説明

光照射装置および光照射方法

【課題】ホログラムにより同時に複数の集光位置に照射されたレーザ光の個数または集光面積が変動しても、照射レーザ光のエネルギーを略一定に維持する装置および方法の提供。
【解決手段】位相変調型の空間光変調器20は、レーザ光源10から出力されたレーザ光を入力し、2次元配列された複数の画素それぞれにおいてレーザ光の位相を変調するホログラムを呈示して、その位相変調後のレーザ光を出力する。制御部22は、空間光変調器20に第1のホログラムを呈示させ、第1のホログラムに対しフィードバックを行うことにより、第1のホログラムが修正され、第1のホログラムの修正は、各集光位置に集光されたレーザ光の強度を測定し、各集光位置の何れかの基準点における強度に基づき、反復フーリエ変換法で第1のホログラムを再び作成することにより第2のホログラムを作成し、第2のホログラムを空間光変調器に呈示することにより行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に対して光を集光照射する装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザ光源から出力されたレーザ光を集光光学系により集光して加工対象物に照射することにより該加工対象物を加工することができる。単にレンズを用いてレーザ光を集光するだけであれば、レーザ光を1つの集光位置に走査することで、加工対象物を所望の形状に加工することができる。しかし、この場合には加工に要する時間が長い。
【0003】
加工時間の短縮化を図るための最も簡便な手法は、複数の集光位置にレーザ光を同時に集光照射して多点同時加工を行うことである。例えば、複数のレーザ光源を用いて、各レーザ光源から出力されたレーザ光をレンズにより集光すれば、多点同時加工を行うことができる。しかし、この場合には、複数のレーザ光源を用いることから、コストが高く、設置領域や光学系が複雑なものとなる。
【0004】
このような問題を解消することを意図した発明が特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示された発明では、位相変調型の空間光変調器にホログラムを呈示させて、1つレーザ光源から出力されたレーザ光を空間光変調器により位相変調し、その位相変調されたレーザ光を集光光学系により複数の位置に同時に集光照射する。空間光変調器に呈示されるホログラムは、集光光学系により複数の集光位置にレーザ光が集光されるような位相変調分布を有する。
【特許文献1】特許第2723798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示された発明では、複数の集光位置それぞれに照射されるレーザ光のエネルギーが均一であることが望ましい。この場合、各集光位置に照射されるレーザ光のエネルギーは、凡そ集光位置の個数に反比例する。例えば、集光位置が1個である場合と比べて、集光位置が2個である場合には、各集光位置に照射されるレーザ光のエネルギーは2分の1になる。
【0006】
一方、フェムト秒レーザ光を用いてアブレーションにより金属表面の加工を行う場合には、レーザ光強度によりアブレーション率が異なることが知られている。つまり、特許文献1に開示された発明では、集光位置の個数が変動することにより、各集光位置に照射されるレーザ光のエネルギーが変動して、各集光位置における加工の程度が変動することになる。
【0007】
このような問題点を解消するために、集光位置の個数に応じて所要の減衰率のND(NeutralDensity)フィルタを挿入することで、集光位置の個数によらず各集光位置に照射されるレーザ光のエネルギーを一定に維持することが考えられる。しかしながら、集光位置の個数が変化する度にNDフィルタを取り替えることは、著しく効率を低下させることになる。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、ホログラムが呈示される位相変調型の空間光変調器を用いて複数の集光位置または一定面積を有する集光領域に同時にレーザ光を照射して加工対象物の加工領域を加工するものであって、加工領域におけるレーザ光の集光位置の個数または集光領域の面積が変動しても、各集光位置または集光領域に照射されるレーザ光のエネルギーを略一定に維持することが容易にできる装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる光照射装置は、対象物に対して光を集光照射する装置であって、光を出力する光源と、前記光源から出力された光を入力し、2次元配列された複数の画素それぞれにおいて前記光の位相を変調するホログラムを呈示して、その位相変調後の光を出力する位相変調型の空間光変調器と、前記空間光変調器の後段に設けられた集光光学系と、
前記空間光変調器から出力された光を前記集光光学系により複数個の集光位置に集光させるホログラムを前記空間光変調器に呈示させる制御部と、を備え、前記制御部が、前記空間光変調器に第1のホログラムを呈示させ、前記第1のホログラムに対しフィードバックを行うことにより、前記第1のホログラムが修正され、前記第1のホログラムの前記修正は、前記各集光位置に集光された光の強度を測定し、前記各集光位置の何れかの基準点における強度に基づき、反復フーリエ変換法で前記第1のホログラムを再び作成することにより第2のホログラムを作成し、前記第2のホログラムを前記空間光変調器に呈示することにより行われる、ことを特徴とする。
【0010】
本発明にかかる光照射装置において、前記第2のホログラムの前記作成は、前記基準点における強度に合わせて、前記各集光位置で再生されるべき光の振幅を変更することにより行われても良い。
【0011】
本発明にかかる光照射装置において、前記各集光位置で再生されるべき光の前記振幅の前記変更は、前記基準点における強度と前記各集光位置における強度との比に基づいて行われても良い。
【0012】
本発明にかかる光照射方法は、対象物に対して光を集光照射する方法であって、光を出力する光源と、前記光源から出力された光を入力し、2次元配列された複数の画素それぞれにおいて前記光の位相を変調するホログラムを呈示して、その位相変調後の光を出力する位相変調型の空間光変調器と、前記空間光変調器の後段に設けられた集光光学系と、前記空間光変調器から出力された光を前記集光光学系により複数個の集光位置に集光させるホログラムを前記空間光変調器に呈示させる制御部と、を用いて、前記制御部により、前記空間光変調器に第1のホログラムを呈示させ、前記第1のホログラムに対しフィードバックを行うことにより、前記第1のホログラムが修正され、前記第1のホログラムの前記修正は、前記各集光位置に集光された光の強度を測定し、前記各集光位置の何れかの基準点における強度に基づき、反復フーリエ変換法で前記第1のホログラムを再び作成することにより第2のホログラムを作成し、前記第2のホログラムを前記空間光変調器に呈示することにより行われる、ことを特徴とする。
【0013】
本発明にかかる光照射方法において、前記第2のホログラムの前記作成は、前記基準点における強度に合わせて、前記各集光位置で再生されるべき光の振幅を変更することにより行われても良い。
【0014】
本発明にかかる光照射方法において、前記各集光位置で再生されるべき光の前記振幅の前記変更は、前記基準点における強度と前記各集光位置における強度との比に基づいて行われても良い。
【0015】
レーザ加工装置は、加工対象物における加工領域に対してレーザ光を集光照射して該加工対象物を加工する装置であって、(1) レーザ光を出力するレーザ光源と、(2) レーザ光源から出力されたレーザ光を入力し、2次元配列された複数の画素それぞれにおいてレーザ光の位相を変調するホログラムを呈示して、その位相変調後のレーザ光を出力する位相変調型の空間光変調器と、(3)空間光変調器の後段に設けられた集光光学系と、(4) 空間光変調器から出力されたレーザ光を集光光学系により複数個の集光位置に集光させるホログラムを空間光変調器に呈示させる制御部と、を備える。さらに、制御部が、空間光変調器に複数のホログラムを順次に呈示させ、複数のホログラムそれぞれが提示された空間光変調器から出力されたレーザ光を集光光学系に入力させた場合に、該レーザ光を集光光学系により一定数であるM個の集光位置に集光させ、M個の集光位置のうちN個の集光位置を加工領域に選択的に配置させて、加工対象物を加工することを特徴とする。ただし、Mは2以上の整数であり、Nは1以上M以下の整数である。
【0016】
複数のホログラムそれぞれが提示された空間光変調器から出力されたレーザ光が集光光学系に入力された場合に、該レーザ光が集光光学系により一定数であるM個の集光位置に集光されるが、そのM個の集光位置のうちN個の集光位置が加工領域に選択的に配置される。しかし、後述するように、集光光学系と加工対象物との間に設けられる遮蔽部材、または、空間光変調器と集光光学系との間に設けられる4f光学系とともに用いられる遮蔽部材もしくはミラーにより、残りの(M−N)個の集光位置は加工領域には配置されない。
【0017】
レーザ加工装置は、集光光学系によるM個の集光位置のうちN個の集光位置を除く(M−N)個の集光位置を加工領域に配置させないよう、レーザ光を遮蔽する遮蔽部材を更に備えるのが好適である。
【0018】
レーザ加工装置において、個数Mが、加工対象物の所定部分を加工するための集光位置の最大値Lと等しいのが好適である。ただし、Lは整数である。
【0019】
レーザ加工装置において、個数Mが、加工対象物の所定部分を加工するための集光位置の最大値Lより大きく、制御部は、M個の集光位置のうち最大値L個の集光位置を除く(M−L)個の集光位置が常に加工領域に配置されないよう、ホログラムを空間光変調器に呈示させるのが好適である。ただし、Lは整数である。
【0020】
レーザ加工装置において、制御部は、(M−N)個の集光位置または(M−L)個の集光位置に集光されるレーザ光の強度が可変となるよう、ホログラムを空間光変調器に呈示させるのが好適である。
【0021】
レーザ加工装置は、空間光変調器と集光光学系との間に設けられ第1レンズおよび第2レンズを含む4f光学系と、これら第1レンズと第2レンズとの間に設けられた遮蔽部材と、を更に備え、この遮蔽部材が、集光光学系によるM個の集光位置のうちN個の集光位置を除く(M−N)個の集光位置を加工領域に配置させないよう、レーザ光を遮蔽するのが好適である。
