説明

光走査装置および画像形成装置

【課題】 複数の被走査面の配列に対応して扁平な構成とし、コンパクトに構成する。
【解決手段】 半導体201〜204からの複数色の画像情報によりそれぞれ変調される光ビームを、振動ミラー400の回転軸支された可動ミラーにより一括して偏向走査する。偏向走査された光ビームを走査光学系によりそれぞれ各色に対応する複数の被走査面に結像し、それぞれ各色に対応する複数の画像を形成する。各色に対応する複数の被走査面上の走査位置を同一平面内に配列し、且つ各光ビームの射出軸を、互いに所定角度だけ離隔するように配置する。光ビームを、入射ミラー106によって振動ミラー400へ折り返し偏向する。振動ミラー400により偏向走査される複数の光ビームを、反射ミラー107によって可動ミラーの回転軸に平行な方向へ折り返し偏向する。複数の光ビームの結像スポットを用いて各色に対応する被走査面を走査する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディジタル複写機やレーザプリンタ等における画像形成に用いられる光走査装置およびそれを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるシリコンマイクロマシニングを利用した偏向装置の研究が進められており、例えば、特許文献1(特許第2924200号)および特許文献2(特許第3011144号)においては、Si(シリコン)基板で振動ミラーとそれを軸支するねじり梁とを一体に形成する方式が提案されている。
また、例えば、特許文献3(特許第3445691号)および特許文献4(特許第3543473号)においては、ポリゴンミラーに代えて振動ミラーを配備した構成が開示されている。この方式によれば、ミラー面サイズが小さくて済むので、小型化することができることに加えて、共振を利用して往復振動させるので、高速動作が可能であるにもかかわらず、低騒音で消費電力が低いという利点があり、さらには、低振動で、しかも発熱がほとんどないために、光走査装置を収容するハウジングを薄肉化することができ、ガラス繊維の配合率が高い特殊なグレードの樹脂成形材を用いなくとも、画像品質への影響が発生し難いといった利点もある。
【0003】
そして、例えば、特許文献5(特開2007−233235号)には、振動ミラーをタンデムカラー対応の光走査装置に適用した構成が開示されている。この特許文献5(特開2007−233235号)には、振動ミラーの共振周波数に応じて走査周波数fdを設定し、設定された走査周波数に応じてビームスポット間隔pを調整することによって、濃度むら、色ずれおよび色変り等のない高品位の画像形成を行うことができる旨が記載されている。
さらに、例えば、特許文献6(特開2008−65045号)には、各色に対応する光源からの光ビームを副走査方向に離隔して配置し、振動ミラーに入射角を異ならせて入射させることによって、単一の振動ミラーにより走査を行う例が開示されている。
上述したように、振動ミラーを用いることによって、低騒音、低消費電力および低発熱といったメリットが得られることに加え、振動ミラーとそれを軸支するねじり梁を一体形成した扁平構造とすることによって、回転軸からミラー面まで所定の寸法(内接円半径)を有しイナーシャを確保するためのロータを備えるポリゴンスキャナに比べて、振動ミラーの法線方向の厚さを薄くすることができるというメリットも得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来は、特許文献6(特開2008−65045号)に示されているように、従来のポリゴンスキャナを用いた方式と同様に、各感光体ドラムの走査位置が配列される面に対して振動ミラーの回転軸を直交させる配置であるために、振動ミラーの法線方向の厚さが薄いというメリットを活かしきれていない。また、各色に対応する複数の光ビームを振動ミラーの回転軸方向、つまり副走査方向、に異なる角度に傾けた方向から振動ミラーに斜入射させるために、射出軸の傾きに伴って、光源ユニットは副走査方向に離隔して配置する必要があり、各感光体ドラムの走査位置が配列される面と直交する方向における光走査装置の厚さ寸法が嵩むことになって、装置本体の高さ寸法を低くするためには不利であった。
さらに、光源ユニット間の干渉を避けるためには、光源ユニットを主走査方向に離隔して配備する必要があるために、基準となる光源ユニットの光線に対し、他の光源ユニットからの光線を折返しミラーで折り返して、これらを回転軸方向に1列に揃えて振動ミラーに入射させるようにしているが、各光源ユニットから振動ミラーに至る光路のレイアウトが複雑化し、各々の光線の相対的な配置精度を維持するためには、折返しミラーの姿勢を維持することができるハウジング剛性が必要となる。その上、光線の方向を揃えるための調整等が必要となって、組立性も悪くなってしまう。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、複数の被走査面の配列に対応して扁平な構成とした光走査装置およびそのような光走査装置を用いてコンパクトに構成した画像形成装置を提供することを目的としている。
本発明の請求項1の目的は、特に、簡単な構成で、装置構成を扁平化し、且つ複数の光源手段からの光ビームを可動ミラーに入射させるまでの構成を単純化することができ、低コストでコンパクト化することを可能とする光走査装置を提供することにある。
本発明の請求項2の目的は、特に、容易に、装置構成を扁平化し、且つ複数の光源手段からの光ビームを可動ミラーに入射させるまでの構成を単純化して、低コストでさらにコンパクト化することを可能とする光走査装置を提供することにある。
本発明の請求項3の目的は、特に、結像レンズの配置に合わせて可動ミラーの回転軸の位置および姿勢を精度良く位置決めすることができ、環境変動があっても配置関係を維持して、被走査面上におけるドット配列の均一性、並びに走査軌跡の曲がりおよび傾きなどの光学特性の劣化を軽減することを可能とする光走査装置を提供することにある。
本発明の請求項4の目的は、特に、入射ミラーを介して可動ミラーに入射する光ビームの入射位置に対して、可動ミラーの位置を精度良く位置決めすることができ、環境変動があっても相互の配置関係を維持して、被走査面上におけるドット配列の均一性、並びに走査軌跡の曲がりおよび傾きなどの光学特性の劣化を軽減することを可能とする光走査装置を提供することにある。
