説明

光源装置および画像形成装置

【課題】環境変動に伴う形成画像の劣化の抑制、および部品点数低減による低コスト化を狙った光源装置およびその光源装置を搭載した画像形成装置を提供する。
【解決手段】光源素子101と、光源素子からの発光を像担持体200上に集光するための光学素子103とを有し、像担持体を露光することにより該像担持体に画像を書き込む光源装置100において、像担持体を回転支持する回転軸203と軸受312により構成されている支持部材310に対して、光源素子の距離を規定する間隔部材320を有し、間隔部材の光源素子の光束射出方向の距離をL1、回転軸203の外径から像担持体200の表面までの距離をL2、前記軸受312の軸外径と軸内径の差をL4とし、間隔部材320の線膨張係数をk1、像担持体の線膨張係数をk2、軸受312の線膨張係数をk4とした場合、L1k1+L4・k4>L2・k2の条件を満たすことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、及びこの光源装置を用いるデジタル複写機、レーザプリンタ、レーザファクシミリ装置、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の複写機、レーザビームプリンタ、ファクシミリ装置などの電子写真方式の画像形成装置においては、電子情報を光情報に変換し、光情報を露光装置で感光体上に潜像として固定し、固定された潜像をトナー等により現像して画像形成している。
現在、露光装置の種類としては、光源とポリゴンモータなどの偏向器を組み合わせた光走査装置と、発光素子を一次元にアレイ状に配列させ、感光体の表面を走査方向に一括露光するアレイ光源装置の2種類がある。
【0003】
光走査装置に対するアレイ光源装置の利点として、(i)露光装置の容積が小さい、(ii)感光体表面におけるビーム径が細い、(iii)露光装置の寿命が長い、ことが一般的に挙げられる。
(i)の露光装置の小型化は、画像形成装置全体の小型化に、(ii)の小径ビーム化は、出力画像の高画質化に、そして(iii)の長寿命化は、マシン寿命の伸びおよび露光装置のリサイクル化へと繋がる。
一方、アレイ光源装置の欠点として、焦点位置におけるビーム深度の狭さが挙げられる。具体的には、光走査装置のビーム深度幅(ビーム径が最小となる径の±10%に相当する深度の幅)が±5mm前後であることに対し、アレイ光源装置の深度幅は±40〜50μmと小さい。このビーム径の深度幅の差異は、環境変動(温度)に対するピントの余裕度の差として違いが生じる。環境変動により光源装置が熱膨張すると、アレイ光源と集光レンズ間の距離が変動し、感光体上でのビーム径が広がる(ピントの位置ずれを引き起こす)。またビームが露光される感光体面も、感光体軸を中心に熱膨張し、初期のピント位置から像面が移動する。これらの環境変動によるピントの位置ずれは、最終的に画像の劣化へと繋がる。
【0004】
この様な課題に対し、露光装置内部の温度によるピント位置のずれを補正する技術として以下の様な文献が挙げられる。
特許文献1(特開2003−066306号公報)は、露光装置内に温度測定手段と、温度測定手段の測定値に応じてピント位置を調整する制御手段を有し、温度変動によるピント調整を実施している。しかしこの構成においては、露光装置の部品点数が多くなり、コストの増加へと繋がる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上に説明した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、環境変動に伴う形成画像の劣化の抑制、および部品点数低減による低コスト化を狙った光源装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明では以下のような解決手段を採っている。
[1]:光源素子と、前記光源素子からの発光を像担持体上に集光するための光学素子とを有し、前記像担持体を露光することにより該像担持体に画像を書き込む光源装置において、前記像担持体を回転支持する回転軸と軸受により構成されている支持部材に対して、前記光源素子の距離を規定する間隔部材を有し、前記間隔部材の前記光源素子の光束射出方向の距離をL1、前記回転軸の外径から前記像担持体表面までの距離をL2、前記軸受の軸外径と軸内径の差をL4とし、前記間隔部材の線膨張係数をk1、前記像担持体の線膨張係数をk2、前記軸受の線膨張係数をk4とした場合、
L1・k1+L4・k4>L2・k2
の条件を満たすことを特徴とする(請求項1)。
[2]:[1]に記載の光源装置において、前記間隔部材の線膨張係数をk1、前記支持部材を構成する軸受の線膨張係数をk4とすると、
k1≧k4
であることを特徴とする(請求項2)。
[3]:[2]に記載の光源装置において、前記間隔部材は樹脂、前記軸受は金属でできていることを特徴とする(請求項3)。
[4]:[1]〜[3]のいずれか一つに記載の光源装置において、前記間隔部材の線膨張係数をk1、前記像担持体の線膨張係数をk2とした場合、
k1≧k2
であることを特徴とする(請求項4)。
[5]:[1]〜[4]のいずれか一つに記載の光源装置において、前記間隔部材は前記軸受に直接当接されていることを特徴とする(請求項5)。
[6]:[1]〜[5]のいずれか一つに記載の光源装置において、前記間隔部材は、前記光源素子の光束射出方向の距離を調整する調整機構を有することを特徴とする(請求項6)。
[7]:[1]〜[6]のいずれか一つに記載の光源装置において、前記光源素子から前記像担持体の表面までの距離をL3とした場合、
L1≧(L2+L3)/2
の条件を満たすことを特徴とする(請求項7)。
[8]:[1]〜[7]のいずれか一つに記載の光源装置において、前記間隔部材の前記光源素子の光束射出方向の距離をL1、前記軸受の軸外径と軸内径の差をL4とした場合、
L1≧L4
であることを特徴とする(請求項8)。
[9]:[1]〜[8]のいずれか一つに記載の光源装置において、前記光源素子は一次元または二次元方向に複数配列されているアレイ光源素子であることを特徴とする(請求項9)。
[10]:[1]〜[9]のいずれか一つに記載の光源装置において、前記光学素子は一次元または二次元方向に複数配列されているアレイ光学素子であることを特徴とする(請求項10)。
【0007】
[11]:像担持体と、前記像担持体を回転支持する支持部材と、光源素子と前記光源素子からの発光を前記像担持体上に集光するための光学素子とを有し前記像担持体を露光することにより該像担持体に画像を書き込む光源装置と、を有する画像形成装置において、前記支持部材は回転軸と軸受により構成されており、前記支持部材と前記光源素子との距離を規定する間隔部材を有し、前記間隔部材の前記光源素子の光束射出方向の距離をL1、前記回転軸の外径から像担持体表面までの距離をL2、前記軸受の軸外径と軸内径の差をL4とし、前記間隔部材の線膨張係数をk1、前記像担持体の線膨張係数をk2、