【0022】
レーザ加工装置は、空間光変調器と集光光学系との間に設けられ第1レンズおよび第2レンズを含む4f光学系と、これら第1レンズと第2レンズとの間に設けられたミラーと、を更に備え、このミラーが、集光光学系によるM個の集光位置のうちN個の集光位置を除く(M−N)個の集光位置を加工領域に配置させないよう、レーザ光を反射させるのが好適である。
【0023】
レーザ加工装置は、制御部が、集光光学系によるM個の集光位置のうちN個の集光位置を除く(M−N)個の集光位置を加工領域の外部の領域に配置させるよう、ホログラムを空間光変調器に呈示させるのが好適である。
【0024】
レーザ加工装置において、外部の領域は、加工対象物の上部の空間であるのが好適である。
【0025】
レーザ加工装置において、外部の領域は、加工対象物の側部の空間であるのが好適である。
【0026】
レーザ加工装置において、加工対象物には、レーザ光が集光照射されても当該加工対象物の加工には影響が及ばない非影響領域が設けられており、制御部は、集光光学系によるM個の集光位置のうちN個の集光位置を除く(M−N)個の集光位置を非影響領域に配置させるよう、ホログラムを空間光変調器に呈示させるのが好適である。
【0027】
レーザ加工装置は、加工対象物を相対的に移動させる移動部を更に備え、制御部が、空間光変調器に複数のホログラムを順次に呈示させるとともに、移動部により加工対象物を相対的に移動させるのが好適である。
【0028】
レーザ加工方法は、加工対象物における加工領域に対してレーザ光を集光照射して該加工対象物を加工する方法であって、(1) レーザ光を出力するレーザ光源と、(2) レーザ光源から出力されたレーザ光を入力し、2次元配列された複数の画素それぞれにおいてレーザ光の位相を変調するホログラムを呈示して、その位相変調後のレーザ光を出力する位相変調型の空間光変調器と、(3)空間光変調器の後段に設けられた集光光学系と、(4) 空間光変調器から出力されたレーザ光を集光光学系により複数個の集光位置に集光させるホログラムを空間光変調器に呈示させる制御部と、を用いる。さらに、制御部により、空間光変調器に複数のホログラムを順次に呈示させ、複数のホログラムそれぞれが提示された空間光変調器から出力されたレーザ光を集光光学系に入力させた場合に、該レーザ光を集光光学系により一定数であるM個の集光位置に集光させ、M個の集光位置のうちN個の集光位置を加工領域に選択的に配置させて、加工対象物を加工することを特徴とする。ただし、Mは2以上の整数であり、Nは1以上M以下の整数である。
【0029】
レーザ加工方法は、集光光学系によるM個の集光位置のうちN個の集光位置を除く(M−N)個の集光位置を加工領域に配置させないよう、レーザ光を遮蔽する遮蔽部材を更に用いるのが好適である。
【0030】
レーザ加工方法において、個数Mが、加工対象物の所定部分を加工するための集光位置の最大値Lと等しいのが好適である。
【0031】
レーザ加工方法において、個数Mが、加工対象物の所定部分を加工するための集光位置の最大値Lより大きく、制御部は、M個の集光位置のうち最大値L個の集光位置を除く(M−L)個の集光位置が常に加工領域に配置されないよう、ホログラムを空間光変調器に呈示させるのが好適である。
【0032】
レーザ加工方法において、制御部は、(M−N)個の集光位置または(M−L)個の集光位置に集光されるレーザ光の強度が可変となるよう、ホログラムを空間光変調器に呈示させるのが好適である。
【0033】
レーザ加工方法は、空間光変調器と集光光学系との間に設けられ第1レンズおよび第2レンズを含む4f光学系と、これら第1レンズと第2レンズとの間に設けられた遮蔽部材と、を更に用いて、この遮蔽部材により、集光光学系によるM個の集光位置のうちN個の集光位置を除く(M−N)個の集光位置を加工領域に配置させないよう、レーザ光を遮蔽するのが好適である。
【0034】
レーザ加工方法は、空間光変調器と集光光学系との間に設けられ第1レンズおよび第2レンズを含む4f光学系と、これら第1レンズと第2レンズとの間に設けられたミラーと、を更に用いて、このミラーにより、集光光学系によるM個の集光位置のうちN個の集光位置を除く(M−N)個の集光位置を加工領域に配置させないよう、レーザ光を反射させるのが好適である。
【0035】
これら4f光学系においてフェムト秒レーザなどの高ピークパワーのレーザを用いる場合には、エアブレークダウンを防ぐために真空状態にするのが好ましい。
【0036】
レーザ加工方法は、制御部により、集光光学系によるM個の集光位置のうちN個の集光位置を除く(M−N)個の集光位置を加工領域の外部の領域に配置させるよう、ホログラムを空間光変調器に呈示させるのが好適である。
【0037】
レーザ加工方法において、外部の領域は、加工対象物の上部の空間であるのが好適である。
【0038】
レーザ加工方法において、外部の領域は、加工対象物の側部の空間であるのが好適である。
【0039】
レーザ加工方法において、加工対象物には、レーザ光が集光照射されても当該加工対象物の加工には影響が及ばない非影響領域が設けられており、制御部は、集光光学系によるM個の集光位置のうちN個の集光位置を除く(M−N)個の集光位置を非影響領域に配置させるよう、ホログラムを空間光変調器に呈示させるのが好適である。
【0040】
レーザ加工方法は、加工対象物を相対的に移動させる移動部を更に用いて、制御部により、空間光変調器に複数のホログラムを順次に呈示させるとともに、移動部により加工対象物を相対的に移動させるのが好適である。
【0041】
レーザ加工装置は、加工対象物における加工領域に対してレーザ光を集光照射して該加工対象物を加工する装置であって、(1)レーザ光を出力するレーザ光源と、(2)レーザ光源から出力されたレーザ光を入力し、2次元配列された複数の画素それぞれにおいてレーザ光の位相を変調するホログラムを呈示して、その位相変調後のレーザ光を出力する位相変調型の空間光変調器と、(3)空間光変調器の後段に設けられた集光光学系と、(4)空間光変調器から出力されたレーザ光を集光光学系により所定の集光領域に集光させるホログラムを空間光変調器に呈示させる制御部と、を備える。さらに、制御部が、空間光変調器に複数のホログラムを順次に呈示させ、複数のホログラムそれぞれが提示された空間光変調器から出力されたレーザ光を集光光学系に入力させた場合に、該レーザ光を集光光学系により一定面積である面積Xの集光領域に集光させ、面積Xの集光領域のうち面積Yの集光領域を加工領域に選択的に配置させて、加工対象物を加工する、ことを特徴とする。ただし、Xは正数であり、YはX以下の正数である。
【0042】
複数のホログラムそれぞれが提示された空間光変調器から出力されたレーザ光が集光光学系に入力された場合に、該レーザ光が集光光学系により一定面積である面積Xの集光領域に集光されるが、その面積Xの集光領域のうち面積Yの集光領域が加工領域に選択的に配置される。しかし、後述するように、集光光学系と加工対象物との間に設けられる遮蔽部材、または、空間光変調器と集光光学系との間に設けられる4f光学系とともに用いられる遮蔽部材もしくはミラーにより、残りの面積(XーY)の集光領域は加工領域には配置されない。
【0043】
レーザ加工装置において、集光光学系による面積Xの集光領域のうち面積Yの集光領域を除く面積(XーY)の集光領域を加工領域に配置させないよう、レーザ光を遮蔽する遮蔽部材を更に備えるのが好適である。
【0044】
レーザ加工装置において、面積Xが、加工対象物の所定部分を加工するための集光領域の最大面積Zと等しいのが好適である。ただし、Zは正数である。
【0045】
レーザ加工装置において、面積Xが、加工対象物の所定部分を加工するための集光領域の最大面積Zより大きく、制御部は、面積Xの集光領域のうち最大面積Zの集光領域を除く面積(X−Z)の集光領域が常に加工領域に配置されないよう、ホログラムを空間光変調器に呈示させるのが好適である。ただし、Zは正数である。
【0046】
レーザ加工装置において、制御部は、面積(XーY)の集光領域または面積(X−Z)の集光領域に集光されるレーザ光の強度が可変となるよう、ホログラムを空間光変調器に呈示させるのが好適である。
【0047】
レーザ加工装置において、空間光変調器と集光光学系との間に設けられ第1レンズおよび第2レンズを含む4f光学系と、これら第1レンズと第2レンズとの間に設けられた遮蔽部材と、を更に備え、この遮蔽部材が、集光光学系による面積Xの集光領域のうち面積Yの集光領域を除く面積(XーY)の集光領域を加工領域に配置させないよう、レーザ光を遮蔽するのが好適である。
【0048】
レーザ加工装置において、空間光変調器と集光光学系との間に設けられ第1レンズおよび第2レンズを含む4f光学系と、これら第1レンズと第2レンズとの間に設けられたミラーと、を更に備え、このミラーが、集光光学系による面積Xの集光領域のうち面積Yの集光領域を除く面積(XーY)の集光領域を加工領域に配置させないよう、レーザ光を反射させるのが好適である。
【0049】
レーザ加工装置において、制御部が、集光光学系による面積Xの集光領域のうち面積Yの集光領域を除く面積(XーY)の集光領域を加工領域の外部の領域に配置させるよう、ホログラムを空間光変調器に呈示させるのが好適である。
【0050】
レーザ加工装置において、外部の領域は、加工対象物の上部の空間であるのが好適である。
【0051】
レーザ加工装置において、外部の領域は、加工対象物の側部の空間であるのが好適である。
【0052】
レーザ加工装置において、加工対象物には、レーザ光が集光照射されても当該加工対象物の加工には影響が及ばない非影響領域が設けられており、制御部は、集光光学系による面積Xの集光領域のうち面積Yの集光領域を除く面積(XーY)の集光領域を非影響領域に配置させるよう、ホログラムを空間光変調器に呈示させるのが好適である。
【0053】
レーザ加工装置において、加工対象物を相対的に移動させる移動部を更に備え、制御部が、空間光変調器に複数のホログラムを順次に呈示させるとともに、移動部により加工対象物を相対的に移動させるのが好適である。
【0054】
