垂れ下り速度がキャップ材料のMFRに依存していない。言い換えれば、構造物の垂れ下り速度が、(多層構造物の約90wt%である)基体(substrate)層の垂れ下り速度によって制御される。
【表4】

【0106】
表4は、キャップ(光沢)層のMFRが比較的広い範囲にわたって変化させられるとき、垂れ下り速度が比較的変化しないことを例示する。様々な量の粉砕再生材料が基体層に加えられるとき、状況は異なる。具体的には、基体層についての垂れ下り速度が、基体層における粉砕再生材料の存在のために増大する。得られた粉砕再生材料含有シートの熱成形性が悪化する。
【0107】
粉砕再生材料を含有するサンプルについては、垂れ下り速度の増大に寄与する要因がいくつか存在する。下記の理由の1つ又はそれ以上により、垂れ下り速度がMFRの増大とともに増大し、また、粉砕再生材料を含有する基体のMFRが未使用基体のMFRよりも大きい。
1.未使用キャップ層のMFR(1.9のMFR)は未使用基体のMFR(約0.5のMFR)よりも大きい。
2.押出し(シート作製及びその後の熱成形)プロセスの期間中におけるキャップ層の熱分解が、粉砕再生材料で使用されるためのキャップ層のMFRをさらに増大させる。
3.押出し(シート作製及びその後の熱成形)プロセスの期間中における基体層の熱分解が、粉砕再生材料で使用されるための基体層のMFRをさらに増大させる。
【0108】
再利用シートの垂れ下り速度が増大するので、SRIが増大する。改善された熱成形能力が、SRI値が1.0又はその近くである再利用シートによって示される。
【0109】
商業的な熱成形操作では、最終的に完成部品にならない、40%〜60%に至るまでの多層シートスクラップ材が生じる。このスクラップ剤のリサイクルが望ましい。可能であるとき、スクラップ材は、粉砕再生材料を形成するために加工され、この場合、粉砕再生材料は、再利用シートを形成するために、未使用のTPO基体とブレンド混合又は溶融ブレンド混合される。再利用シートが基体層として使用され、未使用光沢樹脂のキャップ層によりキャップされる。連続操作において、再利用基体シートは、約60wt%に至るまでの粉砕再生材料を含有することができる。定常状態において、(50%の再利用レベルを仮定すると)、再利用基体層は約8重量%のキャップ層を含有する。
【0110】
表5は、垂れ下り速度及びSRIを、8.5wt%に至るまでのキャップ層を再利用基体に含有するサンプルについて示す。SRIが、非処理のキャップ層を含有するサンプルについては1.64もの大きさである。しかしながら、キャップ層のメルトフローレートが低下するつれ、SRI値が低下する。
【0111】
表5は、熱成形特性の悪化に対する顕著な一因が、再利用基体に存在するキャップ層の量であることを例示する。表5のサンプル1、サンプル3及びサンプル5において、粉砕再生材料基体タイプが同一であり、すべてのサンプルにおいて同じ量で存在し、それにもかかわらず、SRI値が非常に異なる。サンプル3及びサンプル5における未使用シートのSRI値がサンプル1の未使用シートのSRIの約10%以内である。
【0112】
表5は、キャップ層のメルトフローレートを低下させることにより、非処理のキャップ層についての約1.6のSRI値が、低MFRキャップ層については約1.3に低下することを明らかにする。このことは結果として、大雑把には、オーブンでのシートの垂れ下り変動性における25%の改善になる。驚くべきことに、また、予想外であったが、SRIを1.5以下に維持することにより、再利用シートが、熱成形操作の期間中、未使用シートと同じ又は実質的に同じに機能することが保証されることが見出されている。
【表5】

【0113】
表6は、比較のための物理的特性データを、多層化シートについて、すなわち、未使用シート、並びに、従来のキャップ層及び低MFRキャップ層を使用するサンプルのための再生利用を含有するシートについて提供する。表7は、衝撃特性及び熱的特性を同じサンプルセットについて提供する。
【0114】
表6は、複合材シートの物理的特性が、非修飾のDow 6D83Kキャップ層及び低MFRキャップ層を使用するシートについては、粉砕再生材料を含有するか、又は、粉砕再生材料を含有しないかにかかわらず、非常に類似することを明らかにする。
【表6】

【0115】
表7は、すべてのシート(未使用、粉砕再生材料、非修飾キャップ、低MFRキャップ)についての衝撃特性が類似しているが、いくつかのわずかな違いが低い温度で存在することを示す。具体的には、低MFRキャップを含有するシートは、改善された低温落槍衝撃性能を示し、しかし、わずかにより低い低温ノッチ付アイゾッド性能を示す。
【表7】

【0116】
本開示は、本明細書中に含有される様々な実施形態及び例示に限定されず、下記の特許請求の範囲に含まれるような、これらの実施形態の一部、及び、異なる実施形態の構成要素の組合せを含むそのような実施形態の改変された形態を包含することが特に意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを製造するための方法であって、
垂れ下り速度SRを有する未使用の熱可塑性ポリオレフィンを多層構造物とブレンド混合して、垂れ下り速度SRを有する再利用シートを形成すること(ここで、前記多層構造物は、ベース層と、光沢樹脂を含むキャップ層とを有する);及び
前記光沢樹脂のメルトフローレートを調節し、その結果、前記再利用シートが約1.5以下の垂れ下り抵抗指数(SRI)を有するようにすること(ここで、
SRI=SR/SR
である)を含む方法。
【請求項2】
前記光沢樹脂が清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーを含み、方法が、前記清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーをカップリングすることを含む、請求項1のいずれかに記載の方法。
【請求項3】
前記光沢樹脂のメルトフローレートを2.0g/10分未満に低下させることを含む、請求項1から2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及び架橋剤の反応生成物を含み、
ASTM D−523に従って測定されるとき、60を超える60°でのガードナー光沢を有するポリマー組成物。
【請求項5】
ASTM D−1238(230℃で2.16kg)に従って測定されるとき、約0.1g/10分〜約2.0g/10分のメルトフローレートを有する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記反応生成物が、前記清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー、エラストマー及びカップリング剤を含む、請求項4から5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
熱可塑性ポリオレフィンを含むベース層;及び
前記ベース層と接触しているキャップ層であって、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及びカップリング剤の反応生成物を含み、ASTM D−523に従って測定されるとき、60を超える60°でのガードナー光沢を有するキャップ層を含む多層シート。
【請求項8】
前記キャップ層が、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー、エラストマー及びカップリング剤の反応生成物を含む、請求項7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
(i)未使用の熱可塑性ポリオレフィンと、(ii)光沢樹脂を含む第1の層および熱可塑性ポリオレフィンを含む第2の層を有する多層構造物とのブレンド混合物を含むベース層;及び
前記ベース層と接触しているキャップ層であって、清澄化ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー及びカップリング剤の反応生成物を含み、ASTM D−523に従って測定されるとき、60を超える60°でのガードナー光沢を有するキャップ層を含む多層シート。
【請求項10】
前記光沢樹脂が前記反応生成物を含む、請求項9に記載の多層シート。

【公表番号】特表2012−504687(P2012−504687A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530139(P2011−530139)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/058796
【国際公開番号】WO2010/039713
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】