説明

光装置

【課題】光素子と光ファイバ及びSHG素子のバットカップリング方式にあって、光の結合効率が良好な光装置を提供する。
【解決手段】第1の光素子と第2の光素子とが光学的に直接結合し、第1の光素子を保持する第1の部材と、少なくとも端部に切り欠き部を有し、第2の光素子を保持する第2の部材と、第1の部材を保持する第3の部材と、第2の部材に対する位置が固定された第4の部材と、を備え、第1の光素子は、第1の光素子の端部が第1の部材の端部より外側に位置する状態で第1の部材に保持され、第2の光素子は、第2の光素子の端部が切り欠き部の内側、かつ、第2の部材の端部より内側に位置する状態で第2の部材に保持され、第1の光素子の端部が切り欠き部の内側に位置して第1の光素子の端部と第2の光素子の端部とが光学的に結合した状態で、第3の部材と第4の部材とが固定される構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ、波長変換素子等の第1の光素子と、波長変換素子、レーザ素子等の第2の光素子と、をバットカップリング方式により結合させた光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光素子と光ファイバで構成されたピグテイルモジュールの光装置は、光ファイバ通信、デジタルサイネージ向けの小型プロジェクタ等に広く用いられている。従来の光素子と光ファイバの光学的な結合方法は、光素子と光ファイバの間に、レンズ等を介して結合する方式と、光素子と光ファイバを直接結合する方式すなわちバットカップリング方式が提案されている。
【0003】
このバットカップリング方式においては、光素子の受発光部と光ファイバ先端の光軸方向の間隔を接触しない範囲で出来るだけ近づけ、調芯することで、高い結合効率が可能となるピグテイルモジュールが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
すなわち、特許文献1は、光ファイバを保持するフェルールが、その先端から光ファイバの先端が突出しないように形成されており、光素子が配設される突き当て部材の上面が、光素子より上方に位置するように形成されているピグテイルモジュールであって、フェルールの先端を突き当て部材の上面に当接させてから、所定の距離だけ隔置させて光ファイバと光素子の間隙を設定するピグテイルモジュールである。
【0005】
従って、確実に光ファイバと光素子の間に間隙が存在するから、直接結合の調芯の際に、光ファイバと光素子が接触し、いずれかの表面が損傷し機能が低下するようなことのないピグテイルモジュールの光装置の提供が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−84160号公報(第4頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の光素子と光ファイバ間にレンズ等を介して光結合する方式にあっては、光素子とレンズの調芯の組立調整工程と、レンズと光ファイバの調芯の組立調整工程と2回の調芯のための調整工程を要して、調整工数がかかり、更に、レンズおよびレンズホルダ等の部品コストが高価で、ピグテイルモジュールが高価になる問題がある。
【0008】
また、バットカップリング方式の特許文献1に示す従来技術のピグテイルモジュールにおいては、フェルールと、光素子が配設された突き当て部材とが、所定の距離だけ隔置して設置されているため光素子と光ファイバとの間隔が広くなり、また、この構造ではフェルールを光素子に近づける方向には調芯することができないため、光素子と光ファイバの結合効率が著しく減少する問題があった。
【0009】
更に、調芯の際に、光ファイバの先端がフェルールの中に引っ込んで見えないから、光素子の発光源と光ファイバ先端の位置合わせが、全くの手探りとなり、調芯工数が大幅に増大する問題があった。
【0010】
そこで本発明は、バットカップリング方式であって、第1の光素子と第2の光素子の調
芯が容易で、結合効率の良好な光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の光装置は、上記目的を達成するために、下記記載の構成を採用するものである。
本発明の光装置は、第1の光素子と第2の光素子とが光学的に直接結合して配置された光装置において、第1の光素子を保持する第1の部材と、少なくとも端部に切り欠き部を有し、第2の光素子を保持する第2の部材と、第1の部材を保持する第3の部材と、第2の部材に対する位置が固定された第4の部材と、を備え、第1の光素子は、第1の光素子の端部が第1の部材の端部より外側に位置する状態で第1の部材に保持され、第2の光素子は、第2の光素子の端部が切り欠き部の内側、かつ、第2の部材の端部より内側に位置する状態で第2の部材に保持され、第1の光素子の端部が切り欠き部の内側に位置して第1の光素子の端部と第2の光素子の端部とが光学的に結合した状態で、第3の部材と第4の部材とが固定されたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の光装置は、上述した構成に加えて、第3の部材は、第1の部材を光軸方向に案内するための第1の案内部を有し、第4の部材は、第3の部材を光軸に垂直な方向に案内するための第2の案内部を有することを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の光装置は、上述した構成に加えて、第2の部材は、端部に前記切り欠き部を有するホルダであることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の光装置は、上述した構成に加えて、第2の部材は、端部に前記切り欠き部を有する基板であり、第2の素子は、その導波路が基板側に位置した状態で基板に対して実装されたことを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の光装置は、上述した構成に加えて、第1の光素子は光ファイバであり、第1の部材はフェルールであることを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明の光装置は、上述した構成に加えて、第1の光素子は光ファイバであり、第1の部材はフェルールであることを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明の光装置は、上述した構成に加えて、第1の光素子は波長変換素子であることを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明の光装置は、上述した構成に加えて、第2の光素子は波長変換素子であることを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明の光装置は、上述した構成に加えて、第2の光素子はレーザ素子であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の光装置は、第1の光素子の端部と第2の光素子の端部とを接近して配置することができるため、第1の光素子と第2の光素子とを高い結合効率で直接結合することが可能となる。
