説明

光重合型樹脂組成物及びこれを使用して製造される光ファイバー

本発明は低粘度多官能ウレタンアクリレートオリゴマーを含み、紫外線硬化後のフィルムは高温浸水後に収縮率と膨張率が低いため、浸水前後のコーティング剤の引張強度、接着力及び光ファイバーのストリップ力比率が最小化された光重合型樹脂組成物及びこれを利用した光ファイバーに関するものであり、本発明にかかる光重合型樹脂組成物は、光重合型ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー40〜80重量%;低粘度多官能ウレタンアクリレートオリゴマー10〜40重量%;光開始剤1〜10重量%を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光重合型樹脂組成物及びこれを利用して形成された外部コーティング膜を有する光ファイバーに関するものであり、より詳しくは、低粘度多官能ウレタンアクリレートオリゴマーを含み、紫外線硬化後のフィルムは高温浸水後に収縮率と膨張率が低いため、浸水前後のコーティング剤の引張強度、接着力及び光ファイバーのストリップ力(strip force)比率が最小化された光重合型樹脂組成物及びこれを利用した光ファイバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に光ファイバーコーティングは、緩衝効果により光ファイバーを保護する内部コーティングと、外部の作用から光ファイバーを保護する外部コーティングからなっている。
【0003】
内部コーティングは、グラスファイバーを保護する物質であり、硬化後にはソフトで弾性を有するため、グラスファイバーに直接用いる。内部コーティングは、ファイバーを曲げたりケーブルと継ぐ際にグラスファイバーコアを保護し衝撃を緩和する。
【0004】
一方、外部コーティング剤は、一般的に光ファイバーの強度増加及び外部の物理的影響を最小化させるために十分に堅固でなければならない。光ファイバーを扱うための十分な柔軟性、低い吸水力と粘り、且つ耐化学性、及び十分な内部コーティング剤との接着力を要求する。
【0005】
このようなコーティング剤は、典型的にオリゴマーと反応性希釈剤を含む。硬化前の外部保護コーティング剤組成物は、光ファイバー工程に用いることができるような早い硬化と適切な粘度を有していなければならない。
【0006】
しかし、既存の組成物方法では、このような早い硬化特性を出すために受用し難い位に組成物の粘度が高く表れる。よって、多量の反応性希釈剤を添加して粘度が満足いく水準になるように調節しなければならない。このような反応性希釈剤の欠点は、特に高温の水で改質と接着力に及ぶ特性が劣り、結果的に光ファイバーの長期信頼性と光ファイバー信号伝達能力の減衰をもたらし得る。また、比較的低分子量の反応性モノマーの短所は、コーティング工程中に揮発成分を放出するという短所を有している。
【0007】
商業的なオリゴマー組成物は、モノマーよりも更に高価なため、高い含量のオリゴマーの使用は外部コーティング剤組成物だけでなく、光ファイバーの生産費用の増加に影響を与える。
【0008】
また、近年開発された技術である多官能形態のモノマーであるペンタエリスリトールペンタアクリレートとペンタエリスリトールヘキサアクリレート混合物を利用した光ファイバー紫外線硬化型組成物は、物理・化学的特性は優れるが、紫外線硬化後のフィルムが、高温浸水後に収縮率と膨張率が高くなるため、浸水後のコーティング剤の引張強度、接着力及び光ファイバーのストリップ力が急激に落ちる。
【0009】
これにより、結果的に光ファイバーの長期信頼性と光ファイバー信号伝達能力の減衰をもたらすという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記のような問題点を解決するために、光ファイバー用として利用できる低粘度多官能ウレタンアクリレートオリゴマーを製造し、これを光ファイバー用紫外線硬化型組成物に適切に導入することにより、紫外線硬化後のフィルムが高温浸水後に収縮率と膨張率が低くなるため、浸水後のコーティング剤の引張強度、接着力及び光ファイバーのストリップ力減少比率が10%未満の光ファイバー用紫外線硬化型組成物とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の技術的課題を達成するための本発明にかかる光重合型樹脂組成物は、光重合型ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー40〜80重量%;低粘度多官能ウレタンアクリレートオリゴマー10〜40重量%;光開始剤1〜10重量%を含む。
【0012】
そして、本発明において前記低粘度多官能ウレタンアクリレートオリゴマーは、アクリルモノマーを0〜20重量%添加する際、粘度が常温(25℃)で100,000cps以下であることを特徴とする。
【0013】
また、前記低粘度多官能ウレタンアクリレートオリゴマーは、3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート、分子内にヒドロキシル基を有し、3個以上のアクリル基を含むアクリレート、金属触媒及びラジカル重合防止剤を反応させて合成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる低粘度多官能ウレタンアクリレートの製造及びそれを含む光重合型樹脂組成物は、紫外線硬化後のフィルムが高温浸水後に収縮率と膨張率が低くなるため、浸水後のコーティング剤の引張強度、接着力及び光ファイバーのストリップ力減少比率が10%未満であるという長所がある。
【0015】
また、これを用いて製造される光ファイバーは、光ファイバー製造時にスムーズな作業性だけでなく、優れた物理・化学的特性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施例にかかる光重合型樹脂組成物は、(A)光重合型ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー40〜80重量%、(B)低粘度多官能ウレタンアクリレートオリゴマー10〜40重量%、及び1〜10重量%の光開始剤を含むため優れた耐水特性を有している。
【0017】
そして、本発明による光重合型樹脂組成物は、必要に応じて通常知られている1つ以上のアクレート基(メタ)アクリレート基、又はビニル基を含む反応性アクリルモノマー、添加剤、例えば、光増減剤、重合禁止剤、分散剤、脱泡剤、レベリング剤をさらに含むことができる。
【0018】
本発明はまた、低粘度多官能ウレタンアクリレートオリゴマーが含まれた耐水特性の光重合型樹脂組成物を使用して製造された、耐水特性に優れた光ファイバーを提供する。
【0019】
以下、本発明の光重合型樹脂組成物を構成する構成成分と製造方法を詳しく説明する。