【0006】
本発明の請求項5の目的は、特に、複数の光源手段の配列面に対して可動ミラーの姿勢を精度良く位置決めすることができ、環境変動があっても相互の配置関係を維持して、被走査面上におけるドット配列の均一性、並びに走査軌跡の曲がりおよび傾きなどの光学特性の劣化を軽減することを可能とする光走査装置を提供することにある。
本発明の請求項6の目的は、特に、あらかじめ姿勢が位置決めされた状態を維持したまま、可動ミラーを、偏向手段支持部材に装着して、ハウジングに対して着脱自在とすることができ、偏向手段の組み付けや故障時の交換の際に厄介な調整を行う必要がなく、生産効率やメンテナンス性を向上することを可能とする光走査装置を提供することにある。
本発明の請求項7の目的は、特に、請求項1〜請求項6のいずれかの光走査装置を用いて、低コストでコンパクト化することを可能とする画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した本発明に係る光走査装置は、上述した目的を達成するために、
複数色の画像情報によりそれぞれ変調される光ビームを発生する複数の光源手段と、
回転軸支された可動ミラーを有し、前記複数の光源手段からの複数の光ビームを該可動ミラーにより一括して偏向走査する偏向手段と、
前記偏向手段により偏向走査された前記複数の光ビームをそれぞれ各色に対応する複数の被走査面に結像する結像手段と、
を備え、前記複数の被走査面上にそれぞれ各色に対応する複数の画像を形成する光走査装置において、
前記各色に対応する複数の被走査面上の走査位置を同一平面内に配列し、且つ
前記複数の光源手段の各光ビームの射出軸を、互いに所定角度だけ離隔するように配置するとともに、
前記複数の光源手段からの光ビームを、前記可動ミラーへと折り返し偏向する入射ミラーと、
前記可動ミラーにより偏向走査される複数の光ビームを、前記可動ミラーの回転軸に平行な方向へ折り返し偏向する反射ミラーと
を備えてなり、
前記複数の光源手段からの光ビームの結像スポットを用いて前記各色に対応する被走査面を走査することを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載した本発明に係る光走査装置は、請求項1の光走査装置であって、
前記複数の光源手段の各射出軸を、前記複数の被走査面上の走査位置が配列された平面と平行な面内に、互いに所定角度だけ離隔するように配置してなることを特徴としている。
請求項3に記載した本発明に係る光走査装置は、請求項1または請求項2の光走査装置であって、
前記結像手段は、前記複数の光源手段からの前記複数の光ビームで共用する結像レンズを含み、且つ
少なくとも前記結像レンズと前記偏向手段とを一体的に支持する偏向手段支持部材を備えることを特徴としている。
請求項4に記載した本発明に係る光走査装置は、請求項1〜請求項3のいずれか1項の光走査装置であって、
少なくとも前記入射ミラーと前記偏向手段とを一体的に支持する偏向手段支持部材を備えてなるこことを特徴としている。
【0009】
請求項5に記載した本発明に係る光走査装置は、請求項1〜請求項4のいずれか1項の光走査装置であって、
前記偏向手段を支持し、且つ前記可動ミラーの静止時の面法線の方向と、該面法線に直交する面内での回転軸の方向とを位置決めする位置決め手段を有する偏向手段支持部材を備えてなることを特徴としている。
請求項6に記載した本発明に係る光走査装置は、請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の光走査装置であって、
前記偏向手段支持部材は、前記複数の光源手段の光ビームの射出軸が配列される平面と平行な面内で位置決めする位置決め手段を備えてなることを特徴としている。
請求項7に記載した本発明に係る画像形成装置は、請求項1〜請求項6のいずれか一項の光走査装置を備えてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の被走査面の配列に対応して扁平な構成とした光走査装置およびそのような光走査装置を用いてコンパクトに構成した画像形成装置を提供することができる。
すなわち、本発明の請求項1の光走査装置によれば、
複数色の画像情報によりそれぞれ変調される光ビームを発生する複数の光源手段と、
回転軸支された可動ミラーを有し、前記複数の光源手段からの複数の光ビームを該可動ミラーにより一括して偏向走査する偏向手段と、
前記偏向手段により偏向走査された前記複数の光ビームをそれぞれ各色に対応する複数の被走査面に結像する結像手段と、
を備え、前記複数の被走査面上にそれぞれ各色に対応する複数の画像を形成する光走査装置において、
前記各色に対応する複数の被走査面上の走査位置を同一平面内に配列し、且つ
前記複数の光源手段の各光ビームの射出軸を、互いに所定角度だけ離隔するように配置するとともに、
前記複数の光源手段からの光ビームを、前記可動ミラーへと折り返し偏向する入射ミラーと、
前記可動ミラーにより偏向走査される複数の光ビームを、前記可動ミラーの回転軸に平行な方向へ折り返し偏向する反射ミラーと
を備えてなり、
前記複数の光源手段からの光ビームの結像スポットを用いて前記各色に対応する被走査面を走査することにより、
特に、簡単な構成で、装置構成を扁平化し、且つ複数の光源手段からの光ビームを可動ミラーに入射させるまでの構成を単純化することができ、低コストでコンパクト化することが可能となる。
【0011】
また、本発明の請求項2の光走査装置によれば、請求項1の光走査装置において、
前記複数の光源手段の各射出軸を、前記複数の被走査面上の走査位置が配列された平面と平行な面内に、互いに所定角度だけ離隔するように配置してなることにより、
特に、容易に、装置構成を扁平化し、且つ複数の光源手段からの光ビームを可動ミラーに入射させるまでの構成を単純化して、低コストでさらにコンパクト化することが可能となる。
