説明

光照射装置

【課題】液晶セルを用いて、偏向方向が相互に直交する2つの偏光成分を偏向させることにより、光照射方向を変えることができる光照射装置を提供する。
【解決手段】光照射装置は、第1、第2の光偏向液晶セルの積層構造を含む。第1の光偏向液晶セルは、液晶層と接するプリズム層と、液晶層とプリズム層との界面の液晶分子の長軸方向を、第1の方向に制御する配向構造とを含む。第2の光偏向液晶セルは、液晶層と接するプリズム層と、液晶層とプリズム層との界面の液晶分子の長軸方向を、第2の方向に制御する配向構造とを含む。第1の光偏向液晶セルを透過した光線のうち、電気ベクトルの振動方向が第1の方向と直交する偏光成分が、第2の光偏向液晶セルの液晶層とプリズム層との界面に到達したとき、当該偏光成分の電気ベクトルの振動方向と第2の方向とが平行になるように、第2の方向が選択されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射装置に関し、特に、液晶により光線の進行方向を偏向させる光偏向を行う光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具の一態様である車両用前照灯の光源として、例えばハロゲンランプなどの白熱電球、あるいはメタルハライドランプなどの高圧放電灯が知られている。
【0003】
近年、車両用前照灯の分野において、上述のような白熱電球や放電灯に替えて、発光ダイオード(LED)を光源として用いることが考えられている。LEDは、小型かつ軽量な光源であり、また、上記の従来の光源に対して高寿命かつ低消費電力であるので、新たな前照灯用光源として期待されている。
【0004】
ところで、車両用前照灯は、走行用配光とすれ違い用配光との2種類の配光を得ることが要求される。このような配光の切り替え方法には、例えば以下のような方法がある。
【0005】
第1の切り替え方法は、走行用配光に対応した光源とすれ違い用配光に対応した光源との2種類の光源を用いて、それぞれの配光に応じて光源を切り替えるものである。この方法は白熱電球を用いた前照灯でよく用いられている。
【0006】
また、第2の切り替え方法は、2種類の配光を切り替えるために可動式の遮光部を用いるものである。この方法は放電灯を用いた前照灯によく用いられている。
【0007】
しかしながら、これらの配光切り替え方法を用いた場合には、2種類の光源または可動式の遮光部を用意するため、前照灯全体としての構成要素が大きくかつ重量も嵩んでしまう。
【0008】
LED光源特有の利点を活用するための配光切り替え方法として、液晶光学素子を用いた方法が提案されている。例えば特許文献1は、一対の基板の一方の内面にプリズムを形成した液晶セルを用いて、光偏向を行う技術を開示する。電圧無印加状態と電圧印加状態とを切り替えて、液晶層の屈折率を切り替えることにより、光の進行方向を切り替える。
【0009】
【特許文献1】特開2006−147377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1が開示する技術では、同文献の図10や、明細書の段落[0053]、[0016]等に示されているように、液晶セルに入射する光線の、偏光方向が相互に直交する2つの偏光成分うち、一方の偏光成分しか偏向させることができない。液晶セルに入射する光線の両方の偏光成分を偏向させることができる技術が望まれる。
【0011】
本発明の一目的は、液晶セルを用いて、入射光線の両方の偏光成分を偏向させることにより、光照射方向を変えることができる光照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一観点によれば、光線が入射する第1の光偏向液晶セルであって、相互に対向する一対の第1及び第2の透明基板と、前記第1及び第2の透明基板上に形成され、前記第1及び第2の透明基板間に電圧を印加する一対の第1及び第2の透明電極と、前記第1及び第2の透明基板間に挟まれた第1の液晶層と、前記第1及び第2の透明基板の一方の前記第1の液晶層側内面上方に、該第1の液晶層と接するようにプリズムが形成された第1のプリズム層と、前記第1の液晶層と第1のプリズム層との界面の液晶分子の長軸方向を、第1の方向に制御する第1の配向構造とを含む第1の光偏向液晶セルと、前記第1の光偏向液晶セルを透過した光線が入射する第2の光偏向液晶セルであって、相互に対向する一対の第3及び第4の透明基板と、前記第3及び第4の透明基板上に形成され、前記第3及び第4の透明基板間に電圧を印加する一対の第3及び第4の透明電極と、前記第3及び第4の透明基板間に挟まれた第2の液晶層と、前記第3及び第4の透明基板の一方の前記第2の液晶層側内面上方に、該第2の液晶層と接するようにプリズムが形成された第2のプリズム層と、前記第2の液晶層と第2のプリズム層との界面の液晶分子の長軸方向を、第2の方向に制御する第2の配向構造とを含む第2の光偏向液晶セルと、前記第1〜第4の透明電極に電圧を印加する電圧印加手段と、前記第1の光偏向液晶セルに光線を入射させる入射光学系とを有し、前記第1の光偏向液晶セルを透過した光線のうち、電気ベクトルの振動方向が前記第1の方向と直交する偏光成分が、前記第2の液晶層と第2のプリズム層との界面に到達したとき、該偏光成分の電気ベクトルの振動方向と前記第2の方向とが平行になるように、該第2の方向が選択されている光照射装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
偏光方向が相互に直交する2つの偏光成分を、それぞれ、第1及び第2の光偏向液晶セルで偏向させることができる。第1の光偏向液晶セルで、電気ベクトルの振動方向が第1の方向に平行な偏光成分を偏向させることができ、第1の光偏向液晶セルで偏向されなかった偏光成分を、第2の光偏向液晶セルで偏向させることができる。印加電圧に応じて、偏向方向を変化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
まず、図1〜図3を参照して、本発明の実施例による第1及び第2の光偏向液晶セルの構成例及び作製方法について説明する。図1は、第1の(または第2の)光偏向液晶セルの概略断面図である。
【0015】
まず、第1の光偏向液晶セルについて説明する。表面に、透明電極が形成された一対の平板状のガラス基板(透明電極2が形成された下側ガラス基板1、及び、透明電極12が形成された上側ガラス基板11)を用意した。
【0016】
透明電極2、12は、それぞれ、例えば厚さ150nmであり、例えば酸化インジウムスズ(ITO)からなる。ガラス基板1、11の板厚は、それぞれ、例えば0.7mmtであり、ガラス材質は、例えば無アルカリガラスである。実施例では、透明電極2、12として、ベタパタンのものを用いたが、必要に応じてパタニングされたものを用いることができる。
【0017】
片側のガラス基板の透明電極上に(下側ガラス基板1の透明電極2上に)、プリズム層3を形成した。プリズム層3は、平板状のベース層3b上に、頂角45度、底角が45度及び90度の三角柱状のプリズム3aが、プリズム3aの長さ方向と直交する方向に並んだ形状を有する。
【0018】
図2に、プリズム層3の概略斜視図を示す。図3に、光偏向液晶セルの概略平面図を示す。多数の細長いプリズム3aが、ストライプ状に配置されている。ガラス基板1上のプリズム層3の形成されている領域は、実施例ではカマボコ型であり、その寸法は、例えば、プリズム3aの並ぶ方向(図3の横方向、カマボコ型の底辺方向)が80mmであり、プリズム3aの長さ方向(図3の縦方向、カマボコ型の高さ方向、ただし出っ張りを含まない直線部分の寸法)が50mmである。
【0019】
図1に示すように、ベース層3bの厚さは、例えば20μm〜40μmである。プリズム3aの高さは、例えば20μmであり、プリズム3aの幅(隣り合うプリズム3a間のピッチ)は、例えば20μmである。
【0020】
プリズム層3の作製方法について説明する。下側ガラス基板1の透明電極2上に、所定量の紫外(UV)硬化性樹脂(例えばロックタイト製376L)を滴下し、その上の所定位置に、プリズム3aに対応する型が形成された金型を置き、厚手の石英部材などを基板の裏側に配置して補強した状態でプレスを行った。なお、金型にはエア抜き用の微小な溝を形成してもよい。また、真空中で重ね合わせてもよい。
【0021】
プレス後、1分以上放置した後、下側ガラス基板1の裏側(UV硬化性樹脂層と反対側)から紫外線を照射し、UV硬化性樹脂を硬化させた。紫外線の照射量は、例えば500mJ/cmである。紫外線の照射量は、樹脂が硬化するように、適宜設定すればよい。なお、ITOは紫外線を吸収するため、透明電極の膜厚が変われば必要な紫外線照射量も変わるであろう。
【0022】
プリズム層3に、ラビング処理を行った。第1の光偏向液晶セルでは、液晶分子の長軸方向が、プリズム3aの長さ方向と平行に制御されるように、ラビング方向を、プリズム3aの長さ方向と平行にする。
【0023】
もう一方のガラス基板の透明電極上に(上側ガラス基板11の透明電極12上に)、例えばポリイミドからなる配向膜13を形成した。実施例では、日産化学製のSE−410からなる膜を、フレキソ印刷法で厚さ80nm形成して、180℃で1.5時間焼成を行った。焼成後、配向膜13にラビング処理を行った。配向膜13のラビング方向は、両ガラス基板を重ね合わせてセルを形成したとき、プリズム層3のラビング方向に対してアンチパラレルとなるように定められる。
