説明

光源ユニット及びヘッドアップディスプレイ

【課題】マイクロレンズアレイを用いた構成において、過度な画素輝点を適切に抑制する。
【解決手段】光学素子は、それぞれ複数のマイクロレンズが配列された第1及び第2マイクロレンズアレイ部を有する。第1及び第2マイクロレンズアレイ部は、第1マイクロレンズアレイ部に配列されたマイクロレンズの焦点距離よりも長い距離だけ、互いに離間した位置に対向配置される。第1マイクロレンズアレイ部は、第2マイクロレンズアレイ部に対して光の入射側に配置されている。また、第1マイクロレンズアレイ部に配列されたマイクロレンズ同士の間隔が、第2マイクロレンズアレイ部に配列されたマイクロレンズ同士の間隔よりも狭く構成されている。上記の光学素子によれば、過度な画素輝点の発生を適切に抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロレンズアレイを用いた光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ヘッドアップディスプレイやレーザプロジェクタなどに、マイクロレンズアレイを用いた透過型のスクリーンを適用する技術が提案されている。このような透過型のスクリーンを用いた場合、拡散板を用いる場合と比較して、スペックルノイズによる影響を抑制できるといったメリットがある。例えば特許文献1には、レーザ光を光源とし、複数画素の配列で形成される映像を投影するレーザプロジェクタと、複数のマイクロレンズが配列されたマイクロレンズアレイとを有する画像形成装置が提案されている。マイクロレンズアレイを用いた場合、入射された光を適切に分散させることができると共に、必要な拡散角を自由に設計することができる。
【0003】
他方で、例えば特許文献2及び3並びに非特許文献1には、2枚のマイクロレンズアレイ若しくは2枚の回折格子を用いてスクリーンを構成することが提案されている。特に、非特許文献1には、1枚のマイクロレンズアレイのみを用いた場合には輝度むらが発生する傾向にあるが、2枚のマイクロレンズアレイを用いることで、このような輝度むらの発生を抑制できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−145745号公報
【特許文献2】特開平8−16656号公報
【特許文献3】特表2007−523369号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】H. Urey and K. D. Powell, “Microlens-array-based exit-pupil expander for full-color displays”, APPLIED OPTICS Vol.44, No.23, p.4930-4936
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えばレーザスキャン型光源にマイクロレンズアレイを適用した場合、マイクロレンズアレイが有する個々のマイクロレンズの焦点を画素位置とするような像(以下、「中間像」と呼ぶ。)が形成される。この場合、当該光源はレーザであるため、マイクロレンズアレイの焦点での集光特性が高い。そのため、マイクロレンズアレイによる中間像面で、各マイクロレンズによって形成された画素(つまりマイクロレンズの焦点に対応する画素)が分離したような状態となる場合がある。言い換えると、中間像面に、輝度の明るい部分と暗い部分とが顕著に表れる場合がある。したがって、マイクロレンズアレイによって形成された中間像を拡大して表示させた場合に、マイクロレンズアレイの各マイクロレンズによって形成された画素が過度な輝点(以下「画素輝点」と呼ぶ。)として目立ってしまう可能性がある。上記した特許文献1乃至3および非特許文献1には、このような過度な画素輝点を抑制する手法などについては記載されていない。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は上記のようなものが例として挙げられる。本発明は、マイクロレンズアレイを用いた構成において、過度な画素輝点を適切に抑制することが可能な光学素子、ヘッドアップディスプレイ及び光源ユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明では、複数のマイクロレンズが配列された第1マイクロレンズアレイ部及び第2マイクロレンズアレイ部を有する光学素子であって、前記第1マイクロレンズアレイ部及び前記第2マイクロレンズアレイ部は、前記第1マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズの焦点距離よりも長い距離だけ、互いに離間した位置に対向配置され、前記第1マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズ同士の間隔が、前記第2マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズ同士の間隔よりも狭く構成されており、前記第1マイクロレンズアレイ部は前記第2マイクロレンズアレイ部に対して光の入射側に配置され、前記複数のマイクロレンズは、それぞれ、平面視において正多角形状のレンズ輪郭を有し、前記第1マイクロレンズアレイ部及び前記第2マイクロレンズアレイ部は、当該第1マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズの前記レンズ輪郭の頂点方向と、当該第2マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズの前記レンズ輪郭の頂点方向との角度を、前記正多角形状に含まれる1の内角の半分の角度ずらせて構成されている。
【0009】
請求項10に記載の発明では、ヘッドアップディスプレイは、請求項1乃至のいずれか一項に記載の光学素子を備え、前記光学素子によって形成された画像をユーザの目の位置から虚像として視認させる。
【0010】
請求項11に記載の発明では、光源ユニットは、光源と、複数のマイクロレンズが所定の間隔で配列された第1マイクロレンズアレイと、前記所定の間隔よりも広い間隔で複数のマイクロレンズが配列された第2マイクロレンズアレイと、を有し、前記第2マイクロレンズアレイは、前記第1マイクロレンズアレイに配置されたマクロレンズの焦点距離よりも長い距離だけ離間した位置に配置され、前記第1マイクロレンズアレイは、前記第2マイクロレンズアレイに対して、前記光源から出射される光の入射側に配置され、前記複数のマイクロレンズは、それぞれ、平面視において正多角形状のレンズ輪郭を有し、前記第1マイクロレンズアレイ及び前記第2マイクロレンズアレイは、当該第1マイクロレンズアレイに配列された前記マイクロレンズの前記レンズ輪郭の頂点方向と、当該第2マイクロレンズアレイに配列された前記マイクロレンズの前記レンズ輪郭の頂点方向との角度を、前記正多角形状に含まれる1の内角の半分の角度ずらせて構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施例に係る画像表示装置の構成を示す。
【図2】本実施例に係るスクリーンの斜視図を示す。
【図3】本実施例に係る第1及び第2マイクロレンズアレイ部の構成を示す。
【図4】一般的なマイクロレンズアレイ部によって生じ得る、過度な画素輝点を説明するための図を示す。
【図5】本実施例に係るスクリーンの作用・効果を説明するための図を示す。
【図6】変形例1に係るスクリーンの具体的な構成を示す。
【図7】変形例1の他の例に係るスクリーンの具体的な構成を示す。
【図8】変形例2に係るスクリーンの具体的な構成を示す。
【図9】変形例3に係るスクリーンの具体的な構成を示す。
【図10】変形例4に係るスクリーンの具体的な構成を示す。
【図11】変形例5に係るスクリーンの具体的な構成を示す。
【図12】変形例5の他の例に係るスクリーンの具体的な構成を示す。
【図13】変形例6に係るスクリーンの具体的な構成を示す。
【図14】変形例6の他の例に係るスクリーンの具体的な構成を示す。
【図15】変形例7に係るスクリーンの具体的な構成を示す。
【図16】変形例7の他の例に係るスクリーンの具体的な構成を示す。
【図17】変形例8に係るスクリーンの具体的な構成を示す。
【図18】変形例8の他の例に係るスクリーンの具体的な構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の1つの観点では、複数のマイクロレンズが配列された第1マイクロレンズアレイ部及び第2マイクロレンズアレイ部を有する光学素子であって、前記第1マイクロレンズアレイ部及び前記第2マイクロレンズアレイ部は、前記第1マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズの焦点距離よりも長い距離だけ、互いに離間した位置に対向配置され、前記第1マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズ同士の間隔が、前記第2マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズ同士の間隔よりも狭く構成されており、前記第1マイクロレンズアレイ部は前記第2マイクロレンズアレイ部に対して光の入射側に配置されている。
【0013】
上記の光学素子は、それぞれ複数のマイクロレンズが配列された第1及び第2マイクロレンズアレイ部を有する。光学素子は、言い換えるとスクリーンに相当する。第1及び第2マイクロレンズアレイ部は、当該第1マイクロレンズアレイ部に配列されたマイクロレンズの焦点距離よりも長い距離だけ、互いに離間した位置に対向配置される。第1マイクロレンズアレイ部は、第2マイクロレンズアレイ部に対して光の入射側に配置されている。また、第1及び第2マイクロレンズアレイ部は、第1マイクロレンズアレイ部に配列されたマイクロレンズ同士の間隔が、第2マイクロレンズアレイ部に配列されたマイクロレンズ同士の間隔よりも狭く構成されている。つまり、第1マイクロレンズアレイ部のマイクロレンズにおけるレンズピッチが、第2マイクロレンズアレイ部のマイクロレンズにおけるレンズピッチがよりも小さくなるように構成されている。言い換えると、第1マイクロレンズアレイ部の1つのマイクロレンズのレンズ径が、第2マイクロレンズアレイ部の1つのマイクロレンズのレンズ径よりも小さくなるように構成されている。
【0014】
上記の光学素子によれば、第1マイクロレンズアレイ部の2つ以上のマイクロレンズで集光された光が、第2マイクロレンズアレイ部の1つのマイクロレンズに入射することとなる。これにより、第1マイクロレンズアレイ部の2つ以上のマイクロレンズによって形成された2つ以上の画素が、第2マイクロレンズアレイ部の1つのマイクロレンズによって集約され、1つの画素が形成される。つまり、第1マイクロレンズアレイ部によって形成された2つ以上の画素が、第2マイクロレンズアレイ部の1つのマイクロレンズによって、当該2つ以上の画素よりも大きなサイズを有する画素として集約される。これにより、画素輝点を目立たなくすることができる。よって、当該光学素子によれば、第2マイクロレンズアレイ部による中間像を拡大して表示させた場合にも、過度な画素輝点の発生を適切に抑制することができる。
【0015】
上記の光学素子の一態様では、前記第1マイクロレンズアレイ部の2以上のマイクロレンズで集光された光が、前記第2マイクロレンズアレイ部の1のマイクロレンズに入射することで集約されるように、前記第1マイクロレンズアレイ部及び前記第2マイクロレンズアレイ部に配列された各マイクロレンズ同士の間隔が設定されている。
【0016】
