説明

光源装置

【課題】交流点灯初期における光源装置からの音の音量を抑制する。
【解決手段】光源装置は、内部に一対の電極が対向配置されると共に0.15mg/mm以上の水銀と10−6μmol/mm〜10−2μmol/mmの範囲でハロゲンが封入された略球状の発光部と該発光部の両端から伸びる円柱状の封止部と該封止部の端部から突出すると共に交流電流が入力される外部リードとからなる交流点灯型高圧水銀ランプと、前記発光部を囲むように配置される凹面状の反射部と筒状の首部とからなる反射鏡と、連接された筒状のベース部材と、前記ベース部材と前記封止部との間に充填されてこれらを固定する接着剤と、前記外部リードに接続される給電線と、からなる光源装置において、前記封止部の伸びる方向における接着剤が充填された長さをL1(mm)とし、前記封止部の直径をR(mm)とした場合、L1/R≧0.5とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタに用いられるための光源装置に関する。特に、光源が交流点灯される光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタ装置には、液晶プロジェクタ装置やDLP(テキサス・インスツルメンツ社商標)プロジェクタ装置がある。これらのプロジェクタ装置に用いられる投射用光源として高圧水銀ランプが用いられる。高圧水銀ランプに反射鏡を組み合せたものが光源装置であり、この光源装置がプロジェクタ装置に組み込まれて使用される。
【0003】
図17は、特許文献1に記載される従来の光源装置1を説明するためのものであり、高圧水銀ランプ5の一対の対向された電極521,522に沿った断面図である。
光源装置1は、凹面状の反射面211を有する反射鏡2と、反射面211の第一焦点に電極521,522間の中心が一致するように配置された高圧水銀ランプ5とからなる。
反射鏡2は、反射面211を有する反射部21と筒状の首部22とからなる。反射部21には、後述する他方の給電線552を導出するため、貫通孔23が設けられる。反射鏡2の首部22の端部には筒状のベース部材3が接し、首部22の挿入口24にベース部材3の挿入口31が連続するように配置される。反射鏡2とベース部材3は接着剤62などにより接続される。
反射鏡2の反射面211からの反射光を出射させる開口には、光出射板4が配置される。
【0004】
高圧水銀ランプ5は、略球状の発光部511とその両端から伸びる封止部512,513とからなる放電管51と、発光部511に封入される電極521,522と、封止部512,513から突出する外部リード541,542と、電極521,522と外部リード541,542とを電気的に接続すると共に封止部512,513に埋設される箔53とからなる。
発光管511の内部には、一対の電極521,522の先端が対向するように配置され、発光金属として水銀が封入される。
高圧水銀ランプ5の一方の封止部512は、反射鏡2とベース部材3の連続した挿入口24,31に挿入され、ベース部材3との間に接着剤61が充填されて接着される。これにより、高圧水銀ランプ5は反射鏡2に固定され、他方の封止部513が光出射板4に向かって伸びるように配置される。他方の封止部513には他方の外部リード542が突出しており、他方の外部リード542に接続された他方の給電線552は、反射部21の貫通孔23を通って反射鏡2の外部に導出される。
【0005】
【特許文献1】特開2007−066742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
交流点灯型の高圧水銀ランプを備えた光源装置において、使用時に音が発生するという問題が生じた。特に、プロジェクタ稼動開始後数分間において光源装置からの音がプロジェクタの外部に漏れ出し、プロジェクタの使用者に不快な音として聞こえ、プロジェクタの使用の妨げとなっていた。
【0007】
そこで、本願の目的は、交流点灯初期における光源装置からの音の音量を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係る光源装置は、内部に一対の電極が対向配置されると共に0.15mg/mm以上の水銀と10−6μmol/mm〜10−2μmol/mmの範囲でハロゲンが封入された略球状の発光部と該発光部の両端から伸びる円柱状の封止部と該封止部の端部から突出すると共に交流電流が入力される外部リードとからなる交流点灯型高圧水銀ランプと、前記発光部を囲むように配置される凹面状の反射部と筒状の首部とからなる反射鏡と、筒状の首部に連接された筒状のベース部材と、前記ベース部材と前記封止部との間に充填されてこれらを固定する接着剤と、前記外部リードに接続される給電線と、からなる光源装置において、前記封止部の伸びる方向における接着剤が充填された長さをL1(mm)とし、前記封止部の直径をR(mm)とした場合、L1/R≧0.5であることを特徴とする。
【0009】
第2の発明に係る光源装置は、内部に一対の電極が対向配置されると共に0.15mg/mm以上の水銀と10−6μmol/mm〜10−2μmol/mmの範囲でハロゲンが封入された略球状の発光部と該発光部の両端から伸びる円柱状の封止部と該封止部の端部から突出すると共に交流電流が入力される外部リードとからなる交流点灯型高圧水銀ランプと、前記発光部を囲むように配置される凹面状の反射部と筒状の首部とからなる反射鏡と、前記首部と前記封止部との間に充填されてこれらを固定する接着剤と、前記外部リードに接続される給電線と、からなる光源装置において、前記封止部の伸びる方向における接着剤が充填された長さをL1(mm)とし、前記封止部の直径をR(mm)とした場合、L1/R≧0.5であることを特徴とする。
【0010】
第3の発明に係る光源装置は、第1又は第2の発明に係る光源装置において、前記反射鏡の反射部に貫通孔を設け、前記給電線を前記貫通孔から導出させ、前記貫通孔に接着剤を充填させたことを特徴とする。
【0011】
第4の発明に係る光源装置は、第1又は第2の発明に係る光源装置において、前記反射鏡の反射部に貫通孔を設け、前記給電線を前記貫通孔から導出させ、前記貫通孔と前記給電線との間に柔軟性を有するチューブを介在させたことを特徴とする。
【0012】
第5の発明に係る光源装置は、第4の発明に係る光源装置において、前記貫通孔と前記柔軟性を有するチューブとの間に金属管を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明に係る光源装置は、上記特徴により、交流点灯初期の光源装置からの音量を抑制することができる。
【0014】
第2の発明に係る光源装置は、上記特徴により、交流点灯初期の光源装置からの音量を抑制することができる。
【0015】
第3の発明に係る光源装置は、上記特徴により、交流点灯時の給電線と反射鏡とが摺接されることによる音の発生を防止することができる。
【0016】
第4の発明に係る光源装置は、上記特徴により、交流点灯時の給電線と反射鏡とが摺接されることによる音の発生を防止することができる。
【0017】
第5の発明に係る光源装置は、上記特徴により、交流点灯時の給電線と反射鏡とが摺接されることによる音の発生を防止することができる。さらに、給電線と金属管とが摺接されることによる音の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る光源装置1の第1の実施例を、図1を用いて説明する。
【0019】
図1は本発明に係る光源装置1の説明図である。図1(a)は高圧水銀ランプ5の一対の電極521,522に沿った断面図であり、(b)は(a)の一方の封止部512の中心軸方向に対し垂直方向の断面図(A−A断面図)である。図1には、図17に示したものと同じものに同一の符号が付されている。
【0020】
本発明に係る光源装置1は、凹面状の反射面211を有する反射鏡2と、凹面状の反射面211に発光部511が囲まれるように配置された高圧水銀ランプ5とからなる。
【0021】
反射鏡2は、凹面状の反射面211を有する反射部21と筒状の首部22とからなり、例えばホウケイ酸ガラスのような耐熱性ガラス材料や、例えばアルミニウム又は銅のような金属材料により形成される。反射鏡2は反射部21と首部22を一体になるように、金属材料から削り出すことにより漏斗状になる。反射鏡2には、筒状の首部22から反射部21を貫くように、高圧水銀ランプ5が挿入される挿入口24が設けられる。
なお、反射鏡2は、反射部21と首部22が別体のものであって、溶接などにより物理的に一体に形成されたものであってもかまわない。
【0022】