【0024】
次に、下側のガラス基板1上に、ギャップコントロール剤を2wt%〜5wt%含んだメインシール剤を形成した。形成方法として、例えば、スクリーン印刷やディスペンサが用いられる。プリズム3aの頂点から配向膜13までの、液晶層21の厚さが、例えば5μm〜30μmとなるように、ギャップコントロール剤が選択される。
【0025】
メインシール剤中のギャップコントロール剤の径は、例えば45μm〜90μmとする。実施例では、積水化学製の径が75μmのプラスチックボールを選んだ。このプラスチックボールを、三井化学製のシール剤ES−7500に4wt%添加し、メインシール剤とした。
【0026】
上側のガラス基板上には、ギャップコントロール剤14を散布した。上側のガラス基板上のギャップコントロール剤14の径は、例えば10μm〜50μmとする。実施例では、積水化学製の径が15μmのプラスチックボールを、乾式のギャップ散布機を用いて散布した。
【0027】
次に、両ガラス基板1、11の重ね合わせを行い、プレス機などで圧力を一定に加えた状態で熱処理することにより、メインシール剤を硬化させた。実施例では、150℃で3時間の熱処理を行った。
【0028】
このようにして作製された空セルに、液晶を真空注入して、液晶層21を形成した。なお、下側の基板にはプリズム層3が形成されているので、液晶層21の厚さは位置により変化する。プリズムの谷近傍では、プリズムの山近傍よりも液晶層が厚くなる。なお、液晶の注入方法は真空注入に限らず、例えばOne Drop Fill(ODF)法を用いてもよい。
【0029】
実施例では、液晶として、Δεが正でΔn=0.298の大日本インキ化学工業製のものを用いた。電圧無印加状態で、液晶分子の長軸がガラス基板に平行な方向に沿い、電圧印加により、液晶分子の長軸がガラス基板の法線方向(上下基板の対向方向)に立ち上がる。
【0030】
液晶注入後、注入口にエンドシール剤を塗布し、封止した。封止後、120℃で1時間の熱処理を行い、液晶の配向状態を整えた。このようにして、第1の光偏向液晶セルを作製した。
【0031】
実施例に用いた液晶は、電気ベクトルの振動方向(光の振動方向)が液晶分子の長軸方向に平行な偏光成分に対して、屈折率1.823を示し、電気ベクトルの振動方向が液晶分子の長軸方向に垂直な偏光成分に対して、屈折率1.525を示す。
【0032】
プリズム層3を構成するUV硬化性樹脂の屈折率は、1.51であり、電気ベクトルの振動方向が液晶分子の長軸方向に垂直な偏光成分に対する液晶の屈折率と同等である。なお、第1の材料の屈折率と第2の材料の屈折率との差が、第1の材料の屈折率または第2の材料の屈折率に対して3%以内(より好ましくは2%以内)であるとき、両材料の屈折率が同等であるとする。
【0033】
次に、第2の光偏向液晶セルについて説明する。第2の光偏向液晶セルは、ラビング方向以外については第1の光偏向液晶セルと同様な構成のものであり、第1の光偏向液晶セルと同様な工程で作製される。
【0034】
図2に示すように、第1の光偏向液晶セルのプリズム層3上のラビング方向が、プリズム3aの長さ方向と平行であったのに対し、第2の光偏向液晶セルのプリズム層3上のラビング方向は、プリズム3aの並ぶ方向と平行(プリズム3aの長さ方向と直交)にする。すなわち、第2の光偏向液晶セルでは、液晶分子の長軸方向が、プリズム3aの並ぶ方向と平行に制御される。
【0035】
また、上側ガラス基板11上の配向膜13のラビング方向は、両ガラス基板を重ね合わせてセルを形成したとき、プリズム層3のラビング方向に対してアンチパラレルとなるように定められる。
【0036】
このように作製した第1及び第2の光偏向液晶セルを積層し、各液晶セルの電極を、印加電圧を制御する制御装置に接続して、実施例による光偏向装置を作製した。
【0037】
両液晶セルは、第1の液晶セルのプリズムの長さ方向と、第2のプリズムの長さ方向とが平行になるように、かつ、プリズムの底角45°で立ち上がる面同士が平行になり、底角90°で立ち上がる面同士が平行になるように積層した。両液晶セルのプリズム層上のラビング方向が、平面視上直交する。
【0038】
図4に、実施例の光偏向装置の積層セルの写真を示す。第1の光偏向液晶セルが上側に配置され、第2の光偏向液晶セルが下側に配置されている。各液晶セルで、プリズム層の形成されていない基板(配向膜が形成された基板)が上側に配置され、プリズム層の形成された基板が下側に配置されている。それぞれの液晶セルの透明電極にピン端子をつなげることにより導通を取り、第1の液晶セルと第2の液晶セルに等しい電圧を印加できるようにしてある。
【0039】