【0020】
(A)光重合型ウレタンアクリレートオリゴマー(polymerizable urethane acrylate oligomer)
本発明に使用される光重合型ウレタンアクリレートオリゴマー(A)は、(i)ポリオール共重合体(polyol copolymer)及びビスフェノール誘導体を含むポリオール、(ii)ポリイソシアネート(polyisocyanate)、(iii)アクリレートアルコール、(iv)ウレタン反応触媒及び(V)重合禁止剤を含む組成物から合成できる。
【0021】
前記光重合型ウレタンアクリレートオリゴマー(A)は、光重合型樹脂組成物の40〜80重量%の量で使用することが好ましい。40重量%未満の場合は樹脂組成物の硬化収縮率が増加してマイクロベンドによる損失と工程中の紫外線エネルギー熱による蒸気発生の問題点があり、80重量%を越える場合は工程上の作業粘度が高くなるため作業性に問題点がある。
【0022】
前記オリゴマー(A)を構成する成分は次の通りである。
【0023】
(i)ポリオール共重合体
ポリオール共重合体(i)は、分子量が100〜10,000で、−CHCHO−又は−CHCH(CHCH)O−の繰り返し単位を含むことが好ましい。
【0024】
前記ポリオール共重合体(i)の好ましい例としては、ポリエステルポリオール(polyester polyol)、ポリエーテルポリオール(polyether polyol)、ポリカーボネートポリオール(polycarbonate polyol)、ポリカプロラクトンポリオール(polycaprolactone polyol)、開環テトラヒドロフランプロピレンオキシド共重合体(tetrahydrofuran propyleneoxide ring opening copolymer)、エチレングリコール(ethylene glycol)、プロピレングリコール(propylene glycol)、1,4−ブタンジオール(1,4−butanediol)、1,5−ペンタンジオール(1,5−pentanediol)、1,6−ヘキサンジオール(1,6−hexandiol)、ネオペンチルグリコール(neopentyl glycol)、1,4−シクロヘキサンジメタノール(1,4−cyclohexane dimethanol)、ビスフェノールA(bisphenol−A)タイプのジオールからなる群から1種以上混合して使用することが好ましい。また、前記ポリオールポリマーは、前記光重合型ウレタンアクリレートオリゴマー組成物の10〜90重量%を使用することが好ましい。
【0025】
(ii)ポリイソシアネート
ポリイソシアネート(ii)の好ましい例としては、2,4−トリエンジイソシアネート(2,4−tolyenediisocyanate)、2,6−トリエンジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート(1,3−xylene diisocyanate)、1,4−キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンイソシアネート(1,5−naphthalene diisocyanate)、1,6−ヘキサンジイソシアネート(1,6−hexanediisocyanate)、イソホロンジイソシアネート(isophoronediisocyanate;IPDI)からなる群から選ばれる1つ又は2つ以上の混合物でなり得る。前記ポリ イソシアネート(ii)は、前記オリゴマー(A)の20〜40重量%の含量で使用することが好ましい。
【0026】
(iii)アクリレートアルコール
アクリレートアルコール(iii)は、1つ以上の(メタ)アクリレート及びヒドロキシ基を含み、この好ましい例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(2−hydroxy−ethyl(meth)acrylate)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ネオペンチルグリコモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1つ又は2つ以上の混合物であり得る。前記アクリレートアルコール(iii)は、前記オリゴマー(A)の20〜35重量%の含量で使用されることが好ましい。
【0027】
(iv)ウレタン反応触媒
ウレタン反応触媒(iv)は、ウレタン反応中に少量添加される触媒であり、この好ましい例としては、ナフテン酸銅(copper naphthenate)、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、n−ブチルスズラウレート(butyltinlaurate)、トリスチルアミン(tristhylamine)、2−メチルトリエチレンジアミドからなる群から選ばれる1つ又は2つ以上の混合物であり得る。前記反応触媒(iv)は、前記オリゴマー(A)の0.01〜1重量%の含量で使用されることが好ましい。
【0028】
(V)重合禁止剤
重合禁止剤(V)の好ましい例としては、ヒドロキノン(hydroquinone)、ヒドロキノンモノメチルエーテル、パラ−ベンゾキノン、フェノチアジンから選ばれる1つ又は2つ以上の混合物を挙げることができる。該重合禁止剤は、前記オリゴマー(A)の0.01〜1重量%の含量で使用されることが好ましい。
【0029】
前記光重合型ウレタンアクリレートオリゴマー(A)は、それぞれの成分で次のように合成することができる。
【0030】
攪拌器付き丸底フラスコにポリジイソシアネート(ii)を入れる。200〜300rpmで攪拌しながらウレタン反応触媒(iv)を入れ(使用される総触媒(iv)の約1/3を添加する)、ここにポリオールを徐々に投入した。
【0031】
2種以上のポリオールを選択して投入し、投入する順序によってオリゴマーの特性が相違するため、好ましくはビスフェノール誘導体が含まれたポリオールを先投入することが適切である。このとき、発熱が深刻なため注意を要する。反応温度を70〜80℃に維持し、反応時間は1〜3時間程度である。
【0032】
投入終了後、理論NCO濃度と反応物のNCO濃度を適切に調節してウレタンプレポリマーを得、重合禁止剤(V)とアクリレートアルコール(iii)を徐々に投入して反応を進行させる。投入が終わった後、2〜3時間は80℃に反応温度を維持する。反応の終了は赤外線分光器で2270cm−1のNCOピークが消えることを確認することでイソシアネートが反応したことが分かる。
【0033】
これにより光重合型ウレタンアクリレートオリゴマー(A)を収得する。前記光重合型オリゴマーの含量は、光重合型樹脂組成物全体重量に対して40〜80重量%であり得る。オリゴマーの数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を利用して確認し、粘度はBrookfield社のHBタイプ(spindle #51)により40℃で測定する。
