説明

光走査装置及び光走査方法

【課題】検出光を広範囲に照射することができ、検出対象面の高さが上下に変動する場合にも対応可能な光学系を実現することが可能な光走査装置及び光走査方法を提供する。
【解決手段】照射部200は、駆動源11Aの駆動により回転軸12Aを中心に回転するように配設された平面状の回転ミラー13A,14Aと、駆動源11Bの駆動により回転軸12Bを中心に回転するように配設された平面状の回転ミラー13B,14Bと、駆動源11A,11Bの駆動を制御する制御部15と、レーザ光源からのレーザ光L1が入射される固定ミラー16と、を備えている。固定ミラー16で反射したレーザ光L1は、回転ミラー13A及び回転ミラー14Aで反射し、その後、回転ミラー13B及び回転ミラー14Bで反射し、レーザ光L2として出射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射された光を走査する光走査装置及び光走査方法に関するものであり、より詳しくは、入射される光を走査して平行光を出力する光走査装置及び光走査方法に関するものである。本発明は、検出対象面に検出光を反射させて反射率を検出する反射率検出装置に適用可能であり、より具体的には、例えば浄水場や河川、湖沼等の水面の油膜を検出する油膜検出装置に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
油膜による光の反射率が水面による光の反射率よりも高いことに着目し、水面に光を照射してその反射光の強度を測定することで反射率を求め、これによって水面での油膜の有無を検出するという油膜検出方法が知られている。この方法を用いた装置としては、例えば特許文献1〜6に記載された油膜検出装置が知られている。これらの油膜検出装置での課題は、一般的に、水面の状態(水位の変動や波立ち、浮遊物の有無等)に影響されることなく、広範囲にわたって面積の小さな油膜であっても検出できることである。
【0003】
具体的に説明すると、固定されている光源からのレーザ光等の検出光の水面に対する照射角度が一定である場合には、水位の変動や波立ち等が生じると、光源と水面との間の距離や反射光の方向が変わる。そのために、水面からの反射光が十分に受光部に受光されず、油膜の検出が困難になる。そのための対策としては、受光部自体を大型化したり受光部に集光するためのミラーを大型化したりして水面からの反射光を受光する受光面積を増やすことが考えられる。しかしながら、そのような対策では、油膜検出装置全体の大型化が避けられず、広い設置面積が必要となること等によって好ましくない。このような対策に代わるものとして、従来から種々の技術が提案されている。
【0004】
例えば特許文献1及び特許文献2には、光源から水面に照射されるレーザ光の角度を機械的手段により一定周期で変化させる油膜検出装置が開示されている。更に、特許文献2では、水位変動に応じて光源を上下に移動させ、光源と水面との距離を一定に保つ構造についても開示されている。
【0005】
特許文献3には、光源からの光を凹レンズにより発散ビームとして水面に照射し、その反射光を回帰性のリフレクタにより反射させたときの水面からの再反射光を凹レンズを介して検出するようにした光学系を備えた油膜検出装置が開示されている。
特許文献4には、光源からのレーザ光を走査する回転ミラーとその周囲に配置された複数の反射ミラーとを備えた油膜検知器が開示されている。すなわち、これらの反射ミラーによりレーザ光を水面に対して複数方向から交差的に走査することにより、大口径の放物ミラー等を用いずに、あらゆる方向の波立ちや水面の角度に対して安定した受光を可能にするものである。
特許文献5には、複数の光源を環状に配置して水面にレーザ光を照射し、これらの反射光を受光することによって水面の波立ちや浮遊物の影響を低減する油膜検知器が開示されている。
特許文献6には、レーザ光の照射方向を可変とする振動式又は固定式ミラーを設け、これらのミラーを介した水面からの反射光を受光することにより、水面の波立ちや浮遊物の影響を低減する油膜検知器が開示されている。
【0006】