反射部21の凹面状の反射面211は、例えばアルミニウムやロジウムなどの金属蒸着膜、あるいはシリカ(SiO)とチタニア(TiO)を積層させてなる誘電体多層膜が形成される。
なお、反射鏡2が所望の光を反射できる金属材料により形成されて金属光沢からなる反射面211を有する場合は、金属蒸着膜や誘電体多層膜を設けなくてもかまわない。
反射部21には、後述する高圧水銀ランプ5の他方の給電線552を凹面状の反射面211から外部に導出するため、貫通孔23が設けられる。
なお、反射鏡2が金属材料により形成される場合、反射部21の貫通孔23には、例えばアルミナ(Al)からなる図示しない絶縁管が設けられる。これにより、反射鏡2と他方の給電端子552とが導通することを防止できる。
【0023】
反射鏡の首部22の端部には、筒状のベース部材3の挿入口31と反射鏡2の挿入口24とが連続するように、筒状のベース部材3が配置される。筒状のベース部材3は、例えばセラミック材料のような耐熱性を有する材料で形成され、接着剤61などにより反射鏡2に接続される。
筒状のベース部材3の挿入口31に後述する高圧水銀ランプ5の一方の封止部512が配置され、一方の封止部512とベース部材3との間に耐熱性を有する接着剤61である例えば無機質系接着剤が充填される。
【0024】
高圧水銀ランプ5は、略球状の発光部511とその両端に伸びる円柱状の封止部512,513とからなる放電管51と、発光部511の内部に対向配置される一対の電極521,522と、発光部511の内部に封入される0.15mg/mm以上の水銀と、封止部512,513の端部から突出する外部リード541,542と、封止部512,513に埋設される箔53とからなる。
【0025】
放電管51は例えば石英ガラスから形成される。放電管51の発光部511の内部には、0.15mg/mm以上の水銀と共に、10−6μmol/mm〜10−2μmol/mmの範囲のハロゲンガスとして例えば臭素と、希ガスとして例えば13KPaのアルゴンガスとが封入される。発光部511の内部には例えばタングステンからなる一対の電極521,522が、その両先端の間隔を2mm以下で対向させて配置される。
放電管51の封止部512,513は、発光部511の両端から伸びる石英ガラスのパイプ体の内部を減圧状態で加熱溶融することにより円柱状に形成されたものであり、すなわちシュリンクシール法により形成されたものである。封止部512,513の内部には電極と、封止部512,513の端部から突出する外部リード541,542とが、電気的に接続されるように、例えばモリブデンからなる金属箔53が埋設されている。
【0026】
高圧水銀ランプ5の一方の封止部512はベース部材3の挿入口31に配置され、図1(b)に示すように、円柱状の封止部512,513の径方向の外周と筒状のベース部材3の内周との間に接着剤61が充填される。これにより、高圧水銀ランプ5は、ベース部材3に固定され、ベース部材3を介して反射鏡2に固定される。反射鏡2に固定された高圧水銀ランプ5は、他方の封止部513が後述する光出射板4に向かって伸びるように配置される。
接着剤61は耐熱性を有する例えば無機質系接着剤が好適に用いられる。
高圧水銀ランプ5の他方の封止部513から突出する他方の外部リード542に接続された他方の給電線552は、反射鏡2の貫通孔23を通って反射鏡2の凹面状の反射面211から導出される。
高圧水銀ランプ5に接続された給電線551,552は図示しない電源に接続される。
【0027】
反射鏡2の凹面状の反射面211は例えば回転楕円を短径部分で半分にした面形状をしており、首部22に近接する第1焦点に高圧水銀ランプ5の電極521,522間の中心が一致するように配置される。反射鏡2の反射部21は第1焦点に対して第2焦点に向かう方向に開口を有し、光源装置1の所望の光を出射する円盤状の光出射板4が反射部21の開口に蓋をするように配置される。
なお、反射鏡2の凹面状の反射面211は、回転放物状であってもかまわない。反射面211が回転放物状であるとき、高圧水銀ランプ5の電極521,522間の中心は、回転放物状の反射面211の焦点に一致するように配置される。
【0028】
光出射板4は、例えばホウケイ酸ガラスなどにより形成される。光出射板4は、ランプ5点灯時に蒸発した水銀によって高圧となった高圧水銀ランプ5が破裂したときに、防爆として機能する。
なお、光源装置1が用いられる図示しないプロジェクタに防爆機能があるときは、光出射板4は設けなくてかまわない。
【0029】
図1(a)に示すように、封止部512,513の伸びる方向(中心軸方向)において、高圧水銀ランプ5の一方の封止部512の外周とベース部材3の内周との間に充填された接着剤61の長さをL1とする。また、図1(b)に示すように、高圧水銀ランプ5の一方の封止部512の直径をRとする。本実施例に係る光源装置1は、L1/R≧0.5としたものである。
【0030】
ランプ5点灯初期、図示しない電源から高圧水銀ランプ5の外部リード541,542に直流電流が5秒間入力され、電極521,522間で放電が起きる。直流電流の入力後に交流電流が入力されて、電極521,522間の放電が継続される。電極521,522間の放電により、高圧水銀ランプ5の発光部511から光が照射され、一部が光出射板4に向かう。光出射板4に向かわない光は反射面211に向かい、反射面211によって反射されて光出射板4に向かう。これらにより、高圧水銀ランプ5からの光は光出射板4を透過して照射される。
直流電流入力時には例えば一方の電極521が放電の起点になっているのに対して、交流電流入力時には一方の電極521と他方の電極522とが交互に放電の起点となる。これにより、交流電流入力時に、一対の電極521,522の温度上昇・下降を繰り返すことによって、圧力変動が起き、高圧水銀ランプ5は振動すると考えられる。特に、交流点灯初期における発光部511内では、水銀が完全蒸発する途中なので、圧力変動が大きい。このため、交流点灯初期の高圧水銀ランプ5の振動は特に大きいと考えられる。図示しないプロジェクタに固定される反射鏡2に対して、振動する高圧水銀ランプ5は接着剤61を介して固定される。このため、交流点灯時における音は、接着剤61付近から発生していると考えられる。本実施例に係る光源装置1は、高圧水銀ランプ5の一方の封止部551の直径Rとその外周に配置された接着剤61の長さL1との関係がL1/R≧0.5となることにより、後述の実験に示すように、交流点灯初期における光源装置1の振動による音量を抑制することができる。
【0031】
本実施例に係る光源装置1は、内部に一対の電極521,522が対向配置されると共に0.15mg/mm以上の水銀と10−6μmol/mm〜10−2μmol/mmの範囲でハロゲンが封入された略球状の発光部511と発光部511の両端から伸びる円柱状の封止部512,513と封止部512,513の端部から突出すると共に交流電流が入力される外部リード541,542とからなる交流点灯型高圧水銀ランプ5と、発光部511を囲むように配置される凹面状の反射部21と筒状の首部22とからなる反射鏡2と、筒状の首部22に連接された筒状のベース部材3と、前記ベース部材3と封止部512,513との間に充填されてこれらを固定する接着剤61と、外部リード541,542に接続される給電線551,552と、からなる光源装置1において、封止部512,513の伸びる方向における接着剤61が充填された長さをL1(mm)とし、封止部61の直径をR(mm)とした場合、L1/R≧0.5であることを特徴とすることにより、交流点灯初期の光源装置1からの音量を抑制することができる。
【0032】
人間の可聴範囲は一般的に20Hzから20KHzの間だと言われている。本実施例に係る光源装置1が用いられる図示しないプロジェクタには様々な機器が搭載されており、例えば冷却ファンなどが搭載されている。図示しないプロジェクタ稼動時、これらの機器は動作音を発している。このとき、光源装置1以外の機器の動作音が8KHz〜12KHz以外の周波数の音量が大きいため、光源装置1のランプ5点灯時の動作音が8KHz〜12KHzの周波数の音量が大きいと、光源装置1の動作音が図示しないプロジェクタの使用者に認識されることがあった。この認識される8KHz〜12KHzの周波数の音は、後述する実験例に示すように、人間にとって耳障りな音であった。
このため、封止部512,513の伸びる方向(中心軸方向)において、電極521,522間の中心から一方の封止部512の外周とベース部材4の内周との間に充填された接着剤61の発光部511側端面611までの距離をL2とし、L2≦16mm又はL2≧20mmにすることにより、後述する実験例に示すように、光源装置1のランプ5点灯時のピーク周波数を12KHz以上又は8KHz以下にすることができる。これにより、光源装置1の動作音を、図示しないプロジェクタの使用者にとって耳障りでない周波数にすることができる。さらに、光源装置1の動作音が他の機器の動作音と同じ周波数になることにより、図示しないプロジェクタの使用者に認識されないようにすることができる。