次に、図5及び図6を参照して、実施例の光偏向装置の光偏向特性を測定した実験について説明する。図5は、測定光学系の構成を示す概略図である。光源41として、白色発光ダイオード(LED)が配置されている。光源41から放出された光が、凸レンズ42に入射する。光源41は、ほぼ点光源とみなせ、凸レンズ42の前側焦点位置に配置されている。光源41から放出され、凸レンズ42を透過した光が、ほぼ平行光となる。
【0040】
凸レンズ42を透過した光が、第1及び第2の光偏向液晶セルを積層した積層セル43に入射する。積層セル43を透過した光が、絞り44を経て、ホトディテクタ45に入射する。制御装置31が、積層セル43への印加電圧を制御して、電圧無印加(印加電圧が0V)であるオフ状態と、各液晶セルへの印加電圧が例えば20Vであるオン状態とを切り替える。
【0041】
凸レンズ42を透過して積層セル43に入射する光線の進行方向をZ軸方向とし、積層セル43の、プリズムの長さ方向をX軸方向とし、Z軸及びX軸の双方に直交する方向をY軸方向とする座標系を考える。
【0042】
光源41、凸レンズ42、及び積層セル43は、共通の支持台46に対して固定されている。支持台46は、積層セル43の配置された位置を中心としX軸に平行な回転軸47の周りに回転可能である。
【0043】
支持台46の回転角を変化させながら、積層セル43を透過した光の強度をホトディテクタ45で測定することにより、積層セル43から出射した光の強度のYZ面内での角度分布を得ることができる。つまり、積層セル43によりどれだけの光量がどの角度に曲げられたのか測定することができる。
【0044】
図6を参照して、測定結果について説明する。図6の曲線A1がオン状態の光強度の角度分布であり、曲線A2がオフ状態の光強度の角度分布である。オン状態では、光強度分布が、0°を中心にほぼ正規分布している。すなわち、オン状態では積層セル43への入射光線がそのまま直進する。
【0045】
一方、オフ状態では、18°を中心とする幅の広いピークと、0°を中心とする幅の狭いピークとを持つ光強度分布となっている。オフ状態の0°を中心とするピークは幅が狭いため、積分するとほとんどの光が18°近傍に集まった光強度分布と言える。
【0046】
実際にスクリーンなどに投影して観察すると、0°付近の光は非常に弱く、ほとんどの光が18°を中心とした方向に曲げられていることが確認された。このように、オフ状態では、積層セル43への入射光線が、YZ面内で偏向される。
【0047】
次に、図7及び図8を参照して、実施例の光偏向装置の作用について考察する。図7及び図8は、プリズム3aの長さ方向に平行な視線で見た、積層セルの概略断面図を示す。図7は、印加電圧がオフ状態を示し、図8が、オン状態を示す。なお、ここで、第1の液晶セル101及び第2の液晶セル102の構成部材について、それぞれ、「−1」及び「−2」を付して区別する。
【0048】
まず図7を参照して、オフ状態について説明する。第1の液晶セル101の上側ガラス基板11−1に、光線Lが垂直入射する。上側ガラス基板11−1に入射する光線Lの進行方向をZ軸方向とし、プリズム3a−1及び3a−2の長さ方向をX軸方向とし、Z軸及びX軸の双方に直交する方向をY軸方向とする座標系を考える。
【0049】
上側ガラス基板11−1、透明電極12−1、及び配向膜13−1を透過した光線Lが、液晶層21−1に入射する。液晶層21−1を透過した光線Lが、プリズム3a−1の、底角45°で立ち上がる平面3c−1に斜めに(入射角45°で)入射する。
【0050】
オフ状態で、第1の液晶セル101の液晶分子M−1の長軸方向は、プリズム3a−1の長さ方向と平行であり、すなわち、X軸方向を向いている。光線Lのうち、X軸方向に電気ベクトルが振動する偏光成分LXについて、液晶層21−1の屈折率とプリズム3a−1の屈折率とが異なり、Y軸方向に電気ベクトルが振動する偏光成分LYについて、液晶層21−1の屈折率とプリズム3a−1の屈折率とが同等である。
【0051】
従って、偏光成分LYは、液晶層21−1とプリズム層3−1との界面3c−1をそのまま直進して通過する。一方、偏光成分LXは、スネルの法則に従って、界面3c−1において、YZ面内で偏向される。
【0052】
プリズム層3−1を透過した偏光成分LX及びLYが、透明電極2−1及び下側ガラス基板1−1を透過して、第2の液晶セル102に入射する。第2の液晶セル102の上側ガラス基板11−2、透明電極12−2、及び配向膜13−2を透過した偏光成分LX及びLYが、液晶層21−2を透過して、プリズム3−2に入射する。オフ状態で、第2の液晶セル102の液晶分子M−2の長軸方向は、プリズム3a−2が並ぶ方向と平行であり、すなわち、Y軸方向を向いている。
【0053】
