説明

光源装置および自動分析装置

【課題】従来の光源装置よりも確実に所定光量以上の光を出射できる光源装置およびこの光源装置を備えた自動分析装置を提供すること。
【解決手段】定格点灯期間Tにおいて、所定の定格出力光量Btを出力可能な光源L,Mと、光源L,Mの出力光量を測定する光量測定部14a−2と、光量測定部14a−2よりフィードバックされた出力光量に基づいて、光源L,Mに入力する電圧を制御し、光源L,Mの出力光量を制御する制御部16を備えた光源装置14a。制御部16は、光源Lの点灯開始後、光源Lの定格点灯期間経過以前に光源Mの点灯を開始する。また、制御部16は、光源Lまたは光源Mの出力光量が低下し使用不可光源となった場合、ユーザーに対し光源装置14aに使用不可光源が搭載されていることを警告し、光源交換処理を依頼する画面を表示部19に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の光量の光を出射する光源装置と、この光源装置より出射された光を検体に照射してこの検体を分析する自動分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、生化学分析装置など、光学的に検体の性質を測定する自動分析装置には、所定波長、所定光量の分析光を出射する光源装置が搭載されている(特許文献1〜3、参照)。例えば、生化学分析装置は、光源装置より出射される光を検体と試薬とを反応させた反応液に照射し反応液の吸光度を測定して、この吸光度に基づいて検体の濃度分析などを行う。
【0003】
【特許文献1】特開平10−253633号公報
【特許文献2】特開2005−338101号公報
【特許文献3】特開2006−227013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、従来の自動分析装置で用いられる光源装置では、光源に一定の入力電圧をかけ、所定波長、所定光量の分析光を出射させていた。そのため、光源が劣化し出力光量が低下すると、検体の分析に必要な量の分析光が出射されず、正確に検体を分析できないという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、従来の光源装置よりも確実に、所定光量以上の光を出射できる光源装置およびこの光源装置を備えた自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる光源装置は、所定量の出力光量を出力可能な第1光源および第2光源と、前記第1光源および前記第2光源の出力光量を加算した総出力光量を測定する光量測定手段と、前記総出力光量が前記所定量となるように、前記第1光源および前記第2光源の各出力光量を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる光源装置は、上記の発明において、前記制御手段は、前記第1光源の点灯開始後、前記第1光源が統計的に定格点灯状態を維持できる期間である定格点灯期間を経過する前に、前記第2光源の点灯を開始し、前記第1光源および前記第2光源の各出力光量を制御することを特徴とする。
【0008】
前記制御手段は、前記第1光源または前記第2光源の一方の点灯期間が前記定格点灯期間を経過する際に、他方の光源の点灯を開始し、前記第1光源および前記第2光源の各出力光量を制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる光源装置は、上記の発明において、出力光量が予め設定された閾値未満である使用不可光源を検出する検出手段と、前記使用不可光源が検出された場合、前記使用不可光源を搭載していることを警告し、該使用不可光源の交換処理を依頼する警告手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記いずれかの発明に記載の光源装置を備え、前記光源装置より出射させた分析光を検体に照射して、前記検体を分析することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる光源装置は、光量測定手段が、所定量の出力光量を出力可能な第1光源および第2光源の出力光量を加算した総出力光量を測定し、制御手段が、総出力光量が所定量となるように、前記第1光源および前記第2光源の出力光量を制御する。したがって、本発明にかかる光源装置によれば、一方の光源の出力が低下しても、他方の光源を用いて所定量以上の出力光量を得ることができるので、従来の光源装置よりも確実に所定光量以上の光を出射できるとともに、ちらつきのない安定した光を出射できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態である光源装置および自動分析装置について説明する。