光量調整装置、レンズ鏡筒および撮像装置
【課題】小型化を図りつつ画質の向上を図る上で有利な光量調整装置、レンズ鏡筒および撮像装置を提供する。
【解決手段】光量調整装置38は、第1、第2絞り羽根40、42と、NDフィルタ羽根44と、駆動機構46などを含んで構成されている。第1乃至第3カム溝48、50、54は、アーム58の揺動により第1、第2カムピン60、62を介して、第1、第2絞り羽根40、42を互いに逆向きに移動させて絞り用開口2の大きさを調整するように構成されている。第1乃至第3カム溝48、50、54は、絞り用開口2が予め定められた大きさに形成された状態で、NDフィルタ羽根44が、NDフィルタ52で絞り用開口2を覆う使用位置とNDフィルタ52が絞り用開口2から退避した退避位置とに移動されるように構成されている。
【解決手段】光量調整装置38は、第1、第2絞り羽根40、42と、NDフィルタ羽根44と、駆動機構46などを含んで構成されている。第1乃至第3カム溝48、50、54は、アーム58の揺動により第1、第2カムピン60、62を介して、第1、第2絞り羽根40、42を互いに逆向きに移動させて絞り用開口2の大きさを調整するように構成されている。第1乃至第3カム溝48、50、54は、絞り用開口2が予め定められた大きさに形成された状態で、NDフィルタ羽根44が、NDフィルタ52で絞り用開口2を覆う使用位置とNDフィルタ52が絞り用開口2から退避した退避位置とに移動されるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光量調整装置、レンズ鏡筒および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの場合、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ等の撮像装置のレンズ鏡筒には、該レンズ鏡筒に組み込まれた撮像光学系の光軸を中心とする絞り用開口の大きさを調整する光量調整装置(絞り装置)が設けられている。
一対の絞り羽根のみを用いて小絞り状態を形成する場合、回折劣化が生じるため、一対の絞り羽根と、光の透過光量を減少させるNDフィルタ羽根とを併用する光量調整装置がある。
このような光量調整装置として、一対の絞り羽根とNDフィルタ羽根を1つのアクチュエータで駆動するものが提案されている(特許文献1参照)。
また、一対の絞り羽根とNDフィルタ羽根をそれぞれ独立した2つのアクチュエータで駆動するものが提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−6105
【特許文献2】特開2000−122109
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前者の光量調整装置では、一対の絞り羽根の移動方向とNDフィルタ羽根の移動方向とが異なることから占有スペースの縮小を図る上で不利があった。また、一対の絞り羽根によって形成された絞り用開口をNDフィルタが部分的に覆う、いわゆる半掛りの状態での使用を前提するものであることから、絞り開口部にNDフィルタが半掛りすることによって回折劣化が生じてしまい、また、NDフィルタ端面で不要な反射光が生じてしまうなど、解像性能の向上を図る上で限界があった。
また、後者の光量調整装置では、2つのアクチュエータで一対の絞り羽根とNDフィルタ羽根をそれぞれ独立して移動させるため、NDフィルタの半掛りの状態を回避することができるものの、2つのアクチュエータを設ける構成上、占有スペースの縮小を図る上で不利がある。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は小型化を図りつつ画質の向上を図る上で有利な光量調整装置、レンズ鏡筒および撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するため、本発明の光量調整装置は、移動可能に設けられ絞り用開口の大きさを調整する第1、第2絞り羽根と、前記第1、第2絞り羽根が移動する方向と同一方向に移動可能に設けられ前記絞り用開口を覆って前記絞り用開口を通過する光の透過光量を減少させるNDフィルタを有するNDフィルタ羽根と、前記第1、第2絞り羽根と前記NDフィルタ羽根を移動させる駆動機構とを備え、前記駆動機構は、アクチュエータと、前記第1絞り羽根に形成された第1カム溝と、前記第2絞り羽根に形成された第2カム溝と、前記NDフィルタ羽根に形成された第3カム溝と、前記アクチュエータにより揺動されるアームと、前記アームに突設され前記第1カム溝と前記第3カム溝との双方に係合する第1カムピンと、前記アームに突設され前記第2カム溝に係合する第2カムピンとを含んで構成され、前記第1乃至第3カム溝は、前記アームの揺動により前記第1、第2カムピンを介して、前記第1、第2絞り羽根を互いに逆向きに移動させて前記絞り用開口の大きさを調整すると共に、前記絞り用開口が予め定められた大きさに形成された状態で、前記NDフィルタが前記絞り用開口を覆う使用位置と前記NDフィルタが前記絞り用開口から退避した退避位置との間で前記NDフィルタ羽根が移動されるように構成されている。
また本発明のレンズ鏡筒は、移動可能に設けられ絞り用開口の大きさを調整する第1、第2絞り羽根と、前記第1、第2絞り羽根が移動する方向と同一方向に移動可能に設けられ前記絞り用開口を覆って前記絞り用開口を通過する光の透過光量を減少させるNDフィルタを有するNDフィルタ羽根と、前記第1、第2絞り羽根と前記NDフィルタ羽根を移動させる駆動機構とを有する光量調整装置を備え、前記駆動機構は、アクチュエータと、前記第1絞り羽根に形成された第1カム溝と、前記第2絞り羽根に形成された第2カム溝と、前記NDフィルタ羽根に形成された第3カム溝と、前記アクチュエータにより揺動されるアームと、前記アームに突設され前記第1カム溝と前記第3カム溝との双方に係合する第1カムピンと、前記アームに突設され前記第2カム溝に係合する第2カムピンとを含んで構成され、前記第1乃至第3カム溝は、前記アームの揺動により前記第1、第2カムピンを介して、前記第1、第2絞り羽根を互いに逆向きに移動させて前記絞り用開口の大きさを調整すると共に、前記絞り用開口が予め定められた大きさに形成された状態で、前記NDフィルタが前記絞り用開口を覆う使用位置と前記NDフィルタが前記絞り用開口から退避した退避位置との間で前記NDフィルタ羽根が移動されるように構成されている。
また本発明の撮像装置は、移動可能に設けられ絞り用開口の大きさを調整する第1、第2絞り羽根と、前記第1、第2絞り羽根が移動する方向と同一方向に移動可能に設けられ前記絞り用開口を覆って前記絞り用開口を通過する光の透過光量を減少させるNDフィルタを有するNDフィルタ羽根と、前記第1、第2絞り羽根と前記NDフィルタ羽根を移動させる駆動機構とを有する光量調整装置を備え、前記駆動機構は、アクチュエータと、前記第1絞り羽根に形成された第1カム溝と、前記第2絞り羽根に形成された第2カム溝と、前記NDフィルタ羽根に形成された第3カム溝と、前記アクチュエータにより揺動されるアームと、前記アームに突設され前記第1カム溝と前記第3カム溝との双方に係合する第1カムピンと、前記アームに突設され前記第2カム溝に係合する第2カムピンとを含んで構成され、前記第1乃至第3カム溝は、前記アームの揺動により前記第1、第2カムピンを介して、前記第1、第2絞り羽根を互いに逆向きに移動させて前記絞り用開口の大きさを調整すると共に、前記絞り用開口が予め定められた大きさに形成された状態で、前記NDフィルタが前記絞り用開口を覆う使用位置と前記NDフィルタが前記絞り用開口から退避した退避位置との間で前記NDフィルタ羽根が移動されるように構成されている。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、第1、第2絞り羽根の移動方向とNDフィルタ羽根の移動方向が同一であり、第1、第2絞り羽根とNDフィルタ羽根が共通のアクチュエータによって移動される。
したがって、光量調整装置の占有スペースを小型化する上で有利となり、ひいては、レンズ鏡筒および撮像装置の小型化、薄型化を図る上で有利となる。
また、絞り用開口が予め定められた大きさに形成された状態で、NDフィルタ羽根が使用位置と退避位置とに移動されるので、絞り用開口がNDフィルタにより部分的に覆われる半掛りの状態がなく、解像性能の向上を図る上で有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(撮像装置10)
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本実施の形態の撮像装置10の斜視図、図2は撮像装置10を後方から見た斜視図である。
図1、図2に示すように、撮像装置10はデジタルスチルカメラである。
撮像装置10は、外装を構成する矩形板状のケース12を有している。
なお、本明細書において、前方とは被写体側をいい、後方とはその反対側をいい、左右は撮像装置10を前方から見た状態でいうものとする。
ケース12の右側部には、図中二点鎖線で示すように、レンズ鏡筒14が組み込まれている。
レンズ鏡筒14には、被写体像を撮像素子16(図4)に導く撮像光学系18などが設けられている。
撮像光学系18のうち最も前方に位置する対物レンズ1802は、ケース12の前面に設けられたレンズ窓を介してケース12前方に臨んで配置されている。
【0007】
ケース12の前面右寄りの箇所には、撮影補助光を出射するフラッシュ20A、セルフタイマーランプ20Bなどが設けられている。
ケース12の前面にはカバー22が上下にスライド可能に設けられ、このカバー22は、図1に示すように対物レンズ1802、フラッシュ20A、セルフタイマーランプ20Bを前方に露出させる下限位置と、これら対物レンズ1802、フラッシュ20A、セルフタイマーランプ20Bを覆う上限位置とにスライドされる。
ケース12の上面の左寄り箇所には、シャッタボタン20C、電源ボタン20Dなどが設けられている。
ケース12の後面には静止画および動画などの画像や文字や記号などが表示されるディスプレイ24(液晶表示器)、撮像光学系18のズーミング動作を行なわせるためのズームスイッチ20E、各種操作を行なうための十字スイッチ20Fおよび複数の操作ボタン20Gが設けられている。
ケース12の左側面には、撮像装置10を静止画撮影モード、動画撮影モード、再生・編集モードなどに切り替えるためのモードスイッチ20Hが設けられている。
そしてこれらスイッチ20A乃至20Hによって操作部20(図5)が構成されている。
【0008】
(レンズ鏡筒14)
図3はレンズ鏡筒14の斜視図、図4は図3のXX線断面図である。
図3、図4に示すように、レンズ鏡筒14は、鏡筒36と、撮像素子16と、撮像光学系18と、本発明に係る光量調整装置38などを含んで構成されている。
撮像素子16は、撮像光学系18によって結像された被写体像を撮像するCCDやCMOSセンサなどで構成されている。
撮像光学系18は、対物レンズ1802、プリズム1804と、ズーム用可動レンズ群1806と、フォーカス用可動レンズ群1808と、第1の固定レンズ群1810と、第2の固定レンズ群1812と、第3の固定レンズ群1814とを含んで構成されている。
