説明

光透過型の検査装置およびオイル汚濁検出装置

【課題】検査対象物の交換時に交換前の汚濁物が検査用の隙間内に残存し難くなるようにして、流動性の検査対象物に対する高精度の性状検査等を実行できる光透過型の検査装置およびオイル汚濁検出装置を提供する。
【解決手段】発光側の導光部12と、受光側の導光部22と、両導光部12、22を隙間を隔てて支持する支持部材30と、を備え、発光側の導光部12を通る光が隙間内に導入される流動性の検査対象物を透過するとき、その透過光が受光側の導光部22を通して検出されるようにした光透過型の検査装置において、前記隙間を透過光検出に用いられる第1の隙間L1a、L1bとそれより大きい第2の隙間とに変化させることができる隙間可変機構50を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光透過型の検査装置およびオイル汚濁検出装置、特に流動性を有する検査対象物を狭い隙間内に導入して光透過による性状検査を実行するようにした光透過型の検査装置およびこれを用いるオイル汚濁検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液剤等の流動性を有する検査対象物の性状を検査する光学式の検査装置として、例えば車両の走行駆動システムにおけるエンジンやトランスミッション等のオイルの性状検査、特にそのオイルの汚濁(劣化・変質を含む)を検出するものが知られている。このような検査装置では、発光部と受光部の間の隙間内にオイルを導入してそのオイルに対し光を透過させ、車両の走行駆動システムに悪影響を与え得るようなオイルの汚濁をオイル中の不溶解成分濃度やその粒子径等により変化する光の透過度に基づいて検出するようになっている。そして、その透過度の検出情報に基づいて、例えばオイル交換時期が到来したか否かが判定され、その到来時にドライバにオイル交換を要求する警告ランプ表示等がなされる。
【0003】
この種の光透過型のオイル汚濁検出装置としては、例えばオイルを透過する光の透過度検出に適した狭い検出隙間を形成するよう、発光素子と受光素子の間に両素子を隔てるスペーサを設け、かつ、両素子をスペーサに圧接させることで、各部材の温度変化や経時変化による歪みが生じてもその検出隙間を一定に維持できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、オイル交換時期等の保守時期を報知する装置として、例えばオイル交換時期を判定するための設定値を書換え可能に記憶する記憶手段を設けることで、使用するオイルのグレード、気候条件、走行環境等に応じてその記憶手段に記憶された設定値を変更可能とし、サービスサイドで最適なオイル交換時期を設定できるようにしたものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平1−214737号公報
【特許文献2】特開平10−38605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来の光透過型の検査装置およびオイル汚濁検出装置にあっては、検査対象物であるエンジンオイルやATF(Automatic Transmission Fluid)等の粘性が比較的高いのに対し、透過度検出に要する狭い検出隙間が設定されていたため、オイル交換時にはその狭い検出隙間内に汚濁オイルが残存し易かった。そのため、オイル交換後においても検出隙間内のオイルの汚濁度が高くなってしまうことで、オイル交換時期の到来前にオイル交換時期と誤判定してしまうことがあった。すなわち、オイル交換時期の到来を警告ランプ等によってドライバに報知する頻度が高くなり、車両のランニングコスト高を招来してしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、検査対象物の交換時に交換前の汚濁した検査対象物が検査用の隙間内に残存し難くなるようにして、流動性の検査対象物に対する高精度の性状検査等を実行できる光透過型の検査装置およびオイル汚濁検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光透過型の検査装置は、上記目的達成のため、(1)発光側の導光部と、受光側の導光部と、両導光部を隙間を隔てて支持する支持部材と、を備え、前記発光側の導光部を通る光が前記隙間内に導入される流動性の検査対象物を透過するとき、該透過する光が前記受光側の導光部を通して検出されるようにした光透過型の検査装置において、前記隙間を前記透過する光の検出に用いられる第1の隙間と該第1の隙間より大きい第2の隙間とに変化させることができる隙間可変機構を設けたものである。
【0008】
この構成により、検査対象物が導入される隙間(以下、検査用の隙間ともいう)を検査対象物の交換時には第1の隙間から第2の隙間に拡大することができ、交換前の検査対象物が検査用の隙間内に残存し難く、かつ、隙間内への新しい検査対象物の流入量が多くなる。したがって、検査対象物の交換によって隙間内に新しい流動性の検査対象物が導入されるときに新しい検査対象物への移行性に優れたものとなり、例えば汚濁した交換前の検査対象物の残存による検出精度の低下を防止して高精度の性状検査等を実行することができる。なお、性状検査でなく、検査対象物の交換の有無を検査するような検査であってもよい。
【0009】
上記(1)に記載の構成を有する光透過型の検査装置においては、(2)前記隙間可変機構が、前記支持部材に対し前記発光側の導光部と前記受光側の導光部の間に進入および退避する方向に変位可能な進退動部材を有することが望ましい。
【0010】