第1の液晶セル101で偏向された偏光成分LXについて、液晶層21−2の屈折率とプリズム3a−2の屈折率とが同等であり、偏光成分LXは、プリズム3a−2で偏向されない。偏光成分LXは、第1の液晶セル101から出射した方向と平行な方向のまま、第2の液晶セル102から出射する。
【0054】
第1の液晶セル102で偏向されなかった偏光成分LYは、プリズム3a−2の、底角45°で立ち上がる平面3c−2に斜めに(入射角45°で)入射する。偏光成分LYについて、液晶層21−2の屈折率とプリズム3a−2の屈折率とが異なる。従って、偏光成分LYは、液晶層21−2とプリズム3a−2の界面3c−2で、スネルの法則に従い、YZ面内で偏向される。
【0055】
偏向される偏光成分に対する、液晶層の屈折率及びプリズム層の屈折率が、第1及び第2の液晶セルで等しくなるように、かつ、偏向される偏光成分に対して、液晶層からプリズムへの入射角が、第1及び第2の液晶セルで等しくなるように、両液晶セルが構成されているので、2つの偏光成分が、等しい方向に曲がる。
【0056】
次に、図8を参照して、オン状態について説明する。オン状態では、充分な大きさの電圧印加により、第1及び第2の液晶セル双方で、液晶分子の長軸方向が、上下基板の法線方向(対向方向)と平行になっている。すなわち、第1の液晶セル101の液晶分子M−1の長軸方向、及び、第2の液晶セル102の液晶分子M−2の長軸方向の双方とも、Z軸方向を向いている。
【0057】
このため、第1の液晶セル101に入射する光線Lのうち、X軸方向に電気ベクトルが振動する偏光成分LX、及び、Y軸方向に電気ベクトルが振動する偏光成分LYの双方について、液晶層21−1の屈折率とプリズム3a−1の屈折率とが同等である。従って、偏光成分LX及びLYの双方とも、第1の液晶セル101をそのまま直進して通過し、第2の液晶セル102に入射する。
【0058】
同様に、第2の液晶セル102に入射する偏光成分LX及びLXの双方について、液晶層21−2の屈折率とプリズム3a−2の屈折率とが同等である。従って、偏光成分LX及びLYの双方とも、第2の液晶セル102をそのまま直進して通過する。
【0059】
以上説明したように、オフ状態では、2つの偏光成分が第1及び第2の液晶セルでそれぞれ偏向され、オン状態では、両偏光成分とも偏向されずに直進すると考えられる。なお、以上の説明は、概略的な原理についての考察である。実際の液晶光学素子の挙動はより複雑と考えられるので、上記の理想的な挙動と完全には一致しないであろう。
【0060】
例えば、オフ状態において、理想的には0°のピークは現れないと考えられるが、測定された偏向特性(図6)では、0°付近にピークが現れる。この理由としては、例えば、プリズム表面のラビング処理による液晶分子の配向制御が完全でなかったのではないかと推察される。しかし、例えばラビング処理方法を最適化することにより、0°付近のピークを低下させることが可能であろう。
【0061】
次に、図9を参照し、1層の液晶セルにより光偏向を行った比較実験について説明する。液晶セルとして、第1の液晶セル(ラビング方向がプリズムの長さ方向に平行なセル)を用いた。曲線A3がオン状態の光強度の角度分布であり、曲線A4がオフ状態の光強度の角度分布である。
【0062】
実施例の積層セルと同様に、オン状態では、光強度分布が、0°を中心にほぼ正規分布している。オフ状態では、18°を中心とするピークが現れるが、0°のピークの積分強度も高い。図7及び図8を参照して考察したように、1層の液晶セルでは、一方の偏光成分しか偏向しない。他方の偏光成分は直進するので、0°近傍と18°近傍の両方向に同程度の光量が照射されることになる。
【0063】
以上説明したように、実施例による光偏向装置は、偏光方向が相互に直交する2つの偏光成分の双方を偏向することができる。
【0064】
なお、上記実施例では、プリズムの長さ方向にラビング処理を行った液晶セルを光源側に配置し、プリズムの並ぶ方向にラビング処理を行った液晶セルを観察者側(ディテクタ側)に配置したが、この配置を逆にしても、2つの偏光成分の偏向は可能である。
【0065】
また、上記実施例では、2つの液晶セルとも、プリズムの形成されない基板を光源側に配置し、プリズムの形成された基板を観察者側に配置したが、この配置を逆にしても、光偏向を行うことは可能である。このような基板の配置の順序が、2つの液晶セルで揃っていても、異なっていても、2つの偏光成分の偏向は可能である。
【0066】
なお、上記実施例では、プリズム層と、それに対向する基板上の配向膜との双方にラビングを施して、液晶層とプリズム層との界面における液晶分子の長軸方向を制御する配向構造を形成したが、長軸方向が充分に制御できるのであれば、片側のみのラビングで配向構造を形成してもよい。
【0067】