特に、一対の電極521,522方向において、電極521,522間の中心から接着剤61までの距離L2をL2≦14mmにすることにより、ピーク周波数を20KHz以上にすることができる。周波数20KHzは人間の可聴範囲外であるので、図示しないプロジェクタの使用者にとって認識できない音にすることができる。
【0033】
本発明に係る光源装置1の第1の実施例の別の実施例を、図2を用いて説明する。
図2は本発明に係る光源装置1の説明図である。図2(a)は高圧水銀ランプ5の一対の電極521,522に沿った断面図であり、(b)は(a)の一方の封止部512の中心軸方向に対して垂直方向の断面図(B−B断面図)である。図2には、図1に示したものと同じものには同一の符号が付されている。
【0034】
図2に示す光源装置1は、光出射板4を設けない点と、反射部21に貫通孔23を設けない点で、図1と相違する。図2の説明として、図1との相違点について述べる。
【0035】
高圧水銀ランプ5の一方の封止部512がベース部材3に固定されることにより、他方の封止部513が反射部21の開口に向かって伸びるように配置される。他方の封止部513から突出する他方の外部リード542には、他方の給電線552が電気的に接続されている。この他方の給電線552は、反射部21の開口から外部に導出される。反射部21の外部に導出された他方の給電線552は図示しない電源に接続される。
【0036】
本実施例に係る光源装置1においても、図1の光源装置1と同様に、高圧水銀ランプ5の一方の封止部512の直径Rとその外周に配置された接着剤61の長さL1との関係がL1/R≧0.5となることにより、図1の光源装置1と同様の効果を得ることができる。
【0037】
さらに、封止部512,513の伸びる方向(中心軸方向)において、電極521,522間の中心から一方の封止部512の外周とベース部材4の内周との間に充填された接着剤61の発光部511側端面611までの距離L2をL2≦16mm又はL2≧20mmにする本実施例に係る光源装置1においても、図1の光源装置1と同様の効果を得ることができる。
また、一対の電極521,522方向において、電極521,522間の中心から一方の封止部512の外周とベース部材4との間に充填された接着剤61の発光部511側端面611までの距離L2をL2≦14mmにする本実施例に係る光源装置1においても、図1の光源装置1と同様の効果を得ることができる。
【0038】
本発明に係る光源装置1の第2の実施例を、図3を用いて説明する。
図3は本発明に係る光源装置1の説明図である。図3(a)は高圧水銀ランプ5の一対の電極521,522に沿った断面図であり、(b)は(a)の一方の封止部512の中心軸方向に対して垂直方向の断面図(C−C断面図)である。図3には、図1に示したものと同じものには同一の符号が付されている。
【0039】
図3に示す光源装置1は、筒状のベース部材3を設けない点と、高圧水銀ランプ5の一方の封止部512を反射鏡2の首部22に固定した点で、図1と相違する。図3の説明として、図1との相違点について述べる。
【0040】
高圧水銀ランプ5の一方の封止部512は、反射鏡2の挿入口24に挿入され、反射鏡2の筒状の首部22の内方に配置される。高圧水銀ランプ5は、円柱状の一方の封止部512の外周と反射鏡2の首部22の内周との間に接着剤61が充填され、反射鏡2に固定される。
【0041】
本実施例に係る光源装置1は、封止部512,513の伸びる方向(中心軸方向)において、高圧水銀ランプ5の一方の封止部512の外周と筒状の首部22の内周との間に充填された接着剤の長さをL1とする。
また、封止部512,513の伸びる方向(中心軸方向)において、電極521,522間の中心から一方の封止部512の外周と反射鏡2の首部21の内周との間に充填された接着剤61の発光部511側端面611までの距離をL2とする。
【0042】
本実施例に係る光源装置1は、内部に一対の電極521,522が対向配置されると共に0.15mg/mm以上の水銀と10−6μmol/mm〜10−2μmol/mmの範囲でハロゲンが封入された略球状の発光部511と発光部511の両端から伸びる円柱状の封止部512,513と封止部512,513の端部から突出すると共に交流電流が入力される外部リード541,542とからなる交流点灯型高圧水銀ランプ5と、発光部511を囲むように配置される凹面状の反射部21と筒状の首部22とからなる反射鏡2と、首部22と封止部512,513との間に充填されてこれらを固定する接着剤61と、外部リード541,542に接続される給電線551,552と、からなる光源装置1において、封止部512,513の伸びる方向における接着剤61が充填された長さをL1(mm)とし、封止部512,513の直径をR(mm)とした場合、L1/R≧0.5であることを特徴とすることにより、交流点灯初期の光源装置1からの音量を抑制することができる。
【0043】
さらに、封止部512,513の伸びる方向(中心軸方向)において、電極521,522間の中心から一方の封止部512の外周と反射鏡2の首部21の内周との間に充填された接着剤61の発光部511側端面611までの距離L2をL2≦16mm又はL2≧20mmにする本実施例に係る光源装置1においても、図1の光源装置1と同様の効果を得ることができる。
また、封止部512,513の伸びる方向(中心軸方向)において、電極521,522間の中心から一方の封止部512の外周と反射鏡2の首部21の内周との間に充填された接着剤61の発光部511側端面611までの距離L2をL2≦14mmにする本実施例に係る光源装置1においても、図1の光源装置1と同様の効果を得ることができる。
【0044】
なお、本実施例においても、図2に示す光源装置1のように、反射部21に貫通孔を設けず、さらに光出射板を設けなくても、図3の光源装置と同様の効果を得られる。
【0045】
本発明に係る光源装置1の第3の実施例を、図4を用いて説明する。
図4は本発明に係る光源装置1の説明図であり、高圧水銀ランプ5の一対の電極521,522に沿った断面図である。図4には、図1に示したものと同じものには同一の符号が付されている。
【0046】
図4に示す光源装置1は、貫通孔23に接着剤63を充填させた点で、図1と相違する。図4の説明として、図1との相違点について述べる。
【0047】
本実施例における光源装置1は高圧水銀ランプ5の一方の封止部512が反射鏡2に直接的に固定されているのに対して、他方の封止部513は一方の封止部512を通じて反射鏡2に間接的に固定されている。このため、交流点灯時、高圧水銀ランプ5が振動するとき、一方の封止部512は反射鏡2に直接的に固定されることにより、振動を抑制されて振動が小さい。これに対して、他方の封止部513は反射鏡2に間接的に固定されていることにより、振動を抑制されにくいので振動が大きい。他方の封止部513の振動が大きいとき、他方の封止部513から突出する他方の外部リード542に接続された他方の給電線552が大きく振動され、貫通孔23周辺の反射鏡2と他方の給電線552が摺接されて騒音を発することがある。
このため、貫通孔23に耐熱性を有する接着剤63として無機質系接着剤を充填することにより、他方の給電線552が反射鏡2に直接的に固定される。これにより、他方の給電線552が反射鏡2に摺接されることを防止でき、光源装置1からの騒音を防止できる。
【0048】
本実施例に係る光源装置1は、反射鏡2の反射部21に貫通孔23を設け、給電線552を貫通孔23から導出させ、貫通孔23に接着剤63を充填させたことを特徴とすることにより、交流点灯時の他方の給電線552と反射鏡2とが摺接されることによる音の発生を防止することができる。
【0049】
本発明に係る光源装置1の第4の実施例を、図5を用いて説明する。
図5は本発明に係る光源装置1の説明図であり、高圧水銀ランプ5の一対の電極521,522に沿った断面図である。図5には、図1に示したものと同じものには同一の符号が付されている。
【0050】
図5に示す光源装置1は、他方の給電線552に柔軟性を有するチューブ64を配置して反射鏡2と他方の給電線552を接しないようにした点で、図1と相違する。図5の説明として、図1との相違点について述べる。
【0051】