【0034】
(B)低粘度多官能ウレタンアクリレートオリゴマー
本発明において低粘度ウレタンアクリレートオリゴマーの製造方法は、50〜80℃の温度条件で3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートに、分子内にヒドロキシル基を有し3個以上のアクリル基を含むアクリレートを金属触媒及びラジカル重合防止剤下でイソシアネート(NCO)が消滅するまで反応させた後、5〜30重量%の紫外線硬化型単量体を添加して分子内に平均6〜9官能の反応性アクリレートを有し粘度が常温25℃で100,000cps以下の低粘度多官能形態のウレタンアクリレートオリゴマーを製造する。
【0035】
使用に適した3官能以上のポリイソシアネートとしては、製造社別に多様な粘度を表す1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートビューレット、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートアロファネート等がある。この好ましい例としては、商業的に収得可能なAsahi−Kasei chemical社のTKA− 100P、及びBayer社のDesmodur N3200、Desmodur N3300、Desmodur N3500、及びBASF社のHA−100、HA−200、HA−300、HI−100であり、これらの混合物からなる群から選ばれる。
【0036】
また、ポリイソシアネートとの反応に使用される分子内にヒドロキシル基を有し3個以上のアクリル基を含むアクリレートとしては、ペンタエリスリトールテトラアクリレートが混合されたペンタエリスリトールトリアクリレートが好ましく使用できる。ここでペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートの混合物の粘度は、ペンタエリスリトールとアクリル酸のエステル反応時に生成された微量のオリゴマーの比率に高い影響を受け、これはオリゴマー合成後の粘度を左右することから、ペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートの純度が高く、その中でもペンタエリスリトールトリアクリレートの比率が50〜60重量%であることが好ましい。
【0037】
反応に利用される代表的な触媒としては、スズ系金属化合物であるジブチルスズジラウリレート(dibutyltindilaurylate)とアミン系化合物であるDBU(1,8−Diazabicyclo[5,4,0]undec−7−ene)等があり、ラジカル重合抑制剤としては、ヒドロキノン(hydroquinone)、p−メトキシフェノール(p−methoxyphenol)、ニトロベンゼン(nitrobenzene)、BHT(2,6−di−tetra−butyl−4−methylphenol)等が使用できる。
【0038】
オリゴマーの粘度調整のために使用される反応性アクリルモノマー希釈剤としては、ヘキサンジオールジアクリレート(hexanediol diacrylate;HDDA)、イソボニルアクリレート(isobo−nyl acrylate;IBOA)とフェノキシエチルアクリレート(Phenoxy ethyl acrylate)のように、水酸基が含有されていないため非反応性を表す紫外線硬化型単量体が適している。そして該反応性アクリルモノマー希釈剤の使用量は、塗料に使われる際は物理・化学的特性に影響を与えないようにさせるために、単量体の場合は0〜20重量%以下が好ましい。
【0039】
ここで前記低粘度多官能ウレタンオリゴマーは、光重合型樹脂組成物の10〜40重量%の範囲で使用されることが好ましい。前記範囲以上の場合は、硬化塗膜の架橋密度が高すぎるため塗膜が破れやすくなり熱や衝撃によってクラックが発生し、前記範囲未満の場合は硬度や磨耗等の機械的物性が低下する。
【0040】
本発明で使用される光開始剤は、光ファイバーコーティングが1,500m/分以上の速いライン速度を維持してなるため、樹脂自体の速い硬化速度を維持するために添加される。前記光開始剤は、紫外線エネルギーを受けてフリーラジカルを形成し、樹脂内の二重結合を攻撃して重合を誘導する。この好ましい例としては、Ciba Geigy社のIrgacure#184(ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(hydroxycyclohexylphenyl ketone)) 、Irqgacure#907(2−メチル−1[4(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン(2−methyl−1[4(methylthio)phenyl]−2−morpholino−propan−1−on))、Irgacure#500(ヒドロキシケトンとベンゾフェノン(hydroxy−ketones and benzophenone))、Irgaure#651(ベンジルジメチルケトン(benzyldimethyl−ketone))、Darocure#1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(2−hydroxy−2−methyl−1−phenyl−propan−1one))、Darocure TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(2,4,6−trimethylbenzoyl−diphenylphosphineoxide))、Darocure CGI#1800(ビスアシルホスフィンオキシド(bisacyl−phosphine−oxide))及びCGI#1700(ビスアシルホスフィンオキシドとベンゾフェノン(bisacyl phosphine−oxide and hydroxy ketone))からなる群から選ばれる。前記光開始剤は、光ファイバーコーティング用樹脂組成物の1〜10重量%の含量で使用されることが好ましい。
【0041】
本発明で使用される光重合性モノマーは、高分子構造を有する前記オリゴマー(A)との作業粘度を合わせるために低分子量のモノマーを使用する。また、被塗面との接着力向上のために接着力増加効果を表すモノマーを付加使用する。
【0042】
前記モノマーは、分子構造内に1つ以上のアクリレート基、メタアクリレート基またはビニル基を有し、1〜3個またはそれ以上の多様な官能基を有するモノマーを使用することができ、特にフィルム状態で高い引張強度を有すると共に、低い硬化収縮率を有することが好ましい。
【0043】
