説明

光量調整装置

【課題】小型で軽量であり消費電力の少ない光量調整装置を提供する。
【解決手段】複数の絞り羽根を開閉可能に支持する基板を、導電性繊維を混入した樹脂材料で成型し、絞り羽根との摺動面をシボ状凹凸面で形成すると共に複数の絞り羽根を、樹脂シートを型抜き成型して形成する。そして絞り羽根は、型抜き成型時のダレ面が摺動面と接するように基板に支持する。このように構成することによって基板を小型に構成しても機械点強度と温度特性に富み、羽根との摩擦抵抗を小さく出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビデオカメラ、スチールカメラなどの撮像装置、或いはプロジェクタその他の投影装置に内蔵され、撮影光量、投映光量などの光量を調整する光量調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の光量調整装置は、撮影光路(或いは投影光路)に光軸開口を有する基板を配置し、この基板に複数枚の光量調節羽根を開閉自在に配置して光軸開口を大口径又は小口径に光量調整する装置として知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、基板に形成した光軸開口の周囲に複数枚の羽根を配置し、光路口径を小径から大径まで相似形で開閉する虹彩絞り装置が開示されている。このような絞り装置は、多数枚の羽根で円形状に近い口径で多段階に光量調整する特徴が知られている。
【0004】
また特許文献2には、基板の光軸開口を2枚の羽根で光量調整する装置が開示されている。そして基板には複数の羽根を開閉動する電磁駆動ユニットが設けられ、この駆動ユニットの回転を文献1の装置は駆動リングで複数の羽根を同時に回動移動し、文献2の装置は駆動アームで2枚の羽根を同時に摺動移動している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−020438号公報
【特許文献2】特開2010−049136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように複数の絞り羽根を開閉自在に支持する基板(地板)は、装置全体の堅牢性を確保する程度に衝撃に強いことと、温度環境で変形しがたい耐熱材料で構成する必要がある。これと共に、装置の小型化と軽量化が要求される。
【0007】
特に最近のカメラ装置は、小型軽量化と同時に省電力化が要求され、基板には機械的強度と熱変化特性と同時に羽根の開閉摺動によって発生する静電気を基板を介して装置外に流すことで、静電気による羽根同士の貼り付きを防止させることが要求される。
【0008】
この場合に基板を金属などの導電性材料で構成することが試みられているが、基板を複雑な形状に製作することが困難であるのと同時に重量が重くなる問題がある。
【0009】
そこで本発明者は、基板を樹脂成型で形成する際に繊維を混入して機械的強度と、熱変化特性を改善するのと同時に導電性繊維を混入することによって導通性を得るとの着想に至った。このとき混入した繊維が基板表面に露出して羽根の円滑な開閉の妨げとなる問題に遭遇した。
【0010】
本発明は、光路開口を羽根部材で開閉して光量調節する際に、羽根の円滑な開閉動作が得られると共に、小型で軽量で消費電力の少ない光量調整装置の提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するため本発明は、複数の絞り羽根を開閉可能に支持する基板を、カーボン繊維を混入した樹脂材料で成型し、絞り羽根との摺動面をシボ状凹凸面で形成すると共に複数の絞り羽根を、樹脂シートを型抜き成型して形成する。そして絞り羽根は、型抜き成型時のダレ面が摺動面と接するように基板に支持することを特徴としている。このように構成することによって基板を小型に構成しても機械点強度と温度特性に富み、羽根との摩擦抵抗を小さくすることが可能となる。
【0012】
更にその構成を詳述すると、光路開口を有する基板(1)と、光路開口の通過光量を調整する複数の絞り羽根(6)と、複数の絞り羽根を開閉動する作動部材(4)と、この作動部材を駆動する駆動手段(5)とを備える。上記基板は、カーボン繊維を混入した樹脂材料で成型すると共に、絞り羽根との摺動面(3)は、シボ状凹凸面で形成され、複数の絞り羽根は、樹脂シートを型抜き成型で形成され、絞り羽根は、型抜き成型時のダレ面(6x)が摺動面と接するように基板上に支持する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、光路開口を有する基板を、導電性繊維を混入した樹脂材料で成型し、絞り羽根との摺動面をシボ状凹凸面で形成し、この摺動面に樹脂シートを型抜き成型した複数の絞り羽根をダレ面が接するように支持したものであるから以下の効果を奏する。
