説明

光誘導性の風味の変化に耐性の飲料および食料品およびその製造方法、ならびにこのような耐性を付与するための組成物

本発明の1つの態様は、カラメル化炭水化物を含有する組成物に関し、組成物は、0.1重量%の乾燥固形分にて水中に溶解される場合: i.0.01、好ましくは0.05、より好ましくは0.1、および最も好ましくは0.3を超える280nmでの吸収(A280);ならびに ii.少なくとも200、好ましくは少なくとも250の吸収比A280/560を示す。本発明の他の態様は、光誘導性の風味の変化に耐性である飲料または食料品を製造する方法に関し、当該方法は、上記の組成物を当該飲料または食品に導入する工程を包含し;ならびに当該組成物の製造のための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光誘導性の風味の変化に対する耐性を高められた飲料および食料品、ならびに光誘導性の風味の変化を防止または軽減するために、飲料または食料品において添加物として有利に使用され得る組成物に関する。本発明による製品および組成物は、色の強さの低いカラメル化炭水化物を含む。本発明は特に、光への曝露の結果として異臭を発生する傾向がある飲料または食料品における使用、ならびに特に、梱包によっては光の有害な影響から十分に保護されない飲料または食品における使用のために適切である。
【0002】
本発明はまた、このような組成物を使用する、このような飲料および食料品の製造のための方法を包含する。
【背景技術】
【0003】
光誘導性の異臭形成は、飲料および食料品の産業において周知の問題である。光への暴露によって誘発されるか、または加速される多様な異臭生成反応は、科学文献において記載されてきた。これらの異臭生成反応が進行する速度は通常、500nmを下回る波長を伴う光線、特にUV光線への曝露によって劇的に増加される。
【0004】
飲料および食料品における光感受性の風味の変化は、これらの飲料および食料品を、異臭生成反応を促進する光の周波数を透過しない材料中に梱包することによって効果的に阻害され得る。しかし、多様な理由のために、この光遮蔽特性を示さない梱包材料を用いることが時折所望される。それらの場合において、飲料または食料品の組成は光誘導性の風味の変化に対する十分な安定性を達成するために至適化される必要がある。このような飲料または食料品の通常の構成成分でこれが達成されない場合、特別な光安定化添加物が使用され得る。
【0005】
当該分野において、光誘導性の異臭形成に対する飲料および食料品の安定化のために、非常に多様な添加物を用いることが公知である。これらの添加物の多くは、例えば、1つ以上の反応物および/または重要な中間体を排除することにより異臭生成反応を阻害するそれらの能力に、それらの有効性を由来する。さらに、異臭を引き起こす反応物を除去する(例えば、不揮発性複合体を形成することによって)、またはほとんど風味のない活性化物へのこれらの反応物の分解を促進する添加物が提唱されてきた。
【0006】
上記のような光誘導性の異臭生成反応の影響を最小にする代わりに、当該光および特に当該光の紫外線成分の所望されない影響を無効にする添加物を導入することにより、これらの反応が生じることを防止することがまた可能である。米国特許第5,948,458号は、紫外光線への液体食品の曝露によって引き起こされる不飽和脂質および脂肪を含む液体食品における腐敗、酸敗、または退色の防止のための方法を記載し、当該食品に、紫外線を吸収するのに有効な量のリン酸三カルシウムを添加する工程を包含する。
【0007】
米国特許第4,389,421号は、麦芽飲料中の日射による風味を防止または有意に減少するために、1,8-シネオールのような、1,8-エポキシ基を含有する有機化合物の添加を教示する。そこで、麦芽飲料への1,8-エポキシ化合物の添加が、イソ-α-酸のイソ-ヘキセノイル側鎖からの5炭素フラグメント(イソペンチル鎖)の切断を防止することによって、メチルブテニルメルカプタンの形成を防止することが仮説され、このフラグメントはそうでなければスルフヒドリル基と反応してイソペンチルメルカプタン(メチルブテニルメルカプタン)を形成する。1,8-エポキシ化合物は、イソ-ペンテニルフラグメントと反応することにより、またはイソ-ヘキセノイル側鎖をフラグメント化から保護することにより、またはスルフヒドリル基をイソ-ペンテニルフラグメントと反応することからブロックすることにより、メチルブテニルメルカプタンの形成を防止し得ることが述べられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
光誘導性の悪臭形成に対して飲料または食料品を安定化するために提唱される多くの食品添加物は、製品パッケージ上に化学または人工の実体として標示されなくてはならない。消費者の受容を考慮して、飲料および食料品の製造業者は一般に、このような化学物質または人工添加物を使用することを好まないが、代わりに、より魅力的な成分標示(消費者が馴染みやすい表示)を可能にし、そして類似の機能性をもたらす添加物を用いることを好む。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、色の強さの低いカラメル化炭水化物を含む組成物により、光誘導性の風味の変化に対する改善された耐性が飲料および食料品に付与され得ることを発見した。カラメルのような、カラメル化炭水化物の使用は、本発明の組成物が、消費者が馴染みやすい用語、例えば「カラメル」、「カラメル色」、「カラメル抽出物」、または「カラメル単離物」によって製品パッケージ成分リスト上で言及され得るという利点を提案する。
【0010】
発明者らは予期せぬことに、カラメル化反応が、すなわち炭水化物が加熱される場合に生じる反応が、特に炭水化物が窒素源の存在下でカラメル化される場合に、所望されない悪臭を生成する物質に分解されることなく、紫外光線を吸収する能力を示す反応産物を生じることを発見した。より重要なことに、本発明者らは、これらのUV吸収物質が、カラメル化材料の他の内在構成要素とは異なり、実質的に無色であることを見出した。従って、この知見に基づいて、本発明者らは、実質的な色の変化を導入することなく、光誘導性の風味の変化に対して飲料または食料品を安定化するために使用され得る組成物を開発した。本発明者らは、本発明の有利な特性が主にUV吸収特性と関連されると考えるが、本発明の組成物の保護的特性が一部他の性質に由来することも可能である。
【0011】
本発明の生成物および光安定化組成物は、色の強さの低いカラメル化炭水化物を含み、および波長280nmおよび560nmでの光吸収の比率(A280/560)が少なくとも200であることで実証されるように、UV光線の比較的高い吸収、特に250〜400nmの範囲内の波長での吸収と、可視光線の比較的低い吸収とを組合わせる。色の強さの低いカラメル化炭水化物は、A280/560が少なくとも100%まで増加されることによって実証されるように、UV吸収成分を保持しながら、茶色を担う成分を除去するためにカラメルを脱色することによって、適切に調製される。あるいは、カラメル化炭水化物は、UV吸収成分(例えば、ピラジン)の風味形成が、色を付与する成分(例えば、メラノジン)の形成を上回る反応条件を選択することによって調製され得る。
【0012】
窒素供給源の存在下でのカラメル化によって生成される市販のカラメルは、「分類/吸光度比」の下に以下に記載される方法によって決定されるいわゆる消光比(吸収比A280/560)に基づいて一般に特徴づけされる。典型的に、これらのカラメルは、120未満の吸収比A280/560を示す。本発明に従うカラメルの脱色は、約560nmで吸収する着色化成分を除去しながら、同時にUV吸収特性を保持する。従って、本発明に従うカラメルの脱色は、窒素供給源の存在下でのカラメル化によって生成された元来のカラメル(特にアンモニアカラメルおよび亜硫酸アンモニアカラメル)よりも有意に高い吸収比A280/560を伴う物質を生成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
従って、本発明の1つの態様は、カラメル化炭水化物を含有する組成物であって、組成物は、0.1重量%の乾燥固形分にて水中に溶解される場合:
i.280nmでの吸収(A280)が0.01を超える、好ましくは0.05を超える、より好ましくは0.1を超える、および最も好ましくは0.3を超えること;および
ii.吸収比A280/560が少なくとも200、好ましくは少なくとも250であること
を示す。
【0014】
本発明のカラメル化炭水化物は、色成分、特に茶色成分のその比較的低い含量により、元来のカラメルとは異なる。色成分の低い含量は、560nm(A560)での比較的低い吸収から明白である。同時に、カラメル化炭水化物は、本発明の組成物のA280により証明されるように、強力なUV吸収特性を示す。従って、本発明のカラメル化炭水化物および本発明の組成物は、比較的高い吸収比A280/560によって特徴づけられる。本発明の組成物は典型的に、乾燥固体の重量の少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、さらにより好ましくは少なくとも40%、および最も好ましくは少なくとも50%のカラメル化炭水化物を含む。
【0015】
280は、吸光度が610nmの代わりに280nmにて測定される以外は、以下の「色の強さ」の下に本明細書中に記載されるように固形%に関連して決定される。
本明細書中で使用されるように用語「波長」は、そうでないと示されない限り光の波長をいう。本明細書において「吸収」に対して参照がなされる場合はいつでも、そうでないと示されない限り、これは光の吸収をいう。
【0016】
カラメル化は一般に、糖の熱分解として規定され、揮発物(カラメル芳香)および茶色に呈色される生成物(カラメル色)の形成に導く。方法は、酸または塩基で触媒され、そして一般に3および9の範囲内のpHにて、120℃を超える温度を必要とする。熱で誘導されるカラメル化における香りおよび色の生成は、糖、通常単糖がまず、分子内転位を受けることを必要とする。通常、反応はHの放出を引き起こす。従って、カラメル化を受ける溶液のpHは時間と共に減少する。
【0017】
カラメル化は複雑な反応の順序において生じる。最初のエノール化反応は、それがその後の事象の連鎖を開始するので、特に重要である。これらの反応は、糖分解産物を生じ、これはさらに反応して、アルドール濃縮を介して酸素複素環および炭素環の化合物を生成し得る。熱カラメル化の重要な中間体はオスローズ(osulose)である。これらは3-デオキシヘキソスルースのようなα-ジカルボニル化合物である。これらの物質はカラメル色の形成に導くのみでなく、カラメル風味の典型である重要な揮発性産物をまた生じる。
【0018】
本発明者らは、カラメル化炭水化物、および特に窒素供給源の存在下でのカラメル化によって得られるカラメルが、本発明に従う使用のために特に適切であることを発見した。そのように得られたカラメルはまた、ピラジン誘導体のような環式窒素を含有する成分の有意な量の存在によって特徴づけされる。本発明者らは、光誘導性の風味の変化に対する飲料および食料品を安定化するにおける本発明の組成物の有効性と、そのN-複素環物質の含量との間に強力な明白な相関を観察した。好ましい実施態様において、本発明の組成物は、乾物重量の少なくとも0.5%、好ましくは少なくとも1.0%、より好ましくは少なくとも3.0%の、N-複素環物質を含む。環が少なくとも2個の窒素原子を含むN-複素環物質が、特に良好な光安定化特性を示すことが見出された。芳香族N-複素環物質、特に2つの窒素原子を含む物質が、特に好ましい。好ましくは、N-複素環物質は、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、およびそれらの組合わせからなる群より選択される。
【0019】
本発明に従うN-複素環物質は好ましくは、少なくとも10mg/kg、より好ましくは少なくとも100mg/kgの水溶性を示す。当該物質の分子量は典型的に、500を超えず、好ましくはこれは400を超えず、より好ましくはこれは350を超えない。
【0020】
本発明者らは、本発明の組成物は、カラメル化炭水化物が有意な量のピラジン誘導体、特に炭水化物由来の置換基を含むピラジン誘導体を含む場合、特に良好な結果を生じることを観察した。従って、特に好ましい実施態様において、本発明の組成物は、乾物重量の少なくとも0.5%、好ましくは少なくとも1.0%、より好ましくは少なくとも3.0%の、式(I)に従うピラジン誘導体を含み:
【0021】
【化2】

【0022】
ここでR〜Rは独立して、水素、;ヒドロキシヒドロカルビル残基;ヒドロキシヒドロカルビル残基のエステル;またはヒドロキシヒドロカルビル残基のエーテルを示し;そしてR〜Rの少なくとも1つは、ヒドロキシヒドロカルビル残基またはそのエステルもしくはエーテルである。好ましくは、R〜Rの少なくとも1つはヒドロキシヒドロカルビル残基またはそのエステルを示し、より好ましくは、これはヒドロキシヒドロカルビル残基を示す。
【0023】
本発明は、本明細書中で示される式によって表され得る全ての立体異性体を包含する。従って、本発明は、本発明のN−複素環物質のラセミ混合物、ならびに当該物質の本質的に純粋なエナンチオマーを用い得る。
【0024】
特に好ましい実施態様において、R〜Rのうちの少なくとも2つは、ヒドロキシヒドロカルビル残基またはそのエステルもしくはエーテルである。ピラジン誘導体が2つのヒドロキシヒドロカルビル残基を含む場合、これらの残基はパラまたはメタ位にあることが好ましい。最も好ましくは、本発明のピラジン誘導体において、R〜Rのうちの2つは、ヒドロキシヒドロカルビル残基またはそのエステルもしくはエーテルである。
【0025】
本明細書で使用されるように用語「ヒドロキシヒドロカルビル」は、ヒドロキシル置換されたヒドロカルビルをいう。用語「ヒドロカルビル」は、分岐されたおよび直鎖状の炭化水素鎖であり、必要に応じて1つ以上の不飽和の炭素−炭素結合、すなわち炭素−炭素二重結合、および炭素−炭素三重結合を含み、当該炭化水素原子は、好ましくは1〜20炭素原子を有する。ヒドロキシヒドロカルビルの典型的な例としては、分岐されたならびに未分岐のヒドロキシアルキルおよびヒドロキシアルケニルが挙げられる。ヒドロキシル置換体に加えて、ヒドロキシカルビル残基はまた、カルボニル、カルボキシル、アシル、アミノ、アシルアミノ、アルコキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、チオール、ジスルフィド、エーテル、エステル、アルキルチオ、およびアミド基のような他の置換基を含み得る。好ましくは、後者の置換基は10以下の、より好ましくは5以下の炭素原子を含む。最も好ましくは、ヒドロカルビル残基は、1つ以上のヒドロキシル基以外の置換基を含まない。
【0026】
典型的に、ヒドロキシヒドロカルビル残基は、1〜10個、好ましくは2〜4個の炭素原子、およびより好ましくは3または4個の炭素原子を含む。特に好ましい実施態様において、ピラジン誘導体に存在する炭素原子の総数は、5〜12個の範囲内、より好ましくは9〜12個の範囲内である。
【0027】
少なくとも1つのヒドロキシヒドロカルビル残基は、好ましくは少なくとも2つのヒドロキシル基を含む。より好ましくは、当該残基は3つまたは4つのヒドロキシル基を含む。
【0028】
本発明の光安定化組成物中のピラジン誘導体は、高い割合の二置換化ピラジンを含む。従って、好ましい実施態様において、本発明の組成物は、乾物重量の少なくとも0.5%の式(I)に従うピラジン誘導体を含み、ここでR〜Rのうちの少なくとも2つは、独立してヒドロキシヒドロカルビル残基またはそのエステルもしくはエーテルを示す。
【0029】