この好ましい例としては、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、イソボニルアクリレート(IBOA)、イソボニルメタアクリレート、N−ビニルピロリドン(N−VP)、N−ビニルカプロラクタム(N−VC)、アクリロイルモルホリン(Acryloyl Morpholine:ACMO)、ビスフェノールエトキシレートジアクリレート、エトキシレートフェノールモノアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレート(polyethyleneglycol 400 diacrylate)、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチルプロパントリアクリレート(TMPTA)、ポリエチレングリコールジアクリレート、エチレンオキシド付加型トリエチルプロパントリアクリレート(ethyleneoxide−addition triethylolpropan triacrylate;EO−TMPTA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA)、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ethoxylated pentaerythritol tetraacrylate)、エトキシレートノニルフェノールアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレートからなる群から選ばれる1つ又は2つ以上の混合物がある。
【0044】
前記成分以外のその他のアルコキシ化ノニルフェノールアクリレート(alkoxylated nonylphenol acrylate)、アルコキシ化3官能基アクリレートエステル(alkoxylated trifuntional acrylate ester)、メタリックジアクリレート(metallic diacrylate)、3官能基アクリルエステル(trifuctional acrylate ester)、3官能基メタクリレートエステル(trifuntional methacrylate ester)及びこれらの混合物を使用することもできる。
【0045】
前記光重合性モノマーは、光重合型樹脂組成物の5〜60重量%の範囲で使用されることが好ましい。5重量%未満の場合は、高粘度のオリゴマー合成物(A)を作業粘度である3,000〜10,000cps(25℃)まで希釈させることが困難で、60重量%を超える場合はフィルムの硬化収縮率と高温作業時の熱安定性が落ちるためゲルが形成されて粘度が上昇し、粒子が大きくなってコーティング時に不均衡な表面を誘導し、光損失の問題点がある。
【0046】
また、本発明の光重合型樹脂組成物には、上述の成分以外にも、熱的及び酸化安定性、貯蔵安定性、表面特性、流動特性及び工程特性等を向上させるために、例えばレベリング剤、スリップ剤または安定化剤等の通常の添加剤を含むことができる。
【0047】
安定剤としては、熱的及び酸化安定性を向上させ、コーティング組成物の貯蔵安定性を向上させるために1つ以上の安定剤を組成物に含ませることが良い。光重合型樹脂組成物において0.1〜2重量%程度使用することが適当である。使用され得る安定剤としては、ciba社のIrganox1010、Irganox1035、Irganox1076からなる群から1種以上選ばれるものが良い。レベリング剤としては、DC−190、DC−193及びTego社のRAD2100、RAD2200N、RAD2300等、スリップ剤としては、Dow−Corning社のDC−56、57、BYK−chemi社のBYK−300、BYK−333からなる群から1種以上選択されるものが良い。組成物において0.1〜2重量%程度使用することが適当である。
【0048】
以上の条件で製造された低粘度多官能ウレタンアクリレートオリゴマーを利用した光重合型樹脂組成物の製造方法は、以下に詳しく説明する。
【0049】
本発明にかかる光重合型樹脂組成物の製造方法は次の通りである。光重合型ウレタンアクリレートオリゴマー(A)、低粘度多官能ウレタンアクリレートオリゴマー(B)、反応性モノマー、光開始剤、添加剤を含む組成物を反応器に付加し、15〜50℃の温度、60%以下の湿度で分散インペラーを使用して1000rpm以上の均一な速度で攪拌しながら反応させる。反応温度が15℃未満の場合は、オリゴマー(A)の粘度が上昇して工程上の問題点が発生し、温度が50℃を超える場合は、光開始剤がラジカルを形成して硬化反応を起こす。反応湿度が60%を超える場合は、生成された樹脂組成物が引き続き行われるコーティング工程中に気泡を発生させ、未反応物質が空気中の水分と反応する副反応が発生するという問題点を有する。また、攪拌速度が1,000rpm未満だと配合が正しく行われないこともある。
【0050】
本発明の耐水特性を有する光ファイバーコーティング剤を利用して光ファイバーを製造すると、従来の光ファイバーに比べて非常に良好な収縮率と膨張率及び早い硬化速度を有し、浸水前と後のコーティング剤の引張強度、接着力及び光ファイバー製造後のストリップ力の変化が少ないため、高温浸水後にも物性低下や光損失の増加のような問題を防止することができる。
【0051】
本発明の製造例と実施例は下記の通りであり、下記の製造例と実施例は本発明の例示目的のためのものであって、添付の特許請求の範囲によって限定される保護範囲を制限しようとするものではない。
【0052】
<製造例>
ウレタンアクリレートオリゴマー(A)の製造
製造例1
攪拌器付き3リットル丸底フラスコに27.8g(1.26mol)のイソホロンジイソシアネート(IPDI)(製造元:Lyondell chemical company)と、0.1gのジブチルスズジラウレート(dibutyltindilaurate)(製造元:ソンウォン産業)を入れる。反応温度を50℃に維持した後、ここにハンノン化成社の平均分子量約500g/molのビスフェノールA(bisphenol−A)タイプのジオールBSA−60Aを103g(0.21mol)投入し、次にBASF社の平均分子量が1000g/molのPTMG1000を418g(0.42mol)反応器に投入する。投入終了後、理論NCO%濃度が0.67%である反応物のNCO濃度を0.1〜0.3%間に調節してウレタンプレポリマーを得、0.5gのヒドロキノンモノメチルエーテル(HQ−MME)(製造社:Eastman)、5gのIrganox1010(製造社:Ciba Specialty Chemicals)を投入した後、194g(1.67mol)の2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)(製造元:日本触媒)を反応mol比より0.4mol程度超過させて徐々に投入して反応を進行させる。投入が終わった後、2時間は80℃に反応温度を維持する。反応の終了は赤外線分光器で2270cm−1のNCOピークが消えたことを確認することでイソシアネートが反応したことが分かり、反応終了後、反応希釈モノマーで250gのフェノキシエチルアクリレート(P−OA)(製造社:共栄社化学)を投入して均一な液相を製造する。オリゴマーの数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を利用して6,000g/molであることを確認し、粘度は40℃で5,500cpsである。このようにして投入比率による平均ウレタン結合数が8で、2−ヒドロキシエチルアクリレート投入前のウレタンプレポリマーのNCO濃度が0.1〜0.3%のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを合成する。