レーザ加工方法は、加工対象物における加工領域に対してレーザ光を集光照射して該加工対象物を加工する方法であって、(1)レーザ光を出力するレーザ光源と、(2)レーザ光源から出力されたレーザ光を入力し、2次元配列された複数の画素それぞれにおいてレーザ光の位相を変調するホログラムを呈示して、その位相変調後のレーザ光を出力する位相変調型の空間光変調器と、(3)空間光変調器の後段に設けられた集光光学系と、(4)空間光変調器から出力されたレーザ光を集光光学系により所定の集光領域に集光させるホログラムを空間光変調器に呈示させる制御部と、を用いる。さらに、制御部により、空間光変調器に複数のホログラムを順次に呈示させ、複数のホログラムそれぞれが提示された空間光変調器から出力されたレーザ光を集光光学系に入力させた場合に、該レーザ光を集光光学系により一定面積である面積Xの集光領域に集光させ、面積Xの集光領域のうち面積Yの集光領域を加工領域に選択的に配置させて、加工対象物を加工することを特徴とする。ただし、Xは正数であり、YはX以下の正数である。
【0055】
レーザ加工方法において、集光光学系による面積Xの集光領域のうち面積Yの集光領域を除く面積(XーY)の集光領域を加工領域に配置させないよう、レーザ光を遮蔽する遮蔽部材を更に用いるのが好適である。
【0056】
レーザ加工方法において、面積Xが、加工対象物の所定部分を加工するための集光領域の最大面積Zと等しいのが好適である。ただし、Zは正数である。
【0057】
レーザ加工方法において、面積Xが、加工対象物の所定部分を加工するための集光領域の最大面積Zより大きく、制御部により、面積Xの集光領域のうち最大面積Zの集光領域を除く面積(X−Z)の集光領域が常に加工領域に配置されないよう、ホログラムを空間光変調器に呈示させるのが好適である。ただし、Zは正数である。
【0058】
レーザ加工方法において、制御部により、面積(XーY)の集光領域または面積(X−Z)の集光領域に集光されるレーザ光の強度が可変となるよう、ホログラムを空間光変調器に呈示させるのが好適である。
【0059】
レーザ加工方法において、空間光変調器と集光光学系との間に設けられ第1レンズおよび第2レンズを含む4f光学系と、これら第1レンズと第2レンズとの間に設けられた遮蔽部材と、を更に用いて、この遮蔽部材により、集光光学系による面積Xの集光領域のうち面積Yの集光領域を除く面積(XーY)の集光領域を加工領域に配置させないよう、レーザ光を遮蔽するのが好適である。
【0060】
レーザ加工方法において、空間光変調器と集光光学系との間に設けられ第1レンズおよび第2レンズを含む4f光学系と、これら第1レンズと第2レンズとの間に設けられたミラーと、を更に用いて、このミラーにより、集光光学系による面積Xの集光領域のうち面積Yの集光領域を除く面積(XーY)の集光領域を加工領域に配置させないよう、レーザ光を反射させるのが好適である。
【0061】
レーザ加工方法において、制御部により、集光光学系による面積Xの集光領域のうち面積Yの集光領域を除く面積(XーY)の集光領域を加工領域の外部の領域に配置させるよう、ホログラムを空間光変調器に呈示させるのが好適である。
【0062】
レーザ加工方法において、外部の領域は、加工対象物の上部の空間であるのが好適である。
【0063】
レーザ加工方法において、外部の領域は、加工対象物の側部の空間であるのが好適である。
【0064】
レーザ加工方法において、加工対象物には、レーザ光が集光照射されても当該加工対象物の加工には影響が及ばない非影響領域が設けられており、制御部により、集光光学系による面積Xの集光領域のうち面積Yの集光領域を除く面積(XーY)の集光領域を非影響領域に配置させるよう、ホログラムを空間光変調器に呈示させるのが好適である。
【0065】
レーザ加工方法において、加工対象物を相対的に移動させる移動部を更に用いて、制御部により、空間光変調器に複数のホログラムを順次に呈示させるとともに、移動部により加工対象物を相対的に移動させるのが好適である。
【発明の効果】
【0066】
レーザ加工装置またはレーザ加工方法は、ホログラムが呈示される位相変調型の空間光変調器を用いて複数の集光位置または一定面積を有する集光領域に同時にレーザ光を照射して加工対象物の加工領域を加工することができ、また、加工領域におけるレーザ光の集光位置の個数が変動しても、あるいは加工領域におけるレーザ光の集光領域の面積が変動しても、各集光位置または集光領域に照射されるレーザ光のエネルギーを略一定に維持することが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1実施形態に係るレーザ加工装置1の構成を示す図である。
【図2】第1実施形態に係るレーザ加工装置1において制御部22により駆動部21から空間光変調器20へホログラムを書き込ませる第1の態様を説明する図である。
【図3】第1実施形態に係るレーザ加工装置1において制御部22により駆動部21から空間光変調器20へホログラムを書き込ませる第2の態様を説明する図である。
【図4】第1実施形態に係るレーザ加工装置1において制御部22により駆動部21から空間光変調器20へホログラムを書き込ませる第3の態様を説明する図である。
【図5】第1実施形態の説明における比較例のレーザ加工方法を説明する図である。
【図6】第1実施形態に係るレーザ加工方法の第1態様を説明する図である。
【図7】第1実施形態に係るレーザ加工方法の第2態様を説明する図である。
【図8】第1実施形態に係るレーザ加工方法の第3態様を説明する図である。
【図9】第1実施形態に係るレーザ加工方法の第4態様を説明する図である。
【図10】第1実施形態におけるホログラム作成方法のフローチャートである。
【図11】第1実施形態におけるホログラム修正方法のフローチャートである。
【図12】第1実施形態に係るレーザ加工装置1および第1実施形態に係るレーザ加工方法における集光光学系30,遮蔽部材40,加工対象物90および集光位置の間の関係を示す図である。
【図13】第2実施形態に係るレーザ加工装置2の構成を示す図である。
【図14】第3実施形態に係るレーザ加工装置3の構成を示す図である。
【図15】第4実施形態に係るレーザ加工装置の構成の一部を示す図である。
【図16】第5実施形態に係るレーザ加工装置5の構成を示す図である。
【図17】第5実施形態に係るレーザ加工方法を説明する図である。
【図18】実施例1における加工領域91および遮蔽領域92それぞれでのレーザ光集光位置の配置を示す図である。
【図19】実施例1の説明において、比較例における各集光位置でのレーザ光強度を纏めた図表である。
【図20】実施例1における各集光位置でのレーザ光強度を纏めた図表である。
【図21】Y分岐光導波路の平面図である。
【図22】実施例3の説明において、比較例のY分岐光導波路の形成方法を説明する図である。
【図23】実施例3のY分岐光導波路の形成方法を説明する図である。
【図24】第1実施形態に係るレーザ加工方法の第1態様の別態様を説明する図である。
【図25】第1実施形態に係るレーザ加工方法の第1態様の別態様を説明する図である。
【図26】第4実施形態に係るレーザ加工装置の構成の一部を示す図である。
【図27】第4実施形態に係るレーザ加工装置の構成の一部を示す図である。
【図28】第4実施形態の別態様に係るレーザ加工装置の構成の一部を示す図である。
【図29】第4実施形態の別態様に係るレーザ加工装置の構成の一部を示す図である。
【図30】第6実施形態に係るレーザ加工方法を説明する図である。
【図31】実施例2における加工領域91および遮蔽領域92それぞれでのレーザ光集光位置の配置を示す図である。
【図32】実施例2における各集光位置でのレーザ光強度を纏めた図表である。
【符号の説明】
【0068】
1〜5…レーザ加工装置、10…レーザ光源、11…スペイシャルフィルタ、12…コリメートレンズ、13,14…ミラー、20…空間光変調器、21…駆動部、22…制御部、30…集光光学系、40…遮蔽部材、50…4f光学系、51,52…レンズ、53…遮蔽部材、54…ミラー、55…ダンパ、60…移動部、90…加工対象物、91…加工領域。
【発明を実施するための最良の形態】
【0069】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0070】
(第1実施形態)
【0071】
[レーザ加工装置1の構成]
先ず、本発明に係る光照射装置および光照射方法の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係るレーザ加工装置1の構成を示す図である。この図に示されるレーザ加工装置1は、加工対象物90における加工領域91に対してレーザ光を集光照射して該加工対象物90を加工する装置であって、レーザ光源10、スペイシャルフィルタ11、コリメートレンズ12、ミラー13、ミラー14、空間光変調器20、駆動部21、制御部22、集光光学系30および遮蔽部材40を備える。
【0072】
レーザ光源10は、加工対象物90の加工領域91に照射されるべきレーザ光を出力するものであり、好適にはフェムト秒レーザ光源やNd:YAGレーザ光源などのパルスレーザ光源である。このレーザ光源10から出力されたレーザ光は、スペイシャルフィルタ11を経た後、コリメートレンズ12によりコリメートされ、ミラー13およびミラー14により反射されて、空間光変調器20に入力される。
【0073】
空間光変調器20は、位相変調型のものであって、レーザ光源10から出力されたレーザ光を入力し、2次元配列された複数の画素それぞれにおいてレーザ光の位相を変調するホログラムを呈示して、その位相変調後のレーザ光を出力する。この空間光変調器20において呈示される位相ホログラムは、数値計算により求められたホログラム(CGH: Computer Generated Hologram)であるのが好ましい。
【0074】
この空間光変調器20は、反射型のものであってもよいし、透過型のものであってもよい。反射型の空間光変調器20としては、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)型、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)型および光アドレス型の何れであってもよい。また、透過型の空間光変調器20としてはLCD(Liquid Crystal Display)等であってもよい。図1では、空間光変調器20として反射型のものが示されている。
【0075】
