説明

光透過性電磁波シールド性フィルムの製造方法、光透過性電磁波シールド性フィルム、及びディスプレイ用フィルタ

【課題】製造時に黒化処理層表面に接触や擦過等が起こった場合にも、黒色の光沢ムラが発生しない光透過性電磁波シールド性フィルムの製造方法を提供すること。
【解決手段】透明フィルム11上にメッシュ状の金属導電層12を形成する工程、該金属導電層12を黒化処理することによって該金属導電層12の少なくとも表面を黒化処理層12bとする工程、前記工程で処理されたフィルム11を、平行に対向させた2本のロール22a,22bの間に、該ロール表面で加圧しつつ通過させる工程、を含む、光沢ムラ防止処理された光透過性電磁波シールド性フィルム21を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッシュパターン状の金属導電層を備えた、光透過性電磁波シールド性を有する長尺フィルムの製造方法、該方法により製造された光透過性電磁波シールド性フィルム、及び該フィルムを含むディスプレイ用フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(PDP)には通常必ず前面フィルタが使用される。この前面フィルタは、近赤外線カット、色再現性向上(発光色純度向上)、電磁波シールド、明所コントラスト向上(反射防止)、発光パネルの保護、発光パネルからの熱遮断等を目的としている。
【0003】
PDPの発光パネルの発する近赤外線は、家庭用テレビやビデオ等に使用されるリモコンに誤作動を与えることを避けるために、これを低減することが必要である。またPDPの発光パネルの発する電磁波は、人体や精密機器への悪影響を避けるためにこれを低減することも必要である。さらにPDPの発光パネルからの発光を、人間の視覚にとって自然な色に感じられるように、フィルタでの補正によって色再現性向上(発光色純度向上)の工夫も求められている。またディスプレイの表示は、明るい室内等の明所においても外部からの光の反射等によって妨げられることなく、十分なコントラストで視認されることが望ましい。さらにはディスプレイ製品に直接に手で触れたような場合でも、使用者がその高温に驚かされるような事態を避けるために、PDPの発光パネルの発する熱が遮断されることが求められている。また製品が容易に破損することを避けるために、発光パネルは保護され、万一破損したような場合であってもその破片が飛散しないことが望ましい。
【0004】
上記の目的に沿った典型的なPDP用前面フィルタの構造としては、例えば、透明基板に、反射防止層、電磁波シールド層、色調補正フィルタ層、近赤外線カット層が積層されたものがあり、これが発光パネルの前面にフィルタとして設置される。この積層の順序は目的に応じて変更される。
【0005】
このPDP用前面フィルタでは、光透過性電磁波シールド層は、光透過性と電磁波シールド性を両立することが必要である。そのために、例えば、微細なメッシュ構造を有する導電性の層が使用される。この導電性のメッシュの部分によって電磁波がシールドされ、同時に光の透過は前記の開口部分によって確保されることになる。
【0006】
光透過性電磁波シールド層は、種々の方法により製造されるが、好ましい製造方法として例えば以下のような方法がある。まず、透明基板に、水溶性インキでメッシュのネガパターンを印刷する。これに銅を薄く蒸着して、メッシュパターンの銅の薄膜を形成する。さらに水溶性インクを洗浄除去する(マスク蒸着処理)。特許文献1(特開2001−332889号公報)は、このような製造方法を開示している。
【0007】
この方法によれば、得られるメッシュ状の金属導電層を有する光透過性電磁波シールド性フィルムは、メッシュの線幅が十分に小さく、開口率も高いものとすることができる。しかし、金属導電層の膜厚が小さいものとなるために、これを上述の光透過性電磁波シールド層に好適な導電性を付与するためには、この金属導電層の上にさらに電気メッキを行って、銅の膜厚を増加させ、十分な厚みの銅の層を形成する(メッキ処理)ことが望ましい。
【0008】
このようにして得られる光透過性電磁波シールド性フィルムは、銅層の表面に金属光沢を残したままであるために、PDP用前面フィルタ等に使用すると外部光を反射して眩しさを感じさせる原因となる。そのため、PDP用前面フィルタの光透過性電磁波シールド層とするために、防眩性付与のための黒化処理が通常、行われる。すなわち、上記の金属銅の表面に酸化又は硫化等の処理を行って、防眩性の黒化処理層を形成する(黒化処理)。
【0009】
これらのフィルム表面処理は、所定の大きさのシート状フィルムを1枚毎に逐次処理して行う、いわゆる枚葉式処理によって行われることが通常である。
【0010】
【特許文献1】特開2001−332889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、従来行われている枚葉式処理の場合には、シート状フィルムを処理槽中で処理するためにはシワやタルミのないように1枚ずつ手作業で枠へ固定しなければならないこと、使用される枠は実質的に消耗品として費消されること、上述のメッキ処理工程と黒化処理工程とは最適処理時間が一致しないために作業工程の同期が難しいこと等の困難があった。