【0053】
低粘度多官能ウレタンアクリレートオリゴマー(B)
製造例2
温度計、コンデンサー、滴下容器、攪拌器が装着された4口フラスコにペンタエリスリトールトリアクリレート比率が55〜60重量%のペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレート混合物500gを入れ、ここに重合禁止剤であるp−メトキシフェノール(p−methoxyphenol)200ppmを添加する。常温で約30分攪拌した後、触媒としてジブチルジラウリレート100ppmを投入し、約70℃に昇温して1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー(旭化成,TKA−100P)1当量を滴加した後、5時間維持反応する。赤外線分光光度法(IR)でイソシアネート(NCO)ピーク消滅を確認した後、50℃に冷却、イソボニルアクリレート(isobonyl acrylate;IBOA)15重量部使用して、常温で12,000cpsの粘度を有する低粘度多官能ウレタンアクリレートオリゴマーを製造する。
【0054】
製造例3
製造例2と同様な方法で行うが、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー(旭化成,TKA−100P)の代わりに1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートアロファネート(Basf,HA100)を使用し、希釈剤をイソボニルアクリレート(isobonyl acrylate;IBOA)15重量部使用して、常温で15,000cpsの粘度を有する低粘度多官能ウレタンアクリレートオリゴマーを製造する。
【0055】
製造例4
製造例3と同様な方法で行うが、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートアロファネート(Basf,HA100)の代わりに1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートアロファネート(Basf,HA200)を使用し、希釈剤イソボニルアクリレート(isobonyl acrylate;IBOA)15重量%を使用して常温で10,000cpsの粘度を有する低粘度多官能ウレタンアクリレートオリゴマーを製造する。
【0056】
製造例5
製造例3と同様な方法で行うが、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートアロファネート(Basf,HA100)の代わりに1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートアロファネート(Basf,HA300)を使用して常温で13,000cpsの粘度を有する低粘度多官能ウレタンアクリレートオリゴマーを製造する。
【実施例】
【0057】
実施例1
前記製造例1、2で得たウレタンアクリレートオリゴマー58.5重量部、低粘度多官能ウレタンアクリレート15重量部、エチレンオキシド(10個)ビスフェノールAタイプジアクリレート20重量部を投入した後、混合物を攪拌する。ここに、光開始剤であるDarocur1173を4重量部、Darocure TPOを0.5重量部、添加剤2重量部を添加して40℃で30分間攪拌して紫外線硬化型組成物を製造する。この光重合型樹脂組成物を1マイクロフィルターを使用してろ過した後、物性を評価する。評価結果を表1に表した。
【0058】
実施例2〜4
前記実施例1と同様な方法で行うが、多官能ウレタンオリゴマーは製造例1の代わりに製造例3、4、5にそれぞれ適用させて同様な方法で光重合型樹脂組成物を製造する。
【0059】
比較例1
現在常用されている光重合型樹脂組成物の普遍的な組成によって、製造例1のウレタンアクリレートオリゴマー58.5重量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(SK cytec社製品、EBECRYL1290)15重量部、エチレンオキシド(10個)ビスフェノールAタイプジアクリレート20重量部を投入した後、混合物を攪拌する。ここに光開始剤であるDarocur1173 4重量部、Darocure TPO 0.5重量部、添加剤2重量部を添加して40℃で30分間攪拌して光重合型樹脂組成物を製造する。この光重合型樹脂組成物を1マイクロフィルターを使用してろ過した後、物性を評価する。
【0060】
比較例2,3
本発明の先行技術である多官能形態のモノマー、ペンタエリスリトールペンタアクリレートとペンタエリスリトールヘキサアクリレート混合物を利用した方法によって、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(Sartomer社SR399)比較例2とペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社、DPCA−60)比較例3を各15重量%導入して前記実施例1と同様な方法で光重合型樹脂組成物を製造する。
【0061】
参考例1(光ファイバー用内部紫外線硬化型組成物の製造)