【0021】
また、本発明の光装置は、第2の光素子の端部が第2の部材の端部より内側に位置する状態で第2の部材に保持されるため、組み立て時の搬送、位置決め、載置、調整等の工程で、第2の光素子の端部が、他のものに接触することを防ぎ、塵埃の付着、損壊、損傷を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1における光装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例1における光装置の構成を示す一部切り欠き斜視図と部分拡大図である。
【図3】本発明の実施例1における光装置の光素子と光ファイバのバットカップリングの組立調芯を説明するための斜視図である。
【図4】本発明の実施例2における光装置の外観を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施例2における光装置の構成を示す一部切欠き斜視図と部分拡大図である。
【図6】本発明の実施例2における光装置の光素子と光ファイバのバットカップリングの組立調芯を説明するための斜視図である。
【図7】本発明の実施例3における光装置の構成を示す一部切り欠き斜視図と部分拡大図である。
【図8】本発明の実施例3における光装置の光素子と光ファイバのバットカップリングの組立調芯を説明するための斜視図である。
【図9】本発明の実施例4における光装置の外観を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施例4における光装置の構成を示す一部切欠き斜視図と部分拡大図である。
【図11】本発明の実施例4における光装置の光素子とSHG素子のバットカップリングの組立調芯を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。なお、以下に説明する実施例1は、TOキャンパッケージタイプで形成されたTOレーザ光源構成部と光ファイバ構成部をバットカップリングしたピグテイルモジュールの光装置の例であって、そのTOレーザ光源部は、半導体レーザのレーザ光を波長変換素子(以下SHG素子とする)で波長変換して出射する例で説明する。
【0024】
[実施例1]
図1から図3は、本発明の実施例1のTOキャンパッケージタイプのレーザ光源を有するピグテイルモジュールの光装置の構成を説明するための図面であり、図1は、光装置の外観の斜視図であり、図2(a)は、この光装置の構成を示す一部切り欠き斜視図であり、図2(b)は、SHG素子と光ファイバ先端の部分拡大斜視図であり、図2(c)は、図2(b)の裏面の部分拡大斜視図である。図3は、光装置の光素子と光ファイバのバットカップリングの組立調芯を説明するための斜視図である。
【0025】
[実施例1の光装置の全体構成:図1、図2]
図1と図2を用いて実施例1の光装置の全体構成を説明する。なお、各図において、同一の構成部材には同一の番号を付して重複する説明は省略する。
【0026】
図1に示すように、TOキャンパッケージタイプのレーザ光源を有するピグテイルモジュールの光装置1は、光ファイバ構成部5とTOレーザ光源構成部6から構成されている。
【0027】
すなわち、光ファイバ構成部5は、第1の光素子の一例である光ファイバ51と、第1の部材の一例であるフェルール52と、第3の部材の一例であるファイバフランジ53、から構成され、TOレーザ光源構成部6は、ステム61と第4の部材の一例であるTOデバイスホルダ65でケーシングされ、内蔵された半導体レーザ、それらを保持する構成部品および複数本のリード線612から構成されている。
【0028】
光ファイバ構成部5とTOレーザ光源構成部6は、ファイバフランジ53のフランジ部531の下面とTOデバイスホルダ65の上面部651が面接触で当接し、調芯工程の後、YAGレーザ溶接にてファイバフランジ53とTOデバイスホルダ65が隅肉溶接されて、固着され光装置1を構成する。
【0029】
図2(a)は、光装置1を構成する一部の構成部品を部分断面で示して、内部の構成部品を詳細に説明するための図であり、図中のXYZ軸は、フェルールの光ファイバの光軸方向をZ軸方向とし、光軸に垂直な方向で互いに直交する方向がX軸方向、Y軸方向であり、YZ面がSHG素子表面に平行な座標軸を形成している。
図2(b)は、光ファイバとSHG素子のバットカップリングを説明するための部分拡大斜視図であり、図2(c)は、図2(b)の裏面の部分拡大斜視図である。
【0030】
図2(a)において、光ファイバ構成部5を詳細に説明する。
光ファイバ51は、例えば、SUS304からなるフェルール52にエポキシ系低アウトガス熱硬化接着剤で固着されている。そして、被覆が除去された裸ファイバの光ファイバ先端50(図2(b)参照)が、フェルール52の先端から0.3〜0.7mmほど突出して固着されている。すなわち、光ファイバ51の端部の光ファイバ先端50がフェルール52の端部より外側に位置する状態でフェルール52に保持されている。
【0031】
ファイバフランジ53は、フランジ部531と円筒形の胴部532から構成され、第1の案内部の一例である円筒形の胴部532がフェルール52と嵌合して、光ファイバ先端50を光軸のZ軸方向に移動可能に保持し、フランジ部531の下面がTOデバイスホルダ65の第2の案内部の一例である上面部651に面接触で当接して、光ファイバ先端50をXY軸方向に平行移動し調芯可能に形成されている。
【0032】
次に、TOレーザ光源構成部6の内部構成を詳細に説明する。
図2(a)に示すように、TOレーザ光源構成部6は、ステム61と、ブロック611と、半導体レーザ62と、SHG素子フランジ613と、SHG素子フランジホルダ614と、SHG素子63と、SHG素子ホルダ64と、TOデバイスホルダ65と、複数のリード線612で構成されている。
【0033】
ステム61は、例えばSPC又はコバールからなり、表面がAuメッキされている。ブロック611は、ステム61と一体形成、又は、溶着等の手段により、一体的にステム61に固着されている。半導体レーザ62は、ブロック611に実装され、複数のリード線612にワイヤボンディング(図示せず)されて電気的に接続されている。
【0034】
第2の部材の一例であるSHG素子ホルダ64は、材質が例えばSUS304からなり、円柱形をなし、その円柱中心軸に沿って平行に溝641が形成されている。第2の光素子の一例であるSHG素子63は、表面に光導波路631を有し、その光導波路631とSHG素子ホルダ64の円柱中心軸を一致させて、SHG素子ホルダ64の溝641の中にエポキシ系接着剤により位置決め固着され、SHG素子ホルダ64と一体化されている。