【0012】
また、上述のように、黒化処理は防眩処理として行われ、ディスプレイ用フィルタに使われた場合には、黒化処理層表面はユーザーから視認できる部分となる。このために黒化処理層表面の色や光沢は、ディスプレイ製品の外観及び視認性等の品質及び性能に直接に影響を与える。そこで、接触や擦過等による黒色の光沢ムラを発生させないために、ユーザーから視認される黒化処理層表面には直接に触れないように作業をする必要がある。これによってその後の作業、特にディスプレイ用フィルタへの加工は注意深く時間をかけねばならず、生産性を上げることができなかった。
【0013】
本発明者等は、鋭意研究開発を行ってきた結果、上記困難を改善するためには、長尺フィルムのロールを搬送して行うべき(いわゆるロールトゥロール処理)であるという結論に至った。
【0014】
ところが、上述した黒化処理を、金属層の酸化処理又は硫化処理で行った場合には、処理後の黒化処理層表面に接触や擦過等をしてしまうと黒色の光沢ムラが発生し易いという問題があり、長尺フィルムのロールを搬送して黒化処理を行う場合には特に、黒化処理後に搬送機構を通過させることにより黒色の光沢ムラが発生し易いという問題があることがわかった。そのため、品質の安定及び生産性の向上を意図した長尺フィルムの搬送処理であるにも関わらず、黒色の光沢ムラ発生のために、十分に意図を達成できないままであった。
【0015】
さらに、首尾よく無傷で生産したとしても、上記のような黒化処理層表面は、指で強く擦った程度でも黒色の光沢ムラが発生するために、ディスプレイ用フィルタに使用するような場合に、その最前面に配置することができないものであった。
【0016】
従って、本発明の目的は、上記の問題を解決し、製造時に黒化処理層表面に接触や擦過等が起こった場合にも、黒色の光沢ムラが発生しない光透過性電磁波シールド性フィルムの製造方法を提供することにある。
【0017】
さらに、本発明の目的は、上記の問題を解決し、光透過性電磁波シールド性フィルムの製造において、長尺フィルムの黒化処理後の搬送機構の通過によっても黒色の光沢ムラを発生させない製造方法を提供することにある。
【0018】
また、本発明の目的は、上記方法により製造され、黒化処理層表面に接触や擦過等をした場合にも黒色の光沢ムラが発生しない光透過性電磁波シールド性フィルムを提供することにある。
【0019】
また、本発明の目的は、上記光透過性電磁波シールド性フィルムを含むディスプレイ用フィルタを提供することにもある。
【0020】
また、本発明の目的は、上記方法の実施に好適な光透過性電磁波シールド性フィルムの製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者等は、上記目的が、以下の工程:
透明フィルム上にメッシュ状の金属導電層を形成する工程、
該金属導電層を黒化処理することによって該金属導電層の少なくとも表面を黒化処理層とする工程、
前記工程で処理されたフィルムを、平行に対向させた2本のロールの間に、該ロール表面で加圧しつつ通過させる工程、
を含む、光沢ムラ防止処理された光透過性電磁波シールド性フィルムを製造する方法により達成されることを見いだした。
【0022】
上記製造方法によれば、黒化処理層表面に接触や擦過等をした場合にも黒色の光沢ムラが生じることなく、取り扱いの容易な光透過性電磁波シールド性フィルムを得ることができる。また、上記製造方法によれば、品質が安定し、生産性が向上した連続的な処理が可能である。
【0023】
このような方法で光沢ムラ防止処理が可能であるのは、上記ロールによって黒化処理によって形成された黒色微結晶が均一に押し潰されたためと考えられる。すなわち、本発明者等は黒化処理層表面の光沢ムラ発生の原因は、黒化処理において生成した黒色微結晶が黒化処理層表面の接触や擦過等によって、潰れたり剥がれたりすることにあるとの洞察に至り、このような黒色微結晶を予め均一に安定化しておくという発想から本発明を完成したものである。
【0024】
また、前記ロール表面による加圧は、一般に10〜300N/mの範囲、好ましくは20〜200N/mの範囲、特に50〜150N/mの範囲の線圧下で行うことが好ましい。光沢ムラ防止処理を確実に行うためには線圧は大きいほうが好ましい。しかしこの範囲より大きい線圧では、金属導電層の割れや、加圧による防眩性の低下が生じる場合がある。
【0025】
前記ロールとして、表面がクロムメッキ処理された鉄ロールを使用することが好ましい。また、前記ロールとして、表面がエンボス加工されたロールを使用することが好ましい。このようにロール表面を処理して使用することにより、ロールでの加圧による防眩性の低下を防ぐことができる。
【0026】
前記黒化処理が、前記金属導電層の金属の酸化処理又は硫化処理であることが好ましい。本発明の光沢ムラ防止処理は、接触や擦過等で光沢ムラが容易に生じるようになってしまったあらゆる黒化処理表面に使用可能なものであるが、このような黒化処理表面として、化学処理によって微結晶が成長して粗くなった表面に適しており、特に、金属表面に対する酸化処理及び硫化処理によって得られた黒化処理表面に好適である。