さらに、レンズ鏡筒14には、ズーム用駆動手段2602A(図5)、フォーカス用駆動手段2602B(図5)が設けられている。
【0009】
(鏡筒36)
鏡筒36は、全体として幅および長さ並びに厚さを有する平板形状を呈しており、撮像素子16と撮像光学系18とは鏡筒36の幅方向の中央部で鏡筒36の長さ方向に沿って並べられて配置されている。
鏡筒36は、長さ方向において分割された第1鏡筒分割体36Aおよび第2鏡筒分割体36Bと、これら2つの鏡筒分割体36A、36Bの間に挟まれる第3鏡筒分割体36Cとで構成されている。
【0010】
(第1鏡筒分割体36A)
第1鏡筒分割体36Aの内部には、下方に開放状の上部部品収容空間3602が設けられており、対物レンズ1802は第1鏡筒分割体36Aの前面の上部でかつ幅方向の中央部に取着されている。
プリズム1804は、対物レンズ1802で捉えた像を下部に向けて(撮像素子16側に)反射させるもので本実施の形態ではプリズムが用いられている。プリズム1804は、上部部品収容空間3602で対物レンズ1802に臨む箇所に配置されている。
第1の固定レンズ群1810とズーム用可動レンズ群1806とは、上部部品収容空間3602内でプリズム1804の下方にこの順番で配置されている。
【0011】
(ズーム用可動レンズ群1806)
ズーム用可動レンズ群1806は、ズーム用レンズ枠1806Aに支持されている。
ズーム用可動レンズ群1806は、ズーム用レンズ枠1806Aを介して不図示の案内機構により撮像光学系18の光軸方向に移動可能に支持されると共に、ズーム用駆動手段2602A(図5)により撮像光学系18の光軸方向に移動されるように構成されている。
前記案内機構は、ズーム用レンズ枠1806Aに設けられた軸受け孔と、該軸受け孔に挿通されるガイド軸などを含んで構成され、このような案内機構として従来公知のさまざまな案内機構が採用可能である。
ズーム用駆動手段2602Aは、ズーム用レンズ枠1806Aに連結された雌ねじ部材と、該雌ねじ部材に螺合された雄ねじ部材と、該雄ねじ部材を回転駆動するモータなどを含んで構成され、このような駆動手段2602Aとして従来公知のさまざまな駆動機構が採用可能である。
【0012】
(第3鏡筒分割体36C)
第3鏡筒分割体36Cは、上部部品収容空間3602内に臨む内部分と、上部部品収容空間3602外に位置する外部分とを有している。
第2の固定レンズ群1812は、その光軸をズーム用可動レンズ群1806の光軸と一致させて前記内部分に取着されている。
第2固定レンズ1812の後方に光量調整装置38が設けられ、したがって、光量調整装置38は、撮像光学系18の光軸上において撮像素子16の前方に位置している。
【0013】
(第2鏡筒分割体36B)
第2鏡筒分割体36Bの内部には、上下に開放された下部部品収容空間3604が形成されており、第2鏡筒分割体36Bの下部に撮像素子16がホルダ1602を介して取着されることでこの下部部品収容空間3604の下端は閉塞されている。
フォーカス用可動レンズ群1808と第3の固定レンズ群1814は、下部部品収容空間3604内で第2鏡筒分割体36Bの幅方向中央に位置する箇所に配置されている。
【0014】
(フォーカス用可動レンズ群1808)
フォーカス用可動レンズ群1808は、フォーカス用レンズ枠1808Aに支持されている。
フォーカス用可動レンズ群1808は、フォーカス用レンズ枠1808Aを介して不図示の案内機構により撮像光学系18の光軸方向に移動可能に支持されると共に、フォーカス用駆動手段2602B(図5)により撮像光学系18の光軸方向に移動されるように構成されている。
前記案内機構は、フォーカス用レンズ枠1808Aに設けられた軸受け孔と、該軸受け孔に挿通されるガイド軸などを含んで構成され、このような案内機構として従来公知のさまざまな案内機構が採用可能である。
フォーカス用駆動手段2602Bは、フォーカス用レンズ枠1808Aに連結された雌ねじ部材と、該雌ねじ部材に螺合された雄ねじ部材と、該雄ねじ部材を回転駆動するモータなどを含んで構成され、このような駆動手段2602Bとして従来公知のさまざまな駆動機構が採用可能である。
【0015】
(第3の固定レンズ群1814)
第3の固定レンズ群1814は、フォーカス用可動レンズ群1808の下方の下部部品収容空間3604箇所に配置されている。
【0016】
(制御系)
図5は撮像装置10の構成を示すブロック図である。
撮像装置10は、上述したレンズ鏡筒14、ディスプレイ24に加えて、駆動部26、信号処理部28、制御部30、操作部20、外部インターフェース32、媒体インターフェース34などを備えている。
駆動部26は、前述したズーム用駆動手段2602Aと、フォーカス用駆動手段2602Bと、ドライバ2604と、検出手段2606と、ドライバ2608と、タイミング生成回路2610と、A/Dコンバータ2612と、ドライバ2614などを有している。
ドライバ2604は、ズーム用駆動手段2602Aと、フォーカス用駆動手段2602Bに駆動信号を供給するものである。
検出手段2606は、ズーム用駆動手段2602A、フォーカス用駆動手段2602Bによる可動レンズ群1806、1808の移動量などを検出するものである。
ドライバ2608は、撮像素子16に駆動信号を供給するものである。
タイミング生成回路2610は、撮像素子16およびドライバ2608にタイミング信号を供給するものである。
A/Dコンバータ2612は、撮像素子16で生成された撮像信号をA/D変換するものである。
ドライバ2614は、光量調整装置38に駆動信号を供給するものである。
【0017】
信号処理部28は、A/Dコンバータ2612から供給される撮像信号に対して所定の信号処理を行い画像データを生成したり、撮影にまつわる様々な動作(自動焦点動作、自動露出動作、自動ホワイトバランス動作、画像データの圧縮、解凍など)を行なうものであり、例えばDSPによって構成されている。
また、信号処理部28は、SDRAMコントローラ2802を介してメモリ(SDRAM)29を画像データの処理を行うための作業エリアとして使用する。
【0018】
制御部30は、CPU3002、RAM3004、フラッシュROM3006、時計回路3008、およびそれらを接続するシステムバス3010などを含んでいる。
CPU3002はフラッシュROM3006に格納されている制御プログラムに基づいて動作するものである。
CPU3002は、システムバス3010を介してRAM3004、フラッシュROM3006、時計回路3008とデータを授受し、また、操作部20から供給される操作指令、検出手段2606から供給される検出信号などに応じて動作し、また、駆動部26のドライバ2604、2614、タイミング生成回路2610、A/Dコンバータ2612を制御するものである。
また、CPU3002は、媒体インターフェース34を介して内蔵メモリやメモリカードなどの記録媒体35との間で画像データを含むデータの授受を行うものである。
また、CPU3002は、LCDコントローラ2402を介して画像データなどをディスプレイ24に表示させるものである。
また、CPU3002は、外部インターフェース32を介して外部装置(パーソナルコンピュータやプリンタ)との間で画像データを含むデータの授受を行うものである。
【0019】
(光量調整装置38)
次に、本発明の要旨である光量調整装置38について詳細に説明する。
図6は光量調整装置38の構成を示す分解図、図7は第1絞り羽根40の平面図、図8は第2絞り羽根42の平面図、図9はNDフィルタ羽根44の平面図である。
図10は絞り用開口2が開放状態でNDフィルタ羽根44が退避位置にある光量調整装置38の平面図、図11は絞り用開口2が中絞り状態でNDフィルタ羽根44が退避位置にある光量調整装置38の平面図、図12は絞り用開口2が中絞り状態でNDフィルタ羽根44が使用位置にある光量調整装置38の平面図、図13は絞り用開口2が小絞り状態でNDフィルタ羽根44が使用位置にある光量調整装置38の平面図、図14は絞り用開口2が全閉状態でNDフィルタ羽根44が使用位置にある光量調整装置38の平面図である。
なお、図6では第3鏡筒分割体36Cの形状を簡略化し第2の固定レンズ群1812などの図示を省略している。
また、図10乃至図14は、図示を簡略化するために、第3鏡筒分割体36C、駆動軸5602、アーム58、第1、第2カムピン60、62、第1、第2絞り羽根40、42、NDフィルタ羽根44のみを示し、第1、第2絞り羽根40、42、NDフィルタ羽根44が重なり合っている部分についてもそれらの形状を全て実線で示している。
光量調整装置38は、第1、第2絞り羽根40、42と、NDフィルタ羽根44と、駆動機構46などを含んで構成されている。
【0020】
(第1絞り羽根40)
第1絞り羽根40は、図6、図7に示すように、第2絞り羽根42と協働して絞り用開口2を形成すると共に、絞り用開口2の大きさを調整するものである。
第1絞り羽根40には、絞り用開口2の互いに対向する縁部の一方を形成するための開口形成用縁部4002が設けられている。
また、開口形成用縁部4002の両側に、第1絞り羽根40が直線移動可能に案内される2つのガイド溝4004が設けられている。
さらに、それら開口形成用縁部4002、2つのガイド溝4004と離れた箇所に、第1絞り羽根40を移動させるための第1カム溝48が設けられている。
第1カム溝48は、第1絞り羽根40移動用の第1溝部48Aと、この第1溝部48Aの端部に接続され駆動軸5602を中心とした円周上を延在し第1絞り羽根40を留めるための中間溝部48Bと、この中間溝部48Bに接続され第1絞り羽根40移動用の第2溝部48Cを有している。
開口形成用縁部4002と第1カム溝48とは、第1絞り羽根40の移動方向、すなわちガイド溝4004の延在方向に間隔をおいて配置されている。
【0021】
(第2絞り羽根42)
第2絞り羽根42は、図6、図8に示すように、第1絞り羽根40と協働して絞り用開口2を形成すると共に、絞り用開口2(図10乃至図13)の大きさを調整するものである。
第2絞り羽根42には、絞り用開口2の互いに対向する縁部の他方を形成するための開口形成用縁部4202が、第1絞り羽根40の開口形成用縁部4002とは逆向きに設けられている。
また、開口形成用縁部の両側に、第2絞り羽根42が直線移動可能に案内される2つのガイド溝4204が設けられている。
さらに、それら開口形成用縁部4202、2つのガイド溝4204と離れた箇所に、第2絞り羽根42を移動させるための第2カム溝50が設けられている。
第2カム溝50は、第2絞り羽根42移動用の第1溝部50Aと、この第1溝部50Aの端部に接続され駆動軸5602を中心とした円周上を延在し第1絞り羽根40を留めるための中間溝部50Bと、この中間溝部50Bに接続され第2絞り羽根42移動用の第2溝部50Cを有している。
開口形成用縁部4202と第2カム溝50とは、第2絞り羽根42の移動方向、すなわちガイド溝4204の延在方向に間隔をおいて配置されている。
【0022】
(NDフィルタ羽根44)
NDフィルタ羽根44は、図6、図9に示すように、絞り用開口2を覆って絞り用開口2を通過する光の透過光量を減少させるNDフィルタ52を有している。