【0035】
SHG素子フランジ613とSHG素子フランジホルダ614は、SHG素子ホルダ64をXYZの3軸方向に調整可能に保持する機能を有し、SHG素子63の光導波路631と半導体レーザ62の出射口の光軸が一致するように光学的な位置決めを行い、それぞれがYAGレーザ溶接されてステム61上に固定されている。従って、半導体レーザ62から出射したレーザ光、例えば、赤外レーザ光は、SHG素子の光導波路出射口から波長変換されて緑色のレーザ光を出射する。
【0036】
TOデバイスホルダ65は、半導体レーザ62とSHG素子63と、そして、両者を光学的に調芯し固定する構成部品を内蔵して、ステム61にYAGレーザ溶接により固着されている。SHG素子63とSHG素子ホルダ64は、図のように、TOデバイスホルダ65の上面部651から僅かに突出した構成で、TOレーザ光源構成部6を形成する。
【0037】
図2(b)、(c)において、SHG素子63とSHG素子ホルダ64の構成と、光ファイバ先端50とSHG素子63の光導波路出射口632のバットカップリングを詳細に説明する。
図2(b)に示すように、光ファイバ先端50と、SHG素子63の光導波路出射口632とのバットカップリングは、SHG素子63の幅方向(Y軸方向)にはSHG素子ホルダ64の溝641の壁が存在するが、SHG素子の厚み方向(X軸方向)にはなんら壁が存在せず、光ファイバ先端50が周囲の構成部品に衝突して損傷する危険が極めて少ない構造を形成している。
【0038】
すなわち、SHG素子ホルダ64の裏面を示す図2(c)のように、SHG素子63の上端部は、SHG素子ホルダ64の溝641の上部に切り欠き部642を形成することにより、幅方向は溝641の壁に挟まれているが、厚さ方向はSHG素子63が露出した構成でSHG素子ホルダ64の中に位置決め固着されている。
【0039】
この様にして、図2(b)に示すように、SHG素子ホルダ64に切り欠き部642を形成しているからこそ、SHG素子63がSHG素子ホルダ64の上端面643より沈んだ位置にあっても、光ファイバ先端50とSHG素子63の光導波路出射口632とのバットカップリングが余裕を持って可能となる。そして、この構造を形成することでSHG素子63の周囲に、SHG素子ホルダ64とTOデバイスホルダ65でSHG素子63を保護する壁を形成することが可能となる。
【0040】
更に、SHG素子は、SHG素子ホルダ64とTOデバイスホルダ65で周囲に保護の壁を形成されながらも、TOデバイスホルダ65から僅かに突出して形成されているから、光ファイバ先端50とSHG素子63の光導波路出射口632の両者が見える状態にある。従って、光ファイバ先端50とSHG素子63の光導波路出射口632は、目視によって、接触しない範囲で出来るだけ近づけて、その間隔を2μm〜10数μmに形成する調芯によって、高い結合効率を達成することが可能となる。
【0041】
[実施例1の組み立て調整方法の説明:図3]
本実施例のピグテイルモジュールの光装置1の光ファイバ構成部5とTOレーザ光源構成部6のバットカップリングの調芯は、より具体的には以下に説明するような方法で行われる。
【0042】
調芯装置(図示せず)に光ファイバ構成部5とTOレーザ光源構成部6が、図3に示すように配置される。そして、光ファイバ構成部5は、ファイバフランジ53がフェルール52の中央部にまで引き上げられ、フェルール52の先端と光ファイバ先端50を突出して、光ファイバ先端50が目視可能となっている。TOレーザ光源構成部6のSHG素子63は、上述したように、TOデバイスホルダ65の上面部651よりSHG素子ホルダ64と共に僅かに突出して、目視可能な位置に構成されている。
【0043】
次に、光ファイバ構成部5をTOレーザ光源構成部6に近づけて、光ファイバ先端50とSHG素子63の光導波路出射口632をCCDカメラ等で捉え、画像拡大して、光ファイバ先端50とSHG素子の出射口632とが接触しない範囲で極力近づけるようにZ軸方向の間隙を調整する。その際、SHG素子63で波長変換されたレーザ光は緑色の可
視光で認識可能であって、光導波路出射口632より出射した緑色光が、光ファイバ先端50の位置に一致したときは、光ファイバ先端50に吸い込まれるように観察できる。
【0044】
次に、Z軸方向の間隙の位置関係が変わらないように調芯装置(図示せず)で両者を保持しながら、ファイバフランジ53を下げ、フランジ部532の下面をTOデバイスホルダ65の上面部651に当接する。
【0045】
そして、その状態のまま、ファイバフランジ53の円筒形の胴部532とフェルール52をYAGレーザ溶接機で接合し、固着して、光ファイバ先端50とSHG素子63の光導波路出射口632のZ軸方向の間隔を固定する。ほぼ、図1の外観の形状に形成される
【0046】
次に、ファイバフランジ53のフランジ部531の下面とTOデバイスホルダ65の上面部651を面接触で当接しながら、XY軸方向に僅かに移動して、光ファイバからの光出力が最大になる位置でファイバフランジ53を保持し、ファイバフランジ53のフランジ部531とTOデバイスホルダ65の上面部651をYAGレーザ溶接機で隅肉溶接を行い固着する。
【0047】
以上のように、バットカップリングの組み立て調整工程により、光ファイバ構成部5とTOレーザ光源構成部6の光学的な結合と、機械的な固着により、ピグテイルモジュールの光装置1を提供することが可能となる。
【0048】
すなわち、CCDカメラ等で画像拡大して、SHG素子63の光導波路出射口632からのレーザ光が、光ファイバ先端50を透過する具合を容易に直接監視することが可能であるから、例えば、光ファイバ先端中央部のコアの直径が6μmであり、SHG素子の光導波路出射口632が幅5μm、高さが3μmであるような、極めて微小な点同士の位置合わせであっても、調芯工数を大幅に短縮することが可能である。そして、SHG素子63と光ファイバ先端50が接触しない範囲に極力近づける微妙な調芯が可能であり、結合効率の高い光装置の提供が可能となる。
【0049】
そして、SHG素子は、SHG素子ホルダ64の中に配置されて、その周囲にSHG素子ホルダ64とTOデバイスホルダ65による保護の壁が形成されていることによって、他の物に接触することがないから、TOレーザ光源構成部6の組み立て中、調芯中のハンドリングにおいて、SHG素子端部への塵埃の付着、そして、SHG素子端部の損壊、損傷を防止することが可能となる。
【0050】
更に、突出した光ファイバ先端50は、TOレーザ光源構成部6に組み込む調整工程にあって、SHG素子ホルダ64に切り欠き部642を形成していることにより、SHG素子63の光導波路出射口632の直ぐ周囲近傍に構成部品等の障害物がなく、光ファイバ先端50が衝突による損傷で機能を低下する恐れもない。