【0014】
基板はカーボン繊維を混入した樹脂材料で成型されているから、衝撃などの機械的強度と熱変形し難い熱的特性を備えることとなる。このため基板を薄型で小型に形成することが出来、強靭で軽量に構成することが可能である。
【0015】
また、羽根を摺動可能に支持する基板の摺動面は、シボ状凹凸面で構成してあるから表面に飛び出したガラス繊維が羽根の摺動を妨げることがない。このため摺動面の摩擦抵抗は凹凸面で低減され円滑な羽根の開閉が可能であり、消費電力を軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係わる光量調整装置の基本的構成の説明図であり、(a)は装置断面を、(b)はX部の拡大図を、(c)は基板と羽根の接触部の拡大状態を示す。
【図2】本発明に係わる光量調整装置の一実施形態を示し、基板と羽根の組み立て状態の説明図。
【図3】図2の装置における押さえ基板と羽根の組み立て状態の説明図。
【図4】(a)は図2の装置における絞り羽根の形状説明図を示し、(b)は(a)の一部拡大図を示し、(c)は作動部材にダボを形成した説明図。
【図5】本発明に係わる光量調整装置の異なる実施形態(第2実施形態)の説明図。
【図6】図5の装置における電磁駆動ユニットの説明図。
【図7】実施例1における絞り羽根の開閉負荷特性の実験計測データ値。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図示の好適な実施の形態に基づいて本発明を説明する。図1は本発明に係わる光量調整装置Aの基板構造を示す。基板1は、光路開口2と、羽根を支持する摺動面3と、羽根を開閉動する作動部材4と、この作動部材を駆動する駆動手段5を備えている。この基板1の摺動面3には後述するように複数の絞り羽根6が光路開口2を開閉するように支持される。
【0018】
上記基板1は、樹脂材料のモールド成型で形成されている。この樹脂材料は例えばPC(Polycarbonate)などの合成樹脂に導電性繊維(例えばカーボン繊維)を混合した材料(後述の実施例参照)で所定の形状にモールド成型する。このとき成形型で基板の摺動面をシボ状凹凸面3で構成する。
【0019】
図1(b)は、摺動面3と絞り羽根6との係合状態を示す。同図は係合状態を拡大したモデルを示す。基板1の表面には凹凸面3が形成され、この凹凸面3を摺動面として絞り羽根6を支持する。
【0020】
絞り羽根6は、後述するように2枚構成、6枚構成、9枚構成など複数の絞り羽根で構成され、羽根先端は光路開口2を覆うように配置されている(後述の実施形態参照)。各絞り羽根6は樹脂フィルムを所定の羽根形状に型抜き成型する。このとき型抜き成型時のダレ面6x(図1(b)参照)を基板の摺動面3と接するように対向配置する。
【0021】
以上のように構成された基板1は導電性繊維が混入され機械的強度と熱変形の少ない部材となる。そして絞り羽根6を開閉自在に支持するが摺動面はシボ状凹凸面3で形成される。
【0022】
従って図1(b)に示すように絞り羽根6は型抜き成形時のダレ面6xが摺動面3に当接し、この面に沿って開閉動する。このときダレ面6xが摺動面3に接するため型抜き成形時のバリが摺接面3と擦れることがない。これと共に図1(c)に示すように摺動面3はシボ状凹凸面で形成されているから、樹脂材料に混入した導電性繊維は羽根の摺動動作で凹部に押し込まれる。これによって摺動面3の摩擦抵抗は低減し、一定の摩擦状態に安定する。
【0023】
[実施例1]
基板材料;ポリカーボネイト(Polycarbonate)樹脂とカーボン繊維との混合材料
カーボン繊維の材質;炭素(C)
カーボン繊維の混合比;15%重量比
基板成型;モールド成型
シボ凹凸面の形状;中心線平均粗さ(Ra)が0.3ミクロン(μm)
シボ成形方法;モールド成形型に凹凸面を形成し、基板成型と同時にシボを作成
絞り羽根材料;遮光性黒色ポリエステルフィルム
絞り羽根の加工法;プレス打ち抜き
【0024】
上記中心線平均粗さRaは、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸とし、粗さ曲線をy=f(x)で表したとき,次式で求められる値とする。
【数1】

「実験結果」
後述する第1実施形態の装置(基板外径;66mm,光路開口径;41mm,絞り羽根枚数;9枚重ね合わせ構成)において、実施例1の材料で製作した光量調整装置について絞り羽根の開閉負荷を計測した。その結果を図7に示すがこの実験結果から中心線平均粗さRaが0.2ミクロン(μm)以上が羽根の開閉動作に最適であることが判明した。