なお、各実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分または相当する部分には同一の符号を付している。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る自動分析装置である臨床検査等に用いられる生化学分析装置の全体構成を示す図である。図1に示すように、自動分析装置1は、測定機構101および制御機構102を備える。測定機構101は、図1に示すように、ラック供給装置2、キュベットホイール4、第一試薬保冷庫7及び第二試薬保冷庫8および測定光学系14を備えている。また、測定機構101には、ラック供給装置2とキュベットホイール4との間に検体分注機構3が設けられ、キュベットホイール4と第一試薬保冷庫7及び第二試薬保冷庫8との間には試薬分注機構5,6が設けられている。
【0014】
ラック供給装置2は、図1に示すように、複数のラック2aが配列され、各ラック2aには検体を保持したサンプルカップ2bが搭載されている。ラック供給装置2は、矢印で示す経路に沿ってラック2aを順次搬送し、検体分注機構3のプローブ3aによって各サンプルカップ2bに保持された検体が、キュベットホイール4のキュベットCに分注される。
【0015】
キュベットホイール4は、図1に示すように、リング状に成形された環状の部材の外周に、キュベットCの収容凹部4aが周方向に等間隔で複数設けられ、収容凹部4aに開口して光束の通過を案内するガイド孔4bが光源装置14a、キュベットC及び受光センサ14dを結ぶ直線に沿って半径方向に形成されている。キュベットホイール4は、複数のキュベットCを体温程度の温度に保持して間欠回転し、一周期で反時計方向に(1周−1キュベット)/4分回転し、四周期で時計方向に1キュベット分回転する。
【0016】
第一試薬保冷庫7及び第二試薬保冷庫8は、図1に示すように、それぞれ第一試薬の試薬ボトル7aと第二試薬の試薬ボトル8aが複数配置され、試薬分注機構5のプローブ5aと試薬分注機構6のプローブ6aによって所定の試薬がキュベットCに分注される。複数の試薬ボトル7a,8aは、それぞれ検査項目に応じた所定の試薬が満たされ、外面には収容した試薬に関する情報を表示するバーコードラベル(図示せず)が貼付されている。このとき、通常の測定においては第一試薬のみが分注され、第二試薬は、必要に応じて分注される。試薬が分注されたキュベットCは、第一攪拌装置11と第二攪拌装置12によって検体と試薬とが攪拌される。また、第一試薬保冷庫7及び第二試薬保冷庫8は、バーコードラベル読取装置9,10が外周に設置されている。
【0017】
バーコードラベル読取装置9,10は、図1に示すように、第一試薬保冷庫7と第二試薬保冷庫8の外周に配置され、試薬ボトル7a,8aに貼付した不図示の前記バーコードラベルに記録された試薬の種類、ロット及び有効期限等の情報を読み取り、制御部16へ出力する。
【0018】
第一攪拌装置11及び第二攪拌装置12は、図1に示すように、キュベットホイール4の外周に互いに対向させて配置され、攪拌棒11a,12aによって分注された検体と試薬とを攪拌して反応させる。ここで、検体分注機構3及び試薬分注機構5,6の各プローブ3a,5a,6a及び攪拌棒11a,12aは、分注攪拌終了後、不図示の洗浄水タンクから供給される洗浄水によって流水洗浄される。
【0019】
測定光学系14は、図2に示すように、光源装置14a、コリメーションレンズ14b、フィルタ14c及び受光センサ14dを有している。光源装置14aは、例えばハロゲンランプを光源とし、試薬と検体とが反応したキュベットC内の反応液を分析するための分析光(波長340〜800nm)を、設定光量分、出射する。コリメーションレンズ14bは、光源装置14aが出射した光を平行光に収束させる。光学素子14cは、反応液に特異的に吸収される波長の光を選択する分光素子であり、測定項目毎に予め決められた波長で測定される。受光センサ14dは、光源装置14aが出射し、キュベットC内の反応液を透過し、ガイド孔4bを通過してきた平行光を、分光素子14cで分光し、測定する。
【0020】
反応液が測光されたキュベットCは、洗浄・乾燥ユニット15において内部の反応液が吸引されて廃棄されると共に、不図示の洗浄水タンクから供給される洗浄水によって内部が洗浄された後、洗浄水を吸引、乾燥される。そして、キュベットCは、再び検体分注機構3のプローブ3aによって検体が分注され、分析に使用される。