この構成により、進退動部材が発光側の導光部と受光側の導光部の間に進入および退避する方向に変位することで両導光部間の隙間の大きさ(容積)が変化することになり、検査対象物が導入される検査用の隙間を進退動部材の退避側への変位によって大きくできることになる。
【0011】
上記(2)に記載の構成を有する光透過型の検査装置においては、(3)前記進退動部材に、前記検査対象物中で浮力を生じるフロート部材が連結され、前記進退動部材が前記検査対象物中に位置するとき、前記進退動部材が前記フロート部材の浮力により前記発光側の導光部と前記受光側の導光部の間に進入する側に変位して、前記隙間が前記第1の隙間に設定されるのが好ましい。
【0012】
この構成により、フロート部材が流動性の検査対象物中にあるときには、フロート部材の浮力によって進退動部材が発光側の導光部と受光側の導光部の間に進入する側に変位し、検出用の隙間が第1の隙間に設定される。また、フロート部材が流動性の検査対象物中から出ると、フロート部材の浮力が失われることで、進退動部材が発光側の導光部と受光側の導光部の間から退避する側に変位して、検査対象物の交換時には検査用の隙間が自動的に第2の隙間に拡大されることになる。したがって、進退動部材を駆動するアクチュエータ等は不要であり、低コストで簡素な装置構成となる。
【0013】
上記(2)、(3)に記載の構成を有する光透過型の検査装置においては、(4)前記進退動部材が、光透過性の材料からなる導光路部分を有し、前記進退動部材の導光路部分が前記発光側の導光部と前記受光側の導光部の間に進入したとき、前記導光路部分によって前記発光側の導光部と前記受光側の導光部の間に位置する中間の導光路が形成されるとともに、前記第1の隙間が形成されるのがよい。
【0014】
この構成により、進退動部材の導光路部分が発光側の導光部と受光側の導光部の間に進入したときに形成される検査用の隙間が狭い隙間であっても、進退動部材の導光路部分が発光側の導光部と受光側の導光部の間から退避する側に変位したときには、中間の導光路の長さに応じた幅広い大きな隙間が形成されることになり、進退動部材の導光路部分の光軸方向の厚さ(中間の導光路の長さ)を適宜設定するだけで、検査時には狭い検査用の隙間を検査対象物の交換時には大きく開放することができる。したがって、交換前の検査対象物が検査用の隙間内に残存するのをより有効に防止できる。
【0015】
上記(4)に記載の構成を有する光透過型の検査装置においては、(5)前記進退動部材の導光路部分が前記発光側の導光部と前記受光側の導光部の間に進入したとき、前記進退動部材の導光路部分と前記発光側の導光部との間、並びに、前記進退動部材の導光路部分と前記受光側の導光部との間にそれぞれ、前記第1の隙間が形成されるようにしても好ましい。
【0016】
この構成により、発光側の導光部と受光側の導光部の間における進退動部材の変位に要する隙間が、進退動部材の導光路部分の両側の第1の隙間によって確保され、その第1の隙間には流動性の検査対象物が導入されることから、進退動部材の変位も円滑なものとなる。また、第1の隙間の各々が幅狭くとも、検査用の隙間に導入される検査対象物のトータルの厚さが検査に適したものとなり、所要の検査の精度が確保される。
【0017】
上記(2)〜(5)に記載の構成を有する光透過型の検査装置においては、(6)前記進退動部材が前記支持部材に対して変位可能な方向が、前記検査対象物を透過する光の透過方向に対して直交する方向であるのがよい。
【0018】
この構成により、検査対象物を透過する光の透過方向に対して検査用の隙間が直交することになり、発光側の導光部と受光側の導光部の対向(光軸に沿った対向の意)する面同士が最小の面積で済み、汚濁した検査対象物が検査用の隙間内に残存し難くなるとともに簡素な構成となる。
【0019】
上記(1)〜(6)に記載の構成を有する光透過型の検査装置においては、(7)前記流動性の検査対象物が、車両の走行駆動システムに用いられるオイルであってもよい。
【0020】
この構成により、検査用の隙間に導入されるオイルの性状を精度良く検査できることになる。
【0021】
本発明に係るオイル汚濁検出装置は、上記目的達成のため、(8)発光素子および発光側の導光部を有する発光手段と、受光素子および受光側の導光部を有する受光手段と、前記発光側の導光部および前記受光側の導光部を隙間を隔てて支持するとともに前記発光素子および前記受光素子をそれぞれ収納する支持部材と、を備え、前記発光素子により発光され前記発光側の導光部を通る光が前記隙間内に導入されるオイルを透過するとき、該透過する光が前記受光側の導光部を通して前記受光素子に受光され、該受光素子の受光量に基づいて前記オイルの汚濁が検出されるようにしたオイル汚濁検出装置において、前記隙間を前記透過する光の検出に用いられる第1の隙間と該第1の隙間より大きい第2の隙間とに変化させることができる隙間可変機構を設けたものである。
【0022】
この構成により、オイルが導入される検査用の隙間をオイル交換時には第1の隙間から第2の隙間に拡大することができ、交換前の汚濁したオイルが検査用の隙間内に残存し難く、かつ、隙間内への新しいオイルの流入量が多くなる。したがって、オイルの交換によって隙間内に新しいオイルが導入されるときに新しいオイルへの移行性に優れたものとなり、汚濁したオイルの残存による透過光検出精度の低下を防止して高精度のオイル汚濁検出を実行することができる。
【0023】
上記(8)に記載の構成を有するオイル汚濁検出装置においては、(9)前記支持部材が、車両の走行駆動システムに装備されるオイルパンに取り付けられるのが好ましい。
【0024】
この構成により、オイルパン内のオイルの汚濁(オイル交換を要する汚濁状態)を精度良く検出できることになる。
【0025】