攪拌器付き2リットル丸底フラスコに138.32g(0.62mol)のイソホロンジイソシアネート(IPDI)(製造元:Lyondell chemical company)、0.50gのジブチルスズジラウレート(dibutyltindilaurate)(製造元:ソンウォン産業)を投入する。反応温度を80℃に維持した後、ここに平均分子量1000のポリテトラメチレングリコールポリオール(PTMG)(製造元:BASF)109.03g(0.11mol)を反応器に投入する。投入終了後、理論NCO濃度が8.67%の反応物のNCO濃度を7.5〜8.5%間に調節する。そして、平均分子量2000のポリプロピレングリコールポリオール(PPG)(製造元:Korea Polyol)716.50g(0.36mol)を投入する。投入終了後、理論NCO濃度が1.07%の反応物のNCO濃度を0.7〜1.0%間に調節してウレタンプレポリマーを得、2.15gのヒドロキノンモノメチルエーテル(HQMME)(製造社:Eastman)、37.96g(0.33mol)の2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)(製造元:日本触媒)を徐々に投入して反応を進行させる。投入が終わった後、1時間は80℃に反応温度を維持する。反応の終了は赤外線分光器で2275cm−1のNCOピークが消えたことを確認することでイソシアネートが反応したことが分かり、オリゴマーの数平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を利用して23,000g/molであることを確認し、粘度は14,000cpsである。このようにして投入比率による平均ウレタン結合数が4で、2−ヒドロキシエチルアクリレート投入前のウレタンプレポリマーのNCO濃度が0.7〜1.0%のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを合成する(LP−1)。
【0062】
前記方法で合成されたオリゴマー(LP−1)62重量%と プロポキシレートノニルフェノールアクリレート(製造元:ハンノン化成、NPF−041)28重量%、N−ビニルカプロラクタム(製造元:BASF、NVC)3重量%、イソボニルアクリレート(製造元:共栄社化学、IBXA)を投入した後、混合物を攪拌した。ここに光開始剤Darocure TPO 2重量%(製造元:Ciba specialty chemical)、添加剤γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン1重量%(製造元:chisso、S−810)、Irganox 1035 0.95重量%(製造元:Ciba specialty chemical)、ジエチルアミン(製造元:JUNSEI)0.05重量%を添加して40℃で30分間攪拌して均一且つ透明な紫外線硬化型組成物を製造する。(LP−2)この紫外線硬化型組成物を、1マイクロフィルターを使用してろ過する。このように製造された組成物を20×20cm大のガラス板上に、製造された樹脂組成物を塗り、バーコーターを7〜10mil厚に固定した後、のばして窒素が注入される固定枠に入れ(窒素流量40lpm)、フュージョン社(モデル:DRS10/12−QN)の600W 9mm D−バルブ(bulb)を利用して速度30fpm及び光量2.5J/cmの光を照射して硬化させ、100μm厚のフィルムを製作する。硬化された組成物のフィルムをガラス板から分離して、専用ブレード(JDC cutter)を利用して幅13mmに切った後、一日、23℃、相対湿度50%以下のデシケーターに保管し、Instron社の4443UTMを利用して25mm/分の速度で引張り2.5%割線係数を測定したところ、硬化後の測定された2.5%割線係数値は0.14kgf/mmでだった。
【0063】
【表1】

下記の成分名及び商号名が[表1]に使用され、言及されている化合物または組成物を指すと理解しなければならない。
【0064】
EB−1290はSK cytecの脂肪族多官能性ウレタンアクリレートオリゴマー(Aliphatic multifunctional Urethane Acrylate Oligomer)である。
【0065】
SR−602はSartomer社のEO変性ビスフェノールAジアクリレート(diacrylate of ethyleneoxide modified bisphenolA)、SR399はSartomer社のジペンタエリスリトールペンタアクレレート(DIPENTAERYTHRITOL PENTAACRYLATE)、DPCA−60は日本化薬社のカプロラクトン変性ヂペンタエリスリトールヘキサアクリレート(hexaacrylate of caprolactone modified dipetaerythritol)である。
【0066】
光硬化型組成物の物性評価
前記実施例で製造した光ファイバーコーティング剤と、比較例の機械的物性、及び高温耐水浸水特性を調べるために、下記の通り粘度と引張強度、接着力、ガラス転移温度及び高温耐水浸水特性を測定し、その結果を下記表2に示した。
【0067】
粘度
組成物の粘度はASTM D−2196によってブルックフィールド粘度計(Brookfield DV III+)を利用し、スピンドル31番を利用してトルク50〜90%範囲で粘度を測定した。
【0068】
硬化後の引張強度の測定
2.5%割線係数
20×20cm大のガラス板上に前記実施例で製造した組成物を塗り、バーコーターを7〜10mil厚で固定した後、のばして窒素が注入される固定枠に入れ(窒素流量40lpm)、フュージョン社(モデル:DRS10/12−QN)の600W 9mm D−bulbを利用して速度30fpm 1.0J/cmの光量を照射して硬化させ75〜85μm厚のフィルムを製作する。硬化された組成物のフィルムをガラス板から分離して、専用ブレード(JDC cutter)を利用して幅13mmに切った後、一日、23℃、相対湿度50%以下のデシケーターに保管し、Instron社の4443UTMを利用して25mm/分の速度で引張り2.5%割線係数を測定する。また、再度同一実験試片を65℃の水に7日間浸水させた後、光が当たらない所で6時間保管し、Instron社の4443UTMを利用してフィルムを25mm/分の速度で引張りガラス板との接着力を測定する。
【0069】
ガラス転移温度(Tg:Glass transition temperature)
20×20cm大のガラス板上に前記実施例で製造した組成物を塗り、バーコーターでのばして窒素が注入される固定枠に入れた後(窒素流量 40lpm)、フュージョン社(モデル:DRS10/12−QN)の600W 9mm D−bulbを利用して速度30fpm 1.0J/cmの光量を照射して硬化させ、75〜85μm厚のフィルムを製作する。硬化されたフィルムを長さ約15mm、幅約10mmに切断して測定サンプルを製造する。製造されたサンプルをDMTA IV(Dynamic mechanical temperature analysis 製造社:Rheometry)に装着し、測定した幾何学的数値を入力する。測定時の温度条件は、約−100℃まで冷却させた後、温度が約60℃に到達するまで2℃/分で温度を高める。使用された試験周波数は、1.0ラジアン(radian)/秒だった。測定結果グラフで、タンジェントデルタピーク(tan delta peak)からTg(ガラス転移温度)を計算する。
【0070】
硬化後のガラスとの接着力
接着力(Adhesion to glass)