駆動部21は、空間光変調器20の2次元配列された複数の画素それぞれにおける位相変調量を設定するものであり、その画素毎の位相変調量設定のための信号を空間光変調器20に与える。駆動部21は、空間光変調器20の2次元配列された複数の画素それぞれにおける位相変調量を設定することで、空間光変調器20にホログラムを呈示させる。
【0076】
集光光学系30は、空間光変調器20の後段に設けられていて、空間光変調器20において画素毎に位相変調されて出力されたレーザ光を入力する。特に、この集光光学系30は、空間光変調器20から出力されたレーザ光をフーリエ変換するレンズを含む。そのフーリエ変換像は、フーリエ変換レンズの後焦点面に形成される。
【0077】
制御部22は、例えばコンピュータで構成され、駆動部21の動作を制御することで、駆動部21から空間光変調器20へホログラムを書き込ませる。このとき、制御部22は、空間光変調器20から出力されたレーザ光を集光光学系30により複数個の集光位置に集光させるホログラムを空間光変調器20に呈示させる。
【0078】
特に、本実施形態では、制御部22は、空間光変調器20に複数のホログラムを順次に呈示させる。そして、制御部22は、複数のホログラムそれぞれが提示された空間光変調器20から出力されたレーザ光を、集光光学系30により一定数であるM個の集光位置に集光させ、これらM個の集光位置のうちN個の集光位置を加工領域91に選択的に配置させて、加工対象物90を加工する。ただし、Mは2以上の整数であり、Nは1以上M以下の整数である。上記N個の集光位置が配置される加工領域91は、加工対象物90の表面だけでなく加工対象物90の内部も含まれる。
【0079】
遮蔽部材40は、集光光学系30による上記M個の集光位置のうち上記N個の集光位置を除く(M−N)個の集光位置を加工対象物90に配置させないようレーザ光を遮蔽するものである。
【0080】
図2〜図4それぞれは、第1実施形態に係るレーザ加工装置1において制御部22により駆動部21から空間光変調器20へホログラムを書き込ませる態様を説明する図である。
【0081】
図2に示される第1の態様では、制御部22は、中央処理部221,通信部222および記憶部223を含む。中央処理部221は、空間光変調器20に呈示させるべき複数のホログラムCGH1〜CGH3のデータを予め作成して、これを記憶部223に記憶させておく。空間光変調器20にホログラムを呈示させるときには、中央処理部221は、記憶部223からホログラムのデータを読み出して、その読み出したホログラムのデータを通信部222へ送り、通信部222は、そのホログラムのデータを駆動部21の処理部211へ送る。そして、駆動部21の処理部211は、制御部22から受け取ったホログラムのデータを空間光変調器20へ送り、空間光変調器20にホログラムを呈示させる。
【0082】
図3に示される第2の態様では、駆動部21の記憶部213が、空間光変調器20に呈示させるべき複数のホログラムCGH1〜CGH3のデータを予め記憶しておく。空間光変調器20にホログラムを呈示させるときには、制御部22は、駆動部21に対して、記憶部213に記憶されているホログラムのデータを指定し、その指定したホログラムのデータを空間光変調器20へ送らせて、空間光変調器20にホログラムを呈示させる。
【0083】
図4に示される第3の態様では、制御部22に含まれる記憶部223は、集光光学系30によりレーザ光が集光されるときの集光位置の所望パターン1〜3のデータを予め記憶しておく。空間光変調器20にホログラムを呈示させるときには、中央処理部221は、記憶部223から所望パターンのデータを読み出して、その読み出した所望パターンを再生し得るホログラムを作成し、そのホログラムのデータを通信部222へ送り、通信部222は、そのホログラムのデータを駆動部21の処理部211へ送る。そして、駆動部21の処理部211は、制御部22から受け取ったホログラムのデータを空間光変調器20へ送り、空間光変調器20にホログラムを呈示させる。
【0084】
図2〜図4に示された何れの態様においても、集光位置の所望パターンからホログラムを作成するに際して、フーリエ変換型およびフレネルゾーンプレート型の何れの手法によりホログラムを作成してもよい。フーリエ変換型はGS法などのアルゴリズムによりホログラムを作成することができ、フレネルゾーンプレート型はORA(optimal-rotation-angle)法などのアルゴリズムによりホログラムを作成することができる。
【0085】
なお、GS法については文献「R. W. Gerchberg and W. O.Saxton, "Apractical algorithm for the determination of phase from imageand diffractionplane pictures", Optik, Vol.35, pp.237-246 (1972).」に記載されている。また、ORA法については文献「Jorgen Bengtsson, "Kinoform designwith anoptimal-rotation-angle method", Applied Optics, Vol.33,No.29,pp.6879-6884 (1994).」に記載されている。
【0086】
[レーザ加工方法]
次に、第1実施形態に係るレーザ加工装置1の動作および第1実施形態に係るレーザ加工方法について、比較例と対比しつつ説明する。ここでは、"H","P" および "K"のアルファベット3文字を多点表示するように加工対象物90の加工領域91にレーザ光を集光照射して該加工対象物90を加工するものとする。
【0087】
[レーザ加工方法、比較例]
図5は、比較例のレーザ加工方法を説明する図である。同図(a)〜(c)それぞれにおいて丸印はレーザ光集光位置を示している。同図(a)は、文字"H"を加工するためレーザ光が12点の集光位置に照射される様子を示している。同図(b)は、文字"P"を加工するためレーザ光が11点の集光位置に照射される様子を示している。また、同図(c)は、文字"K"を加工するためレーザ光が10点の集光位置に照射される様子を示している。
【0088】
この比較例では、最初に "H"の文字を加工できるようなホログラムが空間光変調器に呈示され、次に "P"の文字を加工できるようなホログラムが空間光変調器に呈示され、最後に "K"の文字を加工できるようなホログラムが空間光変調器に呈示される。このように、"H","P"および "K"の順に1文字ずつ加工する場合には、文字によってレーザ光集光位置の個数が異なるので、文字によって各集光位置のレーザ光照射エネルギーが異なり、それ故、文字によって加工ムラが生じてしまう。
【0089】
これに対して、本実施形態では、複数のホログラムそれぞれが提示された空間光変調器20から出力されたレーザ光は、集光光学系30により一定数であるM個の集光位置に集光され、これらM個の集光位置のうちN個の集光位置が加工領域91に選択的に配置されて、加工対象物90が加工される。遮蔽部材40により、残りの(M−N)個の集光位置は加工対象物90に配置されない。
【0090】
[レーザ加工方法、第1態様]
図6は、第1実施形態に係るレーザ加工方法の第1態様を説明する図である。同図(a)は、文字 "H"を加工するためレーザ光が加工領域91内の12点の集光位置に照射される様子を示している。同図(b)は、文字"P"を加工するためレーザ光が加工領域91内の11点の集光位置に照射されるとともに、遮蔽部材40上の1点の集光位置に照射される様子を示している。また、同図(c)は、文字"K"を加工するためレーザ光が加工領域91内の10点の集光位置に照射されるとともに、遮蔽部材40上の2点の集光位置に照射される様子を示している。
【0091】
すなわち、この第1態様では、"H","P"および "K"それぞれに対応するホログラムが順次に提示された空間光変調器20から出力されたレーザ光は、集光光学系30により一定数である12個(M個)の集光位置に集光される。そして、"H"の文字を加工する際には、12個(M個)の集光位置の全てが加工領域91に選択的に配置されて加工対象物90が加工される(同図(a))。"P"の文字を加工する際には、12個(M個)の集光位置のうち11個(N個)の集光位置が加工領域91に選択的に配置されて加工対象物90が加工される(同図(b))。また、"K"の文字を加工する際には、12個(M個)の集光位置のうち10個(N個)の集光位置が加工領域91に選択的に配置されて加工対象物90が加工される(同図(c))。なお、図6において、加工対象物90の文字"H"の部分(文字"H","P","K"のうち加工のために必要な集光位置の個数が最も多い部分であり、特許請求の範囲における「所定部分」に相当する。)を加工するための集光位置の個数の最大値Lは12個であり、これは、レーザ光の集光位置の合計個数Mと等しい。ただし、Lは整数である。
【0092】
このように、"H","P" および "K"の順に1文字ずつ加工する場合であっても、文字によらずレーザ光集光位置の個数が12個と一定であるので、文字によらず各集光位置のレーザ光照射エネルギーが略一定となり、それ故、文字によらず加工ムラが抑制され得る。
【0093】
[レーザ加工方法、第1態様の別態様]
図24は、上述した第1態様の別態様を説明する図である。図6を参照しながら説明した第1態様と比べると、図24(c)においては、文字"K"を加工するためのレーザ光が加工領域91内の10点の集光位置に照射されることまでは同じであるが、遮蔽部材40上においてはレーザ光が1点の集光位置のみに照射される点で相違する。ただし、遮蔽部材40上の1点の集光位置に照射されるレーザ光の強度が異なっており、例えば図24(c)の遮蔽部材40上の1点の集光位置に照射されるレーザ光の強度は図6(c)の遮蔽部材40上の2点の集光位置にそれぞれ照射されるレーザ光の強度の約2倍である。つまり、遮蔽部材40上の集光位置に照射されるレーザ光の強度が可変である。なお、図24(後述する図25も同様)では、説明の便宜のため、レーザ光の強度の違いを白丸印の大きさに比例して表現している。このような強度の異なるCGHは、例えばGS法では、ターゲットパターンの振幅に差をつけることにより作成することができる。
【0094】