本発明の組成物中に特に豊富である二置換化ピラジン誘導体の例は、フルクトサジン、特に、2,5-および2,6-置換されたフルクトサジンを包含する。従って、好ましい実施態様において、本発明の組成物は、2,5-デオキシフルクトサジン(1-[5-(2,3,4-トリヒドロキシブチル)-ピラジン-2-イル]-ブタン-1,2,3,4-テトラオール)、2,6-デオキシフルクトサジン(1-[6-(2,3,4-トリヒドロキシブチル)-ピラジン-2-イル]-ブタン-1,2,3,4-テトラオール)、2,5-フルクトサジン(1-[5-(1,2,3,4-テトラヒドロキシブチル)-ピラジン-2-イル]-ブタン-1,2,3,4-テトラオール)、2,6-フルクトサジン(1-[6-(1,2,3,4-テトラヒドロキシブチル)-ピラジン-2-イル]-ブタン-1,2,3,4-テトラオール)、およびそれらの組合せからなる群より選択される、乾物重量の少なくとも0.1%、より好ましくは少なくとも0.3%、さらにより好ましくは少なくとも0.5%、および最も好ましくは少なくとも1.0%のフルクトサジンを含む。特に好ましい実施態様において、フルクトサジンは2,5-デオキシフルクトサジン、2,6-デオキシフルクトサジン、およびそれらの組合せからなる群より選択される。最も好ましくは、フルクトサジンは、(1-[6-(2,3,4-トリヒドロキシブチル)-ピラジン-2-イル]-ブタン-1,2,3,4-テトラオール)、(1-[5-(2,3,4-トリヒドロキシブチル)-ピラジン-2-イル]-ブタン-1,2,3,4-テトラオール)、およびそれらの組合せからなる群より選択される。後者のデオキシフルクトサジンは以下の式によって表される:
【0030】
【化3】

【0031】
【化4】

【0032】
本発明は、合成(人工)および天然のピラジン誘導体の両方の、飲料または食料品における使用を包含し、後者が最も好ましい。ここで用語「天然の」は、このようなピラジン誘導体が天然の供給源から得られる、すなわち(石油)化学の反応によって得られないことを示す。
【0033】
本発明の組成物は、窒素供給源の存在下で糖をカラメル化することによって得られる場合、グルコサミンおよびフルクトサミンのようなアミノ糖の有意な量を通常含む。より詳細には、組成物は典型的に、少なくとも0.001%、好ましくは少なくとも0.01%、より好ましくは少なくとも0.03%、最も好ましくは少なくとも0.05%のアミノ糖を含み、特にアミノ糖は、単糖または二糖残基を含み、より詳細にはアミノ糖は単糖残基を含む。後者のパーセントは、組成物の乾物に対する重量%として算定される。
【0034】
本発明の組成物は、光誘導性の風味の変化に対して広範な飲料および食料品を安定化するのに適切である。しかし最も良好な結果は、水を含有する食料品、特に水持続性の食料品において得られる。これらの製品において本発明の組成物の使用が沈殿を引き起こすことを回避するために、本発明の安定化組成物は本質的に完全に水溶性であることが好ましい。好ましくは、本発明の組成物は、少なくとも0.01重量%の乾燥固形分まで、より好ましくは少なくとも0.05%の乾燥固形分まで、最も好ましくは0.1重量%まで、実質的に完全に水溶性である。
【0035】
本発明の光安定化組成物は、カラメル化材料の茶色を主に担う最小の量を超えないメラノイジンを含む。メラノイジンは、濾過、または分子量、大きさ、疎水性、もしくは電荷に基づいて分離を可能にする別の分離技術の手段によってカラメル化反応の完了後に適切に除去され得る比較的大きな分子である。得られる組成物は典型的に、乾物の重量の30%未満の、好ましくは20%未満の、より好ましくは15%未満の、さらにより好ましくは10%未満の、および最も好ましくは5%未満の、30kDaを超える分子量を有する成分を含む。より詳細には、前述の量は10kDaを超える、さらにより詳細には5kDaを超える、および最も詳細には1kDaを超える分子量を有する成分に関連する。本発明の組成物中に含まれる30kDaを超える分子量を伴う成分の量は、Millipore(登録商標)YM30フィルター上を当該組成物の水溶液を通過することによって決定される。Millipore(登録商標)YM10フィルターおよびYM1フィルターは、それぞれ、10kDaおよび1kDaを超える分子量を伴う成分の含量を決定するために使用され得る。高分子成分の含量を決定するための異なる技術は異なる結果を生じ得ることが注記される。それゆえ、本出願内で引用されるkDa数は上記の方法論に関連して規定されることが理解されるべきである。
【0036】
メラノイジンおよび他の色に寄与する物質の減少されたレベルがまた、色の強さにより、特に約600nmの波長にて明白である。本発明の特に好ましい実施態様において、本発明の光安定化組成物は、本明細書中で算定されるように0.024を超えない、好ましくは0.01を超えない、610nmでの色の強さを有する。さらにより好ましくは、当該色の強さは、本明細書中で算定されるように、0.003を超えない。610nmでの色の強さを決定するための適切な方法は以下に記載される。
【0037】
本発明の組成物は、比較的濃縮された形態において、例えば、10重量%の固形分を伴って、有利に提供される。より好ましくは、固形分は、少なくとも20重量%であり、最も好ましくは少なくとも30重量%である。本発明の組成物は液体、シロップ、ペースト、粉末、顆粒、または錠剤の形態を取り得る。好ましくは、本発明の組成物は、80重量%未満の、より好ましくは70重量%未満の水を含む。
【0038】
上述で説明されるように、本発明の組成物は窒素物質を適切に含む。しかし、好ましくは、本発明の好ましくは、本発明の組成物中の窒素物質の量は制限される。従って、好ましい実施態様において、本発明の組成物の全窒素含量は、窒素測定(Kjeldahl Method)、Method II(FNP5)によって決定されるように、乾物の重量の20%未満であり、より好ましくは15%未満であり、最も好ましくは10%未満である。別の好ましい実施態様において、当該窒素含量は、乾物の重量で少なくとも0.1%、より好ましくは少なくとも0.2%である。
【0039】
本発明に従う光安定化組成物は、抗酸化剤、乳化剤、および担体材料のような添加物を適切に含み得る。しかし、好ましくは、本発明の組成物は、「天然」と考慮されない、すなわち「人工」、「合成」または「化学」と標示されることが必要である任意の成分を含まない。特に好ましい実施態様において、本発明の全組成物はカラメルに由来し、従ってこれは「カラメル」「カラメル色」、「カラメル単離物」、「カラメル抽出物」などのように標示され得る。
【0040】
本発明の別の態様は、飲料または食料品における光誘導性の風味の変化を防止または減少するための添加物としての、本発明の光安定化組成物の使用と関連される。典型的に、本発明の組成物は、導入される乾物の量に基づいて算定される、少なくとも0.01重量%、好ましくは少なくとも0.02重量%、およびより好ましくは少なくとも0.03重量%の量において、飲料または食料品中に導入される。典型的に、導入される量は、導入される乾物の量に基づいて算定される、1重量%を超えず、好ましくはこれは0.5重量%を超えず、より好ましくはこれは0.3重量%を超えない。
【0041】
本発明の組成物は、有意な量のリボフラビン、この物質は光開始剤として作用し得る、を含む飲料および食料品における光誘導性の風味の変化を防止するために適切である。組成物は、少なくとも10μg/kg(ppb)のリボフラビン、より好ましくは少なくとも50μg/kgのリボフラビン、および最も好ましくは少なくとも100μg/kgのリボフラビンを含む飲料および食料品において、特に有利に使用され得る。
【0042】
本明細書中で先に記載されるように、本発明に従う光安定化組成物は、実質的な量のピラジン誘導体を有利に含む。典型的に、本発明の組成物は、得られる生成物が少なくとも0.5mg/kg、好ましくは少なくとも1mg/kg、より好ましくは少なくとも3mg/kg、および最も好ましくは少なくとも10mg/kgの、本明細書中で先に規定されるようなピラジン誘導体を含むような量において、飲料および食料品に導入される。さらにより好ましい実施態様において、麦芽飲料は、少なくとも0.5mg/kg、好ましくは少なくとも1mg/kgの、2,5-デオキシフルクトサジン、2,6-デオキシフルクトサジン、2,5-フルクトサジン、2,6-フルクトサジン、およびそれらの組合せからなる群より選択されるフルクトサジンを含む。
【0043】
本発明の光安定化組成物の利点は特に、当該組成物が瓶入り飲料を安定化するために使用される場合に特に明白である。用語「瓶入り飲料」は、ガラス容器(例えば、瓶、ジャーなど)中の飲料、およびポリエチレン(例えば、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、および/またはポリエチレンナフタレート(PEN));ポリカーボネート;PVC;および/またはポリプロピレンに基づくプラスチックのような光を通すプラスチック中の飲料を包含する。特に好ましい実施態様において、本発明の光安定化組成物は、添加物、特に光安定化添加物として、緑色の、透明な(例えば、フリント)、または青色のガラス中に瓶入り飲料中で使用される。最も好ましくは、これは、緑色または透明なガラス中に瓶入り飲料中の添加物として使用される。