前記軸受の線膨張係数をk4とした場合、
L1・k1+L4・k4>L2・k2
の条件を満たすことを特徴とする(請求項11)。
[12]:[11]に記載の画像形成装置において、前記間隔部材の線膨張係数をk1、前記支持部材を構成する軸受の線膨張係数をk4とすると、
k1≧k4
であることを特徴とする(請求項12)。
[13]:[12]に記載の画像形成装置において、前記間隔部材は樹脂、前記軸受は金属でできていることを特徴とする(請求項13)。
[14]:[11]〜[13]のいずれか一つに記載の画像形成装置において、前記間隔部材の線膨張係数をk1、前記像担持体の線膨張係数をk2とした場合、
k1≧k2
であることを特徴とする(請求項14)。
[15]:[11]〜[14]のいずれか一つに記載の画像形成装置において、前記間隔部材は前記軸受に直接当接されていることを特徴とする(請求項15)。
[16]:[11]〜[15]のいずれか一つに記載の画像形成装置おいて、前記間隔部材は、前記光源素子の光束射出方向の距離を調整する調整機構を有することを特徴とする(請求項16)。
[17]:[11]〜[16]のいずれか一つに記載の画像形成装置において、前記光源素子から像担持体表面までの距離をL3とした場合、
L1≧(L2+L3)/2
の条件を満たすことを特徴とする(請求項17)。
[18]:[11]〜[17]のいずれか一つに記載の画像形成装置において、前記間隔部材の前記光源素子の光束射出方向の距離をL1、前記軸受の軸外径と軸内径の差をL4とした場合、
L1≧L4
であることを特徴とする(請求項18)。
【0008】
[19]:[11]〜[14]のいずれか一つに記載の画像形成装置において、前記像担持体を回転支持する前記支持部材は、回転軸を支持する軸受と軸受を支持する軸受支持部材により構成されていることを特徴とする(請求項19)。
[20]:[19]に記載の画像形成装置において、前記間隔部材は前記軸受支持部材に直接当接されていることを特徴とする(請求項20)。
[21]:[19]または[20]に記載の画像形成装置において、前記光源素子から像担持体表面までの距離をL3とした場合、
L1≧(L2+L3)/2
の条件を満たすことを特徴とする(請求項21)。
[22]:[19]〜[21]のいずれか一つに記載の画像形成装置において、前記軸受から、前記間隔部材と前記軸受支持部材の当接面までの距離をL5とした場合、
L1≧L4+L5
であることを特徴とする(請求項22)。
[23]:[19]〜[22]のいずれか一つに記載の画像形成装置において、前記軸受支持部材の線膨張係数をk5とすると、
L1・k1+L4・K4+L5・k5>L2・k2
の条件を満たすことを特徴とする(請求項23)。
[24]:[19]〜[23]のいずれか一つに記載の画像形成装置において、前記間隔部材は、前記光源素子の光束射出方向の距離を調整する調整機構を有することを特徴とする(請求項24)。
[25]:[19]〜[24]のいずれか一つに記載の画像形成装置において、前記軸受支持部材は前記像担持体を回転支持するだけでなく、前記像担持体および光源装置以外の部材を当接または回転支持することを特徴とする(請求項25)。
[26]:[25]に記載の画像形成装置において、前記回転部材は現像ローラであることを特徴とする(請求項26)。
[27]:[11]〜[26]のいずれか一つに記載の画像形成装置において、前記光源素子は一次元または二次元方向に複数配列されているアレイ光源素子であることを特徴とする(請求項27)。
[28]:[11]〜[27]のいずれか一つに記載の画像形成装置において、前記光学素子は一次元または二次元方向に複数配列されているアレイ光学素子であることを特徴とする(請求項28)。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、環境変動による光源装置のピントの位置ずれおよび像担持体の位置変動を相殺し、画像の劣化を抑制することができるので、環境変動に伴う形成画像の劣化の抑制、および部品点数低減による低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明にかかる光源装置の一実施形態を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明にかかる画像形成装置の一実施形態を概略的に示す構成図である。
【図3】本発明の第1の実施例における感光体の周辺と光源装置の横視図および、感光体中心を通るA−A’線の横断面図を示した図である。
【図4】(a)常温時と(b)温度上昇時の発光素子アレイ、結像素子アレイ、感光体の位置関係を示した図である。
【図5】第1の実施例及び第2の実施例の条件を示した表である。
【図6】本発明の第2の実施例における感光体の周辺と光源装置の横視図および、感光体中心を通るB−B’線の横断面図を示した図である。
【図7】従来の光源装置の構成例を示す図であり、感光体の周辺と光源装置の横視図および、感光体中心を通る横断面図を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
まず、本発明の技術思想を採り入れることができる光源装置および画像形成装置の例を、図1、図2を参照しながら説明する。
図1は本発明にかかる光源装置の一実施形態を概略的に示している。光源装置30は、光源素子である発光素子アレイ(LEDアレイ)1、発光素子アレイ(LEDアレイ)1を構成する発光素子(LED)11、発光素子(LED)11を駆動するためのドライバIC(駆動ドライバ)12、光学素子である結像素子アレイ2により構成される。
【0012】
発光素子アレイ(LEDアレイ)1は、発光素子(LED)11が一次元(または二次元)方向に複数配列されているアレイ状の光源素子である。また、結像素子アレイ2は、結像素子(例えばロッドレンズ)21が一次元(または二次元)方向に複数配列されているアレイ状の光学素子である。
【0013】
結像素子アレイ2は発光素子アレイ(LEDアレイ)1に対して位置決めされ、不図示のフレームで保持されている。発光素子アレイ(LEDアレイ)1は、複数の発光素子(LED)11を一定間隔で配列して構成される。発光素子アレイ(LEDアレイ)1の各発光素子(LED)11から放出された光は、結像素子アレイ2で結像されて、像担持体上の結像面に光スポットを形成する。結像素子アレイ2は、屈折率分布型の結像素子(ロッドレンズ)21を複数個束ねたロッドレンズアレイが一般的に用いられている。図1に示すように、発光素子アレイ1と像担持体(例えば感光体)との距離はロッドレンズの共役長TCと等しくし、その中心にロッドレンズアレイが配置される。ここでは、発光素子としてLED(発光ダイオード)を使用しているが、他の発光素子(例えば有機EL)を使用しても良い。
【0014】