【0025】
[第1実施形態]
次に図2及び図3に示す本発明に係わる光量調整装置Aの一実施形態について説明する。図2は基板1と絞り羽根6の組み立て状態を、図3は押さえ基板7と絞り羽根6の組み立て状態を示す。この装置は図2に示す基板1に絞り羽根6を摺動自在に支持し、この絞り羽根を図3に示す押さえ基板7で支持し、基板1と押さえ基板7を一体化している。
【0026】
図示の装置は光路開口2を有する基板1と、この基板に開閉自在に支持された複数の絞り羽根6と、この絞り羽根6を開閉動する作動部材4と、駆動手段5と、押さえ基板7で構成されている。
【0027】
基板1はリング形状に形成され、中央に光路開口2が設けられている。この基板1には複数の絞り羽根6を支持する摺動面3(羽根支持面;以下同様)が光路開口2の周囲に設けられている。基板1は前述の実施例に示すように合成樹脂に導電性繊維を混入した強化プラスチックで構成され、摺動面3はシボ状凹凸面で形成されている。
【0028】
また上記基板1には後述する各絞り羽根6に設けた第1の突起(植設ピン;以下ガイドピンと云う)8を嵌合支持するガイド溝14が形成してある。図示15は基板1に一体形成された連結ビスであり、後述する押さえ基板7と結合する。
【0029】
絞り羽根6(図示のものは9枚構成)は、図2に示すように同一構成で複数の羽根を鱗状に重ね合わせて光路開口2を覆うように形成されている。各絞り羽根6は前述の実施例に示すようにポリエチレンなどの樹脂フィルムを型抜き成型して形成される。そして型抜きダレ面6x側に第1の突起(ガイドピン)8と、かえり面6y側に第2の突起9(以下「作動ピン」という)が植設されている。尚、この場合に第1絞り羽根6aのかえり面6yは第2絞り羽根6bと接することになるが、羽根部材との間に間隙を形成するダボ4xを作動部材4に設け、絞り羽根のかえり面側の表面を摺動自在に保持することも可能である(図4(c)参照)。
【0030】
図3に従って押さえ基板7について説明する。上記基板1と対向する押さえ基板7は、基板と同様に合成樹脂のモールド成型で形成され、この押さえ基板7に作動部材4と駆動手段5が組み込んである。押さえ基板7は基板1と略同一形状で中央に開口16が設けられている。この押さえ基板7には駆動手段5が電磁駆動ユニットとして取り付けられている。電磁駆動ユニット5は図示しないがロータ軸に永久磁石を一体化したマグネットロータをステータコイルに回動自在に内蔵し、ステータコイルに通電することによってロータを所定角度回転する。そしてマグネットロータに一体形成した駆動歯車を作動部材4に連結する。
【0031】
作動部材4は、中央に光路開口2を有するリング形状に形成され、押さえ基板7に形成されている開口16にフランジ10で回動可能に嵌合されている。この作動部材4には押さえ基板7に支持された電磁駆動ユニット(駆動手段)5の駆動歯車11と噛合する受動歯12が外周の一部に形成されている。従って電磁駆動ユニット(駆動手段)5を正逆回転するとリング状の作動部材4は光路開口2の軸芯を中心に所定角度時計方向と反時計方向に回転する。
【0032】
上記作動部材4は各絞り羽根6を軸支持する嵌合孔13が設けてある。そして各絞り羽根6に形成されている作動ピン9を嵌合孔13に嵌合する。
【0033】
そこで、基板1の光路開口2の周囲に各絞り羽根6は、所定角度間隔で羽根先端が光路開口を覆うように配列されている。各絞り羽根6はガイドピン8を基板1のガイド溝14に嵌合支持される。このように基板上に配列された絞り羽根6の上に押さえ基板7が基板との間に羽根を挟むように取り付けられる。この押さえ基板7には、作動部材4が一体に組み合わされ、作動部材4の嵌合孔13に各絞り羽根6の作動ピン9が嵌合される。そして基板1と押さえ基板7は連結ビス15(図2参照)で一体的に固定されている。
【0034】
[位置規制手段]
上述のように基板1と各絞り羽根6には、相互の位置を規制する第1の位置規制手段(ガイド溝)14が設けられている。図2の装置は、絞り羽根6の型抜き時のダレ面6x側に形成された第1の突起(ガイドピン)8を基板1に形成されたガイド溝14に嵌合している。これによって基板1と各絞り羽根6の相互の位置が位置規制される。
【0035】
また、上述のように作動部材4と各絞り羽根6には、相互の位置を規制する第2の位置規制手段(突起9と嵌合孔13)が設けられている。図3に示すように絞り羽根6の型抜き成形時のかえり面6y側に形成された第2の突起(作動ピン)9を作動部材4に形成された嵌合孔13に嵌合している。これによって押さえ基板7と各絞り羽根6の相互の位置が位置規制される。