20×20cm大のガラス板上に参考例1で製造したLP−2組成物を塗り、バーコーターを5mil厚に固定した後のばし、その上に前記実施例及び比較例のコーティング剤を10mil厚にのばして窒素が注入される固定枠に入れ(窒素流量40lpm)、フュージョン社(モデル:DRS10/12−QN)の600W 9mm D−bulbを利用して速度30fpm 1.0J/cmの光量を照射して硬化させフィルムを製作する。硬化された組成物のフィルムを幅20mmに切った後、一日、23℃、相対湿度50%以下のデシケーターに保管し、Instron社の4443UTMを利用して90°角度にフィルムを25mm/分の速度で引張りガラス板との接着力を測定する。再度同一試験試片を65℃の水に10日間浸水させた後、光が当たらない所で6時間保管し、Instron社の4443UTMを利用して90°角度にフィルムを25mm/分の速度で引張りガラス板との接着力を測定する。接着力は、N(Newton)値で表し、表2には次のように計算して比率で表記する。
【0071】
比率%=(浸水後の接着力(N)/硬化後の接着力(N))×100
硬化後の収縮率(Shrinkage on Cure)
前記実施例で製造した光ファイバー用樹脂組成物と比較例の樹脂組成物の硬化後、収縮率特性を調べるために次のような方法で測定する。
【0072】
空の比重カップ(Pycnometer)の重さを量った後、23℃で比重カップに水を満たして蓋をし、表面の水気を除去して重さを測定して記録する。前記比重カップに30fpm、1.0J/cmで硬化したFilm Sample5±0.1gを入れ、空の比重カップの重さとの差を記録した後、硬化したFilm Sampleが完全に浸かるように比重カップ内に水を満たし、重さを測定する。
【0073】
硬化後の収縮率(%Shrinkage)の計算は次の通りである。
【0074】
X=(a×d)/(b+am)
a=Film Sample Weight
d=Specific Gravity of Uncured Sample
b=Weight of Pycnometer and water
m=Weight of Water and Sample in Pycnometer
e=Weight of Pycnometer
% Shrinkage=(X−d)/d
耐熱衝撃試験
前記引張強度と同一な条件で製造された試片を5cm×5cm大にしてこれを85℃で7日間放置した後、発生する割れ、又はクラック(Crack)を肉眼で確認する。
【0075】
このとき発生する耐熱衝撃の発生基準は次の通りである。
【0076】
A:外形上、試片の割れやクラックがない。
B:外形上、1〜2個程度のヘアラインクラック発生。
C:外形上、3個以上の多数のヘアラインクラック発生。
D:外形上、3個以上の多数のヘアラインクラックが発生し、材質が割れる。
【0077】
耐磨耗性
ASTM F2357−04条件に応じてR.C.A装置(製造社:Norman tool)を利用してコーティング試片表面に500gの荷重を受ける産業用字消し(pink pearl 4A,製造元:Mitsubishi)で40回/分の速度で1500回摩擦させて表面の外観変形時点を、硬化前と評価後の試片をHaze−gard plus装備(製造社:BYK gardner)を利用してHaze値の違いを区分し、評価基準は次の通りである。
【0078】
A:ΔHaze値が2以下。B:ΔHaze値が2〜4。C:ΔHaze値が4以上。
【0079】
耐薬品性
前記耐磨耗性評価方法と同様に行うが、メチルアルコール(99.3%)を試片上に1×4Cm面積で充分に濡らした後、産業用字消し(pink pearl 4A)で40回/分の速度で400回摩擦させ、表面の露出時点をHaze値の違いで区分し、評価基準は次の通りである。
【0080】
A:ΔHaze値が1以下。B:ΔHaze値が1〜2。C:ΔHaze値が2以上。
【0081】
紫外線試験(QUV)
硬化後、フィルム試片を紫外線試験器(QUV,UV lamp(三共電機社15W,UV−B領域)で試験片の半分をアルミホイルで隠し、ランプと20cm離隔した位置に72時間放置した後、取り出してMicrometer(ミツトヨ,0〜25mm,0.001mm単位)を利用してサンプルフィルムの厚さを測定する。厚さを測定したフィルムはミノルタスペクトロフォトメーター装備(Minolta Spectrophotometer,CM−3700D)を利用して黄色度(ΔY.I)を測定する。
【0082】
前記試験例1〜4と比較例1〜3で得られた組成物の物理的特性をそれぞれ測定し、その結果は下記の[表2]に表した。
【0083】
【表2】

接着力の減少率と収縮率は光ファイバーの信頼性特性を表す1つの基準であり一般的に変化がないか低いほど良く、接着力の減少率は10%未満、収縮率は5%未満に維持することが好ましく、前記実施例に含まれている多官能ウレタンアクリレートを利用した結果、全てこの特性を満たすことが分かる。また、外部衝撃による変形を確認するための特性として、耐衝撃試験、耐磨耗性、耐薬品性及び紫外線試験を行った結果、全て優れることが分かる。
【0084】
表2の結果から、本発明にかかる接着力と収縮率を評価方法で比較例1〜3のように多官能オリゴマー/モノマーアクリレートを添加した紫外線硬化型コーティング剤は、耐磨耗性と耐薬品性及び紫外線試験結果は優れるが、接着力の減少率と収縮率が良くないことが分かる。これに対し、実施例1〜4の組成物の特性を比較すると、多官能ウレタンアクリレートの種類に関係なく接着力の減少比率が低く、収縮率も優れることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光重合型ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー40〜80重量%;
低粘度多官能ウレタンアクリレートオリゴマー10〜40重量%;
光開始剤1〜10重量%を含む光重合型樹脂組成物。
【請求項2】
前記低粘度多官能ウレタンアクリレートオリゴマーは、
アクリルモノマーを1〜20重量%添加する際、粘度が常温(25℃)で100,000cps以下であることを特徴とする請求項1に記載の光重合樹脂組成物。
【請求項3】
前記低粘度多官能ウレタンアクリレートオリゴマーは、
3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート、分子内にヒドロキシル基を有し、3個以上のアクリル基を含むアクリレート、金属触媒及びラジカル重合防止剤を反応させて合成されることを特徴とする請求項2に記載の光重合型樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリイソシアネートは、
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートビューレット、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートアロファネートからなる群から選ばれる1つ又は2つ以上の混合物であることを特徴とする請求項3に記載の光重合型樹脂組成物。