【0021】
次に、図1,2を参照して、制御機構102について説明する。制御機構102は、制御部16、分析部17、入力部18、出力部19および検出部20を備える。制御部16は、例えば、分析結果を記憶する記憶機能を備えたマイクロコンピュータ等によって実現され、光源装置14a、受光センサ14d、バーコードラベル読取装置9,10、分析部17、入力部18、表示部19および検出部20等と接続される。制御部16は、自動分析装置1の各部の作動を制御すると共に、試薬ボトル7a,8aに貼付された不図示のバーコードラベルの記録から読み取った情報に基づき、試薬のロットや有効期限等が設置範囲外の場合などに、分析処理を規制するように自動分析装置1を制御し、或いはオペレータに警告を発する。
【0022】
分析部17は、制御部16を介して受光センサ14dと接続され、受光センサ14dが測光した光量に基づいて、キュベットC内の検体と試薬との反応液の吸光度から検体の成分濃度を分析し、分析結果を制御部16に出力する。ここで、吸光度を求めるには、受光センサ14dによって、予めブランク試料に関する光量を測定しておき、この値を用いて吸光度を求める。入力部18は、制御部16へ検体数や検査項目等を入力する操作を行う部分であり、例えば、キーボードやマウス等によって実現される。表示部19は、分析結果を含む分析内容や警報等を表示するもので、ディスプレイパネル等によって実現される。また、検出部20は、制御部16を介して光源装置14aと接続され、劣化等により出力光量が減少した光源を検出する。
【0023】
以上のように構成される自動分析装置1は、検体分注機構3が、回転するキュベットホイール4によって周方向に沿って搬送されてくるキュベットCに、ラック2aのサンプルカップ2bから検体を順次分注する。検体が分注されたキュベットCは、キュベットホイール4によって搬送される間に、試薬分注機構5,6によって試薬ボトル7a,8aから試薬が分注されると共に、第一攪拌装置11、第二攪拌装置12によって試薬と検体とが攪拌されて反応し、測定光学系14を通過する。このとき、図2に示すように、光源装置14aより出射された分析光は、キュベットC内の試薬と検体との反応液Hを通過した後、受光センサ14dによって測光され、分析部17によって検体の成分濃度が分析される。そして、分析が終了したキュベットCは、洗浄・乾燥ユニット15によって洗浄、乾燥された後、再度検体の分析に使用される。
【0024】
次に、図2を参照し、設定光量Bの分析光を出射する光源装置14aについて説明する。光源装置14aは、光源L,Mの2つの光源を有する。光源L,Mより出射された出射光は、光源装置14a内にある熱線フィルタ14a−1を通過する。この際、熱線フィルタ14a−1によって、出射光のうち、検体の分析に不要な赤外領域の波長の光が除去される。その後、出射光は、光量測定部14a―2を通過し、分析光として光源装置14a外に出射される。なお、光量測定部14a−2の光検出部分は、図3に示すように中央に光を通過させる出射孔14a−21を有し、この出射孔14a−21を通過しない周囲の光を検出し、検出した光を電圧に変換して分析光の光量を測定する。
【0025】
制御部16は、光量測定部14a−2よりフィードバックされた分析光の光量に基づいて、分析光の光量が、設定光量Bとなるように、光源L,Mの出力光量を制御する。具体的には、制御部16は、分析光の光量に基づいて、調光基板14a−3を制御し、光源L,Mに入力する電圧を制御する。
【0026】
なお、光源L,Mは、定格電圧をかけた場合に定格出力光量Bt以上の光を出射する光源とする。本実施の形態1では、光源L,Mに対して定格電圧をかけた場合に定格出力光量Bt以上の光量が出力される状態を、光源L,Mの定格点灯状態とし、光源L,Mが統計的に定格点灯状態を維持できる期間を定格点灯期間Tとする。定格点灯期間Tは、具体的には、図4に示すように、統計的に、総光源数に対する定格点灯状態を維持している光源の数の割合、すなわち残存率がほぼ100%である期間をいう。
【0027】
ここで、図5を参照し、制御部16が行う光源L,Mの出力光量制御処理について説明する。まず、制御部16は、光源Lの点灯開始後、光源Lの定格点灯期間Tの経過前は、光源Lのみを点灯させ入力電圧を制御して、設定光量Bの分析光を出射させる。なお、設定光量Bは、定格出力光量Bt以下とする。
【0028】