さらに、上記実施例では、液晶セルの上下基板のラビング方向を反平行(パラレル配向)としたが、上下基板のラビング方向を相互に交差させた(捩れ配向とした)液晶セルを用いることもできる。
【0068】
ツイステッドネマチック(TN)配向とした第3の光偏向液晶セルについて説明する。第3の光偏向液晶セルは、ラビング方向以外については第1の光偏向液晶セルと同様なものであり、第1の光偏向液晶セルと同様な工程で作製される。
【0069】
第3の光偏向液晶セルのプリズム層上のラビング方向は、第1の光偏向液晶セルと同様に、プリズムの長さ方向と平行にする。一方、プリズム層と対向する基板側のラビング方向は、セルが形成された状態で、液晶分子の長軸がプリズムの並ぶ方向と平行に制御されるように定める。
【0070】
図10に、第3の液晶セルを用いた光偏向装置の構成例の概略的な斜視図を示す。第1の液晶セル51を光源側に配置し、第3の液晶セル52を観察者側に配置し、各セルでプリズムの形成されない基板を光源側に配置し、プリズムの形成された基板を観察者側に配置する。平面視上、第1の液晶セル51の上下側のラビング方向と第3の液晶セルのプリズム層側のラビング方向とが平行で、第3の液晶セルのプリズム層対向側のラビング方向が、これらの方向に直交する。
【0071】
次に、このような光偏向装置での光偏向作用について考察する。第1の液晶セルで偏向されなかった偏光成分53の、第3の液晶セルの液晶層への入射時の電気ベクトルの振動方向が、第3の液晶セルの、配向膜と液晶層との界面での液晶分子の長軸方向と平行となっている。
【0072】
偏光成分53は、第3の液晶セルの液晶層で偏光方向を回され、液晶層とプリズムとの界面に到達したとき、電気ベクトルの振動方向が、液晶分子の長軸方向と平行であり、プリズムの長さ方向と平行になっている。
【0073】
このように、第1の液晶セルで曲げられなかった偏光成分53の電気ベクトルの振動方向が、第3の液晶セルにおいて、液晶分子の長軸方向に沿うので、偏光成分53が曲げられることになる。
【0074】
図11は、このような光偏向装置の光偏向特性を示すグラフである。曲線A5がオン状態の光強度の角度分布であり、曲線A6がオフ状態の光強度の角度分布である。
【0075】
オフ状態で、12°〜17°付近に光が曲げられていることがわかる。オフ状態とオン状態の0°近傍の光強度の差が、1層の液晶セルを用いた光偏向装置(図9参照)に比べると明瞭に大きく、両偏光成分が偏向されていることがわかる。
【0076】
なお、上記実施例では、三角柱状のプリズムを用いた。底角として、90°及び45°であるものを用いたが、底角はこれに限らない。基板に対し垂直入射した光線について、垂直に近い底角で立ち上がる面は偏向に寄与せず、基板から適当に緩い角度で立ち上がる面が偏向に寄与する。このような構成により、一方向への偏向が容易になる。三角柱状のプリズム底角として、一方は90°±5°の範囲とすることが好ましく、他方は5°〜60°の範囲とすることが好ましい。
【0077】
上記実施例では、ストライプ状に配置された三角柱状プリズムのピッチを20μmとした。プリズムのピッチは1μm〜100μmの範囲であることが好ましい。
【0078】
上記実施例では、各液晶セルが光を一方向に偏向させ、かつ両液晶セルで偏向方向が揃っていたが、偏向の態様はこれに限らない。必要に応じ、各液晶セルが光を多方向に偏向させ、両セルの偏向方向が相互に異なるような光偏向装置を作製することもできる。
【0079】
例えば、液晶層に接するプリズムの断面形状や、プリズムの平面形状を、必要に応じて様々なものに変えることにより、様々な偏向態様を得ることができる。例えば、断面形状がサインカーブのプリズムを用いることも可能である。また、例えば、平面形状が格子状、同心円状、楕円状、フレネルレンズ状、ドット状等のプリズムを用いることも可能である。また、必要に応じて、第1層目の液晶セルと第2層目の液晶セルとで、プリズム形状を異ならせることもできる。
【0080】
例えば、上記実施例の第1と第2の液晶セルを、偏向方向が左右反対となるように積層し光偏向装置を作製することができる。この装置では、2つの直線偏向が、左右に振り分けられる。
【0081】
なお、実施例の光偏向装置は、偏光板を用いる液晶光学素子に比べ、高透過率である。液晶セルを2層積層した積層セルの透過率として、80%〜90%が見込まれる(大気の透過率を100%とした場合)。
【0082】
なお、上記実施例では、オフ状態とオン状態の2状態を切り替える例を説明したが、中間調電圧を印加することにより、偏向角度を連続的に制御することが可能である。
【0083】