しかしながら、これらの技術において、特許文献1、2及び6に開示された構造では、光源やミラーを機械的に駆動するためのモータ等からなる駆動機構が複雑になってしまう。また、特許文献3に開示された構造では、光学系が複雑でコストが高くなり、特許文献4及び5に開示された構造では、光源やミラーが複数必要であるため、部品数の増加によるコストの上昇、装置全体の大型化等という問題がある。更には、光源及びミラーの位置と角度を厳密に設定する必要があり、そのための作業が極めて煩雑になってしまう。
【0007】
【特許文献1】特開2001−153800号公報
【特許文献2】特開2003−149146号公報
【特許文献3】特開2005−24414号公報
【特許文献4】特開平10−90177号公報
【特許文献5】特開平10−213541号公報
【特許文献6】特開2003−149134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、油膜検出装置は、レーザ光を検出対象面に照射してその反射光を受光するための光学系を備えている。そのような光学系としては、レーザ光に角度を付けて走査する走査装置が一般的に用いられる。このような走査装置からのレーザ光を検出対象面に照射する構造では、検出対象面が上下に変動すると油膜検出を行うことが困難になる。上述したように、このような問題に対応するために様々な技術が提案されているが、十分に対応できているとはいい難かった。
このような状況下で、従来とは異なる新しい光学系が望まれている。すなわち、油膜検出装置の設計の際には、諸条件に応じて光学系を選択することから、従来とは異なる光学系が提供できれば、設計の際の選択肢が増え、諸条件に応じてより適切な光学系を選択することが可能になる。
【0009】
本発明は、検出光を広範囲に照射することができ、検出対象面の高さが上下に変動する場合にも対応可能な光学系を実現することが可能な光走査装置及び光走査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明が適用される光走査装置は、回転軸を中心に回転可能に構成され、当該回転軸と略同軸に入射した検出光を反射する反射面を有する第1の回転鏡と、前記回転軸と略同軸に位置する回転軸を中心に回転可能に構成され、入射した検出光を反射する反射面を有する第2の回転鏡と、装置本体に固定され、発光手段により発光された検出光を前記第1の回転鏡に向けて反射する固定鏡と、前記第1の回転鏡により反射した検出光を前記第2の回転鏡に入射するように反射する反射面を有する鏡と、を含むものである。
【0011】
ここで、前記鏡は、前記第1の回転鏡と一体に取り付けられ、当該第1の回転鏡の前記回転軸を中心に回転可能に構成されていることを特徴とすることができる。また、前記鏡は、前記第1の回転鏡の外周を囲むように装置本体に固定して配置された環状鏡であることを特徴とすることができる。
また、前記第1の回転鏡及び前記第2の回転鏡の単位時間当たりの回転数を制御する制御部を更に含み、前記制御部は、前記第1の回転鏡の単位時間当たりの回転数と前記第2の回転鏡の単位時間当たりの回転数とが互いに異なるように制御することを特徴とすることができる。また、前記第1の回転鏡の回転方向と前記第2の回転鏡の回転方向とは互いに異なることを特徴とすることができる。
【0012】
本発明が適用される光走査方法は、回転軸に対して傾斜すると共に当該回転軸を中心に回転する第1の回転鏡に、当該回転軸と略同軸となるように光を入射し、前記第1の回転鏡にて前記回転軸から離れていく方向に反射した光を、当該第1の回転鏡に対向する第1の鏡に入射し、前記第1の鏡にて前記回転軸の軸方向に反射した光を、当該回転軸の軸方向に関して前記第1の回転鏡と離間すると共に当該回転軸に対して傾斜して当該回転軸を中心に回転する第2の回転鏡に入射し、前記第2の回転鏡にて反射した光を、前記第2の回転鏡に対向する第2の鏡に入射して前記回転軸の軸方向に反射させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、検出光を広範囲に照射することができ、検出対象面の高さが上下に変動する場合にも対応可能な光学系を実現することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る光走査装置を適用する油膜検出装置E1の構成例を示すブロック図である。