図2は本発明にかかる画像形成装置の一実施形態を概略的に示している。図2に示した画像形成装置における画像形成部は、例えば感光体からなる像担持体10、帯電部20、露光部(光源装置)30、現像部40、転写部50、クリーナ部60、感光体保護層形成部70、除電部80を備えている。感光体10は、一般に暗所において絶縁性を示し、光を照射されることにより導電性を示す物質で構成されている。感光体10は、光の照射によって電荷を発生する層である電荷発生層と、その発生した電荷を感光体6表面まで輸送する働きをする層である電荷輸送層に大別される。
【0015】
この感光体10は、任意の方向に一定の速度で回転している。図2においては矢印で示す右回りに回転している。そして、感光体10の周りにある帯電部20で発生した電荷を感光体10表面に帯電させる。そして、光が照射されるまで感光体10は一定の電荷を保持している。続いて、露光部(光源装置)30から、電荷を保持した感光体10の表面に向かって、画像のデータに応じた光束を照射することにより、光が照射された感光体10の部分には、電荷発生層で発生した感光体10表面の電荷と符号が逆の電荷が発生し、その電荷が感光体10表面に送られ、感光体10表面の電荷と結合する。これにより、感光体10表面に画像データに応じて電荷の存在する部分としない部分ができる。これを静電潜像と呼んでいる。
【0016】
現像部40では、この静電潜像の画像となる部分にトナーを付着させる為に、現像部40の電位と、トナーが付着する部分の電位との間に差を発生させ、その電位差を利用して帯電しているトナーを感光体10表面に飛ばして付着させる。安定して感光体上にトナーを移動させるためには、感光体表面と現像部(現像ローラ41)の距離が重要である。また、この感光体6表面に付着したトナーにより形成された像をトナー像と呼んでいる。
【0017】
転写部50は、このトナー像を記録媒体である記録紙90の表面に転写する部分である。記録紙90は、図示していない給紙部の給紙カセット(あるいは給紙トレイ)より、図示していない搬送ローラ等の搬送手段によって運ばれ、転写部50まで輸送されると、上記のトナーを飛ばしたときと同様に、感光体10表面の電位と、記録紙90との電位差を利用して記録紙90上にトナー像を転写させる。トナー像を転写された記録紙90は、紙搬送路に従って定着部55まで運ばれ、定着部55で熱、圧力等を利用してトナー像が記録紙90上に固着し、画像が形成される。一方、転写部50を通過した感光体10は、更に回転し、クリーナ部60で記録紙90上に転写されなかったトナー像が掃除される。
【0018】
ここで、図7に従来の光源装置900の構成例を示す。図7は、感光体910の周辺と光源装置900の横視図および、感光体中心を通る横断面図を示した図である。
発光素子アレイ901と結像素子アレイ903はそれぞれ光源保持部材902、光学素子保持部材904に保持され、光学素子保持部材904は、光源保持部材902に固定されている。発光素子アレイ901と感光体910の距離は、間隔部材911と感光体910への当接部材912により間隔が調整されている。放熱性の観点から、光源保持部材902はアルミニウムでできている。発光素子アレイ901が点灯または光源装置内の温度が変化すると、熱伝導性の良い光源保持部材902に熱が伝わり、光学素子保持部材904および間隔部材911が暖められる。ここで、光学素子保持部材904が暖められると、光学素子保持部材904が熱膨張し、発光素子アレイ901と結像素子アレイ903の間隔が広がり、ピントずれを引き起こす。具体的には、30℃の温度上昇時に光源装置900は29μmのピントずれが確認されているのに対し、間隔部材911と当接部材912の膨張の和は6μm程度である。温度上昇による光源装置900のピントのずれる方向と、間隔部材911の膨張方向は逆方向に移動するため、感光体910表面において、初期から29μm−6μm=23μmのピントずれを引き起こす。また、感光体910と当接部材912の間には、クリーナ部60で清掃されなかったトナーが入り込むこともあり、光源装置のピントずれ量は更に増大する。この結果ビーム径が広がり、画像品質の劣化へと繋がる。
【0019】
そこで本発明では、光源装置の発光素子アレイから感光体に対する突き当て位置までの距離を確保し、また間隔部材の材質を選定することで、環境変動時の光源装置のピントずれを相殺する様な構成の光源装置および画像形成装置を提供するものである。以下、より詳しく説明する。
【0020】
本発明では、発光素子アレイ等の光源素子と、該光源素子からの発光を像担持体である感光体上に集光するための結像素子アレイ等の光学素子とを有し、感光体を露光することにより感光体に画像を書き込む光源装置において、感光体を回転支持する回転軸と軸受により構成されている支持部材に対して、光源素子の距離を規定する間隔部材を有し、間隔部材の光源素子の光束射出方向の距離をL1、回転軸の外径から感光体表面までの距離をL2、軸受の軸外径と軸内径の差をL4とし、間隔部材の線膨張係数をk1、感光体の線膨張係数をk2、軸受の線膨張係数をk4とした場合、
L1・k1+L4・k4>L2・k2
の条件を満たすことにより、環境変動による光源装置のピントの位置ずれおよび感光体の位置変動を相殺し、画像の劣化を抑制することができる。
【0021】
また、本発明では、像担持体である感光体と、感光体を回転支持する支持部材と、発光素子アレイ等の光源素子と該光源素子からの発光を感光体上に集光するための結像素子アレイ等の光学素子とを有し感光体を露光することにより感光体に画像を書き込む光源装置と、を有する画像形成装置において、支持部材は回転軸と軸受により構成されており、支持部材と光源素子との距離を規定する間隔部材を有し、間隔部材の光源素子の光束射出方向の距離をL1、回転軸の外径から感光体表面までの距離をL2、軸受の軸外径と軸内径の差をL4とし、間隔部材の線膨張係数をk1、感光体の線膨張係数をk2、軸受の線膨張係数をk4とした場合、
L1・k1+L4・k4>L2・k2
の条件を満たすことにより、環境変動による光源装置のピントの位置ずれおよび感光体の位置変動を相殺し、画像の劣化を抑制することができる。
【0022】
ここで、光源素子の光束射出方向を「+」、反対方向を「−」として説明する。像担持体である感光体は、環境温度上昇時において感光体軸を中心に熱膨張する。この時、光源装置に対して感光体は「−」方向に膨張する。一方、光源装置は、環境温度上昇時においてピント位置が「+」方向へ移動する(ロッドレンズアレイは物体と像面が共役の関係にあるため、熱変動により物体位置がΔR1変動した場合、像面位置もΔR1だけ物体の変動方向と反対方向に移動する。故に、全体としてピント位置は2ΔR1だけ初期から変動することになる)。故に、環境変動時においても感光体表面上に露光のピントが合うためには、環境変動時に感光体表面の変動量と光源装置のピント変動量の和の分だけ、感光体と光源装置の間の間隔部材と支持部材が膨張する必要がある。即ち、感光体の熱膨張量よりも間隔部材と支持部材の熱膨張量の和の方が大きい必要がある。具体的には、ΔT温度変動時の感光体と光源装置の距離を規定する部材の膨張量は、