その後、制御部16は、光源Lの定格点灯期間Tの経過時刻t1に、光源Lに加えて光源Mを点灯させ入力電圧を制御して、設定光量Bの分析光を出射させる。例えば、図5に示すように、制御部16は、光源Mの点灯開始以降、光源Lへの入力電圧を減少させて、光源L,M各々の出力光量を設定光量Bの半分とし、両光源の出射光をあわせて設定光量Bの分析光を出射させる。その後も、制御部16は、光量測定部14a−2よりフィードバックされた出力光量に基づいて、光源L,Mへの入力電圧を調整し、設定光量Bの分析光を出射させる。例えば、劣化等により光源Lの出力光量が減少しても、制御部16は、光源L,Mへの入力電圧を増加させて、設定光量Bの分析光が出射されるように制御する。ただし、この場合、光源Mの出力光量のみが増加し、光源Lの出力光量は時間の経過とともに減少していく。
【0029】
その後、図5に示すように、光源Lの出力光量が所定の閾値S未満となったことが検出された場合、すなわち時刻t2以降、制御部16は、光源Lを消灯するとともに、ユーザーに対して光源Lの交換を依頼する処理を行う。なお、以下、このように検出された光源を使用不可光源と呼ぶ。制御部16は、光源Lの点灯停止後、光源Mの定格点灯期間Tの経過時刻t3まで、光源Mのみを点灯させ、設定光量Bの分析光を出射させる。
【0030】
制御部16は、光源Mの定格点灯期間Tの経過時刻t3に、光源Mに加えて、新しい光源L(光源L’)を点灯させ、光源L’,Mの出射光をあわせて設定光量Bの分析光を出射させる。その後、図5に示すように、光源Mの出力光量が所定の閾値S未満となった場合、すなわち時刻t4以降、制御部16は、光源Mを消灯し、光源L’のみを用いて設定光量Bの分析光を出射させるとともに、ユーザーに対して光源Mの交換を依頼する処理を行う。以後同様に、制御部16は、光源L’の定格点灯期間Tの経過時刻t5に、光源L’に加えて、新しい光源M(光源M’)を点灯させる。このように、制御部16は、1つまたは2つの光源の出力光量を制御して、図6に示すように、光源装置14aより、設定光量Bの分析光を出射させる。
【0031】
なお、図示しないが、制御部16は、例えば光源Mの定格点灯期間Tの経過時刻t3を経過しても光源Lの出力光量が閾値S以下にならない場合、時刻t3を経過した時点で、ユーザーに対して光源Lの交換を依頼する。光源Lが光源L’に交換されれば、制御部16は、時刻t3以降、光源Mともに光源L’を点灯するで、少なくとも一方の光源は定格点灯期間T内となり、2つの光源の出力光量が同時に低下してしまうことを防止できる。
【0032】
次に、光源装置14aが、従来の光源装置よりも確実に、設定光量Bの分析光を出力可能とするために、制御部16が行う光源検査処理について、図7を参照して説明する。この光源検査処理は、出力光量制御処理とは別途行い、本実施の形態1では、自動分析装置1の起動時などに検体分析処理の前処理として行う。
【0033】
図7に示すように、まず、制御部16は、光源L,Mに、定格電圧をかけ、光源L,Mを点灯させる(ステップS101)。この際、制御部16は、光量測定部14a−2より、光源L,Mの出射光の総出力光量の測定結果を取得する(ステップS102)。その後、制御部16は、検出部20に測定結果を入力し、使用不可光源検出処理を行う(ステップS103)。その後、制御部16は、検出部20より使用不可光源の情報の入力があるか否かを判断する(ステップS104)。使用不可光源の情報の入力があった場合(ステップS104:Yes)、制御部16は、ユーザーに対し、光源Lまたは光源Mが使用不可となったことを警告し、光源の交換を依頼する画面を表示部19に表示する制御を行う(ステップS105)。その後、制御部16は、ユーザーより入力部18を介して、光源交換済みの情報の入力があるか否かを判断する(ステップS106)。光源交換済みの情報の入力があった場合(ステップS106:Yes)、制御部16は、ステップS101の処理に戻る。一方、ユーザーより光源交換済みの情報の入力がなく、分析開始の指示を受けた場合(ステップS106:No)、制御部16は、検出部20より光源装置使用不能の情報の入力があるか否かを判断する(ステップS107)。検出部20より光源装置使用不能の情報の入力がある場合(ステップS107:Yes)、制御部16は、光源装置使用不能の旨を表示部19に表示してユーザーに対して警告し(ステップS108)、光源装置14aを停止する(ステップS109)。
【0034】
なお、検出部20より使用不可光源の情報の入力がない場合(ステップS104:No)、または検出部20より光源装置使用不能の情報の入力がない場合(ステップS107:No)、制御部16は、光源検査処理を終了して、光源L,Mへの入力電圧を制御し、光源L,Mの総出力光量を設定光量Bに減光する(ステップS110)。その後、制御部16は、自動分析装置1の各部を制御して検体の分析を開始する。