上記の光学素子では、第1マイクロレンズアレイ部の2以上のマイクロレンズで集光された光が、第2マイクロレンズアレイ部の1のマイクロレンズに入射することで集約されるように、第1マイクロレンズアレイ部及び第2マイクロレンズアレイ部に配列された各マイクロレンズ同士の間隔が設定されている。これにより、過度な画素輝点の発生を適切に抑制することができる。
【0017】
上記の光学素子において好適には、前記第1マイクロレンズアレイ部は、入射された光に対応する1の画素を、前記2以上のマイクロレンズによって分配することで2以上の画素を形成し、前記第2マイクロレンズアレイ部は、前記第1マイクロレンズアレイ部によって分配された隣接する前記2以上の画素を、前記1のマイクロレンズによって集約することで1の画素を形成する。
【0018】
上記の光学素子の他の一態様では、前記第1マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズ同士の間隔が、前記第2マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズ同士の間隔の「1/2」以下に構成されている。これにより、過度な画素輝点の発生を、効果的に抑制することができる。
【0019】
好適には、前記マイクロレンズ同士の間隔は、隣接するマイクロレンズの重心同士の間隔である。言い換えると、マイクロレンズ同士の間隔は、隣接するマイクロレンズの中心同士の距離である。
【0020】
上記の光学素子において好適には、前記第1マイクロレンズアレイ部及び前記第2マイクロレンズアレイ部は、前記第1マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズの焦点距離の1.5倍以上かつ3倍以下の距離だけ離間した位置に対向配置されている。
【0021】
上記の光学素子の他の一態様では、前記複数のマイクロレンズは、それぞれ、平面視において多角形状のレンズ輪郭で構成され、前記第1マイクロレンズアレイ部及び前記第2マイクロレンズアレイ部は、当該第1マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズの前記レンズ輪郭の頂点方向と、当該第2マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズの前記レンズ輪郭の頂点方向との角度をずらせて構成されている。
【0022】
上記の光学素子では、第1及び第2マイクロレンズアレイ部は、当該第1マイクロレンズアレイ部に配列されたマイクロレンズのレンズ輪郭である多角形状の頂点方向と、当該第2マイクロレンズアレイ部に配列されたマイクロレンズのレンズ輪郭である多角形状の頂点方向との角度差が、所定角度に構成されている。つまり、レンズ輪郭である多角形状が互いに所定角度だけ回転した関係になるように、第1及び第2マイクロレンズアレイ部に複数のマイクロレンズが配列されている。上記の光学素子によれば、入射面において生じ得る多角形状の像による不要な干渉を抑制することができ、第1及び第2マイクロレンズアレイ部における位置ずれによる影響を適切に抑制することが可能となる。また、上記の光学素子によれば、第1及び第2マイクロレンズアレイ部を厳密に位置調整する必要がないため、容易且つ低コストで光学素子を作成することが可能となる。
【0023】
上記の光学素子の他の一態様では、前記多角形状は、正六角形状であり、前記第1マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズの前記レンズ輪郭の頂点方向と、前記第2マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズの前記レンズ輪郭の頂点方向との角度差は、略30度又は略90度である。この態様によれば、第1及び第2マイクロレンズアレイ部における位置ずれによる影響を、効果的に抑制することが可能となる。
【0024】
上記の光学素子の他の一態様では、前記多角形状は、正方形状であり、前記第1マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズの前記レンズ輪郭の頂点方向と、前記第2マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズの前記レンズ輪郭の頂点方向との角度差は、略45度又は略135度である。この態様によれば、第1及び第2マイクロレンズアレイ部における位置ずれによる影響を、効果的に抑制することが可能となる。
【0025】
上記の光学素子の他の一態様では、前記複数のマイクロレンズは、それぞれ、平面視において正多角形状のレンズ輪郭を有し、前記第1マイクロレンズアレイ部及び前記第2マイクロレンズアレイ部は、当該第1マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズの前記レンズ輪郭の頂点方向と、当該第2マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズの前記レンズ輪郭の頂点方向との角度を、前記正多角形状に含まれる1の内角の半分の角度ずらせて構成されている。この態様によっても、第1及び第2マイクロレンズアレイ部における位置ずれによる影響を、効果的に抑制することが可能となる。
【0026】
上記の光学素子の他の一態様では、前記第1マイクロレンズアレイ部及び前記第2マイクロレンズアレイ部は、それぞれ前記複数のマイクロレンズが等間隔に配列され、前記マイクロレンズは、1のマイクロレンズ周囲に、前記1のマイクロレンズの頂点に対してそれぞれ所定角度ごとに隣接して配列され、前記第1マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズと、前記第2マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズとが、前記1のマイクロレンズに対して前記所定角度の半分の角度ずらせて構成されている。この態様によっても、第1及び第2マイクロレンズアレイ部における位置ずれによる影響を効果的に抑制することが可能となる。なお、上記の光学素子においては、前記第1及び第2マイクロレンズアレイ部を構成するマイクロレンズの間を光が透過しないようにマスクすることが好ましい。
【0027】
上記の光学素子の他の一態様では、前記第1マイクロレンズアレイ部を一方の面に有する第1レンズアレイと、前記第2マイクロレンズアレイ部を一方の面に有する第2レンズアレイとから構成される。言い換えると、第1及び第2マイクロレンズアレイ部は、別個に構成されていると共に、それぞれ片側の面に複数のマイクロレンズが形成されている。
【0028】
好適には、前記第1マイクロレンズアレイ部及び前記第2マイクロレンズアレイ部は、前記第1レンズアレイ及び前記第2レンズアレイの、各々対向する面に形成されている。言い換えると、第1及び第2マイクロレンズアレイ部は、それぞれ、当該第1及び第2マイクロレンズアレイ部の対向する面に複数のマイクロレンズが形成されている。
【0029】
また好適には、前記第1マイクロレンズアレイ部は、前記第1レンズアレイの面のうち、前記第2レンズアレイの前記第2マイクロレンズアレイ部が形成されている面と対向しない面に形成されている。言い換えると、第1及び第2マイクロレンズアレイ部の一方は、当該第1及び第2マイクロレンズアレイ部の対向する面に複数のマイクロレンズが形成されており、第1及び第2マイクロレンズアレイ部の他方は、対向する面の反対側の面に複数のマイクロレンズが形成されている。
【0030】
また好適には、前記第1マイクロレンズアレイ部及び前記第2マイクロレンズアレイ部は、前記第1レンズアレイ及び前記第2レンズアレイの、各々対向しない面に形成されている。言い換えると、第1及び第2マイクロレンズアレイ部は、それぞれ、当該第1及び第2マイクロレンズアレイ部の対向する面の反対側の面に複数のマイクロレンズが形成されている。
【0031】
上記の光学素子の他の一態様では、前記第1マイクロレンズアレイ部を一方の面に有し、前記第2マイクロレンズアレイ部を他方の面に有する。言い換えると、第1及び第2マイクロレンズアレイ部が一体に構成され、光学素子における対向する両側の面に複数のマイクロレンズが形成されている。この態様によれば、2つのマイクロレンズアレイ部が一体に構成されているため、マイクロレンズアレイが形成された1枚の構成要素のみを作成すれば良いので、光学素子に要するコストをより低減することが可能となる。
【0032】
上記した光学素子は、画像をユーザの目の位置から虚像として視認させるヘッドアップディスプレイに好適に適用することができる。
【0033】
本発明の他の観点では、光源ユニットは、光源と、複数のマイクロレンズが所定の間隔で配列された第1マイクロレンズアレイと、前記所定の間隔よりも広い間隔で複数のマイクロレンズが配列された第2マイクロレンズアレイと、を有し、前記第2マイクロレンズアレイは、前記第1マイクロレンズアレイに配置されたマクロレンズの焦点距離よりも長い距離だけ離間した位置に配置され、前記第1マイクロレンズアレイは、前記第2マイクロレンズアレイに対して、前記光源から出射される光の入射側に配置されている。上記の光源ユニットによっても、過度な画素輝点の発生を適切に抑制することができる。
【実施例】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0035】
[画像表示装置の構成]
図1は、本実施例に係る光学素子が適用された画像表示装置の構成を示す。図1に示すように、画像表示装置1は、画像信号入力部2と、ビデオASIC3と、フレームメモリ4と、ROM5と、RAM6と、レーザドライバASIC7と、MEMS制御部8と、レーザ光源ユニット9と、MEMSミラー10と、スクリーン11と、を備える。
【0036】
画像表示装置1は、例えばヘッドアップディスプレイに適用される。ヘッドアップディスプレイは、画像を運転者の目の位置(アイポイント)から虚像として視認させる装置である。
【0037】
画像信号入力部2は、外部から入力される画像信号を受信してビデオASIC3に出力する。
【0038】
ビデオASIC3は、画像信号入力部2から入力される画像信号及びMEMSミラー10から入力される走査位置情報Scに基づいてレーザドライバASIC7やMEMS制御部8を制御するブロックであり、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成されている。ビデオASIC3は、同期/画像分離部31と、ビットデータ変換部32と、発光パターン変換部33と、タイミングコントローラ34と、を備える。
【0039】
同期/画像分離部31は、画像信号入力部2から入力された画像信号から、画像表示部であるスクリーンに表示される画像データと同期信号とを分離し、画像データをフレームメモリ4へ書き込む。
【0040】
ビットデータ変換部32は、フレームメモリ4に書き込まれた画像データを読み出してビットデータに変換する。
【0041】
発光パターン変換部33は、ビットデータ変換部32で変換されたビットデータを、各レーザの発光パターンを表す信号に変換する。
【0042】
タイミングコントローラ34は、同期/画像分離部31、ビットデータ変換部32の動作タイミングを制御する。また、タイミングコントローラ34は、後述するMEMS制御部8の動作タイミングも制御する。
【0043】
フレームメモリ4には、同期/画像分離部31により分離された画像データが書き込まれる。ROM5は、ビデオASIC3が動作するための制御プログラムやデータなどを記憶している。RAM6には、ビデオASIC3が動作する際のワークメモリとして、各種データが逐次読み書きされる。
【0044】