【0044】
本発明は、ビール、清涼飲料、アルコール飲料、ジュース、乳飲料などを含む広範に多様な飲料における光安定化組成物の使用を包含する。特に好ましい実施態様において、組成物は、ビール、エール、麦芽酒、ポーター、シャンディー、および麦芽の発酵抽出物から作製されるかまたはこれを含む他のもののような麦芽飲料における光誘導性の風味の変化を防止または減少するために使用される。本発明の光安定化組成物は、ビールの、より好ましくは比較的淡色のビール、例えば25未満の、より好ましくは15未満の、最も好ましくは12未満のEBC明度を伴うビールの光安定性を改善するために、特に有利に用いられる。EBC明度を決定するための適切な方法は以下に記載される。
【0045】
日光または人工的な光への、ラガー、エール、ポーター、スタウトなど(本明細書中で概して「ビール」として言及される)のような醸造された飲料の曝露が、これらの飲料の官能的品質に対して有害な影響を有することは醸造産業において周知である。より正確には、光に対する曝露は、いわゆる「嫌な」香りの発生を引き起こすことが公知であり、これは時折また、「日射による」または「光による」風味として言及される。概してビール中の日射による形成は、250〜550nmの波長を伴う光によって特に強力に促進される。概して、波長が短いほど、日射による風味が形成される速度は高くなる。
【0046】
揮発性の硫黄を含有する化合物は日射による風味の原因であると考えられている。これらの硫黄含有化合物は、他の硫黄含有化合物と、飲料中の光化学的に分解される麦芽成分との反応によって少なくとも一部形成されると考えられる。飲料に日射による風味を付与するのに、およびこれを消費者にあまり受容されなくするのにこれらの硫黄化合物は極めて少量で十分である(例えば、Kirk-Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、第4版、第4号、22〜63頁、1992、および米国特許出願第2002/0106422号を参照のこと)。
【0047】
日射による風味を引き起こす硫黄含有物質に導く光化学反応は、リボフラビンの存在によって補助されると考えられる。リボフラビンは飲料中で光開始剤として作用し得、そして有意な量でビールに存在する。ビール中のリボフラビンは、そこで使用される麦芽から主に生じる。より少ない程度にまた、ホップおよび発酵の間の酵母の作用が、ビールのリボフラビン含量に寄与し得る(例えば、Tamerら、754〜756頁 Enzyme Microb.Technology、1988、第10巻、12月による、「醸造酵母によるリボフラビン生成の動力学」を参照のこと)。
【0048】
日射による問題を解決するために、ビール中のリボフラビンの量を減少することが提唱されてきた(Sakumaら ASBC Journalによる「ビール中の日射による風味形成」)。リボフラビンの除去は、例えば、化学線放射を使用することによる分解によって達成され得る(米国特許第3,787,587号、米国特許第5,582,857号、および米国特許第5,811,144号)。ビール中に存在するリボフラビンの量はまた、吸収性陶土(米国特許第6,207,208号)でビールを処理することによって、または酵母と、Leuconostoc mesenteroides(米国特許第6,514,542号)との組合せで同時発酵することによって、減少され得る。リボフラビンを除去するために固定化リボフラビン結合タンパク質を使用すること、またはリボフラビンを不活性化するために飲料中に当該タンパク質を添加することがまた示唆された(EP-A 0879 878)。本発明の光安定化組成物はビール中で、特に光を通す容器、特に330〜360nmの範囲における波長を伴う光を通す容器、より詳細には、320〜400nmの範囲内の光のより広範なスペクトルに対して光を通す容器において保存されるビール中で、日射による風味の発生を防止するにおいて特に効果的である。
【0049】
ビール中の日射による風味の主な供給源は、3-メチル-2-ブテン-1-チオール(3-MBT)である。水中でのこの物質についての官能的閾値は、僅か数ng/kg(ppt)である。3-MBTは、光励起性リボフラビン(麦芽成分に大部分由来する)と、ビール中の苦味源、イソ-α-酸(これはホップに主に起因する)、との間の反応によって形成されることが考えられる。光誘導性の風味の変化を阻害するための有効な量における本発明の光安定化組成物の使用は、少なくとも30%までの、好ましくは少なくとも50%までの、より好ましくは少なくとも60%までの、さらにより好ましくは少なくとも70%までの、および最も好ましくは少なくとも80%までの、3-MBT形成の速度の減少により明白である。MBT形成の減少を測定するための適切な方法は、実施例において記載される。
【0050】
本発明の別の態様は、光誘導性の風味の変化に対する飲料または食料品の安定性を改善するための添加物として適切に使用され得る組成物の製造のための方法に関し、当該方法は以下:
・カラメル化された原料を提供する工程;
・原料のA280/560を少なくとも100%まで増加するように、該原料を脱色する工程、を包含する。
【0051】
カラメル化された原料の脱色は、本明細書中で先に規定されたような光安定化組成物の当該原料からの選択的な単離を可能にする、または例えば漂白によってカラメル化された原料に存在する呈色物質の選択的な排除を可能にする、当該分野において公知の任意の技術によって達成され得る。適切な単離技術の例としては:吸着剤材料(例えば、逆相溶媒)での処理、濾過、およびクロマトグラフィーが挙げられる。本発明の方法の1つの実施態様において、脱色は、30kDaを超えない、好ましくは10kDaを超えない、より好ましくは5kDaを超えない、および最も好ましくは1kDaを超えないカットオフを伴う1つ以上のフィルター上の濾過により達成される。別の実施態様において、脱色は、逆相溶媒、特にアルキル結合されたシリカ上への、または陽イオン交換樹脂上への呈色物質の吸着により達成される。なお別の実施態様において、脱色は、液体クロマトグラフィーの手段により、好ましくは逆相または陽イオン交換クロマトグラフィーの手段により達成される。
【0052】
カラメル化後、カラメル化された原料は、水性系においてほとんど可溶性でない高分子生成物を含み得る。本来半透明である飲料または食料品におけるように使用される場合、このことは所望されないかすみおよび混濁を生じ得る。従って、好ましい実施態様において、本発明の方法は本質的に完全に水溶性である組成物を生じ、当該方法が、当該水溶性を達成することが要求される場合、不溶性物質を除去するおよび/または可溶化するさらなる工程を包含することを意味する。不溶性物質は、例えば超音波処理によって、または溶媒を添加することによって適切に可溶化され得る。
【0053】
本発明の方法において、不溶性物質の至適な除去または可溶化は、脱色の前に好ましくは行われる。本発明はまた、脱色および不溶性物質の除去が単一工程において、例えば、濾過によって、達成される方法を包含することが注記される。
【0054】
本発明はまた、原料が1つ以上の他の醸造添加物、例えば、麦芽、大麦麦芽、シロップと組合せたカラメルを含む方法を包含する。本発明の方法に特に適切なカラメル供給源は、カラメル、European Union Directive95/45;食料品における使用ための色に関する純度基準において規定されるような、またはUS Food Chemical Codex IVにおいて規定されるようなカラメルである。従って、非常に好ましい実施態様において、カラメル化された原料は、乾物重量の少なくとも50%の醸造添加物を含み、乾物重量の少なくとも5%のカラメルを含む。より好ましくは、原料は、乾物重量の、少なくとも10%、より好ましくは少なくとも30%、および最も好ましくは少なくとも50%のカラメルを含む。
【0055】