NDフィルタ52の両側のNDフィルタ羽根44の箇所に、NDフィルタ羽根44が第1、第2絞り羽根40、42が移動される方向と同一の方向に直線移動可能に案内される2つのガイド溝4404が設けられている。
さらに、それらNDフィルタ52、2つのガイド溝4404と離れた箇所に、NDフィルタ羽根44を移動させるための第3カム溝54が設けられている。
第3カム溝54は、NDフィルタ羽根44を後述する退避位置に留めるための退避位置用溝部54Aと、この退避位置用溝部54Aの端部に接続されNDフィルタ羽根44を移動させるためのNDフィルタ羽根移動用溝部54Bと、このNDフィルタ羽根移動用溝部54Bに接続されNDフィルタ羽根44を後述する使用位置に留めるための使用位置用溝部54Cを有している。
NDフィルタ52と第3カム溝54とは、NDフィルタ羽根44の移動方向、すなわちガイド溝4404の延在方向に間隔をおいて配置されている。
なお、NDフィルタ52は合成樹脂製であることから、NDフィルタ羽根44とNDフィルタ52とを単一の部材で形成することも可能である。
【0023】
(駆動機構46)
駆動機構46は、図6に示すように、アクチュエータ56と、第1カム溝48と、第2カム溝50と、第3カム溝54と、アーム58と、第1カムピン60と、第2カムピン62とを含んで構成されている。
アクチュエータ56は、本実施の形態では、駆動軸5602と、駆動軸5602が連結された図略の磁石と、この磁石に対向して設けられた図略のコイルとを含むメータから構成されている。
駆動軸5602は、駆動電流が前記コイルに供給されることで発生した磁界と、前記磁石の磁界との磁気相互作用によって発生する回転駆動力によって正逆方向に回転される。
【0024】
アーム58は、駆動軸5602に該駆動軸5602と一体に回転可能に結合され、駆動軸5602が定められた角度範囲内で回転することで、すなわち、駆動軸5602が定められた角度範囲内で揺動することで、駆動軸5602と一体に揺動される。
アーム58は、第1アーム58Aと第2アーム58Bの2つが設けられている。
第1カムピン60は、第1アーム58Aの先端に設けられ、第1カム溝48と第3カム溝54との双方に係合している。
第2カムピン62は、第2アーム58Bの先端に設けられ、第2カム溝50に係合している。
【0025】
第1乃至第3カム溝48、50、54は、アーム58の揺動により第1、第2カムピン60、62を介して、第1、第2絞り羽根40、42を互いに逆向きに移動させて絞り用開口2の大きさを調整するように構成されている。
また、第1乃至第3カム溝48、50、54は、絞り用開口2が予め定められた大きさに形成された状態(後述する中絞り状態)で、NDフィルタ羽根44は、NDフィルタ52で絞り用開口2を覆う使用位置とNDフィルタ52が絞り用開口2から退避した退避位置とに移動されるように構成されている。
すなわち、NDフィルタ52が絞り用開口2を覆う位置が、NDフィルタ羽根44の使用位置であり、NDフィルタ52が絞り用開口2から退避した位置が、NDフィルタ羽根44の退避位置である。
【0026】
本実施の形態では、図6に示すように、第1、第2絞り羽根40、42、NDフィルタ羽根44は、第3鏡筒分割体36C、第1押さえ板64、第2押さえ板66を介して配設されている。
第3鏡筒分割体36Cには、第1、第2アーム58A,58Bの揺動を許容する切り欠き3610と、絞り用開口2を形成するための窓3612が形成されている。
また、第3鏡筒分割体36Cには、第1、第2押さえ板64、66の位置決め用の複数のピン3620が設けられている。それらピン3620は、第1、第2押さえ板64、66の位置決め用の位置決めピンとして機能すると共に、第1、第2絞り羽根40、42、NDフィルタ羽根44のガイド溝4004、4204、4404に挿入され、第1、第2絞り羽根40、42、NDフィルタ羽根44を直線移動可能に案内するガイドピンとしても機能する。
第1押さえ板64には、ピン3620が挿通される位置決め孔6402と、第1、第2カムピン60、62の揺動を許容する切り欠き6410と、絞り用開口2を形成するための窓6412が形成されている。
第2押さえ板66には、ピン3620が挿通される位置決め孔6602と、第1、第2カムピン60、62の揺動を許容する切り欠き6610と、絞り用開口2を形成するための窓6612が形成されている。
第1押さえ板64は、ピン3620を介して第3鏡筒分割体36Cに配設され、NDフィルタ羽根44は第1押さえ板64と第3鏡筒分割体36Cとの間に配置される。
第1、第2絞り羽根40、42はこの第1押さえ板64の上にピン3620を介して配置され、第1絞り羽根40の上に第2押さえ板66がピン3620を介して配置される。
さらに、第2押さえ板66の上に第1鏡筒分割体36A(図4)が配置され、第1鏡筒分割体36Aおよび第3鏡筒分割体36Cにより第1、第2絞り羽根40、42、NDフィルタ羽根44は、第3鏡筒分割体36C、第1押さえ板64、第2押さえ板66が挟持されることにより配設されている。
【0027】
なお、図7、図9において符号Aは第2カムピン62の移動軌跡を示し、図8において符号Bは第1カムピン60の移動軌跡を示す。
図7、図9に示すように、第1絞り羽根40およびNDフィルタ羽根44は第2カムピン62の移動軌跡と干渉しない外形形状で形成され、図8に示すように、第2絞り羽根42は第1カムピン60の移動軌跡と干渉しない外形形状で形成されている。
このように第1、第2絞り羽根40、42、NDフィルタ羽根44を形成することにより、第1、第2絞り羽根40、42、NDフィルタ羽根44を第1、第2カムピン60、62の上から順番に落とし込むという簡単な作業で光量調整装置38を組み立てることができ、組み立て性の向上を図る上で有利となる。
【0028】
(動作説明)
第1、第2絞り羽根40、42、NDフィルタ羽根44の動きをより詳細に説明する。
図10に示すように、第1カムピン60が第1カム溝48の第1溝部48Aの端部に位置すると共に、第1カムピン60が第3カム溝54の退避位置用溝部54Aの端部に位置し、第2カムピン62が第2カム溝50の第1溝部50Aの端部に位置した状態で、絞り用開口2は開放状態となり、NDフィルタ羽根44はNDフィルタ52が絞り用開口2から退避した退避位置に位置する。
【0029】
この状態から駆動軸5602が正転すると、第1、第2カムピン60、62が揺動し、第1カムピン60が第1カム溝48の第1溝部48Aの端部から中間溝部48Bに向かうと共に、第1カムピン60が第3カム溝54の退避位置用溝部54Aの端部からNDフィルタ羽根移動用溝部54Bに向かい、第2カムピン62が第3カム溝54の退避位置用溝部54AからNDフィルタ羽根移動用溝部54Bに向かう。
これら第1、第2カムピン60、62の揺動により、第1、第2絞り羽根40、42は互いに逆向きに直線移動し、絞り用開口2は開放状態よりも開口面積が次第に小さくされていく。
やがて図11に示すように、第1カムピン60が第1カム溝48の中間溝部48Bの一端に位置すると共に、第1カムピン60が第3カム溝54のNDフィルタ羽根移動用溝部54Bの一端に位置し、第2カムピン62が第2カム溝50の中間溝部50Bの一端に位置する。
この状態で、絞り用開口2は開放状態よりも開口面積が小さい中絞り状態となり、NDフィルタ52は絞り用開口2に近接する方向に移動するものの、NDフィルタ羽根44はNDフィルタ52が中絞り状態の絞り用開口2から退避した退避位置に位置する。
【0030】
さらに、駆動軸5602が正転すると、第1カムピン60が第1カム溝48の中間溝部48Bの一端から他端に位置し、第1カムピン60が第3カム溝54のNDフィルタ羽根移動用溝部54Bの一端から他端に位置し、第2カムピン62が第2カム溝50の中間溝部の一端から他端に位置する。
図12に示すように、第1、第2カム溝48、50の中間溝部48B、50Bは、駆動軸5602を中心とした同一円周上に位置しているため、第1、第2絞り羽根40、42は、中絞り状態を形成する位置に留まり、NDフィルタ羽根44のみが直線移動し、NDフィルタ羽根44はNDフィルタ52で絞り用開口2を覆う使用位置となる。
すなわち、NDフィルタ羽根44は、退避位置から使用位置に移動する。したがって、NDフィルタ羽根44は退避位置と使用位置の中間位置に留まることはなく、NDフィルタ52が絞り用開口2の一部を覆う位置に留まることがない。
【0031】
さらに、駆動軸5602が正転すると、第1カムピン60が第1カム溝48の中間溝部48Bの他端から第2溝部48Cに向かって移動し、第1カムピン60が第3カム溝54のNDフィルタ羽根移動用溝部54Bの他端から使用位置用溝部54Cに向かって移動し、第2カムピン62が第2カム溝50の中間溝部50Bの他端から第2溝部50Cに向かって移動する。
これらの動きにより、第1、第2絞り羽根40、42は互いに逆向きに直線移動し、絞り用開口2は中絞り状態よりも開口面積が次第に小さくされていく。
やがて図13に示すように、第1カムピン60が第1カム溝48の第2溝部48Cの一端に位置し、第1カムピン60が第3カム溝54の使用位置用溝部54Cの一端に位置し、第2カムピン62が第2カム溝50の第2溝部50Cの一端に位置し、中絞り状態よりも開口面積が小さい小絞り状態を形成し、NDフィルタ羽根44は使用位置に留まる。
【0032】
さらに、駆動軸5602が正転すると、第1カムピン60が第1カム溝48の第2溝部48Cの他端に向かって移動し、第1カムピン60が第3カム溝54の使用位置用溝部54Cの他端に向かって移動し、第2カムピン62が第2カム溝50の第2溝部50Cの他端に向かって移動する。
やがて、図14に示すように、第1カムピン60が第1カム溝48の第2溝部48Cの他端に位置すると共に、第1カムピン60が第3カム溝54の使用位置用溝部54Cの他端に位置し、第2カムピン62が第2カム溝50の第2溝部50Cの他端に位置した状態で、絞り用開口2は全閉状態となり、NDフィルタ羽根44は使用位置に留まる。
このように第1、第2絞り羽根40、42によって絞り用開口2が全閉状態となることで機械的なシャッターが構成されることになる。
【0033】
なお、駆動軸5602が逆転すると、第1、第2カムピン60、62および第1乃至第3カム溝48、50、54を介して前記と逆の動作がなされることになる。
したがって、駆動軸5602が逆転することで、NDフィルタ羽根44が使用位置から退避位置に移動する場合は、第1、第2絞り羽根40、42が中絞り状態を形成する位置に留まった状態で、NDフィルタ羽根44のみが直線移動して退避位置となる。
【0034】
(効果)
以上説明したように本実施の形態によれば、絞り用開口2の大きさを調整する第1、第2絞り羽根40、42と、絞り用開口2を通過する光の透過光量を減少させるNDフィルタ羽根44との移動方向が同一であり、第1、第2絞り羽根40、42とNDフィルタ羽根44がアクチュエータ56によって揺動される第1、第2カムピン60、62と第1乃至第3カム溝48、50、54を介して移動するようにした。
したがって、第1、第2絞り羽根40、42と、NDフィルタ羽根44とが占有するスペースを重複させることができると共に、第1、第2絞り羽根40、42と、NDフィルタ羽根44を動かすアクチュエータ56が1つで足りるため、光量調整装置38の占有スペースを小型化する上で有利となり、ひいては、レンズ鏡筒14および撮像装置10の小型化、薄型化を図る上で有利となる。