【0051】
[実施例2]
実施例2は、実施例1と同様に、光ファイバ構成部とレーザ光源がバットカップリングした光装置であり、実施例1と異なる点は、レーザ光源がフラットパッケージタイプで形成されたFPレーザ光源構成部で構成されていることである。なお、光ファイバ構成部については、実施例1と全く同様であって、その詳細な説明は重複するので省略する。
そして、そのFPレーザ光源構成部は、実施例1と同様に、半導体レーザの光をSHG素子で波長変換して出射する例で説明する。
【0052】
図4から図6は、本発明の実施例2のフラットパッケージタイプのレーザ光源を有するピグテイルモジュールの光装置の構成を説明するための図面であり、図4は、光装置の外
観の斜視図であり、図5(a)は、この光装置の構成を示す一部切り欠き斜視図であり、図5(b)は、SHG素子と光ファイバ先端の部分拡大斜視図であり、図5(c)は、図5(b)の断面図であり、図6は、光装置の光素子と光ファイバのバットカップリングの組立調芯を説明するための斜視図である。
【0053】
[実施例2の光装置の全体構成:図4、図5]
図4と図5を用いて実施例2の光装置の全体構成を説明する。なお、各図において、同一の構成部材には同一の番号を付して重複する説明は省略する。
【0054】
図4に示すように、フラットパッケージタイプのレーザ光源を有するピグテイルモジュールの光装置2は、光ファイバ構成部5とFPレーザ光源構成部7から構成されている。
上述したように、光ファイバ構成部5は、実施例1と全く同様であるので、説明は省略する。
【0055】
FPレーザ光源構成部7は、カバー71と第4の部材の一例であるL形デバイスホルダ75でケーシングされ、内蔵された半導体レーザ、SHG素子、それらを保持する構成部品およびFPC76から構成されている。
【0056】
光ファイバ構成部5とFPレーザ光源構成部7は、ファイバフランジ53のフランジ部531の下面とL形デバイスホルダ75の上面部751が面接触で当接し、調芯工程の後、YAGレーザ溶接にてファイバフランジ53とL形デバイスホルダ75が隅肉溶接されて、固着され光装置2を構成する。
【0057】
図5(a)は、光装置2を構成する一部の構成部品を部分断面で示して、内部の構成部品を詳細に説明するための図であり、図中のXYZ軸は、実施例1と同様に、フェルールの光ファイバの光軸方向をZ軸方向とし、光軸に垂直な方向で互いに直交する方向がX軸方向、Y軸方向であり、YZ面がSHG素子表面に平行な座標軸である。
【0058】
図5(b)は、光ファイバとSHG素子のバットカップリングを説明するための部分拡大斜視図であり、図5(c)は、図5(b)の光ファイバ軸を通りSHG素子平面に垂直な断面の部分拡大断面図である。
【0059】
以下、FPレーザ光源構成部7の内部構成を詳細に説明する。
図5(a)に示すように、FPレーザ光源構成部7は、カバー71と、シリコン基板72と、ベースプレート73と、位置決めピン74と、半導体レーザ62と、SHG素子63と、L形デバイスホルダ75と、FPC76で構成されている。
【0060】
第2の部材の一例であるシリコン基板72には、半導体レーザ62とSHG素子63がジャンクションダウンで実装され固着されて、実施例1と同様に、SHG素子63の光導波路と半導体レーザ62の出射口の光軸が一致した光学的な位置決めが行われている。従って、半導体レーザ62から出射したレーザ光、例えば、赤外レーザ光は、SHG素子の光導波路出射口から波長変換されて緑色のレーザ光を出射する。そして、半導体レーザ62は、シリコン基板72に実装されたFPC76と、それぞれがワイヤボンディングされて、電気的な接続がされている。
【0061】
L型デバイスホルダ75とシリコン基板72とベースプレート73は、2本の位置決めピン74で位置決めされて、例えば、ロー付け或いはエポキシ系の接着剤で固着されている。そして、ベースプレート73は、窒化アルミニウムや銅などの熱伝導性のよい材質からなり、ペルチェ素子(図示せず)が固着される構造を形成している。そして、そのペルチェ素子により、ベースプレート73を介してSi基板上の半導体レーザ62およびSH
G素子63の温度を最適に保ち、レーザ光を安定して出射することが可能となっている。
【0062】
L型デバイスホルダ75は、第2の案内部の一例である上面部751を有して、実施例1と同様に、ファイバフランジ53のフランジ部531の下面と面接触で当接し、XY軸方向に移動可能な案内を形成している。
【0063】
図5(b)(c)において、SHG素子63とシリコン基板72の構成と、光ファイバ先端50とSHG素子63の光導波路出射口632のバットカップリングを詳細に説明する。
【0064】
図5(b)に示すように、シリコン基板72の上端面722の部分に切り欠き部721が形成されている。そして、SHG素子63は、シリコン基板72の上端面722より沈んだ位置で、かつ、シリコン基板72の切り欠き部721に頭を出した位置で固着されている。
【0065】
すなわち、図5(a)に示すように、SHG素子63は、シリコン基板72の表面の外周からはみ出すことなく、実装されている。 従って、シリコン基板72面内に実装されたSHG素子63は、FPレーザ光源構成部7の組み立てにおいて、L型デバイスホルダ75にベースプレート73とシリコン基板72を組み込む製造工程中に、SHG素子63が他の部材に接触することがなく、SHG素子端部への塵埃の付着、そして、SHG素子端部の損壊、損傷が生ずることのない構成となっている。
【0066】
図5(c)に示すように、シリコン基板の切り欠き部721は、SHG素子63がジャンクションダウンで実装され、SHG素子の光導波路出射口632がシリコン基板72の表面側に配置されているにもかかわらず、光ファイバ先端50とシリコン基板72の壁との間に間隙を形成することを可能としている。
【0067】
従って、光ファイバ先端50とSHG素子63の光導波路出射口632とのバットカップリングは、図5(b)に示すように、切り欠き部721が形成されているからこそ、光ファイバ先端50とシリコン基板72の間に逃げを形成して、光ファイバ先端50がシリコン基板72と衝突して損傷する危険が極めて少ない構造に形成されている。
【0068】
しかも、光ファイバ先端50とSHG素子63の光導波路出射口632の両者が見える状態にあるから、接触しない範囲で出来るだけ近づけ、その間隔を2μm〜10数μmに保つ調芯が可能となり、高い結合効率を達成することが可能となっている。
【0069】
[実施例2の組み立て調整方法の説明:図6]
本実施例のピグテイルモジュールの光装置2の光ファイバ構成部5とFPレーザ光源構成部7のバットカップリングの調芯は、より具体的には以下に説明するような方法で行われる。なお、調芯は、カバー71を外してFPレーザ光源構成部7を調芯装置(図示せず)にセットして行う。