貫通孔23周辺の反射鏡2に囲まれる他方の給電線552に、反射部21及び他方の給電線552より柔軟性を有するチューブ64を設ける。この他方の給電線552に設ける柔軟性を有するチューブ64は、他方の給電線552を挿入した熱収縮チューブを貫通孔23と他方の給電線552との間の介在される位置で熱収縮させることで設けることができる。また、貫通孔23と他方の給電線552との間に介在されるように、他方の給電線552に接着剤を塗布・乾燥させることで被覆して、柔軟性を有するチューブ64を設けることもできる。
また、柔軟性を有するチューブ64は、貫通孔23と他方の給電線552との間の介在される位置に、フィルム状の部材が他方の給電線552を被覆するように巻き回されることでチューブ状に形成され、その両端が接着剤などで固定されることで設けられてもかまわない。
【0052】
貫通孔23と他方の給電線552との間を柔軟性を有するチューブ64を介在させることにより、交流点灯時、反射鏡2には柔軟性を有するチューブ64が接する。交流点灯時、高圧水銀ランプ5の他方の封止部513の振動が他方の給電線552に伝わっても、チューブ64が柔軟性を有するので振動を吸収し、反射鏡に振動が伝わることを抑制できる。柔軟性を有するチューブ64の材質は、高圧水銀ランプ5からの照射熱に耐えられる耐熱性を有するものが好適に用いられる。具体的には、例えば、フッ素樹脂,シリコン樹脂,ポリイミド樹脂,エポキシ樹脂が柔軟性を有するチューブの部材として用いることができる。
【0053】
図5に示すように反射鏡2と柔軟性を有するチューブ64との間に隙間があって、反射鏡2と柔軟性を有するチューブ64が摺接されても、柔軟性を有するチューブ64が例えばフッ素樹脂からなるチューブ64のような摩擦係数の小さい材質であれば、反射鏡2と柔軟性を有するチューブ64との間の摩擦が小さくなり、騒音の発生をさらに防止することができる。
なお、他方の給電線552とその径方向にある反射鏡2との間を柔軟性を有するチューブ64で隙間なく埋め、反射鏡2と他方の給電線552が摺接しないように、反射鏡2と柔軟性を有するチューブ64とが密着した場合であっても、高圧水銀ランプ5の他方の封止部552の振動をチューブ64の柔軟性により吸収することができる。
【0054】
第4の実施例に係る光源装置1は、反射鏡2の反射部21に貫通孔23を設け、給電線552を貫通孔23から導出させ、貫通孔23と給電線552との間に柔軟性を有するチューブ64を介在させたことを特徴とすることにより、交流点灯時の給電線552と反射鏡2とが摺接されることを防止することができる。
【0055】
本発明に係る光源装置1の第5の実施例を、図6を用いて説明する。
図6は本発明に係る光源装置1の説明図である。図6(a)は、高圧水銀ランプ5の一対の電極521,522に沿った断面図である。図6(b)は、図6(a)の光源装置1の貫通孔23の周辺を拡大した拡大図(図6(a)の貫通孔23の周辺の点線の丸で囲った部分の拡大図)である。
図6には、図5に示したものと同じものに同一の符号が付されている。
【0056】
図6に示す光源装置1は、ベース部材3に金属端子73を設けた点と、柔軟性を有するチューブ64を他方の給電線522の全長に設けた点とで、図5と相違する。図6の説明として、図5との相違点について述べる。
【0057】
光源装置1には、他方の給電線552と、図示しない電源から伸びる給電線8とを、金属端子73でかしめることで電気的接続を実現するものがある。
図6に示す第5の実施例に係る光源装置1では、この金属端子73がベース部材3に例えば図示しない接着剤によって固定される。この金属端子73には、かしめる前に図示しない穴部が設けられており、この穴部に高圧水銀ランプ5の他方の外部リード542から伸びる他方の給電線552が挿入され、図示しない電源から伸びる給電線8も挿入される。金属端子73は、外部リード542から伸びる他方の給電線552と図示しない電源から伸びる給電線8とが挿入された状態でかしめられ、図6に示すように、他方の外部リード542と図示しない電源とが電気的に接続される。
【0058】
他方の給電線552は、柔軟性を有するチューブ64に挿入されることで、その略全長に柔軟性を有するチューブ64が設けられる。柔軟性を有するチューブ64で被覆された他方の給電線552は、反射鏡2の貫通孔23を通って、金属端子73に挿入される。他方の給電線552において、金属端子73に挿入される部分は柔軟性を有するチューブ64で被覆されていないので露出している。このため、他方の給電線552と電源から伸びる給電線8とは、金属端子73がかしめられることで、直接又は金属端子73を介して電気的に接続される。
【0059】
柔軟性を有するチューブ64は、他方の給電線552の略全長に設けられることにより、そのチューブ64が他方の給電線552に固定されていなくても、他方の給電線552が接続された他方の外部リード542と金属端子73とによってその移動が規制される。このため、図6(b)に示すように、他方の給電線552において他方の外部リード542から金属端子73までに伸びる略全長に柔軟性を有するチューブ64を設けることにより、貫通孔23と他方の給電線552との間には、常に柔軟性を有するチューブ64を介在させることができる。
【0060】
また、第5の実施例に係る光源装置1のように、ベース部材3に金属端子73が設けられる場合であっても、第4の実施例に係る光源装置1で述べたように、貫通孔23と他方の給電線552との間に介在されるように、熱収縮チューブ又は接着剤を設けることにより、柔軟性を有するチューブ64を形成することができる。
さらに、柔軟性を有するチューブ64は、貫通孔23と他方の給電線552との間の介在される位置に、フィルム状の部材が他方の給電線552を被覆するように巻き回されることでチューブ状に形成され、その両端が接着剤などで固定されることで形成することもできる。
【0061】
貫通孔23と他方の給電線552との間を柔軟性を有するチューブ64を介在させることにより、交流点灯時、反射鏡2には柔軟性を有するチューブ64が接する。交流点灯時、高圧水銀ランプ5の他方の封止部513の振動が他方の給電線552に伝わっても、チューブ64が柔軟性を有するので振動を吸収し、反射鏡2に振動が伝わることを抑制できる。柔軟性を有するチューブ64の材質は、高圧水銀ランプ5からの照射熱に耐えられる耐熱性を有するものが好適に用いられる。具体的には、例えば、フッ素樹脂,シリコン樹脂,ポリイミド樹脂,エポキシ樹脂が柔軟性を有するチューブ64の部材として用いることができる。
【0062】
図6(b)に示すように反射鏡2と柔軟性を有するチューブ64との間に隙間があって、反射鏡2と柔軟性を有するチューブ64が摺接されても、柔軟性を有するチューブ64が例えばフッ素樹脂からなるチューブ64のような摩擦係数の小さい材質であれば、反射鏡2と柔軟性を有するチューブ64との間の摩擦が小さくなり、騒音の発生をさらに防止することができる。
なお、他方の給電線552とその径方向にある反射鏡2との間を柔軟性を有するチューブ64で隙間なく埋め、反射鏡2と他方の給電線552が摺接しないように、反射鏡2と柔軟性を有するチューブ64とが密着した場合であっても、高圧水銀ランプ5の他方の封止部552の振動をチューブ64の柔軟性により吸収することができる。
【0063】
第5の実施例に係る光源装置1は、反射鏡2の反射部21に貫通孔23を設け、給電線552を貫通孔23から導出させ、貫通孔23と給電線552との間に柔軟性を有するチューブ64を介在させたことを特徴とすることにより、交流点灯時の給電線552と反射鏡2とが摺接されることを防止することができる。
【0064】
本発明に係る光源装置1の第6の実施例を、図7及び図8を用いて説明する。
図7及び図8は本発明に係る光源装置1の説明図である。図7は高圧水銀ランプ5の一対の電極521,522に沿った断面図である。図8(a)は、図7の光源装置1の貫通孔23の周辺を拡大した拡大図(図7の貫通孔23の周辺の点線の丸で囲った部分の拡大図)である。図8(b)は、図7の光源装置1の貫通孔23に設けられるつば付き金属管(いわゆるハトメ)71と金属端子73とを組み立てる組立手段についての説明図であり、つば付き金属管(いわゆるハトメ)71と金属端子73を貫通孔23から分解した状態の貫通孔23周辺の拡大図である。なお、図8(b)では他方の給電線552は図示していない。
図7及び図8には、図6に示したものと同じものには同一の符号が付されている。
【0065】
図7及び図8に示す光源装置1は、反射鏡2の貫通孔23につば付き金属管(いわゆるハトメ)71を用いて金属端子73を設けた点で、図6と相違する。図7及び図8の説明として、図6との相違点について述べる。
【0066】
光源装置1には、反射鏡2が例えばホウケイ酸ガラスのような耐熱性ガラス材料で形成されるとき、金属端子73はつば付き金属管(いわゆるハトメ)71と座金72によって、反射鏡2に固定されるものがある。