また、絞り用開口2が予め定められた大きさに形成された状態で、NDフィルタ羽根44が、絞り用開口2を覆う使用位置と絞り用開口2から退避した退避位置とに移動され、NDフィルタ52が絞り用開口2の一部を覆う位置に留まることがないため、絞り用開口2がNDフィルタ52により部分的に覆われる半掛りの状態がなく、解像性能の向上を図る上で有利となる。
【0035】
なお、本実施の形態では、駆動軸5602が正転することにより、第1、第2絞り羽根40、42が中絞りを形成する位置に留まった状態で、NDフィルタ羽根44のみが直線移動し、NDフィルタ羽根44がNDフィルタ52で絞り用開口2を覆う使用位置となり、また、駆動軸5602が逆転することにより、第1、第2絞り羽根40、42が中絞りを形成する位置に留まった状態で、NDフィルタ羽根44のみが直線移動し、NDフィルタ羽根44は、NDフィルタ52が絞り用開口2から退避した退避位置となる場合について説明した。
しかしながら、中絞りを形成した状態で第1、第2絞り羽根40、42が僅かに移動しつつ、NDフィルタ羽根44がNDフィルタ52で絞り用開口2を覆う使用位置と絞り用開口2から退避した退避位置とに移動してもよい。言い換えると、第1、第2絞り羽根40、42が実質的に中絞りを形成した状態でNDフィルタ羽根44を使用位置と退避位置とに移動するように構成してもよい。具体的には、NDフィルタ羽根44が使用位置と退避位置とに移動する際の移動速度が第1、第2絞り羽根40、42の移動速度の少なくとも3倍以上となるように構成すればよい。
【0036】
また、本実施の形態では、NDフィルタ羽根44が、退避位置から使用位置に移動する際(あるいは、使用位置から退避位置に移動する際)、NDフィルタ羽根44は退避位置と使用位置の中間位置に留まることがなく、NDフィルタ52が絞り用開口2の一部を覆う位置に留まることがない。
したがって、NDフィルタ羽根44の退避位置ではNDフィルタ52による入射光量の減衰量がゼロであり、NDフィルタ羽根44の使用位置ではNDフィルタ52の透過率に応じて入射光量が減衰する。
そのため、NDフィルタ羽根44の退避位置と使用位置とで光量調整装置38による入射光量の変化が急激なものとなることから、露光量の変化が急激なものとなり、滑らかな露出制御を行う上で不利となる。
そこで、撮像素子16による電子シャッターの機能により次のような制御を行うことで滑らかな露出制御を実現することができる。
すなわち、NDフィルタ羽根44が退避位置から使用位置に移動すると同時に、電子シャッターのシャッター速度を、NDフィルタ52の有無による透過光量の変化量を相殺するに足る速度分だけ減少させる制御(シャッターが開いている時間を長くする制御)を行う。
あるいは、NDフィルタ羽根44が使用位置から退避位置に移動すると同時に、電子シャッターのシャッター速度を、NDフィルタ52の有無による透過光量の変化量を相殺するに足る速度分だけ増大させる制御(シャッターが開いている時間を短くする制御)を行う。
そして、それ以降電子シャッター速度を連続的に変化させることにより、露光量を滑らかに変化させることができ、露出制御を滑らかに行うことができる。
なお、このような電子シャッター速度の制御は、図5に示すように、制御部30がタイミング生成回路2610を介して撮像素子16およびドライバ2608を制御することにより行うことができることはいうまでもない。
【0037】
また、本実施の形態では、第1、第2絞り羽根40、42で絞り用開口2の全閉状態を形成することで機械的なシャッターを構成したが、第1、第2絞り羽根40、42で絞り用開口2の全閉状態を形成するか否かは任意である。しかしながら、本実施の形態のように絞り用開口2の全閉状態を形成することで機械的なシャッターを構成した場合には、この機械的なシャッター機能と撮像素子16による電子シャッターの機能とを組み合わせることにより、さまざまなシャッター動作を実現することができ有利となる。
【0038】
なお、本実施の形態では、撮像装置がデジタルスチルカメラである場合について説明したが、本発明は、カメラ付き携帯電話機、ビデオカメラ、監視カメラ装置などの撮像装置に広く適用可能である。
また、本実施の形態では、光量調整装置が撮像装置に適用される場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、本発明に係る光量調整装置をプロジェクター装置における光源の光量調整装置として用いるなど任意である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施の形態の撮像装置10の斜視図である。
【図2】撮像装置10を後方から見た斜視図である。
【図3】レンズ鏡筒14の斜視図である。
【図4】図3のXX線断面図である。
【図5】撮像装置10の構成を示すブロック図である。
【図6】光量調整装置38の構成を示す分解図である。
【図7】第1絞り羽根40の平面図である。
【図8】第2絞り羽根42の平面図である。
【図9】NDフィルタ羽根44の平面図である。
【図10】絞り用開口2が開放状態でNDフィルタ羽根44が退避位置にある光量調整装置38の平面図である。
【図11】絞り用開口2が中絞り状態でNDフィルタ羽根44が退避位置にある光量調整装置38の平面図である。
【図12】絞り用開口2が中絞り状態でNDフィルタ羽根44が使用位置にある光量調整装置38の平面図である。
【図13】絞り用開口2が小絞り状態でNDフィルタ羽根44が使用位置にある光量調整装置38の平面図である。
【図14】絞り用開口2が全閉状態でNDフィルタ羽根44が使用位置にある光量調整装置38の平面図である。
【符号の説明】
【0040】
2……絞り用開口、10……撮像装置、14……レンズ鏡筒、38……光量調整装置、40……第1絞り羽根、42……第2絞り羽根、44……NDフィルタ羽根、46……駆動機構、56……アクチュエータ、48……第1カム溝、50……第2カム溝、54……第3カム溝、58……アーム、60……第1カムピン、62……第2カムピン。
【技術分野】
【0001】
本発明は光量調整装置、レンズ鏡筒および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの場合、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ等の撮像装置のレンズ鏡筒には、該レンズ鏡筒に組み込まれた撮像光学系の光軸を中心とする絞り用開口の大きさを調整する光量調整装置(絞り装置)が設けられている。
一対の絞り羽根のみを用いて小絞り状態を形成する場合、回折劣化が生じるため、一対の絞り羽根と、光の透過光量を減少させるNDフィルタ羽根とを併用する光量調整装置がある。
このような光量調整装置として、一対の絞り羽根とNDフィルタ羽根を1つのアクチュエータで駆動するものが提案されている(特許文献1参照)。
また、一対の絞り羽根とNDフィルタ羽根をそれぞれ独立した2つのアクチュエータで駆動するものが提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−6105
【特許文献2】特開2000−122109
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前者の光量調整装置では、一対の絞り羽根の移動方向とNDフィルタ羽根の移動方向とが異なることから占有スペースの縮小を図る上で不利があった。また、一対の絞り羽根によって形成された絞り用開口をNDフィルタが部分的に覆う、いわゆる半掛りの状態での使用を前提するものであることから、絞り開口部にNDフィルタが半掛りすることによって回折劣化が生じてしまい、また、NDフィルタ端面で不要な反射光が生じてしまうなど、解像性能の向上を図る上で限界があった。
また、後者の光量調整装置では、2つのアクチュエータで一対の絞り羽根とNDフィルタ羽根をそれぞれ独立して移動させるため、NDフィルタの半掛りの状態を回避することができるものの、2つのアクチュエータを設ける構成上、占有スペースの縮小を図る上で不利がある。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は小型化を図りつつ画質の向上を図る上で有利な光量調整装置、レンズ鏡筒および撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するため、本発明の光量調整装置は、移動可能に設けられ絞り用開口の大きさを調整する第1、第2絞り羽根と、前記第1、第2絞り羽根が移動する方向と同一方向に移動可能に設けられ前記絞り用開口を覆って前記絞り用開口を通過する光の透過光量を減少させるNDフィルタを有するNDフィルタ羽根と、前記第1、第2絞り羽根と前記NDフィルタ羽根を移動させる駆動機構とを備え、前記駆動機構は、アクチュエータと、前記第1絞り羽根に形成された第1カム溝と、前記第2絞り羽根に形成された第2カム溝と、前記NDフィルタ羽根に形成された第3カム溝と、前記アクチュエータにより揺動されるアームと、前記アームに突設され前記第1カム溝と前記第3カム溝との双方に係合する第1カムピンと、前記アームに突設され前記第2カム溝に係合する第2カムピンとを含んで構成され、前記第1乃至第3カム溝は、前記アームの揺動により前記第1、第2カムピンを介して、前記第1、第2絞り羽根を互いに逆向きに移動させて前記絞り用開口の大きさを調整すると共に、前記絞り用開口が予め定められた大きさに形成された状態で、前記NDフィルタが前記絞り用開口を覆う使用位置と前記NDフィルタが前記絞り用開口から退避した退避位置との間で前記NDフィルタ羽根が移動されるように構成されている。
また本発明のレンズ鏡筒は、移動可能に設けられ絞り用開口の大きさを調整する第1、第2絞り羽根と、前記第1、第2絞り羽根が移動する方向と同一方向に移動可能に設けられ前記絞り用開口を覆って前記絞り用開口を通過する光の透過光量を減少させるNDフィルタを有するNDフィルタ羽根と、前記第1、第2絞り羽根と前記NDフィルタ羽根を移動させる駆動機構とを有する光量調整装置を備え、前記駆動機構は、アクチュエータと、前記第1絞り羽根に形成された第1カム溝と、前記第2絞り羽根に形成された第2カム溝と、前記NDフィルタ羽根に形成された第3カム溝と、前記アクチュエータにより揺動されるアームと、前記アームに突設され前記第1カム溝と前記第3カム溝との双方に係合する第1カムピンと、前記アームに突設され前記第2カム溝に係合する第2カムピンとを含んで構成され、前記第1乃至第3カム溝は、前記アームの揺動により前記第1、第2カムピンを介して、前記第1、第2絞り羽根を互いに逆向きに移動させて前記絞り用開口の大きさを調整すると共に、前記絞り用開口が予め定められた大きさに形成された状態で、前記NDフィルタが前記絞り用開口を覆う使用位置と前記NDフィルタが前記絞り用開口から退避した退避位置との間で前記NDフィルタ羽根が移動されるように構成されている。