レーザドライバASIC7は、後述するレーザ光源ユニット9に設けられるレーザダイオードを駆動する信号を生成するブロックであり、ASICとして構成されている。レーザドライバASIC7は、赤色レーザ駆動回路71と、青色レーザ駆動回路72と、緑色レーザ駆動回路73と、を備える。
【0045】
赤色レーザ駆動回路71は、発光パターン変換部33が出力する信号に基づき、赤色レーザLD1を駆動する。青色レーザ駆動回路72は、発光パターン変換部33が出力する信号に基づき、青色レーザLD2を駆動する。緑色レーザ駆動回路73は、発光パターン変換部33が出力する信号に基づき、緑色レーザLD3を駆動する。
【0046】
MEMS制御部8は、タイミングコントローラ34が出力する信号に基づきMEMSミラー10を制御する。MEMS制御部8は、サーボ回路81と、ドライバ回路82と、を備える。
【0047】
サーボ回路81は、タイミングコントローラからの信号に基づき、MEMSミラー10の動作を制御する。
【0048】
ドライバ回路82は、サーボ回路81が出力するMEMSミラー10の制御信号を所定レベルに増幅して出力する。
【0049】
レーザ光源ユニット9は、レーザドライバASIC7から出力される駆動信号に基づいて、レーザ光をMEMSミラー10へ出射する。
【0050】
走査手段としてのMEMSミラー10は、レーザ光源ユニット9から出射されたレーザ光をスクリーン11に向けて反射する。こうすることで、MEMSミラー10は、スクリーン11上に表示すべき画像を形成する。また、MEMSミラー10は、画像信号入力部2に入力された画像を表示するためにMEMS制御部8の制御によりスクリーン11上を走査(スキャン)するように移動し、その際の走査位置情報(例えばミラーの角度などの情報)をビデオASIC3へ出力する。
【0051】
スクリーン11は、本発明に係る「光学素子」の一例であり、透過型のスクリーンとして構成され、複数のマイクロレンズが配列されたマイクロレンズアレイ部(不図示)を備える。マイクロレンズアレイ部は、入射された光を適度に分散させる。具体的には、マイクロレンズアレイ部は、レンズの曲率などに応じた拡散角にて光を拡散させる。マイクロレンズアレイ部におけるレンズの曲率などは、必要な拡散角に応じて予め設計される。なお、スクリーン11については、詳細は後述する。
【0052】
なお、画像表示装置1は、実際には、上記のようなスクリーン11から出射された光を、反射ミラー(コンバイナ)で反射させた光や拡大素子で拡大させた光などに対応する画像を、運転者の目の位置(アイポイント)から虚像として視認させる。
【0053】
次に、レーザ光源ユニット9の詳細な構成を説明する。レーザ光源ユニット9は、ケース91と、波長選択性素子92と、コリメータレンズ93と、赤色レーザLD1と、青色レーザLD2と、緑色レーザLD3と、モニタ用受光素子(以下、単に「受光素子」と呼ぶ。)50と、を備える。
【0054】
ケース91は、樹脂などにより略箱状に形成される。ケース91には、緑色レーザLD3を取り付けるために、ケース91内へ貫通する孔が設けられているとともに断面が凹状のCAN取付部91aと、CAN取付部91aと直交する面に設けられ、ケース91内へ貫通する孔が設けられているとともに断面が凹状のコリメータ取付部91bと、が形成されている。
【0055】
合成素子としての波長選択性素子92は、例えばトリクロイックプリズムにより構成され、反射面92aと反射面92bが設けられている。反射面92aは、赤色レーザLD1から出射されたレーザ光をコリメータレンズ93へ向かって透過させ、青色レーザLD2から出射されたレーザ光をコリメータレンズ93へ向かって反射させる。反射面92bは、赤色レーザLD1および青色レーザLD2から出射されたレーザ光の大部分をコリメータレンズ93へ向かって透過させ、その一部を受光素子50へ向かって反射させる。また、反射面92bは、緑色レーザLD3から出射されたレーザ光の大部分をコリメータレンズ93へ向かって反射させ、その一部を受光素子50へ向かって透過させる。こうして、各レーザからの出射光が重ね合わされて、コリメータレンズ93および受光素子50に入射される。なお、波長選択性素子92は、ケース91内のコリメータ取付部91bの近傍に設けられている。
【0056】
コリメータレンズ93は、波長選択性素子92から入射したレーザ光を平行光にしてMEMSミラー10へ出射する。コリメータレンズ93は、ケース91のコリメータ取付部91bに、UV系接着剤などで固定される。即ち、合成素子の後段にコリメータレンズ93が設けられている。
【0057】
レーザ光源としての赤色レーザLD1は、赤色のレーザ光を出射する。赤色レーザLD1は、半導体レーザ光源がチップ状態のまま、又は、チップがサブマウントなどに載置された状態で、ケース91内の波長選択性素子92及びコリメータレンズ93と同軸となる位置に固定されている。
【0058】
レーザ光源としての青色レーザLD2は、青色のレーザ光を出射する。青色レーザLD2は、半導体レーザ光源がチップ状態のまま、又は、チップがサブマウントなどに載置された状態で、出射したレーザ光が反射面92aによってコリメータレンズ93へ向かって反射できる位置に固定されている。この赤色レーザLD1と青色レーザLD2の位置は入れ替わってもよい。
【0059】
レーザ光源としての緑色レーザLD3は、CANパッケージに取り付けられた状態又はフレームパッケージに取り付けられた状態であり、緑色のレーザ光を出射する。緑色レーザLD3は、CANパッケージ内に緑色のレーザ光を発生する半導体レーザ光源チップBが取り付けられており、ケース91のCAN取付部91aに固定されている。
【0060】
受光素子50は、各レーザ光源から出射されたレーザ光の一部を受光する。受光素子50は、フォトディテクタなどの光電変換素子であり、入射したレーザ光の光量に応じた電気信号である検出信号SdをレーザドライバASIC7へ供給する。実際には、パワー調整時には、赤色レーザ光、青色レーザ光及び緑色レーザ光のうちの1つが順に受光素子50へ入射され、受光素子50は、そのレーザ光の光量に対応する検出信号Sdを出力する。レーザドライバASIC7は、検出信号Sdに応じて、赤色レーザLD1、青色レーザLD2及び緑色レーザLD3のパワー調整を行う。
【0061】
例えば、赤色レーザLD1のパワー調整を行う場合、レーザドライバASIC7は赤色レーザ駆動回路71のみを動作させ、赤色レーザLD1へ駆動電流を供給して赤色レーザLD1から赤色レーザ光を出射させる。この赤色レーザ光の一部は受光素子50により受光され、その光量に応じた検出信号SdがレーザドライバASIC7へフィードバックされる。レーザドライバASIC7は、検出信号Sdが示す光量が適正な光量となるように、赤色レーザ駆動回路71から赤色レーザLD1へ供給される駆動電流を調整する。こうして、パワー調整がなされる。青色レーザLD2のパワー調整及び緑色レーザLD3のパワー調整も同様に行われる。
【0062】
なお、上記したようなレーザ光源ユニット9とスクリーン11とを少なくとも具備して構成される構成部は、本発明に係る「光源ユニット」の一例に相当する。
【0063】
[スクリーンの構成]
次に、本実施例に係るスクリーン11の構成について具体的に説明する。なお、前述したように、スクリーン11は本発明に係る「光学素子」の一例である。
【0064】
図2は、本実施例に係るスクリーン11の斜視図を示す。図2に示すように、スクリーン11は、所定の距離だけ離間させて対向配置された第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bを有する。第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bは、それぞれ、略円板状に構成されている。また、第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bは、それぞれ、平面視において正六角形状のレンズ輪郭で構成された複数のマイクロレンズ11aa、11baが、片側の面に格子状に形成されている。
【0065】
更に、図2に示すように、第1マイクロレンズアレイ部11aは入射光側に配置されており、第2マイクロレンズアレイ部11bは出射光側に配置されている。つまり、第1マイクロレンズアレイ部11aに先に光が入射し、第1マイクロレンズアレイ部11aから出射された光が第2マイクロレンズアレイ部11bに入射する。
【0066】
図3は、本実施例に係る第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bの具体的な構成を示す図である。図3(a)は、光の進行方向に垂直な面にて第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bを切断した断面図を示す。具体的には、第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bの一部分を拡大して表した断面図を示している。図3(a)に示すように、第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bは、複数のマイクロレンズ11aa、11baが形成された面が向き合うように対向配置されている。つまり、第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bは、それぞれ、対向する面に複数のマイクロレンズ11aa、11baが形成されている。また、第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bは、距離Dだけ離間した位置に対向配置されている。本実施例では、第1マイクロレンズアレイ部11aに配列されたマイクロレンズ11aaの焦点距離よりも少なくとも長い距離Dだけ離間した位置に、第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bを対向配置する。例えば、マイクロレンズ11aaにおける焦点距離の1.5倍以上かつ3倍以下の距離Dだけ離間した位置に、第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bを配置する。
【0067】
図3(b)は、第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bの平面図を示す。具体的には、光の進行方向に沿った方向から観察した、第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bの一部分を拡大して表した平面図を示している。図3(b)に示すように、第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bは、それぞれ、平面視において正六角形状のレンズ輪郭で構成された、複数のマイクロレンズ11aa、11baが格子状に配列されている。具体的には、複数のマイクロレンズ11aa、11baは、正六角形状を構成する辺同士を隣接させて配列されている。
【0068】
本実施例では、図3(b)に示すように、第1マイクロレンズアレイ部11aに配列されたマイクロレンズ11aaのレンズピッチPaと、第2マイクロレンズアレイ部11bに配列されたマイクロレンズ11baのレンズピッチPbとが異なるように、第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bを構成する。具体的には、第1マイクロレンズアレイ部11aにおけるレンズピッチPaが第2マイクロレンズアレイ部11bにおけるレンズピッチPbよりも小さくなるように、言い換えると1つのマイクロレンズ11aaのレンズ径が1つのマイクロレンズ11baのレンズ径よりも小さくなるように、第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bを構成する。例えば、マイクロレンズ11aaのレンズピッチPaがマイクロレンズ11baのレンズピッチPbの「1/2」以下となるように、第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bを構成する。