【0070】
調芯装置(図示せず)に光ファイバ構成部5とFPレーザ光源構成部7が、図6に示すように配置される。光ファイバ構成部5は、実施例1と同様に、ファイバフランジ53がフェルール52の中央部にまで引き上げられ、フェルール52の先端と光ファイバ先端50を突出し、光ファイバ先端50が目視可能となっている。FPレーザ光源構成部7のSHG素子63は、L形デバイスホルダ75の隅部にあるが、L形デバイスホルダの切り欠き部752により、更に、容易な目視が可能となっている。
【0071】
次に、光ファイバ構成部5をFPレーザ光源構成部6に近づけて、光ファイバ先端50
とSHG素子63の光導波路出射口632を、CCDカメラ等で捉えて、画像拡大し、実施例1と同様に、光ファイバ先端50とSHG素子の出射口632とが接触しない範囲で極力近づけるように光軸方向のZ軸方向の間隙を調整し、調芯する。
【0072】
次に、実施例1と同様に、光ファイバ先端50とSHG素子63の光導波路出射口632のZ軸方向の間隙の位置関係が変わらないように、調芯装置(図示せず)で両者を保持しながら、ファイバフランジ53を下げ、ファイバフランジ53のフランジ部531の下面をL形デバイスホルダ75の上面部751に当接する。
【0073】
そして、その状態のまま、ファイバフランジ53の胴部532とフェルール52をYAGレーザ溶接機で接合し、固着して、光ファイバ先端50とSHG素子63の光導波路出射口632のZ軸方向の間隔を固定する。ほぼ、図4の外観同等の形状に形成される。
【0074】
次に、実施例1と同様に、ファイバフランジ53のフランジ部531の下面とL形デバイスホルダ75の上面部751を面接触で当接しながら、XY軸方向に僅かに移動して、光ファイバからの光出力が最大になる位置でファイバフランジ53を保持し、ファイバフランジ53のフランジ部531とL形デバイスホルダ75の上面部751をYAGレーザ溶接機で隅肉溶接を行い固着する。そして、カバー71を組み込み光装置2が形成される。
【0075】
以上のように、バットカップリングの組み立て調芯方法によって、光ファイバ構成部5とFPレーザ光源構成部7の光学的な結合と、機械的な固着により、ピグテイルモジュールの光装置2を提供することが可能となる。
【0076】
すなわち、実施例2において、実施例1と同様に、CCDカメラ等で画像拡大して、SHG素子63の光導波路出射口632からのレーザ光が、光ファイバ先端50を透過する具合を直接監視することが可能であるから、調芯工数を大幅に短縮することが可能である。そして、SHG素子63と光ファイバ先端50が接触しない範囲に極力近づける微妙な調芯が可能であり、結合効率を高めることが可能となる。
【0077】
そして、切り欠き部721が形成されているからこそ、シリコン基板72の外周の内側にSHG素子63の配置が可能であり、他の物に接触することがないから、FPレーザ光源構成部7の組み立て中、調芯中のハンドリングにおいて、SHG素子端部への塵埃の付着、そして、SHG素子端部の損壊、損傷を防止することが可能となる。
【0078】
[実施例3]
実施例3は、実施例1と同様に、TOキャンパッケージタイプで形成されたレーザ光源構成部と光ファイバ構成部をバットカップリングしたピグテイルモジュールの光装置の例であるが、実施例1と異なる点は、レーザ光源が、半導体レーザから直接レーザ光を出射するTOキャンパッケージタイプで形成したLDレーザ光源構成部で構成されていることである。なお、光ファイバ構成部については、実施例1、実施例2と全く同様であって、その詳細な説明は重複するので省略する。
【0079】
図7と図8は、本発明の実施例3のTOキャンパッケージタイプのレーザ光源を有するピグテイルモジュールの光装置の構成を説明するための図面であり、図7(a)は、この光装置の構成を示す一部切り欠き斜視図であり、図7(b)は、半導体レーザと光ファイバ先端の部分拡大斜視図であり、図7(c)は、図7(b)の光ファイバ軸を通り半導体レーザ面に垂直な断面の部分拡大断面図である。
図8は、光装置の光素子と光ファイバのバットカップリングの組立調芯を説明するための斜視図である。なお、各図において、同一の構成部材には同一の番号を付して重複する
説明は省略する。
【0080】
なお、実施例3の光装置3の外観は、実施例1の光装置1のレーザ光源部の丈が異なるだけで、実施例1と同様であり、説明が重複するので省略する。
【0081】
[実施例3の光装置の全体構成:図7]
図7を用いて実施例3の光装置の全体構成を説明する。
図7(a)は、光装置3を構成する一部の構成部品を部分断面で示して、内部の構成部品を詳細に説明するための図であり、図中のXYZ軸は、フェルールの光ファイバの光軸方向をZ軸方向とし、Z軸に直交する平面で互いに直交する方向がX軸方向、Y軸方向であって、YZ面が半導体レーザ表面に平行な座標軸を形成している。
【0082】
図7(b)は、光ファイバと半導体レーザのバットカップリングを説明するための部分拡大斜視図であり、図7(c)は、図7(b)の光ファイバの光軸を通り半導体レーザ面に垂直な断面の部分拡大断面図である。
【0083】
図7に示すように、TOキャンパッケージタイプのレーザ光源を有するピグテイルモジュールの光装置3は、光ファイバ構成部5とLDレーザ光源構成部8から構成されている。
上述したように、光ファイバ構成部5は、実施例1と全く同様であるので、説明は省略する。
【0084】
以下、LDレーザ光源構成部8の内部構成をより詳細に説明する。
図7(a)に示すように、LDレーザ光源構成部8は、ステム81と、半導体レーザ82と、ブロック83と、サブマウント84と、LDデバイスホルダ85と、複数のリード線811で構成されている。
【0085】
ステム81とブロック83は、実施例1と同様に、ステム81と一体で形成されるか、溶着等の手段により一体的にステム81に固着されている。第2の光素子の一例である半導体レーザ82は、第2の部材の一例であるサブマウント84を介して、ブロック83に実装され、リード線811にワイヤボンディング(図示せず)されて電気的に接続されている。
【0086】
サブマウント84は、セラミック基板やシリコン基板からなり、半導体レーザ82の出射口近傍の上部に切り欠き部841(図7(a)、図7(b)参照)が形成されている。第4の部材の一例であるLDデバイスホルダ85は、半導体レーザ82とそれを保持固定する構成部品を内蔵してステム81とケースを形成し、ステム81にYAGレーザ溶接により固着される。半導体レーザ82とブロック83は、図に示すように、LDデバイスホルダ85の上面部851から僅かに突出して、LDレーザ光源構成部8を形成する。
【0087】
図7(b)(c)において、半導体レーザ82の構成と、光ファイバ先端50と半導体レーザ82のバットカップリングを詳細に説明する。
【0088】
