説明

光波長変換装置

【課題】光波長変換素子内において基本波を折り返す構造を有する光波長変換装置において、高出力の波長変換波を得る。
【解決手段】基本波10を入射させる入射端面15aとそれに対面する出射端面15bとを有し、基本波10を波長変換波14に変換する光波長変換素子15と、出射端面15bから出射した基本波10および波長変換波14を、前者は反射させ後者は透過させる第1の反射部材17と、第1の反射部材17で反射して光波長変換素子15を伝搬し入射端面15aから出射した基本波10および同じく入射端面15aから出射した波長変換波14を、前者は透過させ後者は反射させる第2の反射部材18と、第1の反射部材17に到達する前に素子15内を伝搬する波長変換波14の位相と、第2の反射部材18で反射して折り返し素子15内を伝搬する波長変換波14の位相とを互いに揃える位相調整手段20とから光波長変換装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光波長変換素子を用いた光波長変換装置、特に詳細には、光波長変換素子の中で基本波を折り返す構造を有する光波長変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、短波長域のレーザ光を得るために、レーザ光源から発せられた基本波としてのレーザ光を光波長変換素子に通し、該素子において基本波をより波長が短い波長変換波、例えば波長が1/2の第2高調波等に変換する光波長変換装置が種々提供されている。その種の光波長変換装置においては、より高い波長変換効率を実現して、高出力のレーザ光を得ることが望まれている。
【0003】
そのような要望に応えるための一つの光波長変換装置として、例えば特許文献1に示されるように、光波長変換素子の入射端面から入射して該素子を伝搬する基本波から変換された波長変換波および残余の基本波を光波長変換素子の出射端面側、入射端面側で相次いで反射させることにより、基本波が合計3回光波長変換素子を通過するようにして、最終的に波長変換波を出射端面から出射させる構成を備えたものが知られている。
【0004】
この構成においては、基本波と光波長変換素子との作用長が光波長変換素子の素子長の概略3倍となるので、それにより波長変換効率の向上が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-208629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に示された従来の光波長変換装置においては、期待通りに高い波長変換効率が得られることがある半面、光波長変換素子に1回だけ基本波を通す通常の場合より、却って波長変換効率が低くなるという問題が認められる。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、光波長変換素子内において基本波を折り返す構造を有する光波長変換装置において、常に安定して高出力の波長変換波を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光波長変換装置は、
入射端面とそれに対面する出射端面とを有し、入射端面から入射して出射端面側に(以下、この向きを「正方向」といい、それと反対の方向を「逆方向」という)伝搬した基本波を第2高調波等の波長変換波に変換して、出射端面から出射させる光波長変換素子と、
前記出射端面から出射した基本波および波長変換波を、前者は反射させる一方後者は透過させる第1の反射部材と、
この第1の反射部材で反射して折り返し光波長変換素子内を伝搬した後に前記入射端面から出射した基本波および、該基本波から変換されて前記入射端面から出射した波長変換波を、前者は透過させる一方後者は反射させる第2の反射部材と、
前記第1の反射部材に到達する前に光波長変換素子内を伝搬する波長変換波(正方向に1回目に伝搬する波長変換波)の位相と、前記第2の反射部材で反射して折り返し光波長変換素子内を伝搬する波長変換波(正方向に2回目に伝搬する波長変換波)の位相とを互いに揃える位相調整手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
なお上記第1および第2の反射部材は、それぞれ光波長変換素子の出射端面、入射端面に施されたコーティング等から構成することができるが、その他に、光波長変換素子とは別体に形成された光学部材に施されたコーティング等から構成されてもよい。
【0010】
また、上記の位相調整手段としては、光波長変換素子の少なくとも一部、例えばその入射端面近傍部分に可変電圧(値が調節自在とされた電圧)を印加する手段や、あるいは光波長変換素子の温度を調節する手段を、単独であるいは併せて適用することができる。
【0011】
そしてそのような位相調整手段は、上記正方向に1回目に伝搬する波長変換波の位相と、同方向に2回目に伝搬する波長変換波の位相を、互いに1周期以上ずらし得るものが好適に用いられる。
【0012】