【0027】
前記フィルムとして、長尺フィルムを使用することが好ましい。
【0028】
前記金属導電層が、フィルム面両端部に沿って帯状に設けられた金属導電層、及びその間のフィルム面中央部に設けられたメッシュ状の金属導電層とからなるものが好ましい。前記メッシュ状の金属導電層が、5〜40μmの線幅のメッシュを有し、フィルム面上の開口率が75〜95%であることが好ましい。このように金属導電層が設けられた長尺フィルムの使用は、本発明の光透過性電磁波シールド性フィルムの製造方法に特に好適である。
【0029】
前記金属導電層は、導電性を有する種々の金属、合金、金属化合物を使用することができるが、銀、銅又はアルミニウムを含んでなるものが好ましく、特に銅が好ましい。
【0030】
前記メッシュ状の金属導電層が、透明フィルム上の第1金属導電層、及び該第1金属導電層上の第2金属導電層とからなり、第2金属導電層がメッキ処理による金属メッキ層であることが好ましい。メッシュ状の金属導電層は、公知の種々の方法で製造することもできるが、透明フィルム上にいったんメッシュ状の薄い金属導電層(第1金属導電層)を精緻に形成した後に、これに電気メッキ処理を行って、導電性を十分に確保できる厚みに増厚することが、精度や生産性の点から好ましい方法である。
【0031】
さらに本発明は、上記の製造方法により製造された光透過性電磁波シールド性フィルムにもある。また本発明は、上記の製造方法により製造された光透過性電磁波シールド性フィルムを含むディスプレイ用フィルタにもある。
【0032】
さらに本発明は、メッキ処理された金属導電層を有する長尺フィルムを黒化処理するために、少なくとも1つの黒化処理槽を備えた黒化処理装置、
前記黒化処理装置に隣接して設けられた、黒化処理装置で黒化処理された後の長尺フィルムを光沢ムラ防止処理するために、長尺フィルムを挟んで加圧しつつ通過させることができる平行に対向させた2本のロールを少なくとも1組備えた光沢ムラ防止処理装置を含む、光透過性電磁波シールド性フィルム製造装置にもある。この製造装置によって、本発明の光透過性電磁波シールド性フィルムの製造方法を好適に実施可能である。
【0033】
本発明の好適な実施の態様において、前記メッキ処理前の金属導電層を有する長尺フィルムが、透明フィルム及び該透明フィルム上に設けられたメッシュ状の金属導電層を有し、400〜2500mmの範囲にある幅を有するフィルムである。
【発明の効果】
【0034】
本発明の製造方法によれば、接触や擦過等をした場合にも黒色の光沢ムラが容易に発生しない黒化処理層を有する、取り扱い容易な光透過性電磁波シールド性フィルムを得ることができる。また本発明の製造方法によれば、搬送機構を通過させても黒色の光沢ムラが発生しないので、長尺フィルムの黒化処理により品質の安定及び生産性の向上の実効を達成できる。本発明の光透過性電磁波シールド性フィルムは、十分な光透過性と電磁波シールド性とを有すると共に、防眩性、視認性、耐擦過性及び美的な外観とを同時に達成したものであり、高い生産性を有すると同時にディスプレイ用フィルタに使用する場合に、その最前面にも配置可能なものである。本発明のディスプレイ用フィルタは、上述の利点を備えたものである。また、本発明の光透過性電磁波シールド性フィルムの製造装置を使用すれば、長尺フィルムに対する上述の処理を効率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に、本発明の製造方法、光透過性電磁波シールド性フィルム、ディスプレイ用フィルタ、及び製造装置について説明する。
【0036】
図1は、本発明の製造方法の各工程を、フィルムの断面を示して説明した説明図である。まず、透明フィルム11の上に、メッシュ状の金属導電層12を形成する工程(図1の矢印(a))が行われる。次にこのメッシュ状の金属導電層12の表面は、金属光沢を強く有しているのでこれを取り除くために、黒化処理工程(図1の矢印(b))が行われる。この工程によりメッシュ状の金属導電層12は、その表面が黒化処理表面12bとなり、その内部が処理されない金属導電層(内部金属導電層12a)のまま残る。この黒化処理表面12bは、光沢ムラ防止処理として、平行に対向させた2本のロールの間に、該ロール表面で加圧しつつ通過させる工程(図1の矢印(c))が行われる。この工程により黒化処理表面12bは、光沢ムラ防止処理された黒化処理表面12cとなる。
【0037】
図2は、光沢ムラ防止処理工程(図1の矢印(c))を説明するための説明図である。図2には、光沢ムラ防止処理されるフィルム、及びフィルムを加圧処理するロールの断面が示されている。図2において、表面に黒化処理された金属導電層を有するフィルム21は、加圧ロール22aと加圧ロール22bの間を加圧されつつ通過する。これによって光沢ムラ防止処理の工程が行われ、黒化処理表面は接触や擦過等で光沢ムラが容易に生じないものとなる。この工程は長尺フィルムを搬送して行われる一連の連続式処理の一工程として行うことができる。
【0038】