上記(9)に記載の構成を有するオイル汚濁検出装置においては、(10)前記オイルパンに収容されたオイル中に浸漬されるのが好ましい。
【0026】
この構成により、オイルパン内のオイルが交換されるとき、検査用の隙間内のオイルが確実に入れ替わり、オイル交換後はオイルの汚濁が精度良くかつ確実に検出されることになる。
【0027】
上記(10)に記載の構成を有するオイル汚濁検出装置においては、(11)前記隙間可変機構が、前記支持部材に対し前記発光側の導光部と前記受光側の導光部の間に進入および退避する方向に変位可能な進退動部材を有し、前記進退動部材に、前記オイル中で浮力を生じるフロート部材が連結され、前記フロート部材が前記オイル中に浸漬されるとき、前記進退動部材が前記フロート部材の浮力により前記発光側の導光部と前記受光側の導光部の間に進入する側に変位して、前記隙間が前記第1の隙間に設定されるのがよい。
【0028】
この構成により、フロート部材がオイル中にあるときには、フロート部材の浮力によって進退動部材が発光側の導光部と受光側の導光部の間に進入する側に変位し、検出用の隙間が第1の隙間に設定される。また、フロート部材がオイル中から出ると、フロート部材の浮力が失われることで、進退動部材が発光側の導光部と受光側の導光部の間から退避する側に変位することになり、オイルの交換時には検査用の隙間が自動的に第2の隙間に拡大されることになる。したがって、進退動部材を駆動するアクチュエータ等は不要であり、低コストで簡素なオイル汚濁検出装置となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の光透過型の検査装置によれば、検査対象物が導入される隙間を検査対象物の交換時には第1の隙間からそれより大きい第2の隙間に拡大し、交換前の汚濁した検査対象物が検査用の隙間内に残存し難く、かつ、隙間内への新しい検査対象物の流入量が多くなるようにしているので、検査対象物の交換時に新しい検査対象物への移行性に優れたものとすることができ、汚濁した検査対象物の残存による透過光検出精度の低下を防止して、流動性の検査対象物に対する高精度の性状検査等を実行することができる。
【0030】
本発明のオイル汚濁検出装置によれば、オイルが導入される検査用の隙間をオイル交換時には第1の隙間から第2の隙間に拡大し、交換前の汚濁したオイルが検査用の隙間内に残存し難く、かつ、隙間内への新しいオイル流入量が多くなるようにしているので、オイル交換時に新しいオイルへの移行性に優れたものとすることができ、汚濁したオイルの残存による透過光検出精度の低下を防止して、オイル交換を要するに至ったオイルの汚濁を高精度に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0032】
図1は、本発明の光透過型の検査装置をオイル汚濁検出に用いる一実施形態のオイル汚濁検出装置の要部正面断面図であり、図2は、図1のA−A矢視断面図であり、図3は、一実施形態のオイル汚濁検出装置の模式的な全体構成図である。
【0033】
まず、その構成について説明する。
【0034】
図1および図2に示すように、本実施形態のオイル汚濁検出装置1は、発光素子11および発光側窓部12(発光側の導光部)を有する発光手段10と、受光素子21および受光側窓部22(受光側の導光部)を有する受光手段20と、発光側窓部12および受光側窓部22を隙間Lwを隔てて対向させるとともに発光素子11および受光素子21を互いに光軸に沿って対向させるよう発光素子11、発光側窓部12、受光素子21および受光側窓部22をそれぞれ収納する支持部材30と、支持部材30が複数のねじ締結部材42を介して締結されるステー41と、を備えている。
【0035】
このオイル汚濁検出装置1は、図1〜図3に示すように、車両に搭載されるエンジンあるいは自動変速機(車両の走行駆動システム)のオイルパン5中に設置されており、発光素子11により発光されて発光側窓部12を通る光が隙間Lw内に導入されるオイルFLを透過するとき、その透過光が受光側窓部22を通して受光素子21に受光され、その受光素子21の受光量に基づいて、ECU(電子制御回路)100側で公知の方法によりオイルFLのオイル交換を要する程度の汚濁が検出され、あるいはさらにそのオイルFLの現在の汚濁度が算出されるようになっている(検出動作は後述する)。
【0036】
発光手段10の発光素子11は、例えば特定の異なる複数の波長の光を発するLED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)からなる。この発光素子11は、支持部材30の外殻部31に対して発光素子11および受光素子21の光軸方向に挿入されねじ結合された一対の円筒状のソケット部32、33のうち一方、例えばソケット部32に同軸に保持されている。
【0037】
受光手段20の受光素子21は、例えばフォトダイオードからなる。この受光素子21は、一対の円筒状のソケット部32、33のうち他方、例えばソケット部33に同軸に保持されて、発光素子11に対し同軸に対向している。
【0038】
発光手段10の発光側窓部12は、光透過性を有する材料、例えば透明なガラスからなり、発光素子11からの光を受光手段20側に透過させることができる。また、受光手段20の受光側窓部22は、光透過性の材料、例えば透明なガラスからなり、発光側窓部12を透過した発光手段10側からの光を受光素子21側に透過させることができる。
【0039】