同図に示す油膜検出装置E1は、液面に油膜が存在するときの光の反射率と存在しないときの光の反射率とが違うという性質を利用して、検出対象面である水面Wに油膜があるか否かを検出する装置である。この水面Wとしては、例えば浄水場や河川、湖沼等の水面を指すものであり、水面Wの位置が高くなったり低くなったり、また、水面Wが波立ったりするものである。
【0015】
この油膜検出装置E1は、レーザ光L1を発光する発光手段の一例としてのレーザ光源100と、レーザ光源100により発光されたレーザ光L1を、所定の照射範囲を有する平行光として出力する第1の光学系の一例としての照射部200と、を備えている。更に説明すると、照射部200は、レーザ光L1を走査することにより所定の照射範囲を照射するレーザ光L2を出力する。レーザ光L2は、レーザ光L2の光路上流側での照射範囲(ビーム群の横断面積)と光路下流側での照射範囲(ビーム群の横断面積)との大きさの差が無い乃至ほとんど無いいわゆる平行光である。
なお、本明細書で平行光というときには、1本のレーザ光を走査することによりビーム群に構成された光の照射範囲(横断面積)が光路上の位置によって実質的に変わりがないレーザ光を言うものとする。
【0016】
また、油膜検出装置E1は、水面Wに照射するレーザ光L3の光軸と水面Wで反射したレーザ光L4の光軸とが同軸となるようにレーザ光L3,L4を導く第2の光学系の一例としての同軸落射部300と、同軸落射部300からのレーザ光L5を受光する受光手段の一例としての受光部400と、を備えている。この同軸落射部300は、入射した光の一部を反射して残りを透過させる部分透過鏡の一例としてのハーフミラー310を有する。このハーフミラー310は、反射光と透過光の強さがほぼ等しくなるように形成されている板状部材である。
更に説明すると、同軸落射部300は、照射部200からのレーザ光L2をハーフミラー310に反射させ、その反射光であるレーザ光L3を水面Wに全反射するように導き、かつ、水面Wで全反射したレーザ光L4をハーフミラー310に透過させ、その透過光であるレーザ光L5を受光部400に受光されるように導く。レーザ光L4は、レーザ光L3の入射角に等しい角度で水面Wから反射していく。すなわち、レーザ光L3の入射角とレーザ光L4の反射角とは互いに等しい。
【0017】
このように、照射部200は、水面Wの油膜検知に用いる検出光を、所定の範囲を照射する平行光として出力するように構成されている。そして、同軸落射部300は、検出光をハーフミラー310を介して水面Wに全反射させ、その全反射した検出光をハーフミラー310を介して受光部400に向かわせるように構成されている。
このため、検出光を広い範囲に照射することが可能であり、水面Wの高さが変動して油膜検出装置E1に対する距離が変わっても、受光部400による油膜検出に必要な検出光の受光に影響を受けず、また、水面Wが波立ったりしても、同様に、油膜検出に必要な検出光の受光に影響を受けない。
【0018】
また、油膜検出装置E1は、受光部400が受光したレーザ光L5を所定の信号に変換することでレーザ光L5の強度情報を得て水面Wの反射率を演算する演算手段の一例としての演算部500と、演算部500による演算結果を基に、水面Wに油膜が存在するか否かを判断する判断手段の一例としての判断部600と、判断部600により水面Wに油膜が存在するとの判断がされるとユーザに通知する通知手段の一例としての通知部700と、を備えている。
【0019】
ここで、レーザ光源100としては、図示しないレーザダイオードと、レーザダイオードに所定の電圧が印加されるように制御する図示しない駆動回路と、で構成する例が考えられる。
また、照射部200の構成例については後述する。
【0020】
また、同軸落射部300の構成については上述したとおりである。
また、受光部400としては、レーザ光L5を集光するための図示しない集光レンズと、集光した光の強度に応じた電気信号に変換する図示しないフォトダイオードと、で構成する例が考えられる。
【0021】