また、本発明の光波長変換装置においては、光波長変換素子として、分極反転部の周期がチャープ周期とされた周期分極反転構造を有するものが用いられることが特に望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明者の研究によると、先に述べた特許文献1に示される従来装置において波長変換波の出力が不安定になるのは、以下の原因によるものであることが分かった。光波長変換素子の出射端面および入射端面において基本波と波長変換波を反射させて折り返させると、基本波と波長変換波の各々が反射する際に界面反射による位相シフトを起こし、そのシフト値は基本波と波長変換波とで互いに異なることから、また、波長分散により基本波と波長変換波との間で位相差が生じることから、折り返し前に発生した波長変換波と折り返し後に発生した波長変換波との間で相対的な位相ズレが生じる。これは、主に光が伝搬するときの波長変換素子の光路長、即ち素子長に関係し、折り返し前後の波長変換波の位相が偶然揃って強め合う場合は高い波長変換効率を得ることができるが、逆に弱め合う場合は波長変換効率が低下してしまう。従来装置においては、この位相シフトに関して何も考慮がなされていなかったため、設計通りの高い波長変換効率を維持して高い波長変換波出力を安定して得ることが不可能になっていた。
【0014】
上記の知見に基づいて本発明による光波長変換装置は、光波長変換素子内を正方向に1回目に伝搬する波長変換波の位相と、同方向に2回目に伝搬する波長変換波の位相とを互いに揃える位相調整手段が設けられたものである。こうして、互いに同じ正方向に進行する2つの波長変換波の位相が揃えられれば、それら両者が強め合って合波されるので、光波長変換素子の出射端面から、常に高出力の波長変換波が取り出されるようになる。
【0015】
特に、上記2つの波長変換波の位相を完全に一致させた場合は、基本波を1回だけ光波長変換素子に通す場合と比べて、波長変換波の振幅が2倍になるので、その出力は理論的には22=4倍に達する。それに対して、上記2つの波長変換波の位相を調整する手段が設けられない場合、合波された後の波長変換波の出力は、基本波を1回だけ光波長変換素子に通す場合と比べて、0〜4倍の間で変動してしまう。
【0016】
なお、本発明における「位相調整」とは、上述の通りの2つの波長変換波の間で互いに位相をずらすことを意味するものであり、基本波と波長変換波の波長が相違することによる位相速度の違いから両者間に生じる位相のずれを解消させるいわゆる「位相整合」とは異なる。
【0017】
以上の作用を果たす位相調整手段として、正方向に1回目に伝搬する波長変換波と、正方向に2回目に伝搬する波長変換波との間の位相を、相対的に1周期以上ずらし得るものが用いられていれば、位相調整がなされない場合に2つの波長変換波の各位相がどのようにずれていても、それらの位相を一致させることが可能になる。
【0018】
なお、上記のように正方向に2回目に伝搬する波長変換波は、第1の反射部材で反射して折り返した基本波が光波長変換素子内を逆方向に伝搬する際に発生し、その後第2の反射部材で反射して折り返したものである。つまり本発明の光波長変換装置においては、特許文献1に示された光波長変換装置と異なって、第2の反射部材で基本波は反射しないようになっているので、基本波と光波長変換素子との作用長は、最大値で素子長の概略2倍となる。
【0019】
上記第2の反射部材は、最初に基本波を光波長変換素子に入射させるために、上述の通り基本波は良好に透過させる構成とされている。他方、第1の反射部材は、波長変換波を取り出して利用するために、光波長変換素子は良好に透過させるものとされている。
【0020】
なお、本発明の光波長変換装置において位相調整手段として、光波長変換素子の少なくとも一部に可変電圧(値が調節自在とされた電圧)を印加する手段が用いられる場合、その手段は、光波長変換素子の入射端面近傍部分に電圧印加するように構成されるのが望ましい。その理由は以下の通りである。
【0021】
この配置は、基本波が正方向に1回目に進行する際に発生した波長変換波と、基本波が正方向に2回目に進行する際に発生した波長変換波について、効果的に、即ち低電圧で位相シフト量を調整し、高い波長変換効率を得るためのものである。まず、この配置とは異なって、例えば光波長変換素子の出射端面近傍に電極を配置する場合について考えると、その場合は、印加電圧は基本波と波長変換波の両方に作用するため、基本波と波長変換波の位相差を互いに大きくとることができず、その結果1回目に発生した波長変換波と2回目に発生した波長変換波との位相差を大きくとることができない。そこで、この位相差を2π以上とるために大きな電圧が必要となるか、あるいは、2π以上の調整ができずに高い波長変換効率を得ることができなくなる。
【0022】
それに対して、光波長変換素子の出射端面近傍に電極を配置すると、基本波が電圧印加部分を正方向に伝搬している時点で波長変換波はまだ殆ど発生しておらず、電圧は実質的に基本波のみに作用する。一方、逆方向に伝搬している基本波と波長変換波には同時に電圧が作用するが、その後、基本波は波長変換素子から外に出射され利用されなくなる。その結果、実質的に2回目に発生した波長変換波にしか電圧が作用しないことになる。また、正方向に伝搬している基本波への電圧の作用は、その後、基本波から波長変換波が発生することから波長変換波への作用と等価となる。以上のことより、この配置によれば、基本波には電圧を作用させないで、実質的に、基本波が正方向に1回目、2回目に伝搬する際に各々発生した波長変換波にのみ電圧を作用させることが可能になる。このことから、実用的な比較的低い電圧で、上記1回目、2回目に各々発生した波長変換波の間で位相差を容易に揃えることが可能となる。