発光側窓部12および受光側窓部22は、図1中の左右方向である発光素子11および受光素子21の光軸方向で互いに対向する円形窓部分12a、22aと、それぞれ一対の円筒状のソケット部32、33の内端面に対向する拡径部分12f、22fとを有している。また、外殻部31の中央には発光素子11および受光素子21の光軸方向に対し直交するオイル導入穴31aが形成されており、発光側窓部12および受光側窓部22の拡径部分12f、22fは、Oリング34、35を介してソケット部32、33に圧接することで、外殻部31のオイル導入穴31aの対向する一対の第1側壁31b、31cに対して軸方向に位置決めされている。さらに、外殻部31のオイル導入穴31aの第1側壁31b、31cには、同軸な円筒穴31d、31eが形成されており、発光側窓部12および受光側窓部22は円形窓部分12a、22a側でこれら円筒穴31d、31e内に嵌入されることで、互いに同軸に対向している。そして、発光側窓部12および受光側窓部22は、発光素子11および受光素子21の光軸方向に対向する円形窓部分12a、22a側で、予め設定された隙間Lwを隔てて互いに平行にかつ同軸に離間している。
【0040】
支持部材30は、オイル導入穴31aの他に発光素子11および受光素子21の光軸方向を中心軸とする貫通孔31hが形成された外殻部31と、この外殻部31の貫通孔31hの中心軸線上で互いに対向するよう貫通孔31h中に挿入されねじ結合された前記ソケット部32、33と、発光側窓部12および受光側窓部22とソケット部32、33との間に圧縮状態で介装された前記Oリング34、35と、ソケット部32、33のねじ操作溝32b、33b側で貫通孔31hを閉止するカバープレート36、37と、発光素子11の端子11a、11b、11cおよび受光素子21の端子21a、21bがカバープレート36、37を貫通する部分に装着されたグロメット機能を有するシール部材38、39と、を含んで構成されている。なお、外殻部31、ソケット部32、33およびカバープレート36、37は、それぞれ例えば光を透過しない比較的硬質で成形精度に優れた樹脂からなり、Oリング34、35およびシール部材38、39は、光を透過せずゴム弾性を有する材料からなる。
【0041】
支持部材30は、貫通孔31hの径方向および軸方向にそれぞれ離隔する複数対のねじ締結部材42を介して金属製のステー41に締結固定されており、図3に示すように、ステー41はオイルパン5の液面より下方側に公知の取付け構造で取り付けられている。すなわち、本実施形態のオイル汚濁検出装置1は、オイルパン5内に収容されたオイルFL中に浸漬され、オイルFLの液面より下方に位置するように配置される。
【0042】
支持部材30からその両端側に突出する発光素子11の端子11a、11b、11cおよび受光素子21の端子21a、21bは、それぞれステー41に沿ってひき回された図示しない複数本の電気配線を介して、ECU100に接続されている。
【0043】
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)および不揮発メモリからなるバックアップ用メモリを備え、さらに、A/D変換器等を含む入力インターフェース回路と、発光駆動回路を含む出力インターフェース回路と、定電圧回路等を含んで構成されている。このECU100は、ROM内に予め格納された制御プログラムに従って、他の車載ECU(電子制御回路)と通信を行いながら、車両の運転時に発光素子11に電源を供給するとともに、受光素子21による単位時間毎の受光量(以下、光透過度ともいう)を算出するようになっており、その算出結果を基にオイルの性能に悪影響を与え得るようなオイルの汚濁の発生を未然に検出するようになっている。勿論、例えばバックアップメモリに格納されたマップ情報(光透過度とオイル汚濁度の関係を示すデータマップ)を参照することでオイルの汚濁度を計測することもできるし、光透過度を基に計算式に基づいてオイル汚濁度の算出を行うこともできる。
【0044】
また、ECU100は、オイルの性能に悪影響を与え得るようなオイルFLの汚濁が検出されたとき、例えば公知のオイル交換時期の警告ランプ101を点灯させることで、運転者にオイル交換時期の到来を報知するようになっている。
【0045】
一方、オイル汚濁検出装置1には、発光側窓部12と受光側窓部22の間に形成される隙間を変化させることができる隙間可変機構50が設けられている。
【0046】
この隙間可変機構50は、発光側窓部12と受光側窓部22の間に形成される隙間を、オイルFLを透過する透過光の検出に用いられる第1の隙間L1a、L1b(図1参照)と、これら第1の隙間L1a、L1bより大きい第2の隙間L2a、L2b(図2、図4参照)とに変化させることができる。
【0047】
具体的には、隙間可変機構50は、支持部材30に対し発光側窓部12と受光側窓部22の間に進入および退避するいずれかの方向、例えば鉛直方向(図1中の上下方向)に延びる板状をなすとともにその鉛直方向に変位可能な進退動部材51を有している。
【0048】
この進退動部材51の上端側(一端側)には、オイルFL中で浮力を生じるフロート部材52が連結されている。フロート部材52は、水平方向を長手方向とする中空(検査対象物より比重の小さい素材で形成されてもよい)の直方体形状をなしており、オイルFL中に位置するときに浮力を発生することができる。そして、進退動部材51がオイルFL中に浸漬されるときには、進退動部材51がフロート部材52の浮力により発光側窓部12と受光側窓部22の間に進入するよう上方側に引き上げられ、発光側窓部12と受光側窓部22の間の隙間Lwが光透過度およびそれに基づくオイル汚濁検出の検出に適した十分に小さい第1の隙間L1a、L1bに設定されるようになっている。
【0049】
進退動部材51の下端側(他端側)には、オイルFLの液注にあって常にフロート部材52に生じる浮力に対抗して進退動部材51の変位を一定範囲内に規制するストッパ54が装着されている。