図8(a)に示すように、反射鏡2の貫通孔23につば付き金属管71が設けられる。つば付き金属管71は、反射鏡2の貫通孔23に設けられる円筒状の筒部712と、円筒状の筒部712の一端に設けられると共に円筒状の筒部712の外周径よりも拡径の外周面を有するつば部711とからなる。つば付き金属管71はその筒部642の中心軸に伸びる貫通孔713を有する。このつば付き金属管71が、通称ハトメといわれる部材である。
つば付き金属管71は、そのつば部711が反射鏡2の反射面211に当接される。つば付き金属管71の筒部712の他端(つば部711が設けられた側と反対側の端部)は、金属端子73から伸びるリング状の固定部731の中央穴部732に挿入され、座金72の穴部721が設けられる。つば付き金属管71と座金72は固定されているので、金属端子73から伸びる固定部731は、反射鏡2と座金72とに挟持される。
反射鏡2に固定された金属端子73の図示しない穴部(図8(b)に示す穴部733)には、反射鏡2の貫通孔23に設けられたつば付き金属管71を貫通する貫通孔713を通った他方の給電線552が挿入され、図示しない電源から伸びる給電線8も挿入されてかしめられる。これにより、金属端子73において、他方の外部リード542から伸びる他方の給電線552と図示しない電源から伸びる給電線8とは固定され、電気的に接続される。
【0067】
図8(b)を用いて、つば付き金属管71と、金属端子73と、座金72との組立について説明する。つば付き金属管71の筒部712が、反射鏡2の反射面211側から貫通孔23に向かって挿入される。挿入後、つば付き金属管71のつば部711は、反射鏡2の反射面211に当接される。反射鏡2の貫通孔23からは、つば付き金属管71の筒部712の一端(つば部711とは反対側の端部)が突出する。この筒部712の突出した部分が金属端子73から伸びる固定部731の穴部732に挿入され、さらに座金72の穴部721に挿入される。挿入された座金72は、専用治具により押しつぶされることで、つば付き金属管71に固定される。これに伴い、金属端子73はその固定部731が座金72とつば付き金属管71に挟持される。
【0068】
つば付き金属管71に挟持された金属端子73には、他方の外部リード542から伸びる他方の給電線552が挿入される。他方の給電線552は、柔軟性を有するチューブ64に挿入されることで、その略全長に柔軟性を有するチューブ64が設けられる。柔軟性を有するチューブ64で被覆された他方の給電線552は、反射鏡2の貫通孔23を通って、金属端子73に挿入される。他方の給電線552において、金属端子73に挿入される部分は柔軟性を有するチューブ64で被覆されていないので露出している。このため、他方の給電線552と電源から伸びる給電線8とは、金属端子73がかしめられることで、直接又は金属端子73を介して電気的に接続される。
【0069】
柔軟性を有するチューブ64は、他方の給電線552の略全長に設けられることにより、そのチューブ64が他方の給電線552に固定されていなくても、他方の給電線552が接続された他方の外部リードと542金属端子73とによってその移動が規制される。このため、図7に示すように、他方の給電線552において他方の外部リード542から金属端子73までに伸びる略全長に柔軟性を有するチューブ64を設けることにより、反射鏡2の貫通孔23(詳細には、つば付き金属管71の貫通孔713)と他方の給電線552との間には、常に柔軟性を有するチューブ64を介在させることができる。
【0070】
また、第6の実施例に係る光源装置1のように、ベース部材3に金属端子73が設けられる場合であっても、第4の実施例に係る光源装置1で述べたように、貫通孔23と他方の給電線552との間に介在されるように、熱収縮チューブ又は接着剤を設けることにより、柔軟性を有するチューブ64を形成することができる。
さらに、柔軟性を有するチューブ64は、貫通孔23と他方の給電線552との間の介在される位置に、フィルム状の部材が他方の給電線552を被覆するように巻き回されることでチューブ状に形成され、その両端が接着剤などで固定されることで形成することもできる。
【0071】
貫通孔23と他方の給電線552との間を柔軟性を有するチューブ64を介在させることにより、交流点灯時、反射鏡2には柔軟性を有するチューブ64が接する。交流点灯時、高圧水銀ランプ5の他方の封止部513の振動が他方の給電線552に伝わっても、チューブ64が柔軟性を有するので振動を吸収し、反射鏡2に振動が伝わることを抑制できる。柔軟性を有するチューブ64の材質は、高圧水銀ランプ5からの照射熱に耐えられる耐熱性を有するものが好適に用いられる。具体的には、例えば、フッ素樹脂,シリコン樹脂,ポリイミド樹脂,エポキシ樹脂が柔軟性を有するチューブ64の部材として用いることができる。
【0072】
図8(a)に示すように反射鏡2と柔軟性を有するチューブ64との間に隙間があって、反射鏡2と柔軟性を有するチューブ64が摺接されても、柔軟性を有するチューブ64が例えばフッ素樹脂からなるチューブ64のような摩擦係数の小さい材質であれば、反射鏡2と柔軟性を有するチューブ64との間の摩擦が小さくなり、騒音の発生をさらに防止することができる。
なお、他方の給電線552とその径方向にある反射鏡2との間を柔軟性を有するチューブ64で隙間なく埋め、反射鏡2と他方の給電線552が摺接しないように、反射鏡2と柔軟性を有するチューブ64とが密着した場合であっても、高圧水銀ランプ5の他方の封止部552の振動をチューブ64の柔軟性により吸収することができる。
【0073】
第6の実施例に係る光源装置1は、反射鏡2の反射部21に貫通孔23を設け、給電線552を貫通孔23から導出させ、貫通孔23と給電線552との間に柔軟性を有するチューブ64を介在させ、前記貫通孔23と前記柔軟性を有するチューブ64との間に金属管71を設けたことを特徴とする。これにより、第6の実施例に係る光源装置1は、交流点灯時の給電線552と反射鏡2とが摺接されることを防止することができる。さらに、給電線552と金属管71とが摺接されることによる音の発生を防止することができる。
【0074】
本発明に係る光源装置1の第7の実施例を、図9及び図10を用いて説明する。
図9及び図10は本発明に係る光源装置1の説明図である。図9(a)及び図10(a)は、高圧水銀ランプ5の一対の電極521,522に沿った断面図である。図9(b)は、図9(a)の光源装置1の貫通孔23の周辺を拡大した拡大図(図9(a)の貫通孔23の周辺の点線の丸で囲った部分の拡大図)である。図10(b)は、図10(a)の光源装置1の貫通孔23の周辺を拡大した拡大図(図10(a)の貫通孔23の周辺の点線の丸で囲った部分の拡大図)である。
【0075】
図9に示す光源装置1は、他方の給電線552においてつば付き金属管71の貫通孔713に対して他方の外部リード542側の部分を屈曲させた点で、図7及び図8と相違する。
図10に示す光源装置1は、柔軟性を有するチューブ64と共にこれに被覆された他方の給電線552を屈曲させた点で、図7及び図8と相違する。
図9及び図10の説明として、図7及び図8との相違点について述べる。
【0076】
図7のように、他方の給電線552における反射面211に囲まれる部分に柔軟性を有するチューブ64を設けると、高圧水銀ランプ5からの照射光や反射面211からの反射光を遮光することになる。このため、他方の給電線552において、反射鏡2の貫通孔23(詳細には、つば付き金属管71の貫通孔713)と他方の給電線552との間に位置する部分に、柔軟性を有するチューブ64を設けることが好ましい。
この手段として、上述した熱収縮チューブを用いた手段や接着剤を用いた手段によって、柔軟性を有するチューブ64を所望の位置に設けることは有効である。さらに、所望の位置にフィルム状の部材をチューブ状に巻きまわして、その両端に接着剤などで固定する手段によって、柔軟性を有するチューブ64を設けることも有効である。
【0077】
上記の手段のように、柔軟性を有するチューブ64が接着機能を有することで、反射鏡2の貫通孔23(詳細には、つば付き金属管71の貫通孔713)と他方の給電線552との間に位置する部分に設けられる。柔軟性を有するチューブ64が接着機能を有さなくても所望の位置に設けられる手段として、図9及び図10を用いた第7の実施例が挙げられる。
【0078】