図7(b)に示すように、半導体レーザ82は、サブマウント84の切り欠き部841に少し頭を出した位置で実装され、そして、サブマウント84がブロック83から突出しない位置にロー付け等で固着されている。そして、半導体レーザ82がブロック83と共にLDデバイスホルダ85から僅かに突出して形成されている。しかしながら、半導体レーザ82は、ブロック83の上端面831より沈んだ位置に配置されることによって、その周囲は、LDデバイスホルダ85とブロック83で保護の壁が形成される。
【0089】
図7(c)に示すように、サブマウント84の切り欠き部841が形成されているからこそ、半導体レーザ82がジャンクションダウンで実装され、半導体レーザ出射口821がサブマウント84表面側に配置されていても、光ファイバ先端50とサブマウント84の壁との間に間隙すなわち逃げを形成することが可能となっている。
【0090】
従って、光ファイバ先端50と半導体レーザ82とのバットカップリングは、図7(b)に示すように、サブマウント84の切り欠き部841の形成により、光ファイバ先端50がサブマウント84と衝突して損傷する危険が極めて少ない構造を形成している。
【0091】
しかも、半導体レーザ82がブロック83と共にLDデバイスホルダ85から僅かに突出して形成されているから、半導体レーザ82と光ファイバ先端50の両者が見える状態にあり、その両者を接触しない範囲で出来るだけ近づけ、その間隔を2μm〜10数μmに保つ調芯が可能となり、高い結合効率を達成することが可能となる。
【0092】
[実施例3の組み立て調整方法の説明:図8]
本発明のピグテイルモジュールの光装置3の光ファイバ構成部5とLDレーザ光源構成部8のバットカップリングの調芯は、より具体的には以下に説明するような方法で行われる。
【0093】
調芯装置(図示せず)に光ファイバ構成部5とLDレーザ光源構成部8が、図8に示すように配置される。光ファイバ構成部5は、実施例1と同様に、ファイバフランジ53がフェルール52の中央部にまで引き上げられ、フェルール52の先端と光ファイバ先端50を突出して、光ファイバ先端50が目視可能となっている。LDレーザ光源構成部8の半導体レーザ82は、上述したように、LDデバイスホルダ85の上面部851よりブロック83と共に僅かに突出し、目視可能な位置に構成されている。
【0094】
次に、光ファイバ先端50を半導体レーザ82に近づけて、両者をCCDカメラ等で捉え、画像拡大して、光ファイバ先端50と半導体レーザ82とが接触しない範囲で極力近づけるようにZ軸方向の間隙を調整する。その際、レーザ光は、光ファイバ先端50の位置に一致したときは、光ファイバ先端50に吸い込まれるように観察できる。
【0095】
次に、Z軸方向の間隙の位置関係が変わらないように調芯装置(図示せず)で両者を保持しながら、ファイバフランジ53を下げ、フランジ部531の下面をLDデバイスホルダ85の上面部851に当接する。
【0096】
そして、ファイバフランジ53の円筒形の胴部532とフェルール52をYAGレーザ溶接機で接合し、固着して、光ファイバ先端50と半導体レーザ82のZ軸方向の間隔を固定する。ほぼ、図1の外観と同等の形状に形成される。
【0097】
次に、ファイバフランジ53のフランジ部531の下面とLDデバイスホルダ85の上面部851を面接触で当接しながら、光ファイバ構成部5をXY軸方向に僅かに移動して、光ファイバからの光出力が最大になる位置でファイバフランジ53を保持し、ファイバフランジ53のフランジ部531とLDデバイスホルダ85の上面部851をYAGレーザ溶接機で隅肉溶接を行い固着する。
【0098】
以上のように、バットカップリングの組み立て調芯工程によって、光ファイバ構成部5とLDレーザ光源構成部8の光学的な結合と、機械的な固着により、ピグテイルモジュールの光装置3を提供することが可能となる。
【0099】
すなわち、実施例3において、CCDカメラ等で画像拡大して、半導体レーザ82から
のレーザ光が、光ファイバ先端50を透過する具合を直接監視することが可能であるから、調芯工数を大幅に短縮することが可能である。そして、半導体レーザ82と光ファイバ先端50が接触しない範囲に極力近づける微妙な調芯が可能であり、結合効率の高い光装置の提供が可能となる。
【0100】
そして、半導体レーザ82は、LDデバイスホルダ85の上面部851から半導体レーザ82とブロック83が僅かに突出した状態に構成されているにもかかわらず、ブロック83の上端面831より沈んだ位置で、LDデバイスホルダ85とブロック83で周囲に保護の壁が構成されているから、LDレーザ光源構成部8のハンドリングにおいて、半導体レーザ82が他の部材に接触することがなく、半導体レーザ82への塵埃の付着、そして、半導体レーザ82の損壊、損傷が生ずることのない構成となっている。
【0101】
[実施例4]
実施例4は、ピグテイルモジュール構造に限定することなく実施可能な、半導体レーザのレーザ光をSHG素子で波長変換する光装置の実施例であって、実施例3と異なる点は、レーザ光源構成部にバットカップリングする構成部が、光ファイバ構成部と異なり、SHG素子を有する波長変換構成部から構成される光装置の例である。
【0102】
なお、レーザ光源構成部は、実施例3と同一のLDレーザ光源構成部であり、そして、SHG素子を有する波長変換構成部は、実施例1で説明したSHG素子の波長変換部の構成と同様である。
【0103】
図9から図11は、本発明の実施例4の半導体レーザのレーザ光をSHG素子で波長変換する光装置の構成を説明するための図面であり、図9(a)は、光装置の外観の斜視図であり、図9(b)は、SHG素子とSHG素子ホルダの一体構成を説明するための斜視図であり、図9(c)は、SHG素子とSHG素子ホルダの分解斜視図である。図10(a)は、光装置の構成を説明するための一部切欠き斜視図であり、図10(b)は、半導体レーザとSHG素子の光導波路入射口の部分拡大斜視図であり、図10(c)は、図10(b)のSHG素子の光導波路を通り半導体レーザ表面に垂直な断面の部分拡大断面図である。図11は、光装置の光素子とSHG素子のバットカップリングの組立調芯を説明するための斜視図である。なお、各図において、同一の構成部材には同一の番号を付して重複する説明は省略する。
【0104】
[実施例4の光装置の全体構成:図9、図10]
図9と図10を用いて実施例4の光装置の全体構成を説明する。図9(a)に示すように、光装置4は、LDレーザ光源構成部8と波長変換構成部9から構成され、例えば、LDレーザ光源構成部8から出射される赤外レーザ光を波長変換構成部9で1/2波長に波長変換して緑色レーザ光を波長変換構成部9のSHG素子から出射する光装置である。
【0105】
すなわち、波長変換構成部9は、第1の光素子の一例であるSHG素子63と、第1の部材の一例であるSHG素子ホルダ64と、第3の部材の一例であるSHG素子フランジ613から構成されている。LDレーザ光源構成部8は、実施例3と全く同一であって、ステム81とLDデバイスホルダ85でケーシングされ、内蔵された半導体レーザと、それを保持する構成部品および複数本のリード線811から構成されている。