L1・k1・ΔT+L4・k4・ΔT
であり、一方、感光体の膨張量と光源装置のピント移動量ΔMの和は、
L2・k2・ΔT+ΔM
となる。
両者の変動量が同一になった場合、ピント位置は保たれるため、
L1・k1・ΔT+L4・k4・ΔT=L2・k2・ΔT+ΔM>L2・k2・ΔT
∴L1・k1+L4・k4>L2・k2
が成立すれば、画像劣化の抑制を図ることができる。
【0023】
本発明では、上記の構成の光源装置または画像形成装置において、間隔部材の線膨張係数をk1、支持部材を構成する軸受の線膨張係数をk4とすると、
k1≧k4
であることにより、環境変動による光源装置のピントの位置ずれおよび感光体の位置変動を相殺し、画像の劣化を抑制することができる。
ここで、感光体と光源装置の間隔を所望の距離膨張させるためには、支持部材の膨張も考慮する必要がある。感光体の回転中心を規定する支持部材は、その部材の役割上、熱変動の小さい材質を選定することが望ましい(熱膨張により感光体中心位置が不定となるため)。即ち、支持部材の熱膨張量よりも間隔部材の熱膨張量の方が大きい必要がある。
【0024】
本発明では、上記の構成に加え、間隔部材は樹脂、軸受は金属でできていることにより、環境変動による光源装置のピントの位置ずれおよび感光体の位置変動を相殺し、画像の劣化を抑制することができる。
すなわち、本発明では、感光体の回転中心を規定する支持部材として、線膨張係数(1.0E−5/℃)が小さく形状精度の高い軸受(特に玉軸受け)を用いることで、感光体の回転中心位置が初期および温度上昇時においても定まる様にしている。なお、上記の線膨張係数の記載に用いた「E−5」は「×10−5」を意味しており、以下同様である。
【0025】
本発明では、上記の構成に加え、間隔部材の線膨張係数をk1、感光体の線膨張係数をk2とした場合、
k1≧k2
であることにより、環境変動による光源装置のピントの位置ずれおよび感光体の位置変動を相殺し、画像の劣化を抑制することができる。
ここで、光源素子の光束射出方向を「+」、反対方向を「−」として説明する。感光体は、環境温度上昇時において感光体軸を中心に熱膨張する。この時、光源装置に対して感光体は「−」方向に膨張する。一方、光源装置は、環境温度上昇時においてピント位置が「+」方向へ移動する(ロッドレンズアレイは物体と像面が共役の関係にあるため、熱変動により物体位置がΔR1変動した場合、像面位置もΔR1だけ物体の変動方向と反対方向に移動する。故に、全体としてピント位置は2ΔR1だけ初期から変動することになる)。故に、環境変動時においても感光体表面上に露光のピントが合うためには、環境変動時に感光体表面の変動量と光源装置のピント変動量の和の分だけ、感光体と光源装置の間の間隔部材が膨張する必要がある。即ち、感光体の熱膨張量よりも間隔部材の熱膨張量の方が大きい必要がある。そこで本構成を採用することで、間隔部材に所望の熱変動量を発生させることが可能となり、環境変動時においても、ピント位置を保つことが可能となる。
【0026】
ここで、本発明の一構成例として、上記の構成に加え、間隔部材は軸受に直接当接されていることにより、初期および環境変動時の画像の劣化を抑制することができる。
すなわち、感光体と光源装置の位置関係を初期、経時共に精度良く位置合わせするには、形状精度が高い軸受に間隔部材を当接することが望ましい。
【0027】
本発明では、上記の構成に加え、間隔部材は、光源素子の光束射出方向の距離を調整する調整機構を有することにより、初期の出力画像の品質を向上ことができる。
すなわち、発光素子から感光体表面上の距離を精度良く位置決めするためには、間隔部材に間隔調整機構を設けることが望ましい。本発明では調整機構として、例えば偏心カムを設けた。
【0028】
本発明では、上記の構成に加え、光源素子から感光体表面までの距離をL3とした場合、
L1≧(L2+L3)/2
を満たすことにより、環境変動による光源装置のピントの位置ずれおよび感光体の位置変動を相殺し、画像の劣化を抑制することができる。
環境変動によるピントずれを緩和するためには、間隔部材と支持部材の熱膨張を考慮すれば良いが、感光体の回転中心を規定する支持部材は、その部材の役割上、熱変動の小さい材質を選定することが望ましい(熱膨張により感光体中心位置が不定となるため)。すなわち、支持部材の熱膨張量よりも間隔部材の熱膨張量の方が大きい必要がある。そのためには、間隔部材として、(1)支持部材(軸受)より線膨張係数の大きい材質を選定する他、(2)支持部材よりも光源素子の光束射出方向の距離が大きい部材を選定した方が良い。感光体周りの構成として、間隔部材の光源素子の光束射出方向の距離をL1、回転軸の外径から感光体表面までの距離をL2、光源素子から感光体表面までの距離をL3、前記軸受の軸外径と軸内径の差をL4とすると、
L1+L4=L2+L3
が成立する。
また、(2)の条件を満たすためには、
L1≧L4
すなわち、
L1≧(L2+L3)/2
が成立すれば良い。
(∵L1=L1/2+L1/2≧(L1+L4)/2=(L2+L3)/2)
【0029】
本発明では、間隔部材の光源素子の光束射出方向の距離をL1、軸受の軸外径と軸内径の差をL4とした場合、
L1≧L4
であることにより、環境変動による光源装置のピントの位置ずれおよび感光体の位置変動を相殺し、画像の劣化を抑制することができる。
【0030】
上記のように、感光体と光源装置の間隔を所望の距離膨張させるためには、支持部材の膨張も考慮する必要がある。感光体の回転中心を規定する支持部材は、その部材の役割上、熱変動の小さい材質を選定することが望ましい(熱膨張により感光体中心位置が不定となるため)。すなわち、支持部材の熱膨張量よりも間隔部材の熱膨張量の方が大きい必要がある。そのためには間隔部材として、(1)支持部材(軸受)より線膨張係数の大きい材質を選定する他、(2)軸受の内外径の距離よりも間隔部材の大きさの方が大きい部材を選定した方が良い。
【0031】
次に、本発明の別の構成例として、前述の画像形成装置の構成に加え、像担持体である感光体を回転支持する支持部材は、回転軸を支持する軸受と軸受を支持する軸受支持部材により構成されていることにより、初期および環境変動時の画像の劣化を抑制することができる。
すなわち、支持部材の別の方式として、間隔部材を軸受支持部材(例えば後述する面板)に突き当てる方式がある。また、感光体の軸受に線膨張係数の小さい材質(例えばPPS材:1.0E−5/℃)を用いることで、感光体の回転中心位置が初期および温度上昇時においても定まる。
【0032】
本発明では、上記の構成に加え、間隔部材は軸受支持部材に直接当接されていることにより、初期および環境変動時の画像の劣化を抑制することができる。