【0050】
また、進退動部材51は、光透過性の材料、例えば透明のガラスからなる円筒状の導光路部分53を有しており、進退動部材51の導光路部分53が発光側窓部12と受光側窓部22の間に進入したとき、発光側窓部12と受光側窓部22の間に、導光路部分53により中間の導光路53pが形成されるとともに、第1の隙間L1a、L1bが形成されるようになっている。
【0051】
図4は、オイル交換時における一実施形態のオイル汚濁検出装置のフロート下降状態、すなわちオイルパン5からのオイルFLの抜き取りによって進退動部材51およびフロート部材52が支持部材30に対し下降した状態を示す要部正面断面図であり、図5は、オイル交換時における一実施形態のオイル汚濁検出装置のフロート復帰状態、すなわち、オイルパン5への新しいオイルFLの補充によって進退動部材51およびフロート部材52が支持部材30に対し上昇・復帰した状態を示す要部拡大正面断面図である。
【0052】
両図に示すように、進退動部材51の導光路部分53が発光側窓部12と受光側窓部22の間に進入したとき、進退動部材51の導光路部分53と発光側窓部12との間には第1の隙間L1aが、進退動部材51の導光路部分53と受光側窓部22との間には第1の隙間L1bが、それぞれ形成される。また、ストッパ54は、発光側窓部12と受光側窓部22の間に導光路部分53によって中間の導光路53pが形成されるとき、支持部材30の外殻部31の下面側に当接して、進退動部材51のそれより上方側への変位を規制することができるようになっている。
【0053】
進退動部材51が支持部材30に対して変位する方向(例えば、鉛直方向)は、隙間Lw内のオイルFLを透過する光の透過方向(図1中の左右方向)に対して実質的に直交する方向である。以下、この往復変位方向を進退動方向ともいう。
【0054】
進退動部材51は、図2に示すようにほぼ長方形断面を有する板状に形成されており、その導光路部分53が他の部分(フロート部材52は含まれない)より厚くなっている。そして、その導光路部分53の近傍において、進退動部材51は、オイル導入穴31aの対向する一対の第2側壁31f、31gによって図2中の上下方向両側から進退動方向に摺動可能に案内されている。
【0055】
図1、図4に示すように、進退動部材51は、フロート部材52の長手方向と直交する方向、例えば鉛直方向に延在しており、フロート部材52が支持部材30の外殻部31の上部に形成された長方形の凹部31rに当接するまで下方側に変位することができる。
【0056】
また、フロート部材52が外殻部31の凹部31rに当接するまで下方側に変位したとき、進退動部材51の他の部分より厚い導光路部分53が下降することにより、発光側窓部12と受光側窓部22の間には、大きい第2の隙間L2a、L2bが形成される。このとき、進退動部材51の導光路部分53の上端部53aは、未だ部分的に発光側窓部12と受光側窓部22の間に位置するようになっている。すなわち、進退動部材51は、導光路部分53の近傍において、常に、外殻部31の短手方向両側の第2側壁31f、31gと外殻部31の長手方向両側の発光側窓部12および受光側窓部22とによって、進退動方向に案内されている。そして、支持部材30に対する進退動部材51の可動範囲は、支持部材30の外殻部31とそれに選択的に当接するフロート部材52およびストッパ54とによって一定範囲内に規制される。
【0057】
第1の隙間L1a、L1bは、例えば両方を合わせて0.3mm程度の隙間であり、第2の隙間L2a、L2bは、第1の隙間L1a、L1bより2倍から数倍あるいはそれ以上大きく、例えば1mm以上の隙間である。
【0058】
支持部材30の外殻部31の短手方向両側の第2側壁31f、31gには、横穴形状のオイル通路31j、31kが形成されており、外殻部31の下面側にはオイル導入穴31aの下端の開口31nが形成されている(図2、図5参照)。この開口31nは、外殻部31の短手方向においてはストッパ54より大径で、外殻部31の長手方向においてはストッパ54より小径のほぼ長方形となっている。
【0059】
さらに、進退動部材51の水平断面は、オイル導入穴31aの水平断面より十分に小さくなっており、進退動部材51がオイルFLの液面下に浸漬されるときには、オイル導入穴31aの上下両端側は開放された状態となる。すなわち、進退動部材51がオイルFLの液面下に浸漬されるとき、オイル導入穴31a内に形成される第1の隙間L1a、L1bは、オイル導入穴31aの上下両端側でオイルパン5中に開放された状態となり、オイルFLの汚濁度の計測に適した適度の流通性が確保される構造となっている。
【0060】
次に、作用について説明する。
【0061】
車両の運転時、ECU100では、他の車載ECUと通信を行いながら、発光素子11に電源を供給するとともに、受光素子21による単位時間毎の受光量が所定時間毎に算出され、その算出結果を基に例えばバックアップメモリに格納されたマップ情報を参照することでオイルFLの汚濁度が所定時間毎に計測される。そして、その計測値が予め設定された判定閾値と比較されることで、オイル性能に悪影響を与え得るようなオイルFLの汚濁の発生が検出される。
【0062】
このとき、進退動部材51は、オイルFLの液中にあって常時フロート部材52からの浮力を受けているので、エンジンの振動等や車両の走行状態に応じてオイルFLが変動したとしても、導光路部分53により中間の導光路53pが形成されるとともに、第1の隙間L1a、L1bが形成されている状態が良好に維持される。
【0063】