【0106】
光装置4は、複数のリード線811を制御回路(図示せず)に電気的に接続して、半導体レーザから出射した赤外レーザ光が、SHG素子63の光導波路により、1/2波長に波長変換され、緑色のレーザ光が矢印Aの方向に出射する。
【0107】
図9(b)は、SHG素子ホルダ64に組み込まれ一体に構成されたSHG素子63を
説明するための斜視図である。
SHG素子63は、実施例1の光ファイバ構成部5(図2参照)においてフェルールの先端から光ファイバの先端が突出している構成と同様に、SHG素子ホルダ64の先端からSHG素子先端634が突出する構成でSHG素子ホルダ64の溝641に固着されて一体化されている。従って、実施例3の光ファイバ先端50(図8参照)と同様に、SHG素子の光導波路入射口633を含むSHG素子先端634がSHG素子ホルダ先端から突出する構成で形成されている。更に、SHG素子63の光導波路出射口632は、SHG素子ホルダ64の上端面643から沈んだ位置に組み込まれている。
【0108】
従って、図9(a)の外観の斜視図から明らかなように、SHG素子63は、SHG素子ホルダ64の中に配置されて、他の物に接触することがないから、以後の製造調芯工程のハンドリングにおいて、SHG素子63が他の部材に接触することがなく、SHG素子端部への塵埃の付着、そして、SHG素子端部の損壊、損傷が生ずることのない構成となっている。
【0109】
図9(c)に示すように、SHG素子ホルダ64は、円柱形をなし、その円柱中心軸に沿って平行に溝641が形成されている。SHG素子63は、表面に光導波路631を有している。そして、SHG素子63とSHG素子ホルダ64は、SHG素子ホルダ64の溝641の底面と左側壁に、SHG素子63の裏面と左側面を当接して、光導波路631がSHG素子ホルダ64の円柱中心軸に一致するように、接着治具にて定められた位置にエポキシ系接着剤により固着され、図9(b)に示すように一体化されている。
【0110】
更に、SHG素子ホルダ64の溝641の上部には、切り欠き部642が形成され、実施例1において説明した、光ファイバとのバットカップリングを容易にする構成も有している。
【0111】
図10(a)は、光装置4を構成する一部の構成部品を部分断面で示して、内部の構成部品を詳細に説明するための図であり、図中のXYZ軸は、SHG素子ホルダ64の中心軸に沿った方向をZ軸方向とし、Z軸に直交する平面で互いに直交する方向がX軸方向、Y軸方向であって、YZ面が半導体レーザ表面に平行な座標軸を形成している。
【0112】
図10(b)は、SHG素子の光導波路入射口と半導体レーザのバットカップリングを説明するための部分拡大斜視図であり、図10(c)は、図10(b)のSHG素子の光導波路を通り半導体レーザ面に垂直な断面の部分拡大断面図である。
以下、波長変換構成部9の構成について説明する。なお、LDレーザ光源構成部8の内部構成は、実施例3のLDレーザ光源構成部と全く同一であるので、各構成部品は同一の番号を付して、重複する説明は省略する。
【0113】
図10(a)に示すように、波長変換構成部9において、SHG素子先端634が、図9(b)で説明したように、SHG素子ホルダ64の先端から突出して構成され固着されている。すなわち、SHG素子63の端部がSHG素子ホルダ64の端部より外側に位置する状態でSHG素子ホルダ64に保持されている。
【0114】
SHG素子フランジ613は、フランジ部615と円筒形の胴部616から構成されている。円筒形の胴部616は、SHG素子ホルダ64と嵌合して、SHG素子ホルダ64をその中心軸に沿ったZ軸方向に移動可能に保持している。フランジ部615は、その下面がLDデバイスホルダ85の上面部851に面接触で当接して、SHG素子63をXY軸方向に平行移動を可能にしている。従って、半導体レーザ82とSHG素子63のXYZ軸方向の位置合わせが可能な構成を形成している。
【0115】
図10(b)に示すように、SHG素子63の光導波路入射口633と半導体レーザ82とのバットカップリングは、SHG素子の光導波路入射口633を含むSHG素子先端634が、SHG素子ホルダ64先端から外側に位置し、すなわち、突出しており、透光性のSHG素子63の裏面から、その光導波路入射口633と半導体レーザ82の両者が目視可能な状態にある。従って、光導波路入射口633と半導体レーザ82を接触しない範囲で出来るだけ近づけ、その間隔を2μm〜10数μmに保つ調芯が可能であり、高い結合効率を達成することが可能となる。
【0116】
図7(b)と同様に、半導体レーザ82は、サブマウント84の切り欠き部841に少し頭を出した位置で実装され、そして、サブマウント84がブロック83から突出しない位置にロー付け等で固着されている。そして、半導体レーザ82がブロック83と共にLDデバイスホルダ85から僅かに突出して形成されている。しかしながら、半導体レーザ82は、ブロック83の上端面831より沈んだ位置に配置されることによって、その周囲は、LDデバイスホルダ85とブロック83で保護の壁が形成される。
【0117】
図10(c)に示すように、サブマウント84にジャンクションダウンで実装された半導体レーザ82の出射口821とバットカップリングするSHG素子63の光導波路入射口633は、サブマウント84の端部の切り欠き部841が形成されているからこそ、SHG素子先端634とサブマウント84の間に隙間が形成される。従って、調芯工程においてSHG素子63をXY軸方向に平行移動しても、SHG素子先端634がサブマウント84と衝突して損傷する危険が極めて少ない構造を形成している。
【0118】
[実施例4の組み立て調整方法の説明:図11]
図11において、本発明の実施例4の波長変換機能を有する光装置4のLDレーザ光源構成部8と波長変換構成部9のバットカップリングの調芯は、より具体的には以下に説明するような方法で行われる。
【0119】
図11に示すように、調芯装置(図示せず)に波長変換構成部9とLDレーザ光源構成部8が配置される。波長変換構成部9は、SHG素子フランジ613がSHG素子ホルダ64の中央部にまで引き上げられ、SHG素子ホルダ64の先端とSHG素子63の光導波路入射口633を突出して、SHG素子先端634が目視可能となっている。LDレーザ光源構成部8の半導体レーザ82も、実施例3と同様に、LDデバイスホルダ85の上面部851よりブロック83と共に僅かに突出し、目視可能な位置に構成されている。
【0120】