また、演算部500及び判断部600としては、予め定められた動作制御プログラム(ファームウェア)に従ってデジタル演算処理を実行する図示しないCPU(Central Processing Unit)と、CPUの作業用メモリ等として用いられる図示しないRAM(Random Access Memory)と、CPUにより実行される処理プログラムや処理プログラムにて用いられる各種のデータが格納される図示しないROM(Read Only Memory)と、で構成する例が考えられる。
また、通知部700としては、ユーザに対して視覚的に通知する図示しない表示画面で構成する例が考えられ、また、汎用の通信手段にて遠隔のユーザに通知するための通信インターフェースで構成する例が考えられる。
【0022】
図2は、本実施の形態に係る光走査装置を適用する別の油膜検出装置E2の構成例を示すブロック図である。なお、油膜検出装置E2の基本的な構成は、上述した油膜検出装置E1(図1参照)と共通するため、同じ構成には同じ符号を用い、また、その説明を省略することがある。
同図に示す油膜検出装置E2は、レーザ光源100、照射部200、同軸落射部300、受光部400、演算部500、判断部600及び通知部700を備えている。同軸落射部300は、ハーフミラー310を有する。このような油膜検出装置E2の構成は、油膜検出装置E1と共通する。
【0023】
ここで、油膜検出装置E2が油膜検出装置E1と相違する構成について具体的に説明する。油膜検出装置E2が備える同軸落射部300は、ハーフミラー310を透過して水面Wに検出光を照射すると共にハーフミラー310で反射して受光部400に検出光を入射する点で、ハーフミラー310で反射して水面Wに検出光を照射すると共にハーフミラー310を透過して受光部400に検出光を入射する油膜検出装置E1が備える同軸落射部300と異なる。
【0024】
すなわち、油膜検出装置E2が備える同軸落射部300では、水面Wを照射するレーザ光L3はハーフミラー310を透過したものであり、受光部400に受光されるレーザ光L5はハーフミラー310で反射したものである。言い換えると、油膜検出装置E2が備える同軸落射部300では、照射部200からのレーザ光L2をハーフミラー310に透過させ、その透過光であるレーザ光L3を水面Wに全反射するように導き、かつ、水面Wで全反射したレーザ光L4をハーフミラー310に反射させ、その反射光であるレーザ光L5を受光部400に受光されるように導く。
【0025】
図3は、照射部200の構成例を示す図である。
同図に示すように、本実施の形態の照射部200は、いわゆるドーナツ型スキャナを採用した構成であり、レーザ光源100からのレーザ光L1を走査することにより所定の範囲を照射するレーザ光L2を出力する。具体的に説明すると、同図に示す照射部200は、駆動源11Aの駆動により回転軸12Aを中心に回転するように配設された平面状の回転ミラー(第1の回転鏡)13A及び回転ミラー(鏡、第1の鏡)14Aと、駆動源11Bの駆動により回転軸12Bを中心に回転するように配設された平面状の回転ミラー(第2の回転鏡)13B及び回転ミラー(第2の鏡)14Bと、を備えている。また、同図に示す照射部200は、駆動源11A,11Bの駆動を制御する制御部15と、レーザ光源100からのレーザ光L1が入射される固定ミラー(固定鏡)16と、を備えている。レーザ光L1は、固定ミラー16で反射した後に、回転ミラー13A、回転ミラー14A、回転ミラー13B及び回転ミラー14Bの順で反射してレーザ光L2として出力される。
【0026】
固定ミラー16と回転ミラー13Aとの位置関係を説明すると、固定ミラー16は、レーザ光L1を反射して回転ミラー13Aに入射するように配置されている。すなわち、固定ミラー16から回転ミラー13Aに入射するレーザ光L1が回転軸12Aと同軸になるように、固定ミラー16と回転ミラー13Aとが配設されている。
【0027】
回転ミラー13A,14Aについて更に説明する。回転ミラー13Aは回転軸12Aに取り付けられている。回転ミラー14Aは、回転ミラー13Aと離間した状態で回転軸12Aに取り付けられている。このため、回転軸12Aが駆動源11Aにより回転する場合には、回転ミラー13A,14Aは互いに同じ回転数で回転し、相対的位置関係が変わらず、いわゆる連れ回る。そして、回転ミラー13Aと回転ミラー14Aは、回転ミラー13Aの反射面と回転ミラー14Aの反射面とが互いに対面するように配置されている。回転ミラー13Aに入射して反射した光は、回転ミラー14Aに入射して反射する。