【0023】
また本発明の光波長変換装置において、光波長変換素子として特に、分極反転部の周期がチャープ周期とされた周期分極反転構造を有するものが用いられた場合は、基本波の光路が分極反転部の並び方向と交わる方向に変化するように該光波長変換素子と基本波との相対位置を変えることにより、位相整合条件を変えることが可能になる。そうであれば、例えば光波長変換素子の温度調節によって位相調整を行うことにより、素子温度が位相整合温度からずれてしまったとしても、上述のようにして光波長変換素子と基本波との相対位置を変えて位相整合条件を変化させることにより、温度調節で設定された温度を新たな位相整合温度と合致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態による光波長変換装置を示す概略側面図
【図2】本発明の第2実施形態による光波長変換装置を示す概略側面図
【図3】図4の装置における光波長変換素子温度と第2高調波出力との関係を示すグラフ
【図4】本発明の第3実施形態の光波長変換装置における光波長変換素子を示す概略側面図
【図5】上記第3実施形態の光波長変換装置による効果を説明する図
【図6】本発明の第4実施形態による光波長変換装置を示す概略側面図
【図7】本発明の第5実施形態による光波長変換装置を示す概略側面図
【図8】本発明の第6実施形態による光波長変換装置を示す概略側面図
【図9】本発明の第7実施形態による光波長変換装置を示す概略側面図
【図10】本発明の光波長変換装置における基本波および第2高調波の経路を説明する図
【図11】本発明の光波長変換装置において温度調節により位相調整がなされる場合の第2高調波出力プロファイルを示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0026】
《第1実施形態》
図1は、本発明の第1実施形態による光波長変換装置100の概略側面形状を示すものである。この光波長変換装置100は、波長λ1の基本波10を発するファイバレーザ11と、この基本波10を平行光化するコリメータレンズ12と、このコリメータレンズ12で平行光とされた基本波10を集光する集光レンズ13と、こうして集光された基本波10が入射する位置に配され、入射した基本波10を波長λ2=λ1/2の第2高調波14に変換する光波長変換素子15と、この光波長変換素子15から出射した基本波10および第2高調波14が入射する位置に配された凹面ミラーからなる出力ミラー16と、後述するように2通りの経路で発生する第2高調波14の位相を互いに揃える位相調整手段20とを備えてなるものである。
【0027】
上記ファイバレーザ11は偏光保存シングルモードファイバを有するもので、一例として波長λ1=1120nmの直線偏光したレーザビーム(基本波)10を発する。なおこのファイバレーザ11の出力は、1〜10Wの間で可変とされている。
【0028】
また光波長変換素子15は、一例として周期分極反転構造(Periodically Poled Structure)を有するMgOドープLiNbO結晶からなるものであり、ファイバレーザ11からの基本波10が入射する入射端面15aと、それに対面する出射端面15bとを有している。本例において、この光波長変換素子15の幅は2mm、厚さは0.5mmで、素子長つまり基本波および第2高調波の伝搬方向のサイズは20mmとされている。なお光波長変換素子15は、上記結晶のc軸方向が上記厚さの方向となるようにカットして形成されている。
【0029】
また、出力ミラー16の内面つまり光波長変換素子15側の凹面には、第1の反射部材としてのコート17が施され、光波長変換素子15の入射端面15aには第2の反射部材としてのコート18が施されている。コート17は、波長λ1=1120nmの基本波10に対しては良好に反射させるHRコート(反射率99.9%以上)となり、波長λ2=560nmの第2高調波14に対しては良好に透過させるARコート(反射率1%以下)となるものである。他方コート18は、基本波10に対しては良好に透過させるARコート(反射率1%以下)となり、記第2高調波14に対しては良好に反射させるHRコート(反射率99.9%以上)となるものである。
【0030】
位相調整手段20は、光波長変換素子15の入射端面15aの近傍部分において、互いに対面するように該素子15に固定された1対のEO電極21と、これらのEO電極21を介して光波長変換素子15の上記部分に可変電圧を印加する電圧印加回路22とからなるものである。各EO電極21は一例としてAu/Cr蒸着膜からなるものであり、Au膜の厚さは1μm、Cr膜の厚さは0.1μmとされ、基本波および第2高調波の伝搬方向の長さおよびそれに直交する幅が共に1mmである正方形に形成されている。
【0031】