【請求項5】
前記アクリレートは、
ペンタエリスリトールテトラアクリレートが混合されたペンタエリスリトールトリアクリレートであることを特徴とする請求項3に記載の光重合型樹脂組成物。
【請求項6】
前記ペンタエリスリトールテトラアクリレートは、40〜50重量%、前記ペンタエリスリトールトリアクリレートは50〜60重量%の比率を有することを特徴とする請求項5に記載の光重合型樹脂組成物。
【請求項7】
前記金属触媒は、
スズ系金属化合物であるジブチルスズジラウリレート(dibutyltindilaurylate)とアミン系化合物であるDBU(1,8−Diazabicyclo[5,4,0]undec−7−ene)のいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の光重合型樹脂組成物。
【請求項8】
前記ラジカル重合抑制剤は、
ヒドロキノン(hydroquinone)、p−メトキシフェノール(p−methoxyphenol)、ニトロベンゼン(nitrobenzene)、BHT(2,6−di−tetra−butyl−4−methylphenol)から選ばれる1つ又は2つ以上の混合物であることを特徴とする請求項3に記載の光重合型樹脂組成物。
【請求項9】
前記光重合型ウレタン(メタ)アクリレートは、
ポリオール共重合体及びビスフェノール誘導体を含むポリオール、ポリイソシアネート、アクリレートアルコール、ウレタン反応触媒及び重合禁止剤を反応させて合成されることを特徴とする請求項1に記載の光重合型樹脂組成物。
【請求項10】
反応性アクリルモノマー希釈剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の光重合型樹脂組成物。
【請求項11】
前記反応性アクリルモノマー希釈剤は、
ヘキサンジオールジアクリレート(hexanediol diacrylate;HDDA)、イソボニルアクリレート(isobo−nyl acrylate;IBOA)、フェノキシエチルアクリレート(Phenoxy ethyl acrylate)から選ばれる1つ又は2つ以上の混合物であることを特徴とする請求項10に記載の光重合型樹脂組成物。
【請求項12】
分子構造内に1つ以上のアクリレート基、
メタアクリレート基またはビニル基を有する光重合性モノマーをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の光重合型樹脂組成物。
【請求項13】
前記光重合性モノマーは、
フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、イソボニルアクリレート(IBOA)、イソボニルメタアクリレート、N−ビニルピロリドン(N−VP)、N−ビニルカプロラクタム(N−VC)、アクリロイルモルホリン(Acryloyl Morpholine:ACMO)、ビスフェノールエトキシレートジアクリレート、エトキシレートフェノールモノアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレート(polyethyleneglycol 400 diacrylate)、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチルプロパントリアクリレート(TMPTA)、ポリエチレングリコールジアクリレート、エチレンオキシド付加型トリエチルプロパントリアクリレート(ethyleneoxide−addition triethylolpropan triacrylate;EO−TMPTA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA)、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ethoxylated pentaerythritol tetraacrylate)、エトキシレートノニルフェノールアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、アルコキシ化ノニルフェノールアクリレート(alkoxylated nonylphenol acrylate)、アルコキシ化3官能基アクリレートエステル(alkoxylated trifuntional acrylate ester)、メタリックジアクリレート(metallic diacrylate)、3官能基アクリルエステル(trifuctional acrylate ester)、3官能基メタクリレートエステル(trifuntional methacrylate ester)からなる群から選ばれる1つ又は2つ以上の混合物であることを特徴とする請求項12に記載の光重合型樹脂組成物。
【請求項14】
前記光重合性モノマーは、全光重合型樹脂組成物の5〜60重量%の比率を有することを特徴とする請求項12に記載の光重合型樹脂組成物。
【請求項15】
レベリング剤、スリップ剤または安定化剤から選ばれる1つ又は2つ以上の添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の光重合型樹脂組成物。
【請求項16】
請求項1〜15の光重合型樹脂組成物を使用して形成された外部コーティング膜を有することを特徴とする光ファイバー。
【請求項17】
前記外部コーティング膜は、
50〜70℃での浸水後の収縮率が5%未満であることを特徴とする請求項16に記載の光ファイバー。
【請求項18】
前記外部コーティング膜は、
50〜70℃での浸水後のガラスとの接着力減少率が10%未満であることを特徴とする請求項16に記載の光ファイバー。
【請求項19】
前記外部コーティング膜は、
2.5%割線係数(2.5%secant modulus)が60〜100kgf/mmであることを特徴とする請求項16に記載の光ファイバー。
【請求項20】
前記外部コーティング膜は、
50〜70℃での浸水後の2.5%割線係数の減少率が10%未満であることを特徴とする請求項19に記載の光ファイバー。

【公表番号】特表2012−501366(P2012−501366A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524892(P2011−524892)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【国際出願番号】PCT/KR2009/004703
【国際公開番号】WO2010/024563
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(504432301)エスエスシーピー・カンパニー・リミテッド (8)
【Fターム(参考)】