すなわち、感光体と光源素子の位置関係を初期、経時共に精度良く位置合わせするには、形状精度が高い軸受支持部材に間隔部材を当接することが望ましい。
【0033】
本発明では、上記の構成に加え、光源素子から感光体表面までの距離をL3とした場合に、
L1≧(L2+L3)/2
を満たすことにより、環境変動による光源装置のピントの位置ずれおよび感光体の位置変動を相殺し、画像の劣化を抑制することができる。
環境変動によるピントずれを緩和するためには、間隔部材と支持部材の熱膨張を考慮すれば良いが、感光体の回転中心を規定する支持部材は、その部材の役割上、熱変動の小さい材質を選定することが望ましい(熱膨張により感光体中心位置が不定となるため)。すなわち、支持部材の熱膨張量よりも間隔部材の熱膨張量の方が大きい必要がある。そのためには、間隔部材として、(1)支持部材(軸受)より線膨張係数の大きい材質を選定する他、(2)支持部材よりも光源素子の光束射出方向の距離が大きい部材を選定した方が良い。感光体周りの構成として、間隔部材の光源素子の光束射出方向の距離をL1、回転軸の外径から感光体表面までの距離をL2、光源素子から感光体表面までの距離をL3、前記軸受の軸外径と軸内径の差をL4、軸受から、間隔部材と軸受支持部材の当接面までの距離をL5とすると、
L1+L4+L5=L2+L3
が成立する。
また、(2)の条件を満たすためには、
L1≧L4+L5
すなわち、
L1≧(L2+L3)/2
が成立すれば良い。
(∵L1=L1/2+L1/2≧(L1+L4+L5)/2=(L2+L3)/2)
【0034】
本発明では、上記のように、軸受から、間隔部材と軸受支持部材の当接面までの距離をL5とした場合、
L1≧L4+L5
であることにより、環境変動による光源装置のピントの位置ずれおよび感光体の位置変動を相殺し、画像の劣化を抑制することができる。
【0035】
また、上記のように、感光体と光源素子の間隔を所望の距離膨張させるためには、支持部材の膨張も考慮する必要がある。感光体の回転中心を規定する支持部材は、その部材の役割上熱変動の小さい材質を選定することが望ましい(熱膨張により感光体中心位置が不定となるため)。すなわち、支持部材の熱膨張量よりも間隔部材の熱膨張量の方が大きい必要がある。そのためには間隔部材として、(1)支持部材(軸受)より線膨張係数の大きい材質を選定する他、(2)支持部材よりも間隔部材の大きさの方が大きい部材を選定した方が良い。
【0036】
本発明では、上記の構成に加え、軸受支持部材の線膨張係数をk5とすると、
L1・k1+L4・K4+L5・k5>L2・k2
を満たすことにより、環境変動による光源装置のピントの位置ずれおよび感光体の位置変動を相殺し、画像の劣化を抑制することができる。
ここで、ΔT温度変動時の感光体と光源素子の距離を規定する部材の膨張量は、
L1・k1・ΔT+L4・K4ΔT+L5・k5・ΔT
であり、一方、感光体の膨張量と光源装置のピント移動量ΔMの和は、
L2・k2・ΔT+ΔM
となる。
両者の変動量が同一になった場合、ピント位置は保たれるため、
L1・k1・ΔT+L4・K4・ΔT+L5・k5・ΔT=L2・k2ΔT+ΔM
∴L1・k1+L4・K4+L5・k5>L2・k2
が成立すれば良い。
【0037】
本発明では、上記の構成に加え、間隔部材は、光源素子の光束射出方向の距離を調整する調整機構を有することにより、初期の出力画像の品質を向上ことができる。
すなわち、発光素子から感光体表面上の距離を精度良く位置決めするためには、間隔部材に間隔調整機構を設けることが望ましい。本発明では調整機構として、例えば偏心カムを設けた。
【0038】
本発明では、上記の構成に加え、軸受支持部材は感光体を回転支持するだけでなく、感光体および光源装置以外の部材を当接または回転支持することにより、高コスト化を招くことなく、初期および環境変動時の画像の劣化を抑制することができる。なお、軸受支持部材で支持する回転部材は、例えば現像ローラである。
画像形成装置の一連の画像形成機構(帯電→露光→現像→定着)の中で、感光体表面との位置精度が求められている機構として、現像機構が挙げられる。本発明では、例えば現像機構として、現像ローラを採用しているので、感光体の回転軸と現像ローラの回転軸を共通の軸受支持部材(例えば後述する面板)により精度良く位置決めすれば、一つの部材(面板)を用いて、感光体−現像ローラ間および感光体−光源装置間の距離を規定することができる。
【実施例】
【0039】
以下、上述した本発明の特徴となる構成部分の具体的な実施例について説明する。
【0040】
[実施例1]
図3〜5に本発明の第1の実施例による光源装置100および画像形成装置800を示す。
図3は本発明の第1の実施例における感光体200(図2の感光体10に相当する)の周辺と光源装置100の横視図および、感光体中心を通るA−A’線の横断面図を示したものである。光源装置100(図1、図2の光源装置30に相当する)の光源素子(発光素子アレイ)101と光学素子(結像素子アレイ)103はそれぞれ光源保持部材102と光学素子保持部材104に保持され、光学素子保持部材104は、光源保持部材102に固定されている(図3)。感光体200は、数10μmの感光層(図中不図示)が表面に塗布されたアルミニウム製の感光体素管201と、アルミニウムと同等の線膨張係数(k=2.4E−5/℃)を持つ樹脂で作成した感光体軸支持部材202、および回転軸203により構成されている。回転軸203は支持部材310の軸受312により支持されており、支持部材310の軸受312上に直接、間隔部材320を設けることで、発光素子アレイ101と感光体表面までの距離を調整している。また、支持部材310の軸受312は、軸受支持部材である面板311に圧入されており、支持部材310の軸受312の一部が間隔部材320に当接されるように、面板311に溝が形成されている。
【0041】
ここで、温度上昇時の光源装置100のピントおよび感光体200の挙動について説明する。図4は、(a)常温時と(b)温度上昇時の発光素子アレイ101、結像素子アレイ103、感光体201の位置関係を示したものである。発光素子アレイ101−結像素子アレイ103間の距離をR1、結像レンズアレイ103の厚さをZ1、結像レンズアレイ103−感光体201間の距離をR3とする。本実施例では正立等倍結像の結像レンズアレイを使用するため、R1=R3となる。発光素子アレイ101の光束射出方向を「+」とすると、温度上昇時に光学素子保持部材104が熱膨張し、発光素子アレイ101−結像素子アレイ103間の距離がΔRだけ「+」方向に膨張した場合、正立等倍結像レンズを使用しているため、ピント位置もΔR1だけ「+」方向に伸びることになる。つまり結像素子アレイ103がΔR1移動することにより、光源装置100のピント位置は初期状態(図4(a))から2ΔR1移動することになる(図4(b))。一方、感光体表面は温度上昇時に回転軸203を中心に、「−」方向に熱膨張する。故に、本構成例において環境変動時に感光体表面上に露光のピントが合うためには、環境変動時の感光体表面の変動量と発光素子のピント変動量の和の分だけ、感光体200と発光素子の間の間隔部材320および支持部材310が膨張する必要がある。即ち、感光体200の熱膨張量よりも間隔部材320と支持部材310の熱膨張量の方が大きい必要がある。具体的には、間隔部材320の光源素子(発光素子アレイ)101の光束射出方向の距離をL1、回転軸203の外径から感光体200表面までの距離をL2、支持部材310の軸受312が回転軸203に当接している面から間隔部材320に当接している面までの距離をL4、間隔部材320の線膨張係数をk1、感光体の線膨張係数をk2、支持部材310の軸受312の線膨張係数をk4とした場合、ΔT温度変動時の感光体200と光源装置100の距離を規定する部材の膨張量は、