次に、この光波長変換装置100の作用について説明する。ファイバレーザ11から発せられた基本波10は、コリメータレンズ12および集光レンズ13によって集光され、入射端面15aから光波長変換素子15内に入射する。こうして光波長変換素子15内を正方向つまり図中の左方向に伝搬する波長λ1=1120nmの基本波10は、光波長変換素子15内で周期分極反転構造によりいわゆる疑似位相整合が取られながら波長λ2=λ1/2=560nmの第2高調波14に変換される。
【0032】
この場合、MgOドープLiNbO結晶の最も大きい非線形光学定数d33が利用されるように、基本波10はその直線偏光方向がMgOドープLiNbO結晶のc軸の向きと一致する状態で光波長変換素子15に入射される。また基本波10は、そのビームウエスト位置が光波長変換素子15の入射端面15aに有り、そしてまたビームウエスト半径が80μmとなる状態で光波長変換素子15に入射される。
【0033】
上記のようにして発生して正方向に伝搬した第2高調波14は、光波長変換素子15の出射端面15bから出射し、そこに形成されたコート17を良好に透過して、所定の用途に利用される。一方、光波長変換素子15内を正方向に伝搬して第2高調波14に変換されなかった基本波10は、光波長変換素子15の出射端面15bから出射してコート17で良好に反射し、光波長変換素子15内を逆方向に伝搬する。この逆方向に伝搬する基本波10も、光波長変換素子15によって第2高調波14に変換される。この第2高調波14は光波長変換素子15の入射端面15aから出射し、コート18において良好に反射し、折り返して光波長変換素子15内を正方向に伝搬する。なお、このとき第2高調波14に変換されなかった基本波10は、コート18を良好に透過する。
【0034】
上述のように折り返した第2高調波14(つまり正方向に2回目に伝搬する第2高調波)が、先に述べた第2高調波14(つまり正方向に1回目に伝搬する第2高調波)に対して位相がずれていると、最悪の場合は両者が弱め合うように干渉して、出力ミラー16から出射する第2高調波の出力がゼロになってしまうことも起こり得る。
【0035】
また、第2高調波の出力がほぼゼロになる最悪状態には至らなくても、正方向と逆方向の光路長の総和次第では、正方向に1回目に伝搬する第2高調波の位相と、正方向に2回目に伝搬する第2高調波の位相との関係次第で、基本波を折り返さない一般的な光波長変換装置よりも第2高調波出力が低くなってしまうことが起こり得る。
【0036】
上記の不具合を回避できるように本実施形態においては、前述の位相調整手段20が設けられている。この位相調整手段20を構成する電圧印加回路22は、EO電極21を介して光波長変換素子15の入射端面近傍部分に、一例として0〜1kVの範囲で可変とされた電圧を印加する。この電圧印加部分では光波長変換素子15の屈折率が変わっており、そこで、この部分を通過して正方向に1回目に伝搬する基本波10およびそこから変換された第2高調波14の位相は、それぞれ印加電圧の値に応じて変化することになる。そして、上記電圧印加部分を通過して逆方向に伝搬する基本波10およびそれから変換された第2高調波14の位相も、それぞれ印加電圧の値に応じて変化することになる。また、正方向に1回目に伝搬する基本波10と、反射して逆方向に伝搬する基本波10との間の位相の関係は、光波長変換素子15の素子長にも応じて変化する。
【0037】
そこで、上記印加電圧の値を調節すれば、コート18で反射して正方向に2回目に伝搬する第2高調波14の位相を、正方向に1回目に伝搬する第2高調波14の位相と一致させることが可能になる。この状態になったとき、光波長変換素子15から取り出される第2高調波14の出力は最大となる。
【0038】
基本波10の出力を1W、3Wおよび10Wと3通りに設定した場合、光波長変換素子15への印加電圧を上述の範囲で調整すると、各場合でそれぞれ下の表1に示す通りの第2高調波最大出力が得られた。
【0039】
比較のために、位相調整手段20を持たない点、並びにコート17、18に代えて基本波10および第2高調波14を良好に透過させるARコートを形成した点以外は以上述べた実施形態の光波長変換装置100と同様の構成とした比較例の光波長変換装置を作製し、それによる第2高調波14の発生についても調べた。なお、この場合、基本波10は光波長変換素子を1回だけ正方向に伝搬することになる。またこの場合、基本波10は、そのビームウエスト位置が光波長変換素子15の長さ方向中央位置に有り、そしてビームウエスト半径が60μmとなる状態で光波長変換素子15に入射される。この比較例における測定結果を表1に併せて示す。
【表1】

【0040】
以上の通り本実施形態の光波長変換装置100によれば、光波長変換素子15において1回だけ基本波10を通過させるように構成された光波長変換装置と比べて、波長変換効率を1.7〜2.4倍に高めることが可能である。
【0041】
なお本実施形態では、コート17が出力ミラー16に形成されているが、このコート17を光波長変換素子15の出射端面15bに形成してもよい。また反対に、光波長変換素子15の入射端面15aに形成されているコート18を、光波長変換素子15とは別体に形成された光学部材に形成してもよい。
【0042】
《第2実施形態》