【0028】
また、回転ミラー13B,14Bについて更に説明すると、回転ミラー13Bは回転軸12Bに取り付けられ、回転ミラー14Bは、回転ミラー13Bと離間した状態で回転軸12Bに取り付けられている。回転軸12Bが駆動源11Bにより回転すると、回転ミラー13B,14Bは互いに同じ回転数で回転し、相対的位置関係が変わらない。回転ミラー13Bと回転ミラー14Bは、回転ミラー13Bの反射面と回転ミラー14Bの反射面とが互いに対面するように配置され、回転ミラー13Bに入射して反射した光は、回転ミラー14Bに入射して反射する。
そして、回転ミラー14Bで反射したレーザ光L2が回転軸12Bの軸方向と平行になるように、回転ミラー14Bが位置決めされている。
【0029】
回転ミラー14Aと回転ミラー13Bとの位置関係について説明すると、回転ミラー14Aで反射した反射光が回転ミラー13Bの反射面に入射するように、回転ミラー14A及び回転ミラー13Bが配設されている。
回転ミラー13Aと回転ミラー13Bとの位置関係について説明すると、回転ミラー13Bは、回転軸12A,12Bに関して回転ミラー13Aと離間して配設されている。また、回転ミラー13Aの反射面と回転ミラー13Bの反射面とは、互いに対向して配設されている。
【0030】
ここで、制御部15により制御される回転ミラー13A,14A,13B,14Bの回転について説明する。制御部15は、回転ミラー13A,14Aの単位時間当たりの回転数と回転ミラー13B,14Bの単位時間当たりの回転数とが互いに異なるように、駆動源11A,11Bの制御を行う。すなわち、回転ミラー13A,14Aと回転ミラー13B,14Bとは、回転軸12A,12Bの軸方向から見て同じ位置関係で回転するのではなく、両者の間の位置関係が変わるように回転する。
【0031】
また、制御部15が、回転ミラー13A,14Aと回転ミラー13B,14Bの回転方向も互いに同じ方向となるように制御する場合の他に、互いに逆の方向となるように制御する場合も考えられる。そのように逆の方向となるように制御したときには、水面Wの油膜の検出確率を向上させることが可能になる。
【0032】
図4は、照射部200によるレーザ光L2(L2a,L2b)を説明するための図であり、(a)は、回転ミラー13A,14Aによって反射されたレーザ光L2が回転軸12A,12Bの軸方向から見て最も離れている場合を図示したものであり、(b)は、最も近づいている場合を図示したものである。図5は、照射部200から出力されるレーザ光L2を説明するための図であり、(a)はレーザ光L2の斜視図であり、(b)はレーザ光L2の照射範囲を説明する平面図である。
図4の(a)に示すように、回転ミラー13A,14Aと回転ミラー13B,14Bとによって、レーザ光L2aが照射部200から出力される。また、同図の(b)に示すように、回転ミラー13A,14Aと回転ミラー13B,14Bとによって、レーザ光L2bが照射部200から出力される。
【0033】
更に説明すると、図5の(a)に示すように、レーザ光L2aは、回転軸12A,12Bの軸方向(図3参照)から見て、回転軸12A,12Bから距離R1a離れており、レーザ光L2bは、回転軸12A,12Bから距離R1b離れている。距離R1aは、距離R1bよりも大きい(R1a>R1b)。そして、上述したように、回転ミラー13A,14Aの単位時間当たりの回転数と回転ミラー13B,14Bの単位時間当たりの回転数とが互いに異なるため、レーザ光L2は、レーザ光L2aの位置とレーザ光L2bの位置との間を移動することになり、また、回転ミラー13B,14Bが回転軸12A,12Bを中心に回転しているため、レーザ光L2は、回転軸12A,12Bの周りを移動する。したがって、レーザ光L2により照射される範囲(照射範囲)は、同図の(b)に示す斜線部分であり、回転軸12A,12Bの位置を中心とするいわゆるドーナツ形状になる。
【0034】
このように、本実施の形態では、固定ミラー16と一対の回転ミラー13A,14Aと一対の回転ミラー13B,14Bとを備え、一対の回転ミラー13A,14Aの回転中心と一対の回転ミラー13B,14Bの回転中心とを一致させるように構成することで、固定ミラー16で反射したレーザ光L1は、回転ミラー13A,14A,13B,14Bの順で反射して、回転軸12A,12Bの軸方向と平行なレーザ光L2が出力される。