【0069】
なお、上記したレンズピッチPa、Pbは、言い換えると第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bに配列された隣接するマイクロレンズ11aa、11ba同士の間隔であり、隣接するマイクロレンズ11aa、11baの重心同士の間隔(つまり中心同士の距離)に相当する。以下同様であるものとする。
【0070】
[スクリーンの作用・効果]
次に、上述した本実施例に係るスクリーン11の作用・効果について説明する。
【0071】
まず、図4を参照して、一般的なマイクロレンズアレイ部200によって生じ得る、過度な画素輝点について説明する。図4(a)は、一般的なマイクロレンズアレイ部200によって形成される中間像を説明するための図を示している。例えばレーザスキャン型光源にマイクロレンズアレイ部200を適用した場合、マイクロレンズアレイ部200の各マイクロレンズ200aの焦点を画素位置とする中間像が、符号201で示す面(焦点面であり、以下「中間像面」と呼ぶ。)に形成される。図4(a)に示す例では、中間像は、マイクロレンズ200aの焦点位置に形成された画素202、203、204によって構成されている。このような画素202、203、204の間隔は、マイクロレンズアレイ部200のレンズピッチPaと等しい。
【0072】
図4(b)は、中間像面201での輝度の強度分布を示している。具体的には、中間像面201に形成された画素202、203、204に対応する輝度の強度分布(概ねガウス分布となる)を示している。上記したようにレーザスキャン型光源にマイクロレンズアレイ部200を適用した場合、当該光源はレーザであるため、マイクロレンズ200aの焦点での集光特性が高い。そのため、図4(b)中の矢印206で示すように、中間像面201では、画素202、203、204が分離したような状態となる傾向にある。つまり、中間像面201において、輝度の明るい部分と暗い部分とが顕著に表れる傾向にある。したがって、例えばヘッドアップディスプレイなどによって中間像を拡大して表示させた場合、マイクロレンズアレイ部200の各マイクロレンズ200aによって形成された画素202、203、204が、過度な画素輝点として目立ってしまう可能性がある。なお、このような現象は、2枚のマイクロレンズアレイ部200を用いた場合(レンズピッチが概ね同一のマイクロレンズアレイ部200を用いるものとする)にも、同様に発生し得る。
【0073】
次に、図5を参照して、本実施例に係るスクリーン11による作用・効果について説明する。図5(a)は、第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bによって形成される中間像を説明するための図を示している。本実施例では、第1マイクロレンズアレイ部11aのレンズピッチPaが第2マイクロレンズアレイ部11bのレンズピッチPbよりも小さく構成されているため、第1マイクロレンズアレイ部11aの2つ以上のマイクロレンズ11aaで集光された光が、第2マイクロレンズアレイ部11bの1つのマイクロレンズ11baに入射する。図5(a)に示す例では、マイクロレンズ11aaのレンズピッチPaがマイクロレンズ11baのレンズピッチPbの「1/3」に構成されているため、3つのマイクロレンズ11aaで集光された光が、1つのマイクロレンズ11baに入射する。
【0074】
ここでは、第1マイクロレンズアレイ部11aにおけるレンズピッチPaが、第1マイクロレンズアレイ部11aに入力される光に対応する画素(以下、「元画素」と呼ぶ。)のピッチよりも小さい場合を考える。具体的には、1つの元画素に対応する光が、第1マイクロレンズアレイ部11aの3つのマイクロレンズ11aaに入射する例を挙げる。この例では、1つの元画素に対応する光が、第1マイクロレンズアレイ部11aの3つのマイクロレンズ11aaによって分配されることで、3つの画素が形成される(以下では、第1マイクロレンズアレイ部11aによって分配された画素を「分配画素」と呼ぶ)。そして、マイクロレンズ11aaによって形成された3つの分配画素が、第2マイクロレンズアレイ部11bの1つのマイクロレンズ11baによって集約されることで、1つの画素が形成される(以下では、第2マイクロレンズアレイ部11bによって集約された画素を「集約画素」と呼ぶ)。
【0075】
図5(a)では、第1マイクロレンズアレイ部11aのマイクロレンズ11aaの焦点に位置する中間像面211に、分配画素212a〜212c、213a〜213c、214a〜214cが中間像として形成された例を示している。分配画素212a〜212c、213a〜213c、214a〜214cのそれぞれにおける3つの画素を一まとまりにした画素は、1つの元画素に対応する。また、図5(a)では、第2マイクロレンズアレイ部11bのマイクロレンズ11baの焦点に位置する中間像面215に、集約画素216、217、218が中間像として形成された例を示している。集約画素216、217、218は、それぞれ1つの元画素に対応する。
【0076】
図5(b)は、中間像面211での輝度の強度分布を示している。具体的には、中間像面211に形成された分配画素212a〜212c、213a〜213c、214a〜214cに対応する輝度の強度分布(概ねガウス分布となる)を示している。図5(b)より、上記したような一般的なマイクロレンズアレイ部200を用いた場合と比較して(図4(b)参照)、分配画素212a〜212c、213a〜213c、214a〜214cの分離が目立たなくなっていることがわかる。これは、第1マイクロレンズアレイ部11aにおけるレンズピッチPaを、元画素のピッチよりも小さく構成したことに起因する。他方で、図5(b)中の矢印219に示すように、輝度の高い部分と低い部分との差が、ある程度存在していることがわかる。このような差は、画素輝点が目立ってしまう可能性がある。
【0077】
図5(c)は、中間像面215での輝度の強度分布を示している。具体的には、中間像面215に形成された集約画素216、217、218に対応する輝度の強度分布(概ねガウス分布となる)を示している。図5(c)中の矢印220より、中間像面215では、上記した中間像面211と比較して(図5(b)中の矢印219参照)、輝度の高い部分と低い部分との差が小さくなっていることがわかる。これは、第1マイクロレンズアレイ部11aのレンズピッチPaよりも十分に大きなレンズピッチPbを有する第2マイクロレンズアレイ部11bを、マイクロレンズ11aaの焦点距離よりも長い距離Dだけ離間させた位置に配置したためであると考えられる。つまり、このように第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bを構成することで、第1マイクロレンズアレイ部11aによって形成された複数の分配画素を、第2マイクロレンズアレイ部11bの1つのマイクロレンズ11baによって集約することにより、分配画素よりも大きなサイズの集光画素を形成したからであると考えられる。
【0078】
以上のことから、本実施例によれば、画素輝点を適切に目立たなくすることができる。したがって、本実施例によれば、例えばヘッドアップディスプレイなどによって中間像を拡大して表示させた場合にも、過度な画素輝点の発生を適切に抑制することができる。
【0079】
また、本実施例では、第1マイクロレンズアレイ部11aのマイクロレンズ11aaにおける焦点距離よりも少なくとも長い距離Dだけ離間した位置に、第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bを対向配置している。これにより、第1マイクロレンズアレイ部11aにおける1つのマイクロレンズ11aaに入射した光を、第2マイクロレンズアレイ部11bにおける多数のマイクロレンズ11baに入射させることができる。そして、第2マイクロレンズアレイ部11bの各々のマイクロレンズ11baで集光して、画素を形成することができる。これにより、光を適切に分散させることができるので、均一でむら(輝度むら)の少ない画像を形成することが可能となる。
【0080】
ところで、前述した非特許文献1などには、2枚のマイクロレンズアレイを用いてスクリーン(以下、「比較例に係るスクリーン」と呼ぶ。)を構成することが記載されている。比較例に係るスクリーンでは、基本的には、2枚のマイクロレンズアレイを、マイクロレンズの焦点距離だけ離間させていた。このような比較例の構成では、2枚のマイクロレンズアレイを厳密に位置調整する必要があった。具体的には、2枚のマイクロレンズアレイの個々のマイクロレンズの光軸を一致させる必要があった。というのは、2枚のマイクロレンズアレイ間の距離が焦点距離とずれていたり、マイクロレンズのレンズ輪郭の頂点方向がずれていたりすると、マイクロレンズが不要な光を取り込んでしまったり、ずれによる影響が視認されてしまったりするなどの不具合が発生する場合があったからである。そのため、比較例では、スクリーンの作成に手間やコストがかかる傾向にあった。
【0081】
これに対して、本実施例では、第1マイクロレンズアレイ部11aのマイクロレンズ11aaにおける焦点距離よりも少なくとも長い距離Dだけ離間した位置に、第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bを対向配置している。このような本実施例によれば、マイクロレンズの焦点距離だけ厳密に2枚のマイクロレンズアレイを離間させて配置する比較例の構成と比較して、解像度は落ちる傾向にあるが、第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bを対向配置する際に要する精度を下げることができる。
【0082】
更に、本実施例によれば、上記したような構成により、レンズの光軸を一致させる必要がないため、入射角が変わってもその影響を小さくすることができる。よって、画角が比較的大きなレーザスキャン型光源に適切に対応することができる。したがって、特許文献1に記載されたような、レーザプロジェクタとマイクロレンズアレイとの間に配置されたコンデンサーレンズを用いる必要がない。そのため、本実施例によれば、画像表示装置1の部品点数を削減することができる。
【0083】
なお、図5では、第1マイクロレンズアレイ部11aのマイクロレンズ11aaにおけるレンズピッチPaを、第2マイクロレンズアレイ部11bのマイクロレンズ11baにおけるレンズピッチPbの「1/3」に構成する例を示したが、これに限定はされない。例えば、第1マイクロレンズアレイ部11aにおけるレンズピッチPaを、第2マイクロレンズアレイ部11bにおけるレンズピッチPbの「1/2」や「1/4」や「1/5」などに構成しても良い。この場合には、第1マイクロレンズアレイ部11aで形成された2つの分配画素や4つ以上の分配画素が、第2マイクロレンズアレイ部11bで1つの画素に集約されることとなる。基本的には、第1マイクロレンズアレイ部11aのレンズピッチPaを第2マイクロレンズアレイ部11bのレンズピッチPbよりも小さくすればするほど、第1マイクロレンズアレイ部11aと第2マイクロレンズアレイ部11bとの位置ずれによる影響を抑制することが可能となる。
【0084】