なお、上記実施例では、Δεが正の液晶を用いたが、Δεが負の液晶を用いた光偏向液晶セルを作製することも可能である。Δεが負の液晶を用いた液晶セルでは、電圧無印加状態で、基板に垂直に液晶分子を配向させる。従って、例えば、オフ状態で入射光線が直進する。電圧印加により基板に平行に液晶分子が倒れ込む。従って、オン状態で入射光線が偏向される。例えば、パラレル配向の2層の液晶セルを用いる場合、液晶分子の倒れ込む方向が、平面視上相互に直交する方向に制御されるように、第1層目と第2層目の液晶セルのラビング方向を定める。なお、垂直配向液晶セルを用いる場合、プリズムの傾斜によっても液晶分子の倒れる方向が制限されるので、それを踏まえてラビングのプレティルト発現方向を定める配慮が必要となろう。
【0084】
なお、上記実施例では、プリズム材料の屈折率と液晶層の屈折率とが等しい状態と、相互に異なる状態とを切り替えたが、液晶層の屈折率を必ずしもこのように変化させる必要はない。偏向させる偏光成分に関する液晶層の屈折率が、印加電圧変化によって、プリズムの屈折率に対して変化すれば、当該偏光成分の進行方向を変化させることができる。なお、例えばオン状態で、プリズムの屈折率と液晶層の屈折率とが等しいと、光が直進するので、光学装置の設計上扱いやすくなる利点があろう。
【0085】
実施例の光偏向装置を、光源と組み合わせて、照射方向が可変の光照射装置を作製することができる。このような光照射装置は、例えば車両用の前照灯として利用することができる。
【0086】
次に、図12及び図13を参照して、実施例による自動車用の前照灯について説明する。図12は、前照灯の構成の一例を示す概略断面図である。高輝度放電(HID)ランプ61から放出された光線が、楕円型リフレクタ62で反射され、楕円型リフレクタ62の焦点に配置されたシェード63に集光される。シェード63を透過した光線が、レンズ64でほぼ平行光にされて、実施例の積層セル65に入射する。積層セル65を透過した光がカバー66を介して照射される。上述のように、積層セル65に印加する電圧を変化させることにより、照射方向を変えることができる。
【0087】
図13は、前照灯の構成の他の例を示す概略断面図である。LED71から放出された光線が、リフレクタ72で反射され、ほぼ平行光にされ、インナーレンズ73を介して実施例の積層セル74に入射する。積層セル74を透過した光がカバー75を介して照射される。積層セル74に印加する電圧を変化させることにより、照射方向を変えることができる。
【0088】
このような前照灯は、例えば、アダプティブフロントライティングシステム(AFS)や、オートレベリングに利用可能である。AFSでは旋回方向に応じて、左右方向に照射方向を変化させ、オートレベリングでは車体の角度に応じて、上下方向に照射方向を変化させる。
【0089】
例えばAFSの場合、例えばオフ時に左右それぞれに照射方向を曲げるような、2つの光偏向装置を用意し、オン時は両方が正面照射を行うようにしておき、右または左への旋回時に、対応する方向が照らされるよう、一方の装置を駆動させることができる。
【0090】
また例えば、偏向角度幅が18°である光偏向装置を用いるとすると、角度幅の中間の値、例えば中央値である9°の偏向角のとき正面照射が行われるようにし、旋回方向に応じて左右に照射方向を振り分けることができる。
【0091】
実施例の光照射装置は、機械的な作動部なしに、照射方向を変えることができる。なお、実施例の光照射装置は、例えば最大で18°程度の角度範囲で照射方向を変えられる(図6参照)。自動車用の前照灯で求められている角度制御範囲は、オートレベリングで3°程度、AFSで15°程度であるので、角度制御範囲について、実施例の光照射装置は充分な性能を有しているといえる。
【0092】
なお、光照射装置に用いる光源として、HIDランプ、LEDの他に、例えば電界放射(FE)光源、蛍光灯等が考えられる。点光源を用いると、光を平行化しやすく、積層セルに平行光線束を入射させて、方向の揃った照射光を得やすい。この観点からは、光源にLEDを用いることが好ましい。
【0093】
実施例の光照射装置は、例えば、自動車用(普通乗用車、軽自動車、トラック、バス等)の灯具(前照灯、補助灯、フォグランプ、コーナリングライト)や、二輪用(オートバイ、自転車等)の灯具(配光制御部)や、一般照明器具(屋内照明、街路灯、懐中電灯)の配光制御部等に応用できる。
【0094】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、実施例による光偏向液晶セルの概略断面図である。
【図2】図2は、プリズム層3の概略斜視図である。
【図3】図3は、実施例の光偏向液晶セルの概略平面図である。
【図4】図4は、積層セルの写真である。
【図5】図5は、測定光学系の構成を示す概略図である。
【図6】図6は、実施例の光偏向装置のオン状態及びオフ状態の光強度の角度分布を示すグラフである。