光沢ムラ防止処理工程において、前記ロール表面による加圧は、一般に10〜300N/mの範囲、好ましくは20〜200N/mの範囲、特に50〜150N/mの範囲の線圧下で行うことが好ましい。光沢ムラ防止処理を確実に行うためには線圧は大きいほうが好ましい。しかしこの範囲より大きい線圧では、メッシュ状の金属導電層の割れや、加圧による防眩性の低下が生じる場合がある。
【0039】
前記ロールとして、表面がクロムメッキ処理された鉄ロールを使用することが好ましい。また、前記ロールとして、表面がエンボス加工されたロールを使用することが好ましい。ロール表面のエンボス加工の凹凸は、一般に金属導電層のメッシュの線幅よりも小さな周期の繰り返し模様で形成されているものが好ましい。エンボス加工の凹凸の平均間隔(Sm)は5μm以下が好ましく、特に2μm以下であることが好ましく、凹凸の深さは、金属導電層の厚みよりも小さく金属導電層に割れや歪みを生じない範囲で深いものが好ましく、平均粗さ(Ra)は0.01〜1μmの範囲が好ましく、特に0.05〜0.5μmの範囲にあるものが好ましい。上記エンボス加工の凹凸の表面粗さはJIS規格B0601に準拠した測定方法での評価による。黒化処理をした表面であっても、ロール表面による加圧が大きすぎる場合には、再び眩しさを感じる程度の光沢を生じてしまう場合がある。しかし、上述のようにロール表面を処理して使用することにより、ロールでの加圧による防眩性の低下を防ぐことができ、結果としてより広い範囲の加圧が可能となる。これは、クロムメッキ処理やエンボス処理により、ロール表面が非平滑化されたことによる効果であると考えられる。
【0040】
光沢ムラ防止処理工程に先だって行われるメッシュ状の金属導電層形成工程は、金属含有導電性インクをメッシュ状に印刷する方法、金属含有繊維のメッシュを貼付する方法、均一な面状に金属導電層をいったん形成した後にメッシュ状にエッチングする方法などの公知の方法を使用して行うことが可能である。しかし、透明フィルム上にいったんメッシュ状の薄い金属導電層(第1金属導電層)を精緻に形成した後に、これにメッキ処理を行って第2金属導電層を形成して、導電性を十分に確保できる厚みに増厚することが、メッシュ構造の精度と均一性、導電性、及び生産性の点から好ましい方法である。
【0041】
このような第1金属導電層の形成の方法としては、例えば特許文献1(特開2001−332889号公報)に開示された方法がある。これを図3にフィルムの断面を示して説明する。すなわち、透明フィルム31上に、水溶性インキで印刷してメッシュのネガパターンである印刷ドット32を形成する(工程a1)。これに金属(例えば銅)を薄く蒸着して、金属薄膜33を形成する(工程a2)。さらに水溶性インクによる印刷ドット32を洗浄除去することで、同時にドット状に金属薄膜を除去してメッシュのポジパターンの金属薄膜(メッシュ状の第1金属導電層)34を得る(工程a3)方法である(マスク蒸着処理法)。
【0042】
第1金属導電層が形成される透明フィルムの材料としては、透明性と可とう性を備え、その後の処理に耐えるものであれば特に制限はなく、例えばポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、(PET)、ポリブチレンテレフタレート)、アクリル樹脂(例、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、セルローストリアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、金属イオン架橋エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、セロファン等を挙げることができる、これらの中で、加工処理(加熱、溶剤、折り曲げ)による劣化が少なく、透明性の高い材料であるPET、PC、PMMAが好ましい。
【0043】
第1金属導電層の形成には、導電性を有してメッキ可能である金属であれば使用することができ、金属単体、合金、導電性金属酸化物等であってもよく、均一な金属薄膜又は一様に塗布された微細な微粒子等からなるものであってもよい。材料金属の例として、アルミニウム、ニッケル、インジウム、クロム、金、バナジウム、スズ、カドミウム、銀、プラチナ、銅、チタン、コバルト、鉛等を挙げることができるが、好ましくは、銀、銅又はアルミニウムを含んでなるものである。このようなメッシュ状の金属導電層は、光透過性と電磁波シールド性の両立に好適である。第1金属導電層の厚みは、メッシュ構造等の形状を精度よく形成できる程度に薄く、第2金属導電層を形成できる程度に厚いものであればよい。このような厚みは一般に0.01〜1μmの範囲、好ましくは0.02〜0.1μmの範囲にある。電磁波シールド性の程度は、第1金属導電層と第2金属導電層をあわせた金属導電層の全体の厚みで決定されるため、この第1金属導電層の厚みが小さいものであったとしても、後の第2金属導電層による増厚で電磁波シールド性を補うことができる。
【0044】