ここまでは、「n」を整数として、第1マイクロレンズアレイ部11aにおけるレンズピッチPaを、第2マイクロレンズアレイ部11bにおけるレンズピッチPbの「1/n」に構成する例を示した。この場合には、第1マイクロレンズアレイ部11aで形成されたn画素が、第2マイクロレンズアレイ部11bで1つの画素に集約されることとなる。
【0085】
以下では、「n」として整数でない値を用いる場合を考える。例えば、第1マイクロレンズアレイ部11aにおけるレンズピッチPaを、第2マイクロレンズアレイ部11bにおけるレンズピッチPbの「2/5」や「2/7」や「3/7」などに構成する場合である。このような場合には、第1マイクロレンズアレイ部11aの1つのマイクロレンズ11aaによって集光された光が、第2マイクロレンズアレイ部11bにおいて隣接する2つのマイクロレンズ11baに入射する傾向にある。この場合には、隣接する元画素の影響を受けることとなる。しかしながら、上記した「n」をより大きな値に設定することで、つまり第2マイクロレンズアレイ部11bのレンズピッチPbよりも第1マイクロレンズアレイ部11aのレンズピッチPaをより小さくすることで、そのような影響を小さくすることができる。また、第1マイクロレンズアレイ部11aと第2マイクロレンズアレイ部11bとの位置ずれによる影響も抑制することができる。
【0086】
なお、「n」として整数の値を用いた場合にも、1つのマイクロレンズ11aaによって集光された光が、隣接する2つのマイクロレンズ11baに入射する場合がある。
【0087】
[変形例]
以下では、上記した実施例の変形例について説明する。なお、上記した実施例と同様の構成については、その説明を適宜省略する。また、特に説明しない構成については、上記した実施例と同様であるものとする。
【0088】
(変形例1)
上記した実施例に係るスクリーン11では、第1マイクロレンズアレイ部11a及び第2マイクロレンズアレイ部11bは、それぞれの対向する面に複数のマイクロレンズ11aa、11baが形成されていた。これに対して、変形例1に係るスクリーンでは、第1及び第2マイクロレンズアレイ部の一方は、対向する面に複数のマイクロレンズが形成され、第1及び第2マイクロレンズアレイ部の他方は、対向する面の反対側の面に複数のマイクロレンズが形成される。言い換えると、変形例1に係るスクリーンでは、第1及び第2マイクロレンズアレイ部において同じ方向を向く面に(具体的には入射光側を向く面または出射光側を向く面に)、複数のマイクロレンズが形成される。
【0089】
図6は、変形例1に係るスクリーン111の具体的な構成を示す図である。図6は、光の進行方向に垂直な面にて、スクリーン111の第1マイクロレンズアレイ部111a及び第2マイクロレンズアレイ部111bを切断した断面図を示す。具体的には、第1マイクロレンズアレイ部111a及び第2マイクロレンズアレイ部111bの一部分を拡大して表した断面図を示している。なお、第1マイクロレンズアレイ部111a側から光が入射するものとする。
【0090】
図6に示すように、第1マイクロレンズアレイ部111aは、第1マイクロレンズアレイ部111a及び第2マイクロレンズアレイ部111bの対向する面の反対側の面に、複数のマイクロレンズ111aaが形成されている。そして、第2マイクロレンズアレイ部111bは、第1マイクロレンズアレイ部111a及び第2マイクロレンズアレイ部111bの対向する面に、複数のマイクロレンズ111baが形成されている。つまり、第1マイクロレンズアレイ部111a及び第2マイクロレンズアレイ部111bは、マイクロレンズ111aaが形成されていない第1マイクロレンズアレイ部111aの面と、マイクロレンズ111baが形成された第2マイクロレンズアレイ部111bの面とが向き合うように対向配置されている。
【0091】
また、第1マイクロレンズアレイ部111a及び第2マイクロレンズアレイ部111bは、第1マイクロレンズアレイ部111aのマイクロレンズ111aaにおける焦点距離よりも少なくとも長い距離D1だけ離間した位置に配置されている。なお、第1マイクロレンズアレイ部111a及び第2マイクロレンズアレイ部111bも、第1マイクロレンズアレイ部111aのマイクロレンズ111aaにおけるレンズピッチが、第2マイクロレンズアレイ部111bのマイクロレンズ111baにおけるレンズピッチよりも小さくなるように(例えば「1/2」以下となるように)構成されている。
【0092】
図6に示したスクリーン111では、第1マイクロレンズアレイ部111a及び第2マイクロレンズアレイ部111bにおいて入射光側を向く面に、複数のマイクロレンズ111aa、111baが形成されていた。他の例では、第1及び第2マイクロレンズアレイ部において出射光側を向く面に、複数のマイクロレンズを形成することができる。
【0093】
図7は、変形例1の他の例に係るスクリーン112の具体的な構成を示す図である。図7は、光の進行方向に垂直な面にて、スクリーン112の第1マイクロレンズアレイ部112a及び第2マイクロレンズアレイ部112bを切断した断面図を示す。具体的には、第1マイクロレンズアレイ部112a及び第2マイクロレンズアレイ部112bの一部分を拡大して表した断面図を示している。なお、第1マイクロレンズアレイ部112a側から光が入射するものとする。
【0094】
図7に示すように、第1マイクロレンズアレイ部112aは、第1マイクロレンズアレイ部112a及び第2マイクロレンズアレイ部112bの対向する面に、複数のマイクロレンズ112aaが形成されている。そして、第2マイクロレンズアレイ部112bは、第1マイクロレンズアレイ部112a及び第2マイクロレンズアレイ部112bの対向する面の反対側の面に、複数のマイクロレンズ112baが形成されている。つまり、第1マイクロレンズアレイ部112a及び第2マイクロレンズアレイ部112bは、マイクロレンズ112aaが形成された第1マイクロレンズアレイ部112aの面と、マイクロレンズ112baが形成されていない第2マイクロレンズアレイ部112bの面とが向き合うように対向配置されている。
【0095】
また、第1マイクロレンズアレイ部112a及び第2マイクロレンズアレイ部112bは、第1マイクロレンズアレイ部112aのマイクロレンズ112aaにおける焦点距離よりも少なくとも長い距離D2だけ離間した位置に配置されている。なお、第1マイクロレンズアレイ部112a及び第2マイクロレンズアレイ部112bも、第1マイクロレンズアレイ部112aのマイクロレンズ112aaにおけるレンズピッチが、第2マイクロレンズアレイ部112bのマイクロレンズ112baにおけるレンズピッチよりも小さくなるように(例えば「1/2」以下となるように)構成されている。
【0096】
以上説明したような変形例1に係るスクリーン111、112も、上記した実施例に係るスクリーン11と同様の作用・効果を有する。
【0097】
(変形例2)
変形例2に係るスクリーンでは、第1及び第2マイクロレンズアレイ部の対向する面の反対側の面に、複数のマイクロレンズがそれぞれ形成される点で、上記した実施例及び変形例1と異なる。
【0098】
図8は、変形例2に係るスクリーン113の具体的な構成を示す図である。図8は、光の進行方向に垂直な面にて、スクリーン113の第1マイクロレンズアレイ部113a及び第2マイクロレンズアレイ部113bを切断した断面図を示す。具体的には、第1マイクロレンズアレイ部113a及び第2マイクロレンズアレイ部113bの一部分を拡大して表した断面図を示している。なお、第1マイクロレンズアレイ部113a側から光が入射するものとする。
【0099】
図8に示すように、第1マイクロレンズアレイ部113a及び第2マイクロレンズアレイ部113bは、それぞれ、対向する面の反対側の面に複数のマイクロレンズ113aa、113baが形成されている。つまり、第1マイクロレンズアレイ部113a及び第2マイクロレンズアレイ部113bは、複数のマイクロレンズ113aa、113baが形成された面が反対方向を向くように対向配置されている。
【0100】
また、第1マイクロレンズアレイ部113a及び第2マイクロレンズアレイ部113bは、第1マイクロレンズアレイ部113aのマイクロレンズ113aaにおける焦点距離よりも少なくとも長い距離D3だけ離間した位置に配置されている。なお、第1マイクロレンズアレイ部113a及び第2マイクロレンズアレイ部113bも、第1マイクロレンズアレイ部113aのマイクロレンズ113aaにおけるレンズピッチが、第2マイクロレンズアレイ部113bのマイクロレンズ113baにおけるレンズピッチよりも小さくなるように(例えば「1/2」以下となるように)構成されている。
【0101】
このような変形例2に係るスクリーン113も、上記した実施例に係るスクリーン11と同様の作用・効果を有する。
【0102】
(変形例3)
変形例3では、上記した実施例及び変形例1、2のように第1及び第2マイクロレンズアレイ部が別体に構成されておらず、第1及び第2マイクロレンズアレイ部が一体に構成されており、スクリーンの両面に複数のマイクロレンズが形成される。
【0103】
図9は、変形例3に係るスクリーン114の具体的な構成を示す図である。図9は、光の進行方向に垂直な面にて、スクリーン114を切断した断面図を示す。具体的には、スクリーン114bの一部分を拡大して表した断面図を示している。なお、第1マイクロレンズアレイ部114a側から光が入射するものとする。
【0104】
図9に示すように、スクリーン114は、スクリーン114を構成する対向する2つの面に(つまり両面に)、複数のマイクロレンズ114aa、114baが形成されている。言い換えると、スクリーン114は、複数のマイクロレンズ114aaが形成された第1マイクロレンズアレイ部114aと、複数のマイクロレンズ114baが形成された第2マイクロレンズアレイ部114bとが一体に形成されている。つまり、スクリーン114は、第1マイクロレンズアレイ部114aにおいて複数のマイクロレンズ114aaが形成された面の反対側の面と、第2マイクロレンズアレイ部114bにおいて複数のマイクロレンズ114baが形成された面の反対側の面とで重なり合うことで一体に構成されている。
【0105】
更に、スクリーン114は、複数のマイクロレンズ114aaと複数のマイクロレンズ114baとが、マイクロレンズ114aaの焦点距離よりも少なくとも長い距離D4だけ離間した位置に配置されている。つまり、スクリーン114は、マイクロレンズ114aaの焦点距離よりも少なくとも長い距離D4に対応する厚みで構成されている。なお、第1マイクロレンズアレイ部114a及び第2マイクロレンズアレイ部114bも、第1マイクロレンズアレイ部114aのマイクロレンズ114aaにおけるレンズピッチが、第2マイクロレンズアレイ部114bのマイクロレンズ114baにおけるレンズピッチよりも小さくなるように(例えば「1/2」以下となるように)構成されている。
【0106】
このような変形例3に係るスクリーン114も、上記した実施例に係るスクリーン11と同様の作用・効果を有する。また、変形例3に係るスクリーン114では、第1マイクロレンズアレイ部114a及び第2マイクロレンズアレイ部114bが一体に構成されているので、マイクロレンズアレイが形成された1枚の構成要素のみを作成すれば良いため、上記した実施例及び変形例1、2と比較して、スクリーン114に要するコストをより低減することが可能となる。
【0107】
(変形例4)
変形例4に係るスクリーンは、第1及び第2マイクロレンズアレイ部の一方に配列されたマイクロレンズのレンズ輪郭の頂点方向と、第1及び第2マイクロレンズアレイ部の他方に配列されたマイクロレンズのレンズ輪郭の頂点方向との角度をずらせて構成されている点で、上記した実施例及び変形例1乃至3と異なる。
【0108】