また本発明の撮像装置は、移動可能に設けられ絞り用開口の大きさを調整する第1、第2絞り羽根と、前記第1、第2絞り羽根が移動する方向と同一方向に移動可能に設けられ前記絞り用開口を覆って前記絞り用開口を通過する光の透過光量を減少させるNDフィルタを有するNDフィルタ羽根と、前記第1、第2絞り羽根と前記NDフィルタ羽根を移動させる駆動機構とを有する光量調整装置を備え、前記駆動機構は、アクチュエータと、前記第1絞り羽根に形成された第1カム溝と、前記第2絞り羽根に形成された第2カム溝と、前記NDフィルタ羽根に形成された第3カム溝と、前記アクチュエータにより揺動されるアームと、前記アームに突設され前記第1カム溝と前記第3カム溝との双方に係合する第1カムピンと、前記アームに突設され前記第2カム溝に係合する第2カムピンとを含んで構成され、前記第1乃至第3カム溝は、前記アームの揺動により前記第1、第2カムピンを介して、前記第1、第2絞り羽根を互いに逆向きに移動させて前記絞り用開口の大きさを調整すると共に、前記絞り用開口が予め定められた大きさに形成された状態で、前記NDフィルタが前記絞り用開口を覆う使用位置と前記NDフィルタが前記絞り用開口から退避した退避位置との間で前記NDフィルタ羽根が移動されるように構成されている。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、第1、第2絞り羽根の移動方向とNDフィルタ羽根の移動方向が同一であり、第1、第2絞り羽根とNDフィルタ羽根が共通のアクチュエータによって移動される。
したがって、光量調整装置の占有スペースを小型化する上で有利となり、ひいては、レンズ鏡筒および撮像装置の小型化、薄型化を図る上で有利となる。
また、絞り用開口が予め定められた大きさに形成された状態で、NDフィルタ羽根が使用位置と退避位置とに移動されるので、絞り用開口がNDフィルタにより部分的に覆われる半掛りの状態がなく、解像性能の向上を図る上で有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(撮像装置10)
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本実施の形態の撮像装置10の斜視図、図2は撮像装置10を後方から見た斜視図である。
図1、図2に示すように、撮像装置10はデジタルスチルカメラである。
撮像装置10は、外装を構成する矩形板状のケース12を有している。
なお、本明細書において、前方とは被写体側をいい、後方とはその反対側をいい、左右は撮像装置10を前方から見た状態でいうものとする。
ケース12の右側部には、図中二点鎖線で示すように、レンズ鏡筒14が組み込まれている。
レンズ鏡筒14には、被写体像を撮像素子16(図4)に導く撮像光学系18などが設けられている。
撮像光学系18のうち最も前方に位置する対物レンズ1802は、ケース12の前面に設けられたレンズ窓を介してケース12前方に臨んで配置されている。
【0007】
ケース12の前面右寄りの箇所には、撮影補助光を出射するフラッシュ20A、セルフタイマーランプ20Bなどが設けられている。
ケース12の前面にはカバー22が上下にスライド可能に設けられ、このカバー22は、図1に示すように対物レンズ1802、フラッシュ20A、セルフタイマーランプ20Bを前方に露出させる下限位置と、これら対物レンズ1802、フラッシュ20A、セルフタイマーランプ20Bを覆う上限位置とにスライドされる。
ケース12の上面の左寄り箇所には、シャッタボタン20C、電源ボタン20Dなどが設けられている。
ケース12の後面には静止画および動画などの画像や文字や記号などが表示されるディスプレイ24(液晶表示器)、撮像光学系18のズーミング動作を行なわせるためのズームスイッチ20E、各種操作を行なうための十字スイッチ20Fおよび複数の操作ボタン20Gが設けられている。
ケース12の左側面には、撮像装置10を静止画撮影モード、動画撮影モード、再生・編集モードなどに切り替えるためのモードスイッチ20Hが設けられている。
そしてこれらスイッチ20A乃至20Hによって操作部20(図5)が構成されている。
【0008】
(レンズ鏡筒14)
図3はレンズ鏡筒14の斜視図、図4は図3のXX線断面図である。
図3、図4に示すように、レンズ鏡筒14は、鏡筒36と、撮像素子16と、撮像光学系18と、本発明に係る光量調整装置38などを含んで構成されている。
撮像素子16は、撮像光学系18によって結像された被写体像を撮像するCCDやCMOSセンサなどで構成されている。
撮像光学系18は、対物レンズ1802、プリズム1804と、ズーム用可動レンズ群1806と、フォーカス用可動レンズ群1808と、第1の固定レンズ群1810と、第2の固定レンズ群1812と、第3の固定レンズ群1814とを含んで構成されている。
さらに、レンズ鏡筒14には、ズーム用駆動手段2602A(図5)、フォーカス用駆動手段2602B(図5)が設けられている。
【0009】
(鏡筒36)
鏡筒36は、全体として幅および長さ並びに厚さを有する平板形状を呈しており、撮像素子16と撮像光学系18とは鏡筒36の幅方向の中央部で鏡筒36の長さ方向に沿って並べられて配置されている。
鏡筒36は、長さ方向において分割された第1鏡筒分割体36Aおよび第2鏡筒分割体36Bと、これら2つの鏡筒分割体36A、36Bの間に挟まれる第3鏡筒分割体36Cとで構成されている。
【0010】
(第1鏡筒分割体36A)
第1鏡筒分割体36Aの内部には、下方に開放状の上部部品収容空間3602が設けられており、対物レンズ1802は第1鏡筒分割体36Aの前面の上部でかつ幅方向の中央部に取着されている。
プリズム1804は、対物レンズ1802で捉えた像を下部に向けて(撮像素子16側に)反射させるもので本実施の形態ではプリズムが用いられている。プリズム1804は、上部部品収容空間3602で対物レンズ1802に臨む箇所に配置されている。
第1の固定レンズ群1810とズーム用可動レンズ群1806とは、上部部品収容空間3602内でプリズム1804の下方にこの順番で配置されている。
【0011】
(ズーム用可動レンズ群1806)
ズーム用可動レンズ群1806は、ズーム用レンズ枠1806Aに支持されている。
ズーム用可動レンズ群1806は、ズーム用レンズ枠1806Aを介して不図示の案内機構により撮像光学系18の光軸方向に移動可能に支持されると共に、ズーム用駆動手段2602A(図5)により撮像光学系18の光軸方向に移動されるように構成されている。
前記案内機構は、ズーム用レンズ枠1806Aに設けられた軸受け孔と、該軸受け孔に挿通されるガイド軸などを含んで構成され、このような案内機構として従来公知のさまざまな案内機構が採用可能である。
ズーム用駆動手段2602Aは、ズーム用レンズ枠1806Aに連結された雌ねじ部材と、該雌ねじ部材に螺合された雄ねじ部材と、該雄ねじ部材を回転駆動するモータなどを含んで構成され、このような駆動手段2602Aとして従来公知のさまざまな駆動機構が採用可能である。
【0012】
(第3鏡筒分割体36C)
第3鏡筒分割体36Cは、上部部品収容空間3602内に臨む内部分と、上部部品収容空間3602外に位置する外部分とを有している。
第2の固定レンズ群1812は、その光軸をズーム用可動レンズ群1806の光軸と一致させて前記内部分に取着されている。
第2固定レンズ1812の後方に光量調整装置38が設けられ、したがって、光量調整装置38は、撮像光学系18の光軸上において撮像素子16の前方に位置している。
【0013】
(第2鏡筒分割体36B)
第2鏡筒分割体36Bの内部には、上下に開放された下部部品収容空間3604が形成されており、第2鏡筒分割体36Bの下部に撮像素子16がホルダ1602を介して取着されることでこの下部部品収容空間3604の下端は閉塞されている。
フォーカス用可動レンズ群1808と第3の固定レンズ群1814は、下部部品収容空間3604内で第2鏡筒分割体36Bの幅方向中央に位置する箇所に配置されている。
【0014】
(フォーカス用可動レンズ群1808)
フォーカス用可動レンズ群1808は、フォーカス用レンズ枠1808Aに支持されている。
フォーカス用可動レンズ群1808は、フォーカス用レンズ枠1808Aを介して不図示の案内機構により撮像光学系18の光軸方向に移動可能に支持されると共に、フォーカス用駆動手段2602B(図5)により撮像光学系18の光軸方向に移動されるように構成されている。
前記案内機構は、フォーカス用レンズ枠1808Aに設けられた軸受け孔と、該軸受け孔に挿通されるガイド軸などを含んで構成され、このような案内機構として従来公知のさまざまな案内機構が採用可能である。
フォーカス用駆動手段2602Bは、フォーカス用レンズ枠1808Aに連結された雌ねじ部材と、該雌ねじ部材に螺合された雄ねじ部材と、該雄ねじ部材を回転駆動するモータなどを含んで構成され、このような駆動手段2602Bとして従来公知のさまざまな駆動機構が採用可能である。
【0015】
(第3の固定レンズ群1814)
第3の固定レンズ群1814は、フォーカス用可動レンズ群1808の下方の下部部品収容空間3604箇所に配置されている。
【0016】
(制御系)
図5は撮像装置10の構成を示すブロック図である。
撮像装置10は、上述したレンズ鏡筒14、ディスプレイ24に加えて、駆動部26、信号処理部28、制御部30、操作部20、外部インターフェース32、媒体インターフェース34などを備えている。
駆動部26は、前述したズーム用駆動手段2602Aと、フォーカス用駆動手段2602Bと、ドライバ2604と、検出手段2606と、ドライバ2608と、タイミング生成回路2610と、A/Dコンバータ2612と、ドライバ2614などを有している。
ドライバ2604は、ズーム用駆動手段2602Aと、フォーカス用駆動手段2602Bに駆動信号を供給するものである。
検出手段2606は、ズーム用駆動手段2602A、フォーカス用駆動手段2602Bによる可動レンズ群1806、1808の移動量などを検出するものである。
ドライバ2608は、撮像素子16に駆動信号を供給するものである。
タイミング生成回路2610は、撮像素子16およびドライバ2608にタイミング信号を供給するものである。
A/Dコンバータ2612は、撮像素子16で生成された撮像信号をA/D変換するものである。
ドライバ2614は、光量調整装置38に駆動信号を供給するものである。
【0017】
信号処理部28は、A/Dコンバータ2612から供給される撮像信号に対して所定の信号処理を行い画像データを生成したり、撮影にまつわる様々な動作(自動焦点動作、自動露出動作、自動ホワイトバランス動作、画像データの圧縮、解凍など)を行なうものであり、例えばDSPによって構成されている。
また、信号処理部28は、SDRAMコントローラ2802を介してメモリ(SDRAM)29を画像データの処理を行うための作業エリアとして使用する。
【0018】
制御部30は、CPU3002、RAM3004、フラッシュROM3006、時計回路3008、およびそれらを接続するシステムバス3010などを含んでいる。
CPU3002はフラッシュROM3006に格納されている制御プログラムに基づいて動作するものである。