また、第2金属導電層を形成する処理は、メッキ処理、特に電気メッキ処理で行うことが好ましい。電気メッキされる金属としては、一般に銅、銅合金、ニッケル、アルミ、銀、金、亜鉛又はスズ等を使用することが可能であり、好ましくは銅、銅合金、銀、又はニッケルであり、特に経済性、導電性の点から、銅又は銅合金を使用することが好ましい。第2金属導電層の形成による増厚は、金属導電層全体として適切な電磁波シールド性を達成する厚みを形成するためになされるので、第1金属導電層として形成された厚みによって適切な第2金属導電層の厚みは変化するが、一般に1〜10μmの範囲であり、2〜8μmの範囲が好ましい。特に銅による処理の場合には、3〜6μmの範囲とすることが好ましい。金属導電層の厚さが1μm未満では電磁波シールド性が不十分であり、メッキ厚が10μmを超えるとメッキ層が幅方向に広がりやすくなり、線幅が太くなるために開口率を低下させる傾向にある。電気メッキ処理は、公知の装置で行うことができる。
【0045】
黒化処理工程は、前記金属導電層の金属の酸化処理又は硫化処理によって行うことが好ましい。メッキ金属が銅である場合には、酸化処理及び硫化処理を挙げることができ、特に酸化処理は、より優れた防眩効果を得ることができ、さらに廃液処理の簡易性及び環境安全性の点からも好ましい。この黒化処理は、例えば後述の装置で行うことができる。
【0046】
電気メッキ処理された長尺フィルムを、黒化処理及び光沢ムラ防止処理する場合、黒化処理は図4に示すように以下のように行われる。図4には、長尺フィルムの搬送方向を変えるローラー(シンクローラー)を備えていない光沢ムラ防止処理装置付き黒化処理装置が示されている。
【0047】
黒化処理槽には黒化処理液が満たされており、図示されていない循環装置によって黒化処理液が黒化処理槽外槽47aから黒化処理内槽47bへと常に汲み上げられ、長尺フィルム43を常に黒化処理液で浸しつつ、スリット47cから黒化処理槽外槽47aへと流出する。長尺フィルム43は、スリット47cを通じて黒化処理内槽47bを通過し、黒化処理液で黒化処理を受ける。黒化処理を受けた長尺フィルム43は、加圧ロール40aと加圧ロール40bとの間を加圧されつつ通過する。
【0048】
図4の黒化処理装置においては、長尺フィルム43は、送り出しロール41から搬送補助のフリーローラー45を介して巻き取りロール42まで、搬送方向の変化を受けることなく搬送されるために、ローラーによる搬送方向の変更に伴って金属導電層及びメッキ層等に損傷を受ける可能性がない利点を有する。
【0049】
図5には、長尺フィルムの搬送方向を変えるローラー(シンクローラー)を備えた光沢ムラ防止処理装置付き黒化処理装置が示されている。黒化処理槽には黒化処理液が満たされており、長尺フィルム53は、黒化処理槽57を通過し、黒化処理液で黒化処理を受ける。黒化処理を受けた長尺フィルム53は、加圧ロール50aと加圧ロール50bとの間を加圧されつつ通過する。
【0050】
図5の黒化処理装置においては、長尺フィルム53は、液中ローラー(シンクローラー)59によって搬送方向を変えられて液槽内部を通過するために、液槽内の処理経路の長さを長く確保する一方で、装置全体を小型にまとめることを可能にしている。そして、(電気メッキ槽及び)黒化処理槽内に設けられた液中ローラー59は、150mm以上の直径を有するローラーとしているために、長尺フィルム53の搬送方向の変更に伴う金属導電層及びメッキ層等の損傷は極めて低減されたものとなっている。
【0051】
上記処理装置において、長尺フィルムを駆動するために、駆動ローラーとしては、例えば巻き取りロールを使用することができ、上記いずれかのローラーを駆動ローラーとすることもできるが、別途駆動ローラーを設置することが好ましい。
【0052】
電気メッキ処理を行う装置における長尺フィルムへの給電は、給電ロールを用いて一般にそのフィルム面両端部に行われる。その給電は、長尺フィルムの上に形成された金属導電層の全体に給電ロールに接触させて行うことも可能である。しかし、メッシュ状の金属層は、微細で損傷しやすい一方でその外観がディスプレイ用フィルタ等の視認性等の品質に直接に影響を与える。従って、長尺フィルム上に形成されたメッシュ状の金属導電層が、フィルム面中央部に設けられたメッシュ状の金属導電層、及びフィルム面両端部に沿って幅5〜90mm、好ましくは10〜90mm、特に好ましくは20〜80mmの帯状に設けられた金属導電層とからなる長尺フィルムを使用して、このフィルム面両端部にのみ給電ロールを接触させて、給電を行うことが、メッシュ状部分の保護のために望ましい。
【0053】
電気メッキ装置の各陽極電極としては、公知のアノードバッグ及びメッシュバスケット(網籠)等に補充容易な形態の電極材料を入れて使用することができ、例えばチタン製のメッシュ状のバスケットにプラチナメッキをして使用して、その中に補充容易な形態にした陽極電極材料(例えば、球状、ブロック状等に形成した後述の金属)を投入したものとすることが好ましい。メッシュバスケット等に補充等して使用される陽極電極の材料としては、公知の電極材料を使用することができ、一般に球状及びブロック状等に形成されて使用され、一般に銅、銅合金、ニッケル、銀、金、亜鉛又はスズ等を使用することが可能であり、好ましくは銅、銅合金、銀、又はニッケルであり、特に経済性、導電性の点から、銅又は銅合金を使用することが好ましい。