次に図2を参照して、本発明の第2実施形態による光波長変換装置200について説明する。なおこの図2において、図1中の要素と同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は特に必要のない限り省略する(以下、同様)。この光波長変換装置200は図1に示した光波長変換装置100と比べると基本的に、可変電圧印加による位相調整手段20に代えて、光波長変換素子15の温度を調節する手段からなる位相調整手段30が設けられた点が異なるものである。
【0043】
上記位相調整手段30は、光波長変換素子15を全体的に加温/冷却可能であるペルチェ素子31と、このペルチェ素子31に電流を供給する温度調節回路32と、光波長変換素子15の温度を検出して温度検出信号を温度調節回路32にフィードバックする温度センサ33とから構成されている。この位相調整手段30においては、温度調節回路32によりペルチェ素子31に供給する電流を、温度センサ33の温度検出信号が示す検出温度と設定温度(目標温度)との差に基づいて制御することにより、光波長変換素子15を設定温度に制御することができる。
【0044】
先に述べた比較例の光波長変換装置、つまり基本波10が光波長変換素子を1回だけ正方向に伝搬するようにした光波長変換装置にも上記と同様の位相調整手段30を設けて、最大の第2高調波出力が得られる光波長変換素子の温度を調べた。それによると第2高調波の出力は光波長変換素子の設定温度に対して、図3に示す通りの温度依存性を有することが分かった。同図に示される通り、光波長変換素子の温度が56.7℃(これが位相整合温度である)のときに最大の第2高調波出力が得られる。
【0045】
それに対して本実施形態の光波長変換装置200において、光波長変換素子15の設定温度を連続的に変化させると、温度間隔0.47℃で周期的に第2高調波出力が変化した。第1実施形態と同様に基本波10の出力を1W、3Wおよび10Wとした場合に、上述のように変動する第2高調波出力の最大値を測定したところ、下の表2に示す通りの結果が得られた。なおこの表2でも、前記比較例の測定結果を併せて示す。
【表2】

【0046】
以上の通り本実施形態においても、比較例におけるよりも高い変換効率が得られている。ただし、表1に示した第1実施形態の結果と本実施形態の結果を比較すると、比較例に対する変換効率の改善が第1実施形態では2.4、2.0および1.7(倍)であったの対し、本実施形態では1.4、1.5および1.3(倍)であって、改善の程度が低い。これは、前述したように温度間隔0.47℃で周期的に変化する第2高調波出力がピーク値を取る温度が、第2高調波発生の位相整合温度56.7℃に対して約0.2℃ずれて約56.5℃になっていることによる。
【0047】
《第3実施形態》
次に、本発明の第3実施形態による光波長変換装置について説明する。本実施形態の光波長変換装置は、図2に示した第2実施形態の光波長変換素子200において、光波長変換素子15に代えて図4に示す光波長変換素子215が適用された形のものである。この図4に示す光波長変換素子215は、ハッチングを付して分極反転部215cを示すように、MgOドープLiNbO結晶に形成された周期分極反転構造が、一定周期ではなくてチャープ周期を有するものとされた点で、既述の光波長変換素子15と異なるものである。
【0048】
上述の構造を有する光波長変換素子215を用いる場合は、基本波10に対して、その進行方向を横切る方向、つまり図4における上下方向に該素子215を相対移動させることにより、基本波10が伝搬する部分における周期分極反転構造の周期を変えることが可能になる。
【0049】
このことを利用して本実施形態ではまず、光波長変換素子15の周期分極反転構造の周期が中程度の部分、つまり図4中の上下方向中央部分近辺に基本波10を伝搬させ、その状態下で光波長変換素子215の設定温度を連続的に変化させて、第2高調波14の出力が最大となる設定温度を見つけ、その温度に光波長変換素子215を維持した。この状態下では、正方向に1回目に伝搬する第2高調波14の位相と、正方向に2回目に伝搬する第2高調波14の位相とが互いに一致している。次に、光波長変換素子215を図4中の上下方向に移動させ、その移動範囲の中で第2高調波14の出力が最大となる位置に光波長変換素子215を固定した。このときは、基本波10が通過する部分の周期分極反転構造の周期が、第2高調波発生の位相整合条件を最大満足する値となっている。
【0050】
以上の状態とした上で、第1および第2実施形態と同様に基本波10の出力を1W、3Wおよび10Wと変化させ、各場合の第2高調波出力を測定したところ、下の表3に示す通りの結果が得られた。なおこの表3でも、前記比較例の測定結果を併せて示す。
【表3】

【0051】
表2に示した第2実施形態の結果と本実施形態の結果を比較すると、比較例に対する変換効率の改善が第2実施形態では1.4、1.5および1.3(倍)であったのに対し、本実施形態では2.2、1.8および1.5(倍)であって、改善の程度がより高くなっているのが分かる。つまり本実施形態では、正方向に1回目、2回目に伝搬する各第2高調波14の位相を一致させるために設定した光波長変換素子215の温度が、第2高調波発生の位相整合温度からずれていることを、周期分極反転構造の周期を変えることによって補償可能となっている。