そして、SHG素子は透光性であって、SHG素子の裏側からでも光導波路入射口633と半導体レーザ82から出射したレーザ光が目視可能である。従って、半導体レーザ82とSHG素子の光導波路入射口633のバットカップリング作業は、SHG素子の光導波路入射口633と半導体レーザ82をCCDカメラ等で捉え、画像拡大して、両者が接触しない範囲で極力近づけるようにZ軸方向の間隙を調整することで可能となる。
【0121】
次に、Z軸方向の間隙の位置関係が変わらないように調芯装置(図示せず)でSHG素子ホルダ64とLDレーザ光源構成部8の両者を保持した状態で、SHG素子フランジ613を下げ、フランジ部615の下面をLDデバイスホルダ85の上面部851に当接する。
【0122】
そして、SHG素子フランジ613の円筒形の胴部616とSHG素子ホルダ64をYAGレーザ溶接機で接合し、固着して、SHG素子の光導波路入射口633と半導体レーザ82のZ軸方向の間隔を固定する。ほぼ、図9(a)の外観と同等の外観形状が形成される。
【0123】
次に、SHG素子フランジ613のフランジ部615の下面とLDデバイスホルダ85の上面部851を面接触で当接しながら、波長変換構成部9をXY軸方向に僅かに移動して、SHG素子からの光出力が最大になる位置でSHG素子フランジ613を保持し、SHG素子フランジ613のフランジ部615とLDデバイスホルダ85の上面部851をYAGレーザ溶接機で隅肉溶接を行い固着する。
【0124】
以上のように、バットカップリングの組み立て調整工程によって、波長変換構成部9とLDレーザ光源構成部8の光学的な結合の調芯と、機械的な固着により、半導体レーザのレーザ光をSHG素子で波長変換する光装置4を提供することが可能となる。
【0125】
すなわち、実施例4において、CCDカメラ等で画像拡大して、半導体レーザ82からのレーザ光が、SHG素子63の光導波路入射口633に入射する具合を直接監視することが可能であるから、調芯工数を大幅に短縮することが可能である。そして、半導体レーザ82とSHG素子の入射口633が接触しない範囲に極力近づける微妙な調芯が可能であり、結合効率の高い光装置の提供が可能となる。
【0126】
そして、実施例3と同様に、半導体レーザ82がブロック83の上端面831より沈んだ位置に構成され、LDデバイスホルダ85の上面部851から半導体レーザ82とブロック83が僅かに突出しながらも、LDデバイスホルダ85とブロック83で周囲に保護の壁が構成されているから、LDレーザ光源構成部8のハンドリングにおいて、半導体レーザが、他のものに接触することを防ぎ、塵埃の付着、損壊、損傷を防止することが可能となる。
【0127】
なお、本発明は、上述した光装置の実施例に限定されることはなく、それらの全てを行う必要もなく、特許請求の範囲の各請求項に記載した内容の範囲で種々に変更や省略をすることが出来ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0128】
1、2、3、4:光装置
5:光ファイバ構成部
6:TOレーザ光源構成部
7:FPレーザ光源構成部
8:LDレーザ光源構成部
9:波長変換構成部
50:光ファイバ先端
51:光ファイバ
52:フェルール
53:ファイバフランジ
531:フランジ部
532:円筒形の胴部
61:ステム
611:ブロック
612:リード線
613:SHG素子フランジ
614:SHG素子フランジホルダ
615:フランジ部
616:胴部
62:半導体レーザ
63:SHG素子
631:光導波路
632:光導波路出射口
633:光導波路入射口
634:SHG素子先端
64:SHG素子ホルダ
641:溝
642:切り欠き部
643:上端面
65:TOデバイスホルダ
651:上面部
71:カバー
72:シリコン基板
721:切り欠き部
722:上端面
73:ベースプレート
74:位置決めピン
75:L形デバイスホルダ
751:上面部
76:FPC
81:ステム
811リード線
82:半導体レーザ
83:ブロック
831:上端面
84:サブマウント
841:切り欠き部
85:LDデバイスホルダ
851:上面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光素子と第2の光素子とが光学的に直接結合して配置された光装置において、
前記第1の光素子を保持する第1の部材と、
少なくとも端部に切り欠き部を有し、前記第2の光素子を保持する第2の部材と、
前記第1の部材を保持する第3の部材と、
前記第2の部材に対する位置が固定された第4の部材と、を備え、
前記第1の光素子は、前記第1の光素子の端部が前記第1の部材の端部より外側に位置する状態で前記第1の部材に保持され、
前記第2の光素子は、前記第2の光素子の端部が前記切り欠き部の内側、かつ、前記第2の部材の端部より内側に位置する状態で前記第2の部材に保持され、
前記第1の光素子の端部が前記切り欠き部の内側に位置して前記第1の光素子の端部と前記第2の光素子の端部とが光学的に結合した状態で、前記第3の部材と前記第4の部材とが固定された
ことを特徴とする光装置。
【請求項2】
前記第3の部材は、前記第1の部材を光軸方向に案内するための第1の案内部を有し、
第4の部材は、前記第3の部材を光軸に垂直な方向に案内するための第2の案内部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の光装置。
【請求項3】
前記第2の部材は、端部に前記切り欠き部を有するホルダである
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光装置。
【請求項4】
前記第2の部材は、端部に前記切り欠き部を有する基板であり、
前記第2の光素子は、前記第2の光素子の導波路が前記基板側に位置した状態で前記基板に対して実装された
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光装置。
【請求項5】
前記第1の光素子は光ファイバであり、
前記第1の部材はフェルールである
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の光装置。
【請求項6】
前記第1の光素子は波長変換素子である
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の光装置。
【請求項7】
前記第2の光素子は波長変換素子である
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の光装置。
【請求項8】
前記第2の光素子はレーザ素子である
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−185435(P2012−185435A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50041(P2011−50041)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】