【0054】
電気メッキ槽のメッキ液は、公知のメッキ液を使用することができ、一般に硫酸銅、シアン化銅、ピロリン酸銅及び硫酸ニッケル等の水溶液等を使用することが可能であり、好ましくは、硫酸銅又はピロリン酸銅の水溶液であり、特に経済性の点から、硫酸銅水溶液を使用することが好ましい。
【0055】
上記黒化処理として酸化処理を行う場合には、黒化処理液として、一般には次亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液、亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液、ペルオキソ二硫酸と水酸化ナトリウムの混合水溶液等を使用することが可能であり、特に経済性の点から、次亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液、又は亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液を使用することが好ましい。
【0056】
上記黒化処理として硫化処理を行う場合には、黒化処理液として、一般には硫化カリウム、硫化バリウム及び硫化アンモニウム等の水溶液を使用することが可能であり、好ましくは、硫化カリウム及び硫化アンモニウムであり、特に低温で使用可能である点から、硫化アンモニウムを使用することが好ましい。
【0057】
また、連続式フィルム表面処理装置にはさらに、各槽の前及び/又は後に、脱脂槽、純水洗浄槽、乾燥槽等を所望により設置することが可能である。
【0058】
連続式フィルム表面処理装置で処理される長尺フィルムは、透明フィルム及び該透明フィルム上に設けられたメッシュ状の金属導電層を有し、400〜2500mmの範囲、好ましくは500〜2000mmの範囲、特に好ましくは600〜2000mmの範囲にある幅を有するフィルムである。そしてメッシュ状の金属導電層が、5〜40μmの線幅のメッシュを有し、フィルム面上の開口率が75〜95%であることが好ましい。
【0059】
本発明のディスプレイ用フィルタは、上記により製造された光透過性電磁波シールド性フィルムを、ガラス板等の透明基材に積層することにより製造することができる。
【実施例】
【0060】
以下、本発明を実施例により説明する。本発明は以下の実施例により制限されるものではない。
【0061】
[実施例1]
透明フィルム上への金属導電層形成及び黒化処理は次のように行った。
【0062】
ポリビニルアルコール樹脂(分子量3000)と硫酸バリウムの混合物(質量比 ポリビニルアルコール樹脂:硫酸バリウム=2:1)を、水とメタノールの混合溶液(質量比 水:メタノール=1:4)に溶解して、固形分量30wt%のポリビニルアルコール溶液を調整した。この溶液をインクとして用いて、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(長さ1000mm、幅780mm、厚さ250μm)に、グラビア印刷により正方形のドットを印刷した。これを乾燥後に銅を真空蒸着して、厚さ1000Åの銅層を得た。次いで、常温の水でドット部分を溶解除去し、水洗の後に乾燥して、メッシュ状の銅層(第1金属導電層)が形成された透明フィルムを得た。
【0063】
上記ドットは、1個の大きさが1辺234μmの正方形状で、ドット同士の間隔が20μmであり、ドットの配列は正方格子状であり、ドットの印刷厚みは乾燥後に約2μmであった。これを正確に反映して、メッシュ状の金属導電層はドットのネガパターンに対応した正方格子状のものであり、線幅は20μm、開口率は77%(面積比)であった。
【0064】
次に、メッシュ状の銅層(第1金属導電層)が形成された透明フィルムに対して、下記組成のメッキ液浴中で金属銅を陽極電極として電気メッキを行った。
【0065】
メッキ液組成
硫酸銅(五水和物): 200g/L
硫酸 : 50g/L
塩酸 : 20g/L
添加剤: pH調整剤
メッキ条件
浴温: 約30℃
時間: 10分間
陰極電流密度: 3〜4A/dm2 (陰極全体に対して電流20A)
【0066】
この電気メッキ処理により、上記メッシュ状の銅層(第1金属導電層)の上にさらに、平均厚さ約4μmの銅層(第2金属導電層)が析出した。
【0067】
次に、上記で得られたメッシュ状の金属導電層(第1金属導電層及び第2金属導電層)が形成された透明フィルムに対して、下記組成の黒化処理液中で黒化処理を行った。
【0068】
黒化処理液組成(水溶液)
亜塩素酸ナトリウム: 10質量%
水酸化ナトリウム: 4質量%
黒化処理条件
浴温: 約60℃
時間: 5分間
【0069】
この黒化処理により、メッシュ状の金属導電層の表面が黒化処理された透明フィルムを得た。得られた光透過性電磁波シールド性フィルムの表面の黒化処理された厚みは、平均約1.5μmであった。
【0070】
光沢ムラ防止処理は、以下のように行った。
【0071】