L1・k1・ΔT+L4・k4・ΔT
となる。一方、感光体200の膨張量と光源装置100のピント移動量ΔMの和は、
L2・k2・ΔT+ΔM
となる。
両者の変動量が同一になった場合、ピント位置は保たれるため、
L1・k1・ΔT+L4・k4・ΔT=L2・k2・ΔT+ΔM>L2・k2・ΔT
∴L1k1+L4・k4>L2・k2
が成立すれば、画像劣化の抑制を図ることができる。
【0042】
感光体200と発光素子アレイ101の間隔を所望の距離膨張させるためには、支持部材310の軸受312の膨張も考慮する必要がある。感光体200の回転中心を規定する支持部材310の軸受312は、その部材の役割上、熱変動の小さい材質を選定することが望ましい。熱変動が大きい材質を選定すると、熱膨張により回転軸203の支持径が膨張し、感光体200の中心位置が不定となるためである。即ち間隔部材320の線膨張係数をk1、支持部材310の軸受312の線膨張係数をk4とすると、
k1≧k4
を満たすと良い。具体的には間隔部材320として樹脂、支持部材310の軸受312として金属でできていることが望ましい。本実施例では間隔部材320としてポリカーボネート(PC)材(k1=5.6E−5/℃)を、感光体200の回転中心を規定する支持部材310の軸受312として、線膨張係数(k4=1.0E−5/℃)が小さく形状精度の高いボールベアリングを用いた。
【0043】
また、間隔部材320は、形状精度が高い軸受(ボールベアリング)312に直接当接されている。感光体200と光源装置100の位置関係を初期、経時共に精度良く位置合わせするには、形状精度が高い支持部材310の軸受312に間隔部材320を当接することが望ましい。
【0044】
回転軸203から光源素子保持部材102までといった限られた長さの中で、間隔部材320の熱膨張量が、感光体200の熱膨張よりも大きくなるためには、感光体(感光体軸支持部材202)の線膨張係数k2より、間隔部材320の線膨張係数k1を大きくする必要がある(k1≧k2)。
【0045】
また、感光体の表面の変動量以上に、間隔部材320の熱膨張量を稼ぐ必要があるといった点で、支持部材310よりも間隔部材320の光源素子(発光素子アレイ)101の光束射出方向の距離が大きくなる様に、長さの配分を割り振った方が良い。感光体周りの構成として、間隔部材320の光源素子の光束射出方向の距離をL1、回転軸の外径から感光体表面までの距離をL2、光源素子(発光素子アレイ)101から感光体200表面までの距離をL3、支持部材310の軸受312の回転軸当接面から間隔部材当接面までの距離(ベアリングの軸外径と軸内径の差を)をL4とすると、
L1+L4=L2+L3
が成立する。ここで、
L1≧L4
となるように、長さの配分を割り振る場合、
L1≧(L2+L3)/2
が成立すれば良い。
(∵L1=L1/2+L1/2≧(L1+L4)/2=(L2+L3)/2)
【0046】
第1の実施例においては、感光体200の感光層の外径はφ30mm、回転軸203の軸径はφ8mm、光源素子(発光素子アレイ)101から感光層までの距離は8mmとし、支持部材310の軸受312として内径φ8mm、外径φ14mmのボールベアリングを用い、間隔部材320の光束射出方向の距離は16mmとした。感光体200の素管201としてアルミニウム(k=2.4E−5/℃)を、感光体軸支持部材202としてアルミニウムと同等の線膨張係数を持つポリフェニレンサルファイド(PPS)材(k2=2.4E−5/℃)を、ボールベアリングはステンレス材(k4=1.0E−5/℃)を、間隔部材320には線膨張係数の大きいポリカーボネート(PC)材(k1=5.6E−5/℃)を選定している。この時、各部材の光束射出方向の距離L1〜L4と、線膨張係数k1〜k4は、図5に示す表の第1の実施例のようになっており、上記に示した条件を満たしている。
【0047】
[実施例2]
図6に本発明の第2の実施例による光源装置100および画像形成装置800を示す。
図6は本発明の第2の実施例における感光体200(図2の感光体10に相当する)の周辺と光源装置100の横視図および、感光体中心を通るB−B’線の横断面図を示したものである。
基本的な構成は実施例1と同様であるが、間隔部材320については、光源素子(発光素子アレイ)101の光束射出方向の距離を初期に調整する機構を有している。本実施例では、調整機構として、偏心カム321を設けた。これにより、発光素子アレイ101から感光体表面上の距離を精度良く位置決めすることができ、初期の画像品質を向上することができる。
【0048】
支持部材310は、軸受支持部材である樹脂でできた面板311と、軸受である複数のボールベアリング312、313で構成されており、ボールベアリング312、313は軸受支持部材である面板311に圧入されている。それぞれのボールベアリングは、感光体200の回転軸203と、図2に示す現像ローラ41の回転軸42を保持しており、支持部材310により感光体200と現像ローラ41の位置関係を高精度に配置している。この構成により安定した画像を形成することができる。間隔部材320は、軸受支持部材である面板311に直接当接されており、感光体200表面と光源装置100の距離を規定している。
【0049】
軸受支持部材である面板312は、その部材の役割上、熱変動の小さい材質を選定することが望ましい。熱変動が大きい材質を選定すると、熱膨張により回転軸の支持径が膨張し、感光体200の中心位置および現像ローラ41の中心位置が不定となるためである。即ち間隔部材320の線膨張係数をk1、面板312の線膨張係数をk4とすると、
k1≧k4
を満たすと良い。
本実施例では間隔部材320としてポリカーボネート(PC)材(k1=5.6E−5/℃)を、面板311として、線膨張係数(k4=1.0E−5/℃)が小さいポリフェニレンサルファイド(PPS)材を用いた。また、ボールベアリング312,313については、第1の実施例と同様、形状精度が高く、線膨張係数が小さいステンレス材(k4=1.0E−5/℃)を採用した。
【0050】