一方、オイルFLの液面変動や重心移動に伴って、支持部材30の中央部のオイル導入穴31aに入っているオイルFLは、外部のオイルFLと徐々に混じり合う。したがって、オイル汚濁度の検出隙間である第1の隙間L1a、L1b内では、エンジンの運転時間が長くなり周辺のオイルFLの汚濁が進行するにつれて、それとほぼ同様にオイルの汚濁が進行する。そして、第1の隙間L1a、L1b内のオイルFLを透過して受光素子21側に受光される所定時間毎の光量、すなわち第1の隙間L1a、L1b内のオイルFLの光透過度が、その汚濁の進行に伴って低下していく。したがって、オイル交換が必要な汚濁レベルに達するときには、例えば受光素子21の所定時間毎の受光量(光透過度)が高頻度に判定閾値を下回るようになり、潤滑・冷却性能等のオイル性能に悪影響を与え得るようなオイル汚濁度に達したと判定される。
【0064】
そして、オイル性能に悪影響を与え得るようなオイルFLの汚濁が検出されると、ECU100により警告ランプ101が点灯され、オイル交換時期の到来がドライバに報知される。
【0065】
オイル交換時には、オイルパン5からのオイルFLの抜き取りよりオイル液面が低下すると、進退動部材51を浮力により引き上げていたフロート部材52が支持部材30に対して徐々に下降し、支持部材30の下面からストッパ54が離れるとともに、発光側窓部12および受光側窓部22と同一直線上に位置していた導光路部分53が、下方側に変位することで、発光側窓部12および受光側窓部22の間の隙間が大きく開放されるとともに、オイル導入穴31aに入っていたオイルFLも支持部材30の横穴形状のオイル通路31j、31kおよびオイル導入穴31aの下端の開口31nから流下・排出される。
【0066】
次いで、新しいオイルの投入により、オイル液面が上昇すると、その液面上昇に伴って、オイル導入穴31a内にその下方側および前後のオイル通路31j、31k側からオイルFLが入り、導光路部分53と発光側窓部12および受光側窓部22との間の隙間Lwに新しいオイルFLが満たされる。
【0067】
そして、オイル液面がさらに上昇し、オイル液面がフロート部材52に到達するときには、支持部材30のオイル導入穴31a内は新しいオイルFLで満たされる。このとき、発光側窓部12および受光側窓部22との間の広い隙間Lw内に第1の隙間L1a、L1bより広い第2の隙間L2a、L2bが形成され、これら第2の隙間L2a、L2bがオイルFLで満たされる。
【0068】
次いで、オイルFLが十分補充されてオイル液面がさらに上昇すると、下降していたフロート部材52が支持部材30に対して上昇し、支持部材30の中央部のオイル導入穴31aの上端側が開放される一方で、発光側窓部12および受光側窓部22の間に導光路部分53が徐々に侵入し、かつ、オイル導入穴31aの下端側を開放していた進退動部材51のストッパ54が支持部材30の下面に徐々に接近する。そして、ストッパ54が支持部材30の下面に当接すると、導光路部分53が、発光側窓部12および受光側窓部22の間にオイル汚濁度の検出隙間L1a、L1bを形成しつつ、両窓部12、22と同一中心軸線上に到達して、中間の導光路53pが形成される。
【0069】
このように、本実施形態においては、流動性の検査対象物であるオイルFLが導入される隙間をオイル交換時には第1の隙間L1a、L1bから第2の隙間L2a、L2bに拡大することができ、交換前の汚濁したオイルFLが検査用の隙間内に残存し難くなるとともに、その隙間L2a、L2b内への新しいオイルFLの流入が容易でその流入量も多くなる。したがって、オイル交換によって隙間L2a、L2b内に新しいオイルFLが導入されるときに新しいオイルFLへの移行性に優れたものとなり、汚濁したオイルFLの残存による光透過度の検出精度の低下とそれによるオイル交換時期の誤判定を確実に防止することができ、高精度のオイル汚濁検出を実行することができる。
【0070】
また、本実施形態では、進退動部材51が発光側窓部12と受光側窓部22の間に進入および退避する方向に変位することで両導光部間の隙間の大きさ(容積)が変化することから、オイルFLが導入される検査用の第1の隙間L1a、L1bを進退動部材51の退避側への変位によって第2の隙間L2a、L2bに大きくできることになる。しかも、フロート部材52が流動性のオイルFL中にあるとき、フロート部材52の浮力によって進退動部材51が発光側窓部12と受光側窓部22の間に進入する側に変位し、検出用の隙間L1a、L1bが設定され、一方、フロート部材52が流動性のオイルFL中から出ると、フロート部材52の浮力が失われることで、進退動部材51が発光側窓部12と受光側窓部22の間から退避する側に変位して、検査用の第1の隙間L1a、L1bが自動的に第2の隙間L2a、L2bに拡大されることになる。したがって、オイルFLの交換時に進退動部材51を駆動するアクチュエータ等は不要であり、低コストで簡素な装置構成となる。
【0071】
さらに、進退動部材51の導光路部分53が発光側窓部12と受光側窓部22の間に進入したときに形成される検査用の第1の隙間L1a、L1bが狭い隙間であっても、進退動部材51の導光路部分53が発光側窓部12と受光側窓部22の間から退避する側に変位したときには、中間の導光路53pの長さに応じた幅広い第2の隙間L2a、L2bが形成されることになり、中間の導光路53pの長さに対応する導光路部分53の光軸方向の厚さ(本実施形態では、厳密には進退動部材51の他の部分から光軸方向に突出する高さ)を適宜設定するだけで、検査時には狭い検査用の隙間L1a、L1bをオイルFLの交換時には大きく開放することができる。したがって、交換前の汚濁したオイルFLが検査用の隙間L1a、L1b内に残存するのをより有効に防止できる。
【0072】