CPU3002は、システムバス3010を介してRAM3004、フラッシュROM3006、時計回路3008とデータを授受し、また、操作部20から供給される操作指令、検出手段2606から供給される検出信号などに応じて動作し、また、駆動部26のドライバ2604、2614、タイミング生成回路2610、A/Dコンバータ2612を制御するものである。
また、CPU3002は、媒体インターフェース34を介して内蔵メモリやメモリカードなどの記録媒体35との間で画像データを含むデータの授受を行うものである。
また、CPU3002は、LCDコントローラ2402を介して画像データなどをディスプレイ24に表示させるものである。
また、CPU3002は、外部インターフェース32を介して外部装置(パーソナルコンピュータやプリンタ)との間で画像データを含むデータの授受を行うものである。
【0019】
(光量調整装置38)
次に、本発明の要旨である光量調整装置38について詳細に説明する。
図6は光量調整装置38の構成を示す分解図、図7は第1絞り羽根40の平面図、図8は第2絞り羽根42の平面図、図9はNDフィルタ羽根44の平面図である。
図10は絞り用開口2が開放状態でNDフィルタ羽根44が退避位置にある光量調整装置38の平面図、図11は絞り用開口2が中絞り状態でNDフィルタ羽根44が退避位置にある光量調整装置38の平面図、図12は絞り用開口2が中絞り状態でNDフィルタ羽根44が使用位置にある光量調整装置38の平面図、図13は絞り用開口2が小絞り状態でNDフィルタ羽根44が使用位置にある光量調整装置38の平面図、図14は絞り用開口2が全閉状態でNDフィルタ羽根44が使用位置にある光量調整装置38の平面図である。
なお、図6では第3鏡筒分割体36Cの形状を簡略化し第2の固定レンズ群1812などの図示を省略している。
また、図10乃至図14は、図示を簡略化するために、第3鏡筒分割体36C、駆動軸5602、アーム58、第1、第2カムピン60、62、第1、第2絞り羽根40、42、NDフィルタ羽根44のみを示し、第1、第2絞り羽根40、42、NDフィルタ羽根44が重なり合っている部分についてもそれらの形状を全て実線で示している。
光量調整装置38は、第1、第2絞り羽根40、42と、NDフィルタ羽根44と、駆動機構46などを含んで構成されている。
【0020】
(第1絞り羽根40)
第1絞り羽根40は、図6、図7に示すように、第2絞り羽根42と協働して絞り用開口2を形成すると共に、絞り用開口2の大きさを調整するものである。
第1絞り羽根40には、絞り用開口2の互いに対向する縁部の一方を形成するための開口形成用縁部4002が設けられている。
また、開口形成用縁部4002の両側に、第1絞り羽根40が直線移動可能に案内される2つのガイド溝4004が設けられている。
さらに、それら開口形成用縁部4002、2つのガイド溝4004と離れた箇所に、第1絞り羽根40を移動させるための第1カム溝48が設けられている。
第1カム溝48は、第1絞り羽根40移動用の第1溝部48Aと、この第1溝部48Aの端部に接続され駆動軸5602を中心とした円周上を延在し第1絞り羽根40を留めるための中間溝部48Bと、この中間溝部48Bに接続され第1絞り羽根40移動用の第2溝部48Cを有している。
開口形成用縁部4002と第1カム溝48とは、第1絞り羽根40の移動方向、すなわちガイド溝4004の延在方向に間隔をおいて配置されている。
【0021】
(第2絞り羽根42)
第2絞り羽根42は、図6、図8に示すように、第1絞り羽根40と協働して絞り用開口2を形成すると共に、絞り用開口2(図10乃至図13)の大きさを調整するものである。
第2絞り羽根42には、絞り用開口2の互いに対向する縁部の他方を形成するための開口形成用縁部4202が、第1絞り羽根40の開口形成用縁部4002とは逆向きに設けられている。
また、開口形成用縁部の両側に、第2絞り羽根42が直線移動可能に案内される2つのガイド溝4204が設けられている。
さらに、それら開口形成用縁部4202、2つのガイド溝4204と離れた箇所に、第2絞り羽根42を移動させるための第2カム溝50が設けられている。
第2カム溝50は、第2絞り羽根42移動用の第1溝部50Aと、この第1溝部50Aの端部に接続され駆動軸5602を中心とした円周上を延在し第1絞り羽根40を留めるための中間溝部50Bと、この中間溝部50Bに接続され第2絞り羽根42移動用の第2溝部50Cを有している。
開口形成用縁部4202と第2カム溝50とは、第2絞り羽根42の移動方向、すなわちガイド溝4204の延在方向に間隔をおいて配置されている。
【0022】
(NDフィルタ羽根44)
NDフィルタ羽根44は、図6、図9に示すように、絞り用開口2を覆って絞り用開口2を通過する光の透過光量を減少させるNDフィルタ52を有している。
NDフィルタ52の両側のNDフィルタ羽根44の箇所に、NDフィルタ羽根44が第1、第2絞り羽根40、42が移動される方向と同一の方向に直線移動可能に案内される2つのガイド溝4404が設けられている。
さらに、それらNDフィルタ52、2つのガイド溝4404と離れた箇所に、NDフィルタ羽根44を移動させるための第3カム溝54が設けられている。
第3カム溝54は、NDフィルタ羽根44を後述する退避位置に留めるための退避位置用溝部54Aと、この退避位置用溝部54Aの端部に接続されNDフィルタ羽根44を移動させるためのNDフィルタ羽根移動用溝部54Bと、このNDフィルタ羽根移動用溝部54Bに接続されNDフィルタ羽根44を後述する使用位置に留めるための使用位置用溝部54Cを有している。
NDフィルタ52と第3カム溝54とは、NDフィルタ羽根44の移動方向、すなわちガイド溝4404の延在方向に間隔をおいて配置されている。
なお、NDフィルタ52は合成樹脂製であることから、NDフィルタ羽根44とNDフィルタ52とを単一の部材で形成することも可能である。
【0023】
(駆動機構46)
駆動機構46は、図6に示すように、アクチュエータ56と、第1カム溝48と、第2カム溝50と、第3カム溝54と、アーム58と、第1カムピン60と、第2カムピン62とを含んで構成されている。
アクチュエータ56は、本実施の形態では、駆動軸5602と、駆動軸5602が連結された図略の磁石と、この磁石に対向して設けられた図略のコイルとを含むメータから構成されている。
駆動軸5602は、駆動電流が前記コイルに供給されることで発生した磁界と、前記磁石の磁界との磁気相互作用によって発生する回転駆動力によって正逆方向に回転される。
【0024】
アーム58は、駆動軸5602に該駆動軸5602と一体に回転可能に結合され、駆動軸5602が定められた角度範囲内で回転することで、すなわち、駆動軸5602が定められた角度範囲内で揺動することで、駆動軸5602と一体に揺動される。
アーム58は、第1アーム58Aと第2アーム58Bの2つが設けられている。
第1カムピン60は、第1アーム58Aの先端に設けられ、第1カム溝48と第3カム溝54との双方に係合している。
第2カムピン62は、第2アーム58Bの先端に設けられ、第2カム溝50に係合している。
【0025】
第1乃至第3カム溝48、50、54は、アーム58の揺動により第1、第2カムピン60、62を介して、第1、第2絞り羽根40、42を互いに逆向きに移動させて絞り用開口2の大きさを調整するように構成されている。
また、第1乃至第3カム溝48、50、54は、絞り用開口2が予め定められた大きさに形成された状態(後述する中絞り状態)で、NDフィルタ羽根44は、NDフィルタ52で絞り用開口2を覆う使用位置とNDフィルタ52が絞り用開口2から退避した退避位置とに移動されるように構成されている。
すなわち、NDフィルタ52が絞り用開口2を覆う位置が、NDフィルタ羽根44の使用位置であり、NDフィルタ52が絞り用開口2から退避した位置が、NDフィルタ羽根44の退避位置である。
【0026】
本実施の形態では、図6に示すように、第1、第2絞り羽根40、42、NDフィルタ羽根44は、第3鏡筒分割体36C、第1押さえ板64、第2押さえ板66を介して配設されている。
第3鏡筒分割体36Cには、第1、第2アーム58A,58Bの揺動を許容する切り欠き3610と、絞り用開口2を形成するための窓3612が形成されている。
また、第3鏡筒分割体36Cには、第1、第2押さえ板64、66の位置決め用の複数のピン3620が設けられている。それらピン3620は、第1、第2押さえ板64、66の位置決め用の位置決めピンとして機能すると共に、第1、第2絞り羽根40、42、NDフィルタ羽根44のガイド溝4004、4204、4404に挿入され、第1、第2絞り羽根40、42、NDフィルタ羽根44を直線移動可能に案内するガイドピンとしても機能する。
第1押さえ板64には、ピン3620が挿通される位置決め孔6402と、第1、第2カムピン60、62の揺動を許容する切り欠き6410と、絞り用開口2を形成するための窓6412が形成されている。
第2押さえ板66には、ピン3620が挿通される位置決め孔6602と、第1、第2カムピン60、62の揺動を許容する切り欠き6610と、絞り用開口2を形成するための窓6612が形成されている。
第1押さえ板64は、ピン3620を介して第3鏡筒分割体36Cに配設され、NDフィルタ羽根44は第1押さえ板64と第3鏡筒分割体36Cとの間に配置される。
第1、第2絞り羽根40、42はこの第1押さえ板64の上にピン3620を介して配置され、第1絞り羽根40の上に第2押さえ板66がピン3620を介して配置される。
さらに、第2押さえ板66の上に第1鏡筒分割体36A(図4)が配置され、第1鏡筒分割体36Aおよび第3鏡筒分割体36Cにより第1、第2絞り羽根40、42、NDフィルタ羽根44は、第3鏡筒分割体36C、第1押さえ板64、第2押さえ板66が挟持されることにより配設されている。
【0027】
なお、図7、図9において符号Aは第2カムピン62の移動軌跡を示し、図8において符号Bは第1カムピン60の移動軌跡を示す。
図7、図9に示すように、第1絞り羽根40およびNDフィルタ羽根44は第2カムピン62の移動軌跡と干渉しない外形形状で形成され、図8に示すように、第2絞り羽根42は第1カムピン60の移動軌跡と干渉しない外形形状で形成されている。
このように第1、第2絞り羽根40、42、NDフィルタ羽根44を形成することにより、第1、第2絞り羽根40、42、NDフィルタ羽根44を第1、第2カムピン60、62の上から順番に落とし込むという簡単な作業で光量調整装置38を組み立てることができ、組み立て性の向上を図る上で有利となる。
【0028】
(動作説明)
第1、第2絞り羽根40、42、NDフィルタ羽根44の動きをより詳細に説明する。
図10に示すように、第1カムピン60が第1カム溝48の第1溝部48Aの端部に位置すると共に、第1カムピン60が第3カム溝54の退避位置用溝部54Aの端部に位置し、第2カムピン62が第2カム溝50の第1溝部50Aの端部に位置した状態で、絞り用開口2は開放状態となり、NDフィルタ羽根44はNDフィルタ52が絞り用開口2から退避した退避位置に位置する。
【0029】
この状態から駆動軸5602が正転すると、第1、第2カムピン60、62が揺動し、第1カムピン60が第1カム溝48の第1溝部48Aの端部から中間溝部48Bに向かうと共に、第1カムピン60が第3カム溝54の退避位置用溝部54Aの端部からNDフィルタ羽根移動用溝部54Bに向かい、第2カムピン62が第3カム溝54の退避位置用溝部54AからNDフィルタ羽根移動用溝部54Bに向かう。