間隔部材320の熱膨張量を稼ぐと言った観点で、面板311よりも間隔部材320の光源素子(発光素子アレイ)101の光束射出方向の距離が大きくなる様に、長さの配分を割り振った方が良い。感光体周りの構成として、間隔部材320の発光素子アレイ101の光束射出方向の距離をL1、回転軸203の外径から感光体200表面までの距離をL2、発光素子アレイ101から感光体200表面までの距離をL3、軸受(ボールベアリング)312の軸外径と軸内径の差をL4、感光体用の軸受け(ボーリベアリング)312の外周から間隔部材320と面板312の当接面までの最短距離をL5とした場合、
L1+L4+L5=L2+L3
が成立する。ここで、
L1≧L4+L5
となるように、長さの配分を割り振る場合、
L1≧(L2+L3)/2
が成立すれば良い。
(∵L1=L1/2+L1/2≧(L1+L4+L5)/2=(L2+L3)/2)
【0051】
以上の観点から環境変動時の光源装置100のピントずれ、かつ感光体200の熱変動による像面ずれ、に伴う画像の劣化を抑制するためには、以下に示す条件が、必要十分条件である。
ΔT温度変動時の感光体200と光源素子(発光素子アレイ)101の距離を規定する部材の膨張量は、
L1・k1・ΔT+L4・k4・ΔT+L5・k5・ΔT
となる。一方、感光体200の膨張量と光源装置(発光素子アレイ)101のピント移動量ΔMの和は、
L2・k2+ΔM
となる。両者の変動量が同一になった場合、ピント位置は保たれるため、
L1・k1・ΔT+L4・k4・ΔT+L5・k5・ΔT=L2・k2・ΔT+ΔM>L2・k2・ΔT
L1・k1+L4・k4+L5・k5>L2・k2
が成立すれば、画像劣化の抑制を図ることができる。
【0052】
具体的には、第2の実施例においては、感光体200の感光層の径はφ40mm、回転軸203の軸径はφ8mm、光源素子(発光素子アレイ)101から感光層までの距離は8mmとし、支持部材310の軸受312として内径φ8mm、外径φ22mmのボールベアリングを用い、感光体用の軸受(ボールベアリング)312の外周から間隔部材320と軸受支持部材(面板)311の当接面までの最短距離を3mm、間隔部材320の光束射出方向の距離を14mmとした。感光体200の素管201としてアルミニウム(k=2.4E−5/℃)を、感光体軸支持部材202としてアルミニウムと同等の線膨張係数を持つポリフェニレンサルファイド(PPS)材(k2=2.4E−5/℃)を、ボールベアリングはステンレス材(k4=1.0E−5/℃)を、面板311としてPPS材(k5=2.4E−5/℃)、間隔部材320には線膨張係数の大きいポリカーボネート(PC)材(k1=7.0E−5/℃)を選定している。この時、各部材の光束射出方向の距離L1〜L5と線膨張係数k1〜k5は、図5に示す表の第2の実施例のようになっており、上記に示した条件を満たしている。
【0053】
なお、間隔部材320については、光源素子(発光素子アレイ)101の光束射出方向の距離を初期に調整する機構を有しても良い。本実施例では、調整機構として、偏心カム321を設けた。これにより、発光素子アレイ101から感光体200表面上の距離を精度良く位置決めすることができ、初期の画像品質を向上することができる。
【0054】
また、軸受支持部材である面板311に当接または位置決めする部材は現像ローラだけでなく、例えばクリーニング部材など、感光体200との距離を高精度に配置する必要性のある機構を、配置しても良い。
【符号の説明】
【0055】
1、101:光源素子(発光素子アレイ)
2、103:光学素子(結像素子アレイ)
10、200:感光体(像担持体)
20:帯電部
30、100:光源装置(露光部)
40:現像部
50:転写部
55:定着部
60:クリーナ部
70:感光体保護層形成部
80:除電部
102:光源保持部材
104:光学素子保持部材
201:感光体素管
202:感光体軸支持部材
203:回転軸
310:支持部材
311:面板(軸受支持部材)
312:軸受(ボールベアリング)
320:間隔部材
321:偏心カム(調整機構)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】特開2003−066306号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源素子と、前記光源素子からの発光を像担持体上に集光するための光学素子とを有し、前記像担持体を露光することにより該像担持体に画像を書き込む光源装置において、
前記像担持体を回転支持する回転軸と軸受により構成されている支持部材に対して、前記光源素子の距離を規定する間隔部材を有し、
前記間隔部材の前記光源素子の光束射出方向の距離をL1、
前記回転軸の外径から前記像担持体表面までの距離をL2、
前記軸受の軸外径と軸内径の差をL4とし、
前記間隔部材の線膨張係数をk1、
前記像担持体の線膨張係数をk2、
前記軸受の線膨張係数をk4とした場合、
L1k1+L4・k4>L2・k2
の条件を満たすことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1記載の光源装置において、
前記間隔部材の線膨張係数をk1、前記支持部材を構成する軸受の線膨張係数をk4とすると、
k1≧k4
であることを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項2記載の光源装置において、
前記間隔部材は樹脂、前記軸受は金属でできていることを特徴とする光源装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の光源装置において、
前記間隔部材の線膨張係数をk1、前記像担持体の線膨張係数をk2とした場合、
k1≧k2
であることを特徴とする光源装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の光源装置において、
前記間隔部材は前記軸受に直接当接されていることを特徴とする光源装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載の光源装置において、
前記間隔部材は、前記光源素子の光束射出方向の距離を調整する調整機構を有することを特徴とする光源装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の光源装置において、
前記光源素子から前記像担持体の表面までの距離をL3とした場合、
L1≧(L2+L3)/2
の条件を満たすことを特徴とする光源装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の光源装置において、
前記間隔部材の前記光源素子の光束射出方向の距離をL1、前記軸受の軸外径と軸内径の差をL4とした場合、
L1≧L4