表面にクロムメッキした鉄ロール(直径150mm、長さ800mm)を2本用意した。これを図2に示したように対向させて、上記で得られた光透過性電磁波シールド性フィルムを、加圧接触させつつ通過させた。この時の通過速度は5m/分、加圧の線圧は100N/mであった。
【0072】
[比較例1]
実施例1と同様に、メッシュ状の金属導電層の表面が黒化処理された透明フィルムを製造した。ただし、光沢ムラ防止処理は行わなかった。
【0073】
[実施例2]
長尺フィルムに対するロールトゥロール処理として次のように実施を行った。被処理材料となる長尺フィルムは、次のように準備した。長さ1000mで幅780mmで厚さ100μmのポリエチレン長尺フィルムに、フィルム面両端部に沿って幅40mmの帯状の領域を未印刷で残しつつポリビニルアルコール20%水溶液をドット状に印刷し、これを乾燥後に銅を蒸着した後に、常温の水でドット部分を溶解除去し、水洗の後に乾燥して、透明基材上にメッシュ状の金属導電層が積層された長尺フィルムを得た。
【0074】
上記ドットは、1個の大きさが1辺234μmの正方形状で、ドット同士の間隔が20μmであり、ドットの配列は正方格子状であり、ドットの印刷厚みは乾燥後に約5μmであった。これを正確に反映して、メッシュ状の金属導電層はドットのネガパターンに対応した正方格子状のものであり、線幅は20μm、開口率は77%(面積比)であり、金属導電層の厚みは平均10μmであり、さらに長尺フィルムのフィルム面両端部に沿って幅40mmの帯状の金属導電層が設けられた。
【0075】
上記のようにして得られた長尺フィルムの金属導電層上に、電気メッキ装置を用いて銅の電気メッキ処理を行い、次いで図5に示した黒化処理装置を用いて銅の酸化による黒化処理及び加圧ロールによる光沢ムラ防止処理を行った。ただし、黒化処理槽の前及び後に、水洗のための水槽を設置して処理を行った。この場合に、液中電気メッキ槽及び黒化処理槽内に設けられた液中ローラーは直径200mm、給電ローラー及びニップローラーは直径120mmのものであった。電気メッキ槽内での処理経路長さは約20m、黒化処理槽内での処理経路長さは約10mであり、処理経路の長さの比はほぼ1:0.5であった。その他の条件は以下である。
【0076】
長尺フィルム搬送速度 120m/時間
電気メッキ槽:容量 64m3
陽極電極: プラチナメッキしたチタン製メッシュバスケット中に銅球を入れて使用
陽極メッシュバスケット: 寸法 幅150mm×高さ40mm×長さ500mm、フィルム面中央部付近でのフィルム面からの距離50mm、フィルム面両端部でのフィルム面からの距離100mm
メッキ液組成
硫酸銅(五水和物): 220g/L
硫酸 : 60g/L
塩素イオン: 50mg/L
添加剤: スルホニルスルフィド
メッキ条件
浴温: 約25℃
陰極電流密度: 3〜4A/dm2
陽極電流密度: 1.5〜2.0A/dm2
黒化処理槽:容量37m3
黒化処理液組成(以下の溶液の混合溶液)
亜塩素酸ナトリウム20wt%水溶液: 8%
水酸化ナトリウム20wt%水溶液: 13%
水: 79%
水洗槽:容量3m3
【0077】
メッキ浴及び黒化処理浴は、循環ポンプで液を黒化処理物に100リットル/分で噴射することにより撹拌しながら処理を行った。
【0078】
表面にクロムメッキした鉄ロール(直径150mm、長さ800mm)に、上記で得られた光透過性電磁波シールド性フィルムを加圧接触させつつ通過させる処理は、100N/mの線圧で行った。
【0079】
[比較例2]
実施例2と同様に、メッシュ状の金属導電層の表面が黒化処理された透明長尺フィルムを製造した。ただし、加圧ロールによる光沢ムラ防止処理は行わなかった。
【0080】
[結果]
光沢ムラ防止処理された光透過性電磁波シールド性フィルム(実施例1及び実施例2)は、手指で直接に接触及び擦過した場合にも、黒化処理表面の黒色の色調及び光沢は変化することなく、目視において手指の痕跡が残ることはなかった。実施例2で製造した、光沢ムラ防止処理された光透過性電磁波シールド性フィルムは、その後の搬送とロールによる巻き取りを通じて、黒化処理表面の黒色の色調及び光沢に変化の見られる部分はなかった。一方、光沢ムラ防止処理されていない光透過性電磁波シールド性フィルム(比較例1及び比較例2)は、手指で直接に接触及び擦過した場合に、黒化処理表面の黒色の色調及び光沢は、その接触及び擦過した部分で視認できる程度に不可逆的に変化して、目視において手指の痕跡がはっきりと残った。比較例2で製造した、光沢ムラ防止処理されない光透過性電磁波シールド性フィルムは、その後の搬送とロールによる巻き取りにおいて、ロールによる搬送や巻き取りの強弱を反映して、黒化処理表面の黒色の色調及び光沢に変化が生じている部分があった。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】図1は、本発明の製造方法の各工程を、フィルムの断面を示して説明した説明図である。
【図2】図2は、光沢ムラ防止処理工程(図1の矢印(c))を説明するための説明図である。
【図3】図3は、マスク蒸着処理法による第1金属導電層の形成をフィルムの断面を示して説明した説明図である。