【0052】
図5は、以上のことを概念的に示すものである。同図において実線aで示すのが、上記2つの第2高調波14の位相関係に基づく第2高調波出力プロファイルであり、光波長変換素子215の温度が約56.5℃のとき2つの第2高調波14の位相が一致して最大の第2高調波出力が得られる。一方、破線で示すのが第2高調波発生における位相整合に基づく第2高調波出力プロファイルであり、破線bが光波長変換素子215の位置調整を行う前のプロファイルを、そして破線cが光波長変換素子215の位置調整後のプロファイルを示している。
【0053】
より具体的に、第2実施形態における光波長変換素子15の周期分極反転構造の周期が8.48μmであるのに対し、本実施形態では光波長変換素子215の基本波10が伝搬する部分の周期分極反転構造の周期を、8.46〜8.51μmの範囲で変更可能となっている。
【0054】
なお図4に示す光波長変換素子215はバルク型のものであるが、導波路型の光波長変換素子とする場合は、同図の上下方向に違いに離して複数の光導波路を形成すればよい。そして、そのように形成した光波長変換素子を前記と同様に同図の上下方向に移動させることにより、基本波10が導波する光導波路を適宜選択すれば、基本波10が伝搬する部分における周期分極反転構造の周期を段階的に変えることが可能になる。
【0055】
《第4実施形態》
次に図6を参照して、本発明の第4実施形態による光波長変換装置400について説明する。なおこの図6および、続いて説明する図7〜9では、位相調整手段は省略してあるが、それらの構成においても図1に示した位相調整手段20あるいは、図2に示した位相調整手段30を適宜用いればよい。
【0056】
この第4実施形態の光波長変換装置400においては、ファイバレーザ11と光波長変換素子15とが直接GRIN(屈折率分布型)レンズ410によって結合されている。ファイバレーザ11のコア11aから射出される基本波10としてのレーザビームは一般に広がり角が大きい。そこで上記GRINレンズ410により、基本波10の広がりを抑えるようにすれば、より長い素子長を有する光波長変換素子15が適用可能になり、そこで該素子15と基本波10の相互作用長を大きく取ることができ、ひいては波長変換効率の高い光波長変換装置400を実現可能となる。
【0057】
《第5実施形態》
次に図7を参照して、本発明の第5実施形態による光波長変換装置500について説明する。この光波長変換装置500は、図6に示した第4実施形態の光波長変換装置400と比べると、GRINレンズ410に代えてGI(グレーデッド・インデックス)ファイバ510が適用された点が異なるものである。GIファイバ510は、コア510aの屈折率が中心から周辺に向かって次第に小さくなるように形成されたものであり、このコア510aを伝搬した後に出射する基本波10を集束させる機能を有する。このようなGIファイバ510を用いる場合も基本波10の広がりを抑えることが可能であり、それにより、図6に示した第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0058】
《第6実施形態》
次に図8を参照して、本発明の第6実施形態による光波長変換装置600について説明する。この光波長変換装置600は、図6に示した第4実施形態の光波長変換装置400と比べると、GRINレンズ410に代えてテーパファイバ610が適用された点が異なるものである。このテーパファイバ610は、コア610aが入射端面から出射端面に向かって(図中右から左に向かって)次第に広がる形状とされたものであり、そのコア610aを伝搬した後に出射する基本波10の広がりを抑えることが可能である。それにより本実施形態でも、図6に示した第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0059】
《第7実施形態》
次に図9を参照して、本発明の第7実施形態による光波長変換装置700について説明する。この光波長変換装置700においては、以上説明した各実施形態で用いられた出力ミラー16が省かれ、その代わりに光波長変換素子15の出射端面15bが凸レンズ形状とされている。そして、前述の通りの作用を果たすコート17は、この出射端面15bに形成されている。このコート17での反射について考えれば、上記形状の出射端面15bは出力ミラー16と同様に凹面鏡としての作用を果たす。またファイバレーザ11は光波長変換素子15に直接結合されている。このような構成の光波長変換装置700は、全体的に小型、軽量なものとなり得る。
【0060】
なお、本実施形態においては、基本波がファイバレーザ11側に直接戻る構成となっている。そのため、ファイバレーザ11側の途中の光路中には、光アイソレーターを介設して、戻り光によるファイバレーザ11の破壊を防止することが望ましい。特にファイバレーザ11がハイパワーのものである場合は、戻り光による破壊がより起こりやすいので、戻り光をより効果的に抑圧できる光アイソレーターを使うことが望ましい。
【0061】