【0035】
言い換えると、本実施の形態では、回転軸12Aに対して傾斜すると共に回転軸12Aを中心に回転する回転ミラー13Aに、回転軸12Aと略同軸となるようにレーザ光L1を入射する。そして、回転ミラー13Aにて回転軸12Aから離れていく方向に反射した反射光を、回転ミラー13Aに対向する回転ミラー14Aに入射する。その後、回転ミラー14Aにて回転軸12Aの軸方向と略平行に反射した反射光を、回転軸12A,12Bの軸方向に関して回転ミラー13Aと離間すると共に回転軸12Bに対して傾斜して回転軸12Bを中心に回転する回転ミラー13Bに入射する。更に、回転ミラー13Bにて反射した反射光を、回転ミラー13Bに対向する回転ミラー14Bに入射して回転軸12Bの軸方向に反射させることで、レーザ光L2を出力している。
【0036】
ここで、図6は、本実施の形態に係る照射部200の一変形例を説明する図であり、(a)は、回転ミラー13A,14Aによって反射されたレーザ光L2が回転軸12A,12B(図3参照)の軸方向から見て最も離れている場合を図示したものであり、(b)は、最も近づいている場合を図示したものである。
同図は、図4に対応する図であり、両図を対比することで、変形例の構成がより一層明らかになる。すなわち、図3及び図4に示す本実施の形態では、一対の回転ミラー13A,14Aは、いわゆるハの字となるように配置されており、また、一対の回転ミラー13B,14Bは、互いに平行となるように配置されている。
【0037】
これに対し、図6に示す変形例では、一対の回転ミラー13A,14A及び一対の回転ミラー13B,14Bが、いずれもハの字となるように配置されている。更に説明すると、一対の回転ミラー13A,14Aと一対の回転ミラー13B,14Bとは、互いに反対の方向(ハの字の向きが天地逆)に向くように配置されている。付言すると、レーザ光L1は、固定ミラー16で反射した後に、回転ミラー13A、回転ミラー14A、回転ミラー13B及び回転ミラー14Bの順で反射してレーザ光L2a,L2bとして出力される。
【0038】
ここで、図7−A及び図7−Bは、照射部200の他の変形例でのレーザ光を説明するための図である。説明の便宜のために、図7−Aに示す回転ミラー13Bと図7−Bに示す回転ミラー13Bとは互いに同じ位置である。
図7−A及び図7−Bに示す変形例では、図4に示す回転ミラー14Aの代わりに、円周方向に延びるリングの内面に反射面を有する環状ミラー(環状鏡)24Aを配設している。また、図4に示す回転ミラー14Bの代わりに、円周方向に延びるリングの内面に反射面を有する環状ミラー24Bを配設している。環状ミラー24A,24Bは、回転しない。付言すると、レーザ光L1は、固定ミラー16で反射した後に、回転ミラー13A、環状ミラー24A、回転ミラー13B及び環状ミラー24Bの順で反射してレーザ光L2a,L2bとして出力される。
【0039】
この変形例では、このように構成されているため、図7−Aに示すように、回転ミラー13Aで反射したレーザ光L1は、環状ミラー24Aで反射した後に回転ミラー13Bで反射し、更に環状ミラー24Bで反射することで、距離R1aに位置するレーザ光L2aになる。また、図7−Bに示すように、回転ミラー13Aで反射したレーザ光L1は、環状ミラー24Aで反射した後に回転ミラー13Bで反射し、更に環状ミラー24Bで反射することで、距離R1bに位置するレーザ光L2bになる。
【0040】
なお、この変形例では、回転ミラー14Aの代用として環状ミラー24Aを用い、かつ、回転ミラー14Bの代用として環状ミラー24Bを用いているが、いずれか一方のみを代用することも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本実施の形態に係る光走査装置を適用する油膜検出装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態に係る光走査装置を適用する別の油膜検出装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】照射部の構成例を示す図である。