カラメルは化合物の複雑な混合物であり、そのいくつかはコロイド配置の形態にある。カラメルは、炭化水素を単独で、または食品等級の酸、塩基、および/もしくは塩の存在下のいずれかで加熱することによって製造される。カラメルは通常、暗褐色〜黒色の液体または固体であり、焦げた糖の匂い、およびいくらかの苦味を有する。カラメルは、フルクトース、デキストロース(グルコース)、転化糖、スクロース、ラクトース、糖液、ならびに/またはデンプン加水分解物およびその画分を含む市販の食品等級の栄養甘味料から生成される。使用され得る酸は、食品等級の硫酸、亜硫酸、リン酸、酢酸、およびクエン酸であり、ならびに適切な塩基は、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、およびカルシウム水酸化物である。使用され得る塩としては、アンモニウム、ナトリウム、およびカリウムの炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩(一塩基および二塩基を含む)、硫酸塩、および亜硫酸塩が挙げられる。カラメルは水中で可溶性である。
【0056】
カラメルの4つの異なるクラスは、それらの製造において使用される反応物質によって、および特定の識別味質によって区別され得る(European Union Directive95/45;食料品における使用ための色に関する純度基準およびUS Food Chemical Codex IVを参照のこと)。
・クラスI:無味カラメル、苛性カラメル;E150a。クラスIカラメルは酸、塩基、または塩を伴ってまたは伴わないで、しかしアンモニウムまたは亜硫酸化合物の不在下で炭水化物を加熱することによって調製される。
・クラスII:苛性亜硫酸カラメル;E150b。クラスIIカラメルは、酸または塩基を伴ってまたは伴わないで、亜硫酸化合物の存在下であるが、アンモニウム化合物の不在下で、炭水化物を加熱することによって調製される。
・クラスIII:アンモニアカラメル;E150c。クラスIIIカラメルは、酸または塩基を伴ってまたは伴わないで、アンモニウム化合物の存在下であるが、亜硫酸化合物の不在下で、炭水化物を加熱することによって調製される。
・クラスIV:亜硫酸アンモニアカラメル;E150d。クラスIVカラメルは、酸または塩基を伴ってまたは伴わないで、亜硫酸化合物およびアンモニウム化合物の両方の存在下で、炭水化物を加熱することによって調製される。
【0057】
クラスIIIおよびIVカラメルにおいて使用されるアンモニウム化合物としては、水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、および亜硫酸水素アンモニウムが挙げられる。亜硫酸化合物は、例えば亜硫酸、亜硫酸カリウム、ナトリウム、およびアンモニウム、ならびに亜硫酸水素カリウム、ナトリウム、アンモニウムである。調製の方法の間に、食品等級の消泡剤がプロセシング補助剤として使用され得る。
【0058】
前述のカラメルの4つのクラスのうち、アンモニアカラメル、および亜硫酸アンモニアカラメルは特に、本発明の方法のための開始材料として適切である。特にアンモニアカラメル(クラスIII)は、本発明に従う光安定化組成物の生成のために優れた開始材料を構成する。
【0059】
本発明に従って用いられる脱色工程は、日射による形成を阻害する物質を有意に除去および排除するには至らないが、可視領域において吸収する物質を単に除去または排除する。従って、脱色は、光誘導性の異臭の形成と関連されるそれらの波長での、脱色される材料の吸収特性を非常に保持する。大部分のUV光線ブロック化合物のこの保持は、280/560比(A280/560)によって最も良好に表される。この比率は、欧州のカラメル純度指針(95/45/EU)において使用され、そして消光比として示される。亜硫酸アンモニウムカラメルは、50未満のA280/560を有することが記載される。アンモニアカラメルについて記載されるこのような明細事項はないが、一般にこれは120未満のA280/560を有する。本発明の方法から得られる組成物を含有する脱色されるカラメル化炭水化物は、典型的に200を超える、好ましくは250を超える、より好ましくは350を超える、より好ましくは400を超える、さらにより好ましくは500を超える、および最も好ましくは1000を超えるA280/560を有する。
【0060】
より初期に言及されるEU規制に従って、カラメルは610nmにて0.01〜0.6の色の強さを有しなくてはならない。アンモニアカラメルについて、要件は、色の強さが0.08〜0.36の範囲内にあることである。色の強さを決定するための方法の記載は以下に提供される。本発明の方法において使用されるカラメルを含有する原料の色の強さは、乾物重量基準において好ましくは0.01を超える、より好ましくは0.024を超える。本発明の方法において、原料の色の強さは好ましくは、脱色の結果として、少なくとも因数5まで、より好ましくは少なくとも因数10まで、および最も好ましくは因数20まで減少される。
【0061】
本発明の方法は通常、本発明の光安定化組成物の形態においてかなりの収率を生じる。典型的に本発明の方法の収率は、5〜90%の範囲、特に10〜80%の範囲にある。特に好ましい実施態様において、本発明の方法は少なくとも20%の収率において、本発明に従う光安定化組成物を生じる。
【0062】
本発明の別の態様は、光誘導性の風味の変化に対して改善された安定性を示す飲料および食料品に関し、ここで飲料または食料品は、本発明の光安定化組成物を当該飲料または食料品に導入する工程を包含する製造の方法によって得られるか、または得ることが可能である。特に、本発明は、本明細書中で先に規定されるように、少なくとも0.5mg/kg、好ましくは少なくとも1mg/kg、より好ましくは少なくとも3mg/kg、および最も好ましくは少なくとも10mg/kgのピラジン誘導体を含む飲料および食料品に関する。さらにより好ましい実施態様において、本発明の方法によって得ることが可能な飲料または食料品は、少なくとも0.5mg/kg、好ましくは少なくとも1mg/kgの、2,5-デオキシフルクトサジン、2,6-デオキシフルクトサジン、2,5-フルクトサジン、2,6-フルクトサジン、およびそれらの組合せからなる群より選択されるフルクトサジンを含む。
【0063】
本発明のなお別の態様は、光誘導性の風味の変化に耐性である、ホップを含有する飲料に関し、当該ホップを含有する飲料は、25未満の、好ましくは15未満の、より好ましくは12未満のEBC明度により、本明細書中で先に規定されるような、mg/kgにおいて表される、0.1×EBC明度、より好ましくは1×EBC明度を超えるピラジンの含量により特徴付けられる。さらにより好ましくは、当該含量は、5×EBC明度を超え、より好ましくは10×EBC明度を超える。
【0064】
好ましくはホップを含有する飲料は、発酵された穀物ベースの飲料である。より好ましくは、ホップを含有する飲料は、ビール、麦芽酒、ポーター、シャンディー、もしくは麦芽であるか、またはホップから作製されるか、もしくはこれを含有する別の飲料である。さらにより好ましくは、飲料はビール、最も好ましくはラガービールである。特に好ましい実施態様において、ホップを含有する飲料は黄色、または帯黄色を有し、すなわち、これは優位な量の呈色カラメルの使用と関連される褐色の色を有しない。
【0065】
本発明の組成物の光安定化量の添加の結果として、ホップを含有する飲料は典型的に、少なくとも0.5mg/kg、好ましくは少なくとも1mg/kg、より好ましくは少なくとも3mg/kg、および最も好ましくは少なくとも10mg/kgの、本明細書中で先に規定されるようなピラジン誘導体を含む。さらにより好ましい実施態様において、麦芽飲料は、少なくとも0.5mg/kg、好ましくは少なくとも1mg/kgの、2,5-デオキシフルクトサジン、2,6-デオキシフルクトサジン、2,5-フルクトサジン、2,6-フルクトサジン、およびそれらの組合せからなる群より選択されるフルクトサジンを含む。
【0066】
本明細書中で先に説明されたように、本発明の光安定化組成物の利点は、500nm未満の、特に400nm未満の波長を伴う光を通す容器、例えば、緑色および青色のガラス中に詰められる光感受性の産物において特に明白である。従って、好ましい実施態様において、本発明のホップを含有する飲料は、緑色の、透明な、または青色のガラス中に、特に透明な、または緑色のガラス中に瓶詰めされる。