【0035】
ここで、検出部20が行う使用不可光源検出処理を、図8を参照して説明する。図8に示すように、まず、検出部20は、光源L,Mに定格電圧をかけた場合の光源L,Mの総出力光量が、予め設定した使用可能閾値以上か未満かを判断する(ステップS201)。総出力光量が使用可能閾値未満の場合(ステップS201:No)、検出部20は、制御部16を介して光源L,Mを片方ずつ点灯させ、使用不可光源を検出する(ステップS202)。その後、検出部20は、使用不可光源についての情報を制御部16に出力する(ステップS203)。次いで、検出部20は、光源L,Mの総出力光量が設定光量B以上か未満かを判断する(ステップS204)。光源L,Mの総出力光量が設定光量B未満の場合(ステップS204:No)、検出部20は、光源装置14aは使用不能であると判断し、光源装置使用不能の情報を制御部16に出力し(ステップS205)、使用不可光源検出処理を終了する。また、設定光量B以上である場合(ステップS204:Yes)、制御部16は、そのまま使用不可光源検出処理を終了する。
【0036】
一方、光源L,Mの総出力光量が使用可能閾値以上である場合(ステップS201:Yes)、検出部20は、制御部16より光源L,Mの点灯期間を取得する(ステップS206)。検出部20は、光源L,Mの点灯期間が定格点灯期間T以上か否かを判断する(ステップS207)。光源L,Mのいずれの点灯期間も定格点灯期間T以上であった場合(ステップS207:Yes)、検出部20は、点灯期間の長い光源を使用不可光源として検出して(ステップS208)、この使用不可光源の情報を制御部16に出力し(ステップS209)、使用不可光源検出処理を終了する。なお、光源L,Mの少なくとも一方の点灯期間が定格点灯期間T未満であった場合(ステップS207:No)、検出部20は、使用不可光源検出処理を終了する。
【0037】
なお、使用可能閾値とは、出力光量が閾値Sとなった光源を検出するための閾値であり、具体的には、光源L,Mの定格出力光量Btに閾値Sを加えた値である。ここで、図9は、光源M,Lに定格電圧を入力した場合の出力光量の経時変化を示す図である。図9に示すように、検出部20は、劣化等により光源Lの出力光量が減少した結果、定格電圧を入力した際の光源L,Mの総出力光量がBt+S未満となった場合、すなわち時刻t以降、使用不可光源を検出する。
【0038】
このように、本実施の形態1にかかる光源装置14aは、点灯開始時期が異なり、少なくとも一方の光源が定格点灯期間T内である2つの光源を用いて分析光を出射するので、分析光を出射中に一方の光源の出力光量が低下しても、定格点灯期間T内である他方の光源のみによって、設定光量Bの分析光を出射できる。このため、光源装置14aは、使用する光源が1つである従来の光源装置よりも確実に、設定光量Bの分析光を出射できる。
【0039】
さらに、本実施の形態1にかかる自動分析装置1は、光源装置14aを搭載しているので、検体の分析操作中に一方の光源の出力光量が低下しても、分析光の光量は低下しないため、従来の自動分析装置よりも確実に、検体を分析できるとともに、光源交換のため分析処理を停止させる必要もなく、分析処理を続行できる。また、従来の自動分析装置では、光源の出力光量の低下を検体の分析結果の異常値をもとに検出していたため、光源を交換後、異常値が検出された検体を再度分析しなければならなかった。しかし、自動分析装置1は、光源の出力光量の低下を光量測定部14a−2を用いて検出するので、検体および試薬の無駄を抑えることができる。
【0040】
また、光源装置14aでは、特に、2つの光源の出射光を合わせて、分析光として出射する場合、各々光源のちらつき等が低減され、分析光の光量が安定する。したがって、自動分析装置1は、安定した分析結果を得ることができる。
【0041】
なお、この実施の形態1では、光源Lの定格点灯期間Tの経過と同時に、光源Lに加えて光源Mを点灯させるとしたが、光源Mの点灯開始時期は、光源Lの点灯開始後、光源Lの定格点灯期間Tを経過以前であればいつでもよい。すなわち、図10に示すように、光源Lの点灯開始後、光源Lの定格点灯期間期間Tを経過する前に、光源Mを点灯させてもよい。
【0042】
この場合、光源Lの定格点灯期間T中も、光源Mが点灯している。したがって、定格点灯期間T中であるにもかかわらず、光源Lの出力光量が低下するような場合でも、設定光量Bの分析光を出力できる。また、2つの光源を点灯させて分析光を出射する期間が長くなるので、より長く安定した分析光を出射でき、安定した分析結果を得ることができる。