加えて、発光側窓部12と受光側窓部22の間における進退動部材51の変位(その導光路部分53の変位)に要する摺動隙間が、進退動部材51の導光路部分53の両側の第1の隙間L1a、L1bによって確保され、その第1の隙間L1a、L1bには流動性のオイルFLが導入されることから、進退動部材51の変位も円滑なものとなる。また、第1の隙間L1a、L1bの各々が幅狭くとも、これら検査用の第1の隙間L1a、L1bに導入されるオイルFLのトータルの厚さが検査に適したものとなり、所要の光透過度の検出精度が確保されることで、オイル交換時期の誤判定をより確実に防止することができる。
【0073】
また、オイルFLを透過する光の透過方向に対して検査用の第1の隙間L1a、L1bが直交することになり、発光側窓部12と受光側窓部22が光軸に沿って対向する対向面同士が最小の面積で済み、汚濁したオイルFLが検査用の隙間L1a、L1b内に残存し難くなるとともに簡素な構成となる。そして、車両の走行駆動システムのオイルパン5内で検査用の第1の隙間L1a、L1bに導入されるオイルFLの性状を精度良く検査できることになる。
【0074】
上述のように、本実施形態のオイル汚濁検出装置1においては、オイルFLが導入される検査用の隙間をオイル交換時には第1の隙間L1a、L1bから第2の隙間L2a、L2bに拡大することができ、交換前の汚濁したオイルFLが検査用の第1の隙間L1a、L1b内に残存し難く、かつ、第1の隙間L1a、L1b内への新しいオイルの流入量が多くなる。したがって、オイルFLの交換時におけるオイル移行性に優れたものとなり、残存汚濁オイルによるオイル交換時期の誤判定を確実に防止することができ、車両の走行駆動システムに装備されるオイルパン5内のオイルFLの汚濁(交換時期の到来)を精度良く検出することができる。
【0075】
また、オイルパン5に収容されたオイルFL中に浸漬されるようオイルFLの液面より下方に設置されるので、オイルパン5内のオイルが交換されるとき、進退動部材51を駆動するアクチュエータ等を用いることなく、検査用の第1の隙間L1a、L1b内のオイルFLが確実に入れ替わり、オイル交換後はオイルの汚濁が精度良くかつ確実に検出できる低コストで簡素なオイル汚濁検出装置となる。
【0076】
なお、上述の実施形態においては、隙間可変機構50が進退動部材51に一体に連結されたフロート部材52を有し、進退動部材51が鉛直方向に直動する方式のものであったが、進退動部材51の進退動方向は鉛直方向に限定されるものではなく、鉛直方向に対し多少傾斜したものであってもよい。また、進退動部材51とフロート部材52のような駆動源側の部材との間に運動方向の変換機構を介在させることで、進退動部材51を水平方向や他の任意の方向に変位させることも考えられる。さらに、直動式でなく、進退動部材51が回動支点に支持され、フロート部材52のような駆動源側の部材に連動するリンケージを介して回動しつつ進退動するように構成することも考えられる。また、構成が簡素でなく、コストも高くなるが、発光側窓部12と受光側窓部22を光軸方向に相対変位させることで隙間Lw自体を直接に変化させる摺動機構やアクチュエータを設けることも考えられる。
【0077】
また、上述の実施形態においては、検査対象物であるオイルを導入する検出用の隙間の近傍に発光素子11や受光素子21を配置していたが、発光手段はLEDのような発光素子に限定されるものでなく、受光手段もフォトダイオードのような受光素子に限定されるものではない。また、発光側や受光側の窓部を別に設けるのでなく、発光素子や受光素子自体を形成する光透過部分を発光側または受光側の導光部とすることもできる。
【0078】
本発明の光透過型の検査装置においては、検査用の隙間を形成する発光側の導光部と検査対象物を透過した透過光を通す受光側の導光部を有し、それら導光部間の隙間を可変する隙間可変機構が設けられるものであればよく、光源や透過光の検出回路自体は検査用の隙間から離れた液外空間に配置されてもよい。
【0079】
さらに、流動性の検査対象物は、オイルに限定されるものではなく、検出用の隙間内に導入し光を透過させることで性状やその導入(進入)の有無を検査できる各種の流動性の検査対象物に適用できるものであり、粘性を持つ液体の他、ちょう度を持つ塑性物、ゲル状物、液体と粒子を含む流動体、あるいはそれらに近い流動性を有する粉状体であってもよい。
【0080】
以上説明したように、本発明の光透過型の検査装置によれば、流動性の検査対象物が導入される隙間を検査対象物の交換時には第1の隙間からそれより大きい第2の隙間に拡大し、交換前の汚濁した検査対象物が検査用の隙間内に残存し難く、かつ、隙間内への新しい検査対象物の流入を容易にしているので、検査対象物の交換時に新しい検査対象物への移行性に優れたものとすることができ、汚濁した検査対象物の残存による誤判定や検出精度の低下を防止して、流動性の検査対象物に対する高精度の検査を実行することができ、オイル交換時の新しいオイルへの移行性に優れ、汚濁オイルの残存による交換時期の誤判定を確実に防止できる高検出精度のオイル汚濁検出装置を提供できるという効果を奏するものであり、光透過型の検査装置およびオイル汚濁検出装置、特に流動性を有する検査対象物を狭い隙間内に導入して光透過による性状検査を実行するようにした光透過型の検査装置およびこれを用いるオイル汚濁検出装置全般に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の光透過型の検査装置をオイル汚濁検出に用いる一実施形態のオイル汚濁検出装置の要部正面断面図である。
【図2】図1のA−A矢視断面図である。
【図3】一実施形態のオイル汚濁検出装置の模式的な全体構成図である。