図9は、他方の給電線552におけるつば付き金属管71の貫通孔713に対して他方の外部リード542側及び金属端子73側を屈曲させた屈曲部553を設けた。つば付き金属管71と他方の給電線552との間に介在させた柔軟性を有するチューブ64がこの屈曲部553に挟まれることで、その移動が屈曲部553間で規制される。これにより、柔軟性を有するチューブ64は、つば付き金属管71と他方の給電線552との間に、常に介在されるように設けることができる。
さらに、他方の給電線552は、例えばニッケル(Ni)のような金属線からなり、簡便に屈曲させることができるので、所望の位置に柔軟性を有するチューブ64を配置することができる。このため、図9に示す光源装置1は、高圧水銀ランプ5からの照射光や反射面からの反射光を柔軟性を有するチューブ64で遮光することを防止できる。
【0079】
他方の給電線552は、例えばニッケル(Ni)のような金属線からなり、簡便に屈曲させることができる。一方、柔軟性を有するチューブ64は、フッ素樹脂,シリコン樹脂,ポリイミド樹脂又はエポキシ樹脂のようなチューブからなり、これらの部材は柔軟性を有する。このため、図10に示すように、柔軟性を有するチューブ64は、他方の給電線552と共に屈曲させることができる。これにより、柔軟性を有するチューブ64は、つば付き金属管71と他方の給電線552との間に、常に介在されるように設けることができる。さらに、所望の位置に柔軟性を有するチューブ64を配置することができるので、図10に示す光源装置1は、高圧水銀ランプから5の照射光や反射面211からの反射光を柔軟性を有するチューブ64で遮光することを防止できる。
【0080】
本発明に係る光源装置1の第8の実施例を、図11及び図12を用いて説明する。
図11及び図12は本発明に係る光源装置1の説明図である。図11は、高圧水銀ランプ5の一対の電極521,522に沿った断面図である。図12(a)は、図11の光源装置1の貫通孔23の周辺を拡大した拡大図(図12(a)の貫通孔23の周辺の点線の丸で囲った部分の拡大図)である。図12(b)は、図10に示す柔軟性を有するチューブ64の拡大図である。
【0081】
図11及び図12に示す光源装置1は、柔軟性を有するチューブ64をつば付き金属管(いわゆるハトメ)71側に設けた点で、図7及び図8と相違する。図11及び図12の説明として、図7及び図8との相違点について述べる。
【0082】
第8の実施例に係る光源装置1に設けられる柔軟性を有するチューブ64は、図12(b)に示すように、一端につば部641が設けられた円筒部材からなる。この柔軟性を有するチューブ64は、図12(a)に示すように、その円筒状の筒部642がつば付き金属管71の貫通孔713の内周面に当接するように設けられる。
【0083】
この円筒状の筒部642には、図12(b)に示すように、他方の給電線552が挿入される小穴部644が設けられる。この小穴部644は、つば付き金属管71の貫通孔713を通る筒部642において、反射鏡2の反射面211側とは反対側に設けられる。これにより、他方の外部リード542から伸びる他方の給電線552は、柔軟性を有するチューブ64の中心軸を貫通する穴部643を通り、続いて筒部642に設けられた小穴部644を通って、金属端子73に挿入される。金属端子73には、図示しない電源から伸びる給電線8が挿入されてかしめられることで、他方の給電線552と電源から伸びる給電線8とは、直接又は金属端子73を介して電気的に接続される。
【0084】
柔軟性を有するチューブ64の筒部642に設けた小穴部644に他方の給電線552を挿入させることで、柔軟性を有するチューブ64は、その移動が小穴部644を通った他方の給電線552に規制される。このため、図12(a)に示すように、つば付き金属管71の貫通孔713と他方の給電線552との間には、常に柔軟性を有するチューブ64を介在させることができる。
【0085】
貫通孔23と他方の給電線552との間を柔軟性を有するチューブ64を介在させることにより、交流点灯時、反射鏡2には柔軟性を有するチューブ64が接する。交流点灯時、高圧水銀ランプ5の他方の封止部513の振動が他方の給電線552に伝わっても、チューブ64が柔軟性を有するので振動を吸収し、反射鏡2に振動が伝わることを抑制できる。柔軟性を有するチューブ64の材質は、高圧水銀ランプ5からの照射熱に耐えられる耐熱性を有するものが好適に用いられる。具体的には、例えば、フッ素樹脂,シリコン樹脂,ポリイミド樹脂,エポキシ樹脂が柔軟性を有するチューブ64の部材として用いることができる。
【0086】
図12(a)に示すように反射鏡2と柔軟性を有するチューブ64との間に隙間があって、反射鏡2と柔軟性を有するチューブ64が摺接されても、柔軟性を有するチューブ64が例えばフッ素樹脂からなるチューブ64のような摩擦係数の小さい材質であれば、反射鏡2と柔軟性を有するチューブ64との間の摩擦が小さくなり、騒音の発生をさらに防止することができる。
なお、他方の給電線552とその径方向にある反射鏡2との間を柔軟性を有するチューブ64で隙間なく埋め、反射鏡2と他方の給電線552が摺接しないように、反射鏡2と柔軟性を有するチューブ64とが密着した場合であっても、高圧水銀ランプ5の他方の封止部552の振動をチューブ64の柔軟性により吸収することができる。
【0087】
また、柔軟性を有するチューブ64につば部641を設けることにより、つば付き金属管71の貫通孔713に柔軟性を有するチューブ64を挿入するときに、その筒部642が反射鏡2の反射面211と反対側から反射面211側に通り抜けて落下してしまうことを防止でき、容易に組み立てられる。さらに、つば部641を反射鏡2における反射面211と反対側に設けることで、つば部641による反射面211の遮光を防止することができる。
【0088】
第8の実施例に係る光源装置1は、反射鏡2の反射部21に貫通孔23を設け、給電線552を貫通孔23から導出させ、貫通孔23と給電線552との間に柔軟性を有するチューブ64を介在させ、前記貫通孔23と前記柔軟性を有するチューブ64との間に金属管71を設けたことを特徴とする。これにより、第8の実施例に係る光源装置1は、交流点灯時の給電線552と反射鏡2とが摺接されることを防止することができる。さらに、給電線552と金属管71とが摺接されることによる音の発生を防止することができる。
【0089】
反射鏡2の貫通孔23(詳細には、つば付き金属管71の貫通孔713)側に柔軟性を有するチューブ64を設ける手段として、つば付き金属管71の貫通孔713に接着剤を塗布・乾燥させること設けてもかまわない。
【0090】
なお、図7〜図12に示した光源装置1は、他方の給電線552と図示しない電源から伸びる給電線8とを金属端子73でかしめた状態で、不図示のプロジェクタ装置に組み込まれることがある。このとき、金属端子73にかしめられた図示しない電源から伸びる給電線8が引っ張られ、金属端子73と金属端子73から伸びる固定部731とが反射鏡2に対して回転させられることがある。また、この回転に伴い、金属端子73の固定部731を挟持するつば付き金属管(いわゆるハトメ)71や座金72も回転してしまうことがある。
この回転を防止するため、図7〜図12に示す座金72を、その金属端子73の固定部731側の面に向かった突起を複数設けた、いわゆる菊座金(ロックワッシャーや歯付きワッシャーともいう)にすることにより、金属端子73の固定部731を反射鏡2に向かって押圧できると共に、設けられた複数の突起によって金属端子73の固定部731との間で摩擦係数を大きくすることができ、金属端子73の固定部731の回転を防止することができる。さらに、金属端子73の固定部731を挟持するつば付き金属管71や座金72も押圧されるので、これらの回転も防止することできる。
さらに、座金72を菊座金にすることに加えて、つば付き金属管71のつば部711(詳細にはつば部711の反射鏡2側の面)と反射鏡2(詳細には反射鏡2の反射面211)との間に、回転防止を目的とした回転防止座金を設けてもかまわない(図7〜図12には不図示)。この回転防止座金としては、前述の菊座金を用いることができ、さらに、中央に穴部を有する略C字状であると共に、穴部の中心軸方向にねじれたバネ座金(スプリングワッシャーともいう)や、中央に穴部を有するリング状の座金であると共に、穴部の中心軸方向にやや変形した波形座金(ウェーブワッシャーともいう)など、穴部の中心軸方向に向かって押し圧できるバネ性を有するものが用いることができる。バネ座金や波形座金は、穴部につば付き金属管71の筒部712が挿入され、つば付き金属管71のつば部711(詳細にはつば部711の反射鏡2側の面)と反射鏡2(詳細には反射鏡2の反射面211)との間に設けることにより、つば付き金属管71のつば部711と反射鏡2とをつば付き金属管71の筒部712の中心軸方向に押圧することができ、これにより、つば付き金属管71の回転を好適に防止することができる。さらに、つば付き金属管71の筒部712の端部に固定される座金72や、座金72に当接する金属端子73の固定部731の回転を好適に防止することができる。