図10は、変形例4に係るスクリーン115の具体的な構成を示す図である。図10(a)は、光の進行方向に沿った方向から観察した、スクリーン115が有する第1マイクロレンズアレイ部115a及び第2マイクロレンズアレイ部115bの一部分を拡大して表した平面図を示している。なお、第1マイクロレンズアレイ部115a側から光が入射するものとする。
【0109】
図10(b)は、第1マイクロレンズアレイ部115a及び第2マイクロレンズアレイ部115bのレンズ輪郭である正六角形状の頂点方向を規定した図である。当該頂点方向は、レンズ輪郭である正六角形の中心点(重心)から、正六角形の各頂点へ向かう方向により規定される。図10(b)の左側には、マイクロレンズ115aaのレンズ輪郭における正六角形状の頂点方向を示し、図10(b)の右側には、マイクロレンズ115baのレンズ輪郭における正六角形状の頂点方向を示している。第1マイクロレンズアレイ部115a及び第2マイクロレンズアレイ部115bでは、複数のマイクロレンズ115aa、115baが格子状に配列されている、つまり複数のマイクロレンズ115aa、115baの各々が同じ向きに配列されている。そのため、第1マイクロレンズアレイ部115a及び第2マイクロレンズアレイ部115bの全体において正六角形状の頂点方向が同一のものとなる。
【0110】
図10(a)及び図10(b)に示すように、変形例4では、第1マイクロレンズアレイ部115aに配列されたマイクロレンズ115aaのレンズ輪郭である正六角形状の頂点方向と、第2マイクロレンズアレイ部115bに配列されたマイクロレンズ115baのレンズ輪郭である正六角形状の頂点方向との角度差を、30度に構成する。つまり、マイクロレンズ115aa、115baのレンズ輪郭である正六角形状が互いに30度だけ回転した関係になるように、第1マイクロレンズアレイ部115a及び第2マイクロレンズアレイ部115bに複数のマイクロレンズ115aa、115baを配列する。
【0111】
このようにマイクロレンズ115aa、115baのレンズ輪郭である正六角形状が互いに30度回転した関係になるように第1マイクロレンズアレイ部115a及び第2マイクロレンズアレイ部115bを構成することで、第2マイクロレンズアレイ部115bの入射面での第1マイクロレンズアレイ部115aによる正六角形状の像と、第2マイクロレンズアレイ部115bにおけるレンズ輪郭である正六角形状との不要な干渉を抑制することができる。つまり、変形例4によれば、第1マイクロレンズアレイ部115aのレンズ輪郭の頂点方向と第2マイクロレンズアレイ部115bのレンズ輪郭の頂点方向とをずらしているため、第2マイクロレンズアレイ部115bの入射面での正六角形状の像をぼやけさせることができる。これにより、第1マイクロレンズアレイ部115aと第2マイクロレンズアレイ部115bとの位置ずれによる影響を適切に抑制することが可能となる。
【0112】
また、変形例4によれば、第1マイクロレンズアレイ部115a及び第2マイクロレンズアレイ部115bにおけるレンズ輪郭の頂点方向をずらして配置するため、第1マイクロレンズアレイ部115a及び第2マイクロレンズアレイ部115bにおけるレンズ輪郭の頂点方向を厳密に一致させたり、レンズ輪郭の頂点方向の角度差を厳密に所定角度に構成したりする必要はない。このような変形例4によれば、マイクロレンズのレンズ輪郭の頂点方向が厳密に一致するように2枚のマイクロレンズアレイを配置する比較例の構成(非特許文献1に記載された構成)と比較して、第1マイクロレンズアレイ部115a及び第2マイクロレンズアレイ部115bにおけるレンズ輪郭の頂点方向に関する配置に要する精度を下げることができる。以上のことから、変形例4によれば、比較例と比較して、スクリーン11を容易且つ低コストで作成することが可能となる。
【0113】
なお、上記のような正六角形状の像による不要な干渉は、第1マイクロレンズアレイ部115a及び第2マイクロレンズアレイ部115bのレンズ輪郭である正六角形状の頂点方向の角度差が30度でなくても抑制することが可能である。つまり、上記では第1マイクロレンズアレイ部115a及び第2マイクロレンズアレイ部115bのレンズ輪郭である正六角形状の頂点方向の角度差を30度に構成する例を示したが、当該角度差を厳密に30度に構成しなくても良く、また当該角度差を30度とは異なる角度に構成しても良い。これは、第1マイクロレンズアレイ部115a及び第2マイクロレンズアレイ部115bのレンズ輪郭である正六角形状の頂点方向がある程度ずれていれば(つまり正六角形状の頂点方向が一致していなければ)、第2マイクロレンズアレイ部115bによって、入射面での正六角形状の像をある程度ぼやけさせることができるからである。但し、実験などによれば、レンズ輪郭である正六角形状の頂点方向の角度差が30度付近又は90度付近である場合に、正六角形状の像による不要な干渉を抑制する効果が大きくなることがわかっている。よって、第1マイクロレンズアレイ部115a及び第2マイクロレンズアレイ部115bのレンズ輪郭である正六角形状の頂点方向の角度差を30度付近又は90度付近に構成することが望ましい。
【0114】
なお、図10(a)に示すように、変形例4に係る第1マイクロレンズアレイ部115a及び第2マイクロレンズアレイ部115bも、第1マイクロレンズアレイ部115aのマイクロレンズ115aaにおけるレンズピッチPa1が、第2マイクロレンズアレイ部115bのマイクロレンズ115baにおけるレンズピッチPb1よりも小さくなるように(例えば「1/2」以下となるように)構成されている。更に、第1マイクロレンズアレイ部115a及び第2マイクロレンズアレイ部115bは、第1マイクロレンズアレイ部115aのマイクロレンズ115aaにおける焦点距離よりも少なくとも長い距離だけ離間した位置に対向配置される。したがって、変形例4に係るスクリーン115も、上記した実施例に係るスクリーン11と同様の作用・効果を有する。
【0115】
なお、変形例4に係る第1マイクロレンズアレイ部115a及び第2マイクロレンズアレイ部115bは、上記した実施例及び変形例1、2で示したような配置関係(図3(a)、図6、図7、図8参照)のいずれかが適用される。若しくは、変形例3で示したように(図9参照)、第1マイクロレンズアレイ部115a及び第2マイクロレンズアレイ部115bが一体に構成される。
【0116】
(変形例5)
上記した実施例及び変形例1乃至4に係るスクリーンは、レンズ輪郭が、全ての辺の長さが同じである正六角形状であるマイクロレンズを有する第1及び第2マイクロレンズアレイ部にて構成されていた。これに対して、変形例5に係るスクリーンは、レンズ輪郭が正六角形状ではない、略正六角形状(つまり全ての辺の長さが同じではない六角形状)であるマイクロレンズを有する第1及び第2マイクロレンズアレイ部にて構成される。
【0117】
図11は、変形例5に係るスクリーン116の具体的な構成を示す図である。具体的には、図11は、光の進行方向に沿った方向から観察した、スクリーン116が有する第1マイクロレンズアレイ部116a及び第2マイクロレンズアレイ部116bの一部分を拡大して表した平面図を示している。なお、第1マイクロレンズアレイ部116a側から光が入射するものとする。
【0118】
図11に示すように、第1マイクロレンズアレイ部116a及び第2マイクロレンズアレイ部116bは、それぞれ、平面視において六角形状のレンズ輪郭で構成された、複数のマイクロレンズ116aa、116baが配列されている。具体的には、マイクロレンズ116aa、116baは、正六角形状ではない(つまり全ての辺の長さが同じではない)、線対称な形状を有する六角形状のレンズ輪郭で構成されている。
【0119】
また、第1マイクロレンズアレイ部116a及び第2マイクロレンズアレイ部116bは、第1マイクロレンズアレイ部116aのマイクロレンズ116aaにおけるレンズピッチPa2が、第2マイクロレンズアレイ部116bのマイクロレンズ116baにおけるレンズピッチPb2よりも小さくなるように(例えば「1/2」以下となるように)構成されている。更に、第1マイクロレンズアレイ部116a及び第2マイクロレンズアレイ部116bは、第1マイクロレンズアレイ部116aのマイクロレンズ116aaにおける焦点距離よりも少なくとも長い距離だけ離間した位置に対向配置される。この場合、第1マイクロレンズアレイ部116a及び第2マイクロレンズアレイ部116bは、上記した実施例及び変形例1、2で示したような配置関係(図3(a)、図6、図7、図8参照)のいずれかが適用される。若しくは、変形例3で示したように(図9参照)、第1マイクロレンズアレイ部116a及び第2マイクロレンズアレイ部116bが一体に構成される。
【0120】
このような変形例5に係るスクリーン116も、上記した実施例に係るスクリーン11と同様の作用・効果を有する。
【0121】
なお、上記した変形例4で示したような構成を、変形例5に係るスクリーンに対して適用しても良い。つまり、図11に示したような略正六角形状のレンズ輪郭で構成されたマイクロレンズを有する第1及び第2マイクロレンズアレイ部を、一方のマイクロレンズアレイ部に配列されたマイクロレンズのレンズ輪郭の頂点方向と、他方のマイクロレンズアレイ部に配列されたマイクロレンズのレンズ輪郭の頂点方向との角度をずらせて構成しても良い。
【0122】
図12は、変形例5の他の例に係るスクリーン117の具体的な構成を示す図である。具体的には、図12は、光の進行方向に沿った方向から観察した、スクリーン117が有する第1マイクロレンズアレイ部117a及び第2マイクロレンズアレイ部117bの一部分を拡大して表した平面図を示している。なお、第1マイクロレンズアレイ部117a側から光が入射するものとする。
【0123】
図12に示すように、第1マイクロレンズアレイ部117aに配列されたマイクロレンズ117aaのレンズ輪郭である六角形状の頂点方向と、第2マイクロレンズアレイ部117bに配列されたマイクロレンズ117baのレンズ輪郭である六角形状の頂点方向との角度差が90度に構成されている。つまり、マイクロレンズ117aa、117baのレンズ輪郭である六角形状が互いに90度回転した関係になるように、第1マイクロレンズアレイ部117a及び第2マイクロレンズアレイ部117bに複数のマイクロレンズ117aa、117baが配列されている。
【0124】
また、第1マイクロレンズアレイ部117a及び第2マイクロレンズアレイ部117bは、第1マイクロレンズアレイ部117aのマイクロレンズ117aaにおけるレンズピッチPa3が、第2マイクロレンズアレイ部117bのマイクロレンズ117baにおけるレンズピッチPb3よりも小さくなるように(例えば「1/2」以下となるように)構成されている。更に、第1マイクロレンズアレイ部117a及び第2マイクロレンズアレイ部117bは、第1マイクロレンズアレイ部117aのマイクロレンズ117aaにおける焦点距離よりも少なくとも長い距離だけ離間した位置に対向配置される。この場合、第1マイクロレンズアレイ部117a及び第2マイクロレンズアレイ部117bは、上記した実施例及び変形例1、2で示したような配置関係(図3(a)、図6、図7、図8参照)のいずれかが適用される。若しくは、変形例3で示したように(図9参照)、第1マイクロレンズアレイ部117a及び第2マイクロレンズアレイ部117bが一体に構成される。
【0125】
このような変形例5の他の例に係るスクリーン117も、上記した実施例に係るスクリーン11及び変形例4に係るスクリーン115と同様の作用・効果を有する。
【0126】
なお、図11及び図12に示した六角形状はあくまで一例であり、このような六角形状にマイクロレンズのレンズ輪郭を構成することに限定はされない。また、図12に示したように、レンズ輪郭である六角形状の頂点方向の角度差を90度に構成することに限定はされない。