なお、本発明の光波長変換装置においては、正方向に1回目に伝搬する波長変換波の位相と、正方向に2回目に伝搬する波長変換波の位相を、位相調整手段によって互いに1周期以上調整可能としておくことが望ましい。そのようになっていれば、2つの波長変換波の位相を必ず一致させることが可能になる。以下、第2高調波発生時にこの要求を満足させるための具体的条件を、位相調整手段として可変電圧印加手段が用いられる場合と、温度調節手段が用いられる場合とについて考察する。
【0062】
《電圧印加手段が用いられる場合》
光波長変換素子への印加電圧をV、光の波長をλ、この波長λに対する光波長変換素子の屈折率をneとすると、光波長変換素子の電圧印加領域に作用する電界E、電圧印加による光波長変換素子の屈折率変化量Δne、電圧印加による第2高調波の位相変化量Δφはそれぞれ下記の通りとなる。
【0063】
E=V/d・・・・・・・・・・・・・・(1)
Δne=(1/2)γ33・ne・E・・・(2)
Δφ=(2π/λ)L・Δne ・・・・(3)
∵φ=(2π/λ)L・ne
また、光波長変換に関わる要素の具体的数値を下記の例として考える。
【0064】
基本波の波長λFM=1000nm
第2高調波の波長λSH=500nm
光波長変換素子のEO係数γ33=30.8(pm/V)
光波長変換素子の基本波に対する屈折率neFM=2.16
光波長変換素子の第2高調波に対する屈折率neSH=2.25
光波長変換素子の厚さd=0.5mm
EO電極の長さL=1mm
なお、上記屈折率neFMおよびneSHは、光波長変換素子が電圧印加を受けないときの値である。また光波長変換素子の厚さdは1対のEO電極間の距離となり、EO電極の長さLは、光波長変換素子において第2高調波が位相調整を受ける領域の長さとなる。
【0065】
ここで図10に、光波長変換素子15を通過する基本波10および第2高調波14の光路を概略的に示す。最初に正方向に伝搬した基本波10−1は、コート17で反射して逆方向に折り返す。この折り返した基本波を10−2として示す。基本波10−1が正方向に伝搬する際に、その一部は第2高調波14−1に変換される。また折り返した基本波10−2が逆方向に伝搬する際に、その一部は第2高調波14−2に変換され、この第2高調波14−2はコート18で反射して第2高調波14−3として正方向に伝搬する。
【0066】
上記の基本波および第2高調波はそれぞれ、光波長変換素子15の電圧印加領域を通過することにより位相が変化する。ここでは、正方向に1回目に伝搬する第2高調波14−1と、正方向に2回目に伝搬する第2高調波14−3との間の位相差Δφについて考えるが、第2高調波14−1は基本波10−1の位相を受け継ぐ。また正方向に2回目に伝搬する第2高調波14−3はコート18で反射する前の第2高調波14−2のときと合わせて合計2回、電圧印加領域を通過して位相変化する。そこで、電圧印加領域通過による基本波の位相変化をΔφFM、第2高調波の位相変化をΔφSHとすると、上記位相差Δφがちょうど1周期となる条件は、
Δφ=ΔφSH+ΔφSH−ΔφFM=2π・・・(4)
となる。
【0067】
ΔφSHおよびΔφFMは、前述の(3)式より、
ΔφSH=(2π/λSH)L・ΔneSH
ΔφFM=(2π/λFM)L・ΔneFM
であるので、(4)式より、
2(2π/λSH)L・ΔneSH−(2π/λFM)L・ΔneFM=2π
∴2πL{(2ΔneSH/λSH)−ΔneFM/λFM}=2π・・・(5)
となる。
【0068】
また(1)および(2)式より、
ΔneSH=(1/2)γ33・neSH・E=(1/2)γ33・neSHV/d
ΔneFM=(1/2)γ33・neFM・E=(1/2)γ33・neFMV/d
であるから(5)式は、
πL{(2γ33・neSHV/d・λSH)−γ33・neFMV/d・λFM}=2π
となり、ここにλFM=2λSHを代入すると、
πL{(2γ33・neSHV/d・λSH)−γ33・neFMV/d・2λSH}=2π
∴(Lγ33V/2dλSH)(4neSH−neFM)=2
となる。
【0069】
上式に、前述した具体例の数値をそれぞれ代入してVの値を求めると、V=915ボルトとなる。つまり各要素が上記数値となっている場合は、光波長変換素子に0〜915ボルトの範囲にある可変電圧を印加できるようにしておけば、正方向に1回目に伝搬する波長変換波の位相と、正方向に2回目に伝搬する波長変換波の位相を必ず一致させることが可能になる。
【0070】
《温度調節手段が用いられる場合》
光波長変換素子が一様に温度調節される場合、第2高調波は正方向に伝搬するときも、また逆方向に伝搬するときも、素子の温度変化ΔTに対してΔφの位相変化を受ける。そこで、第2高調波が正方向に1回目に伝搬するとき、そこから折り返して逆方向に伝搬するとき、そこから折り返して正方向に2回目に伝搬するときの位相変化を各々Δφ(3つとも同じである)とすると、正方向に1回目に伝搬する第2高調波と、正方向に2回目に伝搬する第2高調波との間の位相差Δφは、
Δφ=Δφ−(Δφ+Δφ)=Δφ
であり、結局、第2高調波が光波長変換素子を1回通過するときに温度変化ΔTにより生じる位相変化量Δφと同じ値となる。
【0071】
そして位相φは、光波長変換素子の屈折率をn、その長さをLeとすると、