【図4】図4は、長尺フィルムの搬送方向を変えるローラーを備えていない光沢ムラ防止処理装置付き黒化処理装置の説明図である。
【図5】図5は、長尺フィルムの搬送方向を変えるローラーを備えた光沢ムラ防止処理装置付き黒化処理装置の説明図である。
【符号の説明】
【0082】
11 透明フィルム
12 メッシュ状の金属導電層
12b 黒化処理表面
12a 内部金属導電層
12c 光沢ムラ防止処理された黒化処理表面
21 表面に黒化処理された金属導電層を有するフィルム
22a 加圧ロール
22b 加圧ロール
31 透明フィルム
32 印刷ドット
33 金属薄膜
34 メッシュのポジパターンの金属薄膜(メッシュ状の第1金属導電層)
40a 加圧ローラ
40b 加圧ローラ
41 長尺フィルム送り出しロール
42 長尺フィルム巻き取りロール
43 長尺フィルム
47a 黒化処理槽外槽
47b 黒化処理槽内槽
47c 黒化処理槽内槽に開けられたスリット
50a 加圧ローラ
50b 加圧ローラ
51 長尺フィルム送り出しロール
52 長尺フィルム巻き取りロール
53 長尺フィルム
57 黒化処理槽
59 搬送方向を変える液中ローラー(シンクローラー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明フィルム上にメッシュ状の金属導電層を形成する工程、
該金属導電層を黒化処理することによって該金属導電層の少なくとも表面を黒化処理層とする工程、
前記工程で処理されたフィルムを、平行に対向させた2本のロールの間に、該ロール表面で加圧しつつ通過させる工程、
を含む、光沢ムラ防止処理された光透過性電磁波シールド性フィルムを製造する方法。
【請求項2】
前記ロール表面による加圧を、10〜300N/mの範囲の線圧下に行う請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ロールとして、表面がクロムメッキ処理された鉄ロールを使用する請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ロールとして、表面がエンボス加工されたロールを使用する請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記黒化処理が、前記金属導電層の金属の酸化処理又は硫化処理である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記フィルムとして、長尺フィルムを使用する請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記金属導電層が、
フィルム面両端部に沿って帯状に設けられた金属導電層、及び、
その間のフィルム面中央部に設けられたメッシュ状の金属導電層、
とからなる、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
前記メッシュ状の金属導電層が、5〜40μmの線幅のメッシュを有し、フィルム面上の開口率が75〜95%である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
前記金属導電層が、銀、銅又はアルミニウムを含んでなる請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
前記メッシュ状の金属導電層が、透明フィルム上の第1金属導電層、及び該第1金属導電層上の第2金属導電層とからなり、
第2金属導電層がメッキ処理による金属メッキ層である、請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法により製造された光透過性電磁波シールド性フィルム。
【請求項12】
請求項11に記載の光透過性電磁波シールド性フィルムを含むディスプレイ用フィルタ。
【請求項13】
メッキ処理された金属導電層を有する長尺フィルムを黒化処理するために、少なくとも1つの黒化処理槽を備えた黒化処理装置、
前記黒化処理装置に隣接して設けられた、黒化処理装置で黒化処理された後の長尺フィルムを光沢ムラ防止処理するために、長尺フィルムを挟んで加圧しつつ通過させることができる平行に対向させた2本のロールを少なくとも1組備えた光沢ムラ防止処理装置を含む、光透過性電磁波シールド性フィルム製造装置。
【請求項14】
前記メッキ処理前の、金属導電層を有する長尺フィルムが、透明フィルム及び該透明フィルム上に設けられたメッシュ状の金属導電層を有し、400〜2500mmの範囲にある幅を有するフィルムである、請求項13に記載の光透過性電磁波シールド性フィルム製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−191009(P2006−191009A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−354910(P2005−354910)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】