であることを特徴とする光源装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一つに記載の光源装置において、
前記光源素子は一次元または二次元方向に複数配列されているアレイ光源素子であることを特徴とする光源装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一つに記載の光源装置において、
前記光学素子は一次元または二次元方向に複数配列されているアレイ光学素子であることを特徴とする光源装置。
【請求項11】
像担持体と、
前記像担持体を回転支持する支持部材と、
光源素子と前記光源素子からの発光を前記像担持体上に集光するための光学素子とを有し前記像担持体を露光することにより該像担持体に画像を書き込む光源装置と、
を有する画像形成装置において、
前記支持部材は回転軸と軸受により構成されており、前記支持部材と前記光源素子との距離を規定する間隔部材を有し、
前記間隔部材の前記光源素子の光束射出方向の距離をL1、
前記回転軸の外径から像担持体表面までの距離をL2、
前記軸受の軸外径と軸内径の差をL4とし、
前記間隔部材の線膨張係数をk1、
前記像担持体の線膨張係数をk2、
前記軸受の線膨張係数をk4とした場合、
L1k1+L4・k4>L2・k2
の条件を満たすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項11記載の画像形成装置において、
前記間隔部材の線膨張係数をk1、前記支持部材を構成する軸受の線膨張係数をk4とすると、
k1≧k4
であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12記載の画像形成装置において、
前記間隔部材は樹脂、前記軸受は金属でできていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記間隔部材の線膨張係数をk1、前記像担持体の線膨張係数をk2とした場合、
k1≧k2
であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記間隔部材は前記軸受に直接当接されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項11〜15のいずれか一つに記載の画像形成装置おいて、
前記間隔部材は、前記光源素子の光束射出方向の距離を調整する調整機構を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
請求項11〜16のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記光源素子から像担持体表面までの距離をL3とした場合、
L1≧(L2+L3)/2
の条件を満たすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
請求項11〜17のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記間隔部材の前記光源素子の光束射出方向の距離をL1、前記軸受の軸外径と軸内径の差をL4とした場合、
L1≧L4
であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項19】
請求項11〜14のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記像担持体を回転支持する前記支持部材は、回転軸を支持する軸受と軸受を支持する軸受支持部材により構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項20】
請求項19記載の画像形成装置において、
前記間隔部材は前記軸受支持部材に直接当接されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項21】
請求項19または20記載の画像形成装置において、
前記光源素子から像担持体表面までの距離をL3とした場合、
L1≧(L2+L3)/2
の条件を満たすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項22】
請求項19〜21のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記軸受から、前記間隔部材と前記軸受支持部材の当接面までの距離をL5とした場合、
L1≧L4+L5
であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項23】
請求項19〜22のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記軸受支持部材の線膨張係数をk5とすると、
L1・k1+L4・K4+L5・k5>L2・k2
の条件を満たすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項24】
請求項19〜23のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記間隔部材は、前記光源素子の光束射出方向の距離を調整する調整機構を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項25】
請求項19〜24のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記軸受支持部材は前記像担持体を回転支持するだけでなく、前記像担持体および光源装置以外の部材を当接または回転支持することを特徴とする画像形成装置。
【請求項26】
請求項25記載の画像形成装置において、
前記回転部材は現像ローラであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項27】
請求項11〜26のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記光源素子は一次元または二次元方向に複数配列されているアレイ光源素子であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項28】
請求項11〜27のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記光学素子は一次元または二次元方向に複数配列されているアレイ光学素子であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−245775(P2011−245775A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122215(P2010−122215)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】