これら請求項1および請求項2の光走査装置においては、入射ミラーおよび反射ミラーによって、可動ミラーによる偏向の前後で複数の光源手段からの光ビームの配列方向を90度回転することができ、複数の光源手段からの光線を折返しミラーで順次折り返して揃える必要がないので、装置そのものを扁平化することができ、しかも、複数の光源手段からの光ビームを可動ミラーに入射させるまでの装置構成を単純化することができる。したがって、低コストでコンパクトな光走査装置を実現することができる。
【0012】
本発明の請求項3の光走査装置によれば、請求項1または請求項2の光走査装置において、
前記結像手段は、前記複数の光源手段からの前記複数の光ビームで共用する結像レンズを含み、且つ
少なくとも前記結像レンズと前記偏向手段とを一体的に支持する偏向手段支持部材を備えることにより、
特に、結像レンズの配置に合わせて可動ミラーの回転軸の位置および姿勢を精度良く位置決めすることができ、環境変動があっても配置関係を維持して、被走査面上におけるドット配列の均一性、並びに走査軌跡の曲がりおよび傾きなどの光学特性の劣化を軽減することが可能となる。
この請求項3の光走査装置においては、可動ミラーによる光ビームの走査方向を結像レンズの焦線方向に、そして、振幅中心を結像レンズの光軸中心に、結像レンズの配置に合わせて可動ミラーの回転軸の位置および姿勢を精度良く位置決めすることができるので、環境変動があっても配置が維持され、被走査面上におけるドット配列の均一性や走査軌跡の曲がりや傾きなどの光学特性の劣化を軽減することができる。
【0013】
本発明の請求項4の光走査装置によれば、請求項1〜請求項3のいずれか1項の光走査装置において、
少なくとも前記入射ミラーと前記偏向手段とを一体的に支持する偏向手段支持部材を備えてなることにより、
特に、入射ミラーを介して可動ミラーに入射する光ビームの入射位置に対して、可動ミラーの位置を精度良く位置決めすることができ、環境変動があっても相互の配置関係を維持して、被走査面上におけるドット配列の均一性、並びに走査軌跡の曲がりおよび傾きなどの光学特性の劣化を軽減することが可能となる。
本発明の請求項5の光走査装置によれば、請求項1〜請求項4のいずれか1項の光走査装置において、
前記偏向手段を支持し、且つ前記可動ミラーの静止時の面法線の方向と、該面法線に直交する面内での回転軸の方向とを位置決めする位置決め手段を有する偏向手段支持部材を備えてなることにより、
特に、複数の光源手段の配列面に対して可動ミラーの姿勢を精度良く位置決めすることができ、環境変動があっても相互の配置関係を維持して、被走査面上におけるドット配列の均一性、並びに走査軌跡の曲がりおよび傾きなどの光学特性の劣化を軽減することが可能となる。
【0014】
本発明の請求項6の光走査装置によれば、請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の光走査装置において、
前記偏向手段支持部材は、前記複数の光源手段の光ビームの射出軸が配列される平面と平行な面内で位置決めする位置決め手段を備えてなることにより、
特に、あらかじめ姿勢が位置決めされた状態を維持したまま、可動ミラーを、偏向手段支持部材に装着して、ハウジングに対して着脱自在とすることができ、偏向手段の組み付けや故障時の交換の際に厄介な調整を行う必要がなく、生産効率やメンテナンス性を向上することが可能となる。
そして、本発明の請求項7の画像形成装置によれば、請求項1〜請求項6のいずれか一項の光走査装置を備えてなることにより、
特に、低コストでコンパクト化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る4ステーションを単一の振動ミラーにより走査する光走査装置の全体の概略的なシステム構成を示す模式的斜視図である。
【図2】図1の光走査装置に用いられる光源モジュールの構成を模式的に示す分解斜視図である。
【図3】図1の光走査装置に用いられる偏向手段としての振動ミラーモジュールの構成を模式的に示す分解斜視図である。
【図4】図1の光走査装置において図3の振動ミラーモジュールをハウジングに取り付けるための支持部の構成を模式的に示す分解斜視図である。
【図5】図1の光走査装置における入射ミラーと可動ミラーと反射ミラーとの相互位置関係および光ビームの光路の様子を詳細に示す模式的斜視図である。
【図6】図1の光走査装置における画像データをライン間で挿入または間引きする操作を説明するための模式図である。
【図7】図1の光走査装置において曲がり残差と反転する位置関係に画素データをシフトしておくことによって、画像上目立たなくする操作を模式的に示す図である。
【図8】図1の光走査装置における光源モジュールに光源として用いられるマルチビーム半導体レーザの外観構成を示しており、(a)はその正面図そして(b)はその側面図である。
【図9】図1の光走査装置においてマルチビーム半導体レーザを傾けて装着することの作用を説明するための模式図である。
【図10】図1の光走査装置において時間経過に伴う可動ミラーの振れ角変化の概要を示すタイミング波形図である。
【図11】図1に示すような光走査装置を組み込んだ本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の要部の構成を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施の形態に基づき、図面を参照して本発明の光走査装置および画像形成装置を詳細に説明する。
図1〜図5は、本発明の第1の実施の形態に係る光走査装置の要部の構成を示している。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る4ステーションを単一の振動ミラーにより走査する光走査装置の全体の概略的なシステム構成を示す模式的斜視図、図2は、図1の光走査装置に用いられる光源モジュールの構成を模式的に示す分解斜視図、図3は、図1の光走査装置に用いられる偏向手段としての振動ミラーモジュールの構成を模式的に示す分解斜視図、図4は、図1の光走査装置において図3の振動ミラーモジュールを、明確には図示していないハウジングに取り付けるための支持部の構成を模式的に示す分解斜視図、そして図5は、図1の光走査装置における入射ミラーと可動ミラーと反射ミラーとの相互位置関係および光ビームの光路の様子を詳細に示す模式的斜視図である。