これら第1、第2カムピン60、62の揺動により、第1、第2絞り羽根40、42は互いに逆向きに直線移動し、絞り用開口2は開放状態よりも開口面積が次第に小さくされていく。
やがて図11に示すように、第1カムピン60が第1カム溝48の中間溝部48Bの一端に位置すると共に、第1カムピン60が第3カム溝54のNDフィルタ羽根移動用溝部54Bの一端に位置し、第2カムピン62が第2カム溝50の中間溝部50Bの一端に位置する。
この状態で、絞り用開口2は開放状態よりも開口面積が小さい中絞り状態となり、NDフィルタ52は絞り用開口2に近接する方向に移動するものの、NDフィルタ羽根44はNDフィルタ52が中絞り状態の絞り用開口2から退避した退避位置に位置する。
【0030】
さらに、駆動軸5602が正転すると、第1カムピン60が第1カム溝48の中間溝部48Bの一端から他端に位置し、第1カムピン60が第3カム溝54のNDフィルタ羽根移動用溝部54Bの一端から他端に位置し、第2カムピン62が第2カム溝50の中間溝部の一端から他端に位置する。
図12に示すように、第1、第2カム溝48、50の中間溝部48B、50Bは、駆動軸5602を中心とした同一円周上に位置しているため、第1、第2絞り羽根40、42は、中絞り状態を形成する位置に留まり、NDフィルタ羽根44のみが直線移動し、NDフィルタ羽根44はNDフィルタ52で絞り用開口2を覆う使用位置となる。
すなわち、NDフィルタ羽根44は、退避位置から使用位置に移動する。したがって、NDフィルタ羽根44は退避位置と使用位置の中間位置に留まることはなく、NDフィルタ52が絞り用開口2の一部を覆う位置に留まることがない。
【0031】
さらに、駆動軸5602が正転すると、第1カムピン60が第1カム溝48の中間溝部48Bの他端から第2溝部48Cに向かって移動し、第1カムピン60が第3カム溝54のNDフィルタ羽根移動用溝部54Bの他端から使用位置用溝部54Cに向かって移動し、第2カムピン62が第2カム溝50の中間溝部50Bの他端から第2溝部50Cに向かって移動する。
これらの動きにより、第1、第2絞り羽根40、42は互いに逆向きに直線移動し、絞り用開口2は中絞り状態よりも開口面積が次第に小さくされていく。
やがて図13に示すように、第1カムピン60が第1カム溝48の第2溝部48Cの一端に位置し、第1カムピン60が第3カム溝54の使用位置用溝部54Cの一端に位置し、第2カムピン62が第2カム溝50の第2溝部50Cの一端に位置し、中絞り状態よりも開口面積が小さい小絞り状態を形成し、NDフィルタ羽根44は使用位置に留まる。
【0032】
さらに、駆動軸5602が正転すると、第1カムピン60が第1カム溝48の第2溝部48Cの他端に向かって移動し、第1カムピン60が第3カム溝54の使用位置用溝部54Cの他端に向かって移動し、第2カムピン62が第2カム溝50の第2溝部50Cの他端に向かって移動する。
やがて、図14に示すように、第1カムピン60が第1カム溝48の第2溝部48Cの他端に位置すると共に、第1カムピン60が第3カム溝54の使用位置用溝部54Cの他端に位置し、第2カムピン62が第2カム溝50の第2溝部50Cの他端に位置した状態で、絞り用開口2は全閉状態となり、NDフィルタ羽根44は使用位置に留まる。
このように第1、第2絞り羽根40、42によって絞り用開口2が全閉状態となることで機械的なシャッターが構成されることになる。
【0033】
なお、駆動軸5602が逆転すると、第1、第2カムピン60、62および第1乃至第3カム溝48、50、54を介して前記と逆の動作がなされることになる。
したがって、駆動軸5602が逆転することで、NDフィルタ羽根44が使用位置から退避位置に移動する場合は、第1、第2絞り羽根40、42が中絞り状態を形成する位置に留まった状態で、NDフィルタ羽根44のみが直線移動して退避位置となる。
【0034】
(効果)
以上説明したように本実施の形態によれば、絞り用開口2の大きさを調整する第1、第2絞り羽根40、42と、絞り用開口2を通過する光の透過光量を減少させるNDフィルタ羽根44との移動方向が同一であり、第1、第2絞り羽根40、42とNDフィルタ羽根44がアクチュエータ56によって揺動される第1、第2カムピン60、62と第1乃至第3カム溝48、50、54を介して移動するようにした。
したがって、第1、第2絞り羽根40、42と、NDフィルタ羽根44とが占有するスペースを重複させることができると共に、第1、第2絞り羽根40、42と、NDフィルタ羽根44を動かすアクチュエータ56が1つで足りるため、光量調整装置38の占有スペースを小型化する上で有利となり、ひいては、レンズ鏡筒14および撮像装置10の小型化、薄型化を図る上で有利となる。
また、絞り用開口2が予め定められた大きさに形成された状態で、NDフィルタ羽根44が、絞り用開口2を覆う使用位置と絞り用開口2から退避した退避位置とに移動され、NDフィルタ52が絞り用開口2の一部を覆う位置に留まることがないため、絞り用開口2がNDフィルタ52により部分的に覆われる半掛りの状態がなく、解像性能の向上を図る上で有利となる。
【0035】
なお、本実施の形態では、駆動軸5602が正転することにより、第1、第2絞り羽根40、42が中絞りを形成する位置に留まった状態で、NDフィルタ羽根44のみが直線移動し、NDフィルタ羽根44がNDフィルタ52で絞り用開口2を覆う使用位置となり、また、駆動軸5602が逆転することにより、第1、第2絞り羽根40、42が中絞りを形成する位置に留まった状態で、NDフィルタ羽根44のみが直線移動し、NDフィルタ羽根44は、NDフィルタ52が絞り用開口2から退避した退避位置となる場合について説明した。
しかしながら、中絞りを形成した状態で第1、第2絞り羽根40、42が僅かに移動しつつ、NDフィルタ羽根44がNDフィルタ52で絞り用開口2を覆う使用位置と絞り用開口2から退避した退避位置とに移動してもよい。言い換えると、第1、第2絞り羽根40、42が実質的に中絞りを形成した状態でNDフィルタ羽根44を使用位置と退避位置とに移動するように構成してもよい。具体的には、NDフィルタ羽根44が使用位置と退避位置とに移動する際の移動速度が第1、第2絞り羽根40、42の移動速度の少なくとも3倍以上となるように構成すればよい。
【0036】
また、本実施の形態では、NDフィルタ羽根44が、退避位置から使用位置に移動する際(あるいは、使用位置から退避位置に移動する際)、NDフィルタ羽根44は退避位置と使用位置の中間位置に留まることがなく、NDフィルタ52が絞り用開口2の一部を覆う位置に留まることがない。
したがって、NDフィルタ羽根44の退避位置ではNDフィルタ52による入射光量の減衰量がゼロであり、NDフィルタ羽根44の使用位置ではNDフィルタ52の透過率に応じて入射光量が減衰する。
そのため、NDフィルタ羽根44の退避位置と使用位置とで光量調整装置38による入射光量の変化が急激なものとなることから、露光量の変化が急激なものとなり、滑らかな露出制御を行う上で不利となる。
そこで、撮像素子16による電子シャッターの機能により次のような制御を行うことで滑らかな露出制御を実現することができる。
すなわち、NDフィルタ羽根44が退避位置から使用位置に移動すると同時に、電子シャッターのシャッター速度を、NDフィルタ52の有無による透過光量の変化量を相殺するに足る速度分だけ減少させる制御(シャッターが開いている時間を長くする制御)を行う。
あるいは、NDフィルタ羽根44が使用位置から退避位置に移動すると同時に、電子シャッターのシャッター速度を、NDフィルタ52の有無による透過光量の変化量を相殺するに足る速度分だけ増大させる制御(シャッターが開いている時間を短くする制御)を行う。
そして、それ以降電子シャッター速度を連続的に変化させることにより、露光量を滑らかに変化させることができ、露出制御を滑らかに行うことができる。
なお、このような電子シャッター速度の制御は、図5に示すように、制御部30がタイミング生成回路2610を介して撮像素子16およびドライバ2608を制御することにより行うことができることはいうまでもない。
【0037】
また、本実施の形態では、第1、第2絞り羽根40、42で絞り用開口2の全閉状態を形成することで機械的なシャッターを構成したが、第1、第2絞り羽根40、42で絞り用開口2の全閉状態を形成するか否かは任意である。しかしながら、本実施の形態のように絞り用開口2の全閉状態を形成することで機械的なシャッターを構成した場合には、この機械的なシャッター機能と撮像素子16による電子シャッターの機能とを組み合わせることにより、さまざまなシャッター動作を実現することができ有利となる。
【0038】
なお、本実施の形態では、撮像装置がデジタルスチルカメラである場合について説明したが、本発明は、カメラ付き携帯電話機、ビデオカメラ、監視カメラ装置などの撮像装置に広く適用可能である。
また、本実施の形態では、光量調整装置が撮像装置に適用される場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、本発明に係る光量調整装置をプロジェクター装置における光源の光量調整装置として用いるなど任意である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施の形態の撮像装置10の斜視図である。
【図2】撮像装置10を後方から見た斜視図である。
【図3】レンズ鏡筒14の斜視図である。
【図4】図3のXX線断面図である。
【図5】撮像装置10の構成を示すブロック図である。
【図6】光量調整装置38の構成を示す分解図である。
【図7】第1絞り羽根40の平面図である。
【図8】第2絞り羽根42の平面図である。
【図9】NDフィルタ羽根44の平面図である。
【図10】絞り用開口2が開放状態でNDフィルタ羽根44が退避位置にある光量調整装置38の平面図である。
【図11】絞り用開口2が中絞り状態でNDフィルタ羽根44が退避位置にある光量調整装置38の平面図である。
【図12】絞り用開口2が中絞り状態でNDフィルタ羽根44が使用位置にある光量調整装置38の平面図である。
【図13】絞り用開口2が小絞り状態でNDフィルタ羽根44が使用位置にある光量調整装置38の平面図である。
【図14】絞り用開口2が全閉状態でNDフィルタ羽根44が使用位置にある光量調整装置38の平面図である。
【符号の説明】
【0040】
2……絞り用開口、10……撮像装置、14……レンズ鏡筒、38……光量調整装置、40……第1絞り羽根、42……第2絞り羽根、44……NDフィルタ羽根、46……駆動機構、56……アクチュエータ、48……第1カム溝、50……第2カム溝、54……第3カム溝、58……アーム、60……第1カムピン、62……第2カムピン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能に設けられ絞り用開口の大きさを調整する第1、第2絞り羽根と、
前記第1、第2絞り羽根が移動する方向と同一方向に移動可能に設けられ前記絞り用開口を覆って前記絞り用開口を通過する光の透過光量を減少させるNDフィルタを有するNDフィルタ羽根と、