【0036】
[第2実施形態]
図5に示す光量調整装置Aは、基板1に2枚の羽根を組み込んだ装置構成を示す。この装置は、図5に示すように基板1と絞り羽根6と駆動ユニット5と、作動部材4と、押さえ基板7とから構成されている。
【0037】
基板1は、図1の装置と同様にカメラ装置などの撮影鏡筒の組込みスペースに応じた形状に構成されている。この基板は前述の実施例のように機械的強度と耐熱性に富んだ合成樹脂で構成され、ガラス繊維が混入されている。
【0038】
この基板1には中央部に光路開口2と、周囲に摺動面3(羽根支持面;以下同様)が形成してある。尚図示17はフランジであり、押さえ基板7との間に羽根の摺動間隙を形成する。上記基板1は前述の実施例に記載の方法で製作する。
【0039】
上記基板1の摺動面3には第1絞り羽根6aと第2絞り羽根6bが積層状に支持される。この第1第2絞り羽根6a、6bは前述の実施例1の方法で製作する。つまりポリエチレンなどの樹脂フィルムを型抜き成型し、ダレ面6x側が摺動面3と接するように積載支持する。この摺動面3はシボ状凹凸面で形成してある。
【0040】
上記第1、第2絞り羽根6a、6bの先端部は光路開口2に臨ませてある。図示の第1絞り羽根6aは半円形状の開口部18を有し、その中央に狭窄部18xが形成してある。上記第2絞り羽根6bは円形状の開口部19を有し、その中央に狭窄部19xが形成してある。この第1、第2絞り羽根6a、6bの開口部18、19を光路開口2に臨ませ、この光路開口2を中心に両者を接近方向に摺動させると光路開口2は小口径に、逆に離反方向に摺動すると大口径となり、撮影条件に応じて光量調整することが出来る。
【0041】
この為、第1、第2絞り羽根6a、6bはそれぞれ両側縁を基板1のフランジ17の対向側壁17a、17bにガイドされ、図5左右方向に摺動自在に支持されている。これと共に第1絞り羽根6aにはスリット溝23a、23bが、第2絞り羽根6bには同様のスリット溝21a、21bが設けてあり、基板1の羽根支持面3に植設したガイドピン20a、20b、20cに嵌合してある。
【0042】
図示ガイドピン20aはスリット溝21aに、ガイドピン20bはスリット溝21bとスリット溝23aに、ガイドピン20cはスリット溝23bにそれぞれ嵌合してある。従って第1、第2絞り羽根6a、6bはフランジ17の対向側壁17a、17bとガイドピン20a、20b、20cに案内され図5左右方向に直線的に移動することとなる。
【0043】
そして各絞り羽根6a、6bには摺動方向と所定角度で交差する方向にカム溝25aと25bが穿設してあり、このカム溝25a、25bに駆動ユニット5の作動部材4(図示のものは駆動アーム)が係合するようになっている。
【0044】
図6に従って駆動ユニットの構成について説明する。上述の基板1には絞り羽根6a、6bを装備した表面側に対し、その背面側には駆動ユニット5の取付部26が設けられ、図6に示す駆動ユニット5が取付けられている。この駆動ユニット5は、ロータ組31とステータ組30から構成され、ロータ組31はロータ軸32と永久磁石33と駆動アーム(作動部材)4とから構成されている。
【0045】
図示のロータ組31は円柱形状の永久磁石33の中心にロータ軸32を一体的に固定し、このロータ軸32に駆動アーム(作動部材)4が一体的に固定してある。永久磁石33はフェライト磁石、ネオジウム磁石などで中心に軸孔を有する円筒形状に焼成し、中心の軸孔に別途金属或いは樹脂で成形したロータ軸32を貫挿して一体化する。
【0046】
このように一体化された永久磁石33とロータ軸32には駆動アーム4が一体化されている。図示の駆動アーム4はロータ軸32に一体化されこの軸の回転を絞り羽根6a、6bに伝達するため軸に対しラジアル方向に張り出した第1アーム4aと第2アーム4bで構成されている。
【0047】
この駆動アーム4は樹脂などでロータ軸32と一体成形しても、図示のように別途成形して接着剤などでロータ軸に固着しても良い。この場合ロータ軸32の軸径を小さく(小径)するときには永久磁石33の端面とロータ軸32の両者に被冠して接着すると確実な一体化が可能となる。
【0048】
尚図示の駆動アーム4は第1、第2アーム4a、4bを、ロータ軸32を挟んで対向する位置に配置したのは絞り羽根を第1、第2、2つの羽根6a、6bで形成し、この2つの羽根を相反方向に摺動させる関係で2つのアームで形成したが、1枚の絞り羽根、或いは複数の絞り羽根に連結した伝動リングを備える場合には1つのアームで構成し、このアームを絞り羽根或いは伝動リングに連結することも可能である。
【0049】