図1〜図5に示す光走査装置は、書込制御回路1、光源駆動回路2、振幅制御回路3、ミラー駆動回路4、感光体ドラム101、102、103、104、シリンドリカルレンズ105、入射ミラー106、反射ミラー107、走査レンズ109、折返しミラー111、112、113、114、131、132、133、同期検知センサ117、終端検知センサ118、トロイダルレンズ121、122、123、124、光源モジュール200および振動ミラーモジュール400を具備している。
【0017】
光源モジュール200は、マルチビーム半導体レーザ201、202、203、204、カップリングレンズ205、206、207、208、支持部材213(実装面214、装着面215、支柱217、突起218、220、フランジ部219)およびプリント基板216を備えている。
振動ミラーモジュール400は、可動ミラー401、ねじり梁402、カンチレバー403、フレーム404、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)膜405、セラミックパッケージ407、ガラス窓408および突起409を有している。
支持部材410は、実装面411、開口部412、溝412a、414、凸部415、突起部416、打ち抜き部417およびエッジ417aを有してなり、振動ミラーモジュール400は、この支持部材410を介して明確には図示していないハウジングに取り付ける。反射ミラー107は、ハウジングに設けた取付部413に取り付ける。
図1に示す本発明の第1の実施の形態に係る4ステーションを単一の振動ミラーにより走査する光走査装置について説明する前に、この光走査装置の主要部の1つとして用いられる偏向手段としての振動ミラーモジュールについて図3を参照して説明する。図3に示す振動ミラーモジュール400は、偏向手段として圧電駆動方式により回転トルクを発生する振動ミラーを用いた例である。なお、回転トルクを発生する方式としては、このような圧電駆動の他に、電磁駆動や静電駆動が知られているが、いずれの方式でもほぼ同様にして実施することができる。
【0018】
図3に示すように、振動ミラーモジュール400においては、表面に光ビームを反射するためのミラー面を形成し且つ振動子として振動する可動ミラー401と、この可動ミラー401を支持し且つねじれ変形により可動ミラー401の振動の回転軸となるねじり梁402、このねじり梁402に回転トルクを発生するカンチレバー403と、このカンチレバー403を支持する支持部となるフレーム404とからなる部分は、Si(シリコン)基板をエッチングにより切り抜いて形成している。ねじり梁402は、その幅を40〜60μmに形成しており、カンチレバー403は、ねじり梁402による回転軸を挟んで対称に設けられている。ねじり梁402は、振動の回転軸に沿って可動ミラー401の両側に対をなして配置され、一対のねじり梁402各一端を可動ミラー401に連結し且つ各他端をフレーム404に連結している。カンチレバー403は、ねじり梁402の可動ミラー401から遠い側の端部近傍に、ねじり梁402による回転軸に直交して配置され、各一端をねじり梁402に連結し且つ各他端をフレーム404の四隅に連結して、4つのカンチレバー403として構成しており、各カンチレバー403の表面にPZT膜405を設けている。
【0019】
PZT膜405は、正負の電圧を交互に加えることによって伸縮し、このPZT膜405の伸縮によってカンチレバー403が撓んで、ねじり梁402部分に回転トルクを発生させ、ねじり梁402を捩って可動ミラー401を所定回動範囲において往復振動させる。この電圧の切り換え周期を、振動子であるねじり梁402を回転軸とした1次振動モードの固有振動数、いわゆる共振振動数f0、に近づけると、共振が励起され、振動の大きな振れ角を得ることができる。この実施の形態においては、振れ角は±25°であり、入射した光ビームは最大±50°で揺動走査されることになる。
通常は、走査周波数fdをこの共振振動数f0に合わせて設定し、あるいは走査周波数fdをこの共振振動数f0に追従するように制御しているが、共振振動数f0は、振動する可動ミラー401の慣性モーメントIによって決定されるため、ねじり梁402の幅などのようなエッチングにより切り抜いた仕上がり寸法精度にばらつきがあると、個体間で相違が生じてしまい、振動ミラーモジュール400の個々の走査周波数fdを揃えることは困難である。なお、ここでは、共振振動数f0は、振動ミラーモジュール400の固有の特性値であり、クロック分周によってミラー駆動回路4によって、段階的に設定あるいは選択が可能な走査周波数fdとは区別している。
【0020】
共振振動数f0のばらつきは、エッチングプロセスの能力にもよるが、±100Hz程度は発生してしまう。例えば、目標とする走査周波数fdを2kHzとすると、20ラインに1ライン分に相当する0.5%の走査ピッチのずれが生じることで、画像の末端ではこの走査ピッチのずれが累積して、1.5mmの数倍もの副走査方向の画像幅の変化(倍率ずれ)となる。
このため、この実施の形態においては、詳細は後述する書込制御回路1において、装置に組み込まれた振動ミラーモジュール400の共振振動数f0に応じて、図6に示すように、画像データをライン間で挿入または間引きすることによって、倍率ずれが発生しないようにしている。
次に、図6のように画像データをライン間で挿入または間引きすることによる作用を具体的に説明する。図6では、理解を容易にするために、仮に1ラインに相当する主走査ドット数を10ドットとして示している。
例えば、12ライン毎に1ライン分に相当する走査周波数fdのずれ、言い換えれば8%の倍率ずれ、があったと仮定すると、倍率ずれη、主走査ドット数Nmとして、1ラインずれる副走査ライン数Nsおよび1ラインあたりの補正ドット数kは、次のようにあらわされる。
【0021】
Ns=1/η=1/0.08=12
k=Nm/{(Ns/2)−1}=10[dot]/5=2[dot]
つまり、各ライン毎に2ドットずつ画素数を増やしながら対象画素を隣接ラインにシフトすることによって、倍率のずれを補正することができる。