【図4】照射部によるレーザ光を説明するための図であり、(a)は、回転ミラーAによって反射されたレーザ光が回転軸の軸方向から見て最も離れている場合を図示したものであり、(b)は、最も近づいている場合を図示したものである。
【図5】照射部から出力されるレーザ光を説明するための図であり、(a)はレーザ光の斜視図であり、(b)はレーザ光の照射範囲を説明する平面図である。
【図6】照射部の一変形例を説明する図であり、(a)は、回転ミラーと回転ミラーとが回転軸の軸方向から見て最も離れている場合を図示したものであり、(b)は、両者の間の位置が同じ位置である場合を図示したものである。
【図7−A】照射部の他の変形例でのレーザ光を説明するための図である。
【図7−B】照射部の他の変形例でのレーザ光を説明するための図である。
【符号の説明】
【0042】
11A,11B…駆動源、12A,12B…回転軸、13A,13B,14A,14B…回転ミラー、15…制御部、16…固定ミラー、24A,24B…環状ミラー、200…照射部、E1,E2…油膜検出装置、L1,L2,L2a,L2b…レーザ光、R1a,R1b…距離、W…水面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心に回転可能に構成され、当該回転軸と略同軸に入射した検出光を反射する反射面を有する第1の回転鏡と、
前記回転軸と略同軸に位置する回転軸を中心に回転可能に構成され、入射した検出光を反射する反射面を有する第2の回転鏡と、
装置本体に固定され、発光手段により発光された検出光を前記第1の回転鏡に向けて反射する固定鏡と、
前記第1の回転鏡により反射した検出光を前記第2の回転鏡に入射するように反射する反射面を有する鏡と、
を含む光走査装置。
【請求項2】
前記鏡は、前記第1の回転鏡と一体に取り付けられ、当該第1の回転鏡の前記回転軸を中心に回転可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記鏡は、前記第1の回転鏡の外周を囲むように装置本体に固定して配置された環状鏡であることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記第1の回転鏡及び前記第2の回転鏡の単位時間当たりの回転数を制御する制御部を更に含み、
前記制御部は、前記第1の回転鏡の単位時間当たりの回転数と前記第2の回転鏡の単位時間当たりの回転数とが互いに異なるように制御することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記第1の回転鏡の回転方向と前記第2の回転鏡の回転方向とは互いに異なることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項6】
回転軸に対して傾斜すると共に当該回転軸を中心に回転する第1の回転鏡に、当該回転軸と略同軸となるように光を入射し、
前記第1の回転鏡にて前記回転軸から離れていく方向に反射した光を、当該第1の回転鏡に対向する第1の鏡に入射し、
前記第1の鏡にて前記回転軸の軸方向に反射した光を、当該回転軸の軸方向に関して前記第1の回転鏡と離間すると共に当該回転軸に対して傾斜して当該回転軸を中心に回転する第2の回転鏡に入射し、
前記第2の回転鏡にて反射した光を、前記第2の回転鏡に対向する第2の鏡に入射して前記回転軸の軸方向に反射させることを特徴とする光走査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−A】
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【図7−B】
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【公開番号】特開2009−244145(P2009−244145A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91982(P2008−91982)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000219451)東亜ディーケーケー株式会社 (204)
【Fターム(参考)】