【0091】
<実験例1>
本発明に係る光源装置1における効果を示すため、以下に示す実験を行なった。実験に用いた光源装置1の構成は図1に示すものと同一である。
実験に用いた反射鏡2はホウケイ酸ガラスからなり、シリカ(SiO)とチタニア(TiO)とからなる誘電体多層膜を反射面211として設けたものである。反射鏡2の首部22の端部にはセラミックからなるベース部材3が配置される。
実験に用いた高圧水銀ランプ5は8種類用意した。これらのランプ5は、放電管51が石英ガラスにより形成され、放電管51の発光部511の内部にタングステンからなる電極521,522が封入され、放電管51の封止部512,513にモリブデンからなる箔53が埋設され、放電管51の封止部512,513の端部からはモリブデンからなる外部リード541,542が突出する。また、外部リード541,542に電気的に接続された給電線551,552はニッケルにより形成される。
準備した8種類のランプ5の共通の仕様は、発光部511の内容積が80mmであり、発光部511に封入された電極521,522の電極521,522間距離が1.2mmで、発光部511に封入された水銀量が280mg/mmで、アルゴンガスが13KPaである。また、定格電圧が80Vで、定格電力が270Wである。
準備した8種類のランプには、同一の反射鏡及び同一のベース部材を用いた。このとき、各ランプ5は、封止部512,513の伸びる方向(中心軸方向)において、電極521,522間の中心から一方の封止部512の外周とベース部材4の内周との間に充填された接着剤61の発光部511側端面611までの距離L2が20mmとなるように配置され、ベース部材3に無機質系接着剤61により固定される。
準備した8種類の高圧水銀ランプ5のうち、一方の封止部512の直径Rがφ10mmのランプが5種類ある。これら5種類の高圧水銀ランプ5を備えた光源装置1をA〜Eとし、A〜Eの光源装置1の各仕様について説明する。Aの光源装置1は接着剤61の充填された長さL1が3mmとなるように形成され、従ってAの光源装置1のL1/Rは0.3となる。Bの光源装置1は接着剤61の充填された長さL1が4mmとなるように形成され、従ってBの光源装置のL1/Rは0.4となる。Cの光源装置1は接着剤61の充填された長さL1が5mmとなるように形成され、従ってCの光源装置1のL1/Rは0.5となる。Dの光源装置1は接着剤61の充填された長さL1が6mmとなるように形成され、従ってDの光源装置のL1/Rは0.6となる。Eの光源装置1は接着剤61の充填された長さL1が8.7mmとなるように形成され、従ってEの光源装置1のL1/Rは0.87となる。
準備した8種類の高圧水銀ランプ5のうち、上述の5種類の高圧水銀ランプ5を除く3種類のランプを備えた光源装置1をF〜Hとし、F〜Hの光源装置1の各仕様について説明する。Fの光源装置1は一方の封止部512の直径Rがφ5.8mm、接着剤61の充填された長さL1が4.1mmとなるように形成され、従ってFの光源装置1のL1/Rは0.7となる。Gの光源装置1は一方の封止部512の直径Rがφ5.8mm、接着剤61の充填された長さL1が5.8mmとなるように形成され、従ってGの光源装置1のL1/Rは1となる。Hの光源装置1は一方の封止部512の直径Rがφ6.4mm、接着剤61の充填された長さL1が8.3mmとなるように形成され、従ってHの光源装置1のL1/Rは1.3となる。
ランプ5点灯時、周波数370Hzの交流電流を入力した。
実験は、反射鏡2の近傍に音計測マイクを設置し、上述の光源装置1のA〜Hのそれぞれのランプ5点灯開始後の20秒経過時,60秒経過時,120秒経過時,180秒経過時及び240秒経過時の騒音レベル(dB)を測定した。
A〜Eの光源装置1の測定結果を図13に示す。図13は横軸が点灯経過時間(s)で、縦軸が騒音レベル(dB)である。図13には、A〜Eの光源装置1の各経過時間(s)における騒音レベル(dB)をプロットし、各光源装置1におけるプロットを折れ線でつないだ。図13に示すように、L1/Rが0.5以上のC〜Eの光源装置1は点灯開始から180秒経過時までの間の騒音レベルを、L1/Rが0.5未満のA及びBの光源装置よりも15dBも小さくすることができた。
さらに、G〜Hの光源装置1の測定結果を図14に示す。なお、図14には、G〜Hの光源装置1に対して、一方の封止部512の直径Rが異なるA〜Cの測定結果も示している。図14は横軸が点灯経過時間(s)で、縦軸が騒音レベル(dB)である。図14には、A〜C及びG〜Hの光源装置1の各経過時間(s)のおける騒音レベル(dB)をプロットし、各光源装置1におけるプロットを折れ線でつないだ。図14に示すように、L1/Rが0.5以上のC及びG〜Hの光源装置1は点灯開始から18秒経過時までの間の騒音レベルを、L1/Rが0.5未満のA及びBの光源装置よりも15dBも小さくすることができた。
上記の図13及び図14の測定結果により、光源装置1のL1/Rを0.5以上にすることで、点灯初期における光源装置1からの音量を効果的に抑制することができる。
【0092】
<実験例2>
また、本発明に係る光源装置1の高圧水銀ランプ5の電極521,522間の中心から一方の封止部512の外周とベース部材4の内周との間に充填された接着剤61の発光部511側端面611までの距離L2を規定したことによる効果を確認するために、以下に示す実験を行なった。実験に用いた光源装置1の構成は図1に示すものと同一である。
実験に用いた反射鏡2はホウケイ酸ガラスからなり、シリカ(SiO)とチタニア(TiO)とからなる誘電体多層膜を反射面211として設けたものである。反射鏡2の首部22の端部にはセラミックからなるベース部材3が配置される。
実験に用いた高圧水銀ランプ5は8種類用意した。これらのランプ5は、放電管51が石英ガラスにより形成され、放電管51の発光部511の内部にタングステンからなる電極521,522が封入され、放電管51の封止部512,513にモリブデンからなる箔53が埋設され、放電管51の封止部512,513の端部からはモリブデンからなる外部リード541,542が突出する。また、外部リード541,542に電気的に接続された給電線551,552はニッケルにより形成される。
準備した8種類のランプ5の共通の仕様は、発光部511の内容積が80mmであり、発光部511に封入された電極521,522の電極521,522間距離が1.2mmで、発光部511に封入された水銀量が280mg/mmで、アルゴンガスが13KPaである。また、定格電圧が80Vで、定格電力が270Wである。
準備した8種類のランプ5には、同一の反射鏡2及び同一のベース部材3を用いた。このとき、各ランプ5は、ベース部材3に無機質系接着剤61により固定される。
準備した8種類の高圧水銀ランプ5を備えた光源装置1をI〜Pとし、I〜Pの光源装置1の各仕様について説明する。
I〜Mの光源装置1は、一方の封止部512の外周とベース部材3の内周との間に充填された接着剤61の長さL1が7mmである。Iの光源装置1は、一方の封止部512の直径Rがφ5.8mmで、電極521,522間の中心から接着剤61の発光部511側端面611までの長さL2が14mmである。Jの光源装置1は、一方の封止部512の直径Rがφ5.8mmで、電極521,522間の中心から接着剤61の発光部511端面611までの長さL2が16mmである。Kの光源装置1は、一方の封止部512の直径Rがφ5.8mmで、電極521,522間の中心から接着剤61の発光部511端面611までの長さL2が17mmである。Lの光源装置1は、一方の封止部512の直径Rがφ5.8mmで、電極521,522間の中心から接着剤61の発光部511端面611までの長さL2が18mmである。Mの光源装置1は、一方の封止部512の直径Rがφ5.8mmで、電極521,522間の中心から接着剤61の発光部511端面611までの長さL2が20mmである。
Nの光源装置1は、接着剤61の充填された長さL1が9mmで、一方の封止部512の直径Rがφ10mmで、電極521,522間の中心から接着剤61の発光部511端面611までの長さL2が16mmである。Oの光源装置1は、接着剤61の充填された長さL1が13mmで、一方の封止部512の直径Rがφ6.4mmで、電極521,522間の中心から接着剤61の発光部511端面611までの長さL2が18mmである。Pの光源装置1は、接着剤61の充填された長さL1が5mmで、一方の封止部512の直径Rがφ10mmで、電極521,522間の中心から接着剤61の発光部511端面611までの長さL2が20mmである。