このように、共振振動数f0が高い場合、つまり倍率を伸ばしたい場合には、後に隣接するラインに画素データをシフトし、逆に、共振振動数f0が低い場合、つまり倍率を縮めたい場合には、前に隣接するラインに画素データをシフトして隣接画素を間引くようにして、展開された原画データを変換する。
通常は、主走査ドット数Nmは、600dpi程度であり、A4幅では4960ドットにもなるので、これを5%だけ倍率をずらしたい場合には、次のようになる。
Ns=1/η=1/0.05=20
k=Nm/{(Ns/2)−1}=4960[dot]/9=551[dot]
また、0.5%だけ倍率をずらしたい場合には、次のようになる。
Ns=1/η=1/0.005=200
k=Nm/{(Ns/2)−1}=4960[dot]/99=50[dot]
したがって、倍率ずれが大きくなるほど1度にシフトする対象画素を多くすることによって、倍率ずれに対処することができる。
【0022】
一方、可動ミラー401への斜入射に伴って発生する、予め判っている走査軌跡の曲がり残差についても、図7に示すように、曲がり残差と反転する位置関係に画素データをシフトしておくことによって、上述と同様にして画像上目立たなくすることができる。
書込制御回路1においては、これらの走査の処理のアンド(論理積)をとって、原画データを変換してフレームメモリに格納し、1ライン単位のラスタデータとして読み出して、同期検知信号をトリガーとして光源駆動回路2に転送する。光源駆動回路2は、与えられたラスタデータに基づいて、光源モジュール200のマルチビーム半導体レーザ201、202、203および204を変調する。
この実施の形態に係る光走査装置は、同期検知センサ117および終端検知センサ118を設けて、振動ミラーモジュール400の振幅を検出できるようにしており、装置の起動時には、ミラー駆動回路4は、これら同期検知センサ117および終端検知センサ118の検出信号に基づいて、走査周波数fdを段階的にスイープして、振幅が最大となる共振振動数f0に最も近い走査周波数fdを検出し、走査周波数fdを設定する。
【0023】
さらに、書込制御回路1は、これら同期検知センサ117および終端検知センサ118の検出信号を基に、設定された走査周波数fdの中心値からのずれに応じて、倍率ずれが最小となるよう画像データの挿入画素数または間引き画素数を決定する。
【0024】
また、光源駆動回路2は、光源モジュール200のマルチビーム半導体レーザ201〜204を変調する基準クロックfhについて、基準クロックfhと(走査周波数fd/光源のチャンネル数)との比が一定となるようにすべく、設定された走査周波数fdに応じて基準クロックfhを変化させる。
図1に示すように、感光体ドラム101〜104を走査する光走査装置は、一体的に構成されて、転写体の移動方向Mに沿って等間隔に配列されたイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各画像を、それぞれ形成する4つの感光体ドラム101、102、103および104に対し、それぞれに対応する光源としてのマルチビーム半導体レーザ201、202、203および204、からの複数の光ビームを、振動ミラーモジュール400における可動ミラー401の面法線を含む回転軸に平行な面に対し、可動ミラー401の回転軸を軸として所定角度傾けた断面内で、各光源からの光ビームが面法線に対して各々異なる角度で、可動ミラー401のミラー面に入射されて、反射偏向後に各感光体ドラム101〜104に導かれ、複数の画像形成ステーションにおいて同時に画像を記録する。
【0025】
上述した各色に対応する感光体ドラム101〜104のドラム面上の走査位置は同一平面を形成するように配列され、可動ミラー401の回転軸は、同面に平行で、且つ感光体ドラム軸とは直交するように配置される。各々に対応する半導体レーザ201、202、203、204およびカップリングレンズ205、206、207、208を有する光源モジュール(200)からの光ビームの射出軸は、走査位置が配列される面と平行な上述の面内に、可動ミラー401の回転軸の方向に異なる角度で入射するように、所定の角度だけ隔てて配置されている。
図2は、図1の光走査装置に用いられる光源モジュール200およびその関連部分を示している。図8には、この光源モジュール200に光源として用いられるマルチビーム半導体レーザ、例えばマルチビーム半導体レーザ201の外観構成を示しており、(a)はその正面図、そして(b)はその側面図である。
【0026】
図8に示すマルチビーム半導体レーザ201は、リードフレーム209上に、明確には図示していない(模式的に示している)光源チップ210が活性層と平行な接合面で実装され、この光源チップ210が樹脂製のカバー211で覆われた構成をなしている。この実施の形態においては、複数、例えば2チャンネル(2ch)の発光源がモノリシックに形成され、リードフレーム209と平行な平面内に配列されている。各発光源からの光ビームは、リードフレーム209と平行に射出される。外部接続用のリード端子212は、リードフレーム209に延設され、複数の発光源とワイヤボンディングによりそれぞれ接続されて独立に駆動することを可能としている。なお、2チャンネル以上のマルチビーム半導体レーザの場合にも光源の数の分だけリード端子が増加するだけで、構成はほぼ同様である。
光源モジュール200は、図2に示すように、各色に対応するマルチビーム半導体レーザ201、202、203および204を一体的に支持している。すなわち、マルチビーム半導体レーザ201は、樹脂製の支持部材213に後述する所要の角度を持たせて傾斜面として形成した実装面214にリードフレーム209の背面を当接し、リードフレーム209を挟み込むように立設された突起218間に嵌め込んで固着して、射出軸の方向を位置決めして、固定し、複数の発光源の相対的な配列関係を保持するようにしている。
【0027】
この場合、光走査装置を構成する結像光学系の副走査方向の全系倍率は1.5倍〜2倍であり、複数の発光源からの光ビームによる隣接するビームスポット間の副走査方向ピッチは、600dpiに相当する走査ピッチに合わせるものとすれば、42.4μmであるから、発光源の隣接間隔を50μmとすると、配列角度γは、概略、次式のようになる。
γ=sin−1{(42.4/1.5)〜(2/50)}=34.4°〜25.1°