前記第1、第2絞り羽根と前記NDフィルタ羽根を移動させる駆動機構とを備え、
前記駆動機構は、
アクチュエータと、
前記第1絞り羽根に形成された第1カム溝と、
前記第2絞り羽根に形成された第2カム溝と、
前記NDフィルタ羽根に形成された第3カム溝と、
前記アクチュエータにより揺動されるアームと、
前記アームに突設され前記第1カム溝と前記第3カム溝との双方に係合する第1カムピンと、
前記アームに突設され前記第2カム溝に係合する第2カムピンとを含んで構成され、
前記第1乃至第3カム溝は、前記アームの揺動により前記第1、第2カムピンを介して、前記第1、第2絞り羽根を互いに逆向きに移動させて前記絞り用開口の大きさを調整すると共に、前記絞り用開口が予め定められた大きさに形成された状態で、前記NDフィルタが前記絞り用開口を覆う使用位置と前記NDフィルタが前記絞り用開口から退避した退避位置との間で前記NDフィルタ羽根が移動されるように構成されている、
光量調整装置。
【請求項2】
前記絞り用開口が予め定められた大きさに形成された状態とは、前記絞り用開口の大きさが中間となる中絞り状態であり、
前記第1、第2カム溝は、それぞれ前記アームの揺動中心を中心とした円周上を延在する中間溝部を備え、
前記第3カム溝は、退避位置用溝部と、この退避位置用溝部に接続されたNDフィルタ羽根移動用溝部と、このNDフィルタ羽根移動用溝部に接続された使用位置用溝部とを備え、
前記第1、第2カムピンが前記第1、第2カム溝の各中間溝部に位置した状態で前記絞り用開口は前記中絞り状態となり、
前記第1、第2カムピンが前記第1、第2カム溝の各中間溝部に位置している間に、前記第1カムピンおよび前記NDフィルタ羽根移動用溝部を介して前記NDフィルタ羽根が前記使用位置と前記退避位置との間で移動される、
請求項1記載の光量調整装置。
【請求項3】
前記第1絞り羽根は前記絞り用開口の互いに対向する縁部の一方の縁部を縁取る縁部を有し、
前記第2絞り羽根は前記絞り用開口の互いに対向する縁部の他方の縁部を縁取る縁部を有し、
前記第1絞り羽根の前記縁部と前記第1カム溝とは、前記第1絞り羽根の移動方向に間隔をおいて配置され、
前記第2絞り羽根の前記縁部と前記第2カム溝とは、前記第2絞り羽根の移動方向に間隔をおいて配置され、
前記NDフィルタ羽根の前記NDフィルタと前記第3カム溝とは、前記NDフィルタ羽根の移動方向に間隔をおいて配置されている、
請求項1記載の光量調整装置。
【請求項4】
前記絞り用開口は、開口面積が最も大きい開放状態と、開口面積が零となる全閉状態との間で大きさが調整される、
請求項1記載の光量調整装置。
【請求項5】
移動可能に設けられ絞り用開口の大きさを調整する第1、第2絞り羽根と、前記第1、第2絞り羽根が移動する方向と同一方向に移動可能に設けられ前記絞り用開口を覆って前記絞り用開口を通過する光の透過光量を減少させるNDフィルタを有するNDフィルタ羽根と、前記第1、第2絞り羽根と前記NDフィルタ羽根を移動させる駆動機構とを有する光量調整装置を備え、
前記駆動機構は、
アクチュエータと、
前記第1絞り羽根に形成された第1カム溝と、
前記第2絞り羽根に形成された第2カム溝と、
前記NDフィルタ羽根に形成された第3カム溝と、
前記アクチュエータにより揺動されるアームと、
前記アームに突設され前記第1カム溝と前記第3カム溝との双方に係合する第1カムピンと、
前記アームに突設され前記第2カム溝に係合する第2カムピンとを含んで構成され、
前記第1乃至第3カム溝は、前記アームの揺動により前記第1、第2カムピンを介して、前記第1、第2絞り羽根を互いに逆向きに移動させて前記絞り用開口の大きさを調整すると共に、前記絞り用開口が予め定められた大きさに形成された状態で、前記NDフィルタが前記絞り用開口を覆う使用位置と前記NDフィルタが前記絞り用開口から退避した退避位置との間で前記NDフィルタ羽根が移動されるように構成されている、
レンズ鏡筒。
【請求項6】
移動可能に設けられ絞り用開口の大きさを調整する第1、第2絞り羽根と、前記第1、第2絞り羽根が移動する方向と同一方向に移動可能に設けられ前記絞り用開口を覆って前記絞り用開口を通過する光の透過光量を減少させるNDフィルタを有するNDフィルタ羽根と、前記第1、第2絞り羽根と前記NDフィルタ羽根を移動させる駆動機構とを有する光量調整装置を備え、
前記駆動機構は、
アクチュエータと、
前記第1絞り羽根に形成された第1カム溝と、
前記第2絞り羽根に形成された第2カム溝と、
前記NDフィルタ羽根に形成された第3カム溝と、
前記アクチュエータにより揺動されるアームと、
前記アームに突設され前記第1カム溝と前記第3カム溝との双方に係合する第1カムピンと、
前記アームに突設され前記第2カム溝に係合する第2カムピンとを含んで構成され、
前記第1乃至第3カム溝は、前記アームの揺動により前記第1、第2カムピンを介して、前記第1、第2絞り羽根を互いに逆向きに移動させて前記絞り用開口の大きさを調整すると共に、前記絞り用開口が予め定められた大きさに形成された状態で、前記NDフィルタが前記絞り用開口を覆う使用位置と前記NDフィルタが前記絞り用開口から退避した退避位置との間で前記NDフィルタ羽根が移動されるように構成されている、
撮像装置。
【請求項1】
移動可能に設けられ絞り用開口の大きさを調整する第1、第2絞り羽根と、
前記第1、第2絞り羽根が移動する方向と同一方向に移動可能に設けられ前記絞り用開口を覆って前記絞り用開口を通過する光の透過光量を減少させるNDフィルタを有するNDフィルタ羽根と、
前記第1、第2絞り羽根と前記NDフィルタ羽根を移動させる駆動機構とを備え、
前記駆動機構は、
アクチュエータと、
前記第1絞り羽根に形成された第1カム溝と、
前記第2絞り羽根に形成された第2カム溝と、
前記NDフィルタ羽根に形成された第3カム溝と、
前記アクチュエータにより揺動されるアームと、
前記アームに突設され前記第1カム溝と前記第3カム溝との双方に係合する第1カムピンと、
前記アームに突設され前記第2カム溝に係合する第2カムピンとを含んで構成され、
前記第1乃至第3カム溝は、前記アームの揺動により前記第1、第2カムピンを介して、前記第1、第2絞り羽根を互いに逆向きに移動させて前記絞り用開口の大きさを調整すると共に、前記絞り用開口が予め定められた大きさに形成された状態で、前記NDフィルタが前記絞り用開口を覆う使用位置と前記NDフィルタが前記絞り用開口から退避した退避位置との間で前記NDフィルタ羽根が移動されるように構成されている、
光量調整装置。
【請求項2】
前記絞り用開口が予め定められた大きさに形成された状態とは、前記絞り用開口の大きさが中間となる中絞り状態であり、
前記第1、第2カム溝は、それぞれ前記アームの揺動中心を中心とした円周上を延在する中間溝部を備え、
前記第3カム溝は、退避位置用溝部と、この退避位置用溝部に接続されたNDフィルタ羽根移動用溝部と、このNDフィルタ羽根移動用溝部に接続された使用位置用溝部とを備え、
前記第1、第2カムピンが前記第1、第2カム溝の各中間溝部に位置した状態で前記絞り用開口は前記中絞り状態となり、
前記第1、第2カムピンが前記第1、第2カム溝の各中間溝部に位置している間に、前記第1カムピンおよび前記NDフィルタ羽根移動用溝部を介して前記NDフィルタ羽根が前記使用位置と前記退避位置との間で移動される、
請求項1記載の光量調整装置。
【請求項3】
前記第1絞り羽根は前記絞り用開口の互いに対向する縁部の一方の縁部を縁取る縁部を有し、
前記第2絞り羽根は前記絞り用開口の互いに対向する縁部の他方の縁部を縁取る縁部を有し、
前記第1絞り羽根の前記縁部と前記第1カム溝とは、前記第1絞り羽根の移動方向に間隔をおいて配置され、
前記第2絞り羽根の前記縁部と前記第2カム溝とは、前記第2絞り羽根の移動方向に間隔をおいて配置され、
前記NDフィルタ羽根の前記NDフィルタと前記第3カム溝とは、前記NDフィルタ羽根の移動方向に間隔をおいて配置されている、
請求項1記載の光量調整装置。
【請求項4】
前記絞り用開口は、開口面積が最も大きい開放状態と、開口面積が零となる全閉状態との間で大きさが調整される、
請求項1記載の光量調整装置。
【請求項5】
移動可能に設けられ絞り用開口の大きさを調整する第1、第2絞り羽根と、前記第1、第2絞り羽根が移動する方向と同一方向に移動可能に設けられ前記絞り用開口を覆って前記絞り用開口を通過する光の透過光量を減少させるNDフィルタを有するNDフィルタ羽根と、前記第1、第2絞り羽根と前記NDフィルタ羽根を移動させる駆動機構とを有する光量調整装置を備え、
前記駆動機構は、
アクチュエータと、
前記第1絞り羽根に形成された第1カム溝と、
前記第2絞り羽根に形成された第2カム溝と、
前記NDフィルタ羽根に形成された第3カム溝と、
前記アクチュエータにより揺動されるアームと、
前記アームに突設され前記第1カム溝と前記第3カム溝との双方に係合する第1カムピンと、
前記アームに突設され前記第2カム溝に係合する第2カムピンとを含んで構成され、
前記第1乃至第3カム溝は、前記アームの揺動により前記第1、第2カムピンを介して、前記第1、第2絞り羽根を互いに逆向きに移動させて前記絞り用開口の大きさを調整すると共に、前記絞り用開口が予め定められた大きさに形成された状態で、前記NDフィルタが前記絞り用開口を覆う使用位置と前記NDフィルタが前記絞り用開口から退避した退避位置との間で前記NDフィルタ羽根が移動されるように構成されている、
レンズ鏡筒。
【請求項6】
移動可能に設けられ絞り用開口の大きさを調整する第1、第2絞り羽根と、前記第1、第2絞り羽根が移動する方向と同一方向に移動可能に設けられ前記絞り用開口を覆って前記絞り用開口を通過する光の透過光量を減少させるNDフィルタを有するNDフィルタ羽根と、前記第1、第2絞り羽根と前記NDフィルタ羽根を移動させる駆動機構とを有する光量調整装置を備え、
前記駆動機構は、
アクチュエータと、
前記第1絞り羽根に形成された第1カム溝と、
前記第2絞り羽根に形成された第2カム溝と、
前記NDフィルタ羽根に形成された第3カム溝と、
前記アクチュエータにより揺動されるアームと、
前記アームに突設され前記第1カム溝と前記第3カム溝との双方に係合する第1カムピンと、
前記アームに突設され前記第2カム溝に係合する第2カムピンとを含んで構成され、
前記第1乃至第3カム溝は、前記アームの揺動により前記第1、第2カムピンを介して、前記第1、第2絞り羽根を互いに逆向きに移動させて前記絞り用開口の大きさを調整すると共に、前記絞り用開口が予め定められた大きさに形成された状態で、前記NDフィルタが前記絞り用開口を覆う使用位置と前記NDフィルタが前記絞り用開口から退避した退避位置との間で前記NDフィルタ羽根が移動されるように構成されている、
撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−288494(P2009−288494A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140598(P2008−140598)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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