【図7】図7は、実施例の光偏向装置のオフ状態での作用を説明するための概略断面図である。
【図8】図8は、実施例の光偏向装置のオン状態での作用を説明するための概略断面図である。
【図9】図9は、比較例の光偏向装置のオン状態及びオフ状態の光強度の角度分布を示すグラフである。
【図10】図10は、他の実施例の光偏向装置の概略斜視図である。
【図11】図11は、他の実施例の光偏向装置のオン状態及びオフ状態の光強度の角度分布を示すグラフである。
【図12】図12は、実施例の前照灯の概略断面図である。
【図13】図13は、他の実施例の前照灯の概略断面図である。
【符号の説明】
【0096】
1、11 ガラス基板
2、12 透明電極
3 プリズム層
3a プリズム
3b ベース層
13 配向膜
14 ギャップコントロール剤
21 液晶層
31 制御装置
41 光源
42 凸レンズ
43 積層セル
44 絞り
45 ホトディテクタ
101 第1の光偏向液晶セル
102 第2の光偏向液晶セル
61 HIDランプ
62 楕円型リフレクタ
63 シェード
64 レンズ
65 積層セル
66 カバー
71 LED
72 リフレクタ
73 インナーレンズ
74 積層セル
75 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光線が入射する第1の光偏向液晶セルであって、
相互に対向する一対の第1及び第2の透明基板と、
前記第1及び第2の透明基板上に形成され、前記第1及び第2の透明基板間に電圧を印加する一対の第1及び第2の透明電極と、
前記第1及び第2の透明基板間に挟まれた第1の液晶層と、
前記第1及び第2の透明基板の一方の前記第1の液晶層側内面上方に、該第1の液晶層と接するようにプリズムが形成された第1のプリズム層と、
前記第1の液晶層と第1のプリズム層との界面の液晶分子の長軸方向を、第1の方向に制御する第1の配向構造と
を含む第1の光偏向液晶セルと、
前記第1の光偏向液晶セルを透過した光線が入射する第2の光偏向液晶セルであって、
相互に対向する一対の第3及び第4の透明基板と、
前記第3及び第4の透明基板上に形成され、前記第3及び第4の透明基板間に電圧を印加する一対の第3及び第4の透明電極と、
前記第3及び第4の透明基板間に挟まれた第2の液晶層と、
前記第3及び第4の透明基板の一方の前記第2の液晶層側内面上方に、該第2の液晶層と接するようにプリズムが形成された第2のプリズム層と、
前記第2の液晶層と第2のプリズム層との界面の液晶分子の長軸方向を、第2の方向に制御する第2の配向構造と
を含む第2の光偏向液晶セルと、
前記第1〜第4の透明電極に電圧を印加する電圧印加手段と、
前記第1の光偏向液晶セルに光線を入射させる入射光学系と
を有し、
前記第1の光偏向液晶セルを透過した光線のうち、電気ベクトルの振動方向が前記第1の方向と直交する偏光成分が、前記第2の液晶層と第2のプリズム層との界面に到達したとき、該偏光成分の電気ベクトルの振動方向と前記第2の方向とが平行になるように、該第2の方向が選択されている光照射装置。
【請求項2】
前記第1及び第2のプリズム層は、屈折率が同等な透明材料で構成され、ともに、三角柱状のプリズムがプリズムの長さ方向に直交する方向に並んだ構造を有し、該第1及び第2のプリズム層の三角柱状のプリズムの長さ方向は相互に平行であり、該第1及び第2のプリズム層の三角柱状のプリズムは共通の底角を有し、第1の底角で立ち上がる面同士が平行で、第2の底角で立ち上がる面同士が平行であり、
前記第1及び第2の液晶層は、電気ベクトルの振動方向が液晶分子の長軸方向に平行な偏光成分に対する屈折率が同等であり、電気ベクトルの振動方向が液晶分子の長軸方向に垂直な偏光成分に対する屈折率も同等である液晶材料から構成されている請求項1に記載の光照射装置。
【請求項3】
前記第1の底角が5°〜60°の範囲の角度であり、前記第2の底角が90°±5°の範囲の角度である請求項2に記載の光照射装置。
【請求項4】
前記第1のプリズム層の屈折率と、前記第1の液晶層の、電気ベクトルの振動方向が液晶分子の長軸方向に垂直な偏光成分に対する屈折率とが同等であり、前記第2のプリズム層の屈折率と、前記第2の液晶層の、電気ベクトルの振動方向が液晶分子の長軸方向に垂直な偏光成分に対する屈折率とが同等である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−26641(P2009−26641A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189496(P2007−189496)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】