つまり、感光体ドラム101〜104のドラム面上で所定の走査ラインピッチを得るためには、図9に示すように、射出軸を回転軸としてマルチビーム半導体レーザ201等を傾けて装着する必要があり、このため実装面214をあらかじめ傾斜面として形成している。
また、カップリングレンズ205は、図2に示すように、レンズ外周面(いわゆるコバ部)と支持部材213の装着面215とのすき間に接着剤を充填して、装着面215に接着固定されており、支持部材213の装着面215は、実装面214と同様に所要の傾斜を持たせて傾斜面として形成されている。
支持部材213は、可動ミラー401の面法線を含み且つ回転軸に直交する平面(断面)に対して対称な形状とし、マルチビーム半導体レーザ201を傾ける向きを対称とすることによって、各感光体ドラム101〜104のドラム面上における2チャンネルのビームスポットの配列方向が各ステーションで揃うようにしている。
【0028】
マルチビーム半導体レーザ201〜204は、各々の射出軸がほぼ同一点で交差するように放射状に配置され、相対的な位置を保持して支持部材213に一体的に支持されている。プリント基板216には、マルチビーム半導体レーザ201〜204の光源駆動回路2が実装されており、複数のマルチビーム半導体レーザ201〜204で共用している。このプリント基板216は、支持部材213に形成した支柱217にネジ固定され、各々のリード端子212を半田付けして回路接続がなされている。この実施の形態においては、各色に対応するマルチビーム半導体レーザ201〜204の各々が2チャンネルであるので8チャンネル分の光源駆動回路2が形成されている。
このように構成された光源モジュール200は、底面から突出する突起220をハウジング(明確には図示していない)の角穴に嵌挿係合させてマルチビーム半導体レーザ201〜204の配列の中央位置を位置決めし、両端のフランジ部219において、ハウジングに設けた座面にネジ固定される。なお、フランジ部219のハウジング座面への当接面は、マルチビーム半導体レーザ201〜204の射出軸が配列される面と平行に形成されて、可動ミラー401の回転軸と平行に支持されている。
【0029】
マルチビーム半導体レーザ201〜204からの各光ビームは、可動ミラー401の回転軸方向に対応する方向に屈折力を有するシリンドリカルレンズ105を通って当該方向について収束され、可動ミラー401面上で線状に結像される。この実施の形態においては、図2に示すように、マルチビーム半導体レーザ201〜204からの各光ビームが通過するレンズ部を樹脂で一体的に形成している。第2面にシリンドリカル面が形成され、第1面は射出軸に直交する面に対して非平行とすることで、入射した光ビームは射出軸の配列面内で屈曲され、マルチビーム半導体レーザ201と202およびマルチビーム半導体レーザ203と204からの光ビームは、シリンドリカルレンズ105に至る光ビームのなす角度θ1よりも小さい角度θ2で、シリンドリカルレンズ105から射出するようにしている。
このような構成によって、可動ミラー401の回転軸方向へのマルチビーム半導体レーザ201〜204相互間の入射角度差をより鋭角にすることができ、斜入射に伴う走査軌跡の曲がりや光学的な収差によるビームスポットの劣化を軽減することができる。
シリンドリカルレンズ105から射出した複数の光ビームは、可動ミラー401の回転軸と平行な反射面を有する入射ミラー106により、可動ミラー401の面法線を回転軸の周りに所定角度傾けた軸を含む面内で揃うように可動ミラー401に入射される。
【0030】
この場合、マルチビーム半導体レーザ201、202、203および204からの各光ビームは、可動ミラー401の面法線を含み回転軸に直交する断面に対して対称に、且つ各々が収束する方向に可動ミラー401のミラー面に入射され、可動ミラー401のミラー面で交差した後に、離散する方向に反射される。
可動ミラー401のミラー面で反射された光ビームは、図5に示すように、可動ミラー401のミラー面の直後に配置された反射ミラー107により、マルチビーム半導体レーザ201〜204からの光ビームを各々回転軸と平行な方向に反射させる。マルチビーム半導体レーザ201〜204からの複数の光ビームの配列は、各色に対応した被走査面上の走査位置が配列される面と平行なyz平面に配列され、入射ミラー106および反射ミラー107によって、可動ミラー401での偏向の前後でyz方向が90度回転するようにしており、偏向後は、各光ビームの配列は、上述の走査位置が配列される面と直交する方向(副走査方向に対応する)に配列される。
次に、図4を参照して、振動ミラーモジュール400をハウジング(明確には図示していない)へ取り付けるための支持部について説明する。
【0031】
振動ミラーモジュール400は、上述したようにSi基板により形成した可動ミラー401部分を、リード端子を有するセラミックパッケージ407に収めて実装し、ガラス窓408で内部を減圧して封止した構成となっており、可動ミラー401面が下向きになるようにして装着される。
セラミックパッケージ407には、図3に示すように可動ミラー401の回転軸となるねじり梁402の延長線上に対応して配列した一対の突起409が設けられている。ほぼコ字状に折曲して形成された支持部材410のコ字状の底面部に相当する所定角度傾斜して形成した実装面411にセラミックパッケージ407の表面を当接し、実装面411に形成された開口部412に形成された溝状の切欠部412aに、上述したセラミックパッケージ407の突起409を係合させて、可動ミラー401の面法線を軸とした回転方向(図4に示す矢印方向)の位置決めを行って振動ミラーモジュール400を取り付け、入射ミラー106、反射ミラー107および後述する走査レンズ109の光軸と可動ミラー401の振幅中心の位置決めを行う。
なお、この実施の形態において、走査レンズ109は、支持部材410の側面に、両端平押し部に設けた溝414を図示裏側の凸部415に係合させて、位置決めし、接合して一体構成としている。
【0032】