【0067】
方法
固形分
材料の固形分は、No.40ふるいを通過するがNo.60ふるいを通過しない純粋なケイ砂から構成される担体上でサンプルを乾燥することによって決定され、塩酸での消化、無酸性の洗浄、乾燥、および点火によって調製された。混合性の30.0gの調製されたケイ砂は正確に秤量された1.5〜2.0gの材料とともに正確に秤量され、そして60℃での減圧50mmHg(6.7kPa)下、一定の重量に乾燥される。ケイ砂およびカラメルまたは脱色されたカラメルの最終重量を記録する。固形%を以下のように算定する
【0068】
固形%=[(W−W)/W]×100
ここで
=ケイ砂およびカラメルの最終重量
=ケイ砂の重量
=最初に添加されたカラメルの重量
【0069】
色の強さ
本明細書の目的のために、ある材料の色の強さは、610nmでの1cmの石英セルにおける水中の固体の0.1%(w/v)溶液の吸光度として規定される。必要である場合、溶液のpHは4と7との間に適合される。
【0070】
手順
100mgの固体に等価な材料の量を、100mL容量フラスコに移し、水で容量に希釈し、混合し、溶液が混濁する場合は遠心分離する。参照として水を使用して予め標準化された適切な分光光度計で、610nmでの1cm石英セルにおける透明な溶液の吸光度を測定する。材料の色の強さを以下のように算定する:
【0071】
色の強さ=A610×100 /固形%
固形分の下に記載されるように、固形%を決定する。
【0072】
分類/吸光度比
この明細書の目的のために、材料の吸光度比は、560nmでの水中の0.1%(w/v)溶液の吸光度により除算された280nmでの同じ溶液の吸光度として規定される。必要である場合、溶液のpHは4と7との間に調製される。
【0073】
手順
100mg固体に等価な材料の量を100ml容量フラスコに水の補助を伴って移し、容量に希釈し、混合し、溶液が混濁する場合は遠心分離する。5.0mLの透明な溶液を100mL容量フラスコにピペットで移し、容量に水で希釈し、そして混合する。560nmでの1cmセル中の0.1%(w/v)溶液の吸光度、280nmでの1:20(v/v)希釈された溶液の吸光度を、標準として水を使用して先に標準化された分光光度計を用いて決定する。(適切な分光光度計は2nm以下の、および迷光特性が0.5%以下であるような性質の帯域幅を提供するために、単色光分光器が備えられたものである)。280nmでの吸光度単位を先ず20(希釈因数)乗じることにより、そして乗算の結果を560nmでの吸光度単位により除算することによって、吸光度比を算定する。
【0074】
EBC色
EBC推奨の方法(European Brewery Convention、Analytica、1987)、これにより光の吸光度は、参照としての水に対して、1cm石英キュベット中、430nmにて測定される。測定される吸光度の値は、経験的に由来する因数25を乗じられ、EBC色単位に関する明度を与える。EBC=A430×25
【実施例】
【0075】
実施例1
本発明に従う光安定化組成物は、以下のようにカラメルから調製された(D35型 ex Devolder S.A.-N.V.):20グラムの液体カラメル(60〜80固形乾燥重量%)が、200mLの蒸留水中に溶解され、そしてMillipore(登録商標)YM10再生セルロース限外濾過メンブレン(10,000の見かけの分子量限界、直径:76mm、カタログ番号13642)が備えられた、Millipore Amicon(登録商標)シリーズ8000(8400型、400mL)攪拌セルを使用して限外濾過された。
150mLの濾液が回収され、そして50%(v/v)エタノール/水で調製され、そして使用の前に200mL蒸留水で濾過された70g、5×6.5cm C18-RP SPE床(Supelco(登録商標)LC-18材料)に適用された。150mLの溶出後、蒸留水がカラムに適用され、そして別の50mlが回収された。回収された画分は使用の前まで凍結乾燥された。
【0076】
実施例2
LC-PDA分析が主に実施例1において記載される光安定化組成物のUV吸収特性を担う物質を同定するために行われた。

方法論:
・210〜400nm間を走査するWaters(登録商標)Diodeアレイ996検出器、MIllenium32ソフトウェアを備えるWaters Alliance(登録商標)2690HPLC系
・AlltechからのPrevail(登録商標)Carboydrate ES(5μm、250×4.6mm)カラム(カタログ番号35101)
・定速、40分間の実行時間、流動速度0.5ml/分
・溶媒:75%アセトニトリル(Sigma-Aldrich、カタログ番号34998)、ギ酸の25%(v/v)水溶液(Milli-Q+水、ギ酸(98%〜100%)でpH3に調製される、ACS試薬 例えば、Riedel−de Haren)
・サンプル温度:5℃
・カラム温度:25℃
・脱気:連続的
・サンプルは、アセトニトリルでの1:1(v/v)希釈により調製され、そして分析の前に濾過される(PVDF0.45μMシリンジフィルター)
【0077】
【表1】

【0078】
成分1および2の正確な質量を決定するために、脱色化カラメルが、アミノベースの分析カラムを使用して、LC-エレクトロスプレー-ToF-MS(ポジティブモード)上に、注入された。メタノール中の70mg/Lポリアミンの溶液がロックマス(lockmass)(内部基準)として使用された。両方の化合物の基本的な組成は、C1221(=(M+H))であることが見出された。
【0079】
データ 2,6-デオキシフルクトサジン 1-[6-(2,3,4-トリヒドロキシ-ブチル)-ピラジン-2-イル]-ブタン-1,2,3,4-テトラオール。
見出された質量:305.1353
算定された質量305.1349
Δ質量:1.3ppm
【0080】
データ 2,5-デオキシフルクトサジン 1-[5-(2,3,4-トリヒドロキシ-ブチル)-ピラジン-2-イル]-ブタン-1,2,3,4-テトラオール。
見出された質量:305.1346
算定された質量305.1349
Δ質量:-0.8ppm
【0081】
実施例3
本発明に従うカラメル由来の組成物の光安定化特性は、実施例1において記載される光安定化組成物を、0.5、1.0、および2.0g/L(乾燥重量)の投与量においてHeineken(登録商標)ピルスナー(オランダ)に添加することによって評価された。組成物は新鮮に醸造されたビールに添加され、これは続いて300mLの緑色ガラス瓶(Heineken(登録商標)輸出品、BSNまたはRexam瓶35.5EB-5 GR)に瓶詰めされた。瓶詰めは、ビールおよびヘッドスペースにおける空気中の酸素の取り込みを最小にするような方法において行われた。
【0082】
示された量において光安定化組成物を含む瓶、およびコントロールサンプルを伴う瓶は、キセノンランプ(Atlas Material Testing Technology)により模擬される日光に曝露された。光用量は、60分間、2700KJ/mであった。さらに、1.0g/Lの安定化組成物を含有するサンプルは、2、8、およびさらに24時間、同じ条件下で照射された。
【0083】
サンプル中のMBT濃度は、Hughesら(Hughes P.S.、Burke S.およびMeacham A.E.(1997)「ビールの日射による特性の態様」。Institute of Brewing、Proceedings of the 6th Central and South Africa Section、123〜128頁)によって記載される方法により、適切に決定され得る。
【0084】
前述のサンプルの分析は、光安定化組成物を含有するサンプル中のMBT濃度が、コントロールサンプル中に見出されるMBT濃度よりも有意に低かったことを示した。
【0085】
【表2】

【0086】
上述のグラフはまた、本発明の光安定化組成物の有効性が、光への益々の曝露とともに増加することを示す(光曝露時間の関数としての1.0g/Lサンプルの還元%を参照のこと)。
【0087】
実施例1に従う安定化組成物の、前述のビールサンプルの色に対する効果は、本明細書中で先に記載される方法を使用して、EBC明度およびA280/560吸収比を測定することによって決定された。さらに、同じパラメーターが、処置された(脱色された)カラメルの代わりに、実施例1のカラメル開始材料(元来のカラメル)を含んだビールサンプルについて分析された。以下の結果が得られた:
【0088】
【表3】

【0089】
【表4】

【0090】
実施例5
実施例1において記載される光安定化組成物の吸収特性が、約280nmの当該組成物のUV吸収特性を主に担うことが推定された2つの成分(2,5-および2,6-デオキシフルクトサジン)(実施例2を参照のこと)の吸収特性に比較された。
【0091】
サンプルは以下のように調製された:100mg固体に等価なある量の材料が、水の補助を伴って100ml容量フラスコに移され、続いて容量に希釈され、攪拌され、溶液が混濁する場合遠心分離された。続いて、透明な溶液の5.0mL部分が100ml容量フラスコにピペットで移され、水で容量に希釈され、そして攪拌された。
【0092】
このように調製されたサンプルの吸光度は、参照として水を使用して予め標準化された適切な分光光度計を用いて、280nmでの1cm石英セルにおいて測定された。適切な分光光度計は2nm以下の、および迷光特性が0.5%以下であるような性質の帯域幅を提供するために、単色光分光器が備えられたものである。
【0093】
2,6-デオキシフルクトサジン、2,5-デオキシフルクトサジン、および脱色化カラメルサンプルについての吸収曲線が、以下のように決定された。スペクトルは250〜300nm領域における最も高い吸収に対して正規化された(図面)。実施例2において得られた結果およびUV吸収データから、前述のデオキシフルクトサジンは、本明細書の脱色化カラメルにおいて280nmでのUV吸収の約40%を占めることが算定され得る。
【0094】
【表5】

【0095】
実施例6
乳汁は、これが光、特に日光に曝露される場合、所望されない風味の変化を発生することが知られる。このような曝露の結果として、ペンタナルおよびヘキサナルのような乳汁脂質酸化産物、ならびに硫化ジメチルが形成される。実験が、本発明に従う光安定化組成物の、乳汁における光誘導性の悪臭発生に対する効果を決定するために、行われた。
【0096】
3つの14mL乳汁サンプルが、二酸化炭素雰囲気の下、グローブボックス中にPTFE裏打ちシリコン閉塞(カタログ番号27119および27300)ex Supelco(登録商標))を備える20mL SPME(固相微量抽出)バイアル(平底(23mm×75mm)ヘッドスペースバイアル中に、2連で調製され、そして厳密に密閉された。
【0097】
サンプルAおよびC:添加を伴わない乳汁
サンプルB:1g/Lの実施例1において記載される光安定化組成物を含有する乳汁
サンプルAはアルミホイルで包まれ、そして他のサンプルとともにサンボックスに置かれ、そして実施例3において使用されたキセノンランプで30分間照射された。適用された光用量は、1350kJ/mであった。照射後、サンプルはSPME-GC-MSによって分析された。
【0098】
得られた結果は、全ての乳汁サンプルが硫化ジメチルを含むことを示す。サンプルBおよびCの両方において、硫化ジメチル濃度は、サンプルAに比較して照射後に減少され、そして二硫化ジメチルの濃度において有意な増加が観察された。サンプルCの二硫化ジメチル含量の観察された増加は、サンプルBの二硫化ジメチル含量の観察された増加よりもかなり高かった。二硫化ジメチルは特に、極めて高い臭気を伴う悪臭のある物質である。
【0099】
実施例7
実験は、ビール中におけるフルクトサジンの光安定化特性を決定するために行われた。
合成2,5-デオキシフルクトサジンによるMBT減少
グルコサミンから合成された、2,5-デオキシフルクトサジンは、Heineken(登録商標)ラガービール(0.5g/L)中に溶解され、そして12分間、透明なガラスバイアル(40mL(28×98mm)オープントップスクリューキャップ(フェノール樹脂性キャップ、PTFE/シリコン隔壁)カタログ番号27089-U ex Supelco(登録商標)を備える)中で照射された。全てのサンプルは、適切なブランクを伴った。サンプルはMBT形成に対して分析された。0.5g/Lの量における合成2,5-デオキシフルクトサジンの添加がMBT形成における70%減少を生じたことが見出された。
【0100】
単離された2,6-および2,5-デオキシフルクトサジンによるMBT減少
2,6-および2,5-デオキシフルクトサジンの両方が、210〜400nm間を走査するWaters(登録商標)Diodeアレイ996検出器を備えるWaters(登録商標)Delta600半調製HPLC系における調製液体クロマトグラフィーにより発酵された脱色化カラメルから単離された。
【0101】
カラムの詳細:Alltech(登録商標)からのPrevail Carbohydrate ES(9μm、300×20mm)カラム(カタログ番号35215)、移動相組成:75%アセトニトリル(Sigma-Aldrich(登録商標)、カタログ番号:34998)、ギ酸の25%水溶液(Milli-Q+水、ギ酸(98〜100%)でpH3.0に調製される、ACS試薬 例えば、Riedel−de Haen)、10ml/分の流動速度で定速に作動する(40分間の作動時間)。サンプル温度25℃。カラム温度:25℃。
【0102】
サンプルは、アセトニトリルでの、発酵された脱色化カラメルの1:1(v/v)希釈によって調製され、続いて分析の前に濾過された(PVDF 0.45μM、シリンジフィルター)。回収された画分は溶媒エバポレーション(回転式エバポレーター)を受け、そして凍結乾燥して、2,6-デオキシフルクトサジンを含有する7.5%の画分、および2,5-デオキシフルクトサジンを含有する4%の画分を生じた。単離された画分は、非常に少量の濃度の混入のみを含んだ。
【0103】
両方の単離物は、透明なガラスバイアル中、250mg/Lにて、Heineken(登録商標)ビールに投与され、12分間照射された。両方の生成物が約60%までMBT形成を減少したことが見出された。
【0104】
合成2,5-フルクトサジンによるMBT減少
2,5-フルクトサジン、例えば、Sigma-Aldrichが、0.5g/Lの濃度にてHeineken(登録商標)ビールに添加された。透明なガラスバイアル中でサンプルは、12分間照射された。フルクトサジンの添加は、約70%のMBT形成の減少を生じることが見出された。
【0105】
実施例8
陽イオン交換材料(Sigma-Aldrich、Dowex(登録商標)50WX4-400強力な陽イオン交換)が、1M HCL水溶液でH形態にされ、そして洗浄液が中性になるまで蒸留水で徹底的に洗浄された。実施例1に従って調製された、5gの凍結乾燥された脱色化カラメルを含有する10mL溶液に、0、0.5、1.0、2.0、および4グラムの陽イオン交換材料が添加された。これらの混合物は一晩振とうされ、そして濾過された。濾液が凍結乾燥され、そして乾燥された固体材料が1g/Lにて、Heineken緑色瓶中の300gのHeinekenビールに添加され、そして60分間照射された。ビールサンプルのEBC明度が測定され、そしてコントロールサンプルに対するMBT含量の減少が、実施例3において記載されるMBT分析を使用して測定された。
【0106】
得られた結果は以下のグラフにおいて示される。
【0107】
【表6】

【0108】
これらの結果は、陽イオン交換材料が、大部分のUV吸収能を保持しながら、カラメルを(さらに)脱色するために使用され得ることを説明する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラメル化炭水化物を含有する組成物であって、組成物は、0.1重量%の乾燥固形分にて水中に溶解される場合:
i.0.01を超える、好ましくは0.05を超える280nmでの吸収(A280);および
ii.少なくとも200、好ましくは少なくとも250の吸収比A280/560
を示す、組成物。
【請求項2】
乾燥固体の重量の少なくとも10%のカラメル化炭水化物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも0.5%、好ましくは少なくとも1.0%のN-複素環物質を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