φ=(2π/λ)n・Le
であるから、これより、
Δφ=Δφ=(2π/λ)Δn・Le
となる。また、光波長変換素子がΔTの温度変化を受けたときの該素子の屈折率変化量Δnは、光波長変換素子の温度係数をδn/δTとすると、
Δn=ΔT(δn/δT)
であるから、これを上式に代入すると、
Δφ=ΔT(2π/λ)(δn/δT)・Le
となる。
【0072】
この式から具体的な数値を考える。光波長変換素子の温度係数δn/δT=5.3×10−5、n=2.2、λ=500nmとして、
ΔT(2π/λ)(δn/δT)・Le=2π
を満たすΔTを求めると、例えばLe=10mmのときΔT=0.94℃、Le=20mmのときΔT=0.47℃となる。つまり、光波長変換素子の長さが10mm、20mmの場合、素子温度をそれぞれ0.94℃の範囲、0.47℃の範囲に亘って調節できるようにしておけば、正方向に1回目に伝搬する波長変換波の位相と、正方向に2回目に伝搬する波長変換波の位相を必ず一致させることが可能になる。
【0073】
図11は、上述のように光波長変換素子の温度を0.47℃の範囲に亘って調節する場合の、位相調整と位相整合との関係を示すものである。つまり、そこに実線で示すように、0.47℃の範囲に亘って素子温度を調整すれば、その範囲の中央の温度となったとき、正方向に1回目に伝搬する波長変換波の位相と、正方向に2回目に伝搬する波長変換波の位相が一致することになる。そして、そこに併せて破線で示す位相整合プロファイル(素子長が比較的長い場合と、短い場合の2例を示す)がもし図示のようになっているならば、該プロファイルが上記中央の温度でピークを取るように、つまりこの中央の温度が位相整合温度となるように、前述した図4の光波長変換素子215を適用する等によって、この位相整合プロファイルを変化させればよい。
【符号の説明】
【0074】
100、200、400、500、600、700 光波長変換装置
10 基本波
11 ファイバレーザ(基本波光源)
12 コリメータレンズ
13 集光レンズ
14 第2高調波
15、215 光波長変換素子
15a 光波長変換素子の入射端面
15b 光波長変換素子の出射端面
16 出力ミラー
17 コート(第1の反射部材)
18 コート(第2の反射部材)
20、30 位相調整手段
21 EO電極
22 電圧印加回路
31 ペルチェ素子
32 温度調節回路
33 温度センサ
410 GRINレンズ
510 GIファイバ
610 テーパファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射端面とそれに対面する出射端面とを有し、入射端面から入射して出射端面側に伝搬した基本波を波長変換波に変換して、出射端面から出射させる光波長変換素子と、
前記出射端面から出射した基本波および波長変換波を、前者は反射させる一方後者は透過させる第1の反射部材と、
この第1の反射部材で反射して折り返し光波長変換素子内を伝搬した後に前記入射端面から出射した基本波および、該基本波から変換されて前記入射端面から出射した波長変換波を、前者は透過させる一方後者は反射させる第2の反射部材と、
前記第1の反射部材に到達する前に光波長変換素子内を伝搬する波長変換波の位相と、前記第2の反射部材で反射して折り返し光波長変換素子内を伝搬する波長変換波の位相とを互いに揃える位相調整手段とを備えてなる光波長変換装置。
【請求項2】
前記位相調整手段として、光波長変換素子の少なくとも一部に可変電圧を印加する手段が設けられたことを特徴とする請求項1記載の光波長変換装置。
【請求項3】
前記可変電圧を印加する手段が、光波長変換素子の入射端面近傍部分に可変電圧を印加するものであることを特徴とする請求項2記載の光波長変換装置。
【請求項4】
前記位相調整手段として、光波長変換素子の温度を調節する手段が設けられたことを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の光波長変換装置。
【請求項5】
前記位相調整手段として、前記第1の反射部材に到達する前に光波長変換素子内を伝搬する波長変換波の位相と、前記第2の反射部材で反射して折り返し光波長変換素子内を伝搬する波長変換波の位相を、互いに1周期以上ずらし得るものが用いられたことを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の光波長変換装置。
【請求項6】
前記光波長変換素子として、分極反転部の周期がチャープ周期とされた周期分極反転構造を有するものが用いられたことを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の光波長変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−242545(P2012−242545A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111435(P2011−111435)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(501392361)株式会社 オプトクエスト (24)
【Fターム(参考)】