【0127】
(変形例6)
上記した実施例及び変形例1乃至5に係るスクリーンは、レンズ輪郭が六角形状(正六角形状又は略正六角形状)であるマイクロレンズを有する第1及び第2マイクロレンズアレイ部にて構成されていた。これに対して、変形例6に係るスクリーンは、レンズ輪郭が正方形状であるマイクロレンズを有する第1及び第2マイクロレンズアレイ部にて構成される。
【0128】
図13は、変形例6に係るスクリーン118の具体的な構成を示す図である。具体的には、図13は、光の進行方向に沿った方向から観察した、スクリーン118が有する第1マイクロレンズアレイ部118a及び第2マイクロレンズアレイ部118bの一部分を拡大して表した平面図を示している。なお、第1マイクロレンズアレイ部118a側から光が入射するものとする。
【0129】
図13に示すように、第1マイクロレンズアレイ部118a及び第2マイクロレンズアレイ部118bは、それぞれ、平面視において正方形状のレンズ輪郭で構成された、複数のマイクロレンズ118aa、118baが格子状に配列されている。また、第1マイクロレンズアレイ部118a及び第2マイクロレンズアレイ部118bは、第1マイクロレンズアレイ部118aのマイクロレンズ118aaにおけるレンズピッチPa4が、第2マイクロレンズアレイ部118bのマイクロレンズ118baにおけるレンズピッチPb4よりも小さくなるように(例えば「1/2」以下となるように)構成されている。更に、第1マイクロレンズアレイ部118a及び第2マイクロレンズアレイ部118bは、第1マイクロレンズアレイ部118aのマイクロレンズ118aaにおける焦点距離よりも少なくとも長い距離だけ離間した位置に対向配置される。この場合、第1マイクロレンズアレイ部118a及び第2マイクロレンズアレイ部118bは、上記した実施例及び変形例1、2で示したような配置関係(図3(a)、図6、図7、図8参照)のいずれかが適用される。若しくは、変形例3で示したように(図9参照)、第1マイクロレンズアレイ部118a及び第2マイクロレンズアレイ部118bが一体に構成される。
【0130】
このような変形例6に係るスクリーン118も、上記した実施例に係るスクリーン11と同様の作用・効果を有する。
【0131】
なお、上記した変形例4で示したような構成を、変形例6に係るスクリーンに対して適用しても良い。つまり、図13に示したような正方形状のレンズ輪郭で構成されたマイクロレンズを有する第1及び第2マイクロレンズアレイ部を、一方のマイクロレンズアレイ部に配列されたマイクロレンズのレンズ輪郭の頂点方向と、他方のマイクロレンズアレイ部に配列されたマイクロレンズのレンズ輪郭の頂点方向との角度をずらせて構成しても良い。
【0132】
図14は、変形例6の他の例に係るスクリーン119の具体的な構成を示す図である。具体的には、図14は、光の進行方向に沿った方向から観察した、スクリーン119が有する第1マイクロレンズアレイ部119a及び第2マイクロレンズアレイ部119bの一部分を拡大して表した平面図を示している。なお、第1マイクロレンズアレイ部119a側から光が入射するものとする。
【0133】
図14に示すように、第1マイクロレンズアレイ部119aに配列されたマイクロレンズ119aaのレンズ輪郭である正方形状の頂点方向と、第2マイクロレンズアレイ部119bに配列されたマイクロレンズ119baのレンズ輪郭である正方形状の頂点方向との角度差が45度に構成されている。つまり、マイクロレンズ119aa、119baのレンズ輪郭である正方形状が互いに45度回転した関係になるように、第1マイクロレンズアレイ部119a及び第2マイクロレンズアレイ部119bに複数のマイクロレンズ119aa、119baが配列されている。
【0134】
また、第1マイクロレンズアレイ部119a及び第2マイクロレンズアレイ部119bは、第1マイクロレンズアレイ部119aのマイクロレンズ119aaにおけるレンズピッチPa5が、第2マイクロレンズアレイ部119bのマイクロレンズ119baにおけるレンズピッチPb5よりも小さくなるように(例えば「1/2」以下となるように)構成されている。更に、第1マイクロレンズアレイ部119a及び第2マイクロレンズアレイ部119bは、第1マイクロレンズアレイ部119aのマイクロレンズ119aaにおける焦点距離よりも少なくとも長い距離だけ離間した位置に対向配置される。この場合、第1マイクロレンズアレイ部119a及び第2マイクロレンズアレイ部119bは、上記した実施例及び変形例1、2で示したような配置関係(図3(a)、図6、図7、図8参照)のいずれかが適用される。若しくは、変形例3で示したように(図9参照)、第1マイクロレンズアレイ部119a及び第2マイクロレンズアレイ部119bが一体に構成される。
【0135】
このような変形例6の他の例に係るスクリーン119も、上記した実施例に係るスクリーン11及び変形例4に係るスクリーン115と同様の作用・効果を有する。
【0136】
(変形例7)
変形例7に係るスクリーンは、変形例6に係るスクリーンと同様に、レンズ輪郭が正方形状であるマイクロレンズを有する第1及び第2マイクロレンズアレイ部にて構成される。しかしながら、変形例7に係るスクリーンは、正方形状であるマイクロレンズの配列が、変形例6に係るスクリーンと異なる。
【0137】
図15は、変形例7に係るスクリーン120の具体的な構成を示す図である。具体的には、図15は、光の進行方向に沿った方向から観察した、スクリーン120が有する第1マイクロレンズアレイ部120a及び第2マイクロレンズアレイ部120bの一部分を拡大して表した平面図を示している。なお、第1マイクロレンズアレイ部120a側から光が入射するものとする。
【0138】
図15に示すように、第1マイクロレンズアレイ部120a及び第2マイクロレンズアレイ部120bは、それぞれ、平面視において正方形状のレンズ輪郭で構成された、複数のマイクロレンズ120aa、120baが配列されている。具体的には、第1マイクロレンズアレイ部120a及び第2マイクロレンズアレイ部120bは、上下方向に隣接するマイクロレンズ120aa、120baが、正方形状における一辺の長さの半分の長さだけ、ずらして配列されている。
【0139】
また、第1マイクロレンズアレイ部120a及び第2マイクロレンズアレイ部120bは、第1マイクロレンズアレイ部120aのマイクロレンズ120aaにおけるレンズピッチPa6が、第2マイクロレンズアレイ部120bのマイクロレンズ120baにおけるレンズピッチPb6よりも小さくなるように(例えば「1/2」以下となるように)構成されている。更に、第1マイクロレンズアレイ部120a及び第2マイクロレンズアレイ部120bは、第1マイクロレンズアレイ部120aのマイクロレンズ120aaにおける焦点距離よりも少なくとも長い距離だけ離間した位置に対向配置される。この場合、第1マイクロレンズアレイ部120a及び第2マイクロレンズアレイ部120bは、上記した実施例及び変形例1、2で示したような配置関係(図3(a)、図6、図7、図8参照)のいずれかが適用される。若しくは、変形例3で示したように(図9参照)、第1マイクロレンズアレイ部120a及び第2マイクロレンズアレイ部120bが一体に構成される。
【0140】
このような変形例7に係るスクリーン120も、上記した実施例に係るスクリーン11と同様の作用・効果を有する。
【0141】
なお、上記した変形例4で示したような構成を、変形例7に係るスクリーンに対して適用しても良い。つまり、図15に示したような正方形状のレンズ輪郭で構成されたマイクロレンズを有する第1及び第2マイクロレンズアレイ部を、一方のマイクロレンズアレイ部に配列されたマイクロレンズのレンズ輪郭の頂点方向と、他方のマイクロレンズアレイ部に配列されたマイクロレンズのレンズ輪郭の頂点方向との角度をずらせて構成しても良い。
【0142】
図16は、変形例7の他の例に係るスクリーン121の具体的な構成を示す図である。具体的には、図16は、光の進行方向に沿った方向から観察した、スクリーン121が有する第1マイクロレンズアレイ部121a及び第2マイクロレンズアレイ部121bの一部分を拡大して表した平面図を示している。なお、第1マイクロレンズアレイ部121a側から光が入射するものとする。
【0143】
図16に示すように、第1マイクロレンズアレイ部121aに配列されたマイクロレンズ121aaのレンズ輪郭である正方形状の頂点方向と、第2マイクロレンズアレイ部121bに配列されたマイクロレンズ121baのレンズ輪郭である正方形状の頂点方向との角度差が45度に構成されている。つまり、マイクロレンズ121aa、121baのレンズ輪郭である正方形状が互いに45度回転した関係になるように、第1マイクロレンズアレイ部121a及び第2マイクロレンズアレイ部121bに複数のマイクロレンズ121aa、121baが配列されている。
【0144】
また、第1マイクロレンズアレイ部121a及び第2マイクロレンズアレイ部121bは、第1マイクロレンズアレイ部121aのマイクロレンズ121aaにおけるレンズピッチPa7が、第2マイクロレンズアレイ部121bのマイクロレンズ121baにおけるレンズピッチPb7よりも小さくなるように(例えば「1/2」以下となるように)構成されている。更に、第1マイクロレンズアレイ部121a及び第2マイクロレンズアレイ部121bは、第1マイクロレンズアレイ部121aのマイクロレンズ121aaにおける焦点距離よりも少なくとも長い距離だけ離間した位置に対向配置される。この場合、第1マイクロレンズアレイ部121a及び第2マイクロレンズアレイ部121bは、上記した実施例及び変形例1、2で示したような配置関係(図3(a)、図6、図7、図8参照)のいずれかが適用される。若しくは、変形例3で示したように(図9参照)、第1マイクロレンズアレイ部121a及び第2マイクロレンズアレイ部121bが一体に構成される。
【0145】
このような変形例7の他の例に係るスクリーン121も、上記した実施例に係るスクリーン11及び変形例4に係るスクリーン115と同様の作用・効果を有する。
【0146】
なお、上記した変形例6及び7では、第1及び第2マイクロレンズアレイ部のレンズ輪郭である正方形状の頂点方向の角度差を45度に構成する例を示したが、当該角度差を厳密に45度に構成しなくても良く、また当該角度差を45度とは異なる角度に構成しても良い。その理由は、前述した実施例の[スクリーンの作用・効果]で述べた通りである。但し、実験などによれば、レンズ輪郭である正方形状の頂点方向の角度差が45度付近又は135度付近である場合に、入射面での正方形状の像による不要な干渉を抑制する効果が大きくなることがわかっている。よって、第1及び第2マイクロレンズアレイ部のレンズ輪郭である正方形状の頂点方向の角度差を45度付近又は135度付近に構成することが望ましい。
【0147】
また、変形例6及び7ではマイクロレンズのレンズ輪郭を正方形状に構成する例を示したが、これに限定はされず、変形例5で述べたように、マイクロレンズのレンズ輪郭を略正方形状(例えば長方形状)に構成しても良い。
【0148】
(変形例8)
上記した実施例及び変形例1乃至7に係るスクリーンは、レンズ輪郭が正六角形状(略正六角形状も含む)又は正方形状(略正方形状も含む)であるマイクロレンズを有する第1及び第2マイクロレンズアレイ部にて構成されていた。これに対して、変形例8に係るスクリーンは、レンズ輪郭が円形であるマイクロレンズを有する第1及び第2マイクロレンズアレイ部にて構成される。
【0149】
図17は、変形例7に係るスクリーン122の具体的な構成を示す図である。具体的には、図17は、光の進行方向に沿った方向から観察した、スクリーン122が有する第1マイクロレンズアレイ部122a及び第2マイクロレンズアレイ部122bの一部分を拡大して表した平面図を示している。なお、第1マイクロレンズアレイ部122a側から光が入射するものとする。