乾物重量の少なくとも0.5%、好ましくは少なくとも1%の式(I)に従うピラジン誘導体を含み;
【化1】

ここでR〜Rは独立して、水素、;ヒドロキシヒドロカルビル残基もしくはヒドロキシヒドロカルビル残基のエステル;またはヒドロキシヒドロカルビル残基のエーテルを示し;そしてR〜Rの少なくとも1つは、ヒドロキシヒドロカルビル残基またはそのエステルもしくはエーテルである、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
ヒドロキシヒドロカルビル残基が1〜10個の炭素原子を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
ピラジン誘導体が少なくとも2つのヒドロキシヒドロカルビル残基を含む、請求項4または5に記載の組成物。
【請求項7】
2,5-デオキシフルクトサジン、2,6-デオキシフルクトサジン、2,5-フルクトサジン、2,6-フルクトサジン、およびそれらの組合せからなる群より選択されるフルクトサジンを、乾物重量の少なくとも0.1%、好ましくは少なくとも0.3%含む、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
実質的に完全に水溶性である、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
30kDaを超える、特に5kDaを超える分子量を有する成分を乾物重量の30%未満含む、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
610nmでの組成物の色の強さが、0.024を超えず、好ましくは0.01を超えない、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
組成物の固形分は少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、最も好ましくは少なくとも30重量%である、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
Nitrogen Determination(Kjeldahl Method)、Method II(FNP5)によって決定される全窒素含量が乾物重量の20%未満であり、好ましくは乾物重量の0.1〜15%の範囲内にある、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
飲料または食料品における光誘導性の風味の変化を防止または減少するための添加物としての、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項14】
導入される乾物の量に基づいて算定された、0.01〜1重量%、好ましくは0.02〜0.3重量%の量において、前記組成物が飲料または食料品に導入される、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
組成物は瓶詰めされる飲料に、好ましくは緑色の、透明な、または青色のガラス中に瓶詰めされる飲料に導入される、請求項13または14に記載の使用。
【請求項16】
ビールにおける光誘導性の風味の変化を防止または減少するための、好ましくは25未満の、より好ましくは15未満のEBC明度を示すビ−ルにおける光誘導性の風味の変化を防止または減少するための請求項13〜15のいずれかに記載の使用。
【請求項17】
請求項1〜12のいずれかに記載の組成物を該飲料または食料品に導入する工程を包含する、光誘導性の風味の変化に耐性である飲料または食料品を製造する方法。
【請求項18】
組成物は導入される乾物の量に基づいて算定された、0.01〜1重量%の、好ましくは0.02〜0.3重量%の量において、飲料または食料品に導入される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
組成物は瓶入り飲料に、好ましくは緑色の、透明な、または青色のガラス中に瓶詰めされる飲料に導入される、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
ビールに、好ましくは25未満の、より好ましくは15未満のEBC明度を示すビールに組成物を導入する工程を包含する、請求項17〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
・カラメル化された原料を提供する工程;
・原料のA280/560を少なくとも100%まで増加するように、該原料を脱色する工程、
を包含する、光誘導性の風味の変化に対する飲料または食料品の安定性を改善する添加物として適切に使用され得る組成物の製造方法。
【請求項22】
原料が濾過工程を受ける、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
原料が乾物重量の少なくとも50%の醸造用添加物を含み、乾物重量の少なくとも5%のカラメルを含む、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
原料が、乾物重量の少なくとも10%、好ましくは少なくとも30%のカラメルを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
カラメルはアンモニアカラメル、亜硫酸アンモニアカラメル、またはそれらの組合せである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
610nmでの原料の色の強さが、0.01を超える、好ましくは0.024を超える、請求項21〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
原料の色の強さは、脱色の結果として少なくとも因数10まで減少される、請求項21〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
方法の収率が5〜90%の範囲に、好ましくは10〜80%の範囲にある、請求項21〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
請求項17〜20のいずれかに記載の方法によって得られる、光誘導性の風味の変化に耐性である飲料または食料品。
【請求項30】
光誘導性の風味の変化に耐性であり、ホップを含有する飲料であって、25未満の、好ましくは15未満のEBC明度、および0.1×EBC明度を超え、mg/kgにおいて表される、請求項4に記載のピラジン誘導体の含量によって特徴付けられる飲料。
【請求項31】
少なくとも0.5mg/kg、好ましくは少なくとも1mg/kgの、請求項4に記載のピラジン誘導体を含む、請求項30に記載の飲料。
【請求項32】
ヒドロキシヒドロカルビル残基が、1〜10個の炭素原子を含む、請求項31に記載の飲料。
【請求項33】
ヒドロキシヒドロカルビル残基が少なくとも2つのヒドロキシル基を含む、請求項31または32に記載の飲料。
【請求項34】
ピラジン誘導体が少なくとも2つのヒドロキシヒドロカルビル残基を含む、請求項31〜33のいずれかに記載の飲料。
【請求項35】
少なくとも0.5mg/kg、好ましくは少なくとも1mg/kgの、2,5-デオキシフルクトサジン、2,6-デオキシフルクトサジン、2,5-フルクトサジン、2,6-フルクトサジン、およびそれらの組合せからなる群より選択されるフルクトサジンを含む、請求項31〜34のいずれかに記載の飲料。
【請求項36】
緑色の、透明な、または青色のガラスに瓶詰めされる、請求項29〜35のいずれかに記載の飲料。

【公表番号】特表2007−507220(P2007−507220A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532141(P2006−532141)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000674
【国際公開番号】WO2005/030919
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(506023116)ハイネケン・サプライ・チェイン ビー.ブイ. (5)
【Fターム(参考)】