遮蔽部材40上に照射するレーザ光の強度を強くすることに限らず、図25(c)に示すように遮蔽部材40上に照射するレーザ光の強度を低くしてもよい。これは、例えば、レーザ光の強度が強いことにより、遮蔽部材40自体が加工されてしまうことを防止するために行われる。なお、図25は第1態様の別態様を説明する図であって、図6の第1態様と比べると、図25(c)において、レーザ光が遮蔽部材40上の4点の集光位置に照射される点で相違する。ただし、図25(c)において遮蔽部材40上の4点の集光位置にそれぞれ照射されるレーザ光の強度は、図6(c)の遮蔽部材40上の2点の集光位置にそれぞれ照射されるレーザ光の強度の約0.5倍であり、この強度は遮蔽部材40が加工される閾値より低いものである。
【0095】
[レーザ加工方法、第2態様]
図7は、第1実施形態に係るレーザ加工方法の第2態様を説明する図である。同図(a)は、文字 "H"を加工するためレーザ光が加工領域91内の12点の集光位置に照射されるとともに、遮蔽部材40上の3点の集光位置に照射される様子を示している。同図(b)は、文字"P"を加工するためレーザ光が加工領域91内の11点の集光位置に照射されるとともに、遮蔽部材40上の4点の集光位置に照射される様子を示している。また、同図(c)は、文字"K"を加工するためレーザ光が加工領域91内の10点の集光位置に照射されるとともに、遮蔽部材40上の5点の集光位置に照射される様子を示している。
【0096】
すなわち、この第2態様では、"H","P"および "K"それぞれに対応するホログラムが順次に提示された空間光変調器20から出力されたレーザ光は、集光光学系30により一定数である15個(M個)の集光位置に集光される。そして、"H"の文字を加工する際には、15個(M個)の集光位置のうち12個(N個)の集光位置が加工領域91に選択的に配置されて加工対象物90が加工される(同図(a))。"P"の文字を加工する際には、15個(M個)の集光位置のうち11個(N個)の集光位置が加工領域91に選択的に配置されて加工対象物90が加工される(同図(b))。また、"K"の文字を加工する際には、15個(M個)の集光位置のうち10個(N個)の集光位置が加工領域91に選択的に配置されて加工対象物90が加工される(同図(c))。
【0097】
このように、"H","P" および "K"の順に1文字ずつ加工する場合であっても、文字によらずレーザ光集光位置の個数が15個と一定であるので、文字によらず各集光位置のレーザ光照射エネルギーが略一定となり、それ故、文字によらず加工ムラが抑制され得る。
【0098】
なお、図6に示されたレーザ加工方法の第1態様では、集光光学系30による集光位置の個数(M)は、"H","P" および "K"それぞれの文字を加工する上で必要な集光位置の個数の最大値である12(L)とされた。つまり、M=Lであった。これに対して、図7に示されたレーザ加工方法の第2態様では、集光光学系30による集光位置の個数(M)は、上記最大数12(L)より大きい15とされた。つまり、M>Lである。そして、第2態様では、M個(15個)の集光位置のうち最大値L個(12個)の集光位置を除く3個の集光位置が常に加工領域91に配置されないよう、つまり遮蔽部材40上に配置されるよう、制御部22がホログラムを空間光変調器22に呈示させる。後者の第2態様は、レーザ光源10から出力されるレーザ光の強度が大きい場合、各ホログラムによる集光位置の個数M(すなわち、各集光位置でのレーザ光照射エネルギーの大きさ)を適切に設定することができるので、好適である。何れの態様においても、"H","P" および "K"それぞれの文字を加工する際に、文字によらずレーザ光集光位置の個数が一定であるので、文字によらず各集光位置のレーザ光照射エネルギーが略一定となる。
【0099】
[レーザ加工方法、第3態様]
図8は、第1実施形態に係るレーザ加工方法の第3態様を説明する図である。同図(a)〜(c)それぞれにおいて、白丸印はレーザ光集光位置を示し、黒丸印は既に加工された位置を示している。ここでは、"H","T" および "V"のアルファベット3文字を多点表示するように加工対象物90の加工領域91にレーザ光を集光照射して該加工対象物90を加工するものとする。ただし、"H","T" および "V"の順に1文字ずつ加工するのではなく、最初に"H"および "T"それぞれの文字の一部を加工し、次に "H"および "T"それぞれの文字の残部を加工し、最後に"V"の文字の全てを加工する。
【0100】
この第3態様では、3つのホログラムが順次に提示された空間光変調器20から出力されたレーザ光は、集光光学系30により一定数である14個の集光位置に集光される。そして、"H"および "T"それぞれの文字の一部を加工する際には、14個の集光位置のうち8個の集光位置が加工領域91に選択的に配置されて加工対象物90が加工され、残りの6個の集光位置が遮蔽部材40上に配置される(同図(a))。"H"および "T"それぞれの文字の残部を加工する際には、14個の集光位置のうち12個の集光位置が加工領域91に選択的に配置されて加工対象物90が加工され、残りの2個の集光位置が遮蔽部材40上に配置される(同図(b))。また、"V"の文字を加工する際には、14個の集光位置のうち9個の集光位置が加工領域91に選択的に配置されて加工対象物90が加工され、残りの5個の集光位置が遮蔽部材40上に配置される(同図(c))。
【0101】
このように、"H","T" および "V"の順に1文字ずつ加工するのではなく所定の順番で加工する場合であっても、文字によらずレーザ光集光位置の個数が14個と一定であるので、文字によらず各集光位置のレーザ光照射エネルギーが略一定となり、それ故、文字によらず加工ムラが抑制され得る。この第3態様では、加工すべき文字によらず、レーザ光源10から出力されるレーザ光の強度に応じて、各ホログラムによる集光位置の個数(すなわち、各集光位置のレーザ光照射エネルギーの大きさ)を適切に設定することができる。
【0102】
[レーザ加工方法、第4態様]
図9は、第1実施形態に係るレーザ加工方法の第4態様を説明する図である。同図(a)〜(c)それぞれにおいて、白丸印はレーザ光集光位置を示し、黒丸印は既に加工された位置を示している。ここでは、"H"のアルファベット1文字を多点表示するように加工対象物90の加工領域91にレーザ光を集光照射して該加工対象物90を加工するものとする。また、最初に"H"の文字の一部を加工し、次に "H"文字の更に他の一部を加工し、最後に "H"の文字の残部を加工する。
【0103】
この第4態様では、3つのホログラムが順次に提示された空間光変調器20から出力されたレーザ光は、集光光学系30により一定数である8個の集光位置に集光される。そして、"H"の文字の一部を加工する際には、8個の集光位置のうち6個の集光位置が加工領域91に選択的に配置されて加工対象物90が加工され、残りの2個の集光位置が遮蔽部材40上に配置される(同図(a))。"H"文字の更に他の一部を加工する際には、8個の集光位置の全てが加工領域91に選択的に配置されて加工対象物90が加工される(同図(b))。また、"H"の文字の残部を加工する際には、8個の集光位置のうち3個の集光位置が加工領域91に選択的に配置されて加工対象物90が加工され、残りの5個の集光位置が遮蔽部材40上に配置される(同図(c))。
【0104】
このように、"H"の1文字を3回に分けて加工する場合であっても、各回につきレーザ光集光位置の個数が8個と一定であるので、各回の各集光位置のレーザ光照射エネルギーが略一定となり、それ故、各回の加工ムラが抑制され得る。この第4態様でも、加工すべき文字によらず、レーザ光源10から出力されるレーザ光の強度に応じて、各ホログラムによる集光位置の個数(すなわち、各集光位置のレーザ光照射エネルギーの大きさ)を適切に設定することができる。
【0105】
[ホログラム作成方法]
次に、第1実施形態に係るレーザ加工装置1および第1実施形態に係るレーザ加工方法におけるホログラム作成方法について説明する。図10は、第1実施形態におけるホログラム作成方法のフローチャートである。
【0106】
各回の加工内容がまだ決定されていない場合(ステップS11でNo)には、各回の加工の際の加工領域91におけるレーザ光集光位置の個数のうちの最大値である最大加工点数を決定して(ステップS12)、ステップS16へ進む。各回の加工内容が既に決定している場合(ステップS11でYes)であって、最大加工点数が既知である場合(ステップS13でYes)には、ステップS16へ進む。
【0107】
また、各回の加工内容が既に決定している場合(ステップS11でYes)であって、最大加工点数が既知でない場合(ステップS13でNo)には、遮蔽部材40に集光される不要光が無いとして、各回の加工の際の加工領域91におけるレーザ光集光位置の個数のうちの最大値である最大加工点数を調べ(ステップS14)、その最大加工点数を適用した場合における各集光位置におけるレーザ光の強度が問題なければ(ステップS15でYes)、ステップS16へ進む。最大加工点数を適用した場合における各集光位置におけるレーザ光の強度が大きい又は小さくて問題あれば(ステップS15でNo)、最大加工点数を変更して(ステップS17)、ステップS16へ進む。
【0108】
そして、ステップS16では、最大加工点数(すなわち、各回の加工の際のるレーザ光集光位置の総数)にあわせて所望パターンを設定して、GS法やORA法を用いて計算機ホログラムを作成する。このホログラムにより再生される集光位置は、加工領域91に集光されるものを含み、必要に応じて遮蔽部材40上に集光されるものをも含む。
【0109】
[ホログラム修正方法]
上記のようにして作成された各ホログラムを空間光変調器20に呈示させて、空間光変調器20により位相変調されて出力されたレーザ光を集光光学系30によりM個の集光位置に集光させた場合に、実際には、各集光位置におけるレーザ光の強度が一定でない場合があり得る。このような場合、上記のようにして作成されたホログラムに対してフィードバックを行って修正する必要がある。図11は、第1実施形態におけるホログラム修正方法のフローチャートである。
【0110】