【0043】
(実施の形態2)
また、実施の形態1では、少なくとも一方の光源が定格点灯期間T内である2つの光源を用いて分析光を出射させたが、この実施の形態2では、定格点灯期間Tに関係なく、ほぼ常に2つの光源を点灯させて分析光を出射させる。
【0044】
すなわち、実施の形態2にかかる自動分析装置および光源装置の構成は、自動分析装置1および光源装置14aと同様であるが、制御部16は、以下のような出力光量制御処理を行う。
【0045】
図11に示すように、制御部16は、同時に光源L,Mの点灯を開始し、光源L,Mへの入力電圧を制御して出力光量を制御し、設定光量Bの分析光を出射させる。その後、例えば、光源Lが劣化し、光源Lの出力光量が低下した場合、制御部16は光源L,Mへの入力電圧を増加させ、結果的には光源Mの出力光量を増加させて、設定光量Bの分析光を出射させる。光源Lの出力光量がさらに低下し閾値S未満となった場合、すなわち検出部20が使用不可光源検出処理において使用不可光源を検出した場合、制御部16は、光源検査処理において、ユーザーに対して光源Lの交換を依頼する処理を行う。光源Lが光源L’に交換された後、制御部16は、光源M,L’を点灯し、設定光量Bの分析光を出射させる。その後、光源Mが劣化し、光源Mの出力光量が低下した場合、制御部16は、ユーザーに対して光源Mの交換を依頼する。このように、制御部16は、定格点灯期間Tに関係なく、出力光量が閾値S未満となった場合にユーザーに対して光源の交換を依頼する。
【0046】
なお、この実施の形態2において、検出部20は、以下のような使用不可光源検出処理を行う。まず、検出部20は、図12に示すように、光源L,Mに定格電圧をかけた場合の光源L,Mの総出力光量が、使用可能閾値以上か未満かを判断する(ステップS301)。総出力光量が使用可能閾値未満の場合(ステップS301:No)、検出部20は、以後、実施の形態1におけるステップS202〜S205と同様の処理を行う。すなわち、検出部20は、制御部16を介して光源L,Mを片方ずつ点灯させ、使用不可光源を検出する(ステップS302)。その後、検出部20は、使用不可光源についての情報を制御部16に出力する(ステップS303)。次いで、検出部20は、光源L,Mの総出力光量が設定光量B未満であると判断した場合(ステップS304:No)、光源装置使用不能の情報を制御部16に出力し(ステップS305)、使用不可光源検出処理を終了する。また、制御部16は、光源L,Mの総出力光量が設定光量B以上であると判断した場合(ステップS304:Yes)、そのまま使用不可光源検出処理を終了する。一方、光源L,Mの総出力光量が使用可能閾値以上である場合(ステップS301:Yes)、検出部20は、そのまま使用不可光源検出処理を終了する。
【0047】
この実施の形態2では、光源L,Mの点灯を同時に開始しているが、各光源の点灯可能期間にはばらつきがあるので、光源L,Mの出力光量が同時に低下する確率はきわめて低い。したがって、この実施の形態2にかかる光源装置では、検体分析中に、一方の光源の出力光量が低下しても他方の光源の出力光量を増加させることによって、実施の形態1と同様に、設定光量Bの分析光を出射させる。
【0048】
このように、実施の形態2にかかる光源装置は、2つの光源を点灯させて分析光を出射し、各光源の出力可能光量が閾値S未満となった場合のみ光源の交換を依頼するので、実施の形態1と比較して、より長く個々の光源を使用できる。また、従来の光源装置では、出力光量が設定光量B未満の光源は直ちに交換せざるをえなかったが、この実施の形態2にかかる光源装置では、常に出力光量が閾値S未満となるまで各光源を使用できるので、従来の光源装置と比較しても、個々の光源を長く使用できる。具体的には、図11に示すように、出力光量が低下している領域Dの期間も光源を使用できる。
【0049】
また、この実施の形態2にかかる光源装置は、ほぼ常に2つの光源を点灯させて分析光を出射するので、実施の形態1にかかる光源装置と比較して、より長く安定した分析光を出射できる。したがって、実施の形態2にかかる自動分析装置では、実施の形態1にかかる自動分析装置と比較して、より長く安定した分析結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる自動分析装置の概略を示す図である。
【図2】図1に示す自動分析装置が備える光源装置の概略を示す図である。