ランプ5点灯時、周波数370Hzの交流電流を入力した。
実験は、反射鏡2の近傍に音計測マイクを設置し、上述の光源装置1のI〜Pのそれぞれのランプ5点灯開始後の20秒経過後のピーク周波数を測定した。
I〜Pの光源装置1の測定結果を図15に示す。図15は、横軸が電極521,522間の中心から一方の封止部512の外周とベース部材4の内周との間に充填された接着剤61の発光部511側側面611までの距離L2(mm)で、縦軸が周波数(KHz)である。図15には、I〜Pの光源装置1の測定時のピーク周波数をプロットした。また、図15には、接着剤61の充填された長さL1が7mmであるI〜Mの光源装置1の測定結果から、近似曲線を描いた。
8〜12KHzの周波数を、実験協力者10名で音確認した結果、10名が耳障りな音であると感じた。一方、図15に示すように、電極521,522間の中心から接着剤61までの長さL2が16mmの光源装置1のJ及びNはピーク周波数が約14KHzであり、電極521,522間の中心から接着剤61までの長さL2が20mmの光源装置1のL及びOはピーク周波数が約7〜8KHzであった。これらのピーク周波数を、実験協力者10名で音確認した結果、9名が耳障りな音であると感じなかった。特に、図15に示すように電極521,522間の中心から接着剤61までの長さL2が14mmのIの光源装置1はピーク周波数が約20KHzであり、これを実験協力者10名で音確認した結果、10名が耳障りな音であると感じなかった。この20KHzの周波数は、人間に感知されにくい周波数と言われている。
以上から、一対の電極521,522方向において、電極521,522間の中心から接着剤61までの距離L2をL2≦16mm又はL2≧20mmにすることにより、光源装置1からの音が人間には耳障りな音として感じにくくすることができると分かった。特に、封止部512,513の伸びる方向(中心軸方向)において、電極521,522間の中心から接着剤61までの距離L2をL2≦14mmにすることにより、人間の可聴範囲外にすることができると分かった。
【0093】
<実験例3>
実験1で示したHの光源装置1を用いて、貫通孔23と他方の給電線552と間に接着剤61を充填したことによる又は柔軟性を有するチューブ64を設けることによる騒音抑制の効果について確認した。
実験1で示したHの光源装置1において、図4に示すように、貫通孔23と他方の給電線552との間に無機質系接着剤61を充填した光源装置1をH1とし、図5に示すように、他方の給電線552にフッ素樹脂からなる柔軟性を有するチューブ64を設けて他方の給電線552と反射鏡2との摺接を防止した光源装置1をH2とする。
ランプ5点灯時、周波数370Hzの交流を入力した。
実験は、反射鏡2の近傍に音計測マイクを設置し、上述の光源装置1のH,H1及びH2をランプ5点灯開始後の20秒経過時,60秒経過時,120秒経過時,180秒経過時及び240秒経過時の音量を測定した。
H,H1及びH2の光源装置1の測定結果は図16に示す。図16は横軸が点灯経過時間(s)で、縦軸が騒音レベル(dB)である。図16には、H,H1及びH2の光源装置1の各経過時間(s)における騒音レベル(dB)をプロットし、各光源装置1におけるプロットを折れ線でつないだ。図16に示すように、ランプ5点灯開始から120秒経過以降は光源装置1のH1及びH2からの音が、Hの光源装置1からの音よりも音量が20dB小さくすることができた。特に、H2の光源装置1は交流点灯開始直後から音量を、さらに抑制することができた。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明に係る光源装置の説明図である。
【図2】本発明に係る光源装置の説明図である。
【図3】本発明に係る光源装置の説明図である。
【図4】本発明に係る光源装置の説明図である。
【図5】本発明に係る光源装置の説明図である。
【図6】本発明に係る光源装置の説明図である。
【図7】本発明に係る光源装置の説明図である。
【図8】本発明に係る光源装置の説明図である。
【図9】本発明に係る光源装置の説明図である。
【図10】本発明に係る光源装置の説明図である。
【図11】本発明に係る光源装置の説明図である。
【図12】本発明に係る光源装置の説明図である。
【図13】本発明に係る光源装置の実験結果の説明図である。
【図14】本発明に係る光源装置の実験結果の説明図である。
【図15】本発明に係る光源装置の実験結果の説明図である。
【図16】本発明に係る光源装置の実験結果の説明図である。
【図17】従来に係る光源装置の実験結果の説明図である。
【符号の説明】
【0095】
1 光源装置
2 反射鏡
21 反射部
211 反射面
22 首部
23 貫通孔
24 挿入口
3 ベース部材
31 挿入口
4 光出射板
5 高圧水銀ランプ
51 放電管
511 発光部
512 一方の封止部
513 他方の封止部
521 一方の電極
522 他方の電極
53 箔
541 一方の外部リード
542 他方の外部リード
551 一方の給電線
552 他方の給電線
553 屈曲部
61 接着剤
611 接着剤の発光部側端面
62 接着剤
63 接着剤
64 柔軟性を有するチューブ
641 つば部
642 筒部
643 穴部
644 小穴部
645 屈曲部
71 つば付き金属管(ハトメ)
711 つば部
712 筒部
713 貫通孔
72 座金
721 穴部
73 金属端子
731 固定部
732 固定部の穴部
733 金属端子の穴部
8 電源からの給電線
L1 接着剤の長さ
L2 電極間の中心から接着剤までの距離
L3 反射鏡の貫通孔と給電線との間
L4 つば付き金属管の貫通孔と給電線との間
R 封止部の外径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に一対の電極が対向配置されると共に0.15mg/mm以上の水銀と10−6μmol/mm〜10−2μmol/mmの範囲でハロゲンが封入された略球状の発光部と該発光部の両端から伸びる円柱状の封止部と該封止部の端部から突出すると共に交流電流が入力される外部リードとからなる交流点灯型高圧水銀ランプと、
前記発光部を囲むように配置される凹面状の反射部と筒状の首部とからなる反射鏡と、
筒状の首部に連接された筒状のベース部材と、
前記ベース部材と前記封止部との間に充填されてこれらを固定する接着剤と、
前記外部リードに接続される給電線と、
からなる光源装置において、
前記封止部の伸びる方向における接着剤が充填された長さをL1(mm)とし、前記封止部の直径をR(mm)とした場合、L1/R≧0.5である
ことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
内部に一対の電極が対向配置されると共に0.15mg/mm以上の水銀と10−6μmol/mm〜10−2μmol/mmの範囲でハロゲンが封入された略球状の発光部と該発光部の両端から伸びる円柱状の封止部と該封止部の端部から突出すると共に交流電流が入力される外部リードとからなる交流点灯型高圧水銀ランプと、
前記発光部を囲むように配置される凹面状の反射部と筒状の首部とからなる反射鏡と、
前記首部と前記封止部との間に充填されてこれらを固定する接着剤と、
前記外部リードに接続される給電線と、
からなる光源装置において、
前記封止部の伸びる方向における接着剤が充填された長さをL1(mm)とし、前記封止部の直径をR(mm)とした場合、L1/R≧0.5である
ことを特徴とする光源装置。
【請求項3】
前記反射鏡の反射部に貫通孔を設け、
前記給電線を前記貫通孔から導出させ、
前記貫通孔に接着剤を充填させた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記反射鏡の反射部に貫通孔を設け、
前記給電線を前記貫通孔から導出させ、
前記貫通孔と前記給電線との間に柔軟性を有するチューブを介在させた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光源装置。
【請求項5】
前記貫通孔と前記柔軟性を有するチューブとの間に金属管を設けた
ことを特徴とする請求項4に記載の光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−43697(P2009−43697A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270828(P2007−270828)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】