ホログラムを修正するには、ホログラムを空間光変調器20に呈示させて、空間光変調器20により位相変調されて出力されたレーザ光を集光光学系30により複数の集光位置に集光させ(ステップS21)、各集光位置におけるレーザ光の強度をCCD(Charged Coupled Device)により測定する(ステップS22)。測定された各集光位置におけるレーザ光の強度が所望どおりであれば(ステップS23でYes)、これで終了する。一方、測定された各集光位置におけるレーザ光の強度が所望どおりでなければ(ステップS23でNo)、測定された各集光位置の何れかの基準点の強度Ibaseを決定し(ステップS24)、これに合わせて所望パターンにおける各集光位置で再生されるべきレーザ光の振幅を変更して(ステップS25)、計算機ホログラムを再び作成する(ステップS26)。
【0111】
ステップS22で測定された各集光位置におけるレーザ光の強度をIとする。ステップS25では、ステップS24で決定された基準点の強度Ibaseと各集光位置の強度Iとの比(=I/Ibase)を求め、当初のパターンにおいて基準とした点の階調をtbaseとして、修正後の各点の階調tnを「t=tbase(Ibase/I)1/2」なる式で求める。そして、ステップS26では、修正後の各点の階調tnに基づいて、GS法で計算機ホログラムを再び作成する。
【0112】
なお、ORA法のフィードバックについては文献「Hidetomo Takahashi,Satoshi Hasegawa, andYoshio Hayasaki, "Holographic femtosecond laserprocessing usingoptimal-rotation-angle method with compensation of spatialfrequency response ofliquid crystal spatial frequency response of liquidcrystal spatial light modulator."Applied Optics, Vol.46, Issue 23, pp.5917-5923.」に記載されている。
【0113】
このようなフィードバックによるホログラムの修正は、各回の加工の際の加工領域91におけるレーザ光集光位置でのレーザ光強度を意図的に不均一とする場合にも適用することができる。
【0114】
ところで、第1実施形態に係るレーザ加工装置1および第1実施形態に係るレーザ加工方法においては、図12に示されるように、加工対象物90の内部を加工する場合に、集光光学系30により集光されて集光位置へ向うレーザ光のうち一部が遮蔽部材40により遮断される事態も生じ得る。集光光学系30としてNAが大きい対物レンズが用いられる場合や、集光位置が加工対象物90の内部の深いところである場合には、このような事態が生じ易い。このような事態が生じると、集光位置におけるレーザ光の強度が低下する一方、遮蔽部材40が破壊される危険もある。このような事態を回避するには、以下に説明する第2〜第4の各実施形態の構成を採用するのが好ましい。
【0115】
(第2実施形態)
【0116】
次に、本発明に係る光照射装置および光照射方法の第2実施形態について説明する。図13は、第2実施形態に係るレーザ加工装置2の構成を示す図である。図1に示された第1実施形態に係るレーザ加工装置1の構成と比較すると、この図13に示される第2実施形態に係るレーザ加工装置2は、遮蔽部材40に替えて、レンズ51,レンズ52および遮蔽部材53を備える点で相違する。
【0117】
レンズ51およびレンズ52は、空間光変調器20と集光光学系30との間に設けられていて、4f光学系50を構成している。遮蔽部材53は、これら第1レンズ51と第2レンズ52との間に設けられている。この遮蔽部材53は、集光光学系30によるM個の集光位置のうち加工領域91に配置されるべきN個の集光位置を除く(M−N)個の集光位置を加工領域91に配置させないようレーザ光を遮蔽する。
【0118】
この構成では、4f光学系50内の遮蔽部材53により不要光(加工領域91に到達すべきレーザ光を除く光)を遮断することができるので、加工領域91に配置されるべきN個の集光位置へ到達するレーザ光の一部を遮断してしまう可能性を小さくすることが可能となる。また、4f光学系50のレンズ51,52のNAを集光光学系30のNAより小さくすることで、遮蔽部材53における集光スポット径を大きくすることができる。これにより、遮蔽部材53におけるパワー密度が小さくなり、遮蔽部材53が破壊されることを防ぐことができる。
【0119】
本実施形態でも、複数のホログラムそれぞれが提示された空間光変調器20から出力されたレーザ光は、集光光学系30により一定数であるM個の集光位置に集光され、これらM個の集光位置のうちN個の集光位置が加工領域91に選択的に配置されて、加工対象物90が加工される。遮蔽部材53により、残りの(M−N)個の集光位置は加工対象物90に配置されない。各回につきレーザ光集光位置の個数が一定数Mであるので、各回の各集光位置のレーザ光照射エネルギーが略一定となり、それ故、各回の加工ムラが抑制され得る。
【0120】
(第3実施形態)
【0121】
次に、本発明に係る光照射装置および光照射方法の第3実施形態について説明する。図14は、第3実施形態に係るレーザ加工装置3の構成を示す図である。図13に示された第2実施形態に係るレーザ加工装置2の構成と比較すると、この図14に示される第3実施形態に係るレーザ加工装置3は、遮蔽部材53に替えてミラー54およびダンパ55を備える点で相違する。
【0122】
ミラー54は、4f光学系50を構成する第1レンズ51と第2レンズ52との間に設けられている。このミラー54は、集光光学系30によるM個の集光位置のうち加工領域91に配置されるべきN個の集光位置を除く(M−N)個の集光位置を加工領域91に配置させないようレーザ光を反射させる。ダンパ55は、ミラー54により反射されたレーザ光を入力し、このレーザ光を吸収する。
【0123】
この構成では、ミラー54により反射されてダンパ55に到達する不要光(加工領域91に到達すべきレーザ光を除く光)のパワー密度が小さくなり、不要光により遮光部材やフィルタが加工されることを防ぐことができる。
【0124】
本実施形態でも、複数のホログラムそれぞれが提示された空間光変調器20から出力されたレーザ光は、集光光学系30により一定数であるM個の集光位置に集光され、これらM個の集光位置のうちN個の集光位置が加工領域91に選択的に配置されて、加工対象物90が加工される。ミラー54により、残りの(M−N)個の集光位置は加工対象物90に配置されない。各回につきレーザ光集光位置の個数が一定数Mであるので、各回の各集光位置のレーザ光照射エネルギーが略一定となり、それ故、各回の加工ムラが抑制され得る。
【0125】
(第4実施形態)
【0126】
次に、本発明に係る光照射装置および光照射方法の第4実施形態について説明する。図15は、第4実施形態に係るレーザ加工装置の構成の一部を示す図である。この第4実施形態に係るレーザ加工装置の全体構成は、図1に示されたものと略同様である。
【0127】
この第4実施形態では、制御部22は、集光光学系30によるM個の集光位置のうちN個の集光位置を加工領域91に配置させる一方、これらを除く(M−N)個の集光位置を加工領域91の外部の領域に配置させるよう、駆動部21を介して空間光変調器20にホログラムを呈示させる。加工領域91の外部の領域は、加工対象物90の外部の空間である。
【0128】
図15は、上記外部の領域が加工領域91の上部の空間である場合を示す。図15に示されるように、加工対象物90の加工領域91の集光位置Pにレーザ光が集光されて、この集光位置Pが加工される。一方、加工対象物90の上部の空間の集光位置Pにもレーザ光が集光されるが、これは加工対象物90の加工に寄与しない。なお、図15において、集光位置Pにおけるレーザ光(不要光)の強度は、加工対象物90の加工しきい値以下でも以上であってもよいが、加工対象物90や加工機内部あるいは外部の他機器に影響のないようにする必要がある。
【0129】
図26および図27は、上記外部の領域が加工領域91の側部の空間である場合を示す。図26および図27に示されるように、加工対象物90の加工領域91の集光位置Pにレーザ光が集光されて、この集光位置Pが加工される。一方、加工対象物90の側部の空間の集光位置Pにもレーザ光が集光されるが、これは加工対象物90の加工に寄与しない。なお、図26に示されるように集光位置Pと集光位置Pが同一の平面上に存在してもよく(つまりHとHが同一)、図27に示されるように集光位置Pと集光位置Pが異なる平面上に存在してもよい(つまりHとHが相違)。なお、H、H、H等は、加工対象物90の底面からの高さを表す。
【0130】
また、図26および図27において、集光位置Pにおけるレーザ光(不要光)の強度は、加工対象物90の加工しきい値以下でも以上であってもよいが、加工対象物90や加工機内部あるいは外部の他機器に影響のないようにする必要がある。なお、言うまでもないが、このような不要光の配置は制御部22がホログラムを空間光変調器20に呈示させることにより行われるものである。
【0131】
本実施形態でも、複数のホログラムそれぞれが提示された空間光変調器20から出力されたレーザ光は、集光光学系30により一定数であるM個の集光位置に集光され、これらM個の集光位置のうちN個の集光位置が加工領域91に選択的に配置されて、加工対象物90が加工される。残りの(M−N)個の集光位置は加工対象物90に配置されない。各回につきレーザ光集光位置の個数が一定数Mであるので、各回の各集光位置のレーザ光照射エネルギーが略一定となり、それ故、各回の加工ムラが抑制され得る。
【0132】
[第4実施形態の別態様]
以上まで、不要光を加工対象物90の加工とは関係の無い外部の領域(加工対象物90の上部または側部)に配置することについて説明したが、レーザ光が集光照射されても当該加工対象物90の加工に影響が及ばない領域(以下、「非影響領域A」と記載)を加工対象物90内に設けた場合には、当該非影響領域Aを不要光の配置場所として用いることができる。
【0133】
図28および図29は、加工対象物90内に非影響領域Aを設けた様子を示す。図28および図29に示されるように、加工対象物90の加工領域91の集光位置Pにレーザ光が集光されて、この集光位置Pが加工される。一方、加工対象物90内に設けられた非影響領域Aの集光位置Pにもレーザ光が集光され、この集光位置Pも加工はされるが、これは加工対象物90全体としての加工に寄与するものではない。なお、図28に示されるように集光位置Pと集光位置Pが同一の平面に存在してもよく(つまりHとHが同一)、図29に示されるように集光位置Pと集光位置Pが多次元の平面に存在してもよい(つまりHとHが相違)。なお、H、H、H等は、加工対象物90の底面からの高さを表す。言い換えれば、非影響領域Aを加工対象の集光位置Pと同一の平面上に設けてもよく、異なる平面上に設けてもよい。なお、加工完了後には、この非影響領域Aを適宜切り離して廃棄してもよい。