上記ロータ組31は下記のステータ組30に回動自在に内蔵される。ステータ組30はコイル枠35とこのコイル枠に巻回された励磁コイル36と、外筐シールドとしてのヨーク37とから構成される。コイル枠35は円筒形状で図6左右若しくは上下に2分割され、内部にロータ組31を内蔵するように構成される。通常は合成樹脂などでカップ状に上下2分割されるかロータ軸32を境に左右に縦断2分割する。図示のものは上コイル枠35aと下コイル枠35bで上下2分割され、合体した状態で内部に永久磁石33を収容する空洞部35cとロータ軸32の前記第1、第2軸端部32a、32bを軸受支持する軸受部35d、35eと、外周に励磁コイルを巻回するコイル巻回溝35fとを備えている。
【符号の説明】
【0050】
A 光量調整装置
1 基板
2 光路開口
3 摺動面(シボ状凹凸面)(羽根支持面)
4 作動部材
4x ダボ
5 駆動手段(電磁駆動ユニット)
6 絞り羽根
6a 第1絞り羽根
6b 第2絞り羽根
6x ダレ面
6y かえり面
7 押さえ基板
8 第1の突起(ガイドピン)
9 第2の突起(作動ピン)(第2の位置規制手段)
10 フランジ
11 駆動歯車
12 受動歯車
13 嵌合孔(第2の位置規制手段)
14 ガイド溝(第1の位置規制手段)
15 連結ビス
16 開口
30 ステータ組
31 ロータ組
33 永久磁石
35 コイル枠
37 ヨーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光路開口を有する基板と、
前記光路開口の通過光量を調整する複数の絞り羽根と、
前記複数の絞り羽根を開閉動する作動部材と、
この作動部材を駆動する駆動手段と、
を備え、
前記基板は、
導電性繊維を混入した樹脂材料で成型すると共に、
前記絞り羽根との摺動面は、シボ状凹凸面で形成され、
前記複数の絞り羽根は、
樹脂シートを型抜き成型で形成され、
前記絞り羽根は、型抜き成型時のダレ面側の表面が前記摺動面と接するように基板上に支持されていることを特徴とする光量調整装置。
【請求項2】
前記導電性繊維は、カーボン繊維であることを特徴とする請求項1に記載の光量調整装置。
【請求項3】
前記摺動面は、最大深さ0.15ミリ以上で単位面積当たり400個/平方ミリ以上の凹部を有する凹凸面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光量調整装置。
【請求項4】
前記絞り羽根と前記基板には、相互の位置を規制する位置規制手段が設けられ、
この位置規制手段は、
前記絞り羽根の成形時のダレ面側の表面に形成された第1の突起と、前記基板に形成されたガイド溝を嵌合することによって構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光量調整装置。
【請求項5】
前記作動部材は、前記複数の絞り羽根を同時に開閉動するリング形状に形成され、
この作動部材と前記絞り羽根には、相互の位置を規制する位置規制手段が設けられ、
この位置規制手段は、
前記絞り羽根の成形時のかえり面側の表面に形成された第2の突起と、前記作動部材に形成された嵌合孔を嵌合することによって構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光量調整装置。
【請求項6】
前記複数の絞り羽根は、互いに摺動するように重ね合わせられ、
前記作動部材には、前記摺動面と接する絞り羽根と、この絞り羽根と摺動する絞り羽根との間に間隙を形成するタボが設けられていることを特徴とする請求項5に記載の光量調整装置。
【請求項7】
前記作動部材は、前記複数の絞り羽根を同時に開閉動するリング形状に形成され、
前記複数の絞り羽根は、前記作動部材と前記基板との間に配置され、
前記複数の絞り羽根と前記基板との間には第1の位置規制手段が、前記複数の絞り羽根と前記作動部材との間には第2の位置規制手段が設けられ、
前記第1の位置規制手段は、一方に形成された突起と他方に形成されたガイド溝を嵌合することによって構成され、
前記第2の位置規制手段は、一方に形成された突起と他方に形成された嵌合孔を嵌合することによって構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光量調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−93618(P2012−93618A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242109(P2010−242109)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】