振動ミラーモジュール400および走査レンズ109が組み付けられる支持部材410は、マルチビーム半導体レーザ201〜204の各射出軸が配列される面と平行に形成されるコ字状の両端辺をハウジングの底面に突き当て、支持部材410の両端辺にそれぞれ2個所ずつ突出する4箇所の突起部416をハウジングの底面の角穴に嵌挿して、光源モジュール200との位置合わせをして、ハウジングに装着する。入射ミラー106は、支持部材410の側壁に形成した打ち抜き部417に、該打ち抜き部417のエッジ417aを反射面に突き当てて位置決めしつつ支持される。また、反射ミラー107は、ハウジング底面に突出形成された取付部413に固定される。
上述のように構成することによって、光源モジュール200に対して、入射ミラー106、可動ミラー401、反射ミラー107、そして走査レンズ109の相対的な位置関係を精度よく位置決めして配置し、ハウジングに装着することができる。
図10は、時間経過に伴う可動ミラー401の振れ角変化の概要を示すタイミング波形図である。
可動ミラー401は、共振振動されるため、時間tとともにサイン(sin)波状に振れ角θが変化する。したがって、可動ミラー401の最大振れ角、つまり最大振幅をθ0、走査周波数をfdとすると、振れ角θを次式であらわすことができる。
θ=θ0・sin2πfd・t
走査レンズ109は、上述の振れ角の変化dθ/dtに対して、感光体ドラム101〜104の面上でのビームスポットの移動速度が一定となるように設計されている。
マルチビーム半導体レーザ201からの光ビームは、カップリングレンズ205、シリンドリカルレンズ105、入射ミラー106および可動ミラー401を経て、反射ミラー107で反射された後に、走査レンズ109を通過し、折返しミラー111、トロイダルレンズ121、そして折返しミラー131を介して感光体ドラム101にブラック画像を記録する。マルチビーム半導体レーザ202からの光ビームは、カップリングレンズ205、シリンドリカルレンズ105、入射ミラー106および可動ミラー401を経て、反射ミラー107で反射された後に、走査レンズ109を通過し、折返しミラー112、トロイダルレンズ122、そして折返しミラー132を介して感光体ドラム102にシアン画像を記録する。マルチビーム半導体レーザ203からの光ビームは、カップリングレンズ205、シリンドリカルレンズ105、入射ミラー106および可動ミラー401を経て、反射ミラー107で反射された後に、走査レンズ109を通過し、折返しミラー113、トロイダルレンズ123、そして折返しミラー133を介して感光体ドラム103にマゼンタ画像を記録する。
【0033】
マルチビーム半導体レーザ204からの光ビームは、カップリングレンズ205、シリンドリカルレンズ105、入射ミラー106および可動ミラー401を経て、反射ミラー107で反射された後に、走査レンズ109を通過し、折返しミラー114、そしてトロイダルレンズ124を介して感光体ドラム104にイエロー画像を記録する。ここで、走査レンズ109は、副走査方向には曲率をもたず、各光ビームで共用している。
同期検知センサ117および終端検知センサ118は、イエロー画像を形成するマルチビーム半導体レーザ204からの光ビームを走査領域外で検出し、各ステーションの書き出しタイミングを合わせる同期検知信号を生成するとともに、可動ミラー401の振幅および振幅の位相とオフセットを検出する。
この実施の形態においては、振幅θ0=25°、同期検知センサ117、終端検知センサ118の検出走査角θs=18°、画像領域(LGATE)に相当する走査角θd=15°としており、各センサの検出信号を基に、図10に示す時間t1、t2およびt3を計測することによって、振幅を制御している。
例えば、振幅θ0のずれがあると、感光体ドラム101〜104のドラム面上での走査速度が変化して、主走査方向の画像幅が変化してしまうし、位相ずれやオフセットずれがあると、書出し位置のずれや走査方向での局部的な倍率変化が発生し、色ずれや濃度むらの要因となる。
【0034】
同期検知センサ117および終端検知センサ118の各センサにおいて走査角が2θsに対応した光ビームを検出するとすると、検出信号は復走査と往走査とで発生され、同期検知センサの場合、その時間差t1を用いると、検出走査角θsは、次式であらわされる。
θs=θ0・cos2πfd・t1/2
検出走査角θsは、固定であるので、時間t1を計測すれば振幅θ0を検出することができることがわかる。同様に、同期検知センサ117と終端検知センサ118とで時間t2および時間t3を検出することによって、時間軸方向の位相ずれおよび振幅中心のオフセットずれを検出することができる。したがって、振動ミラーモジュール400に印加するゲインおよび基準クロックのタイミングを調整して、初期値からのずれを補正することによって、常に安定した振幅に保つことができる。
図11は、上述した光走査装置を組み込んだ本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の要部の構成を示している。
【0035】
図11に示す画像形成装置は、上述した第1の実施の形態に係る光走査装置と同様に4ステーションを単一の振動ミラーにより走査する光走査装置300を用いた画像形成装置であり、感光体ドラム301、帯電チャージャ302、現像ローラ303、トナーカートリッジ304、クリーニングケース305、転写ベルト306、給紙トレイ307、振動ミラー308、走査レンズ309、定着ローラ310、排紙トレイ311および排紙ローラ312を有している。感光体ドラム301は、図1の感光体ドラム101〜104に相当する。光走査装置300は、振動ミラー308および走査レンズ309を有しており、これら振動ミラー308および走査レンズ309は、それぞれ図1における振動ミラーモジュール400および走査レンズ109に相当する。
感光体ドラム301の周囲には、帯電チャージャ302、現像ローラ303、トナーカートリッジ304およびクリーニングケース305が配置される。帯電チャージャ302は、感光体ドラム301の外周面の感光体を高圧に帯電させる。現像ローラ303は、光走査装置300により感光体ドラム301の外周面に記録された静電潜像に、帯電したトナーを付着させて顕像化させる。トナーカートリッジ304は、現像ローラ303にトナーを補給する。クリーニングケース305は、感光体ドラム301に残ったトナーを掻き取って備蓄する。各色に対応する画像形成ステーションは、それぞれトナー色が異なるだけで基本的にはほぼ同一の構成である。