【0134】
また、図28および図29において、集光位置Pにおけるレーザ光(不要光)の強度は、加工対象物90の加工しきい値以下でも以上であってもよいが、加工対象物90の非影響領域A以外の部分に影響のないようにする必要がある。なお、言うまでもないが、このような不要光の配置は制御部22がホログラムを空間光変調器20に呈示させることにより行われるものである。
【0135】
(第5実施形態)
【0136】
次に、本発明に係る光照射装置および光照射方法の第5実施形態について説明する。図16は、第5実施形態に係るレーザ加工装置5の構成を示す図である。図1に示された第1実施形態に係るレーザ加工装置1の構成と比較すると、この図16に示される第5実施形態に係るレーザ加工装置5は、移動部60を更に備える点で相違する。
【0137】
移動部60は、加工対象物90を相対的に移動させる。その移動の方向は、集光光学系30の光軸に対して垂直な方向であるのが好ましい。制御部22は、駆動部21を介して空間光変調器20に複数のホログラムを順次に呈示させるとともに、移動部60により加工対象物90を相対的に移動させる。
【0138】
次に、第5実施形態に係るレーザ加工装置5の動作および第5実施形態に係るレーザ加工方法について説明する。図17は、第5実施形態に係るレーザ加工方法を説明する図である。同図(a)〜(c)それぞれにおいて、白丸印はレーザ光集光位置を示し、黒丸印は既に加工された位置を示している。また、同図(a)〜(c)と加工が進むに従い加工対象物90は右方へ移動するものとする。
【0139】
この例では、3つのホログラムが順次に提示された空間光変調器20から出力されたレーザ光は、集光光学系30により一定数である9個の集光位置に集光される。同図(a)では、9個の集光位置のうち2個の集光位置が加工領域91に選択的に配置されて加工対象物90が加工され、残りの7個の集光位置が遮蔽部材40上に配置される。同図(a)から加工対象物90が右方へ一定距離だけ移動した同図(b)では、9個の集光位置の全てが加工領域91に選択的に配置されて加工対象物90が加工される。同図(b)から加工対象物90が右方へ更に一定距離だけ移動した同図(c)では、9個の集光位置のうち2個の集光位置が加工領域91に選択的に配置されて加工対象物90が加工され、残りの7個の集光位置が遮蔽部材40上に配置される。
【0140】
本実施形態でも、複数のホログラムそれぞれが提示された空間光変調器20から出力されたレーザ光は、集光光学系30により一定数であるM個の集光位置に集光され、これらM個の集光位置のうちN個の集光位置が加工領域91に選択的に配置されて、加工対象物90が加工される。残りの(M−N)個の集光位置は加工対象物90に配置されない。各回につきレーザ光集光位置の個数が一定数Mであるので、各回の各集光位置のレーザ光照射エネルギーが略一定となり、それ故、各回の加工ムラが抑制され得る。
【0141】
本実施形態では、移動部60により加工対象物90を移動させながら、その移動量に応じたホログラムを空間光変調器20に呈示させることができる。空間光変調器20の画素ピッチが固定であるので、空間光変調器20におけるレーザ光の回折角が限られていて、集光光学系30による集光位置の範囲が限られているが、本実施形態では、加工対象物90を移動させることにより、広い加工領域91において加工をすることができる。
【0142】
なお、本実施形態では、レーザ加工装置5に対して加工対象物90を移動させてもよいし、加工対象物90に対してレーザ加工装置5を移動させてもよい。また、レーザ加工装置5のうちでもミラー13、ミラー14、空間光変調器20、集光光学系30および遮蔽部材40を、集光光学系30の光軸に対して垂直な方向に移動させてもよい。
【0143】
(第6実施形態)
【0144】
次に、本発明に係る光照射装置および光照射方法の第6実施形態について説明する。上述した第1実施形態〜第5実施形態においては集光および加工の単位が「ドット(点)」であったのに対し、第6実施形態では集光および加工の単位が「ドット」ではなく「一定の面積を有するパターン」である点が相違する。なお、この「一定の面積を有するパターン」との語には、「線」も含まれるものとする。また、第6実施形態は、集光および加工の単位が「ドット」ではなく「一定の面積を有するパターン」であること以外は、基本的には上述した第1実施形態〜第5実施形態と同じであるため、以下では第1実施形態〜第5実施形態との相違点を中心に簡略に説明する。
【0145】
[レーザ加工装置1の構成]
第6実施形態に係るレーザ加工装置1の全体構成は、図1に示されたものと略同様である。ただし、制御部22の機能に相違点がある。すなわち、第6実施形態に係る制御部22は、空間光変調器20に複数のホログラムを順次に呈示させる。そして、制御部22は、複数のホログラムそれぞれが提示された空間光変調器20から出力されたレーザ光を、集光光学系30により「一定の面積を有するパターン」である面積Xの集光領域に集光させ、これら面積Xの集光領域のうち面積Yの集光領域を加工領域91に選択的に配置させて、加工対象物90を加工する。ただし、Xは正数であり、YはX以下の正数である。上記面積Yの集光領域が配置される加工領域91は、加工対象物90の表面だけでなく加工対象物90の内部も含まれる。
【0146】
[レーザ加工方法、第1実施形態の第1態様に対応]
上述した第1実施形態に係るレーザ加工方法の第1態様と同様のことが第6実施形態でも言える。図30はこれを説明するための図である。同図(a)は、文字 "H"を加工するためレーザ光が加工領域91内の面積Y1の集光領域(パターンh)に照射される様子を示している。同図(b)は、文字"P"を加工するためレーザ光が加工領域91内の面積Y2の集光領域(パターンp)に照射されるとともに、遮蔽部材40上の面積(X−Y2)の集光領域(パターンp1)に照射される様子を示している。また、同図(c)は、文字"K"を加工するためレーザ光が加工領域91内の面積Y3の集光領域(パターンk)に照射されるとともに、遮蔽部材40上の面積(X−Y3)の集光領域(パターンk1)に照射される様子を示している。ただし、Y1,Y2,Y3は加工領域91に選択的に配置される部分の面積(特許請求の範囲における面積Y)の一例であり、それらの大小関係はY1>Y2>Y3である。なお、Y1,Y2,Y3の大小関係をより分かりやすく例えると、上述した第1実施形態と関連付けて、例えば、面積Y1はドット12個分の面積であり、面積Y2はドット11個分の面積であり、面積Y3はドット10個分の面積であると仮定することができる。
【0147】
すなわち、この態様では、"H","P"および "K"それぞれに対応するホログラムが順次に提示された空間光変調器20から出力されたレーザ光は、集光光学系30により一定面積である面積Xの集光領域に集光される。そして、"H"の文字を加工する際には、面積Xの集光領域の全てが加工領域91に選択的に配置されて加工対象物90が加工される(すなわちX=Y1、同図(a))。"P"の文字を加工する際には、面積Xの集光領域のうち面積Y2の集光領域が加工領域91に選択的に配置されて加工対象物90が加工され、残りの面積(X−Y2)の集光領域は遮蔽部材40上に選択的に配置される(同図(b))。また、"K"の文字を加工する際には、面積Xの集光領域のうち面積Y3の集光領域が加工領域91に選択的に配置されて加工対象物90が加工され、残りの面積(X−Y3)の集光領域は遮蔽部材40上に選択的に配置される(同図(c))。
【0148】
なお、図30において、加工対象物90の文字"H"の部分(文字"H","P","K"のうち加工のために必要な集光領域の面積が最も大きい部分であり、特許請求の範囲における「所定部分」に相当する。)を加工するための集光領域の面積の最大値ZはY1と等しく、これは、レーザ光の集光領域の合計面積Xと等しい。ただし、Zは整数である。
【0149】
このように、"H","P" および "K"の順に1文字ずつ加工する場合であっても、文字によらずレーザ光の集光領域の合計面積がXと一定であるので、文字によらず各集光領域のレーザ光照射エネルギーが略一定となり、それ故、文字によらず加工ムラが抑制され得る。
【0150】
[第1実施形態〜第5実施形態の他の事項に対応]
以上により、集光および加工の単位が「ドット」ではなく「一定の面積を有するパターン」であることを踏まえた上で、第1実施形態に係るレーザ加工方法の第1態様と同様のことが第6実施形態でも言えることについて説明した。以上の説明を参酌すれば、第1実施形態の他の事項、つまり第1実施形態に係るレーザ加工方法の第1態様の別態様、レーザ加工方法の第2態様、レーザ加工方法の第3態様、レーザ加工方法の第4態様、ホログラム作成方法、ホログラム修正方法についても、集光および加工の単位が「ドット」ではなく「一定の面積を有するパターン」であることを踏まえた上で、同様のことが第6実施形態でも言えることが当業者ならば容易に理解できるであろう。同様に、以上の説明を参酌して、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態、第4実施形態の別態様、第5実施形態についても、集光および加工の単位が「ドット」ではなく「一定の面積を有するパターン」であることを踏まえた上で、同様のことが第6実施形態でも言えることが当業者ならば容易に理解できるであろう。
【0151】
ただし、第1実施形態〜第5実施形態の各説明において、「M」との記載は「X」に置き換え、「N」との記載は「Y」に置き換え、「L」との記載は「Z」に置き換え、「一定数であるM個の集光位置」との記載は「一定面積である面積Xの集光領域」に置き換え、「M個の集光位置のうちN個の集光位置」との記載は「面積Xの集光領域のうち面積Yの集光領域」に置き換え、「集光位置の個数の最大値L」との記載は「集光領域の面積の最大値Z」に置き換え、「M個の集光位置のうち加工領域91に配置されるべきN個の集光位置を除く(M−N)個の集光位置」との記載は「面積Xの集光領域のうち加工領域91に配置されるべき面積Yの集光領域を除く面積(X−Y)個の集光領域」に置き換えることが、容易な理解のために好ましい。