【図4】オイル交換時における一実施形態のオイル汚濁検出装置のフロート下降状態を示す要部正面断面図である。
【図5】オイル交換時における一実施形態のオイル汚濁検出装置のフロート復帰状態を示す要部拡大正面断面図である。
【符号の説明】
【0082】
1 オイル汚濁検出装置(光透過型の検査装置)
5 オイルパン
10 発光手段
11 発光素子
12 発光側窓部(発光側の導光部)
12a、22a 円形窓部分
12f、22f 拡径部分
20 受光手段
21 受光素子
22 受光側窓部(受光側の導光部)
30 支持部材
31 外殻部
31a オイル導入穴
31j、31k オイル通路
31n 開口
31r 凹部
32、33 ソケット部
32b、33b ねじ操作溝
41 ステー
42 ねじ締結部材
50 隙間可変機構
51 進退動部材
52 フロート部材
53 導光路部分
53p 中間の導光路
54 ストッパ
100 ECU(電子制御装置)
101 警告ランプ
FL オイル(検査対象物)
L1a、L1b 第1の隙間
L2a、L2b 第2の隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光側の導光部と、受光側の導光部と、両導光部を隙間を隔てて支持する支持部材と、を備え、前記発光側の導光部を通る光が前記隙間内に導入される流動性の検査対象物を透過するとき、該透過する光が前記受光側の導光部を通して検出されるようにした光透過型の検査装置において、
前記隙間を前記透過する光の検出に用いられる第1の隙間と該第1の隙間より大きい第2の隙間とに変化させることができる隙間可変機構を設けたことを特徴とする光透過型の検査装置。
【請求項2】
前記隙間可変機構が、前記支持部材に対し前記発光側の導光部と前記受光側の導光部の間に進入および退避する方向に変位可能な進退動部材を有することを特徴とする請求項1に記載の光透過型の検査装置。
【請求項3】
前記進退動部材に、前記検査対象物中で浮力を生じるフロート部材が連結され、
前記進退動部材が前記検査対象物中に位置するとき、前記進退動部材が前記フロート部材の浮力により前記発光側の導光部と前記受光側の導光部の間に進入する側に変位して、前記隙間が前記第1の隙間に設定されることを特徴とする請求項2に記載の光透過型の検査装置。
【請求項4】
前記進退動部材が、光透過性の材料からなる導光路部分を有し、
前記進退動部材の導光路部分が前記発光側の導光部と前記受光側の導光部の間に進入したとき、前記導光路部分によって前記発光側の導光部と前記受光側の導光部の間に位置する中間の導光路が形成されるとともに、前記第1の隙間が形成されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の光透過型の検査装置。
【請求項5】
前記進退動部材の導光路部分が前記発光側の導光部と前記受光側の導光部の間に進入したとき、前記進退動部材の導光路部分と前記発光側の導光部との間、並びに、前記進退動部材の導光路部分と前記受光側の導光部との間にそれぞれ、前記第1の隙間が形成されることを特徴とする請求項4に記載の光透過型の検査装置。
【請求項6】
前記進退動部材が前記支持部材に対して変位可能な方向が、前記検査対象物を透過する光の透過方向に対して直交する方向であることを特徴とする請求項2ないし請求項5のうちいずれか1の請求項に記載の光透過型の検査装置。
【請求項7】
前記流動性の検査対象物が、車両の走行駆動システムに用いられるオイルであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のうちいずれか1の請求項に記載の光透過型の検査装置。
【請求項8】
発光素子および発光側の導光部を有する発光手段と、受光素子および受光側の導光部を有する受光手段と、前記発光側の導光部および前記受光側の導光部を隙間を隔てて支持するとともに前記発光素子および前記受光素子をそれぞれ収納する支持部材と、を備え、前記発光素子により発光され前記発光側の導光部を通る光が前記隙間内に導入されるオイルを透過するとき、該透過する光が前記受光側の導光部を通して前記受光素子に受光され、該受光素子の受光量に基づいて前記オイルの汚濁が検出されるようにしたオイル汚濁検出装置において、
前記隙間を前記透過する光の検出に用いられる第1の隙間と該第1の隙間より大きい第2の隙間とに変化させることができる隙間可変機構を設けたことを特徴とするオイル汚濁検出装置。
【請求項9】
前記支持部材が、車両の走行駆動システムに装備されるオイルパンに取り付けられることを特徴とする請求項8に記載のオイル汚濁検出装置。
【請求項10】
前記オイルパンに収容されたオイル中に浸漬されることを特徴とする請求項9に記載のオイル汚濁検出装置。
【請求項11】
前記隙間可変機構が、前記支持部材に対し前記発光側の導光部と前記受光側の導光部の間に進入および退避する方向に変位可能な進退動部材を有し、
前記進退動部材に、前記オイル中で浮力を生じるフロート部材が連結され、
前記フロート部材が前記オイル中に浸漬されるとき、前記進退動部材が前記フロート部材の浮力により前記発光側の導光部と前記受光側の導光部の間に進入する側に変位して、前記隙間が前記第1の隙間に設定されることを特徴とする請求項10に記載のオイル汚濁検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−8155(P2010−8155A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166129(P2008−166129)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】