【0036】
振動ミラー308は、所定の走査周波数で駆動されており、画像書出しタイミングに合わせて読み出された各色の画像データにより光源が変調されて、振動ミラー308の1周期で1ラインずつ画像記録が行われる。イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各画像形成ステーションは、転写ベルト306の移動方向に沿って並置され、感光体ドラム301上に形成されたトナー画像は、転写ベルト306上にタイミングを合わせて順次転写(1次転写)され、転写ベルト306上で重ね合わせられて、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックが混色されたトナー画像が形成される。転写ベルト306上で重ね合わせられたトナー画像は、給紙トレイ307からタイミングを合わせて送り出された記録紙に転写(2次転写)される。トナー画像が転写された記録紙は、定着ローラ310によって画像が定着されて、排紙ローラ312により排紙トレイ311に排出される。
【符号の説明】
【0037】
1 書込制御回路
2 光源駆動回路
3 振幅制御回路
4 ミラー駆動回路
101〜104 感光体ドラム
105 シリンドリカルレンズ
106 入射ミラー
107 反射ミラー
109 走査レンズ
111〜114、131〜133 折返しミラー
117 同期検知センサ
118 終端検知センサ
121〜124 トロイダルレンズ
200 光源モジュール
201〜204 マルチビーム半導体レーザ
205〜208 カップリングレンズ
213 支持部材
214 実装面
215 装着面
216 プリント基板
217 支柱
218、220 突起
219 フランジ部
300 光走査装置
301 感光体ドラム
302 帯電チャージャ
303 現像ローラ
304 トナーカートリッジ
305 クリーニングケース
306 転写ベルト
307 給紙トレイ
308 振動ミラー
309 走査レンズ
310 定着ローラ
311 排紙トレイ
312 排紙ローラ
400 振動ミラーモジュール
401 可動ミラー
402 ねじり梁
403 カンチレバー
404 フレーム
405 PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)膜
407 セラミックパッケージ
408 ガラス窓
409 突起
410 支持部材
411 実装面
412 開口部
412a、414 溝
413 取付部
415 凸部
416 突起部
417 打ち抜き部
417a エッジ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】特許第2924200号公報
【特許文献2】特許第3011144号公報
【特許文献3】特許第3445691号公報
【特許文献4】特許第3543473号公報
【特許文献5】特開2007−233235号公報
【特許文献6】特開2008−65045号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色の画像情報によりそれぞれ変調される光ビームを発生する複数の光源手段と、
回転軸支された可動ミラーを有し、前記複数の光源手段からの複数の光ビームを該可動ミラーにより一括して偏向走査する偏向手段と、
前記偏向手段により偏向走査された前記複数の光ビームをそれぞれ各色に対応する複数の被走査面に結像する結像手段と、
を備え、前記複数の被走査面上にそれぞれ各色に対応する複数の画像を形成する光走査装置において、
前記各色に対応する複数の被走査面上の走査位置を同一平面内に配列し、且つ
前記複数の光源手段の各光ビームの射出軸を、互いに所定角度だけ離隔するように配置するとともに、
前記複数の光源手段からの光ビームを、前記可動ミラーへと折り返し偏向する入射ミラーと、
前記可動ミラーにより偏向走査される複数の光ビームを、前記可動ミラーの回転軸に平行な方向へ折り返し偏向する反射ミラーと
を備えてなり、
前記複数の光源手段からの光ビームの結像スポットを用いて前記各色に対応する被走査面を走査することを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記複数の光源手段の各射出軸を、前記複数の被走査面上の走査位置が配列された平面と平行な面内に、互いに所定角度だけ離隔するように配置してなることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記結像手段は、前記複数の光源手段からの前記複数の光ビームで共用する結像レンズを含み、且つ
少なくとも前記結像レンズと前記偏向手段とを一体的に支持する偏向手段支持部材を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光走査装置。
【請求項4】
少なくとも前記入射ミラーと前記偏向手段とを一体的に支持する偏向手段支持部材を備えてなることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記偏向手段を支持し、且つ前記可動ミラーの静止時の面法線の方向と、該面法線に直交する面内での回転軸の方向とを位置決めする位置決め手段を有する偏向手段支持部材を備えてなることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項6】
前記偏向手段支持部材は、前記複数の光源手段の光ビームの射出軸が配列される平面と平行な面内で位置決めする位置決め手段を備えてなることを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の光走査装置を備えてなることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−133694(P2011−133694A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293565(P2009−293565)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】