【0152】
(変形例)
【0153】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、第2〜第5の実施形態それぞれにおいて、第1実施形態において図2〜図4を用いて説明した空間光変調器20へのホログラムの書き込みについての第1〜第3の態様を適用してもよいし、第1実施形態において図6〜図9、図24,図25を用いて説明した各回の加工の際の集光位置の配置についての第1〜第4の態様を適用してもよい。
【0154】
第2〜第4の実施形態それぞれにおいても、第5実施形態と同様に、空間光変調器20に複数のホログラムを順次に呈示させるとともに、移動部により加工対象物90を相対的に移動させてもよい。
【0155】
また、第1実施形態における遮蔽部際40を備える構成、第2実施形態における4f光学系50および遮蔽部材53を備える構成、第3実施形態における4f光学系50およびミラー54を備える構成、ならびに、第4実施形態における不要な(M−N)個の集光位置を加工領域91の外部の領域に配置させる構成のうち、何れか2以上のものを併用してもよい。
【0156】
また、これらの変形例の全てを第6実施形態に適用できることは言うまでもない。すなわち、以上の変形例において、集光および加工の単位を「ドット」ではなく「一定の面積を有するパターン」としてもよい。
【実施例1】
【0157】
ここでは、初めに集光位置2点で加工し、その次に集光位置4点で加工する場合を想定する。比較例では、初めに集光位置の総数を2とし、次に集光位置の総数を4とする。これに対して、実施例1では、図18に示されるように、初めに加工領域91での集光位置を2点とするとともに遮蔽領域92での集光位置を3点とし、次に加工領域91での集光位置を4点とするとともに遮蔽領域92での集光位置を1点とする。
【0158】
図19は、比較例における各集光位置でのレーザ光強度を纏めた図表である。比較例では、2点で加工を行う場合と4点で加工を行う場合とで、加工のためのレーザ光の強度が異なることがわかる(例えば、点1について2200nWと1100nWなど)。光強度が変わってしまうので、均一な加工が難しい。図20は、実施例1における各集光位置でのレーザ光強度を纏めた図表である。実施例1では、加工領域91での集光位置の個数が変化しても、集光位置の総数が5個と一定であるので、各集光位置におけるレーザ光強度が略一定(905nW〜920nWの範囲内で略一定)であることがわかる。
【実施例2】
【0159】
実施例2は、上記実施例1と全て同一条件で行われるが、集光および加工の単位が「ドット」ではなく「一定の面積を有するパターン」であることに相違点がある。すなわち、実施例2では、図31に示されるように、初めに、加工領域91での集光領域を面積Y4の線状のパターンAとするとともに、遮蔽領域92での集光領域を面積(X−Y4)のパターンBとする(同図(a))。次に、加工領域91での集光領域を面積Y5の線状のパターンCとするとともに、遮蔽領域92での集光領域を面積(X―Y5)のパターンDとする(同図(b))。ただし、Y4,Y5は加工領域91に選択的に配置される部分の面積(特許請求の範囲における面積Y)の一例であり、それらの大小関係はY4<Y5である。なお、Y4,Y5の大小関係をより分かりやすく例えると、上述した実施例1と関連付けて、例えば、面積Y4はドット2個分の面積であり、面積Y5はドット4個分の面積であると仮定することができる。また、Xは上述したようにレーザ光の集光領域の合計面積(上記の例で言うとドット5個分の面積)であり、面積(X−Y4)のパターンBや面積(X−Y5)のパターンDの形状は何でもよい。
【0160】
図32は、実施例2における各集光領域でのレーザ光強度を纏めた図表である。実施例2では、加工領域91での集光領域の面積が変化しても、集光領域の合計面積が面積Xと一定であるので、各集光領域におけるレーザ光強度が略一定(910nW〜920nWの範囲内で略一定)であることがわかる。
【実施例3】
【0161】
加工対象物としてのガラスの内部にフェムト秒レーザ光を照射することにより屈折率を変化させることができる。この技術を応用することにより、ガラス内部に光導波路や3次元光回路など形成することができる。ガラス内部に光導波路や3次元的な光回路を形成しようとした場合、先に述べたように多点で加工することで、高速に作製することができる。しかしながら、ガラスの屈折率変化はフェムト秒レーザ光の強度によって変わる。
【0162】
例えば、図21に示されるようなY分岐の光導波路を形成する場合を想定する。この場合の加工対象物90は、ガラスであって、レーザ光照射によりY分岐形状の光導波路93〜95が形成される。
【0163】
空間光変調器を用いない比較例では、図22に示されるように、光導波路93および光導波路94が順次に形成され(同図(a))、その後に光導波路95が形成される(同図(b))。この比較例では、1点ずつ加工するので、長い加工時間を要する。
【0164】
第5実施形態のように加工対象物を移動させる場合には、高速な形成が可能となるものの、分岐前と分岐後とでは強度が異なってしまうので、分岐点を境に屈折率の変化が異なる。これを回避するためには、分岐前と分岐後とで入射光の光量を調整する必要がある。
【0165】
そこで、上記第5実施形態に相当する実施例では、図23に示されるように、常に2点が再生されているので、各集光位置でのレーザ光強度が略一定である。よって、Y分岐光導波路を高速かつ高精度に作製することができる。なお、以上で説明した実施例3において、集光および加工の単位を「ドット」ではなく「一定の面積を有するパターン」としてもよいことは言うまでもない。この場合には、図23において、各点が所定の面積を有するパターンとなる。
【産業上の利用可能性】
【0166】
加工領域におけるレーザ光の集光位置の個数が変動しても、あるいは加工領域におけるレーザ光の集光領域の面積が変動しても、各集光位置に照射されるレーザ光のエネルギーを略一定に維持することが容易にできる装置および方法を提供する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に対して光を集光照射する装置であって、
光を出力する光源と、
前記光源から出力された光を入力し、2次元配列された複数の画素それぞれにおいて前記光の位相を変調するホログラムを呈示して、その位相変調後の光を出力する位相変調型の空間光変調器と、
前記空間光変調器の後段に設けられた集光光学系と、
前記空間光変調器から出力された光を前記集光光学系により複数個の集光位置に集光させるホログラムを前記空間光変調器に呈示させる制御部と、
を備え、
前記制御部が、
前記空間光変調器に第1のホログラムを呈示させ、
前記第1のホログラムに対しフィードバックを行うことにより、前記第1のホログラムが修正され、
前記第1のホログラムの前記修正は、前記各集光位置に集光された光の強度を測定し、前記各集光位置の何れかの基準点における強度に基づき、反復フーリエ変換法で前記第1のホログラムを再び作成することにより第2のホログラムを作成し、前記第2のホログラムを前記空間光変調器に呈示することにより行われる、
ことを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
前記第2のホログラムの前記作成は、前記基準点における強度に合わせて、前記各集光位置で再生されるべき光の振幅を変更することにより行われる、
ことを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。
【請求項3】
前記各集光位置で再生されるべき光の前記振幅の前記変更は、前記基準点における強度と前記各集光位置における強度との比に基づいて行われる、
ことを特徴とする請求項2に記載の光照射装置。
【請求項4】
対象物に対して光を集光照射する方法であって、
光を出力する光源と、
前記光源から出力された光を入力し、2次元配列された複数の画素それぞれにおいて前記光の位相を変調するホログラムを呈示して、その位相変調後の光を出力する位相変調型の空間光変調器と、
前記空間光変調器の後段に設けられた集光光学系と、
前記空間光変調器から出力された光を前記集光光学系により複数個の集光位置に集光させるホログラムを前記空間光変調器に呈示させる制御部と、
を用いて、
前記制御部により、
前記空間光変調器に第1のホログラムを呈示させ、
前記第1のホログラムに対しフィードバックを行うことにより、前記第1のホログラムが修正され、
前記第1のホログラムの前記修正は、前記各集光位置に集光された光の強度を測定し、前記各集光位置の何れかの基準点における強度に基づき、反復フーリエ変換法で前記第1のホログラムを再び作成することにより第2のホログラムを作成し、前記第2のホログラムを前記空間光変調器に呈示することにより行われる、
ことを特徴とする光照射方法。
【請求項5】
前記第2のホログラムの前記作成は、前記基準点における強度に合わせて、前記各集光位置で再生されるべき光の振幅を変更することにより行われる、
ことを特徴とする請求項4に記載の光照射方法。
【請求項6】
前記各集光位置で再生されるべき光の前記振幅の前記変更は、前記基準点における強度と前記各集光位置における強度との比に基づいて行われる、
ことを特徴とする請求項5に記載の光照射方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−238012(P2012−238012A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−158964(P2012−158964)
【出願日】平成24年7月17日(2012.7.17)
【分割の表示】特願2009−541063(P2009−541063)の分割
【原出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、ナノテクノロジープログラム/三次元光デバイス高効率製造技術、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願。
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】