【0150】
図17に示すように、第1マイクロレンズアレイ部122a及び第2マイクロレンズアレイ部122bは、それぞれ、平面視において円形のレンズ輪郭で構成された、複数のマイクロレンズ122aa、122baが配列されている。具体的には、マイクロレンズ122aa、122baは、それぞれ、複数のマイクロレンズ122aa、122baが等間隔に配列されている。また、マイクロレンズ122aa、122baは、1つのマイクロレンズ周囲に、所定角度ごとに隣接して配列されている。図17では、当該所定角度が60度である場合を例示している。
【0151】
また、第1マイクロレンズアレイ部122a及び第2マイクロレンズアレイ部122bは、第1マイクロレンズアレイ部122aのマイクロレンズ122aaにおけるレンズピッチPa8が、第2マイクロレンズアレイ部122bのマイクロレンズ122baにおけるレンズピッチPb8よりも小さくなるように(例えば「1/2」以下となるように)構成されている。更に、第1マイクロレンズアレイ部122a及び第2マイクロレンズアレイ部122bは、第1マイクロレンズアレイ部122aのマイクロレンズ122aaにおける焦点距離よりも少なくとも長い距離だけ離間した位置に対向配置される。この場合、第1マイクロレンズアレイ部122a及び第2マイクロレンズアレイ部122bは、上記した実施例及び変形例1、2で示したような配置関係(図3(a)、図6、図7、図8参照)のいずれかが適用される。若しくは、変形例3で示したように(図9参照)、第1マイクロレンズアレイ部122a及び第2マイクロレンズアレイ部122bが一体に構成される。
【0152】
このような変形例8に係るスクリーン122も、上記した実施例に係るスクリーン11と同様の作用・効果を有する。
【0153】
なお、上記した変形例4で示したような構成を、変形例8に係るスクリーンに対して適用しても良い。つまり、図17に示したような円形のレンズ輪郭で構成されたマイクロレンズを有する第1及び第2マイクロレンズアレイ部を、互いに所定角度回転した関係となるように構成しても良い。
【0154】
図18は、変形例8の他の例に係るスクリーン123の具体的な構成を示す図である。具体的には、図18は、光の進行方向に沿った方向から観察した、スクリーン123が有する第1マイクロレンズアレイ部123a及び第2マイクロレンズアレイ部123bの一部分を拡大して表した平面図を示している。なお、第1マイクロレンズアレイ部123a側から光が入射するものとする。
【0155】
図18に示すように、第1マイクロレンズアレイ部123aに配列されたマイクロレンズ123aaと、第2マイクロレンズアレイ部123bに配列されたマイクロレンズ123baとが、1つのマイクロレンズに対して所定角度の半分に相当する30度ずらせて構成されている。また、第1マイクロレンズアレイ部123a及び第2マイクロレンズアレイ部123bは、第1マイクロレンズアレイ部123aのマイクロレンズ123aaにおけるレンズピッチPa9が、第2マイクロレンズアレイ部123bのマイクロレンズ123baにおけるレンズピッチPb9よりも小さくなるように(例えば「1/2」以下となるように)構成されている。更に、第1マイクロレンズアレイ部123a及び第2マイクロレンズアレイ部123bは、第1マイクロレンズアレイ部123aのマイクロレンズ123aaにおける焦点距離よりも少なくとも長い距離だけ離間した位置に対向配置される。この場合、第1マイクロレンズアレイ部123a及び第2マイクロレンズアレイ部123bは、上記した実施例及び変形例1、2で示したような配置関係(図3(a)、図6、図7、図8参照)のいずれかが適用される。若しくは、変形例3で示したように(図9参照)、第1マイクロレンズアレイ部123a及び第2マイクロレンズアレイ部123bが一体に構成される。
【0156】
このような変形例8の他の例に係るスクリーン123も、上記した実施例に係るスクリーン11及び変形例4に係るスクリーン115と同様の作用・効果を有する。
【0157】
なお、変形例8では、第1及び第2マイクロレンズアレイ部を構成するマイクロレンズの間を、光が透過しないようにマスクすることが好ましい。
【0158】
また、マイクロレンズのレンズ輪郭を円形に構成することに限定はされず、変形例5で述べたように、マイクロレンズのレンズ輪郭を略円形(例えば楕円形)に構成しても良い。更に、図18に示したように、第1及び第2マイクロレンズアレイ部を互いに30度回転した関係になるように構成することに限定はされない。
【0159】
(変形例9)
上記では本発明をヘッドアップディスプレイに適用する例を示したが、本発明の適用はこれに限定はされない。本発明は、ヘッドアップディスプレイ以外にも、レーザプロジェクタに適用することができる。レーザプロジェクタは通常スペックルノイズが問題となるため、液晶プロジェクタ用のスクリーンを使用することは望ましくないと言える。上記したように、本発明に係るスクリーンは、スペックノイズを適切に抑制することができ、視野角を十分に確保することができるので、本発明に係るスクリーンはレーザプロジェクタに好適に適用することができる。
【0160】
また、本発明は、ヘッドアップディスプレイやレーザプロジェクタ以外にも、ヘッドマウントディスプレイに適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明は、ヘッドアップディスプレイやヘッドマウントディスプレイやレーザプロジェクタなどの画像表示装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0162】
1 画像表示装置
11 スクリーン
11a 第1マイクロレンズアレイ部
11b 第2マイクロレンズアレイ部
11aa、11ba マイクロレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマイクロレンズが配列された第1マイクロレンズアレイ部及び第2マイクロレンズアレイ部を有する光学素子であって、
前記第1マイクロレンズアレイ部及び前記第2マイクロレンズアレイ部は、
前記第1マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズの焦点距離よりも長い距離だけ、互いに離間した位置に対向配置され、
前記第1マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズ同士の間隔が、前記第2マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズ同士の間隔よりも狭く構成されており、
前記第1マイクロレンズアレイ部は前記第2マイクロレンズアレイ部に対して光の入射側に配置され
前記複数のマイクロレンズは、それぞれ、平面視において正多角形状のレンズ輪郭を有し、
前記第1マイクロレンズアレイ部及び前記第2マイクロレンズアレイ部は、当該第1マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズの前記レンズ輪郭の頂点方向と、当該第2マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズの前記レンズ輪郭の頂点方向との角度を、前記正多角形状に含まれる1の内角の半分の角度ずらせて構成されていることを特徴とする光学素子。
【請求項2】
前記第1マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズ同士の間隔が、前記第2マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズ同士の間隔の「1/2」以下に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記マイクロレンズ同士の間隔は、隣接するマイクロレンズの重心同士の間隔であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子。
【請求項4】
前記第1マイクロレンズアレイ部及び前記第2マイクロレンズアレイ部は、前記第1マイクロレンズアレイ部に配列された前記マイクロレンズの焦点距離の1.5倍以上かつ3倍以下の距離だけ離間した位置に対向配置されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項5】
前記第1マイクロレンズアレイ部を一方の面に有する第1レンズアレイと、前記第2マイクロレンズアレイ部を一方の面に有する第2レンズアレイとから構成されることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項6】
前記第1マイクロレンズアレイ部及び前記第2マイクロレンズアレイ部は、前記第1レンズアレイ及び前記第2レンズアレイの、各々対向する面に形成されていることを特徴とする請求項に記載の光学素子。
【請求項7】
前記第1マイクロレンズアレイ部は、前記第1レンズアレイの面のうち、前記第2レンズアレイの前記第2マイクロレンズアレイ部が形成されている面と対向しない面に形成されていることを特徴とする請求項に記載の光学素子。
【請求項8】
前記第1マイクロレンズアレイ部及び前記第2マイクロレンズアレイ部は、前記第1レンズアレイ及び前記第2レンズアレイの、各々対向しない面に形成されていることを特徴とする請求項に記載の光学素子。
【請求項9】
前記第1マイクロレンズアレイ部を一方の面に有し、前記第2マイクロレンズアレイ部を他方の面に有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項10】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の光学素子を備え、前記光学素子によって形成された画像をユーザの目の位置から虚像として視認させることを特徴とするヘッドアップディスプレイ。
【請求項11】
光源と、
複数のマイクロレンズが所定の間隔で配列された第1マイクロレンズアレイと、
前記所定の間隔よりも広い間隔で複数のマイクロレンズが配列された第2マイクロレンズアレイと、
を有し、
前記第2マイクロレンズアレイは、前記第1マイクロレンズアレイに配置されたマクロレンズの焦点距離よりも長い距離だけ離間した位置に配置され、
前記第1マイクロレンズアレイは、前記第2マイクロレンズアレイに対して、前記光源から出射される光の入射側に配置され
前記複数のマイクロレンズは、それぞれ、平面視において正多角形状のレンズ輪郭を有し、
前記第1マイクロレンズアレイ及び前記第2マイクロレンズアレイは、当該第1マイクロレンズアレイに配列された前記マイクロレンズの前記レンズ輪郭の頂点方向と、当該第2マイクロレンズアレイに配列された前記マイクロレンズの前記レンズ輪郭の頂点方向との角度を、前記正多角形状に含まれる1の内角の半分の角度ずらせて構成されていることを特徴とする光源ユニット。

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−226301(P2012−226301A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−279131(P2011−279131)
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【分割の表示】特願2011−553224(P2011−553224)の分割
【原出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】