【図3】図2に示す光源装置が備える光量測定部の光検出部分の概略を示す図である。
【図4】光源の残存率と点灯期間との関係を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1にかかる光源装置における各光源の点灯開始時刻および出力光量の経時変化を示す図である。
【図6】図2に示す光源装置の総出力光量の経時変化を示す図である。
【図7】図2に示す光源装置が行う光源検査処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】図2に示す光源装置が行う使用不可光源検出処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】各光源に定格電圧を入力した場合の出力光量の経時変化を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態1にかかる光源装置における各光源の点灯開始時刻および出力光量の経時変化を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態2にかかる光源装置における各光源の点灯開始時刻および出力光量の経時変化を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態2にかかる光源装置が行う使用不可光源検出処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1 自動分析装置
2 ラック供給装置
2a ラック
2b サンプルカップ
3 検体分注機構
3a,5a,6a プローブ
4 キュベットホイール
4a 収容凹部
4b ガイド孔
5、6 試薬分注機構
7 第一試薬保冷庫
7a,8a 試薬ボトル
8 第二試薬保冷庫
9,10 バーコードラベル読取装置
11 第一攪拌装置
12 第二攪拌装置
11a,12a 攪拌棒
14 測定光学系
14a 光源装置
14a−1 熱線フィルタ
14a−2 光量測定部
14a−21 出射孔
14a−3 調光基板
14b コリメーションレンズ
14c 光学素子
14d 受光センサ
15 洗浄・乾燥ユニット
16 制御部
17 分析部
18 入力部
19 表示部
20 検出部
101 測定機構
102 制御機構
B 設定光量
Bt 定格出力光量
S 閾値
T 定格点灯期間
C キュベット
L,M 光源
H 反応液
1〜t5 時刻

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の出力光量を出力可能な第1光源および第2光源と、
前記第1光源および前記第2光源の出力光量を加算した総出力光量を測定する光量測定手段と、
前記総出力光量が前記所定量となるように、前記第1光源および前記第2光源の各出力光量を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1光源の点灯開始後、前記第1光源が統計的に定格点灯状態を維持できる期間である定格点灯期間を経過する前に、前記第2光源の点灯を開始し、前記第1光源および前記第2光源の各出力光量を制御することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1光源または前記第2光源の一方の点灯期間が前記定格点灯期間を経過する際に、他方の光源の点灯を開始し、前記第1光源および前記第2光源の各出力光量を制御することを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
出力光量が予め設定された閾値未満である使用不可光源を検出する検出手段と、
前記使用不可光源が検出された場合、前記使用不可光源を搭載していることを警告し、該使用不可光源の交換処理を依頼する警告手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光源装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の光源装置を備え、
前記光源装置より出射させた分析光を検体に照射して、前記検体を分析することを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−92600(P2009−92600A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265818(P2007−265818)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】